平成22年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(藤本眞利子議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 35番藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)
○藤本眞利子君 皆さん、おはようございます。議場が大変明るくなりまして、皆さんのお顔もよく見えるというふうなことであります。
 議長のお許しをいただきましたので、一般質問、入らせていただきます。
 子宮頸がん予防について、まずお伺いをしたいというふうに思います。
 昨年の9月議会において、がん対策についての検診率の向上対策や検診しやすい環境整備、また地域がん登録の推進等についてるる質問させていただきました。今回は、子宮頸がん検診についてお伺いをします。
 和歌山県のがん死亡率を見ると、2007年度は肺がん死亡率が全国1位となっており、ワースト1であります。子宮がんの死亡率についても、全国11位ということで、高い順位がついております。それぞれのがんについて早急に改善するための対策が必要でありますが、お手元の資料にもありますように、近年、子宮頸がんに罹患する20代から30代の若い女性の罹患率が上昇しています。新聞報道等によりますと、子宮がんというのも、体内がんと頸がんというふうなことで、全く違うがんであるというふうな報道もされております。
 日本では女性特有の子宮頸がんの受診率は20%前後、欧米の80%以上の受診率と比較すると、その差は大変大きいものとなっています。取り組みとして、欧米諸国では女性特有のがん検診については、しなければならない検診として定着しているからだと思われます。日本においても、21年度より一定年齢の方を対象にがん検診無料クーポン、それと検診手帳を配布するなどの取り組みが始まりました。この取り組みも始まったばかりでありまして、すべての女性に検診の大切さを啓発していただき、検診が定着するよう取り組みをお願いするものです。
 さて、この子宮頸がんはヒトパピローマウイルス、HPVといいますが、子宮頸がんはこのヒトパピローマウイルスの感染が原因であることがわかってきました。子宮頸がんの問題については、最近ではテレビ等のマスコミが取り上げたということもあり、少し聞きなれてきたと思いますが、若い世代について理解が進んでいない状況であるとお聞きしています。ある大学のアンケートでは、子宮頸がんについて「知っている」と答えた学生は13%弱であったと聞いています。
 子宮頸がんへの理解も進んでいない状況でありますが、さらに予防や検診に至っては、その理解は随分おくれています。子宮頸がんはワクチン接種によって予防できるということの認識もまだ定着していません。
 全国の中でも島根県では3~4年前から定期的な細胞診とHPVの併用検査に取り組んでいます。併用検査が子宮頸がんの早期発見に大きくつながると期待されていますが、有効かどうかの経緯を今後とも注目したいというふうに思います。
 和歌山県ではまだまだ子宮頸がん検診に対する基礎知識も理解されていない現況だと思いますが、世界では「子宮頸がんは予防できる」という認識が定着してきました。予防できるワクチンということで、現在100カ国以上の国で検診とワクチン接種を実施し、予防に力を入れているとのことです。日本ではようやくワクチン接種が解禁されましたが、予防接種法にまだ指定されていないため、公費負担による接種とできず、1回の接種に多額の費用が必要だと聞いています。そのため、中学生までの接種が一番効果的であるとされながら、なかなかワクチン接種が進まない状況です。
 しかし、子宮頸がん予防に大変大きな効果のあるワクチン接種を独自に実施し始めた市町村もあります。和歌山県では、御坊市が小学生6年生を対象にワクチン接種を始めたとお聞きしています。
 さて、国の動きがおくれているということもあり、全国的にも市町村が先に動き始めたという状況です。県としてはそういった動きを受けて、どういった対策や支援を考えておられるのか、福祉保健部長にお伺いします。
 子宮頸がんの理解と検診率引き上げについてお伺いします。
