平成22年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(全文)


県議会の活動

平成22年2月
和歌山県議会定例会会議録
第6号
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議事日程 第6号
 平成22年3月9日(火曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第31号から議案第46号まで、議案第48号から議案第59号まで及び議案第61号から議案第83号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第31号から議案第46号まで、議案第48号から議案第59号まで及び議案第61号から議案第83号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(43人)
 1番 泉 正徳
 2番 山本茂博
 3番 前芝雅嗣
 4番 浅井修一郎
 5番 吉井和視
 6番 向井嘉久藏
 7番 門 三佐博
 8番 町田 亘
 9番 服部 一
 10番 平木哲朗
 11番 花田健吉
 12番 須川倍行
 13番 大沢広太郎
 14番 谷 洋一
 15番 平越孝哉
 17番 岸本 健
 18番 川口文章
 19番 尾崎太郎
 20番 藤山将材
 21番 新島 雄
 22番 山下直也
 23番 井出益弘
 24番 宇治田栄蔵
 25番 多田純一
 26番 中 拓哉
 27番 角田秀樹
 29番 山田正彦
 30番 坂本 登
 31番 尾崎要二
 32番 中村裕一
 33番 片桐章浩
 34番 原 日出夫
 35番 藤本眞利子
 36番 長坂隆司
 38番 小川 武
 39番 冨安民浩
 40番 奥村規子
 41番 山下大輔
 42番 松坂英樹
 43番 藤井健太郎
 44番 雑賀光夫
 45番 野見山 海
 46番 松本貞次
欠席議員(なし)
〔備考〕
 16番 欠員
 28番 欠員
 37番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       曽根義廣
 危機管理監      森 崇
 総務部長       宮地俊明
 企画部長       前硲健作
 環境生活部長     井口悦治
 福祉保健部長     北田佳秀
 商工観光労働部長   永井慶一
 農林水産部長     下林茂文
 県土整備部長     茅野牧夫
 会計管理者      雑賀忠士
 教育委員会委員長   宮永健史
 教育長        山口裕市
 公安委員会委員    大桑いく嗣
 警察本部長      永松健次
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     楠本 隆
 選挙管理委員会委員長 諸木良介
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       藁科善崇
 次長         東岡誠吾
 議事課長       上坊 晃
 議事課副課長     土井敏弘
 議事課課長補佐兼班長 田中健司
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      瀧川泰治
 議事課主査      中村安隆
 総務課長       佐本 明
 調査課長       中井祥之
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  午前10時0分開議
○議長(冨安民浩君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第16号まで、議案第31号から議案第46号まで、議案第48号から議案第59号まで及び議案第61号から議案第83号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 36番長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、以下、通告に従いまして一般質問をさしていただきます。
 1つ目に、景気対策と雇用対策についてであります。
 日本経済は、世界経済危機がまだ収束していない中、鉱工業生産の水準は昨年末時点でピーク時の77%にすぎず、低迷を続けており、当分ピーク時水準に戻ることは難しいでしょう。賃金は、1998年の水準から2008年では7.6%も下落し、2009年に入ってからは断続的に3%近い減少が続いています。現金給与総額は、製造業5人以上、2009年8月までの統計で、19カ月連続で減少しています。また、家計の貯蓄率は、1990年の15%弱から2007年には2.2%まで下落し、この水準はヨーロッパ主要国が10%程度であるのと比べ、著しく低くなっています。これは収入が下がったために貯蓄を食いつぶしているのであり、このことも消費の足を引っ張っているのではないでしょうか。
 失業がふえ、賃金が減りました。国内需要が盛り上がらないわけであります。消費回復のためには、雇用を安定させて可処分所得を上げることが必要です。平成22年2月23日に内閣府が発表した月例経済報告において、景気の先行きについて、雇用情勢の一層の悪化や海外景気の下振れ懸念、デフレの影響など、景気を下押しするリスクが存在することに留意する必要があるとしています。
 さて、和歌山県は、平成22年度当初予算案において県税、特に法人2税が平成21年度に比べて49.1%減の115億円と半減するなど、自主財源の中で県税収入が754億円と、前年比17.6%減と落ち込んでいます。一方、県債は1036億円と1.4%増で、県債残高が平成22年度末残高見込みが9036億円と膨れ上がっています。
 また、和歌山税関支署の調べによると、県の平成21年分貿易額は、輸出入とも過去最大の落ち込みを記録しました。下降に転じたのは、輸出では平成11年、輸入では13年以来です。支署では、世界的な不況と重油価格の下落が響いたと分析しています。輸出額は前年比33.0%減、輸入額は同45.9%減であります。
 7月には参議院議員選挙があります。景気・経済対策を最大の争点として、前向きな選挙戦を戦っていただきたいものであります。
 さて、質問ですが、1つ目、本県は中小零細企業が多いとともに、輸出関連企業も円高で大幅減収にあえいでいます。景気浮揚のために即効薬というものはなかなかありませんが、例えば農林水産業といった1次産業の中で、本県の特産・特色を生かした振興策に力を注ぐのも1つの方法かと、個人的には思っております。その1次産品を利用できる食品産業は、景気悪化の中でも不況に強いと言われる比較的安定した産業の1つであります。加工を加えて付加価値を上げたいものであります。
 また、全国レベルで完全失業率は、平成21年7月の5.6%から平成22年1月で4.9%まで幾分持ち直し、有効求人倍率は、全国では昨年8月の0.42倍から本年1月に0.46倍へ、また和歌山県でも去年8月の0.51倍からことし1月で0.53倍と若干持ち直しているものの、依然低位で推移しています。高校新卒者の就職内定率も1月末現在で78.7%と、前年同月比5.9%も低下しています。
 本県は、労働者の受け皿がもともと小さいですが、離職を余儀なくされた方々への緊急雇用創出事業臨時特例基金の活用とともに、新たな雇用創出が急がれます。和歌山県として喫緊の問題である景気・雇用対策について今後どう取り組まれるか、仁坂知事のお考えをお伺いいたします。
 2点目に、県税収入を増大させるには、景気浮揚のために企業の活力が欠かせません。地場産業へのてこ入れだけでなく、企業誘致にも積極的な仁坂知事であります。現状の企業誘致の成果と今後の企業誘致施策についてお示しください。
 2番目に、和歌山県の医療についてであります。
 1つ目は、救急医療体制についてであります。
 和歌山県立医科大学の運航するドクターヘリも、年間約400回弱の出動を数えるようになり、多くの命を救ってくれています。現在、運航時間は、通常日の出から日の入りまで運航されています。平成16年度でしたか、和歌山県立医科大学附属病院救命救急センター長篠崎正博教授を初め7人の先生方が、「和歌山県での夜間ドクターヘリコプター運航における救命効果および経済効率についての研究」という研究成果報告を発表されています。
 その中で、我が国ではドクターヘリの夜間運航は行われておらず、ドクターヘリにより救急医療にも空白時間帯を生んでいると指摘し、和歌山県内の平成15年度の夜間救急車要請傷病者のうち、ドクターヘリの予測適応傷病者は686人、当時の運航体制でできる朝1時間早い午前8時からの運航開始では88人、操縦士の連続勤務が可能である8時から20時までの4時間運航延長では、全夜間ドクターヘリ適応症例の41.0%である281人のドクターヘリ適応症例が見込まれるために、段階的な夜間ドクターヘリ運航時間の拡大も考慮すべきとしています。
 島根県では、防災航空隊を中心とした防災ヘリによる患者の夜間緊急搬送が行われており、全救急ヘリコプター搬送件数のうちの20%から40%を占めています。島根県での夜間ヘリコプターは病院間のみの運用であり、受け入れ病院や搬送元ヘリポートでは夜間照明の整備がなされており、またヘリコプター搭乗員呼び出し制度が施行されています。
 また、和歌山県では夜間ドクターヘリ運航によって686人の年間救急傷病者が予測され、経済的損失回避が見込まれるために、24時間のドクターヘリ運用が望まれるとしています。さらに、夜間ドクターヘリ運航及び災害拠点病院などへの夜間ヘリポート照明設置は、東南海・南海地震などの災害医療にも必要であります。この研究成果をもとにすれば、まず段階的に夜間の運航時間の拡大による夜間ドクターヘリ運航も考慮に入れていただきたいわけであります。
 今、ドクターヘリの夜間飛行実験が全国で2カ所検討されていると聞きます。また、問題点として、コストがかかる、夜間照明の設置が必要、そして近隣の地域住民の承諾の問題があります。まず、本県としては主要な病院間搬送を検討いただきたいと思います。和歌山県立医科大学の屋上ヘリポートに夜間照明、そして南和歌山医療センターに夜間照明のあるヘリポートを設置いただくか、白浜空港の利用、そして新宮市には夜間照明のある紀南ヘリポートがあります。この3地点を結べば、障害物のない見通しのよい海岸線運航によって和歌山市、田辺・白浜地域、そして新宮市へと夜間のヘリポート間の運航は可能になるはずであります。そして、ドクターヘリ単独での病院間搬送が難しければ、近くまでドクターカーを控えておけば救急搬送は可能ではないでしょうか。
 ここで質問ですが、1つ目、ドクターヘリの夜間運航実現に向けて、当面夜8時までの運航を実現いただきたいと思いますが、いかがですか。また、ドクターヘリの夜間運航を可能にするために、地域に即したドクターカーの併用と和歌山県立医科大学ヘリポートへの夜間照明設置についてお考えいただきたいと思いますが、いかがですか。
 2点目に、和歌山県立医科大学のドクターヘリには格納庫がありません。附属病院13階にはそのスペースがありません。燃料供給地である和歌山市西浜の用地も、海に近くて防災上設置が難しいと聞きます。ドクターヘリがいつでもすぐに飛び立てるよう、常日ごろのメンテナンス体制は必要であります。格納庫があれば風雨はしのげますし、いつでも燃料補給もできます。ぜひドクターヘリの格納庫を適所につくっていただきたいと、要検討事項として要望させていただきます。
 3番目に、和歌山県立医科大学救命救急センターは26床で、1カ月のうち数日は明け方まで満床状態と聞きます。増床についてはどうお考えですか。せめて深夜だけでも、一般病床から後方ベッドを確保する体制がとれないでしょうか。
 4点目に、最近採算が合わないとして、救急告示病院や病院群輪番制参加病院が少なくなっています。1次、2次、3次の救急医療体制を円滑に機能させるため、2次救急病院を脳外科専門とか整形専門とか消化器専門とか循環器専門とかに特化して、それぞれの専門医の当直システムを構築してはいかがでしょうか。これによって特徴ある2次救急病院として、病院側としてもメリットも出てくるのではないでしょうか。
 以上3点、福祉保健部長にお答えいただきます。
 2点目に、がん対策についてであります。
 平成22年度の県の新政策の中にも、がん対策の総合的な推進を挙げていただいております。平成20年3月の和歌山県がん対策推進計画をもとに、がんの予防に関する普及啓発、がん検診の推進、がん検診従事者の技能向上、がん診療連携拠点病院の機能強化、患者、家族に対する支援として緩和ケア提供体制の充実、そして院内がん登録の推進をうたっていただいております。
 この和歌山県がん対策推進計画は、平成20年度から平成24年度までの5年間を策定期間としていますが、来年3月にはぜひ計画の進捗状況について中間評価を出せるよう、計画の御推進を要望したいと思います。
 そこで、質問ですが、1つ目、がん検診率を上げるために各地域で保健師さんも御尽力いただいておりますが、例えば和歌山市のような都市部においては、地域の各連絡所・支所や集会所で保健師、それに医師や看護師にも協力いただいて、がん検診の必要性を講演いただくミニ集会を開催して、がん検診率を上げる努力をしていくのはいかがでしょうか。これを全市に広げれば、講演会の前と後では随分受診率も変わってくるのではないでしょうか。ぜひ、和歌山県立医科大学や医師会と連携のもと、各市町村へがん検診の地域での普及啓発集会を呼びかけていただきたいと思いますが、いかがですか。
 次に、和歌山県のがん医療については、さらなるレベルアップをと、和歌山県立医科大学を中心に外科手術例等をもとにデータ収集、研究、学生の研修に余念がないことと思います。ぜひ、全国の他の大学病院に引けをとらないレベルのがん医療体制を整備していっていただきたいと思います。
 高難度のがん治療は、和歌山県立医科大学附属病院へ集中化いただいて、症例の多いがんについては県内のがん拠点病院で同一の高いレベルで治療をしていただいて、地域の拠点病院としての機能分担を図るなど、県におかれましてはがん患者が元気に長く生きられるよう、県全体を見通したがん治療体制を構築していっていただきたいと思いますが、いかがですか。福祉保健部長、お答え願います。
 3番目に、和歌山県立医科大学附属病院には化学療法センターがあります。がん治療には、3大がん治療として、外科手術、放射線治療とともに、抗がん剤を中心とする化学療法があります。2007年10月に和歌山県立医科大学附属病院内にオープンして、外来でのがん化学療法を基本として、医師、薬剤師、看護師、事務員などがチームをつくっておのおのの専門性を生かし、コーディネーター役として各診療科と協力し合っておられます。この抗がん剤治療の専門家が腫瘍内科医であります。
 昨今、全国でがんの専門医を育成することが盛んに行われているそうですが、和歌山県において国のがん対策推進計画にも挙げられている病理医、放射線治療医、腫瘍内科医の養成は進んでいるのでしょうか。また、がん拠点病院にそれぞれ十分配置されているのでしょうか、福祉保健部長にお伺いいたします。
 3番目に、本県でも高齢化が進んで、血液不足が叫ばれております。県下各地の病院の設備も医療も高度になり、手術室も多くなってきています。血液が足りないときは他府県にもお願いしているそうですし、土日には大手スーパーにも献血の協力をお願いしている状況と聞きます。今後ますます高齢化が進んでまいります。献血推進のためにどんな取り組みをなされているか、福祉保健部長にお伺いいたします。
 3点目に、防災についてであります。
 去る2月20日土曜日、社会福祉法人和歌山県社会福祉協議会災害時対応訓練プロジェクトチーム、そして社会福祉法人和歌山市社会福祉協議会が主催し、和歌山県災害ボランティアセンターが協力して平成21年度ワークキャンプ、災害時対応訓練が和歌山市の城北小学校体育館で行われました。
 県社協の小谷局長から、県社協の今回の役目として、1、災害ボランティアセンターの機能が発揮できるようコーディネートを行う、2、要支援者の支援として見守り、情報提供、相談を行う、3、いろんな機関が連携して支援していけるようにコーディネートを行って日ごろから顔の見える関係をつくるの3点を挙げて、訓練はうまくいかなくてもいい、いろんな課題が出てきてどう克服して次につなげていくか、課題を浮き彫りにしていくのが目的であるとも言っておられました。
