平成22年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(平越孝哉議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 15番平越孝哉君。
  〔平越孝哉君、登壇〕(拍手)
○平越孝哉君 議長のお許しをいただき、平成22年6月定例会一般質問最終日最後の質問者として、久しぶりに登壇をさせていただきました。議員の皆さんには多少お疲れの御様子でございますので、できるだけ簡潔に質問を終わらせたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 自民党から民主党への歴史的な政権交代から8カ月余りで鳩山由紀夫首相が退陣し、新しく民主党の代表になった菅直人氏が首相に選ばれ、8日夜には新しい閣僚が決まり、新内閣が発足しました。
 仁坂知事には、地方のことを大切にする施策を口だけでなく実行してほしい、地方重視と言いながら、当県のような地方がますますおくれていくような政策は改めてもらいたいとコメントを出されております。
 先日、県は、2009年度の新規就農者が、昨年度より46人多い193人と発表されました。これは、過去5年間で最多となり、雇用対策として県が昨年2月から進めてきた支援策が一定の成果を上げてきたものと評価するものであり、和歌山県長期総合計画の目標値に近づいたことは、まことに喜ばしいことであります。
 しかしながら、本県では人口の減少に歯どめがかからず、平成22年5月1日現在の和歌山県推計人口では100万1057人と、前年に比べて6345人も減少しており、100万人割れ目前の状況となる中、雇用情勢は依然として厳しく、第1次産業も低迷したままで、そういう現実を前にして「コンクリートから人へ」と言っても説得力がありません。高速道路の4車線化や農林水産の振興策にも力を尽くし、もっと地方を大切にしてもらいたいと思います。
 それでは、通告に従いまして一般質問を行ってまいります。
 まず初めに、県立医科大学と附属病院の役割についてお尋ねします。
 和歌山県立医科大学は、1945年2月に、県民の強い要望と国家的要請によって、和歌山県立医学専門学校として誕生した60有余年の歴史ある大学であります。この間、目覚ましい医学・医療の進歩とともに、多様化し高度化する社会ニーズに対応した地域の医学・医療の中核的役割を担う大学として、キャンパス・病院施設の整備、ドクターヘリの導入、法人組織化など、設備と機構の整備を図ってきました。
 また、医学教育においては、平成16年度に保健看護学部を開設、平成17年度には大学院医学研究科に修士課程を開設し、平成20年度には大学院保健看護学研究科及び助産学専攻科を開設するなど、医学系総合大学として充実を図ってきています。
 さらに、平成22年度から医学部学生定員が100名となり、深刻化する医師不足対策と大学の機能充実に向けた取り組みを開始しております。
 また、和歌山県から、世界初の全身麻酔で乳がん摘出手術に成功した華岡青洲、日本で初めて種痘に成功した小山肆成、世界的博物学者南方熊楠など多くの偉人を輩出しており、初代学長古武彌四郎先生も世界的に有名な生化学者であったと聞いております。
 この医科大学の使命は教育、研究、臨床の3点であると考えますが、和歌山県立医科大学と附属病院の役割についてどのように考えておられるのか、知事にお伺いします。
 次に、地域医療と医師不足についてお尋ねします。
 地域医療を支える自治体病院の赤字が膨らみ、存続の危機に立たされております。少子高齢化を迎え、県民が安心して生活を送る上で、地域における医療体制の確保が極めて重要な課題となっております。
 しかし、我が国における医師数は毎年増加しているにもかかわらず、地域における医師不足が全国的に報告されており、和歌山県も同様であります。
 医師不足と言われておりますが、実際は勤務医不足であると考えます。県内の病院、特に公立病院の医師不足は、地域住民の病気のときの入院、健康対策に大きく影響します。
 県の医師数は、平成20年12月末現在2601人であり、年々増加しております。人口10万人当たりでは257人と全国平均を上回るものの、和歌山市の医師数は1415人で県内医師数の54%を占め、人口10万人当たり381人と、和歌山市への集中化が生じております。このことから、和歌山保健医療圏を除く県内の多くの保健医療圏が全国平均を下回るという状況にあります。このように、依然として医師の地域偏在が顕在化しております。
 また、小児科や産婦人科などの特定診療科のほかにも内科などでも医師不足の傾向にあり、地域医療に大きな影響を与えています。県内でも、特に地域医療の中核として高度医療や救急医療、僻地医療など、地域医療を支える拠点病院の勤務医師不足は深刻であります。
