平成22年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

平成22年2月
和歌山県議会定例会会議録
第4号
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議事日程 第4号
 平成22年3月5日(金曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第31号から議案第46号まで、議案第48号から議案第59号まで及び議案第61号から議案第83号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第31号から議案第46号まで、議案第48号から議案第59号まで及び議案第61号から議案第83号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(43人)
 1番 泉 正徳
 2番 山本茂博
 3番 前芝雅嗣
 4番 浅井修一郎
 5番 吉井和視
 6番 向井嘉久藏
 7番 門 三佐博
 8番 町田 亘
 9番 服部 一
 10番 平木哲朗
 11番 花田健吉
 12番 須川倍行
 13番 大沢広太郎
 14番 谷 洋一
 15番 平越孝哉
 17番 岸本 健
 18番 川口文章
 19番 尾崎太郎
 20番 藤山将材
 21番 新島 雄
 22番 山下直也
 23番 井出益弘
 24番 宇治田栄蔵
 25番 多田純一
 26番 中 拓哉
 27番 角田秀樹
 29番 山田正彦
 30番 坂本 登
 31番 尾崎要二
 32番 中村裕一
 33番 片桐章浩
 34番 原 日出夫
 35番 藤本眞利子
 36番 長坂隆司
 38番 小川 武
 39番 冨安民浩
 40番 奥村規子
 41番 山下大輔
 42番 松坂英樹
 43番 藤井健太郎
 44番 雑賀光夫
 45番 野見山 海
 46番 松本貞次
欠席議員(なし)
〔備考〕
 16番 欠員
 28番 欠員
 37番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       曽根義廣
 危機管理監      森 崇
 総務部長       宮地俊明
 企画部長       前硲健作
 環境生活部長     井口悦治
 福祉保健部長     北田佳秀
 商工観光労働部長   永井慶一
 農林水産部長     下林茂文
 県土整備部長     茅野牧夫
 会計管理者      雑賀忠士
 教育委員会委員長   宮永健史
 教育長        山口裕市
 公安委員会委員    片山博臣
 警察本部長      永松健次
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     楠本 隆
 選挙管理委員会委員長 諸木良介
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       藁科善崇
 次長         東岡誠吾
 議事課長       上坊 晃
 議事課副課長     土井敏弘
 議事課課長補佐兼班長 田中健司
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      瀧川泰治
 議事課主査      中村安隆
 総務課長       佐本 明
 調査課長       中井祥之
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  午前10時0分開議
○議長(冨安民浩君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第33号から議案第39号まで、議案第52号、議案第53号、議案第56号及び議案第57号は、いずれも職員に関する条例議案でありますので、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。
 日程第1、議案第1号から議案第16号まで、議案第31号から議案第46号まで、議案第48号から議案第59号まで及び議案第61号から議案第83号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 5番吉井和視君。
  〔吉井和視君、登壇〕(拍手)
○吉井和視君 皆さん、おはようございます。平成22年の当初議会のトップバッターを務めさせていただきます。
 それでは、質問をさせていただきます。
 平成22年度の当初予算についてお尋ねいたします。
 長期総合計画は、仁坂知事が県政を担当されて実質的に1年目となる平成19年度に1年間の検討を経て策定されたものであります。平成20年度から29年度までの10年間を計画期間として策定されました。その計画に掲げられた「未来に羽ばたく愛着ある郷土 元気な和歌山」という将来像は、まさに知事の言う初心とも言うべき県政を担う上での決意が込められていると思います。
 また同時に、長期総合計画は、県議会も計画策定当初から積極的に関与したものであり、知事の決意をあらわすだけではなく、県当局と県議会が一体となって和歌山県が今後進むべき道を県民に対して示したものと私は受けとめております。
 したがって、計画ができ上がったら終わりというものではなく、その計画を施策や事業に実行して移していかなければなりません。
 知事は、かねてから、毎年度、新政策プロセスによって常に長期総合計画の原点に立ち返り、県民の生活や県経済の現状を注視しながら必要な施策を講じると言われてまいりました。新政策は、国への要望あるいは条例やアクションプログラムの策定など、必ずしも予算を伴うばかりのものではないと思いますが、私は、大部分が予算という形で具体化されていくものだと思います。
 そこで、平成22年度当初予算においてどの程度和歌山を元気にするための施策が盛り込まれているのか、また、このような厳しい社会経済情勢の中で、たくさんの県民が今日の生活に不安を抱えながら暮らしていることに対して県としてどのようにこたえようとしているのか、特に注目いたしてまいりました。
 あえて特に注目したということを申し上げたのは、平成22年度当初予算は、第1期仁坂県政の締めくくりとなる重要な意味を持つ予算であると考えるからであります。
 このような視点から、当初予算及び新政策について、私なりの所見を幾つか申し上げさせていただきたいと思います。
 まず、平成22年度当初予算でありますが、予算規模は5345億円、前年度と比較して2.2%増と、積極的な予算となっております。その中でも特に公共投資予算については、2月補正への前倒し分を含めると1193億円と、補正の前倒しも含めた前年度の予算と比べても40億円、3.5%の増となっており、厳しい財政状況下にあっても積極的に財政出動し、不況に苦しむ県内の中小企業の受注機会の確保にも配慮した知事の積極的な意図がうかがえると高く評価するものであります。
 さらに、私が9月議会で申し上げました市町村負担金についても、使用料的な性格のものや、受益者負担としての国の制度上、負担が位置づけられているもの、さらに本来市町村が主体となるべき事業を県が実施している場合など、明確な理由のあるもの以外は原則として廃止するという、全廃するという見直しがなされました。
 見直しによる市町村の負担軽減額は9億円弱とのことでありますが、これは県以上に財政状況が厳しい市町村にとっては、大変大きな支援になると考えます。また、私の提言を聞いていただき、速やかに実行していただいたことに対してお礼を申し上げたいと思います。
 次に、新政策についてでありますが、基本方針として、県民に希望と安心をもたらす政策を掲げ、あすの和歌山を開く希望の政策として、技術開発や販売促進に力点を置いた産業振興、さらには、これも9月議会で提言した県独自の過疎対策なども含まれた地域づくり等々、将来を見据え、本県を成長に導く施策が数多く盛り込まれているほか、今日の暮らしを守る安心の政策として、地域の中核的な病院の整備を初め、そんな医療体制の充実、さらには困難を抱えた青少年への支援、市町村への防災体制強化に対する支援など、緊急性の高い、まさに県民生活に密接に関連した安心の政策が盛り込まれております。
 このように、将来の本県の発展を見据えた政策や、今県民が置かれた厳しい状況を打開していくための政策が盛り込まれ、各分野に配慮されたバランスのいい予算となっているというのが私の率直な感想であります。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 平成22年度当初予算の編成を終えられた今、知事はどのような感想をお持ちになっているのか、まずお尋ねいたします。
 もう少し具体的に申し上げますと、知事はいろんな行事で県内各地をくまなく回っておられます。それぞれの地域へ出向くたびに、この地域は道路整備がおくれているなとか、農林水産業を元気にしなければいけないとか、そういう場所ごとに異なるさまざまな課題を目の当たりにしていると思います。そして、その課題を解決するために職員と議論し、対策を講じようとしていると想像しているわけでありますが、財政の問題を初めとしてさまざまな制約があって、すべての問題を一気に解決するということは到底無理であろうと思います。
 そのような中で、私は、平成22年度当初予算は今の県の実力に見合った精いっぱいの予算であると思いますが、今やるべき政策は十分に盛り込めたのかどうか、お尋ねをさせていただきたい。さらには、このような積極的な予算を組む中で、財政の健全化という点について大丈夫なのかということの知事の見解をお聞かせください。
 次に、関西広域連合について質問をさせていただきたいと思います。
 関西広域連合の事務──私は事務という言葉は余りなじまないと思うわけなんですけども、事業としてですね──広域防災、広域観光、そして文化振興、広域産業の振興、広域の医療、そして広域環境等が、そういう事務が出そろい、参加を希望する各府県がその決定に向けて各府県の住民の合意を今得ようといたしております。そして、今年度中にもそのことが我々の議会に提案されてくるなと、そういう気がいたしております。
 そこで、仁坂知事が重要事項については全会一致の原則をこの広域の中で提案をし、それが基本合意されたということを聞いて私は喜んでおります。県民の、県益確保と不安防止に仁坂知事も相当頑張っておるな、そういう評価をさしていただきたいなと思います。
 そして、本県の参加合意については、これからであります。もっともっと議論をしなければいけないと私自身も思っております。
 私も機会あるごとに街頭に立って、関西広域連合の参加について、県民に対して、地域住民に対して語りかけておるわけでありますけれども、まだまだ浸透されておらないなと。情報が共有されておらないというのが率直な意見であります。そういうことで、私は、ほとんどの県民がこの関西広域連合に同意をして参加決定されるということを望んでおります。
 そこで、知事に対して、関西広域連合に臨み、県民の合意を得るためにこれからどのような取り組みをされるのか、そのことをまずお尋ねいたします。
 次に、本県の参加に向けて、私は関西広域連合における地産地消という視点から提案をさせていただきたいと、そのように思います。
 和歌山県では、恵まれた自然の条件の中でさまざまな特色を生かした農林水産業が営まれております。しかし、その農林水産業をとってみて考えたときに、私の地域の中でも、ミカン産業を考えたときに大変な状況であります。もうこれ以上ミカン経営を継続することができないという農家も出てきておる気がいたします。そしてまた、木材産業でも同じであります。森林の長い間の放置の中で、「山は泣いている」という言葉がありますけれども、もうどうしようも仕方がない状況が続いておるわけであります。
 こんな厳しい状況を続けておることに対して、私はさまざまな手を打っていかなけりゃいけないと思うわけでありますけれども、特に今回のような関西広域連合というような広域特別自治体を設立するに当たって、政治的にこのことを展開していくことについて知事が積極的に考えなけりゃいけないなと、そのように思うわけであります。それこそ、人口2500万人、関西で2500万人があるわけでありますが、その中で政治的な取り組みとして、関西広域連合の中の住民がお互いに協力し合って地産地消するという考えを持てば、私は、大きな成果を生み出すことができる、停滞している和歌山県の農林水産業を一気に困難を打開できるような状況がつくれるんではないかと、そのように思うわけであります。
