平成22年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(藤本真利子議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 35番藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)
○藤本眞利子君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問を行います。
 まず、本年度予算における県財政の影響についてお伺いをします。
 政権がかわり、初めての予算審議でありますが、平成22年度予算が3月2日に予算委員会を通過し、参議院に回りました。国において、予算編成の基本理念として、「コンクリートから人へ」「新しい公共」「未来への責任」「地域主権」「経済成長と財政規律の両立」が示され、今後の経済運営に当たっては国民の暮らしに直結する名目の経済指標を重視するとともに、デフレの克服に向けて日本銀行と一体となった、強力かつ総合的な取り組みを行うとしています。
 22年度予算のポイントが内閣府から出されています。この中で特徴的なことは、地方が自由に使える財源をふやすためと、平成11年以来11年ぶりに地方交付税交付金等が1.1兆円増額されたということであります。これを受けた形で、22年度当初予算において地方交付税、臨時対策債は159億円の増となっており、数字で見る限りでは県の地方交付税は増額されています。私は、これは地方で必要な予算を地方が使えるようにとの措置であると受け取っていますが、このような国の予算配分が県財政にどのような影響があるのか、お伺いをします。
 また、切れ目のない経済対策ということで、経済危機対策として14の交付金が基金として積み上げられています。それ以前にも平成20年度に、生活対策及び生活防衛のための緊急対策に伴う交付金として、20年度の第2次補正で積み上げられている2つの基金を含めると16の基金が積み上げられているといった状況です。経済対策に伴う基金では、平成21年度の積立額は282億8054万円、そのうち執行された額は35億9009万円であります。積立額13%弱の執行率であります。また、生活防衛の交付金は49億3125万円、執行額8億7075万円、18%余りの執行率であります。
 さて、両交付金とも国の緊急対策でありますので、速やかな対応と予算の執行が欠かせないと思いますが、昨年度を見る限りでは十分に生かし切れていないというふうに思われます。
 そこで、昨年度の執行率が低くなったと思われる重立った理由をお聞かせください。
 また、経済危機対策の交付金では、今年度、そのうちの152億5900万円余りが予算に計上されているところです。生活防衛の交付金は今年度で22億4591万円余りが計上され、合計175億491万円となりました。これらのほとんどの交付金は事業期間が3年間ということですので、残り合計153億7933万円余りは来年度の執行に引き継がれます。今年度も基金として積み立てられた交付金は、2つ合わせて175億491万円でありますが、昨年度の執行率では到底使い切れないのではと危惧をしています。
 これらの基金はしっかり運用していただき、少しでも和歌山県の経済の活性化につなげていただきたいと思いますので、今年度の執行に係る計画と見通しについてお伺いします。
 次に、DV対策についてお伺いをいたします。
 昨年10月18日より、カナダの中央に位置するカルガリー市において、DV対策及び児童虐待問題、及び教育問題についての調査をしてまいりました。先ごろ、冬季オリンピックがカナダのバンクーバー市で開催され閉幕しましたが、カルガリー市も1988年にオリンピックが開催された町として有名であります。
 カルガリー市は人口110万人、カナダでは3番目に大きい都市であります。カナダは地下資源に恵まれた国でありますが、カルガリー市のあるアルバータ州も石油が採掘されています。カルガリー市はアルバータ州のビジネスの中心を担う都市であり、活気に満ちた都市でありました。
 州によっては言語、教育制度、税金とすべてに違っている国でありますが、カルガリー市の所在するアルバータ州は、広大な面積を有し、ロッキー山脈の豊かな自然に恵まれた、日本からも大勢の観光客が訪れる州でもありました。
 最初に私たちが訪問したYWCAは、教育関係や福祉関係のさまざまな施設を運営する団体です。今回はYWCAの運営するDV被害者のためのシェルターの現状を調査しました。