 子宮頸がん検診率が20%と、欧米先進諸国の80%と比較しても大変低い数字であります。女性特有の子宮頸がんではありますが、若い世代にふえているということですので、検診率の引き上げは喫緊の課題であります。子宮頸がんが見つかったとしても、早期発見であれば子宮摘出しなくても治療ができ、子供を産むことができます。また、先ほど言わせていただきましたが、島根県の取り組みとして、細胞診とHPV検査がともに陰性であれば3年間は受診しなくてもよいとしています。これは女性にとって身体的・心理的負担が大変軽くなる情報です。しかし、こういった他県の取り組みも、情報や知識すら周知されていない現状です。今後は女性の健康といった面からアプローチが大いに必要だと考えます。
 私もそうでしたが、婦人科はちょっと行きにくくて、妊娠して初めて行くという方も多く、何もなければ20代で婦人科に検診に行く方は少ないというふうに思います。そういう20代の若い層への理解と、受診していただくための対策として、二十で献血といったふうなキャンペーンも効果があるというふうに思います。また、検診が必要な年代の女性に対してHPV検査についての周知を図ることも検診率への向上につながります。また、検診が受けやすい環境を整えることが必要だと考えます。長崎県では、より検診しやすいように、がん検診車を購入したということであります。また、検診時間の延長や就労している方には職場の集団検診に子宮頸がんを取り入れることが有効だと考えます。
 子宮頸がんへの理解と周知、検診率を高める必要がありますが、県として今後の取り組みについて福祉保健部長にお伺いします。
 また、学校教育の中で子宮頸がんについての正しい理解をはぐくむことが必要です。小学校から高校まで、それぞれの段階に応じた性教育の中の1つとして行われなければならないと考えます。
 性教育は、1人1人の体の仕組みや他の性との違いを学ぶ中で、自身の体や心を大切にすることを学びます。性教育は人権教育でもあります。命を受け継ぐために望まぬ妊娠を防ぐ性教育、HIVの問題、性感染症の問題など考えながら、自分や他人の体の大切さを理解させる必要があります。子宮頸がん理解について性教育から取り組むべきだと考えます。教育長に所見をお伺いします。
 次に、中国山東省との国際交流についてお伺いします。
 中国山東省との友好提携25周年を記念しまして、昨年の11月、山東省からは12月に相互の交流が行われました。私も、昨年11月の行政・議員交流訪問団の一員として、経済友好交流訪問団の皆さんとともに青島市、済南市を訪れ、その発展を目の当たりにしました。
 青島から済南へのコース、これは私が10年前に訪中させていただいたときと同じコースであったため、その変化を時系列で確かめる結果となりました。青島から済南までの高速道路の休憩所において、10年前には人も何もなかった、それこそ水がわりの大根を売っていた、そういった場所がまるでスーパーマーケットのように多くの商品を扱い、大勢の皆さんでにぎわっていました。青島市も情緒ある旧市を中心に大きく広がりを見せており、港湾の整備はもとより、海から山にかけて高層マンション群が林立している状況でした。
 和歌山市の姉妹都市である済南市は、日本で言う国体が行われるということで、オリンピックをほうふつさせるような体育施設、新しい市庁舎、高層住宅群も建設されており、その変化には大変驚きました。10年前には、古きよき中国を残す水のわき出す都、「泉都」と言われた済南市も、ここ近年では省都にふさわしい都市としての姿に発展しておりました。
 25年の長きにわたり交流を続けている和歌山県と山東省の発展を比べると、その差は歴然としています。和歌山、この25年に何が変わったのか。医大がロイネットホテル建設されただけかなあというふうな、何とも寂しい気持ちになっています。しかも、和歌山県と山東省との交流も25年を経た今、一定の交流は継続されてきましたが、残念ながら形式的なものからもう一歩踏み出せていないと考えます。教育でも、経済活動でも、人的交流でも、もっと親密な関係を築いていくべきだと考えます。
 この3月2日には、関西国際空港から済南市に直行便が就航しました。行政・議員交流訪問団も訪中されましたが、交通の便がよくなったこと、この機会に山東省との交流をさらに深く広く発展させる必要があると考えます。これからの経済も観光も、それぞれの入り口も出口も中国抜きでは語れない状況になっています。そのためには、和歌山に中国語のできる人材、中国の文化に精通した人材がもっと求められます。
 現在、和歌山市で最も中国との教育交流に力を注いでおり、実績を積み重ねている和歌山外国語専門学校の坂本理事長にお話をお聞きしてきました。和歌山外国語専門学校は、およそ100人の外国の子供が学んでいます。そのうち70人から80人が山東省出身の中国の若者です。この若者たちは、和歌山で日本語を学び、その後、和歌山や各地の大学、大学院、専門学校に進学しています。まさしく日本語に最初に触れる学校となっています。
