平成22年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(長坂隆司議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前10時0分開議
○議長(冨安民浩君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第16号まで、議案第31号から議案第46号まで、議案第48号から議案第59号まで及び議案第61号から議案第83号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 36番長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、以下、通告に従いまして一般質問をさしていただきます。
 1つ目に、景気対策と雇用対策についてであります。
 日本経済は、世界経済危機がまだ収束していない中、鉱工業生産の水準は昨年末時点でピーク時の77%にすぎず、低迷を続けており、当分ピーク時水準に戻ることは難しいでしょう。賃金は、1998年の水準から2008年では7.6%も下落し、2009年に入ってからは断続的に3%近い減少が続いています。現金給与総額は、製造業5人以上、2009年8月までの統計で、19カ月連続で減少しています。また、家計の貯蓄率は、1990年の15%弱から2007年には2.2%まで下落し、この水準はヨーロッパ主要国が10%程度であるのと比べ、著しく低くなっています。これは収入が下がったために貯蓄を食いつぶしているのであり、このことも消費の足を引っ張っているのではないでしょうか。
 失業がふえ、賃金が減りました。国内需要が盛り上がらないわけであります。消費回復のためには、雇用を安定させて可処分所得を上げることが必要です。平成22年2月23日に内閣府が発表した月例経済報告において、景気の先行きについて、雇用情勢の一層の悪化や海外景気の下振れ懸念、デフレの影響など、景気を下押しするリスクが存在することに留意する必要があるとしています。
 さて、和歌山県は、平成22年度当初予算案において県税、特に法人2税が平成21年度に比べて49.1%減の115億円と半減するなど、自主財源の中で県税収入が754億円と、前年比17.6%減と落ち込んでいます。一方、県債は1036億円と1.4%増で、県債残高が平成22年度末残高見込みが9036億円と膨れ上がっています。
 また、和歌山税関支署の調べによると、県の平成21年分貿易額は、輸出入とも過去最大の落ち込みを記録しました。下降に転じたのは、輸出では平成11年、輸入では13年以来です。支署では、世界的な不況と重油価格の下落が響いたと分析しています。輸出額は前年比33.0%減、輸入額は同45.9%減であります。
 7月には参議院議員選挙があります。景気・経済対策を最大の争点として、前向きな選挙戦を戦っていただきたいものであります。
 さて、質問ですが、1つ目、本県は中小零細企業が多いとともに、輸出関連企業も円高で大幅減収にあえいでいます。景気浮揚のために即効薬というものはなかなかありませんが、例えば農林水産業といった1次産業の中で、本県の特産・特色を生かした振興策に力を注ぐのも1つの方法かと、個人的には思っております。その1次産品を利用できる食品産業は、景気悪化の中でも不況に強いと言われる比較的安定した産業の1つであります。加工を加えて付加価値を上げたいものであります。
 また、全国レベルで完全失業率は、平成21年7月の5.6%から平成22年1月で4.9%まで幾分持ち直し、有効求人倍率は、全国では昨年8月の0.42倍から本年1月に0.46倍へ、また和歌山県でも去年8月の0.51倍からことし1月で0.53倍と若干持ち直しているものの、依然低位で推移しています。高校新卒者の就職内定率も1月末現在で78.7%と、前年同月比5.9%も低下しています。
 本県は、労働者の受け皿がもともと小さいですが、離職を余儀なくされた方々への緊急雇用創出事業臨時特例基金の活用とともに、新たな雇用創出が急がれます。和歌山県として喫緊の問題である景気・雇用対策について今後どう取り組まれるか、仁坂知事のお考えをお伺いいたします。
