平成22年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

平成22年6月
和歌山県議会定例会会議録
第3号
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議事日程 第3号
 平成22年6月15日(火曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第84号から議案第99号まで並びに報第1号及び報第2号(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第84号から議案第99号まで並びに報第1号及び報第2号(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(43人)
 1番 泉 正徳
 2番 山本茂博
 3番 前芝雅嗣
 4番 浅井修一郎
 5番 吉井和視
 6番 向井嘉久藏
 7番 門 三佐博
 8番 町田 亘
 9番 服部 一
 10番 平木哲朗
 11番 花田健吉
 12番 須川倍行
 13番 大沢広太郎
 14番 谷 洋一
 15番 平越孝哉
 17番 岸本 健
 18番 川口文章
 19番 尾崎太郎
 20番 藤山将材
 21番 新島 雄
 22番 山下直也
 23番 井出益弘
 24番 宇治田栄蔵
 25番 多田純一
 26番 中 拓哉
 27番 角田秀樹
 29番 山田正彦
 30番 坂本 登
 31番 尾崎要二
 32番 中村裕一
 33番 片桐章浩
 34番 原 日出夫
 35番 藤本眞利子
 36番 長坂隆司
 38番 小川 武
 39番 冨安民浩
 40番 奥村規子
 41番 山下大輔
 42番 松坂英樹
 43番 藤井健太郎
 44番 雑賀光夫
 45番 野見山 海
 46番 松本貞次
欠席議員(なし)
〔備考〕
 16番 欠員
 28番 欠員
 37番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       曽根義廣
 国体推進監      中村正次
 危機管理監      前硲健作
 総務部長       宮地俊明
 企画部長       柏原康文
 環境生活部長     保田栄一
 福祉保健部長     西上邦雄
 商工観光労働部長   岡本賢司
 農林水産部長     阪中栄一
 県土整備部長     茅野牧夫
 会計管理者      神田泰仁
 教育委員会委員長   宮永健史
 教育長        山口裕市
 公安委員会委員    大桑いく嗣
 警察本部長      永松健次
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     楠本 隆
 選挙管理委員会委員長 諸木良介
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       森田実美
 次長         佐本 明
 議事課長       堀 達也
 議事課副課長     吉田政弘
 議事課課長補佐兼班長 田中健司
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      中村安隆
 議事課主事      的塲健司
 総務課長       上坊 晃
 調査課長       中井祥之
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  午前10時0分開議
○副議長(坂本 登君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第84号から議案第99号まで並びに知事専決処分報告報第1号及び報第2号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 34番原 日出夫君。
  〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 昨夜、大変お疲れのところ──僕もちょっと疲れているんですけど。
 宮崎県の牛の口蹄疫が、今、拡大しております。畜産農家の苦しみを見て、私は胸が痛みます。早く終息することを祈るばかりです。
 かつて私たち梅産地で、平成7年ごろからだったと思いますが、毎年10万を超える──畑へ行くと、前日元気だったのに、その朝行くと一瞬に立ち枯れをしているという、11年には1年間で16万本という立ち枯れが起こった実態を見て、体験をしてるんですけど、そういう農家の皆さんは、驚きと絶望感にさいなまれ、農業経営の希望を失いかけたときを今振り返ると、畜産農家が今その苦悩を断ち切って、再び立ち上がることを期待したいと思います。
 では、本題に移りたいと思います。
 「県庁が身近な存在にするために」ということで、私は、田辺に知事室分室を設置して紀中・紀南地域を知事と住民の拠点にしてはどうでしょうかということで提案させていただきながら知事の見解を聞きたいと思います。
 20年前に、県庁を田辺市にと、この県議会で訴えた県議会議員さんがおられました。私たちの県は、南北、非常に長い中で、紀中・紀南の県民にとって、県庁、つまり知事、県行政が遠い存在として映っていました。県行政が住民にとって身近な存在にするためには、もちろん私たち県会議員の役割と責任もあると思いますが、県のトップ知事が県庁の遠い存在から紀中・紀南の住民にとって身近な県庁の存在となるために田辺に知事室分室を設置し、知事と住民と語る場、議論する場に、知事が地域の現場を踏査し、実態をつかみ、県民のための政策化を、そんな知事分室として、知事が少なくとも月に1~2回必ずそこに来て住民とその地域と語り合う、そんな県政の姿勢に、知事がまず先頭に立っていく必要があるのではないかということで知事の御見解をお聞きしたいと思います。
 次に、「『介護保険10年』何が問題か」ということで、2つの点で御質問申し上げたいと思います。
 1つは、介護保険法に関する権限移譲事務についてであります。
 県から市町村に移譲する事務権限の中の1つ、介護保険に関する権限移譲について、県の対応とその問題点についてお聞きします。
 総務省の内閣府は、地方分権改革推進要綱(第1次)が平成20年6月20日に決定され、平成23年4月以降、地方分権改革推進委員会第1次勧告(平成20年5月28日)に記載された事務が市町村へ一斉に移譲されることが予想されることを受け、和歌山県は、県から市町村に移譲する事務・権限一覧表第1次取りまとめを示されました。
 介護保険に関する権限移譲予定事務として、指定居宅サービス事業者の指定、報告命令、立入検査、措置及び指定取り消し、同じく介護老人保健施設の許可、報告命令、立入検査、措置及び指定取り消し、指定介護療養型医療施設の指定、立入検査、措置及び指定取り消し等の事務が対象とされました。
 県は、国からの勧告に基づいて市町村に事務的移譲を示し、それを指示したことです。介護保険法に関する権限移譲事務は、市町村にどのように影響を与えたのでしょうか。
 1つは、介護事業所サービス提供が、単一の市・町・村でなく広範囲に及ぶこと。2つ目は、県、市にとっては、専門知識を持ったその人材を育成するまで時間がかかる。しかも、その人材確保と財源措置などの問題点が多い。そういった介護保険事業と介護事業所の実態の現状を正確に把握するなら、県の今回の権限移譲事務を事務的、画一的に市に移譲することに問題はないのでしょうかということであります。しかも、町村については、引き続き県が事務を行うということになっています。
 私は、そういう中身を見ながら、この間、内閣府と厚生省に問い合わせをして、この訴えが実際に厚生労働省として、全体の事務権限移譲そのものはそれでいいんですけど、とりわけ介護保険に関しては、そう簡単に一括して事務的に、画一的に市町村へ権限を移譲することの中の中身の問題で、もっと十分議論されたんでしょうかということでお問い合わせをしました。
 その中で、行政事務の混乱を招き、住民の生命や生活が脅かされることがあってはならず、権限を移譲する場合、必要な財源措置や人材確保等が講じられること、改正法施行まで十分な準備期間をとること、権限移譲されても実施できない小規模自治体への対応の実施があわせて必要であるということの見解を示しております。
 権限が移譲した場合、つまり、今のような必要な財源措置や人材確保ができる十分な期間をとりなさいよ、それから、仮に市町村まで権限が移譲した場合、他の市町村からの利用者については、指定業者と利用者の居住する市が異なるため、利用者の住む市が事業者に対しての指導監督権限を有していないため、適切な指導監督が困難となるというようなことをして、私が今言いましたように、1つは、単一市町村でやれない介護保険事業所そのものの中身からいくと非常に適していないという部分、それから急に、平成23年4月から実施されると言われていますが、そのことによって、専門知識を持った人材確保やそれに伴う財源措置等が非常に十分でない中で、県として一括したのは事務的なことだけばあっとやったと。この問題について、私は、県と市町村との問題点、課題がどんな方向を目指すのか、十分な議論・検討をしていないし、そういう基本をもっとつくるべきだと。したがって、平成23年度からということについて、こだわる必要があるのかどうかお聞きしたいと思います。
 それで、私はそういう立場に立って、介護保険法に関する権限移譲は、単一の市とか町村という枠内の内容でなく、広域的な事務サービスであるという観点から見ると、そういう視点から見ると、先ほど言いました事業所そのものにかかわる、その事業所に関係する利用者は市町村にまたがっているという立場を言うてるわけですが、そういう広域的な事務サービスであるという視点から見るなら、私は、権限移譲事務というのは、広域市町村圏の受け入れ組織をもってこの事務に当たることが最も望ましいのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 このことのほうが、県が今回やろうとする中で、市は移譲したけれども、町村は県が引き続き行う。市については移譲する。これは、事務の二重構造、効率性からいうても問題があるんではないか。むしろ、広域市町村に包括するほうが、介護事業という特性からもって事務処理、事務所指導に当たれるのではないかというふうに考えますが、いかがなものでしょうか。これが1点です。
 次に、「『介護保険10年』何が課題か」の中の第2点でありますが、私自身が介護事業に直接・間接的にかかわってきた一人として、介護保険10年を迎える節目で、この保険制度そのものに対して課題や問題点を感じた主な点を指摘して、県当局の考えとそれに伴う国への指摘を期待したいと思います。
 2000年に導入された公的介護保険は、民間事業者に市場を開放し、競争原理で介護の質を上げ、利用者が事業者と契約を結んでサービスをみずから選ぶことが重点でした。
 それ以前は、市町村や福祉事業所など行政機関が福祉サービスを受ける要件を満たしている人かどうかを判断し、行政の権限でサービスを提供する措置制度でした。それは、主に低所得者や身寄りのない社会的弱者を対象にした福祉サービスでした。
 介護保険制度は、御承知のとおり、サービスの種類や量がふえ、高齢者福祉サービスは一定充実してきました。介護保険事業は、契約主義と競争原理の介護ビジネスが先行したことのひずみが、福祉ニーズのある人への対応がおろそかにされてきたことを現場で痛切に感じています。
 ひとり暮らしの認知症高齢者や精神的疾患のある高齢者、家庭的に問題のある人、経済的に余裕がなく利用をあきらめる人、サービスを拒否する人、現実は高齢者の生活・経済実態の中で介護保険を適用するに困難な人をどう救済するのか。その人たちが施設に入りたくても、特別養護老人ホームへは入所できない。在宅で待っている人は、私ども田辺・西牟婁地域だけでも547名、県全体では2500名の在宅待機者がいるのが実態であります。
 認知症の人がグループホームに入るには、個人負担は、毎月12万から14万円がなければ入れません。国民年金の受給者から見れば、とても無理です。高齢者専用賃貸住宅でも9万から10万円負担ですから、これら10年の節目で、介護保険の基本的な点で私は問題提起したいと思います。
 まず、介護保険制度を、今の契約主義、競争原理のシステム、高齢者の中・高所得者と判断される人たちの分野と福祉による介護が必要である、それを税金で賄う福祉制度との二本立ての形に再構築する必要があるのではないかということを痛切に日々感じているところであります。このことは、私は、国全体の現状から見ると、確かに介護保険制度でなっているけれども、それで取り残され、落ちこぼれている人たちへの国としての税金で賄なう福祉制度の一部復活をしていかなければならない状況にあるのではないかというふうに考えております。そういう意味で、福祉保健部長にお伺いしたいと思います。
 次に、介護10年の具体的な課題について提起したいと思います。
 介護10年の節目での県民、介護事業所の人たちの声は、1つは、介護人材の確保のための賃金アップなど処遇改善を図るべきだ。2つは、施設待機解消のための施設整備を促進してほしい、認知症対応のサービスを充実してほしい、夜間を含めた24時間対応の在宅サービスを充実してほしいなど、主な点であります。とりわけ、デイサービスでの通所介護にショートステイ事業を組み合わせることの可能性も検討してほしい。
 また、ショートステイである中身は、全く不足しております。県全体のことは、私、わかりにくいんですが、田辺エリアの中では、3カ月待たないとショートステイに入っていけない。介護保険の本来の趣旨は、在宅を中心にしていくと。だから在宅で訪問介護を受けたり通所介護を受けながら、困ったときにショートステイで2日とか3日預かっていただけるというシステムが重要課題であったにもかかわらず、現実は、ショートステイで、ちょっと用事がある、どこかへ行かなければならない、そういうときに3カ月も待たなくてはいけないという、緊急の事態になかなか対応できないのが現在の実態であります。
 そういった点について、和歌山県は、このような介護認定のあり方や介護人材の実態、それから介護施設の状況など、県はどう把握して、今後どう改善していくのか、福祉保健部長にお伺いしたいと思います。
