平成22年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(多田純一議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 25番多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕(拍手)
○多田純一君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきたいと思います。
 第174回通常国会は、会期延長もせず、本日閉会するとの報道がされております。総理がかわり、内閣がかわったにもかかわらず、予算委員会も開催しない選挙最優先の判断となっています。景気の低迷や財政状況が厳しい中、政策を進めようとしないことに国民は納得できないと思います。そんな民主党政権に危惧を抱いている一人でございます。
 圧倒的な支持率のもと船出した鳩山政権が、わずか8カ月余りで崩壊いたしました。新たな総理には、鳩山政権のもと、副総理兼財務大臣の菅直人氏が就任いたしました。参議院選挙前に看板のかけかえのみが行われたわけであります。期待が高かった分だけ失望も高く、政治への信頼をなくした責任は大きいと言わざるを得ません。その後、小沢前幹事長との距離を置く人事の刷新で支持率はV字回復ということですが、鳩山政権崩壊の原因と言われる政治と金、そして沖縄普天間基地移転問題は何も解決されていない状況です。
 沖縄普天間基地移転問題については、日米合意を踏襲する姿勢を示しただけで、沖縄県民を初め国民が納得できるめどは全く立っておりません。
 政治と金の問題で、我が党が提出した政治資金規正法改正案が衆議院の特別委員会で審議入りしただけで、本気に議論することなく廃案になります。政治家の監督責任の強化、企業団体献金の全面禁止という政治資金規正法の抜本改正を求める要望書、108万人以上の署名に協力していただいた人たちの意向を無視した形となり、小沢前幹事長の政治倫理審査会さえ開かない疑惑隠しといい、根本的な政治への信頼は取り戻せないままであると言わざるを得ません。
 そして、新たな懸念材料として取り上げられておるのが、1つ、開かれた政治、透明な政治運営として標榜した民主党政権が、首相の取材も官房長官の会見も削減し、国民との窓口を閉ざす方向に向いているのではないかという指摘をされております。
 また、新閣僚にも事務所費の問題が発覚。これもどうなるのか。過去の事例とも比べても大きな問題となる可能性があるかもしれません。
 重要法案と位置づけている割には、温暖化基本法や労働者派遣法改正案、郵政改革法関連法案など先送りし、支持率が高いうちにとの思惑で、政策実現より選挙優先となっています。法案成立率は戦後最低となりました。
 昨年の総選挙に勝つためにマニフェストの中で実現もできない項目を並べ、国民を欺いたことへの反省がないままに野党に対し「財政健全化のための与野党協議機関をつくろう」と言うのは、副総理兼財務大臣だった自分の責任をまず語ることが信頼のできる政治家の姿勢ではないでしょうか。そのために、民主党マニフェストの仕分けを行い、できもしない公約をしたことについて国民に対し謝罪をすべきだと考えます。
 小沢前幹事長が、いやしの地、熊野古道を訪れ、自身の退任のタイミングをぎりぎりセーフだったと言及したそうであります。つまり、すべてが目前の選挙目当ての国民の目を欺く姿としか言いようがありません。一時はその疑惑隠し、本質隠しができたとしても、国民の目は欺けません。いずれ暴かれてまいります。
 最近、政治評論家の森田実氏が御自身のブログで指摘しています。その話を引用すると、「民主党は鳩山・小沢体制下で誇大広告的、人気取り的な大盤振る舞い的公約によって選挙に勝った。しかし、この公約の多くは実行できない。結果として国民をだましたのだ。政治において国民をだますことは最も罪深いことである」。また、「国家の実力は地方に存する」、明治の文豪、徳冨蘆花先生は申されました。「地方が栄えて初めて国が栄える。国の力の源泉は地方にある」と。このような政権を相手に地方の政治も待ったなしに進めていかなければならない課題が山積をしております。