 2点目に、県税収入を増大させるには、景気浮揚のために企業の活力が欠かせません。地場産業へのてこ入れだけでなく、企業誘致にも積極的な仁坂知事であります。現状の企業誘致の成果と今後の企業誘致施策についてお示しください。
 2番目に、和歌山県の医療についてであります。
 1つ目は、救急医療体制についてであります。
 和歌山県立医科大学の運航するドクターヘリも、年間約400回弱の出動を数えるようになり、多くの命を救ってくれています。現在、運航時間は、通常日の出から日の入りまで運航されています。平成16年度でしたか、和歌山県立医科大学附属病院救命救急センター長篠崎正博教授を初め7人の先生方が、「和歌山県での夜間ドクターヘリコプター運航における救命効果および経済効率についての研究」という研究成果報告を発表されています。
 その中で、我が国ではドクターヘリの夜間運航は行われておらず、ドクターヘリにより救急医療にも空白時間帯を生んでいると指摘し、和歌山県内の平成15年度の夜間救急車要請傷病者のうち、ドクターヘリの予測適応傷病者は686人、当時の運航体制でできる朝1時間早い午前8時からの運航開始では88人、操縦士の連続勤務が可能である8時から20時までの4時間運航延長では、全夜間ドクターヘリ適応症例の41.0%である281人のドクターヘリ適応症例が見込まれるために、段階的な夜間ドクターヘリ運航時間の拡大も考慮すべきとしています。
 島根県では、防災航空隊を中心とした防災ヘリによる患者の夜間緊急搬送が行われており、全救急ヘリコプター搬送件数のうちの20%から40%を占めています。島根県での夜間ヘリコプターは病院間のみの運用であり、受け入れ病院や搬送元ヘリポートでは夜間照明の整備がなされており、またヘリコプター搭乗員呼び出し制度が施行されています。
 また、和歌山県では夜間ドクターヘリ運航によって686人の年間救急傷病者が予測され、経済的損失回避が見込まれるために、24時間のドクターヘリ運用が望まれるとしています。さらに、夜間ドクターヘリ運航及び災害拠点病院などへの夜間ヘリポート照明設置は、東南海・南海地震などの災害医療にも必要であります。この研究成果をもとにすれば、まず段階的に夜間の運航時間の拡大による夜間ドクターヘリ運航も考慮に入れていただきたいわけであります。
 今、ドクターヘリの夜間飛行実験が全国で2カ所検討されていると聞きます。また、問題点として、コストがかかる、夜間照明の設置が必要、そして近隣の地域住民の承諾の問題があります。まず、本県としては主要な病院間搬送を検討いただきたいと思います。和歌山県立医科大学の屋上ヘリポートに夜間照明、そして南和歌山医療センターに夜間照明のあるヘリポートを設置いただくか、白浜空港の利用、そして新宮市には夜間照明のある紀南ヘリポートがあります。この3地点を結べば、障害物のない見通しのよい海岸線運航によって和歌山市、田辺・白浜地域、そして新宮市へと夜間のヘリポート間の運航は可能になるはずであります。そして、ドクターヘリ単独での病院間搬送が難しければ、近くまでドクターカーを控えておけば救急搬送は可能ではないでしょうか。
 ここで質問ですが、1つ目、ドクターヘリの夜間運航実現に向けて、当面夜8時までの運航を実現いただきたいと思いますが、いかがですか。また、ドクターヘリの夜間運航を可能にするために、地域に即したドクターカーの併用と和歌山県立医科大学ヘリポートへの夜間照明設置についてお考えいただきたいと思いますが、いかがですか。
 2点目に、和歌山県立医科大学のドクターヘリには格納庫がありません。附属病院13階にはそのスペースがありません。燃料供給地である和歌山市西浜の用地も、海に近くて防災上設置が難しいと聞きます。ドクターヘリがいつでもすぐに飛び立てるよう、常日ごろのメンテナンス体制は必要であります。格納庫があれば風雨はしのげますし、いつでも燃料補給もできます。ぜひドクターヘリの格納庫を適所につくっていただきたいと、要検討事項として要望させていただきます。
 3番目に、和歌山県立医科大学救命救急センターは26床で、1カ月のうち数日は明け方まで満床状態と聞きます。増床についてはどうお考えですか。せめて深夜だけでも、一般病床から後方ベッドを確保する体制がとれないでしょうか。