 次に、紀南こころの医療センターについてです。
 これについて、新聞等でも話題になっておりますが、一部病棟閉鎖の危機状況であります。
 今まで6病棟あったのが、現在4病棟、引き続き、ことし、来年23年あたりでは2分の1の3病棟に減らしていこうという状況が生まれております。
 病床数は、ことし、まだ平成22年は254、平均入院患者数が190人、平均外来患者数が、県下でも最高の185人の外来患者が訪れるという状況であります。医師は、現在、非常勤を含めて8名でありますが、これがことしでは、8名が6名になり、この9月には5名になるとされております。さらに、雪崩現象的で、医師がこれよりもっと減るんではないかという、4名になるんではないかということまで推測されております。したがって、入院患者は今190名、そのうち高齢者が、60歳以上が70%を占めるという状況でありますし、その190名の入院患者をどうするのか。185名の外来患者に対応するにはとても、現在の医師への負担が加わり、さらに退職される医師が出ないとは限りません。
 病院側は、医師5名体制でいくための入院患者を、今の190人を120人から130人に絞る、70人から80人を転院または退院させる方向で進められています。また、外来患者185名への対応は、これは絞るわけにもいきません。したがって、5名の医師体制では到底無理ですから、さらに医師1人に対する仕事の量がふえ、これも退職を余儀なくされる方向に進められるのではないかというふうに感じております。
 この紀南こころの医療センターは、紀南の中核病院として、田辺市周辺医療圏の外来診療、新規入院患者、精神科救急診療の役割を担ってます。大幅な入院ベッド数の削減と外来患者への対応ができない状況は、患者さんとその家族にとっては大変な事態であります。この現状を、県としてこの医師不足を解決するための医師確保への努力、それについては県はどのように支援していくのでしょうか。あわせて、当病院紀南こころの医療センターへの、いわゆる組織そのものの取り組み、医師が定着しないとか、いろんな問題がある中で、県として、その病院に対する改革への指導をどうされていくのか。この2点について、県の取り組みと指導について、福祉保健部長にお伺いしたいと思います。
 次に、気候変動に対応した産地づくりについてです。
 これは、ことしの低温、強風による農作物の被害に関係してではありますが、3月27日の被害、柿、梅を中心にして24億7000万、追い打って4月25日には、これも柿、梅を中心に1億5000万、5月23~24の強風によって、被害は梅、スモモを中心に2億6000万、総額29億円の被害であります。
 気候変動のもたらす農産物への影響は、毎年、それも年ごとに被害が大きくなってきています。農業は自然相手だから年によって仕方がないと言っていては農業経営は成り立たなく、農業を持続する力が失われてきます。
 果樹王国和歌山の産地を持続させるため、気候変動による災害、環境に負けない産地づくりをどうしていくのか。果樹王国和歌山の真価が問われるのではないでしょうか。
 1つは、気象災害や環境変化に強い品種改良や栽培技術を、研究のための研究でなく、現場で頑張っている人たちと研究機関が一体になった、テーマを決めた活動が求められているのではないでしょうか。とりわけ、ミカンの栽培可能地が北上していることへの対応は、産地県では国の研究機関との連携で今進められていますし、霜被害を防止するために受粉調整をどうしていくのかということの研究も実践的に証明されているところの県も出ております。梅でも、同じ園地でありながら、霜に強い種類の梅があったことも私は体験しております。私たちが努力していくことで可能性があると考えます。その意味で、1点目であります。
 第2点は、当面の具体的対応として、防霜ファンの設置を促進するための支援や、農業共済の適用等を含めた農業経営を持続して意欲を持てる施策が今求められています。
 そこで、農林水産部長にお尋ねします。
 気候変動による被害、環境に負けない産地づくりについて、県としてどう支援していくのかお伺いいたします。
 最後に、梅の需給対策についてであります。
 和歌山紀州産地の梅は、生産過剰なのか。私は、結論から言えば、そうではない。和歌山県の生産量は7万トン、そのうち青梅出荷1万6000トンと、梅酒等の加工が2500トン、梅干しとして約5万トンが加工されています。私たちが、今後、加工技術と新商品開発と販売網を確立するなら、この生産量は多くはありません。
 問題点は何でしょうか。1つは、中国梅の輸入量が2万2000トンであります。安売り競争の中でふえる可能性があります。紀州梅干しが2万5000トンで、梅干しに加工されております。そこで、中国梅は2万2000トン。合計4万7000トンの梅干しが加工されていますが、まあ言うたら2分の1、2分の1、そういう、紀州の梅干しと中国とが半分半分で加工されているという実態であります。こういう状況の中で、梅たるの在庫がある、需給調整をしなければいけない、こういうことで解決する問題ではないと私は考えております。
 私は、常々この議場でも述べさせていただいておりますが、地場産業を支えてきた梅産業は、生産する農家の人、地元で加工する人、販売する人、段ボール・ポリたるをつくる人、運送する人、みんな梅と関係する人たちが、この地域で支え合い、雇用を生み、地域でお金を生み、そのお金が地域で還流して地域の経済を支え合ってきた、まさに地域産業複合体として、また6次産業としてのモデルとして紀南地域をつくり出してきたと私は考えます。
 中国の梅の輸入は、ピーク時の4万トンを上回る状況から、今、2万2000トンと減少していますが、市場の動向は、梅の安売り競争で、中国梅がよりその加工商品の中心になりつつあります。
 私は、まず1つは、この地域を支えてきた生産農家があって梅産業があるというこの原点から見て、地域で生み出すもの、つくり出すものをその地域で育てていく地域の共同体という理念が今まさに私たちに求められているのではないかというふうに思うわけであります。こういった考え方も、今後のうめ需給・販売対策会議の中で位置づけていくことも、まず大切ではないでしょうか。
 具体的に、次に需給販売の視点からでありますが、生産価格と販売価格の調整も必要な時期に来てるのではないでしょうか。
 生産価格と販売価格の価格差が余りにも大き過ぎて、「紀州の梅は高いのう」と言われる部分が、かなり全国でもいると言われます。そういう意味では、一定生産価格と販売価格の調整が必要な時期に来てるんではないかというふうに思います。
 2つ目は、青梅の需給調整の役割であります。
 これが、今、市場では早出し弊害が非常に来ております。こういった意味でも、青梅の需給調整をどこが中心になってやるのかということについても、今度結成される販売対策会議でぜひとも検討されていただきたいというふうに思います。
 そして、販売が、イベント的でなく、日常的、継続的に進める販売戦略というのは、やっぱり人と組織の体制を梅需給販売対策の中にきちっと位置づけられていくべきではないかというふうに考えるわけです。
 さきに発表したうめ需給・販売対策プロジェクトに沿って、今後、県として需給対策にどう取り組んでいくのか、知事の御見解をお聞きしたいと思います。
 以上で、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの原日出夫君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県庁が身近な存在になるために田辺に知事室分室を設置したらどうかというアイデアを言っていただきましたけれども、まず、県庁が県民にとって身近な存在になるということは、まことに大事なことであるというふうに思います。そのためには、私のみならず、県の職員すべてがそのために努力をするということが大事ではないかと思います。
 地域にあっては、現在7つ振興局がありますけれども、これがそれぞれの地域において、県民にとって身近な存在になるというようなことが大事だと思っております。
 そういう意味では、知事室といった特定の組織の人のみならず、振興局全体あるいは大きく言いますと県庁全体がこのために努力をせないかん。
 具体的には、振興局長が市町村長や地域の方々の話を直接聞くとともに、地域振興部長が情報収集や政策のPRをする体制を整えてきましたし、さらには地域別担当者を配置して、市町村や住民の方々と交わって行政がより身近なものになるように指示しております。振興局長からは、毎週、それぞれの地域における動向についてレポートもいただいております。
 それから、その上で、私自身もできるだけ機会をとらえて地域を訪問し、住民の皆様と接してまいりました。昨年から、さらにこれに力を入れまして、行政報告会を続けております。
 今後とも、この流れをもっともっと積極的にやっていきたいと思います。私も含めてすべての職員が、振興局を拠点として、地域の課題に対して、市町村の方々や住民の皆様と一緒になって議論して、行動する行政を行っていけるよう努めてまいりたいと考えております。
 梅の需給対策についてでありますが、梅産業の振興、このためには販売促進に大変力を入れております。ことしも、実は後で申し上げます需給対策の1つの重要な柱として特掲をいたしまして、梅に関する販売促進に特に力を入れようということで、今、具体的な行動をやっているところでございます。
 また、生産も大事でありまして、これは生産体制を強化するというようなこともございますし、それから、冷害によって被害を受けた方に対する金融対策に大変力を注ぎました。その上で、どうもそれだけでは不足かもしれないということで、需給対策に本格的に取り組もうというふうに考えている次第であります。
 本県における梅産業は、生産から加工、販売まで一貫して産地で行う地域産業複合体として、まさに、議員御指摘のように地域を支える重要な産業であると認識しております。
 しかしながら、近年の景気の低迷により、消費者の購買力低下と低価格志向が進む中、梅につきましては、昨年来、需給バランスが崩れまして、白干し梅の過剰在庫が発生する事態に陥り、今後の作柄いかんによっては、さらなる在庫を抱える可能性があると憂慮しております。
 こうしたことから、県では先般、梅の生産、消費拡大、販売の3つの対策を柱としたうめ需給・販売対策プロジェクトを策定したところであります。梅産業は、これまでも生産者や加工業者等がともに支え合ってきた産業でありまして、今後もお互いが力を合わせて、より発展させていくということが重要であると考えております。
 このため、今回のプロジェクトでは、こうした方々に市や町、県も加わり、需給・販売対策会議をつくりまして、ここにおいて、在庫量の状況把握を初め、青梅出荷の奨励や梅干しにかわる新たな加工品開発など具体的な取り組みについて、幅広い観点から需給調整対策を検討してまいることとしております。
 今後、できるだけ早い時期にこの対策会議を立ち上げ、県がコーディネーター役を果たしながら、梅産業全体の安定的な発展に向け、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○副議長(坂本 登君) 福祉保健部長西上邦雄君。
  〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) 介護保険法に関する権限移譲事務についてお答えを申し上げます。
 介護保険法に関する権限移譲につきましては、平成20年5月に地方分権改革推進委員会が行いました第1次勧告におきまして、介護保険法の規定によります指定居宅サービス事業者の指定等の権限を都道府県から一般市へ移譲することとされました。
 これを受けまして、県では、住民に身近な行政はできる限り基礎自治体でございます市町村が担うことが望ましいとの基本姿勢のもと、和歌山県・市町村連携会議等におきまして県と市町村で協議を行い、市町村の同意を得た上で、昨年の9月議会におきまして事務処理特例条例の改正案を上程させていただきまして、平成23年4月からの一般市への権限移譲を御承認いただいたところでございます。
 県としましては、権限移譲を円滑に行うため、一般市職員に対する研修会を開催するとともに、現在、実務研修生を受け入れ、事務手続や実地指導等の研修を実施しているところでございます。
 今度も、引き続き、関係者への広報に努めるなど、権限移譲が円滑に行われるよう取り組んでまいりたいと考えてございます。
 なお、議員御提案の広域市町村圏等の受け入れ組織につきましては、権限移譲の実施状況を踏まえながら、市町村の御意見を聞き、今後、検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、「『介護保険10年』何が問題か」の2点につきまして、一括してお答えを申し上げます。
 議員御提案の措置制度のような新たな社会保障制度の創設についてでございますが、現在でも、在宅で生活が困難な高齢者の方を対象といたしました施設で、市町村の措置で入所する老人福祉法上の施設でございます養護老人ホームが県内に14施設ございますが、市町村の財政事情が厳しいこともございまして、ここ数年、その数はふえてございません。
 現行の介護保険制度におきましても、低所得者対策は講じられてはおりますが、やや不十分であることは認識してございまして、県としても、低所得高齢者対策は重要な課題と考えておりますので、国への要望も含めまして検討してまいりたいと考えております。
 次に、介護保険10年の具体的課題についてでございますが、高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みとして平成12年4月にスタートいたしました介護保険制度も、ことしで丸10年を迎えることとなりました。
 この間、要介護認定を受ける方やサービスを利用される方が大幅に増加し、県内の市町村が支出する介護給付費も、平成12年度の約360億円から平成20年度では約700億円と2倍になるなど、介護保険制度はそういった意味でもかなり定着してきたものと認識してございます。
 しかし、一方では、介護給付費の増大によりまして、第1号保険料は上昇を続けてございます。今後も給付費のさらなる増大が予想される中で、その費用をどう賄っていくかが最大の課題であると考えてございます。