 当日、地元の各種団体、防災士などの災害ボランティアも参加して熱心に取り組んでおられました。まさに災害時には、まず自分を、家族を守る自助、そして要援護者を助けて御近所と協力し合う共助が大切であり、日ごろの自主防災訓練の取り組みは大きな意義があるものと思います。
 最近、突発的な災害の起こる頻度が高くなっています。記憶に新しいところですと、和歌山市内では平成20年5月25日未明の大雨により、七瀬川水域の和歌山市山口地区平岡から岩出市吉田に至る六箇井用水路のはんらんによる冠水や浸水、それに安原地区、山東地区の土砂崩れ等による農産物被害、また昨年11月11日未明の1時間約120ミリもの豪雨による和歌山市内床上浸水461棟、床下浸水1819棟、それにたくさんの自動車の水没も見受けられました。そして、南米チリ中部で発生した巨大地震による津波が、去る2月28日午後、県内沿岸に到着しました。串本町袋港で県内最大の90センチを観測し、警報発令によって交通機関等に大きな影響がありました。
 このように、豪雨、洪水、浸水、地震、津波等、天災はいつ来るかもしれず、まず自分たちの住む地域は自分たちで守ろうということで、例えば11月11日の豪雨の際も、1時間50ミリという通常の下水処理能力をはるかに超える雨量であったとはいえ、地元高松地区では、まず道路わきの取水口にごみがたまって床上下浸水の大きな一因となったことにかんがみて、警報発令後、できるだけ自治会の地域住民で率先して取水口のチェックもしていこうという機運も高まっていますし、こんなとき、行政職員、そして地域の議員が先導役となることが必要ではないかと地元でも思い知らされました。
 まさに災害発生でパニック状況にある中、自助・共助をカバーする公助の必要性は、大きなものがあると思います。警報が発令されたらすぐに現場に向かう、地域住民の先頭に立って被害を最小限に食いとめる、その姿勢が問われると思いました。本県にいつ東南海・南海大地震が発生するかもしれないし、いつ台風やゲリラ豪雨が襲ってくるかもしれません。公助の観点から、大災害時の総司令官としての仁坂知事の心構えをお尋ねいたします。
 2点目に、南米チリで起きた巨大地震に伴う津波で、宮城県気仙沼市で海につながる排水溝を海水が逆流し、マンホールや側溝からあふれて道路などに浸水被害をもたらしました。海岸線から約400メートル離れた住宅街で、28日午後4時過ぎ、海岸線から水が押し寄せる約15分前に、側溝から水が約20センチの高さで噴出したことがわかりました。海岸線から約30メートル離れた魚市場前でも、マンホールから水が約50センチほどあふれ出しました。その後、岸壁から水も押し寄せて、50センチ前後の冠水があったようです。
 港の岸壁では、通常、満潮時より高い位置に下水の排水口が設置されています。しかし、津波で海水面が排水口よりも高くなり、海水が排水口から排水管や排水溝を逆流していったようです。3月2日の「読売新聞」で、東北大学の津波工学の今村教授によれば、「排水溝を逆流する海水は、海岸線や港湾の岸壁などを乗り越えて陸地を襲う海水よりも浸水が速く、波が防潮堤を乗り越えなくても浸水被害をもたらすことになり、逃げ場を失うことになりかねない。予想される津波の高さだけで、安全性を判断するのは危険だ」と言っています。下水道整備が進んでいる地域でも、同様の被害が出る可能性があり、地面の下を通る海水も意識して防災計画を見直すべきだと訴えておられます。
 今回のチリ津波による本県の直接的被害はなかったようですが、和歌山県の津波対策において、海岸部の護岸の排水溝の逆流等による被害想定はなされているのでしょうか、危機管理監にお尋ねいたします。
 3点目に、避難勧告が出るまでは避難しなくてもいいと思っている人も圧倒的に多く、勧告や指示が出ても、今回のチリ津波において実際に避難した人はわずかであったように思います。災害対策基本法では、避難勧告を初め、住民に情報を伝える責務が市町村に集中しています。防災対策の進んでいる静岡県の静岡大学防災総合センター准教授の牛山素行氏によると、国や都道府県から膨大な情報を得て、住民にいつ、何を、どう伝えるかを判断するには、専門的な知識と熟練が要るのに、人材が決定的に不足していると言います。
 確かに、通常、担当者は2年から3年でかわり、知識を蓄えるのが難しい状況でしょう。国や都道府県も、みずからを含め、エキスパートを育てることは緊急の課題でありましょう。避難勧告についてちゅうちょしていてはいけないと思いますが、避難所開設に伴う費用は市町村負担でありますし、災害対策基本法では避難勧告の権限を市町村にだけ与えて、都道府県は情報提供にとどまっています。県当局においては、緊急時には市町村に避難勧告をするよう指導したり、みずから勧告や指示を行うことはできないのでしょうか。危機管理監にお尋ねいたします。
 以上、大きく3点、一般質問を第1回目、終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、景気・雇用対策についてでございますけれども、本県経済は一部に持ち直しの兆しが見られるものの、消費や雇用の低迷など、依然として厳しい状況にあると認識しております。県内企業の大半を占める中小企業の活力向上、安定的な雇用の確保が県経済の浮揚につながる大切な点であると考えております。
 県といたしましては、急激な景気悪化に即応して緊急経済対策本部を立ち上げ、中小企業の資金繰り支援や「和歌山で働きませんか!」等の一連の雇用プロジェクト、あるいは緊急雇用、ふるさと雇用の両基金を活用した雇用対策などを鋭意進めてきたところであります。
 景気の低迷が長期化する中で、体力の弱っている県内中小企業の今を下支えし、あるいは1人でも多くの雇用を確保、創出する的確な対応が必要であると思います。
 このため、産業別担当者制度などを活用いたしまして県内業況の把握にきめ細かく努めながら、県制度融資の拡充などで引き続き中小企業の資金繰りに万全を期すとともに、両基金を活用いたしまして、離職された方向けの雇用機会の創出や、あるいは今特に問題になっております高校生の就職支援策などの雇用対策を機動的かつ積極的に講じてまいりたいと考えております。
 このように、経済は生き物でございますので、その都度問題が生じてまいります。その問題にスピーディーに対応することが大事だと考えております。
 また一方、このようなときにこそ、県民があすに希望の持てる成長産業の種をまき、育成することも重要であると考えております。
 県といたしましては、エネルギー、環境やバイオなど先端的産業分野における先駆的技術開発を支援するとともに、議員御指摘のように、本県の豊かな農林水産物といった地域資源を活用した食品加工分野等での新商品の開発支援や農商工連携の促進、さらにはすぐれた県産品の県外あるいは海外への販路拡大支援など、本県産業の活力をつくり、ひいては安定的な雇用の創出につながるように積極果敢に頑張ってまいりたいと考えております。
 次に、企業誘致でございます。
 自分自身も結構いろいろと勧誘に行きました。企業立地課で調べたところ、私も数えて行ったわけじゃないんですが、こういういわゆるトップセールスというもので137社、どうも行ったようであります。このように精力的に誘致活動を展開いたしましたが、知事就任以来の本県の企業立地件数──これは設備投資を県内でやってやろうという、そういうベースでありますが、これは72件となりまして、雇用創出効果は約1000人を超えました。従前と比べ、飛躍的に増加はしております。
 しかしながら、厳しい経済情勢の中、全国的に企業立地が停滞しております。したがって、戦略性をより高めながら、より効果的な誘致活動が必要と考えておりまして、特に今後の成長分野へ力を特化する、そういうこと等、本県の特徴を生かした誘致戦略が重要となってくるかなというふうに思っております。
 そこで、新エネルギー関連産業など、地球温暖化対策としての市場の急拡大により新規投資が見込まれることから、業界動向を的確に把握し、部材から完成品に至るまできめ細かなアプローチを続けてまいりたいと思います。また、本県の豊かな農林水産資源を活用した食品加工等の地域資源活用型産業では、さきに御説明いたしました県内産業への総合的な取り組みと連携した誘致活動を全力で進めてまいります。
 次に、防災でございます。司令官として知事の心構えということであります。
 県民の安全・安心を守ることは、県行政の中でも最も大事なことであります。災害に備え、県民の皆様に自助、共助を常日ごろからお願いしておりますが、県におきましても東南海・南海地震などを想定し、関係機関と連携したさまざまな訓練を実施したり、地震防災アクションプログラムに基づき種々の施策に取り組んでおります。
 災害が起こったとき、危機管理局を初め関係職員もそれぞれの部署や現場で懸命に取り組んでおりますけれども、特にトップである私の役割は大変大きいものだと思っております。今までも大規模な山林火災あるいは水害、そういうものの際には、主として南別館の防災センターに私自身陣取りまして、陣頭指揮をとってまいりました。一応災害が一段落ついたというところで、自衛隊やあるいは消防団、警察の方々にお礼に行ったり、あるいは被害状況を見に行ったり、あるいは避難者の方々への慰問を申し上げたり、被害を受けた方が損害賠償を求めてるときに直接話し合いに応じたり、そういうふうに外へ出かけていくということもやっております。
 去る2月28日の津波警報の際にも防災センターに駆けつけまして、沿岸市町に対し避難勧告等の適切な実施、要援護者対策などを要請するとともに、県庁関係部局に対しても漁業関係者への周知や──網が流れないようにとか、船をきちんとつなぐようにとかいうことです──それと、持ち主が必ずしもすぐには特定できないようなプレジャーボートの係留の徹底──これは県当局がみずから見て回りましたが──そういうような対策を指示いたしました。また、防災ヘリ、県警ヘリでも上空からの警戒広報などの対策に当たりました。
 本県では、人的被害、住家被害などが発生しませんでしたけれども、避難勧告等を発令したにもかかわらず避難者が少なかったのではないかというような課題も出ており、検証していく必要があると考えております。
 こういう体制について、あるいは私自身の行動について、改善点あるいは問題点はないか、そういうことはいつも考えておりまして、このため、先日、市町村長さんと一緒にトップセミナーをやりまして、元京都大学の防災研究所の河田所長のグループに来ていただいて、それで危機のときにトップはどうあるべきかというようなことをシミュレーションとともにいろいろ勉強したところであります。
 今後も、大規模災害発生の折には、私が先頭に立ちまして迅速かつ的確に対策に当たってまいりたい、こんなふうに考えております。
○議長(冨安民浩君) 福祉保健部長北田佳秀君。
  〔北田佳秀君、登壇〕
○福祉保健部長(北田佳秀君) 和歌山県の医療、救急医療体制についての3点を一括してお答えいたします。
 まず、救急医療用ヘリコプター、いわゆるドクターヘリの夜間運航の実現についてでございます。
 ドクターヘリにつきましては、17道府県で導入されており、いずれも安全性等の観点から、日中のみの運航となっているのが現状でございます。
 夜間運航の実現に向けた午後8時までの拡大につきましては、安全面はもとより、県立医科大学附属病院の入院患者や地域住民への影響、必要な人員の確保や運航経費の増大等が引き続きの課題となっております。
 今後、防災ヘリコプターへの医師の同乗による夜間の救急搬送を行っている埼玉県での先進事例を研究しながら、照明施設の設置場所、ドクターカーとの併用方法なども含め、検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、県立医科大学救命救急センターの後方病床の確保についてでございます。
 県立医大では、効率的な救急病床の運用を図るため、救命救急センターの後方病床として一般病床の確保と集約化を行うとともに、日赤和歌山医療センターとの連携により重篤な救急患者を受け入れる体制を確保しているところでございます。
 今後、これら2つの救命救急センターに処置後の観察室を設けるなど整備するなど、救急外来機能を強化し、2次救急医療機関で対応可能な患者については、転院搬送することにより重篤な救急患者の適切な受け入れを行ってまいります。
 次に、2次救急医療の機能分担についてでございます。
 県におきましては、2次救急医療連携体制の強化に向け、今年度、和歌山県救急医療情報システムにおいて、救急医療を担当する専門医の配置情報を表示できるようにするなど、所要の改善を行っております。また、今般の消防法改正を踏まえ、傷病者の状況に応じた医療を提供できる医療機関のリストを定め、公表することになっております。
 こうした取り組みを進めることにより、各医療機関の専門性に応じた機能分担を図りながら、医療機関はもとより、消防機関等関係機関との緊密な連携を図ってまいります。
 次に、がん対策についての3点を一括してお答えいたします。
 まず、がん検診率の向上に向けては、あらゆる機会をとらえた普及啓発活動が重要であると認識しており、議員御提案の地域での医師などによる出前講座等につきましても、地域・職域連携協議会を通じ積極的に取り組んでいるところでございます。
 今後、スーパー、銀行等、企業の顧客窓口を通じた効果的な啓発、企業みずからの取り組みの促進、また多くの人が集まる地域、施設等での講演会や広報活動をきめ細かく展開することにより、さらなる受診率の向上を図ってまいります。
 次に、県全体を見通したがん治療体制の構築につきましては、質の高いがん医療を提供するため、県内のがん診療連携拠点病院6病院を地域医療ネットワークの中核と位置づけ、相談、診断から専門的治療、緩和ケアに至る一連の医療連携体制が整備されているところです。
 今後とも、すべての県民が質の高いがん治療を受けることができるよう、高度ながん医療の提供や新たな医療技術の開発等を行う県立医科大学附属病院の機能を強化しつつ、各拠点病院間の役割分担も図りながら、地域の実情に応じたがん治療体制の整備を進めてまいります。
 次に、がん専門医の養成についてでございますが、各がん拠点病院におきましては、集学的治療や緩和ケアの提供を行うため、がん専門医等の育成確保に努めてきており、特に県立医大におきましては、放射線療法、化学療法、病理診断や緩和ケア等のがん専門医を育成するため、国のがん専門医臨床研修モデル事業や、がんプロフェッショナル養成プランに取り組んでいるところです。
 また、各がん拠点病院への専門医の配置状況につきましては、がん診療連携拠点病院の指定要件である放射線療法や化学療法の専門医の配置基準を満たす診療体制を有しているということで、過日国の承認を受け、拠点病院の指定更新がなされたところであります。
 最後に、献血推進の取り組みについてでございます。
 新型インフルエンザの流行により、今年度は献血の減少が危惧されたところでございますけども、関係団体等の協力によりまして、県民の皆様から昨年度を上回る献血の協力をいただいたところです。
 高齢化が進む中、将来にわたり献血していただける方を確保する必要があることから、特に若年層の献血の推進に重点を置き、高校生に対する献血学習の開催や学生キャラバン隊による県下一円の献血推進運動に取り組んでいるところです。
 今後とも、献血経験者への呼びかけを強化するとともに、あらゆる機会をとらえた献血バスの効率的な配置や、民間企業、団体との協働による啓発など、積極的に献血活動を推進してまいります。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 危機管理監森 崇君。
  〔森 崇君、登壇〕
○危機管理監(森 崇君) まず、津波対策における排水溝の逆流等による被害想定についてでございますが、県では東海・東南海・南海地震等に備え、平成15年度から16年度にかけて津波浸水予測調査を行い、津波の高さや到達時間の予測を出し、次にそのデータを活用して平成16年度から17年度にかけて地震被害想定調査を行い、物的被害や人的被害及び社会的影響の予測を実施したところでございます。その調査結果を踏まえ、平成18年度に地震防災アクションプログラムを改定し、全庁挙げて防災対策を進めております。
