平成22年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(多田純一議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 25番多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕(拍手)
○多田純一君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきたいと思います。
 最初に、子ども手当について質問させていただきます。
 その前に、このチラシをごらんいただきたいと思います。(資料を示す)このチラシは、我が党が約40年前に配布させていただいたチラシでございまして、若干もうセピア調になっておりますけども、かわいらしいお子さんの横顔と、上のほうには「教科書無料、今春から中3まで!!」と、こんなふうに書かしていただいております。御存じのように、昭和38年に教科書無償が小学校1年生から始まりました。44年に中学3年まで、要するに義務教育の完成まで、この教科書無料が行われました。この下のところに実は、「教育費をたすける児童手当実現もあと一歩です!」、このように書いてあるんですね。
 これは、先ほど言いましたように、44年でございまして、この2年後に実は児童手当が実現されました。当時は第3子以降で5歳未満、お1人につき3000円というところからスタートいたしまして、改正に改正を加えて、これは私たち与党に入る前の野党のときからずっとやってきましたけども、与党に入ってからも自民党の方々にも御理解と御協力をいただいた上で、現在は1子・2子5000円で、3子から、第3番目から1万円、そして3歳未満も1万円、こういうふうになっております。小学校の6年生、修了前まで拡充もされてきております。もちろん、所得制限つきでございます。
 このように我が党は、元祖子育て支援を大事な政策の柱として取り組んでやってまいりました。民主党は、改正には反対をされてきております。児童手当にはそういう経緯がございます。
 子ども手当について、るる御質問させていただきたいと思います。
 国民の衆目を集めた子ども手当法案が1月29日閣議決定、同日衆議院に提出され、野党が反対する中、運営委員長の職権で総理が出席しない本会議の中で、2月23日、趣旨説明、質疑を決定し、法案審議が始まりました。主要政策との位置づけにもかかわらず、なぜ鳩山総理は本会議場で直接国民に子ども手当法案を説明されようとしなかったのか。国民の1人として残念に思います。
 法案として閣議決定される前には、金額や所得制限、自治体への寄附の是非などの問題で二転三転、また、法案の閣議決定後も混乱、最近でも給付金差し押さえなどを禁じたにもかかわらず、首相みずからが小中学校の給食費滞納分を給付金から差し引ける仕組みを検討するようにと指示され、混乱の要因が首相みずからというケースも少なからず見受けられます。政府内には、2011年度から支給額を満額の月2万6000円にふやす方針に関し、財政難を理由に早くも見直す閣僚発言も相次いでおります。
 これまで公明党は、民主党がマニフェストで訴えている子ども手当に関しては、その財源確保、総合的な子育て支援策の中での位置づけ、税制との関連など、問題提起をしてまいりました。結局、今般上程されております平成22年度における子ども手当の支給に関する法律案は、1つ、法案そのものの問題点として、平成22年度のみの単年度子ども手当法案であり、恒久的な制度設計を先送りし、かつ過去最大の国債発行となる予算組みの中で所得制限を設けないばらまきとなっている、2、民主党が主張していた全額国庫負担による子ども手当法案とは異なり、これまで批判してきた児童手当法の仕組みを取り入れていること等が挙げられます。法案の中身は、児童手当法による給付をそのまま残しつつ、それ以外の拡充分を国費で賄うことによって、中学校終了まで1人月額1万3000円を支給する内容になっております。これは子ども手当法案ではなく、まさに児童手当法もどきであります。正確には、児童手当法案の拡充法案であります。もしそうでなければ、児童手当法を廃止し、恒久的な子ども手当法を制定するのが筋ではないでしょうか。このことにより、地方自治体は混乱を強いられております。
 先週の2月25日、全国児童福祉主管課長会議が行われました。そこでの説明も、市町村事務処理ガイドライン、市町村子ども手当事務処理規則、子ども手当に係る諸様式について、施設に入所する親のいない子ども等に対する特別の支援について、子ども手当の寄附について等、この段階でもそれぞれが検討中になっております。詳細な点まで煮詰まっていない状況も見えてきます。根拠法が変わることで、子ども手当は法案成立後の4月から申請準備が始まり、世帯ごとではなく個別の子供ごとに作業を進められていくものと思われます。