 信頼という点で、私は3年前の6月議会で仁坂知事に、県民との対話が必要と申し上げました。県政の経験が未熟な私がとの思いもありましたが、福島、和歌山、宮崎と3つの県で同様の理由で知事が逮捕され、和歌山県はだんご3兄弟ならぬ談合3兄弟とやゆされて大変恥ずかしい思いをしていましたし、当時、県民が県政への信頼をなくしており、県出身の新しい知事を選んだものの、ほとんどが知られていない点や、官僚出身で行政を進めることには高い期待感はあったでしょうが、地域の課題を直接聞き、県民が親しみを感じる県政に携わっていただくには、どうしても知事から地方に出向き、積極的に多くの県民と共有する時間をとっていただきたいとの思いからでありました。
 知事主催の行政報告会は、29市町村38会場、あとは湯浅町を残すだけと伺いました。代々の知事の中でも画期的なことだと評価できると思います。私が出席した会場からも、仁坂県政の2期目を期待する声が上がっておりました。頑張っていただきたいと声援を送らせていただきます。行政報告会を通し、県内の状況を肌で感じ取っていただいたものと思います。
 「地方が栄えて初めて国が栄える」──県政の課題とその取り組みについて、知事に御所見をお伺いします。
 続いて、健全な青少年の育成についてお伺いをします。
 本年4月に子ども・若者育成支援推進法が施行されました。自公政権のときに成立した法律です。この法律の目的は、子供・若者が次代の社会を担い、その健やかな成長が我が国社会の発展の基礎をなすものであること、そして、日本国憲法及び児童の権利に関する条約の理念にのっとり、子供・若者の問題が深刻な状況にあることを踏まえ、子供・若者の健やかな育成や社会生活を円滑に営むことができるようにするための支援その他の取り組みについて、その基本理念、国及び地方公共団体の責務並びに施策の基本となる事項を定めております。また、子ども・若者育成支援推進本部を設置すること等により、総合的な子供・若者育成支援のための施策を推進することを目的にしております。
 背景には、有害情報のはんらん等、子供・若者をめぐる環境の悪化、ニート、ひきこもり、不登校、発達障害等の子供・若者の抱える問題の深刻化が挙げられております。推計によると、ニート、ひきこもりともにふえているのではないかと危惧されております。
 国は子ども・若者育成支援推進本部を立ち上げ、支援推進大綱を策定。都道府県、市町村においては努力義務として子ども・若者計画をつくることになっております。その中で、地域における子ども・若者育成支援ネットワークを構成していくことにしております。
 この4月から庁内新組織として、青少年・男女共同参画課に自立支援班を新たに設置していただいております。子供・若者を取り巻く現状の認識と今後の施策について、仁坂知事にお聞きをしたいと思います。
 2点目に、少子化対策のため、国の基本政策として次世代育成支援を進め、家庭や地域社会における子育て機能の再生実現を目標にした次世代育成支援対策推進法と、このたびの子ども・若者育成支援推進法との関連について、環境生活部長にお聞きをしたいと思います。
 健全な青少年の育成についての3点目としてお伺いします。
 平成20年に地域若者サポートステーションわかやまを和歌山市に設置して2年がたちました。この間、関係者の御努力により利用者もふえ、スタッフも充実してまいりました。和歌山市以外は田辺市にも設置、橋本市、紀の川市、海南市、有田市では月1回の出張相談会を開催し、定着してきているそうでございます。
 3年間のふるさと雇用再生特別基金を活用しての事業も行っております。先日もサポステわかやまに行って話をお伺いしました。統括コーディネーター1名とキャリアコンサルタント2名、そして訪問支援員1名でスタートし、昨年7月にはアウトリーチ支援員2名を強化、今年度はさらに1名増員、7名の常勤スタッフ、そして非常勤の臨床心理士の方と事務員の方となっております。最近では、体験ファームなど、ジャガイモの収穫作業や苗の植えつけ、畝の雑草取りなど、農業体験などを通して働くことへの不安を解消することに役立てているそうです。
 ニート、ひきこもり対策は、不登校や高校中退とも深刻な関係が指摘される中、2年や3年で終わらせられるような事業ではないことははっきりしてることと思います。今後の事業展開について、環境生活部長にお聞きをしたいと思います。
 続いて、教育問題についてお尋ねします。
