平成22年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(原 日出夫議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後1時1分再開
○副議長(坂本 登君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 34番原 日出夫君。
  〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 こんにちは。
 初めに、私ごとで皆さんに何かとお世話になり御迷惑かけたことを、この場をおかりして感謝を申し上げておきます。2月議会、この場に立てたことを私自身も感激しております。少しの時間ですけど、御清聴お願いします。
 初めに、地方再生の取り組みについてということで、平成22年度予算にある過疎集落再生・活性化支援事業は、今年度当初5000万円で、6年間で5億円の事業を計画しています。私は、このことは、県の地方再生のため、医療、福祉、交通等、住民生活の一体性を重視した過疎生活圏対策として大いに評価したいと思いますが、まず第1に、国は新成長戦略を中心に地域資源を生かした定住自立圏構想を示しています。
 第2に、3月2日、衆議院本会議において過疎地域自立促進特別措置法が全会一致で可決された。この過疎法は、まさに和歌山県の定住自主圏構想を目指すための国の役割を、産業基盤、交通、通信、生活環境、福祉、医療、教育、地域文化等の目標と具体的施策が示されております。
 3つ目に、この2つの国の方針と県が当初予算で示した過疎集落再生・活性化支援事業と県の予算における各企画を初め各セクションの地域政策予算とをどう総合的に、友好的に実施していくかが課題であります。そのためには、まずやらなくてはいけないのは、県と市町村、そして関係する住民が協働してその地域の地域再生プラン、つまりグランドデザインを策定することがまず求められているのではないでしょうか。このことについて、知事の見解をお聞きしたいと思います。
 次に、ツーリズム大学の設置についてであります。
 昨年の2月議会において私はツーリズム大学の質問をしたわけですが、田辺市秋津野地区では、平成20年9月に経済産業省の支援を受け秋津野地域づくり学校を開校し、また平成20年11月には、拠点となる施設「秋津野ガルテン」をオープンさせ、人材の育成を柱に、全国から経験豊富な講師を招き、知識と体験の両面で学ぶ実践的な研修を行っております。
 本年度も9月から4回の研修を実施しており、本取り組みの中核施設として位置づけられている秋津野ガルテンも当初計画以上の成果を上げており、地域づくりの人材も着実に育ってきております。ツーリズム大学の拠点となる地域と施設は今十分醸成され、機は熟しているというふうに考えます。
 今後、具体的には、座学を秋津野ガルテンで実施し、那智勝浦町や串本町、日高川町、かつらぎ町等、県下各地で取り組んでいる特色あるグリーンツーリズム活動や交流を中心とした地域づくり活動をツーリズム大学のフィールドとして連携させることで研修にボリュームやバリエーションを持たせ、地域づくりを学びたい人や農林漁業や農山漁村の体験を希望する都市住民のニーズにこたえることができるものと私は考えます。
 私は、ツーリズム大学は人材育成の拠点となるものと考えており、グリーンツーリズムを中心とした地域づくりは、農・商・工が連携した地域産品づくりでもあり、すぐれた人材を育成することが県内各地の活性化につながり、先進的な事例を学ぶことが各地の取り組みを内外に情報発信することになると考えております。
 ツーリズム大学は、関東、東北、九州など各地で開校していますが、近畿地域ではまだ開校されておりません。また、秋津野地域づくり学校も事業としては平成22年で終了するため、この取り組みをツーリズム大学へ移行していく条件が整っていると思います。そのためには、和歌山大学や市町村、地域の団体や経済界を巻き込んだ組織づくりと各地の取り組みをコーディネートする人材の育成が不可欠だと考えております。県としては、このツーリズム大学設置に向けての積極的な支援をいただければと考えますが、知事のお考えをお伺いいたします。
 次、農業振興についてであります。
 私は、全国一律農政から地域性を考慮した農政へということでテーマさしていただいております。
