平成22年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

平成22年6月
和歌山県議会定例会会議録
第2号
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議事日程 第2号
 平成22年6月14日(月曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第84号から議案第99号まで並びに報第1号及び報第2号(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第84号から議案第99号まで並びに報第1号及び報第2号(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(43人)
 1番 泉 正徳
 2番 山本茂博
 3番 前芝雅嗣
 4番 浅井修一郎
 5番 吉井和視
 6番 向井嘉久藏
 7番 門 三佐博
 8番 町田 亘
 9番 服部 一
 10番 平木哲朗
 11番 花田健吉
 12番 須川倍行
 13番 大沢広太郎
 14番 谷 洋一
 15番 平越孝哉
 17番 岸本 健
 18番 川口文章
 19番 尾崎太郎
 20番 藤山将材
 21番 新島 雄
 22番 山下直也
 23番 井出益弘
 24番 宇治田栄蔵
 25番 多田純一
 26番 中 拓哉
 27番 角田秀樹
 29番 山田正彦
 30番 坂本 登
 31番 尾崎要二
 32番 中村裕一
 33番 片桐章浩
 34番 原 日出夫
 35番 藤本眞利子
 36番 長坂隆司
 38番 小川 武
 39番 冨安民浩
 40番 奥村規子
 41番 山下大輔
 42番 松坂英樹
 43番 藤井健太郎
 44番 雑賀光夫
 45番 野見山 海
 46番 松本貞次
欠席議員(なし)
〔備考〕
 16番 欠員
 28番 欠員
 37番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       曽根義廣
 国体推進監      中村正次
 危機管理監      前硲健作
 総務部長       宮地俊明
 企画部長       柏原康文
 環境生活部長     保田栄一
 福祉保健部長     西上邦雄
 商工観光労働部長   岡本賢司
 農林水産部長     阪中栄一
 県土整備部長     茅野牧夫
 会計管理者      神田泰仁
 教育委員会委員長   宮永健史
 教育長        山口裕市
 公安委員会委員長   大岡淳人
 警察本部長      永松健次
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     楠本 隆
 選挙管理委員会委員長 諸木良介
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       森田実美
 次長         佐本 明
 議事課長       堀 達也
 議事課副課長     吉田政弘
 議事課課長補佐兼班長 田中健司
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      中村安隆
 議事課主事      的塲健司
 総務課長       上坊 晃
 調査課長       中井祥之
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  午前10時0分開議
○議長(冨安民浩君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第85号から議案第88号までは、職員に関する条例議案でありますので、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。
 日程第1、議案第84号から議案第99号まで並びに知事専決処分報告報第1号及び報第2号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 11番花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕(拍手)
○花田健吉君 おはようございます。議長にお許しをいただきましたので、一般質問に入らしていただきますが、今県会において当選以来、また、装いも新たになったこの新しい議場で、トップバッターで壇上に立たせていただきました。先輩、同僚議員の皆様の御配慮に心から感謝を申し上げます。
 先般、鳩山首相及び小沢民主党幹事長が電撃辞任をいたしました。これだけ沖縄県民や政治家と金の問題で日本国民に大きな失望を与えたのですから、辞任は当然のことでありますが、新しい菅直人政権になっても民主党の給付型政策が大きく変わるわけではありません。地方にとっては依然厳しい状況が続くことになりますが、引き続き私たち自由民主党県議団は地方の立場、地方の目線から、「コンクリートも人も」の立場に立って県経済の発展と社会保障の充実に全力を傾注し、県民の皆様の期待におこたえしていくことをお誓いして、一般質問に入らせていただきます。
 それでは、まず最初に、仁坂知事はこのたび「平成23年度国の施策及び予算に関する和歌山県の提案」を示されました。行財政基盤の強化、公共インフラの整備、生活の安全・安心づくり、産業の振興、福祉地域医療の推進、たくましい人づくりを目標に37項目を挙げられています。逼迫する県財政において、多様化する県民のニーズにこたえていくため苦心されていることはよく理解できます。しかし、「コンクリートから人へ」という民主党政権が平成23年度の予算を本格的に編成する中で給付型政策がより反映されれば、人口の少ない、そしてまだまだ社会資本の整備がおくれている和歌山県のような地方にとって、経済的にも県民生活においても大きな影響が出てくることは必至であります。
 鳩山・小沢体制はわずか8カ月余りで終わりを告げ、菅新政権では政務調査会が復活したとはいえ、民主党政権の方針が大きく変わるとは思えません。来年度の予算に関する和歌山県の提案をだれにどのような方法で行っていくのか、昨年までと予算編成の過程が大きく変わることになると考えますが、市町村の要望を県が取りまとめて、民主党和歌山県連を通して党本部に要望するのでしょうか。
 民主党政権は、選挙の結果によって地域の重要施策を切り捨てたり復活させたりと、まことに常軌を逸した蛮行を行っています。和歌山県のような保守王国には大変厳しい状況が今後も続くと考えられます。その象徴的な一件が近畿自動車道紀勢線の御坊─田辺間4車線化745億円の予算凍結であります。
 先月25日、高速2議連で長崎県を視察いたしました。長崎県の高速道路も4車線化を見送られた箇所であります。全国凍結6路線のうち、復活しなかったのは和歌山県と長崎県だけでした。なぜかは皆さんも御承知のとおりであります。
 先般、前原国土交通大臣が和歌山県を視察されたそうであります。地元代議士も同行されたようですが、御坊─田辺間は現在渋滞箇所がないとの認識で、有田─御坊間の4車線化の後からでもいいのではないかとの見解を述べられました。前原大臣はともかく、地元代議士まで同調したことに愕然といたしました。
 まず、渋滞だけを取り上げますと、当路線の特に南進は、現在、海南インター付近を先頭に土日・休日ともなりますと10キロ近く渋滞いたします。原因は、片側2車線が1車線に減線されるからであります。ことし7月16日に有田インターまで片側2車線になるとしても、渋滞の先頭が有田まで先送りされるだけであります。抜本的な渋滞緩和策は最低でも田辺まで4車線化しなくては渋滞が解消されないことは、地元に住んでいる我々県民であればだれでもわかってることであります。
 仁坂知事は、就任後すぐこの問題の重要性を指摘され、おくれていた都市計画を進め、有田─御坊区間の4車線化のために必要な環境アセスメントを行い、年内に都市計画決定するまでに至ったことは高く評価するものであります。
 西日本一と言われる交通渋滞箇所を数多く抱える当路線の4車線化は、和歌山県の経済・産業の発展はもとより、観光客の皆様の時間的損失や、幾ら観光立県推進条例を県議会で制定して県民総参加でおもてなししても、お帰りになる高速道路の渋滞に巻き込まれ、イメージが悪くなれば、むなしい限りであります。大阪方面にお帰りになられる観光客の車の渋滞が毎週、海南、下津を先頭に広川インターを越えることもしばしばであり、夏休みや行楽シーズンともなりますと、御坊インター付近まで30キロ近く渋滞が伸びることもあります。私も和歌山から帰るとき、よく対向車線の渋滞を目にするのですが、白浜方面からお帰りのお客さんと顔や目を合わさないように、「また和歌山に来てくださいね」と心で念じながら通り抜けてまいります。
 次に、忘れてならないのが人の命を民主党はどのように思ってるかということであります。生活が第一と言っていますが、人の命が第一であります。近畿大学の生徒が湯浅パーキングエリア付近で一度に5人、正面衝突によりお亡くなりになった事故は、仁坂知事も皆さんも記憶に新しいと思います。楽しい和歌山への旅行のはずが、一転して大惨事となりました。将来ある若者の死に、御遺族はもちろん、多くの県民も心を痛めました。2車線対面通行の危険性は利用する者全員が背負わなくてはならないリスクであります。自分だけ安全運転していれば回避できるということではありません。高速で走るがゆえに、一度事故が発生すると人命を奪ってしまう大惨事になることを御存じであれば、有田から順番に時間をかけて4車線化していこうなどと悠長な発想は起こらないはずであります。
 命といえば、救急車が有田から海南の間で渋滞に巻き込まれ動けなくなっている場面に何度も出会ったことがあります。一般道であれば、渋滞していてもサイレンを鳴らしながら前に進むことができますが、2車線の高速道路であるがゆえに追い越せない救急車の中の患者や付き添う御家族の心中はいかばかりかと推察するとき、本当にやるせなくなります。
 こんな状況下にある和歌山県の高速道路の現状を全く理解していない大臣が、数時間視察して本当に問題点を把握できたのでしょうか。県民の声を全く無視した視察後の記者発表はまことに遺憾であり、地方に住む私たちの生命と生活を軽視した暴論であります。発表後すぐに県内各地の政界、財界、一般県民から民主党に対し多くの不満の声が一斉にあふれたので、後日、民主党和歌山県連は、有田─御坊間や御坊─田辺間の4車線化を引き続き推進し、国体開催までにはすさみまで完成させるよう全力を挙げて取り組むと発表いたしました。
 仁坂知事は、この民主党和歌山県連の発表に、「大いに評価する」、「ようやくともに進んでいただけるようになった」と記者発表されましたが、私たちは、にわかに民主党和歌山県連の発表を信じることができません。これは明らかに参議院選挙の選挙PRではありませんか。昨年の衆議院選挙は政権選択で争いましたが、ことしの参議院選挙の結果で政権交代はありませんから、政策選択で国民に信を問うことになります。民主党は政権の座に着いて以来、ほとんどマニフェストを棚上げし、実行しないではありませんか。その最たる例が普天間基地の移設問題であり、県外移設と沖縄県民に公約しながら、結局は自公政権で決定していた原案とほぼ変わらない案をアメリカとの間で政府間合意し、沖縄県民を裏切り、失望のみを与えた民主党政権を私たちは現段階で信用することができないのであります。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 まず、近畿自動車道紀勢線の有田─田辺間の4車線化の必要性と重要性について、知事の御認識を改めてお伺いいたします。
 次に、知事は民主党和歌山県連の発表に対して大変喜んでおられましたが、近畿自動車道有田─田辺間の4車線化の県連発表が民主党本部の正式決定であるとの認識に立たれた知事の記者発表なのか、お答えください。
 さらに、田辺─すさみ間は国体開催の平成27年度までに整備するとも和歌山県連は発表されました。しかし、それを実行しようとすれば、事業ベースで毎年300億円の事業費が必要となると知事自身がコメントしています。しかし、今年度100億円しか予算計上されていないのに、今後どのようにして平成27年までに間に合わせるのか、知事は内訳を聞いておられるのですか。単純計算からいえば、最低でもことしの補正で200億円を予算化してもらわないと実現不可能ではありませんか。国体開催までの田辺─すさみ間の完成について、知事の今後の見通しと対応をお聞かせください。
 沖縄のように選挙戦略に振り回され、期待をあおるだけあおって、やっぱりできませんでしたでは済まされません。特に、知事の記者発表は県民に対し大きな期待と大変重い責任を伴うのですから、もう少し具体案が出てから慎重に行うべきであると考えます。いまだに当路線について民主党本部もしくは国土交通省から予算の復活について何も発表がないのですから、きちんと具体策が示されてからでも知事のコメントは遅くありません。
 沖縄県の仲井眞知事は、政権交代以来、鳩山首相が幾ら「県外移設、県外移設」と言っても一喜一憂するのではなく、慎重に言葉を選び、むしろ積極的な発言を控えられました。10万人集会のときも、知事のあいさつの内容に物足りなさを感じた沖縄県民から不満の声も一部上がっていましたが、あのとき仲井眞知事がその場の空気に流され、県民向けに県外移設に積極的なコメントを出していたら、普天間基地の移設問題は今よりはるかに複雑化し、長期化したでしょう。それほど知事の発言は県民世論に大きな影響を与えます。
 仁坂知事もよく御存じのことと思いますが、このたびの高速道路4車線化のような非常に政治色の強い、かつ直近の選挙に直接影響があるものについては、よく熟慮してコメントを出していただくことを申し添えておきます。
 次に、県土整備部長にお伺いいたします。
 民主党は、ことし18%公共事業を削減すると言っていますが、和歌山県内の今年度の公共事業の影響についてお尋ねをいたします。
 例えば、京奈和自動車道の国体までの全線供用は可能ですか。第2阪和道路の整備はどうですか。有田─海南間の国道42号の渋滞解消は進みますか。県下各地域のおくれている道路整備に影響は出ませんか。
 河川について、切目川ダムの事業費はあと74億円必要とされています。民主党はダムの事業見直しにより、県営ダムの補助金も見直しの対象になっていたと思いますが、どうなっていますか。昨年12月の私の一般質問に知事は最終、県単独でもやるとお答えをいただきましたが、完成予定が大幅におくれるようなことはありませんか。切目川流域の皆さんの生命や財産、生活にかかわる大切な事業ですから、予定どおり完成していただくことを強く望みます。その他、国の直轄河川やダム、県管理の河川整備の事業に影響はありませんか。
 さらに、今後の東南海・南海地震の対策についてはどうですか。和歌山下津港海南地区の津波対策事業の進捗に影響は出ませんか。橋梁やのり面等の公共施設の耐震化の促進に影響は出ませんか。おくれている公共下水道の整備や浄化槽整備はどうですか。
 教育長にもお伺いいたします。子供たちの命を守る小中学校の耐震化工事におくれは生じませんか。
 その他、多岐にわたって公共事業は県内各地に住む県民の生命や財産や生活を守ってくれる大切な事業ばかりであります。無駄な公共事業など、1つもありません。知事初め当局は、政府に対し平成23年度予算獲得に全力を挙げていただきたいと思いますが、代表して知事の御決意をお伺いいたします。
 以上、自由民主党和歌山県連並びに自由民主党県議団を代表して意見を述べさせていただきました。
 次に、子ども手当の中の児童手当の地方負担分についてお伺いをいたします。
 昨年、子ども手当を導入するに当たり、公約どおり全額国費で支給すべきだと全国の知事初め自治体から意見が噴出いたしました。
 しかし、地方の声は全く無視され、政府は強引に児童手当を組み込んだまま子ども手当の支給に踏み切りました。子ども手当は民主党政権の目玉政策のように宣伝されていますが、地方自治体の分担と企業の負担が組み込まれていることを県民の皆さんに御認識をいただく必要があると思います。
 参議院選挙用に6月中に支給し、民主党が配っているかのごとく発言、報道されていますが、この厳しい地方行財政や不況にあえぐ企業経営の中からそれぞれが懸命に捻出した財源も含まれていることは一切知らされません。民主党は地方自治体や企業の財布の中に手を入れて、自分だけよい格好をしているだけではありませんか。
 私は、子ども手当より従来の所得制限を設けた児童手当のほうがまだ公平性の観点からも評価しますし、核家族化がますます進む中、子育て世代の家庭を支援するというのなら、安心して子供を預け働きに出られる環境づくりが最も重要であります。少子化対策においても、経済、雇用、教育の面においても最も有効であると考えます。
 そこで、知事に提案いたします。
 国への和歌山県の提案では、子ども手当の中の児童手当制度の撤廃を提言するとなっていますが、来年度から子ども手当そのものを廃止することを政府に提案されてはどうですか。