 私の地元である紀北地区では、公立病院として橋本市民病院と和歌山県立医科大学附属病院紀北分院があります。両者とも、地域の中核病院として存在してきました。
 しかし、ここ数年、橋本市民病院が移転し、紀北分院の建てかえ再建計画により、地域住民の不安の声を聞きます。
 特に、両者の内科医不足は、入院患者の受け入れ不足につながっています。県内でも、紀北分院は、勤務する内科医の数が少ないと聞きます。地域の方々にとっては、重篤な病気では公立那賀病院や大学病院へ行くのは納得できるのですが、軽症の入院のときは地元で治療したいと考えています。紀北分院の診療の充実は、高度医療ではなく地域医療という観点から喫緊の課題ではないでしょうか。同様に、橋本市民病院の内科医不足も問題であります。
 地域医療は、地域、病院だけに任せておいては無理が生じます。住民の数、地域における病院、医師の数、また、病院内部における医師の数、診療科、医師の年齢構成など、さまざまであります。
 医療は地域にとって欠くことのできない最も重要な社会資源であり、県民がどこに住んでいても安心して良質な医療を受けることができる環境を確保することが必要であります。
 仁坂知事は、就任以来、県民の命を守ることの重要性を認識され、先頭に立って医師不足対策に取り組まれた結果、新宮市立医療センターに対する国の緊急医師派遣に基づく産婦人科医師の派遣や県立医科大学の入学定員の増員など、地域医療の維持に大きな成果を上げられました。
 しかし、先ほど申し上げましたとおり、地域医療を取り巻く環境は大変厳しい状況でありますことから、県としても引き続き医師確保対策に全力を挙げて取り組むとともに、現状の医療資源を有効活用することができるよう、医療機関相互の機能分担やネットワーク化を進めることにより地域医療体制を守ることが必要であります。
 そこで、医師不足を解消し地域医療を守るため今後どのような対策に取り組まれるのか、福祉保健部長にお伺いをします。
 続きまして、橋本保健医療圏での紀北分院の役割についてお尋ねします。
 紀北分院につきましては、2月議会で門議員も要望されており、その中でも、紀北分院をよくしていこうということで設立された女性を中心とした民間ボランティア団体あすなろ会の話もありましたが、私も、そのあすなろ会の会員の皆様や地元自治会の皆さんからも要望を受け、板倉新学長就任直後、あすなろ会の幹部の皆さんに同行し、大学において紀北分院の将来ビジョンをお聞きした後、外科やレストラン、病室の環境整備等、数々の要望を申し上げ、地域医療の核として一層の充実、発展を願った次第であります。
 紀北分院は、開院以来70年余り地域医療の拠点病院として大変重要な役割を果たし、地元に十分寄与してまいりました。この分院について、老朽化した建物を現地で建て直し、この秋に新たに開院されますが、地元においては大きな期待を寄せる一方、地域住民の不安の声も聞きます。
 そこで、私は、機会あるごとに紀北分院のあるべき姿について提言してまいりました。県立医科大学が有する高度な医療技術、高野山大学の持ついわゆる心の治療を組み合わせた先端的な医療の拠点として紀北分院を整備することがふさわしいのではないか、また、各診療科が専門的な医療を行う本院と違い、診療科の間で横の連絡を密にした取り組みができるのではないか、これが実現可能な場所と規模ではないかと提言いたしました。具体的には、高野山大学の先生方による、患者さんを対象とする心の持ち方講座の開設や、県立医科大学生、看護師を対象とする心の教育の開始、総合診療の提供などであります。
 新たな紀北分院においては、高野山大学と連携した研究を行うことも予定されており、私の提言の趣旨が取り入れられたことについては大変うれしく思っておりますし、紀北分院が将来大きな成果を上げ、地域に密着した分院として発展していくことを強く願っているところであります。
 また、基本計画では、分院の地域医療における役割と、分院が大学附属病院であることから、和歌山県全体を視野に入れた特徴のある医療と医療従事者の教育に力を入れるとのことでありますが、医学生に地域医療の実際を教えるのも大切であります。
 しかしながら、建てかえ後の紀北分院の基本計画では、病床数が、内科系45、脊髄系35、緩和ケア20、感染症4の合計104床と縮小し、一般外科についても廃止する計画であります。
 紀北分院の属する橋本保健医療圏には高齢者が多く、今後さらに高齢化が進むということも考え、紀北分院には、夜間救急診療体制を初めとして地域医療に対して果たすべき役割があるのではないか、また、地域住民にこたえるべき責務があるのではないかと思います。
