平成22年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(花田健吉議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前10時0分開議
○議長(冨安民浩君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第85号から議案第88号までは、職員に関する条例議案でありますので、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。
 日程第1、議案第84号から議案第99号まで並びに知事専決処分報告報第1号及び報第2号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 11番花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕(拍手)
○花田健吉君 おはようございます。議長にお許しをいただきましたので、一般質問に入らしていただきますが、今県会において当選以来、また、装いも新たになったこの新しい議場で、トップバッターで壇上に立たせていただきました。先輩、同僚議員の皆様の御配慮に心から感謝を申し上げます。
 先般、鳩山首相及び小沢民主党幹事長が電撃辞任をいたしました。これだけ沖縄県民や政治家と金の問題で日本国民に大きな失望を与えたのですから、辞任は当然のことでありますが、新しい菅直人政権になっても民主党の給付型政策が大きく変わるわけではありません。地方にとっては依然厳しい状況が続くことになりますが、引き続き私たち自由民主党県議団は地方の立場、地方の目線から、「コンクリートも人も」の立場に立って県経済の発展と社会保障の充実に全力を傾注し、県民の皆様の期待におこたえしていくことをお誓いして、一般質問に入らせていただきます。
 それでは、まず最初に、仁坂知事はこのたび「平成23年度国の施策及び予算に関する和歌山県の提案」を示されました。行財政基盤の強化、公共インフラの整備、生活の安全・安心づくり、産業の振興、福祉地域医療の推進、たくましい人づくりを目標に37項目を挙げられています。逼迫する県財政において、多様化する県民のニーズにこたえていくため苦心されていることはよく理解できます。しかし、「コンクリートから人へ」という民主党政権が平成23年度の予算を本格的に編成する中で給付型政策がより反映されれば、人口の少ない、そしてまだまだ社会資本の整備がおくれている和歌山県のような地方にとって、経済的にも県民生活においても大きな影響が出てくることは必至であります。
 鳩山・小沢体制はわずか8カ月余りで終わりを告げ、菅新政権では政務調査会が復活したとはいえ、民主党政権の方針が大きく変わるとは思えません。来年度の予算に関する和歌山県の提案をだれにどのような方法で行っていくのか、昨年までと予算編成の過程が大きく変わることになると考えますが、市町村の要望を県が取りまとめて、民主党和歌山県連を通して党本部に要望するのでしょうか。
 民主党政権は、選挙の結果によって地域の重要施策を切り捨てたり復活させたりと、まことに常軌を逸した蛮行を行っています。和歌山県のような保守王国には大変厳しい状況が今後も続くと考えられます。その象徴的な一件が近畿自動車道紀勢線の御坊─田辺間4車線化745億円の予算凍結であります。
 先月25日、高速2議連で長崎県を視察いたしました。長崎県の高速道路も4車線化を見送られた箇所であります。全国凍結6路線のうち、復活しなかったのは和歌山県と長崎県だけでした。なぜかは皆さんも御承知のとおりであります。
 先般、前原国土交通大臣が和歌山県を視察されたそうであります。地元代議士も同行されたようですが、御坊─田辺間は現在渋滞箇所がないとの認識で、有田─御坊間の4車線化の後からでもいいのではないかとの見解を述べられました。前原大臣はともかく、地元代議士まで同調したことに愕然といたしました。
 まず、渋滞だけを取り上げますと、当路線の特に南進は、現在、海南インター付近を先頭に土日・休日ともなりますと10キロ近く渋滞いたします。原因は、片側2車線が1車線に減線されるからであります。ことし7月16日に有田インターまで片側2車線になるとしても、渋滞の先頭が有田まで先送りされるだけであります。抜本的な渋滞緩和策は最低でも田辺まで4車線化しなくては渋滞が解消されないことは、地元に住んでいる我々県民であればだれでもわかってることであります。
 仁坂知事は、就任後すぐこの問題の重要性を指摘され、おくれていた都市計画を進め、有田─御坊区間の4車線化のために必要な環境アセスメントを行い、年内に都市計画決定するまでに至ったことは高く評価するものであります。
 西日本一と言われる交通渋滞箇所を数多く抱える当路線の4車線化は、和歌山県の経済・産業の発展はもとより、観光客の皆様の時間的損失や、幾ら観光立県推進条例を県議会で制定して県民総参加でおもてなししても、お帰りになる高速道路の渋滞に巻き込まれ、イメージが悪くなれば、むなしい限りであります。大阪方面にお帰りになられる観光客の車の渋滞が毎週、海南、下津を先頭に広川インターを越えることもしばしばであり、夏休みや行楽シーズンともなりますと、御坊インター付近まで30キロ近く渋滞が伸びることもあります。私も和歌山から帰るとき、よく対向車線の渋滞を目にするのですが、白浜方面からお帰りのお客さんと顔や目を合わさないように、「また和歌山に来てくださいね」と心で念じながら通り抜けてまいります。
 次に、忘れてならないのが人の命を民主党はどのように思ってるかということであります。生活が第一と言っていますが、人の命が第一であります。近畿大学の生徒が湯浅パーキングエリア付近で一度に5人、正面衝突によりお亡くなりになった事故は、仁坂知事も皆さんも記憶に新しいと思います。楽しい和歌山への旅行のはずが、一転して大惨事となりました。将来ある若者の死に、御遺族はもちろん、多くの県民も心を痛めました。2車線対面通行の危険性は利用する者全員が背負わなくてはならないリスクであります。自分だけ安全運転していれば回避できるということではありません。高速で走るがゆえに、一度事故が発生すると人命を奪ってしまう大惨事になることを御存じであれば、有田から順番に時間をかけて4車線化していこうなどと悠長な発想は起こらないはずであります。
