平成22年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(松坂英樹議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後1時0分再開
○副議長(坂本 登君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 42番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 通告に基づき、5点にわたって質問をさせていただきます。
 まず最初に、中小企業高度化資金の債権放棄についてお尋ねをいたします。
 同和対策事業として融資をされた中小企業高度化資金の債権放棄問題では、2年前の議会において、24億円もの無利子融資を受けながらほとんど返済されずに倒産したプラスパフーズの案件等が全会一致で継続審議となりました。翌6月議会で議案が承認されたときには、県議会から、今後の債権放棄議案については、「貸付時及び債権回収過程における問題点について徹底的に調査、分析し、県民の理解が得られるよう充分説明を行うこと」などの附帯決議がつけられました。この決議は大変重いものだと考えております。
 今議会の債権放棄議案も、同和対策として新宮市の熊野食肉事業協同組合へ融資をされたものです。土地、建物合わせて3億6000万円もの無利子融資を受けながら、わずか1200万円、3.5%しか返さずに倒産。土地、建物の競売をしてもわずか1300万円にしかならず、残りの3億3000万円を債権放棄するものです。
 県は、議案提案に当たって、調査結果を議会に提出をしております。この調査によると、貸し付け時の検討会と審査会が開催された公文書が存在していないということや、貸し付け時の土地は当事者が直前に先行取得していたこと、また建設工事の発注先が親族の企業であったことなど、問題点が明らかになっています。プラスパフーズのときも、親子で土地売買をし、土地は2.5倍、建物は2倍高く購入していたのが思い出されます。
 この調査結果の弱点は、この間の調査の事実関係を明らかにしてはいるものの、評価がないということなんです。今から検証してみればどうかという視点ではなくて、当時は適切であったとか、手続的には一応やっていましたというものに、前回同様、従来型の表現にとどまっていて、一歩突っ込んだものとなっていません。そして、調査の大部分は債権回収会社による当事者の返済能力がないことの報告となっており、とれるものがないのなら速やかに債権放棄という事務的処理になっていると指摘せざるを得ません。無論、問題にふたをして先送りを続けることは許されず、適切な処理をすべきものですが、債権処理をするのなら、県民の前に問題点を明らかにし、そしてその総括をしてこそ理解が得られるものです。
 私は、前回の債権放棄のときも、同和の融資については普通では通らないような甘い審査をしてきた、その結果として融資が焦げつき、債権放棄となってしまったと指摘をしました。これは、まさにゆがんだ同和行政のあらわれだと批判し、その姿勢こそ反省し、改めるべきだと主張をいたしました。
 知事にお伺いをいたします。
 今回の債権放棄提案には、歴史的経過を振り返った上で、今思えば適切な融資だったと言えるかどうかという、そういう評価なり反省、総括がありません。これで、附帯決議を受けとめ、問題点を徹底的に調査し、分析し、県民への説明責任を果たしたと言えるのでしょうか。知事の見解を求めたいと思います。
 次に、ずさんな融資の問題点について、具体的に3点にわたって、今度は商工観光労働部長にお尋ねをしたいと思います。
 まず1点目に、坪56万円という高過ぎる土地価格の問題です。
 新宮市の海沿いにある大浜墓地近くのこの土地、これはいかにも56万円は高過ぎます。これまで県は、不動産鑑定士による鑑定は行っていないが、固定資産税の評価額を参考としていると一般的に言ってきました。この土地の固定資産税評価額は、坪で言うと15万円程度であり、これ、実は3倍、4倍近い法外な価格で融資をしております。私、現地での聞き取り調査では、「そうや、ここらは当時でよくてまあ坪20万くらいか。今なら坪10万、いや、もっと安かろう」という近所の評判でありました。
 今回の調査で、金融機関の意見書なるものが見つかったようです。きょう議場に、皆さんのお手元に配付をさせていただいている資料1がその意見書、裏表になっております。加えて、資料2が意見書の半年前に土地を先行取得した際の売買契約書、資料3は今度は意見書の半年後に組合が事実上の経営者から土地を買い上げたときの売買契約書です。県はこれらを根拠として土地価格は適正であったというふうな判断をしているようですけれども、意見書というのは、皆さん、鑑定書とは性格が違って、参考にすれども根拠にはなり得ない性格のものです。
 これらの書類は、高い土地価格の取引を認めさせるために無理に売買実績をつくり、銀行に書類までつくらせたという、こそくな手段ではないでしょうか。実際、倒産後の競売評価額は、何と20分の1の坪2万5000円としか評価されませんでした。実際に売れた値段は、坪1万7000円にしかなりません。土地を通常では考えられないような高い値段に評価して高額の融資をしたことに問題はなかったのか、適正だったと言えるのか、お答え願いたいと思います。
 2つ目に、ずさんな経営計画です。