 そこで、紀北分院が地域医療に対して今後どのように貢献していけるのか、また外科なしでその対応が可能かどうか、福祉保健部長にお伺いします。
 次に、2点目でありますが、農水産物等の県産品の国内外への販路開拓と販売促進についてお尋ねします。
 御承知のとおり、本県は、温暖な空気を生かし、梅、桃、柿、ミカンといった果樹を中心とした農作物の栽培に取り組み、果実産出額全国第2位を誇る果樹王国であります。
 しかしながら、現在の農業経営は、担い手不足や高齢化、耕作放棄地の増加といった課題を抱えるとともに、果樹等の国内市場は、少子高齢化や嗜好の変化により縮小傾向にあるといった問題を抱えております。
 私は、従来より、その年々の農産物のできや販売額が生産者の生活を大きく左右すると言っても過言ではない本県にとっては、生産対策とともに販売対策がますます重要になってきていると考えております。
 こうした中、本年3月27日と4月25日の2回にわたり、県内各地で発生した低温により、梅、柿を中心とした農作物において、果実の組織が壊され、傷がついたり黒ずむなどの甚大なる被害を受け、生産農家の生活に深刻なダメージをもたらしております。
 一方、6月1日、県立医科大学の宇都宮洋才准教授と国立和歌山工業専門学校の奥野祥治教授が、本県のブランド農産物南高梅の梅干しから新型インフルエンザウイルスの増殖を抑制する新しい化合物を発見したと発表。直後の6月2日、NHK総合テレビの番組「あさイチ」で梅の医学的効果が紹介され、全国から梅エキスの注文が相次いでいると報じられたところであります。
 ここで、私の地元、九度山町の主たる農作物であります柿についてでありますが、皆さんも御承知のとおり、生産量日本一を誇る和歌山の柿は、伊都地方、紀の川市の特産品であります。以前放映されたあるテレビの番組の中で、好きな果物について町行く人に聞いたところ、古くから親しまれてきた柿は、皮がむきにくい、黒い斑点が気になる、酸味がないなどの理由により、余り人気がなかったとのことです。
 そこで、その番組において、柿の秘められたパワーについての検証が行われました。柿の黒い斑点は渋み成分のタンニンが固まったもので、果肉は黒いほど甘い。また、柿が持つタンニンには強い消臭効果があり、においが気になる食べ物を食べた後には最適なデザートとの内容でもありました。それ以外にも、柿には、生活習慣病を予防するビタミンC、カロテン(通称カロチン)などの機能性成分が多く含まれ、健康果実であると報じられました。
 近年、我が国の果実消費が嗜好食品の増加や食の簡便化により減少し、健康等への影響が懸念されております。このため、現在、国、地方公共団体、関係団体等が中心となり毎日くだもの200グラム運動を展開しておりますが、これらの運動、報道が健康づくりや消費拡大に大きな効果をもたらすものと大いに期待をしているところであります。
 ところで、皆さん、柿の日があることを御存じでしょうか。柿の日は10月26日です。明治28年10月26日、正岡子規が奈良に滞在していたときに「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」と有名な俳句を読んだことにちなみ、全国規模で柿をPR、消費拡大、販売促進を図ることを目的に柿の日が制定されたと聞いております。
 今、柿農家を取り巻く環境は、生産者の高齢化や後継者不足による生産意欲の低下などにより、大変厳しい状況にあります。
 そのような中、九度山町では、富有柿の最盛期に当たる11月中旬に、生産者、消費者、教育関係者等、参加者が一体となって、柿の持つ魅力とパワーを再認識してもらうなど、九度山の富有柿をPRし、一層ブランド化を図るためのビッグイベントとして、3年前から「大収穫際IN九度山」が開催されております。
 農林水産部に食品流通課が誕生し、はや3年が経過しました。この間、県では、毎年、県農水産物・加工食品の販売促進戦略、アクションプログラムを作成し、和歌山県産品のブランド力の向上、販路開拓を図るため、国内はもちろん、海外市場への新たな取り組みも積極果敢に進められております。
 本年3月に千葉・幕張メッセで開かれたアジア最大級の食品見本市FOODEX JAPAN2010では、世界64の国と地域から食材や食品が出品され、国内外からバイヤー等約7万4000人が集まったと言われておりますが、本県は、この見本市で3年連続、自治体としては最も広いブースを構え、キャンペーンを展開しております。
 食品流通課の設立を機に販売策を大きく転換し、食品バイヤーが一堂に集まる見本市への出展を卸売市場とともに流通の最前線と位置づけ、アジアや欧米での大規模見本市のブースを販路開拓や販売促進につなげており、最近では、こうした食品流通課の活躍ぶりが報じられている新聞やテレビなど、マスコミ報道をよく目にするに当たり、ようやく軌道に乗り始めたことと実感し、大いに評価するとともに、今後ますますの成果を期待するものであります。