 カルガリー市には、YWCAの運営するシェルターが2カ所あり、1つは公にされていますが、もう1つは場所の所在がわからないようになっていました。それぞれ40床のベッドが用意されており、外部からは侵入できないように配慮されていました。
 スタッフは30人、24時間体制で相談活動をされており、3週間受け入れた後、生活支援を行うため、長期滞在の施設も用意されているとのことでした。
 子供を連れて避難することも多いため、子供のための心温まる準備がされていました。プレールームはもちろんですが、心のケアができるよう、1人1人におもちゃやお人形が用意され、安心して過ごしていいんだよというメッセージが伝えられていました。
 きょう、この壇上に持ってきたのはこの人形(現物を示す)、ウォーリードールといいまして、子供たちの悪い夢や心配なことをこの袋に閉じ込めて、もう安心していいよというメッセージをこのお人形に託して1人1人の子供たちに贈っているという、そういった人形です。これは、シェルターの活動に協力するボランティアの人たちが、1つずつがお人形が違っていますし、こういう袋も違っているというふうなことで、手づくりでこういうふうなお人形を作成して、つくって子供たちに渡すというふうな寄附をしてくれているというふうなことでありました。シェルター全体がDV被害者を温かく迎えるといった空気を感じました。
 その後、DV被害者への対応をすべてワンストップで行うことのできるホームフロントという機関に移動し、詳しくお話を聞くことができました。
 ここでの仕事は、各施設や団体をネットワークで結び、どこの地域からでも受け入れることのできる体制が整えられておりました。長期の居住の世話、それから子供の教育の保障、仕事の問題、裁判の手続、カウンセリング等々、きめ細かくコーディネートし、24時間体制で24人のスタッフが被害者の支援を行っていました。
 警察の役割も大変大きく、警察にはDV被害者専門の窓口があり、迅速に対応できるようになっており、裁判所にもDV専用の裁判所があり、連携しながら対応しているとのことでした。
 日本でも、DVは当事者間の個人的な問題とか家庭内の問題とされ、殴られた妻が警察に通報しても、警察も「法律は家庭に入らず」、「民事不介入」の原則に縛られ、妻が重症を負うか死亡しない限り捜査が開始されないということが過去多々見られました。
 その後、反DV運動の広がりにより、1995年の第4回世界女性会議を契機とする政府の「男女共同参画2000年プラン-男女共同参画社会の形成の促進に関する2000年度までの国内行動計画」において、初めて女性に対する暴力の根絶が盛り込まれるに至りました。
 2001年4月には、議員立法により配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(DV防止法)が成立、2001年10月から施行されています。その後、2004年、2007年と2回改正され、今に至っています。そういった経過を経て、DV問題が人権侵害の問題であるという認識がようやく定着してきたように思います。
 県では、売春防止法の規定による行政機関と、DV防止法に伴う配偶者暴力相談支援センターとしての役割の2つの機能を合わせた子ども・女性・障害者相談センターがすべての問題の相談窓口になっており、課長以下5人の職員と、各振興局に1名の女性相談員が配置されています。
 本年度の総相談件数は、1月末日の実件数で2950件を超えており、その3割がDV相談であるという実態であります。一時保護をした場合でも、その88%はDVによる被害者であるという実態です。
 DV問題は、外からは見えにくい構造になっています。身体的な暴力があっても、よほどのことがない限り救助を求めてこないと思われますので、相談件数は氷山の一角であると考えられます。DVである心理的暴力、経済的暴力、性的暴力、脅迫、威嚇、強要、社会的隔離等々を含めると、被害の実態は膨大なものと考えられます。
 視察をさせていただいたカルガリー市では、シェルターと一時保護、またその後の継続した支援体制が確立していましたが、日本とカナダを比較してみると、取り組みに大きな差があると感じました。カナダのDV被害者への手厚い対応は、暴力に対峙する姿勢、その違いが大きいのではと感じました。
 DV問題は自分には関係ないと思われる方が多いのですが、子ども・女性・障害者相談センターでお話をお聞きすると、虐待や暴力の相談件数の多さと、実際に、被害者の子供や女性の多さ、深刻さに愕然とします。また、その最前線で対応されている職員の皆さんの多忙と深刻さも半端ではなく、そのような勤務実態が他の部署の皆さんとの共通理解になっていないことも問題だと感じます。
