平成22年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(中村裕一議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前10時0分開議
○副議長(坂本 登君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第16号まで、議案第31号から議案第46号まで、議案第48号から議案第59号まで及び議案第61号から議案第83号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 32番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 おはようございます。
 通告に従い、順次一般質問を行ってまいりたいと思います。
 まず1番目に、民主党の道路政策について伺いたいと思います。
 昨年11月12日の夜、御坊市内の国道42号で、下校途中の高校生が横断中に後ろから来た軽乗用車にはねられるという痛ましい事故がありました。自転車は自動車の運転席前部に衝突し、高校生は自転車もろとも20メートルはね飛ばされ、国道に転倒しました。自転車は国道沿いの河川に落下していました。通報を受けた市消防救急隊が高校生を市内の病院に搬送しましたが、頭を強く打っており、意識不明の重体で安否が気遣われていました。しかし、その後、懸命の治療のかいもなく、亡くなりました。わずか18年の短い生涯でありました。
 現場は、信号機のない交差点で、歩道は西側にしか設置されていません。同所を毎日200人近い高校生が通学しておりますが、登下校時に必ず国道を横断しなければなりません。しかも、自歩道になっていませんから、交通量の多い車道を通っています。事故が起こるのも無理はない危険箇所であります。付近では、12月にも自転車を押して横断中の男性が軽自動車にはねられる重傷事故がありました。
 そこで、2月18日、国土交通省近畿整備局紀南河川国道事務所を御坊市、地元区長とともに私も訪問し、両側への自歩道設置をお願いしてまいりました。当然、安藤所長も事故のことは御存じで、すぐにできる対策として、横断歩道と道路照明を設置するべく、公安委員会と協議中であることを教えてくれました。しかし、肝心の歩道設置については、国の平成22年度予算方針で新規採択はないとのことでありました。鳩山総理や民主党の言うコンクリートから人へとは、こんなことかとがっかりした次第であります。果たして国民は、こんなことを期待して政権交代を選択したのでしょうか。
 民主党は、政官業の癒着を打破するため、政策決定過程を透明化して政治主導で公平に決定すると言ってきましたが、事業仕分けは財務省主導の国民の目をくらますデモンストレーションであったことが判明し、実際の予算はほとんど密室で決定され、小沢幹事長にひれ伏したところだけがおこぼれにあずかるという、前近代的な憲法違反の陳情制度をつくっています。
 1月27日に、高速道路紀南延長促進の要望のため上京した市町長に民主党の玉置代議士は、「我が党は道路はやらないとは言っていない。優先順位を見きわめて検討したい」と話したことが報道されています。しかし、さきに公表された平成22年度予算の公共事業の箇所づけでは、全国で大阪と和歌山だけが増額されていないことが明らかになりました。大阪は要望さえしていないのですから仕方がないとしても、和歌山からは全国平均並みの6件も要望しているのに増額なしということは一体どういうことでしょうか。自民党が優勢な本県への当てつけなのか、陳情の仕方が悪かったのか、本県要望箇所の優先順位が全国に比べて低いのか、民主党の国会議員が仕事をしなかったのか、理由がわかりません。
 民主党政権は、発足直後、御坊─南紀田辺間の4車線化を、選挙目当ての決定で事前に業者を談合で決めていたかのようなことを理由に事業停止しました。昨年10月に、御坊─南紀田辺間4車線化復活のため上京した知事や市町村長、県議会の呼びかけに県選出の民主党3代議士は姿を見せず、わざわざお金を使って上京して陳情する必要はないと言われました。その後、各選挙区で地域戦略会議という陳情集会が開催され、高速道路等の要望もあったと聞きますが、結局4車線化は減額措置され、消滅してしまいました。一連の発言は、一体何だったのでしょうか。御坊─有田間の渋滞が休日だけでなく平日の夕方でさえも起きるのを見るにつけ、詭弁で国民を愚弄することは公党のすることではなく、政治家として恥ずかしくないのかと思います。