 子ども手当について制度矛盾の例が幾つも報道されています。尼崎市に住む韓国人男性がタイで養子縁組をしているとして554人分の手当約8600万円を申請しようとしましたが、さすがにこれは受け付け拒否されました。また、ある日本人の男性は、フィリピンの女性と結婚し、2人の子供がいて、父親は日本で働き、母親と子供の住むフィリピンに生活費を仕送りしているそうであります。昨年までは当然児童手当が支給されていたのですが、ことしから子ども手当に変更されたため、規定で昨年2回以上子供に会いに行ってないという理由で支給されなかったそうであります。本当は年に何回でも会いに行きたいというのが親心だと思いますが、渡航費等多くの経費が必要なため許されない、日本で一生懸命働き、家族のために仕送りされている方にとって納得のいかないのは当然ではありませんか。
 御主人が海外に出張して働いている御家族には支給されず、海外から日本に働きに来ている外国人の外国に住んでいる子供には支給される。また、子供を産みたくても子供を産むことができない方への不公平感もあります。菅政権において、早くも来年の子ども手当を現行のまま1万3000円で据え置く案が出ていますが、1万3000円では扶養控除や配偶者特別控除をマニフェストどおり廃止すれば増税になる家庭も多く出てきますし、15歳以下の子供のいない家庭との格差は大きく広がるばかりであります。
 財源が確保できないまま子ども手当を支給し続けることは、税金のばらまきにしかなりませんし、国の借金がふえ続けることにもなります。少子化対策、子育て家庭への支援を考えるならば、乳幼児保育の施設を整備する方向に転ずるべきであります。そうすれば内需や雇用の拡大にもつながり、経済波及効果も見込まれます。
 「コンクリートから人へ」と民主党は申しますが、和歌山県内には建設業で多くの若い世帯の方が働いています。公共事業が減れば、給料やボーナスが下がったり、雇用調整のためにリストラされたり、果ては会社が廃業、倒産に追い込まれたりして、子ども手当をもらっても生活ができない家庭が出てきます。仁坂知事におかれては、社会主義政策につながる子ども手当は一刻も早く廃止し、それにかわる子育て政策を全国知事会等を通じて強く政府に御提案をいただきたいと思います。もしもどうしても引き続き子ども手当を継続するのであれば、地方自治体の分担や企業の負担が含まれている児童手当の廃止を断固として訴えるべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、広域消防の救急搬送の連携についてお尋ねをいたします。
 消防本部は、御承知のとおり一定の管轄区域に配置されています。最近の市町村合併による管轄区域の変更で時間的ロスが出てきているところもあります。合併前だったら近くの救急車が来てくれたのに、合併してからは消防本部の管轄区域も組みかえしたので少し遠いとこからしか来れなくなり、心筋梗塞や脳梗塞のような緊急を要する救急車が手おくれになりはしないかと心配されている地域もあります。ドクターヘリは県内どこでも飛んできてくれるのに救急車は来てくれないと嘆いておられました。
 消防本部の管轄区域の設定と責任上なかなか難しいと御説明しても、それはよくわかるが、住民からすれば「人の命を守るのに境界線があるのはおかしい」と言われると、それも至極もっともな意見であり、反論もできません。当然、定められたエリアを守る使命は最重要ですが、工夫できないものかと思います。特に山間部に参りますと、救急車が到着するまで20分から30分を要するところがたくさんあります。合併してそうなったところもありますし、合併以前から近くに消防本部がありながら区域外のためそのような状況にあるところもあります。
 高齢化が進み、近隣に救急病院がない山間部で、ただ救急車を待つしかない患者やその御家族のことを思うと、どうにかならないのかと常々思っておりました。例えば担当エリア外の救急患者を搬送する場合には、空白になるエリアを本来のエリアから搬送時間の間待機する等の対応をすれば住民も納得するのではないかと思います。消防車や救急車は、県民、住民の視点からすれば同じ機能を持った車であり、どこに所属しているかは問題ではありません。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 県下の救急体制は消防本部の管轄区域ごとに分かれていますが、これまでに県民からこのような意見が寄せられたことはありませんか。市町村や一部事務組合で消防及び救急体制が構築されていますが、管轄区域で線引きするとどうしてもこうした問題が起こってくると思います。仁坂知事はドクターヘリを大阪府や徳島県、三重県、奈良県と協定を結び連携していますが、県内の救急車の連携について御所見をお伺いいたします。
 次に、危機管理監にお伺いいたします。
 和歌山県は消防広域化推進計画を策定して、これまでも自主的な市町村の消防の広域化の推進に関する基本的な事項を定め、さらに広域化対象市町村の組み合わせも策定されていますが、その計画の概要と今後のお取り組みをお伺いいたします。
 福祉保健部長にお伺いいたします。
 救急車には救急救命士が同乗し、初期手当てを医師と連携をとりながら救急指定病院に搬送していただいていますが、脳梗塞や脳溢血、心筋梗塞等で動かせない場合、なおかつ少しでも早く医師の専門的な処置を施さなければならない場合もあると思います。そこで、それぞれの地域の拠点病院を基地にドクターカーの配置も今後検討すべきではないかと考えます。特に、拠点病院から遠い高齢化の進む山間部では有効な手段だと思います。
 次に、有害鳥獣の食肉利用についてお伺いをいたします。
 先般、仁坂知事もお越しをいただき、日高川町ジビエ工房紀州の竣工式が行われました。農林作物や、最近は住民にも被害を及ぼす有害鳥獣であるイノシシやシカを貴重な地域の資源として食肉利用することにより、捕獲数の増加による個体数調整を実施し、実効性のある有害鳥獣対策を推進するのが目的であります。知事も、当日、ごあいさつの中で、捕獲した鳥獣は食べてあげないと申しわけないと申されていました。まことにそのとおりで、破棄処分にすることは極力避けなければ、自然の恩恵に対し冒涜することにもなりかねません。当日、地元の皆さんがいろいろ工夫された料理を試食させていただきました。田舎に生まれ育った私でさえ本当にイノシシやシカの肉が入っているのかと思うくらい工夫された料理でした。
 近年、有害鳥獣の被害は目を覆うほどひどく、山間部のみならず都市部までその被害は拡大していることは御承知のとおりであります。猟友会の皆さんに頼ってばかりはいられないと、最近は農家の方々も積極的にわなの免許を取得され、有害鳥獣の駆除に当たられています。そんな中、有害鳥獣も地域の資源として有効に利用しなくてはならないとの思いから、このたび日高川町で食肉処理加工施設がつくられたということは大変意義深いことだと思います。
 しかし、これから運営していく上で幾つかの心配事もあります。お聞きいたしますと、利用者は登録制で、日高川町内の捕獲者に限られ、処理から販売まで一貫して行うということであります。今まで捕獲し現地で食肉処理しても商品として販売することはできませんでしたが、この施設を利用することで商品化ができます。しかし、本当に商品として流通させることが可能なのか心配しております。あくまでもジビエ工房紀州は捕獲者が食肉加工する施設であり、販売まで関与していません。安定的な需要があってこそ有害鳥獣の対策にもつながると思うのですが、今のところ販売については明確なプランがありません。
 また、民間のイノシシ、シカの精肉取扱店は県内22店舗あり、肉料理を出している施設及び店舗は24店あるとお聞きいたしました。このうち食肉処理から行っているところは11店舗であります。昨年はこれらの施設で285頭精肉され、販売されているそうであります。一昨年はイノシシ、シカで約1万3151頭捕獲されていますが、わずか2%程度しか商品として販売されていません。シカに至っては数十頭だそうです。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 知事もジビエ工房紀州の竣工式と試食会に出席していただきましたのでよく御理解いただいていると思いますが、食肉処理加工されたイノシシ、シカ肉の販売促進やPRについてお考えがあればお答えをください。
 教育長にお伺いいたします。
 私たちが小中学校時代、クジラは竜田揚げを初め、いろいろなメニューとして給食に出てまいりました。大変おいしく料理されたクジラの肉が私は大変好きで、給食が楽しみでした。
 平成21年5月現在の資料ですが、県下の小中学校や特別支援学校で完全給食を実施している生徒数は6万6139人います。この人数は大変な人数であり、まとまった量を消費するという観点から、イノシシやシカの肉を給食に利用できないかと考えますが、いかがですか。まとまった量を消費する需要があれば、捕獲する側も計画的に進めることができます。需要があれば、ジビエ工房紀州を初め、県内11カ所ある民間処理加工施設での新規雇用も期待できます。
 鳥獣害被害は今や農家だけの問題ではなく、和歌山県全体の大きな政治課題であり、県民挙げて取り組まなければならない重要施策であります。給食費が小学校で平均244円程度、中学校で275円程度と限られた予算で献立している現場のことも含めていろいろな御意見もあると思いますが、給食で利用することについてもお考えをいただきたいと思います。
 ちなみに、生徒数6万6000人が月4回給食に使用すると、11カ月で延べ人数290万4000人分になります。1人当たり1食100円分の肉を使用すると──ちなみにビーフは100円程度だそうですが──2億9040万円になり、シカ1頭20万円で購入すると、単純に割ると1452頭分、公に食料として消費することができます。
 玉置日高川町長はシカのシチューをビーフシチューならぬシカチューで売り出そうかと笑っておられましたが、シカの肉は既にカレー用に商品化されているとお聞きいたしました。シカの肉は比較的安いので、給食のカレーやシチューの食材として利用可能だと思います。味については仁坂知事にお聞きください。
 私は十分給食のメニューにたえられると思いました。県下の小中学校で週に1回でもシカのカレーやシチューが給食に出れば、大変なシカの需要が生まれます。幾ら立派な施設をつくっても、需要を喚起しなくては捕獲も進まないのではないかと考えます。仁坂知事におかれましては、しっかりイノシシとシカの肉をPRしていただき、ジビエ工房紀州並びに県内各地の精肉店がフル稼働できるよう御支援をお願いいたします。
 次に、紀の国森づくり税と同基金の運用について、3年間の事業評価と今後についてお伺いいたします。
 紀の国森づくり税が施行されて4年目を迎えました。この税金は、全国でも初めて県議会が県民に対して税金を課したということで大変注目されました。その後、地球温暖化が世界的に注目を浴び、我が国においても政府が世界公約においてCO2削減25%を打ち出すなど、環境に対する意識も国民の間で認知されてきました。ようやく5年前の和歌山県議会自由民主党県議団のレベルまで達してきたのかと感慨深いものがあります。
 本来であれば、環境問題のような大きな政策は国が主導してやるべきだと思います。しかし、当時は政府初め県内の都市部の議会も森林の荒廃について余り議論されず、導入に当たっては反発もありました。しかし、私たちは、森林環境の悪化は一刻の猶予も許さないとの判断で、国政に先駆け、勇気を持って採決いたしました。ようやく国においても環境税の必要性が議論されるようになりました。まことに遅いといえば遅い対応に、地方で環境を維持するために御尽力いただいている関係各位に敬意と感謝を申し上げると同時に、税の御負担までいただいていることにじくじたる思いがあります。
 森づくりといえば植林された杉、ヒノキのうっそうと生い茂った山を想像されますが、山はそんなに単純ではありません。杉、ヒノキの山だけ間伐を行えば山は生き返ると思っておられる方はいないと思いますが、実は身近な自然林も大変なことになっています。特に里山と言われる私たちの身近な山が、ここ40年から50年の間に激変いたしました。
 我が国は世界有数の森林再生能力が備わっていると言われるほど、樹木の育成に適した環境が整っています。しかし、人の手が加わらなければ過密化し、人でいえば高齢化してしまうのです。私たちの先人は、木材を住居の建築材料はもとより、燃料や生活用品、さらに工芸品等の商品として広く利用してまいりました。それが、西洋風のコンクリートづくりの家がふえ、燃料もガス、電気の普及により家庭から木材の需要が激減し、山は放置されたのであります。
 太古の昔から、我が国は木の文化と称されるほど、日本人は木を利用してきました。木とともに生きることで山を管理し、約30年から40年の周期で山を順序よく再生してまいりました。まさしく循環型社会を形成し、効率よくCO2を吸収する過程をつくっていたわけであります。
 樹木は成木になる過程においてより多くのCO2を吸収し、幹や根に蓄積していきます。さらに、伐採された木材を建築材料などとして使用することで炭素は固定されたままとなり、貢献するものとなります。しかしながら、山の手入れが行き届かなくなると、山肌の土がむき出しになり、保水力もなくなり、ちょっとした大雨で河川は赤く濁り、かつてのように海に栄養分を送ることもできず、やがて山肌が崩落することにもつながりかねません。もしダムの上流で集中豪雨による大規模崩落が起こった場合を想像すると、背筋が寒くなります。
 「災害は忘れたころにやってくる」と申しますが、100年に一度の豪雨にも耐えられるようにダムは設計されているとお聞きいたしますが、当時の山の保水力と現在とでは断然の相違があることまで計算されていたのでしょうか。よく最近、緑のダム構想を耳にいたしますが、昔はまさに緑のダムのみに頼っていました。緑のダムとコンクリートのダムが併用されてこそ私たちの安全は保障されるのではないかと、最近特に思うようになりました。
 この間、近所の方々と近くの山を見ながら話をする機会がありました。「昔はよく山に入った。尾苅もよくした」と申されていました。私は美山村育ちでありますが、「尾苅」という言葉を知りませんでした。尾苅とは、山の尾根に生えている木を定期的に伐採し、高木化しないようにして、それによって山肌に光を入れ、照葉樹等が育ちやすくし、また山へ人が入るのにも入りやすく、豊かな山を管理する重要な地域の行事事だったそうです。そういえば、昔、私の育った近くの山の尾根はいつも明るく、人もよく通っていたと記憶しています。現在でも、ある地区では順番に尾苅をしてると聞きました。
 当局は、公共の河川についてはそれぞれの地域の河川愛護会にお願いし、草刈り等、川掃除を行ってもらっています。しかし、個人所有の多い山の管理は個人任せで仕方ないとお考えなのだろうと思いますが、もう個人で山を管理することは物理的にも経済的にも不可能であります。
 私の友人で、最近、菌床シイタケを始めた方がいらっしゃいます。四国から菌床用の木材チップを購入されていたのですが、このたびふるさと雇用特別交付金を利用し、荒廃する地元の山からシイやカシの木を伐採しています。
 そこで、農林水産部長にお伺いいたします。
 紀の国森づくり税の基金は、この3年間どのようなところに使われてきましたか。その事業の成果についてお答えください。
 4年目のことしも森林整備や環境保全事業に有効利用されてるとお伺いしていますが、来年は私たち県議会議員も選挙の年であります。当然、県民の審判を仰ぐ上で紀の国森づくり税も評価されます。紀の国森づくり税の運用事業の総括と、今後の課題等があればお聞かせください。
 以上で、私の第1回目の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの花田健吉君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、近畿自動車道紀勢線の整備促進と公共事業について幾つかお答え申し上げます。
 まず第1に、有田─田辺間の4車線化の必要性と重要性についてでございます。
 近畿自動車道紀勢線の海南から田辺間は、現在2車線で供用されておりますけれども、高速道路の延伸に伴い、予想を大きく上回る交通量が発生いたしまして、全国でも1位、2位を争うほど渋滞の著しい区間となっております。このままでは、議員御指摘のように紀南地域の観光振興や農林水産業の振興、あるいは企業誘致など、地域の発展にとって大きな支障となってまいります。
 さらに加えて、これもまた議員御指摘のように、対面通行による重大な事故が頻発しているというところから、この解消のための早期4車線化は、私は県民の悲願と言っていいと考えております。
 こうした中、昨年、御坊から田辺間の4車線化について整備計画の策定と事業化がなされまして、悲願達成に向けた大きな前進と、私も多くの県民も期待したにもかかわらず、その後の予算の執行停止が閣議決定されたことは大変遺憾であると言わざるを得ません。
 また、4月9日の国土交通省の再検証結果では、この区間に10キロメートルを超える渋滞が発生しておらず、「近傍の2車線区間における4車線化の進展状況等を踏まえて改めて確認」として、着手見合わせとされました。
 しかしながら、この区間を含む海南から田辺間では、昨年度の繁忙期には延長10キロメートル以上の渋滞が30回発生し、そのうち問題の御坊インターチェンジを超える渋滞も10回発生しております。
