平成22年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(奥村規子議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 40番奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 議長のお許しを得ましたので、通告に従って一般質問をさせていただきます。
 まず最初に、障害者自立支援法についてお伺いいたします。
 障害者自立支援法は、2006年4月に施行されました。施行の背景には、国は、それまでの障害保健福祉施策では身体・知的・精神障害といった障害種別等によって異なる福祉サービスや公費負担医療の利用の仕組みや内容などを一元的なものとすることや、その利用の増加に対応できるように、制度をより安定的かつ効率的なものとすることが求められてきているということから、2006年10月には全面施行されました。
 支援法の目的は、障害者や障害児がその有する能力と適性に応じ、自立した日常生活または社会生活を営むことができるよう、必要な障害福祉サービスにかかわる給付その他の支援を行うことにより障害者や障害児の福祉の増進を図り、障害の有無にかかわらず、国民が相互に人格と個性を尊重し、安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与するとなっています。
 しかし、現実的には、障害が重ければ重いほど利用者の負担がふえるというものになっています。自立支援法施行前より多くの障害者や関係団体からこの法律の廃案を求める声が上げられていました。施行後も、福祉や医療サービスを受けた障害者に利用料の負担を強いる支援法の抜本的見直しや廃止を求める声が広がり続け、大きな運動に発展してきました。そして、自立支援法の応益負担は法のもとの平等などを定めた憲法に反するとして、2008年10月31日、全国8地裁に一斉提訴され、翌年2009年4月1日には和歌山を含め10地裁、その後も提訴があり、原告71名、14地裁に裁判を起こしました。被告は国及び住んでいる自治体になっています。
 このような中で、厚生労働省は本年1月に、支援法を廃止して2013年8月までに新法を制定することなどについて基本合意を交わしました。基本合意の中身は、憲法13条、14条、25条の理念に基づき、違憲訴訟を提訴した原告らの思いに共感するというものです。そして、自立支援法を障害者の意見を十分に踏まえず施行し応益負担を導入したことにより、多大な混乱と生活への悪影響を招き、障害者への人間としての尊厳を深く傷つけたことに対し、原告らを初めとする障害者及びその家族に心から反省の意を表明するというものでした。
 今後、新たな総合的な福祉制度を制定するに当たっては、障害者の参画のもとで十分な議論を行うと約束しました。私も和歌山地裁に傍聴に行き、そのときの原告の意見陳述を聞きました。
 ここで、皆さんにも聞いていただきたいと思います。原告の意見陳述を御紹介したいと思います。「障害者自立支援法は、支援費制度が始まってすぐ後に国が財政難でお金が足りなくなったと言い出して、障害者の声をほとんど聞かずにつくった法律です。成立前からさまざまな問題点が指摘されていて、僕たちも、これから生活は一体どうなるのだろうという不安でいっぱいでした。法律ができる前から、全国各地の仲間たちが国会や厚生労働省に何度も足を運び、反対の声を上げてきました。中でも応益負担、支給量、施設報酬の日割りの問題などは深刻で、全国の実態を知れば知るほど恐ろしくなりました。 応益負担や支給量では、生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされた方々も多くいます。自立支援法になり、障害年金だけで生活している人でも、介護を受けると毎月1万5000円とか2万5000円というお金を払わなければならなくなりました。しかも、障害が重ければ重いほど負担が大きくなります。僕の周りにも、自立支援法になってから生活がとても苦しくなり、必要な介護を受けられなくなった方がいます。僕は自立支援センターの代表を務めていて収入があるため、月3万5000円以上も負担していました。これではとても生活が成り立ちませんでした」。
 今の制度では、私は、働いても働いても生活が成り立たないということが改めて裁判の中で明らかになったのではないかと思いました。
