平成22年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(野見山 海議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後1時0分再開
○議長(冨安民浩君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 45番野見山 海君。
  〔野見山 海君、登壇〕(拍手)
○野見山 海君 それでは、通告に従いまして3点質問をさせていただきます。
 その前に、4月20日に発生した宮崎県内の口蹄疫で、約27万5000頭の処分をするという家畜農家にとっては大きな打撃を受けられ、さらに県内の経済にも大きな影響が出ています。一日も早く終息されることを願うものであります。関係者の皆さんに心よりお見舞い申し上げます。
 また、和歌山県よりいち早く職員を派遣され、対応されたことに心から敬意を表します。
 昨年の8月の総選挙で政権交代が実現し、そして3党連立政権が誕生して、国民の皆さんは国民の目線で政治を期待しましたが、政治と金、沖縄県の基地問題で3党連立政権の枠組みが崩れたことはまことに残念でなりません。
 そして、菅政権が誕生しました。クリーンな政治、経済浮上、雇用創出など、また事業仕分けで見られるように、無駄な財源の見直しに取り組んでいただくことを強く望む一人であります。
 それでは、質問に入らせていただきます。
 文里湾架橋構想についてであります。
 田辺市の文里湾に新しい橋をかけ、田辺市新庄地域の交通渋滞の根本的な解消と観光客誘致、命の道、文里湾架橋構想を提唱させていただき、知事の御所見をお伺いしたいと思います。
 紀南を訪れる方々はよく御存じでしょうが、新庄地域の田鶴というところは、田辺市南から上富田町、白浜町富田、日置方面から国道42号を通り田辺市街地に入る入り口に当たり、ここに白浜から田辺に入る県道南紀白浜空港線、旧有料道路が交差いたします。周辺地域から田辺市街地に通勤する車や、逆に田辺市市街地から周辺地域に出かける車で、朝夕、交通渋滞が慢性化しているところであります。加えて、世界遺産登録以降、増加した観光バスや観光目的の車が渋滞に拍車をかけております。
 こうした渋滞は、生活面での支障にとどまらず、南和歌山医療センターや紀南病院への救急医療の搬送にも大きな影響を及ぼしかねない状況であります。
 私は、こうした状況を根本的に解決するには、文里湾架橋をかけ、田辺市の進入道路のアクセス道路を確保する必要があると考えております。
 文里湾架橋構想は、過去にも行政、商工会議所、地元選出の県会議員などの間で議論され、構想実現へ取り組まれた経緯がございます。
 この構想は、文里湾に海上保安庁の巡視船が係留され、巡視船が行き来するため、橋の高さを巡視船のマスト以上に高くしなければならないという制約がありました。
 当時の案では、新文里港南端から海中高架で高度を上げ、文里湾入り口の外側に橋をかけ、対岸に渡って大きく迂回して、跡之浦地域の住宅街を横切り、神島台の信号に出るというもので、この構想に進展がなく、実現しなかったと聞いております。その当時の事業費は、約130億円と言われています。
 私は、巡視船の係留場所を文里港から新文里港に移せば橋の高度も下げられると考え、海上保安庁へ赴き、検討してもらった結果、海上保安庁としては、巡視船に関しては、設備条件が整えば新文里港に係留場所を移しても構わないとの話でした。巡視船のマスト高の必要性がなくなり、ルートも単純化でき、事業費も安く抑えられると思います。
 昨今の財政事情の中で、すぐに実現できるとは考えておりませんが、田辺市にとって、この架橋の意味するところは大きいものがあると思います。
 新しい湾岸道路が実現しましたら、新庄地域の交通渋滞の解消だけでなく、観光誘致にも大きな役割を果たすことができます。年間300万人の観光客が白浜に来ると言われておりますが、そのまま帰らないで、湾岸道路のルートに乗って扇ヶ浜ビーチや南方熊楠顕彰館、天神崎の田辺市の観光拠点を、また田辺祭、弁慶まつりに訪れることができます。
 あわせて、南和歌山医療センターへの救急車の搬送もスムーズになり、単なる交通渋滞の解消だけではなく、観光や医療面でも、地域振興策として大きな役割が期待できます。
 私が地域を回りますと、住民の皆さんが実現を期待していることを肌で感じました。過去の経緯を踏まえ、文里湾架橋構想につきまして、知事の思いを伺い、加えて、田辺市にお越しのときは一度現地に訪れてほしいと願うものであります。
 続きまして、第70回和歌山国体の取り組みとスポーツ施設の活用についてお伺いいたします。
 先月、第70回和歌山国体の愛称が「紀の国わかやま国体」に、そしてスローガンも「躍動と歓喜、そして絆」と決まりました。国体の愛称が決まったことにより、国体のムードも一段と高まった感じがいたします。