 現在は、海南から有田間が交通ネック点でありまして、そこで一たん嫌になるぐらいたまった車が1台ずつ放出されるというような形になっていくわけですから、それより南の渋滞が少ないのは当たり前であると思います。
 また、御坊から田辺間の交通量は、年平均でも2車線でスムーズに走行可能な1日当たり1万台を超え、繁忙期には1日当たり2万台を超える交通量が発生しております。さらに、正面衝突による死亡事故など重大事故を解消するためにも早期の4車線化整備が必要であり、今後の県の発展にとっても重要であると認識しております。
 なお、有田から御坊間については、議員御指摘のとおり、私が就任してからすぐ4車線化の都市計画の着手にかかりました。これについては大体4年かかると言われております。なぜならば、環境影響評価なんかのデータをとるということも必要であるからであります。平成22年中に都市計画を終える予定でありまして、事業着手の条件が整ってまいります。このため、県としては、有田から田辺まで、この全体の4車線化についてできるところから直ちに着手して、全体として一刻も早く供用するように強く要望しているところであります。
 5月18日の県の発表につきまして御批判がありました。これについては、御質問にそのままお答えいたしますと、これは、民主党和歌山県総支部連合会として発表されたコメントに対して県の考えを説明したものであります。したがって、民主党全体のクレジットはついておりません。私は、これまでずっと申しておりましたことなんでありますけれども、ようやく民主党の県連が高速道路について積極的な意見を出してくれたということについては素直に評価をしたいと考えました。そういう思いと、それから和歌山県連として、あるいは和歌山県人として、今後党本部と政府を動かして大いに頑張ってほしい、4車線化を、あるいは県内の高速道路の一日も早い整備をぜひ実現してもらいたいという期待と希望を申し上げたわけであります。
 ただし、県民に真実を語ることも大事であります。その第1は、理屈の上からも、御坊─田辺間の工事を取りやめなくてもよかったのではないかということでありますし、それから、紀伊半島一周高速道路の実現のためには、特に田辺─すさみ間の国体までの供用のためには年300億円ぐらいの予算が要るんだけれども、現在100億円しかついていない、それから、京奈和自動車道の、これまた国体までの供用のためには年200億円ぐらいの予算がこれまでつけられていて、それが必要なんだけども150億円しかつけられていない、そして、有田─御坊間の2車線化をこのまま放置してはいかんということで都市計画を始めたのはほかならぬこの私なんですがというようなことを事実として述べたものでございます。
 今後でございますけれども、田辺からすさみ間の国体開催までの完成見通しにつきましては、御指摘のように平成27年までの完成には、約1550億円の残事業費から残年度で単純に割り戻しますと、毎年300億円以上の事業費が必要となります。しかしながら、平成22年度の事業費の配分は約100億円で、大幅に必要額を下回り、目標達成が非常に厳しくなっているというふうに認識しております。
 現在、用地取得については地元も大変協力的であります。それから、国の整備局もそうでありますが、県も大いに協力し、地元市町村も大いに協力して、約8割が完了しております。
 今後は、着手可能なところから工事を全面展開して、平成27年までの完成に向けて工事を進めていかなきゃいけない。そうすると、長い大きなトンネルとか、あるいは橋梁など、大規模構造物の工事にも直ちに着手していただかないと間に合わない状況になってきております。
 このため、こうした整備を促進するための必要で十分な予算の確保を引き続き強く訴えてまいりたいと思います。
 国政の与野党を問わず、和歌山県民である限りはすべての人の御理解と御協力をよろしくお願いいたしたいと私は考えております。
 それから、そのほかの問題も含めまして、平成23年度政府要望に対する知事の決意についてということでございますが、高速道路を初め河川、港湾などの公共インフラは、県民の将来のチャンスを保障するものとして、また東南海・南海地震への備えから、あるいは、最近問題になっておりますように、集中豪雨等々で県民の生命の安全とか、あるいは財産の保全とか、そういうものを守る意味でも大変大事なポイントだと思います。
 議員お話しのとおり、現在本県で進めている公共事業には、私は無駄な事業はないというふうに思っておりまして、あったらぜひ直さなきゃいけないということだと思います。これら公共インフラの早期整備に私としては一生懸命努めるとともに、国からも助力をいただいておりますから、あらゆる機会を通じて、その助力に対して充実したものにしてほしいと強く訴えてきたところであります。
 しかしながら、議員御指摘のとおり、今年度予算では公共事業費が大幅に削減され、高速道路や浸水被害対策など、今後の公共インフラ整備が着実に進められるのか大いに危惧するところもございます。
 今後とも、高速道路や河川、港湾など、本県発展に不可欠な公共インフラ整備がこれ以上おくれることのないように、私どもの政府に対する提案の実現を目指して全力を挙げる所存でございますので、皆様方のより一層の御理解、御協力をお願い申し上げたいと思います。
 次に、子ども手当の御質問にお答えしたいと思います。
 今月から支給が始まった子ども手当につきましては、財源負担のあり方や在留外国人の子供に国内居住要件を課すべきかどうか、また、現金で子供1人当たり月2万6000円を支給することが本当に必要なのかどうか、あるいは可能なのかどうかといった議論など、さまざまな指摘や意見が出されているというふうに承知しております。
 また、先日、平成23年度からの満額支給とうたわれていた方針が、財政上の制約からここに来て満額支給は難しいと発表されるなど、まだまだ紆余曲折が予想される制度だと考えております。
 私は、子ども手当そのものは現政権が選挙のときに公約として出されたものでありますので、その上で国政選挙でまずは結論が出ておりますから、その是非についてはその結論に従うべきだというふうに思います。それならば、当然、国の責任において全額国費で対応されるものだとかねてから訴えておりまして、そのような制度にするのであれば地方への負担、これは生じませんから、個々の問題を議論し、解決しながらやっていってほしいと考えているわけであります。
 ただし、県政を担当している経験からいたしますと、子育てのためには、現金支給もいいかもしれませんが、より保育サービスの充実や給食などの現物支給にするほうが子育て環境としてはその向上につながるのではないかという思いもいたしております。
 今後、子ども手当の制度設計につきましては、国と地方の協議の場において議論されてまいりますけれども、その動向を注視しながら、全国知事会等関係団体とも連携を図り、より子育て支援に効果がある制度となるように私どもも貢献をしてまいりたいと考えております。
 なお、子ども手当の財源の一部に児童手当の財源を充てるのは本年度のみというふうに説明をされておりますし、私どももそう考えておりますので、来年度以降も同じように地方に負担を求められるというような議論であれば、これまで以上に強い態度で臨んでまいらなければならないと思います。
 次に、広域消防車でございます。
 これについては、県内における救急車の地域間の連携については、大規模災害時はもちろんのこと、救急事案が消防本部の管轄区域の境界付近や高速道路内で発生した場合などを想定して、関係市町村間で必要に応じて相互応援協定が締結されておりまして、現状の消防力の範囲内で効率的な連携が図られてきているというふうに考えておりますけれども、救急医療体制の整備など、県民の暮らしと命を守るセーフティーネットの構築に向けては、それがどこか漏れがないかどうかとか、そういう点について、消防体制のなお一層の充実強化を図ることが重要な課題であると認識しております。
 なお、救急業務における消防本部の管轄区域の問題、この問題につきましては、特定の地域において、行政報告会においても御意見としてちょうだいしております。この対応については、早速地元の意見を聞く等々、対応に入っているところでございます。
 次に、有害鳥獣の食肉としての利用ということでございます。
 鳥獣被害が県下一円に及んでおりまして、これの軽減というものは喫緊の課題だと思います。そのためには捕獲も大事でありまして、それに加えて捕獲したものを食肉として利用する、あるいは観光資源として利用する、そういうことも重要であると考えております。そう考えますと、捕獲、それから食肉加工、それからその食肉加工したものの流通、それから最後にレストランや民宿やあるいは一般家庭での消費、あるいは給食なども含めまして、そういうことを全部一連考えていかないといけないというふうに考えております。
 こうした中、先般、日高川町で県下で初めての公設の処理加工施設であるジビエ工房紀州が完成いたしまして、開所式に出席さしていただいたところですが、町長初め地域の方々の鳥獣対策にかける熱い思いを感じたところでございますし、さっき御質問がありましたが、味も大変よろしかったというふうに考えております。
 御指摘のように、かくなる上はというか、こういうこともほかの地域でもし欠けてるところがあったら整備をしていかないといけないんですけれども、加えて、先ほど御指摘がありましたように、消費や流通の点、これについても我々は考えていかないといけないと思います。もちろん、そのためには衛生管理ガイドラインを策定したり、あるいは狩猟者の方々に安全管理に関する講習会を開催するというようなことも大事ですが、加えて、ホテルやレストランでのジビエ料理フェアの開催など、その流通、販売、それから消費対策に大いに力を入れていかないといかんと思います。
 このシカやイノシシは低脂肪、低カロリー、あるいは鉄分などのミネラルが豊富で、最近の健康志向やあるいは地域嗜好といいますか、特色のある食生活をしたいというような、そういう需要にぴったりでございます。積極的にこれをPRするとともに、地域の方々と連携を図り、取り扱い店舗や料理店の拡大、また、さらに旅行会社などにも働きかけて、わかやまジビエを観光資源として活用するなど、なお一層の需要拡大に努めていかなければならないというふうに考えている次第でございます。
○議長(冨安民浩君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 今年度の和歌山県内における公共事業の影響についてお答えします。
 まず、道路事業につきましては、国の直轄道路事業の今年度予算は対前年度比で0.89となっており、近畿自動車道紀勢線や京奈和自動車道など、今後の本格的な事業展開のために大幅な予算の増額を要望している中で逆に1割以上の減額となりましたことについては、大変厳しい状況であると受けとめております。
 具体的には、近畿自動車道紀勢線の田辺─すさみ間は、先ほど知事の答弁のとおりでございますけれども、京奈和自動車道につきましても同様に、平成27年の国体までに供用するためには約1000億の残事業費がございますが、これを単純に割り戻しましても毎年200億以上の予算が必要な中で、今年度予算は145億と、目標に向けた整備が非常に厳しい予算となってございます。
 また、第2阪和国道和歌山岬道路につきましても、平成27年までの供用をお願いしておりますけれども、本年度は本格的に用地取得を進める予算とはなっておりません。さらに、国道42号有田海南道路につきましても、現在は調査、設計の段階ですが、今後こういった予算が続くと用地交渉の進捗にも大きな影響が出ることが懸念されます。
 切目川ダムにつきましては、本年度補助予算が約3億円減となり、転流工、つけかえ道路工事、これは引き続き進めさしていただいておりますけれども、ほかの本体関連の工事や本体の発注は見送らざるを得なくなりました。県といたしまして、この夏より行われます予定の検証において切目川ダムの必要性を御説明し、早期ダム完成を目指す所存でございます。
 直轄河川・ダムにつきましては、大滝ダムは24年度完成に向け工事が進められておりますが、一方、直轄河川事業につきましては、対前年度比0.80と厳しい予算になっておりまして、今後、整備のおくれが心配されているところでございます。
 県管理の河川整備につきましては、昨年の田辺市周辺や和歌山市周辺における甚大な浸水被害を勘案し、厳しい財政状況の中、浸水対策に対する安全・安心のため、河川改修予算を県単独費も含めまして対前年度比で23%増額するように県議会でお認めいただきましたが、国からは十分な予算が配分されませんでした。
 次に、東南海・南海地震対策でございます。
 国直轄事業の和歌山下津港海南地区の津波対策につきましては、必要額が配分され、予定の工事が実施されると聞いております。橋梁やのり面の耐震化事業につきましては、平成21年度第3回の配分交付金と合わせまして、対前年度比1.47の予算が確保できておりますが、当初予算のみで比較しますと0.93となっております。
 下水道事業につきましては、県、市町村ともに必要額の0.93倍となっており、下水道がおくれている本県にとって厳しい結果となってございます。
 なお、浄化槽につきましては、市町村からの必要額が確保されております。
 今まで都市部優先で社会資本の整備が進められ、やっと順番が回ってきた本県にとりまして、全体額が抑えられ、結果的に必要額を大きく下回る予算となっているということは、和歌山県の発展にとって大変懸念されるところでございます。今後とも、高速道路や河川、港湾などの社会資本の整備がおくれている現状にかんがみ、これ以上おくれることのないよう、十分な予算確保が必要であると考えております。
 以上です。
○議長(冨安民浩君) 危機管理監前硲健作君。
  〔前硲健作君、登壇〕
○危機管理監(前硲健作君) 和歌山県消防広域化推進計画の概要と今後の取り組みについてお答えいたします。
 平成18年6月の消防組織法の改正を受けまして、市町村の御意見をお聞きした上で、平成20年5月に和歌山県消防広域化推進計画を策定いたしました。
 計画は、現在の県内17消防本部、それと2つの消防非常備町村を5つのブロックに再編する内容となっております。すなわち、和歌山市・海南市を1つのブロック、橋本市・紀の川市・岩出市・海草郡・伊都郡を1つのブロック、それから有田市・御坊市・有田郡・日高郡を1つのブロック、そして田辺・西牟婁、そして新宮・東牟婁と、この5つのブロックに統合することとしております。
 広域化による主な効果といたしましては、1点目に初動体制の強化など住民サービスの向上が図られること、2点目に経費の削減など消防体制の効率化が図られること、3点目に組織及び人員規模の拡大に伴う組織の活性化など消防体制の基盤の強化が図られることが期待できるとしております。
 次に、今後の取り組みについてでございます。
 推進計画では、広域化対象市町村は、その協議によりまして広域消防運営計画というものを作成し、平成24年度末までを目途に広域化を実現することを目標とし、また消防の広域化の推進は、市町村消防の原則から市町村の自主的な意思に基づいて行われるべきものとしております。
 このため、県といたしましては、関係市町村の自主性を尊重しつつ、広域化のメリット、必要性等につきまして積極的に情報提供を行うとともに、関係者間のコンセンサスの形成に努めながら自主的な広域化を推進し、災害・事故の多様化、大規模化に対応できる消防防災体制の整備、確立に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(冨安民浩君) 福祉保健部長西上邦雄君。
  〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) ドクターカーの現在の普及状況と今後の必要性につきましてお答えを申し上げます。
 県内のドクターカーの普及状況につきましては、国保すさみ病院で、患者搬送機能はございませんが、医師、看護師が事故現場や急病患者のもとにいち早く駆けつけるため、一般車を緊急車両として改造登録いたしましたドクターカーを平成21年、昨年の1月に導入いたしまして、消防機関と連携して運用してございます。また、南和歌山医療センターにおきましても、今年度導入する予定と聞いてございます。
 医師、看護師が同乗するドクターカーにつきましては、ドクターヘリが離着陸できない山間部や交通事故等の現場で緊急治療を行うことによりまして、救命率の向上につながるものと認識をしてございます。
 議員御指摘のドクターカーの拠点病院への配置につきましては、今後、医療機関や消防機関等の関係機関とも十分協議いたしまして検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 農林水産部長阪中栄一君。
  〔阪中栄一君、登壇〕
○農林水産部長(阪中栄一君) 紀の国森づくり基金事業につきまして、一括してお答えいたします。
