平成22年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(原 日出夫議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前10時0分開議
○副議長(坂本 登君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第84号から議案第99号まで並びに知事専決処分報告報第1号及び報第2号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 34番原 日出夫君。
  〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 昨夜、大変お疲れのところ──僕もちょっと疲れているんですけど。
 宮崎県の牛の口蹄疫が、今、拡大しております。畜産農家の苦しみを見て、私は胸が痛みます。早く終息することを祈るばかりです。
 かつて私たち梅産地で、平成7年ごろからだったと思いますが、毎年10万を超える──畑へ行くと、前日元気だったのに、その朝行くと一瞬に立ち枯れをしているという、11年には1年間で16万本という立ち枯れが起こった実態を見て、体験をしてるんですけど、そういう農家の皆さんは、驚きと絶望感にさいなまれ、農業経営の希望を失いかけたときを今振り返ると、畜産農家が今その苦悩を断ち切って、再び立ち上がることを期待したいと思います。
 では、本題に移りたいと思います。
 「県庁が身近な存在にするために」ということで、私は、田辺に知事室分室を設置して紀中・紀南地域を知事と住民の拠点にしてはどうでしょうかということで提案させていただきながら知事の見解を聞きたいと思います。
 20年前に、県庁を田辺市にと、この県議会で訴えた県議会議員さんがおられました。私たちの県は、南北、非常に長い中で、紀中・紀南の県民にとって、県庁、つまり知事、県行政が遠い存在として映っていました。県行政が住民にとって身近な存在にするためには、もちろん私たち県会議員の役割と責任もあると思いますが、県のトップ知事が県庁の遠い存在から紀中・紀南の住民にとって身近な県庁の存在となるために田辺に知事室分室を設置し、知事と住民と語る場、議論する場に、知事が地域の現場を踏査し、実態をつかみ、県民のための政策化を、そんな知事分室として、知事が少なくとも月に1~2回必ずそこに来て住民とその地域と語り合う、そんな県政の姿勢に、知事がまず先頭に立っていく必要があるのではないかということで知事の御見解をお聞きしたいと思います。
 次に、「『介護保険10年』何が問題か」ということで、2つの点で御質問申し上げたいと思います。
 1つは、介護保険法に関する権限移譲事務についてであります。
 県から市町村に移譲する事務権限の中の1つ、介護保険に関する権限移譲について、県の対応とその問題点についてお聞きします。
 総務省の内閣府は、地方分権改革推進要綱(第1次)が平成20年6月20日に決定され、平成23年4月以降、地方分権改革推進委員会第1次勧告(平成20年5月28日)に記載された事務が市町村へ一斉に移譲されることが予想されることを受け、和歌山県は、県から市町村に移譲する事務・権限一覧表第1次取りまとめを示されました。
 介護保険に関する権限移譲予定事務として、指定居宅サービス事業者の指定、報告命令、立入検査、措置及び指定取り消し、同じく介護老人保健施設の許可、報告命令、立入検査、措置及び指定取り消し、指定介護療養型医療施設の指定、立入検査、措置及び指定取り消し等の事務が対象とされました。
 県は、国からの勧告に基づいて市町村に事務的移譲を示し、それを指示したことです。介護保険法に関する権限移譲事務は、市町村にどのように影響を与えたのでしょうか。
 1つは、介護事業所サービス提供が、単一の市・町・村でなく広範囲に及ぶこと。2つ目は、県、市にとっては、専門知識を持ったその人材を育成するまで時間がかかる。しかも、その人材確保と財源措置などの問題点が多い。そういった介護保険事業と介護事業所の実態の現状を正確に把握するなら、県の今回の権限移譲事務を事務的、画一的に市に移譲することに問題はないのでしょうかということであります。しかも、町村については、引き続き県が事務を行うということになっています。