 現在、海岸堤防等の排水口からの逆流による被害が生じるおそれのある箇所につきましては、水門や樋門、またはフラップゲート等により逆流対策を進めております。
 御指摘の被害想定は行っておりませんが、今後、学術的知見の進展を見ながら研究課題とさせていただきたいと考えております。
 次に、緊急時の県の役割についてでございますが、県におきましては、総合防災情報システムなどを活用して市町村が迅速かつ適切に避難勧告や避難指示を行えるよう情報提供を行っておりまして、今回の津波警報では、避難勧告等の適切な実施や住民への周知を図るために、警報発表後直ちに沿岸市町に対しその徹底を要請するとともに、県としても防災ヘリや県警ヘリのほか、海上保安庁などと連携した警戒広報を行ったところでございます。
 災害時における避難勧告等の発令につきましては、災害対策基本法に基づき市町村長が行うものとされていますが、これは住民に最も身近な市町村長が行うことが好ましいという法の趣旨によっているところでございます。しかしながら、避難勧告等は住民の安全にかかわる最も重要な事項でありますので、今後とも市町村と連携して、迅速かつ適切な対応がなされるよう取り組んでまいります。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再質問を許します。
 36番長坂隆司君。
○長坂隆司君 御答弁をいただきました。
 企業誘致ですが、ことし1月の13日から14日に大分県へ経済警察委員会の県外調査に参らせていただいたときに、大分県の熱心な企業誘致への取り組みを聞かせていただきました。
 大分県内では、地元の工業高校や職業訓練専門校において、進出してくれた企業に見合うような力を込めた人材育成が行われておりまして、そして東京事務所では、半ば専門化した商社マン顔負けの企業訪問などの積極的なアプローチと、不調に終わったときの原因究明に企業をもう一度お訪ねする、そういうふうに言っておられたのが非常に印象的でした。
 各県とも、大変企業誘致に力を入れているようであります。本県としても先を越されることのないように、知事を先頭に企業誘致にさらに取り組んでいただきたいと思います。
 防災についてでありますが、津波による排水溝の逆流の件でありますが、和歌山下津港の外貿埠頭のように海のほうへ突き出した岸壁はともかく、小さな漁港があって海岸にほど近いところに集落や住宅地があるところも、県内には何カ所かあるんじゃないかなと思うんです。
 津波に人や建物がのみ込まれてしまう大災害も恐ろしいですが、今回の気仙沼市のような排水溝の逆流による床上下浸水も、地域住民にとっては生活上大きな痛手を伴うものであります。県市町村を問わず、港湾施設管理者に対して、排水溝の逆流被害が身近に及ぶことはないか、避難路は確保できるかと、そういうことを総点検をしていただくように県当局から要請いただきたいと思います。
 がん対策についてでありますが、平成21年度の国の補正予算、女性特有のがん検診推進事業の一環で、昨年8月には女性がんである子宮がんと乳がんの検診を無料で受けられるクーポン券が配布されました。有効期限は3月末までですが、ことし1月の時点で和歌山市の対象者の約1割しか使用されていないと発表されています。県がん対策推進計画のがん検診受診率の目標値は50%とされておりますが、この無料クーポン券配布ががん検診率の向上に効果があったのかどうか、チェックをいただきたいと思います。
 平成18年度のデータであったかと思うんですけど、がん検診率は和歌山県全体で約15%、和歌山市が約10%、紀の川市が約40%と聞いております。現在では、県市町村当局を初め関係者の御尽力のおかげで、さらにアップしているとは思います。
 ここで着目すべきは、紀の川市の40%という高い受診率であります。あの医聖・華岡青洲先生の生誕の地でもありますし、もともと乳がんに対しての意識が高かったこともあるかもしれませんが、ピンクリボンキャンペーン、これの取り組みで高い受診率が得られているのではないでしょうか。和歌山県としてもピンクリボンなどのボランティア団体を援助することで、官民が一体となった活動を行ってさらなる受診率の向上に、それを目指していただきたいと思うわけであります。
 以上、要望させていただいて、私の一般質問を終わります。
○議長(冨安民浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で長坂隆司君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 20番藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕(拍手)
○藤山将材君 議長のお許しをいただきましたので、6点にわたって一般質問をさしていただきます。どうぞよろしくお願いをいたします。
 まず1点目、和歌山県モバイル情報館の充実とプレミア和歌山の販売促進についてお尋ねをいたします。
 今や、インターネット利用の人口普及率が75%を超え、携帯電話からの利用も年々ふえてきております。最近は、ツイッターというミニブログが流行し出し、政治家やミュージシャン、著名人や企業経営者が続々と参加し始めたことにより、その広がりに拍車がかかっているようであります。
 ソフトバンクの孫社長、楽天の三木谷会長なども、ユーザーからの「つぶやき」といわれる書き込みに対して返信するそうで、孫社長に至ってはツイッターで社員に指示を出したりもしているとのことであります。
 厳しい経済情勢の中で、デパートやスーパーの売り上げが軒並み下がっているのに対し、通販やネット販売が伸びており、昨年は過去最高となったということであります。これを「巣ごもり消費」と言うそうでありますが、ネット通販最大手の楽天市場も、昨年、最高益を記録したとのことであります。
 現在県が開設している携帯モバイルサイトの和歌山県モバイル情報館を見てみますと、県民に対してのお知らせのような印象が強くなっており、残念ながら特産物の紹介や販売などにつながるものに関しては、なぜか観光情報の中の、しかも最後のほうに載せられていて、たどり着いたときにはもうくたくたというのが現状であります。一方で、ことしの初詣の情報がつい最近まで掲載されているなど、いかがなものかと感じた次第であります。
 幾つかの自治体のモバイルサイトを見てみたところ、どこともよく似たものでありますが、前段申し上げましたように、携帯電話によるインターネットの利用が増加をしておりますので、早期に内容充実を図り、各セクションがリンクするなど利便性を高め、県のPRにつなげるべきと考えます。同時に、それを多くの人に見てもらうための工夫が非常に重要であります。
 御紹介しますと、宮崎県のブランド推進に係るモバイルサイトを見てみますと、県産品の紹介のみならず、その料理方法まで写真つきで掲載し、消費者の買いたい、食べてみたいという心をくすぐる内容になっています。さらに、ブランドを紹介するパンフレットには、QRコードを載せてサイトを手軽に見てもらえるようにしています。
 このQRコードについては、平成19年12月定例会において、私の質問に対し、商工観光労働部長から「優良土産品推薦制度にかわるプレミア和歌山の制度の中で取り入れたい」と、また農林水産部長からは「QRコードを活用して携帯電話からわいわい市場にアクセスできるようしたい」と答弁がありました。しかしながら、今回でき上がったこのプレミア和歌山のPRパンフレットには活用されていません。わいわい市場については、モバイル情報館で閲覧可能になりましたが、観光情報の中ではなく、独立させ、もう少し見てもらいやすい位置に配置し直す必要があると思います。
 そこで、改めて、今回は知事にお尋ねをいたします。
 和歌山県モバイル情報館の充実と見てもらうための工夫についてのお考えをお聞かせください。
 さらに、県特産品の販売戦略について考えてみたいと思います。
 県は、販売戦略の1つとして、大阪名物のロールケーキである堂島ロールに県産オリジナルイチゴの「まりひめ」を売り込んで採用してもらうなど、和歌山産ブランドの向上と販路開拓に取り組まれています。
 このような季節感のあるタイムリーな取り組みを今後も期待しますが、せっかく「まりひめ」を使っていただくのですから、例えば事業者の御理解、御協力のもと、包装紙に「まりひめ」のQRコードを印刷させていただければ、さらなるPRにつながっていくのではないかというふうに思います。
 また、プレミア和歌山は県産品販売の牽引役であることから、そのブランドを県内外に広く知ってもらい、ブランドイメージの定着を図ることは、県産品全体の販売促進につながっていくことになると思います。そのためにはモバイル用のインターネットの利用が大変有効であると考えますが、プレミア和歌山の定着方法と販売促進策についてのお考えをお聞かせ願います。
 2番目に、プロスポーツキャンプの誘致と地域振興についてお尋ねをいたします。
 先日、宮崎を訪問してまいりました。折しもプロスポーツキャンプの真っただ中で、平日にもかかわらず、たくさんのファンや観光客でにぎわっていました。これが週末ともなると、地元の人も出てごった返すとのことでありました。
 宮崎県には、プロ野球は5球団が、Jリーグは40チーム中半数以上に当たる21チームがキャンプを張っており、さらに韓国からもプロ野球の2球団がキャンプを張るという、まさにプロスポーツキャンプのメッカと言っても過言ではなく、閑散期と言われる2月にもかかわらず地域に活気があり、うらやましい限りでありました。
 施設の状況に目を向けますと、人口や財政状況なども本県とさほど変わらないのに、野球場やサッカー場、総合運動公園などすばらしく整備されており、プロチームが選ぶのも納得といった感がありました。
 本県の状況はと言いますと、現時点では残念ながらそこまでの施設は整っていません。しかしながら、2015年の国体開催に向け各地で施設整備が行われる予定になっており、田辺市や上富田町でもサッカー場が新たに整備されると聞いております。せっかく整備するのですから、その後の有効活用を今から考えておく必要があるわけで、この点は国体施設整備方針にもありますし、12月議会で同僚議員からも質問があったとおりであります。
 1月末に紀三井寺総合公園でキャンプを張ったヴァンフォーレ甲府からも、芝生の手入れやメンテナンスに対して高評価であったと聞きますし、宿泊したロイヤルパインズホテルも好評であったと聞いております。今後、継続的に来ていただくことを願う次第でありますが、そのためには積極的な誘致の取り組みをしていかなければなりません。
 3年前、J1の柏レイソルが上富田のスポーツ公園で夏季キャンプをした際には、白浜空港から入り白浜に宿泊し、スポーツ公園との間をバスで行き来したとのことで、これだけでも経済的効果は明らかです。さらに、人気チームや関西のチームになれば、ファンが詰めかけるということが宮崎の例からもわかるように、地域振興に係る効果は絶大であると思います。
 確かに、各施設単体では、宮崎県や現在キャンプが張られている自治体に比べ劣るかもしれませんが、地域が一体となって協力し、うまく活用していけば誘致も可能ではないでしょうか。宮崎県の場合は、県の観光振興課に専任の担当者を置いて、プロスポーツキャンプの誘致については企業誘致の1つであるというとらえ方に基づき、積極的な取り組みを行っています。和歌山県として地元市町村とタイアップして、また市町村が協力し合えるよう、県が牽引役または接着剤となって積極的な取り組みを行っていく必要があると考えますが、商工観光労働部長の考えをお聞かせください。
 3番目に、観光立県和歌山にふさわしい公共的施設などのあり方についてお尋ねをいたします。
 去る2月25日、厚生労働省健康局長から「受動喫煙防止対策について」の通知がなされ、報道でも大きく取り上げられました。喫煙が心筋梗塞や肺がんなどを引き起こす原因になるとされていることから、これまでも厚生労働省は、不特定多数の人が利用する公共施設などでは分煙などの対策をとるよう求めてきました。
 しかし、今回の通知は、喫煙場所の煙がほかの場所に流れ出すなど、これまでの受動喫煙を防ぐ対策は不十分だとして、全国の都道府県や保健所のある自治体などに対し、デパートや官公庁、学校など、屋内の公共施設では原則としてすべて禁煙にするよう求めたものであります。
 また、今回の通知では、たとえ屋外であっても子供が利用するとされる公共的な空間、具体的には公園や通学路を想定しているようでありますが、受動喫煙を防ぐための配慮が必要であるとしています。
 一方で、一部飲食店など、すべて禁煙にすると経営に影響を及ぼすおそれがある場合には、分煙を認めるとしています。これも世界の大きな流れで、仕方のないことかもしれません。
 ことしの10月には、またたばこが値上げされるようでありますし、サラリーマン川柳でも、過日、「愛煙家 税金取られ 場所とられ」というのが入選をしておりましたが、愛煙家にはますます肩身が狭くなるばかりかというふうに思います。
 自治体における分煙等の取り組みについて例を挙げますと、東京千代田区は8年前の平成14年、全国で初めて路上での喫煙を禁じる条例を設けましたが、この4月からはこれまで対象外であった永田町や霞が関などにも範囲を広げて、区内のほぼ全域において路上喫煙を禁止することになるそうです。
 また、鳴き砂で有名な琴引浜のある京都府京丹後市は、平成13年にその鳴き砂を守るため、キャンプや花火とともに喫煙を禁止する、海水浴場としては全国初となる条例を制定し、その後、熱海市のサンビーチや昨年の白浜町の白良浜がこれらに続いています。
 直近では、神奈川県が大勢の人が利用する施設での喫煙を規制する、全国で初めての公共的施設における受動喫煙防止条例をつくり、来月から施行されますが、努力義務ではなく、条例に従わない人や施設には過料を科す罰則もあるように聞いております。
 このような流れの中、本県においても公共施設などにおける分煙などについて進めていかねばなりません。いよいよこの4月から和歌山県観光立県推進条例も施行されますが、観光立県や環境先進県を標榜している和歌山県としては、県民は言うに及ばず、観光客が受動喫煙による健康被害を気にするようであっては困ると思いますので、県内各地の観光地においても分煙などを進めていく必要があろうかと考えます。特に、和歌山県の観光の売りは海でありますので、まず政策の象徴としてビーチにおける分煙を考えてみてはどうでしょうか。御所見を知事に尋ねます。
 4番目に、青少年の携帯電話による有害サイト閲覧禁止についてお尋ねをいたします。
 昨年4月1日から青少年インターネット環境整備法が施行されたことにより、18歳未満の子供が出会い系サイトなどの有害サイトに接続できなくするフィルタリングサービスの導入が携帯電話事業者やパソコンメーカーに義務づけされています。
 しかしながら、出会い系サイトからの少女買春やネット上でのいじめ、有料サイトからの高額の利用料請求などのトラブル、また悲惨な事件に巻き込まれるような事態が後を絶たないことは御承知のとおりであります。
 幾つかの携帯電話販売店に聞いてみますと、フィルタリングについての説明はなされていますが、後に保護者が子供にねだられ解除してしまうことが多いとのことでありました。また、ほかでは、フィルタリングをかけること自体に対して疑問を投げかけるような対応をする販売店もあったように聞いております。
 東京都では、買い与える保護者の理解不足も一因と見ていて、購入時の目安にと、ことしの秋から、子供にとって安全な機能だけに絞った携帯電話を「推奨ケータイ」として指定する方針であるようであります。石川県では、防災や防犯以外の目的で小中学生に携帯電話を持たせないようにする保護者の努力義務を盛り込んだ、県いしかわ子ども総合条例改正案が昨年可決されました。これは全国初の小中学生に対する所持規制の条例であり、同時に、フィルタリングを解除する場合には保護者が書面で理由を提出することを携帯電話販売事業者に義務づけしています。兵庫県においても、同様の条例が施行されていると聞いています。
 このように、規制などの取り組みが全国各地で進みつつあるようですが、和歌山県の状況をどのように認識しているのか。また、今後の取り組みについてもお示しをください。
 5番目に、交番、駐在所の立地についてお尋ねをいたします。