 我々議会も、県産品の販路開拓や販売促進を支援したいという思いは同じで、昨年度も食博やFOODEX JAPANなどの国内での販路開拓や販売促進活動に参加し、激励をしております。私も、平成19年10月の当時から、県農水産物・加工食品促進輸出協議会に参画させていただいております。
 協議会では、具体的に進む方向性の協議の場であるとともに、活発な意見交換や貴重な情報収集・提供の機会となっている総会、県内の生産者の輸出意欲向上を目的に開催している輸出促進セミナー、さらに昨年の10月には、現在は政情不安な状況が伝えられているタイの日系高級百貨店伊勢丹バンコク店でのJA紀北かわかみの柿を中心とした和歌山フェアに参加し、応援をさせていただきました。
 そこで、これまで国内外において、和歌山産水産農産物及び加工食品の販路開拓と販売促進に積極的に取り組まれた結果、どのような成果が上がっているのか、また、生産者の経営安定を図るため、今後どのように具体的な取り組みを進めていくのか、知事にお伺いをします。
 最後、3点目として、観光振興についてお尋ねをします。
 観光は、旅行会社、バス・タクシー会社、旅館や土産物店など直接関連する業種だけでなく、農林水産業や商工業などに幅広く効果を及ぼす総合的な産業であり、その振興は県経済発展の大きな原動力となるとともに、交流人口の拡大をもたらし、地域活性化に役立つものと考えます。
 また、和歌山県は、豊かな自然と世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に代表される貴重な歴史文化、さらには多彩な食材や温泉にも恵まれ、多くの観光客に親しまれてきました。
 しかし、近年、観光客の志向や旅行形態の変化に十分対応できず、恵まれた観光資源を生かし切れていないなどの理由により、観光地としての本県の地位が相対的に低下しているのではないでしょうか。
 県としても、知事みずからが陣頭指揮をとって策定した和歌山県長期総合計画において、「和歌山の魅力を磨き売り出す」、「和歌山に招く」、「和歌山でもてなす」という3つの柱を挙げ、「癒しと感動を与える誇れる郷土和歌山」を目指し、近年では、ほんまもん体験を活用した修学旅行の誘致などの施策も積極的に展開していますが、観光立県和歌山を実現するためには、さらなる取り組みが必要と考える。
 また、観光振興にとって何よりも大切な、県民1人1人が観光の重要性を認識し、おもてなしの主人公となるなど、観光振興の担い手として、県や市町村などと一丸となって取り組んでいただくことが重要だと思います。
 去る4月、日本商工会議所は、「観光立“地域”による観光立国の具体化を目指して」と題する提案をまとめ、観光庁に提出しました。提言では、地域のすぐれたもの、特色である光と個性を生かした新しいまちづくりと一体となった観光振興を推進することが重要であると強調し、その上で「観光立“地域”」を提唱しており、その実現のため、まちづくりと連動した観光コンテンツづくり、的確な情報発信とマーケティング戦略に基づく観光競争力の強化、人材育成を含む観光基盤整備に取り組むべきだと示しました。
 本年4月1日、本県においても議員提案による和歌山県観光立県推進条例が施行され、県民を挙げて観光の振興に取り組もうという方針が示されたところであり、日本商工会議所の提言にある「観光立“地域”」という考え方と合致しているものであります。
 私は、本県の経済活性化のため、観光振興は、ぜひとも推進しなければならないと考えております。
 また、現在、奈良県で平城遷都1300年祭が開催されており、多くの人が訪れています。今後、高野山においても、高野山開創1200年記念大法会が平成27年4月から5月において開催されます。この機会を生かして、高野エリアの観光振興を図るべきだと思います。
 この高野町は、1200年前、弘法大師空海の高野山開創から明治初期まで、総本山金剛峯寺の寺領として管理された町で、1200年の悠久の時を超えた密教文化、世界に類のない山岳宗教都市で、すばらしい文化、伝統、自然の中で訪れる人に安らぎと感動を与える場所であり、古くから多くの参拝客が訪れ、平成16年に「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産への登録を契機に、外国からの来訪者も多くなったと聞いております。
 平成21年の和歌山県を訪れた観光客動態調査結果でも、前年と比較し増加しており、また、外国人の宿泊者数についても前年と比べ増加しております。これも、世界遺産登録や観光PRがあったからだと考えます。