 私は、そういう中身を見ながら、この間、内閣府と厚生省に問い合わせをして、この訴えが実際に厚生労働省として、全体の事務権限移譲そのものはそれでいいんですけど、とりわけ介護保険に関しては、そう簡単に一括して事務的に、画一的に市町村へ権限を移譲することの中の中身の問題で、もっと十分議論されたんでしょうかということでお問い合わせをしました。
 その中で、行政事務の混乱を招き、住民の生命や生活が脅かされることがあってはならず、権限を移譲する場合、必要な財源措置や人材確保等が講じられること、改正法施行まで十分な準備期間をとること、権限移譲されても実施できない小規模自治体への対応の実施があわせて必要であるということの見解を示しております。
 権限が移譲した場合、つまり、今のような必要な財源措置や人材確保ができる十分な期間をとりなさいよ、それから、仮に市町村まで権限が移譲した場合、他の市町村からの利用者については、指定業者と利用者の居住する市が異なるため、利用者の住む市が事業者に対しての指導監督権限を有していないため、適切な指導監督が困難となるというようなことをして、私が今言いましたように、1つは、単一市町村でやれない介護保険事業所そのものの中身からいくと非常に適していないという部分、それから急に、平成23年4月から実施されると言われていますが、そのことによって、専門知識を持った人材確保やそれに伴う財源措置等が非常に十分でない中で、県として一括したのは事務的なことだけばあっとやったと。この問題について、私は、県と市町村との問題点、課題がどんな方向を目指すのか、十分な議論・検討をしていないし、そういう基本をもっとつくるべきだと。したがって、平成23年度からということについて、こだわる必要があるのかどうかお聞きしたいと思います。
 それで、私はそういう立場に立って、介護保険法に関する権限移譲は、単一の市とか町村という枠内の内容でなく、広域的な事務サービスであるという観点から見ると、そういう視点から見ると、先ほど言いました事業所そのものにかかわる、その事業所に関係する利用者は市町村にまたがっているという立場を言うてるわけですが、そういう広域的な事務サービスであるという視点から見るなら、私は、権限移譲事務というのは、広域市町村圏の受け入れ組織をもってこの事務に当たることが最も望ましいのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 このことのほうが、県が今回やろうとする中で、市は移譲したけれども、町村は県が引き続き行う。市については移譲する。これは、事務の二重構造、効率性からいうても問題があるんではないか。むしろ、広域市町村に包括するほうが、介護事業という特性からもって事務処理、事務所指導に当たれるのではないかというふうに考えますが、いかがなものでしょうか。これが1点です。
 次に、「『介護保険10年』何が課題か」の中の第2点でありますが、私自身が介護事業に直接・間接的にかかわってきた一人として、介護保険10年を迎える節目で、この保険制度そのものに対して課題や問題点を感じた主な点を指摘して、県当局の考えとそれに伴う国への指摘を期待したいと思います。
 2000年に導入された公的介護保険は、民間事業者に市場を開放し、競争原理で介護の質を上げ、利用者が事業者と契約を結んでサービスをみずから選ぶことが重点でした。
 それ以前は、市町村や福祉事業所など行政機関が福祉サービスを受ける要件を満たしている人かどうかを判断し、行政の権限でサービスを提供する措置制度でした。それは、主に低所得者や身寄りのない社会的弱者を対象にした福祉サービスでした。
 介護保険制度は、御承知のとおり、サービスの種類や量がふえ、高齢者福祉サービスは一定充実してきました。介護保険事業は、契約主義と競争原理の介護ビジネスが先行したことのひずみが、福祉ニーズのある人への対応がおろそかにされてきたことを現場で痛切に感じています。
 ひとり暮らしの認知症高齢者や精神的疾患のある高齢者、家庭的に問題のある人、経済的に余裕がなく利用をあきらめる人、サービスを拒否する人、現実は高齢者の生活・経済実態の中で介護保険を適用するに困難な人をどう救済するのか。その人たちが施設に入りたくても、特別養護老人ホームへは入所できない。在宅で待っている人は、私ども田辺・西牟婁地域だけでも547名、県全体では2500名の在宅待機者がいるのが実態であります。
 認知症の人がグループホームに入るには、個人負担は、毎月12万から14万円がなければ入れません。国民年金の受給者から見れば、とても無理です。高齢者専用賃貸住宅でも9万から10万円負担ですから、これら10年の節目で、介護保険の基本的な点で私は問題提起したいと思います。