 政権がかわってでも、日本の農業地域全体の40%が中山間地域を占めてる中で、国の農政は米づくりを中心にした全国一律の農政でして、中山間地域、特に和歌山県は果樹、野菜、花卉などの地域性豊かな農業振興のために、地域の農業形態、生産、加工等の実情に合った個別政策が求められていると思います。それについて県としてどう考えているのでしょうか。
 例えば、戸別所得補償制度と和歌山の中山間農業、とりわけ果樹、野菜、花卉などの補償制度との関係はどうなっていくんでしょうか。強い農業づくりのための、果樹のブランド化のための設備投資についても、強い農業づくりのための施策が国として非常に軽く受けとめてるような感じがします。そういう意味では、地域の、本当に和歌山県のよさがわかってくれているのだろうかという疑問も持っておりますし、中山間での鳥獣被害、農地災害時の農地傾斜角度、それは農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律によると、傾斜が20度を超える農地は経済効果が小さいものとされ、昨年7月の集中豪雨により田辺市内の果樹園が崩壊等の甚大な被害を受けました。災害復旧事業に対する補助の根拠となる法令では、傾斜が20度を超える農地は経済効果が小さいものとして災害復旧事業の対象外とされているため、田辺市でこの要件を満たす果樹園地は皆無でありました。紀南地域のような果樹を基幹とする農業、農村の実態とはかけ離れたものと言わざるを得ない。全国一律のこういう採択基準では実態に即していないということを痛感いたしました。
 そこで、このように全国一律農政から地域を考える農政にするために、まず私は、農水産省の若手を県に派遣してもらって、農家に──ともに汗して生活の中でする──若い官僚との人事交流を提言したいと思いますが、知事の見解をお聞きしたいと思います。
 次に、3つ目に梅の流通販売動向と生産農家の現状であります。
 消費不況とデフレの長期化による梅の販売状況は、A級品、いわゆるブランドが売れず、低級品、低価格の安売り競争、これに伴い中国産が復活しています。そういう状況の中で、田辺、みなべでは梅干の在庫は100万から120万たるを抱えています。ちなみに、年間消費販売は200万たるであります。
 このように、売れ行き不振による価格競争が農家はもろに受けている。たる平均大体6000円が農家の経営安定価格というふうに言われておりますが、それが今、既に4000円を下回る状況が生まれています。梅生産農家の経営を続けていくために、どういう施策をとっていればいいのでしょうか。
 そこで、加工業者は選別基準を今までA、B、C、規格外という4ランクに分けていたのをA、B、規格外という3つのランクに分けて、とりわけA級については今非常に売れ行きが悪いということで生産量の30%程度に抑えていくと、そういう生産調整をしなさいという農家への指示であります。規格外は練り商品として製品としては流通させないという、まさに今の流通業界の中での状況を示してきているわけですが、私たちは、農家は生産農家と、そしてその業者の調整をどうしていくのでしょうか。県としてどうかかわっていくのでしょうか。どうでしょうか。そういうことであります。
 特に今、販売を促進させるために県初め各市町村、農協を初め、必死になって取り組んでいただいております。そこで、私は、ずっと過去から農協とも議論をしながら、とりわけ今、紀南農協と行政、そしてそういうふうにして販売を中心に年間1つのイベント的な販売を考えておりますが、それだけではなくて、紀南農協、行政、そして新たに民間バイヤーなどを雇用しながら、販売促進のための組織を今早急につくりながら、日常、通年販売体制をとっていく専門的な組織強化が必要ではないかというふうに感じておりますが、どうでしょうか。
 また、今この厳しい、梅の生産農家を初めとする厳しい状況を乗り越えるために金融セーフティーネットはどうなっているのでしょうか。また、梅栽培上の課題として、今、低コスト栽培の研究とその実証が求められていますが、県としてはどう考えているでしょうか。しかも、交配するハチの動向は、全国的にも、また我々梅農家にとっても、大変厳しい状況にあります。うめ研究所の交配の必要のないNK14の苗木のその実用化の現状はどうなっているのでしょうか。これら一連について、農林水産部長の見解をお伺いいたします。
 次に、紀州林業の再生についてであります。
 まず、知事も冒頭説明の中で、川上と川下の関係で力強い施策の話がありました。私は、その川上での振興策についてまずお尋ねしたいと思います。