 相談窓口の明確化、県内市町村との連携、警察を含めた庁内連携、関係機関や団体とのネットワーク、警察の対応、DV被害者の生活再建における相談、手続等のワンストップサービス等々の取り組みが不可欠だと考えます。また、必要に応じて人員の配置や民間との協働も必要と考えられます。
 そこで、DV問題への取り組みの現状についてお聞きをします。
 また、DV被害者支援について対応はどうなっているのでしょうか。DV防止法では、市町村に対して基本計画の策定を努力義務としていますが、私は、緊急避難等の問題もあり、基本計画は必要であると考えますが、県として今後どのようにされていくのか、見解をお聞きします。
 また、DV被害の実態を調査する必要があると考えますが、その点について県の見解をお伺いします。
 また、警察が大変重要な役割を負っています。警察の対応をお伺いします。
 次に、和大新駅の進捗状況についてお伺いします。
 和大新駅──仮称ですが──整備事業については、一昨年の12月議会でも質問させていただいています。国が8億円、県市ともに5億円、駅周辺土地区画整理事業組合で15億円、総事業費33億円の事業であります。平成24年4月に開業予定となっています。
 先日も、その様子を見てまいりました。片側の線路のつけかえも終わり、新しい駅の骨格ができてきていました。駅前広場の整備はまだ着手されていませんが、場所の確保はほぼされていました。大型店舗の進出も予定されており、和歌山市や県にとっても夢のある大型プロジェクトであると思います。
 仮称・和大新駅からショッピングモールをくぐり、そこに広がる町並みや大学への道を行き通う人たちの姿を想像すると、何だか楽しい気分になってきます。平成27年度開通予定の第2阪和の仮称・ふじとランプが完成し、大阪とのアクセスが良好になれば、可能性はさらに広がると考えます。平成23年4月には、仮称・ふじと台小学校も完成の予定であります。
 さきの知事答弁においても、和大新駅の位置づけとそれに伴うまちづくりについてお聞きしたところ、「和歌山市北西部の交通の利便性向上に大変重要な役割を果たす。和歌山市のお話をお聞きしながら、新駅の整備効果が早期に発現できるよう対応してまいりたい」との答弁でありました。
 そこで、県としてこの仮称・和大新駅の整備についての現在の進捗状況についてお伺いをします。
 最後に、観光行政についてお伺いします。
 和歌山県観光立県推進条例が4月から施行されるということで、小川武座長のもと、私も委員としてこの条例制定にかかわらせていただき、さまざまな観光分野の皆さんの御意見をお聞きする機会を得ました。大変貴重な経験だったと感謝しています。条例制定により、県としての観光立県としての外枠ができたというふうに思います。
 さて、国においても平成20年10月1日に観光庁が発足しており、我が国の観光立国に向けての推進体制を強化するための諸施策が示されています。今後は国の動きを勘案しつつ、和歌山県としても観光振興計画が策定されていくものと考えます。
 そこで、まず人材の育成についてお伺いします。
 観光立県和歌山として重要なことは、観光立県を担う人材づくりであると考えます。和大にも観光学部ができましたが、観光系学部・学科を設置している大学は近年急増しており、1992年度には240人程度であったものが2009年度には4400人余りへと、約20倍に拡大されています。本県の和歌山大学観光学部も、国公立では3校ということでありますが、その大学の1つです。卒業生をまだ輩出していないということもありますが、卒業生が和歌山県の観光分野で活躍していただけるよう切に望むものであります。
 しかし、今のままでいくと、その確率は大変小さいように思われます。全国的に見て、現状では観光学部の卒業生の進路は、観光関連分野に就職している率が約23%と大変小さいからです。和歌山大学の観光学部も、その例外にはなりにくいのではというふうに考えます。観光を学んでも就職につながらないという現状では、優秀な人材が大学に集まることも、そこから優秀な人材が輩出されることも難しいと考えます。和歌山大学で学んだ学生が和歌山県の観光のために働きたいと思えるような支援も、必要ではないでしょうか。
 先日、観光振興について和大観光学部副学長の小畑教授にお話を聞く機会があり、今の観光学部の様子などもお伺いできました。小畑教授とは、一昨年近露で行われた近露まるかじり体験で御一緒になった御縁で、そのときは御夫妻での参加でしたが、昨年のこのまるかじり体験のイベントでは、20人余りのゼミ学生と参加をしたというふうにおっしゃっていました。
