平成22年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(大沢広太郎議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前10時0分開議
○議長(冨安民浩君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 監査委員から現金出納検査実施結果の報告がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。
 日程第1、議案第84号から議案第99号まで並びに知事専決処分報告報第1号及び報第2号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 13番大沢広太郎君。
  〔大沢広太郎君、登壇〕(拍手)
○大沢広太郎君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 まず初めに、去る5月19日から21日まで、日華両国の友好促進をということで、親善を図るために日華親善和歌山県議会議員連盟から尾崎要二会長を初め20名が台湾を訪問する機会を得ましたので、代表してその御報告をさせていただきます。
 御承知のように、パソコンに代表される電気機器は今や台湾メーカーなしには成り立たない状況にあるなど、台湾は工業国家としても世界的に重要な位置にあります。観光面でも、和歌山県観光振興実施行動計画いわゆるアクションプログラムの平成21年のデータを見ても、台湾からの宿泊者の数は約3万2000人であり、1位の香港と僅差で2位となっており、リピーター率も72%と高く、本県にとっても非常に重視すべき関係にあります。
 そんな中、私たち一行はまず、1988年から2000年まで総統をされた李登輝氏を訪ねました。李登輝氏は、現在の京都大学で勉学され、日本で学徒出陣されるなど、まさに日本の一番苦しいときを日本人とともに歩まれ、また、大変な親日家でもあり、日本にも友人が多く、約1時間半にわたりお話を聞くことができましたが、その中で貴重な体験を踏まえた台湾や日本のあるべき姿をお話しされ、日本の古きよき文化の創出を養うとともに、日本にももっと強くなってほしいと何度も激励をしてくださいました。私たち一同、幾多の困難を切り開いてきた大政治家の一言一言に強く心にしみるものがありました。
 翌日、日本の国会に相当する立法院を表敬訪問し、議長に当たる王金平立法院院長にお会いすることができました。この立法院は一院制を採用し、行政院の監督、法案の審議、議決を行うということでありました。
 続いて私たちは、元首である総統の官邸にある総統府において蕭萬長副総統にお会いすることができました。蕭副総統は冒頭のあいさつの中で、和歌山県議会では、台湾人観光客へのビザ免除に関して都道府県で一番初めに政府に対し意見書を提出し働きかけてくれ、最終的にこの優遇措置が恒久化され、その結果、双方の観光客数が増加をし、対日関係の重要な一里塚となったと感激の意をあらわされました。
 そして、台湾と日本は正式な外交関係はないものの、各方面での関係は極めて密接であり、今後は和歌山県と台湾の市町村が姉妹都市の締結することや、修学旅行を通じ若い人たちとの交流も深めることということで、さらに緊密な関係を構築してほしいとのことでありました。
 さらに、和歌山県が積極的にPR活動をすれば台湾から5万人は和歌山県に行く余地があるとも述べられ、これは県として真剣な取り組みに値するのではないかと感じた次第であります。
 その日の午後からは台北市議会を訪問し、最大会派である国民党の秦儷舫会長らと面談し、議場も見学をさせていただきました。お話を聞き、大変活発に活動しているという印象を持ちました。
 さて、今回は、元総統や副総統、国会議長など、通常私たちが面会できない要人との面談が実現したのは、この日華親善和歌山県議会議員連盟の発起人の一人であり、初代会長もされ、現在参議院議員の大江康弘氏の働きかけによるものであり、それだけではなく、本人も御多忙の中、現地に来ていただき、案内までしていただきました。また、国交がないため、対日関係の日本側窓口として財団法人交流協会から今井正台北事務所代表と堤尚広台北事務所総務部長にも現地で大変お世話になりました。大江康弘参議院議員を初め、今回の訪問に御尽力いただきました各位に、この場をおかりして心から厚く御礼を申し上げるものであります。