 昨年12月に国の農林水産省が森林・林業再生プランをつくりました。このプランでは、我が国の社会構造をコンクリートから木の社会へ転換することなどを基本的な理念として、山村地域における雇用への貢献や、10年後の木材自給率を現在の2倍の50%以上にすることなどを目指しています。林業を地域の産業の柱としてとらえ、雇用を生み出すという視点を与えたことを僕は評価したいと思っております。
 和歌山県では、平成20年1月に紀州材生産販売プランをつくりました。紀州材を積極的に外向きに売っていこうというアクションプログラムであります。しかし、利用可能な、和歌山県の森林面積が10年後には2倍になるという県内の森林の現況です。それだけの資源が倍になるという豊富な森林面積を抱えております。10年後に2倍になるという国のプランと目標が一致するわけでありますから、こうした和歌山県の森林の現況を踏まえ、林業生産の活性化に向けた川上対策の充実が急がれています。
 そこで、川上の課題についてでありますが、和歌山県はとりわけ中小規模の森林所有者が多い。そうした所有者をどのようにまとめていくのか。林業技術の研修の充実や、間伐材などを搬出するため、きめ細かな作業道の整備も必要でありますし、森林組合の抜本的な改革も今求められております。
 森林組合に関して言えば、森林組合と地元の業者の役割分担をもっと明確にし、例えば間伐などの補助事業については、森林組合が所有者を取りまとめた上で森林整備の計画を立てて、他の事業体に仕事を請け負わす。例えば、森林組合だけでなくて地元土木建設業者と一体になってその事業を推進していく、また、作業道についても地元の建設業者に工事を請け負わすなど、森林組合と林業以外の民間事業体との連携・協働が進めば組合の仕事の幅も広がるし、地域全体での森林の仕事もふえ、雇用の拡大につながっていくのではないでしょうか。
 林業の技術取得は一朝一夕にはできない中でも、やはり林業に関して、森林組合にかかっているところが大きいのですから、森林組合も従来の仕事に甘んじることなく、森林、林業にフォローの風が吹いている今、地域の関係者の中でリーダーシップをとり、積極的に組合員のための業務の拡大に取り組むべきであると考えますが、県の指導の強化を求めていきたいと思います。
 さらに、地元の建設業者の林業への参入促進が必要であります。コンクリートの公共事業が今減っている中で、和歌山県はかつて「緑の雇用事業」と言いましたが、私は一貫して「緑の公共事業」というふうに言わしていただいております。緑の公共事業への参入を支援することが重要であり、そのために建設業者を対象とした研修なども積極的に実施していきながら、こうした足元の雇用を充実させていくことが地域の雇用の拡大につながっていくのではないかというふうに考えております。
 紀州林業の再生に向けて、まず川上対策の推進について、農林水産部長の考えをお尋ねします。
 川下での紀州材利用の課題についてでありますが、林業の出口部分である紀州材の利用拡大は非常に大事であります。その中でも木材の最大の需要先である住宅への利用拡大が求められていますが、しかし、世間をにぎわわした耐震偽装の問題以降、建築基準法、品確法など、住宅建築へのさまざまな法規制が強化されています。
 建築基準法の改正の結果、審査が遅くなり、住宅着工が減少し、木材需要が激減したのは記憶に新しいところであります。言うまでもなく、消費者を守るこうした規制は大事ではありますが、中には現実味のない不要な規制もあるのではないでしょうか。日本の風土に合った伝統的な木造住宅建築のわざを伝え守っていくことは、優良な住環境を守っていくとともに、木材の需要拡大の上からも大変重要であります。
 紀州材を住宅用として売るためにネックとなっている法的な規制を見直すことが今求められていると思いますが、県土整備部長のお考えをお尋ねいたします。
 次に、南紀白浜空港を存続させる道についてお尋ねいたします。
 JALが破綻し、今後の地方空港の存続が危ぶまれる中、南紀白浜空港についても一時しのぎ延命策であるかのような、JALは飛行機種を見直し、座席数を150から76席に変更し、2月19日にこの認可が国からされました。JALの経営状況と将来を考えると、1機の座席数76名で白浜─東京間で採算が合うのでしょうか。また、これからの国の特別会計の見直し等によって地方空港の存続は大変厳しいものになると考えられますが、この4月から小型化することについて、その評価と今後の取り組みについて知事にお尋ねいたします。
 次に、南紀白浜空港の役割は何でしょうか。