 そういうことをこの関西広域連合の中で知事がリーダーシップをとって推奨していただき、そのことを大きな運動の中で和歌山県が先頭に立ってやっていただきたいなと、そんなに思います。そうすれば、参加を希望してない奈良県とか、そういったところも一度参加してみようじゃないかという、そういう機運になるんではないかと、そのように思うわけであります。
 また、以前に私は、この議場の中でフードマイレージということをお話し申し上げたことがございます。それは、輸送にかかるエネルギーという観点から考えますと、関西圏での消費が促進されることにより、輸送の際にかかるエネルギーを小さくするといったことから、私は、環境保全にも大変貢献できるんではないかと思うわけであります。
 このような発想を持って関西広域連合に参加してほしいものですが、知事のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 最後に、知事の第2期の出馬について質問をさしていただきます。
 知事と県議会の関係については、車の両輪であるとよく言われております。県議会は、県民の代表であります。県民の最高の意思決定機関であり、二元代表制であるということでは、知事と対等の立場であります。知事が提案した政策を我々が承認して、そして知事が行政の中でその施策を実施して、再び我々が評価をするというのが、これ、たすきがけの関係になると思うわけですけれども、知事と県議会の関係であります。
 よく知事の与党という表現がされますが、私は地方議会では与党ということはあってはならない、そのように考えております。与党はないわけであります。そのときそのときに真剣に知事と県議会が対峙する、緊張する関係が一番望ましいわけであります。県議会は、県民にかわって知事を評価する機関であります。そういうことから、我々自民党県議団として、就任以来3年と少し経過した仁坂県政、仁坂知事の県政全般についてただいまから評価をしてみたい、そのように思います。
 まず、大変大きな評価をしなければいけないというものは、第1番目は、前木村知事のあの不祥事の中から、混乱した県政から、私は、仁坂県政は県民に対して大きな信頼を回復させたと確信いたしております。
 そして第2番目は、知事自身が県内をくまなく駆けめぐり、さまざまな問題点を整理し、そしてその問題点に対処するためにきめ細かな政策を実施するということで、私は、県民に大きな安心と希望を与えたと思います。
 また次に、第3番目は、関西の中における和歌山県をPRして、私は大きく認識させたと思うわけであります。和歌山県の格上げを行ったという功績は、非常に大きいなと思うわけであります。そして、県民に和歌山に住んでよかったという大きな誇りを与えたと、そういうことが大変評価するところではないかと思うわけであります。
 このような知事の実績に対して、自民党県議団を代表して大きな評価をさせていただき、再選に向けて支持することを表明いたします。今後一層、和歌山県を大きく発展させていくためには、まず必要なことは、県民が和歌山県を愛する気持ちを持つことだと考えます。
 本県を取り巻く状況は依然厳しいものがありますが、これまでの実績のもとに和歌山県への限りない愛情を持って、ぜひとも将に将たる真のリーダーとして、引き続き県政を担っていっていただきたい。そして、県職員と知事とが一致団結して和歌山県の将来を憂えて、ともに協力し合って県政を進めていただくことを特にお願いを申し上げまして、私は、知事に対して第2期県政に向けた抱負と出馬の決意のほどをお伺いさせていただきまして、最後の質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの吉井和視君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、平成22年度当初予算についての御質問でございます。
 私は、今の厳しい社会経済情勢の中で県がやらなければならないことは大きく2つあると思っております。
 1つ目は、この厳しい時代を何とかしのいで乗り越えるために、県民の皆様の不安を取り除く安全・安心の政策を着実に進めることであります。
 2つ目は、どんな厳しい状況の中でも県民の皆様の幸せ、地域や経済の活性化といった本県の発展を常に追い求め、次の時代のための希望の種をまく積極的な政策を展開することであります。
 このような考え方から、平成22年度当初予算につきましては、昨年10月に予算編成方針でお示しいたしました「希望」と「安心」を設計思想として編成を進めてまいりました。
 あすの和歌山を開く希望の政策ですが、私は、希望の源は、まず県経済が活気づき、県民の皆様の所得が向上することだと考えています。そのために、先駆的技術開発や販売促進を切り口とした産業の活性化を全力で推し進めます。
 さらに、地域づくりや人づくりもあすの希望へつなげる原動力であります。過疎地域に希望の灯をともす本県独自の集落再生や、補充学習の徹底を初めとする和歌山方式の学力向上など、愛する郷土和歌山の県民を1人たりとも見捨てないという強い意思を持って取り組みを進めてまいります。道路ネットワークの整備も本県の発展には欠かすことができません。
 このように、すべての県民が豊かなあすを期待でき、未来への確かな道筋が実感できる政策を全庁挙げて推進してまいります。
 次に、今日の暮らしを守る安心の政策ですが、福祉や医療、防災などの安全・安心は、知事就任以来、一貫して一歩も譲れないと申し上げてきました。
 平成22年度も、地域の支え合いによる子育て環境の充実、医師の確保はもとより、地域の拠点となる中核病院の整備、さらには要援護者施設への情報伝達手段の確保など、これまで進めてきた数々の施策に加え、県民の命と暮らしを守る安全・安心和歌山の構築に向けて、また一歩前進できる施策を積み重ねることができたと自負しているところです。
 このように、すべての県民が日々安心して暮らせるよう、身の回りのさまざまな不安を払拭する施策を着実に推進してまいります。
 これらの今県がやらなければならない施策、少なくとも現時点で私が必要と感じている施策については、平成22年度予算において財源の許す限り、すべて盛り込むことができたと考えております。
 また、そのような中、持続可能な財政構造の確立にも十分配慮いたしました。県財政が安定的に持続していけるということは、県民のあすへの不安をなくし、安心と希望の根幹となるものだからであります。
 人件費の抑制や事務事業の見直し等の行財政改革を着実に推し進め、収支不足額を31億円に圧縮するとともに、基金の年度末残高を134億円に維持できる見通しとするなど、新行財政改革推進プランでお示ししていた改革の歩みをさらに進め、確かなものといたしました。
 こうして平成22年度予算は、新政策の推進に向けた積極的な予算措置と財政の健全化という2つの目標を両立させることができたと考えているところであります。
 次に、関西広域連合でございます。
 私は、本県の発展のためには、関西圏が地域の個性を連携しながらスケールを広げ、首都圏とは異なる多様な価値が集積する日本のもう1つの中心核として発展していくということが不可欠であると考えております。関西広域連合の設立は、このような元気な関西づくりにつながると評価しておりますので、本県も設立当初から参加したらどうかと考えております。
 このためには、県民の皆様を初め多くの方々、県民の皆様の御理解をいただく必要がございます。最終的には県議会で御賛同いただく必要があります。そのため、これまでも「県民の友」やホームページを通じて、関西広域連合設立の意義を広報してきたところでございます。しかしながら、それで十分かというと、まだまだそのようなことはないと考えております。
 今般、構成団体、設立当初に取り組む事務などの詳細がまとまりましたので、関西広域連合設立の効果をわかりやすくお示しするとともに、私が県民の皆様に県行政について説明する機会を活用するなど、これまで以上にきめ細かく県民に周知を図ることで御理解を得てまいりたいと考えております。
 次に、関西広域連合を活用しての農林水産物の地産地消の推進についてでございますが、関西広域連合は、小さく産んで大きく育てるという方針のもと、まずは広域防災、広域観光、広域産業振興など、府県同士の利害が対立しないような、早期に実現可能な事務から順次取り組むということにしております。
 議員御指摘の農林水産物の関西圏域内の消費促進については、産地間の競争という側面もあることから、関西広域連合の設立当初の事務としては、ひとまずは取り上げられておりません。しかしながら、私といたしましては、府県の区域を越えて関西を1つととらえ、各府県が力を合わせて関西の発展につなげていこうという趣旨で関西広域連合を設立するわけでありますので、将来的には、和歌山県以外の関西府県の住民にも、和歌山県の農林水産物を自分たちの地域の産物ととらえて積極的に消費していただけるような取り組みがなされる、そんな関西広域連合を目指してこれからも取り組んでまいりたいと考えております。
 続きまして、2期県政に向けた抱負と出馬の決意という御質問でございます。
 ただいまは、吉井議員から、私の知事としてのこれまでの実績につきまして大変温かい評価と励ましのお言葉をいただきました。まことに光栄に存じるとともに、また恐縮いたしております。
 これまで3年余、私が県政の執行に打ち込めましたのも、県議会の皆様を初め県選出の国会議員の方々、また市町村長を初め各地域の指導者の方々、それに何よりも100万人の県民各位の温かい励ましとお力添えがあったればこそでございまして、ここに心から感謝を申し上げる次第であります。
 3年余り前、前知事の不祥事と辞職の後を受けて知事に選んでいただいた私の心は、不祥事によって傷ついたふるさと和歌山の名誉を挽回し、再び光輝満つる栄光の和歌山の名声を取り戻し、陰りの見える県の勢いを回復して、いま一度元気はつらつたるふるさと和歌山の姿を実現しようとする一心でありました。そして、私自身のすべてを尽くしてこの3年余り働き続けてまいりました。
 和歌山の誇りを取り戻し、県勢を再び力強く上昇させるために一刻の猶予もならないと数多くの改革を行い、スピード感を持って実行してまいりました。当初は戸惑いもあったに違いない県の職員も、力を合わせて支えてくれました。県民の中から、これに和して積極的な前向きの動きが出てきたのも力強い援軍でありました。
 また、できるだけ多くの県民と接してその意見を吸い上げようと、目まぐるしく県内各地を回らしていただきましたが、その際、数限りない県民の方々から優しい笑顔と温かい言葉をいただいたのがどれほど励みになったかわかりません。そして何よりも、時には御批判や御助言もいただきながら御協力、御支援くださった県議会の方々への感謝をひとときも忘れることはございません。
 このような改革の成果は、少しずつではありますが、出始めております。清潔な県政の実現については県民の信頼は得られたと思います。また、経済の面では、大不況の中で本県の健闘が目立ち始めました。県民の安全や安心を守る制度も必死で維持されていますし、多くの分野で一層の充実が図れるようになりました。教育の面でも少しずつよい成果が出てまいりましたし、道路等インフラの整備も国体の施設整備も、着実な前進を図りつつあります。一方で、新行財政改革推進プランにより財政の破綻を防ぎつつ、こうして新長期総合計画の指し示す元気な和歌山づくりが始まりました。
 しかしながら、このような改革はまさに始まったばかりでございます。もっともっと努力し続けることによって、将来の大きな成果を期待できるような、そういうものも数多くあります。しかも、時代は激しく変わってまいります。大不況の到来によって多くの県民の生活が多大な影響を受けています。他県に比べ何とかしのいできた観光や農業が、直近ではついに影響を受け始めています。
 政権交代で政策の流れが大きく変わり、和歌山のようにおくれた地域への影響が心配される面もあります。大地震はいつ来るかわかりません。近づいてくる全国植樹祭も国体も立派に仕立て上げなければなりません。これらすべての新しい試練にまた新しい対応が迫られております。これからも次々と試練が襲いかかってくるでありましょう。そのたびごとに的確な対応力と不屈の意志が求められます。和歌山再生を軌道に乗せ、元気な和歌山を実現するために一刻の猶予もなりません。