 まず、介護保険制度を、今の契約主義、競争原理のシステム、高齢者の中・高所得者と判断される人たちの分野と福祉による介護が必要である、それを税金で賄う福祉制度との二本立ての形に再構築する必要があるのではないかということを痛切に日々感じているところであります。このことは、私は、国全体の現状から見ると、確かに介護保険制度でなっているけれども、それで取り残され、落ちこぼれている人たちへの国としての税金で賄なう福祉制度の一部復活をしていかなければならない状況にあるのではないかというふうに考えております。そういう意味で、福祉保健部長にお伺いしたいと思います。
 次に、介護10年の具体的な課題について提起したいと思います。
 介護10年の節目での県民、介護事業所の人たちの声は、1つは、介護人材の確保のための賃金アップなど処遇改善を図るべきだ。2つは、施設待機解消のための施設整備を促進してほしい、認知症対応のサービスを充実してほしい、夜間を含めた24時間対応の在宅サービスを充実してほしいなど、主な点であります。とりわけ、デイサービスでの通所介護にショートステイ事業を組み合わせることの可能性も検討してほしい。
 また、ショートステイである中身は、全く不足しております。県全体のことは、私、わかりにくいんですが、田辺エリアの中では、3カ月待たないとショートステイに入っていけない。介護保険の本来の趣旨は、在宅を中心にしていくと。だから在宅で訪問介護を受けたり通所介護を受けながら、困ったときにショートステイで2日とか3日預かっていただけるというシステムが重要課題であったにもかかわらず、現実は、ショートステイで、ちょっと用事がある、どこかへ行かなければならない、そういうときに3カ月も待たなくてはいけないという、緊急の事態になかなか対応できないのが現在の実態であります。
 そういった点について、和歌山県は、このような介護認定のあり方や介護人材の実態、それから介護施設の状況など、県はどう把握して、今後どう改善していくのか、福祉保健部長にお伺いしたいと思います。
 次に、紀南こころの医療センターについてです。
 これについて、新聞等でも話題になっておりますが、一部病棟閉鎖の危機状況であります。
 今まで6病棟あったのが、現在4病棟、引き続き、ことし、来年23年あたりでは2分の1の3病棟に減らしていこうという状況が生まれております。
 病床数は、ことし、まだ平成22年は254、平均入院患者数が190人、平均外来患者数が、県下でも最高の185人の外来患者が訪れるという状況であります。医師は、現在、非常勤を含めて8名でありますが、これがことしでは、8名が6名になり、この9月には5名になるとされております。さらに、雪崩現象的で、医師がこれよりもっと減るんではないかという、4名になるんではないかということまで推測されております。したがって、入院患者は今190名、そのうち高齢者が、60歳以上が70%を占めるという状況でありますし、その190名の入院患者をどうするのか。185名の外来患者に対応するにはとても、現在の医師への負担が加わり、さらに退職される医師が出ないとは限りません。
 病院側は、医師5名体制でいくための入院患者を、今の190人を120人から130人に絞る、70人から80人を転院または退院させる方向で進められています。また、外来患者185名への対応は、これは絞るわけにもいきません。したがって、5名の医師体制では到底無理ですから、さらに医師1人に対する仕事の量がふえ、これも退職を余儀なくされる方向に進められるのではないかというふうに感じております。
 この紀南こころの医療センターは、紀南の中核病院として、田辺市周辺医療圏の外来診療、新規入院患者、精神科救急診療の役割を担ってます。大幅な入院ベッド数の削減と外来患者への対応ができない状況は、患者さんとその家族にとっては大変な事態であります。この現状を、県としてこの医師不足を解決するための医師確保への努力、それについては県はどのように支援していくのでしょうか。あわせて、当病院紀南こころの医療センターへの、いわゆる組織そのものの取り組み、医師が定着しないとか、いろんな問題がある中で、県として、その病院に対する改革への指導をどうされていくのか。この2点について、県の取り組みと指導について、福祉保健部長にお伺いしたいと思います。
 次に、気候変動に対応した産地づくりについてです。