 白浜空港は、昭和40年にまさに観光空港として開港されたものであります。当時、滑走路1200メートル、YS-11の64座席からさらなる観光客誘致を目指すために多大な投資が行われ、平成8年に現在のジェット機の対応は座席数150席と倍になり、年間30万人の利用客を予測してスタートしたものです。
 しかし、今、利用客は年間14万人余りです。私は、白浜空港の役割は観光を機軸にした地域振興ではないか。そのために、私は、空港管理と空港運営の組織の見直しを提案したいというふうに思います。
 空港の施設管理と空港の運営の組織を分離することです。そして、空港運営は利用促進のための企画、営業を専門にする組織として、しかも運営に当たっては県と市町村、民間とでワーキングチームをつくり、利用促進のためのプログラムを策定し行動する組織にすることによってもっと開かれた空港へと一歩を踏み出していけるのではないかというふうに考えますが、知事の所見を伺います。
 最後に、和歌山県汚水処理計画と水質検査手数料についてです。
 県は、21年12月に和歌山県全県域汚水適正処理構想の見直しが発表されました。一歩前進として高く評価したいと思います。しかし、もっと集合処理から個別処理へかじを切ることが今求められているのではないでしょうか。
 和歌山県の地理条件、人口減、とりわけ都市計画区域内の空洞化という社会変化、しかも公共下水等による地方の財政の圧迫、今までの国の方針、国交省・農水省は集合処理への指導と莫大な投資によって公共下水事業は戦後80兆円を費やし、2008年度を見ても2兆円も使われ、戦後から投資した下水道の老朽改修は毎年5000カ所もあり、これへの投資も大変な状況になっています。和歌山県内の自治体は公共下水道によって大きく財政を圧迫しております。
 合併浄化槽のほうが行政のコストが低く、むしろ県行政は県市町村の補助金を積み上げ、設置者をふやす方向が今求められているのではないでしょうか。設置場所困難な居住地域は、市道、公園等を利用した処理施設にそういった具体的、実現可能な方針を示すことが現状汚水処理人口47.9%、29年に70%という目標を達成できると考えますが、県当局の見解をお聞きします。
 次に、浄化槽設置による水質保全のための水質検査費用について質問させていただきます。
 私は、平成17年2月、予算委員会において浄化槽の法定検査7条、11条の検査手数料の見直しを提起し、県は平成19年4月1日から料金改定をされました。一般家庭の浄化槽で7条検査は1万5000円が1万2000円に、11条検査は8000円から6800円に引き下げられました。
 しかし、今、47都道府県の手数料を見てみますと、単独浄化槽の7条は1万2000円以上のところが4件しかありません。11条は5件しかありません。合併浄化槽の7条は6件、11条は3件であります。全国的に見て和歌山県は7条、11条については、47のうち上位から、3位から5位、6位までで占めているわけです。それほど合併浄化槽並びに単独浄化槽の検査手数料が非常に和歌山県は高いということです。大体平均──この平均で見るのはおかしいんですけど──たまたま平均してみますと、7条検査では全国平均約9700円、それから11条検査では約5000円ぐらいになっております。
 このように見ますと、和歌山県の手数料そのものが今まさにもう一度見直すべきと考えますが、県土整備部長の見解をお伺いします。
 以上で、第1回の質問を終わらせていただきます。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの原日出夫君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 初めに、地方再生の取り組みについてでございます。
 まず平成22年度予算、過疎集落再生・活性化支援事業と地方再生についてでございますけれども、私は、過疎対策は国家的課題であるとともに本県にとっても喫緊の課題であるとの認識のもとに、現行過疎法失効後も引き続き法による支援が必要と考え、一昨年来ぐらいから国に対して本県独自の政策提言を行ってきたところであります。
 その結果、今月2日に衆議院本会議において可決された改正過疎法に現行過疎地域を引き続き指定することや過疎債対象範囲の拡充など、本県の提言が盛り込まれておりますことは大変評価しているところでございます。
 しかし、残念ながら、本県独自の新たな発想による基幹集落と基礎集落から成る過疎生活圏において医療、福祉、生活交通対策、地域産業の育成などに総合的に取り組む市町村を支援する総合対策交付金の創設という、そういう提言は実現されておりません。