 前回のプラスパフーズのときも、操業後わずか2年で経営が行き詰まったことを指摘いたしました。今回も、操業後わずか2年で経営不振により返済が滞っております。7年後に不渡りを出しています。今回も見通しの甘い経営計画だったのではないですか。当時の関係者が、「経営自体はもうからんでもええんや。事業を起こすことが金になるんや」、そんなふうに言っていたと聞きます。経済環境の変化というだけでは、借りたお金のほとんどを返さないという、この事態の説明はつきません。甘くてずさんな事業計画でも審査を通したという実態があるのではないか。いかがでしょうか。
 3つ目に、ほとんど催促もしていなかったという問題です。
 2002年に共産党県議団が質問してこの問題が明らかになってからは、県は償還指導室を立ち上げて償還指導をし、貸付審査も改善をいたしました。ところが、県はこの問題が明らかになるまではまともに指導すらしていませんでした。記録を見せていただきましたが、87年に延滞となってから倒産する94年までの7年間にわずか8回しか面談していないし、返済が滞っていても滞納延滞金も全く請求しませんでした。
 また一方、当時、地元自治体である新宮市が、同和対策の融資の利子補給として、この組合に1700万円の補助金を別途支給しております。融資プラスそういう補助金までもらいながら県への返済はわずか1200万円と、そのもらった補助金よりも少なかったという結果になっているわけですね。高度化融資のこの3億5000万円とは別に、立ち上げ時の自己資金約1億円、加えて運転資金も必要でしたでしょうから、合わせて2億円相当が準備されたと見ていますが、どうやって工面されたのか詳しい資料は残っていないし、登記を見ますと、県信用保証協会が土地にも建物にも根抵当権をつけていたようです。その融資がどうなったかも定かではない。そして、競売時の資料を見てみますと、類推すれば7000万円ほどの焦げつきを県信用保証協会がかぶったのではないかと思われます。これも、いわば県のお金にかかわるわけです。高度化資金融資も焦げつかせ、加えて自己資金の融資も焦げつかせているという実態です。
 融資滞納時以降の県の指導、回収姿勢はどうであったのか、また、そもそもこの組合の自己資金、運転資金、市からの補助などがどういう実態であったのか、よくつかんで正面から指導していたのか、御答弁を願います。
 この問題の最後に、高度化資金の現局面の全体像についても伺います。
 前回の債権放棄は26億円、今回の3億3000万円を合わせると約30億円もの税金が泡となった計算となります。延滞法人の経営状況を見ると、今後も債権放棄が続くのではないかと予想されます。今後のためにも、今回、こんな不十分な総括で次々と債権放棄していっていいのかが問われているのではないでしょうか。
 この高度化資金融資は、現時点でどれだけの融資が延滞となり、焦げついているのか、延滞法人数と延滞額を示されたい。また、その延滞額の何割を同和対策の融資が占めているのかも明らかにされたい。また、返済が滞ったものの中で、既に破綻したものはそのうちどれぐらいあり、破綻予備軍とも言うべき競売手続が開始されたものは一体どれぐらいあるのか。延滞法人、破綻法人の状況と今後の対応について、商工観光労働部長より答弁をお願いいたします。
 続きまして、2つ目の柱である有田地方の救急医療の再生についての質問をさせていただきます。
 昨年度の議会で、有田の救急医療体制について質問をし、有田地方は救急医療の谷間だという関係者の声も紹介しました。特に、夜間・休日の救急患者が有田管内では対応されずに8割近くが和歌山市内の医大、日赤へと搬送されている実態を数字も示して指摘し、改善の取り組みに当たって県がしっかりと役割を果たしてほしいと強く求めてきたところです。それから1年たった今、状況はどう改善されたのかと、この間、消防や医療機関からお話を伺いましたが、残念ながらその状態に余り変化はないということであります。データもいただき、比較してみましたが、若干改善されているとはいえ、ほとんど変化は見られませんでした。
 有田地方の09年の救急患者受け入れと搬送状況について、県はこの間どんな努力をし、今の現状をどう認識しているのか、まずお答えください。
 次に、今議会の議案では50億円が地域医療再生基金として準備をされました。今後、取り組みが進められようとしています。有田地方の地域医療と救急医療の改善について、地域医療再生計画の中にどう位置づけ、来年度からどう取り組もうとしているのか、お示しいただきたいと思います。
 以上2点は、福祉保健部長に答弁を求めます。
 引き続き、和歌山の林業再生について質問をさせていただきます。
 林業は、地域経済を支え、低炭素社会を実現する不可欠な産業として、環境の面でも、雇用の面でも、国及び和歌山県の施策にしっかりと位置づけて取り組むべき今日的課題であると思います。私ども共産党県議団は、この間、森林組合、県内の組合を訪問し、林業研究会の方ともお会いして、森林・林業政策に対する要望をお聞きしてまいりました。
 その中で話題提供させていただいたのが、ドイツの林業です。森林面積が日本の4割しかないドイツなんですが、林業や木材関連産業に自動車産業の雇用の2倍の130万人の雇用を生み出していることです。ドイツと日本では地形や生産基盤確立の歴史が違いますが、日本もドイツのように林業・木材産業を国の大切な産業として施策にしっかりと位置づけて取り組むことが必要です。また一方で、日本と同じように急傾斜地の多いオーストリアでも、作業道がよく整備されて、日本の2倍の生産性を上げているというのも大変参考になります。