 4点目に、最近採算が合わないとして、救急告示病院や病院群輪番制参加病院が少なくなっています。1次、2次、3次の救急医療体制を円滑に機能させるため、2次救急病院を脳外科専門とか整形専門とか消化器専門とか循環器専門とかに特化して、それぞれの専門医の当直システムを構築してはいかがでしょうか。これによって特徴ある2次救急病院として、病院側としてもメリットも出てくるのではないでしょうか。
 以上3点、福祉保健部長にお答えいただきます。
 2点目に、がん対策についてであります。
 平成22年度の県の新政策の中にも、がん対策の総合的な推進を挙げていただいております。平成20年3月の和歌山県がん対策推進計画をもとに、がんの予防に関する普及啓発、がん検診の推進、がん検診従事者の技能向上、がん診療連携拠点病院の機能強化、患者、家族に対する支援として緩和ケア提供体制の充実、そして院内がん登録の推進をうたっていただいております。
 この和歌山県がん対策推進計画は、平成20年度から平成24年度までの5年間を策定期間としていますが、来年3月にはぜひ計画の進捗状況について中間評価を出せるよう、計画の御推進を要望したいと思います。
 そこで、質問ですが、1つ目、がん検診率を上げるために各地域で保健師さんも御尽力いただいておりますが、例えば和歌山市のような都市部においては、地域の各連絡所・支所や集会所で保健師、それに医師や看護師にも協力いただいて、がん検診の必要性を講演いただくミニ集会を開催して、がん検診率を上げる努力をしていくのはいかがでしょうか。これを全市に広げれば、講演会の前と後では随分受診率も変わってくるのではないでしょうか。ぜひ、和歌山県立医科大学や医師会と連携のもと、各市町村へがん検診の地域での普及啓発集会を呼びかけていただきたいと思いますが、いかがですか。
 次に、和歌山県のがん医療については、さらなるレベルアップをと、和歌山県立医科大学を中心に外科手術例等をもとにデータ収集、研究、学生の研修に余念がないことと思います。ぜひ、全国の他の大学病院に引けをとらないレベルのがん医療体制を整備していっていただきたいと思います。
 高難度のがん治療は、和歌山県立医科大学附属病院へ集中化いただいて、症例の多いがんについては県内のがん拠点病院で同一の高いレベルで治療をしていただいて、地域の拠点病院としての機能分担を図るなど、県におかれましてはがん患者が元気に長く生きられるよう、県全体を見通したがん治療体制を構築していっていただきたいと思いますが、いかがですか。福祉保健部長、お答え願います。
 3番目に、和歌山県立医科大学附属病院には化学療法センターがあります。がん治療には、3大がん治療として、外科手術、放射線治療とともに、抗がん剤を中心とする化学療法があります。2007年10月に和歌山県立医科大学附属病院内にオープンして、外来でのがん化学療法を基本として、医師、薬剤師、看護師、事務員などがチームをつくっておのおのの専門性を生かし、コーディネーター役として各診療科と協力し合っておられます。この抗がん剤治療の専門家が腫瘍内科医であります。
 昨今、全国でがんの専門医を育成することが盛んに行われているそうですが、和歌山県において国のがん対策推進計画にも挙げられている病理医、放射線治療医、腫瘍内科医の養成は進んでいるのでしょうか。また、がん拠点病院にそれぞれ十分配置されているのでしょうか、福祉保健部長にお伺いいたします。
 3番目に、本県でも高齢化が進んで、血液不足が叫ばれております。県下各地の病院の設備も医療も高度になり、手術室も多くなってきています。血液が足りないときは他府県にもお願いしているそうですし、土日には大手スーパーにも献血の協力をお願いしている状況と聞きます。今後ますます高齢化が進んでまいります。献血推進のためにどんな取り組みをなされているか、福祉保健部長にお伺いいたします。
 3点目に、防災についてであります。
 去る2月20日土曜日、社会福祉法人和歌山県社会福祉協議会災害時対応訓練プロジェクトチーム、そして社会福祉法人和歌山市社会福祉協議会が主催し、和歌山県災害ボランティアセンターが協力して平成21年度ワークキャンプ、災害時対応訓練が和歌山市の城北小学校体育館で行われました。