 また、特別養護老人ホームの待機者問題や介護職員の低賃金、また、介護職員のマンパワー不足、要介護認定のあり方といった課題等も明らかになってきてございます。
 県としましても、介護人材の確保や処遇改善、介護基盤の緊急整備に積極的に取り組んでいるところでございますが、国においては、先月末から制度見直しの議論が始まったところでございまして、その議論を注視するとともに、機会をとらえまして必要な要望を行ってまいりたいと、このように考えてございます。
 次に、紀南こころの医療センターの現状と県の果たす役割についてお答えを申し上げます。
 紀南こころの医療センターは、平成10年度に県が開始をいたしました精神科救急医療システム整備事業におきまして、夜間・休日の診療体制を確保し、緊急の精神疾患による医療及び保護が必要となった方への対応ができる体制を持つ紀南圏域唯一の病院でございます。また、精神科を標榜する診療所等も少ない現状から、西牟婁郡を中心とした紀南地方の中核をなす精神科病院であると認識をしてございます。
 県といたしましては、常勤の精神科医師を確保することは非常に困難な状況ではございますが、同センターの入院患者の退院・転院の状況を見ながら、必要に応じまして、診療体制を維持するための医師派遣につきまして和歌山県立医科大学等に働きかけるとともに、勤務医の定着促進が図られるよう、同センターの取り組む開業医との連携、また医療クラークの配置、そういった就労環境改善策に対する支援を検討してまいりたいと、このように考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 農林水産部長阪中栄一君。
  〔阪中栄一君、登壇〕
○農林水産部長(阪中栄一君) 気候変動に対応した産地づくりに関する御質問にお答えいたします。
 本県の基幹作物である果樹につきましては、永年作物であるということで、結実までに期間を要する、また、気温や降水量といった気象変化の影響を受けやすい品目でございます。
 このため、県といたしましては、当面の対策として、気象災害発生時にその影響を最小限に抑えるよう、被害枝の除去や病害虫防除等の産地指導を行うとともに、中長期的な対策として自家受粉する梅の新品種NK14の育成普及や環境ストレスに強い台木の探索などに取り組むほか、国庫補助事業等を活用して、防霜ファン、防風ネットなどの設備導入を推進してきたところでございます。
 また、災害発生時の農家の経営支援対策といたしまして、農業共済の加入促進や、適宜、低利融資対策を実施してございます。
 しかしながら、近年、晩霜や降ひょうといった低温被害や強風被害が毎年のように発生する中、適地適作の原点に立ち返り、いま一度産地を見直すことも必要であると考えてございます。
 今後とも、国や大学の試験研究機関等との連携を一層密にしながら積極的に取り組むとともに、産地の皆様方とともに話し合いを行いながら、補助事業等を活用した気象災害に強い産地づくりを支援してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再質問を許します。
 34番原 日出夫君。
○原 日出夫君 答弁ありがとうございます。
 1番の、知事に対してまことに失礼な言い方でしたけど、やっぱり私、県会議員してても、なかなか知事と本会議でしか会う機会が少ないと、それぐらいしかないというぐらいですから、県民にとってはなかなか、そういう課題にすぐに会って議論をしていくとか、現状をともに理解してもらおうかという機会が少ないと思う。例えば、私が提起したのは、そういう定期的におることによって、我々も含めてですけど、そういう機会がつくられていくんではないかというふうに思いますので、ぜひ努力していただけたらありがたいと思います。
 次に、もう1つは介護保険10年で、私も、国の厚生省がパブリックコメントを求められましたので、ホームページを見まして、私自身、今言ったことを含めて、現場で問題になっている点を数点、パブリックコメントとして意見具申をしているところですけど、和歌山県としても、我々、実際10年の節目に、遅くはないですから、やはり現場の事業所や利用者、それと保護者、そういった人たちの意見をまとめる機会をぜひつくっていきながら、和歌山県として実態はどうなんかとか、これについては県として処理できるものと国へ要望しなきゃならん問題を整理する1つの節目としていい機会ではないかと思いますんで、それをぜひやっていただけたらと思います。
 次に、紀南こころの医療センターですけど、まさに今まで──ベッド数を半数にされるとか、実際に外来患者さんを制限するわけにいきません。だから、毎日185名来て、1診、2診、3診の診察あるんですけど、1人の医師が50人近い患者さんを、しかも内科ではありませんから、いろいろと相談する時間が非常にかかる、1人1人に対する時間が非常にかかるわけですから、そういう意味では、1人の医師にかかる負担というのは大変多いと、多過ぎる、重過ぎるということで、医師がなかなか定着しないという、そういう問題も抱えております。
 そういう意味では、私、この間、和医大の精神科医の教授の篠崎先生ともお会いして、和歌山県としての精神医療について意見を交換さしていただいたんですけど、実際に非常に厳しい事態を聞きながら、我々もなかなかこれをほっとけない事態だし、実際にことし、研修医が、精神科医でいつも毎年2~3名ぐらいあるらしいんですけど、ことしはゼロであったらしいです。
 そういう意味では、そういう部分にも我々県のほうもかなり協力していかないと、ますますこの医師不足に拍車をかけていくんではないかというふうに考えております。
 次に、1点だけ再質問させていただきたいですけど。介護保険に関する権限移譲事務についてであります。
 平成23年4月から介護保険法に関する事務の権限が一般の市に移譲されることになっていますが、和歌山市及び各町村が今回の事務処理特例条例に基づく権限移譲がなされていませんが、その理由について、まずお聞きしたいと思います。
○副議長(坂本 登君) 再質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長西上邦雄君。
  〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) 和歌山市及び各町村に権限移譲しない理由についてでございますが、事務処理特例条例による権限移譲につきましては、市町村の同意が前提となってございます。
 そうしたことから、和歌山県・市町村連携会議におきまして、約1年ほどかけまして協議を進めて、最終的に現在の形になったわけでございますが、その際の権限移譲につきまして、同意が得られなかったということが原因であるというふうに聞いてございます。
 また、各町村につきましては、地方分権改革推進委員会からの第1次勧告の移譲先、いわゆる対象にはなってなかったということもございます。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再々質問を許します。
 34番原 日出夫君。
○原 日出夫君 要望にかえますが、今の件で、私、ずっと──21年の9月議会ですか、9月に改定条例が提出された。
 条例提出というのは、我々見て、大体第何条第何項なんということしか目につかないわけですけど、1つは、改めてそれを見直しさしてもらうと、条例そのものは各セクションに全部またがっていて、それに対して、今度の場合は、権限移譲に関しては、介護保険だけでなくて、県土整備部もありますし、幾つかの分野にまたがった分野で一括で来てるわけです。
 その部分に、こういう、現場で大変な事態の状況を生み出すような問題についてのこういう分野については、私は、県議会としても責任はありますけれども、できるだけ当局はこういう分野は分割して、少なくとも各担当常任委員会へ、責任ある管轄の各常任委員会へ分割して条例を提案していくという形をとらないと、なかなか我々はそれを察知することができにくいというシステムになってますので、それを今後──やっぱり大事なことは、そういうことを各所管の委員会へ分割して条例を提出するというやり方を、当局はまずそういう姿勢に立ってほしいと、こう思います。
 次に、それと、私は、今言いました、県が条例一括ですから、市町村課が──これ、総務部長の答弁出してなかったんで非常に悪かったんですけど、総務部として、一括する場合は、もう総務部が一括して各市町村の事務段階の担当事務へばあんと流していくと。実際、それを受けたところについては、介護保険に関してはどうだということは余り審議されないまま事務処理に終わっていく可能性が非常にあると。
 今回、そういう意味では、実際にこの介護保険に対してはそういう矛盾が起こったわけですから、事実上それに伴って事務移譲された市にとったら、これに伴う事務処理がやっぱり膨大になってくる。そのための人的処理保障をしていかなあかんし、財源的措置をせなあかん。
 しかも、介護保険という中身からいえば、くどいようですけど、先ほど言いましたように、一市の問題ではないし、一町や村の問題ではないと。少なくとも広域圏にまたがった利用者を事業所は抱えているという中身の問題からいえば、少なくとも事務的権限移譲の問題を超えて、中身は広域的な観点でこれに取り組んでいく現場の声をまとめ上げていくべき状況にあるんではないかと。
 それで、このことはもう、くどいようですけど、とにかく僕は内閣府と厚生労働省にそのことを問題提起したら、それはもう本当に現場が、そうなる場合は事務的、画一的にやらしてはならんし、時間も十分かけるべきだということをきちっと言われていますから、だからそういう部分を含めるなら、そういうことの状況があるなら、もう一度、23年からすぐ実施するという事務的処理ではなくて、現場がスタートできやすい状況の組織の見直しや実行のやり方の時期をぜひ検討していただきたいということを要望して、終わらせていただきます。ありがとうございました。
○副議長(坂本 登君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で原日出夫君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 32番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、順次一般質問を行ってまいりたいと思います。
 御坊市は、今年度から、近畿で初めて子宮頸がんの予防接種事業に乗り出しました。
 子宮頸がんは、性交渉に伴うウイルス感染が原因で、唯一ワクチンで予防できるがんとして世界的に予防接種が実施されています。我が国でも、近年、20~30代の女性に子宮頸がんが増加し、毎年約3500人が亡くなっていると言われています。
 昨年秋、ようやく厚生労働省がワクチンを認可して以来、ワクチン接種事業は、御坊市のほか、栃木県大田原市や新潟県魚沼市を初め全国に広がっています。
 御坊市では、対象を性交渉の低年齢化から思春期前の小学6年生女子とし、今年度120人を見込んでいます。ワクチンは3回接種し、費用は1回1万7500円で、3回で5万2500円が必要ですが、市が単独予算630万円で全額負担します。財政負担は大変ですが、子宮頸がんを確実に予防できることや、がん検診の受診率向上、ひいては医療費の将来的財政負担の軽減になるとして、対象者全員の接種を目標に啓発活動を進めています。
 今回の御坊市の取り組みは、世界や国の動向をいち早く取り込んだ政策と私は大変誇りに思いますが、知事はどのように評価されますか。また、支援策も含め、今後の県の取り組みをお聞かせいただきたいと思います。
 2番目に、観光客誘致について、2件伺います。
 まず、中国人観光ビザの緩和について。
 外務省は、5月18日、これまで富裕層に限っていた中国人個人観光客向けの発給要件を、来る7月1日から緩和し、中間層にも発給することを発表しました。従来は、年収が25万元(約340万円)程度必要とされていましたが、今後は6万元(約85万円)で訪日個人旅行が可能になりました。対象となる世帯は10倍の1600万世帯で、世帯主だけではなく家族も申請できるため、申請が急拡大することが予想され、現在100万人の中国人訪日観光客数が一挙に10倍の1000万人にもなると言われております。
 中国は金融危機からの立ち上がりも早く、平均年収5000ドルが目安とされる海外旅行ブームが起きており、昨年は4700万人が東南アジアを中心に海外へ出かけたそうです。
 先般、県議会日華友好議員連盟で訪台した際、故宮博物院では中国本土からの観光客で歩くのもままならないほど超満員で、台湾人ガイドは「戦争をしなくても既に占領されている」とジョークを飛ばしておりました。
 そこで、本県では、以前から予測されていた緩和がいよいよ実施され、10倍も観光客がふえるという事態に対し、特別何か準備をしているのでしょうか。取り組みを御報告願います。
 次に、映画、小説等による誘客について伺います。
 昨年、中国では「非誠勿擾」という映画が大ヒットし、ロケ地の美しい風景に感動した中国人が北海道に押し寄せているそうです。
 映画は、正月映画で有名な馮小剛監督の作品で、国民的俳優の葛優と舒淇が主演し、一昨年末の封切り直後から爆発的な人気を呼び、中国全土で毎日数十万人が見たと言われています。題名の「非誠勿擾」は、本気でつき合える人を望むという意味で、結婚相手をインターネットで公募した金持ちの中年男と、それに応募した客室乗務員の恋愛物語です。2人は、映画の後半で北海道に渡り、釧路、阿寒湖、知床などで悲喜劇を繰り広げ、昔の男への思いを断ち切れない女が能取岬で自殺未遂を図る場面でクライマックスを迎えます。そして、この映画を見た中国人の多くは、美しい自然に感動し、北海道へ行きたくなるのだそうです。監督が北海道を選んだ理由は、自身が以前に旅行したとき、とても美しいところだと感じ、撮影したいと思ったそうです。
 一方、本県の姉妹州アメリカ・フロリダ州にあるエバーグレーズ国立公園でも、アーチストに無償でロッジを貸し出し、創作の場を提供することにより、作品で公園を売り出してもらうという事業を展開しています。既に35人が利用し、エバーグレーズのすばらしい自然が絵画や写真、小説で紹介されています。