 私の地元の海南市の海南駅前交番は、昭和61年に当時の海南市長から土地区画整理事業で要請があり、現在の場所に移転しました。しかしその後、平成6年にマリーナシティができて、海南駅がポルトヨーロッパへの玄関口になりました。また、平成16年の高野・熊野の世界遺産登録を受けて、藤白神社や藤白坂などを訪れる観光客もふえてきております。
 案内板等は現在ありますが、駅の東側には繁華街もでき、また駅高架下も暗く危険な状況でありますので、現在の駅から離れており、しかも駅利用者からわからない立地では治安維持のためには十分でなく、利用者には大変不便であります。海南駅前交番の立地条件について、移転の可能性も含めてどうお考えなのか、警察本部長にお尋ねをいたします。
 また、現在県内には交番が59カ所、駐在所が109カ所ありますが、老朽化がかなり進んでいると聞きます。財政的にも厳しい折、建てかえもなかなか困難な状況かと思いますが、海南駅前交番同様に、整備してから何年もたって交通状況や住宅の状況など周辺環境が変化している地域もあると思います。そういう中で治安維持機能が十分発揮されているのか、気になっています。
 そこで、県内の交番や駐在所の立地について、現状と考え方をお聞かせください。
 最後に、教職員の選挙関与についてお尋ねをいたします。教職員組合に所属する教員の選挙運動についてであります。
 北海道教職員組合の幹部が公職選挙法違反並びに資金提供による政治資金規正法違反により逮捕されるという事件が話題を集めています。北海道教職員組合の幹部が、民主党の小林千代美衆議院議員の選挙に際し、買収容疑で起訴され、また今回は後援会に違法に選挙資金を提供していた疑いで捜査が行われています。
 これまでも、平成16年に山梨県教職員組合に所属する教員が、輿石東参議院議員の選挙支援のために組織的に資金を集めていたことや、後援会入会カード集めを保護者に強要するなどの活動が公然と行われたとして起訴されました。
 教員の政治的行為については、教育公務員特例法により厳しい制限が加えられていますし、子供を預けている保護者や何よりも子供たちのことを考えると、政治的に中立を求められるのは当然のことであります。このたびの北教組の選挙違反事件は、教育に対する信頼関係の崩壊につながりかねません。
 教育は、言うまでもなく国家の重要施策であり、これに携わる教員は、当然、政治活動や選挙運動に関して慎むべきであります。報道では、日教組は過去にも地方組織に対して推薦する政党や候補者のポスター張りや投票の依頼を行うよう要請していたのではないかと取り上げています。それがもし本当であるならば、未来を担う子供たちに直接接する教員が公然と政党活動や選挙運動を行うのは、大変大きな問題を含んでいると考えます。
 もちろん、教員といえども国民でありますから、政党や候補者の選択の自由は保障されていますが、第三者に対し特定の政党や候補者への支持を勧誘することは、社会通念上許されないと考えますし、その影響力の大きさを考えますと疑問が残ります。
 そこで、教育長にお尋ねをいたします。
 今回問題になっているような、教職員が特定の候補者に対し選挙の支援をすることについて、どのように思われますか。
 また、和歌山県において、過去、教職員組合や教職員による選挙運動への関与の有無を把握されていますか。
 さらに、今後そのような事実が発覚した場合、どのように対応されますか。
 以上、3点についてお答えをください。
 これで、第1問を終わります。御清聴、どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの藤山将材君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 初めに、和歌山県モバイル情報館についてでございます。
 和歌山県モバイル情報館は、携帯電話からのインターネット利用者に対応した県ホームページとして、緊急情報の提供を初めとする県政ニュースや、あるいは観光情報等の発信を行ってまいりました。
 場所を問わず気軽に利用できる携帯電話によるインターネットの利用もごく一般的となっておりまして、議員御指摘のとおり、PRの手段としてモバイルサイトはますます効果的なものとなってまいりました。
 モバイル情報館につきましては、今後一層、地域や特産品の魅力といった県外に向けた情報の充実とともに、使いやすさを兼ね備えた携帯電話向けホームページを目指してまいりたいと思います。きょう御指摘いただきましたので、それをもとにさらに一層努力を重ねていきたいと思います。
 あわせて、県が発行する広報紙等にQRコードを掲載していくのに加えまして、携帯電話会社の公式サイトへの登録などの方法により、県内外のより多くの方々に簡単にアクセスしていただけるよう取り組んでまいりたいと思います。
 次に、平成20年度からスタートいたしました和歌山県優良県産品推奨制度「プレミア和歌山」につきましては、加工食品、生鮮物、産業製品、伝統的工芸品及び観光資源分野において、安全・安心を基本に、和歌山ならではの逸品として321品目・アイテムが認定されまして、販売戦略上の品ぞろえが調ってきたと考えております。
 今後は、さらなるその逸品の発掘に努めながら、特にプレミア和歌山制度の周知と各認定品の販路拡大を図るため努力をしなけりゃいけないと思いまして、ふるさと祭りin東京とかFOODEX JAPAN、たくさんの人が来るそういう専門展示会や和歌山県産品商談会等への積極的な出展参加など、各種プロモーション活動を展開いたしております。また、マスコミ等への働きかけ、県関連広報紙等あらゆる広報媒体を活用して、複層的な取り組みをして何とかもっとはやらせたい、こういうふうに思っておる次第であります。
 今後一層、その効果が期待される、携帯電話等で見ることができるモバイルサイトの開設とか、あるいは手軽にサイトに接続できるQRコードの県冊子や名刺等への掲載につきましても、積極的に図ってまいりたいと思います。
 次に、和歌山県にふさわしい公共的施設等のあり方についてということでございます。
 平成22年2月25日発出の厚生労働省の通知によりますと、「屋外であっても子どもの利用が想定される公共的な空間では、受動喫煙防止のための配慮が必要」と明記されております。
 議員御指摘のとおり、和歌山県は観光立県、環境先進県を目指す、そういう県でありまして、海辺の環境の美化、あるいは海水浴を初めとする海洋性レクリエーションの健全な発展を図る観点から、これは喫煙等のあり方について検討することは、単なる健康の増進という観点に加えて、そういう観光という観点からも意義のあるものと認識しております。
 今後、海水浴場の利用者及び開設者の意見、他のオープンスペースの事例、他府県の取り組みなどを参考に、分煙等、有効な対策を検討してまいりたいと考えております。
○議長(冨安民浩君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) プロスポーツキャンプの誘致につきまして、観光振興の観点からお答えをさしていただきたいと存じます。
 プロスポーツキャンプの誘致につきましては、スポーツ施設、宿泊施設の利用はもとより、それぞれのチームのファンが観光を兼ねてキャンプ地を訪れることから、観光の振興並びに地域振興に大いに寄与するものと考えてございます。
 このことから、本県におきましても、昨年度、スポーツ施設や宿泊施設の情報をスポーツ王国わかやま合宿ガイドとして取りまとめるなどし、その誘致に努めてございます。
 プロチームの誘致につきましては、地元の熱意に加え、施設の充実がキャンプ地を決定する大きな要素であると聞いてございます。幸い、施設面におきましては、県内では5年後の和歌山国体開催を見据え、運動施設の新設や改修が予定されてございます。これらの充実したスポーツ施設を有効に活用したプロスポーツキャンプの誘致に向け、教育委員会や市町村、競技団体との協働のもと、積極的に取り組んでまいりたいと考えており、そのための体制につきましても、誘致のためのプロモーションから受け入れまでの一貫した仕組みをつくってまいりたいと考えてございます。
○議長(冨安民浩君) 環境生活部長井口悦治君。
  〔井口悦治君、登壇〕
○環境生活部長(井口悦治君) 青少年の携帯電話による有害サイト閲覧禁止につきましては、議員御指摘のように昨年4月から施行されました青少年インターネット環境整備法によりフィルタリングの設定が義務化され、間もなく1年が経過しようとしています。
 県では、法の効果を検証するため、携帯電話各社の販売店の協力を得て設定や解除の実態等を調査しているところであり、その調査結果を踏まえ、フィルタリングの徹底を携帯電話販売会社などに強く働きかけていくことも考えてございます。
 こうした法整備によるプロバイダーの自主規制も進みつつありますが、県においても青少年を取り巻く有害情報をめぐる深刻な問題に対応するため、昨年6月から、県、県教育委員会、警察本部が一体となって、ネット上の被害等から子供を守るネットパトロールを実施しているところでもあります。
 また、情報モラル講座や青少年健全育成県民大会でのネット安全ブース等の開設など、機会あるごとにフィルタリング等の啓発を進めておりますが、子供や大人の携帯電話に対する正しい知識と情報モラルの向上にも一層力を注いでまいりたいと考えてございます。
 なお、議員御指摘の石川県などの条例による上乗せ規制につきましては、子供の知る権利や各家庭の事情が反映されにくいなどのさまざまな意見が出ているところでもございます。
 今後、他県の条例につきましても、世論や効果を含め引き続き研究、検討してまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○議長(冨安民浩君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 教職員の選挙関与についてお答えいたします。
 北海道教職員組合による違法献金問題で政治資金規正法違反容疑により教育関係者が逮捕された事件につきましては、教育の政治的中立性の原則から、教育にかかわる立場にある者として大変遺憾に思います。
 教育公務員の政治的行為につきましては、教育公務員特例法や公職選挙法により、一般の地方公務員よりも厳しい制限が加えられております。県教育委員会といたしましては、教職員の選挙運動の禁止等について、各県立学校長並びに市町村教育委員会を通じまして、違反行為の具体例を示すなど、その周知徹底を図ってまいりました。
 本県では、違法な政治的行為により懲戒処分を受けた教職員は、過去30年の間はございません。教職員による違法な政治的行為に対しましては、教育委員会の懲戒処分の指針に基づき厳正に対処してまいります。
 今後とも、教育に対する県民の信頼を損なうことのないよう、その服務規律の確保に努めてまいりたいと存じます。
○議長(冨安民浩君) 警察本部長永松健次君。
  〔永松健次君、登壇〕
○警察本部長(永松健次君) まず、県内の交番、駐在所の立地についての現状と考え方についてお答えします。
 交番、駐在所につきましては、管轄する地域の世帯数、人口、面積、事件・事故等の治安情勢や警察官の定員、財政事情、地元住民の意向等を総合的に勘案した上で設置場所などを決定しているところであります。また、交番、駐在所の設置後に施設の老朽化や新設道路の開通等、周辺地域の環境の変化などの事情により新たに建てかえや移転が必要となった場合には、当該交番等が治安責任を果たすための土地を選定し、地元自治体や住民の方々の御理解をいただき、整備しているところであります。
 今後とも、地域の治安実態等を総合的に判断し、地域の安全と安心を確保するため、交番駐在所の立地について検討していく所存であります。
 次に、海南駅前交番の移転についてお答えします。
 海南駅前交番は、海南駅前土地区画整理事業に伴い、当時の海南市長からの要請を受け、昭和63年1月に海南駅前広場から海南市所有の現在地に新築移転したものであります。移転につきましては、海南駅からも近く、また国道370号に面しているなど、海南警察署全体の治安維持機能をより強化することなどを総合的に判断したものであります。交番は、現在のところ耐震性などにも問題はなく、地域の安全センターとしての役割も果たしていると考えております。
 しかし、将来的には、海南駅前周辺の治安情勢や財政事情、設置場所の確保の問題等を総合的に判断するとともに、自治体を初め地元住民、JR等周辺事業主などの意向等も十分勘案した上で、移転も含めて検討してまいりたいと考えてございます。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再質問を許します。
 20番藤山将材君。
○藤山将材君 答弁、いただきました。
 プレミア和歌山についてですけども、先週、自宅のほうに、できたてほやほやのPRパンフレットを送っていただいておりますけれども、先ほど一般質問の中でも申し上げましたけども、平成19年の12月の議会で永井部長にお尋ねして、僕も議会へ寄してもらって、当時「検討」という言葉には大分惑わされましたけども、「取り組む」と言っていただいておりました。これ見てびっくりしたわけでありますけれども、こんなに本会議場での答弁ってそういう軽いもんかなというふうに感じた次第です。
 言いわけしてくれるんは構んのですけども、「やっとくように言っといたんですがね」って、部下のせいにしちゃだめですよ、部長。卒業前の最後の議会でこんなこと言いたくないですけども。
 中身についてなんですけども、先日、宮崎県へ行ってきて、同じような宮崎ブランドっていうこのPRパンフレットをいただいてきましたが(資料を示す)、非常にすごく内容充実してて、この同じく、プレミア和歌山と同じフラッグシップですね、県産品の。そのイメージを定着さすのに、すごく上手につくられております。
 こっち見てみると(資料を示す)、確かに最初のほうはきれいなんですけども、買われる方というのは、例えばシラスで、加工食品だなあというイメージでシラスを買う方いないと思うんですよ。例えば、載せるんであれば、天日干しで手作業でおばちゃんが浜辺でされてるような風景を載せるとか、例えば伝統的なさおにしても、職人さんがやってるところ、物すごく宮崎県に比べてイメージを定着さすというのが足らないような気がします。後半見てみますと商品カタログのような感じで出てますけれども、これ、どんどんこれからふえていくのに、ふえるたびに商品載せていくと、しまいに電話帳みたいになってしまうん違うかなっていうふうにも心配をしております。
 そういう形で、プレミア和歌山のモバイルサイトをきっちり立ち上げていただいたらこの中へも載せていただくし、それを同時に広く多くの人に見てもらうためのツールは、また別に考えないといけないと思うわけであります。
 それで、2番目の見てもらうための工夫でありますけれども、先ほど言いましたけども、もう少し和歌山県のモバイル情報館の中身、交通整理しないといけないなというふうに思います。そして、充実さすと同時に、たくさんの方に見てもらうための工夫として、いろんなところで和歌山県のPRをやっていただいておりますけれども、同時に、地味な取り組みになりますけれども、例えば和歌山県、私の地元の海南であれば和雑貨、日用家庭用品、水回り製品ですけども、全国シェアの80%。これはもう北海道から沖縄まで、ひとり暮らしのお子さんから、学生さんから単身赴任のお父さんまで、例えばスポンジなんか、ない家ないわけです。そういう業界とタイアップ、協力していただいて、そのスポンジとかの包装紙とか包装フィルムに、和歌山県のホームページと、それとこのQRコードと載せていただければ、本当に全国各地に広がっていくものだというふうに思いますので、こんなもん発想の世界だと思いますので、ぜひとも今後とも和歌山県のPRに向けて取り組んでいっていただきたいというふうに思います。
 以上、要望です。終わります。
○議長(冨安民浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で藤山将材君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時29分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(坂本 登君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 42番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 通告に基づき、5点にわたって質問をさせていただきます。