 例えば、今まで児童手当を受けていた子供は、この4月、新中学1年生に達する子供まで、2月、3月は児童手当分として、4月、5月は子ども手当として1万3000円支給されることになります。新中学2年生、3年生、そして今まで所得制限で児童手当対象外のお子さんは、4月、5月分の子ども手当として改めて送られてきた書類を確認し、申請をしなければなりません。和歌山市の場合、子供1人に対し1件として手続を進めていくそうです。子ども手当として新たに対象になる約1万5000人に個別に送付していくだけでなく、今までの児童手当対象者約3万5000人にも制度の変更を何らかの形でお知らせすることを考えているそうでございます。
 役所のほうでは、申請書が返送されてきた段階で書類を確認し、同居している父母であれば簡単ですけども、実際に支給に関する法律案支給要件第4条に該当するかどうかも含めて、改めて確認作業を進めることになるようです。対象者が多いところでは、支給月と国が決めている6月には間に合わないケースも多く出そうです。また、保護者への直接給付となるため、本当に子供のために使われるのか。また、給食費など滞納していたとしても手当は支給されるため、子ども手当が目的とする次代の社会を担う子供の健やかな育ちを支援することになるかはこれからの課題の1つになっています。
 年に3回の給付ということで、受ける人にとってはまとまった多額の金額になることも予想でき、子ども手当目当ての金銭的トラブルが発生することも危惧されております。来年度は金額も倍になり、その危惧がもっと懸念されるところでございます。
 OECDは、日本の子ども手当を取り上げて、就学前教育と保育に対する公的支出を増加するとともに、子ども手当案はその目的と対象を再検討すべきであると提言しているところです。
 知事は、いち早く地方負担として個人住民税の扶養控除の廃止による増収分や現行の児童手当の地方負担分を充てることや、地域主権、地方自治の本旨に反し国民を裏切る重大な公約違反だと、他の知事と連名で子ども手当の地方負担に関する要請を実施されました。
 そこで、お尋ねします。
 子ども手当についての知事の受けとめ方、今議会に県の児童手当負担分を予算化された知事の考えを改めて確認します。また、次年度の考え方が今年度との違いが出てくるとすると、どういう場合か。次年度への対応について知事にお尋ねいたします。
 事務を担当する市町村の負担は大変です。県としての役割をどう考えるか。福祉保健部長にお尋ねをしたいと思います。
 続いて、介護行政についてお尋ねします。
 高齢者の自立支援を目指して平成12年4月から実施された介護保険制度は、ことしで10年目を迎えようとしています。この間、介護保険制度は、高齢者施策の中核的な制度として社会に定着してきました。しかし、その一方で、増大する保険財政、利用者のサービス内容への不満、介護従事者の人手不足など、問題が指摘されております。
 公明党は、高齢者の皆さんが安心して暮らすことのできる社会の実現を目指し、全国の公明党議員3000人が平成21年11月から12月にかけて介護総点検を実施、現場に入り実態調査やアンケート活動を展開いたしました。
 和歌山県でも、県内にて実施した介護総点検の調査結果を集計し、このほどまとめました。調査は、要介護認定者及びその家族、介護事業者、介護従事者、そして街角で一般の方々を対象にアンケート。介護保険行政に携わる各県市町村担当者への調査票も実施いたしました。全国で10万件、本県でも2000件を超える方に御協力をいただきました。御協力いただきました関係者の皆さんには、心より御礼を申し上げます。
 こうした生の声を集約した介護総点検をもとに、新・介護公明ビジョンを取りまとめ、去る2月24日に公明党山口那津男代表から鳩山首相に提言をいたしました。本県では、一昨日、3月3日に仁坂知事に調査の結果の報告と提言を行いました。これがそうでございます。(資料を示す)
 総点検で鮮明になったのは、介護施設の不足、在宅支援体制の不足、介護労力の不足でした。同ビジョンは、この3つの不足に対応する施策を盛り込み、介護施設待機者の解消など7つの視点、介護3施設の倍増、煩雑な事務処理の手続の簡素化、要介護認定審査の簡略化など12の提案、そして早急に実施すべき64の対策という構成になっております。
 最初に、介護総点検、そして新・介護公明ビジョンについての知事の所感をお尋ねいたします。
 以下、福祉保健部長にお尋ねいたします。