 これは、ことしの低温、強風による農作物の被害に関係してではありますが、3月27日の被害、柿、梅を中心にして24億7000万、追い打って4月25日には、これも柿、梅を中心に1億5000万、5月23~24の強風によって、被害は梅、スモモを中心に2億6000万、総額29億円の被害であります。
 気候変動のもたらす農産物への影響は、毎年、それも年ごとに被害が大きくなってきています。農業は自然相手だから年によって仕方がないと言っていては農業経営は成り立たなく、農業を持続する力が失われてきます。
 果樹王国和歌山の産地を持続させるため、気候変動による災害、環境に負けない産地づくりをどうしていくのか。果樹王国和歌山の真価が問われるのではないでしょうか。
 1つは、気象災害や環境変化に強い品種改良や栽培技術を、研究のための研究でなく、現場で頑張っている人たちと研究機関が一体になった、テーマを決めた活動が求められているのではないでしょうか。とりわけ、ミカンの栽培可能地が北上していることへの対応は、産地県では国の研究機関との連携で今進められていますし、霜被害を防止するために受粉調整をどうしていくのかということの研究も実践的に証明されているところの県も出ております。梅でも、同じ園地でありながら、霜に強い種類の梅があったことも私は体験しております。私たちが努力していくことで可能性があると考えます。その意味で、1点目であります。
 第2点は、当面の具体的対応として、防霜ファンの設置を促進するための支援や、農業共済の適用等を含めた農業経営を持続して意欲を持てる施策が今求められています。
 そこで、農林水産部長にお尋ねします。
 気候変動による被害、環境に負けない産地づくりについて、県としてどう支援していくのかお伺いいたします。
 最後に、梅の需給対策についてであります。
 和歌山紀州産地の梅は、生産過剰なのか。私は、結論から言えば、そうではない。和歌山県の生産量は7万トン、そのうち青梅出荷1万6000トンと、梅酒等の加工が2500トン、梅干しとして約5万トンが加工されています。私たちが、今後、加工技術と新商品開発と販売網を確立するなら、この生産量は多くはありません。
 問題点は何でしょうか。1つは、中国梅の輸入量が2万2000トンであります。安売り競争の中でふえる可能性があります。紀州梅干しが2万5000トンで、梅干しに加工されております。そこで、中国梅は2万2000トン。合計4万7000トンの梅干しが加工されていますが、まあ言うたら2分の1、2分の1、そういう、紀州の梅干しと中国とが半分半分で加工されているという実態であります。こういう状況の中で、梅たるの在庫がある、需給調整をしなければいけない、こういうことで解決する問題ではないと私は考えております。
 私は、常々この議場でも述べさせていただいておりますが、地場産業を支えてきた梅産業は、生産する農家の人、地元で加工する人、販売する人、段ボール・ポリたるをつくる人、運送する人、みんな梅と関係する人たちが、この地域で支え合い、雇用を生み、地域でお金を生み、そのお金が地域で還流して地域の経済を支え合ってきた、まさに地域産業複合体として、また6次産業としてのモデルとして紀南地域をつくり出してきたと私は考えます。
 中国の梅の輸入は、ピーク時の4万トンを上回る状況から、今、2万2000トンと減少していますが、市場の動向は、梅の安売り競争で、中国梅がよりその加工商品の中心になりつつあります。
 私は、まず1つは、この地域を支えてきた生産農家があって梅産業があるというこの原点から見て、地域で生み出すもの、つくり出すものをその地域で育てていく地域の共同体という理念が今まさに私たちに求められているのではないかというふうに思うわけであります。こういった考え方も、今後のうめ需給・販売対策会議の中で位置づけていくことも、まず大切ではないでしょうか。
 具体的に、次に需給販売の視点からでありますが、生産価格と販売価格の調整も必要な時期に来てるのではないでしょうか。
 生産価格と販売価格の価格差が余りにも大き過ぎて、「紀州の梅は高いのう」と言われる部分が、かなり全国でもいると言われます。そういう意味では、一定生産価格と販売価格の調整が必要な時期に来てるんではないかというふうに思います。
 2つ目は、青梅の需給調整の役割であります。
 これが、今、市場では早出し弊害が非常に来ております。こういった意味でも、青梅の需給調整をどこが中心になってやるのかということについても、今度結成される販売対策会議でぜひとも検討されていただきたいというふうに思います。