 最初に、教職員人事権の移譲についてお伺いします。
 和歌山県の長期総合計画に基づき、和歌山県教育振興基本計画においても、和歌山県の目指す教育の方向性は「未来を拓くひたむきな人間力を育む和歌山」の実現に向けてとなっています。未来を担う子供をいかに元気に育て、可能性を伸ばしていけるか。和歌山の未来を開くことになります。本県の実態は、多少の改善は見られるものの、ほとんどの問題がワーストランクに上がっております。県内での地域間格差が目立ち、改善を要する喫緊の課題となっています。
 義務教育における県教育委員会の役割は、1つ、教職員の採用、2つ、管理職登用、懲戒、3つ目、学級編制、教職員定数、4つ目、教職員の異動・研修となっています。つまり、教職員の採用や給与の負担という人事の権限を担っているものの、その実、県教育委員会の権限というのは市町村教育委員会に対し指導、助言、援助することにとどまり、管理することにはなっておりません。設置者であるそれぞれの市町村教育委員会の管理のもと、学校長が主体的にカリキュラム教育課程の編成や学校運営を行うことになっています。つまり、児童生徒や保護者が日常的に関心を持つテーマで、県教育委員会がかかわることはほとんどないというのが実情です。
 学校現場での問題が生じた場合、例えばいじめや不登校、非行問題など、子供たちにかかわる課題は県教育委員会ではどのように把握し、対応するのでしょうか。後日、数値的な把握はしても、対応となったら直接にはできません。機に応じた指導や適切な助言を行うことについては限界があるのではないでしょうか。
 また、教員についても、管理監督は当該の学校長となっています。異動に関しては、学校長の内申も参考にしながら、市町村の教育委員会の意向も尊重するとしています。管理監督は学校長となっていますが、懲戒処分などでは、ほとんど記者発表の際も学校長を同席させることなく、県教委独自で行っております。ここ10年間、ほぼ毎年のように飲酒運転での懲戒処分がなされています。服務規律の遵守と綱紀の厳正保持について、再三再四、通達や緊急の教育長会議を招集されたとも伺っております。一方で、県教委人事課だけで県内の教職員すべての人事管理をすることに限界があるのも理解ができます。
 教職員人事権の課題につきましては、これまでも先輩・同僚議員からも御意見がありました。昨年、私も中核市における人事権移譲の問題を取り上げました。昨年、一昨年と2年続けてきた国への要望、地方の実情を無視して教職員の人事権を中核市に移譲しないようにとの項目がことしは外れております。これは、ことし4月の文科省の見解として、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第55条の適用が、法律を改正しなくても、都道府県の解釈で中核市にとどまらず一般市町村にも特例制度として活用できるとしたからであります。
 この人事権移譲の問題につきましては、主な意見として、「市町村が設置し、教職員も身分としては市町村の職員でありながら、給与負担と人事権が県にあるのは制度の不統一であり好ましくない」とか、「県費負担教職員が地域に根差す意識を持ちにくくなっている」とか、「より現場に近いところに権限をおろすべきである」との意見等もある一方、反対に、「小規模市町村にとって人事権行使に伴う負担に耐えられない」や「中核市など抜きで広域の人事異動は考えられない」との意見など、全国でのさまざまな意見を踏まえて、文科省での見解は、教職員の人事権については市町村に移譲する方向で見直す方向性を明らかにしていました。
 そして、当面、すべての中核市に移譲し、その状況を踏まえつつ、特例市など他の市町村への人事権移譲について検討することが適当としていました。その考え方が、都道府県で先ほどの地公行法55条を特例として条例化できるとし、それぞれの判断にゆだねられたわけであります。
 大阪府では、これを受けて進み出しています。地方分権の流れを思うとき、早急な受け皿づくりを検討することも必要になってまいります。加速度的に進むことも考えられます。本県の考え方について教育長にお伺いをいたします。
 最後に、文化・芸術振興の取り組みと今後の対応についてお伺いをしたいと思います。
