平成22年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(新島 雄議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 21番新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕(拍手)
○新島 雄君 盛大なる声援をいただきましてありがとうございます。
 やっと朝夕が涼しくなってまいりました。長かった夏も終わりを告げるのかなあと。で、味覚の秋、スポーツの秋、そんなものがやってきてまた冬を迎える。
 しかし、この時期、夏の疲れが出てくるのも事実であります。知事は、午前中ネクタイをされておったのですが、午後はリラックスしたのか、ネクタイを外されております。どうか病み上がりですので、十分お気をつけください。
 本日の項目は1点であります。まずお断りをしておきます。ほかに質問がなかったわけではありません。初日の4番目ということでありますので、質問は簡素に、答弁は的確に、それをモットーに、議長のお許しのもと始めてまいりたいと思っております。
 観光を考える。
 茨城空港と上海を結ぶ中国の民間航空は、9月15日から29日の便で片道4000円の航空券を発売すると発表されております。許可がおりればこれを続行する、そういう話であります。それ以外にも格安の航空券が発売をされておりますし、LCC、全日空はこれにも参入する、そのように発表しております。航空料金もデフレスパイラルに入ったのかと心配をいたしますし、心配は安全面にも及びます。
 そんな中、中国からの観光客は大幅にふえています。2000年、35万人でありました。2008年には100万人を突破いたします。そして、ことしは6月までで70万人を超えています。中国人観光客をターゲットにした観光市場の拡大には、映画、テレビ、アニメなどの文化や医療などを組み合わせた魅力的な商品開発がかぎになってくると考えられますし、関西空港の利用促進を忘れてはならないと思います。観光立県和歌山を標榜するならば、もっともっと頑張っていかなければと思い、激励を込めて質問をいたします。
 まず最初に、観光経済の規模について質問をいたします。
 観光立県和歌山であれば、たくさんのデータを持っていると思いますが、まず日本国内における観光の位置づけを知る上で、旅行消費額を教えてください。これには宿泊旅行、日帰り旅行、訪日外国人、海外旅行とありますが、我が国経済への貢献度、すなわち経済効果をお示しください。
 次に、旅行消費額を他産業と比較することが必要になると考えます。どのような産業に匹敵するのか、企業でいえば売上高でどの程度の企業と肩を並べるのか、お答えをいただきたいと思います。
 では、観光がもたらす我が国産業への経済効果はどれくらいになるのか。旅行消費額を参考にして、生産波及効果と雇用誘発効果を示していただきたいと思います。その上で、経済効果を公共事業投資と比較をしていただきたいと思います。
 次に、観光経済の構造について質問をいたします。
 これには旅行回数、男女の別、年代別などがあると考えますし、訪日外国人の推移も必要になります。これから申し上げるデータは商工観光労働部にはあると思いますが、平成21年度「観光白書」を見ますと、フランス、韓国、日本を比較すると大変おもしろいことがわかります。フランスは長い休みを複数回とり、そのほとんどを宿泊旅行に使います。韓国は休暇の期間は短いのですが、フランス同様ほとんどを宿泊旅行に使います。では日本は、宿泊旅行に行く場合でも、取得した休暇の3割ないし6割程度しか利用しないことがデータで見てとれます。
 それでは、消費額について比較したいと思います。1回当たりの消費額は、日本もフランスもほぼ同額であります。1泊当たり、これは日本のほうがフランスの2.6倍の費用がかかっていることになり、韓国の6.6倍にもなる費用をかけて私たちは旅行をしております。日本人旅行者は、なぜこんなにお金を使うかということになりますと、中身は公共交通機関の利用が多いということが1点、そしてホテル、旅館の利用が大変高いということになってきます。このことを考えると、消費の幅広い効果が観光というものに見込まれてくることがわかります。
 そのほか、この観光白書には多岐にわたるデータが大変たくさん出ておりまして、随分と有効な資料だと思いますが、この資料をもとに和歌山県の現状、今後の和歌山の観光を考える上で何が必要なのか、またどうすればもっとよりよい観光地になっていけるのかをお答えいただきたいと思います。