 また、大会の競技別会場となる各市町村別の2次選定もほぼ終わり、あとは各会場の改修計画の立案と具体化が急がれる段階となっております。
 さて、私の住む田辺市も、サッカー、ボクシング、軟式野球、弓道の会場となっております。特に、サッカー、ボクシング会場として予定されている南紀スポーツセンターの改修が大きな課題となっており、地元県会議員ともども、力を合わせてその実現に取り組んでまいったところであります。
 過日、県と田辺市との間で南紀スポーツセンターの改修について話し合いが持たれ、ほぼ計画案がまとまったと伺っておりますが、地元住民としては、具体的などういう青写真を描かれているのか気になるところであります。
 また、南紀スポーツセンターは、サッカーやボクシング会場だけではなく、陸上競技場としても整備されると聞いております。これについては、私は、昨年の2月議会で少なくとも高校生の公認大会が開ける第3種陸上競技場としてほしいと要望いたしました。スポーツ関係者からも、3000メートル障害物競走ができ、電気計時判定システムが配置された陸上競技場としてほしいということです。ぜひとも実現を願うところであります。
 今後、用地買収や着工及び完成時期等のスケジュールについてお伺いいたします。また、完成後の施設の活用についてもお伺いいたします。
 国体用に整備されるスポーツ施設ですが、せっかく立派な施設ができるのでありますから、この施設が地元の活性化に結びついてこそ生きてくるものと思います。地元のスポーツで活性化を図り、青少年の体力向上に役立てることはもちろんですが、高校や大学、社会人スポーツの合宿所として活用し、広く県外からの競技者を誘致する計画を進め、和歌山スポーツ王国を目指してはどうでしょうか。
 私は、ことしの4月、広く県外や韓国からスポーツ選手を受け入れ、スポーツ施設を合宿場として開放している鹿児島県の実情を視察してまいりました。
 鹿児島県では、平成18年度から、スポーツ観光王国かごしま確立事業を立ち上げ、県観光課の中に事務局を設け、市町村や観光協会など、ともに連絡をとりながら県連絡会を組織して、その活動に当たっています。
 合宿誘致対策として、関東、関西、福岡などの旅行エージェントへの働きかけのほか、関西、福岡では、大学生に案内状を送り、合宿セミナーを開き、重点的な誘致活動を展開しております。また、合宿だけではなく、大会誘致、野球、サッカーのプロスポーツのキャンプ場としても誘致活動を進め、観光誘致に力を入れ、幅広い対策をとっているのが特徴でありました。
 この事務局では、2年に1回、「かごしまスポーツ合宿ガイド」を作成し、誘致活動に生かしております。この結果、鹿児島県では、平成16年度には約60万人だった県外からの合宿者が平成20年度には84万人となり、合宿誘致人数は確実にふえております。
 和歌山県国体の愛称に「紀の国」とつけたことには、県民に親しまれるだけでなく、紀の国を全国に発信したいという趣旨が盛り込まれていると思いますが、国体を契機に、その後も合宿誘致活動など通じて、紀の国を全国に発信し続ける必要があろうかと思います。県としてどのような、国体開催後のスポーツ施設活用施策をどうお考えになっているのか、知事にお伺いいたします。
 次に、和歌山県の人口減対策についてお伺いいたします。
 このほど、県の調査統計課から、ことしの4月1日現在の和歌山県人口調査の結果をいただきました。それによりますと、和歌山県の人口減少傾向はとどまることなく、前年度比6282名減少して、ついに100万1515人という100万人割れ寸前まで来たということであります。
 人口動態で見ますと、出生数から死亡数を引いた自然増減はマイナス4288人ということで、平成10年以降、自然減少幅が拡大し続けております。これは、本県が抱えている少子高齢化現象が、そのまま数字にあらわれているものと考えます。
 一方、転入者数から転出者数を引いた社会増減もマイナス1994人で、15年連続し減少傾向が続いており、本県の人口は、自然減と社会減という二重苦にあえいでおります。恐らく、このままいきますと本県の人口が100万人を割るのも時間の問題で、本年度中に100万を割るんではないかと心配をするところであります。
 日本の社会が人口減少に転じたことから、政府は次世代育成支援対策推進法を成立させ、これに基づき本県でも、平成17年度から5年間の和歌山県次世代育成支援行動計画「紀州っ子元気プラン」をまとめられ、また昨年度は、「新紀州っ子元気プラン」とした新たな見直しをしたと聞いております。
 安心して子供の出産から子育てまで幅広く支援していくという取り組みは、単なるスローガンだけではなく、具体的な数値目標を掲げた点が画期的なことで、その姿勢に私も大きな期待を寄せた一人であります。