 また、世界遺産として、参詣道には熊野参詣道、高野山町石道があり、九度山町慈尊院から高野山奥の院に至る高野山町石道は、熊野古道である熊野参詣道より知名度は低いように思われます。
 そこで、九度山町でも、町独自に慈尊院や町石道の世界遺産エリアとして観光客にアピールし集客を行うなど努力をされておりますが、高野山町石道については、伊都橋本青少年団体連絡協議会の主催で、毎年、高野山参詣登山が行われ、毎回500人以上が参加しています。今回、第26回目の高野山参詣登山は去る5月29日に行われ、晴天の中、世界遺産に登録された町石道約20キロメートルを県外・県内各地から798人が参加し、盛大に行われ、また、県は、1万人の参詣道環境保全運動の1つとして7月4日に開催を予定しております。
 さきにも述べましたが、高野山開創1200年記念大法会の開催もあり、高野山町石道をもっと活用することができないかと考えております。
 そこで、観光振興への取り組みと世界遺産である高野エリアの観光について、商工観光労働部長にお伺いをします。
 最後になりましたが、観光振興には道路が必要不可欠であると考えます。世界遺産である高野山内の高野山バイパスの今後の取り組みについてお尋ねします。
 道路整備も本県の重要課題であり、高速道路を初めとする高規格幹線道路は、広域的な人の流れ、そして物の流れを可能とし、地域の自立に欠くことのできない社会資本であります。
 本県は、東西南北に長く、紀の川を初めとする河川の流域ごとに平野があり、それぞれが山地で分断されているという地理的特性を持っております。それゆえ、幹線道路は、人の交流や経済活動はもとより、救急医療や福祉を支え、災害時の緊急輸送手段としても重要な役割を担うという大変重要なライフラインであるだけでなく、大都市圏の人々に地方の豊かな自然や文化に触れてもらうことによって心のいやしを提供するという、言うならば、まさに命の道であります。
 道づくりに当たっては、経済効率のみで投資効果を判断するのではなく、安心・安全、そして文化といった、私たちの生活の質の向上に資するものでなくてはならないと考えます。
 また、今現在整備を進められています京都、奈良、和歌山を結ぶ京奈和自動車道、関西の大環状道路を形成し、経済活動の活性化に大いに寄与するもので、それと同時に、高野・熊野と京都・奈良の世界遺産とをネットワークで結ぶ歴史文化の道でもあります。
 主なネットワークができ上がってきますが、世界遺産である高野山へは、南海電車からケーブルカーを乗り継いでアクセスできますが、大多数の観光客は、国道370号、480号での来訪が多く、近年の道路網の整備により、大型連休や紅葉シーズンを中心に高野山に向かう道路の渋滞が激しく、山内は著しく混雑しており、交通対策は最重点課題となっております。
 また、通過交通は安全・快適な歩行環境を阻害し、高野山が信仰の聖地、世界遺産として静寂な環境にそぐわない状況に陥っているのではないかと考えます。
 なお、平成27年に開催される高野山開創1200年記念大法会の開催時には多くの人が訪れることが予想され、この時期までに高野龍神スカイラインと国道480号を結ぶ環状道路としての高野山バイパスの整備が必要と考えます。
 そこで、観光振興や世界遺産としての高野山における道路整備と高野山バイパスの今後の取り組みについて、県土整備部長にお伺いしまして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの平越孝哉君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、県立医科大学と附属病院の役割についてでございますが、県立医科大学は、附属病院を擁しまして、医学や保健看護学に関する学術の中心として、基礎的・総合的な知識と高度で専門的な学術を教授・研究し、豊かな人間性と高邁な倫理観に富む資質の高い人材の育成を図るとともに、県民の期待にこたえるべく良質な医療サービスの提供を行っています。
 このように、県立医科大学は県内唯一の医療系大学として、また附属病院は地域医療の中核として、本県医療の発展に貢献するとともに、県民の健康福祉の向上に寄与するという重要な役割を担っているものと考えております。
 次に、県産品の国内外への販路開拓と販売促進でございます。
 活力あふれる元気な和歌山を創造していくためには、本県の豊富で高品質な農林水産物が国内外で積極的に売り出される、売れるようにしなければいけないというふうに考えておりまして、生産者や事業者と連携して全力で取り組んでいるところでございます。
 具体的には、毎年、県農水産物・加工食品の販売促進戦略、通称アクションプログラムを策定いたしまして、トップセールスや国内外の高級百貨店、スーパーなどでの和歌山フェアの開催、御指摘のありましたようなFOODEX JAPANに代表される大型国際食品見本市への出展、商談会の開催、メーカーや外食産業等への食材提供など、和歌山産のブランド力の向上や販売促進に努めているところでございます。