 そもそも、日本が工業製品の輸出に重きを置いて、木材や農産物の輸入自由化を受け入れてきたところに根本的な要因があります。現在、丸太やチップ、パルプの関税は無税、製材、合板などでも6%です。自動車や電化製品と同じような鉱工業製品扱いになっているのが問題だと考えます。その結果、木材需要の8割が外材で占められてしまい、価格も外材主導となっています。立ち木価格は10分の1程度になってしまいました。調べたところ、林野庁のデータや県のホームページのグラフを見てとれるように、一昨年からは経済危機により急激な価格低下があって、外材よりも今は国産材のほうが安値になってしまっているという状況すら現実に起きているんですね。
 実は今の日本の山は、1年間の木材成長量が、同じく年間の木材消費量に匹敵するぐらい、そのぐらいの成長量があるようになってるんです。ですから、必要量をほぼ自給できる、そういう数字があるし、ここに現在2割台の自給率を大幅に引き上げる条件があると考えています。和歌山の山も、人工林の約3割が今木材として利用できる状態にあり、今後10年でそれが倍の6割に達するという時代を迎えています。今こそ、輸入材から国産材へ転換させる仕組みづくり、そして木材価格の下支えをする仕組みづくり、この2つの仕組みづくりがどうしても必要ではないかと考えます。
 山村の基幹産業として林業を再生し、森林をよみがえらすためには、基盤整備や、それから住宅や公共建築、土木事業への需要拡大、雇用の確保・育成、持続的経営など、課題は多いわけですが、和歌山の森林・林業再生の課題を県はどのように考えておられるでしょうか。まず御答弁を願います。
 次に、搬出間伐、低コスト林業についてお伺いをいたします。
 この間、県は、搬出間伐、低コスト林業へと転換を進めてきました。作業道ができて搬出コストが下がれば、切り捨て間伐を減らして木材を活用する産業も、そして雇用も生まれ、森林所有者の収入を向上させることもできます。急峻な地形が多い中、日本型、そして和歌山型の高性能林業機器と技術の開発、普及、そして支援が今後より一層求められてくると思いますが、現状と今後の方向についてお答えください。
 次に、新政権が森林・林業再生プランに基づいて林業施策の転換を図ろうとしていることは歓迎するものです。しかし、一方で、森林組合の位置づけや補助事業の採択要件などに不安の声も現場からは出されています。これまでも、年間の間伐面積を確保するために、ともすれば間伐をしやすい、そういう山を優先し、条件の悪い山や個人の小さなところは後回しにされてきたという反省があります。そこへもって、この先、搬出間伐でないと補助事業の対象にならないとなってしまえば急峻な山や小規模な山林はどうなるのだろうかと、切り捨て間伐なども場合によっては認めてほしいなどの声が出されています。森林整備の改革を進めると同時に、条件の厳しい森林もしっかり視野に入れた丁寧な施策をすべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 以上3点、農林水産部長より御答弁を願います。
 さて、4つ目の柱であるミカン対策について質問に移らせていただきます。
 09年産ミカンは、この10年の中で1、2を争う低価格となってしまい、1キロ当たり100円台前半、業者扱いでは50円、60円という値段もあって、本当に農家の手取りは極端に減少し、産地では悲鳴が巻き起こっています。このことは、有田地方の地域経済にも大きな影響を与えています。
 まず第1点目に、県は今年度のミカン生産販売状況をどう分析しているのか、農林水産部長よりお答えください。
 次に、販売戦略にかかわっての質問です。
 私は、これまでも県としてのミカンの販売戦略強化や販路拡大への支援を訴えてまいりました。この間も、トップセールスやFOODEX JAPANへの出品、これらには私も御一緒させていただきましたが、こういった取り組み等も通じ、ミカンの生果や加工食品など県内産品、食品の販売強化に、行政、生産者が力を合わせてこられました。
 実は、この冬のトップセールスの会場で、12月は月初めからイベントや売り場がクリスマスセール一色で、なかなかミカンが割って入る状況になくて苦労しているという話を耳にいたしました。クリスマスといえば、温州ミカンはカナダなどでは「クリスマスオレンジ」と呼ばれて、クリスマスには欠かせない果物になっていると言われています。インターネットで「クリスマスオレンジ」と検索をすれば、いろんなところに紹介をされています。県の広報誌「和」やJAのホームページなどにも紹介をされていたんですけれども、なかなか一般的な言葉にはなっていないというふうな気がします。
 12月の商材としては、県として、この温暖化に対応した中での新品種の開発に努力を続け、登録まであと一歩というところに来ていますし、最近は完熟のわせミカンというのが12月に市場で高い値段がつくなど、今後の和歌山県産ミカンの12月の展開が期待される状況にあります。イチゴも、もともとは12月のものでなくて、クリスマスケーキと合わせて12月が販売の中心になったものです。ですから、和歌山のクリスマスオレンジにはこんな魅力的なミカンがありますよ、たくさんありますよとキャンペーンを張って浸透させる努力を各方面と目的意識的に強めてはどうかと提案するものです。クリスマスオレンジなど12月の販売戦略強化について、知事のお考えをお聞かせください。
 3点目に、基盤整備の問題です。
 新政権は、農業の戸別所得補償に順次取り組んでいくと表明をしております。果樹農家など園芸農業にも所得補償の拡大を求める声がある一方で、おいしさなどを競い合う果樹栽培などに所得補償はなじまないという意見も根強くあります。私は、農家の意欲や気持ちにぴったりくるような所得補償と価格保証を組み合わせた制度づくりが必要だと考えています。中山間地での持続的な農業を支える基礎的な所得補償に加えて、ミカンでいえば、糖度幾ら以上であればこれぐらいの値段では売れるとか、農薬を減らした特別栽培とか有機栽培ではプラスこれぐらいの値段がつく、こういう仕組みづくりの中でこそ意欲を持った後継者が育っていくと提案するものです。