 まず、基金事業の取り組みにつきましては、公募事業という形で、NPO団体等が実施主体となり、県内178カ所において約240ヘクタールの森林整備等を実施してきたところでございます。このほか、県、市町村の取り組みといたしまして、貴重な生態系を持つ森林約400ヘクタールを公有林化したほか、森林・林業教育などの普及啓発を実施するとともに、アラカシやウバメガシなど郷土を代表する樹種の育苗や花粉症対策に関する調査など、幅広く事業を行ってきたところでございます。
 これらの事業実施によりまして、多くの県民の方々に参加をいただくとともに、森に対する理解の深まりなどの一定の成果があったものと考えてございます。
 しかしながら、ボランティア等による森づくりの一方で、本県には多様な生態系や貴重な自然が残された森林など、県民の財産として守るべき自然もございます。また、奥地水源林や景観保全上重要な里山林等において整備が十分進んでない箇所もあると認識してございます。今後は、これらの森林の公有林化や森林整備について積極的に進めていくことが重要であると考えているところでございます。
 いずれにいたしましても、このような視点に立ち、本年度におきまして県民の皆様に基金事業の今後のあり方などについてのアンケート調査を行うこととしてございまして、この結果を踏まえて総合的に検証してまいることとしてございます。
○議長(冨安民浩君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 小中学校の耐震化についてお答えいたします。
 公立学校施設は、児童生徒の学習、生活の場であるとともに、災害発生時には地域住民の応急避難場所としての役割も果たしますことから、その安全性の確保は極めて重要なことと考えてございます。
 本県の公立小中学校施設の耐震化率につきましては、本年4月1日現在、対前年比7.9ポイント増の73.7%となっております。
 本年度の耐震化事業につきましては、平成21年度補正事業等の繰り越し事業を含め、114棟の耐震化工事の実施を予定しておりまして、平成22年度末には耐震化率約82%に達する予定となってございます。
 また、平成23年度以降におきましては、17市町で200棟余りの校舎等の耐震化を実施する必要があると考えております。
 学校の耐震化は全国共通の課題でございますため、全国組織団体である全国公立学校施設整備期成会や全国施設主管課長協議会等を通じまして文部科学省へ予算の確保等を積極的に要望するとともに、耐震化を終えていない関係市町に対しまして早期に完了するよう指導・助言を行ってまいります。
 次に、イノシシやシカ肉の給食への利用につきましてお答え申し上げます。
 農作物に被害を与えるイノシシやシカを食用として有効利用することは、学校において指導しております食育の観点からも検討する意義があると考えます。
 学校給食への利用につきましては、北海道でエゾシカの肉を給食に利用している例があると聞き及んでおります。
 本県におきましては、地産地消の観点に立って、食用に関しての保護者への啓発など、さまざまな課題を慎重に検討しながら、給食の実施主体である市町村などと協議をしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) この際、花田議員に申し上げます。
 所定の時間までわずかであります。
 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 以上で、花田健吉君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 35番藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)
○藤本眞利子君 皆さん、おはようございます。議場が大変明るくなりまして、皆さんのお顔もよく見えるというふうなことであります。
 議長のお許しをいただきましたので、一般質問、入らせていただきます。
 子宮頸がん予防について、まずお伺いをしたいというふうに思います。
 昨年の9月議会において、がん対策についての検診率の向上対策や検診しやすい環境整備、また地域がん登録の推進等についてるる質問させていただきました。今回は、子宮頸がん検診についてお伺いをします。
 和歌山県のがん死亡率を見ると、2007年度は肺がん死亡率が全国1位となっており、ワースト1であります。子宮がんの死亡率についても、全国11位ということで、高い順位がついております。それぞれのがんについて早急に改善するための対策が必要でありますが、お手元の資料にもありますように、近年、子宮頸がんに罹患する20代から30代の若い女性の罹患率が上昇しています。新聞報道等によりますと、子宮がんというのも、体内がんと頸がんというふうなことで、全く違うがんであるというふうな報道もされております。
 日本では女性特有の子宮頸がんの受診率は20%前後、欧米の80%以上の受診率と比較すると、その差は大変大きいものとなっています。取り組みとして、欧米諸国では女性特有のがん検診については、しなければならない検診として定着しているからだと思われます。日本においても、21年度より一定年齢の方を対象にがん検診無料クーポン、それと検診手帳を配布するなどの取り組みが始まりました。この取り組みも始まったばかりでありまして、すべての女性に検診の大切さを啓発していただき、検診が定着するよう取り組みをお願いするものです。
 さて、この子宮頸がんはヒトパピローマウイルス、HPVといいますが、子宮頸がんはこのヒトパピローマウイルスの感染が原因であることがわかってきました。子宮頸がんの問題については、最近ではテレビ等のマスコミが取り上げたということもあり、少し聞きなれてきたと思いますが、若い世代について理解が進んでいない状況であるとお聞きしています。ある大学のアンケートでは、子宮頸がんについて「知っている」と答えた学生は13%弱であったと聞いています。
 子宮頸がんへの理解も進んでいない状況でありますが、さらに予防や検診に至っては、その理解は随分おくれています。子宮頸がんはワクチン接種によって予防できるということの認識もまだ定着していません。
 全国の中でも島根県では3~4年前から定期的な細胞診とHPVの併用検査に取り組んでいます。併用検査が子宮頸がんの早期発見に大きくつながると期待されていますが、有効かどうかの経緯を今後とも注目したいというふうに思います。
 和歌山県ではまだまだ子宮頸がん検診に対する基礎知識も理解されていない現況だと思いますが、世界では「子宮頸がんは予防できる」という認識が定着してきました。予防できるワクチンということで、現在100カ国以上の国で検診とワクチン接種を実施し、予防に力を入れているとのことです。日本ではようやくワクチン接種が解禁されましたが、予防接種法にまだ指定されていないため、公費負担による接種とできず、1回の接種に多額の費用が必要だと聞いています。そのため、中学生までの接種が一番効果的であるとされながら、なかなかワクチン接種が進まない状況です。
 しかし、子宮頸がん予防に大変大きな効果のあるワクチン接種を独自に実施し始めた市町村もあります。和歌山県では、御坊市が小学生6年生を対象にワクチン接種を始めたとお聞きしています。
 さて、国の動きがおくれているということもあり、全国的にも市町村が先に動き始めたという状況です。県としてはそういった動きを受けて、どういった対策や支援を考えておられるのか、福祉保健部長にお伺いします。
 子宮頸がんの理解と検診率引き上げについてお伺いします。
 子宮頸がん検診率が20%と、欧米先進諸国の80%と比較しても大変低い数字であります。女性特有の子宮頸がんではありますが、若い世代にふえているということですので、検診率の引き上げは喫緊の課題であります。子宮頸がんが見つかったとしても、早期発見であれば子宮摘出しなくても治療ができ、子供を産むことができます。また、先ほど言わせていただきましたが、島根県の取り組みとして、細胞診とHPV検査がともに陰性であれば3年間は受診しなくてもよいとしています。これは女性にとって身体的・心理的負担が大変軽くなる情報です。しかし、こういった他県の取り組みも、情報や知識すら周知されていない現状です。今後は女性の健康といった面からアプローチが大いに必要だと考えます。
 私もそうでしたが、婦人科はちょっと行きにくくて、妊娠して初めて行くという方も多く、何もなければ20代で婦人科に検診に行く方は少ないというふうに思います。そういう20代の若い層への理解と、受診していただくための対策として、二十で献血といったふうなキャンペーンも効果があるというふうに思います。また、検診が必要な年代の女性に対してHPV検査についての周知を図ることも検診率への向上につながります。また、検診が受けやすい環境を整えることが必要だと考えます。長崎県では、より検診しやすいように、がん検診車を購入したということであります。また、検診時間の延長や就労している方には職場の集団検診に子宮頸がんを取り入れることが有効だと考えます。
 子宮頸がんへの理解と周知、検診率を高める必要がありますが、県として今後の取り組みについて福祉保健部長にお伺いします。
 また、学校教育の中で子宮頸がんについての正しい理解をはぐくむことが必要です。小学校から高校まで、それぞれの段階に応じた性教育の中の1つとして行われなければならないと考えます。
 性教育は、1人1人の体の仕組みや他の性との違いを学ぶ中で、自身の体や心を大切にすることを学びます。性教育は人権教育でもあります。命を受け継ぐために望まぬ妊娠を防ぐ性教育、HIVの問題、性感染症の問題など考えながら、自分や他人の体の大切さを理解させる必要があります。子宮頸がん理解について性教育から取り組むべきだと考えます。教育長に所見をお伺いします。
 次に、中国山東省との国際交流についてお伺いします。
 中国山東省との友好提携25周年を記念しまして、昨年の11月、山東省からは12月に相互の交流が行われました。私も、昨年11月の行政・議員交流訪問団の一員として、経済友好交流訪問団の皆さんとともに青島市、済南市を訪れ、その発展を目の当たりにしました。
 青島から済南へのコース、これは私が10年前に訪中させていただいたときと同じコースであったため、その変化を時系列で確かめる結果となりました。青島から済南までの高速道路の休憩所において、10年前には人も何もなかった、それこそ水がわりの大根を売っていた、そういった場所がまるでスーパーマーケットのように多くの商品を扱い、大勢の皆さんでにぎわっていました。青島市も情緒ある旧市を中心に大きく広がりを見せており、港湾の整備はもとより、海から山にかけて高層マンション群が林立している状況でした。
 和歌山市の姉妹都市である済南市は、日本で言う国体が行われるということで、オリンピックをほうふつさせるような体育施設、新しい市庁舎、高層住宅群も建設されており、その変化には大変驚きました。10年前には、古きよき中国を残す水のわき出す都、「泉都」と言われた済南市も、ここ近年では省都にふさわしい都市としての姿に発展しておりました。
 25年の長きにわたり交流を続けている和歌山県と山東省の発展を比べると、その差は歴然としています。和歌山、この25年に何が変わったのか。医大がロイネットホテル建設されただけかなあというふうな、何とも寂しい気持ちになっています。しかも、和歌山県と山東省との交流も25年を経た今、一定の交流は継続されてきましたが、残念ながら形式的なものからもう一歩踏み出せていないと考えます。教育でも、経済活動でも、人的交流でも、もっと親密な関係を築いていくべきだと考えます。
 この3月2日には、関西国際空港から済南市に直行便が就航しました。行政・議員交流訪問団も訪中されましたが、交通の便がよくなったこと、この機会に山東省との交流をさらに深く広く発展させる必要があると考えます。これからの経済も観光も、それぞれの入り口も出口も中国抜きでは語れない状況になっています。そのためには、和歌山に中国語のできる人材、中国の文化に精通した人材がもっと求められます。
 現在、和歌山市で最も中国との教育交流に力を注いでおり、実績を積み重ねている和歌山外国語専門学校の坂本理事長にお話をお聞きしてきました。和歌山外国語専門学校は、およそ100人の外国の子供が学んでいます。そのうち70人から80人が山東省出身の中国の若者です。この若者たちは、和歌山で日本語を学び、その後、和歌山や各地の大学、大学院、専門学校に進学しています。まさしく日本語に最初に触れる学校となっています。
 また、日本人が和歌山外国語専門学校で2年間中国語を勉強すると、山東師範学校の3年生に編入することができます。師範学校では2年間の勉強を終了し、学士号を取得した学生が先ごろ和歌山に帰ってきています。山東師範大学卒業第1号となったこの方は、今後、和歌山県と山東省の友好に大きな役割を担っていただけるものと私としても大きな期待を寄せていますし、県としてもこういった方をしっかりと活用することも大事なことだと思います。
 このように、和歌山外国語専門学校では山東師範大学と連携し、中国との交流に欠かせない人材の養成に力を注いでいます。山東省からの学生を受け入れ、和歌山の若者を中国に送り出すという地道な取り組みは、これからの山東省との交流をさらに発展させるためにはなくてはならないものです。
 また、山東省の日本語学校の教師は、同じ友好姉妹県の山口県の退職教職員の方が多いとお聞きしています。どういった経緯で多くの先生方が山東省で教師になっているか、その経緯はちょっとわかりませんが、そういった取り組みは山口県と山東省の関係を深くしているということに間違いはありません。
 今後、山東省との発展交流について、人材育成と人材交流は和歌山県の発展にとって最重要課題だと考えますが、知事の所見をお伺いします。
 次に、教育長にお伺いします。
 高校卒業後、英語圏への留学が多いと思いますが、これからは中国語のできる人材がもっと必要と考えます。和歌山外国語専門学校の例のように、和歌山で中国語を学び、その後山東師範大学に進学すれば、生活費も含め200万円ぐらいの費用で卒業できると聞いています。人材育成のために、費用の面からも負担が小さい中国への留学も視野に入れた取り組みを進めるべきだと思います。和歌山県でも幾つかの高校と山東省の高校とで友好姉妹提携を結んでいるとお聞きしています。ぜひもっと積極的に中国との交流を進めていただきたいと思います。
 また、今後は小中学校も含めた学校間の交流をもっと進めていくべきだと考えますが、小・中・高校までの交流についての現状と今後の取り組みについて、教育長の御所見をお伺いします。
 3番目に、学校図書館の充実についてお伺いします。
 ことし2010年、国民読書年です。電子図書のニュースも耳にする昨今ですが、読書の形態も変わってくるなあと思っていますが、子供たちが手にする絵本はやっぱり今のままがいいなあというふうに思っています。
 前恵庭市長、子育てと教育を考える首長の会事務局長の中島興世氏が「子どもの未来を拓く地域からの挑戦」という文章を発表しています。その中で、恵庭市において取り組まれた読書コミュニティーづくりの実践が語られています。
 恵庭市では、2000年から、9カ月から10カ月の乳幼児健診の際、赤ちゃんに絵本をプレゼントするブックスタートに着手、その後、2007年には1歳6カ月の幼児健診時に1冊と、新たにブックスタートプラスを展開してきました。読書コミュニティーづくりの一環として、保育園や幼稚園にも絵本の予算をつける、小学校と中学校に専任の学校図書館司書を配備するなど、読書環境の整備に大変力を入れてこられました。このことによって、地域の人たちによる読み聞かせ運動に広がりが出てくる、図書館の利用率が上がっていく、学校図書館への寄附がふえ、さらに学校図書が充実していくといったよい循環が生まれていると述べられています。
 学校での読書活動は教師にも真剣に取り組んでもらうことが成果を上げるかぎになるということで、先生方にも先進的な学校への視察をしていただいたと述べられています。恵庭市の小学生の3年生を調査したところ、98%の子供が「本が好き」と回答し、1カ月に10冊以上読む子の割合が77%という数字が出ています。全国的に不登校児がふえている中で、恵庭市では不登校児が激減し始めているという現象があらわれているとのことでした。
 近畿の中で箕面市でも、市内の全部の小学校、中学校に市担の図書館司書が配備されています。以前視察に行かせていただいたこともありますが、学校図書館が地域の図書館のようであったと記憶しています。子供たちが楽しく調べ学習や読書活動ができるように、さまざまな工夫がされていました。図書ラベルをきれいに張りかえたり、展示も新着本や紹介本などは表紙を見せたり、紹介文を載せたり、季節に応じた特集を組むなど、さまざまな工夫がされていました。教職員への情報提供も加味しながら、学習関連図書コーナー、国語の教科書の出典作品、理科の関連図書の展示もされていました。学校図書館は授業中、調べ学習の場にもなっていますし、休憩時間ともなると、さまざまな子供たちが入れかわり立ちかわりに出入りし、大変活発に利用されているようでした。また、地域の方々が曜日を決めて学校図書館で読み聞かせをされており、まさしく学校図書館が学校の中心であるといった様子でした。