 彼はまた、このようにも言っています。「サービス、支給量の問題は地域生活において大きな問題です。支援費制度のころは、今よりは1人1人のニーズに応じて支給量を認めてくれていたと思います。しかし、自立支援法になり、障害者を障害程度区分ごとに機械的に分けられ、サービス、支給量もそれによって決められてしまうようになりました。個人のニーズはどこに行ってしまったのかと疑問だらけでした。どこでだれとどんな生活を送りたいのかという当事者の希望やニーズを無視した法律を許すことはどうしてもできませんでした。そこで、僕はこの裁判に加わることにしました。 和歌山での提訴から丸1年がたちました。全国で一緒に闘っている仲間たちや弁護士の方々、この裁判を応援してくださっているめざす会や関係者の方々の御支援があったおかげで、ここまでやってくることができました。ありがとうございました。その間にも政権が交代し、障害者福祉にも明るい未来が見えてきました。自立支援法を廃止し、4年後には新法をつくるという長妻厚生労働大臣の力強い言葉があり、期待と希望を胸に、仲間たちみんなで喜び合いました。 ことし1月7日には国と基本合意を結ぶことができました。それによって、4月からは低所得の方の利用者負担がゼロになります。この裁判も国や和歌山市と和解できることになりました。今、国では障がい者制度改革推進会議が開かれています。どんな新法になるのか注目し、全国各地からの当事者の声を反映させていきたいです。また、一緒に裁判を闘ってきた全国の原告らと国とで話し合う検証会議に僕も参加して、どんどん意見を述べていきたいです。何より先に、障害者1人1人が夢と希望を持ち、幸せに伸び伸びと自由に暮らせる社会をつくらなければいけません。僕もそのために力を入れていきたいと思います」と結んでいます。これは彼一人だけの気持ちではないことが痛いほどわかりました。
 私の姉も障害がありました。姉が亡くなった後、母は次第にパーキンソン病の症状が進行し、自分では全く身動きできない状態になってしまいました。母は口癖のようにいつも「姉を置いては安心して死ねない」と言っています。心安らぐ日はないと思います。私も、一日も早く、障害があっても普通に安心して暮らせるような法制度の確立を強く願わざるを得ません。
 そこで、知事にお尋ねします。
 知事は障害者自立支援法違憲和歌山訴訟での和解をどのように受けとめられていますか。
 また、現在内閣府に置かれた障がい者制度改革推進会議では、当事者参加のもとで新しい法律づくりや新法制定までの当面の課題など論議が進められていたにもかかわらず、突然そうした動きを全く無視し、与党の民主党は自民、公明両党とともに、根本的には応益負担を残したまま自立支援法改正案を国会に提出、成立させようとしていることに非常に憤りを覚えるものです。関係団体の方も抗議の声を上げています。
 そこで、和歌山県知事としてもぜひ基本合意の内容を生かした新法づくりをするように国に求めていただきたく思いますが、いかがでしょうか。
 また、次の2点については福祉保健部長にお尋ねしたいと思います。
 1点目は自立支援医療についてです。
 障害者医療費公費負担は、育成医療、更生医療、精神通院医療が統合され、対象者は今までの制度に準じたものが自立支援医療に変更されました。自己負担は、1割負担と入院した場合の食費が要ります。国は本年4月から低所得者の福祉施策の利用者負担は無料としましたが、医療施策については自己負担の上限額があるものの、低所得者にとっては厳しい状況です。障害者にとって医療は命綱とも言うべきものであり、本来は無料にすべきではないでしょうか。
 2点目は、地域生活支援事業について福祉保健部長にお尋ねします。
 地域生活支援事業は、地域の特性や利用者の状況に応じて市区町村や都道府県が柔軟に行う事業とされており、内容についても市区町村ごとで決めることになっているものです。特に移動支援への要望が強く聞かれます。幅広く社会活動に参加するためにも、本人の希望に沿って移動の保障をすべきだと考えます。
 2006年12月に採択された国連障害者の権利条約は、障害のある人の基本的人権を促進・保護すること、固有の尊厳の尊重を促進することを目的とする国際的原則です。その中にも、第20条には個人的な移動を容易にすることとうたわれています。どこに住んでいても十分な支援を受けられることが必要です。特に福祉保健部長に各市町村の移動支援事業の状況についてお尋ねいたします。
 2項目めは介護保険制度についてお尋ねします。4点にわたってお聞きしたいと思います。
 2000年4月に介護保険制度がスタートし、丸10年がたちました。制度が発足した背景は、90年代に入って介護地獄や老老介護など、悲惨な事件が各地で起こり、家族介護の困難さと限界がだれの目にも明らかとなって、介護が社会問題となって本制度が誕生したと思います。この間、介護の社会化が進んだと言えるかどうかです。
 私は、介護が商品化、営利化されていることがますます明らかになってきているように思います。高齢者にかかわる人がふえた点では一定評価することができますが、ホテルコストや自費の領域が拡大し、お金がなければ必要なサービスも利用できず、結果的には家族介護に頼らざるを得ない事態も広がっているように思います。