 改革は休むわけにはいきません。同時にその改革は、弱い人やおくれた地域を常に念頭に置く温かい改革でなければなりません。和歌山を愛する100万人の県民の支持と協力を得た県民の幸せのためでなければなりません。
 もし許されるならば、私は、このような県政を一層強力に推進するために引き続き知事として県政をリードする責めを負わしていただきたいと考えております。
 ありがたいことに、市長会、町村会、各地の自治会の連合体である県都市自治連絡協議会を初め、多くの皆様から引き続き県知事の責めを全うせよとの出馬要請をいただきました。感謝と感激であります。もし許されるなら、私はこれらすべての県民の期待にこたえて、これまで以上に粉骨砕身、あらん限りの力を振り絞って我が愛するふるさと和歌山の発展のために、知事としての重責を負わしていただきたいと考えております。
 県知事としての職責は、県民の支持を得て初めて担えるものであります。私としては、県民の皆様が一層信頼と安心を持って選んでいただけるように、これまで以上の情熱を持って、知力を振り絞って、またこれまで以上に県民に親しく交わることによってその信をかち取ってまいりたいと考えております。
 そして何よりも、県民の代表たる県議会の皆様方の御理解をいただき、皆様と力を合わせて和歌山県の発展のために最善を尽くすことをお誓いする次第であります。
 今後とも県議会の皆様の御支援、御協力をお願い申し上げ、吉井議員に対する答弁にかえさしていただきたいと存じます。どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 以上で、吉井和視君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 25番多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕(拍手)
○多田純一君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきたいと思います。
 最初に、子ども手当について質問させていただきます。
 その前に、このチラシをごらんいただきたいと思います。(資料を示す)このチラシは、我が党が約40年前に配布させていただいたチラシでございまして、若干もうセピア調になっておりますけども、かわいらしいお子さんの横顔と、上のほうには「教科書無料、今春から中3まで!!」と、こんなふうに書かしていただいております。御存じのように、昭和38年に教科書無償が小学校1年生から始まりました。44年に中学3年まで、要するに義務教育の完成まで、この教科書無料が行われました。この下のところに実は、「教育費をたすける児童手当実現もあと一歩です!」、このように書いてあるんですね。
 これは、先ほど言いましたように、44年でございまして、この2年後に実は児童手当が実現されました。当時は第3子以降で5歳未満、お1人につき3000円というところからスタートいたしまして、改正に改正を加えて、これは私たち与党に入る前の野党のときからずっとやってきましたけども、与党に入ってからも自民党の方々にも御理解と御協力をいただいた上で、現在は1子・2子5000円で、3子から、第3番目から1万円、そして3歳未満も1万円、こういうふうになっております。小学校の6年生、修了前まで拡充もされてきております。もちろん、所得制限つきでございます。
 このように我が党は、元祖子育て支援を大事な政策の柱として取り組んでやってまいりました。民主党は、改正には反対をされてきております。児童手当にはそういう経緯がございます。
 子ども手当について、るる御質問させていただきたいと思います。
 国民の衆目を集めた子ども手当法案が1月29日閣議決定、同日衆議院に提出され、野党が反対する中、運営委員長の職権で総理が出席しない本会議の中で、2月23日、趣旨説明、質疑を決定し、法案審議が始まりました。主要政策との位置づけにもかかわらず、なぜ鳩山総理は本会議場で直接国民に子ども手当法案を説明されようとしなかったのか。国民の1人として残念に思います。
 法案として閣議決定される前には、金額や所得制限、自治体への寄附の是非などの問題で二転三転、また、法案の閣議決定後も混乱、最近でも給付金差し押さえなどを禁じたにもかかわらず、首相みずからが小中学校の給食費滞納分を給付金から差し引ける仕組みを検討するようにと指示され、混乱の要因が首相みずからというケースも少なからず見受けられます。政府内には、2011年度から支給額を満額の月2万6000円にふやす方針に関し、財政難を理由に早くも見直す閣僚発言も相次いでおります。
 これまで公明党は、民主党がマニフェストで訴えている子ども手当に関しては、その財源確保、総合的な子育て支援策の中での位置づけ、税制との関連など、問題提起をしてまいりました。結局、今般上程されております平成22年度における子ども手当の支給に関する法律案は、1つ、法案そのものの問題点として、平成22年度のみの単年度子ども手当法案であり、恒久的な制度設計を先送りし、かつ過去最大の国債発行となる予算組みの中で所得制限を設けないばらまきとなっている、2、民主党が主張していた全額国庫負担による子ども手当法案とは異なり、これまで批判してきた児童手当法の仕組みを取り入れていること等が挙げられます。法案の中身は、児童手当法による給付をそのまま残しつつ、それ以外の拡充分を国費で賄うことによって、中学校終了まで1人月額1万3000円を支給する内容になっております。これは子ども手当法案ではなく、まさに児童手当法もどきであります。正確には、児童手当法案の拡充法案であります。もしそうでなければ、児童手当法を廃止し、恒久的な子ども手当法を制定するのが筋ではないでしょうか。このことにより、地方自治体は混乱を強いられております。
 先週の2月25日、全国児童福祉主管課長会議が行われました。そこでの説明も、市町村事務処理ガイドライン、市町村子ども手当事務処理規則、子ども手当に係る諸様式について、施設に入所する親のいない子ども等に対する特別の支援について、子ども手当の寄附について等、この段階でもそれぞれが検討中になっております。詳細な点まで煮詰まっていない状況も見えてきます。根拠法が変わることで、子ども手当は法案成立後の4月から申請準備が始まり、世帯ごとではなく個別の子供ごとに作業を進められていくものと思われます。
 例えば、今まで児童手当を受けていた子供は、この4月、新中学1年生に達する子供まで、2月、3月は児童手当分として、4月、5月は子ども手当として1万3000円支給されることになります。新中学2年生、3年生、そして今まで所得制限で児童手当対象外のお子さんは、4月、5月分の子ども手当として改めて送られてきた書類を確認し、申請をしなければなりません。和歌山市の場合、子供1人に対し1件として手続を進めていくそうです。子ども手当として新たに対象になる約1万5000人に個別に送付していくだけでなく、今までの児童手当対象者約3万5000人にも制度の変更を何らかの形でお知らせすることを考えているそうでございます。
 役所のほうでは、申請書が返送されてきた段階で書類を確認し、同居している父母であれば簡単ですけども、実際に支給に関する法律案支給要件第4条に該当するかどうかも含めて、改めて確認作業を進めることになるようです。対象者が多いところでは、支給月と国が決めている6月には間に合わないケースも多く出そうです。また、保護者への直接給付となるため、本当に子供のために使われるのか。また、給食費など滞納していたとしても手当は支給されるため、子ども手当が目的とする次代の社会を担う子供の健やかな育ちを支援することになるかはこれからの課題の1つになっています。
 年に3回の給付ということで、受ける人にとってはまとまった多額の金額になることも予想でき、子ども手当目当ての金銭的トラブルが発生することも危惧されております。来年度は金額も倍になり、その危惧がもっと懸念されるところでございます。
 OECDは、日本の子ども手当を取り上げて、就学前教育と保育に対する公的支出を増加するとともに、子ども手当案はその目的と対象を再検討すべきであると提言しているところです。
 知事は、いち早く地方負担として個人住民税の扶養控除の廃止による増収分や現行の児童手当の地方負担分を充てることや、地域主権、地方自治の本旨に反し国民を裏切る重大な公約違反だと、他の知事と連名で子ども手当の地方負担に関する要請を実施されました。
 そこで、お尋ねします。
 子ども手当についての知事の受けとめ方、今議会に県の児童手当負担分を予算化された知事の考えを改めて確認します。また、次年度の考え方が今年度との違いが出てくるとすると、どういう場合か。次年度への対応について知事にお尋ねいたします。
 事務を担当する市町村の負担は大変です。県としての役割をどう考えるか。福祉保健部長にお尋ねをしたいと思います。
 続いて、介護行政についてお尋ねします。
 高齢者の自立支援を目指して平成12年4月から実施された介護保険制度は、ことしで10年目を迎えようとしています。この間、介護保険制度は、高齢者施策の中核的な制度として社会に定着してきました。しかし、その一方で、増大する保険財政、利用者のサービス内容への不満、介護従事者の人手不足など、問題が指摘されております。
 公明党は、高齢者の皆さんが安心して暮らすことのできる社会の実現を目指し、全国の公明党議員3000人が平成21年11月から12月にかけて介護総点検を実施、現場に入り実態調査やアンケート活動を展開いたしました。
 和歌山県でも、県内にて実施した介護総点検の調査結果を集計し、このほどまとめました。調査は、要介護認定者及びその家族、介護事業者、介護従事者、そして街角で一般の方々を対象にアンケート。介護保険行政に携わる各県市町村担当者への調査票も実施いたしました。全国で10万件、本県でも2000件を超える方に御協力をいただきました。御協力いただきました関係者の皆さんには、心より御礼を申し上げます。
 こうした生の声を集約した介護総点検をもとに、新・介護公明ビジョンを取りまとめ、去る2月24日に公明党山口那津男代表から鳩山首相に提言をいたしました。本県では、一昨日、3月3日に仁坂知事に調査の結果の報告と提言を行いました。これがそうでございます。(資料を示す)
 総点検で鮮明になったのは、介護施設の不足、在宅支援体制の不足、介護労力の不足でした。同ビジョンは、この3つの不足に対応する施策を盛り込み、介護施設待機者の解消など7つの視点、介護3施設の倍増、煩雑な事務処理の手続の簡素化、要介護認定審査の簡略化など12の提案、そして早急に実施すべき64の対策という構成になっております。
 最初に、介護総点検、そして新・介護公明ビジョンについての知事の所感をお尋ねいたします。
 以下、福祉保健部長にお尋ねいたします。
 街角アンケートなどによると、高齢者のみの世帯やひとり暮らしの高齢者もふえ、自宅での介護が難しいと考える人がふえております。また、介護保険が導入されて介護施設も高齢者の住まいも多様化したことが挙げられます。従来は特別養護老人ホームか病院でしたが、今は老健、有料老人ホーム、ケアハウス、さらに高齢者専用賃貸住宅など選択の幅が広がっています。介護保険を使いながら、さまざまなサービスを受けられるという安心感があると言えます。その反面、施設に入りたくも入れない、いわゆる施設待機者も年々ふえております。
 介護保険施設の整備計画は、地域の要望を踏まえ、今後、各市町村との連携や介護基盤緊急整備等臨時特例交付金を活用した事業の促進については、どのように進めていかれるのか。在宅介護の充実を求める声も多く、介護する家族の負担が大きい、要介護者や介護家族のぐあいが悪くなったときなど一時入所できる施設がないなど、今後安心して介護を利用できる24時間型居宅サービスの充実や緊急の対応、家族相談や深夜ヘルパーの派遣、認知症高齢者等の家族支援策として介護専用コールセンターの設置等も検討に値するものと思われます。
 医療や介護、在宅福祉サービスを含めたさまざまなサービスを包括的に提供する制度である地域包括ケアシステムの構築を進め、地域包括支援センターの拡充が必要ではないか。お考えをお聞かせください。
 介護保険サービス利用者のケアプランを作成する介護支援専門員の役割は非常に重要で、利用者への説明や、そのケアプランの作成に高い資質が求められております。その資格更新時の研修体制はどのようになっておりますか。
 現在、介護予防は、要支援者や特定高齢者を対象として、要介護者になることを防ぐことを目的として実施されております。既に要介護者となっている方が、これ以上悪化しないような新たな在宅メニューが必要ではないでしょうか。