 私も、教員時代、毎朝子供たちに読み聞かせをしていました。その時間だけはやんちゃな子も一生懸命聞き入っていた姿を思い出します。「先生、次、これ読んで」と自分の家から本を持ってくる子もたくさんいましたし、子供たちというのは本当に私たち大人が思っている以上に本が好きなんです。そんな子供たちをもっと応援していただきたいというふうに思います。
 このように市町村に先行されている学校図書館への取り組みでありますが、子供たちに与える影響は先ほどから言わせていただいていますように、論をまたないと考えます。読書の有益性についてはだれもが認めるところでありますが、読書環境をいかに整備していくかが、その自治体の文化度が問われるところです。赤ちゃんから青年までの長いスパンの中で読書環境を整えていくことが、間違いなく未来への投資になります。
 しかし、現実は、小中学校では12学級以上、司書教諭が置かれなければならないと明記されていますが、実際は担任や他の職と兼務している実態ですので、学校図書館は無人であります。だれもいない学校図書館は図書の時間以外はかぎがかけられています。何とも寂しい限りであります。
 そこで、教育長にお伺いします。
 和歌山県下では小中学校に専任の図書館司書教諭を置かれている市町村はあるのでしょうか。学校図書館に、司書でなくてもボランティアの方や退職した先生方などが常時活動している学校はありますか。また、今後、県独自で専任司書の配置などを含め、学校図書館充実に向けた取り組みの予定はありますか。専任司書教諭の制度化、学校図書館の環境整備を含め、学校教育における読書環境の整備・充実に向けて、教育長のお考えをお伺いしたいと思います。
 図書の充実については、国でも新学校図書館5カ年計画を推進しており、学校図書館図書標準を達成するための予算措置がされていますが、和歌山県では、平成20年度の調査によると、達成している学校の割合は小学校では45.8%、中学校では28.5%であります。図書館図書標準を達成させ、魅力ある学校図書館を望むものですが、今後の取り組みについてお伺いします。
 最後に、消費者行政についてお伺いします。
 消費者行政については、同僚議員、多田議員のほうからも2月議会で一般質問が出ておりますが、私は消費者相談から見える課題について質問します。
 先ごろ、消費生活センターのほうに出向き、お話を聞いてまいりました。センターのほうでも消費者相談の概要をまとめられており、詳しい内容も聞くことができました。昨年の相談件数は5904件、そのうち苦情相談が5333件、その苦情相談の3割がウエブサイト関連、はがきを使った詐欺行為、フリーローン、消費者金融といった内容が主なものであります。特にウエブサイト関連は全体の2割を占めており、被害者は、未成年から30代を中心に幅広い層が被害に遭っているといった実態であります。そのやり方も大変巧妙になってきており、音楽をダウンロードしようとアクセスするとアダルトなどのサイトに登録されてしまったなどなど、あらゆるサイトからそういったわなが仕掛けられているといった状況です。うっかりクリックしたため多額の料金が請求される。また、その請求画面が何度消去しても消えないようにウイルスが仕掛けられているといった被害がふえているということでした。
 また、年齢別に見ると、60歳以上の高齢者からの相談が増加しているということであります。特に、ひとり暮らしの高齢者が訪問販売による被害に遭っているといった実態が浮かび上がっています。SF──催眠商法というんですが──この商法では70歳以上の高齢者層が66.7%と、大半を占めるといった状況であります。
 消費生活センターへ相談される方はまだ救済できる余地がありますが、被害に遭ったことすらわかっていない方々も多くおられると推察されます。被害に遭いやすい、被害に遭ったときにどう対処していいかわからない、そういった被害者を多く出さないための対策が急がれると考えます。特に高齢者の方や若年層に対する対策が必要と考えます。また、こういった被害の状況を行政と関係団体で共有し、啓発や対策に当たる必要があると思いますが、今後どのように取り組まれていくのか、環境生活部長にお伺いします。
 住民に身近な市町村に相談窓口設置を進めているということですので、全国的に見ても設置率が大変低い状況です。相談窓口の設置とともに、相談員の養成も急がれます。相談員の方の処遇改善、今後の取り組みについてお伺いをし、一般質問、第1問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの藤本眞利子君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 山東省に関してお答え申し上げます。
 山東省は、25年にわたりまして和歌山県の大切なパートナーであると考えております。実は、平成19年11月に当時の中村議長や多くの県議の方々と一緒に山東省を訪問いたしまして、その際に両県省で覚書を新たに設けて、さらに一層協力関係を強化するということを開始したところでございます。
 実は、この背景には、本県と山東省の友好関係には、同じような関係にある山口県に比べて和歌山県の対応は首脳の訪問などに限られてるんじゃないかというような意見を山東省側からもいただきまして、そこで両方で、それぞれ持っている問題点を、もっともっと助け合うということで解消していくために協力しようということで、先ほどの覚書を新たにしたところでございます。
 とりわけ環境協力については、和歌山県は公害防止の長い経験がございます。今、経済発展の著しい山東省では、このような環境問題について大いに悩んでいるというような情報もございました。そこで、専門家を派遣したり、あるいは研修団を受け入れたり、そういうような具体的な協力を実はやってるところでございます。
 それから、ビジネス交流も大いに推進したいということで、私どもの訪中に際しましては一緒にビジネスの方々も行っていただいて、両方で何かウイン・ウインの関係になるような協力ができないか、そういうことを探っているところでございます。
 それから、昨年の山東省側の訪日の際には商工観光労働部長を当事者とするような観光交流についての具体的な取り組みをいたしまして、この面でもさらに関係を強化していきたいと、そんなふうに考えております。
 そのほかにも、官民が一体となった訪問団の派遣、あるいは山東省からの訪問団の受け入れを行ったり、あるいは中国の事情、山東省の事情に通じた人材を県としてもぜひふやしていきたいという考え方から、現在、県職員を山東省に派遣しているところでございます。特に若い方々に中国の現状について理解を深めていただき、国際感覚を有する人材を育成するということで、この3月に外務省の事業を利用いたしまして、県内の大学生など約30名を山東省に派遣し、現地の学生たちと交流を行ったということもやっております。
 近年、発展著しい中国の中でも山東省は所得第2位のシェアを誇っております。同省との交流をさらに推進することは本県にとって大変有益であると考えますので、そのために必要な人材の育成と、それから交流に今後とも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(冨安民浩君) 福祉保健部長西上邦雄君。
  〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) ワクチン接種についてお答えを申し上げます。
 子宮頸がんワクチンは、平成21年10月に承認をされたところでございますが、疾病予防のための予防接種について定めました予防接種法に位置づけられていないため、勧奨や公費による負担が行われず、希望者が任意、また実費で接種することとなっております。
 現在、国において、他の疾病に係るワクチンとともに、公費で接種が行われることとなる定期接種化につきまして研究や検討が行われているところでございます。
 しかしながら、子宮頸がんは現在、唯一予防できるワクチンと言われておりまして、ワクチン接種による予防は検診による早期発見、早期治療とあわせまして非常に有効であると考えておりますので、去る6月8日に国に対しまして予防接種法への位置づけを進めるよう提案を行ったところでございます。
 県としましても、今後の国の動向等を注視するとともに、引き続き接種者への支援のあり方などにつきまして検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、子宮頸がんの周知と検診率向上についてでございますが、子宮頸がんの周知・啓発につきましては、従来から、がん検診の実施主体でございます市町村が広報紙等を通じまして実施をしてございまして、特に、昨年度から実施をしております女性特有のがん検診推進事業によりまして、20歳以上の対象者ごとに検診無料クーポン券と検診手帳を送付することで検診の周知とあわせて啓発も行っているところでございます。
 また、県におきましても、地域・職域連携推進協議会の活動等を通じまして、職場におけるがん検診の推奨やがんについての正しい知識の啓発を行ってございます。さらに、本年度は、企業との連携によりまして、スーパー、銀行等の窓口などでの啓発、また、多くの人が集まる場での講演等の広報活動をきめ細かく展開することによりまして、がんへの理解と周知、とりわけ議員から御指摘のございました20歳代から30歳代を中心といたしました若い女性に子宮頸がんの周知を図る等、検診受診率の一層の向上を図ってまいりたいと考えてございます。
 なお、子宮頸がん予防ワクチンの接種は高い予防効果があると言われておりますが、子宮頸がんを完全に予防できるものではないことから、がん検診が大変重要であると考えてございますので、従来にも増して積極的に周知、啓発を進めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 環境生活部長保田栄一君。
  〔保田栄一君、登壇〕
○環境生活部長(保田栄一君) それでは、消費者行政の2点についてお答えを申し上げます。
 まず、消費者被害防止のための取り組みについてでございますが、架空請求詐欺や悪質商法等による消費者被害の発生・拡大を防止する取り組みとしては、情報提供、相談窓口の充実が重要であるというふうに認識してございます。特に高齢者の被害防止につきましては、本年1月、関係各課と県民生委員児童委員協議会、県老人クラブ連合会等の関係18団体による高齢者・障害者に係る消費者被害防止ネットワークを設置し、情報の共有と啓発に連携して取り組んでいるところであり、今後とも迅速、適正な情報提供や相談活動を進めてまいります。
 また、若年者に対する取り組みについては、携帯電話等によるウエブサイト関連の相談が多数寄せられている状況から相談内容を分析し、学校や各地域への出前講座等、さまざまな機会をとらえ、消費者被害情報を伝えることにより被害の発生・拡大の防止に努めてまいります。
 次に、消費生活相談窓口の強化についてでございますが、現在、県内で専門の相談員を設置しているのは5市町であり、今年度さらに1市が配置する予定と聞いてございます。
 消費者行政活性化基金を活用した市町村における相談窓口の充実・強化を図るため、市町村の消費者行政担当職員を対象にした消費生活相談に係るスキルアップ研修を実施するとともに、各地域ごとに市町村の意見も十分聞きながら、それぞれの地域の実情に応じた相談窓口の整備のあり方について協議、検討をしているところでございます。
 議員御指摘のとおり、市町村の相談窓口の整備を図るためには、専門的な知識を有する相談員の養成は急務であると考えており、昨年度に引き続き養成研修を実施することといたしております。
 また、相談員の処遇につきましては、他府県の状況も勘案し、相談員の方々が安心して業務に専念できるよう、条件の改善等を検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 子宮頸がん予防対策に関する学校教育の中での取り組みについてお答えいたします。
 本県の性教育につきましては、平成18年に「性に関する教育の手引」を作成し、生命尊重、人間尊重、男女平等の精神に基づき、児童生徒の人格の完成と人間形成を目的として実施してございます。
 性感染症につきましては、教職員だけでなく、必要に応じて外部講師を招くなどし、中学校段階以降に適切に指導しているところでございまして、子宮頸がんに関する指導につきましても、発達段階に応じた性教育の中で実施してまいりたいと考えます。また、教職員を対象とした研修会等に専門家を招き、指導する立場の教職員の理解を深めるよう努めてまいります。
 次に、山東省との学校間交流についてお答えいたします。
 本県では、小学校1校が山東省の小中学生を受け入れるとともに、高等学校4校が姉妹校提携を結び、交流を行っております。昨年度は、高等学校3校、合わせて21名が山東省を訪れ、ホームステイにより、ふだんの生活を経験する活動も行いました。
 本年度も、国が進めております21世紀東アジア青少年大交流計画により、今月9日から15日まで、県内の高校生45名が山東省の学校を訪問し、現在、歴史・文化の研修等を行っているところでございます。
 友好提携を結んでいる山東省との交流は、本県の国際理解教育の中核になると考えているところでございまして、国際社会で主体的に生きる人材を育成する上で大変意義深いものであることから、今後とも姉妹校との取り組みを継続・発展させるとともに、小中学校においても山東省との幅広い交流のあり方について工夫を凝らすなど、その充実を図ってまいりたいと考えます。
 学校における読書環境の整備・充実についてでございますが、本県では、児童生徒が読書に親しむため、和歌山県子ども読書活動推進計画に基づきまして読書環境の整備に努めているところでございます。中でも学校図書館教育は、児童生徒の自主的、主体的な学習活動を促す大切な役割を担っており、学校図書館が果たす役割はますます重要であると考えてございます。
 御質問の司書教諭につきましては、図書館業務のみを専任で行う教諭を配置している市町村はございませんが、12学級以上のすべての学校に司書教諭を配置し、学校図書館の運営を行っているところでございます。司書教諭の役割につきましては、図書館を活用した教育活動の中核を担うという点からも、より一層重要であり、今後も市町村教育委員会を通じて各学校に指導してまいります。
 また、図書の整理や修理のためにボランティアの方が毎日のように訪れる学校や、図書の貸し出し、読み聞かせなどの活動を行っている学校もございます。このような地域教育コミュニティーを活用したボランティア活動が県内各地に広がりますよう、先進的な取り組み例を紹介、普及してまいりたいと存じます。
 次に、学校図書館における図書の充実につきましては、新学校図書館図書整備5か年計画を着実に推進するよう、引き続き市町村教育委員会に指導・助言するとともに、県立図書館における学校図書館への団体貸し出しの活用を促進するなど、公共図書館との積極的な連携を進めてまいります。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再質問を許します。
 35番藤本眞利子君。
○藤本眞利子君 今回、4項目についてお答えをいただきました。
 子宮頸がんについてですが、昨年度から乳がん、子宮がん検診の無料クーポンというのが配布されていますので、ことしも和歌山では6月に対象者にクーポンと検診手帳が配布されました。
 昨年の検診率を調べましたところ、集計中の5市を除いて35市中で乳がんが27.8%で3着、子宮頸がんが32.4%でトップという結果が出ました。これは和歌山市なんですが、そういうふうな結果が出ました。これはクーポンが導入される以前に比べたら10ポイント近く受診率がアップされるという結果になっています。欧米に比べるとまだまだ低い受診率でありますので、さらに検診への周知を努めていただきたいというふうに要望します。
 また、この予防ワクチンの接種を推進する12団体──いろんな団体からもワクチンの公費助成を民主党のほうにも申し入れをされておりまして、早急な対策が講じられるように、私どもも国に積極的に働きかけていきたいというふうに思います。
 また、知事の御答弁で、環境とかビジネスとか観光とか、そういったところと大変緊密にこれからも交流していくというふうな御答弁をいただきましたので、だからこそ余計に人材の育成、養成というのはもう近々の一番の大変重要な課題だというふうに思っています。ますますこれからそういった交流が進んでいくというふうにも思います。
 観光についても、ビザの要件が、観光客の所得水準がずっと大幅に引き下げられたので、もっともっとふえてくるというふうな見通しだというふうに聞いています。大体4億人ぐらいが観光で外国に行けるようになってくるんじゃないかというふうにも思いますので、これ、受け入れのためにも、観光課なんかにも中国語のできる人を配置するということが大変重要なことだというふうに思いますので、その点についても今後お取り組みしていただけたらというふうに思います。
 あと、読書環境の整備についても、先ほど言わしていただいたように、子供たちへの投資は未来への投資でありますので、少々時間とお金はかかってもしっかりと取り組みをしていただきたい。教育が最も重要だというのはもう歴史が証明しているというふうに思います。まさしくコンクリートから人への投資であるというふうに思います。