 私は、今後の過疎対策を考えるとき、これまでのハード主体の政策に加え、総合的なソフト対策が必要不可欠であると認識しているところであります。このため、過疎生活圏の課題に総合的に取り組む市町村を支援する過疎集落再生・活性化支援事業を来年度から国に先駆けて実施してまいることとしており、そのための予算を今議会にお願いしているところでございます。
 この事業の実施に当たっては、わがまち元気プロジェクトなど他の施策との連携を図るとともに、改正過疎法による過疎債のソフト事業への対応などの財源措置等もうまく活用しながら、地域住民や関係団体の主体的な参加を得る中、市町村と協働して過疎地域の活性化に全力で取り組んでまいります。
 議員御提案の地域再生プランは、過疎生活圏を取り込んだもう少し大きな地域単位での地方再生のための計画を市町村が策定するということだと思いますが、市町村からこのような地域再生プラン策定についての協議があれば、県としても協力して応援していきたいと考えております。
 次に、ツーリズム大学の設立ということでございますが、先行する全国のツーリズム大学は、NPO等が主体になり、地域の人材育成や交流等を目的に、地域資源を教材にした各種講義や体験学習プログラムを実施しておりまして、地域活性化の新たな手法として注目されているところです。
 議員御質問の秋津野ガルテンにおけるツーリズム大学設立に向けた取り組みは、今後の人材育成やネットワークづくりのモデルの1つになるものと考えております。
 県では、地域づくりに関する情報提供や相談窓口としての機能を強化するとともに、地域づくり団体等への支援や研修会等を通じた人材の育成、さらにはネットワークづくりを進めているところでありまして、今後とも秋津野ガルテンにおけるツーリズム大学設立に向けた取り組みと地域づくり団体の主体的な取り組みを積極的に支援してまいりたいと考えております。
 次に、南紀白浜空港であります。
 東京から時間的に2番目に近い白浜温泉、世界遺産の熊野古道など、多くの観光資源を背後圏に持っておりまして、首都圏から観光客の増大を図ることは、地域活性化には重要であると考えております。
 このため、県関係部局、地元市町村、経済界などから成る南紀白浜空港利用促進実行委員会を組織し、これまでも特便割引(特割)7の導入、地域商品券の発行、首都圏でのPRや国際チャーター便誘致などに努めてまいりました。羽田路線の搭乗者数は、この間年々増加し、平成20年度には15万人を超え、過去最高を記録いたしました。
 4月より機材は小型化されますが、通年3往復が確保され、利用者の利便性が向上することについては評価したいと考えております。
 今後は、通年3往復、特便割引3──今回導入されますが──の導入などによる利便性の向上を生かすとともに、さらなる利用促進を行うことにより利用者の拡大を図りながら、増便や機材の大型化について引き続きJALに対し要望できるように頑張ってまいりたいと考えております。
 次に、この空港の役割、議員御指摘のように、観光を機軸にした地域おこしに役に立つものということであろうことは間違いございません。
 運営組織の見直し、あるいは観光を核とした利用促進策の策定と実践の必要性についてでございますけれども、これまでは主として本庁関係部局が連携いたしまして空港の振興に努めてきた、あるいは利用の促進、観光の促進と一体となって頑張ってきたところでありますが、今後、議員の御提案を踏まえ、振興局との連携など現地における振興体制を強化する、それから現地における関係市町村、民間と協働した利用促進策をさらに強化するなど、地元の皆様と一体となって空港の振興を図ってまいりたいと考えております。
○副議長(坂本 登君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) まず、第2点目の農業振興についてお答えを申し上げたいと思います。
 まず、1点目の全国一律農政から地域性を考慮した農政へという御質問でございますが、議員お話ございましたように、政権交代によりまして政策の流れも変わりつつございます。そういう中で、本県ではミカン、梅、花卉などの果樹を主体といたしました労働集約型の農業が展開をされてございます。一方、水田作、畑作を対象といたしました土地利用型農業を基本としたこれまでの国の施策につきましては、なじみにくい面もございます。
