平成22年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(谷 洋一議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 14番谷 洋一君。
  〔谷 洋一君、登壇〕(拍手)
○谷 洋一君 おはようございます。
 平成22年度6月定例会一般質問の機会を与えていただきましたことに感謝を申し上げます。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 先般、知事が上京し、平成23年度の国の施策及び予算に関する和歌山県の提案を、県選出の国会議員及び関係者に対し行われたということですが、その内容につきましては、我々自由民主党県議団も事前に説明を受け、既に了解をいたしております。それゆえ、知事が国等に対して行う提案活動に対しましては、我々も積極的に支援してまいりたいと考えております。
 提案項目は37項目あり、そのすべてが本県にとって重要なのは十分認識しておりますが、今回はその提案内容の中から、特に3項目に絞って質問をさせていただきます。
 質問の前に、1点お願いをしておきます。
 一般質問の初日に、同僚である花田議員が近畿自動車道紀勢線の整備促進と公共事業についてという質問をされ、知事は、県としての今後の対応と決意を述べられました。
 私も、ことしの2月議会の予算特別委員会において近畿自動車道紀勢線田辺─すさみ間の整備の見通しについてを質問し、知事から誠意ある答弁をいただきました。
 知事も、さまざまな機会をとらえて、国が責任を持つべき道路の整備について、国などに対し和歌山の立場から直言していただいていることは十分承知をしております。
 知事が、近畿自動車道紀勢線の整備について常々言っている、これまで高速道路を初めとする幹線道路網は都市部から優先的に整備され、本県はいまだ高速道路の空白地である、高速道路を初めとする幹線道路網の形成は、企業誘致や観光振興、農林水産業の振興等、県民の将来のチャンスを保障するもの、東南海・南海地震への備えや高次医療施設への救急搬送時間の短縮の急務などは全くそのとおりであり、異論のないところでありますが、国はこのことをどのように受けとめているのでしょうか。新しい内閣が先週発足いたしましたが、地方の基幹道路の整備について、どのような対応をするのでしょうか。
 3月には、国として、社会資本整備の財源を2割削減するという方針が出されましたが、これにより、近畿自動車道紀勢線、京奈和自動車道を初めとする本県の基幹道路の整備に大きな影響があると考えます。平成27年の国体開催に向けて県としての適切な対応をしていただくよう、知事に重ねてお願いをいたします。
 それでは、まず最初に関西国際空港の機能強化についてお伺いをいたします。
 関西国際空港については、伊丹空港の騒音問題の抜本的な解決を図るため、昭和43年に運輸省が調査を開始し、当初の神戸沖案については、神戸市議会及び神戸市長が建設を反対したことにより、昭和49年、航空審議会が、大阪国際空港の廃止を前提として、その位置を大阪湾南東部の泉州沖の海上と答申して建設を行い、最初に話が出てから4半世紀の長い歳月をかけて、やっと建設された空港であります。国策として、また国主導でつくった空港であります。
 当初、泉州沖ということについては加太地区などの地元の反対はありましたが、和歌山県の調整により、和歌山県、大阪府、兵庫県による基本的な合意がされ、大変な苦労の末、動き出したものであります。また、我々も伊丹空港の廃止が前提であるとの認識のもとに新空港の建設に協力したにもかかわらず、伊丹空港の存続が平成2年に決定されたという経緯があります。
 大変な難産の末、海上空港として開港した我が国初の旅客・貨物の24時間運航可能な関西国際空港に一番機が飛来しましたのは、平成6年9月4日のことであります。
 和歌山市の北20キロの至近距離に位置し、和歌山県が大変な汗をかき開港実現に至ったという意味では、まさに和歌山の空港であります。当時は、これによりやっと念願の国土軸への直結、さらには国際軸への直結が図られ、県及び関西浮揚の中核となる国際拠点空港として発展することが期待できると将来の夢を描いていたところですが、現状は、開港当初の期待に十分こたえる姿には至っておりません。