 文化・芸術は人々に喜びや感動を与え、本物の芸術は心を豊かにし活力を与えます。かつてアメリカは、ニューディール政策による文化・芸術振興で深刻な不況を克服しました。現在のように経済が低迷しているときこそ、文化・芸術を通じて日本を元気にすることが重要と考えます。
 民主党のマニフェストには、芸術文化活動への支援とうたっています。しかし、実際の事業仕分けでは文化・芸術への助成金が大幅に見直しとなりました。特に、芸術家派遣事業は地方への移管と判定をされてしまいました。これに対し、「仕分けのやり方が余りにも乱暴。哲学がない」、「人間の成熟は文化・芸術なくしてあり得ない。人の心を豊かに育てるためには時間がかかる」とすぐ反応したのが日本芸能実演家団体協議会、落語芸術協会等で、すぐさま要望書を提出されました。
 文化・芸術にもっと理解をと大勢の声が上がり、その声に押されて、今年度は名前を変え継続されることになりました。文化・芸術に対する民主党の稚拙な考え方や改めて文化・芸術への重要性が見直されたという点ではよかったかもしれません。
 国において文化芸術振興基本法が平成13年12月に施行され、和歌山県では平成21年3月、文化芸術振興条例を制定、それに基づいて文化芸術振興基本計画がこの4月にまとまりました。平成26年度までの5年間の計画となっています。
 このたびの参議院選挙でも公明党はマニフェストで文化・芸術の振興を掲げています。そして、すべての国民がゆとりと心豊かな生活を実現していく上で必要不可欠なものであり、我が国のこれからの発展を考えるとき、文化・芸術の果たす役割は大きいものとして期待をしております。
 そのために、私は、小学校、中学校でそれぞれ在学中にプロの芸術家による本物の舞台鑑賞ができるようにと願う一人であります。現に、文化芸術創造プランに名前が変わりましたが、子供のための優れた舞台芸術体験事業があります。2001年より実現したものですが、もっと拡充してほしいとの声が多数寄せられ、我が党の浮島とも子参議院議員が尽力し、2004年402校だったものを2010年には1442校まで拡大をしています。
 そこで、教育長にお尋ねします。
 学校教育の中で本物の文化・芸術に触れさせるということに関してどのようにお考えなのか。
 また、本物の舞台芸術体験事業、学校の芸術家派遣事業等、和歌山県の実施状況はどのようになっているのか、お聞きしたいと思います。
 また、今後、文化・芸術の分野における体験学習をより一層推進していただきたいと思いますが、そのことに対するお考えをお聞きしたいと思います。
 以上、お尋ねして1回目の質問といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの多田純一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、「地方が栄えて初めて国が栄える」という徳冨蘆花さんのお言葉に関する県政の課題と取り組みについてでございますけれども、私は、県民の皆様の御意見を聞くということがすべての出発点であると、前回の選挙のときからずっと言い続けてまいりました。その思いでずっとやっております。そういうことでいろいろ工夫をいたしまして、これもやろうということで、県行政報告会というのを御指摘のように開催させていただきまして、県の行政の報告を行うとともに、住民の皆さんから多くの御意見をお伺いしてるということでございます。
 その中で、地域の皆様からいただいた道路や河川の整備、あるいは農林水産、観光などの地域を支える産業の課題や、あるいは過疎、高齢化などの御意見から、皆様が持たれている将来への不安感を直接肌で感じることができた次第です。それを帰ってから具体的に部内で整理をし議論をいたしまして速やかに手を打つように努めております。説明を聞いていただくのも大変有意義だと思いますが、それとともに、私のほうで聞かしていただくというのも大変収穫が多かったというふうに思います。
 一例を挙げますと、中小河川の水害対策につきましては、私も白状いたしますと、この深刻さについては今よりももう少し軽く見ていたというふうに思います。そこで、早速22年度予算からこの予算を伸ばすようにいたしまして、数値で言うと23%伸ばしたけれども、残念ながら国のほうで、その後、補助金という形ですが、20%カットされてしまったんで、せっかくの皆さんの思いが足を引っ張られることになりましたというようなことは、この議会でも申し上げたところでございます。