 県社協の小谷局長から、県社協の今回の役目として、1、災害ボランティアセンターの機能が発揮できるようコーディネートを行う、2、要支援者の支援として見守り、情報提供、相談を行う、3、いろんな機関が連携して支援していけるようにコーディネートを行って日ごろから顔の見える関係をつくるの3点を挙げて、訓練はうまくいかなくてもいい、いろんな課題が出てきてどう克服して次につなげていくか、課題を浮き彫りにしていくのが目的であるとも言っておられました。
 当日、地元の各種団体、防災士などの災害ボランティアも参加して熱心に取り組んでおられました。まさに災害時には、まず自分を、家族を守る自助、そして要援護者を助けて御近所と協力し合う共助が大切であり、日ごろの自主防災訓練の取り組みは大きな意義があるものと思います。
 最近、突発的な災害の起こる頻度が高くなっています。記憶に新しいところですと、和歌山市内では平成20年5月25日未明の大雨により、七瀬川水域の和歌山市山口地区平岡から岩出市吉田に至る六箇井用水路のはんらんによる冠水や浸水、それに安原地区、山東地区の土砂崩れ等による農産物被害、また昨年11月11日未明の1時間約120ミリもの豪雨による和歌山市内床上浸水461棟、床下浸水1819棟、それにたくさんの自動車の水没も見受けられました。そして、南米チリ中部で発生した巨大地震による津波が、去る2月28日午後、県内沿岸に到着しました。串本町袋港で県内最大の90センチを観測し、警報発令によって交通機関等に大きな影響がありました。
 このように、豪雨、洪水、浸水、地震、津波等、天災はいつ来るかもしれず、まず自分たちの住む地域は自分たちで守ろうということで、例えば11月11日の豪雨の際も、1時間50ミリという通常の下水処理能力をはるかに超える雨量であったとはいえ、地元高松地区では、まず道路わきの取水口にごみがたまって床上下浸水の大きな一因となったことにかんがみて、警報発令後、できるだけ自治会の地域住民で率先して取水口のチェックもしていこうという機運も高まっていますし、こんなとき、行政職員、そして地域の議員が先導役となることが必要ではないかと地元でも思い知らされました。
 まさに災害発生でパニック状況にある中、自助・共助をカバーする公助の必要性は、大きなものがあると思います。警報が発令されたらすぐに現場に向かう、地域住民の先頭に立って被害を最小限に食いとめる、その姿勢が問われると思いました。本県にいつ東南海・南海大地震が発生するかもしれないし、いつ台風やゲリラ豪雨が襲ってくるかもしれません。公助の観点から、大災害時の総司令官としての仁坂知事の心構えをお尋ねいたします。
 2点目に、南米チリで起きた巨大地震に伴う津波で、宮城県気仙沼市で海につながる排水溝を海水が逆流し、マンホールや側溝からあふれて道路などに浸水被害をもたらしました。海岸線から約400メートル離れた住宅街で、28日午後4時過ぎ、海岸線から水が押し寄せる約15分前に、側溝から水が約20センチの高さで噴出したことがわかりました。海岸線から約30メートル離れた魚市場前でも、マンホールから水が約50センチほどあふれ出しました。その後、岸壁から水も押し寄せて、50センチ前後の冠水があったようです。
 港の岸壁では、通常、満潮時より高い位置に下水の排水口が設置されています。しかし、津波で海水面が排水口よりも高くなり、海水が排水口から排水管や排水溝を逆流していったようです。3月2日の「読売新聞」で、東北大学の津波工学の今村教授によれば、「排水溝を逆流する海水は、海岸線や港湾の岸壁などを乗り越えて陸地を襲う海水よりも浸水が速く、波が防潮堤を乗り越えなくても浸水被害をもたらすことになり、逃げ場を失うことになりかねない。予想される津波の高さだけで、安全性を判断するのは危険だ」と言っています。下水道整備が進んでいる地域でも、同様の被害が出る可能性があり、地面の下を通る海水も意識して防災計画を見直すべきだと訴えておられます。
 今回のチリ津波による本県の直接的被害はなかったようですが、和歌山県の津波対策において、海岸部の護岸の排水溝の逆流等による被害想定はなされているのでしょうか、危機管理監にお尋ねいたします。