 3日前の13日、兵庫県で介護心中の記事が載っていました。介護の社会化がまだまだ進んでいないのではないでしょうか。だれもが安心して老後を過ごせるような介護保障になっているかという点で、知事はどのように感じておられるかお聞かせください。
 次に、福祉保健部長にお尋ねします。
 あるケアマネジャーの方は、介護の現場では介護の必要性よりも先に費用負担能力から逆算することが常態化していると言っています。所得の少ない人がサービスを受けられないということでは、安心した老後を送ることができません。保険料の減免を広げ、利用料の減免制度をつくる必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 また、介護保険は当初、サービスを選択できる制度と宣伝されていましたが、現実は保険あって介護なしという状況を目の当たりにします。特に、和歌山県のような山間地の多いところでは、そもそもサービスが提供できないといった地域もあるのではないかと思います。ある地域では、訪問介護や訪問看護も来てもらえず、保険料だけ払っているということになっています。また、別の地域では、介護タクシーを頼めず、1時間以上歩いてやっと医療機関にたどり着き、先生から「よく歩いてきたな。心筋梗塞を起こしている」と言われ、びっくりしたという話を聞きました。このようなことから、サービス提供の地域格差が著しいのではないかと考えますが、現状と自治体の責任をどのようにお考えでしょうか。
 次に、人材確保の問題についてお尋ねします。
 介護現場の人材不足は周知のことですが、この間、県としても対策がとられてきました。根本的には介護労働者の労働条件の改善を進めていくことだと考えますが、現時点での人材確保状況と処遇改善の対策の効果と評価についてお答えください。
 以上は、福祉保健部長にお尋ねいたします。
 次に、3項目めはワクチンの定期接種についてお聞きいたします。
 細菌性髄膜炎に毎年約1000人の子供たちがかかっていると言われています。細菌性髄膜炎の原因となる細菌の60%がヒブで──ヒブというのはヘモフィルスインフルエンザb型のことですが──25%が肺炎球菌と言われています。死亡率は約5%、25%の子供は知的な障害や麻痺などの後遺症に悩まされます。
 世界保健機構は1998年に、すべての国に対して乳幼児へのヒブワクチン接種を勧告しています。4回の接種費用が計約3万円となり、家計を非常に圧迫する値段です。お金がないということで接種せず、命を落とすことがあってはなりません。子供は社会の宝、子供の命を守るのは政治の責任です。医師の立場からも、ワクチンの定期接種化は小児救急医療の現場の負担軽減にも有効だと言われています。
 以前、私の身近なところでも子供が細菌性髄膜炎にかかり、一時危険な状態から一命を取りとめるということがありました。高熱が続き、病気と闘っている幼い子供のそばで生きた心地がしなかったと言われています。私を含め周囲も、そのときは祈ることしかできませんでした。回復したその後も、成長過程の中で何かあれば、病気が原因ではないか、後遺症ではないかと考えてしまうと言います。一刻も早く安心して子育てができるようにしなければならないと思います。
 20代女性では発症率が一番高い子宮頸がんも、ワクチンの接種によりほぼ予防できる病気と聞いています。安心の子育て環境をつくる上でも、ヒブ、肺炎球菌、子宮頸がんの3種のワクチンについて一日も早く定期接種化を望むものです。福祉保健部長、いかがお考えでしょうか、お答えください。
 最後の4項目めは、防災について2点お伺いします。
 昨年11月11日未明、和歌山市を中心に紀北地方に観測史上最大の雨量が記録されたことは記憶に新しいことだと思います。ことしも梅雨の時期に入ってきましたが、被害に遭われた方から不安の声も聞かれます。「集中豪雨で工場の機械がだめになった」、「同じ年に2回も車がつかり、2度目は保険がきかなかった」、「側溝に木の葉や木の枝、ごみが詰まり、お店にも水が入ってきた」など、営業にも随分被害がありました。12月議会でも藤井議員が質問していましたが、再度被災状況をお聞きし、これからも想定外の事態が起こり得るということから、教訓をどのように考えているのか、危機管理監にお尋ねいたします。
 また、災害に備えて、移動の困難な人への支援について福祉保健部長にお伺いいたします。