 命といえば、救急車が有田から海南の間で渋滞に巻き込まれ動けなくなっている場面に何度も出会ったことがあります。一般道であれば、渋滞していてもサイレンを鳴らしながら前に進むことができますが、2車線の高速道路であるがゆえに追い越せない救急車の中の患者や付き添う御家族の心中はいかばかりかと推察するとき、本当にやるせなくなります。
 こんな状況下にある和歌山県の高速道路の現状を全く理解していない大臣が、数時間視察して本当に問題点を把握できたのでしょうか。県民の声を全く無視した視察後の記者発表はまことに遺憾であり、地方に住む私たちの生命と生活を軽視した暴論であります。発表後すぐに県内各地の政界、財界、一般県民から民主党に対し多くの不満の声が一斉にあふれたので、後日、民主党和歌山県連は、有田─御坊間や御坊─田辺間の4車線化を引き続き推進し、国体開催までにはすさみまで完成させるよう全力を挙げて取り組むと発表いたしました。
 仁坂知事は、この民主党和歌山県連の発表に、「大いに評価する」、「ようやくともに進んでいただけるようになった」と記者発表されましたが、私たちは、にわかに民主党和歌山県連の発表を信じることができません。これは明らかに参議院選挙の選挙PRではありませんか。昨年の衆議院選挙は政権選択で争いましたが、ことしの参議院選挙の結果で政権交代はありませんから、政策選択で国民に信を問うことになります。民主党は政権の座に着いて以来、ほとんどマニフェストを棚上げし、実行しないではありませんか。その最たる例が普天間基地の移設問題であり、県外移設と沖縄県民に公約しながら、結局は自公政権で決定していた原案とほぼ変わらない案をアメリカとの間で政府間合意し、沖縄県民を裏切り、失望のみを与えた民主党政権を私たちは現段階で信用することができないのであります。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 まず、近畿自動車道紀勢線の有田─田辺間の4車線化の必要性と重要性について、知事の御認識を改めてお伺いいたします。
 次に、知事は民主党和歌山県連の発表に対して大変喜んでおられましたが、近畿自動車道有田─田辺間の4車線化の県連発表が民主党本部の正式決定であるとの認識に立たれた知事の記者発表なのか、お答えください。
 さらに、田辺─すさみ間は国体開催の平成27年度までに整備するとも和歌山県連は発表されました。しかし、それを実行しようとすれば、事業ベースで毎年300億円の事業費が必要となると知事自身がコメントしています。しかし、今年度100億円しか予算計上されていないのに、今後どのようにして平成27年までに間に合わせるのか、知事は内訳を聞いておられるのですか。単純計算からいえば、最低でもことしの補正で200億円を予算化してもらわないと実現不可能ではありませんか。国体開催までの田辺─すさみ間の完成について、知事の今後の見通しと対応をお聞かせください。
 沖縄のように選挙戦略に振り回され、期待をあおるだけあおって、やっぱりできませんでしたでは済まされません。特に、知事の記者発表は県民に対し大きな期待と大変重い責任を伴うのですから、もう少し具体案が出てから慎重に行うべきであると考えます。いまだに当路線について民主党本部もしくは国土交通省から予算の復活について何も発表がないのですから、きちんと具体策が示されてからでも知事のコメントは遅くありません。
 沖縄県の仲井眞知事は、政権交代以来、鳩山首相が幾ら「県外移設、県外移設」と言っても一喜一憂するのではなく、慎重に言葉を選び、むしろ積極的な発言を控えられました。10万人集会のときも、知事のあいさつの内容に物足りなさを感じた沖縄県民から不満の声も一部上がっていましたが、あのとき仲井眞知事がその場の空気に流され、県民向けに県外移設に積極的なコメントを出していたら、普天間基地の移設問題は今よりはるかに複雑化し、長期化したでしょう。それほど知事の発言は県民世論に大きな影響を与えます。
 仁坂知事もよく御存じのことと思いますが、このたびの高速道路4車線化のような非常に政治色の強い、かつ直近の選挙に直接影響があるものについては、よく熟慮してコメントを出していただくことを申し添えておきます。
 次に、県土整備部長にお伺いいたします。
 民主党は、ことし18%公共事業を削減すると言っていますが、和歌山県内の今年度の公共事業の影響についてお尋ねをいたします。
 例えば、京奈和自動車道の国体までの全線供用は可能ですか。第2阪和道路の整備はどうですか。有田─海南間の国道42号の渋滞解消は進みますか。県下各地域のおくれている道路整備に影響は出ませんか。
 河川について、切目川ダムの事業費はあと74億円必要とされています。民主党はダムの事業見直しにより、県営ダムの補助金も見直しの対象になっていたと思いますが、どうなっていますか。昨年12月の私の一般質問に知事は最終、県単独でもやるとお答えをいただきましたが、完成予定が大幅におくれるようなことはありませんか。切目川流域の皆さんの生命や財産、生活にかかわる大切な事業ですから、予定どおり完成していただくことを強く望みます。その他、国の直轄河川やダム、県管理の河川整備の事業に影響はありませんか。
 さらに、今後の東南海・南海地震の対策についてはどうですか。和歌山下津港海南地区の津波対策事業の進捗に影響は出ませんか。橋梁やのり面等の公共施設の耐震化の促進に影響は出ませんか。おくれている公共下水道の整備や浄化槽整備はどうですか。
 教育長にもお伺いいたします。子供たちの命を守る小中学校の耐震化工事におくれは生じませんか。
 その他、多岐にわたって公共事業は県内各地に住む県民の生命や財産や生活を守ってくれる大切な事業ばかりであります。無駄な公共事業など、1つもありません。知事初め当局は、政府に対し平成23年度予算獲得に全力を挙げていただきたいと思いますが、代表して知事の御決意をお伺いいたします。
 以上、自由民主党和歌山県連並びに自由民主党県議団を代表して意見を述べさせていただきました。
 次に、子ども手当の中の児童手当の地方負担分についてお伺いをいたします。
 昨年、子ども手当を導入するに当たり、公約どおり全額国費で支給すべきだと全国の知事初め自治体から意見が噴出いたしました。
 しかし、地方の声は全く無視され、政府は強引に児童手当を組み込んだまま子ども手当の支給に踏み切りました。子ども手当は民主党政権の目玉政策のように宣伝されていますが、地方自治体の分担と企業の負担が組み込まれていることを県民の皆さんに御認識をいただく必要があると思います。