 教授は、近露まるかじり体験のイベントは、着地型観光を進める上で大変重要な意味を持っているというふうに言われています。
 まず、地域おこしというのが根っこにあって、中辺路という村のすべての家や関係者以外の普通の人が参加している、和歌山県でも進めようとしている着地型観光は、地域を元気にすることなしに成立しないというふうに言われています。ことしゼミ学生を参加させたのは、そういった地域おこしに積極的にかかわることで見えてくることを学生とともに学問的に体系化していきたいからだというふうにお話をされていました。
 そういったお話をお聞きするにつれ、和歌山に残って働く人材を育てるためにも、地域や関係機関でのインターンシップを受け入れるなど、和歌山大学との連携を積極的に推進する必要もあるというふうに思います。
 観光振興課のほうからは、毎年、観光客数やそのうちの宿泊数、日帰り客数の統計が示されています。それに伴う経済効果、波及効果にも言及されており、貴重な統計であります。それに加え、1回の観光でどの地域を何回訪問したか、目的やきっかけ、満足度、もう一度見てみたいといった観光客のニーズを読み取るための以上のような調査も、数年に1回されているとお聞きしています。
 しかし、入り込み客数というようなことがよく言われますが、この数も統計的に統一されたものがなく、それぞれの観光地でばらばらのカウントをとっているといった現状だとお聞きしています。今後、観光の学問的統計や調査統計を蓄積していくということも含め、和歌山大学や関係機関、企業などとどのような連携をされていくのか、お伺いします。
 次に、近露まるかじり体験の1つの体験に熊野古道を語り部と一緒に歩くというイベントがあるのですが、リピーターをつくるためにも語り部の養成は重要な要素であると思います。観光を支えるために、案内業務は大変重要です。
 現在、地域ごとにNPO等が案内業務を語り部という形で請け負っているところがたくさんありますが、語り部の育成はこれから欠かせないものだと思います。
 また、諸外国からの受け入れには通訳案内士の養成が欠かせないと思います。通訳案内士は語学力や日本の歴史、地理、文化等を正しく伝える任務があるため、その資格取得は大変難しい現状であります。しかも、通訳案内士は大都市圏に集中しているため、本県のような地方にはいらっしゃらないのが現状です。
 これを地域に限定した地域限定通訳案内士の養成を行っている県──2008年度現在では6都道府県が実施している──もあります。また、アジアからの観光客が急増している中、アジア言語の有資格者をふやすことも喫緊の課題であると考えます。通訳案内士の養成については、国のほうでも資格要件の緩和や仕事の需要をふやす等の対応を考えているとのことですので、その動向を見る必要もあるかと思います。
 そこで、県としては語り部の養成や海外からの観光客の対応についてどのようにお考えなのか、お伺いします。
 地域の観光振興策を立案実施するため、地域の魅力をいかんなく発揮させる地域に根差した人材、その地域に精通し、従来の観光名所や旧跡以外に旅行者のニーズにマッチした観光資源を発掘、商品化できるような人材も必要です。
 県では、観光部門の職員の配置については通常のローテーションで実施していると認識しているのですが、短期間で職員が交代する現状では、観光施策を専門とする職員を育成することは大変難しいと考えます。県の観光を支えるためにも、観光振興や地域施策に特化した人材が必要だと考えます。
 そこで、県として観光専門職を置く考えはないのか、お伺いします。
 次に、観光資源の整備についてお伺いします。
 先ごろ、金沢市のほうに観光行政について視察に行ってまいりました。金沢市は戦災に遭っていないため、古い町並みが残り、新しい町並みとうまく溶け合った観光資源に恵まれた町でありました。金沢駅は、おり立つと目の前に歓迎の言葉が掲げられており、近代的ながら、おもてなしの心があらわれているような駅のたたずまいでありました。城跡を中心に官公庁や商店街が広がり、市役所の隣に21世紀美術館があり、観光客で大いににぎわっていました。市役所隣の県庁が郊外に移転し、その跡地は芝生を敷いた公園に、古い県庁は建物の古い様式を残しつつ、全面ガラス張りで城跡の美しい石垣が見える建物に生まれ変わるとのことでした。県の職員さんの話では、城跡の石垣は石川県、金沢市にとってもすばらしい観光資源ですと説明を受けました。