 人の命を守るための対策、それから人を育てる教育の対策、人の生活を守るための対策、それぞれ御答弁いただきました。今後ともしっかりと取り組んでいただけることをお願いしまして、質問を終わります。
 以上です。
○議長(冨安民浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で藤本眞利子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時49分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(坂本 登君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 17番岸本 健君。
  〔岸本 健君、登壇〕(拍手)
○岸本 健君 議長にお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 ことしの3月、観賞樹のベニバナシャリンバイの新品種としてペリドットが日本で初めて品種登録がされました。このペリドットは、紀の川市桃山町で生まれました。バラ科で淡い桃色の花を咲かせ、新芽の色合いが緑色の宝石をほうふつさせ、葉の色が宝石のペリドットの色に近いことから名づけられました。石言葉は「夫婦の幸せ」と知り、夫婦で育てている思いも込めて名づけられたそうです。
 17年間のサラリーマン生活を経験し、奥様の実家が専業農家ということもあり、たまの休日には体を動かす程度でしたが、米や果樹の手伝いをし、気分転換程度にしていたそうです。しかし、将来についていろいろと考える時期があり、地域では高齢化していく中、自分が会社を退職してから農業を継ぐという消極的に農業をするということではなく、若いうちに積極的に農業に取り組んでいこうと決心し、脱サラし農業に飛び込んだのであります。
 農業といっても、何をしたらいいのか、何をつくったらいいのか、そこから始め、農協の指導員さんなどに話を聞くのですが、自分に響くものがない。農業については完全な素人であります。自分1人の力では何もできないと痛感したようです。
 彼の住む紀の川市桃山町は、桃と植木の町であります。桃はブランドができていて後追いしかない。植木についても庭木は有名である。夫婦2人で仕事をし、生計を立てていくためには花木しかないと考え、取り組みを始めます。2反の荒れ果てた農地を整地から始め、人から苗をもらい、細々と生活をつないでいきます。安定生産のためにハウス栽培をと考え、知り合いから中古のハウスの骨組みや農業設備など、要らなくなった農家から安く譲り受ける。とにかくできることは何でもしたと。種があれば植え、挿し木があれば挿す。苗は生まれるまで2年はかかります。
 あるとき、桃山町植木組合からベニバナシャリンバイという品種を勧められ、取り組むことを決めます。成木200本。少しの管理料をいただきながらするも、なかなか増殖できない。当時、5、6人が取り組みますが、みんなあきらめていきます。
 日本植木協会では、ベニバナシャリンバイについて供給可能量は入手困難の樹種であると知りますが、あきらめることなく、人から教えてもらって挿し木を何度も繰り返します。しかし、思うようにはなかなかいきません。他の農産物の栽培も見に行き、少しずつ育て方を変え、今までしていないことも試します。その結果、一般的なベニバナシャリンバイが発根するようになったそうです。ここまで5年経過しています。生活は決して楽とは言えず、サラリーマン生活でためた預金を食いつぶしながら生活をしています。発根しても、商品になるもの、ならないものがあり、ここから出荷するまではまだ3年をかけます。
 しかし、その中で1本だけ全く違うものが出てきました。葉っぱが明らかに違います。不良品として分別したものの、捨てられず、5年間育て続け、様子を見て別に管理をしました。地元の専門家に聞いても否定的であります。根気よくふやして、1本を800本、そして3000本となり、いよいよ販売となったときに名前がわからない。個人で探すには限界があります。英国王立園芸協会監修の「花と植物百科」などで調べますが、同じものがありません。社団法人日本家庭園芸普及協会、農林水産省と国土交通省所管の公益法人の講習会に参加もします。そこで相談もしますが同じものがない。新しい品種ではないかという思いもあり、農林水産省の種苗課に電話をして品種登録の相談をします。書類を提出したら、新しいものなのか、また今までもあったものなのかがわかるはずだと考えまして行動をします。そこで、県の振興局に電話で相談のお願いをします。しかし、「担当者が不在である。あなたのほうが詳しいんじゃないですか」と言われ、相手にされなかったとのことであります。残念でなりません。
 そのとき、そんなものか、その程度かと大変悲しい思いをしたようであります。今までの木と花と葉の違いはわかるけど、木の性質を知りたいと思って日本植木協会にまた聞きます。推測でなかなか判断ができませんでした。農林水産省先端技術産業振興センターの研修会に参加をし、講師で来ていた静岡県農林技術研究所伊豆農業研究センターの稲葉氏に相談、アドバイスをしてもらいます。また、その後、和歌山県農業試験場に行きますが、協力は得られない。結局、自分でやるしかない。こういう努力を積み重ね、この春、新品種として登録されました。
 なお、現在は、振興局、試験場とも大変協力的であります。良好な関係であります。
 年間数千件の新品種登録作業が行われているようですが、ほとんどが企業であります。以前、桃山で品種登録をしたい人がいたようですが、断念されているようです。
 「品種登録制度の概要」によりますと、品種登録制度について、「新品種の育成には、専門的な知識、技術とともに、長期にわたる労力と多額の費用が必要ですが、育種自体が確実に成果が得られるという性格のものではない上、一旦育成された品種については、第三者がこれを容易に増殖することができる場合が多いことから、育種を積極的に奨励するためには、新品種の育成者の権利を適切に保護する必要があります。 このため、我が国においては、種苗法に基づく品種登録制度により、植物新品種の育成者の権利保護を行い育種の振興が図られています」となっています。
 こういうことから、農林水産省は、我が国の農林水産業、食品製造業等における新技術導入による競争力強化を図るとともに、農林水産分野における知的財産の有効活用を促進していることを目的とし、農林水産分野の知的財産にかかわる団体、個人を対象として農林水産知的財産ネットワークの構築を進めています。
 この農林水産知的財産ネットワークの設立趣意書を見ますと、農林水産分野の知的財産をめぐる状況としては、他の産業に比較して知的財産を保護し活用するという意識が乏しく、かつ専門家が十分に存在しないなど、活用実施体制も十分とは言えない環境にあり、その早急な対応が必要となっております。
 和歌山県は農林水産知的財産ネットワークに参画しています。和歌山県がどれほど取り組まれているのか、私には見えてきません。しかし、先ほど述べた花木の例のように、生産者が新しい品種を育成、発見しても、登録出願するためには、その品種の形質や特性の調査、既存品種との比較など、専門的な調査が必要であり、これは一農業者で行うには大変困難な部分であります。こうしたことから、県内の知的財産資源を有効に活用するためにも県の試験研究機関の協力・支援が必要であると考えますが、いかがなものでしょうか。
 和歌山県の基幹産業は農業であります。特に、果樹については全国に誇れるものがあります。しかし、農業は果樹だけではありません。花木も農業であります。
 桃山町では、昭和30年ごろから庭木、杉、ヒノキ、ミカンの苗木生産が始まり、植木生産は昭和45年ころより盛んになっていったと聞いております。最近では、中国から数百万もする植木を求めて商談に来るようであります。
 最新の花木出荷数量は、平成19年度でありますが、和歌山県は全国で第11位で、近畿全体では404万4000本の生産量です。そのうち和歌山県では287万4000本が生産され、近畿の約4分の3近くが和歌山県で生産されています。こう見ますと、花木は和歌山県にとっては重要な農業の1つだと考えます。
 そこで、農林水産部長にお尋ねをいたします。
 和歌山県の農産物の品種登録の取り組みについて、そして、特に花木の新品種登録に向けた取り組みはどうなっていますか。また、花木類の試験研究の取り組みはどうなっていますか、お答えください。
 次に、聴覚障害者に対する取り組みについてお尋ねをいたします。
 昨年の6月定例会において、和歌山県立医科大学附属病院における手話通訳士等の配置並びに各病院における聴覚障害がある入院患者への対応について一般質問をさせていただきました。特に、聴覚障害がある入院患者に対しての手話通訳について、昨年9月11日より和歌山県立医科大学附属病院手話通訳事業が開始されました。県立医科大学が社会福祉法人和歌山県身体障害者連盟と委託契約を結び、県連盟から手話通訳士等の派遣を受けることができるようになりました。
 県立医科大学において、聴覚障害等がある入院患者及び聴覚障害がある入院患者の家族、また医師、また看護師が病院課に依頼をしますと、原則として平日9時から17時まで、また、派遣可能な場合はそれ以外の時間も派遣してもらえる体制ができました。
 聴覚障害及び言語障害のために意思疎通を図ることが困難な入院患者等への適切な医療や看護を提供できるようになり、何より入院患者やその家族の不安が少しでも和らぐのではないかと考えられます。一歩前進したようにも感じています。本当に、福祉保健部、和歌山県立医科大学附属病院の迅速な対応と英断に感謝を申し上げます。
 しかし、このシステムが完璧なものではないとも思います。利用者は派遣希望の3日前までに派遣依頼書を提出しなければなりません。ある程度柔軟な対応ができるということでありますが、これでは緊急のときの対応について対応し切れないという不安を感じています。命にかかわる問題になってくる場合もあるのではないでしょうか。
 聴覚障害者の方が1人で病院に行かなくてはいけないときがあります。薬をもらうときに番号表示等で自分が呼ばれていることがわかる病院があります。診察の場合も薬と同じような呼び出しはないでしょうか。受付の方が、小さな病院では、顔を見て心がけをしていただいてるところは、順番であることを伝えてもらいやすいのですが、多くの患者さんがいる大病院ではそのような対応ができないのが現実であります。3時間待ったが呼ばれないので、診察券をとって帰ってしまったり、6時間待ってようやく気がついてくれて、それから診察を受けられた方、大変つらい思いをされています。命を預かる公共機関で聴覚障害者のバリアフリーだけが整備されていない、そんな気がします。
 こんなこともあります。診察室に通訳士等がいない場合、患者が筆談が苦手である。理解がしにくい。例えば、医師が筆談で「胃が痛い」と問われたと。次に「どんなふうに」、そして「きりきり痛いの、ぎゅーっと痛いの」と問われても、音がわからない人にとって理解しにくい表現なのであります。
 平成21年10月、和歌山県が「病院における手話通訳の現状について」というアンケート調査をされました。過去1年間に手話通訳が必要になったことがある9病院から回答がありました。3病院では、患者が市町村のコミュニケーション事業を利用、また1つの病院では職員さんが対応していただいたそうです。それと、5つの病院では筆談で対応可能だったとあります。これは、お医者さんの考えだけで、果たして患者さんはどう思っていたのでしょうかと考えてしまいます。
 ところで、皆さん、デフリンピックは御存じでしょうか。デフリンピックとは、4年に一度、世界規模で行われる聴覚障害者のための国際総合競技大会であり、国際ろう者スポーツ委員会が主催する障害者スポーツにおける最初の国際競技大会であります。夏季大会と冬季大会があり、夏季大会は1924年にフランスで、冬季大会は1949年にオーストリアにおいて始まりました。設立当初は国際ろう者競技大会という名称でありましたが、1967年に世界ろう者競技大会に名称変更、さらに、IOCの承認を得て、2001年より現名称となっております。
 なお、国際オリンピック委員会がオリンピックという名称の使用を許可しているのは、デフリンピックのほかにパラリンピックとスペシャルオリンピックスであります。
 昨年9月5日より9月15日までの11日間、台北で開催されました。日本は、役員90名、選手154名の総勢244名が参加。実施競技20競技中12競技に出場。男子、女子、また個人、団体を合わせて金メダル5個、銀メダル6個、銅メダル9個で、計20個を獲得しました。和歌山県からも選手1名が参加されました。この方は、前回のオーストラリアでの大会でも選手として出場しております。その際には和歌山市が壮行式を行ったそうでありますが、台北大会の壮行式はなかったとのことであります。
 選手の出身県で壮行式を行ったところもあると聞いています。日本代表の方の壮行式がないというのは寂しい限りであります。今後このようなことがありましたら、ぜひお願いをしたいと思います。紹介だけしておきます。
 また、話は戻ります。
 県内では和歌山県立医科大学附属病院だけが入院患者に対しての対応が可能となりました。1カ所だけであります。せめて地域の拠点病院や総合病院などにこの制度を取り組んでいただけるように、和歌山県としてもさらに強く呼びかけていただけないでしょうか。
 特に大きな病院の受付での呼びかけを、番号表示等で呼び出しができる方法を各病院に取り入れるように県から呼びかけられないものでしょうか。そして、何よりも一番いいのは手話通訳士等が病院にいることであります。また、看護師が手話通訳ができることがいいのであります。県内の手話通訳士等の養成等について、どう和歌山県は取り組んでいくのか、福祉保健部長の答弁を求めます。
 次に、紀の川警察署の設置についてお尋ねいたします。
 4月8日の「毎日新聞」の和歌山版の記事であります。「押し入れの中にも3時間」、「岩出署捜査員、執念の張り込み」。「窃盗犯御用」と。「押し入れの中にも3時間──一人暮らしの高齢者を狙った連続窃盗犯を捕まえようと、岩出署の捜査員が被害者宅の押し入れに毎日3時間張り込み、6日目の6日夜、紀の川市の少年(16)を窃盗などの疑いで現行犯逮捕した。 容疑は、同日午後6時50分ごろ、同市の男性(83)方に侵入、862円入りの小銭入れを盗んだとされる。 同署によると、3月25日と同31日に財布や鍵の束を盗まれたと、男性が同署に相談。いずれも入浴中の被害だった。被害が少額のため『若者の犯行で再犯の可能性がある』とみて、若手捜査員5人が交代で、4月1日から犯行時間帯の午後5~8時、寝室の押し入れなどに身を潜め張り込んでいた。6日夜、少年が侵入し財布を抜き取る姿を、高さ90センチの押し入れの中で身をかがめていた捜査員が、1センチのふすまのすき間から確認、取り押さえた。調べに、少年は、『何回も(男性宅に)侵入した』と話しており、同署は余罪を調べる。 少年の姿を確認した巡査(27)はスキューバダイビングの講師から転身し、4月1日に同署に配属されたばかり。『日がたつにつれ不安になったが、捕まえるまで続けるつもりだった』と話している。男性は逮捕時入浴中で、後から聞かされて『よかった。ありがとう』と話していたという」と。
 このような記事がありました。岩出署の捜査員の執念の張り込みに感謝であります。
 私たちは報道を通してしか気づくことがないですが、紀の川市、岩出市の2市を管轄としている岩出署内だけでも、振り込め詐欺、強盗、ひき逃げ、交通事故、強制わいせつ、売春、窃盗、恐喝、傷害と、ここ半年の間でも朝刊の地方版で報道がされております。紀の川市、岩出市の刑法犯罪数、街頭犯罪数とも過去5年間はほぼ横ばいで推移し、また人身事故数についても、多少の増加は見られるものの、ほぼ横ばいであります。犯罪の多様化、凶悪化の中でこの状態でいられるのも、私たちのわからないところで市民、県民の安全・安心のために日夜活動してくれているおかげであると感じています。
 しかしながら、昨年の刑法犯認知件数を見ますと、紀の川市、岩出市の2市で2000件、海草郡、伊都郡、有田郡、日高郡、西牟婁郡、東牟婁郡の県内の郡部の総数が1903件と、それを上回る件数が確認されております。また、街頭犯罪についても、2市で1132件、6つの郡部では1025件と、これも上回っています。
 交通事故発生件数についても、発生比率は他の自治体に対して多い状態であります。紀の川市、岩出市は大阪、関西大都市圏に近く、都市化傾向であります。岩出署管轄人口は12万688人で、和歌山市を除けば一番多く、12万688人に警察署が1つであります。県内で少ないところであれば、2万3600人の人口に対して1つの警察署があります。約5倍であります。管轄面積を比較しましても、岩出署管轄のほうが広い状態であります。
 現在、県下には14の警察署があります。それぞれの管轄の人口、面積についてはばらつきがあるのが実情であります。地域的な要因もあると思いますが、当然、管轄内の人口にも配慮すべきであると考えます。