 本県でも、かつて神坂次郎先生が、ホテルの空室を創作活動の場に提供してはどうかと御提案されたことがありました。残念ながら実現はしませんでしたが、お願いはしなくても、司馬遼太郎先生のように別荘を持つ人がいるほど、気候、自然、文化に恵まれているのですから、本県も芸術家や小説家に滞在を呼びかけ、創作の場を提供してはどうかと考えますが、知事の御所見を伺います。
 なお、平成20年9月定例会で提案したNHKの「街道てくてく旅」が、現在、熊野古道を舞台に連日生放送されています。知事は、わざわざNHK本部にまで出向いて要請してくださったと聞いております。この場をおかりしてお礼を申し上げておきます。ありがとうございました。
 3番目は、世界遺産と観光振興について伺います。
 まず、世界遺産について。
 平成10年2月定例会において、門三佐博議員が高野山の世界遺産登録を提案され、以来、多くの皆さんの御支援、御努力のおかげで、平成16年7月に紀伊山地の霊場と参詣道が国内10番目の文化遺産として登録されました。その間、県議会においても、平成15年に、当時の尾崎要二議長を団長に、ユネスコ本部に松浦晃一郎事務総長を訪ね、直談判を行うなど、それぞれの立場で応援してまいりました。
 世界遺産の登録は、これまで私たち和歌山県民も、自分たちのふるさとが田舎の少しおくれたところなどと自信を失っていた嫌いがありましたが、世界遺産登録で、和歌山の文化や自然は、決しておくれたところではなく、世界に誇り得る立派なふるさとであることがわかり、大いに自信を持ったものであります。しかも、世界遺産の経済的効果は絶大で、多くの観光地で入り込み客が増加しています。
 しかし、和歌山のすごいところは、世界遺産以外にも世界遺産にまさるとも劣らない文化財や自然が多くあることです。それらの活用については、既に平成16年9月定例会で一般質問したとおりですが、例えば日高地方の道成寺にまつわる「安珍清姫物語」は、熊野古道を代表する街道物語で、文楽や歌舞伎などの古典芸能では道成寺物という一大ジャンルを形成しており、道成寺は単独でも世界遺産級であります。このようなすごいものでも取り残されているので、今年度の追加登録に向けた基礎調査の予算が計上されたことに大いに期待をいたしております。
 この際、この場での世界遺産登録の効果と追加登録へ向けた知事の意気込みをお伺いいたします。
 次は、寺内町観光について。
 かつて御坊市は、紡績工場が立地し、商店が建ち並び、新地が2カ所もある日高地方の政治経済の中心地でした。年末ともなると、大売り出しには郡内からの多くの買い物客でにぎわいました。商工祭ではパレードが行われ、私が中学生のころ、イベントでは当時流行のパクパクコンテストが開かれ、テレビ番組での司会者、横山プリンとキャッシーが来て歩けないほどの人通りでした。
 その後、時代は流れ、大型店の進出や地場産業の製材業の衰退があり、まちは寂れ、今や商店街を行き交う人はまばらであります。さらに、人口の減少とスプロール化が進み、旧町内では空き地が目立っております。空き家も、去年の選挙で回ってみて、その多さに驚きました。
 御坊市では、衰退傾向があらわれた昭和60年ごろ以降、区画整理事業や街路事業も計画されましたが、なかなか地元調整がつかず、来るべき東南海・南海道地震に備えた課題さえ持ち越したままであります。
 逆に、最近では、古い町並みを生かしたまちおこしに取り組む人たちがあらわれました。日高別院や周辺の町並みをめぐる寺内町観光を売り出そうと、商工会議所が中心になって頑張ってくれています。
 御坊のまちは、1528年、戦国武将湯川直光が摂津の国で三好長慶に敗れた際、山科本願寺の証如の助力で帰還できたことに感謝して建立した吉原坊舎が現地に移築されたのが始まりで、地名もこれに由来します。現在の寺院は、まちの有力者たちが大阪で富くじを当てて寄進した江戸時代の建築物で、この寺院を中心に、中町、西町、東町、元町、横町、新町とまちが形成され、江戸、明治、大正、昭和と各時代の特色のある町並みが残されています。
 私も、以前は、そんな御坊の古びたまちは、道路も狭く、災害にも弱い木造住宅が建ち並ぶので再開発すべきと思っていました。しかし、湯浅町が平成18年に重要伝統的建造物群保存地区に指定されたのをきっかけに、それなら御坊市もと思い、県教育委員会で伺うと、文化庁とは、湯浅だけではなく、ほかのまちでも指定に向け努力してはと話している、その候補地は、九度山、海南、御坊、太地であるとのことでした。目からうろこが落ちるとはこのことで、御坊は再開発すべき古びたまちでは決してなく、実はお宝であることがわかりました。
 知事も、今春、御坊市会議員の皆さんとの懇談会で、寺内町観光についてお褒めいただいてたと伺っておりますが、ここで改めて御坊の町並みの評価と緒についたばかりの寺内町観光への支援について、知事の御見解をお伺いいたします。
 最後に、食育の推進について伺います。
 先月、太地町へお伺いする機会があり、三軒一高町長、三原勝利町議会議長を初め議会の皆さんと懇談させていただきました。町長から、現在公開されている反イルカ漁宣伝映画「ザ・コーヴ」や水銀健康影響調査結果などについて伺いました。
 かつて牛や豚を食べる習慣のなかった日本人にとって、鯨は海の恵みであり、熊野水軍の流れをくむ古式捕鯨や、鯨の頭の先からひれの先まで何一つ無駄にしないという精神は、まさに日本文化そのものでありました。戦後の南氷洋捕鯨は、空腹の日本人に貴重なたんぱく源を提供しました。全面禁止後も調査捕鯨は残り、鯨の歴史や文化を継承してきました。国際捕鯨委員会で意見を述べるなど、その中心でいつも太地の皆さんが活躍してこられたわけですが、今回の文化テロともいうべき映画の襲来には随分お困りの様子でした。
 この事態は、私たち県議会も、太地の人たちだけの問題として片づけることなく、県民の問題、いや、日本人の問題であることを認識し、歴史と文化を守る運動のお手伝いをしようではありませんか。よろしくお願いいたします。
 また、食育に関し伺ったことですが、今日、日本人に犬肉を勧めても、だれも食べません。捕鯨が全面禁止されたとき、そのまま鯨肉を食べることができなくなっていたら、これまでの食習慣が消えてしまう、そうなれば、鯨も犬肉のようにだれも食べなくなる、そんな危機があったそうです。しかし、それを守ってくれたのが県教育委員会の鯨肉給食普及の取り組みであると高く評価してくれておりました。
 話は変わりますが、5~6年前、長野市へ出張したときのこと、駅前でリンゴを買おうとすると、ミカンをおまけしてくれると言うのです。私は「和歌山から来たので要らない」と言いましたが、信州ではミカンがリンゴのおまけになっていることに大変がっかりいたしました。甘さをきわめたリンゴが売れ、努力を怠ったミカンが売れなくなったというNHKの番組を思い出しました。甘さは、だれもおいしいと感じますが、酸っぱさや苦さは訓練しないと味わえない大人の味だということでした。
 日本マクドナルドの故藤田田社長は、「人は12歳までに食べたものを一生食べ続ける」と言っておられます。その理論に従うと、まさに学校給食で食べたものを一生食べ続けるということであります。つまり、学校給食はそれほど大切であり、給食に地元の食材を提供するということは、まさに地域の産業を守ることであり、ひいては文化を守ることにつながります。
 そこで、学校給食での鯨肉普及についての教育委員会の実績と今後の地産地消について、教育長の御見解を伺うものであります。
 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、子宮頸がんの予防対策についてでございます。
 御坊市が、この7月から、県内の市町村の先頭を切って子宮頸がんワクチン接種者に対する助成制度を開始されることをお聞きいたしておりますが、これは地域住民の感染症対策、がん予防対策を行う上で大変意義のあることだと考えておりまして、このスピード感も含めて大変敬意を表しているところでございます。
 県におきましても、既に県議の先生方からも、種々これについては御提言をいただいております。そういうこともございまして、来年を目指して、新政策の検討の中で、その実現の可能性をあらゆる角度から、これは財源の問題もございますが、検討しているところでございます。
 まずは、その第一歩として、子宮頸がんワクチンを、小児の細菌性髄膜炎を予防するためのヒブワクチンとか、あるいは肺炎球菌ワクチンとともに予防接種法に位置づけるよう国に提言したところでございます。
 また、県といたしましては、国の動向等を注視しながら、引き続き接種者への支援のあり方などについて検討してまいりたいと考えております。
 次に、中国人の観光客の問題でございます。
 議員お話しのように、中国人の個人観光ビザ取得の容易化のための措置がことし7月に実施されることによりまして、観光分野における日中間の人的交流が一層発展することが期待されると考えます。
 そこで、県では、中国を本年の観光振興の面での重点国と位置づけまして、上海万博への出展あるいは山東省や遼寧省との友好関係を生かしながら、有望市場であります中国に対して、現地旅行社へのセールスや現地メディアでの本県PRなど、プロモーション活動を強化してまいりたいと考えております。
 次に、和歌山を題材にした小説等による誘客のための文化人招聘ということでございます。
 和歌山を題材にした小説等の創作の場を提供してはどうかということでございますが、小説や写真に本県の風景等が表現され、多くの人々に注目されることによるPR効果は相当大きいものと考えられます。
 私も、有名作家に、和歌山人をテーマにして壮大な物語をつくってくださいませんかとか、あるいはテレビ局に、そういったテーマで番組をつくってくれませんかと、いろいろ依頼をしまくっております。御指摘のように、現在、BS2の「街道てくてく旅。熊野古道をゆく」という番組が始まっておりますが、その中で生まれたものであると考えております。
 しかしながら、考えてみますと、もっともっと観光振興のためにいろんな種があるなあというふうに最近思っております。壮大な物語でなくても、1つの場面でも、そういう場面でもいいかもしれませんし、あるいは議員御指摘のように、有名作家が書斎を構えるというようなことでも十分PRになるというふうに考えます。
 つきましては、議員御提案のような支援策についての需要や効果などを十分踏まえまして、例えば、主な出版社等に対して聞いてみるとか、あるいは作家などに直接働きかけをしてみるとか、いろいろ努力をしていきたい、こんなふうに考えております。
 続きまして、世界遺産登録効果と追加登録に向けての意気込みでございます。
 高野・熊野の世界遺産につきましては、特に西洋人には大変な評価をされています。その一例が、フランス・ミシュラン社が発行する旅行ガイド「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」に、高野山が三つ星、熊野が二つ星として掲載されるなど、魅力ある観光資源としてのブランド力を有していると考えております。
 本県への観光客入り込み数の推移を見ましても、世界遺産登録年の平成16年、これが長期的な低落傾向に歯どめをかけて、また戻った年でありますが、6年連続3000万人を突破するなど、観光の振興に多大なる役割を担っているものと考えております。
 さらに、紀伊山地の霊場と参詣道には、議員御指摘のように、現在世界遺産に指定されているところだけではなくて、紀伊路など、世界に誇れる魅力を有しながら世界遺産として具体的に指定されていないところというのがまだまだございます。それから、国宝とか重文とか、そういうものも、これまたたくさんございます。ございますが、さらにその予備軍と言ってもいいかと思いますが、まだ指定されてないものも、これまた物すごくたくさんあります。これらを、例えば世界遺産に追加登録する、あるいは重文や、あるいは国宝にどんどんしていく、そういうことが大事だと思います。
 世界遺産に追加登録するためには、文化財保護法に定める史跡や重要文化財としての指定がまず必要でございまして、本年度から、そのための作業に着手したところでございます。
 世界遺産は、和歌山を売り出す最大の魅力でありまして、これらすばらしい資源を少しでも早く世界遺産に追加登録いたしまして、その価値を後世に伝えるとともに、世界遺産というものが持っている情報発信力を有効に活用することで本県観光の振興を図ってまいりたいと考えております。
 次に、御坊市の寺内町の観光でございます。
 近年、まち歩き観光がブームとなりつつある中、日高別院を中心に発展した寺内町は、現在も古くからの民家が数多く残り、歴史的な風情を感じさせるなど、非常に将来性のある観光資源と認識しております。
 また、平成18年度に御坊市教育委員会で実施された調査では、母屋、蔵など複数の建物が連続して配置されている民家等の外観が高く評価されておりまして、文化的にも非常に貴重なものであると考えてございます。
 現在、地元においては、寺内町を紹介するパンフレットの作成や、古い町屋の改築による立ち寄りスポットづくりを進めるなど、寺内町を観光振興に生かそうという機運が盛り上がりつつあります。
 こうした状況を踏まえ、県におきましても、地域と協働してマスコミ等への情報発信や旅行会社への商品造成の働きかけなどに取り組んでおりますが、もっともっとやるところはあると考えております。
 今後とも、周辺にあるとても短い紀州鉄道とか、あるいは日高港のエネルギーパークとか、あるいは花卉団地とか、そういうようなさまざまな観光資源と結びつけながら、寺内町観光の魅力向上、誘客促進など、積極的に対応してまいりたいと考えてございます。
 御指摘のように、御坊市のパンフレット、すばらしいものがございます。それに比べると県の取り組みは少し出おくれておるかなという感じもいたしますので、今後、御坊市とよく相談をしながら、あるいは地元の人たちと協力し励まし合いながら、いろんな手だてができないかどうか、積極的に考えてまいりたいと考えております。
○副議長(坂本 登君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 学校におきます食育の推進についてお答えいたします。
 和歌山県では、食育の一環といたしまして、平成17年1月から、伝統的な食文化を子供たちに伝えていくという趣旨によって、鯨肉を使用した学校給食を実施しております。