 そういう中で、本県の地域の特性を生かした実情に即した取り組みが必要であるということを強く認識してございます。このため、県におきましては、本年度、新たに地域により異なります課題に対応した生産者グループの取り組みを支援いたします新農林水産業戦略プロジェクトを立ち上げまして、地域資源を生かしたアグリビジネスを積極的に展開いたしますとともに、県産農水産物・加工食品のアクションプログラムに基づきまして、流通・販売にも積極的に取り組んでいるところでございます。
 また、国に対しましても、議員御指摘ございましたように、災害復旧事業に係る農地傾斜角度20度の見直しも含めまして、本県の地域の実情を十分説明するなど、施策に反映されるよう働きかけてまいりたいと考えてございます。
 2点目の国、県の人事交流についてでございますが、地域の実情に応じた農政を実現するためには、国の職員ができるだけ現場に近いところで農業の実態を肌で感じていただくということが大事であるというふうに考えてございます。
 県では、これまで農林水産省に若手職員を派遣いたしまして、国の果樹政策に直接かかわることによる専門知識や行政実務の習得はもとより、派遣職員を通じまして産地の実情を国に伝えるなど、施策に反映してもらえるよう努めてございます。また、現場に近い国の出先機関でございます近畿農政局、また和歌山農政事務所などと情報交換を行いながら、産地の声が十分生かされるように取り組んでいるところでございます。
 議員の御提案の農水省から県への職員派遣についてでございますが、若手職員を中心にお互い勉強することは、国、県双方にとって非常に有意義であるというふうに考えてございまして、現場で農家と触れ合い、汗を流して研修をしていただけるような方に来てもらえるのであれば前向きに取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
 次に、第3点目の梅の流通販売動向と生産農家の現状等についてでございますが、御承知のように、梅の販売につきましては、経済不況に伴います消費の減退により低迷をいたしてございまして、産地農家の方々においては非常に厳しい状況にあるというふうに承知をいたしてございます。
 こうした中で、県といたしましては、生産面でのコスト削減が重要であるというふうに考えてございまして、県うめ研究所において、現在、低樹高化や土壌診断に基づく施肥量の削減、また安価な堆肥の活用など、低コストで省力的な技術開発を進めているところでございます。
 さらに、昨年9月に登録されました県の育成品種でございますNK14につきましては、自家結実する特性を持ってございまして、北向きの園地や海岸部などへの導入を検討しており、今後、展示圃での実証や栽培マニュアルの作成などを通じまして迅速に現場へ普及できるよう努めてまいりたいと考えてございます。
 また、販売促進についてでございますが、紀州梅の会と連携いたしました6月6日の「梅の日」の制定、またトップセールスなどによりまして紀州梅の知名度向上に努めるとともに、梅と健康にかかわる研究を県立医科大学と共同で取り組んでいるところでございます。
 今後は、地元JAや市町村との連携を強化いたしまして、加工業者へのアドバイザー派遣制度や、先ほど申し上げました戦略プロジェクト事業を活用した新商品づくりに対する支援など、梅産業のコーディネーター役としての役割を果たしながら、紀州産のブランド向上に努めてまいりたいと考えてございます。
 なお、産地農家の方々に対する資金面での支援についてでございますが、引き続き農林漁業セーフティネット資金等を活用いただくとともに、農業近代化資金等の借入金の償還条件の緩和にも対応してまいりたいと考えてございます。
 第3点目の紀州林業の再生についての中での川上での振興策についてでございます。
 本県では、現在、紀州材生産販売プランに基づきまして、森林の団地化を図った上で林内の路網の整備を進め、高性能機械の活用によりまして効率的な間伐材の搬出等を行う低コスト林業を川上での振興策として積極的に進めているところでございます。
 こうした間伐の推進や森林所有者の取りまとめなどに森林組合の役割は非常に大きいということでございますので、この低コスト林業の中核的な担い手として位置づけまして、森林組合の経営体質と経営基盤の強化に取り組んでございます。
 その一環といたしまして、わかやま林業労働力確保支援センターにおきまして、森林組合を初めといたします林業事業体を対象に林業機械等の研修を実施してございまして、平成21年度におきましては既に94名が受講をしてございます。
 また、林業への参入促進、山村での雇用確保に向けまして、本年度新たに建設業者に対しましても県の森林組合連合会が作業道整備の研修を行い、19社が受講をいたしてございます。