 3番目、次に休暇であります。旅行をするには休みが必要であります。まず、有給休暇の取得状況を教えていただきたいと思います。まず1つは県庁職員の取得がどの程度のものであるか、2つ目は同規模の民間企業の取得割合はどの程度になるのか、3番目は県庁職員の休暇の利用目的に関して調査をしたことがあるのかないのか、あればそのデータをお示しをいただきたいと思います。このことについては、総務部長、お答えをお願いいたします。
 もう1点、休みということで、学校の休暇との連動であります。
 三重県亀山市では4月の30日を学校を休みとして、4月29日から5月5日までの7連休としています。あくまでも休んだ分はどっかで補うということをしておるんですが、それに伴って主要事業所の約50%が学校に合わせて休業をして、家族の時間づくりを助けている、そして市内の博物館など5施設を無料開放しているという事例があります。
 日本全国を見てみますと、そのほかには静岡県島田市で市内の全小中学校約8000名、これを対象に来月10月の8日の金曜日を休みにしています。そして4連休をつくるという施策を打っております。また、東京の荒川区や京都市などもありまして、取り組んでいる地域は全国で9カ所あります。私は学校休日を移動させること、大変おもしろい試みで、よいことだと思っておりますし、ぜひ県教委にも取り組んでほしいと思っております。教育長、お答えをいただきたいと思います。
 4番目、観光統計についてお尋ねをいたします。
 現在、都道府県の入込客数や観光消費額の調査方法が統一されておらず、データの比較が都道府県で比較ができない状況だと考えます。地域の特性や弱点を他府県と比較できなければ、今後の課題も見つけにくいと考えますし、このデータそのものが自分たちだけのデータであり、本当に次へ進んでいくためのデータになり得ないのではないか、そのように考えるものであります。
 ところが、平成21年12月に観光庁が共通基準を策定したと聞いております。その方法、基準などをお示しいただきたいと思います。
 私は常々、入込客数の数字が発表されるごとに、ついまゆつばものだと思ってしまうところがあります。例えば、私と家内が県内旅行をします。白浜で1泊、勝浦で1泊、これ入込客数は4名のカウントになります。ほかにカウントする地点があれば、6名になり8名になるのであります。ところが、実際は2人だけなんです。本当に発表される数字をいつも見ていて、こんなにたくさんの人が本当に和歌山を訪れたのかと、しばしば思うことがあります。現在どのように数字をはじき出しているのかお教えをいただきたいと思いますし、それが正確なものか、経済効果と一致しているのか、地域における的確な観光施策の企画立案に役立っているのか、また民間ビジネスの活性化に役立っているのかもあわせてお答えをいただきたいと思います。
 最後です。人材について知事に質問します。
 いろんな項目で観光だけを取り上げて長々と質問もしましたし、多分、商工観光労働部長の答弁は大変長いものになる。議場にいらっしゃる議員さんは多分あくびもするだろうと思います。しかし、いろんなデータを見せられ、またいろんな構造や波及効果やなんぞをいろいろしたところで、この情報であるとか数字を、生かすも殺すも人であります。
 そこで私は、これを知事に尋ねるわけなんですが、県職員には人事異動というのがどうしてもあります。長期にわたって同じ職場でずっといてることは皆無に等しいです。ところが、人材を育てるには時間が要ります。上に立つ者の人を見る目も要ります。そしてお金もかかります。
 ところが、このプロフェッショナルを育てないと、データの正確な読み込みも企画立案もできずに、コンサルへ丸投げをしてしまう、そんなことになりかねないのであります。そこには和歌山らしさなど何もなくなってしまうと考えます。和歌山には、和歌山にしかできない企画や運営があるはずです。全国的なまねをするのではなく、職員の中からプロデューサーやディレクターを育てなくては、観光立県和歌山は達成できないと思います。知事の考えをお聞かせください。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山下直也君) ただいまの新島雄君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 職員の人事配置につきましては、職員の力が最大限発揮され、その時々の行政課題に適切に対応できるよう、適材適所を基本としているところでありますが、今後も職員の適性を十分見きわめつつ、業務内容や状況等に応じた柔軟な人事配置に努めてまいりたいと考えております。
 と、そういうふうに言わなければいけない、それは真実でありますが、さらに、私が知事になりましてから、職員をころころとかえ過ぎるのはいかん、力が十分発揮されておらんというような御批判を大勢の県民の方から、特に民間の方からいただきました。適材適所と申しますけれども、適材適所であるならば、将来いろいろな経験をさして成長さしていくという面も大事なんですけれども、やっぱりもうちょっと、2年で必ずかえるというのはいかがなものかなということも考えまして、私が知事になりましてから少し長目に勤務をしてもらってる者も出てきたということはよく御存じだと思います。