 昨年度、県内では、給食を実施している小学校、中学校及び特別支援学校の約70%において、学校給食に鯨肉が使われており、県外にも普及してきております。
 今後も、鯨肉を供給しております和歌山県学校給食会を通じまして、他の地場産物とあわせ、さらに普及啓発を図ってまいりたいと考えます。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時12分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○議長(冨安民浩君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 43番藤井健太郎君。
  〔藤井健太郎君、登壇〕(拍手)
○藤井健太郎君 議長のお許しをいただきましたので、通告に基づきまして一般質問を行います。
 まず、地域主権改革についてお尋ねをいたします。
 昨年11月17日、国は、これまで地方分権について審議をしていた地方分権改革推進委員会にかわって地域主権戦略会議を設置いたしました。
 戦略会議は、地域主権改革とは、住民の身近な行政は地方自治体が担うようにし、住民の判断と責任において取り組むことができるようにする改革であると定義、明治以来の中央集権体質から脱却し、この国のあり方を大きく転換させるとしています。
 昨年12月の第1回会合において、法令による施設の設置基準や計画策定などについての義務づけ、枠づけの見直しをする地方分権改革推進計画を決定、同時に地域主権改革工程表(原口プラン)というものを了承しました。
 工程表を見ますと、少しずれ込むとのけさの報道もありましたが、ことしの夏までに戦略大綱を、2013年夏までには地域主権推進大綱を策定するとして、今後4年間に、規制関連では、法令による自治体施設の義務づけ、枠づけの見直しを順次進め、自治体への権限移譲、予算関連では、補助金を廃止し、一括交付金化と地方の自主財源の強化、国直轄事業負担金の廃止などを、法制度では、自治体間連携の自発的な形成と国の出先機関の改革とあわせ、人員の地方移管の検討を進め、地方政府基本法の制定を目指すとなっています。
 この4年間を1つの区切りとして、地方分権に関する施策をこれまでにはない速さで進めていくという意気込みが感じられますが、一方では、国民的な議論を必要とする問題も多く含まれているように思います。
 既に、プランに基づいて、参議院では、地域主権改革推進一括法(1次分)と国と地方の協議の場に関する法律が先議をされ、与党の賛成多数で可決、衆議院に法案が送られています。
 今回の地域主権改革推進一括法は、41法律を一括改正するもので、これまで国の政省令で定めていた施設の設置や管理運営に係る基準を県の条例で規定すること、自治体の事務について国との協議や同意、国の許認可などを原則廃止すること、自治体が定めることとする基本構想などの計画策定義務の廃止などとなっています。特に、施設の設置、運営基準については、保育所などの児童福祉施設、特別養護老人ホームなどの高齢者介護施設、障害児者施設、公営住宅など、住民生活に直接かかわるものが多くあり、これまで国が定めていた基準について基本的に参酌すべきものとして、自治体の判断にゆだねるという内容になっています。
 これまでのような国が施設ごとに定めた基準をなくし、施設ごとの補助金、負担金も一括交付金化することによって地方自治体の裁量権が拡大されるという側面もありますが、知事の政治姿勢と財源のありようによっては地域格差がさらに広がることが懸念をされます。
 政府の第1回戦略会議の場で、原口総務相は、「地域主権を進めれば、地域格差はかえって広がっていくという主張もあるが、ある意味ではそのとおりである。間違ったリーダーを選べば、そのリーダーを選んだツケは選んだ人に来る。この当たり前のことが行われる」と発言をしています。
 リーダーの政治姿勢がどちらを向いているか問われることはもちろんのことですが、結果として、福祉が悪くなったのは住民が間違った選択をしたからという住民への責任転嫁が強調され、憲法が定める生存権などの人権保障に対する国の責任が免罪されることにもなりかねません。
 今般の一括法では、福祉施設の職員の定数、利用者1人当たりの居室面積など、人権に直結する基準は国が示すガイドラインを地方が従うべき基準にするとしていますが、地方が従うべき国の基準がどう示されるのか、現在と同等なのか、引き上がるのか、それとも引き下がるのか、またその財源は国がどの程度まで保障してくれるのか、参議院の審議では明確にされませんでした。
 一方、厚労省が、ことしに入って、認可保育所の定員を超す受け入れの上限の撤廃や、特別養護老人ホームの居室面積基準を引き下げる動きをしています。保育所などの児童福祉施設の最低基準は昭和23年に決められ、最低基準を超えて設備、運営を向上させていくことや、超えている施設は設備や運営を後退させてはならないと定めていますが、今回の受け入れ定数上限の撤廃は、昭和23年策定の最低基準に限りなく近づけていくことを容認するものとなっています。
 戦略会議が示す地域主権改革の無批判的な推進は、福祉施設などの基準を引き下げた上で財政責任もあいまいにする結果となるのではないか、大いに危惧をするところです。
 全国知事会は衆議院での一括法の早期成立を求めていますが、国の示す基準の引き上げや財源保障の明確な手だてこそ強く求めていくべきであると思います。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。
 1点目、住民や自治体にとっての地域主権とは何か。地域主権改革とはどういうことでしょうか。住民の生活や住民福祉の向上を目的とする自治体の運営は、どのようになっていくと考えておられるのか。今、国が進めようとしている権限移譲と一括交付金化は、かつての三位一体改革のように、仕事量はふえるが、財源は減らされ、地方負担がふえるという結果にならないか。ひいては、工程表では自発的な自治体間連携を進めるなどと言われていますが、財源の厳しい自治体にとっては、さらなる自治体合併や広域行政を強いられることになりはしないか。
 2点目、国と自治体の役割についてですが、国が負うべき国民の権利保障への責任をどのように考え、国の最低基準のあり方、財政責任のあり方をどう考えておられますか。国には、憲法が要請している国民生活のナショナルミニマムを示し、絶えず向上を目指すことと、その実現にふさわしい財源保障を行うことが求められています。自治体には、国施策の上乗せ、横出しなど、国施策の拡充をしたり、国の施策の補完や、また、地域独自の住民要望にこたえる事業を進めていく役割が求められているのではないでしょうか。
 3点目、条例化への対応について。一括法では、国の示す基準を参酌して、都道府県が条例で施設の設備や運営に係る規定をすることとなっています。条例を策定すると、県が責任の主体となってきます。条例化についての基本的な考え方、国の基準よりも充実させていくという立場に立って臨もうとされるのでしょうか。
 4点目、国への基準引き上げと明確な財源確保の要望について。国に基準の引き上げや住民にも内容のわかる財源保障の手だてを求めていくべきではないでしょうか。地方交付税に算定されているという一般財源化や一括交付金でくくられては、国からどのぐらい財源が来てるのか住民にはわかりません。交付税措置されているから、一括交付金に含まれているからというだけでは国、県の財政責任の所在が明確にはされないと思います。
 次に、地場産業、中小企業振興についてお尋ねをいたします。
 内閣府が5月に発表した月例経済報告の景気の今後の見通しについて、景気は着実に持ち直してきているが、失業率が高水準にあるなど雇用状況には厳しいものがある、先行きについては景気の持ち直し傾向が続くことが期待されるとなっています。
 県発表による5月の県内経済動向では、鉱工業生産指数が4カ月連続で上回り、回復傾向にある、消費動向は、新車登録台数が10カ月連続で、新築住宅着工数は2カ月ぶりに前年を上回ったものの、小売店販売額は、大型店で16カ月連続、全店では24カ月連続で前年を下回ったとされています。雇用面では、有効求人倍率は0.54倍で、前月から0.01ポイント改善したものの、前年同月と同じ水準。
 社会経済研究所は、県内景況感、見通しともに不安要因はあるものの、改善の方向であるとしています。雇用面や消費面での厳しさはあるが、景気はおおむね回復の兆しを見せているという評価になっています。果たして県内の地場産業、中小企業をめぐる状況は、改善の方向と見ていいのでしょうか。
 5月に入って、染色・繊維関係や建具、ふすまなどの木工加工の製造業を中心に、市内の一定規模の事業所について訪問をしてまいりました。「国産品づくりで頑張っているけど、売り上げが大幅に落ちてきて、給料支払いがきつく、とうとう雇用調整助成金を活用した」、「売り上げが3分の1に減り、機械のリース料支払いに困っている」、「周りの建具屋が減ってきてるので仕事は回ってくるようになったが、安くて割に合わない」、「自分で3代目になるが、同年代の若い職人がいない。定着しない。いつまで続けられるか不安」など、ついいい話を聞くことはできませんでした。
 訪問した中には、1年以上の赤字続きで従業員にもやめてもらった、仕事はあるときだけにしていて既に廃業を決めているといった事業者が2軒あって、いずれも話を聞きますと、事業を継いだ方々で、30代、50代という働き盛りの経営者でもありました。静まり返った広い工場の中で、動かない機械を前に廃業という話を聞かされると、大変つらいものがありました。
 県がまとめた産業白書によると、平成18年の県内の農林漁業を除く民間の事業所数は5万2345事業所で、従業員数は35万6149人となっています。平成13年との比較では、5年間で3918事業所、従業員1万4381人の減となっています。
 その中でも、一定の事業所数があって減少率が大きい産業として製造業があります。平成18年4483事業所で、この5年間で787事業所、15%の減少となっています。同じ時期での建設業6%の減、卸小売業12%、飲食・宿泊13%の減と比較しても大きいものがあります。
 製造業の中でも、特に繊維・衣服の30%減、皮革22%減、木材・木工加工16%減が大きいものとなっています。これらは、いずれも地場産業と呼ばれる事業所です。
 地場産業は、明治以降、地元資本をベースとする中小企業が一定の地域に集積し、地域内の特産物を主原料として、地域内で技術、労働力、資本を蓄え、県内外に広く販路を目指してきたものとされています。100年以上の歴史を持つ企業もあります。
 地場産業24業種は、和歌山を代表する産業とも言えます。県工業に占める地場産業の割合は、事業所数で5割、従業者数で4割と大きな比率を占めており、地域の経済と雇用だけではなく、地域の文化やまちづくりにも貢献し、自治体財政も支えています。
 ところが、県の製造業振興に直接かかわる条例を見ますと、平成21年、昨年10月施行の新技術の研究開発、実用化を目的にした新技術創出推進条例のみという状況です。
 新技術創出推進条例は、先駆的産業分野において卓越した新技術の創出と実用化を図る研究開発に支援を行うというもので、支援の対象を、ロボットなどの加工組み立て技術、化学や分子・原子の大きさで製品加工するナノテクノロジー、医療福祉、遺伝子操作などのバイオテクノロジー・食品加工、エネルギー環境の分野と限定しています。今後伸びていくであろうと言われる産業分野への支援であり、支援を受けられる事業者は、資金の調達や人材が確保でき、市場で既に競争力を持ち得ている事業者でもあろうかと思います。それをさらに伸ばそうという支援になっています。
 また、県は、22年度の中小企業者向け主な支援策として、国の施策も交えて、経営支援、技術開発支援、新事業創出支援、融資による資金支援、雇用支援の5つを柱として、45の施策を複数の部局にわたってメニュー化しています。商工観光労働部では、重点個別施策34事業が予算化されています。
 支援策のメニュー化はふえつつあり、中小事業者への支援を着実に進めていこうという姿勢はよくわかりますが、これまでにも中小の事業所を訪問して感じていたことですが、自治体行政の施策については、融資制度以外ほとんど知られていないし、利用してみようかという話も余り聞きません。県の施策についても同じことが言えます。
 県は、「県民の友」5月号に産業振興特集を組んだり、産業別の担当者を決めて訪問を重ねたり、事業所を訪問してカルテづくりを進めるなど、支援の手を伸ばしていこうとされています。それがどこまでの事業者に行き渡って、どのぐらいの事業者が利用できるものとなっていて、内容は事業者のニーズにこたえることができるものとなっているのでしょうか。
 知事は、新たな技術開発とすぐれた製品の販路開拓を進め、ものづくり王国「和歌山」を国内外に発信していくと言われました。和歌山も、かつて各産地でそれぞれの地場産業が栄え、工業県としてものづくり王国を誇る時代もありました。知事の言うものづくり王国「和歌山」とは、どのような構想を持っておられるのでしょうか。一部の既に競争力のある事業所だけの話になってしまうのではないでしょうか。まさに知事の言う「だれも見捨てないぞ」という立場で、全事業所を視野に入れた施策体系を望みたいと思います。
 中小企業対策は、国の施策に負うところが大きいですが、地方自治体の責務としても施策の策定と実施が求められております。地域の実態と諸条件に応じての中小企業振興に係るタイムリーな施策が求められています。それは、特定の産業、特定の事業者だけを対象にするものであってはならないと思います。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。
 1点目、地場産業の置かれている状況と今後の見通しをどのように持っておられますか。県内地場産業全体としての底上げが図られ、減少傾向にある事業所数がふえていくという展望はあるのでしょうか。
 2点目、製造業振興に係る県の役割と利用実績について。
 製造業は、すべての産業の富の源泉でもあります。物づくり、製造業振興における県の役割は何だと考えておられるのでしょうか。また、県の製造業振興に直接かかわる支援策の利用実績はどうなっているのでしょうか。制度融資を除いて、どのぐらいの事業者が利用できたのか。どのぐらいの事業者への支援につなげたいと考えておられるのでしょうか。また、新技術創出推進条例では、支援対象の優先分野が設けられ、募集が始まっていますが、県内に支援対象となる事業者がどのぐらいあって、実際にどのぐらいの事業者への支援につなげたいと考えておられるのでしょうか。