 現地の気温は34度とかなり暑かったわけでありますが、それ以上に、貴重な時間を割き、私たちに会ってくれた大政治家たちの熱い思いに接することができ、私たち一同、身が引き締まる思いがし、今後の県政に生かしていきたいと強く感じ、大変有意義な訪問であったことをつけ加え、報告といたします。
 それでは、通告に従い質問をさせていただきます。
 和歌山の魚、紀州の魚はうまいと各地では人気を呼び、魚介類だけに引っ張りだこであります。しかし、漁業従事者、漁師さんの高齢化に伴い、漁業従事者人口の減少は御承知のことと思います。
 そこで、この議場におられる知事を初めとする皆さん方、本県でとれる魚の量、すなわち漁獲量は、ピーク時に比べてどれぐらい減っているのか知っておられますか。
 昨年1年間の県内の漁獲量は過去最低の2万7000トンで、ピーク時の昭和60年に比べまして3分の1にまで落ち込んできております。この数字は近畿農政局和歌山農政事務所がまとめたもので、県内での漁獲量は年々減少し、昨年は一昨年よりも約2割も減っています。特に、最も多くとれるサバ類が6307トンで前年比26%減、次いでアジ類で6019トンで前年比28%減、イワシ類で3290トン、前年比17%減となっています。さらに、サバでは人気のマサバが少なく、ゴマサバが多いほか、アジではマルアジが多く、値段の高いヒラアジが少なくなっています。このため、私の住む田辺市を初め紀南地方の漁師さんは、漁に出ても水揚げが少なく、しかも安い魚しかとれず、沖に出ても油代を使うだけだと出漁の回数を減らしたり、操業時間を減らしているのが現状であります。
 これらの中小まき網漁や一本釣りの漁師さんらの年収は200万円にも満たない人がほとんどであります。漁業従事者の高齢化対策が叫ばれておりますが、これは後継者がいないのではなく、漁師をやっていても飯が食えんということから、漁師の子供が漁師になりたくても他の仕事についているという時代が訪れています。
 また、養殖業についても同じであります。景気の低迷からマダイを中心に出荷価格が下がり、出荷量も前年に比べ約3割減少をしています。これらの若者の働く場がなくなっていくことは、本県の人口減にもつながることは必至であります。
 さらに、魚がとれないと重油や軽油業者の売り上げが減少するほか、干物など魚の加工業やそれを保管する倉庫業、さらには水産物を運搬する運送業にも大きな影響が出ています。田辺市の運送業者の中には、これまで水産物専門でトラック輸送を行っておりましたが、魚の水揚げが大幅減となった現在、九州や中国地方にまで営業先を求めてトラックを走らせています。もちろん、他の業者よりも安い値段で運ばないと仕事がとれず、油代を差し引くともうけはほとんどありませんが、仕事がないよりましだと、不眠不休でこの厳しい時代を稼いでいるのであります。
 ある漁師さんは、国などの役人は異常気象や黒潮の流れが悪くなったから漁獲量が減っているのではと他人事のように言っているが、生活がかかっている当事者にとっては死活問題であると、農業者にある所得補償を漁業者にも適用するなど、行政に本格的に救済策を求めています。
 そこで、県当局におかれましては、低迷が続いている本県水産業にさらなる本腰を入れていただきたいと思ってる次第であります。
 県では平成18年に、水産業のさらなる振興をと、それまで田辺と串本にあった水産試験場を串本町に統合整備し、近代的な設備をそろえて研究開発に取り組んでいます。
 先月6日、自民党県議団の有志の皆さんとともに試験場を訪れ、さまざまな説明を丁寧に受けてきました。試験場では、昨年度、海水温上昇に伴う漁業への影響や人工漁礁整備による漁獲量の向上、それに小中学生らに和歌山の海と漁業についてももっと知ってもらおうと、くろしおふれあい講座を県内各地で開催をしたり、セミエビ、ゾウリエビ、それにトビウオといった地域特産魚種の漁獲量アップに向けての研究、紀州のクエの養殖における安定技術開発、梅酢をえさに活用した高値のマダイ養殖など、さまざまな研究課題に取り組んでおられます。
 しかしながら、県財政の緊迫化に伴い、試験場の職員はピーク時に比べて半減し、現在は農林水産総合技術センターの配下に入り、しかも、事業予算も年々減少傾向にあると聞いております。