 3点目に、避難勧告が出るまでは避難しなくてもいいと思っている人も圧倒的に多く、勧告や指示が出ても、今回のチリ津波において実際に避難した人はわずかであったように思います。災害対策基本法では、避難勧告を初め、住民に情報を伝える責務が市町村に集中しています。防災対策の進んでいる静岡県の静岡大学防災総合センター准教授の牛山素行氏によると、国や都道府県から膨大な情報を得て、住民にいつ、何を、どう伝えるかを判断するには、専門的な知識と熟練が要るのに、人材が決定的に不足していると言います。
 確かに、通常、担当者は2年から3年でかわり、知識を蓄えるのが難しい状況でしょう。国や都道府県も、みずからを含め、エキスパートを育てることは緊急の課題でありましょう。避難勧告についてちゅうちょしていてはいけないと思いますが、避難所開設に伴う費用は市町村負担でありますし、災害対策基本法では避難勧告の権限を市町村にだけ与えて、都道府県は情報提供にとどまっています。県当局においては、緊急時には市町村に避難勧告をするよう指導したり、みずから勧告や指示を行うことはできないのでしょうか。危機管理監にお尋ねいたします。
 以上、大きく3点、一般質問を第1回目、終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、景気・雇用対策についてでございますけれども、本県経済は一部に持ち直しの兆しが見られるものの、消費や雇用の低迷など、依然として厳しい状況にあると認識しております。県内企業の大半を占める中小企業の活力向上、安定的な雇用の確保が県経済の浮揚につながる大切な点であると考えております。
 県といたしましては、急激な景気悪化に即応して緊急経済対策本部を立ち上げ、中小企業の資金繰り支援や「和歌山で働きませんか!」等の一連の雇用プロジェクト、あるいは緊急雇用、ふるさと雇用の両基金を活用した雇用対策などを鋭意進めてきたところであります。
 景気の低迷が長期化する中で、体力の弱っている県内中小企業の今を下支えし、あるいは1人でも多くの雇用を確保、創出する的確な対応が必要であると思います。
 このため、産業別担当者制度などを活用いたしまして県内業況の把握にきめ細かく努めながら、県制度融資の拡充などで引き続き中小企業の資金繰りに万全を期すとともに、両基金を活用いたしまして、離職された方向けの雇用機会の創出や、あるいは今特に問題になっております高校生の就職支援策などの雇用対策を機動的かつ積極的に講じてまいりたいと考えております。
 このように、経済は生き物でございますので、その都度問題が生じてまいります。その問題にスピーディーに対応することが大事だと考えております。
 また一方、このようなときにこそ、県民があすに希望の持てる成長産業の種をまき、育成することも重要であると考えております。
 県といたしましては、エネルギー、環境やバイオなど先端的産業分野における先駆的技術開発を支援するとともに、議員御指摘のように、本県の豊かな農林水産物といった地域資源を活用した食品加工分野等での新商品の開発支援や農商工連携の促進、さらにはすぐれた県産品の県外あるいは海外への販路拡大支援など、本県産業の活力をつくり、ひいては安定的な雇用の創出につながるように積極果敢に頑張ってまいりたいと考えております。
 次に、企業誘致でございます。
 自分自身も結構いろいろと勧誘に行きました。企業立地課で調べたところ、私も数えて行ったわけじゃないんですが、こういういわゆるトップセールスというもので137社、どうも行ったようであります。このように精力的に誘致活動を展開いたしましたが、知事就任以来の本県の企業立地件数──これは設備投資を県内でやってやろうという、そういうベースでありますが、これは72件となりまして、雇用創出効果は約1000人を超えました。従前と比べ、飛躍的に増加はしております。
 しかしながら、厳しい経済情勢の中、全国的に企業立地が停滞しております。したがって、戦略性をより高めながら、より効果的な誘致活動が必要と考えておりまして、特に今後の成長分野へ力を特化する、そういうこと等、本県の特徴を生かした誘致戦略が重要となってくるかなというふうに思っております。
 そこで、新エネルギー関連産業など、地球温暖化対策としての市場の急拡大により新規投資が見込まれることから、業界動向を的確に把握し、部材から完成品に至るまできめ細かなアプローチを続けてまいりたいと思います。また、本県の豊かな農林水産資源を活用した食品加工等の地域資源活用型産業では、さきに御説明いたしました県内産業への総合的な取り組みと連携した誘致活動を全力で進めてまいります。