 御質問にありました徳冨蘆花の「地方が栄えて初めて国が栄える」という言葉は、国が栄えるためには地方が栄えなきゃいかん、地方を支える事業に国が率先して取り組まなければならないということを示したものだと私は思います。和歌山県に関しては、高速道路の4車線化凍結を初め、農業基盤整備の国費としての大幅な削減、あるいは地域科学技術振興施策についての消極化など、その点はなかなか地方を支えるような事業に率先して力を入れるんだというふうにはどうもなってないなというふうに思います。
 その厳しい状況のもとでも、国のせいばかりにして我々が手をこまねいているわけにはいきません。したがって、我々、本県にとって最も重要なテーマであるところの元気な和歌山づくりに取り組まなきゃいけません。そのためには、技術開発や販売促進に着目した県内企業の競争力の強化とか、あるいは企業誘致の推進とか、観光の振興とか、産業の振興とか、新たな雇用創出を図るとともに、地域のすぐれた資源を活用した活力ある地域づくり、さらにはそれを支えるためのインフラの整備、そういうものが必要でございます。
 国の責めに帰すべきインフラの整備というのもありますが、それがおくれていれば、これを県が主導すべきインフラでもってどうやってカバーしていくか、しばらくしのぐか、そういうようなこともまた考えて、本県の活性化につながる諸施策を着実に推進していくこと、これが重要であると考えております。
 続きまして、健全な青少年の育成についてでございます。
 私たちのふるさと和歌山県の将来を担っていくのは、申すまでもなく今の青少年たちであります。青少年には、社会の激しい変化に対応するための生きる力とか、良好で適切な人間関係を築く能力、あるいは道徳心とか規範意識を持ってよりよい社会づくりにかかわろうとするそういう意欲、そういうものを青少年の方にはぐくむ、そういうことが重要になると思います。そして、よき社会人として自立していく資質や能力を身につけ、和歌山県の将来を担っていってほしいと考えております。
 しかしながら、近年は青少年を取り巻く環境は急激に悪化しております。現象的には、ニートとかひきこもりなど、青少年に関する問題が深刻化しておりますし、もう嫌になるような犯罪も起こります。本県においてもニート、ひきこもりのほかにも不登校あるいは高校の中途退学者など、いわゆる社会生活を円滑に営む上で困難を有する青少年、これは私どもの見解では1万人にも及ぶと推計されております。
 これらの問題は長期化すればするほど、こういう方々の社会への復帰が困難となります。放置できない問題と、そういうふうに認識しているところであります。こういう状況を見聞きするにつけ、このままでは和歌山県、ひいては我が国はどうなってしまうのかという強い危機意識を持っております。
 これらの問題の解決に向けて、それぞれの責任者がそれぞれ一生懸命取り組んでいなきゃいけません。県におきましても、各部局でそれぞれ一生懸命、それぞれ用意した諸施策に取り組んでいるとこでありますが、いろいろありまして、どこへ相談に行けばよいのかわからないという若者の声もよく耳にいたします。また、発達段階に応じた支援とか、あるいは切れ目のない支援、ぶつ切りでない、縦割りでない支援を行うためには単一の機関では限界がある、それぞれ別々にやっていては限界があると考えます。
 そこで、私は、行政として早期かつ総合的な青少年の支援体制づくりが不可欠であるという思いから、今年度、青少年・男女共同参画課──これはもともとありますが──ここに支援体制づくりの中心となる自立支援班を新設いたしました。青少年が抱えるさまざまな問題や悩みに対応するために、ここに総合相談窓口を開設するとともに、この人々と、それから公的支援機関、あるいは民間支援機関、こういう方々が密接に連携したネットワークを形成いたしまして、それぞれの専門性を生かした切れ目のない支援を行っていくことによりまして、社会全体で青少年を支える環境を整備し、1人でも多くの青少年を自立へ、困難の克服へと導いてまいりたいと考えております。
 同時に、健全な青少年をより素直にすくすくと伸ばしていくことも非常に重要であると考えまして、青少年自身が主体的に次世代リーダーを養成するリレー式次世代健全育成事業、これは昨年度から実施させていただいております。こういうものを核にした地域における体制づくりにも力を注いでいるところであります。