 ガソリン税暫定税率を実質的にとり続け、道路に使わずにどこへ使ってしまったのでしょうか。鳩山政権のスローガン政治の限界に国民もやっと気がついてきましたが、知事は民主党の道路政策についてどのような感想をお持ちでしょうか。
 次に、行財政改革の効果について伺います。
 県立医科大学では、平成14年度から19年度までの6年間に、国から交付された研究補助金など1億3000万円の不適正支出があり、去る2月25日、関係者51人のうち在職する35人が処分されました。それに先立つ1月12日、医科大学の理事長兼学長選挙が行われ、不適正支出に責任のある幹部が立候補し、教職員の投票の結果、最も不適正支出が多かった医学部長が当選しました。その直後、知事は立候補者全員が不適格であるとして選挙のやり直しを暗に求めました。しかし、最終的には、知事も今後の改善を条件に選挙結果を受け入れたのであります。
 今回の事件の特徴は、県でも以前あった不適正支出がいまだに行われていたこと、最高責任者を決める選挙の立候補者が全員不適正支出に関して重大な責任のある人だったこと、知事の任命権が空洞化しているということであります。また医科大学では、これまでも入札で効率を追求する余り、県民から大きな反発を買うことがありました。一般ごみに混入した注射針が作業員に刺さる事件が2度もありました。
 かつて、法人化の議決に際し、県議会にバラ色の展望が示されましたが、現実はそのとおりになっているのでしょうか。例えば、運営交付金を毎年1%ずつ減額するとの説明がありましたが、県費が軽減された印象はなく、100年後も負担がなくなりません。逆に県との関係は、議会に出る必要がなくなり、法的裏づけのある知事の任命権さえも機能しませんでした。つまり、金は取るけど言うことは聞かんということであります。
 さらに、自主的運営といっても、一連の出来事のように、その基準が県民の常識からずれているとすれば、果たして法人化は有効だったのでしょうか。貧乏な和歌山県が医科大学を経営するのは大変ですから、経費はなるべく安いほうがいいわけであります。しかし、安くなったからといって言うことを聞いてくれないのでは意味がありません。県民は、多少負担してでも自分たちの言うことを聞いてくれる、役に立つ大学であってほしいと思っています。法人化は、県民の役に立つ決定だったのでしょうか。そもそも法人化の制度自体有効だったのでしょうか。
 さて、私の記憶では、同じ時期に指定管理者制度というものも導入されました。昨年の春、持続可能な県政運営のため、広く県民も巻き込んだ激論の末、新行革プランの実施方針を決定しました。その議論の中で、当初の事務局案では廃止対象だったものが、意見や要望の結果、残ったものがあります。その中に、指定管理者制度により運営する施設も幾つかありました。
 そもそも県が直接行っていた業務を行財政改革という美名のもとに指定管理者に委託したものの、業務の必要性がなくなったとき、直営の場合は直ちに組織を廃止して職員を異動させれば終わりですが、指定管理者の場合は、みずから生き残るため業務を拡大し、生き残りをかけた政治的運動を行います。
 例えば、県NPOサポートセンターは、NPO法人わかやまNPOセンターが指定管理者となり、県内のNPOの設立支援を行ってきましたが、県内のNPO設立ラッシュが一段落ついたことから廃止の対象となっていました。しかし、あらゆる手だてを通じた存続運動の結果、存続が決定しました。議会の特別委員会で調査に訪れたとき、存続を要望する利用者の代表の主張は、NPOセンターの仕事は、メンバーが変わらず親切にしてくれるというものでした。それは、NPO設立支援の必要性というよりも、役所へのアレルギーで、日ごろ異動を繰り返し、大した知識もないのに偉そうに指導する姿勢に辟易としているのです。
 同時に、そこには雇用も生まれ、指定管理は簡単にやめられないという印象を持ちました。指定管理者制度のもとでは、一度指定されれば3年から5年程度で更新の入札が行われるものの、ほぼ永続的に指定が続き、やめたくてもやめさせてもらえない反行革性があります。
 関連して、このたび同センターの元役員が次期参議院選挙に立候補されると表明されましたが、幾ら退職したとしても、その地位を利用してあいさつ状を送付するのはいかがなものでしょうか。