 3点目、この際、地場産業振興条例もしくは中小企業振興条例の制定を考えてはいかがでしょうか。
 本県は、全事業所に占める中小零細事業者の割合が全国一だとも言われております。条例制定は、県の地場産業・中小企業振興に取り組む立場、方針を県の責務として明らかにすることができます。
 条例では、全事業所を視野に入れた中小企業振興に係る理念、基本方針、県の責務、後継者・人材育成や販路開拓も含めた施策体系、中小企業振興を進める市町村への支援など、明確にしてもらいたいと思います。
 1999年、中小企業基本法が改定をされました。その第6条では、地方自治体の責務として、「国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の自然的経済的社会的諸条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する」とあります。施策の策定から実施まで責任を負うこととなっております。旧法では国の施策に準じて施策を講じるように努めなければならないとなっていて、中小企業支援は国のメニューの範囲内で施策を実施してきました。地方自治体の中小企業振興にかかわる役割が拡大され、努力義務から実施義務へと、より明確にされたわけです。
 最後に、職業訓練についてお尋ねをいたします。
 厚労省は、全国に83カ所ある地域職業訓練センターを今年度末で廃止し、建物を希望する自治体に譲渡するという方針を示しました。県内では、新宮市、田辺市、日高町の3カ所に該当する施設があります。
 地域職業訓練センターの設置目的は、機構によりますと、地方産業都市を中心とする地域において中小企業に雇用される労働者に対し各種職業訓練を行う事業主、団体、地方自治体などに施設を提供し、地域における労働者の職業生涯を通じた訓練体制を確立するとともに、地域経済社会への発展に寄与することとしています。
 設置は、都道府県からの設置要望に基づき、国が設置決定し、現在の独立行政法人雇用・能力開発機構が設置者となり、土地は県または市から有償で借り受け、建物は雇用・能力開発機構が建設をしています。運営は、雇用・能力開発機構が地元県・市を通じて職業訓練法人に運営を委託しております。
 事業内容は、教育訓練の実施、教育訓練を実施する団体への施設の提供、各種講座の開催または施設の提供となっていて、昨年度の利用者と利用率は、新宮地域職業訓練センターで延べ5万8500人、利用率72%、田辺地域職業訓練センターで延べ3万4500人、利用率65%、御坊市から日高町に移された中紀地域職業訓練センターでは延べ1万9600人、利用率44%となっていて、それぞれに地域差はありますが、利用者が少なくて廃止してもいいような施設はないように思います。
 国の外郭団体である雇用・能力開発機構という組織の廃止に伴い、公共職業訓練の集約化を図るというものですが、国の行政として、地方都市に対する職業訓練からの撤退・縮小となっています。今日の経済状況、雇用状況から見れば、国や自治体による公共職業訓練を行う意義は決して薄れてきてはいないと思います。
 完全失業率が改善しないなど、雇用情勢の悪化が長期化し、特に若年層ほど失業率が高い状況が続いています。ことし4月の総務省発表の労働力調査では、完全失業率は全国で5.1%、2カ月連続で悪化。若年層の完全失業率は、15歳から24歳の男性で10.1%、女性で9.2%、25歳から34歳の男性では6.5%、女性で6.2%、15歳から34歳の完全失業者数は140万人、失業者全体の4割を占めているということです。
 若者に安定した雇用を確保していくことは働く権利を保障していくことでもありますが、少子化対策にとっての大きな課題であることや、税、社会保険料負担など、地域社会を維持していく上でも重要な社会問題でもあります。
 公共職業訓練の位置づけの重要性は薄れるものではなく、現に働いている労働者が働きながら安心して能力開発に取り組めるような仕組みや、失業している人のニーズに見合った教育訓練の提供など、より一層の充実強化が求められているのではないでしょうか。
 そこで、商工観光労働部長にお尋ねをいたします。
 公共職業訓練についての県の基本的な考え方はどのようなものなのか。また、今後の方針をどのように持っているか。国が設置した地域職業訓練センターは、県の要望に基づいて設置された施設ということですが、国の廃止をするという方針への対応をどうされるのでしょうか。県として存続させていくという方針は持たれているのでしょうか。
 以上、お尋ねいたしまして、私の第1問といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの藤井健太郎君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、地域主権改革について、一括してお答え申し上げたいと思います。
 地域主権改革とは、地域のことは地域に住む住民が責任を持って決めることのできる地域社会をつくっていくことだと思っておりまして、私もそういう社会をつくっていきたいと考えております。
 そのためには、国と地方の役割分担を明確にいたしまして、国が行うべき役割は国の財源で、地方が担うべき役割は地方の財源で行うようにできるようにすることが必要でございます。
 一方、何でもかんでも地方に移せというのもどうかなあという気もいたします。国の形を規定するものは、国でしっかり責任をとってもらわないといけない。まして、財政負担が大変だから、この際、地方に移してしまえというようなことは、これは本末転倒であります。例えば、高速道路ネットワークの整備とか、義務教育とか福祉とか、そういうものは、私は、この国の形をきちんと規定するようなものとして国が責任を持つべきだというふうに思います。
 その際、大切なことは、どんな地域に住んでいても、日本国民として受けることのできる必要最小限の行政サービスであるナショナルミニマムが保障されるような制度とすべきであり、必要な財源は、そういう意味で国の責任において明確に確保すべきであるというふうに考えます。
 それでは、何がナショナルミニマムであるかといった、そういうことについてきちんとした議論をしないといけないというわけでありますが、そういう議論がなく、地域主権改革という名のもとにナショナルミニマムと思われるようなものまで地方に移されてしまわないかなということについては注意をしなきゃいけないと思います。その結果、財政力の弱い地方公共団体ではサービス水準が実際に下がってしまうのではないか、そういう懸念もありまして、本県としては十分注意してまいりたいと考えております。
 次に、地方への義務づけ等の見直しは、これは国が定めている基準等の引き下げを目的とするものではありませんで、国が一定の基準を示した上で、議会や地域の住民の御意見をお伺いしながら、地域のことは地域の実情に合わせて自分で決めると、条例で定めることができるということにするものだというふうに理解しております。
 ただし、この機に乗じて地方財源の削減が行われるというようなことはいけませんし、それから、そんなことでなくても、十分な財源の移譲がないと、貧しい地方公共団体については、自分で基準を定めるときにも、残念ながらサービス内容を落として基準を定めないといけないというようなことになると、なかなかこれは大変なことであるということであるかと思います。
 したがって、先ほど申しましたような、きちんとした一定の水準が達成できるような、そういう基準を、仮に自分がつくるとしても、ちゃんとつくれるような、そういう財源の手当て、そういうものが必要であろうと思いまして、この点については、全国知事会とも連携して国に対しても積極的に意見・提案を行ってまいりたいと、そんなふうに考えております。
 次に、地場産業、中小企業振興について一括してお答え申し上げたいと思います。
 まず、現状でございます。あるいは今後の見通しでございますが、本県の地場産業については、経済のグローバル化とか産業構造の変化とか、消費者ニーズの多様化などへの対応のおくれがあるものもあります。それから、下請的要素が強い小規模事業者が多いという特色もあります。それから、長い間不振を続けてきましたので、蓄積が少ないというなかなかつらいところもあります。そういう意味で、全般的に低迷状況からなかなか脱せない状態にある企業が多いというふうに思います。
 一方、厳しいこういう経済の状況の中にあっても、地域資源活用等による新たな商品の開発とか、あるいは積極的な販路開拓の取り組みを進めるような元気な企業も数多く存在し、そういう意味では、一部に明るい動きも出てきておるのも事実であります。
 その次に、製造業振興に係る県の役割と利用実績についてでございますが、私は、産業別担当者制度などを使いまして県内企業の業況把握に努め、それぞれの企業の課題、地域の実情に応じ、すべての中小企業者の皆様を対象にした金融面並びに技術力、販売力等、経営面などをさまざまなメニューで御支援をいたしているところでございます。
 主な支援策、これはたくさんございますが、実績につきまして一端を披露さしていただきますと、最近の3カ年において、例えば、企業に対する専門家の派遣指導事業が約100件、産学官の連携等による研究開発支援、約70件、内外の専門的展示会への販路開拓支援、約50件、地域資源活用や農商工連携による新商品づくり支援、約70件、財団法人わかやま産業振興財団、商工会、商工会議所の経営指導、約500件、これ以外に下請などの各種相談事業等、幅広く取り組んでいるところでございます。
 今後とも、経営革新、販路開拓、新技術創出推進条例を踏まえた技術開発、こういう前向きの支援について、より多くの中小企業の皆様の周知に努めてまいりたいと考えておりますが、同時に私どもの中小企業振興策は、こういう前向きの、これからの未来に向かった力を蓄えていくというだけではなくて、例えばセーフティーネットとか、あるいは現状の経営の相談とか、そういうような中小企業を助けていくような、そういう政策もたくさんございます。そういう意味で、両方をやっていかないといけないということではないかと思います。
 次に、振興条例の制定という御提案でございますけれども、中小企業の振興は、今申し上げましたように産業政策の基本中の基本で、したがって、国の中小企業基本法を中心とするさまざまな法制とか、あるいはそれを受けた私どもの関連の条例とか、それからそのもとでの制度とか、そういうものが、例えば、セーフティーネットあるいは現状の経営の向上、あるいは将来の発展のための振興策等が整備されております。ある意味では、すべて中小企業振興と言っても過言ではないと思います。その中で、特定の重要な要素に着目いたしまして、例えば科学技術振興とか観光立県推進とか、そういう必要に応じた条例化で重点を明示しているということがあろうかと思います。
 というような以上のことから、全般的な振興条例というのはちょっと違うのではないかという気もいたしますが、中小企業を振興しなきゃいけないというような哲学については全く同感でございまして、不況などの状況変化に対し、あるいは機動的な政策を推進し、活力あふれる元気な和歌山経済創造のために中小企業振興に積極的に今まで以上に取り組む、特に具体的に取り組んでまいる所存でございます。
○議長(冨安民浩君) 商工観光労働部長岡本賢司君。
  〔岡本賢司君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本賢司君) 職業訓練についての御質問に一括してお答えさせていただきます。
 公共職業訓練についての基本的な考え方についてでございますが、昨今の経済環境の激変や産業構造が変化し続ける中、完全失業率の悪化など、雇用情勢は大変厳しい状況であります。この厳しい雇用情勢にかんがみ、県や雇用・能力開発機構が行っている公共職業訓練は、大変重要なものであると認識しております。
 現在の公共職業訓練としましては、県立和歌山・田辺産業技術専門学院の2校において、学校卒業者を対象に、各産業分野における人材養成に努めるとともに、雇用・能力開発機構が設置する和歌山職業能力開発促進センターにおいて、離職者を対象とした職業訓練を実施しているところであります。また、県では、昨年度から離職者を対象に、IT関連介護分野等を中心に民間教育機関等への委託訓練を大幅に拡充し、就職につながるよう努めてきたところであります。
 今後も、雇用の安定・拡大に結びつけられるよう内容を充実し、地域ニーズを踏まえた訓練の実施を関係機関と連携をとりながら効果的に進め、各分野における人材育成を図っていきたいと考えております。
 次に、事業主が行う職業訓練の場として設置されました地域職業訓練センターにつきましては、一昨年、雇用・能力開発機構の廃止について閣議決定され、それに伴う見直しにより、昨年12月に、国としては平成22年度末をもって廃止し、建物の譲渡を希望する地方自治体には譲渡するとされました。それを受け、現在、雇用・能力開発機構において譲渡価額の算定が行われているところであります。県としましても、雇用・能力開発機構の動向や地元自治体等の意向を踏まえ、適切に対処してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再質問を許します。
 43番藤井健太郎君。
○藤井健太郎君 第2問ですが、地域主権の問題で、これは要望ということになると思うんですが、地方行政の主体というのは、もちろん自治体であって、地域住民であるわけなんですが、これまでは国の法令によって事業なり予算なりが統制をされてきて、国会が決めるというような状況が長らく続いてきた中で、3割自治、4割自治と言われるような、事業量は地方自治体のほうがたくさん持ってるけど、その財源の配当が少ないというようなことで長年苦しんできたという歴史があると思うんですね。