 街角アンケートなどによると、高齢者のみの世帯やひとり暮らしの高齢者もふえ、自宅での介護が難しいと考える人がふえております。また、介護保険が導入されて介護施設も高齢者の住まいも多様化したことが挙げられます。従来は特別養護老人ホームか病院でしたが、今は老健、有料老人ホーム、ケアハウス、さらに高齢者専用賃貸住宅など選択の幅が広がっています。介護保険を使いながら、さまざまなサービスを受けられるという安心感があると言えます。その反面、施設に入りたくも入れない、いわゆる施設待機者も年々ふえております。
 介護保険施設の整備計画は、地域の要望を踏まえ、今後、各市町村との連携や介護基盤緊急整備等臨時特例交付金を活用した事業の促進については、どのように進めていかれるのか。在宅介護の充実を求める声も多く、介護する家族の負担が大きい、要介護者や介護家族のぐあいが悪くなったときなど一時入所できる施設がないなど、今後安心して介護を利用できる24時間型居宅サービスの充実や緊急の対応、家族相談や深夜ヘルパーの派遣、認知症高齢者等の家族支援策として介護専用コールセンターの設置等も検討に値するものと思われます。
 医療や介護、在宅福祉サービスを含めたさまざまなサービスを包括的に提供する制度である地域包括ケアシステムの構築を進め、地域包括支援センターの拡充が必要ではないか。お考えをお聞かせください。
 介護保険サービス利用者のケアプランを作成する介護支援専門員の役割は非常に重要で、利用者への説明や、そのケアプランの作成に高い資質が求められております。その資格更新時の研修体制はどのようになっておりますか。
 現在、介護予防は、要支援者や特定高齢者を対象として、要介護者になることを防ぐことを目的として実施されております。既に要介護者となっている方が、これ以上悪化しないような新たな在宅メニューが必要ではないでしょうか。
 例えば、和歌山市の健康維持・リフレッシュ事業は、要介護度3以上の在宅で生活をされている方を対象として、自宅で柔道整復師、あんまマッサージ指圧師等の施術を受けた場合に補助する制度ですが、制度スタート以来9年がたち、要介護者の重度化防止に役立っていると伺っております。このような要介護状態の重度化を防止する新たな制度も検討する必要があると思います。
 介護総点検の結果、高齢者が介護を受けている場所の7割強が自宅で、潜在的には病院や介護施設よりも住みなれた我が家で介護を受けたいと願う高齢者も多いわけでございます。しかし、自宅での介護は家族に負担がかかり、ストレスが限界に達して高齢者虐待や介護うつが起こったりすることもあります。また、高齢者のみの世帯もふえて老老介護も深刻な問題となってきております。
 このため、家族が休息をとってリフレッシュできるように、デイサービスやデイケア、ショートステイなど、レスパイト事業の大幅な拡充も必要ではないでしょうか。
 以上、お答えをいただきたいと思います。
 続いて、消費者行政についてお尋ねをしたいと思います。
 昨年9月、消費者庁が発足しました。新しい省庁の設置は38年ぶりです。消費者行政の司令塔として消費者の安全・安心にかかわる問題について幅広く所管し、食品表示の偽装問題、消費者契約上のトラブルなど各省庁縦割りになっている消費者行政を統一的、一元的に推進し、生活者や消費者の視点で大きな役割を果たしていくことが求められております。
 近年では、これらサービス取引をめぐる問題として、携帯電話やウエブなどの情報通信の進展とともに、トラブルが変化する一方で、物についても、品質は向上したとはいえ、消費者の信頼を裏切るような安全管理の不徹底や表示の偽装問題が頻発しております。さらに、環境問題についても次第に消費者の役割が重要視されるようになってきており、環境に優しい消費者運動や経済のグローバル化が進展している中で、消費者問題はますます多様化、複雑化してきております。また、高齢者社会の中で高齢者被害がふえているのも最近の実情です。
 平成21年、昨年12月に消費者行政担当の福島大臣から、消費者行政を一体的に推進するための組織横断的な消費者行政推進本部を設置するようにとの要請があります。
 また、ことし1月には、地方消費者行政の充実・強化のためのプランが出され、地方自治体に大いに期待が寄せられてきております。大変なスピードで地方消費者行政に求められるものが多くなってきております。知事は、経済企画庁で消費者行政の法案もおつくりになった経験もおありと伺っております。和歌山県における消費者行政の課題、その方向性について知事のお考えをお聞きしたいと思います。
 国の要請を受けて、消費者行政推進本部等、消費者行政推進に係る体制づくりについてはどのようにお考えなのか。また、財政状況が潤沢でない地方自治体として悩ましい問題でしょうが、センター機能の強化と市町村の窓口、その役割強化をどのように進めていかれるのか。特に、地域によっては課題が多い状況となっております。強力な専門家集団としての相談員の質の確保、待遇等の改善の考え方について2点、環境生活部長にお聞きをしたいと思います。