 例えば、和歌山市の健康維持・リフレッシュ事業は、要介護度3以上の在宅で生活をされている方を対象として、自宅で柔道整復師、あんまマッサージ指圧師等の施術を受けた場合に補助する制度ですが、制度スタート以来9年がたち、要介護者の重度化防止に役立っていると伺っております。このような要介護状態の重度化を防止する新たな制度も検討する必要があると思います。
 介護総点検の結果、高齢者が介護を受けている場所の7割強が自宅で、潜在的には病院や介護施設よりも住みなれた我が家で介護を受けたいと願う高齢者も多いわけでございます。しかし、自宅での介護は家族に負担がかかり、ストレスが限界に達して高齢者虐待や介護うつが起こったりすることもあります。また、高齢者のみの世帯もふえて老老介護も深刻な問題となってきております。
 このため、家族が休息をとってリフレッシュできるように、デイサービスやデイケア、ショートステイなど、レスパイト事業の大幅な拡充も必要ではないでしょうか。
 以上、お答えをいただきたいと思います。
 続いて、消費者行政についてお尋ねをしたいと思います。
 昨年9月、消費者庁が発足しました。新しい省庁の設置は38年ぶりです。消費者行政の司令塔として消費者の安全・安心にかかわる問題について幅広く所管し、食品表示の偽装問題、消費者契約上のトラブルなど各省庁縦割りになっている消費者行政を統一的、一元的に推進し、生活者や消費者の視点で大きな役割を果たしていくことが求められております。
 近年では、これらサービス取引をめぐる問題として、携帯電話やウエブなどの情報通信の進展とともに、トラブルが変化する一方で、物についても、品質は向上したとはいえ、消費者の信頼を裏切るような安全管理の不徹底や表示の偽装問題が頻発しております。さらに、環境問題についても次第に消費者の役割が重要視されるようになってきており、環境に優しい消費者運動や経済のグローバル化が進展している中で、消費者問題はますます多様化、複雑化してきております。また、高齢者社会の中で高齢者被害がふえているのも最近の実情です。
 平成21年、昨年12月に消費者行政担当の福島大臣から、消費者行政を一体的に推進するための組織横断的な消費者行政推進本部を設置するようにとの要請があります。
 また、ことし1月には、地方消費者行政の充実・強化のためのプランが出され、地方自治体に大いに期待が寄せられてきております。大変なスピードで地方消費者行政に求められるものが多くなってきております。知事は、経済企画庁で消費者行政の法案もおつくりになった経験もおありと伺っております。和歌山県における消費者行政の課題、その方向性について知事のお考えをお聞きしたいと思います。
 国の要請を受けて、消費者行政推進本部等、消費者行政推進に係る体制づくりについてはどのようにお考えなのか。また、財政状況が潤沢でない地方自治体として悩ましい問題でしょうが、センター機能の強化と市町村の窓口、その役割強化をどのように進めていかれるのか。特に、地域によっては課題が多い状況となっております。強力な専門家集団としての相談員の質の確保、待遇等の改善の考え方について2点、環境生活部長にお聞きをしたいと思います。
 高校授業料無償化問題についてお尋ねをしたいと思います。
 先日、衆議院本会議で我が党の西博義衆議院議員が質問に立ち、高校教育は義務教育と比較して多様な能力や適性、関心、希望に応じた教育を行う性格が強い教育段階であるとの立場から受益者負担をどうするのか、高校に進学しない者との公平性の立場から適当かどうか、また法案が、経済状況の悪化を踏まえて家庭の状況にかかわらず高校での勉学を続けられるようにするとの趣旨にのっとり、公立高校については世帯収入の高低にかかわらず、すべての世帯に対し一律に授業料は徴収しないこととなっております。
 しかし、高校生の特定扶養控除を縮減し、高校の授業料を無償化するような事態については乱暴だというふうに指摘をいたしました。しかも、同じように特定扶養控除が縮減されても、私立学校では結果的に授業料は無償とはならない。差額分についてはどうしても家計の負担が残ります。競合する公立高校に生徒を奪われかねないとの危惧も広まっております。現に、ことしの県立高校の受験者は、昨年に比べ、ふえております。
 現在、国会で審議されております「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律案」の第3条第1項本文には、「学校教育法第6条本文の規定にかかわらず、公立高等学校については、授業料を徴収しないものとする」と書かれ、また同項ただし書きには、「ただし、授業料を徴収しないことが公立高等学校における教育に要する経費に係る生徒間の負担の公平の観点から相当でないと認められる特別の事由がある場合は、この限りでない」と書かれております。
 この条文についてどう解釈するのでしょうか。国が示す具体的な事例はどのようになっていますか。「特別な事由」についての本県の解釈はどうなりますか。知事にお答えいただきたいと思います。
 無償化は、国の政策として実施するものであり、地方に負担を押しつけるような制度であってはならないと考えます。これにより、学校設置者である本県への財政面での影響はどうなるでしょうか。
 本県では、空調設備を設置する高校では、その使用料が授業料に加算されて徴収されております。授業料と一緒に徴収されていた中では、今後は国としての負担分として見てもらえるのか、また保護者負担分としてこれは残るのか、お示しをください。
 この法律の施行が4月に間に合わなかった場合にはどうするのでしょうか。教育長にお尋ねをしたいと思います。
 最後に、全国学力・学習状況調査についてお伺いをしたいと思います。
 政権交代により、平成22年度から悉皆調査ではなく抽出調査になりました。本県では、小学校で109校、これは全小学校の41.3%、中学校で98校、全中学校の74.2%。全国平均では、小学校で25.2%、中学校では43.5%となっていますので、本県の抽出数としては高くなっております。その説明では、小規模校が多い、成績のばらつきが大きい、地域による格差が目立つと、そういうことだそうでございます。それが抽出数比率が高くなった理由とされております。
 平成22年度に関しては、希望校には同じ試験問題を提供することになっており、本県では抽出校以外のすべてが希望することになっているようです。和歌山県には会長の和歌山大学教育学部長を中心とした県学力調査検証委員会が今年度で5回開催され、このほどその報告がまとまっております。それによると、今後の国の動向にもよるとしながら、県独自の学力診断テストを実施すると仮定すると、全県における学力の傾向を把握するためには、抽出調査も考えられるが、各学校が児童生徒1人1人の学力課題を把握し、指導の工夫改善を行い、その改善状況を確かめるには全数調査が適切であると実施形態について言及をしております。
 また、平成23年度、抽出率が低下したり、希望校への問題の提供がなければ本県独自の調査のあり方を検討する必要があるとの考え方も提示されております。また、全国学力・学習状況調査が抽出調査として実施された場合、県教委としては希望利用校の採点や集計に係る経費の補助あるいは負担をできるような措置を検討すべきであるともされております。
 以上のことを踏まえて、教育長は、国においては抽出調査を行うとの認識のもと、児童生徒1人1人の学習状況の改善を図るため、これまでのような悉皆調査が必要とのお考えを示しておりました。しかし、形の上では全校が参加することになりそうですけども、学校独自で採点、集計するところ、業者に委託するところと不統一になるそうです。データ管理や分析を生かすことを考えると、一元的な管理は困難にならざるを得ません。過去の分析から見えてきた課題に学校が取り組みを始めたばかりです。県教委としても地域間格差を是正し、県全体の学力水準の向上に指導力を発揮していただけるものと思っていました。
 このような各教育委員会での個別の対応は大変残念ですけども、平成22年度実施に当たって県教委の対応はどうなさるのか。また、国の動向はこれからも変わる可能性があります。学力調査についての今後の方針を教育長にお尋ねいたしまして、第1問とさせていただきます。
 大変にありがとうございました。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの多田純一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、子ども手当についてでございます。
 子ども手当の支給に関する法案については、どう受けとめてるかということでございますけれども、私といたしましては、児童手当を子ども手当の一部とすることを地方の意見を聞くこともなく決めて、県や市町村が児童手当のために拠出した財源を、国が進める政策である子ども手当の財源の一部に充当するということにしたのは、地域主権を標榜する新政権とすればいかがなものかなというふうに思っております。
 次に、平成22年度の児童手当負担金の予算についてでございますけれども、国が決めた政策の財源手当を県に押しつけるなというのは、今申し上げました主張ではありますけれども、仮にそれに固執いたしまして予算化をしないということになりますと、和歌山県民が子ども手当そのものを受給できないという事態になります。これは避けなければならないと考えまして、今回予算化をお願いしているというところでございます。
 次に、次年度への対応はどうするかということでございますが、現在、平成22年度における子ども手当の支給に関する法律案が国会で審議されているところでありますけれども、平成23年度以降の子ども手当の制度設計に関しましては、改めて検討されるということになっております。
 私としては、この新しい制度設計に当たり、地方の意見を十分に聞き入れて、財源を当然全額国費として県及び市町村に負担を求めることがないように国に対して強く求めてまいるべきだと考えております。
 なお、国から地方負担の延長等を求められるということになりますと──これは仮定ですけれども──同じようなことをまたやりたいと言えば、これはやっぱり全国知事会とも連携、協調を図りながら強い態度で臨まなきゃいけないというふうに考えております。
 次に、介護行政でございます。
 公明党が全国で介護総点検を実施され、調査結果をもとに新・介護公明ビジョンを取りまとめられたことは大変有意義なことで、敬意を表するものであります。
 新・介護公明ビジョンの提案は、いずれも重要な取り組み課題と認識しております。もちろん、制度の枠組みを今のままといたしますと、財源の手当をしっかりしておかないと介護保険料、すなわち国民の負担等にはね返ることも多いと考えます。公明党案は、さすがにこの点についても目配りをしておられまして、公費負担割合の引き上げも提案されておりますけれども、そうなると国において所要の財源を確保していただく必要があると考えております。すなわち、税、財政、全体の構造をどう考えるかということにかかってくるということであります。
 これから大いに国で議論されることと思いますけれども、我々としては御提案の趣旨を生かして、介護の行政の一端を担う県といたしましては、先ほどの大議論とは別に、私たちにできる最善のことをやることによってその使命を果たすべく努力してまいりたいと考えております。
 次に、消費者行政でございます。
 私は、事業者との取引における消費者の立場を強化する消費者契約法の制定に携わった経験が昔あります。また、昨年4月に消費者庁設置法関連法案審議のための衆議院地方公聴会において意見を求められました。実はこのときは、これは対立法案──対決法案でありまして──そこにいきなり呼ばれちゃったものですから、少し俗な言葉でびびりまして、それで、週末を全部つぶして必死で勉強して臨みました。和歌山県の実情をもとに意見陳述を行いましたが、同時に、対立ばかりしてないで小異を捨てて大同についたほうがいいんじゃないかというふうに申し上げて、その後間もなく法律ができたということで非常によかったと思っております。このように、消費者行政の重要性は十分認識しているつもりでございます。
 本県の状況につきましては、県の消費者生活センター、これが大変頑張っていると考えております。規模という点では内心じくじたるものがありますが、中にいらっしゃる相談員の方々が大変すばらしい活動をしておられると考えております。先般、消費者庁長官がこのセンターを視察され、消費者教育・啓発の取り組みや相談員が質の高いサービスを提供していること等、大変熱意を持って取り組んでいると評価をいただきました。