 そして、販売が、イベント的でなく、日常的、継続的に進める販売戦略というのは、やっぱり人と組織の体制を梅需給販売対策の中にきちっと位置づけられていくべきではないかというふうに考えるわけです。
 さきに発表したうめ需給・販売対策プロジェクトに沿って、今後、県として需給対策にどう取り組んでいくのか、知事の御見解をお聞きしたいと思います。
 以上で、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの原日出夫君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県庁が身近な存在になるために田辺に知事室分室を設置したらどうかというアイデアを言っていただきましたけれども、まず、県庁が県民にとって身近な存在になるということは、まことに大事なことであるというふうに思います。そのためには、私のみならず、県の職員すべてがそのために努力をするということが大事ではないかと思います。
 地域にあっては、現在7つ振興局がありますけれども、これがそれぞれの地域において、県民にとって身近な存在になるというようなことが大事だと思っております。
 そういう意味では、知事室といった特定の組織の人のみならず、振興局全体あるいは大きく言いますと県庁全体がこのために努力をせないかん。
 具体的には、振興局長が市町村長や地域の方々の話を直接聞くとともに、地域振興部長が情報収集や政策のPRをする体制を整えてきましたし、さらには地域別担当者を配置して、市町村や住民の方々と交わって行政がより身近なものになるように指示しております。振興局長からは、毎週、それぞれの地域における動向についてレポートもいただいております。
 それから、その上で、私自身もできるだけ機会をとらえて地域を訪問し、住民の皆様と接してまいりました。昨年から、さらにこれに力を入れまして、行政報告会を続けております。
 今後とも、この流れをもっともっと積極的にやっていきたいと思います。私も含めてすべての職員が、振興局を拠点として、地域の課題に対して、市町村の方々や住民の皆様と一緒になって議論して、行動する行政を行っていけるよう努めてまいりたいと考えております。
 梅の需給対策についてでありますが、梅産業の振興、このためには販売促進に大変力を入れております。ことしも、実は後で申し上げます需給対策の1つの重要な柱として特掲をいたしまして、梅に関する販売促進に特に力を入れようということで、今、具体的な行動をやっているところでございます。
 また、生産も大事でありまして、これは生産体制を強化するというようなこともございますし、それから、冷害によって被害を受けた方に対する金融対策に大変力を注ぎました。その上で、どうもそれだけでは不足かもしれないということで、需給対策に本格的に取り組もうというふうに考えている次第であります。
 本県における梅産業は、生産から加工、販売まで一貫して産地で行う地域産業複合体として、まさに、議員御指摘のように地域を支える重要な産業であると認識しております。
 しかしながら、近年の景気の低迷により、消費者の購買力低下と低価格志向が進む中、梅につきましては、昨年来、需給バランスが崩れまして、白干し梅の過剰在庫が発生する事態に陥り、今後の作柄いかんによっては、さらなる在庫を抱える可能性があると憂慮しております。
 こうしたことから、県では先般、梅の生産、消費拡大、販売の3つの対策を柱としたうめ需給・販売対策プロジェクトを策定したところであります。梅産業は、これまでも生産者や加工業者等がともに支え合ってきた産業でありまして、今後もお互いが力を合わせて、より発展させていくということが重要であると考えております。
 このため、今回のプロジェクトでは、こうした方々に市や町、県も加わり、需給・販売対策会議をつくりまして、ここにおいて、在庫量の状況把握を初め、青梅出荷の奨励や梅干しにかわる新たな加工品開発など具体的な取り組みについて、幅広い観点から需給調整対策を検討してまいることとしております。
 今後、できるだけ早い時期にこの対策会議を立ち上げ、県がコーディネーター役を果たしながら、梅産業全体の安定的な発展に向け、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○副議長(坂本 登君) 福祉保健部長西上邦雄君。
  〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) 介護保険法に関する権限移譲事務についてお答えを申し上げます。
 介護保険法に関する権限移譲につきましては、平成20年5月に地方分権改革推進委員会が行いました第1次勧告におきまして、介護保険法の規定によります指定居宅サービス事業者の指定等の権限を都道府県から一般市へ移譲することとされました。
 これを受けまして、県では、住民に身近な行政はできる限り基礎自治体でございます市町村が担うことが望ましいとの基本姿勢のもと、和歌山県・市町村連携会議等におきまして県と市町村で協議を行い、市町村の同意を得た上で、昨年の9月議会におきまして事務処理特例条例の改正案を上程させていただきまして、平成23年4月からの一般市への権限移譲を御承認いただいたところでございます。
 県としましては、権限移譲を円滑に行うため、一般市職員に対する研修会を開催するとともに、現在、実務研修生を受け入れ、事務手続や実地指導等の研修を実施しているところでございます。
 今度も、引き続き、関係者への広報に努めるなど、権限移譲が円滑に行われるよう取り組んでまいりたいと考えてございます。
 なお、議員御提案の広域市町村圏等の受け入れ組織につきましては、権限移譲の実施状況を踏まえながら、市町村の御意見を聞き、今後、検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、「『介護保険10年』何が問題か」の2点につきまして、一括してお答えを申し上げます。
 議員御提案の措置制度のような新たな社会保障制度の創設についてでございますが、現在でも、在宅で生活が困難な高齢者の方を対象といたしました施設で、市町村の措置で入所する老人福祉法上の施設でございます養護老人ホームが県内に14施設ございますが、市町村の財政事情が厳しいこともございまして、ここ数年、その数はふえてございません。
 現行の介護保険制度におきましても、低所得者対策は講じられてはおりますが、やや不十分であることは認識してございまして、県としても、低所得高齢者対策は重要な課題と考えておりますので、国への要望も含めまして検討してまいりたいと考えております。
 次に、介護保険10年の具体的課題についてでございますが、高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みとして平成12年4月にスタートいたしました介護保険制度も、ことしで丸10年を迎えることとなりました。
 この間、要介護認定を受ける方やサービスを利用される方が大幅に増加し、県内の市町村が支出する介護給付費も、平成12年度の約360億円から平成20年度では約700億円と2倍になるなど、介護保険制度はそういった意味でもかなり定着してきたものと認識してございます。
 しかし、一方では、介護給付費の増大によりまして、第1号保険料は上昇を続けてございます。今後も給付費のさらなる増大が予想される中で、その費用をどう賄っていくかが最大の課題であると考えてございます。
 また、特別養護老人ホームの待機者問題や介護職員の低賃金、また、介護職員のマンパワー不足、要介護認定のあり方といった課題等も明らかになってきてございます。
 県としましても、介護人材の確保や処遇改善、介護基盤の緊急整備に積極的に取り組んでいるところでございますが、国においては、先月末から制度見直しの議論が始まったところでございまして、その議論を注視するとともに、機会をとらえまして必要な要望を行ってまいりたいと、このように考えてございます。
 次に、紀南こころの医療センターの現状と県の果たす役割についてお答えを申し上げます。
 紀南こころの医療センターは、平成10年度に県が開始をいたしました精神科救急医療システム整備事業におきまして、夜間・休日の診療体制を確保し、緊急の精神疾患による医療及び保護が必要となった方への対応ができる体制を持つ紀南圏域唯一の病院でございます。また、精神科を標榜する診療所等も少ない現状から、西牟婁郡を中心とした紀南地方の中核をなす精神科病院であると認識をしてございます。