 参議院選挙用に6月中に支給し、民主党が配っているかのごとく発言、報道されていますが、この厳しい地方行財政や不況にあえぐ企業経営の中からそれぞれが懸命に捻出した財源も含まれていることは一切知らされません。民主党は地方自治体や企業の財布の中に手を入れて、自分だけよい格好をしているだけではありませんか。
 私は、子ども手当より従来の所得制限を設けた児童手当のほうがまだ公平性の観点からも評価しますし、核家族化がますます進む中、子育て世代の家庭を支援するというのなら、安心して子供を預け働きに出られる環境づくりが最も重要であります。少子化対策においても、経済、雇用、教育の面においても最も有効であると考えます。
 そこで、知事に提案いたします。
 国への和歌山県の提案では、子ども手当の中の児童手当制度の撤廃を提言するとなっていますが、来年度から子ども手当そのものを廃止することを政府に提案されてはどうですか。
 子ども手当について制度矛盾の例が幾つも報道されています。尼崎市に住む韓国人男性がタイで養子縁組をしているとして554人分の手当約8600万円を申請しようとしましたが、さすがにこれは受け付け拒否されました。また、ある日本人の男性は、フィリピンの女性と結婚し、2人の子供がいて、父親は日本で働き、母親と子供の住むフィリピンに生活費を仕送りしているそうであります。昨年までは当然児童手当が支給されていたのですが、ことしから子ども手当に変更されたため、規定で昨年2回以上子供に会いに行ってないという理由で支給されなかったそうであります。本当は年に何回でも会いに行きたいというのが親心だと思いますが、渡航費等多くの経費が必要なため許されない、日本で一生懸命働き、家族のために仕送りされている方にとって納得のいかないのは当然ではありませんか。
 御主人が海外に出張して働いている御家族には支給されず、海外から日本に働きに来ている外国人の外国に住んでいる子供には支給される。また、子供を産みたくても子供を産むことができない方への不公平感もあります。菅政権において、早くも来年の子ども手当を現行のまま1万3000円で据え置く案が出ていますが、1万3000円では扶養控除や配偶者特別控除をマニフェストどおり廃止すれば増税になる家庭も多く出てきますし、15歳以下の子供のいない家庭との格差は大きく広がるばかりであります。
 財源が確保できないまま子ども手当を支給し続けることは、税金のばらまきにしかなりませんし、国の借金がふえ続けることにもなります。少子化対策、子育て家庭への支援を考えるならば、乳幼児保育の施設を整備する方向に転ずるべきであります。そうすれば内需や雇用の拡大にもつながり、経済波及効果も見込まれます。
 「コンクリートから人へ」と民主党は申しますが、和歌山県内には建設業で多くの若い世帯の方が働いています。公共事業が減れば、給料やボーナスが下がったり、雇用調整のためにリストラされたり、果ては会社が廃業、倒産に追い込まれたりして、子ども手当をもらっても生活ができない家庭が出てきます。仁坂知事におかれては、社会主義政策につながる子ども手当は一刻も早く廃止し、それにかわる子育て政策を全国知事会等を通じて強く政府に御提案をいただきたいと思います。もしもどうしても引き続き子ども手当を継続するのであれば、地方自治体の分担や企業の負担が含まれている児童手当の廃止を断固として訴えるべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、広域消防の救急搬送の連携についてお尋ねをいたします。
 消防本部は、御承知のとおり一定の管轄区域に配置されています。最近の市町村合併による管轄区域の変更で時間的ロスが出てきているところもあります。合併前だったら近くの救急車が来てくれたのに、合併してからは消防本部の管轄区域も組みかえしたので少し遠いとこからしか来れなくなり、心筋梗塞や脳梗塞のような緊急を要する救急車が手おくれになりはしないかと心配されている地域もあります。ドクターヘリは県内どこでも飛んできてくれるのに救急車は来てくれないと嘆いておられました。
 消防本部の管轄区域の設定と責任上なかなか難しいと御説明しても、それはよくわかるが、住民からすれば「人の命を守るのに境界線があるのはおかしい」と言われると、それも至極もっともな意見であり、反論もできません。当然、定められたエリアを守る使命は最重要ですが、工夫できないものかと思います。特に山間部に参りますと、救急車が到着するまで20分から30分を要するところがたくさんあります。合併してそうなったところもありますし、合併以前から近くに消防本部がありながら区域外のためそのような状況にあるところもあります。
 高齢化が進み、近隣に救急病院がない山間部で、ただ救急車を待つしかない患者やその御家族のことを思うと、どうにかならないのかと常々思っておりました。例えば担当エリア外の救急患者を搬送する場合には、空白になるエリアを本来のエリアから搬送時間の間待機する等の対応をすれば住民も納得するのではないかと思います。消防車や救急車は、県民、住民の視点からすれば同じ機能を持った車であり、どこに所属しているかは問題ではありません。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 県下の救急体制は消防本部の管轄区域ごとに分かれていますが、これまでに県民からこのような意見が寄せられたことはありませんか。市町村や一部事務組合で消防及び救急体制が構築されていますが、管轄区域で線引きするとどうしてもこうした問題が起こってくると思います。仁坂知事はドクターヘリを大阪府や徳島県、三重県、奈良県と協定を結び連携していますが、県内の救急車の連携について御所見をお伺いいたします。
 次に、危機管理監にお伺いいたします。
 和歌山県は消防広域化推進計画を策定して、これまでも自主的な市町村の消防の広域化の推進に関する基本的な事項を定め、さらに広域化対象市町村の組み合わせも策定されていますが、その計画の概要と今後のお取り組みをお伺いいたします。
 福祉保健部長にお伺いいたします。
 救急車には救急救命士が同乗し、初期手当てを医師と連携をとりながら救急指定病院に搬送していただいていますが、脳梗塞や脳溢血、心筋梗塞等で動かせない場合、なおかつ少しでも早く医師の専門的な処置を施さなければならない場合もあると思います。そこで、それぞれの地域の拠点病院を基地にドクターカーの配置も今後検討すべきではないかと考えます。特に、拠点病院から遠い高齢化の進む山間部では有効な手段だと思います。
 次に、有害鳥獣の食肉利用についてお伺いをいたします。