 今後とも、森林組合に対する指導を一層強めるとともに、こうした林業技術研修の充実を図りながら紀州林業の復権に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) まず、紀州材利用の課題についてでございます。
 建築基準法は、国民の生命等の保護の観点から建築物の安全性の基準が定められております。また、木造住宅に関しまして、消費者保護や省資源化の観点から、さまざまな法規制も定められているところでございます。
 一方で、地域の工務店や設計事務所の方々から、伝統的な木造住宅を建築する場合には法規制による煩雑な面があるということもお伺いしてございますので、この点について機会をとらえて国にお伝えしてまいりたいと思います。
 伝統的な工法など在来工法の木造住宅の振興につきましては、紀州材の利用拡大はもとより、地域振興につながる重要なものであることから、今後さらに関係部局と連携を深めながら木造住宅の振興に取り組んでまいりたいと思います。
 次に、和歌山県汚水処理計画についてでございます。
 集合処理、個別処理のどちらかが万能だというわけではなくて、それぞれにメリット、デメリットがございます。下水道などの集合処理には、人家が密集している地域では効果があり、環境面でも信頼性が高いという特徴があります。一方、人家が散在している地域では個別処理が効果的であります。
 このたび和歌山県では、双方の特徴を組み合わせて、地域特性や人口減少などの社会情勢の変化を考慮して、和歌山県全県域汚水適正処理構想を見直したところでございます。その結果、下水道などの集合処理区数は見直し前の170から116というふうに減少して、合併処理浄化槽のシェアが20.9%から25.7%というふうに伸びております。
 今後も、定期的に計画内容の点検を行って、社会情勢の変化に合わせ適宜見直すこととして、平成29年度末汚水処理人口普及率70%が達成できるよう、市町村との連携も深め、効率的、効果的な汚水処理施設の整備に取り組んでまいります。
 次に、浄化槽の水質検査手数料についてでございますが、平成19年4月から現在の料金に改定をしたところです。しかしながら、全国的に見ても依然として高い状況でありますので、料金改定後の指定検査機関の収支状況の分析など、料金について検討してまいりたいと思います。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再質問を許します。
 34番原 日出夫君。
○原 日出夫君 答弁ありがとうございます。
 一番最後のほうからですけど、和歌山県汚水処理計画と水質検査手数料についてです。
 その手数料の問題で、浄化槽法第7条検査、第11条検査の検査の頻度、今は年1回と。7条は建物が建ったときに6カ月以内にやりなさいよ、11条は年1回水質検査をしなさいよというふうになっております。これは、私たちがいつも──宮崎県方式とか掛川とか、いろいろなところで議論されているわけですけど、そのようにシビアに年1回の11条検査が必要であるのかどうかという問題がいつも、中央の環境審議会でもやられているようであります。
 そこで、例えば現在は高齢化してお年寄り1人の合併浄化槽も、5人家族のところも、それから夫婦お年寄り2人のところも年間1回という形の水質検査が必要かどうかということについてもいろいろと疑問視されるとこがあります。そういう意味でも、今後、我々は、11条検査は年1回ですよということだけではなくて、それ以外に一般民間業者が水質の保守点検と兼ねて、水質も含めてやっているわけですから、そこで良好であれば年1回を3年に1回にできるとか、そういう幅を持たせたことが今求められているように思いますので、その点、十分県当局も議論して国とも折衝していただけたらありがたいと思います。
 次に、その手数料の問題でありますけど、確かにこれ、和歌山県のいわゆる県水質保全センターが社団法人として、ある程度公的な機関で検査依頼をしてやって、この1つの会社が一手に受けてやってるわけであります。そういうところから見ると、その価格がなかなか尺度として、その価格が高いんか低いんかということの尺度が非常に難しい部分もあると思うんですけど、しかし、本来、神奈川県なんかは4社が入ってやってるとか、いろいろこういうこともあるんで、実際にもう少しそれだけの価格が必要なのかどうかということをやっぱりきちっとした決算とか物を見ながら、水質検査に対して指導する役割は県が担っておりますから、その点の料金が適正かどうかを見てほしいというふうに思います。