 まず最初に、中小企業高度化資金の債権放棄についてお尋ねをいたします。
 同和対策事業として融資をされた中小企業高度化資金の債権放棄問題では、2年前の議会において、24億円もの無利子融資を受けながらほとんど返済されずに倒産したプラスパフーズの案件等が全会一致で継続審議となりました。翌6月議会で議案が承認されたときには、県議会から、今後の債権放棄議案については、「貸付時及び債権回収過程における問題点について徹底的に調査、分析し、県民の理解が得られるよう充分説明を行うこと」などの附帯決議がつけられました。この決議は大変重いものだと考えております。
 今議会の債権放棄議案も、同和対策として新宮市の熊野食肉事業協同組合へ融資をされたものです。土地、建物合わせて3億6000万円もの無利子融資を受けながら、わずか1200万円、3.5%しか返さずに倒産。土地、建物の競売をしてもわずか1300万円にしかならず、残りの3億3000万円を債権放棄するものです。
 県は、議案提案に当たって、調査結果を議会に提出をしております。この調査によると、貸し付け時の検討会と審査会が開催された公文書が存在していないということや、貸し付け時の土地は当事者が直前に先行取得していたこと、また建設工事の発注先が親族の企業であったことなど、問題点が明らかになっています。プラスパフーズのときも、親子で土地売買をし、土地は2.5倍、建物は2倍高く購入していたのが思い出されます。
 この調査結果の弱点は、この間の調査の事実関係を明らかにしてはいるものの、評価がないということなんです。今から検証してみればどうかという視点ではなくて、当時は適切であったとか、手続的には一応やっていましたというものに、前回同様、従来型の表現にとどまっていて、一歩突っ込んだものとなっていません。そして、調査の大部分は債権回収会社による当事者の返済能力がないことの報告となっており、とれるものがないのなら速やかに債権放棄という事務的処理になっていると指摘せざるを得ません。無論、問題にふたをして先送りを続けることは許されず、適切な処理をすべきものですが、債権処理をするのなら、県民の前に問題点を明らかにし、そしてその総括をしてこそ理解が得られるものです。
 私は、前回の債権放棄のときも、同和の融資については普通では通らないような甘い審査をしてきた、その結果として融資が焦げつき、債権放棄となってしまったと指摘をしました。これは、まさにゆがんだ同和行政のあらわれだと批判し、その姿勢こそ反省し、改めるべきだと主張をいたしました。
 知事にお伺いをいたします。
 今回の債権放棄提案には、歴史的経過を振り返った上で、今思えば適切な融資だったと言えるかどうかという、そういう評価なり反省、総括がありません。これで、附帯決議を受けとめ、問題点を徹底的に調査し、分析し、県民への説明責任を果たしたと言えるのでしょうか。知事の見解を求めたいと思います。
 次に、ずさんな融資の問題点について、具体的に3点にわたって、今度は商工観光労働部長にお尋ねをしたいと思います。
 まず1点目に、坪56万円という高過ぎる土地価格の問題です。
 新宮市の海沿いにある大浜墓地近くのこの土地、これはいかにも56万円は高過ぎます。これまで県は、不動産鑑定士による鑑定は行っていないが、固定資産税の評価額を参考としていると一般的に言ってきました。この土地の固定資産税評価額は、坪で言うと15万円程度であり、これ、実は3倍、4倍近い法外な価格で融資をしております。私、現地での聞き取り調査では、「そうや、ここらは当時でよくてまあ坪20万くらいか。今なら坪10万、いや、もっと安かろう」という近所の評判でありました。
 今回の調査で、金融機関の意見書なるものが見つかったようです。きょう議場に、皆さんのお手元に配付をさせていただいている資料1がその意見書、裏表になっております。加えて、資料2が意見書の半年前に土地を先行取得した際の売買契約書、資料3は今度は意見書の半年後に組合が事実上の経営者から土地を買い上げたときの売買契約書です。県はこれらを根拠として土地価格は適正であったというふうな判断をしているようですけれども、意見書というのは、皆さん、鑑定書とは性格が違って、参考にすれども根拠にはなり得ない性格のものです。
 これらの書類は、高い土地価格の取引を認めさせるために無理に売買実績をつくり、銀行に書類までつくらせたという、こそくな手段ではないでしょうか。実際、倒産後の競売評価額は、何と20分の1の坪2万5000円としか評価されませんでした。実際に売れた値段は、坪1万7000円にしかなりません。土地を通常では考えられないような高い値段に評価して高額の融資をしたことに問題はなかったのか、適正だったと言えるのか、お答え願いたいと思います。
 2つ目に、ずさんな経営計画です。
 前回のプラスパフーズのときも、操業後わずか2年で経営が行き詰まったことを指摘いたしました。今回も、操業後わずか2年で経営不振により返済が滞っております。7年後に不渡りを出しています。今回も見通しの甘い経営計画だったのではないですか。当時の関係者が、「経営自体はもうからんでもええんや。事業を起こすことが金になるんや」、そんなふうに言っていたと聞きます。経済環境の変化というだけでは、借りたお金のほとんどを返さないという、この事態の説明はつきません。甘くてずさんな事業計画でも審査を通したという実態があるのではないか。いかがでしょうか。
 3つ目に、ほとんど催促もしていなかったという問題です。
 2002年に共産党県議団が質問してこの問題が明らかになってからは、県は償還指導室を立ち上げて償還指導をし、貸付審査も改善をいたしました。ところが、県はこの問題が明らかになるまではまともに指導すらしていませんでした。記録を見せていただきましたが、87年に延滞となってから倒産する94年までの7年間にわずか8回しか面談していないし、返済が滞っていても滞納延滞金も全く請求しませんでした。
 また一方、当時、地元自治体である新宮市が、同和対策の融資の利子補給として、この組合に1700万円の補助金を別途支給しております。融資プラスそういう補助金までもらいながら県への返済はわずか1200万円と、そのもらった補助金よりも少なかったという結果になっているわけですね。高度化融資のこの3億5000万円とは別に、立ち上げ時の自己資金約1億円、加えて運転資金も必要でしたでしょうから、合わせて2億円相当が準備されたと見ていますが、どうやって工面されたのか詳しい資料は残っていないし、登記を見ますと、県信用保証協会が土地にも建物にも根抵当権をつけていたようです。その融資がどうなったかも定かではない。そして、競売時の資料を見てみますと、類推すれば7000万円ほどの焦げつきを県信用保証協会がかぶったのではないかと思われます。これも、いわば県のお金にかかわるわけです。高度化資金融資も焦げつかせ、加えて自己資金の融資も焦げつかせているという実態です。
 融資滞納時以降の県の指導、回収姿勢はどうであったのか、また、そもそもこの組合の自己資金、運転資金、市からの補助などがどういう実態であったのか、よくつかんで正面から指導していたのか、御答弁を願います。
 この問題の最後に、高度化資金の現局面の全体像についても伺います。
 前回の債権放棄は26億円、今回の3億3000万円を合わせると約30億円もの税金が泡となった計算となります。延滞法人の経営状況を見ると、今後も債権放棄が続くのではないかと予想されます。今後のためにも、今回、こんな不十分な総括で次々と債権放棄していっていいのかが問われているのではないでしょうか。
 この高度化資金融資は、現時点でどれだけの融資が延滞となり、焦げついているのか、延滞法人数と延滞額を示されたい。また、その延滞額の何割を同和対策の融資が占めているのかも明らかにされたい。また、返済が滞ったものの中で、既に破綻したものはそのうちどれぐらいあり、破綻予備軍とも言うべき競売手続が開始されたものは一体どれぐらいあるのか。延滞法人、破綻法人の状況と今後の対応について、商工観光労働部長より答弁をお願いいたします。
 続きまして、2つ目の柱である有田地方の救急医療の再生についての質問をさせていただきます。
 昨年度の議会で、有田の救急医療体制について質問をし、有田地方は救急医療の谷間だという関係者の声も紹介しました。特に、夜間・休日の救急患者が有田管内では対応されずに8割近くが和歌山市内の医大、日赤へと搬送されている実態を数字も示して指摘し、改善の取り組みに当たって県がしっかりと役割を果たしてほしいと強く求めてきたところです。それから1年たった今、状況はどう改善されたのかと、この間、消防や医療機関からお話を伺いましたが、残念ながらその状態に余り変化はないということであります。データもいただき、比較してみましたが、若干改善されているとはいえ、ほとんど変化は見られませんでした。
 有田地方の09年の救急患者受け入れと搬送状況について、県はこの間どんな努力をし、今の現状をどう認識しているのか、まずお答えください。
 次に、今議会の議案では50億円が地域医療再生基金として準備をされました。今後、取り組みが進められようとしています。有田地方の地域医療と救急医療の改善について、地域医療再生計画の中にどう位置づけ、来年度からどう取り組もうとしているのか、お示しいただきたいと思います。
 以上2点は、福祉保健部長に答弁を求めます。
 引き続き、和歌山の林業再生について質問をさせていただきます。
 林業は、地域経済を支え、低炭素社会を実現する不可欠な産業として、環境の面でも、雇用の面でも、国及び和歌山県の施策にしっかりと位置づけて取り組むべき今日的課題であると思います。私ども共産党県議団は、この間、森林組合、県内の組合を訪問し、林業研究会の方ともお会いして、森林・林業政策に対する要望をお聞きしてまいりました。
 その中で話題提供させていただいたのが、ドイツの林業です。森林面積が日本の4割しかないドイツなんですが、林業や木材関連産業に自動車産業の雇用の2倍の130万人の雇用を生み出していることです。ドイツと日本では地形や生産基盤確立の歴史が違いますが、日本もドイツのように林業・木材産業を国の大切な産業として施策にしっかりと位置づけて取り組むことが必要です。また一方で、日本と同じように急傾斜地の多いオーストリアでも、作業道がよく整備されて、日本の2倍の生産性を上げているというのも大変参考になります。
 そもそも、日本が工業製品の輸出に重きを置いて、木材や農産物の輸入自由化を受け入れてきたところに根本的な要因があります。現在、丸太やチップ、パルプの関税は無税、製材、合板などでも6%です。自動車や電化製品と同じような鉱工業製品扱いになっているのが問題だと考えます。その結果、木材需要の8割が外材で占められてしまい、価格も外材主導となっています。立ち木価格は10分の1程度になってしまいました。調べたところ、林野庁のデータや県のホームページのグラフを見てとれるように、一昨年からは経済危機により急激な価格低下があって、外材よりも今は国産材のほうが安値になってしまっているという状況すら現実に起きているんですね。
 実は今の日本の山は、1年間の木材成長量が、同じく年間の木材消費量に匹敵するぐらい、そのぐらいの成長量があるようになってるんです。ですから、必要量をほぼ自給できる、そういう数字があるし、ここに現在2割台の自給率を大幅に引き上げる条件があると考えています。和歌山の山も、人工林の約3割が今木材として利用できる状態にあり、今後10年でそれが倍の6割に達するという時代を迎えています。今こそ、輸入材から国産材へ転換させる仕組みづくり、そして木材価格の下支えをする仕組みづくり、この2つの仕組みづくりがどうしても必要ではないかと考えます。
 山村の基幹産業として林業を再生し、森林をよみがえらすためには、基盤整備や、それから住宅や公共建築、土木事業への需要拡大、雇用の確保・育成、持続的経営など、課題は多いわけですが、和歌山の森林・林業再生の課題を県はどのように考えておられるでしょうか。まず御答弁を願います。
 次に、搬出間伐、低コスト林業についてお伺いをいたします。
 この間、県は、搬出間伐、低コスト林業へと転換を進めてきました。作業道ができて搬出コストが下がれば、切り捨て間伐を減らして木材を活用する産業も、そして雇用も生まれ、森林所有者の収入を向上させることもできます。急峻な地形が多い中、日本型、そして和歌山型の高性能林業機器と技術の開発、普及、そして支援が今後より一層求められてくると思いますが、現状と今後の方向についてお答えください。
 次に、新政権が森林・林業再生プランに基づいて林業施策の転換を図ろうとしていることは歓迎するものです。しかし、一方で、森林組合の位置づけや補助事業の採択要件などに不安の声も現場からは出されています。これまでも、年間の間伐面積を確保するために、ともすれば間伐をしやすい、そういう山を優先し、条件の悪い山や個人の小さなところは後回しにされてきたという反省があります。そこへもって、この先、搬出間伐でないと補助事業の対象にならないとなってしまえば急峻な山や小規模な山林はどうなるのだろうかと、切り捨て間伐なども場合によっては認めてほしいなどの声が出されています。森林整備の改革を進めると同時に、条件の厳しい森林もしっかり視野に入れた丁寧な施策をすべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 以上3点、農林水産部長より御答弁を願います。
 さて、4つ目の柱であるミカン対策について質問に移らせていただきます。
 09年産ミカンは、この10年の中で1、2を争う低価格となってしまい、1キロ当たり100円台前半、業者扱いでは50円、60円という値段もあって、本当に農家の手取りは極端に減少し、産地では悲鳴が巻き起こっています。このことは、有田地方の地域経済にも大きな影響を与えています。
 まず第1点目に、県は今年度のミカン生産販売状況をどう分析しているのか、農林水産部長よりお答えください。
 次に、販売戦略にかかわっての質問です。
 私は、これまでも県としてのミカンの販売戦略強化や販路拡大への支援を訴えてまいりました。この間も、トップセールスやFOODEX JAPANへの出品、これらには私も御一緒させていただきましたが、こういった取り組み等も通じ、ミカンの生果や加工食品など県内産品、食品の販売強化に、行政、生産者が力を合わせてこられました。
 実は、この冬のトップセールスの会場で、12月は月初めからイベントや売り場がクリスマスセール一色で、なかなかミカンが割って入る状況になくて苦労しているという話を耳にいたしました。クリスマスといえば、温州ミカンはカナダなどでは「クリスマスオレンジ」と呼ばれて、クリスマスには欠かせない果物になっていると言われています。インターネットで「クリスマスオレンジ」と検索をすれば、いろんなところに紹介をされています。県の広報誌「和」やJAのホームページなどにも紹介をされていたんですけれども、なかなか一般的な言葉にはなっていないというふうな気がします。
 12月の商材としては、県として、この温暖化に対応した中での新品種の開発に努力を続け、登録まであと一歩というところに来ていますし、最近は完熟のわせミカンというのが12月に市場で高い値段がつくなど、今後の和歌山県産ミカンの12月の展開が期待される状況にあります。イチゴも、もともとは12月のものでなくて、クリスマスケーキと合わせて12月が販売の中心になったものです。ですから、和歌山のクリスマスオレンジにはこんな魅力的なミカンがありますよ、たくさんありますよとキャンペーンを張って浸透させる努力を各方面と目的意識的に強めてはどうかと提案するものです。クリスマスオレンジなど12月の販売戦略強化について、知事のお考えをお聞かせください。
 3点目に、基盤整備の問題です。
 新政権は、農業の戸別所得補償に順次取り組んでいくと表明をしております。果樹農家など園芸農業にも所得補償の拡大を求める声がある一方で、おいしさなどを競い合う果樹栽培などに所得補償はなじまないという意見も根強くあります。私は、農家の意欲や気持ちにぴったりくるような所得補償と価格保証を組み合わせた制度づくりが必要だと考えています。中山間地での持続的な農業を支える基礎的な所得補償に加えて、ミカンでいえば、糖度幾ら以上であればこれぐらいの値段では売れるとか、農薬を減らした特別栽培とか有機栽培ではプラスこれぐらいの値段がつく、こういう仕組みづくりの中でこそ意欲を持った後継者が育っていくと提案するものです。