 先般、仁坂知事もお越しをいただき、日高川町ジビエ工房紀州の竣工式が行われました。農林作物や、最近は住民にも被害を及ぼす有害鳥獣であるイノシシやシカを貴重な地域の資源として食肉利用することにより、捕獲数の増加による個体数調整を実施し、実効性のある有害鳥獣対策を推進するのが目的であります。知事も、当日、ごあいさつの中で、捕獲した鳥獣は食べてあげないと申しわけないと申されていました。まことにそのとおりで、破棄処分にすることは極力避けなければ、自然の恩恵に対し冒涜することにもなりかねません。当日、地元の皆さんがいろいろ工夫された料理を試食させていただきました。田舎に生まれ育った私でさえ本当にイノシシやシカの肉が入っているのかと思うくらい工夫された料理でした。
 近年、有害鳥獣の被害は目を覆うほどひどく、山間部のみならず都市部までその被害は拡大していることは御承知のとおりであります。猟友会の皆さんに頼ってばかりはいられないと、最近は農家の方々も積極的にわなの免許を取得され、有害鳥獣の駆除に当たられています。そんな中、有害鳥獣も地域の資源として有効に利用しなくてはならないとの思いから、このたび日高川町で食肉処理加工施設がつくられたということは大変意義深いことだと思います。
 しかし、これから運営していく上で幾つかの心配事もあります。お聞きいたしますと、利用者は登録制で、日高川町内の捕獲者に限られ、処理から販売まで一貫して行うということであります。今まで捕獲し現地で食肉処理しても商品として販売することはできませんでしたが、この施設を利用することで商品化ができます。しかし、本当に商品として流通させることが可能なのか心配しております。あくまでもジビエ工房紀州は捕獲者が食肉加工する施設であり、販売まで関与していません。安定的な需要があってこそ有害鳥獣の対策にもつながると思うのですが、今のところ販売については明確なプランがありません。
 また、民間のイノシシ、シカの精肉取扱店は県内22店舗あり、肉料理を出している施設及び店舗は24店あるとお聞きいたしました。このうち食肉処理から行っているところは11店舗であります。昨年はこれらの施設で285頭精肉され、販売されているそうであります。一昨年はイノシシ、シカで約1万3151頭捕獲されていますが、わずか2%程度しか商品として販売されていません。シカに至っては数十頭だそうです。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 知事もジビエ工房紀州の竣工式と試食会に出席していただきましたのでよく御理解いただいていると思いますが、食肉処理加工されたイノシシ、シカ肉の販売促進やPRについてお考えがあればお答えをください。
 教育長にお伺いいたします。
 私たちが小中学校時代、クジラは竜田揚げを初め、いろいろなメニューとして給食に出てまいりました。大変おいしく料理されたクジラの肉が私は大変好きで、給食が楽しみでした。
 平成21年5月現在の資料ですが、県下の小中学校や特別支援学校で完全給食を実施している生徒数は6万6139人います。この人数は大変な人数であり、まとまった量を消費するという観点から、イノシシやシカの肉を給食に利用できないかと考えますが、いかがですか。まとまった量を消費する需要があれば、捕獲する側も計画的に進めることができます。需要があれば、ジビエ工房紀州を初め、県内11カ所ある民間処理加工施設での新規雇用も期待できます。
 鳥獣害被害は今や農家だけの問題ではなく、和歌山県全体の大きな政治課題であり、県民挙げて取り組まなければならない重要施策であります。給食費が小学校で平均244円程度、中学校で275円程度と限られた予算で献立している現場のことも含めていろいろな御意見もあると思いますが、給食で利用することについてもお考えをいただきたいと思います。
 ちなみに、生徒数6万6000人が月4回給食に使用すると、11カ月で延べ人数290万4000人分になります。1人当たり1食100円分の肉を使用すると──ちなみにビーフは100円程度だそうですが──2億9040万円になり、シカ1頭20万円で購入すると、単純に割ると1452頭分、公に食料として消費することができます。
 玉置日高川町長はシカのシチューをビーフシチューならぬシカチューで売り出そうかと笑っておられましたが、シカの肉は既にカレー用に商品化されているとお聞きいたしました。シカの肉は比較的安いので、給食のカレーやシチューの食材として利用可能だと思います。味については仁坂知事にお聞きください。
 私は十分給食のメニューにたえられると思いました。県下の小中学校で週に1回でもシカのカレーやシチューが給食に出れば、大変なシカの需要が生まれます。幾ら立派な施設をつくっても、需要を喚起しなくては捕獲も進まないのではないかと考えます。仁坂知事におかれましては、しっかりイノシシとシカの肉をPRしていただき、ジビエ工房紀州並びに県内各地の精肉店がフル稼働できるよう御支援をお願いいたします。
 次に、紀の国森づくり税と同基金の運用について、3年間の事業評価と今後についてお伺いいたします。
 紀の国森づくり税が施行されて4年目を迎えました。この税金は、全国でも初めて県議会が県民に対して税金を課したということで大変注目されました。その後、地球温暖化が世界的に注目を浴び、我が国においても政府が世界公約においてCO2削減25%を打ち出すなど、環境に対する意識も国民の間で認知されてきました。ようやく5年前の和歌山県議会自由民主党県議団のレベルまで達してきたのかと感慨深いものがあります。
 本来であれば、環境問題のような大きな政策は国が主導してやるべきだと思います。しかし、当時は政府初め県内の都市部の議会も森林の荒廃について余り議論されず、導入に当たっては反発もありました。しかし、私たちは、森林環境の悪化は一刻の猶予も許さないとの判断で、国政に先駆け、勇気を持って採決いたしました。ようやく国においても環境税の必要性が議論されるようになりました。まことに遅いといえば遅い対応に、地方で環境を維持するために御尽力いただいている関係各位に敬意と感謝を申し上げると同時に、税の御負担までいただいていることにじくじたる思いがあります。
 森づくりといえば植林された杉、ヒノキのうっそうと生い茂った山を想像されますが、山はそんなに単純ではありません。杉、ヒノキの山だけ間伐を行えば山は生き返ると思っておられる方はいないと思いますが、実は身近な自然林も大変なことになっています。特に里山と言われる私たちの身近な山が、ここ40年から50年の間に激変いたしました。