 また、日本人が和歌山外国語専門学校で2年間中国語を勉強すると、山東師範学校の3年生に編入することができます。師範学校では2年間の勉強を終了し、学士号を取得した学生が先ごろ和歌山に帰ってきています。山東師範大学卒業第1号となったこの方は、今後、和歌山県と山東省の友好に大きな役割を担っていただけるものと私としても大きな期待を寄せていますし、県としてもこういった方をしっかりと活用することも大事なことだと思います。
 このように、和歌山外国語専門学校では山東師範大学と連携し、中国との交流に欠かせない人材の養成に力を注いでいます。山東省からの学生を受け入れ、和歌山の若者を中国に送り出すという地道な取り組みは、これからの山東省との交流をさらに発展させるためにはなくてはならないものです。
 また、山東省の日本語学校の教師は、同じ友好姉妹県の山口県の退職教職員の方が多いとお聞きしています。どういった経緯で多くの先生方が山東省で教師になっているか、その経緯はちょっとわかりませんが、そういった取り組みは山口県と山東省の関係を深くしているということに間違いはありません。
 今後、山東省との発展交流について、人材育成と人材交流は和歌山県の発展にとって最重要課題だと考えますが、知事の所見をお伺いします。
 次に、教育長にお伺いします。
 高校卒業後、英語圏への留学が多いと思いますが、これからは中国語のできる人材がもっと必要と考えます。和歌山外国語専門学校の例のように、和歌山で中国語を学び、その後山東師範大学に進学すれば、生活費も含め200万円ぐらいの費用で卒業できると聞いています。人材育成のために、費用の面からも負担が小さい中国への留学も視野に入れた取り組みを進めるべきだと思います。和歌山県でも幾つかの高校と山東省の高校とで友好姉妹提携を結んでいるとお聞きしています。ぜひもっと積極的に中国との交流を進めていただきたいと思います。
 また、今後は小中学校も含めた学校間の交流をもっと進めていくべきだと考えますが、小・中・高校までの交流についての現状と今後の取り組みについて、教育長の御所見をお伺いします。
 3番目に、学校図書館の充実についてお伺いします。
 ことし2010年、国民読書年です。電子図書のニュースも耳にする昨今ですが、読書の形態も変わってくるなあと思っていますが、子供たちが手にする絵本はやっぱり今のままがいいなあというふうに思っています。
 前恵庭市長、子育てと教育を考える首長の会事務局長の中島興世氏が「子どもの未来を拓く地域からの挑戦」という文章を発表しています。その中で、恵庭市において取り組まれた読書コミュニティーづくりの実践が語られています。
 恵庭市では、2000年から、9カ月から10カ月の乳幼児健診の際、赤ちゃんに絵本をプレゼントするブックスタートに着手、その後、2007年には1歳6カ月の幼児健診時に1冊と、新たにブックスタートプラスを展開してきました。読書コミュニティーづくりの一環として、保育園や幼稚園にも絵本の予算をつける、小学校と中学校に専任の学校図書館司書を配備するなど、読書環境の整備に大変力を入れてこられました。このことによって、地域の人たちによる読み聞かせ運動に広がりが出てくる、図書館の利用率が上がっていく、学校図書館への寄附がふえ、さらに学校図書が充実していくといったよい循環が生まれていると述べられています。
 学校での読書活動は教師にも真剣に取り組んでもらうことが成果を上げるかぎになるということで、先生方にも先進的な学校への視察をしていただいたと述べられています。恵庭市の小学生の3年生を調査したところ、98%の子供が「本が好き」と回答し、1カ月に10冊以上読む子の割合が77%という数字が出ています。全国的に不登校児がふえている中で、恵庭市では不登校児が激減し始めているという現象があらわれているとのことでした。
 近畿の中で箕面市でも、市内の全部の小学校、中学校に市担の図書館司書が配備されています。以前視察に行かせていただいたこともありますが、学校図書館が地域の図書館のようであったと記憶しています。子供たちが楽しく調べ学習や読書活動ができるように、さまざまな工夫がされていました。図書ラベルをきれいに張りかえたり、展示も新着本や紹介本などは表紙を見せたり、紹介文を載せたり、季節に応じた特集を組むなど、さまざまな工夫がされていました。教職員への情報提供も加味しながら、学習関連図書コーナー、国語の教科書の出典作品、理科の関連図書の展示もされていました。学校図書館は授業中、調べ学習の場にもなっていますし、休憩時間ともなると、さまざまな子供たちが入れかわり立ちかわりに出入りし、大変活発に利用されているようでした。また、地域の方々が曜日を決めて学校図書館で読み聞かせをされており、まさしく学校図書館が学校の中心であるといった様子でした。