 本年度につきましては、5月下旬から産地と一体となりました梅のプロモーションを集中的に展開しておりまして、7月のシンガポールでの和歌山フェア以降、順次取り組みを進めていく予定でございます。
 また、議員お話しの九度山町などの市町村や生産者団体等においてもさまざまな販路開拓の取り組みが進められているところでございまして、これも応援をしていきたいというふうに思っております。
 そうした県と市町村等との取り組みの相乗効果によりまして、国内外の新たな取引マーケットの拡大、首都圏における本県産果実のシェアの増加、桃、柿、ミカンの輸出量の増加、海外マーケットにおけるあんぽ柿などの加工食品の定着等の成果が徐々にあらわれてきております。
 私は、他県のプロモーションと比べても、和歌山県のこのプロモーションは大変レベルの高いものだというふうに考えておりますが、それによってかなり成果は出てきたものの、まだまだだと思います。特に、もっと多くの方に利用していただいたら、もっともっと多くの成果が出てくるんじゃないか、そういうふうに思いまして、この利用者のすそ野を広げる、そういうこともまた重要かと思います。
 そこで、こういうプロモーションが利用できますという一覧表をつくりまして、農林水産業の方々あるいはその組織の方々、そういう方々に我が県の担当者などがどんどん持っていくということをやっていきたいと考えております。
 最近聞きましたちょっとうれしくなるような話は、この県のプロモーションに参加した福祉施設の方が、これによりまして受注が大いに入ったということで、大わらわで生産してるんだというようなことをお聞きいたしました。大変ありがたいことだと思っております。
 今後も、生産者や事業者とのさらなる連携を図り、着実な販売促進活動を展開するとともに、生産面においても、よいものをつくることが大切でありますので、このよいものをつくるという意味で、農業緊急戦略アクションプログラム、これは生産面も含めてでございますが、こういうものの積極的な取り組みにも努めまして、農家の所得向上につなげてまいりたいと考えております。
○議長(冨安民浩君) 福祉保健部長西上邦雄君。
  〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) まず、地域医療と医師不足につきましては、医師不足の抜本的な解消策といたしまして、和歌山県立医科大学の入学定員を増員しておりますが、その効果があらわれるまでには一定の期間を要することから、即戦力となる医師を確保するためのドクターバンク制度や、不足診療科の医師を確保するための医師確保修学資金制度に取り組むとともに、救急医療また産科医療等を担う医師の定着促進を図るため、当該診療科に従事する医師の処遇改善に取り組む医療機関への支援を実施しているところでございます。
 また、限られた医療資源の中で地域に必要な医療を提供するためには、議員御指摘のとおり、医療機関の機能分担や連携が重要であることから、本年度、地域医療再生基金を活用いたしまして地域の拠点病院や救急告示病院等の機能強化と連携を進めるとともに、地域医師会の協力によりまして、開業医が休日等に拠点病院で診療する病院と診療所の連携をさらに進め、地域医療体制を堅持してまいりたいと考えております。
 次に、橋本保健医療圏と紀北分院についてでございますが、紀北分院は、平成19年1月に策定された紀北分院整備基本計画に基づきまして、内科、小児科などの診療科を設置し、地域医療を分担する病院としてはもとより、大学附属病院として、内科を中心としたチーム医療によります総合診療の充実、整形外科や脳神経外科の専門医等による脊椎・脊髄センター、また麻酔科や神経精神科によります緩和ケアといった新しい取り組みを行うなど、特色のある施設として、本年秋の開院を目指しまして現在整備を進めているところでございます。
 紀北分院は、整備基本計画にありますように、新たな診療体制のもとで、地域全体といたしまして、近隣病院との連携や機能分担により、地域で必要とされる医療サービスの提供に貢献できるものと考えております。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 商工観光労働部長岡本賢司君。
  〔岡本賢司君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本賢司君) 観光振興につきましては、本県経済の活性化につながる主要施策の1つに位置づけ、積極的に取り組んできたところです。