 我が国は世界有数の森林再生能力が備わっていると言われるほど、樹木の育成に適した環境が整っています。しかし、人の手が加わらなければ過密化し、人でいえば高齢化してしまうのです。私たちの先人は、木材を住居の建築材料はもとより、燃料や生活用品、さらに工芸品等の商品として広く利用してまいりました。それが、西洋風のコンクリートづくりの家がふえ、燃料もガス、電気の普及により家庭から木材の需要が激減し、山は放置されたのであります。
 太古の昔から、我が国は木の文化と称されるほど、日本人は木を利用してきました。木とともに生きることで山を管理し、約30年から40年の周期で山を順序よく再生してまいりました。まさしく循環型社会を形成し、効率よくCO2を吸収する過程をつくっていたわけであります。
 樹木は成木になる過程においてより多くのCO2を吸収し、幹や根に蓄積していきます。さらに、伐採された木材を建築材料などとして使用することで炭素は固定されたままとなり、貢献するものとなります。しかしながら、山の手入れが行き届かなくなると、山肌の土がむき出しになり、保水力もなくなり、ちょっとした大雨で河川は赤く濁り、かつてのように海に栄養分を送ることもできず、やがて山肌が崩落することにもつながりかねません。もしダムの上流で集中豪雨による大規模崩落が起こった場合を想像すると、背筋が寒くなります。
 「災害は忘れたころにやってくる」と申しますが、100年に一度の豪雨にも耐えられるようにダムは設計されているとお聞きいたしますが、当時の山の保水力と現在とでは断然の相違があることまで計算されていたのでしょうか。よく最近、緑のダム構想を耳にいたしますが、昔はまさに緑のダムのみに頼っていました。緑のダムとコンクリートのダムが併用されてこそ私たちの安全は保障されるのではないかと、最近特に思うようになりました。
 この間、近所の方々と近くの山を見ながら話をする機会がありました。「昔はよく山に入った。尾苅もよくした」と申されていました。私は美山村育ちでありますが、「尾苅」という言葉を知りませんでした。尾苅とは、山の尾根に生えている木を定期的に伐採し、高木化しないようにして、それによって山肌に光を入れ、照葉樹等が育ちやすくし、また山へ人が入るのにも入りやすく、豊かな山を管理する重要な地域の行事事だったそうです。そういえば、昔、私の育った近くの山の尾根はいつも明るく、人もよく通っていたと記憶しています。現在でも、ある地区では順番に尾苅をしてると聞きました。
 当局は、公共の河川についてはそれぞれの地域の河川愛護会にお願いし、草刈り等、川掃除を行ってもらっています。しかし、個人所有の多い山の管理は個人任せで仕方ないとお考えなのだろうと思いますが、もう個人で山を管理することは物理的にも経済的にも不可能であります。
 私の友人で、最近、菌床シイタケを始めた方がいらっしゃいます。四国から菌床用の木材チップを購入されていたのですが、このたびふるさと雇用特別交付金を利用し、荒廃する地元の山からシイやカシの木を伐採しています。
 そこで、農林水産部長にお伺いいたします。
 紀の国森づくり税の基金は、この3年間どのようなところに使われてきましたか。その事業の成果についてお答えください。
 4年目のことしも森林整備や環境保全事業に有効利用されてるとお伺いしていますが、来年は私たち県議会議員も選挙の年であります。当然、県民の審判を仰ぐ上で紀の国森づくり税も評価されます。紀の国森づくり税の運用事業の総括と、今後の課題等があればお聞かせください。
 以上で、私の第1回目の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの花田健吉君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、近畿自動車道紀勢線の整備促進と公共事業について幾つかお答え申し上げます。
 まず第1に、有田─田辺間の4車線化の必要性と重要性についてでございます。
 近畿自動車道紀勢線の海南から田辺間は、現在2車線で供用されておりますけれども、高速道路の延伸に伴い、予想を大きく上回る交通量が発生いたしまして、全国でも1位、2位を争うほど渋滞の著しい区間となっております。このままでは、議員御指摘のように紀南地域の観光振興や農林水産業の振興、あるいは企業誘致など、地域の発展にとって大きな支障となってまいります。
 さらに加えて、これもまた議員御指摘のように、対面通行による重大な事故が頻発しているというところから、この解消のための早期4車線化は、私は県民の悲願と言っていいと考えております。
 こうした中、昨年、御坊から田辺間の4車線化について整備計画の策定と事業化がなされまして、悲願達成に向けた大きな前進と、私も多くの県民も期待したにもかかわらず、その後の予算の執行停止が閣議決定されたことは大変遺憾であると言わざるを得ません。
 また、4月9日の国土交通省の再検証結果では、この区間に10キロメートルを超える渋滞が発生しておらず、「近傍の2車線区間における4車線化の進展状況等を踏まえて改めて確認」として、着手見合わせとされました。
 しかしながら、この区間を含む海南から田辺間では、昨年度の繁忙期には延長10キロメートル以上の渋滞が30回発生し、そのうち問題の御坊インターチェンジを超える渋滞も10回発生しております。
 現在は、海南から有田間が交通ネック点でありまして、そこで一たん嫌になるぐらいたまった車が1台ずつ放出されるというような形になっていくわけですから、それより南の渋滞が少ないのは当たり前であると思います。
 また、御坊から田辺間の交通量は、年平均でも2車線でスムーズに走行可能な1日当たり1万台を超え、繁忙期には1日当たり2万台を超える交通量が発生しております。さらに、正面衝突による死亡事故など重大事故を解消するためにも早期の4車線化整備が必要であり、今後の県の発展にとっても重要であると認識しております。
 なお、有田から御坊間については、議員御指摘のとおり、私が就任してからすぐ4車線化の都市計画の着手にかかりました。これについては大体4年かかると言われております。なぜならば、環境影響評価なんかのデータをとるということも必要であるからであります。平成22年中に都市計画を終える予定でありまして、事業着手の条件が整ってまいります。このため、県としては、有田から田辺まで、この全体の4車線化についてできるところから直ちに着手して、全体として一刻も早く供用するように強く要望しているところであります。