 航空ネットワークを見ますと、国内旅行便では、一昨年4月には16都市へ就航していましたが、ことし4月には7都市に減っております。また、国際線旅客便についても、中国を初めとするアジア方面は伸びていますが、6月7日の新聞報道によりますと、アメリカ本土への就航は、関西─シアトル便が9年ぶりに復活し、サンフランシスコと合わせてわずか2都市になったということであります。これだけ見れば、このことだけに限ればうれしいことですが、ピーク時から見ますと大変寂しい感じがいたします。
 こういった中、国土交通省は、国家戦略として、本年10月には羽田空港の国際線の発着枠を6万回、平成25年までにさらに3万回増加させ、国際線網の充実と国内線と国際線の乗り継ぎ利便性の向上を図っていくと聞いておりますが、このような羽田空港の機能強化は、関西国際空港の国際線ネットワークに影響を与えるのではないかと懸念しております。
 また、昨年は、関空会社への政府補給金が、行政刷新会議の事業仕分けにより、伊丹空港を含めた抜本的解決策が得られるまでは政府補給金を凍結と評決されました。直ちに県議会は、12月定例会で「関西国際空港に係る平成22年度補給金の凍結解除を求める意見書」を議決し、これを政府に提出し、撤回を求めました。政府補給金は、75億円で予算化されたものの、その執行も凍結されました。ようやく今月3日に執行凍結は解除されたとのことですが、こういった政府の対応は、関西国際空港の重要性を考えますと大変遺憾であります。
 一方、近隣諸国に目を向けますと、関西国際空港より後に開港した上海浦東国際空港や韓国・仁川国際空港などは、国家戦略により、競争力のある着陸料の設定や都市部へのアクセス交通の整備などにより、アジアのハブ空港へと成長しております。このままではアジアの空港との差は広がるばかりであり、私は、現在の関西国際空港のありように非常に危機感を抱いており、関西国際空港の強化に政府がもっと積極的に取り組むべきだと考えております。
 議会初日に知事から国土交通省が関空のバランスシート改善の方向性を打ち出したとの説明がありましたが、関西国際空港の機能強化について知事はどう考えているのか、御所見をお伺いいたします。
 次に、東南海・南海地震対策の推進についてお伺いします。
 我が国最大の半島である紀伊半島に位置する和歌山県は、リアス式の海岸線が約650キロメートルに及ぶなど、美しい自然を有している反面、常に自然災害の脅威にさらされております。実際、大型台風や集中豪雨による風水害や土砂災害が毎年のように発生しております。
 自然災害のうちでも、特に東海、東南海・南海地震の発生について、今世紀前半に発生する可能性が極めて高いと言われており、その対策は喫緊の課題であります。東海地震では、予知体制が確立しており、予知を前提とした体制整備を行っていると聞いております。これに対して、東南海・南海地震では、予知体制を確立し、東海地震と同様の体制整備を行う予定はあるのでしょうか。予定があるとすれば、そのスケジュールはどうなっているのでしょうか。
 また、国の大規模地震対策としては、東海、東南海・南海、日本海溝、首都直下の4つがあり、現在、国が東海、東南海・南海地震が一度に発生した場合の対策について検討中であるとのことです。東南海・南海地震については、国で応急対策活動要領が策定され、本県でも和歌山県地域防災計画に基づき、地震の発生に備えております。
 大規模災害発生時には、県だけで対策を行うことは無理であります。県民の生命、財産を守る観点からも、活動要領の示すとおり、自衛隊を初めとした国の機関の支援を迅速かつ的確に受けることが肝要であります。
 そのためには、日ごろから国と県が連携し、災害が起こったときに計画どおりの支援が行えるかどうかの検証をしておく必要があります。東南海・南海地震に備え、国と連携した訓練の取り組み状況はどうなっているのでしょうか。また、東海・東南海・南海地震の3連動に対する本県の対策はどうなっているのでしょうか。
 以上のことについて、危機管理監にお伺いいたします。
 万が一、大規模地震等の災害が発生してしまった場合、紀南地方の海岸べりに住んでいる者として心配しているのは、それらの事態に対応できる基盤整備がきちんとできているかどうかということです。