 警察署の設置基準については、警察法施行令に定められています。警察法施行令第5条第2項、「警察署の位置は、管轄区域内の住民の利用に最も便利であるように、他の官公署との連絡、交通、通信その他の事情を参しゃくして決定すること。」、また、第5条第3項、「警察署の管轄区域は、警察の任務を能率的に遂行することができるように、人口、他の官公署の管轄区域、交通、地理その他の事情を参しゃくして決定すること。」とされております。
 これらについて考えますと、紀の川市に1つ警察署があっても当然だと考えます。多くの紀の川市民の方々からも強く要望を受けております。岩出署の皆さんが本当に頑張っていただいているのは十分承知しています。さらに安心・安全な紀の川市民、また県民の生活のためにも紀の川警察署の設置を要望いたします。紀の川警察署の設置について警察本部長にお伺いをいたします。
 以上をお尋ねしまして、私の質問といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの岸本健君の質問に対する答弁を求めます。
 農林水産部長阪中栄一君。
  〔阪中栄一君、登壇〕
○農林水産部長(阪中栄一君) 農産物の品種登録と試験研究に関する御質問についてお答えいたします。
 産地競争が進む中、県のオリジナル品種の育成につきましては、他府県産との差別化を図り、有利販売を図る上で重要な取り組みであると考えてございます。
 このため、県では、新品種育成を試験研究の重要な柱の1つに位置づけ、ミカンや梅、イチゴ、花といった品種育成に重点的に取り組んできたところでございます。さらに、平成17年からは、本県の主要作物である果樹につきまして品種登録農業者支援制度を創設しまして、農家の方々が育成、発見した品種のうち将来性が見込まれるものにつきまして試験場が特性調査を実施し、本年度末までに温州みかんなどで3品種が品種登録に申請される予定となってございます。
 議員御質問の花木を初め、切り花や野菜につきましても、昨年度より品種登録農業者支援制度の適用について検討を進めてございまして、今後、早急に制度の拡大を図ってまいりたいと考えてございます。
 また、花木類に関する試験研究につきましては、現在、センリョウの優良系統の選抜と繁殖技術に関する研究、またコウヤマキの挿し木技術に関する研究に取り組んでいるところでございます。
 今後も、現場からのニーズに的確に対応した試験研究により一層取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 福祉保健部長西上邦雄君。
  〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) 聴覚に障害のある方の医療機関での対応についてお答えを申し上げます。
 聴覚に障害のある入院患者と医療機関が信頼関係を構築し、適切な医療を提供していく上で、手話通訳は意思疎通を図る有効な方法の1つであると認識をしております。
 手話通訳士等派遣制度につきましては、昨年7月、社団法人和歌山県病院協会が主催いたします事務長会議におきまして説明を行い、協力を求めたところでございます。
 また、聴覚に障害のある方が1人で外来に来られた際に円滑に受診できる仕組みづくりの検討につきましては、患者サービス向上の観点から、各病院においても種々検討されているところでございますが、手話通訳士等派遣制度の活用とあわせまして、あらゆる機会を通じて各病院に強く働きかけてまいりたいと、そのように考えてございます。
 次に、手話通訳士等の養成に係る県の取り組みについてお答えを申し上げます。
 県といたしましては、手話通訳士等の養成は大変重要であると考えてございまして、手話奉仕員養成講座及び手話通訳者養成講座の2種類の講座を社会福祉法人身体障害者連盟に委託をいたしまして、無料で年間約90回の講義を行い、定員115名の募集に対しまして毎回100名以上が受講されておられます。
 また、和歌山市で開催をしておりました手話通訳者養成講座を、本年度から県の手話通訳士が講師となりまして東牟婁振興局においても開催をしてございます。さらに、各振興局においても手話通訳のすそ野を広げるための手話講習会等も年間20回程度行っておりまして、1回に40名以上参加する地域もあり、これらの活動を通じまして今後とも手話通訳士等の養成に努めてまいりたいと、このように考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 警察本部長永松健次君。
  〔永松健次君、登壇〕
○警察本部長(永松健次君) 紀の川市への警察署の設置につきましてお答えいたします。
 岩出警察署管内の治安情勢につきましては、議員御指摘のとおり、犯罪、交通事故ともに和歌山市に次いで多発しておりまして、繁忙な警察署であります。
 このような状況を踏まえまして、県警察といたしましては、平成9年に約100名の署員数でありました岩出警察署を現在は約150名に増員をし、体制を強化しているところであります。
 岩出警察署におきましても、議員御紹介の窃盗事件の張り込み捜査に見られるように、署員一丸となりまして全力で治安維持に取り組んでいるところであります。地域住民の方々の御協力も得ながら、過去5年間の交通事故の発生をほぼ横ばいに抑止し、犯罪の発生を減少させるなどの成果を得ているところであります。
 こうした状況から、現段階では、議員から御要望の紀の川市に警察署を設置することにつきましては検討するには至っておりません。
 なお、県警察におきましては、県内各地域の治安情勢や重要課題等を勘案し、組織、人員につきまして不断の見直しを行っているところでありますが、警察署の新設につきましては、今後、人口動態や治安情勢等に大きな変化があれば、その時点で必要に応じて検討すべきものと考えております。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再質問を許します。
 17番岸本 健君。
○岸本 健君 3つ質問させていただいて、御答弁いただきましたけども、まず農産物の品種登録とか花木類の研究について。
 新品種の育成について、ミカン、梅、イチゴ、花、これら重点的に取り組んでいるということ、花木の研究についてもセンリョウやコウヤマキ、これもやってますよということでありました。しかし、ベニバナシャリンバイの際には、当時は品種登録に向けた支援の要望に対して全く適切な対応がされてないと。今は良好な関係ということでありますが。これから今後またそういう方が出てくるかもわかりません。そういうときに対して、やっぱりいいものをつくれば売れると。売れるということは、つくってる農家がもうかるということでありますから、和歌山県が潤うんであって、ですから、こういう品種登録農業者支援制度を、もちろん花木にも拡充していただきまして、今後は適切な対応をお願いをしたいと思います。
 もう1つ、手話通訳士等についてであります。
 このように派遣事業が早くされるというのは本当にありがたいなあと。すぐに対応していただけたというのは本当に感謝であります。しかし、やはりシステムというか、そういうものには不備もありますので、今後ますます改良していただいて、そしてまた、この制度を各病院に、特に拠点病院、総合病院、大きな病院に対して広げていただきたいと。それはもう県に強く要望をしていただきたいと思います。
 手話通訳士というのは県内でも本当に少ないし、この手話通訳士だけで御飯が食べていけるかというと、そうではない。ですから、皆さん、何か本業を持たれながら手話通訳のお手伝いをされているというのが実情です。まず数が少ないということ。和歌山県がこんなに熱心に取り組んでいるというのは、今回勉強させていただいて初めて知りました。すごく一生懸命取り組んでいただいてるのはすごくわかるんですけども、一人前になるには約10年かかるということでございます。ですから、すごく時間がかかりますので、もう常にこういう養成等をしっかりしていただいて、物になるように和歌山県も力を入れていただきたいと思います。
 以上、要望で終わります。
○副議長(坂本 登君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で岸本健君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 42番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 通告に従いまして、早速一般質問に入らせていただきます。
 まず最初に、普天間基地問題です。
 鳩山内閣が普天間基地問題や政治と金の問題などを理由に総辞職し、菅内閣が新たに発足いたしました。普天間基地返還問題は、決して沖縄県だけの問題ではなく、国と地方、日本の政治の大もとにかかわる性格を持ってきています。
 私自身も、4月25日に開催された沖縄県民大会に直接参加をし、大きな政治の流れを肌で感じてまいりました。県内に米軍の新基地建設はもう受け入れられない、基地のたらい回しはもうごめんだという点で、知事を初め県議会の全会派、全議員、全市町村長が一致をした歴史的な集会でした。
 これは大会の模様を伝えた「琉球新報」ですが、本当に感動的な大会でありました。(資料を示す)この県民大会では、仲井眞知事、また高嶺県議会議長らが「県民の訴えが1つになった」とあいさつをされました。普天間高校の高校生は、「厚さ6センチの窓。その窓いっぱいに見える飛行機の胴体。これが私たち普天間高校の日常の光景です」と語り始め、「授業中でもテスト中でも、容赦なくすべてを中断させる音、うるさいと叫んだこともあります。でも、入学から2年がたち、でもしょうがない、いつものことと思う自分がいたのです。この問題を仕方がないからと考えるのをやめてはいないか。私を含めて、いま一度多くの方に考えてほしい。私たち1人1人が変われば何かが変わる、そう信じて私はここに立っています。この基地問題は普天間だけでなく、沖縄県民だけでなく、日本国民すべての人が自分の問題として考えてほしい」と訴え、「未来は私たちの手の中に」と結びました。この普天間の異常な日常を正すことこそが日本の政治に求められているのです。
 鳩山首相の辞任を受けて誕生した菅内閣は、辺野古移設プラス訓練の県外再編という鳩山内閣の方針を継承するとしていて、問題は少しも解決をしていません。米軍の求める地元合意のとれる移設先は、沖縄県内にはありません。そして、日本のどこにもありません。普天間基地の米海兵隊の危険な実態を踏まえ、移設先探しではなく、普天間基地無条件撤去をアメリカ政府と交渉すること、このことこそが沖縄県民、国民の求める解決方向であると私は考えます。
 去る5月27日の全国知事会では、民主党政権から各県知事にこの問題での協力要請がされました。出席した知事からはいろんな発言があったようですが、知事会としても議論を重ねた上で、「普天間基地の移設及び沖縄県の負担軽減について」と、こういう声明が出されています。橋下大阪府知事が、この間、関空受け入れや関西受け入れをとたびたび発言していることもあり、地方としても、和歌山県としても今後の対応が注目されています。
 そこで、仁坂知事にお尋ねをいたします。
 政治家たる知事として、そしてまた、一方で県行政のトップたる知事として、普天間基地返還に向けての知事の所見と米軍基地・訓練の再編・移転に対する県としての今後の対応についてお考えをお示しください。
 2つ目には、教育問題として就学援助制度について質問をさせていただきます。
 貧困と格差の広がりの中、子供たちの生活する家庭の貧困や生活困窮が増加してきていることがこの間の教育現場の調査でも明らかになってきております。2月県議会での雑賀県議の質問でも詳しく紹介をされたところです。
 就学援助制度は、経済的困難を抱える家庭に対し、学用品費や修学旅行費、給食費などが支給をされる制度です。生活保護基準に準じた要保護と、各自治体がそれに準じて所得基準を設ける準要保護に分かれていて、これまで国が費用の2分の1を負担してきたわけですが、国の三位一体改革によって準要保護の財源が交付税化されてしまいました。市町村の財政負担の厳しさも相まって、各地で基準の切り下げや給付額の減額が起こっているのが全国的な状況です。
 深刻な問題は、このように制度の対象者がどんどん狭くされているのに、就学援助率も世帯数も逆に増加をしているという現状です。全国的には1997年の78万人から2006年の141万人へ、就学援助率では6.53%から13.57%と、それぞれ2倍になっています。和歌山県でも、5.68%から12.78%へと同様の傾向です。
 議場内に配付しております資料1をごらんください。(資料を示す)これは、就学援助率と県民所得の関係をグラフ化したもので、就学援助率が高い順から左から右に県名が並んでいます。30%近くに達している大阪府から5%のところまで随分差があるわけですが、一般的に考えて、県民所得の低い都道府県は援助率が高くて、県民所得の高いところは援助率が低いということになっていそうなものですが、このグラフをごらんになっていただくとわかるように、東京都などは県民所得がずば抜けているにもかかわらず就学援助率は3位となっていて、その後を見てもばらばらというように、就学援助率と県民所得は全く相関していないということがわかるグラフになっています。これは、制度の周知徹底や活用実態など、自治体の取り組みに明らかな差があるからだと考えます。
 この間、民主党政権が子ども手当や高校授業料無償化を進める中で、そのまた一方で、就学援助制度の改悪など、経済的弱者への支援策が縮小されたり、廃止が検討されたりという懸念があります。貧困と格差が広がっている今こそ就学援助制度の持つ意義が重要になってきていると考えますが、県教育委員会として就学援助制度の現状と必要性をどう認識しているのか、教育長より御答弁を願います。
 就学援助制度は憲法の生存権、教育権に基づく権利であり、必要な人にきちんと知らされ、活用されることが大事です。支給基準や内容については、市町村が実態に合わせて主体的に行い、それを国が義務教育を受ける権利としてきっちり支援するのが基本です。
 県内の市町村の就学援助の基準などを調べてみましたが、所得基準などの認定基準を公表していないというところが多くて、規則、要綱などにきちんと規定されていないところもまだ残されています。このことから見てもわかるように、この制度の周知広報の状況はとても十分とは言えず、また、広報されていても、お困りの方は御相談くださいという式の説明で、具体的に所得が幾らぐらいまでが対象になるとかが示されておらず、保護者からとってみれば我が家がその対象なのかどうかも見当がつかないと、そういう状態なんです。だから、申請してみようかどうか見当がつかない、こういうところが県内ほとんどです。
 こういった状況の改善のために、広報が十分されていないところは改めるとか、認定基準が明確に示されていないところはきちんと示すようにするとか、民生委員さんの署名が必要であったりするのを地域の実情に合わせて見直すことなど、さまざまな工夫や努力、改善が必要だと考えます。
 広く市民、町民に知らせたら申請がふえてしまって財政が大変と心配している市町村もあるようです。しかし、それではいけません。就学援助制度が市町村の制度ではあるものの、県教育委員会として子供たちの実態や市町村の悩みに思いを寄せ、市町村ごとの制度や実態をこれまで以上に把握すること、そして、保護者にとってわかりやすい制度となるように市町村を援助していくべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 以上2点について、教育長より答弁を願います。
 次に、森林・林業の再生に向けた県産材の活用について3点、農林水産部長にお尋ねをいたします。
 去る5月29日に、共産党県議団などの主催で、森林と林業の再生を考えるシンポジウムを田辺市龍神村で開催いたしました。パネラーには、県森林組合連合会や地元森林組合、製材業団体の代表の方、県行政など幅広い方々に御出席いただき、森林整備から加工、流通、木材の活用、消費まで、長い大きな目で森林・林業の再生に対する議論の場にしていただきました。シンポジウム当日の御議論を通して、また、この催しを準備し御案内する取り組みを通じて多くの森林・林業、製材関係の方々と意見交換し、御要望をお聞きしてまいりました。
 私は、さきの県議会で森林・林業政策の森林整備、主に川上側の質問をさせていただきましたが、今回はこのシンポジウムで出された御意見なども踏まえ、木材の利用拡大を中心とした川下側の質問をさせていただきたいと思います。
 まず、木材の利用促進の分野ですが、公共建築物に木材をもっと取り入れようとするその努力と取り組みをこの間続けてこられました。とても重要な取り組みです。ところが、供給側の現場のお話を伺いますと、公共事業の仕事は年度主義であることから、夏ごろに事業化されて設計にかかり、秋に発注されてから冬までにすぐ納品を求められる、これでは地元の材を伐採する時期や搬出、乾燥させるサイクルから見ても、段取りをして用意するのが間に合いません、かといって大量の在庫を抱えるわけにもいかない、そこら辺が仕組みとして何とかならないのかなどの御意見を数多くいただきました。