 5月18日の県の発表につきまして御批判がありました。これについては、御質問にそのままお答えいたしますと、これは、民主党和歌山県総支部連合会として発表されたコメントに対して県の考えを説明したものであります。したがって、民主党全体のクレジットはついておりません。私は、これまでずっと申しておりましたことなんでありますけれども、ようやく民主党の県連が高速道路について積極的な意見を出してくれたということについては素直に評価をしたいと考えました。そういう思いと、それから和歌山県連として、あるいは和歌山県人として、今後党本部と政府を動かして大いに頑張ってほしい、4車線化を、あるいは県内の高速道路の一日も早い整備をぜひ実現してもらいたいという期待と希望を申し上げたわけであります。
 ただし、県民に真実を語ることも大事であります。その第1は、理屈の上からも、御坊─田辺間の工事を取りやめなくてもよかったのではないかということでありますし、それから、紀伊半島一周高速道路の実現のためには、特に田辺─すさみ間の国体までの供用のためには年300億円ぐらいの予算が要るんだけれども、現在100億円しかついていない、それから、京奈和自動車道の、これまた国体までの供用のためには年200億円ぐらいの予算がこれまでつけられていて、それが必要なんだけども150億円しかつけられていない、そして、有田─御坊間の2車線化をこのまま放置してはいかんということで都市計画を始めたのはほかならぬこの私なんですがというようなことを事実として述べたものでございます。
 今後でございますけれども、田辺からすさみ間の国体開催までの完成見通しにつきましては、御指摘のように平成27年までの完成には、約1550億円の残事業費から残年度で単純に割り戻しますと、毎年300億円以上の事業費が必要となります。しかしながら、平成22年度の事業費の配分は約100億円で、大幅に必要額を下回り、目標達成が非常に厳しくなっているというふうに認識しております。
 現在、用地取得については地元も大変協力的であります。それから、国の整備局もそうでありますが、県も大いに協力し、地元市町村も大いに協力して、約8割が完了しております。
 今後は、着手可能なところから工事を全面展開して、平成27年までの完成に向けて工事を進めていかなきゃいけない。そうすると、長い大きなトンネルとか、あるいは橋梁など、大規模構造物の工事にも直ちに着手していただかないと間に合わない状況になってきております。
 このため、こうした整備を促進するための必要で十分な予算の確保を引き続き強く訴えてまいりたいと思います。
 国政の与野党を問わず、和歌山県民である限りはすべての人の御理解と御協力をよろしくお願いいたしたいと私は考えております。
 それから、そのほかの問題も含めまして、平成23年度政府要望に対する知事の決意についてということでございますが、高速道路を初め河川、港湾などの公共インフラは、県民の将来のチャンスを保障するものとして、また東南海・南海地震への備えから、あるいは、最近問題になっておりますように、集中豪雨等々で県民の生命の安全とか、あるいは財産の保全とか、そういうものを守る意味でも大変大事なポイントだと思います。
 議員お話しのとおり、現在本県で進めている公共事業には、私は無駄な事業はないというふうに思っておりまして、あったらぜひ直さなきゃいけないということだと思います。これら公共インフラの早期整備に私としては一生懸命努めるとともに、国からも助力をいただいておりますから、あらゆる機会を通じて、その助力に対して充実したものにしてほしいと強く訴えてきたところであります。
 しかしながら、議員御指摘のとおり、今年度予算では公共事業費が大幅に削減され、高速道路や浸水被害対策など、今後の公共インフラ整備が着実に進められるのか大いに危惧するところもございます。
 今後とも、高速道路や河川、港湾など、本県発展に不可欠な公共インフラ整備がこれ以上おくれることのないように、私どもの政府に対する提案の実現を目指して全力を挙げる所存でございますので、皆様方のより一層の御理解、御協力をお願い申し上げたいと思います。
 次に、子ども手当の御質問にお答えしたいと思います。
 今月から支給が始まった子ども手当につきましては、財源負担のあり方や在留外国人の子供に国内居住要件を課すべきかどうか、また、現金で子供1人当たり月2万6000円を支給することが本当に必要なのかどうか、あるいは可能なのかどうかといった議論など、さまざまな指摘や意見が出されているというふうに承知しております。
 また、先日、平成23年度からの満額支給とうたわれていた方針が、財政上の制約からここに来て満額支給は難しいと発表されるなど、まだまだ紆余曲折が予想される制度だと考えております。
 私は、子ども手当そのものは現政権が選挙のときに公約として出されたものでありますので、その上で国政選挙でまずは結論が出ておりますから、その是非についてはその結論に従うべきだというふうに思います。それならば、当然、国の責任において全額国費で対応されるものだとかねてから訴えておりまして、そのような制度にするのであれば地方への負担、これは生じませんから、個々の問題を議論し、解決しながらやっていってほしいと考えているわけであります。
 ただし、県政を担当している経験からいたしますと、子育てのためには、現金支給もいいかもしれませんが、より保育サービスの充実や給食などの現物支給にするほうが子育て環境としてはその向上につながるのではないかという思いもいたしております。
 今後、子ども手当の制度設計につきましては、国と地方の協議の場において議論されてまいりますけれども、その動向を注視しながら、全国知事会等関係団体とも連携を図り、より子育て支援に効果がある制度となるように私どもも貢献をしてまいりたいと考えております。
 なお、子ども手当の財源の一部に児童手当の財源を充てるのは本年度のみというふうに説明をされておりますし、私どももそう考えておりますので、来年度以降も同じように地方に負担を求められるというような議論であれば、これまで以上に強い態度で臨んでまいらなければならないと思います。
 次に、広域消防車でございます。
 これについては、県内における救急車の地域間の連携については、大規模災害時はもちろんのこと、救急事案が消防本部の管轄区域の境界付近や高速道路内で発生した場合などを想定して、関係市町村間で必要に応じて相互応援協定が締結されておりまして、現状の消防力の範囲内で効率的な連携が図られてきているというふうに考えておりますけれども、救急医療体制の整備など、県民の暮らしと命を守るセーフティーネットの構築に向けては、それがどこか漏れがないかどうかとか、そういう点について、消防体制のなお一層の充実強化を図ることが重要な課題であると認識しております。