 私も、教員時代、毎朝子供たちに読み聞かせをしていました。その時間だけはやんちゃな子も一生懸命聞き入っていた姿を思い出します。「先生、次、これ読んで」と自分の家から本を持ってくる子もたくさんいましたし、子供たちというのは本当に私たち大人が思っている以上に本が好きなんです。そんな子供たちをもっと応援していただきたいというふうに思います。
 このように市町村に先行されている学校図書館への取り組みでありますが、子供たちに与える影響は先ほどから言わせていただいていますように、論をまたないと考えます。読書の有益性についてはだれもが認めるところでありますが、読書環境をいかに整備していくかが、その自治体の文化度が問われるところです。赤ちゃんから青年までの長いスパンの中で読書環境を整えていくことが、間違いなく未来への投資になります。
 しかし、現実は、小中学校では12学級以上、司書教諭が置かれなければならないと明記されていますが、実際は担任や他の職と兼務している実態ですので、学校図書館は無人であります。だれもいない学校図書館は図書の時間以外はかぎがかけられています。何とも寂しい限りであります。
 そこで、教育長にお伺いします。
 和歌山県下では小中学校に専任の図書館司書教諭を置かれている市町村はあるのでしょうか。学校図書館に、司書でなくてもボランティアの方や退職した先生方などが常時活動している学校はありますか。また、今後、県独自で専任司書の配置などを含め、学校図書館充実に向けた取り組みの予定はありますか。専任司書教諭の制度化、学校図書館の環境整備を含め、学校教育における読書環境の整備・充実に向けて、教育長のお考えをお伺いしたいと思います。
 図書の充実については、国でも新学校図書館5カ年計画を推進しており、学校図書館図書標準を達成するための予算措置がされていますが、和歌山県では、平成20年度の調査によると、達成している学校の割合は小学校では45.8%、中学校では28.5%であります。図書館図書標準を達成させ、魅力ある学校図書館を望むものですが、今後の取り組みについてお伺いします。
 最後に、消費者行政についてお伺いします。
 消費者行政については、同僚議員、多田議員のほうからも2月議会で一般質問が出ておりますが、私は消費者相談から見える課題について質問します。
 先ごろ、消費生活センターのほうに出向き、お話を聞いてまいりました。センターのほうでも消費者相談の概要をまとめられており、詳しい内容も聞くことができました。昨年の相談件数は5904件、そのうち苦情相談が5333件、その苦情相談の3割がウエブサイト関連、はがきを使った詐欺行為、フリーローン、消費者金融といった内容が主なものであります。特にウエブサイト関連は全体の2割を占めており、被害者は、未成年から30代を中心に幅広い層が被害に遭っているといった実態であります。そのやり方も大変巧妙になってきており、音楽をダウンロードしようとアクセスするとアダルトなどのサイトに登録されてしまったなどなど、あらゆるサイトからそういったわなが仕掛けられているといった状況です。うっかりクリックしたため多額の料金が請求される。また、その請求画面が何度消去しても消えないようにウイルスが仕掛けられているといった被害がふえているということでした。
 また、年齢別に見ると、60歳以上の高齢者からの相談が増加しているということであります。特に、ひとり暮らしの高齢者が訪問販売による被害に遭っているといった実態が浮かび上がっています。SF──催眠商法というんですが──この商法では70歳以上の高齢者層が66.7%と、大半を占めるといった状況であります。
 消費生活センターへ相談される方はまだ救済できる余地がありますが、被害に遭ったことすらわかっていない方々も多くおられると推察されます。被害に遭いやすい、被害に遭ったときにどう対処していいかわからない、そういった被害者を多く出さないための対策が急がれると考えます。特に高齢者の方や若年層に対する対策が必要と考えます。また、こういった被害の状況を行政と関係団体で共有し、啓発や対策に当たる必要があると思いますが、今後どのように取り組まれていくのか、環境生活部長にお伺いします。