 高校授業料無償化問題についてお尋ねをしたいと思います。
 先日、衆議院本会議で我が党の西博義衆議院議員が質問に立ち、高校教育は義務教育と比較して多様な能力や適性、関心、希望に応じた教育を行う性格が強い教育段階であるとの立場から受益者負担をどうするのか、高校に進学しない者との公平性の立場から適当かどうか、また法案が、経済状況の悪化を踏まえて家庭の状況にかかわらず高校での勉学を続けられるようにするとの趣旨にのっとり、公立高校については世帯収入の高低にかかわらず、すべての世帯に対し一律に授業料は徴収しないこととなっております。
 しかし、高校生の特定扶養控除を縮減し、高校の授業料を無償化するような事態については乱暴だというふうに指摘をいたしました。しかも、同じように特定扶養控除が縮減されても、私立学校では結果的に授業料は無償とはならない。差額分についてはどうしても家計の負担が残ります。競合する公立高校に生徒を奪われかねないとの危惧も広まっております。現に、ことしの県立高校の受験者は、昨年に比べ、ふえております。
 現在、国会で審議されております「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律案」の第3条第1項本文には、「学校教育法第6条本文の規定にかかわらず、公立高等学校については、授業料を徴収しないものとする」と書かれ、また同項ただし書きには、「ただし、授業料を徴収しないことが公立高等学校における教育に要する経費に係る生徒間の負担の公平の観点から相当でないと認められる特別の事由がある場合は、この限りでない」と書かれております。
 この条文についてどう解釈するのでしょうか。国が示す具体的な事例はどのようになっていますか。「特別な事由」についての本県の解釈はどうなりますか。知事にお答えいただきたいと思います。
 無償化は、国の政策として実施するものであり、地方に負担を押しつけるような制度であってはならないと考えます。これにより、学校設置者である本県への財政面での影響はどうなるでしょうか。
 本県では、空調設備を設置する高校では、その使用料が授業料に加算されて徴収されております。授業料と一緒に徴収されていた中では、今後は国としての負担分として見てもらえるのか、また保護者負担分としてこれは残るのか、お示しをください。
 この法律の施行が4月に間に合わなかった場合にはどうするのでしょうか。教育長にお尋ねをしたいと思います。
 最後に、全国学力・学習状況調査についてお伺いをしたいと思います。
 政権交代により、平成22年度から悉皆調査ではなく抽出調査になりました。本県では、小学校で109校、これは全小学校の41.3%、中学校で98校、全中学校の74.2%。全国平均では、小学校で25.2%、中学校では43.5%となっていますので、本県の抽出数としては高くなっております。その説明では、小規模校が多い、成績のばらつきが大きい、地域による格差が目立つと、そういうことだそうでございます。それが抽出数比率が高くなった理由とされております。
 平成22年度に関しては、希望校には同じ試験問題を提供することになっており、本県では抽出校以外のすべてが希望することになっているようです。和歌山県には会長の和歌山大学教育学部長を中心とした県学力調査検証委員会が今年度で5回開催され、このほどその報告がまとまっております。それによると、今後の国の動向にもよるとしながら、県独自の学力診断テストを実施すると仮定すると、全県における学力の傾向を把握するためには、抽出調査も考えられるが、各学校が児童生徒1人1人の学力課題を把握し、指導の工夫改善を行い、その改善状況を確かめるには全数調査が適切であると実施形態について言及をしております。
 また、平成23年度、抽出率が低下したり、希望校への問題の提供がなければ本県独自の調査のあり方を検討する必要があるとの考え方も提示されております。また、全国学力・学習状況調査が抽出調査として実施された場合、県教委としては希望利用校の採点や集計に係る経費の補助あるいは負担をできるような措置を検討すべきであるともされております。
 以上のことを踏まえて、教育長は、国においては抽出調査を行うとの認識のもと、児童生徒1人1人の学習状況の改善を図るため、これまでのような悉皆調査が必要とのお考えを示しておりました。しかし、形の上では全校が参加することになりそうですけども、学校独自で採点、集計するところ、業者に委託するところと不統一になるそうです。データ管理や分析を生かすことを考えると、一元的な管理は困難にならざるを得ません。過去の分析から見えてきた課題に学校が取り組みを始めたばかりです。県教委としても地域間格差を是正し、県全体の学力水準の向上に指導力を発揮していただけるものと思っていました。