 次に、防災でございます。司令官として知事の心構えということであります。
 県民の安全・安心を守ることは、県行政の中でも最も大事なことであります。災害に備え、県民の皆様に自助、共助を常日ごろからお願いしておりますが、県におきましても東南海・南海地震などを想定し、関係機関と連携したさまざまな訓練を実施したり、地震防災アクションプログラムに基づき種々の施策に取り組んでおります。
 災害が起こったとき、危機管理局を初め関係職員もそれぞれの部署や現場で懸命に取り組んでおりますけれども、特にトップである私の役割は大変大きいものだと思っております。今までも大規模な山林火災あるいは水害、そういうものの際には、主として南別館の防災センターに私自身陣取りまして、陣頭指揮をとってまいりました。一応災害が一段落ついたというところで、自衛隊やあるいは消防団、警察の方々にお礼に行ったり、あるいは被害状況を見に行ったり、あるいは避難者の方々への慰問を申し上げたり、被害を受けた方が損害賠償を求めてるときに直接話し合いに応じたり、そういうふうに外へ出かけていくということもやっております。
 去る2月28日の津波警報の際にも防災センターに駆けつけまして、沿岸市町に対し避難勧告等の適切な実施、要援護者対策などを要請するとともに、県庁関係部局に対しても漁業関係者への周知や──網が流れないようにとか、船をきちんとつなぐようにとかいうことです──それと、持ち主が必ずしもすぐには特定できないようなプレジャーボートの係留の徹底──これは県当局がみずから見て回りましたが──そういうような対策を指示いたしました。また、防災ヘリ、県警ヘリでも上空からの警戒広報などの対策に当たりました。
 本県では、人的被害、住家被害などが発生しませんでしたけれども、避難勧告等を発令したにもかかわらず避難者が少なかったのではないかというような課題も出ており、検証していく必要があると考えております。
 こういう体制について、あるいは私自身の行動について、改善点あるいは問題点はないか、そういうことはいつも考えておりまして、このため、先日、市町村長さんと一緒にトップセミナーをやりまして、元京都大学の防災研究所の河田所長のグループに来ていただいて、それで危機のときにトップはどうあるべきかというようなことをシミュレーションとともにいろいろ勉強したところであります。
 今後も、大規模災害発生の折には、私が先頭に立ちまして迅速かつ的確に対策に当たってまいりたい、こんなふうに考えております。
○議長(冨安民浩君) 福祉保健部長北田佳秀君。
  〔北田佳秀君、登壇〕
○福祉保健部長(北田佳秀君) 和歌山県の医療、救急医療体制についての3点を一括してお答えいたします。
 まず、救急医療用ヘリコプター、いわゆるドクターヘリの夜間運航の実現についてでございます。
 ドクターヘリにつきましては、17道府県で導入されており、いずれも安全性等の観点から、日中のみの運航となっているのが現状でございます。
 夜間運航の実現に向けた午後8時までの拡大につきましては、安全面はもとより、県立医科大学附属病院の入院患者や地域住民への影響、必要な人員の確保や運航経費の増大等が引き続きの課題となっております。
 今後、防災ヘリコプターへの医師の同乗による夜間の救急搬送を行っている埼玉県での先進事例を研究しながら、照明施設の設置場所、ドクターカーとの併用方法なども含め、検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、県立医科大学救命救急センターの後方病床の確保についてでございます。
 県立医大では、効率的な救急病床の運用を図るため、救命救急センターの後方病床として一般病床の確保と集約化を行うとともに、日赤和歌山医療センターとの連携により重篤な救急患者を受け入れる体制を確保しているところでございます。
 今後、これら2つの救命救急センターに処置後の観察室を設けるなど整備するなど、救急外来機能を強化し、2次救急医療機関で対応可能な患者については、転院搬送することにより重篤な救急患者の適切な受け入れを行ってまいります。