 いずれにしても、果樹王国和歌山の園芸農業でどんな農業政策が求められるのか。国政ともあわせて大いに議論していくべきそういう時期に来ていますから、この問題は今後の議会質問で議論することにして、予算審議の当初議会としては、きょうは基盤整備の問題を質問させていただきます。
 所得補償や価格保証での意見の違いはわきに置いても、基盤整備の必要性は共通認識であり、中山間地の農地で後継者難に悩む農家にとって、園内道路や運搬機の普及・更新、選果場の整備などは重要な課題です。ミカン対策として生産者を励ます基盤整備という点では、和歌山県として新年度予算の中でどう取り組み、県としてはどういう方向を目指し、国に対して何を求めていこうとしているのか、農林水産部長より御答弁を願います。
 最後に、湯浅町山田山に計画されている県立射撃場計画について伺います。
 昨年9月に補正予算化された湯浅町山田山への県立射撃場計画ですが、私どもは、射撃場の必要性などは認めながらも、鉛対策や運営の見通しなどに不透明な点が多く、到底前提条件をクリアしたとは言えないとして、この拙速な補正予算化に反対をいたしました。12月議会では、銃弾の飛距離により新たな用地の確保が必要になってきたという問題が出てきたと状況報告されましたが、今回の2月補正予算では、射撃場建設のための予算がとうとう全額来年度に繰り越しをされています。予算繰り越しに当たって、射撃場計画の進捗状況と現状についてお示しをいただきたいと思います。
 加えて、計画説明についてですが、私は、9月の一般質問でも住民合意が大前提だと主張し、予定地となる湯浅町任せにすることなく、県が主体的に住民に計画を説明し、不安点には答え、意見を聞いて計画案を改善すべきは改善すると、そういう努力をしてこそ住民合意の条件をクリアできると、そういうふうに申し上げてまいりました。この間、建設予定地のある山田区で住民説明会が開催されましたが、この射撃場建設計画は決して当該地区、自治会だけの問題ではありません。一日も早く全町民に向けた説明会を各地で積極的に開き、町民、県民に開かれた計画説明をするべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 以上2点を農林水産部長にお尋ねをいたしまして、第1問を終わらせていただきます。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 中小企業高度化資金の債権放棄関係につきまして、お答え申し上げます。
 この中小企業高度化資金に限らず、県が持っております不良債権の処理につきましては、これはもうきちんとしようということで、私は職員をリードしております。一般的にでございますけども、ともすると過去の責任を追及されるのは嫌なもんですから、嫌なことにはふたをしがちであります。職員が萎縮をしてしまうわけであります。いよいよ時効になると、「なってしまいました」といって処理をする。これではいかんと思います。価値がないものをあるかのごとく掲げておくということ自体問題でありますし、県民にオープンにしなければいけません。それから、返してもらえるものが少しでもあるならば、それは100%追及しないといかんわけであります。
 そういう考え方で、前回、平成20年の2月に第1回目の──私が就任してから第1回目ということですが──不良債権処理についての議案を提出さしていただきました。20年の6月議会におきまして附帯決議をいただきました。それは、第1に、貸し付けの際には十分に慎重にやりなさい、それから、整理の際に取り漏らすことなくやりなさい、3番目は、経緯等をきちんと評価して説明をしなさいということであろうかと思います。私どもは、この附帯決議の重みを十分に真摯に受けとめまして、誠実に履行している所存でございます。
 第1につきましては、審査体制を、これはその前も含めまして、かなり充実をしております。ただ、この融資については新規はありませんので、他の分野への教訓としてこのことは生かしていきたいと考えております。
 2番目は、それこそ取り損ないがあるといけませんので、徹底的に調べ上げて、外部の専門家もお雇いして、どこか仮にいただけるものが残ってないかどうか、そういうものについて徹底的に調査をしてるわけでございます。
 3番目に、議案とともに調査結果報告書を議会に提出さしていただいてるところであります。
 その過去の経緯等の調査につきましては、内容につきましては、熊野食肉事業協同組合に係る貸付手続、債権回収過程の状況及び組合並びに連帯保証人等の返済能力について保存文書の精査を行うとともに、当時の担当者へのヒアリングを実施するなど徹底的に調査を分析し、それを紙にして開示したところであります。私は、結果的にこれは県民の税金を毀損しているわけでございますので遺憾に思っておりますけれども、だからといって臭い物にふたというのではいかんと思うわけであります。
 今後とも、萎縮することなく、債権が貴重な県民の税金であるという認識のもとに、可能な限りの手段、手法を駆使して最大限の回収に取り組むとともに、組合資産の徹底的な調査、連帯保証人等への厳しい徴求を行ってまいりたいと考えております。そして、どうしてもこれ以上は絶対に取り立てられないということであれば、勇気を持ってお示しし、報告書できちんと説明をするということを今後ともやっていきたいと考えております。
 続きまして、ミカン対策でございます。