 移動が困難な人というと、年齢や障害の程度、部位など個々人それぞれさまざまな状態にあり、朝方、昼間、夜間の時間帯や停電時、また災害の種類、強さによっても避難支援の仕方が違ってきます。コミュニケーションがとれずパニックに陥ることも推測できます。ある団体では、阪神大震災をきっかけに「障害者市民防災提言集」をつくり、震災を教訓に、障害者が被災した際の負担軽減について話し合っているということです。県としてはどのような取り組みを考えられていますか、福祉保健部長にお尋ねをして、1回目の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの奥村規子君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、障害者自立支援法についてでございますが、障害者自立支援法違憲訴訟は、本年1月7日に原告団と国との間で調印された基本合意文書を前提に、和歌山地方裁判所で4月9日に和解が成立するなど、4月までに全国で和解が成立したと聞いております。
 現在、国において自立支援法にかわる新たな障害者福祉制度の検討が進められていますけれども、検討に当たっては基本合意文書の趣旨を尊重し、応益負担から応能負担への変更など、障害のある方の立場に立ったサービスが地域で安定して提供される制度となるように障害のある方の御意見を十分踏まえていただくことが重要であると考えております。
 県といたしましては、国における検討の状況を注視しながら、新しい制度が障害のある方にとってよりよい制度となるように、他の都道府県とも連携し、国に対して働きかけてまいりたいと思います。
 次に、介護保険の制度でございます。
 介護保険法が施行されて10年が経過いたしました。サービスの利用者が大幅に増加していることなどから、高齢者の介護を社会全体で支える仕組みという形では、かなり定着してきたものと認識しております。一方、今後ますます少子高齢化が進む中で、このまま介護保険制度を維持していけるのか不安を感じているところであります。
 議員御提案の、だれもが安心して老後を過ごせるような介護保険制度を実現するためには、制度を持続可能なものにすることが大きな課題であると考えます。そのためにはしっかりとした財源が必要でございますが、その財源の確保のため、税や保険料を含めた制度全体の構造をどういうふうにするのかということが改めて問われていると認識しております。
 国においては、先月末から社会保障制度審議会介護保険部会において制度見直しの議論が始まったところでありまして、県としてもこの議論を注視するとともに、機会をとらえて必要な要望を行ってまいりたいと考えております。
○副議長(坂本 登君) 福祉保健部長西上邦雄君。
  〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) 自立支援医療の住民税非課税世帯の無料化についてお答えを申し上げます。
 障害者自立支援法違憲訴訟の原告団と国との間で取り交わされました基本合意文書におきまして、自立支援医療に係る利用者負担の措置については、当面の重要な課題とすることとされてございます。この基本合意の際に国にあわせて提出されました要望書におきましては、緊急に非課税世帯での無償化が実施されることとされてございます。
 また、今国会におきましては、自立支援医療の自己負担につきまして、法律上、負担能力に応じた負担、いわゆる応能負担が原則であることを明確化するための規定の見直しをする改正法案が提出されているところでございます。
 県といたしましては、このような状況を踏まえまして、国会の審議の状況を注視し、今後の国の動向を見守ってまいりたいと、このように考えてございます。
 次に、各市町村での地域生活支援事業の移動支援事業についてお答えを申し上げます。
 地域生活支援事業は、障害者自立支援法の施行により実施されている事業でありますが、全国統一の基準ではなく、地域の実情に合わせた柔軟な事業実施によりまして障害者の方々の地域での生活を支援する事業でございます。その事業の実施方法、また利用者負担等は市町村の主体的な判断に任されているところでございます。
 そのうち、議員御質問の移動支援事業につきましては必須事業とされてございまして、県内すべての市町村で事業化をされてございます。また、本年4月からは、市町村民税非課税世帯について介護給付費及び補装具等に係る自己負担額が無料となったことに伴いまして、地域生活支援事業におきましても県内すべての市町村で同様の取り扱いとなってございます。
 また、市町村民税課税世帯につきましても、原則1割負担となっておりますが、無料としている市町村もございまして、これにつきましても各市町村の判断で実施されているところでございます。
 さらに、移動支援事業などの利用者負担額の合計額が介護給付費に係る利用者負担上限月額を超過した場合に、その超過額を補助する県単独補助事業も行っているところでございます。