 このような各教育委員会での個別の対応は大変残念ですけども、平成22年度実施に当たって県教委の対応はどうなさるのか。また、国の動向はこれからも変わる可能性があります。学力調査についての今後の方針を教育長にお尋ねいたしまして、第1問とさせていただきます。
 大変にありがとうございました。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの多田純一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、子ども手当についてでございます。
 子ども手当の支給に関する法案については、どう受けとめてるかということでございますけれども、私といたしましては、児童手当を子ども手当の一部とすることを地方の意見を聞くこともなく決めて、県や市町村が児童手当のために拠出した財源を、国が進める政策である子ども手当の財源の一部に充当するということにしたのは、地域主権を標榜する新政権とすればいかがなものかなというふうに思っております。
 次に、平成22年度の児童手当負担金の予算についてでございますけれども、国が決めた政策の財源手当を県に押しつけるなというのは、今申し上げました主張ではありますけれども、仮にそれに固執いたしまして予算化をしないということになりますと、和歌山県民が子ども手当そのものを受給できないという事態になります。これは避けなければならないと考えまして、今回予算化をお願いしているというところでございます。
 次に、次年度への対応はどうするかということでございますが、現在、平成22年度における子ども手当の支給に関する法律案が国会で審議されているところでありますけれども、平成23年度以降の子ども手当の制度設計に関しましては、改めて検討されるということになっております。
 私としては、この新しい制度設計に当たり、地方の意見を十分に聞き入れて、財源を当然全額国費として県及び市町村に負担を求めることがないように国に対して強く求めてまいるべきだと考えております。
 なお、国から地方負担の延長等を求められるということになりますと──これは仮定ですけれども──同じようなことをまたやりたいと言えば、これはやっぱり全国知事会とも連携、協調を図りながら強い態度で臨まなきゃいけないというふうに考えております。
 次に、介護行政でございます。
 公明党が全国で介護総点検を実施され、調査結果をもとに新・介護公明ビジョンを取りまとめられたことは大変有意義なことで、敬意を表するものであります。
 新・介護公明ビジョンの提案は、いずれも重要な取り組み課題と認識しております。もちろん、制度の枠組みを今のままといたしますと、財源の手当をしっかりしておかないと介護保険料、すなわち国民の負担等にはね返ることも多いと考えます。公明党案は、さすがにこの点についても目配りをしておられまして、公費負担割合の引き上げも提案されておりますけれども、そうなると国において所要の財源を確保していただく必要があると考えております。すなわち、税、財政、全体の構造をどう考えるかということにかかってくるということであります。
 これから大いに国で議論されることと思いますけれども、我々としては御提案の趣旨を生かして、介護の行政の一端を担う県といたしましては、先ほどの大議論とは別に、私たちにできる最善のことをやることによってその使命を果たすべく努力してまいりたいと考えております。
 次に、消費者行政でございます。
 私は、事業者との取引における消費者の立場を強化する消費者契約法の制定に携わった経験が昔あります。また、昨年4月に消費者庁設置法関連法案審議のための衆議院地方公聴会において意見を求められました。実はこのときは、これは対立法案──対決法案でありまして──そこにいきなり呼ばれちゃったものですから、少し俗な言葉でびびりまして、それで、週末を全部つぶして必死で勉強して臨みました。和歌山県の実情をもとに意見陳述を行いましたが、同時に、対立ばかりしてないで小異を捨てて大同についたほうがいいんじゃないかというふうに申し上げて、その後間もなく法律ができたということで非常によかったと思っております。このように、消費者行政の重要性は十分認識しているつもりでございます。
 本県の状況につきましては、県の消費者生活センター、これが大変頑張っていると考えております。規模という点では内心じくじたるものがありますが、中にいらっしゃる相談員の方々が大変すばらしい活動をしておられると考えております。先般、消費者庁長官がこのセンターを視察され、消費者教育・啓発の取り組みや相談員が質の高いサービスを提供していること等、大変熱意を持って取り組んでいると評価をいただきました。