 かつて、バブル経済のころ、民間活力を利用して事業を行う第三セクターがもてはやされました。しかし、成功したところはほとんどなく、むしろ関西空港を初め後世の大きな課題となっています。新しい制度がいつも成功するとは限らないのであります。医科大学の法人化、さらには指定管理者制度が本当に行財政改革につながるものか心配するものでありますが、知事の御所見を伺います。
 3番目に、防災対策について伺います。
 2月27日、南米チリ沖を震源とするマグニチュード8.8を記録する巨大地震が発生しました。たび重なる地震を経験し、対策が進んでいる同国でも強い揺れと津波により甚大な被害が出ており、心からお見舞いを申し上げます。
 この地震による津波は、翌日の昼過ぎ、日本にも到達しましたが、幸い大きな被害はありませんでした。当日は、日曜日にもかかわらず早朝に気象庁が津波警報を発令したことから、政府、関係都道府県、市町村では急遽対策会議を招集し、危険地域の住民に避難指示等を出し、海岸線からの退避を呼びかけました。
 今回の津波では、当初、平成16年の紀伊半島沖地震の教訓が生かされ、到達時間、規模が予想されるなど、時間的に余裕があったためか、テレビではライブで各地のいろいろな映像や情報が刻々と提供され、対策が整然と進んでいる様子に大いに安心した次第であります。しかしながら、避難指示や勧告に対し、実際に避難した住民が全国的に少なかったことが、その後、判明しました。
 NHKでは、昭和のチリ津波で大きな被害を受け、今回も3メートルの大津波警報が出された釜石市の様子が放送されました。同市では、避難した人が最大で第1波到着予想時間の午後2時半ごろにわずか6%しかいなかったことが報告されています。さらに、第1波が予想より小さい30センチであったことから、より大きな波高が警戒される第2波、第3波のころには半数が帰り、第5波が到着したころはもうみんな帰ってしまっていたそうです。また、避難しなかった人は、地震動が伴わなかったことから、本当に津波が来るとは思わなかったとか、前回の津波の襲来時は直前に海面が低下したので今回も低下したら逃げようと思っていたなど、およそ科学的ではない理由を挙げ、避難の難しさが浮き彫りになりました。
 果たして、本県ではどうだったのでしょうか。課題等も含め、御報告を下さい。
 さて、私は昨年9月定例会で、企業のBCP、いわゆる事業継続プランの普及について要望しましたが、今回は自治体のBCPについて伺いたいと思います。
 現在、県においてもプラン策定中と伺っておりますが、どの程度進捗しているのでしょうか。また、県内市町村の策定状況についてもお答えください。
 次に、御坊市内の津波対策について伺います。
 現在、日高港では、平成21年度の景気対策により、計画どおりの水深12メートル化のしゅんせつ工事が行われております。そのしゅんせつ土は、わざわざ費用をかけてよそで処理するより、港湾緑地に盛り土して津波・高潮対策にすべしとの地元要望を受け、目下協議中であります。また、日高港のある北塩屋地区では、国道42号線のパラペットの強度についても国土交通省にて調査中であります。
 しかし、肝心の市街地に隣接する旧日高港のある西川河口については、津波対策はほとんど行われておらず、今回のチリ地震では被害はなかったものの、湾内深部の河口付近では津波の波高が高くなり、被害が大きくなることが指摘されています。西川河口については、既に下川大和樋門の遠隔操作化が行われましたが、美浜町並びに御坊市自治連合会からは、河口堰と河川改修の要望が出されています。県としてどのような対策をお考えでしょうか。
 さて、今回の津波では津波が河川を遡上する映像が報道され、河川は、洪水時だけではなく、津波対策としても大切な機能を果たすことが改めてわかりました。日高地方の母なる川、日高川も、歴史的に南海道地震の津波を吸収し、御坊のまちの被害を軽減してきたことでありましょう。現在、その日高川の堤防の強度調査が行われていると聞きますが、その状況を御報告願います。
 また、市内古森地区には霞堤があり、洪水を下流に流すため、そこだけ堤防を低くしています。しかし、霞堤は水害には有効でも、津波襲来時には逆流するのではないかと住民が心配しています。そもそも、椿山ダムが完成し、河床が低下し、川幅が拡幅され、洪水の危険が薄れたと言うなら、ここだけ低くしておく必要はありません。安心・安全のため、ぜひ堤防の整備をお願いするものでありますが、どのような御所見をお持ちでしょうか。