 今後、これらの施策を両輪として、青少年の健全育成に全力を挙げてまいりたいと考えております。
○議長(冨安民浩君) 環境生活部長保田栄一君。
  〔保田栄一君、登壇〕
○環境生活部長(保田栄一君) 引き続きまして、健全な青少年の育成についてお答えを申し上げます。
 まず、次世代育成支援対策推進法と子ども・若者育成支援推進法との関連についてでございますが、厚生労働省が所管する次世代育成支援対策推進法は、安心して子供を産み育てることができる環境づくり、また、次世代を担う子供たち1人1人が健やかに生まれ育つための環境づくりについて規定しております。
 一方、本年4月1日に施行されました子ども・若者育成支援推進法は内閣府が所管するもので、青少年対策の基本的な性格を持ち、社会の構成員としての子供、若者に焦点を当て、その社会的自立のための国や地方公共団体の責務について規定いたしております。
 また、対象につきましても、前者はおおむね18歳まで、後者は子供だけでなく広く30歳代の若者までを視野に入れております。とりわけ、昨今の青少年を取り巻く環境の深刻化やニート、ひきこもりの高年齢化にかんがみ、社会的自立に困難を有する若者の支援に重点が置かれ、今年度から新たに取り組む若者自立支援事業の根拠ともなっているところでございます。
 両法は、このようにその成り立ちや対象とする年齢を異にはしておりますが、健全な青少年をはぐくむという点におきましては、御指摘のように重複する部分も少なくはありません。このため、今後、国の子ども・若者育成推進大綱を受け、和歌山県子ども・若者計画の策定時におきましては、次世代育成支援対策推進法に基づく和歌山県次世代育成支援行動計画との整合性を十分に図ってまいりたいというふうに考えてございます。
 次に、次年度以降の事業計画についてでございますが、若者自立支援事業につきましては、支援を必要とする若者の支援対策事業として、問題や悩みを抱える若者に対応するための総合相談窓口の県庁舎内への開設、ニート等の状態にある若者の職業的自立を中心に支援している地域若者サポートステーションの運営を行います。また、若者の状況に応じ、個別的かつ継続的に支援を行うため、支援機関同士が密接に連携したネットワークづくりを進めているところであります。
 本年度は和歌山県ふるさと雇用再生特別基金を活用し、事業を実施しているところですが、地域若者サポートステーションにおける利用者が増加している現状からかんがみ、今後も若者からのニーズが高まることが予想されるところであり、若者の自立支援に大きな成果が期待できるところであります。
 次年度以降も、若者を取り巻く環境、事業の成果等を勘案しながら事業の実施に努めるとともに、一層の充実を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 教職員人事権移譲についてお答え申し上げます。
 議員御指摘のとおり、文部科学省は本年4月、教職員の適正配置と人事交流の円滑化により教育水準の維持向上を図るという現行制度の趣旨と目的が損なわれることのない範囲においてという条件つきで、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第55条の規定により、条例による特例制度を活用して教職員の任命権を移譲することが可能との見解を示しました。
 しかしながら、本県におきましては小規模な市町村が多く、単純な問題ではないというふうに考えてございます。もし人事権を移譲した場合、人口約37万人の和歌山市においてはスムーズな教員配置ができたとしても、他の市町村におきまして教員の確保が難しくなるなど、さまざまな課題が生じると想定され、一部市町村への人事権移譲にとどまらない課題があると認識をしてございます。
 このため、本県では、政府に対しても、地域間格差が生じないための条件整備が伴わない限り市町村への人事権移譲は適切ではないと要望してきたところでございまして、また、これまでも人事異動に当たりましては、個々の教員の要望や市町村教育委員会の意見を勘案して行ってきたところでございます。
 教員の採用や配置につきましては、どの地域においても一定の教育水準を担保するという子供の教育権にかかわる重要な課題でございますことから、今後とも教育現場や各市町村の声を尊重しながら、全県的な立場に立って行うことが大切であると考えてございます。