 それが、この間、地域主権という言葉ではありますが、主権が地域に移されると解釈していいのかどうかわかりませんが、そういうことでの改革ということがどう進められるのか。特に急テンポで、速いスピード感で進められようとしておりますけど、私は、自治体にとっての一番大きな問題というのは、やっぱり財源の問題だと思うんです。3割自治ではなくて、せめて5割自治、半々でやれるぐらいのところはまず確保しなくては地域主権とは言えないんではないかなと。そのことをまず真っ先に解決をして、議論していくということが大事だというふうに考えています。
 そのことが、今はもう経常経費ということで、人件費を中心とする義務的経費がかなりの財源の部分を占めておって、政策的経費、投資的経費に回せないという状況がありますので、まずその改善を真っ先に進めていただきたいということを言っておきたいと思うんです。
 地場産業、中小企業振興について、知事から利用実績の数、3年間でこれだけという数ありましたけど、やっぱり県が実施する振興策ですから、すべての事業者を視野に入れて対象にした事業施策体系というのが、私は望ましいというか、あるべきだと思うんですね。
 今のメニュー化では、特定の事業者が幾つものメニューを利用することができるというようなことが起こってきます。現にそうなってます。そのことによって、本来利用すべき事業者が利用できないということがあっても困りますし、もちろん財源の限界というのもあろうかと思いますが、そういうことから、条例という形で県の施策のあり方を示してはどうかということで申し上げました。
 地場産業、中小企業というのは、地域の大事な宝です。産業です。そこで住民が雇用や生活をしてるわけでして、これは県民全体にとっても、地場産業、中小企業振興というのは大事な課題であると思うんですね。県民一丸となって支えていけるということを進める上でも、私は条例化がふさわしいんではないかというふうに思ったわけです。
 この間ずうっと事業所の訪問を、今後も継続していきますけども、この問題もぜひ求めていきたいと思います。
 公共職業訓練は重要というお話がありまして、国のほうが地域職業訓練センターを廃止するという方針なんですが、私は、これはもう廃止の撤回を求めるぐらいのことをしてはどうかなと思うんです。
 自治体が引き受けるにしても、やっぱり施設の提供だけではなくて、その内容充実ということも同時にしていかなくてはいけないし、国に対してもそのことは申し上げていかなくてはいけないと思うんですが、知事は、この地域職業訓練センターの機構からの廃止という方針、これ、国に撤廃せよと、国が引き続いてやれということを求める気はありませんか。そのことだけをお尋ねしたいと思います。
○議長(冨安民浩君) 再質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 職業訓練の重要性というのは、私も、それから県も、それから皆さんも、すべての人が大事だというふうに思ってると思います。
 あとは、どういう形でやるかということでございまして、本県については、ちょっと前からいろんな流れの中で一応の結論は出てるというふうに理解しておりますけども、それが現実にきちんとできないようであれば、それはおっしゃるように、もともとの制度がおかしかったんじゃないかというような提言もしなきゃいけないし、それがうまくいくようであればその必要もないしということで、私の立場としては、具体的にきちんとした訓練が本当になされるかどうか、そういうことについてよく議論をしていきたい、そんなふうに思っております。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「はい、ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再々質問を許します。
 43番藤井健太郎君。
○藤井健太郎君 よく議論をして、どういう形がいいのかということでやっていきたいということなんですが、もう機構のほうは22年度末をもって地域職業訓練センターは廃止をするということで、地方自治体に譲渡すると。地方自治体が受けなければ、それはそれで廃止というふうになってしまうわけですよね。
 地域職業訓練センターといいますか、職業訓練の場の提供でもあるし、内容をどうしていくかということで、特に今の雇用情勢を見れば、職業訓練の位置づけというのは決して薄れてはいないということで申し上げましたが、ぜひ県民の雇用の場、それから働いてる人の職業訓練を重ねて離職者を生まないというような形での職業訓練も大事だと思いますので、ぜひ力を入れてやっていただきたいということで、要望にしておきます。
○議長(冨安民浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で藤井健太郎君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 6番向井嘉久藏君。
  〔向井嘉久藏君、登壇〕(拍手)
○向井嘉久藏君 一般質問をさしていただきます。
 皆さん、もうお疲れのようでございまして、昨夜は対カメルーン戦で引っ張られまして、私も、ちょうど終わったのが1時でございまして、最後に危なかったなあということですが、とらの子の1点を守り切ったというジャパンに心から──これからまたカナダ戦に向けて頑張ってほしいなという思いでございます。これは一般質問とは直接関係ないんですが。
 それでは、一般質問に入らしていただきます。(「カナダと違う、オランダや」と呼ぶ者あり)カナダと違うか。オランダや。
 昨年8月30日に民主党が衆議院選挙で大勝しました。50余年にわたり政権を担っておりました我が自民党が下野したのは周知のとおりであります。
 以来10カ月が経過して、鳩山内閣と民主党は、国民の期待を見事に裏切ってしまった。私の方では、鳩山さんのような方を「千三つさん」と、こう言うんです。それは別にしまして、菅内閣が発足しましたが、全貌が見えてくるのには、いましばらく時間がかかりそうでございます。
 しかし、残念なのは、民主党自身の体質かもしれません。一番大事な国の安全というのが見えてこないんです。それが二の次で、選挙のことが一番大事と考えてるんではないかというふうに私には思えてならないのでございます。
 その先が見えにくい民主党政権下での一般質問でありますから、質問も難しい、答弁も難しいと思いますが、道路行政並びに福祉行政について質問をいたします。
 私、県庁に登庁してくるときには、いつも紀の川の南側の道路を走ってきます。今、田植えが終わりまして、田んぼに早苗がもう植えられて1週間もたって、青々となってまいりました。また、2月の議会には、早咲きの果樹の花がいっぱい咲いている中、私は車のドアをあけて、そのにおいをかぎながら県庁に参ります。すばらしい道路を私は走って、毎日県議会に通わせていただいてる。こういうことでございまして、その道路には街路樹1本もございませんが、しかし、周辺の風景がその道路を際立たせているようにも思うわけでございます。
 そこで、私は、道路整備について、県土整備部長にお尋ねしたいと思うのでございます。
 民主党政権下では、新しい道路をつくるということはまず無理と考えなければなりませんし、公共事業費の削減は、抑制はさらに厳しくなる、これは容易に想像つくところでございます。厳しい財源をいかに有効投資するかが問われてまいると思うのでございます。
 私は、道路づくりは、まず1つには安全であること、もう1つには、ドライバーの立場から言いますと運転しやすい道路であること、また、もう1つには環境にマッチしていること、こういうことだと思うんです。
 そこで、県土整備部長に道路づくりの理念についてお伺いしたいと思います。
 続いて、国道371号バイパスについてであります。
 国道371号バイパスというのは、河内長野から橋本間のことであります。今、4車線の工事がされております。大阪府側はさておきまして──橋下大阪府知事は「金ないから今のところはようせん」と、こういうふうに言われております。
 それはさておきまして、和歌山県側で371号バイパスの一部が完成しまして、4月28日、供用が開始されました。今までの2車線の狭隘な道路とは違い、運転しやすい道路になってございます。県の努力に感謝したいと思うのでございます。
 ところが、運転していて、今までとは何か違うんです。何が違うんかなというふうに感じながらおりますと、改修前は、だれが植えたかは定かではございませんが、幹回りが1メートルにもなる見事な桜が街路樹としてドライバーや地元の人たちを楽しませておりました。その桜がばっさり切られました。仕方ないんじゃございません。地元の皆さんは、黙っていたのではありません。桜をぜひ残してほしいということで県に申し入れましたし、私も担当に申し入れました。県は、「桜を残すとなると大幅な設計変更が必要となるので桜は切らしてほしい。要望は別途考える」とのことであったので了解しましたが、完成して街路樹を植えるような気配がありません。これは一体どうしたことですか。
 道路づくりは、ただ車が走ればいいという時代は遠い過去のものであって、安全、運転のしやすさはもちろんのこと、景観にマッチした道づくりが求められるのであります。
 この道路に植栽の用意はあるのか。また、県管理道路に植栽を積極的に進め、環境の保全に努められてはいかがかということを質問したいと思います。
 ちょっとした工夫が、また配慮があれば、安全で走りやすく、きれいな道路ができるのではないかと思うのであります。私が申し上げたいのは、ここが一番大事なところだと思うんですが、設計の段階で桜を残すんだという概念がなかったら、ただ道路は設計どおり桜を切ってつくるんだと、そういう考えじゃなしに、この桜を残したらどんな道路になるんかなという概念で設計していただきたかったと私は思います。
 続いて、道路の改善についてお尋ねいたします。
 先ほど述べましたように、道路は、ただ走ればよいのではなく、スムーズなハンドリングができるような道でなければならない。かつて急いでつくったために、車の性能が向上した今、改修が必要と思われる箇所があちこちで散見される。私が県へ登庁してくるときに、本当に先ほども述べましたように、運転時間1時間半が1時間のように感じるような道づくり、これが大事かなというふうに思うんです。
 私の登庁の道中を例に挙げて質問いたします。
 岩出市の船戸──これは岩出の議員さん、済みません、ちょっと越権ですが、許していただきたいと思うんです。前も、ちょっとこれ、同じように触れたんです。
 JRの船戸の駅の上の道路で県道岩出野上線、信号がございます。和歌山へ向いていく方に。信号から50メートルの側溝の上に、幅1メートル弱の歩道がございます。これは側溝をふたしたものでございます。もともと道路が狭隘な上に、側溝の上に歩道がつくられているため、歩道としての役に立っているとも思われません。50メートルも進むと、その側溝をふたした歩道がなくなってしまうわけでございまして、その側溝がいつの間にやら道路に変わっていくと、こういうところでございます。このような歩道を使用していることは非常に危ない。だれも歩いとるような形跡もないんです。かえって危険で、なぜこのような歩道がつくられたのか、私には疑問であります。
 私は、きょうはこの付近で大変な渋滞に遭いました。これはいかんということで旧道を走りました。船戸の駅の前、中芝市長の家の前を通ってきました。そしたら、ここもまた、1つの信号で5台しか車が抜けないと。そういうところでひっかかりまして、15分停滞しました。みんな、私と同じ気持ちやなあと。正規の道路が渋滞したら、裏道に入って、ちょっとでも早う行ったろうと思ったら、そこがかえって混雑してるというのが状態でございます。そういうようなところでございますので、通勤時には渋滞の原因ともなっております。
 速やかに撤去し、道路幅を確保し、スムーズな車の流れをつくるよう善処をお願いしたい。県下には、ちょっとした工夫と手を加えることで、大幅に安全と運転しやすさを、また環境の改善が図れるところも数多くあると思われるので、検討願いたいと思うのでございます。
 また、県の道路パトロール車がよく走っております。私、担当課に聞きましたら、「道路のパトロールの仕事はどんなことですか」というふうに聞いたら、「破損箇所はないかとか、ガードレールが壊れてないかとか、そういうことをチェックしながら毎日走っております」ということですが、この道路が果たしてドライバーにとって安全で運転しやすい道路なのかということまでは考えてないんかなというふうにも思いますので、パトロールに乗っている方に、どうぞそういうことを念頭に入れながらパトロールしていただきたいなという思いでいっぱいでございます。
 続いて、福祉行政について、知事並びに福祉保健部長にお伺いします。
 福祉は、子ども手当だけではありません。少子高齢化の進む中、福祉分野で必要とする予算は、ますますふえることは明白であります。普天間や口蹄疫に気をとられ、手つかずになってしまっているひきこもり、また身障者用特養について質問いたします。
 この2題については、知事とは以前にじっくりと意見を交わしたところでございますが、改めてお尋ねいたします。
 知事にお伺いします。
 ひきこもり対策並びに身障者用特養についての御所見を承りたいと思うのでございます。
 続いて、福祉保健部長には、ひきこもり対策についてお伺いいたします。
 ひきこもり対策は、国において未整備で、ひきこもり者や家族が声を上げにくいのが起因して、担当部署もない始末でございます。しかし、ひきこもり者は確実にふえ続けており、対策が急がれるところであります。
 私は、実態を調査するため、ある家族会に参加させていただきました。そこで発言された内容は、極めてショッキングなものでございました。ひきこもり者と家族との厳しい葛藤でありました。ある母親は、子供とともに死を再三考えたと話しております。また、ある父親が最近家族会に出席しなくなったので、他のメンバーは「息子さんはひきこもりから脱出できたんやな」、こういうことで話しておったようでございますが、久しぶりに出席した父親から息子は自殺したという悲しい話がありました。
 私たちは、このような実態から逃げてはなりません。そこで、家族の心のケア、家族会の結成、ひきこもり者の受け入れ等々をする拠点が絶対必要だと思っております。最近、紀の川市に麦の郷が、このひきこもり対策のため拠点づくりをされたと、うれしいニュースも聞きました。
 そこで、部長にひきこもり対策の拠点づくりについてお伺いしたいと思うのでございます。