 さて、県都である和歌山市にも、和歌山城というすばらしい平山城があります。市内のどこからでもながめることのできる和歌山城は、全国でも有数のすばらしい城であると思います。和歌山城のお城沿いを散歩する市民の姿をよく見かけますが、お城は和歌山市民や県民にとって大変身近で生活に密着したものだと思います。和歌山城の南側を通る三年坂は名前も美しく、その前の道路も整備され、それに続く県立美術館も、金沢の21世紀美術館に負けないすばらしい景観を誇っています。
 しかし、和歌山駅や市駅の現状は、お城を初めとする和歌山市のすばらしい観光資源を積極的に紹介することもないようなありさまです。また、そこに行くためのバスの案内も不親切な状況で、初めて和歌山を訪れた皆さんにおもてなしの心が伝わるような、そういった風景になっていません。ましてや、和歌山県の観光地への誘導も薄いように思います。
 和歌山県の玄関口である和歌山市の観光の振興なくしては、県全体の活力につながっていかないと考えます。県として、和歌山市のこういった観光資源の現状をどのように認識しているのか、和歌山市との関係も含め、今後どのように観光振興を進めるべきだと考えるか、所見をお伺いします。
 次に、観光立県として県民総参加による観光振興に取り組むために、自分たちの住むこの和歌山の歴史を知り、郷土愛をはぐくむ教育は大変重要なものと考えます。
 先日、有田川のウ飼いのお話をお聞きしました。有田の皆さんは御存じかと思いますが、今現在、鵜匠が4人しかいないということです。有田川のウ飼いは大変歴史が深く、長良川のウ飼いは有名ですけれども、有田のほうが古いとお聞きしました。しかも、商業化された長良川に比べ、有田川のウ飼いは2月にウを捕まえ、5月まで仕込み、6月から9月までウ飼いをした後、そのウは自然に放つというふうなことだそうです。長良川では一度仕込むと飼いっぱなしだということですので、比べると有田のウ飼いがどれほどすばらしいかがわかります。有田のウ飼いが商業化されなかったということは、反面、商業化が苦手な県民性ということも言えるかと思います。
 しかし、このような観光資源はこれからも大事に育てていかなくてはなりません。地域地域に伝わるすばらしいわざや歴史を子供たちに伝えていく、意識的に人材をつくっていく必要があると思います。それぞれの地域に伝わる郷土の歴史をどういう方法でどういう機会に伝えていくのか、また郷土に誇りを持つ子供を育てるためにどのような教育をされていくのか、これは教育長にお聞きします。
 以上で、一般質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの藤本眞利子君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、地方交付税の増額による県財政への影響についてお答え申し上げます。
 地方交付税の動向につきましては、厳しい経済状況のもとで、地方税や地方交付税の原資である国税5税の大幅な減収が見込まれる中、本県のみならず、全国の地方公共団体が大きな関心を持って注目していたところでございます。
 平成22年度の地方交付税総額が1兆円規模の別枠加算により増額されたことは、地方の厳しい財政状況に対し配慮がなされたものと評価しているところでございます。
 平成22年度当初予算につきましては、景気の低迷による県税収入の大幅な減少や社会保障関係経費の増加など、県財政を取り巻く非常に厳しい環境の中、地方財政対策を踏まえた財源対策や行財政改革の着実な実施などにより、収支不足額を新行政改革推進プランの目標額を下回る31億円に抑制する一方、県民の方々の不安を取り除く安全・安心の政策と、次の時代のための希望の種をまく政策を積極的に展開するために必要な予算を確保することができたものと考えております。
 もちろん、この予算編成に当たりましては、無駄を省き、切り詰められるところは最大限そうする一方で、必要と思うところは果断につけるという県当局挙げての血のにじむような努力もありましたが、現政権における地方交付税の増額と、もう1つは前政権のときにいただきました各種基金を有効活用できたことも大いに助けになったところでございます。
○副議長(坂本 登君) 総務部長宮地俊明君。
  〔宮地俊明君、登壇〕
○総務部長(宮地俊明君) 国の経済危機対策に伴う交付金等を積み立てた基金の活用についてお答え申し上げます。
 平成21年度の基金執行額につきましては議員御指摘のとおりでありますが、経済危機対策関連基金約283億円は、平成21年度国補正予算に係るものでありまして、県といたしましては、国の内示にあわせ、6月補正から順次9月、12月、さらには当2月議会において基金積み立てを行い、事業執行可能額を順次取り崩して執行してまいりました。