 それから、新島議員が今お話しになりましたように、少なくともコンサル丸投げはだめというのはそのとおりでありまして、私はコンサルなどというものの横のほうでずっと何十年間も過ごしておりましたから、いかに役に立たないかということはよくわかっております。特に東京などのコンサルということであります。職員の中からディレクターやプロデューサーを育てなきゃいけない、まさにそのとおりだと思います。そのように努めてまいりたいと思います。
 とりわけ、観光振興の業務につきましては、特に専門性が高いと思います。そこで、配属した観光局の職員には、現在取り組んでいる企業訪問など、地域の観光事業者との連携を密に図ることで、本県のそれぞれの地域の魅力や特性を、自分たちの強みを十分理解・精通させてまいりたいと考えております。
 また、井の中のかわずになってはいけませんので、他府県の先進観光地事例の調査研究とか、あるいは和歌山県の観光を助けてくれる存在としてのマスメディアや旅行エージェントとの協働によるマネジメント力の養成、あるいは健康やウオーキングなど、幅広い視点からの観光ビジネスへの挑戦など、あらゆる機会を通して能力向上に努めてまいりたいと考えております。
 さらに、これから海外からの誘客も図りたいと考えております。それならば、海外からの誘客に直接出向いていって力を発揮できるような職員もつくっていかないといけないと考えます。その中では、英語や中国語など主要な語学のできる職員の養成もまた必要なので、そこは私の就任以来、ちょっと戦略的にそういう要員をふやしていくということを心がけているところでございます。
○副議長(山下直也君) 商工観光労働部長岡本賢司君。
  〔岡本賢司君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本賢司君) 議員御質問の観光を考えるについて、一括してお答えさせていただきます。
 まず、観光経済の規模についてですが、観光庁が発表する「観光白書」によりますと、平成20年度の国内旅行消費額は23兆6000億円であり、これによる直接的な付加価値額は11兆5000億円で、これは国内総生産の2.3%の水準に当たります。産業別には物流業や鉄鋼業の売上に、企業別にはトヨタ自動車株式会社や三菱商事株式会社の売上額に匹敵する水準にあります。
 これら旅行消費額がもたらす間接的な効果を含めた生産波及効果は51兆4000億円、付加価値誘発効果は26兆5000億円で、国内総生産の5.3%に匹敵するとともに、雇用誘発効果は430万人と推計されており、生産誘発係数は公共事業投資と同水準であると分析されています。
 また、平成20年度に実施した和歌山県観光統計調査によれば、県内の観光消費額は約2000億円、経済波及効果は約3700億円で、それぞれ県内生産額の3.1%、5.6%となっております。
 次に、観光経済の構造についてですが、議員御提言のとおり、「観光白書」には観光客の動態や観光経済に関するさまざまなデータが示されており、多様な観光資源を有する本県にとって大変有効な資料であると考えております。
 現在、県におきましても、国ごとの来訪傾向や嗜好に応じたインバウンドの推進を初め、JAL及びJRなどの公共交通機関や観光エージェントとの連携によるプロモーション、食やウオーキングなど旅行の目的ごとにプランを提案する「わかやま○旅プロジェクト」を実施しております。また、ターゲットを明確にした年金旅行や修学旅行など、観光客の動態等に対応した取り組みも実施しております。
 これら取り組みを含め、観光客の動態やニーズ、トレンドに応じた旅行プランの提案や観光地での消費を促す取り組みなど、観光産業としてのマーケット戦略を企画し、実践していくことが本県観光地の活性化につながるものと考えております。
 最後に観光統計についてですが、全国観光統計基準に基づく観光庁の統計につきましては、年間入込客数が1万人以上、もしくは特定月の入込客数が5000人以上の地点を調査対象として入込客数を集計するとともに、あわせて旅行消費額や訪問観光地点数に関するアンケート調査を実施し、観光消費額や観光客実人数を推計するものです。
 一方、和歌山県観光動態調査につきましては、各市町村が独自に調査する観光入込客数のデータを県が取りまとめ公表しているもので、その値はそれぞれの観光地点を訪れる観光客延べ人数を集計したものとなっております。
 この統計値につきましても、観光客の年次比較など本県観光客の動向を判断する1つの指標として、民間事業者を初め観光関係者と協働で取り組む観光振興実施行動計画の策定とその実践に活用しており、調査を継続してまいりたいと考えております。