 そこで、本県の水産業を取り巻く厳しい情勢を踏まえて、さらなる研究開発の前進に向けての取り組みをお願いいたしたいと思います。
 また、かつてあった紀州おさかな応援団のような活動の復活であります。和歌山の魚の消費拡大を推進するために、農林水産部や商工観光労働部、つまり全庁挙げてのプロジェクトチームを設けて、深刻な事態を打開していただくことをお願いいたします。本県の水産業の振興について、それに水産試験場の機能強化などについて、当局の取り組みその他についてお伺いをいたします。
 日本古来の食文化の魚を食べる食習慣を若い世代を中心に復活させることであります。魚は、牛肉や豚肉に比べてヘルシーな健康食品として、さらにメタボ対策の貴重なたんぱく源として、また、青魚に含まれるDHAやEPAが体によいと注目されています。
 さらに、もう1つの問題点を指摘いたしますと、日本食といいますと魚と米であります。この米の消費量も昭和44年をピークに半分に減少しています。このように、日本人は我が国固有の食文化を放棄して、焼き肉やハンバーグ、牛どんといった肉食中心の食生活がなれっこになり、その結果、高血圧や高脂肪といったメタボや成人病に陥っているのが現状であります。また、米の消費拡大を図ることによって、みそや漬物、そして豆腐などの消費拡大にもつながるのは間違いありません。
 この魚や米を中心とした食文化の見直しは本県の問題だけではありません。国の農林水産省や厚生労働省、それに総務省や、黒潮や海流などを調査する気象庁、これらが中心になって、まさに国策として日本人の食文化の見直し、それと地産地消、そして国産の食物の消費拡大の観点からもこの運動を推進するよう、各方面に働きかけすべきであります。これらの取り組みについてお伺いをしたいと思います。
 次に移ります。
 漁獲量の低下におけるもう1つの問題点について指摘いたします。
 それは鯨であります。鯨は、人類、私たち人間が1年間に食べる魚の量1億トンの実に5倍の魚を食べると言われています。IWCの決定により、昭和63年から大型商業捕鯨が全面禁止され、また鯨の国際的な保護運動の動きから、鯨は毎年4%ずつふえ続けています。また、現在の推定数2万5000頭のうち2%の500頭の鯨をとっても、資源には影響は出ないとされています。このままのペースでふえ続けると、人類の6~7倍もの魚を食べることになり、人類が食べる魚介類の捕獲量にも影響が出かねません。
 このほか、鯨を取り巻く環境には厳しいものがあり、日本人固有の鯨を食べるという食文化、食習慣について話を続けます。
 鯨の町、太地町は日本の古代捕鯨の発祥地だと言われ、今から約400年前に組織的な産業活動として成功させたのは太地の漁業者が最初であります。また、鯨は戦後の食糧難の時代に貴重な高たんぱく食品として、我々日本人の食卓を支えてきました。国内での鯨漁は、太地町のほか、宮城や岩手、北海道、千葉でしか行われておらず、宮城、岩手では太地町の7~8倍のイルカや鯨を捕獲しています。
 また、漁法は、沿岸小型捕鯨、追い込み漁業、手投げもりで突く突きん棒漁業の3種類がありますが、太地を除く各地は追い込み漁業は行っていません。この追い込み漁業は、鯨やイルカの群れを複数の漁船で湾内に誘導し、網で仕切ってから水揚げをするものであります。
 ところが、太地町のイルカ漁を隠し撮りして最近マスコミで取り上げられている映画「ザ・コーヴ」でのシーンは、イルカが血だらけになっているシーンだけが強調され、事実を誤認した部分が多く盛り込まれてあるとのことであります。極めて厳しい急峻な地理的な条件の中で、捕鯨やイルカ漁で生活をし、発展してきた町の歴史や文化には全く触れることもなく、イルカを虐待しているようなところだけを誇張した、さらに漁業関係者の生活を脅かすといった行為は断じて許されるものではありません。
 さらに、イルカの追い込み漁は、資源に影響が出ない範囲で、国が決めた捕獲枠内でまじめに操業しているのが現状であります。あたかも太地町が悪い違法なイルカ漁をやっているかのような映画は、一方的な価値観の押しつけであり、大きく間違っていると思います。鯨の町だけに目くじらを立てざるを得ません。