 例えば、交通が遮断されて、空からの救援または海からの救援に頼らなければならない事態が生じたときに、その事態に対応する基盤整備は十分にできているのかどうか。特に、港湾、漁港、堤防等の整備について耐震、津波等への対応が十分できているかどうかについて、当局の答弁は今回は求めませんけれども、国、県として確実かつ的確に対応していただくよう要望をさせていただきます。
 次に、携帯電話エリア整備の推進についてお伺いします。
 携帯電話の契約者数は、平成19年には1億回線を超え、直近の本年5月末現在では1億1318万500回線と、増加の一途をたどっております。また、通話だけでなく、インターネット接続や電子メールなど端末の進化も目覚ましいところであります。その結果、今では携帯電話は最もよく利用される通信手段となり、私たちが快適で安心・安全な生活を送るために必要不可欠なものとなっています。
 しかしながら、和歌山県は山間部が多く、いまだに携帯電話のつながらない地区があります。特に、紀南に住んでいる者として、紀南には携帯電話が通じない地域がまだまだたくさんあると感じています。最近まで私の家でも携帯電話はつながりませんでしたし、特に古座川町ではいまだにつながっていない集落が多くあり、住民の方々から切実な要望をよく耳にします。県民生活の利便性の向上という意味で携帯電話エリア整備は非常に重要なテーマであり、携帯電話は、もはや我々の生活に欠かせないものとなっております。
 そこで、県内の携帯電話エリア整備の現状と今後の整備について、県の見解を企画部長にお伺いいたします。
 最後に、情報関連で1点だけ要望しておきます。
 ラジオの難聴対策についてであります。
 自宅から和歌山に来る際に、国道42号を車で走って私はいつも思うのですが、白浜町の手前までは、串本町の市街地等を除き、ラジオをクリアに聞くことができません。白浜町に近くなって、やっとよく聞こえるようになります。また、古座川町の奥のほうや那智勝浦町色川地区など、ラジオが聞きづらい地域が東牟婁郡内、また紀南にはまだまだ多くあります。
 大規模災害のときだけでなく、災害でない停電時においては、ラジオからの情報は欠かすことのできないものです。大規模災害発生時に孤立集落の通信を確保するために無線機、衛星携帯電話を配備していることは非常にありがたいことですが、現況のラジオの難聴対策についても、住民生活に必要不可欠という観点から県として積極的に対応されるよう要望をして、私の一般質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの谷洋一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 関西国際空港は、24時間運用が可能でありまして、十分な潜在力を有しているにもかかわらず、その能力を発揮できていない。その原因の多くは、1兆円を超える有利子負債のために関西国際空港株式会社の経営が縛られ、高い着陸料など航空会社にとってコストが高くつく、そういう空港になっているということに1つはあると思います。
 この問題の解決策については、先般、国土交通省の成長戦略会議の中で、関西国際空港と伊丹空港の経営統合などにより関西国際空港株式会社のバランスシート、すなわち端的に言いますと、1兆円を超える有利子負債を改善しようという方向性が打ち出されました。さらに、この中で、関西国際空港を首都圏空港と並ぶ国際拠点空港として再生する必要があるとの認識も示されております。
 それならば、やることは2つございまして、1つは財務体質を改善するということで、方向性が出たということは評価したいと考えております。
 もう1つは、ハブ空港に必要なスポークス、すなわち十分な数の国内便と、それから近隣諸外国への便、こういうものを確保できるような、そういうハブ空港が発展するハブ空港だと思うわけであります。その努力もせにゃいかんと思います。
 私は、関西の発展のためには、ハブ空港がどうしても1つ関西に必要であり、ハブ空港になり得るのは、だれが考えても関西国際空港においてほかはないわけであります。
 このため、伊丹空港が不便になるということを我慢してでも、関西国際空港をみんなで盛り立てなきゃいけない、その必要があると、これまで国に対しても、また近隣の各県の人に対しても、とりわけ関西3空港懇談会などでも常々訴えてまいりました。