 そうした中、議員提案によります和歌山県観光立県推進条例が本年4月に施行されましたことは、本県の観光振興に非常に心強い推進力になるものと考えております。
 先般、この条例に基づき、和歌山を売り出す、和歌山へ招く、和歌山でもてなすを施策の柱とした和歌山県観光振興実施行動計画を策定したところでございまして、観光関係事業者はもとより、県民の皆さんと一丸となってこの計画を推進し、観光立県和歌山の実現に努めてまいりたいと考えております。
 次に、高野エリアの観光についてですが、議員御指摘のとおり、本県を代表する観光地の1つである高野エリアへの誘客促進は大変重要であり、県といたしましても、国内外メディアへの情報発信や旅行会社への商品造成の働きかけなど、積極的に取り組んでまいりました。
 高野山は、人類共有のかけがえのない財産として認められた世界遺産であり、さらには、ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンにおける三つ星評価の獲得、雑誌等におけるパワースポットとしての露出の増加、平成27年には高野山開創1200年大法会が控えていることなど、国内外から大いに注目を集めているところです。
 また、高野山町石道につきましても、町石道から高野山山上を6回に分けて踏破する旅行商品が新たに販売されるなど、出発地点である慈尊院など周辺地域を含め、そのブランド力が徐々に高まってきております。
 県といたしましては、近年のこうした追い風とも言える状況を十分に生かせるよう、引き続き、地域の皆様を初め関係事業者等と緊密に連携しながら、積極的に高野エリアを売り出してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 高野山バイパスの今後の取り組みについてのお尋ねです。
 高野山内の国道371号、480号については、高野山を訪れる観光客で観光シーズンには著しい交通渋滞が発生しております。また同時に、この道路はX軸ネットワークを形成する県全体の幹線道路でもあることから、山内には直接関係のない車両が通過するなど、高野山にふさわしくない交通環境となっております。また、議員御指摘のように、開創1200年記念大法会に向けてさらに観光客の増加が予想されますことから、その対策が急務となっております。
 そうした中、高野町を初め町議会、商工会など地元関係者を代表する方々から、高野山の静寂な環境の確保、安心・安全なまちづくりのため、平成27年の開創1200年を機に高野山環状道路の整備を求める強い要望をいただき、昨年度に事業化したところです。
 今後、具体的な計画について、町及び地元関係団体等と調整を進めた上で、整備に努めてまいります。
 以上です。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再質問を許します。
 15番平越孝哉君。
○平越孝哉君 1点だけ要望します。
 それは、紀北分院での一般外科を廃止するという基本計画でありますけど、新たな診療体系のもとで、地域全体として、近隣病院との連携や機能分担により医療サービスの提供が可能であるということで、それはできるということでありますけども、実際は、あすなろ会や地域住民の皆さん初め多くの方々は、外科なしで本当に安心して診療が受けられるのかと、また、いろいろな傷病に対して十分に対応してもらえるのかという、本当に心配をしておりますので、外科の廃止について基本計画を再考され、外科の診療を再開されるように特に強く要望して、質問を終わります。
○議長(冨安民浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で平越孝哉君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。
 次に日程第3、議案等の付託について申し上げます。
 議案第84号から議案第99号まで並びに知事専決処分報告報第1号及び報第2号は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。
 なお、常任委員会の会場はお手元に配付しておりますので、御了承願います。
 お諮りいたします。6月18日及び21日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 御異議なしと認めます。よって、6月18日及び21日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、6月22日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時14分散会

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