 温州ミカンの販売を取り巻く状況は大変厳しゅうございます。生産、販売の両面でさらに戦略の強化を図る必要性を感じておるところであります。生産面では、他の産地に負けない競争力を身につけるため、これまでの成功体験に甘んじることなく、ゆら早生など県オリジナル品種の育成、選抜に努め、市場で高い評価を得ているのをもっともっと高い評価にしたい、こういうふうに考えております。
 今後とも、議員御指摘の12月の主力になり得る品質のよい新品種の選抜、それから、さらなるブランド力向上を目指してまいりたいと考えてございます。
 また、ミカンの消費拡大を図るためには子供たちにミカンを食べていただくことが大事であると考えまして、昨年の12月にJAグループの協力をいただき、食育の一環としても、あるいは一種の市況対策としても、県内すべての小学校等にミカンを配布するキャンペーンを実施したところでございます。こうした取り組みが他のミカン生産県でも実施され、全国規模の取り組みとなるように、国に対してもその体制づくりや支援策について、今後働きかけていきたいと考えております。
 議員御指摘のように、12月は商戦が最も盛んになる需要期でございますので、通信販売や若い世代も意識したギフト需要の開拓、高級銘柄品の百貨店、高級スーパーへの提案などのほか、豊富なビタミンなどの機能性を前面に出したPRなど、県産ミカンに対する消費者のイメージを高めていく取り組みを進めてまいりたいと考えております。
○副議長(坂本 登君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 中小企業高度化資金に係る融資の問題点についての御質問3点のうち、まず、土地売買価格についてお答えさせていただきます。
 組合用地の取得に関しましては、高度化事業に係る共同施設事業用地として、組合員が地元の土地所有者から昭和57年11月に先行して取得してございます。その後、組合が設立され、昭和58年10月に、当該組合員と組合とで所定の売買契約により取引が行われ、所有権移転がなされたものでございます。
 議員御質問の土地売買価格につきましては、当時、土地、建物、設備等、全体の設備投資額を前提として、資金調達計画、販売計画、償還計画等、包含した計画診断が実施され、おおむね妥当とする診断結果がなされてございます。また、その取得価格につきましては、当時の貸付事務要領におきましては土地の鑑定評価を行うことまでは求められておりませんでしたが、近隣の金融機関から不動産評価意見書を徴取し、その意見書の評価額の範囲内であったというのを確認してございます。
 次に、経営計画についてお答えさしていただきます。
 熊野食肉事業協同組合は、新宮市内の小規模な食肉業者5名が組合を設立し、食肉の共同加工、新商品の製造などを行い、あわせて業務運営の効率化や外商を活用した販路開拓を行うことにより、売り上げ拡大とコスト節減による地域の食肉加工業界の発展を目指して高度化事業を実施したものでございます。
 貸付手続につきましては、組合から提出されました事業実施計画書に基づき、昭和58年4月に、当時の県の診断機関でございました中小企業総合指導所、商工企画課及び東牟婁県事務所産業課の3者により、販売計画、資金調達計画及び償還計画等を診断いたしてございます。当初、組合に対し販売計画のさらなる精査や資金計画の精度向上など改善点を勧告し、組合から勧告意見に対する回答を受理し、その回答が妥当と判断した後、修正計画書の提出を受け、当時の中小企業事業団──現在の中小企業基盤整備機構でございますが──の審査、承認をいただいた後、融資を実行してございます。
 しかしながら、融資実行後、当地域での経済環境の悪化、近隣スーパーとの競合の激化により売り上げが低迷したこと、新分野への進出計画が不調などの要因により、約10年の操業の後、残念ながら破綻状態となり、予定した計画の遂行ができなくなったものでございます。
 続きまして、滞納時以降の県の指導、回収姿勢についてお答えさしていただきます。
 当該組合につきましては、昭和60年に工場が完成し、設備が稼働いたしましたが、新分野進出のための大手メーカーとの提携やブランド商品化の話も不調に終わり、さらに業況も好転せず業績不振に陥り、昭和62年9月に延滞組合となったものでございます。県といたしましては、速やかな償還指導が必要であるとの判断のもと、債権回収に入り、平成6年度までの間、少額ではございますが、4回の返済を得ているところでございます。その後、一段と資金繰りが厳しくなり、平成7年2月に銀行取引停止となり、組合は実質的に倒産に至ったものでございます。
 県といたしましては、当時の中小企業事業団──現在の中小企業基盤整備機構──と協議を行い、平成7年11月14日に残債全額に対し繰り上げ償還命令を出してございます。その後、組合の早期償還に向けて組合責任者と協議を進め、平成14年3月に競売申し立ての後、平成15年5月に最終的な資産売却を行い、配当を得てございます。また、その後につきましては、早期かつ最大限の回収をすべきであるとの観点から、資産調査を含む連帯保証人や相続人への徴求を続けてきたものであり、今般すべての方々に返済能力がないことが判明し、今回、債権放棄をお願いすることに至りました。
 なお、議員御質問の自己資金につきましては、完了検査においてすべての投資案件に係る支出関係の領収書等の証拠書類が確認ができていることから、組合自体が借入金や自己資金を調達したものと考えてございます。
 運転資金あるいは市からの補助についてでございますが、高度化案件につきましては、当時から年1回、経営状況調査を実施してございまして、添付された決算書の中で、資金調達面を含む財務状況の把握に努めていたものと考えてございます。
 最後になりますが、高度化資金に係る延滞法人、破綻法人の状況と今後の状況につきましてお答えさしていただきます。