 しかしながら、私どもといたしましては、消費者被害の防止や救済のためには、県のこの消費生活センターの充実・強化をぜひ図らなければいけない、また、相談員が配置された市町村相談窓口の設置、相談員の人材養成、これも必要なので頑張らなきゃいけない、そういうふうに思っておりまして、昨年8月に和歌山県消費者行政活性化計画を策定し、重点的に取り組もうとしているところでございます。
 今後、消費者行政活性化基金を有効に活用いたしまして、これら諸施策を効果的に進める必要がありますけれども、市町村が財政的に厳しい状況の中で新しい行政サービスに踏み出しにくいということから、国に対して恒久的な財政措置──この基金は短期的でございますので──恒久的な財政措置を要望しておりまして、引き続き働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、授業料の無償化の問題であります。
 議員御指摘の公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律の2条で対象外とされている専攻科を除きまして、文字どおり公立高等学校の授業料については、卒業を目的として学ぶすべての生徒について無償化するという意味であると理解しております。
 私は、このような考え方のもと、本県県立高等学校の授業料を無償化するため、今議会に県使用料及び手数料条例の一部改正案を提出しております。
 同条第1項ただし書きの特別な事由については、国は必ずしも具体例を示しておりませんけれども、法律の常識といたしまして考えられる事例といたしましては、例えば、何か特別に県が、あるいは高校が高度な知識や技術を習得させるために特に多額の予算を要する教育を行いたいと、こう考えたときに、そういうときなどが該当するものと理解しております。
 国は、留年生には国の予算手当てをしないという考えのようでありまして、ひょっとしたら、この根拠条文がこの条文かもしれないんですけれども、どう考えても法律の趣旨を理解していない考えではないかなと私は思います。しかも、そもそも留年生はいろいろな理由があって留年せざるを得ない場合もあるわけです。体を壊したとか。そういう人に対して無償化を打ち切るというようなことは、そもそも道義的にいかがなものかというようにも思っておりまして、県はこれに対して国には意見を申し上げたいと思うし、県については国がどうであろうとも無償化は必ずやりたい、そういうふうに考えております。
○議長(冨安民浩君) 福祉保健部長北田佳秀君。
  〔北田佳秀君、登壇〕
○福祉保健部長(北田佳秀君) 子ども手当並びに介護行政についてお答え申し上げます。
 まず、子ども手当支給に伴う県の役割についてでございます。
 現在、子ども手当開始に向け、各市町村ではシステム化等の準備を進めているところでございます。子ども手当法が成立した後、子ども手当の原資は国から市町村に交付され、手当は市町村から住民に直接支給されることとなります。県といたしましては、従来からの児童手当負担金に関する事務に加え、子ども手当交付金の出納代理事務や手当支給に関連する諸経費の交付事務等を担うことになります。
 実施に当たりましては、子ども手当制度が円滑かつ適正に運用されるよう、市町村への指導助言、県民への制度の周知などに取り組んでまいります。
 次に、介護行政の5点について一括してお答え申し上げます。
 まず、介護保険施設の整備計画についてでございますが、県内の特別養護老人ホームに入所を希望する在宅の待機者数は、平成21年3月末現在2468人となっており、昨年度より96人増加しております。今後も待機者数の増加が見込まれることから、わかやま長寿プラン2009に基づく計画的な整備を進めるとともに、経済危機対策に基づく緊急整備も同時に実施し、また補助単価の引き上げを行うなど、今後も積極的に整備を促進してまいりたいと考えております。
 なお、平成22年度の整備につきましては、広域型の特別養護老人ホーム6施設190床の増築、小規模特別養護老人ホーム3施設、認知症高齢者グループホーム6施設、小規模多機能型居宅介護事業所4施設などの整備を計画しております。
 次に、地域包括ケアシステムの構築と地域包括支援センターの拡充についてでございますが、県内各地域では、介護事業者はもとより、医療や保健サービス、住民主体のボランティアなど、数多くの関係機関のネットワークにより、高齢者が安心して生活できる体制を目指しているところでございます。これらの機関の効果的な連携を一層推進していくためには、地域包括支援センターの機能を強化する必要があります。県では、今年度から各市町村に設置されているこのセンターのコーディネート機能の充実に取り組んでいるところであり、高齢者個々のニーズに応じたサービスを円滑につなげていけるよう、地域の支援体制づくりに努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、介護支援専門員、いわゆるケアマネジャーの研修についてでございますが、専門員の資質の向上を図ることは、良質な介護サービスを行う上で不可欠であると考えております。今後とも、実務経験年数に応じた段階的かつ専門的な研修の充実を図り、介護支援専門員の資質の維持、向上に努めてまいります。