 今後とも、地域生活支援事業については、障害のある方々が地域で安心して生活することができるよう、市町村の積極的な取り組みを要請してまいりたいというふうに考えてございます。
 次に、介護保険制度施行後10年を経ての3点につきまして、一括してお答え申し上げます。
 まず、保険料減免制度の拡充と利用料の減免制度の創設についてでございますが、介護保険の保険者である市町村が介護保険サービスの支払いのために必要な費用は、国、県、市町村、それに被保険者が法律で定められた割合で負担すること、また65歳以上の被保険者が支払う第1号保険料の金額は保険者である市町村が条例に基づき決めることが介護保険法で定められてございます。
 このため、第1号被保険者の保険料の減免を実施する場合は、保険者である市町村におきまして対象範囲や財源等を検討し、条例等に規定をして実施すべきものであると考えてございます。
 また、利用料減免制度につきましては、市町村民税非課税世帯等の低所得の方々が社会福祉法人や市町村の提供する介護保険サービスを利用した場合、1割負担や食費、居住費が軽減されます社会福祉法人等による利用者負担軽減制度がございます。この制度を実施している社会福祉法人等に対しては市町村が軽減額の一定部分を助成し、市町村が助成した分に対しまして県から補助金を支出するという形になってございます。
 この軽減措置の利用状況につきましては、市町村によりばらつきがあることなどから、市町村に対しまして積極的に実施するよう要請を行ってございまして、あわせまして、一部未実施の社会福祉法人もございますので、直接訪問をして制度実施の依頼を行っているところでございます。
 なお、これまでも低所得の方々に対する保険料負担及び利用者負担軽減措置の充実につきましては、近畿府県民生主管部長会議を通じまして国にも要望しているところでございますが、引き続き要望してまいりたいというふうに考えてございます。
 次に、サービス提供の地域格差の現状と自治体の責任についてでございますが、高齢化が進展し、介護サービスの需要が増大する中で、県内における介護サービス提供事業所の地域格差や中山間地域におけます事業所の不足は重要な課題であると認識をしております。
 そのような中、昨年4月の介護報酬の改定によりまして、中山間地域等における小規模事業所が介護サービスを提供する場合や、事業所が通常の事業の実施地域を超えて中山間地域等に居住する方に介護サービスを提供した場合、新たに介護報酬の加算措置が設けられてございます。
 県としましては、中山間地域等における介護サービス事業所の参入が進むよう、介護報酬の加算措置の周知に努めるとともに、市町村とも連携をいたしまして、地域密着型サービスとの併設や新たな参入などにつきまして、民間の介護サービス事業所や市町村社会福祉協議会などに要請をし、地域格差の解消に努めてまいりたいと考えております。
 最後に、介護現場の人材確保状況と処遇改善の効果と評価についてでございますが、介護サービス分野の人材確保のため、県では新規就業を支援する事業や就職相談会を実施するとともに、介護職員の給与水準の向上など、処遇改善などをあわせて実施することにより介護現場への就業促進と定着に取り組んでございます。実績といたしましては、昨年4月からの1年間で約300人の新規雇用があったところでございます。
 また、介護職員の処遇改善につきましては、昨年4月の介護報酬の引き上げに加えまして、国の経済危機対策による介護職員処遇改善交付金を活用して賃金の引き上げを図るなど、一層の処遇改善に努めているところでございます。
 これらの対策によります介護の人員不足への効果でございますが、介護関係の有効求人倍率が昨年の4月では2.07でありましたが、本年4月には1.47に下がっていることから、一定の効果があらわれてきているものと考えてございます。
 しかしながら、介護関係の有効求人倍率は全産業の有効求人倍率0.54に比べまして依然として高い状況にありますので、引き続き介護職員の人材確保と処遇改善に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、ヒブ、肺炎球菌、子宮頸がんのワクチンの接種についてお答えを申し上げます。
 ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、子宮頸がんワクチンにつきましては、いずれも平成19年から21年にかけまして医薬品として国内で承認をされたところでございます。予防接種法の位置づけにつきましては、現在、厚生労働省におきまして専門家を交えて検討をされているところでありますので、去る6月8日、国に対しまして予防接種法への位置づけを進めるよう提案を行ったところでございます。