 県といたしましては、常勤の精神科医師を確保することは非常に困難な状況ではございますが、同センターの入院患者の退院・転院の状況を見ながら、必要に応じまして、診療体制を維持するための医師派遣につきまして和歌山県立医科大学等に働きかけるとともに、勤務医の定着促進が図られるよう、同センターの取り組む開業医との連携、また医療クラークの配置、そういった就労環境改善策に対する支援を検討してまいりたいと、このように考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 農林水産部長阪中栄一君。
  〔阪中栄一君、登壇〕
○農林水産部長(阪中栄一君) 気候変動に対応した産地づくりに関する御質問にお答えいたします。
 本県の基幹作物である果樹につきましては、永年作物であるということで、結実までに期間を要する、また、気温や降水量といった気象変化の影響を受けやすい品目でございます。
 このため、県といたしましては、当面の対策として、気象災害発生時にその影響を最小限に抑えるよう、被害枝の除去や病害虫防除等の産地指導を行うとともに、中長期的な対策として自家受粉する梅の新品種NK14の育成普及や環境ストレスに強い台木の探索などに取り組むほか、国庫補助事業等を活用して、防霜ファン、防風ネットなどの設備導入を推進してきたところでございます。
 また、災害発生時の農家の経営支援対策といたしまして、農業共済の加入促進や、適宜、低利融資対策を実施してございます。
 しかしながら、近年、晩霜や降ひょうといった低温被害や強風被害が毎年のように発生する中、適地適作の原点に立ち返り、いま一度産地を見直すことも必要であると考えてございます。
 今後とも、国や大学の試験研究機関等との連携を一層密にしながら積極的に取り組むとともに、産地の皆様方とともに話し合いを行いながら、補助事業等を活用した気象災害に強い産地づくりを支援してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再質問を許します。
 34番原 日出夫君。
○原 日出夫君 答弁ありがとうございます。
 1番の、知事に対してまことに失礼な言い方でしたけど、やっぱり私、県会議員してても、なかなか知事と本会議でしか会う機会が少ないと、それぐらいしかないというぐらいですから、県民にとってはなかなか、そういう課題にすぐに会って議論をしていくとか、現状をともに理解してもらおうかという機会が少ないと思う。例えば、私が提起したのは、そういう定期的におることによって、我々も含めてですけど、そういう機会がつくられていくんではないかというふうに思いますので、ぜひ努力していただけたらありがたいと思います。
 次に、もう1つは介護保険10年で、私も、国の厚生省がパブリックコメントを求められましたので、ホームページを見まして、私自身、今言ったことを含めて、現場で問題になっている点を数点、パブリックコメントとして意見具申をしているところですけど、和歌山県としても、我々、実際10年の節目に、遅くはないですから、やはり現場の事業所や利用者、それと保護者、そういった人たちの意見をまとめる機会をぜひつくっていきながら、和歌山県として実態はどうなんかとか、これについては県として処理できるものと国へ要望しなきゃならん問題を整理する1つの節目としていい機会ではないかと思いますんで、それをぜひやっていただけたらと思います。
 次に、紀南こころの医療センターですけど、まさに今まで──ベッド数を半数にされるとか、実際に外来患者さんを制限するわけにいきません。だから、毎日185名来て、1診、2診、3診の診察あるんですけど、1人の医師が50人近い患者さんを、しかも内科ではありませんから、いろいろと相談する時間が非常にかかる、1人1人に対する時間が非常にかかるわけですから、そういう意味では、1人の医師にかかる負担というのは大変多いと、多過ぎる、重過ぎるということで、医師がなかなか定着しないという、そういう問題も抱えております。
 そういう意味では、私、この間、和医大の精神科医の教授の篠崎先生ともお会いして、和歌山県としての精神医療について意見を交換さしていただいたんですけど、実際に非常に厳しい事態を聞きながら、我々もなかなかこれをほっとけない事態だし、実際にことし、研修医が、精神科医でいつも毎年2~3名ぐらいあるらしいんですけど、ことしはゼロであったらしいです。
 そういう意味では、そういう部分にも我々県のほうもかなり協力していかないと、ますますこの医師不足に拍車をかけていくんではないかというふうに考えております。
 次に、1点だけ再質問させていただきたいですけど。介護保険に関する権限移譲事務についてであります。