 住民に身近な市町村に相談窓口設置を進めているということですので、全国的に見ても設置率が大変低い状況です。相談窓口の設置とともに、相談員の養成も急がれます。相談員の方の処遇改善、今後の取り組みについてお伺いをし、一般質問、第1問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの藤本眞利子君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 山東省に関してお答え申し上げます。
 山東省は、25年にわたりまして和歌山県の大切なパートナーであると考えております。実は、平成19年11月に当時の中村議長や多くの県議の方々と一緒に山東省を訪問いたしまして、その際に両県省で覚書を新たに設けて、さらに一層協力関係を強化するということを開始したところでございます。
 実は、この背景には、本県と山東省の友好関係には、同じような関係にある山口県に比べて和歌山県の対応は首脳の訪問などに限られてるんじゃないかというような意見を山東省側からもいただきまして、そこで両方で、それぞれ持っている問題点を、もっともっと助け合うということで解消していくために協力しようということで、先ほどの覚書を新たにしたところでございます。
 とりわけ環境協力については、和歌山県は公害防止の長い経験がございます。今、経済発展の著しい山東省では、このような環境問題について大いに悩んでいるというような情報もございました。そこで、専門家を派遣したり、あるいは研修団を受け入れたり、そういうような具体的な協力を実はやってるところでございます。
 それから、ビジネス交流も大いに推進したいということで、私どもの訪中に際しましては一緒にビジネスの方々も行っていただいて、両方で何かウイン・ウインの関係になるような協力ができないか、そういうことを探っているところでございます。
 それから、昨年の山東省側の訪日の際には商工観光労働部長を当事者とするような観光交流についての具体的な取り組みをいたしまして、この面でもさらに関係を強化していきたいと、そんなふうに考えております。
 そのほかにも、官民が一体となった訪問団の派遣、あるいは山東省からの訪問団の受け入れを行ったり、あるいは中国の事情、山東省の事情に通じた人材を県としてもぜひふやしていきたいという考え方から、現在、県職員を山東省に派遣しているところでございます。特に若い方々に中国の現状について理解を深めていただき、国際感覚を有する人材を育成するということで、この3月に外務省の事業を利用いたしまして、県内の大学生など約30名を山東省に派遣し、現地の学生たちと交流を行ったということもやっております。
 近年、発展著しい中国の中でも山東省は所得第2位のシェアを誇っております。同省との交流をさらに推進することは本県にとって大変有益であると考えますので、そのために必要な人材の育成と、それから交流に今後とも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(冨安民浩君) 福祉保健部長西上邦雄君。
  〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) ワクチン接種についてお答えを申し上げます。
 子宮頸がんワクチンは、平成21年10月に承認をされたところでございますが、疾病予防のための予防接種について定めました予防接種法に位置づけられていないため、勧奨や公費による負担が行われず、希望者が任意、また実費で接種することとなっております。
 現在、国において、他の疾病に係るワクチンとともに、公費で接種が行われることとなる定期接種化につきまして研究や検討が行われているところでございます。
 しかしながら、子宮頸がんは現在、唯一予防できるワクチンと言われておりまして、ワクチン接種による予防は検診による早期発見、早期治療とあわせまして非常に有効であると考えておりますので、去る6月8日に国に対しまして予防接種法への位置づけを進めるよう提案を行ったところでございます。
 県としましても、今後の国の動向等を注視するとともに、引き続き接種者への支援のあり方などにつきまして検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、子宮頸がんの周知と検診率向上についてでございますが、子宮頸がんの周知・啓発につきましては、従来から、がん検診の実施主体でございます市町村が広報紙等を通じまして実施をしてございまして、特に、昨年度から実施をしております女性特有のがん検診推進事業によりまして、20歳以上の対象者ごとに検診無料クーポン券と検診手帳を送付することで検診の周知とあわせて啓発も行っているところでございます。