 県においても、本プランに基づき、子育て環境づくりのため施策に取り組んでこられ、前期計画での目標値を多くの項目で達成できたと伺っております。
 しかしながら、少子化の傾向は依然として改善される状況になく、全国的に見ても、本県においても、出生数は減少の傾向にある状況であります。
 少子化対策については、福祉、医療、教育対策に限らず、企業誘致や雇用、地場産業の育成など広い分野に及ぶものでありますが、その中でも大きなウエートを占める子育て環境づくりの推進に関し、本プランにおいては、どのようなことを課題としてとらえ、今後どのような取り組みを展開していこうと考えておられるのか、福祉保健部長にお伺いいたします。
 また、100万人を切ろうという本県の現状を仁坂知事はどうとらえ、本県の人口減対策をどう進めようとされているのか、お伺いいたしたいと思います。
 以上をもちまして、1回目の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの野見山海君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御提案の文里湾架橋構想についてお答え申し上げます。
 議員の御指摘により、渋滞の解消、それから白浜・田辺の一体性、そういうものが目的であるというお話でございました。
 国道42号線の田鶴交差点における渋滞の緩和につきましては、交差点改良による対策を、現在、国に働きかけているところでございます。さらに、抜本的な対策としては、現在全力で取り組んでいる近畿自動車道紀勢線の田辺から白浜、すさみまでが供用されることで、渋滞のほうは少し解決するものであろうかと考えております。
 その上で、高速道路の供用後の交通状況を勘案し、議員御指摘のように、渋滞や観光振興、救急医療体制の観点から、将来的に検討させていただきたいと考えております。
 続きまして、南紀スポーツセンターでございます。
 南紀スポーツセンターは、国体開催時は競技会場として活用する、これはもちろんでございますが、国体開催後は、御指摘のように、県内外からのスポーツ合宿等を促進するとともに、地元の競技者にも記録会や競技会への活用や、あるいは青少年の宿泊研修等にも幅広く活用、利用を図るなど、紀南地方のスポーツ振興の拠点施設として、地元田辺市とも連携しながら効果的かつ効率的に活用してまいりたいと、そういうふうに思っております。
 次に、和歌山県の人口減対策でございます。
 和歌山県のみならず、全国的な少子化の流れが続いておりますが、本県人口が100万人を切ろうという現状につきましては、本当に残念なことでありますけれども、長年の趨勢を急に変えるということはできませんので、真実を県民に語るという意味で、長期総合計画においても、このことは織り込んでおります。
 しかも、趨勢では実はうんと減るということになりますが、政策や対策を──長期総合計画にあるような対策を総動員して、減り方を少しでも少なくしようということが長期総合計画の目標であります。
 御指摘のように、人口減を食いとめたいというふうに思っておりますけれども、人口増減には社会増減と自然増減があります。
 社会増減は、これは社会減を減らし、何とか歯どめをかける。そういうことは、すなわち働く場所をふやすということだと思います。このため、企業誘致や、あるいは技術開発や販売促進、そういった形での産業振興、それから観光の振興、農林水産業の振興、移住交流の促進、そういうものをすべて、皆このための政策でございます。すなわち、こうして元気な和歌山を実現していくということが社会減を食いとめ、あるいは社会増に転じていくようなきっかけになるんではないかと考えて、全力を尽くしております。
 かつ、自然増減についても、自然増もできるだけ達成していこうということで、子育て環境No.1わかやまの実現を目指すような、子育てと仕事の両立支援等の取り組みとか、そういうことをいろいろと配慮して頑張っているところでございます。
 議員御指摘の人口減対策につきましては、元気な和歌山を創造する上で大変重要な課題あるいは最終的な目標、そういうものと認識しておりますので、これまでの政策の効果を常に検証しながら、いつも一番効果的な施策について全庁挙げて検討してまいりたい、そんなふうに考えております。
○議長(冨安民浩君) 商工観光労働部長岡本賢司君。
  〔岡本賢司君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本賢司君) スポーツ合宿誘致についてお答えいたします。
 リピート性や長期滞在の可能性が高いスポーツ合宿を誘致することは、スポーツ施設や宿泊施設の利用促進が図られ、観光の振興や地域の活性化に結びつくものであり、非常に重要であります。