 この映画については、隠し撮りによる制作や漁民の肖像権を侵害しているなど、事実誤認があるとして抗議が殺到。上映が中止される映画館も幾つも出ているということであります。また、捕鯨に反対するアメリカの活動家は、映画のPRなどのために来日し、テレビニュースのインタビューで、上映が中止されるケースについて、「映画を上映してほしい。それが民主主義だ」とコメントしていました。民主主義というのは、その地、その場で働いている人々がまず前提であります。太地町ではまさに漁師さんたちが民主主義であるということは全くわかっていません。
 また、太地町では、先般、鯨やイルカを多く食べている町民にWHOの安全基準を超えた水銀濃度が検出されたと発表され、新聞紙上をにぎわしましたが、水俣病のような水銀中毒症状など、健康への影響は認められなかったということであります。
 この水銀騒ぎなどで、太地町の観光、経済面への打撃には大きなものがあります。先日、私どもが視察に訪れた際、三軒町長や町幹部の皆さんは「県としての指導や支援をとにかくお願いします」と、陳情を受けた次第であります。
 太地町では、鯨の町の復活を目指して、IWCでミンククジラの沿岸での商業捕鯨の再開、それに持続・恒久的な捕鯨を求めて、三軒町長らが今月、モロッコで開かれるIWC総会に出向いて鯨漁の振興促進を訴えるということであります。県当局におかれましては、太地町の捕鯨活動や観光面での支援策など講じていくのに、さらに、低カロリーでコレステロールが少なくヘルシーな鯨の食育の普及について、さらに、仁坂知事におかれましては映画についての感想も含めて、今後の取り組みをお伺いしたいと思います。
 次に移ります。
 来る16日から阪和道の海南─有田間9.8キロが片側2車線化され、かなりの時間短縮が図られ、京阪神や和歌山市方面と紀南地方とはより一層近くなります。この2車線化は南進のみで、北進は下津トンネルの改善など、約1年かかるということであります。紀南地方が近くなり、観光や物流面で経済振興が促進されるということは、まことに喜ばしいことであります。
 しかしながら、民主党政権が誕生して以来、本県を取り巻く高速道、自動車専用道の整備は、道路だけに道半ばであります。
 御坊─南紀田辺間は既に4車線化が決まり、予算が計上されていたものの、政権交代により凍結、着工が見送りとなりました。このため、紀南地方の経済振興には大きな影響、打撃が出る、そして地元の長年の悲願であるとして、先月16日、田辺市では観光や飲食、それに町内会連絡協議会や建設業者など57団体から約1000人が参加をして、4車線化の実現を求める市民会議の決起大会が開かれ、その後、大規模なデモ行進が行われ、早期整備促進をとの訴えが続きました。一方、民主党の国会議員らは、4車線化は必要だが、まず有田─御坊間が先であると表明をしています。
 この4車線化の問題について仁坂知事は、国交省の説明会で、着工の見送りについて「恥を知ってもらいたい」と強く反発したということであります。このような動きは、日本で一番大きな半島の中にある紀南地方や日高地方には4車線化という利便性の高い高速道路を何が何でも絶対に早期整備をとの声を受けてのあらわれであると思います。
 4車線化が図られて便利になり、特に高速1000円と、土日・祝日には京阪神や和歌山市方面から紀南地方に行楽客のマイカーなどがどんどん訪れるのは大変喜ばしいことであります。しかしながら、田辺インターチェンジを越えて県内最大の行楽地、白浜へ入る国道42号では、田鶴交差点周辺で南進、北進とも大渋滞が発生しています。新万方面から県道南紀白浜空港線を通って白浜温泉にたどり着くには、ひどいときには50分近くから20分余り、ふだんの5~6倍の時間がかかっています。
 ある行楽客は、「白浜に行くには行のようなところがある。なぜなら、朝早く大阪を出て、海南の手前で渋滞に巻き込まれ、さらに、やっと白浜やと思ったら、その手前で渋滞。温泉でリフレッシュしていやされて帰路につくと、田鶴の交差点で渋滞。さらに、高速に乗ると有田を先頭に20キロ、30キロの渋滞に巻き込まれるのは、リフレッシュどころか余計にストレスがたまる旅となる。何のための旅行かわからん。しばらくの間は白浜に行きたくない」と本音を話してくれました。この人のように、紀南旅行へのリピーターが大きく減少することは、観光立県推進に取り組む本県にとって大きな問題であります。
 この田鶴交差点近くには国道をまたぐ立体の大きな橋が整備され、一般のドライバーは、あの橋を通ると白浜へスムーズに行けると勘違いしたケースもあるということであります。