 また、県におきましても、地域・職域連携推進協議会の活動等を通じまして、職場におけるがん検診の推奨やがんについての正しい知識の啓発を行ってございます。さらに、本年度は、企業との連携によりまして、スーパー、銀行等の窓口などでの啓発、また、多くの人が集まる場での講演等の広報活動をきめ細かく展開することによりまして、がんへの理解と周知、とりわけ議員から御指摘のございました20歳代から30歳代を中心といたしました若い女性に子宮頸がんの周知を図る等、検診受診率の一層の向上を図ってまいりたいと考えてございます。
 なお、子宮頸がん予防ワクチンの接種は高い予防効果があると言われておりますが、子宮頸がんを完全に予防できるものではないことから、がん検診が大変重要であると考えてございますので、従来にも増して積極的に周知、啓発を進めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 環境生活部長保田栄一君。
  〔保田栄一君、登壇〕
○環境生活部長(保田栄一君) それでは、消費者行政の2点についてお答えを申し上げます。
 まず、消費者被害防止のための取り組みについてでございますが、架空請求詐欺や悪質商法等による消費者被害の発生・拡大を防止する取り組みとしては、情報提供、相談窓口の充実が重要であるというふうに認識してございます。特に高齢者の被害防止につきましては、本年1月、関係各課と県民生委員児童委員協議会、県老人クラブ連合会等の関係18団体による高齢者・障害者に係る消費者被害防止ネットワークを設置し、情報の共有と啓発に連携して取り組んでいるところであり、今後とも迅速、適正な情報提供や相談活動を進めてまいります。
 また、若年者に対する取り組みについては、携帯電話等によるウエブサイト関連の相談が多数寄せられている状況から相談内容を分析し、学校や各地域への出前講座等、さまざまな機会をとらえ、消費者被害情報を伝えることにより被害の発生・拡大の防止に努めてまいります。
 次に、消費生活相談窓口の強化についてでございますが、現在、県内で専門の相談員を設置しているのは5市町であり、今年度さらに1市が配置する予定と聞いてございます。
 消費者行政活性化基金を活用した市町村における相談窓口の充実・強化を図るため、市町村の消費者行政担当職員を対象にした消費生活相談に係るスキルアップ研修を実施するとともに、各地域ごとに市町村の意見も十分聞きながら、それぞれの地域の実情に応じた相談窓口の整備のあり方について協議、検討をしているところでございます。
 議員御指摘のとおり、市町村の相談窓口の整備を図るためには、専門的な知識を有する相談員の養成は急務であると考えており、昨年度に引き続き養成研修を実施することといたしております。
 また、相談員の処遇につきましては、他府県の状況も勘案し、相談員の方々が安心して業務に専念できるよう、条件の改善等を検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 子宮頸がん予防対策に関する学校教育の中での取り組みについてお答えいたします。
 本県の性教育につきましては、平成18年に「性に関する教育の手引」を作成し、生命尊重、人間尊重、男女平等の精神に基づき、児童生徒の人格の完成と人間形成を目的として実施してございます。
 性感染症につきましては、教職員だけでなく、必要に応じて外部講師を招くなどし、中学校段階以降に適切に指導しているところでございまして、子宮頸がんに関する指導につきましても、発達段階に応じた性教育の中で実施してまいりたいと考えます。また、教職員を対象とした研修会等に専門家を招き、指導する立場の教職員の理解を深めるよう努めてまいります。
 次に、山東省との学校間交流についてお答えいたします。
 本県では、小学校1校が山東省の小中学生を受け入れるとともに、高等学校4校が姉妹校提携を結び、交流を行っております。昨年度は、高等学校3校、合わせて21名が山東省を訪れ、ホームステイにより、ふだんの生活を経験する活動も行いました。
 本年度も、国が進めております21世紀東アジア青少年大交流計画により、今月9日から15日まで、県内の高校生45名が山東省の学校を訪問し、現在、歴史・文化の研修等を行っているところでございます。
 友好提携を結んでいる山東省との交流は、本県の国際理解教育の中核になると考えているところでございまして、国際社会で主体的に生きる人材を育成する上で大変意義深いものであることから、今後とも姉妹校との取り組みを継続・発展させるとともに、小中学校においても山東省との幅広い交流のあり方について工夫を凝らすなど、その充実を図ってまいりたいと考えます。