 4番目に、海洋立県を目指して伺いたいと思います。
 先般、同僚の議員とともに、佐賀大学海洋エネルギー研究センター伊万里サテライトを訪問してきました。同サテライトでは、海の表層と深層の温度差を利用して発電する海洋温度差発電のプラントを設置し、その効率化や発電のためくみ上げた海水の淡水化、リチウムの回収等を研究しています。海洋温度差発電は、大規模な火力発電所の代替にはなりませんが、世界じゅうどの海でも安定した発電ができる自然エネルギーで、同時に淡水化もできる複合的なシステムとして、インドを初め多くの海洋国家でプラント建設やプラントを積み込んだ船の建造が始まっています。
 私たち和歌山県では、これまで半島性からの脱却を図ろうと死に物狂いで頑張ってきました。しかし、なかなか容易ではありませんでした。海洋センター訪問をきっかけに、今度はむしろ逆に海に囲まれた半島性を生かした振興策を図ればよいとの考えに至りました。
 幸い、本県には六百数十キロにも及ぶ海岸線があります。しかも、本県の県域である海、すなわち県海とでも言うべき海域は、排他的経済水域まで含めると、とてつもなく広いものであります。悠久の地球の営みは地震や台風のような試練をもたらしますが、実は我々は、地球の大きな恵みにも生かされております。今後、陸上では立地が困難な風力発電も海上立地が研究されています。また、国内消費100年分と言われるメタンハイドレートや熱水鋼床など、海底の資源にも恵まれています。
 海洋開発は、国において海洋基本法がようやく平成19年に施行され、緒についたばかりでありますが、海のない県ではとても取り組めません。県土の半分以上が海に面する本県こそが、長期的視野に立って、これから力を入れていくべきだと思いますが、知事の御所見を伺うものであります。
 5番目に、白浜空港の利用促進について伺います。
 まさかとも言うべき日本航空の破綻により、我が和歌山県唯一の空港の唯一の路線の存続を心配しておりましたが、多くの関係者の御努力により存続が決定したことを率直に喜びたいと思います。かつて、関空の増便要望のため本社を訪問した県議会の先輩たちが、ビルの立派さを非難し、同行した人たちを慌てさせたことがありました。皮肉にもその指摘が当たり、親方日の丸式の経営は独占企業でも命取りになることが証明されました。
 今回、地方空港の存廃をかけて、各県知事が存続要望のため本社に押しかけたものの、けんもほろろに断られたことが報道されました。その意味で、本当に奇跡的に首の皮1枚がつながった東京便であります。
 早速、知事は、着陸料の値下げを表明され、平成22年度予算にも盛り込まれました。ちょうど白浜空港の滑走路改修も始まりました。これを他山の石として、どんな支援策にもまさる空港の利用促進を県民挙げて取り組もうではありませんか。
 そこで、何点か提案を申し上げ、御所見と今後の振興策について伺います。
 まず、特割3についてであります。
 これは、御承知のように、搭乗3日前までに運賃を支払えば割引するというもので、事前に利用予定のある人は割引されるので、お得な感じがします。しかし、多くの観光客は、割引以前にパック旅行などの割引対象者であり、特割を利用すべきビジネス客にとって、3日も前から確定しておくのは実は不便で、関空─羽田便の正規料金より多少安いだけでは結局関空へ逃げてしまって、決して利用促進にはなっていないという指摘があります。ぜひ一度検証していただきたいと思います。
 次に、多様な運航形態について伺います。
 ふだん県民が行くと──北海道へ行くときは関空を利用しますが、実は白浜からでも羽田を経由していけば行けないことはありません。ただ、時間もかかり、運賃も高くつくことから、現実に利用する人はいません。しかし、時間は多少かかっても、もし運賃が関空と変わらないものであれば、利用客がいるのではないでしょうか。北海道からも観光客が呼べますし、同様に他の東日本へも需要が喚起できるのではないでしょうか。タイミングは決してよくありませんが、値下げをしてこそ本当の需要が喚起できると考えますが、御所見を伺います。
 また、九州発四国、白浜経由羽田便なども考えられますが、いかがでしょうか。
 2番目に、空港の経営についてであります。