 この交差点周辺の整備を図り、国道と県道の一部を拡幅することによって、大きく渋滞は解消されるのは間違いありません。この渋滞により、田辺市の新庄や跡の浦地区、それに神島台や滝内町の住民は、生活道路が確保できないと頭を抱えています。ある住民は、土日に田辺駅前近くにちょっと用事に出かけようとしても、道路が大渋滞。しかも、これらの日には県道での渋滞を避けて私ども住宅地に侵入してきた車両が自転車の子供をはねるといった交通事故を引き起こすケースも生じており、どないかしてほしいと私のところに苦情を寄せています。
 そこで、この田鶴交差点の整備改良や渋滞解消について、県当局の取り組みについてお伺いをいたしたいと思います。
 続きまして、道路整備について質問を続けます。
 紀伊田辺駅や市役所周辺には、もちガツオやエビだんご、そして南蛮焼きといったうまいものを食べさせたり販売する名店が幾つもあります。また、昔、熊野もうでの参拝客が買ったことが古文書にも書き記された「辻の餅」という何百年ものしにせのお菓子店も人気を呼んでいます。しかしながら、和歌山に住む私の友人は、これまで田辺へ行くには道が迷路みたいで狭いし、わかりにくいと話していました。また、銀ちろという活魚やてんぷらが有名な飲食店がありますが、昼間の来客数は駅近くにある本店に比べてはるかに多いということであります。つまり、観光バスも含め、車が駐車しやすいということであります。
 このように、田辺市では道路事情が悪く、商店街には人通りが少なく、シャッター通り商店街となったところもあります。しかし、田辺駅から市役所横への南北へ通じる文里湊線1本ができたことによって人と車の流れが大きく変わり、バスも運行されるようになりました。
 南北の通りは改善されたものの、東西はあと一歩といったところであります。この東西を結ぶ道路、商店街を通る都市計画道路、元町新庄線という総延長2450メーターであります。昭和37年に明洋交差点をスタートし、元町、江川、片町、銀座、海蔵寺と5つの工区を通って湊交差点まで完成し、このたび仁坂知事も出席のもと、めでたく開通の運びとなりました。商店街の人々はもちろんのこと、地元民やこの路線を利用される人々には大変期待される道路として喜んでいただいております。今日まで100億円近い予算をつけていただきましたこと、国、県、市の御努力に対し厚く感謝をしている次第であります。
 ところが、残り460メーターの一部暫定の未整備区間があり、事業費は約30億円がかかると聞いております。また、完成までには7年ぐらいかかると言われておりますが、7年はちょっと長過ぎます。この計算でいきますと、1年間に65メーターしか建設されないことになります。一刻も早い完成を望む次第であります。
 この道路、昭和37年から現在に至るまで半世紀近くも経過をし、その間、バブル崩壊や財政難等の厳しい時代もありました。中には、20年前に完成をしていれば商店街ももっと活気が出ていたなと言われています。それには間違いありません。さらに、旧国道で生じた交通渋滞も大きく解消されていたほか、明洋交差点からつぶり坂まで距離も時間も短くなり、タクシー料金も安くなるなど、利便性が大きく向上されるのは間違いありません。それだけに、この道路、田辺市の中心市街地活性化のためにも単年での整備が不可欠であります。早急に整備できますよう強くお願いし、知事に今後の取り組みと見通しについてお尋ねをいたします。
 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの大沢広太郎君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、捕鯨活動への支援、それから映画についての感想と今後の取り組みについてお答え申し上げたいと思います。
 議員お尋ねの捕鯨活動への支援につきましては、昭和63年の国際捕鯨委員会の決定により、現在のところ、ミンククジラなどの商業捕鯨が停止されておるということは御指摘のとおりであります。しかしながら、ミンククジラの資源量は近年増加している中で、地元漁業者等の要望がありまして、県といたしましては政府に対して商業捕鯨の再開を繰り返し働きかけているところでございまして、先般も政府要望でそのことを申し上げに参りました。
 また、映画についてでございます。