 次に、介護予防施策の拡充についてでございますが、議員御指摘のとおり、元気な高齢者が要介護状態にならないようにするだけでなく、既に要介護状態にある方の要介護度がこれ以上悪化しないようにすることも大変重要な課題であると認識しております。また、介護保険法におきましても、保険給付は、要介護状態の軽減または悪化の防止に資するよう行われなければならないと規定されているところです。
 県といたしましては、要介護状態の悪化防止に向け、これまでの通所リハビリテーション等の充実はもとより、和歌山市の事業も参考としながら、どのような取り組みができるか前向きに検討してまいります。
 最後に、レスパイト事業の拡充についてでございますが、いわゆる老老介護や介護うつの問題が顕在化している中、高齢者を介護する家族への支援は重要であると認識しております。このため、在宅での介護をしている家族の負担軽減や在宅での介護が難しい場合に利用できるショートステイの整備を進めるとともに、国の交付金を活用しながら、通いを中心に訪問、泊まりの3つのサービスが提供できる小規模多機能型居宅介護や認知症高齢者を対象としたデイサービスなどの整備を積極的に進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 環境生活部長井口悦治君。
  〔井口悦治君、登壇〕
○環境生活部長(井口悦治君) 消費者行政についての御質問のうち、2点目の消費者行政推進本部の設置についてでございます。
 県では、これまでも食品表示の窓口の一元化、消費者教育及び法執行における連携、消費者事故情報等の取り扱いマニュアルの策定等、組織横断的に消費者行政に取り組んできたところであり、さらなる情報の共有と連携を図るため、消費者行政関係各課による推進本部とも言うべき連絡会議の設置を準備しており、平成22年度早々に立ち上げる予定といたしております。
 次に、3点目のうち県消費生活センターの機能の充実についてでございますが、相談業務を平成22年度から、これまでの平日と日曜日に加え土曜日にも行うことでサービスの充実と拡大を図ります。また、被害の発生・拡大防止のため、市町村の相談窓口と連携しながら情報を集約し、いち早く県民の皆様に提供する体制をとってまいります。
 また、市町村窓口の強化についてでございますが、県内各市長を訪問したり市町村担当課室長会議を開催するなど、市町村における相談窓口の充実を強く要請してまいりました。その結果、来年度新たに3つの市において専門の相談員による相談を開始する予定であると聞いております。
 また、市町村の相談窓口の充実を図るためには相談を支える人材の確保が不可欠であり、地域における人材の偏り等がないように留意しながら、相談員養成のための専門的な研修を実施するとともに、県消費生活センターの相談員に対してもレベルアップのための研修への参加支援を引き続き行ってまいります。
 なお、相談員の待遇につきましては、相談員の方々が安心して業務に専念できるよう、委託条件の改善等を検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 公立高等学校の授業料の無償化につきましては、御指摘のとおり、国の施策として実施されるものでございますので、それに必要な経費は国が責任を持って手だてをするというのが当然であるというふうに考えております。無償化後は現在の授業料収入相当額が国から負担金として交付されることとなっておりますが、無償化の範囲と負担金の算定は必ずしも一致しないというのが今の文部科学省の考えでございます。
 本県では、授業料の一部として徴収しておりますいわゆる空調加算分につきましては、法の趣旨に基づき無償化の対象といたしますが、国の負担金の算定では、今のところ対象外とのことでございます。このように、負担金の算定方法いかんでは新たな地方負担が生じるということになりますので、そういうことにならないよう、文部科学省に対しまして申し入れを行っているところでございます。
 今議会で提案させていただいております関係条例の一部改正条例案の授業料無償化に関する部分の施行日につきましては、公立高等学校授業料無償化等に関する法律の施行日と同日とする旨を附則で規定をしておりまして、当該法案の成立時期が国会の審議等の都合で4月以降にずれ込むような場合がありましたらば、状況にもよりますが、一定期間、納期限を変更して授業料の徴収を猶予するなどの対応をしていく必要があるのではないかと考えてございます。