 しかしながら、私どもといたしましては、消費者被害の防止や救済のためには、県のこの消費生活センターの充実・強化をぜひ図らなければいけない、また、相談員が配置された市町村相談窓口の設置、相談員の人材養成、これも必要なので頑張らなきゃいけない、そういうふうに思っておりまして、昨年8月に和歌山県消費者行政活性化計画を策定し、重点的に取り組もうとしているところでございます。
 今後、消費者行政活性化基金を有効に活用いたしまして、これら諸施策を効果的に進める必要がありますけれども、市町村が財政的に厳しい状況の中で新しい行政サービスに踏み出しにくいということから、国に対して恒久的な財政措置──この基金は短期的でございますので──恒久的な財政措置を要望しておりまして、引き続き働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、授業料の無償化の問題であります。
 議員御指摘の公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律の2条で対象外とされている専攻科を除きまして、文字どおり公立高等学校の授業料については、卒業を目的として学ぶすべての生徒について無償化するという意味であると理解しております。
 私は、このような考え方のもと、本県県立高等学校の授業料を無償化するため、今議会に県使用料及び手数料条例の一部改正案を提出しております。
 同条第1項ただし書きの特別な事由については、国は必ずしも具体例を示しておりませんけれども、法律の常識といたしまして考えられる事例といたしましては、例えば、何か特別に県が、あるいは高校が高度な知識や技術を習得させるために特に多額の予算を要する教育を行いたいと、こう考えたときに、そういうときなどが該当するものと理解しております。
 国は、留年生には国の予算手当てをしないという考えのようでありまして、ひょっとしたら、この根拠条文がこの条文かもしれないんですけれども、どう考えても法律の趣旨を理解していない考えではないかなと私は思います。しかも、そもそも留年生はいろいろな理由があって留年せざるを得ない場合もあるわけです。体を壊したとか。そういう人に対して無償化を打ち切るというようなことは、そもそも道義的にいかがなものかというようにも思っておりまして、県はこれに対して国には意見を申し上げたいと思うし、県については国がどうであろうとも無償化は必ずやりたい、そういうふうに考えております。
○議長(冨安民浩君) 福祉保健部長北田佳秀君。
  〔北田佳秀君、登壇〕
○福祉保健部長(北田佳秀君) 子ども手当並びに介護行政についてお答え申し上げます。
 まず、子ども手当支給に伴う県の役割についてでございます。
 現在、子ども手当開始に向け、各市町村ではシステム化等の準備を進めているところでございます。子ども手当法が成立した後、子ども手当の原資は国から市町村に交付され、手当は市町村から住民に直接支給されることとなります。県といたしましては、従来からの児童手当負担金に関する事務に加え、子ども手当交付金の出納代理事務や手当支給に関連する諸経費の交付事務等を担うことになります。
 実施に当たりましては、子ども手当制度が円滑かつ適正に運用されるよう、市町村への指導助言、県民への制度の周知などに取り組んでまいります。
 次に、介護行政の5点について一括してお答え申し上げます。
 まず、介護保険施設の整備計画についてでございますが、県内の特別養護老人ホームに入所を希望する在宅の待機者数は、平成21年3月末現在2468人となっており、昨年度より96人増加しております。今後も待機者数の増加が見込まれることから、わかやま長寿プラン2009に基づく計画的な整備を進めるとともに、経済危機対策に基づく緊急整備も同時に実施し、また補助単価の引き上げを行うなど、今後も積極的に整備を促進してまいりたいと考えております。
 なお、平成22年度の整備につきましては、広域型の特別養護老人ホーム6施設190床の増築、小規模特別養護老人ホーム3施設、認知症高齢者グループホーム6施設、小規模多機能型居宅介護事業所4施設などの整備を計画しております。
 次に、地域包括ケアシステムの構築と地域包括支援センターの拡充についてでございますが、県内各地域では、介護事業者はもとより、医療や保健サービス、住民主体のボランティアなど、数多くの関係機関のネットワークにより、高齢者が安心して生活できる体制を目指しているところでございます。これらの機関の効果的な連携を一層推進していくためには、地域包括支援センターの機能を強化する必要があります。県では、今年度から各市町村に設置されているこのセンターのコーディネート機能の充実に取り組んでいるところであり、高齢者個々のニーズに応じたサービスを円滑につなげていけるよう、地域の支援体制づくりに努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、介護支援専門員、いわゆるケアマネジャーの研修についてでございますが、専門員の資質の向上を図ることは、良質な介護サービスを行う上で不可欠であると考えております。今後とも、実務経験年数に応じた段階的かつ専門的な研修の充実を図り、介護支援専門員の資質の維持、向上に努めてまいります。
 次に、介護予防施策の拡充についてでございますが、議員御指摘のとおり、元気な高齢者が要介護状態にならないようにするだけでなく、既に要介護状態にある方の要介護度がこれ以上悪化しないようにすることも大変重要な課題であると認識しております。また、介護保険法におきましても、保険給付は、要介護状態の軽減または悪化の防止に資するよう行われなければならないと規定されているところです。
 県といたしましては、要介護状態の悪化防止に向け、これまでの通所リハビリテーション等の充実はもとより、和歌山市の事業も参考としながら、どのような取り組みができるか前向きに検討してまいります。
 最後に、レスパイト事業の拡充についてでございますが、いわゆる老老介護や介護うつの問題が顕在化している中、高齢者を介護する家族への支援は重要であると認識しております。このため、在宅での介護をしている家族の負担軽減や在宅での介護が難しい場合に利用できるショートステイの整備を進めるとともに、国の交付金を活用しながら、通いを中心に訪問、泊まりの3つのサービスが提供できる小規模多機能型居宅介護や認知症高齢者を対象としたデイサービスなどの整備を積極的に進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 環境生活部長井口悦治君。
  〔井口悦治君、登壇〕
○環境生活部長(井口悦治君) 消費者行政についての御質問のうち、2点目の消費者行政推進本部の設置についてでございます。
 県では、これまでも食品表示の窓口の一元化、消費者教育及び法執行における連携、消費者事故情報等の取り扱いマニュアルの策定等、組織横断的に消費者行政に取り組んできたところであり、さらなる情報の共有と連携を図るため、消費者行政関係各課による推進本部とも言うべき連絡会議の設置を準備しており、平成22年度早々に立ち上げる予定といたしております。
 次に、3点目のうち県消費生活センターの機能の充実についてでございますが、相談業務を平成22年度から、これまでの平日と日曜日に加え土曜日にも行うことでサービスの充実と拡大を図ります。また、被害の発生・拡大防止のため、市町村の相談窓口と連携しながら情報を集約し、いち早く県民の皆様に提供する体制をとってまいります。
 また、市町村窓口の強化についてでございますが、県内各市長を訪問したり市町村担当課室長会議を開催するなど、市町村における相談窓口の充実を強く要請してまいりました。その結果、来年度新たに3つの市において専門の相談員による相談を開始する予定であると聞いております。
 また、市町村の相談窓口の充実を図るためには相談を支える人材の確保が不可欠であり、地域における人材の偏り等がないように留意しながら、相談員養成のための専門的な研修を実施するとともに、県消費生活センターの相談員に対してもレベルアップのための研修への参加支援を引き続き行ってまいります。
 なお、相談員の待遇につきましては、相談員の方々が安心して業務に専念できるよう、委託条件の改善等を検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 公立高等学校の授業料の無償化につきましては、御指摘のとおり、国の施策として実施されるものでございますので、それに必要な経費は国が責任を持って手だてをするというのが当然であるというふうに考えております。無償化後は現在の授業料収入相当額が国から負担金として交付されることとなっておりますが、無償化の範囲と負担金の算定は必ずしも一致しないというのが今の文部科学省の考えでございます。
 本県では、授業料の一部として徴収しておりますいわゆる空調加算分につきましては、法の趣旨に基づき無償化の対象といたしますが、国の負担金の算定では、今のところ対象外とのことでございます。このように、負担金の算定方法いかんでは新たな地方負担が生じるということになりますので、そういうことにならないよう、文部科学省に対しまして申し入れを行っているところでございます。
 今議会で提案させていただいております関係条例の一部改正条例案の授業料無償化に関する部分の施行日につきましては、公立高等学校授業料無償化等に関する法律の施行日と同日とする旨を附則で規定をしておりまして、当該法案の成立時期が国会の審議等の都合で4月以降にずれ込むような場合がありましたらば、状況にもよりますが、一定期間、納期限を変更して授業料の徴収を猶予するなどの対応をしていく必要があるのではないかと考えてございます。
 次に、全国学力・学習状況調査につきましては、児童生徒1人1人の学力・学習状況の把握、分析に基づいた指導の改善を図るとともに、学力の地域間格差をなくすために全数調査による実施が必要であると考えてございます。
 平成22年度の全国学力・学習状況調査につきましては、お話のように抽出調査となっておりますけれども、抽出調査対象外の学校についても問題や質問紙、解説等が提供されることとなっておりまして、すべての学校において児童生徒1人1人の状況把握が可能となっております。
 県といたしましては、各学校の学力や学習状況を分析するためのソフトを配付いたしまして、市町村教育委員会との連携のもと、指導の改善に役立てるよう努めてまいります。
 また、議員御指摘の抽出調査対象外の学校における採点等につきましては、学校で行うことを基本にお願いしているところでございますが、市町村によって差異が生じておりまして、今後その実施方法等について検討する必要があると考えてございます。
 平成23年度以降の学力調査の実施につきましては、全数調査の継続が必要であると考え、全国都道府県教育長協議会等で国に対し、本年度同様の実施を要望しているところでございます。今後、国の動向や和歌山県学力調査検証委員会での検討等を踏まえまして、全数調査の実施や市町村教育委員会への支援など、学力調査のあり方について早期に検討してまいります。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再質問を許します。
 25番多田純一君。
○多田純一君 それぞれ御答弁いただきました。ありがとうございました。
 特に、介護総点検の報告をさしていただきましたし、新・介護公明ビジョンというのも提示させていただきました。ぜひ今後の介護行政に生かしていただきたいということを重ねて要望さしていただきたいと思います。
 質問としましてはもう1点、先ほど御答弁いただきました高等学校の授業料無償化につきましてですけども、新たな地方の負担を生むような、そんな事態になってきております。特に、お話ありました空調加算につきましては、保護者に負担をさせることなく、県の判断として新たな県負担金として考えているというお話もございました。
 また、これは2問でしようかなと思ったんですけども、例えば、先ほど知事のほうからも修学年限を超えての留年生についても県のほうで考えていただいているという、こういうことでございましたけども、これにつきましては、いろいろ他府県ではとらえ方というか負担の仕方が違うようでございます。こういう点も含めて、新たな今度の制度につきまして、地方の負担がふえてくると、こういうことの中で、どういう点に問題があるとして県教委としては文科省のほうに申し入れをされているのか、教育長に重ねて御質問さしていただきたいと思います。