 「ザ・コーヴ」という映画がございまして、これの感想と今後の取り組みでございますけれども、この映画につきましては、屠殺現場などをセンセーショナルに映し出すとともに、高濃度の水銀が蓄積されているといった内容もあると聞いております。すなわち、事実に反するようなこともあると。しかも、例えば漁の方式については、実は映像に出されたところは、今は少し改善をされているというようなところも、現在まだ行われているような表現で映じられているということを聞いておりまして、こういう一方的な価値観や間違った情報──これはわざとかもしれませんが、情報に基づいてイルカ漁を批判しているものと私は受けとめております。
 太地の方々、太地の漁民の方々も、何も好きこのんで動物の命を奪っているわけではございません。現にそれで生活をしているわけであります。西洋にも、例えばキツネ狩りとか闘牛とか、さまざまなものがございます。それを好きだ、嫌いだという人はたくさんございます。だけど、好き、嫌いというのはいいけれども、それを激しく攻撃したり中傷したりするということはどうなのかなというのは一般的にあると思います。
 世界じゅうには、このようにいろんな職業、あるいはいろんな文化を持っている人々がいて、それに対しての一定の理解を持ちながら世界じゅうの人々が暮らしていくべきだ、そういうふうに私は思います。自分たちの好みに合わぬからといって激しく攻撃していいのかどうか、そういう問題があると考えております。
 それから、批判の方法──それを問題だと言うことは許されているとは思いますけれども、その方法についてもございます。例えば、その屠殺現場を隠し撮りするということについては──例えば牧畜をしている方がいらっしゃいます。牧畜をしている方は大切に大切に自分が飼っておられる家畜を育てておるわけでありまして、きっと愛情を持ってやっておられると思います。しかし、その方々はこれを売らないといけない。でないと生活ができません。それを屠殺場で殺さないといけないというわけであります。そういうところを例えば隠し撮りをされて残酷だと言われたら、その牧畜をやっている方はどういうふうに思うでしょうか、というようなことをこの映画は内包しているというふうに私は思います。
 太地町の漁民の方は、生活を守るためにずっと伝統漁法を続けてまいりました。海の恵みにいつも感謝して、やむを得ず命を絶つ動物には祈りをささげながら、せめてできるだけ多くのところを利用しようということで、ずっと資源を大切にしてきたわけであります。もちろん、地球から、あるいは我が国から、いろんな天然資源がなくなってしまってはいけません。その点でも、イルカは適切な管理のもと、持続的に利用できる有用な資源であると考えておりますし、このため、国や県の管理のもと、一定頭数の捕獲を行っているということでございまして、この点でも何ら批判されるものではないと思います。
 県といたしましては、漁業者の生活を守ることが第一であります。このため、国や町などと連携し、機会あるごとに太地のイルカ漁に対する攻撃の不当性を国内外に強く主張してまいりたいと考えております。
 次に、都市計画道路元町新庄線についてでございます。
 去る3月31日に海蔵寺工区280メーターが供用開始され、4月10日に海蔵寺通りまちづくり協議会が主催する元町新庄線の開通を祝う会に私も御招待していただきまして、参加させていただきました。まちの人々の協力と、それから知恵を出していただいて、みんなで協力をして、国や県も努力をして、それでこの開通が行われた。改装されたこの町並み、これもすばらしいものがあるというふうに私は感動いたしました。
 この区間につきましては、既にこのように整備とあわせて立派なまちづくりができていっているわけでございますけれども、議員御指摘のように、未整備区間460メートルが残っております。昨年度から全区間で事業着手しているとこでございまして、今年度予算につきましてもできるだけ早くやりたいという気持ちから、ことしの作業手順からすると精いっぱいというような予算をつけさせていただいたところでございます。
 今後、田辺市の中心市街地の活性化を図るため、地元の皆様の御協力を得ながら──これは立ち退きなどもありますので──そういう方々の御協力も必要でございます。そういう御協力も得ながら集中的に整備して、一日も早く事業の完成を達成して、それで田辺市の方々が立派なまちづくりをする、そういうお手伝いをしたいと、そういうふうに考えているところでございます。
○議長(冨安民浩君) 農林水産部長阪中栄一君。