 欧米では、空港や港湾を一体的に所有、管理するポートオーソリティーという組織があります。単に施設だけを管理するのではなく、区域内のレストランやショッピングセンター、レンタカーなどの経営まで手がけ、その利益でポートセールスを行うそうです。もともと空港など、社会資本だから金もうけする必要がないと言われればそこまでですが、着陸料以外もうかることはすべて民間にやらせておいて、空港振興はすべて税金でやる。やる予算があるうちはいいですが、ないと何もしない、できないではじり貧になると思います。まさに今がその状態ではないでしょうか。
 最近、「産経新聞」では、混迷する地方空港についての特集が組まれ、料金設定により搭乗率を向上させ、空港自体への集客に成功した石川県能登空港の例が紹介されていました。御親切にも記事には、猿まねではうまくいかないことも報告されていましたが、いいことはどんどんお手本にすべきであります。ぜひ白浜空港も、空港経営という観点も採用して空港振興に取り組むべきでありますが、御所見を伺います。
 最後に、日高港の振興について伺います。
 昨年5月、日高港が植物防疫港に指定された記念すべき第1便の木材輸送船が、前日に突然キャンセルされるという事態が起きました。原因は、荷主と振興局との間のあつれきでした。指定に際し、地元から熱心な要望を受け、二階代議士の応援もあり、県当局のお骨折りのおかげだっただけに、まことに残念でありました。
 改めて不調の理由を冷静に考えてみますと、まず日高港には港湾運送業者がいないことが挙げられます。そのため、荷主が荷役はもちろん、役所の許可や使用料の支払い等付随する事務も自分で行わなければなりません。これがかなりの負担になります。さらに、専用の機材が十分でないため、効率のよい作業もできません。そんな状況ながら、港湾振興に役立つよう日高港を利用してくれていた地元木材業者に対し、県の港湾管理当局が木で鼻をくくった対応をしてきたことが原因であります。結局、この企業は、現在、岸和田港からトラックで木材を御坊市内の製材に入荷していますが、こんなことをしていては、とても日高港の振興を図れません。
 そこで、以下、提案と質問をいたします。
 まず、港湾運送業者を育成することが必要と思いますが、どのような御所見か。その際、必要な機材を貸し付けることも必要ではないでしょうか。和歌山下津港のガントリークレーン同様、港湾振興に資する機材であると思います。
 次に、港湾使用料についても、経済の実態や競争力強化の観点に立った見直しが必要ではないでしょうか。具体的には、白浜空港の着陸料減免同様に、瀬戸内海や大阪湾諸港に負けない使用料に見直すことや、荷さばき地の使用料の計算も、現地に職員が出向くような原始的な方法はやめて、伝票による計算や各種手続の電子申請に改善すべきであります。
 さらに、お客様は神様とまでは言わないにしても、せめて利用者に対して使わせてやってるというような態度は改めるべきです。今回のような不調が起きるのは、港湾の利用促進を担当するところと管理するところが別の部署だからで、港湾振興の観点から利用促進担当部局と管理担当部局の一元化を図るべきであると考えます。
 以上3点について御答弁をお願い申し上げます。
 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、道路問題についてでございます。
 来年度の政府予算案では、道路関係予算が大幅に削減されるとともに、新規採択は行わないとされまして、また先日、近畿地方整備局から示された平成22年度の実施を見込んでいる直轄事業では、県内の直轄事業が期待していた金額からほど遠く、大変残念に思っております。さらに、近畿自動車道紀勢線御坊─南紀田辺間の4車線化事業についても、執行が凍結された状態から、1月末にはとうとう今年度の予算自体が取り消されまして、大変遺憾であります。ここは、2車線路線では西日本最悪の渋滞となってるところでありまして、ぜひ早期に再開を期待したいと考えております。
 高速道路を初めとした道路整備は、これまで都市部から優先的に進められ、本県は取り残されてきております。都市部に先を譲り、やっとこれからという地方の道路整備をやめてしまうというようなことはアンフェアであると思います。これは、正義に反するんではないかと言って知事会のときに鳩山総理に申し上げました。鳩山総理からは、私も正義感はあるという御答弁をいただきましたので、ぜひ今後期待したいというふうに考えております。