 次に、全国学力・学習状況調査につきましては、児童生徒1人1人の学力・学習状況の把握、分析に基づいた指導の改善を図るとともに、学力の地域間格差をなくすために全数調査による実施が必要であると考えてございます。
 平成22年度の全国学力・学習状況調査につきましては、お話のように抽出調査となっておりますけれども、抽出調査対象外の学校についても問題や質問紙、解説等が提供されることとなっておりまして、すべての学校において児童生徒1人1人の状況把握が可能となっております。
 県といたしましては、各学校の学力や学習状況を分析するためのソフトを配付いたしまして、市町村教育委員会との連携のもと、指導の改善に役立てるよう努めてまいります。
 また、議員御指摘の抽出調査対象外の学校における採点等につきましては、学校で行うことを基本にお願いしているところでございますが、市町村によって差異が生じておりまして、今後その実施方法等について検討する必要があると考えてございます。
 平成23年度以降の学力調査の実施につきましては、全数調査の継続が必要であると考え、全国都道府県教育長協議会等で国に対し、本年度同様の実施を要望しているところでございます。今後、国の動向や和歌山県学力調査検証委員会での検討等を踏まえまして、全数調査の実施や市町村教育委員会への支援など、学力調査のあり方について早期に検討してまいります。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再質問を許します。
 25番多田純一君。
○多田純一君 それぞれ御答弁いただきました。ありがとうございました。
 特に、介護総点検の報告をさしていただきましたし、新・介護公明ビジョンというのも提示させていただきました。ぜひ今後の介護行政に生かしていただきたいということを重ねて要望さしていただきたいと思います。
 質問としましてはもう1点、先ほど御答弁いただきました高等学校の授業料無償化につきましてですけども、新たな地方の負担を生むような、そんな事態になってきております。特に、お話ありました空調加算につきましては、保護者に負担をさせることなく、県の判断として新たな県負担金として考えているというお話もございました。
 また、これは2問でしようかなと思ったんですけども、例えば、先ほど知事のほうからも修学年限を超えての留年生についても県のほうで考えていただいているという、こういうことでございましたけども、これにつきましては、いろいろ他府県ではとらえ方というか負担の仕方が違うようでございます。こういう点も含めて、新たな今度の制度につきまして、地方の負担がふえてくると、こういうことの中で、どういう点に問題があるとして県教委としては文科省のほうに申し入れをされているのか、教育長に重ねて御質問さしていただきたいと思います。
○議長(冨安民浩君) ただいまの再質問に対する答弁を求めます。
 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 御質問にお答えしたいと思います。
 留年生のことにつきましては、先ほど知事から御答弁申し上げたところでございます。
 他府県の状況によりますと、留年生の授業料について、本県と同じように無償化の対象とするという県もあれば、負担金の算定対象外、ではないという国の説明を受けて、留年生の授業料を徴収するという県もございます。
 また、地方議会への条例改正案の提出時期というのが、2月議会提案、6月議会提案あるいは専決処分予定など、それぞれの地方公共団体の考え方によりまして、かなりのばらつきがあるというふうに聞いてございます。
 また、留年生以外の問題にも関することでございますけれども、これまで各地方公共団体が独自に行っておりました授業料減免相当額につきましては、国のほうでは一律に減額調整をする。これは都道府県によって減免措置の対象にしている子供さんたちの割合がそれぞれ違うわけなんですけれども、それを一律に減額調整をするというふうなこと。また、国が示す基準額、標準額を超えて授業料を徴収している部分、先ほど知事から説明ございましたけれども、そういったことも算定対象外であるということなど、新たな地方負担が生じるということが懸念される点について改善するよう、今申し入れを行っているところでございます。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再々質問を許します。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 以上で、多田純一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時24分休憩
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