  〔阪中栄一君、登壇〕
○農林水産部長(阪中栄一君) 水産振興と水産試験場の活用についての御質問でございますが、議員御指摘のとおり、近年の漁業を取り巻く環境は大変厳しく、漁獲量も全盛時から比べますと著しく減少してございます。その主な要因といたしましては、水温の上昇等海洋環境の変化による影響や藻場、干潟の減少等が考えられるところでございます。
 このため、県では平成20年に水産業活性化アクションプログラムを策定し、漁獲量を上げるための取り組みとして資源回復計画の実施等による主要漁業の構造改革や養殖業等の推進、また、さきの政府提案では地域の実態に合ったいそ根漁場造成事業の創設について要望を行ったところでございます。
 また一方、魚価対策といたしましては、昨年度から新農林水産業戦略プロジェクト推進事業を活用した未利用魚の加工品開発、またヒロメの生産拡大や販路開拓等に取り組んでいるところでございます。
 こうした中、水産試験場では、これまで漁場予測システムの開発や藻場の回復、またクエ等の種苗生産による新たな栽培漁業や養殖技術開発の取り組みを進めてまいりました。今後は、こうした取り組みに加えまして、現在大きな問題となっているいそ焼け対策やタチウオ等の主要魚種の資源回復、ナマコ等要望の高い魚種の種苗生産を重点に、さらに開かれた試験場としての情報発信等にも力を入れてまいりたいと考えてございます。
 また、鯨を含めた魚食等の普及につきましては、伝統的な日本の食文化という観点から、これまでも中学生等を対象にした魚のおろし方や食べ方などの料理講習、漁協等による朝市での啓発、学校給食への導入など、さまざまな取り組みを実施してきてございまして、今後とも関係機関と一層の連携を図りながら、積極的な取り組みに努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 商工観光労働部長岡本賢司君。
  〔岡本賢司君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本賢司君) 太地町観光への支援についてでございますが、議員御指摘のとおり、太地町といえば古代捕鯨発祥の地であり、くじらの博物館に代表されるように、文字どおり最大の観光資源は鯨であります。
 県といたしましては、映画「ザ・コーヴ」が観光面にもたらす影響について、今後とも地元と連絡を密にし、観光客の動向を把握するとともに、鯨を初め海、温泉、グルメなど、太地町が有する大きな魅力をより一層地元と連携して積極的に情報発信し、誘客を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 国道42号田鶴の交差点についてでございますが、高速道路が田辺まで開通したことに伴い交通量が増加して慢性的な渋滞が発生しており、特に観光シーズンの休日には白浜方面から著しい渋滞になっております。
 このため、これまで国と県が連携して交通量の調査や渋滞の解析などを進め、白浜方面から田辺バイパスに入る車線の拡幅改良などによる対策を検討してまいりました。今後とも引き続きまして、国に対して平成23年度の事業化を働きかけてまいります。
 なお、こうした対策を進めるとともに、抜本的な渋滞対策としては近畿自動車道紀勢線の田辺以南の整備が最も効果を発揮すると考えるため、その整備促進に全力で取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再質問を許します。
 13番大沢広太郎君。
○大沢広太郎君 ただいま、知事初め部長から答弁をいただきました。特に知事におかれては、今、太地町が大変苦しんでおられる問題を特に御理解をしていただいたなと、そのように思ってございます。今後ともよろしくお願いしたいと、そのように思ってます。
 また、道路でありますが、今、茅野部長からの答弁もいただきましたが、田鶴交差点、そして我々の町なかであります田辺市のこの道路についても、できるだけ早く工事を進めてもらえますように特にお願いをして、要望といたします。
○議長(冨安民浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で大沢広太郎君の質問が終了いたしました。

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