 また、本県のように未整備箇所を多く抱える地域では、今後もこれまで同様、必要な箇所から逐次新規事業も採択していただかねばならないと考えているところでございます。
 今後とも、こうしたことを粘り強く訴え、高速道路を初め、本県に不可欠な道路整備が着実に進められるよう働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、医大の問題であります。
 医大の独法化につきましては、大学みずからの権限と責任において、自主的、自律的な運営を行わせるということを目的に、地方独立行政法人法に基づきまして平成18年度に法人化したところであります。これは、あくまで県立大学として県民の税金で運営されるものでありまして、大学運営の大きな方針、方向は県の政策に沿って行われるべきものだと考えております。
 しかしながら、法人化後における昨今の一連の出来事から大学改革の必要性を痛感しているところでありまして、今後、法人と協議をしながら、県民に信頼され、期待される医科大学となるよう大学改革を促してまいります。
 次に、指定管理者制度につきましては、民間活力の導入を目的に、平成15年の地方自治法改正により取り入れられたものでありまして、県におきましては、平成16年度に初めて指定管理者制度を導入して以来、現在40余りの県有施設において指定管理を実施しております。
 指定管理者制度を導入した施設につきましては、これまでの実績を見ると、多くの施設で利用者の増加が見られるなど、適切な管理運営がなされていると考えているところでありまして、今後ともその実績を評価、検証しながら、施設のあり方についても十分検討し、適切に運用してまいりたいと考えております。
 次に、海洋資源でございます。
 これは、本県の振興につなげていくためにも、県も海洋開発に長期的な視野に立って取り組むべきではないかという議員の御提言については、まことにそのとおりだと思います。海という恵まれた地域特性を本県の振興に生かすという観点は、私も大変重要な視点であると考えております。特に、メタンハイドレートや海底熱水鋼床などの海洋資源の利活用につきましては、陸域の資源の乏しい我が国──これは全体ですが──にとって極めて重要な課題であると認識しているところであります。国においても、ようやく調査研究などの取り組みが始まったばかりであることや、開発に多額の資金を必要とすることなどから、県が取り組みを進めるにはまだまだ多くの課題があります。
 このような中、県は、これまでも熊野灘海域において独立行政法人海洋研究開発機構の地球深部探査船「ちきゅう」による地震・津波観測監視システムの構築の調査、あるいはこれに先立つ新宮の、この「ちきゅう」の母港化、あるいは神戸大学発ベンチャー企業のすさみ町での波力発電の新方式開発など、本県の海洋資源を活用した最先端の取り組みが進められてまいりました。
 今後とも、国及び大学研究機関等の動向を注視し、情報収集に努めながら、海を活用した本県の振興策について調査研究を進めてまいりたいと考えております。
○副議長(坂本 登君) 危機管理監森 崇君。
  〔森 崇君、登壇〕
○危機管理監(森 崇君) 防災対策についての3点についてお答えいたします。
 まず、先般のチリ地震による津波の本県の避難率は0.4%ということで、御指摘のとおり、実際に避難した住民が非常に少なかった状況にございます。今回の場合、警報発表から津波到達までの時間が長く、沿岸住民の方々はテレビ等で得た情報により、さほど大きな津波ではないと思ったと考えられます。しかしながら、東南海・南海地震による津波で大きな被害が想定されている本県にとりまして、避難勧告が出たにもかかわらず避難した人が非常に少なかったということは大きな課題であり、市町村とともに検証してまいりたいと考えております。
 過去の東南海・南海地震の経験や教訓が風化してきている中、体験者の知恵をもっと活用し、津波の恐ろしさを伝え、迅速かつ適切な避難行動が行えるよう、さらなる啓発の充実に努めてまいります。
 次に、災害時における県の業務継続計画、いわゆるBCPの進捗状況につきましては、現在、庁内関係各課から成るワーキンググループにおきまして策定作業を進めております。職員に対する防災対策アンケート調査や各課の非常時優先業務の抽出を行っておりまして、22年度中の策定を予定しております。