 また、全国観光統計基準に基づく統計値につきましても、観光消費額や観光客の実人数、また他府県との比較も可能になることから、民間でのビジネス活動も含め、より効果的な観光振興を進める上で有効に活用してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 総務部長宮地俊明君。
  〔宮地俊明君、登壇〕
○総務部長(宮地俊明君) 年次休暇につきましてお答え申し上げます。
 県庁職員の年次有給休暇につきましては、ワーク・ライフ・バランスを実現するためワン・モア・ホリデー運動等を推進し、積極的に取得促進を図っております。その取得状況についてでありますが、職員には毎年20日間の年次有給休暇が付与され、平成21年の知事部局における1人当たり平均取得日数は11日となっております。
 また、民間企業につきましては、厚生労働省の就労条件総合調査によりますと、平成20年の常用労働者1000人以上の企業で、平均19.8日の年次有給休暇が付与され、1人当たり平均取得日数は10.6日となっております。
 なお、年次有給休暇をどのような目的に利用するかは労働者の自由であるという法的性格にかんがみまして、年次有給休暇の利用目的等に関する調査については実施いたしておりません。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 休暇の連動についてお答えいたします。
 休暇を家族で過ごすということは、家庭教育の観点からも大切なことだと考えます。御紹介いただきました亀山市の例は、観光庁が有給休暇の取得を促進するための実証実験として行ったものでございまして、市民が勤める関連企業の半数が学校等と足並みをそろえて、4月30日を休日としたと伺いました。
 学校休業日の振りかえにつきましては、これまでも各学校が柔軟に対応しているところでございますが、議員御提案の趣旨を生かし、効果を上げていくためにも、学校単独で行うのではなく、社会全体の機運が醸成され、地域ぐるみの取り組みとして実施することが大切であると考えます。
 今後、休業日の有効的なとり方やその意義等について、関係部局と連携、協力しながら研究してまいりたいと考えます。
○副議長(山下直也君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 再質問を許します。
 21番新島 雄君。
○新島 雄君 先日、用がありまして郵便局へ行きました。ほん最近です。そしたら帰りに、「年賀状の予約を聞いております」と言うて、ティッシュを1ついただいて、もうこんな時期なんかと思いました。その帰り道、のどが渇いたのとたばこが切れたので、コンビニへ寄りました。そうしたら、レジをしますと「10月からたばこ値上がりですが、予約聞いときましょか」と言われました。来店したお客さんを2度3度、どうして使うかを店ぐるみで考えてます。どうして売り上げを伸ばすか、一生懸命やってます。こんな民間企業のサービスは、今こそ行政に必要なんではないか、そんなことを思いました。
 特に、観光というものに関しましては、経験すること、敏感に感じること、そんなことが大変必要であります。知事の答弁にも、「先進地の調査研究をさせよう」という答弁がありました。それは決して、紙の上だけやパソコン上だけの調査研究であってはならないと思います。百聞は一見にしかず、現場に行き、見て感じる必要があります。
 ところが、その予算は何もありませんと思います。ふだんの出張では、職員さんは大変、安いホテルを探し、安いチケットを買い、出張をしているようでありますが、時には豪華なホテルへ泊まることも、経験の上で、感じる上で大切なことではないかな、そんなことも思ってしまいます。これは何も観光に携わっている人だけでは、私はないと思います。いろんなものを吸収することによって、そこから出てくる知恵や感性、そしてセンスというものが問われる時代になっています。そういう各部署に自由に使えるお金があればいいなあと私自身は思うのですが、なかなか時代が許してくれない、そんな面もあるかと思います。
 しかし、財政が厳しいときほど、私は人にお金をかけるべきだと思っています。人をつくるために、予算を組むことが重要であると考えます。人づくりを忘れた地域は滅びます。あしたのためにさらなる精進を要望して、質問を終わります。
○副議長(山下直也君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で新島雄君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時31分散会

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