 今度の国会で公共建築物木材利用促進法が全会一致で成立をいたしました。国会審議を通じて、法案は努力義務だけでかけ声だとか、もっと数値目標や財政措置の裏づけを入れるべきだとか、公共建築だけでなく民間住宅への取り組みが重要だなど、与野党を超えて各党が熱い論議をして成立した法律だと聞いております。国としても、また地方自治体としても、この木材利用の大幅な拡大と予算措置が望まれております。和歌山県として、ことしから来年度に向けてどうこの法律を力にし、生かしていくのか。また、県としての県産材活用の支援制度をこれまでの延長線上でとらえるんではなく、制度拡充に向けて大きく動くべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 2点目に、加工・流通・出荷の分野である県内製材業への支援について伺います。
 今日、加工・流通をめぐる状況は、外材丸太の輸入の激減と北欧材製品輸入の増大という変化とともに、プレカット工法での住宅建設や、年間取扱量が10万立米単位という超大型製材工場による大規模流通への対応も迫られる一方で、地域流通をどうしていくのか、こういう課題もあると思います。製材・販売の出口を担う県内製材業への支援が急務であると考えます。
 議場に配付しております資料2をごらんください。(資料を示す)県外出荷量の全国第4位を誇っていた約10年前の1997年と、そして直近の2007年における県内の木材需給構造をそれぞれ図表化したものです。これを見ますと、97年のものの──左の上のほうにありますが、外材の入荷が、これ、84万6000立米もあったものが、07年を見ますと何とわずか19万8000立米と4分の1以下に、外材の輸入が激減をしているんですね。それに対して、国産材のほうは22万3000立米が17万1000立米ですから、減少しながらも頑張っているんですね。
 一昔前は、地元材をひく小さな製材所がどんどん淘汰をされてしまい、外材をひく大きな製材所しか残らなかったという時期があったわけです。しかし、この97年当時の製材工場は256工場とありますけれども、このうち外材を専門とか併用で扱っていた工場は151工場あったんですね。ところが、07年を見てみますと、和歌山県の製材は157工場、この中には外材を扱うところは実はもう69工場しか含まれていないという実態です。今、外材を製材してきた施設に国産材対応に向けたシフトが求められたり、国産材の製材工場を初め県内の製材所の能力向上、これが求められている時期なのです。
 40年から50年育った森林が主流となり、日本は年間の木材成長量が年間木材消費量に匹敵をし、現在2割台である木材自給率を飛躍的に上げる条件は整っています。この木材を山から出してこようとしても、川下の産業の力が疲弊したままではいけません。輸入材中心の加工・流通体制を国産材中心の生産・加工・流通体制に改革し、林業経営が成り立つ条件を実現することが大切です。県産材の増産を目指す上でも、施設の高度化や国産材設備への転換などに一層の支援を求めるものですが、いかがでしょうか。
 3点目に、木材単価の下支えについてお伺いをいたします。
 国産材は外材よりも高い、安く家を建てるには外材を使っても仕方がないという意識が消費者の中にありました。ところが、この間の材価の低迷に経済環境の悪化も伴って、現在は外材よりも国産材のほうが安いという逆転現象が起こっています。川上側からも川下側からも材価の安定と回復を求める声が数多く出されました。
 シンポでは、国産材の製材関係者から、あかね材の活用の取り組みが報告されました。スギノアカネトラカミキリによる模様が残る食痕材は、見た目の美しさに欠けるというだけで敬遠されてきましたが、あかね材とネーミングして、強度等に問題がなく、粘りのある優良材として活用を進めておられます。これらの努力にも一層の支援が求められます。
 また、木質パウダーによるボイラーの実用化が始まっています。木質パウダーやチップが県内農業の果樹や野菜のハウスの栽培の燃料として重油に置きかわって普及していくならば、はかり知れない経済効果と、また和歌山のブランド力アップにつながるものと期待しております。
 こうした木材活用の骨格も、そしてすそ野も広げていきながら、国産材がきちんと評価をされる木材市場全体の底上げを図ることが重要だと思っています。そして、再生産と手入れができる価格にすることがどうしても必要です。
 森林・林業にかかわる全体を通じて、50年、100年単位で森を育てる仕事にしっかりとした見通しが立てられる国の政策、そして県の政策が求められていると痛感しています。木を切り出しても採算がとれない状況を改善し、再造林や間伐材搬出ができる材価となるように、材価の下支えにどう取り組んでいくのか、県としての考えをお示しいただきいと思います。
 最後に、県立射撃場計画中止についてお伺いをいたします。
 昨年9月の県議会で補正予算化されました湯浅町山田山への県立射撃場建設計画が、さきの5月17日の農林水産委員会において計画を断念するとの報告がされました。当局からの説明では、事業費や工期の増加、新たな用地確保が必要などの諸問題が浮上し、年度内完成が見込めなくなったということでした。億単位の事業を補正予算化しながら、わずか半年で執行を断念するという、県政史上でも異例の結果となりました。
 私は、補正予算が提案された9月県議会の一般質問で、知事が示してこられた射撃場建設の4条件を初めとする前提条件は、これはクリアされていないと指摘をし、拙速な予算化に当たっては反対をいたしました。
 今回の計画中止は、計画が進行する中で不測の事態によってやむなく中止したという性格のものではありません。また、チャレンジしたが目標達成できなかったと、こういうものでもありません。まさに肝心かなめの前提条件が崩れたという結果だと指摘せざるを得ないと思うんですね。県の計画、予算としては大変熟度の低いものでしかなかったと指摘をするものです。
 国体に向けた射撃場建設を求める声もあり、国の鳥獣被害対策が景気対策の補正予算として急遽予算化されたという複雑な状況のもとではありましたが、それらを総合的に判断をして最終的にゴーサインを出したのは知事の判断です。予算規模や運営見通しなど、当初から見込みの甘い計画だと批判を受けたものがとうとう予算執行できなかったことを知事としてどう総括しているのか、御答弁を願います。
 また、2点目に、山田山の計画用地の今後の利活用については、豊かな自然環境を保全、活用する形を望む声や、また、雇用や地域の活性化につながる活用をと求める声も出されております。今後のことについては、湯浅町としても地元山田区や町民とよく相談してじっくり検討していく方向だと聞いております。県としては、このたびの経過も踏まえ、今後とも鳥獣害対策の一層の推進とともに、計画用地の利活用については湯浅町と連携をして、協力できるところは積極的に支援、協力していくように求めるものですが、今後の対応について知事の御答弁を願います。
 以上で、第1回目の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 普天間基地問題についての御質問でございますけれども、そもそも普天間基地の移設、訓練の分散という問題は、日本の安全保障にかかわる問題であります。もっと端的に申し上げますと、どこの国と仲よくして、どこの国と防衛をともにするか、とすればどの国に対して備えをすることになるのか、あるいは、ということであるとどこにどういう備えをするのか、そういうような問題であり、これは国が国民に直接働きかけて解を出さなければいけない、そういうことでございます。私も一国民でありますので、自分の意見はありますけれども、この問題は、和歌山県でいうと100万人の県民が1人1人考えないといけない問題であろうかと思います。
 私は、県知事という立場でありますので、ある意味では県の代表としていろんなことを言わないといけないということであります。しかし、こういう問題について代表してよいのかということについては、いつもその問題ごとに自問をしております。時には抑制的に行動していきたいと考えております。
 しかしながら、一言申し上げるならば、これは、国の問題として現政権が辺野古への移設を米国と合意したということは、日本全体、アジア全体の安全のために引き続き沖縄県の皆さんに多大な負担をおかけするということになるわけであります。沖縄の方々の気持ちを考えると、私としてはただただ沖縄の県民の皆さんに頭を下げなきゃならないというふうに考えております。
 次に、県立射撃場問題でございます。
 これにつきましては、議員御指摘のように、射撃場整備の前提条件としては、国からの補助金の活用、地元市町村の応分の負担、市町村による住民同意の取りつけ、運営主体の存在の4つの条件が整う必要があると申しておりまして、これは昨年の9月議会から申し上げてまいりました。その上で、これは可能性があると考えましてチャレンジをしてみようと。チャレンジをしたけれどもといって、本当にチャレンジをしてみようということで御提案をさせていただいて、そのためには予算化が要りますので、これをお願いしたわけでございます。
 こうした中、いろいろやってみますと、必要となる用地の増加などが起こりました。それから、短期間で解決に至らない問題が幾つか生じまして、国庫補助金の活用条件でありますところの平成22年度内の施設完成がこれは満たせないということになりました。そういうことで、これは苦渋の決断で断念することといたした次第でございます。
 鳥獣害対策につきましては、その強化が必要でございますから、この案にかわる対策を用意しなきゃいけないと私は考えておりまして、より一層積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 当該地域の今後につきましては、基本的には地元町でよく議論をしてもらう問題であると考えております。
○副議長(坂本 登君) 農林水産部長阪中栄一君。
  〔阪中栄一君、登壇〕
○農林水産部長(阪中栄一君) 森林・林業の再生に向けました県産材の活用についての御質問につきまして、一括して答弁させていただきます。
 森林・林業の再生に向けましては、川上での森林整備の推進などとともに、川下での加工・流通体制の整備や県産材の需要拡大が重要でありますことから、紀州材生産販売プランにおける6万立米増の増産に対応した紀州材の加工体制の整備のため、これまで林業・木材産業改善資金等の融資制度を中心に支援をしてきたところでございます。また、昨年度からは国の補正予算事業を活用し、製材施設や加工施設などの紀州材加工施設の近代化等に対し支援を行っているところでございます。
 一方、木材の利用促進につきましては、大都市圏等への販路拡大対策とともに、県内の公共建築物等への利用拡大に向けまして、木の国プロジェクト推進会議を平成9年に発足し、また、平成15年には木材の利用推進に関する指針を定め、公共建築、公共土木工事等への紀州材利用を推進しているところでございます。
 今回、公共建築物等への木材利用に関する国や地方公共団体への責務などが規定されました公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律が制定されましたことから、先日、建築物の木造化に係る支援措置について政府提案を行ったところでございます。
 今後、県といたしましては、国の動向を踏まえ、関係部局との連携を図りながら、法に定められた木材の利用の促進に関する方針を策定し、これまでの取り組みをさらに強化するとともに、市町村に対しましても公共建築物等への木材利用を促してまいりたいと考えてございます。
 いずれにいたしましても、森林・林業の再生に向けては木材価格の安定と利用拡大が重要であることから、加工・流通体制の整備と利用拡大対策を総合的に推進し、引き続き紀州材の振興に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○副議長(坂本 登君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 就学援助制度についてお答えいたします。
 市町村の実施する就学援助制度は、生活保護法に規定いたします要保護者と市町村がそれに準ずると認める準要保護者を対象として、小中学校に就学する児童生徒の学用品費や給食費、医療費等を援助するものでございます。要保護者の援助には国庫補助がありますが、準要保護者につきましては市町村単独事業として実施されております。
 本県の就学援助率は、平成20年度時点で13.3%であり、全国的な状況と同様に増加傾向にございます。これは、昨今の経済状況の悪化により就学援助を必要とする児童生徒が増加してることのあらわれと考えておりまして、就学援助制度の必要性が高まっていると考えております。
 就学援助制度の援助対象者の認定、給付額等につきましては、就学援助の必要性を十分に踏まえた上で、それぞれの市町村が実情に応じ決定していくものと考えておりますが、県といたしましても、教育の機会均等の確保という制度の趣旨にかんがみまして、市町村において就学援助制度を円滑に活用できるよう助言してまいります。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再質問を許します。
 42番松坂英樹君。
○松坂英樹君 それぞれ御答弁をいただきました。
 普天間基地問題では、知事に対して政治家としての姿勢も問うたわけですが、安全保障のことは国のやることだということで、知事としての意見は控えてるんだというお話でありましたが、ところが、米国との合意を鳩山政権、そして新内閣が引き継いだということについて、沖縄に多大な負担をかけると、頭を下げると、こう言いながら、これを肯定する立場を表明されました。基地の固定化に対してどうあるべきかと、今政治はどうすべきかという考えを示されなかったことは大変残念であります。
 沖縄県民の世論調査では、無条件撤去、国内移設を求める声が7割から8割を占めていて、これは圧倒的な県民世論です。日米安保の抑止力という言葉で政治がとまってはいけませんし、日米安保の抑止力を肯定する方々も含めて、今基地撤去のかわりに新基地を求められることはもうやめにしようと、このことが一致をされているわけで、この方向にこそ解決の道があり、アメリカ政府に対しても正面から話し合うことが政治に求められていることだということを指摘しておきたいというふうに思います。
 それから、就学支援制度についてですけれども、教育長からは、今の状況を経済状況の悪化ととらえて、教育の機会均等という点を踏まえて市町村に助言していくという答弁がありました。これ、非常に大切な点を御答弁いただいたと思ってます。所得基準が公表されていないなど、この制度の徹底ができていないことにより活用に差がついてしまってはいけないわけであり、どの自治体に住んでいても制度がしっかりと機能し、生かされるべきだと思います。これまで以上に制度の状況や実態をつかんで、県民にあまねくわかりやすく周知徹底できるよう、指導・援助していただくよう重ねて要望をしておきたいと思います。
 県立射撃場計画中止の件ですが、知事からは断念した経過が述べられました。私は、今後の県政運営のためにも、今回のこの予算づけのあり方、県行政のあり方を問い直し、重く受けとめていただくよう強く求めておくものです。
 それで、地元の跡地利用の関係ですが、そこでちょっと知事に再質問をさしていただきます。
 地元では、計画中止はわかったから、了解したから、後をどうしていくのかがこれからの課題やなということになっております。知事の跡地活用の答弁は、今後のことは基本的には地元の問題であると、意外にあっさりとした答弁でありました。山田山は、もともと区の山であって、今は町有林になっています。町によるゴルフ場開発が乱開発としてストップ、そして今度は県による射撃場計画が持ち上がり、これも頓挫をした。山田山は町や県に翻弄されてきたという側面もあるわけで、これらの経過を踏まえ、そしてこの経過を踏まえた上で、地元のために県も町も力を合わせていく、協力できるところは協力していくというのは、別に特別に何を求めているんではなくて、当たり前の話だと思うんですが、そこら辺、もう一度知事のほうから答弁をお願いしたいと思います。
 以上です。
○副議長(坂本 登君) 再質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 再質問に対する答弁でございますが、ちょっと一言だけ。原案を肯定されたのは国の現政権でありまして、私では別にございませんので、ちょっと一言だけ申し上げておきます。
 それから、山田山につきましては、この山田山に限らず、和歌山県にあるすべての地域、すべての住民の地域のこと、あるいは住民の幸せのこと、それはもちろん私ども考えないといけません。したがいまして、湯浅町、あるいは住民の方々、そういう方々とよく話をして、いろんな要望があったら真摯に対応しなきゃいけない。これは議員御指摘のように当然のことでございます。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 以上で、松坂英樹君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時14分散会

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