 次に、2次救急医療の機能分担についてでございます。
 県におきましては、2次救急医療連携体制の強化に向け、今年度、和歌山県救急医療情報システムにおいて、救急医療を担当する専門医の配置情報を表示できるようにするなど、所要の改善を行っております。また、今般の消防法改正を踏まえ、傷病者の状況に応じた医療を提供できる医療機関のリストを定め、公表することになっております。
 こうした取り組みを進めることにより、各医療機関の専門性に応じた機能分担を図りながら、医療機関はもとより、消防機関等関係機関との緊密な連携を図ってまいります。
 次に、がん対策についての3点を一括してお答えいたします。
 まず、がん検診率の向上に向けては、あらゆる機会をとらえた普及啓発活動が重要であると認識しており、議員御提案の地域での医師などによる出前講座等につきましても、地域・職域連携協議会を通じ積極的に取り組んでいるところでございます。
 今後、スーパー、銀行等、企業の顧客窓口を通じた効果的な啓発、企業みずからの取り組みの促進、また多くの人が集まる地域、施設等での講演会や広報活動をきめ細かく展開することにより、さらなる受診率の向上を図ってまいります。
 次に、県全体を見通したがん治療体制の構築につきましては、質の高いがん医療を提供するため、県内のがん診療連携拠点病院6病院を地域医療ネットワークの中核と位置づけ、相談、診断から専門的治療、緩和ケアに至る一連の医療連携体制が整備されているところです。
 今後とも、すべての県民が質の高いがん治療を受けることができるよう、高度ながん医療の提供や新たな医療技術の開発等を行う県立医科大学附属病院の機能を強化しつつ、各拠点病院間の役割分担も図りながら、地域の実情に応じたがん治療体制の整備を進めてまいります。
 次に、がん専門医の養成についてでございますが、各がん拠点病院におきましては、集学的治療や緩和ケアの提供を行うため、がん専門医等の育成確保に努めてきており、特に県立医大におきましては、放射線療法、化学療法、病理診断や緩和ケア等のがん専門医を育成するため、国のがん専門医臨床研修モデル事業や、がんプロフェッショナル養成プランに取り組んでいるところです。
 また、各がん拠点病院への専門医の配置状況につきましては、がん診療連携拠点病院の指定要件である放射線療法や化学療法の専門医の配置基準を満たす診療体制を有しているということで、過日国の承認を受け、拠点病院の指定更新がなされたところであります。
 最後に、献血推進の取り組みについてでございます。
 新型インフルエンザの流行により、今年度は献血の減少が危惧されたところでございますけども、関係団体等の協力によりまして、県民の皆様から昨年度を上回る献血の協力をいただいたところです。
 高齢化が進む中、将来にわたり献血していただける方を確保する必要があることから、特に若年層の献血の推進に重点を置き、高校生に対する献血学習の開催や学生キャラバン隊による県下一円の献血推進運動に取り組んでいるところです。
 今後とも、献血経験者への呼びかけを強化するとともに、あらゆる機会をとらえた献血バスの効率的な配置や、民間企業、団体との協働による啓発など、積極的に献血活動を推進してまいります。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 危機管理監森 崇君。
  〔森 崇君、登壇〕
○危機管理監(森 崇君) まず、津波対策における排水溝の逆流等による被害想定についてでございますが、県では東海・東南海・南海地震等に備え、平成15年度から16年度にかけて津波浸水予測調査を行い、津波の高さや到達時間の予測を出し、次にそのデータを活用して平成16年度から17年度にかけて地震被害想定調査を行い、物的被害や人的被害及び社会的影響の予測を実施したところでございます。その調査結果を踏まえ、平成18年度に地震防災アクションプログラムを改定し、全庁挙げて防災対策を進めております。
 現在、海岸堤防等の排水口からの逆流による被害が生じるおそれのある箇所につきましては、水門や樋門、またはフラップゲート等により逆流対策を進めております。
 御指摘の被害想定は行っておりませんが、今後、学術的知見の進展を見ながら研究課題とさせていただきたいと考えております。