 また、昨年9月に御指摘をいただいた後に設けました各地方代表の教育長等による今後の教育システムの在り方に関する協議会におきましても、こうした問題に対しての共通理解を図り、本県として懸念していることについても御理解をいただきたいと考えてございます。
 次に、本物の舞台芸術体験事業、学校への芸術家派遣事業につきましては、本物の文化・芸術に触れる機会の少ない和歌山県の教育現場にとりましては大変効果の高い事業でございまして、本物には子供たちの魂を揺さぶる本物だけが持つ大きな力があり、人間としてのあり方、生き方につながる子供たちの情操を養う上で大変大きな効果があると考えてございます。
 本物の舞台芸術体験事業、学校への芸術家派遣事業の和歌山県での実施状況とその評価でございますが、本物の舞台芸術体験事業につきましては、過去5年間で70校が実施し、今年度も26校が実施する予定となってございます。学校への芸術家派遣事業は、過去5年間で36校が実施、今年度5校が実施する予定でございます。
 また、県が行っております青少年劇場小公演は、過去5年間で68校、今年度が12校で実施する予定でございます。今年度も含め、この6年間での実施学校数は総数207校に及びますけれども、県下の小中学校は約400校ございますので、決して多い回数であるというふうには考えてございません。各校在学中に最低でも1回は本物の芸術に触れる機会を設けられるように、これらの事業の利用も含め、各市町村と協力して、より多くの子供たちが本物の芸術文化に触れる機会をふやすよう努めるとともに、子供たちの生の反響を国等へ届けるなどしてまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再質問を許します。
 25番多田純一君。
○多田純一君 それぞれ御答弁をいただきました。ありがとうございます。
 青少年健全育成についてということですけども、知事並びに当局の積極的な取り組みを伺い、少しは安心をいたしました。
 しかし、子ども・若者総合相談窓口というのを今度開設されるという、こういう御答弁でございましたけども、昨日の向井先輩議員のお話にもありましたように、ひきこもり等を含めまして、やっぱり若者のいろんな、精神的にも、また自立という面でも大変相談が多くなってる。
 こういう現状の中で、新たにお取り組みしていただけるということでございましたら、ぜひ他府県なんかの状況なんかもよく見ていただいて、県庁内ということじゃなくて、ぜひ身近な県民と接してやるような、県民が相談しやすいような、そんなところも考えていただくような、また、その子供、若者に関するセンター機能というんでしょうかね、そういう機能も含めて、そこに相談すれば何でも相談できるんだよという、安心できる、そういう施策をぜひ和歌山県としてもつくっていただきたいと、これは要望とさせていただきたいと思います。
 それから、教職員の人事権移譲について、この問題は昨年、私、質問させていただいて、その質問を受けて協議会の設置ということで進めていただいているようでございますけども、こういう地方分権、また地域主権、そういう部分の流れというのはかなり加速度的に行われると思いますし、県民の関心というんでしょうか、そういうのもやっぱり高いと思いますので、ぜひその協議会を立ち上げたということや、その議論の方向性がより理解できるようにお願いをしたいと、こういうふうに思います。
 それから、もう1点、文化・芸術の振興という点でいうと、今、教育長のお話にもありましたように、各学校でそれぞれ1回ずつと、こういう目標等も御提示いただきました。ぜひその学校の取り組みに温度差がないように、全員が享受できるように機会を図っていただきますようにという要望を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(冨安民浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で多田純一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時33分休憩
────────────────────

このページの先頭へ