 平成23年4月から介護保険法に関する事務の権限が一般の市に移譲されることになっていますが、和歌山市及び各町村が今回の事務処理特例条例に基づく権限移譲がなされていませんが、その理由について、まずお聞きしたいと思います。
○副議長(坂本 登君) 再質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長西上邦雄君。
  〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) 和歌山市及び各町村に権限移譲しない理由についてでございますが、事務処理特例条例による権限移譲につきましては、市町村の同意が前提となってございます。
 そうしたことから、和歌山県・市町村連携会議におきまして、約1年ほどかけまして協議を進めて、最終的に現在の形になったわけでございますが、その際の権限移譲につきまして、同意が得られなかったということが原因であるというふうに聞いてございます。
 また、各町村につきましては、地方分権改革推進委員会からの第1次勧告の移譲先、いわゆる対象にはなってなかったということもございます。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再々質問を許します。
 34番原 日出夫君。
○原 日出夫君 要望にかえますが、今の件で、私、ずっと──21年の9月議会ですか、9月に改定条例が提出された。
 条例提出というのは、我々見て、大体第何条第何項なんということしか目につかないわけですけど、1つは、改めてそれを見直しさしてもらうと、条例そのものは各セクションに全部またがっていて、それに対して、今度の場合は、権限移譲に関しては、介護保険だけでなくて、県土整備部もありますし、幾つかの分野にまたがった分野で一括で来てるわけです。
 その部分に、こういう、現場で大変な事態の状況を生み出すような問題についてのこういう分野については、私は、県議会としても責任はありますけれども、できるだけ当局はこういう分野は分割して、少なくとも各担当常任委員会へ、責任ある管轄の各常任委員会へ分割して条例を提案していくという形をとらないと、なかなか我々はそれを察知することができにくいというシステムになってますので、それを今後──やっぱり大事なことは、そういうことを各所管の委員会へ分割して条例を提出するというやり方を、当局はまずそういう姿勢に立ってほしいと、こう思います。
 次に、それと、私は、今言いました、県が条例一括ですから、市町村課が──これ、総務部長の答弁出してなかったんで非常に悪かったんですけど、総務部として、一括する場合は、もう総務部が一括して各市町村の事務段階の担当事務へばあんと流していくと。実際、それを受けたところについては、介護保険に関してはどうだということは余り審議されないまま事務処理に終わっていく可能性が非常にあると。
 今回、そういう意味では、実際にこの介護保険に対してはそういう矛盾が起こったわけですから、事実上それに伴って事務移譲された市にとったら、これに伴う事務処理がやっぱり膨大になってくる。そのための人的処理保障をしていかなあかんし、財源的措置をせなあかん。
 しかも、介護保険という中身からいえば、くどいようですけど、先ほど言いましたように、一市の問題ではないし、一町や村の問題ではないと。少なくとも広域圏にまたがった利用者を事業所は抱えているという中身の問題からいえば、少なくとも事務的権限移譲の問題を超えて、中身は広域的な観点でこれに取り組んでいく現場の声をまとめ上げていくべき状況にあるんではないかと。
 それで、このことはもう、くどいようですけど、とにかく僕は内閣府と厚生労働省にそのことを問題提起したら、それはもう本当に現場が、そうなる場合は事務的、画一的にやらしてはならんし、時間も十分かけるべきだということをきちっと言われていますから、だからそういう部分を含めるなら、そういうことの状況があるなら、もう一度、23年からすぐ実施するという事務的処理ではなくて、現場がスタートできやすい状況の組織の見直しや実行のやり方の時期をぜひ検討していただきたいということを要望して、終わらせていただきます。ありがとうございました。
○副議長(坂本 登君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で原日出夫君の質問が終了いたしました。

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