 いずれにしても、果樹王国和歌山の園芸農業でどんな農業政策が求められるのか。国政ともあわせて大いに議論していくべきそういう時期に来ていますから、この問題は今後の議会質問で議論することにして、予算審議の当初議会としては、きょうは基盤整備の問題を質問させていただきます。
 所得補償や価格保証での意見の違いはわきに置いても、基盤整備の必要性は共通認識であり、中山間地の農地で後継者難に悩む農家にとって、園内道路や運搬機の普及・更新、選果場の整備などは重要な課題です。ミカン対策として生産者を励ます基盤整備という点では、和歌山県として新年度予算の中でどう取り組み、県としてはどういう方向を目指し、国に対して何を求めていこうとしているのか、農林水産部長より御答弁を願います。
 最後に、湯浅町山田山に計画されている県立射撃場計画について伺います。
 昨年9月に補正予算化された湯浅町山田山への県立射撃場計画ですが、私どもは、射撃場の必要性などは認めながらも、鉛対策や運営の見通しなどに不透明な点が多く、到底前提条件をクリアしたとは言えないとして、この拙速な補正予算化に反対をいたしました。12月議会では、銃弾の飛距離により新たな用地の確保が必要になってきたという問題が出てきたと状況報告されましたが、今回の2月補正予算では、射撃場建設のための予算がとうとう全額来年度に繰り越しをされています。予算繰り越しに当たって、射撃場計画の進捗状況と現状についてお示しをいただきたいと思います。
 加えて、計画説明についてですが、私は、9月の一般質問でも住民合意が大前提だと主張し、予定地となる湯浅町任せにすることなく、県が主体的に住民に計画を説明し、不安点には答え、意見を聞いて計画案を改善すべきは改善すると、そういう努力をしてこそ住民合意の条件をクリアできると、そういうふうに申し上げてまいりました。この間、建設予定地のある山田区で住民説明会が開催されましたが、この射撃場建設計画は決して当該地区、自治会だけの問題ではありません。一日も早く全町民に向けた説明会を各地で積極的に開き、町民、県民に開かれた計画説明をするべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 以上2点を農林水産部長にお尋ねをいたしまして、第1問を終わらせていただきます。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 中小企業高度化資金の債権放棄関係につきまして、お答え申し上げます。
 この中小企業高度化資金に限らず、県が持っております不良債権の処理につきましては、これはもうきちんとしようということで、私は職員をリードしております。一般的にでございますけども、ともすると過去の責任を追及されるのは嫌なもんですから、嫌なことにはふたをしがちであります。職員が萎縮をしてしまうわけであります。いよいよ時効になると、「なってしまいました」といって処理をする。これではいかんと思います。価値がないものをあるかのごとく掲げておくということ自体問題でありますし、県民にオープンにしなければいけません。それから、返してもらえるものが少しでもあるならば、それは100%追及しないといかんわけであります。
 そういう考え方で、前回、平成20年の2月に第1回目の──私が就任してから第1回目ということですが──不良債権処理についての議案を提出さしていただきました。20年の6月議会におきまして附帯決議をいただきました。それは、第1に、貸し付けの際には十分に慎重にやりなさい、それから、整理の際に取り漏らすことなくやりなさい、3番目は、経緯等をきちんと評価して説明をしなさいということであろうかと思います。私どもは、この附帯決議の重みを十分に真摯に受けとめまして、誠実に履行している所存でございます。
 第1につきましては、審査体制を、これはその前も含めまして、かなり充実をしております。ただ、この融資については新規はありませんので、他の分野への教訓としてこのことは生かしていきたいと考えております。
 2番目は、それこそ取り損ないがあるといけませんので、徹底的に調べ上げて、外部の専門家もお雇いして、どこか仮にいただけるものが残ってないかどうか、そういうものについて徹底的に調査をしてるわけでございます。
 3番目に、議案とともに調査結果報告書を議会に提出さしていただいてるところであります。
 その過去の経緯等の調査につきましては、内容につきましては、熊野食肉事業協同組合に係る貸付手続、債権回収過程の状況及び組合並びに連帯保証人等の返済能力について保存文書の精査を行うとともに、当時の担当者へのヒアリングを実施するなど徹底的に調査を分析し、それを紙にして開示したところであります。私は、結果的にこれは県民の税金を毀損しているわけでございますので遺憾に思っておりますけれども、だからといって臭い物にふたというのではいかんと思うわけであります。
 今後とも、萎縮することなく、債権が貴重な県民の税金であるという認識のもとに、可能な限りの手段、手法を駆使して最大限の回収に取り組むとともに、組合資産の徹底的な調査、連帯保証人等への厳しい徴求を行ってまいりたいと考えております。そして、どうしてもこれ以上は絶対に取り立てられないということであれば、勇気を持ってお示しし、報告書できちんと説明をするということを今後ともやっていきたいと考えております。
 続きまして、ミカン対策でございます。
 温州ミカンの販売を取り巻く状況は大変厳しゅうございます。生産、販売の両面でさらに戦略の強化を図る必要性を感じておるところであります。生産面では、他の産地に負けない競争力を身につけるため、これまでの成功体験に甘んじることなく、ゆら早生など県オリジナル品種の育成、選抜に努め、市場で高い評価を得ているのをもっともっと高い評価にしたい、こういうふうに考えております。
 今後とも、議員御指摘の12月の主力になり得る品質のよい新品種の選抜、それから、さらなるブランド力向上を目指してまいりたいと考えてございます。
 また、ミカンの消費拡大を図るためには子供たちにミカンを食べていただくことが大事であると考えまして、昨年の12月にJAグループの協力をいただき、食育の一環としても、あるいは一種の市況対策としても、県内すべての小学校等にミカンを配布するキャンペーンを実施したところでございます。こうした取り組みが他のミカン生産県でも実施され、全国規模の取り組みとなるように、国に対してもその体制づくりや支援策について、今後働きかけていきたいと考えております。
 議員御指摘のように、12月は商戦が最も盛んになる需要期でございますので、通信販売や若い世代も意識したギフト需要の開拓、高級銘柄品の百貨店、高級スーパーへの提案などのほか、豊富なビタミンなどの機能性を前面に出したPRなど、県産ミカンに対する消費者のイメージを高めていく取り組みを進めてまいりたいと考えております。
○副議長(坂本 登君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 中小企業高度化資金に係る融資の問題点についての御質問3点のうち、まず、土地売買価格についてお答えさせていただきます。
 組合用地の取得に関しましては、高度化事業に係る共同施設事業用地として、組合員が地元の土地所有者から昭和57年11月に先行して取得してございます。その後、組合が設立され、昭和58年10月に、当該組合員と組合とで所定の売買契約により取引が行われ、所有権移転がなされたものでございます。
 議員御質問の土地売買価格につきましては、当時、土地、建物、設備等、全体の設備投資額を前提として、資金調達計画、販売計画、償還計画等、包含した計画診断が実施され、おおむね妥当とする診断結果がなされてございます。また、その取得価格につきましては、当時の貸付事務要領におきましては土地の鑑定評価を行うことまでは求められておりませんでしたが、近隣の金融機関から不動産評価意見書を徴取し、その意見書の評価額の範囲内であったというのを確認してございます。
 次に、経営計画についてお答えさしていただきます。
 熊野食肉事業協同組合は、新宮市内の小規模な食肉業者5名が組合を設立し、食肉の共同加工、新商品の製造などを行い、あわせて業務運営の効率化や外商を活用した販路開拓を行うことにより、売り上げ拡大とコスト節減による地域の食肉加工業界の発展を目指して高度化事業を実施したものでございます。
 貸付手続につきましては、組合から提出されました事業実施計画書に基づき、昭和58年4月に、当時の県の診断機関でございました中小企業総合指導所、商工企画課及び東牟婁県事務所産業課の3者により、販売計画、資金調達計画及び償還計画等を診断いたしてございます。当初、組合に対し販売計画のさらなる精査や資金計画の精度向上など改善点を勧告し、組合から勧告意見に対する回答を受理し、その回答が妥当と判断した後、修正計画書の提出を受け、当時の中小企業事業団──現在の中小企業基盤整備機構でございますが──の審査、承認をいただいた後、融資を実行してございます。
 しかしながら、融資実行後、当地域での経済環境の悪化、近隣スーパーとの競合の激化により売り上げが低迷したこと、新分野への進出計画が不調などの要因により、約10年の操業の後、残念ながら破綻状態となり、予定した計画の遂行ができなくなったものでございます。
 続きまして、滞納時以降の県の指導、回収姿勢についてお答えさしていただきます。
 当該組合につきましては、昭和60年に工場が完成し、設備が稼働いたしましたが、新分野進出のための大手メーカーとの提携やブランド商品化の話も不調に終わり、さらに業況も好転せず業績不振に陥り、昭和62年9月に延滞組合となったものでございます。県といたしましては、速やかな償還指導が必要であるとの判断のもと、債権回収に入り、平成6年度までの間、少額ではございますが、4回の返済を得ているところでございます。その後、一段と資金繰りが厳しくなり、平成7年2月に銀行取引停止となり、組合は実質的に倒産に至ったものでございます。
 県といたしましては、当時の中小企業事業団──現在の中小企業基盤整備機構──と協議を行い、平成7年11月14日に残債全額に対し繰り上げ償還命令を出してございます。その後、組合の早期償還に向けて組合責任者と協議を進め、平成14年3月に競売申し立ての後、平成15年5月に最終的な資産売却を行い、配当を得てございます。また、その後につきましては、早期かつ最大限の回収をすべきであるとの観点から、資産調査を含む連帯保証人や相続人への徴求を続けてきたものであり、今般すべての方々に返済能力がないことが判明し、今回、債権放棄をお願いすることに至りました。
 なお、議員御質問の自己資金につきましては、完了検査においてすべての投資案件に係る支出関係の領収書等の証拠書類が確認ができていることから、組合自体が借入金や自己資金を調達したものと考えてございます。
 運転資金あるいは市からの補助についてでございますが、高度化案件につきましては、当時から年1回、経営状況調査を実施してございまして、添付された決算書の中で、資金調達面を含む財務状況の把握に努めていたものと考えてございます。
 最後になりますが、高度化資金に係る延滞法人、破綻法人の状況と今後の状況につきましてお答えさしていただきます。
 まず、延滞法人、破綻法人の状況でございますが、現在、高度化資金貸付組合が41組合ございまして、平成20年度末の延滞組合は28組合、延滞額約79億5900万となっており、このうち地域改善対策に係る延滞組合は21組合、延滞額約63億9900万となってございまして、延滞総額の約80.4%でございます。今回御審議いただいている熊野食肉事業協同組合を除く延滞組合は27組合、延滞額約76億2700万となっており、このうち地域改善対策に係る延滞組合は20組合、延滞額約60億6700万円となっており、延滞総額の約79.5%となってございます。また、熊野食肉事業協同組合以外の破綻組合は現時点で4組合となっており、事業を廃止し、競売手続に着手している延滞組合は4組合となってございます。
 次に、延滞法人並びに破綻法人への今後の対応についてでございますが、破綻法人4組合につきましては、組合資産の売却が完了しており、今後は連帯保証人等の償還指導を早期に進め、可能な限りの債権回収を進めてまいりたいと考えてございます。また、競売手続中の延滞組合につきましては、組合資産の売却を行い、償還能力を徹底的に調査し、連帯保証人、相続人に対し強力に徴求を進めてまいりたいと考えてございます。
 いずれにしましても、今後は、附帯決議に基づき考え得る最大限の回収措置を講じてまいりますが、債務者の返済能力が全くないと確認された場合には、今回と同様、貸し付け時及び債権回収過程における問題点を徹底的に解明を行った後、最終的には議会に議案を上程させていただきたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 福祉保健部長北田佳秀君。
  〔北田佳秀君、登壇〕
○福祉保健部長(北田佳秀君) 有田地方の救急医療の再生につきまして、一括してお答えいたします。
 有田保健医療圏の救急患者につきましては、深刻な医師不足の中、圏域内の2次救急医療機関において受け入れを促進しておりますが、依然として約半数が圏域外へ搬送されております。さらなる受け入れ体制の強化が必要な状況であると認識しております。
 県といたしましては、有田保健医療圏を含む紀北地域の救急医療体制の課題を解決するため、医療機関、医療関係団体、消防機関、市町村等との協議を踏まえ、持続可能で安定的な救急医療体制の構築に向けた地域医療再生計画を策定したところでございます。
 今後、同計画に基づき、県立医科大学附属病院、日赤和歌山医療センターが有する救命救急センターの救急外来機能を強化し、適時適切に地域の病院に転院搬送する管制塔機能を推進するとともに、2次救急医療機関の受け入れ体制の強化、拠点病院勤務医と開業医との連携等によりまして、紀北地域の救急医療体制を充実強化してまいります。
 有田保健医療圏におきましても、3次救急医療機関への患者集中を防止し、救急告示病院などの各2次救急医療機関の診療機能も踏まえながら、病院群輪番制の再構築など、地域の実情に即した最適な救急患者の受け入れ体制を整備してまいりたいと考えております。
○副議長(坂本 登君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) まず、和歌山県の森林・林業の再生についての御質問の3項目について、一括してお答えをさしていただきたいと思います。
 森林・林業の再生に向けましては、本県の急峻な地形に対応した作業道等の基盤整備を初めといたしまして、間伐等の森林整備の推進、また木材需要の拡大などが大きな課題であるというふうに考えてございます。
 これまで、保育のためのいわゆる切り捨て間伐が中心でございましたが、現在、利用可能な森林が増加をいたしてございまして、また一方、補助制度が充実してきたこともございまして、そういう中で、作業道の整備や機械化等によりまして効率的な搬出間伐等を行う低コスト林業を進めてございます。その結果、森林組合の間伐材生産が、平成19年度の約1万1000立方メートルから20年度には2倍以上の2万5000立方メートルに増産をされるなど、着実に成果も上がってきてございます。
 今後とも、紀州材生産販売プランに基づきまして、紀州材の利用拡大にも取り組みながら、平成24年度には6万立方メートルの増産を目指しまして取り組んでまいりたいと考えてございます。
 また、間伐を初めとする森林整備につきましては、効率的な事業実施に向けまして森林の団地化を進めてまいりますが、お話ございましたように、条件の厳しい森林につきましても、国の補助制度を有効に活用しながら、きめ細かな森林整備に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
 次に、ミカン対策についての質問2つでございますが、まず21年産の温州ミカンの生産販売状況についてでございますが、この2月27日現在の出荷量は前年比で110%の7万8000トン程度でございまして、一方、市場価格につきましては、前年比69%のキログラム当たり143円と、前年を大きく下回ってございます。