 県としましては、国の動向等を注視しながら、引き続き接種者への支援のあり方などにつきまして検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、移動の困難な人への支援についてお答えを申し上げます。
 高齢者や障害者など、災害時要援護者対策につきましては、平成19年の国からの通知に基づきまして、市町村において、対象者の範囲、要援護者に関する情報の収集及び共有の方法等について基本的な方針を定める避難支援プラン全体計画の策定を進めているところでございます。本年3月末現在、県内22市町が策定済みとなってございます。
 また、要援護者1人1人に対応する避難支援者や避難場所、また情報伝達の方法等を定める個別計画につきましては、県内19市町で現在策定中となってございます。
 県といたしましては、平成20年6月に和歌山県災害時要援護者支援マニュアルを策定いたしまして、市町村に対する説明や情報提供を行ってきておりますが、全市町村が避難支援プラン全体計画及び個別計画を早期に策定するよう、引き続き働きかけてまいりたいというふうに考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 危機管理監前硲健作君。
  〔前硲健作君、登壇〕
○危機管理監(前硲健作君) 防災についての1点目の御質問にお答えいたします。
 昨年11月11日未明から朝にかけて県北部を中心に発生しました集中豪雨では、和歌山市を中心に、死者1名、床上浸水656棟、床下浸水2449棟などの被害がございました。また、道路や河川などの公共土木施設や農業被害などが約7億7000万円に上りました。
 和歌山市では、同日午前3時57分までの1時間雨量が122.5ミリに達する記録的豪雨となりましたが、豪雨の時間が比較的短時間であり、未明の暗い時間帯であったことなどから、避難勧告等は発令されませんでした。このこと自体は、夜間の避難中に死者や行方不明者の発生した兵庫県佐用町の事例からも適切な判断だったと考えておりますが、いずれにいたしましても、災害時の人的被害を最小限に抑えるためには、市町村長による避難勧告等の出し方が重要なポイントになりますので、県では市町村に対し、災害に際しての避難勧告等の適切な発令、そのための具体的な避難判断基準の作成などを要請しているところでございます。
 また、住民の安全確保のためには、気象情報などの防災情報を迅速かつ正確に伝達することが最も肝要と考えており、県では防災わかやまメール配信サービスの周知を図るとともに、今年度、土砂災害危険箇所に立地する要援護者施設への市町村防災行政無線端末の整備支援を行うなどしており、今後も市町村と連携し、台風や集中豪雨などの風水害対策に取り組んでまいります。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再質問を許します。
 40番奥村規子君。
○奥村規子君 答弁をいただきました。
 知事に、障害者自立支援法についての基本合意ということでは、国との関係で注視していきたいとおっしゃってくださったんですが、この障害のある皆さんが求めてきた応益負担、応能負担という問題について、知事自身はこの基本合意に共感を持ってされてるということなのかどうなのか。そこの点でもう少しわからなかったので再質問をさせていただきます。
 それとあわせて、やはり応能負担、応益負担の根本にかかわってくる、その以前に介護保険制度のほうが障害者自立支援法より前にできてるわけなんですが、そのときに、やはり非常に所得が大変な、年金もない人から年金額が低い人、いろいろございますが、そういった方にとっては非常に負担ではないかというのも当初から思っていました。
 先ほど、制度を維持していくということでは、持続可能ということでおっしゃって、不安なことがあるというようなことも言われたんですが、それは介護保険自身が今のままで財政的に──高齢者もふえるし、サービス量がふえて財政がなかなか大変だと、これ以上保険料も本当に払うのが今精いっぱいになってきてるという状況の中で、制度自体がそういう意味ではもたないんじゃないか、また維持していくのに大変だというふうにおっしゃられたように思うんですが、やはり介護保険そのものに、受けられないサービスを──費用負担が出せなくて受けられない、そういった方々が大勢いらっしゃるわけなんですが、そういう意味では、今、だれ一人泣くことのないようにと言われた知事の政治姿勢のそういった決意とあわせて、どのように理解したら、そういった低所得の人たちもしっかりと介護を受けられるような、そういうものにいろいろと考えられてるということで受けとめたらいいのか。介護保険制度そのものをそういったことも含めて、やはり制度、仕組みを考えていかなければいけないというふうに言われたのか。その点、どうでしょうか。