 なお、救急業務における消防本部の管轄区域の問題、この問題につきましては、特定の地域において、行政報告会においても御意見としてちょうだいしております。この対応については、早速地元の意見を聞く等々、対応に入っているところでございます。
 次に、有害鳥獣の食肉としての利用ということでございます。
 鳥獣被害が県下一円に及んでおりまして、これの軽減というものは喫緊の課題だと思います。そのためには捕獲も大事でありまして、それに加えて捕獲したものを食肉として利用する、あるいは観光資源として利用する、そういうことも重要であると考えております。そう考えますと、捕獲、それから食肉加工、それからその食肉加工したものの流通、それから最後にレストランや民宿やあるいは一般家庭での消費、あるいは給食なども含めまして、そういうことを全部一連考えていかないといけないというふうに考えております。
 こうした中、先般、日高川町で県下で初めての公設の処理加工施設であるジビエ工房紀州が完成いたしまして、開所式に出席さしていただいたところですが、町長初め地域の方々の鳥獣対策にかける熱い思いを感じたところでございますし、さっき御質問がありましたが、味も大変よろしかったというふうに考えております。
 御指摘のように、かくなる上はというか、こういうこともほかの地域でもし欠けてるところがあったら整備をしていかないといけないんですけれども、加えて、先ほど御指摘がありましたように、消費や流通の点、これについても我々は考えていかないといけないと思います。もちろん、そのためには衛生管理ガイドラインを策定したり、あるいは狩猟者の方々に安全管理に関する講習会を開催するというようなことも大事ですが、加えて、ホテルやレストランでのジビエ料理フェアの開催など、その流通、販売、それから消費対策に大いに力を入れていかないといかんと思います。
 このシカやイノシシは低脂肪、低カロリー、あるいは鉄分などのミネラルが豊富で、最近の健康志向やあるいは地域嗜好といいますか、特色のある食生活をしたいというような、そういう需要にぴったりでございます。積極的にこれをPRするとともに、地域の方々と連携を図り、取り扱い店舗や料理店の拡大、また、さらに旅行会社などにも働きかけて、わかやまジビエを観光資源として活用するなど、なお一層の需要拡大に努めていかなければならないというふうに考えている次第でございます。
○議長(冨安民浩君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 今年度の和歌山県内における公共事業の影響についてお答えします。
 まず、道路事業につきましては、国の直轄道路事業の今年度予算は対前年度比で0.89となっており、近畿自動車道紀勢線や京奈和自動車道など、今後の本格的な事業展開のために大幅な予算の増額を要望している中で逆に1割以上の減額となりましたことについては、大変厳しい状況であると受けとめております。
 具体的には、近畿自動車道紀勢線の田辺─すさみ間は、先ほど知事の答弁のとおりでございますけれども、京奈和自動車道につきましても同様に、平成27年の国体までに供用するためには約1000億の残事業費がございますが、これを単純に割り戻しましても毎年200億以上の予算が必要な中で、今年度予算は145億と、目標に向けた整備が非常に厳しい予算となってございます。
 また、第2阪和国道和歌山岬道路につきましても、平成27年までの供用をお願いしておりますけれども、本年度は本格的に用地取得を進める予算とはなっておりません。さらに、国道42号有田海南道路につきましても、現在は調査、設計の段階ですが、今後こういった予算が続くと用地交渉の進捗にも大きな影響が出ることが懸念されます。
 切目川ダムにつきましては、本年度補助予算が約3億円減となり、転流工、つけかえ道路工事、これは引き続き進めさしていただいておりますけれども、ほかの本体関連の工事や本体の発注は見送らざるを得なくなりました。県といたしまして、この夏より行われます予定の検証において切目川ダムの必要性を御説明し、早期ダム完成を目指す所存でございます。
 直轄河川・ダムにつきましては、大滝ダムは24年度完成に向け工事が進められておりますが、一方、直轄河川事業につきましては、対前年度比0.80と厳しい予算になっておりまして、今後、整備のおくれが心配されているところでございます。
 県管理の河川整備につきましては、昨年の田辺市周辺や和歌山市周辺における甚大な浸水被害を勘案し、厳しい財政状況の中、浸水対策に対する安全・安心のため、河川改修予算を県単独費も含めまして対前年度比で23%増額するように県議会でお認めいただきましたが、国からは十分な予算が配分されませんでした。
 次に、東南海・南海地震対策でございます。
 国直轄事業の和歌山下津港海南地区の津波対策につきましては、必要額が配分され、予定の工事が実施されると聞いております。橋梁やのり面の耐震化事業につきましては、平成21年度第3回の配分交付金と合わせまして、対前年度比1.47の予算が確保できておりますが、当初予算のみで比較しますと0.93となっております。
 下水道事業につきましては、県、市町村ともに必要額の0.93倍となっており、下水道がおくれている本県にとって厳しい結果となってございます。
 なお、浄化槽につきましては、市町村からの必要額が確保されております。
 今まで都市部優先で社会資本の整備が進められ、やっと順番が回ってきた本県にとりまして、全体額が抑えられ、結果的に必要額を大きく下回る予算となっているということは、和歌山県の発展にとって大変懸念されるところでございます。今後とも、高速道路や河川、港湾などの社会資本の整備がおくれている現状にかんがみ、これ以上おくれることのないよう、十分な予算確保が必要であると考えております。
 以上です。
○議長(冨安民浩君) 危機管理監前硲健作君。
  〔前硲健作君、登壇〕
○危機管理監(前硲健作君) 和歌山県消防広域化推進計画の概要と今後の取り組みについてお答えいたします。
 平成18年6月の消防組織法の改正を受けまして、市町村の御意見をお聞きした上で、平成20年5月に和歌山県消防広域化推進計画を策定いたしました。