○議長(冨安民浩君) ただいまの再質問に対する答弁を求めます。
 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 御質問にお答えしたいと思います。
 留年生のことにつきましては、先ほど知事から御答弁申し上げたところでございます。
 他府県の状況によりますと、留年生の授業料について、本県と同じように無償化の対象とするという県もあれば、負担金の算定対象外、ではないという国の説明を受けて、留年生の授業料を徴収するという県もございます。
 また、地方議会への条例改正案の提出時期というのが、2月議会提案、6月議会提案あるいは専決処分予定など、それぞれの地方公共団体の考え方によりまして、かなりのばらつきがあるというふうに聞いてございます。
 また、留年生以外の問題にも関することでございますけれども、これまで各地方公共団体が独自に行っておりました授業料減免相当額につきましては、国のほうでは一律に減額調整をする。これは都道府県によって減免措置の対象にしている子供さんたちの割合がそれぞれ違うわけなんですけれども、それを一律に減額調整をするというふうなこと。また、国が示す基準額、標準額を超えて授業料を徴収している部分、先ほど知事から説明ございましたけれども、そういったことも算定対象外であるということなど、新たな地方負担が生じるということが懸念される点について改善するよう、今申し入れを行っているところでございます。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再々質問を許します。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 以上で、多田純一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時24分休憩
────────────────────
  午後1時1分再開
○副議長(坂本 登君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 34番原 日出夫君。
  〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 こんにちは。
 初めに、私ごとで皆さんに何かとお世話になり御迷惑かけたことを、この場をおかりして感謝を申し上げておきます。2月議会、この場に立てたことを私自身も感激しております。少しの時間ですけど、御清聴お願いします。
 初めに、地方再生の取り組みについてということで、平成22年度予算にある過疎集落再生・活性化支援事業は、今年度当初5000万円で、6年間で5億円の事業を計画しています。私は、このことは、県の地方再生のため、医療、福祉、交通等、住民生活の一体性を重視した過疎生活圏対策として大いに評価したいと思いますが、まず第1に、国は新成長戦略を中心に地域資源を生かした定住自立圏構想を示しています。
 第2に、3月2日、衆議院本会議において過疎地域自立促進特別措置法が全会一致で可決された。この過疎法は、まさに和歌山県の定住自主圏構想を目指すための国の役割を、産業基盤、交通、通信、生活環境、福祉、医療、教育、地域文化等の目標と具体的施策が示されております。
 3つ目に、この2つの国の方針と県が当初予算で示した過疎集落再生・活性化支援事業と県の予算における各企画を初め各セクションの地域政策予算とをどう総合的に、友好的に実施していくかが課題であります。そのためには、まずやらなくてはいけないのは、県と市町村、そして関係する住民が協働してその地域の地域再生プラン、つまりグランドデザインを策定することがまず求められているのではないでしょうか。このことについて、知事の見解をお聞きしたいと思います。
 次に、ツーリズム大学の設置についてであります。
 昨年の2月議会において私はツーリズム大学の質問をしたわけですが、田辺市秋津野地区では、平成20年9月に経済産業省の支援を受け秋津野地域づくり学校を開校し、また平成20年11月には、拠点となる施設「秋津野ガルテン」をオープンさせ、人材の育成を柱に、全国から経験豊富な講師を招き、知識と体験の両面で学ぶ実践的な研修を行っております。
 本年度も9月から4回の研修を実施しており、本取り組みの中核施設として位置づけられている秋津野ガルテンも当初計画以上の成果を上げており、地域づくりの人材も着実に育ってきております。ツーリズム大学の拠点となる地域と施設は今十分醸成され、機は熟しているというふうに考えます。
 今後、具体的には、座学を秋津野ガルテンで実施し、那智勝浦町や串本町、日高川町、かつらぎ町等、県下各地で取り組んでいる特色あるグリーンツーリズム活動や交流を中心とした地域づくり活動をツーリズム大学のフィールドとして連携させることで研修にボリュームやバリエーションを持たせ、地域づくりを学びたい人や農林漁業や農山漁村の体験を希望する都市住民のニーズにこたえることができるものと私は考えます。
 私は、ツーリズム大学は人材育成の拠点となるものと考えており、グリーンツーリズムを中心とした地域づくりは、農・商・工が連携した地域産品づくりでもあり、すぐれた人材を育成することが県内各地の活性化につながり、先進的な事例を学ぶことが各地の取り組みを内外に情報発信することになると考えております。
 ツーリズム大学は、関東、東北、九州など各地で開校していますが、近畿地域ではまだ開校されておりません。また、秋津野地域づくり学校も事業としては平成22年で終了するため、この取り組みをツーリズム大学へ移行していく条件が整っていると思います。そのためには、和歌山大学や市町村、地域の団体や経済界を巻き込んだ組織づくりと各地の取り組みをコーディネートする人材の育成が不可欠だと考えております。県としては、このツーリズム大学設置に向けての積極的な支援をいただければと考えますが、知事のお考えをお伺いいたします。
 次、農業振興についてであります。
 私は、全国一律農政から地域性を考慮した農政へということでテーマさしていただいております。
 政権がかわってでも、日本の農業地域全体の40%が中山間地域を占めてる中で、国の農政は米づくりを中心にした全国一律の農政でして、中山間地域、特に和歌山県は果樹、野菜、花卉などの地域性豊かな農業振興のために、地域の農業形態、生産、加工等の実情に合った個別政策が求められていると思います。それについて県としてどう考えているのでしょうか。
 例えば、戸別所得補償制度と和歌山の中山間農業、とりわけ果樹、野菜、花卉などの補償制度との関係はどうなっていくんでしょうか。強い農業づくりのための、果樹のブランド化のための設備投資についても、強い農業づくりのための施策が国として非常に軽く受けとめてるような感じがします。そういう意味では、地域の、本当に和歌山県のよさがわかってくれているのだろうかという疑問も持っておりますし、中山間での鳥獣被害、農地災害時の農地傾斜角度、それは農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律によると、傾斜が20度を超える農地は経済効果が小さいものとされ、昨年7月の集中豪雨により田辺市内の果樹園が崩壊等の甚大な被害を受けました。災害復旧事業に対する補助の根拠となる法令では、傾斜が20度を超える農地は経済効果が小さいものとして災害復旧事業の対象外とされているため、田辺市でこの要件を満たす果樹園地は皆無でありました。紀南地域のような果樹を基幹とする農業、農村の実態とはかけ離れたものと言わざるを得ない。全国一律のこういう採択基準では実態に即していないということを痛感いたしました。
 そこで、このように全国一律農政から地域を考える農政にするために、まず私は、農水産省の若手を県に派遣してもらって、農家に──ともに汗して生活の中でする──若い官僚との人事交流を提言したいと思いますが、知事の見解をお聞きしたいと思います。
 次に、3つ目に梅の流通販売動向と生産農家の現状であります。
 消費不況とデフレの長期化による梅の販売状況は、A級品、いわゆるブランドが売れず、低級品、低価格の安売り競争、これに伴い中国産が復活しています。そういう状況の中で、田辺、みなべでは梅干の在庫は100万から120万たるを抱えています。ちなみに、年間消費販売は200万たるであります。
 このように、売れ行き不振による価格競争が農家はもろに受けている。たる平均大体6000円が農家の経営安定価格というふうに言われておりますが、それが今、既に4000円を下回る状況が生まれています。梅生産農家の経営を続けていくために、どういう施策をとっていればいいのでしょうか。
 そこで、加工業者は選別基準を今までA、B、C、規格外という4ランクに分けていたのをA、B、規格外という3つのランクに分けて、とりわけA級については今非常に売れ行きが悪いということで生産量の30%程度に抑えていくと、そういう生産調整をしなさいという農家への指示であります。規格外は練り商品として製品としては流通させないという、まさに今の流通業界の中での状況を示してきているわけですが、私たちは、農家は生産農家と、そしてその業者の調整をどうしていくのでしょうか。県としてどうかかわっていくのでしょうか。どうでしょうか。そういうことであります。
 特に今、販売を促進させるために県初め各市町村、農協を初め、必死になって取り組んでいただいております。そこで、私は、ずっと過去から農協とも議論をしながら、とりわけ今、紀南農協と行政、そしてそういうふうにして販売を中心に年間1つのイベント的な販売を考えておりますが、それだけではなくて、紀南農協、行政、そして新たに民間バイヤーなどを雇用しながら、販売促進のための組織を今早急につくりながら、日常、通年販売体制をとっていく専門的な組織強化が必要ではないかというふうに感じておりますが、どうでしょうか。
 また、今この厳しい、梅の生産農家を初めとする厳しい状況を乗り越えるために金融セーフティーネットはどうなっているのでしょうか。また、梅栽培上の課題として、今、低コスト栽培の研究とその実証が求められていますが、県としてはどう考えているでしょうか。しかも、交配するハチの動向は、全国的にも、また我々梅農家にとっても、大変厳しい状況にあります。うめ研究所の交配の必要のないNK14の苗木のその実用化の現状はどうなっているのでしょうか。これら一連について、農林水産部長の見解をお伺いいたします。
 次に、紀州林業の再生についてであります。
 まず、知事も冒頭説明の中で、川上と川下の関係で力強い施策の話がありました。私は、その川上での振興策についてまずお尋ねしたいと思います。
 昨年12月に国の農林水産省が森林・林業再生プランをつくりました。このプランでは、我が国の社会構造をコンクリートから木の社会へ転換することなどを基本的な理念として、山村地域における雇用への貢献や、10年後の木材自給率を現在の2倍の50%以上にすることなどを目指しています。林業を地域の産業の柱としてとらえ、雇用を生み出すという視点を与えたことを僕は評価したいと思っております。
 和歌山県では、平成20年1月に紀州材生産販売プランをつくりました。紀州材を積極的に外向きに売っていこうというアクションプログラムであります。しかし、利用可能な、和歌山県の森林面積が10年後には2倍になるという県内の森林の現況です。それだけの資源が倍になるという豊富な森林面積を抱えております。10年後に2倍になるという国のプランと目標が一致するわけでありますから、こうした和歌山県の森林の現況を踏まえ、林業生産の活性化に向けた川上対策の充実が急がれています。
 そこで、川上の課題についてでありますが、和歌山県はとりわけ中小規模の森林所有者が多い。そうした所有者をどのようにまとめていくのか。林業技術の研修の充実や、間伐材などを搬出するため、きめ細かな作業道の整備も必要でありますし、森林組合の抜本的な改革も今求められております。
 森林組合に関して言えば、森林組合と地元の業者の役割分担をもっと明確にし、例えば間伐などの補助事業については、森林組合が所有者を取りまとめた上で森林整備の計画を立てて、他の事業体に仕事を請け負わす。例えば、森林組合だけでなくて地元土木建設業者と一体になってその事業を推進していく、また、作業道についても地元の建設業者に工事を請け負わすなど、森林組合と林業以外の民間事業体との連携・協働が進めば組合の仕事の幅も広がるし、地域全体での森林の仕事もふえ、雇用の拡大につながっていくのではないでしょうか。