 これからも、国の戦略として関西国際空港を首都圏空港と並ぶ国際ハブ空港に発展させるよう、あらゆる機会をとらえて粘り強く訴えてまいりたいと、そんなふうに考えております。
○副議長(坂本 登君) 危機管理監前硲健作君。
  〔前硲健作君、登壇〕
○危機管理監(前硲健作君) 東南海・南海地震対策の推進についてお答えいたします。
 まず、予知体制の確立についてでございますが、現在、東南海・南海地震想定震源域におきまして、文部科学省、それから独立行政法人海洋研究開発機構による、海底における地震・津波監視観測システムの整備が進められております。
 三重県尾鷲市沖の東南海地震想定震源域での整備が完成に近づき、これまで県から要望しておりました南海地震の想定震源域である和歌山県沖での整備が、本年度から着手されることとなっております。
 県としても、このような監視観測システムは将来の予知体制の確立につながるものと大いに期待しており、早期の監視観測システム完成とあわせ、予知体制の確立についても、引き続き国に要望して働きかけてまいります。
 また、災害時に国や県、市町村が有効な対策を実施するためには、議員御指摘のとおり、常日ごろから訓練を行い、計画の実効性について、きちんと検証を行う必要がございます。
 県では、毎年、防災総合訓練を実施しており、訓練には陸上自衛隊や海上保安庁など国の機関にも参加をいただき、実際の災害に備えた連携を図っております。
 昨年9月、自衛隊が行った東南海・南海地震への対処訓練では、県もあわせて図上訓練を実施したところでございます。
 また、東南海・南海地震対策としては、現在、国に対して、大阪に設置される予定の緊急現地災害対策本部との連携強化のための訓練実施を働きかけており、今後も国と連携したさまざまな訓練を実施したいと考えております。
 また、国の東南海・南海地震の大綱は、平成15年12月にできたものであり、策定当時から東海地震との連動のおそれが指摘されております。県といたしましても、この3連動の脅威に対応すべきと考え、国に対して、これに対応する新たな大綱の早期策定について提案を行ったところでございます。
 今後も、国及び防災関係機関と課題の検証、訓練等に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○副議長(坂本 登君) 企画部長柏原康文君。
  〔柏原康文君、登壇〕
○企画部長(柏原康文君) 携帯電話エリア整備の推進についての御質問にお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、本県には山間部を中心に携帯電話を利用できない不感地区が残っており、その解消が課題となっています。そのため、県では平成19年3月に「携帯電話つながるプラン」を策定し、県内の不感地区解消に積極的に取り組んでまいりました。
 その結果、平成19年度から平成21年度末までの3カ年で県内123カ所において不感地区を解消し、県内における携帯電話の人口カバー率は99.8%に達するに至りました。しかし、依然として不感地区は91カ所残っており、約1800人の住民が携帯電話のエリア外に居住しています。
 今議会において、このうち3カ所の整備のための補正予算をお願いしているところでございますが、残された地域は、1カ所当たり人口も平均20名と極めて少ないことに加え、鉄塔から交換局までの光ファイバーの距離が長くなり、その維持費がかさむことから、携帯電話事業者にとって進出が困難な地域となっています。
 そこで、県では、本年度の政府提案において、不感解消の最大の障害となっている光ファイバーの維持費に対する国の支援制度の拡充を強く要望してきたところでございます。
 今後とも、市町村とともに携帯電話事業者に対しても進出を強く働きかけながら、残された不感地区の解消に取り組んでまいります。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再質問を許します。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 以上で、谷洋一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時19分休憩
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