 その中には、国による事業計画承認後、2月議会において積み立てを行い25年度まで執行するものや、事業開始が21年10月以降で23年度まで執行するもの、あるいは21年度の執行額はゼロでも交付先が決定しており全額を22年度に執行するものなど、それぞれの基金によりまして事業開始時期や事業期間が異なることが21年度の執行率の要因と考えております。
 平成22年度の予算につきましては、各基金の所管部局におきまして、県がみずから執行するもの、市町村や事業者に交付するものなどを合わせ所要額を見積もり、予算計上したものでございます。
 それぞれの基金の設置目的を十分に踏まえ、適正かつ計画的に執行することによりその効果が最大限発揮できるよう、今後とも努力してまいりたいと考えております。
○副議長(坂本 登君) 福祉保健部長北田佳秀君。
  〔北田佳秀君、登壇〕
○福祉保健部長(北田佳秀君) DV対策についての2点にお答えいたします。
 まず、取り組みの現状についてでございます。
 県では、昨年4月、DV対策の基本計画を改定し、配偶者等からの暴力を容認しない社会の実現を目指し、主として啓発、相談、保護、支援の観点から、関係機関とのネットワークのもと取り組んでいるところでございます。
 具体的には、暴力を許さない意識の醸成をテーマとする教育や啓発を行うとともに、被害に悩む女性には安心して相談できる環境が必要であることから、子ども・女性・障害者相談センター、男女共生社会推進センター、各振興局などにおきまして、電話や面接による相談業務を行っております。
 また、緊急時の避難が必要となる重篤なケースでは、一時保護から、その後の生活再建に至る支援を行っております。
 しかしながら、議員御指摘のとおり、近年DV被害者からの相談件数が大幅に伸び、平成20年度では行政関係機関だけでも1000件近くに上るなど、より一層のDV対策の強化が重要であると認識しております。
 次に、今後の対応についてでございますが、DV対策は単一機関のみで支援を完結するということは困難な場合が多いことから、多様な関係機関が連携し、切れ目のない支援が実施できるよう、行政、警察、民間団体等で構成する現有のネットワークのさらなる充実強化に努めてまいりたいと考えております。
 また、住民に身近な存在である市町村では、きめ細かなDV対応が求められますので、その行動指針となる基本計画の策定や体制の整備など、地域の実情に応じた連携協力を働きかけてまいりたいと、そのように考えております。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 環境生活部長井口悦治君。
  〔井口悦治君、登壇〕
○環境生活部長(井口悦治君) DV対策のうちの3点目の実態調査についてでありますが、DVに関する実態調査につきましては、直接の調査ではありませんが、平成18年度に実施した男女共同参画に関する県民意識調査の中で、関連項目としてDVに当たる行為について調査をいたしました。
 この中では、夫婦や恋人間で身体を傷つける可能性のあるもので殴る行為を88.7%の方がDVに当たると答えているのに対し、何を言っても無視し続けるという行為がDVに当たると答えた人は29.3%にとどまっております。身体的暴力以外の暴力について、認識が低いという結果が出ております。
 こうしたことから、DVに対して正しく認識してもらうため、あらゆる機会をとらまえて意識啓発に努めております。
 なお、実態調査につきましては、内閣府が平成20年度に実施した男女間における暴力に関する調査によりますと、女性の約4人に1人が配偶者から身体的暴行を受けた経験があるという調査結果が出ており、県といたしましても、今後、男女共同参画に関する県民意識調査を行う際、調査項目を検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 企画部長前硲健作君。
  〔前硲健作君、登壇〕
○企画部長(前硲健作君) 仮称・和歌山大学新駅の進捗状況についてお答えいたします。
 新駅の整備は、現在、工期約5年のうちの3年目で、駅舎の東半分の建築工事や下り線の電気・信号関係の工事が進められておりまして、本年1月の進捗状況は50.3%となってございます。
 22年度におきましては、現在の下り線を新しい路線に切りかえ、駅舎の西側部分の工事に取りかかることを予定しており、このまま順調に工事が進めば平成23年度末完成、平成24年春には駅開業という予定になってございます。
 今後も、関係機関と連絡を密にしながら工事の進捗を図ってまいります。