 まず、延滞法人、破綻法人の状況でございますが、現在、高度化資金貸付組合が41組合ございまして、平成20年度末の延滞組合は28組合、延滞額約79億5900万となっており、このうち地域改善対策に係る延滞組合は21組合、延滞額約63億9900万となってございまして、延滞総額の約80.4%でございます。今回御審議いただいている熊野食肉事業協同組合を除く延滞組合は27組合、延滞額約76億2700万となっており、このうち地域改善対策に係る延滞組合は20組合、延滞額約60億6700万円となっており、延滞総額の約79.5%となってございます。また、熊野食肉事業協同組合以外の破綻組合は現時点で4組合となっており、事業を廃止し、競売手続に着手している延滞組合は4組合となってございます。
 次に、延滞法人並びに破綻法人への今後の対応についてでございますが、破綻法人4組合につきましては、組合資産の売却が完了しており、今後は連帯保証人等の償還指導を早期に進め、可能な限りの債権回収を進めてまいりたいと考えてございます。また、競売手続中の延滞組合につきましては、組合資産の売却を行い、償還能力を徹底的に調査し、連帯保証人、相続人に対し強力に徴求を進めてまいりたいと考えてございます。
 いずれにしましても、今後は、附帯決議に基づき考え得る最大限の回収措置を講じてまいりますが、債務者の返済能力が全くないと確認された場合には、今回と同様、貸し付け時及び債権回収過程における問題点を徹底的に解明を行った後、最終的には議会に議案を上程させていただきたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 福祉保健部長北田佳秀君。
  〔北田佳秀君、登壇〕
○福祉保健部長(北田佳秀君) 有田地方の救急医療の再生につきまして、一括してお答えいたします。
 有田保健医療圏の救急患者につきましては、深刻な医師不足の中、圏域内の2次救急医療機関において受け入れを促進しておりますが、依然として約半数が圏域外へ搬送されております。さらなる受け入れ体制の強化が必要な状況であると認識しております。
 県といたしましては、有田保健医療圏を含む紀北地域の救急医療体制の課題を解決するため、医療機関、医療関係団体、消防機関、市町村等との協議を踏まえ、持続可能で安定的な救急医療体制の構築に向けた地域医療再生計画を策定したところでございます。
 今後、同計画に基づき、県立医科大学附属病院、日赤和歌山医療センターが有する救命救急センターの救急外来機能を強化し、適時適切に地域の病院に転院搬送する管制塔機能を推進するとともに、2次救急医療機関の受け入れ体制の強化、拠点病院勤務医と開業医との連携等によりまして、紀北地域の救急医療体制を充実強化してまいります。
 有田保健医療圏におきましても、3次救急医療機関への患者集中を防止し、救急告示病院などの各2次救急医療機関の診療機能も踏まえながら、病院群輪番制の再構築など、地域の実情に即した最適な救急患者の受け入れ体制を整備してまいりたいと考えております。
○副議長(坂本 登君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) まず、和歌山県の森林・林業の再生についての御質問の3項目について、一括してお答えをさしていただきたいと思います。
 森林・林業の再生に向けましては、本県の急峻な地形に対応した作業道等の基盤整備を初めといたしまして、間伐等の森林整備の推進、また木材需要の拡大などが大きな課題であるというふうに考えてございます。
 これまで、保育のためのいわゆる切り捨て間伐が中心でございましたが、現在、利用可能な森林が増加をいたしてございまして、また一方、補助制度が充実してきたこともございまして、そういう中で、作業道の整備や機械化等によりまして効率的な搬出間伐等を行う低コスト林業を進めてございます。その結果、森林組合の間伐材生産が、平成19年度の約1万1000立方メートルから20年度には2倍以上の2万5000立方メートルに増産をされるなど、着実に成果も上がってきてございます。
 今後とも、紀州材生産販売プランに基づきまして、紀州材の利用拡大にも取り組みながら、平成24年度には6万立方メートルの増産を目指しまして取り組んでまいりたいと考えてございます。
 また、間伐を初めとする森林整備につきましては、効率的な事業実施に向けまして森林の団地化を進めてまいりますが、お話ございましたように、条件の厳しい森林につきましても、国の補助制度を有効に活用しながら、きめ細かな森林整備に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
 次に、ミカン対策についての質問2つでございますが、まず21年産の温州ミカンの生産販売状況についてでございますが、この2月27日現在の出荷量は前年比で110%の7万8000トン程度でございまして、一方、市場価格につきましては、前年比69%のキログラム当たり143円と、前年を大きく下回ってございます。
 その要因についてでございますが、本年産ミカンにつきましては、果実品質は良好であるものの、表年ということもございまして市場出荷量が前年を上回ったことに加え、景気低迷により消費者の節約志向が強まる中で、嗜好品的な性格が強い果実が買い控えられているというふうに考えてございます。
 今後、JAグループとの連携をさらに強化いたしまして、和歌山ブランドのPRに向けた体制づくりを進めるなど、競争力の高い産地づくりに取り組むこととしてございます。