 計画は、現在の県内17消防本部、それと2つの消防非常備町村を5つのブロックに再編する内容となっております。すなわち、和歌山市・海南市を1つのブロック、橋本市・紀の川市・岩出市・海草郡・伊都郡を1つのブロック、それから有田市・御坊市・有田郡・日高郡を1つのブロック、そして田辺・西牟婁、そして新宮・東牟婁と、この5つのブロックに統合することとしております。
 広域化による主な効果といたしましては、1点目に初動体制の強化など住民サービスの向上が図られること、2点目に経費の削減など消防体制の効率化が図られること、3点目に組織及び人員規模の拡大に伴う組織の活性化など消防体制の基盤の強化が図られることが期待できるとしております。
 次に、今後の取り組みについてでございます。
 推進計画では、広域化対象市町村は、その協議によりまして広域消防運営計画というものを作成し、平成24年度末までを目途に広域化を実現することを目標とし、また消防の広域化の推進は、市町村消防の原則から市町村の自主的な意思に基づいて行われるべきものとしております。
 このため、県といたしましては、関係市町村の自主性を尊重しつつ、広域化のメリット、必要性等につきまして積極的に情報提供を行うとともに、関係者間のコンセンサスの形成に努めながら自主的な広域化を推進し、災害・事故の多様化、大規模化に対応できる消防防災体制の整備、確立に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(冨安民浩君) 福祉保健部長西上邦雄君。
  〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) ドクターカーの現在の普及状況と今後の必要性につきましてお答えを申し上げます。
 県内のドクターカーの普及状況につきましては、国保すさみ病院で、患者搬送機能はございませんが、医師、看護師が事故現場や急病患者のもとにいち早く駆けつけるため、一般車を緊急車両として改造登録いたしましたドクターカーを平成21年、昨年の1月に導入いたしまして、消防機関と連携して運用してございます。また、南和歌山医療センターにおきましても、今年度導入する予定と聞いてございます。
 医師、看護師が同乗するドクターカーにつきましては、ドクターヘリが離着陸できない山間部や交通事故等の現場で緊急治療を行うことによりまして、救命率の向上につながるものと認識をしてございます。
 議員御指摘のドクターカーの拠点病院への配置につきましては、今後、医療機関や消防機関等の関係機関とも十分協議いたしまして検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 農林水産部長阪中栄一君。
  〔阪中栄一君、登壇〕
○農林水産部長(阪中栄一君) 紀の国森づくり基金事業につきまして、一括してお答えいたします。
 まず、基金事業の取り組みにつきましては、公募事業という形で、NPO団体等が実施主体となり、県内178カ所において約240ヘクタールの森林整備等を実施してきたところでございます。このほか、県、市町村の取り組みといたしまして、貴重な生態系を持つ森林約400ヘクタールを公有林化したほか、森林・林業教育などの普及啓発を実施するとともに、アラカシやウバメガシなど郷土を代表する樹種の育苗や花粉症対策に関する調査など、幅広く事業を行ってきたところでございます。
 これらの事業実施によりまして、多くの県民の方々に参加をいただくとともに、森に対する理解の深まりなどの一定の成果があったものと考えてございます。
 しかしながら、ボランティア等による森づくりの一方で、本県には多様な生態系や貴重な自然が残された森林など、県民の財産として守るべき自然もございます。また、奥地水源林や景観保全上重要な里山林等において整備が十分進んでない箇所もあると認識してございます。今後は、これらの森林の公有林化や森林整備について積極的に進めていくことが重要であると考えているところでございます。
 いずれにいたしましても、このような視点に立ち、本年度におきまして県民の皆様に基金事業の今後のあり方などについてのアンケート調査を行うこととしてございまして、この結果を踏まえて総合的に検証してまいることとしてございます。
○議長(冨安民浩君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 小中学校の耐震化についてお答えいたします。
 公立学校施設は、児童生徒の学習、生活の場であるとともに、災害発生時には地域住民の応急避難場所としての役割も果たしますことから、その安全性の確保は極めて重要なことと考えてございます。
 本県の公立小中学校施設の耐震化率につきましては、本年4月1日現在、対前年比7.9ポイント増の73.7%となっております。
 本年度の耐震化事業につきましては、平成21年度補正事業等の繰り越し事業を含め、114棟の耐震化工事の実施を予定しておりまして、平成22年度末には耐震化率約82%に達する予定となってございます。
 また、平成23年度以降におきましては、17市町で200棟余りの校舎等の耐震化を実施する必要があると考えております。
 学校の耐震化は全国共通の課題でございますため、全国組織団体である全国公立学校施設整備期成会や全国施設主管課長協議会等を通じまして文部科学省へ予算の確保等を積極的に要望するとともに、耐震化を終えていない関係市町に対しまして早期に完了するよう指導・助言を行ってまいります。
 次に、イノシシやシカ肉の給食への利用につきましてお答え申し上げます。
 農作物に被害を与えるイノシシやシカを食用として有効利用することは、学校において指導しております食育の観点からも検討する意義があると考えます。
 学校給食への利用につきましては、北海道でエゾシカの肉を給食に利用している例があると聞き及んでおります。
 本県におきましては、地産地消の観点に立って、食用に関しての保護者への啓発など、さまざまな課題を慎重に検討しながら、給食の実施主体である市町村などと協議をしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) この際、花田議員に申し上げます。
 所定の時間までわずかであります。
 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 以上で、花田健吉君の質問が終了いたしました。

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