○副議長(坂本 登君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 観光振興についての3点の御質問につきまして、一括してお答えさせていただきます。
 まず、人材の育成について、和歌山大学や関係機関、企業とどのように連携しているかについてでございますが、県では、平成20年4月、和歌山大学、県観光連盟との3者で観光に向けた相互連携に関する交流協定を締結し、和歌山大学とは観光カリスマ講座の開催、観光統計調査での共同研究、民間企業とは観光学部の学生のホテル、旅行会社でのインターンシップを行うなど、産学官共同で諸事業に取り組んでいるところであり、今年度以降も引き続き連携を深め、実のある事業を展開してまいりたいと考えてございます。
 次に、語り部の養成等についてでございますが、国の内外から訪れた方々に本県の歴史や高野・熊野の精神文化等を御理解していただくため、語り部や通訳案内士の果たす役割は非常に大きいものと考えております。
 このため、語り部の養成に関しましては、各語り部団体が実施する自主研修への支援や訪問客の安全対策、話し方等を内容とする基礎研修を実施しているところであります。
 また、通訳案内士につきましては、通訳案内士の偏在やアジア言語の通訳案内士の不足などの課題もあることから、地域の実情に合った通訳案内士制度となるよう働きかけるとともに、地域特性に精通した通訳ボランティアガイドの方々と引き続き連携しながら、外国人観光客へのおもてなし力を向上させてまいりたいと考えてございます。
 次に、観光専門職についてでございますが、観光振興の業務につきましては、専門性が非常に高いことから、平成19年に財団法人わかやま産業振興財団に観光産業プロジェクトマネージャーを配置し、例えば、那智勝浦町での町並み博覧会や熊野古道関連商品の造成など、民間ノウハウを生かした観光振興に取り組んでございます。
 議員御提案のとおり、観光振興の業務におきましては、観光事業者やマスコミなどとの人的なつながりや、本県のそれぞれの地域の特性や魅力に十分に精通することが必要であることを踏まえ、今後とも専門職のあり方につきまして検討を進めてまいりたいと考えてございます。
 次に、和歌山市の観光資源に対する所見についてでございますが、県全体の観光振興にとりましても、本県を代表する観光地の1つである和歌山市観光の活性化は非常に重要であると認識してございます。
 和歌山市には、議員御指摘の和歌山城を初め、万葉の昔から景勝地として親しまれる和歌浦などの奥深い歴史文化、海洋レジャーでにぎわうマリーナシティ、磯ノ浦、加太、友ヶ島などの豊富な自然というすばらしい観光資源を有してございます。
 今後とも、こういった観光資源を生かした商品造成やその情報発信など、和歌山市の観光振興の進め方につきまして、市並びに関係機関と十分議論を深めながら取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 郷土への誇りを持てる子供の育成についてお答えいたします。
 本県には、全国に誇るべき自然環境や歴史、文化など、すぐれた財産がございます。子供たちがこれらのよさを深く学び、ふるさとへの愛着を高め、郷土を誇りに思う態度を育成するよう、これまでもふるさと教育を推進してまいりました。各学校では、社会科や総合的な学習の時間などで地域へ出かけ、探究活動を行ったり、また地域の方を招きまして直接話を聞いたり、地域に伝わるすばらしいわざを学ぶなど、体験活動を行っております。
 県教育委員会におきましては、昨年度、9年ぶりにふるさと教育副読本「わかやま発見」を改訂するとともに、今年度は子供たちの地域への興味関心を高めるため「わかやま何でも帳」を作成いたしまして、ふるさと教育の充実を図っているところでございます。
 また、これらのふるさと教育関係資料や取り組み事例を教育委員会のホームページ等で広く紹介をしております。
 今後とも、子供たちに郷土和歌山への誇りや自信を持たせる取り組みを一層推進してまいります。
○副議長(坂本 登君) 警察本部長永松健次君。
  〔永松健次君、登壇〕
○警察本部長(永松健次君) 警察における配偶者からの暴力、いわゆるDV事案への取り組みについてお答えいたします。
 警察におきましては、被害者の安全確保を第一に積極的な対応を図っているところであります。DV事案につきましては、過去5年間に平均210件余りの相談を受理しておりまして、昨年は260件に上っております。