 林業の技術取得は一朝一夕にはできない中でも、やはり林業に関して、森林組合にかかっているところが大きいのですから、森林組合も従来の仕事に甘んじることなく、森林、林業にフォローの風が吹いている今、地域の関係者の中でリーダーシップをとり、積極的に組合員のための業務の拡大に取り組むべきであると考えますが、県の指導の強化を求めていきたいと思います。
 さらに、地元の建設業者の林業への参入促進が必要であります。コンクリートの公共事業が今減っている中で、和歌山県はかつて「緑の雇用事業」と言いましたが、私は一貫して「緑の公共事業」というふうに言わしていただいております。緑の公共事業への参入を支援することが重要であり、そのために建設業者を対象とした研修なども積極的に実施していきながら、こうした足元の雇用を充実させていくことが地域の雇用の拡大につながっていくのではないかというふうに考えております。
 紀州林業の再生に向けて、まず川上対策の推進について、農林水産部長の考えをお尋ねします。
 川下での紀州材利用の課題についてでありますが、林業の出口部分である紀州材の利用拡大は非常に大事であります。その中でも木材の最大の需要先である住宅への利用拡大が求められていますが、しかし、世間をにぎわわした耐震偽装の問題以降、建築基準法、品確法など、住宅建築へのさまざまな法規制が強化されています。
 建築基準法の改正の結果、審査が遅くなり、住宅着工が減少し、木材需要が激減したのは記憶に新しいところであります。言うまでもなく、消費者を守るこうした規制は大事ではありますが、中には現実味のない不要な規制もあるのではないでしょうか。日本の風土に合った伝統的な木造住宅建築のわざを伝え守っていくことは、優良な住環境を守っていくとともに、木材の需要拡大の上からも大変重要であります。
 紀州材を住宅用として売るためにネックとなっている法的な規制を見直すことが今求められていると思いますが、県土整備部長のお考えをお尋ねいたします。
 次に、南紀白浜空港を存続させる道についてお尋ねいたします。
 JALが破綻し、今後の地方空港の存続が危ぶまれる中、南紀白浜空港についても一時しのぎ延命策であるかのような、JALは飛行機種を見直し、座席数を150から76席に変更し、2月19日にこの認可が国からされました。JALの経営状況と将来を考えると、1機の座席数76名で白浜─東京間で採算が合うのでしょうか。また、これからの国の特別会計の見直し等によって地方空港の存続は大変厳しいものになると考えられますが、この4月から小型化することについて、その評価と今後の取り組みについて知事にお尋ねいたします。
 次に、南紀白浜空港の役割は何でしょうか。
 白浜空港は、昭和40年にまさに観光空港として開港されたものであります。当時、滑走路1200メートル、YS-11の64座席からさらなる観光客誘致を目指すために多大な投資が行われ、平成8年に現在のジェット機の対応は座席数150席と倍になり、年間30万人の利用客を予測してスタートしたものです。
 しかし、今、利用客は年間14万人余りです。私は、白浜空港の役割は観光を機軸にした地域振興ではないか。そのために、私は、空港管理と空港運営の組織の見直しを提案したいというふうに思います。
 空港の施設管理と空港の運営の組織を分離することです。そして、空港運営は利用促進のための企画、営業を専門にする組織として、しかも運営に当たっては県と市町村、民間とでワーキングチームをつくり、利用促進のためのプログラムを策定し行動する組織にすることによってもっと開かれた空港へと一歩を踏み出していけるのではないかというふうに考えますが、知事の所見を伺います。
 最後に、和歌山県汚水処理計画と水質検査手数料についてです。
 県は、21年12月に和歌山県全県域汚水適正処理構想の見直しが発表されました。一歩前進として高く評価したいと思います。しかし、もっと集合処理から個別処理へかじを切ることが今求められているのではないでしょうか。
 和歌山県の地理条件、人口減、とりわけ都市計画区域内の空洞化という社会変化、しかも公共下水等による地方の財政の圧迫、今までの国の方針、国交省・農水省は集合処理への指導と莫大な投資によって公共下水事業は戦後80兆円を費やし、2008年度を見ても2兆円も使われ、戦後から投資した下水道の老朽改修は毎年5000カ所もあり、これへの投資も大変な状況になっています。和歌山県内の自治体は公共下水道によって大きく財政を圧迫しております。
 合併浄化槽のほうが行政のコストが低く、むしろ県行政は県市町村の補助金を積み上げ、設置者をふやす方向が今求められているのではないでしょうか。設置場所困難な居住地域は、市道、公園等を利用した処理施設にそういった具体的、実現可能な方針を示すことが現状汚水処理人口47.9%、29年に70%という目標を達成できると考えますが、県当局の見解をお聞きします。
 次に、浄化槽設置による水質保全のための水質検査費用について質問させていただきます。
 私は、平成17年2月、予算委員会において浄化槽の法定検査7条、11条の検査手数料の見直しを提起し、県は平成19年4月1日から料金改定をされました。一般家庭の浄化槽で7条検査は1万5000円が1万2000円に、11条検査は8000円から6800円に引き下げられました。
 しかし、今、47都道府県の手数料を見てみますと、単独浄化槽の7条は1万2000円以上のところが4件しかありません。11条は5件しかありません。合併浄化槽の7条は6件、11条は3件であります。全国的に見て和歌山県は7条、11条については、47のうち上位から、3位から5位、6位までで占めているわけです。それほど合併浄化槽並びに単独浄化槽の検査手数料が非常に和歌山県は高いということです。大体平均──この平均で見るのはおかしいんですけど──たまたま平均してみますと、7条検査では全国平均約9700円、それから11条検査では約5000円ぐらいになっております。
 このように見ますと、和歌山県の手数料そのものが今まさにもう一度見直すべきと考えますが、県土整備部長の見解をお伺いします。
 以上で、第1回の質問を終わらせていただきます。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの原日出夫君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 初めに、地方再生の取り組みについてでございます。
 まず平成22年度予算、過疎集落再生・活性化支援事業と地方再生についてでございますけれども、私は、過疎対策は国家的課題であるとともに本県にとっても喫緊の課題であるとの認識のもとに、現行過疎法失効後も引き続き法による支援が必要と考え、一昨年来ぐらいから国に対して本県独自の政策提言を行ってきたところであります。
 その結果、今月2日に衆議院本会議において可決された改正過疎法に現行過疎地域を引き続き指定することや過疎債対象範囲の拡充など、本県の提言が盛り込まれておりますことは大変評価しているところでございます。
 しかし、残念ながら、本県独自の新たな発想による基幹集落と基礎集落から成る過疎生活圏において医療、福祉、生活交通対策、地域産業の育成などに総合的に取り組む市町村を支援する総合対策交付金の創設という、そういう提言は実現されておりません。
 私は、今後の過疎対策を考えるとき、これまでのハード主体の政策に加え、総合的なソフト対策が必要不可欠であると認識しているところであります。このため、過疎生活圏の課題に総合的に取り組む市町村を支援する過疎集落再生・活性化支援事業を来年度から国に先駆けて実施してまいることとしており、そのための予算を今議会にお願いしているところでございます。
 この事業の実施に当たっては、わがまち元気プロジェクトなど他の施策との連携を図るとともに、改正過疎法による過疎債のソフト事業への対応などの財源措置等もうまく活用しながら、地域住民や関係団体の主体的な参加を得る中、市町村と協働して過疎地域の活性化に全力で取り組んでまいります。
 議員御提案の地域再生プランは、過疎生活圏を取り込んだもう少し大きな地域単位での地方再生のための計画を市町村が策定するということだと思いますが、市町村からこのような地域再生プラン策定についての協議があれば、県としても協力して応援していきたいと考えております。
 次に、ツーリズム大学の設立ということでございますが、先行する全国のツーリズム大学は、NPO等が主体になり、地域の人材育成や交流等を目的に、地域資源を教材にした各種講義や体験学習プログラムを実施しておりまして、地域活性化の新たな手法として注目されているところです。
 議員御質問の秋津野ガルテンにおけるツーリズム大学設立に向けた取り組みは、今後の人材育成やネットワークづくりのモデルの1つになるものと考えております。
 県では、地域づくりに関する情報提供や相談窓口としての機能を強化するとともに、地域づくり団体等への支援や研修会等を通じた人材の育成、さらにはネットワークづくりを進めているところでありまして、今後とも秋津野ガルテンにおけるツーリズム大学設立に向けた取り組みと地域づくり団体の主体的な取り組みを積極的に支援してまいりたいと考えております。
 次に、南紀白浜空港であります。
 東京から時間的に2番目に近い白浜温泉、世界遺産の熊野古道など、多くの観光資源を背後圏に持っておりまして、首都圏から観光客の増大を図ることは、地域活性化には重要であると考えております。
 このため、県関係部局、地元市町村、経済界などから成る南紀白浜空港利用促進実行委員会を組織し、これまでも特便割引(特割)7の導入、地域商品券の発行、首都圏でのPRや国際チャーター便誘致などに努めてまいりました。羽田路線の搭乗者数は、この間年々増加し、平成20年度には15万人を超え、過去最高を記録いたしました。
 4月より機材は小型化されますが、通年3往復が確保され、利用者の利便性が向上することについては評価したいと考えております。
 今後は、通年3往復、特便割引3──今回導入されますが──の導入などによる利便性の向上を生かすとともに、さらなる利用促進を行うことにより利用者の拡大を図りながら、増便や機材の大型化について引き続きJALに対し要望できるように頑張ってまいりたいと考えております。
 次に、この空港の役割、議員御指摘のように、観光を機軸にした地域おこしに役に立つものということであろうことは間違いございません。
 運営組織の見直し、あるいは観光を核とした利用促進策の策定と実践の必要性についてでございますけれども、これまでは主として本庁関係部局が連携いたしまして空港の振興に努めてきた、あるいは利用の促進、観光の促進と一体となって頑張ってきたところでありますが、今後、議員の御提案を踏まえ、振興局との連携など現地における振興体制を強化する、それから現地における関係市町村、民間と協働した利用促進策をさらに強化するなど、地元の皆様と一体となって空港の振興を図ってまいりたいと考えております。
○副議長(坂本 登君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) まず、第2点目の農業振興についてお答えを申し上げたいと思います。
 まず、1点目の全国一律農政から地域性を考慮した農政へという御質問でございますが、議員お話ございましたように、政権交代によりまして政策の流れも変わりつつございます。そういう中で、本県ではミカン、梅、花卉などの果樹を主体といたしました労働集約型の農業が展開をされてございます。一方、水田作、畑作を対象といたしました土地利用型農業を基本としたこれまでの国の施策につきましては、なじみにくい面もございます。
 そういう中で、本県の地域の特性を生かした実情に即した取り組みが必要であるということを強く認識してございます。このため、県におきましては、本年度、新たに地域により異なります課題に対応した生産者グループの取り組みを支援いたします新農林水産業戦略プロジェクトを立ち上げまして、地域資源を生かしたアグリビジネスを積極的に展開いたしますとともに、県産農水産物・加工食品のアクションプログラムに基づきまして、流通・販売にも積極的に取り組んでいるところでございます。
 また、国に対しましても、議員御指摘ございましたように、災害復旧事業に係る農地傾斜角度20度の見直しも含めまして、本県の地域の実情を十分説明するなど、施策に反映されるよう働きかけてまいりたいと考えてございます。