 その要因についてでございますが、本年産ミカンにつきましては、果実品質は良好であるものの、表年ということもございまして市場出荷量が前年を上回ったことに加え、景気低迷により消費者の節約志向が強まる中で、嗜好品的な性格が強い果実が買い控えられているというふうに考えてございます。
 今後、JAグループとの連携をさらに強化いたしまして、和歌山ブランドのPRに向けた体制づくりを進めるなど、競争力の高い産地づくりに取り組むこととしてございます。
 また、生産者を励ます基盤整備についてでございますが、傾斜地での栽培が中心である産地の実態を踏まえますと、作業の省力化やコストの削減を図るための園地整備が重点的な課題であるというふうに考えてございまして、これまでの園内道の整備などに加えまして平成22年度からは急傾斜地園地に乗用型モノレールを導入するなど、傾斜地、傾斜度などの条件に応じた園地整備を進めていくことにしてございます。また、果樹産地につきましては、選果場を中心とした産地形成が図られてございまして、その核となる選果場の整備も当然重要と考えてございます。
 県といたしましては、こうした基盤整備に対する支援を通じまして、産地の活力強化につなげてまいりたいと考えてございます。
 なお、政権交代に伴う政策の流れが変わりつつある中で農業農村整備予算が削減されるなど、非常に厳しい状況にはございますけれども、必要な予算の確保を図るために、国に対し強く働きかけてまいりたいと存じます。
 最後に、県立射撃場計画についてでございますが、県では鉛対策あるいはその防災対策を盛り込んだ基本構想を策定いたしまして、昨年の11月上旬に地元の湯浅町や関係団体である猟友会等に説明を行ってきてございます。事業実施の前提条件といたしましては、国からの補助金の活用、地元市町村の応分の負担、市町村による住民同意の取りつけ、それから運営主体の存在の4つの条件が整う必要がございまして、改めて湯浅町や関係団体に対し、条件整備について責任を持って対処するよう申し上げたところでございます。
 また、住民同意のための地元説明につきましては、町からの要請があれば県も積極的に参加をするということとしてございまして、本年の1月21日には、町からの要請に基づきまして地元に対する事業説明会にも出席をいたしまして、これまでの取り組み経過を初め、心配される鉛、防災などの安全対策面や施設の内容などについて説明を行ったところでございます。しかしながら、現在のところ地元同意が整っていない状況でございますが、町や関係団体からは迅速に実施条件を整備していくという声もございましたので、今議会で予算の繰り越しをお願いしたところでございます。
 いずれにいたしましても、時間的な余裕が余りない中ではございますが、今後とも、地元の動向や関係団体等の意向を踏まえながら取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再質問を許します。
 42番松坂英樹君。
○松坂英樹君 答弁をいただきました。知事に、債権放棄の議案の説明責任、調査報告への姿勢について再質問をさせていただきたいと思います。
 その前に、この問題で要望を1つだけしておきたいと思うんですね。それは、調査資料を整理して、全容をこの議会に資料提供をぜひしていただきたいということです。
 今回の熊野食肉の案件につきましては、2003年の情報公開請求でこれだけの分量の資料が、実は情報公開、既にされております。これに加えて、今回の調査によって銀行の意見書──きょうお配りしたような意見書が、新たに発見された資料もありました。担当課は、私が資料提供をお願いしたものには、個人情報等のルールはしっかり配慮した上で調査結果は包み隠さず明らかにすることになっておりますと、これ、しっかり丁寧に公開していただきました。この点は、高く評価をしたいと思います。
 調査のまとめ的な文書は、議会に提出している文書、これはこれとして必要だと思うんですけれども、新たな調査結果の資料はこちらですと、これだけの資料が今回また新しくありますというのを議員全員に対して一覧を配付して、本体はきちんとまとめて閲覧できるようにしてこそ慎重審議ができるんじゃないかと思うんですね。
 なぜならば、例えばこの破綻した食肉組合が組合の資産として山林を27筆所有していることが、皆さんにお配りされている調査資料の中でも報告をされています。27筆というけれども、登記簿上の面積──登記簿上ですよ──これ、足しただけでも2万平米以上の山林と雑種地を所有したままなんですね。また、組合員の中には固定資産税の評価が630万円もある分譲墓地の一部の土地、これも所有したままです。この食肉組合の事実上の経営者は、この食肉の仕事以外に、前後して墓地の分譲とか葬祭式場の事業にも手を出し、砂利採取や産廃にも手を出して事業をし、いろんな問題を起こした人物です。まさにその痕跡だと思うんですね。借りたお金も返さずに、肉ではなくて土地を次々に買い求めていたこの熊野食肉の指導はどうだったのか。
 資産価値がないからと、このままで債権放棄してしまっていいのかと。地方税回収機構では、国保のわずかなお金が払えなくて差し押さえをされる県民が一方でおります。税と金融債権では違いますが、何ともやりきれない気持ちなのは私だけでしょうか。
 この資料を整えること、これはすぐにできることです。まだまだ委員会審議もあるわけですから、議会と県民の前に全貌を名実ともに明らかにしていただくことを、この場で要望をしておくものです。
 さて、知事への再質問として、土地価格の問題に絞って知事にお伺いをしたいというふうに思います。
 知事は、この調査報告を知事として聞いて、当時の固定資産評価額との大きな乖離、加えて銀行の意見書をごらんになって、こういうものをわざわざつけているという特殊な状況、内容、これを見てどう感じられたでしょうかね。「当時としての手続は整っていた」では、私、済まされない問題だと思うんです。
 わざわざ今回この資料配付をさせていただきましたけれども、銀行の意見書には──この意見書というのは、県から熊野食肉に言って、熊野食肉から銀行に求めて提出をされたものです。表のページには、立地条件がいいと、いろいろ持ち上げたことを書いておるんですが、その裏のページの結論部分をごらんになっていただくとわかるように、市内の土地は坪14万、15万を下らないと言われている、こんなふうに書いていますけれども、これは市内の便利なところを指した一般的な評価であって、今回の海沿いの大浜墓地の近くにあるこの土地の個別評価ではありません。
 そして、付近での取引事例は余りないがということを、明確な根拠がないということを何とみずから告白しながら、1平方メートル当たり18万2000円、坪60万円ですが、これは妥当だと、結論だけははっきり書いてあるんですね。これは、論理的に私は無理があると思います。一般的に新宮の土地は高いですよ、でもここは実績がないですよ、だから値段は坪60万、この三段論法は通りません。これは無理やりつくったもんですよ。
 銀行にとっては、意見書を書いたからといっても、意見書ですから責任は問われません。私、よく考えたなと思います。そんなに固定資産評価のレベルと実態に差があるんだったら、審査で認めてもらおうと思うなら、義務ではなくても鑑定をとったらよかったんですね。意見書で済ませたところにみそがあると思うんです。他の案件で、こんなふうに銀行の意見書なんてついてる案件はないと思いますよ。特別扱いだと思います。
 また、土地をこの直前に先行取得しているという問題もお話ししました。2段階の売買契約書を配付させていただきましたけれども、よく見ると、この裏面、見ていただくと、どちらの契約書にも日付が入っていないんですね。手付金1500万円の領収書のかわりにするなんて、この資料2には書いてあるんだけれども、日付がないどころか、何かこの資料2なんか、日付を消したんではないかと思えるようなうっすらとした痕跡もありますし、資料3なんかは不動産屋さんも入っていないようです。
 わざわざ先行取得をしなくても、組合が直接買えばよかったんです。それをせずに、事実上の経営者がこのように先に買ったという形にしてあると。これは、組合員もこの値段で買いました、その値段と同じ額で買っているんだからいいですねというふうに、高くないですね、不正はしてないですねという、いわば審査を通す書類上のテクニックではないでしょうか。こんなことをする合理的な理由が、審査の中でも、調査の中でもないんですね。私は、高い土地売買価格を合理化するために売買実績をつくり、銀行にも無理を言って意見書を書いてもらった。かなり知恵を使ったと見ています。知事は、これ、ちょっと問題だなと思いませんでしたか。
 私は、県の調査にはこう書いてしかるべきだと思うんです。「実態よりも高い土地価格の評価と融資が破綻時の担保不足と多額の欠損を生んだ」と、こんなふうに何で素直に総括できないのか、御答弁いただきたいと思います。
○副議長(坂本 登君) 再質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいまの資料提供についての見解でありますが、松坂議員が読まれなかったところがありまして、全部読みますと、「新宮市は平地が少く昔より比較的地価の高いところであり、現在自動車の進入出来る道路に面しておれば住宅地で平方米当り14~15万円を下らないといわれて居り、附近での取引事例はあまり聞かれないが、当該物件は幹線道路に面しており将来性を見越して売り物も少ない状態であり、不動産業者の風評及び他地区との諸条件をくらべて本物件の1平方米当り182,000円を妥当なものと考える。」と書いてあるんですね。
 私は、この文書を読むと、議員がおっしゃったように、明らかに間違いとかごまかしとか、そういうふうにはこの文章上はとれないと思います。ただ、附帯決議にございますように、それから、私自身がそのときにこれを見て審査を担当してたわけじゃないので、あなたはこれを見て真実と思ったかどうかというのは、なかなかお答えしにくいわけです。しかしながら、まさに附帯決議の御議論もありましたように、単にこういう文書が出てきたときに、つじつまが合ってて論理的であるということだからもういいんだということじゃなくて、もっと別の専門家にも調べてもらおうとか、そういう慎重審議はやっぱりやったほうがいいということは正しいと思うんです。
 したがって、今は少なくともそういう形に体制が整っていて、今後こういうものが出てきたら、それをいろんな角度から正当性を評価できるようにはなってるということを申し上げておくべきだろうなというふうに思っております。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) この際、申し上げます。
 所定の時間は残り2分2秒であります。
 再々質問を許します。
 42番松坂英樹君。
○松坂英樹君 2分で要望させていただきます。
 知事の答弁をいただきましたが、文章上間違っていないというお話でしたけども、銀行の意見と私が紹介した地元の皆さんの値段の意見とどっちが妥当であるか、知事が直接お聞きになれば、これはすぐわかることだというふうに思います。
 今後の話をされましたけども、この時点での審査、このやり方、問題であったかどうか、その反省の弁は残念ながら聞けませんでした。
 高度化資金全体の、焦げつきの全体の状況から見ても、同和対策の融資が通常融資よりもずさんな融資の実態であったという点、また、今回の個別案件についても、貸し付け時と債権回収過程の具体的な問題点の解明と評価にはメスを入れられてないと、このことを厳しく指摘をして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(坂本 登君) 所定の時間が参りましたので、以上で松坂英樹君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 12番須川倍行君。
  〔須川倍行君、登壇〕(拍手)
○須川倍行君 自民党県議団の須川倍行でございます。いましばらくのおつき合いをお願いいたします。
 それでは、一般質問を行います。
 4~5年前だったと思うんですけど、織田裕二の主演の映画で「県庁の星」──県庁の職員が研修という名目でスーパーマーケットへ派遣されていくわけです。倒産しかけているスーパーマーケット、見事、その研修期間中に大繁盛店に変貌を遂げていくというような内容の映画でした。私はそれを見て、ある気づきがありまして、その後の予算委員会でちょうどこのことについて提案いたしまして、早速県のほうでは取り入れていただきまして、現在に至ってるわけです。
 現在は、主査というんですか、新たに係長級になった職員が1カ月ぐらい民間研修に行ってます。ホテル、農協、マスコミ、食品生産加工業、ゴルフ場、金融業、小売業、運輸関係、販売業、飲食店等々、46社に94名、21年度実績で派遣されてるわけであります。映画のように即戦力というわけには当然いかないわけでありまして、むしろその受け入れ先にとってははた迷惑な話になってるのかもしれませんけども、私はこの民間研修というのは大変なメリットがあると思ってるんです。
 まず第1に、職員が大変な意識改革ができるということですよね。それと、コストに対する意識というんですか、接客、顧客の満足度の向上、こういうものに対する意識改革にもなる。それから、民間の仕事の進め方、これを学ぶことができる。
 特に映画では、途中でスーパーマーケットの職員さんから「県庁さん、県庁さん」と慕われて、何よりも信頼というものをかち取っていくわけであります。ここが非常に大事なところで、職員にとりましても、後々のことを考えると、この研修先で交流することによって非常に人脈が広がっていくと思うんですよね。むしろ、将来的に思うと、それは和歌山県の営業力が上がるということだと思うんです。それは、営業部長、まさにそういうような言葉がぴったり当てはまるんじゃないかなと。要するに、派遣先の会社の皆様との信頼関係が築ければという話につながってくると思うんですね。
 また、職員にとりましては、何かこう前向きに考えていただいて、何か1つでも得られるような気持ちで研修に行っていただきたいんでありますけども、もしかすると一方的に「あなたはここへ行きなさい」というふうなことで業務命令をつけてるんじゃないかなということをちょっと危惧してるんです。やっぱりモチベーションを保って行くというのは非常に大事だと思うんです。そういう点でも、大きなジャンル分けでも結構なんで、最初に希望の職種を聞いてあげてください。それで、できれば将来的には個人商店等々でも──まあ大体、派遣してるところは大きな会社関係が多いんですが──小さな個人商店等々でも受け入れていただけるようなところがあれば、またこれも1つの方策じゃないかなと思うわけであります。
 それは要望しておきますが、ここで、質問します。
 研修に行った職員の感想というものは、重立ったものはどういうものがあるのか。それから、この民間研修の成果、これをどのようにとらえられているのか。総務部長に質問します。
 次に、上海万博。
 これは中国・上海で、過去最大級らしいです。7000万人の入場目標を掲げてる。大阪万博をはるかにしのぐ。これはまあ、楽々目標をクリアすると思うんですよね。
 そんな中に、この上海万博で和歌山県としての取り組みは、まず10月8日の金曜日から10日まで日本館イベントステージ出展ということで、事業費約1500万ですか、和歌山県ゆかりの演奏団体によるステージ、観光PRイベントの実施、和歌山県の観光・食の魅力PR映像の上映、和歌山県産品の販売等々、イベントステージで行うと。それと、常設展示としては、ベストシティ実践区大阪館に出展いたしまして、会期中184日間、関西各府県、政令市合同で関西広域観光PRを展示していくと。非常に県の知名度のアップにもつながりますし、中国等からの観光客の増加ということも非常にねらいとしてあると思います。大成功を期待しておりますんで、頑張ってください。
 それとは別に、9月の11日、12日の2日間、土曜、日曜日、日にちも場所も決まってますが、上海万博内の日本産業館イベントステージにおきまして、近鉄グループの近畿日本ツーリストが主催となりまして、徐福を中心に世界遺産熊野、これを舞台演出と大画面の迫力映像で表現していくと。具体的な内容については、まだまだこれからの段階です。ただ、現状では熊野圏域の各自治体や各種団体等に協力を呼びかけている段階なんですが、中国市場への進出ということはもちろん、商業ベースの話もあるんかもしれませんけども、これに積極的に参加していくということは、将来的にも中国市場から和歌山へ呼び込んでいくという千載一遇のチャンスだと思うんですね。