 例えば、民間業者が保守点検するのに1回やりますと4000円です。だから、それはたまたま中身を見ても同じような水質検査とか検査をやっているんですから、民間やったら4000円。そして、いわゆるここの保全センターがやれば8000円であったり6600円だったりと高い。その点をやっぱり価格がきちっと適正であるかどうかを是非しながら、できるだけ、これだけ全国でもベストスリーやフォーへ入るような実態でないように、適正な価格を求めるよう指導していただけたらありがたいと思います。
 それから、南紀白浜空港ですが、1つは開かれた空港ということで、私はかねがね観光協会をやっていたときからですけど、あそこの空港をもっと開かれた空港にして、飛行機を使うと使わんにかかわらず、あそこがにぎわいのある空港にしようやないかといって、いろんな方たちと企画をしたりしました。
 当時はなかなか、管理上問題があって、全部はねられた経験があります。だから、管理が優先されて、人入るな、イベントするな、まあ言うたら、そういう、空港の発着以外は要らんことするなというような観点で指導されたことがずっとありました。
 だから、そこらの部分で、もう少し私たちは、管理する部門と、空港を運営・営業してお客さんをどんどんする。そして、あそこが開かれた空港にするという意味では、もっとイベントに開放していく。それから、かねがね、あそこの空港で乗るのに約30分から40分待たんなんと。その間、足湯などをつくって、お客さんが白浜温泉というそういう良好な温泉地に来て、飛行機が発進するまでの待ち時間に足湯をしながらやると。そういうふうな企画をするならば、もっとお客さんに愛された空港になるんではないかとか、いろいろ計画を考えたり、道の駅にしたりとか、地場産品、例えば土日でイベントをしてお客さんに対して地場産品を売り出すとか。そのときは、飛行機へ乗った人だけでなくて、周辺の人たちも参加しながら盛り上げていくと、そういう企画をするために、空港管理と空港を運営・営業する部門、企画する部門に分けて、もっと真剣になってやらないと──今回出されたJALの地方空港の1便ないし3便のところが全部ゼロ便にされているんです。たまたま白浜空港は残りましたけれども、だから、そういった意味で我々は今の現状に甘んじていれば、例えば150のときの51%の搭乗率が76になったら90%を超えるんですよ、だから問題はないと、十分ですよということになってしまえば、これは実際にJALが目指した今回の機種変更と76席はもう先のない地方空港になってしまうと僕は感じますので、その点、国も、いわゆる収益性の高いことが求められますよと、私、国に対していろいろと質問状を出したときにそういう答弁が来ました。だから、これに甘んじたら南紀白浜空港は、ほん近い将来、廃港に追いやられる事態になるのではないかということについて心配をしつつ、我々が全力を尽くして汗をかく必要があるのではないかということをお願いしたいというふうに思います。
 最後に、国と県の人事交流でちょっと言わしてもらいました。これ、全国で先進的なというんか、農地の過疎的なところや米づくりのとこやとか、ある程度選択した中で、果樹はないんですけど、今の若い、1年、2年で農林水産省へ入った若い人たちが自分たちの自主性で仲間のグループをつくって、週末とか休みの日にそこへ体験学習をしながら、官僚がみずから農業の実態体験をしながら農政に反映していくというグループも生まれてきております。
 そういう意味では、今回、私は、特に米づくりを中心とした戸別所得補償制度が、やっぱり中山間地域の果樹や野菜、花卉をつくっている農業地域の特性がなかなか理解されていない。すべてが画一的に米づくりにされているという部分では、そういう若い人材を寄せて、彼らに汗をかかして、現場を知って、そして国の政策に生かしていく、こういうことをやっていくことが必要ではないかということで、たまたま私、この前、赤松大臣と田辺でお会いしたんで、このことを強く文書でもって申し入れしたんです。
 だから、画一的農政から地域の特性ある農業づくりを目指してほしいということを要望したわけですけれども、そういう意味で、県もひとつぜひ国とのコンタクトをとって現場を理解さしていく。そして、とりわけ中山間地域の農業が、やっぱり全体として国の官僚がよく理解するということを努力していただけたらありがたいと思います。
 以上、要望にかえて、終わります。
○副議長(坂本 登君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で原日出夫君の質問が終了いたしました。

このページの先頭へ