 このことから、本県におきましても、スポーツ施設や宿泊施設の情報を掲載した「スポーツ王国わかやま合宿ガイド」やそのホームページを作成し、旅行会社やマスコミ、大学やスポーツ競技団体等へのプロモーションを積極的に展開しているところです。
 紀の国わかやま国体の開催を5年後に控え、各スポーツ施設の新設や改修が予定されておりますが、南紀スポーツセンターを初め、これらの充実した施設を有効に活用するスポーツ合宿の誘致に向け、教育委員会や市町村、競技団体等との連携を強化し、さらに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(冨安民浩君) 福祉保健部長西上邦雄君。
  〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) 紀州っ子元気プランについてでございますが、議員の御質問にございましたように、昨年度、前期計画の成果や子育て環境の変化を踏まえまして、平成26年度までを目標年次とする後期計画として見直したところです。
 当該計画の見直しの中で、特に配慮が必要ということで御意見をいただいたのは、出産後も就労を希望する女性の増加、子育て家庭の経済的な負担感の増加、そして子育て家庭の孤立化などといった点でありました。
 子育て支援のための事業は着実に進んでいるとはいえ、子育て環境については、まだまだレベルの高いものを目指さなければならないと考えております。そういった意味からも、ワーク・ライフ・バランスの推進や地域の子育て力を高める事業などの施策を一層強く推し進めてまいります。
 議員の御指摘のとおり、少子化対策はさまざまな分野に関連いたしますので、子育て環境の整備だけではどれほどの成果につながるか明確ではありませんが、核家族化の進展や仕事を持つ女性の増加などを考えれば、社会全体で子育て家庭を支援するという視点は欠くことのできないものとなっております。
 今後とも、行政のみならず、企業や教育機関、民間団体等とも連携をしながら子育て環境を整備し、本県の少子化対策、人口減対策の一翼を担ってまいりたいと考えております。
○議長(冨安民浩君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 南紀スポーツセンターの改修についてお答えいたします。
 南紀スポーツセンターは、サッカー、ボクシング競技の国体会場に選定されてございます。
 陸上競技場は、現在6レーンの土の走路でございまして、国体開催後の南紀のスポーツ振興を考慮し、日本陸連公認の第3種陸上競技場として8レーンの全天候に対応した走路とし、体育館は、ボクシングの国体基準であります1400平米以上のアリーナを計画しております。
 また、管理棟、宿泊棟などの施設につきましては、体育館との効率的な整備を行いたいと考えております。
 なお、今後のスケジュールにつきましては、国体開催に間に合うのはもちろんのこと、少しでも早く整備をし、本県競技者の競技力の向上に寄与したいと考えてございます。
 以上です。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再質問を許します。
 45番野見山 海君。
○野見山 海君 答弁ありがとうございました。
 第1点の文里湾架橋構想については、なかなか今すぐというわけにはいきませんが、私が言いたいのは、あの地域の市町村をひっくるめた観光誘致をするためにも、あの湾岸道路が必要じゃないかと。白浜の300万来るお客さんを田辺に呼び込むということも、本当に今、問われている課題ではないかと思います。
 昨年、扇ヶ浜の海水浴場が11万5000人、その前は5万人、倍以上にふえたような状況であります。そういった意味から、白浜からすぐ田辺の海水浴場を利用できるような形をつくることも大事ではないかと思います。
 もう1点は、南和歌山医療センターは、脳外科の診療科がありまして、一刻を争う手術をするためにも、患者の搬送は大切ではないかと思います。そういった意味で、命の道の道路整備がぜひ必要だと私は考えますので、そこらを今後の1つの課題として御検討していただきますことを強く要望しておきたいと思います。
 もう1点は、南紀スポーツセンターの整備については、県、市の関係者が議論なされ、大きく前進していることに感謝を申し上げます。一日も早い事業化、完成のために、私なりに地権者の皆さんに協力を呼びかけてまいりたいと思いますので、ぜひとも力を出し切っていただくことをお願いして、要望にかえさせていただきます。
○議長(冨安民浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で野見山海君の質問が終了いたしました。

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