 また、市町村への普及につきましては、昨年11月に県が行った調査では、12の市と町が計画の策定や業務継続体制の検討を進めております。災害時に市町村が果たすべき役割が非常に大きく、的確な応急対策や行政機能の維持など、地域住民の安全・安心に直結するものであり、この2月に市町村長を対象にトップセミナーを開催いたしまして、災害時に首長が行う災害対応について議論していただいたところでございます。県といたしましても、市町村の業務継続計画の普及は重要と考えており、今後、積極的に働きかけてまいります。
○副議長(坂本 登君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 日高川、西川の津波対策についてお答えいたします。
 西川河口部の津波対策につきましては、物揚げ場等の港湾施設がありまして、護岸前面での新たな防護施設の築造には課題がございますが、物揚げ場背後の防護施設や隣接する河川護岸のかさ上げ等による対策の可能性について、詳細に検討してまいります。
 次に、日高川堤防の強度の調査につきましては、これまでに西川合流点から御坊大橋間の調査を実施しており、東海・東南海・南海地震規模の地震動に対して、若干沈下するものの、想定津波高に対しては対策不要との結果を得ております。現在、野口新橋下流500メートル地点から若野井堰までの調査を実施しているところでございます。
 霞堤とされております古森地区につきましては、背後地盤高が高く、津波浸水と洪水はんらんのいずれのシミュレーションでも日高川から古森地区への浸水は想定されておらず、洪水時に一部地域で内水の発生が想定されている状況でございます。
 古森地区の堤防整備につきましては、他事業との連携等により連続堤にすることが考えられる一方、堤防を締め切ることについては慎重な検討と十分な地元の調整が必要であると思っております。今後、地元ともよく議論してまいりたいと考えております。
 白浜空港につきまして、議員御提案のさらなる空港料金の値下げについてでございますが、南紀白浜─羽田路線の航空料金値下げ、加えて南紀白浜から羽田経由の乗り継ぎ割引につきましては、まず現在の特便割引7よりも使い勝手のよい、導入予定の特便割引3により利用促進を図ることが第一と考えておりますが、今後、JALの経営状況を踏まえ、提案、御要請をしてまいりたいと考えております。
 次に、白浜経由便の多様な運航形態についてでございますが、南紀白浜経由便の開設につきましては、機材と需要とのミスマッチ、高速性の喪失等のため困難であると考えますが、今後、これ以外の運航形態についても検討、提案してまいりたいと思います。
 また、空港の経営についてでございますが、現在、南紀白浜空港は、滑走路など基本施設を管理します南紀白浜空港管理事務所とターミナルビルを経営する南紀白浜空港ビル株式会社が連携して運用しているところでございますが、今後とも両者を核として、本庁、振興局とも連携を密にして、空港の活性化に努めてまいりたいと考えております。
 議員御提案の港湾運送業者の育成、日高港の振興に関してのことでございますが、港湾運送業者の育成と機材の貸し付けについてですが、現在、県では、市、商工会議所、港湾関連企業などと御相談しながら、日高港における港湾運送業者の育成の可能性を探っているところであります。
 機材の貸し付けにつきましては、港湾運送業者の設立見込みを踏まえまして検討してまいりたいと思います。
 次に、港湾利用手続と使用料についてでございますが、現在、和歌山下津港においてシングルウインドーの電子申請システムを運用しており、今後、日高港の利用状況に応じ、同港への導入を検討してまいります。日高港の使用料については、開港間もない同港の認知を図るために、当面の間、低廉に設定しており、今後ともこの点をアピールするなど、港湾の振興に努めてまいります。
 また、港湾振興の管理の一元化についてですけれども、現在、日高港については、日高振興局において振興の観点も踏まえつつ管理を行っているものでありますが、今後とも議員の御意見も参考にしまして、引き続いて利用者のニーズを把握するなど、本庁と振興局が連携して日高港のさらなる利用拡大に努めてまいります。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。

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