○副議長(坂本 登君) 再質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、応益と応能の問題でございます。
 私は、これはいろんな制度を考えるときに、全部両方ともの要素を考えないといけないと思います。したがって、応能がよくて応益はあかんと一般論として言うのはいかがなものかと思います。
 この障害者自立支援法について、障害のある方はやっぱりなかなか収入を得ることも難しいし、そういう意味では応能の問題をもっとちゃんと取り上げないと難しいんじゃないかなというようなことは正しい方向じゃないかと思います。
 ただ、一方、じゃあ絶対応能が悪いかというと、障害を持ってる方でも大変な、例えば資産を持っておられるおうちの方とか、そういう方もいらっしゃいます。そういう方をどう考えるかというのは、また別の問題として考えておかないといけないかなということではないかと思います。
 同時に、その応益ということについては、常にそういうことをカウントするということは必要だと思います。ただ、障害者を助けていくときに、その応益というのがちょっと沿わない感じが私はします。というのは、いろんなサービスをする、それはそのサービスを受益する人が応益に負担する、そういうことは一般的に正しいと思うんですけど、障害を持ってる人を社会全体で助けていくということが目的であるとすると、余り応益を大きく出すというのはどうかなというような感じがいたします。
 それから、もう1つは介護の話でございます。
 介護の制度について、私が答弁で申し上げましたのは、議員御指摘の第1の点でございます。第1の点でございますけれども、第2の点につきましても、そんなことは冷たく考えてどうでもいいというわけでは決してないと思います。どうやって、例えば貧しい方がちゃんと介護を受けられるかどうか、そういう制度は、この介護の制度、あるいはその外側にある社会保障全体の制度の問題としてきちんと考えていかなきゃいけないと、そういうふうに思います。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再々質問を許します。
 40番奥村規子君。
○奥村規子君 答弁ありがとうございました。
 あと要望をさせていただきたいんですが、先ほどの──前の予算委員会のときも申し上げたんですけど、介護保険制度はサービスを希望する人にやはり選択できるというようなことであるんですけど、その選択ができなくて待機しなければいけない。それは特別養護老人ホームの問題なんですけど、そういった点で、やっぱり在宅やそういったところで置かれてる毎日介護が大変な状況、そういうような中で、ぜひとも──待たれてる人はある施設に、ほかの病院に入ってられる人もいると思うんですが、在宅やいろんな状況を抱えていらっしゃるんで、そういったところをぜひ県としても実態をしっかりつかんでいただきたいなというふうに思っています。
 先ほどの利用料の減免制度のお話で、そういった手だてもとられてるということでおっしゃってくださったんですが、こういったことがなかなか徹底とか、利用者さん自体が理解なかなかできてないんじゃないか、それとも、またこの利用がばらつきがあるということでは、やはり社会福祉法人の事業者さんが何か使いにくい状況があるんではないか、そういったことも思いますので、やはりぜひこういうことを、実際予算もとられてることなんで、活用できるように検討なりよろしくお願いしたいなというふうに思っています。
 あとは防災の問題なんですけども、昨年の11.11でということで、国に上げる報告という中で、やはり7億7000万円ですか、被害があってということで。ただ、それはあのときに白菜がとても被害を受けたとかいろんなこと聞いて、農業的な被害の中に入ってるんだろうと思うんですが、営業されてる方たちのやっぱり経済被害状況というのはかなりあったんじゃないかな。そんなところもぜひつかんでいただいて、今後支援──床上のときは5000円のお見舞金とかいうことになってるんですが、そういったことの検討を今されてるということでお聞きしてるので、やっぱり被害の経済状況、いろんなことも含めて把握をできるだけしていただきたいなというふうに思います。
 以上、要望して終わらせていただきます。ありがとうございました。
○副議長(坂本 登君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で奥村規子君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時30分散会

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