 次に、緊急時の県の役割についてでございますが、県におきましては、総合防災情報システムなどを活用して市町村が迅速かつ適切に避難勧告や避難指示を行えるよう情報提供を行っておりまして、今回の津波警報では、避難勧告等の適切な実施や住民への周知を図るために、警報発表後直ちに沿岸市町に対しその徹底を要請するとともに、県としても防災ヘリや県警ヘリのほか、海上保安庁などと連携した警戒広報を行ったところでございます。
 災害時における避難勧告等の発令につきましては、災害対策基本法に基づき市町村長が行うものとされていますが、これは住民に最も身近な市町村長が行うことが好ましいという法の趣旨によっているところでございます。しかしながら、避難勧告等は住民の安全にかかわる最も重要な事項でありますので、今後とも市町村と連携して、迅速かつ適切な対応がなされるよう取り組んでまいります。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再質問を許します。
 36番長坂隆司君。
○長坂隆司君 御答弁をいただきました。
 企業誘致ですが、ことし1月の13日から14日に大分県へ経済警察委員会の県外調査に参らせていただいたときに、大分県の熱心な企業誘致への取り組みを聞かせていただきました。
 大分県内では、地元の工業高校や職業訓練専門校において、進出してくれた企業に見合うような力を込めた人材育成が行われておりまして、そして東京事務所では、半ば専門化した商社マン顔負けの企業訪問などの積極的なアプローチと、不調に終わったときの原因究明に企業をもう一度お訪ねする、そういうふうに言っておられたのが非常に印象的でした。
 各県とも、大変企業誘致に力を入れているようであります。本県としても先を越されることのないように、知事を先頭に企業誘致にさらに取り組んでいただきたいと思います。
 防災についてでありますが、津波による排水溝の逆流の件でありますが、和歌山下津港の外貿埠頭のように海のほうへ突き出した岸壁はともかく、小さな漁港があって海岸にほど近いところに集落や住宅地があるところも、県内には何カ所かあるんじゃないかなと思うんです。
 津波に人や建物がのみ込まれてしまう大災害も恐ろしいですが、今回の気仙沼市のような排水溝の逆流による床上下浸水も、地域住民にとっては生活上大きな痛手を伴うものであります。県市町村を問わず、港湾施設管理者に対して、排水溝の逆流被害が身近に及ぶことはないか、避難路は確保できるかと、そういうことを総点検をしていただくように県当局から要請いただきたいと思います。
 がん対策についてでありますが、平成21年度の国の補正予算、女性特有のがん検診推進事業の一環で、昨年8月には女性がんである子宮がんと乳がんの検診を無料で受けられるクーポン券が配布されました。有効期限は3月末までですが、ことし1月の時点で和歌山市の対象者の約1割しか使用されていないと発表されています。県がん対策推進計画のがん検診受診率の目標値は50%とされておりますが、この無料クーポン券配布ががん検診率の向上に効果があったのかどうか、チェックをいただきたいと思います。
 平成18年度のデータであったかと思うんですけど、がん検診率は和歌山県全体で約15%、和歌山市が約10%、紀の川市が約40%と聞いております。現在では、県市町村当局を初め関係者の御尽力のおかげで、さらにアップしているとは思います。
 ここで着目すべきは、紀の川市の40%という高い受診率であります。あの医聖・華岡青洲先生の生誕の地でもありますし、もともと乳がんに対しての意識が高かったこともあるかもしれませんが、ピンクリボンキャンペーン、これの取り組みで高い受診率が得られているのではないでしょうか。和歌山県としてもピンクリボンなどのボランティア団体を援助することで、官民が一体となった活動を行ってさらなる受診率の向上に、それを目指していただきたいと思うわけであります。
 以上、要望させていただいて、私の一般質問を終わります。
○議長(冨安民浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で長坂隆司君の質問が終了いたしました。

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