 このように、相談により認知することが多いDV事案に対しましては、警察本部生活安全企画課と各警察署にDV対策の専務係を配置し、緊密な連携のもと組織的な対応を行っているところであります。
 具体的には、被害者の意向を踏まえ、加害者に対して厳しく指導・警告することはもちろん、被害者には今後の危険性を十分に理解させ、被害届の提出を促し事件検挙を図っているほか、裁判所の保護命令制度の教示を含めた指導・助言を行っております。
 昨年は、保護命令違反や暴行、傷害等で21件のDV事案を検挙したところであります。また、県の子ども・女性・障害者相談センターや市町村等の関係機関と情報を共有するなど連携を密にしまして、その後の被害者保護対策にも努めているところであります。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再質問を許します。
 35番藤本眞利子君。
○藤本眞利子君 答弁をいただきましたので、2点、要望を述べたいというふうに思います。
 まず、基金についてであります。
 経済危機対策に伴う基金のうち、緊急雇用創出事業臨時特例交付金、それとふるさと雇用再生特別交付金、この額面が最も大きくて、雇用に関して結果を出すということが求められていると思います。
 しかし、他の基金と比べて雇用を生み出すというのは大変難しい、担当課の方に聞くまでもなく難しいんじゃないかと想像しています。
 緊急雇用創出事業臨時特例交付金、これは非正規の労働者とか中高年の失業者に対して、短期の雇用、就業機会の創出、提供及び人材育成のための事業を実施するというふうにありまして、40億余りの予算が積まれています。
 その中で、高校生の未就職者を対象に、働きながら就職活動を続けられる機会を創出するということで、県及び教育委員会にアルバイト職員という形で臨時に雇用するという予算が今回計上されているわけです。この点について、ちょっとやり方が簡単過ぎるの違うかと思ったので当局にお聞きしますと、その間に何とか就職できるように最大の手だてをするというふうなことですので、今後の経過を見守っていきたいというふうに思います。
 短期間で大きな予算が動きますので、この事業も含め、職を求めている人が一人でも多く雇用につながるというふうな取り組みを期待したいというふうに思います。
 もう1点はDVの問題でして、非行や犯罪にかかわる青少年の8割から9割は、家庭での暴力を体験しているというふうに言われています。DVの加害者は圧倒的に男性が多いわけですけど、夫から妻への日常的な暴力というのは、これは児童虐待にも深くかかわっております。生育時の暴力というのは子供の心と体に大きな影響を及ぼしますので、それが非行とか犯罪につながっていくということも容易に想像できるというふうに思います。
 人というのは、やっぱり認められて自尊感情がはぐくまれるということがすごく大事なことでして、虐待やDVの家庭で育てられたとしても、その後の支援とか、それからだれか相談する人がいるということで、犯罪率というか非行率が非常に低くなるというデータも出ています。そういった意味では、DVの取り組みというのは本当に個々人の小さな問題ではなくて、日本全体の社会問題だというふうに思います。
 あと、DV被害者の女性というのは、本当に経済的能力というか、経済的に苦しいことが多くて、保護された後も生活面で本当にさまざまな問題を抱えてしまうわけです。子供がある場合はもうさらに状況は厳しく、苦しくなっていきます。一たん社会に出た後も、その支援が継続されるということが求められておりまして、だれかに相談できるという環境があるのとないのとでは、もう状況が大きく変わってきます。そういうことでは、生活面での相談ももちろんですけど、暴力によって傷つけられた心の問題というのは本当に長い時間が必要だというふうなこともありますので、今度、そういった、保護した後の支援というのを継続できる民間団体の育成が求められているんじゃないかなあというふうに思います。
 県としても、相談者の育成や民間団体との連携をさらに深めるというふうにもおっしゃっていただいていますので、さらに取り組みをお願いして質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(坂本 登君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で藤本眞利子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時34分休憩
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