 もう1点は、市町村役所に相談窓口の設置についてであります。
 ひきこもり家族は、どこへ相談すればいいのということが全然わからないんです。困り果てております。保健所でそういう相談員がおるということも、よく知らされておりません。周知が徹底されていない。役所の窓口へ行っても、よくわからないというのが実態であります。
 そこで、市町村で相談窓口を設置されて、そこでケア云々というんじゃなくて、「どこそこへ相談に行ってください。よければ精神科医を紹介します」と、こういう業務のできる窓口をぜひつくっていただきたいということでございます。相談窓口の設置について、福祉保健部長にお伺いします。
 続いて、身障者用の特養の設置についてであります。
 私は、身障者連盟の皆さんから相談を受けました。身障者が年をとっていくことの厳しさを訴えられました。年をとって、特養に入所申し込みしても、150人待ちやとか200人待ちやとか、そういう状態であります。容易には入所できないのであります。また、入所ができたとしても、目、耳等の不自由な方への配慮が施設側ではまだされておりません。このことから、ぜひ身障者用の特養との強い要望でありました。このことへの実現に向けた話をお伺いしたいのであります。
 また、差し当たり、特養への優先入所ということも、各施設へ県から強い指導をお願いしたいなと、こういうふうに思うのでございます。
 社会福祉という名のもとに、いろんな行政のひずみというのがあります。せんだって「産経新聞」を見ておりますと、大阪市で1万人の外国人に生活保護を給付してるということでございました。自分でお金をかけて年金をもらってる人より、生活保護費の方が多いというのが実態であります。こういう福祉の矛盾というのを、その紙面から私は本当に強く感じました。これは一例でありますが、身障者の特養の設置についても、こういう方たちのためにぜひつくっていただきたいなというふうに思うのでございます。
 続いて、紀三井寺公園の野球場の改修について県土整備部長にお伺いします。
 私は、平成14年に球場の改修について質問さしていただきました。グラウンドの土の入れかえ、また排水、芝の張りかえ、スコアボードの電光化、ナイター設備、グラウンドの拡張を提案さしていただきました。そのときには、まだナイター設備は全国に3カ所の県営球場がナイター設備がなかった。貴重な3県の1つでありましたが、ようやくそれもできました。今、高知県がナイター設備のないグラウンドを持ってるらしいんですが、1つになりましたですね。
 今回は、グラウンドを広くしてもらいたい。野球のルールブックに、原則として両翼は100メートルというふうに書いておるんです。その原則をどこともうまく利用しまして、短くてもいいというふうな、またフェンス高うしたら、それでええんやろうというふうなことでございますが、いずれにしましても、紀三井寺の球場は、両翼、現在93メートルでございます。左右の懐の広がりがない、本当に狭い球場でございます。
 ここで、高校野球では悲喜こもごも。詰まった当たりがホームランになったというふうな結果があります。特に金属バットになってからは、詰まった打球でもホームランになる可能性がある。大学野球、社会人野球、金属バットに移行しましたが、余りボールが飛び過ぎるので、また野手が非常に危険だということで木製のバットに返りました。金属バットというのは、それほどよく飛ぶんです。それが、93メートルのグラウンドでは、軟式野球でもホームランが飛び込むということでございます。
 2015年に第70回国体がこの球場で、高校野球の公式のデモンストレーションがございます。そういうことで、ぜひこの機会に両翼を100メートルぐらいにできないかな。そんなにお金かかりません。あそこは、外野は土盛りでございますので、カットするだけで十分でございます。後ろの用地を買うと、そういうような必要もございません。
 それで、前に言うたときは、「観客の席が減るんです」と、こう説明されて、私はびっくりしました。今まで外野席がいっぱいになったような試合を見たことありません。
 そういうふうなことで、今回はぜひ国体に合わして、もう早いこと両翼を広げてすばらしい球場にしていただきますようにお願いいたしまして、私の質問を終わらしていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの向井嘉久藏君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 福祉行政についてお答え申し上げたいと思います。
 向井議員にはいつもいい提言をいただいておりまして、その対策を県で考えていく際の、いわば引き金になってるというようなものだということでございます。感謝申し上げます。
 ひきこもりは、本人や家族だけでは解決が難しくて、ひきこもりの長期化が深刻な社会問題となっており、総合的な支援を行うことが重要であると考えておりますというようなことを教えていただいております。
 その結果、いろいろ勉強いたしましたら、国においては、どこの部局が担当するかも決まっていない。それから、そもそもそういう政策メニューがないということがわかりました。
 和歌山においては、先駆的に少し始めておりました。そこで、そういう例も示しながら、国においても担当をきちんと決めて本格的に取り組んでくれというようなことを2~3年前から申し入れをし始めたところであります。
 国においては、こういうような動きを背景にいたしまして、ひきこもりを初めニート、不登校などの子供・若者を支援するために子ども・若者育成支援推進法というのをつくりまして、本年4月に施行されたところであります。ただし、支援の中身、これはまだ具体的には用意されておりません。
 和歌山県においては、国に先駆けてひきこもり対策を具体的に着手しておりまして、議員先ほど御指摘がありましたような都市において、その先駆的な事業が始まっております。
 ひきこもり者及びその家族への支援とあわせて、民間団体との協力のもと、地域社会の理解やひきこもり者の社会参加を促進するための対策に今後とも取り組んでまいりたいと考えております。その中身につきましては、国における動向も注視する必要もございますが、皆さんの御意見も聞いて考えてまいりたいと考えております。
 次に、身体障害者用特別養護老人ホームについてお答え申し上げたいと思います。
 県内の特別養護老人ホームに入所を希望する在宅の待機者数は、障害を持つ方も持たない方も両方合わせまして、平成21年3月末現在2468名となっております。
 こうした状況は改善しないといけないと考えておりまして、わかやま長寿プラン2009に基づく計画的な整備を進めるとともに、経済危機対策に基づく介護基盤の緊急整備、こういうチャンスも生かして同時に実施いたしまして、積極的に整備を促進しているところではあります。
 この入所指針につきましては、平成15年4月に和歌山県特別養護老人ホーム入所指針を定めておりますけれども、介護が必要な状態となった障害者の方が適切なサービスを受けられるように、他府県における事例なども参考にしながら、この障害者を入所指針の中でどういうふうに扱っていくかということについて、その見直しについて検討してまいりたいと、そういうふうに考えております。
○議長(冨安民浩君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) まず、議員お尋ねの道路づくりの理念についてでございますが、本県では国道と県道を合わせた道路の改良率が約53%と低く、他府県に比べて道路整備が著しくおくれております。そのため、厳しい財政状況の中ですが、選択と集中により効率的な道路整備に努めているところでございます。その上で、道路整備に当たりましては、議員御提案の、安全で運転しやすく環境にマッチしている、こういう理念は大変重要であると認識しております。
 したがいまして、県としましても、交通事故を防止し、子供や高齢者が安全に通行できる安全・安心な道づくりや、線形不良や狭隘箇所、渋滞などを解消し円滑な走行ができる道づくり、さらに、周辺の環境と調和した環境負荷の少ない道づくりなどを念頭に、コスト面にも配慮しつつ道路整備に取り組んでまいりたいと思います。
 次に、国道371号橋本バイパスについてでございますが、このたび供用開始しました区間につきましては、幅員約9メートルの道路を幅員25メートルに、16メートル拡幅・拡張する必要がございました。
 当該区間は、山側に人家が連檐しておって、谷側には桜が植えられていたことから、人家への影響を極力避けるために谷側に拡張することとなり、残念ながら桜を残すことはできませんでした。
 そのため、道路の余地、余ったところに桜などを植栽できないかどうか、今後、樹種や場所、管理方法など、地元の方々と御相談してまいりたいと思っております。
 また、その他の県管理の道路の植栽につきましても、周辺の土地利用状況や交通量を勘案して、必要に応じ植栽を検討してまいります。
 次に、県道岩出野上線の渋滞対策についてでございますが、歩道を撤去して左折レーンを拡幅するということにつきましては、有効な手段だと思いますので、交差点形状などについて、地元の方々の意見もお伺いして進めてまいりたいと思います。
 なお、この周辺の抜本的な渋滞対策といたしましては、岩出橋南詰めから南へ200メートルの区間、この区間の拡幅工事を、今、鋭意進めているところであります。
 また、ほかにも、議員御指摘のような、少しの工夫で安全で運転しやすく、景観にも配慮した改善ができる箇所があれば、積極的に道路利用者の方々の意見もお伺いした上で取り組んでまいる所存であります。
 最後のお尋ねの紀三井寺公園野球場の改修についてでございますが、外野フェンスにつきましては、安全性の観点から改修を検討しております。
 両翼の拡張につきましても、向井議員からの御指摘や競技団体からの要望を踏まえ、外野フェンスの改修にあわせて、今年度行います球場の実施設計におきまして検討を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 福祉保健部長西上邦雄君。
  〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) ひきこもり対策につきまして、一括してお答えを申し上げます。
 ひきこもり対策につきましては、平成16年度から、民間支援団体が運営いたします施設をひきこもり者社会参加支援センターとして指定いたしまして、居場所の提供、家庭訪問による当事者や家族の支援、就労・就学支援等を通じまして、ひきこもり者の社会参加促進に取り組んでまいりました。
 現在、先ほど議員の御質問にもございましたように、和歌山市、紀の川市、田辺市に所在いたします3施設を指定しておりますが、これらの施設を含めまして、今後、地域の実情に応じた社会的資源を活用した拠点づくりにつきまして、各圏域ごとにどのような体制を整えていくべきか検討してまいりたいと考えております。
 また、平成21年8月に、ひきこもり支援体制の充実を図るため、県精神保健福祉センター内にひきこもり地域支援センターを設置いたしまして、各保健所と連携いたしながら、各圏域におけます労働、福祉、医療、教育などの関係機関との連携強化のためのネットワークづくりを進めておりますが、議員御指摘のように、住民により身近な市町村につきましても、相談窓口の設置やネットワークへの参加が重要であると思いますので、できるところから早急に検討してまいりたいと、このように考えてございます。
 次に、身体障害者用特別養護老人ホームの設置についてでございますが、障害のある方のうち65歳以上の方につきましては、障害者自立支援法第7条に基づきまして原則として介護保険の被保険者となることから、介護が必要な状態となり入所施設に入る場合には、原則、特別養護老人ホーム等の介護保険施設で受け入れることとなります。
 県といたしましては、身体に障害のある方に配慮した特別養護老人ホームの必要性は認識をしてございますが、現在、県内に設置されている特別養護老人ホームの状況を見ますと、身体障害者の方が適切なサービスを受けられるような環境整備は、バリアフリーや機械浴設備など高齢者と障害者に共通の環境は整備されているものの、障害の特性に配慮した環境はほとんど整備されていないのが現状でございます。
 他県におきましては、身体障害者の方、特に聴覚や視覚障害者の方々に配慮した設備などの環境整備を法人負担で実施している施設もあることから、他県における先進事例も参考にいたしまして、先ほど知事が申し上げました入所指針の見直しに加えまして、身体障害者の方々の入所に配慮した施設の整備につきまして国への提案を検討してまいりたいと、このように考えてございます。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再質問を許します。
 6番向井嘉久藏君。
○向井嘉久藏君 再質問したいところですが、要望を申し上げておきます。
 1つは、371号、まだ桜、ちょっと残っとるんです。これ、幹回り1メートル以上になろうと思ったら、桜、50年かかっとんねん。それをばっさりやってしまうというのは、私は忍びないと思うんで、このトンネルから南の方へ残ってるこの6本ほどの桜、生かしたってもろたらありがたいなあというふうに思うんです。苗木を植えるのも1つの手ですが、今ある桜をどないして残していくか、こういう配慮も必要かと思うんで、3年目を迎えた部長さん、どうぞよろしくお願いしときます。
 それから、特養についてでありますが、身障者用の特別養護老人ホームの設置については、和歌山県はこういうふうにやるんだというふうに決断すればできることです。別に国の法律を変えてとか、新しくつくってとかいう必要はございません。和歌山県で2カ所ぐらい、紀北と紀南ぐらいにつくるんだ、特別につくるんだという決断さえあればできることでありますから、どうぞ前向きに御検討お願いしておきまして、要望にかえておきます。
 以上です。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で向井嘉久藏君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時20分散会

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