 また、生産者を励ます基盤整備についてでございますが、傾斜地での栽培が中心である産地の実態を踏まえますと、作業の省力化やコストの削減を図るための園地整備が重点的な課題であるというふうに考えてございまして、これまでの園内道の整備などに加えまして平成22年度からは急傾斜地園地に乗用型モノレールを導入するなど、傾斜地、傾斜度などの条件に応じた園地整備を進めていくことにしてございます。また、果樹産地につきましては、選果場を中心とした産地形成が図られてございまして、その核となる選果場の整備も当然重要と考えてございます。
 県といたしましては、こうした基盤整備に対する支援を通じまして、産地の活力強化につなげてまいりたいと考えてございます。
 なお、政権交代に伴う政策の流れが変わりつつある中で農業農村整備予算が削減されるなど、非常に厳しい状況にはございますけれども、必要な予算の確保を図るために、国に対し強く働きかけてまいりたいと存じます。
 最後に、県立射撃場計画についてでございますが、県では鉛対策あるいはその防災対策を盛り込んだ基本構想を策定いたしまして、昨年の11月上旬に地元の湯浅町や関係団体である猟友会等に説明を行ってきてございます。事業実施の前提条件といたしましては、国からの補助金の活用、地元市町村の応分の負担、市町村による住民同意の取りつけ、それから運営主体の存在の4つの条件が整う必要がございまして、改めて湯浅町や関係団体に対し、条件整備について責任を持って対処するよう申し上げたところでございます。
 また、住民同意のための地元説明につきましては、町からの要請があれば県も積極的に参加をするということとしてございまして、本年の1月21日には、町からの要請に基づきまして地元に対する事業説明会にも出席をいたしまして、これまでの取り組み経過を初め、心配される鉛、防災などの安全対策面や施設の内容などについて説明を行ったところでございます。しかしながら、現在のところ地元同意が整っていない状況でございますが、町や関係団体からは迅速に実施条件を整備していくという声もございましたので、今議会で予算の繰り越しをお願いしたところでございます。
 いずれにいたしましても、時間的な余裕が余りない中ではございますが、今後とも、地元の動向や関係団体等の意向を踏まえながら取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再質問を許します。
 42番松坂英樹君。
○松坂英樹君 答弁をいただきました。知事に、債権放棄の議案の説明責任、調査報告への姿勢について再質問をさせていただきたいと思います。
 その前に、この問題で要望を1つだけしておきたいと思うんですね。それは、調査資料を整理して、全容をこの議会に資料提供をぜひしていただきたいということです。
 今回の熊野食肉の案件につきましては、2003年の情報公開請求でこれだけの分量の資料が、実は情報公開、既にされております。これに加えて、今回の調査によって銀行の意見書──きょうお配りしたような意見書が、新たに発見された資料もありました。担当課は、私が資料提供をお願いしたものには、個人情報等のルールはしっかり配慮した上で調査結果は包み隠さず明らかにすることになっておりますと、これ、しっかり丁寧に公開していただきました。この点は、高く評価をしたいと思います。
 調査のまとめ的な文書は、議会に提出している文書、これはこれとして必要だと思うんですけれども、新たな調査結果の資料はこちらですと、これだけの資料が今回また新しくありますというのを議員全員に対して一覧を配付して、本体はきちんとまとめて閲覧できるようにしてこそ慎重審議ができるんじゃないかと思うんですね。
 なぜならば、例えばこの破綻した食肉組合が組合の資産として山林を27筆所有していることが、皆さんにお配りされている調査資料の中でも報告をされています。27筆というけれども、登記簿上の面積──登記簿上ですよ──これ、足しただけでも2万平米以上の山林と雑種地を所有したままなんですね。また、組合員の中には固定資産税の評価が630万円もある分譲墓地の一部の土地、これも所有したままです。この食肉組合の事実上の経営者は、この食肉の仕事以外に、前後して墓地の分譲とか葬祭式場の事業にも手を出し、砂利採取や産廃にも手を出して事業をし、いろんな問題を起こした人物です。まさにその痕跡だと思うんですね。借りたお金も返さずに、肉ではなくて土地を次々に買い求めていたこの熊野食肉の指導はどうだったのか。
 資産価値がないからと、このままで債権放棄してしまっていいのかと。地方税回収機構では、国保のわずかなお金が払えなくて差し押さえをされる県民が一方でおります。税と金融債権では違いますが、何ともやりきれない気持ちなのは私だけでしょうか。
 この資料を整えること、これはすぐにできることです。まだまだ委員会審議もあるわけですから、議会と県民の前に全貌を名実ともに明らかにしていただくことを、この場で要望をしておくものです。
 さて、知事への再質問として、土地価格の問題に絞って知事にお伺いをしたいというふうに思います。
 知事は、この調査報告を知事として聞いて、当時の固定資産評価額との大きな乖離、加えて銀行の意見書をごらんになって、こういうものをわざわざつけているという特殊な状況、内容、これを見てどう感じられたでしょうかね。「当時としての手続は整っていた」では、私、済まされない問題だと思うんです。
 わざわざ今回この資料配付をさせていただきましたけれども、銀行の意見書には──この意見書というのは、県から熊野食肉に言って、熊野食肉から銀行に求めて提出をされたものです。表のページには、立地条件がいいと、いろいろ持ち上げたことを書いておるんですが、その裏のページの結論部分をごらんになっていただくとわかるように、市内の土地は坪14万、15万を下らないと言われている、こんなふうに書いていますけれども、これは市内の便利なところを指した一般的な評価であって、今回の海沿いの大浜墓地の近くにあるこの土地の個別評価ではありません。