 学校における読書環境の整備・充実についてでございますが、本県では、児童生徒が読書に親しむため、和歌山県子ども読書活動推進計画に基づきまして読書環境の整備に努めているところでございます。中でも学校図書館教育は、児童生徒の自主的、主体的な学習活動を促す大切な役割を担っており、学校図書館が果たす役割はますます重要であると考えてございます。
 御質問の司書教諭につきましては、図書館業務のみを専任で行う教諭を配置している市町村はございませんが、12学級以上のすべての学校に司書教諭を配置し、学校図書館の運営を行っているところでございます。司書教諭の役割につきましては、図書館を活用した教育活動の中核を担うという点からも、より一層重要であり、今後も市町村教育委員会を通じて各学校に指導してまいります。
 また、図書の整理や修理のためにボランティアの方が毎日のように訪れる学校や、図書の貸し出し、読み聞かせなどの活動を行っている学校もございます。このような地域教育コミュニティーを活用したボランティア活動が県内各地に広がりますよう、先進的な取り組み例を紹介、普及してまいりたいと存じます。
 次に、学校図書館における図書の充実につきましては、新学校図書館図書整備5か年計画を着実に推進するよう、引き続き市町村教育委員会に指導・助言するとともに、県立図書館における学校図書館への団体貸し出しの活用を促進するなど、公共図書館との積極的な連携を進めてまいります。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再質問を許します。
 35番藤本眞利子君。
○藤本眞利子君 今回、4項目についてお答えをいただきました。
 子宮頸がんについてですが、昨年度から乳がん、子宮がん検診の無料クーポンというのが配布されていますので、ことしも和歌山では6月に対象者にクーポンと検診手帳が配布されました。
 昨年の検診率を調べましたところ、集計中の5市を除いて35市中で乳がんが27.8%で3着、子宮頸がんが32.4%でトップという結果が出ました。これは和歌山市なんですが、そういうふうな結果が出ました。これはクーポンが導入される以前に比べたら10ポイント近く受診率がアップされるという結果になっています。欧米に比べるとまだまだ低い受診率でありますので、さらに検診への周知を努めていただきたいというふうに要望します。
 また、この予防ワクチンの接種を推進する12団体──いろんな団体からもワクチンの公費助成を民主党のほうにも申し入れをされておりまして、早急な対策が講じられるように、私どもも国に積極的に働きかけていきたいというふうに思います。
 また、知事の御答弁で、環境とかビジネスとか観光とか、そういったところと大変緊密にこれからも交流していくというふうな御答弁をいただきましたので、だからこそ余計に人材の育成、養成というのはもう近々の一番の大変重要な課題だというふうに思っています。ますますこれからそういった交流が進んでいくというふうにも思います。
 観光についても、ビザの要件が、観光客の所得水準がずっと大幅に引き下げられたので、もっともっとふえてくるというふうな見通しだというふうに聞いています。大体4億人ぐらいが観光で外国に行けるようになってくるんじゃないかというふうにも思いますので、これ、受け入れのためにも、観光課なんかにも中国語のできる人を配置するということが大変重要なことだというふうに思いますので、その点についても今後お取り組みしていただけたらというふうに思います。
 あと、読書環境の整備についても、先ほど言わしていただいたように、子供たちへの投資は未来への投資でありますので、少々時間とお金はかかってもしっかりと取り組みをしていただきたい。教育が最も重要だというのはもう歴史が証明しているというふうに思います。まさしくコンクリートから人への投資であるというふうに思います。
 人の命を守るための対策、それから人を育てる教育の対策、人の生活を守るための対策、それぞれ御答弁いただきました。今後ともしっかりと取り組んでいただけることをお願いしまして、質問を終わります。
 以上です。
○議長(冨安民浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で藤本眞利子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時49分休憩
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