 特にことしは、日本は今、坂本龍馬ブームですが、中国は空前の孔子ブームということで、生誕2560年ということで、孔子をテーマにした映画、これが公開されて大ヒットしてるわけです。何か、空前の大ヒットらしくて。で、うわさに聞いたんですけど、次の孔子の後編というんですか、ツーをつくるのも計画してるらしいですけど、この徐福を次の映画の題材にという、ちょっと、うわさというんですか、そういった情報も聞きました。
 こういったことになってくると、これは大変なことになってくるぞと思いまして、先に少し皆様に徐福というものについて御紹介したいと思うんですけど。
 徐福は、紀元前の200年余り前です。当時の秦の始皇帝の命を受けて、不老長寿の霊薬を求めて、3000人の大船団を組んで、この日本の地へやってきたわけです。この徐福の渡来伝説というのは日本各地にあります。佐賀や串木野にもありますけども、お墓があるのはこの新宮だけなんです。そのお墓で、今、新宮市では徐福公園というふうに祭ってるわけであります。
 それで、この不老長寿の霊薬というのは、徐福さんは、「あっ、これが探し求めていた不老長寿の霊薬だ」と。これが新宮市の天台烏薬なわけです。阿須賀神社の裏にある蓬莱山で見つけて、「ああ、やっと、よくぞめぐり会えた」ということで、この新宮に永住して、土地の人たちに農耕や漁法、捕鯨、紙すき等の技術をこの地に伝えたわけであります。
 天台烏薬といっても、中国産の烏薬と違うんですよね、新宮の天台烏薬というのは。その効能というんですか、これは既にもう医学的にも学会発表してますんで。普通の中国産の烏薬よりも3倍の効果があるというふうにもう学会発表されてます。ずっとネズミのほうで実験してたんですけど、最近ようやく人体実験に入ってきてるということで、まあこれは薬事的にどうなのか、あれなんですが、肺がんに効果があるんじゃないかと。もしも本当にこれが特効薬になるようなことがあれば、この新宮産の天台烏薬、これ、生産間に合わないじゃないかというぐらいに伸びてくるんじゃないかということで、新宮市のほうも今その天台烏薬の植生に力を入れてまして、それこそ山1つ丸ごと天台山というような企画で、どんどんどんどん天台烏薬を植えてるわけです。
 これは、やはり中国なんかと違って、この新宮という気候風土、温暖多雨という気候風土が生んだ結果、こういうふうなものになってきたんじゃないかなあと思うことで、薬品会社もこれからどんどんどんどん新宮へ進出してきてくれればなあと思ってるわけです。そういった徐福さん。
 これが本当に──中国というのは儒教の国ですから、先人の供養とか、そういうものには非常に熱心なんですね。だから、孔子の映画も大ヒットする。この徐福さんにかこつけて、新宮市へお墓参りに行こう、映画を見た徐福さんのところに行こうということになれば、中国からの修学旅行も誘致できるし、あるいは観光産業を中心とした、当然チャーター便で来るんですから、白浜空港の活性化にもつながっていくわけですね。
 もう既に、この徐福を売り出すイベントステージにおいては、これは会場確保とか設置費用というのは全く要らないんです。あとは宣伝広告対策と人的援助、費用の補助、そういったところだと思うんですが、どうでしょう、知事、まずは協議のテーブルにのっかっていただいて、県としての支援策を御検討いただきたいと思います。御質問にしたいと思いますんで、答弁をお願いします。
 それと、ちょうど今、上海万博の第一歩として、ふるさと雇用再生特別基金活用事業ということで、徐福奥熊野神邑の会社設立ということで、徐福を通した国際文化交流事業企画提案書を、もう既にこの4月に提出してますんで、よろしく御検討をお願いしたいと思います。
 次、昨年の秋です、新宮市議会の教育民生委員会県外視察に私も同行して、鹿児島県南九州市知覧町に行ってまいりました。知覧特攻平和会館であります。知事は行かれたことありますかね。──ございません。教育長はございますか。ぜひ機会があれば行っていただきたいと思います。議員各位も行かれた方は多々いらっしゃると思いますが、私はこれで今回は4回目です。
 ここは、大東亜戦争の末期、特攻作戦という人類史上類を見ない体験を根底に、全人類的視野に立って平和思想の普及を図るとともに、特攻隊員の遺品や関係資料等を収集、保存、展示し、その記録を後世に残し、世界の恒久平和に寄与することを目的としております。沖縄特攻で散華された隊員は1036名、うち和歌山県出身の特攻の戦死者は12名であります。
 事業といたしましては、ここは年中無休で、昭和50年4月に開館以降、既に1500万人以上の方が訪れてるわけですが、資料収集・保存活動、広報活動、平和事業のほかに教育普及活動というのがあるんですね。教育普及活動は、戦争を知らない世代への平和を考える学習の場として、教育旅行、修学旅行等の誘致を図り、健全で正しい平和学習の推進を図っているわけであります。平成20年度の教育・修学旅行の実績は、小学校が280校、中学校は135校、高校が100校、合計541校の4万8000人がこの地を訪れております。
 中には、遺書がたくさん展示してるわけです。死を直前にした隊員の遺書というのは、最初は文字が乱れていないんですが、感情が高ぶってきたのか、途中から文字が乱れているものもあります。そのときのいろいろな感情がこの筆跡ににじみ出てるわけですけど、中には豪傑な人もいまして、「一度は死んでみるべえか」とか「おれが死んだら何人泣くか」とかというような簡単な言葉で遺書を残してる隊員もあります。ただ、そのほとんどが、多くが、やはり母親を中心とした家族のこと、その思いをつづったものがほとんどでありますが、もうほとんど、全員と言っていいぐらい達筆です。本当に達筆です。
 そして、地元の入館者の反応というんですか、地元や入館者の反応というのは、こちらでは、戦争体験のある方々の多くが、「ここに来てよかった。時間が足りなかった。また来る」、「彼らの死を無駄にしないためにも、もっともっとたくさんの人に知ってほしい」、「当時のことを思えば涙なくして見学できない。今の若者にもっと知っていただき、戦争、平和、命について考えてほしい」。若者の反応というのは、「我々と同年代の若者が頑張っていたことがわかった。今の自分と比べれば恥ずかしい。もっともっと頑張らなければ」、「このようなリアルな資料館は初めてだった。ショックだった。心の奥深く残りそうだ」。
 ほとんどの皆さんが感動されて、自分だけではもったいない、ぜひほかの人々にも知らせたい、いや、知ってほしいと寄せ書き帳に多く書かれております。
 そこで、平和学習についてお尋ねしますが、今現在の平和学習というのは──私はここへ行けとは言ってないんですよ。ただ、教科書でただ単なる歴史的事実、これを教えてるだけにすぎないんじゃないか。もっとこういう戦争体験、そういったものをもっともっと生で見て触れる、そういう学習の機会が必要なんじゃないかなと思うわけでありまして、この平和学習、今のままで十分か、教育長にお尋ねします。
 あわせて、ふるさと教育ですが、ふるさと教育というのは、まず、自分の生まれ育ったふるさとに誇りと愛着を持つことから始まる。それはもう異論はないと思います。ほかの市町村の方々には──ちょっと僕は状況はわからないですけど、新宮市で毎年成人式に出席さしてもらいます。式典の1番は国歌斉唱です。中には、大きな声で国歌を斉唱する成人もいて、「おっ、ことしもなかなかいい盛り上がりの雰囲気」。その次で、一遍に白けちゃうんです。新宮市歌の斉唱です。だれ1人歌える者がいないんですよ、この新成人で。これは、教えてないからでしょう。市歌を教えずして何がふるさと教育だと言いたいんです。その辺は、あわせて、ふるさと教育は今のままで十分か、単なる読本だけで教えてないか、そういったことも含めて教育長の答弁をお願いします。
 最後に、一昨年でしたか、東京で、奈良は薬師寺の安田暎胤管主、その講演を聞く機会がありました。議場の中村議員、小川議員も同席していたわけでありますが、そのときの講演、すばらしい内容で、すごく深く印象に残ってる一節があったので、皆さんに少し御紹介したいと思います。
 戦国時代の3武将、信長、秀吉、家康。信長は、本能寺で焼き討ちに遭って討ち死にするわけであります。天下統一はまさに夢幻のごとく、その生涯を終わるわけです。秀吉は、「息子秀頼のことを頼む。秀頼を頼むぞ」と後世に憂いを残しながら死んでいって、やがて豊臣家は滅亡していくわけであります。家康はどうか。江戸徳川幕府300年の天下太平を築き上げたわけであります。その違いは一体どこにあったのか。信仰心があったかなかったかなんです。信長は、みずからを神とあがめて比叡山焼き討ちとかしましたね。一切の宗教を否定したわけであります。秀吉は、キリスト教を禁じ、信者を弾圧しました。家康はどうか。皆さん、よく御承知のとおり、日光東照宮をごらんになれば、いかに信仰心が厚かったかということがよくわかると思います。
 そして、もう1つ例を挙げて例えましょう。小泉純一郎と中曽根康弘はなぜ5年という長きにわたって日本の総理として君臨することができたのか。現職総理のときに靖国神社に参拝したからですねと──その方の講演でありますから──そのようにおっしゃってました。
 私は、子供たちに宗教を勧めてるわけではありません。ただ、この信仰心を持つということの大切さ、特に先祖供養を初めとした祖先を敬う心の大切さ、これをもっと教育に取り込めないかと思うわけであります。それは、家庭のしつけと言ってしまえばそれまでかもしれませんけども、今、親が墓参りに行かないでしょう、先祖供養も。核家族化してるから、仏壇が家にない家庭が多いです。だから、ある程度これは教育の力を頼らないけないな、そのように思うわけであります。
 そこで、祖先を敬う心の大切さをもっと教育に、教育長にお尋ねいたしまして一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの須川倍行君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、上海万博でございます。
 不老不死の霊薬を求め熊野を訪れた徐福、それから、中国において密教を学び、密教の正当な伝承者となって高野山を開山した空海、中国から持ち帰られた金山寺みその普及、そういうものなど、古くから和歌山は中国から文化や宗教の面において大きな影響を受けてまいりました。また、近年においても、山東省との姉妹提携や友好のあかしとしてのパンダ交流など、中国と和歌山は今なおかたいきずなで結ばれております。
 上海万博に参加することは、こうした中国とのつながりをなお一層強め、またこれを契機に、本県の観光資源や県産品をPRすることによりまして和歌山県への注目度の向上と中国からの誘客増につなげてまいりたいと考えているわけでございます。このため、県では、10月8日から10日にかけまして、日本館のイベントステージにおいて観光・食の魅力をPRするイベント──これは和歌山イベントですね──こういうものを開催いたします。
 当時の全体を仕切っている経済産業省が、この10月8日から10日というのは、実は中国のお祭りの最も盛り上がるところでありまして、そこを割り当ててあげるといって、いただきました。そんなことでございますので、県内の多くの方々にもやっぱり一緒に行っていただいて、観客になっていただいたり、あるいは主催者の一員として応援していただいたり、あるいはイベントを楽しんでいただいたり、そういうことをぜひしてもらったらどうかということで企画をしているところでございますので、ぜひとも多くの県民の皆様に御参加をいただければと、まず思っております。
 次に、議員御提案の、さらにもう1つということで、紀南地域の住民、経済団体、行政が一丸となって、別のまた万博参加を通して地域活性化を図ろうというお話も、これまた大変立派なお話であります。地域の皆様の自発的で前向きな取り組みという意味において、大変すばらしいことだと感じております。
 県といたしましても、今後、このような動きに対して大いに、まずテーブルに着いて、どのような協力、支援ができるか、主催者や関係者のお話を十分お伺いし、検討してまいりたいと考えております。
○副議長(坂本 登君) 総務部長宮地俊明君。
  〔宮地俊明君、登壇〕
○総務部長(宮地俊明君) 職員の民間研修についてお答えいたします。
 新たに係長級となりました職員を対象とした民間企業等での体験研修につきましては、46の企業、団体に御協力をいただき、94名の職員が1カ月間、接客や食品の製造加工など、さまざまな業務に従事させていただきました。研修に参加した職員からは、「肉体的な厳しさはあったが、コスト削減への徹底した取り組み、接客の現場の緊張感など、日ごろ触れることができない民間企業の厳しさに触れ、大いに刺激になった。今後の業務に生かしたい」といった報告などを受けております。こうした研修は、職員がコスト意識や住民満足度の向上について体験的に習得することができるという点で効果があり、職員の意識改革にもつながるものと考えております。
 今後は、今年度の成果を踏まえ、新たな研修先の開拓など、体験研修が一層効果的なものとなるよう努めてまいりたいと考えております。
○副議長(坂本 登君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 平和について考える学習についてお答えします。
 戦後65年が過ぎようとしておりまして、戦争の当時を知る方々が少なくなってきております現在、平和について考える学習はこれまで以上に重要になってきていると考えます。教育基本法や学習指導要領におきましても、「我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う」とうたわれているところでございます。
 本県では、小・中・高等学校の教科や道徳、総合的な学習の時間、特別活動等を通じまして、さまざまな教材を活用しながら平和の大切さについて学習をしております。
 また、高等学校の修学旅行では、20校が沖縄、長崎、広島の戦跡を訪ね、語り部の話を聞いたり、多くの小中学校でも、地域に在住するお年寄りから貴重な戦争体験を伺ったりするなどの取り組みを進めてまいりました。
 平和について学ぶには、抽象的な言葉だけではなく、戦争の現実に触れることが大切でありまして、それだけに、今ようやく重い口を開いてくださる戦争体験者の言葉を語り継ぐことが大切であると考えます。また、そのことによって、平和のとうとさや生命の尊厳、自分が生きていることの大切さ、先人や家族、社会、そして次の世代への責任を自覚できるようになるものと考えます。今後とも、平和について考える学習が一層充実するように取り組んでまいります。
 続いて、ふるさと教育でございますが、本県では、子供たちがふるさとへの愛着を感じ、誇りに思う態度を育成するため、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」などのすばらしい自然、歴史、文化などに触れたり、昨年度、ふるさと教育副読本「わかやま発見」を改訂するとともに、現在、一層親しみやすい教材として「わかやま何でも帳」というのを作成するなど、ふるさと教育を進めてまいりました。今後とも、子供たちが郷土和歌山のすばらしさを実感し、愛着や自信の持てるふるさと教育をさらに充実してまいります。
 次に、祖先を敬う心の大切さについてでございますが、祖先を敬う心は人間だけが持つ奥深い心性であると思います。そのことによって、多くの祖先によって生かされている自分を自覚し、自他の尊厳を大切にする心が養われるものと考えます。また、祖先を敬い、感謝の念を深めるところから、温かい家族愛や人と人との信頼関係もはぐくまれることと思います。
 こうしたことから、子供たちが郷土や我が国のために尽くした祖先の功績を学習することは大切なことであり、今後とも御指摘のような奥深い心性に根差した豊かな心の育成に一層努めてまいります。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 以上で、須川倍行君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時28分散会

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