 そして、付近での取引事例は余りないがということを、明確な根拠がないということを何とみずから告白しながら、1平方メートル当たり18万2000円、坪60万円ですが、これは妥当だと、結論だけははっきり書いてあるんですね。これは、論理的に私は無理があると思います。一般的に新宮の土地は高いですよ、でもここは実績がないですよ、だから値段は坪60万、この三段論法は通りません。これは無理やりつくったもんですよ。
 銀行にとっては、意見書を書いたからといっても、意見書ですから責任は問われません。私、よく考えたなと思います。そんなに固定資産評価のレベルと実態に差があるんだったら、審査で認めてもらおうと思うなら、義務ではなくても鑑定をとったらよかったんですね。意見書で済ませたところにみそがあると思うんです。他の案件で、こんなふうに銀行の意見書なんてついてる案件はないと思いますよ。特別扱いだと思います。
 また、土地をこの直前に先行取得しているという問題もお話ししました。2段階の売買契約書を配付させていただきましたけれども、よく見ると、この裏面、見ていただくと、どちらの契約書にも日付が入っていないんですね。手付金1500万円の領収書のかわりにするなんて、この資料2には書いてあるんだけれども、日付がないどころか、何かこの資料2なんか、日付を消したんではないかと思えるようなうっすらとした痕跡もありますし、資料3なんかは不動産屋さんも入っていないようです。
 わざわざ先行取得をしなくても、組合が直接買えばよかったんです。それをせずに、事実上の経営者がこのように先に買ったという形にしてあると。これは、組合員もこの値段で買いました、その値段と同じ額で買っているんだからいいですねというふうに、高くないですね、不正はしてないですねという、いわば審査を通す書類上のテクニックではないでしょうか。こんなことをする合理的な理由が、審査の中でも、調査の中でもないんですね。私は、高い土地売買価格を合理化するために売買実績をつくり、銀行にも無理を言って意見書を書いてもらった。かなり知恵を使ったと見ています。知事は、これ、ちょっと問題だなと思いませんでしたか。
 私は、県の調査にはこう書いてしかるべきだと思うんです。「実態よりも高い土地価格の評価と融資が破綻時の担保不足と多額の欠損を生んだ」と、こんなふうに何で素直に総括できないのか、御答弁いただきたいと思います。
○副議長(坂本 登君) 再質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいまの資料提供についての見解でありますが、松坂議員が読まれなかったところがありまして、全部読みますと、「新宮市は平地が少く昔より比較的地価の高いところであり、現在自動車の進入出来る道路に面しておれば住宅地で平方米当り14~15万円を下らないといわれて居り、附近での取引事例はあまり聞かれないが、当該物件は幹線道路に面しており将来性を見越して売り物も少ない状態であり、不動産業者の風評及び他地区との諸条件をくらべて本物件の1平方米当り182,000円を妥当なものと考える。」と書いてあるんですね。
 私は、この文書を読むと、議員がおっしゃったように、明らかに間違いとかごまかしとか、そういうふうにはこの文章上はとれないと思います。ただ、附帯決議にございますように、それから、私自身がそのときにこれを見て審査を担当してたわけじゃないので、あなたはこれを見て真実と思ったかどうかというのは、なかなかお答えしにくいわけです。しかしながら、まさに附帯決議の御議論もありましたように、単にこういう文書が出てきたときに、つじつまが合ってて論理的であるということだからもういいんだということじゃなくて、もっと別の専門家にも調べてもらおうとか、そういう慎重審議はやっぱりやったほうがいいということは正しいと思うんです。
 したがって、今は少なくともそういう形に体制が整っていて、今後こういうものが出てきたら、それをいろんな角度から正当性を評価できるようにはなってるということを申し上げておくべきだろうなというふうに思っております。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) この際、申し上げます。
 所定の時間は残り2分2秒であります。
 再々質問を許します。
 42番松坂英樹君。
○松坂英樹君 2分で要望させていただきます。
 知事の答弁をいただきましたが、文章上間違っていないというお話でしたけども、銀行の意見と私が紹介した地元の皆さんの値段の意見とどっちが妥当であるか、知事が直接お聞きになれば、これはすぐわかることだというふうに思います。
 今後の話をされましたけども、この時点での審査、このやり方、問題であったかどうか、その反省の弁は残念ながら聞けませんでした。
 高度化資金全体の、焦げつきの全体の状況から見ても、同和対策の融資が通常融資よりもずさんな融資の実態であったという点、また、今回の個別案件についても、貸し付け時と債権回収過程の具体的な問題点の解明と評価にはメスを入れられてないと、このことを厳しく指摘をして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(坂本 登君) 所定の時間が参りましたので、以上で松坂英樹君の質問が終了いたしました。

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