 2点目の国、県の人事交流についてでございますが、地域の実情に応じた農政を実現するためには、国の職員ができるだけ現場に近いところで農業の実態を肌で感じていただくということが大事であるというふうに考えてございます。
 県では、これまで農林水産省に若手職員を派遣いたしまして、国の果樹政策に直接かかわることによる専門知識や行政実務の習得はもとより、派遣職員を通じまして産地の実情を国に伝えるなど、施策に反映してもらえるよう努めてございます。また、現場に近い国の出先機関でございます近畿農政局、また和歌山農政事務所などと情報交換を行いながら、産地の声が十分生かされるように取り組んでいるところでございます。
 議員の御提案の農水省から県への職員派遣についてでございますが、若手職員を中心にお互い勉強することは、国、県双方にとって非常に有意義であるというふうに考えてございまして、現場で農家と触れ合い、汗を流して研修をしていただけるような方に来てもらえるのであれば前向きに取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
 次に、第3点目の梅の流通販売動向と生産農家の現状等についてでございますが、御承知のように、梅の販売につきましては、経済不況に伴います消費の減退により低迷をいたしてございまして、産地農家の方々においては非常に厳しい状況にあるというふうに承知をいたしてございます。
 こうした中で、県といたしましては、生産面でのコスト削減が重要であるというふうに考えてございまして、県うめ研究所において、現在、低樹高化や土壌診断に基づく施肥量の削減、また安価な堆肥の活用など、低コストで省力的な技術開発を進めているところでございます。
 さらに、昨年9月に登録されました県の育成品種でございますNK14につきましては、自家結実する特性を持ってございまして、北向きの園地や海岸部などへの導入を検討しており、今後、展示圃での実証や栽培マニュアルの作成などを通じまして迅速に現場へ普及できるよう努めてまいりたいと考えてございます。
 また、販売促進についてでございますが、紀州梅の会と連携いたしました6月6日の「梅の日」の制定、またトップセールスなどによりまして紀州梅の知名度向上に努めるとともに、梅と健康にかかわる研究を県立医科大学と共同で取り組んでいるところでございます。
 今後は、地元JAや市町村との連携を強化いたしまして、加工業者へのアドバイザー派遣制度や、先ほど申し上げました戦略プロジェクト事業を活用した新商品づくりに対する支援など、梅産業のコーディネーター役としての役割を果たしながら、紀州産のブランド向上に努めてまいりたいと考えてございます。
 なお、産地農家の方々に対する資金面での支援についてでございますが、引き続き農林漁業セーフティネット資金等を活用いただくとともに、農業近代化資金等の借入金の償還条件の緩和にも対応してまいりたいと考えてございます。
 第3点目の紀州林業の再生についての中での川上での振興策についてでございます。
 本県では、現在、紀州材生産販売プランに基づきまして、森林の団地化を図った上で林内の路網の整備を進め、高性能機械の活用によりまして効率的な間伐材の搬出等を行う低コスト林業を川上での振興策として積極的に進めているところでございます。
 こうした間伐の推進や森林所有者の取りまとめなどに森林組合の役割は非常に大きいということでございますので、この低コスト林業の中核的な担い手として位置づけまして、森林組合の経営体質と経営基盤の強化に取り組んでございます。
 その一環といたしまして、わかやま林業労働力確保支援センターにおきまして、森林組合を初めといたします林業事業体を対象に林業機械等の研修を実施してございまして、平成21年度におきましては既に94名が受講をしてございます。
 また、林業への参入促進、山村での雇用確保に向けまして、本年度新たに建設業者に対しましても県の森林組合連合会が作業道整備の研修を行い、19社が受講をいたしてございます。
 今後とも、森林組合に対する指導を一層強めるとともに、こうした林業技術研修の充実を図りながら紀州林業の復権に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) まず、紀州材利用の課題についてでございます。
 建築基準法は、国民の生命等の保護の観点から建築物の安全性の基準が定められております。また、木造住宅に関しまして、消費者保護や省資源化の観点から、さまざまな法規制も定められているところでございます。
 一方で、地域の工務店や設計事務所の方々から、伝統的な木造住宅を建築する場合には法規制による煩雑な面があるということもお伺いしてございますので、この点について機会をとらえて国にお伝えしてまいりたいと思います。
 伝統的な工法など在来工法の木造住宅の振興につきましては、紀州材の利用拡大はもとより、地域振興につながる重要なものであることから、今後さらに関係部局と連携を深めながら木造住宅の振興に取り組んでまいりたいと思います。
 次に、和歌山県汚水処理計画についてでございます。
 集合処理、個別処理のどちらかが万能だというわけではなくて、それぞれにメリット、デメリットがございます。下水道などの集合処理には、人家が密集している地域では効果があり、環境面でも信頼性が高いという特徴があります。一方、人家が散在している地域では個別処理が効果的であります。
 このたび和歌山県では、双方の特徴を組み合わせて、地域特性や人口減少などの社会情勢の変化を考慮して、和歌山県全県域汚水適正処理構想を見直したところでございます。その結果、下水道などの集合処理区数は見直し前の170から116というふうに減少して、合併処理浄化槽のシェアが20.9%から25.7%というふうに伸びております。
 今後も、定期的に計画内容の点検を行って、社会情勢の変化に合わせ適宜見直すこととして、平成29年度末汚水処理人口普及率70%が達成できるよう、市町村との連携も深め、効率的、効果的な汚水処理施設の整備に取り組んでまいります。
 次に、浄化槽の水質検査手数料についてでございますが、平成19年4月から現在の料金に改定をしたところです。しかしながら、全国的に見ても依然として高い状況でありますので、料金改定後の指定検査機関の収支状況の分析など、料金について検討してまいりたいと思います。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再質問を許します。
 34番原 日出夫君。
○原 日出夫君 答弁ありがとうございます。
 一番最後のほうからですけど、和歌山県汚水処理計画と水質検査手数料についてです。
 その手数料の問題で、浄化槽法第7条検査、第11条検査の検査の頻度、今は年1回と。7条は建物が建ったときに6カ月以内にやりなさいよ、11条は年1回水質検査をしなさいよというふうになっております。これは、私たちがいつも──宮崎県方式とか掛川とか、いろいろなところで議論されているわけですけど、そのようにシビアに年1回の11条検査が必要であるのかどうかという問題がいつも、中央の環境審議会でもやられているようであります。
 そこで、例えば現在は高齢化してお年寄り1人の合併浄化槽も、5人家族のところも、それから夫婦お年寄り2人のところも年間1回という形の水質検査が必要かどうかということについてもいろいろと疑問視されるとこがあります。そういう意味でも、今後、我々は、11条検査は年1回ですよということだけではなくて、それ以外に一般民間業者が水質の保守点検と兼ねて、水質も含めてやっているわけですから、そこで良好であれば年1回を3年に1回にできるとか、そういう幅を持たせたことが今求められているように思いますので、その点、十分県当局も議論して国とも折衝していただけたらありがたいと思います。
 次に、その手数料の問題でありますけど、確かにこれ、和歌山県のいわゆる県水質保全センターが社団法人として、ある程度公的な機関で検査依頼をしてやって、この1つの会社が一手に受けてやってるわけであります。そういうところから見ると、その価格がなかなか尺度として、その価格が高いんか低いんかということの尺度が非常に難しい部分もあると思うんですけど、しかし、本来、神奈川県なんかは4社が入ってやってるとか、いろいろこういうこともあるんで、実際にもう少しそれだけの価格が必要なのかどうかということをやっぱりきちっとした決算とか物を見ながら、水質検査に対して指導する役割は県が担っておりますから、その点の料金が適正かどうかを見てほしいというふうに思います。
 例えば、民間業者が保守点検するのに1回やりますと4000円です。だから、それはたまたま中身を見ても同じような水質検査とか検査をやっているんですから、民間やったら4000円。そして、いわゆるここの保全センターがやれば8000円であったり6600円だったりと高い。その点をやっぱり価格がきちっと適正であるかどうかを是非しながら、できるだけ、これだけ全国でもベストスリーやフォーへ入るような実態でないように、適正な価格を求めるよう指導していただけたらありがたいと思います。
 それから、南紀白浜空港ですが、1つは開かれた空港ということで、私はかねがね観光協会をやっていたときからですけど、あそこの空港をもっと開かれた空港にして、飛行機を使うと使わんにかかわらず、あそこがにぎわいのある空港にしようやないかといって、いろんな方たちと企画をしたりしました。
 当時はなかなか、管理上問題があって、全部はねられた経験があります。だから、管理が優先されて、人入るな、イベントするな、まあ言うたら、そういう、空港の発着以外は要らんことするなというような観点で指導されたことがずっとありました。
 だから、そこらの部分で、もう少し私たちは、管理する部門と、空港を運営・営業してお客さんをどんどんする。そして、あそこが開かれた空港にするという意味では、もっとイベントに開放していく。それから、かねがね、あそこの空港で乗るのに約30分から40分待たんなんと。その間、足湯などをつくって、お客さんが白浜温泉というそういう良好な温泉地に来て、飛行機が発進するまでの待ち時間に足湯をしながらやると。そういうふうな企画をするならば、もっとお客さんに愛された空港になるんではないかとか、いろいろ計画を考えたり、道の駅にしたりとか、地場産品、例えば土日でイベントをしてお客さんに対して地場産品を売り出すとか。そのときは、飛行機へ乗った人だけでなくて、周辺の人たちも参加しながら盛り上げていくと、そういう企画をするために、空港管理と空港を運営・営業する部門、企画する部門に分けて、もっと真剣になってやらないと──今回出されたJALの地方空港の1便ないし3便のところが全部ゼロ便にされているんです。たまたま白浜空港は残りましたけれども、だから、そういった意味で我々は今の現状に甘んじていれば、例えば150のときの51%の搭乗率が76になったら90%を超えるんですよ、だから問題はないと、十分ですよということになってしまえば、これは実際にJALが目指した今回の機種変更と76席はもう先のない地方空港になってしまうと僕は感じますので、その点、国も、いわゆる収益性の高いことが求められますよと、私、国に対していろいろと質問状を出したときにそういう答弁が来ました。だから、これに甘んじたら南紀白浜空港は、ほん近い将来、廃港に追いやられる事態になるのではないかということについて心配をしつつ、我々が全力を尽くして汗をかく必要があるのではないかということをお願いしたいというふうに思います。
 最後に、国と県の人事交流でちょっと言わしてもらいました。これ、全国で先進的なというんか、農地の過疎的なところや米づくりのとこやとか、ある程度選択した中で、果樹はないんですけど、今の若い、1年、2年で農林水産省へ入った若い人たちが自分たちの自主性で仲間のグループをつくって、週末とか休みの日にそこへ体験学習をしながら、官僚がみずから農業の実態体験をしながら農政に反映していくというグループも生まれてきております。
 そういう意味では、今回、私は、特に米づくりを中心とした戸別所得補償制度が、やっぱり中山間地域の果樹や野菜、花卉をつくっている農業地域の特性がなかなか理解されていない。すべてが画一的に米づくりにされているという部分では、そういう若い人材を寄せて、彼らに汗をかかして、現場を知って、そして国の政策に生かしていく、こういうことをやっていくことが必要ではないかということで、たまたま私、この前、赤松大臣と田辺でお会いしたんで、このことを強く文書でもって申し入れしたんです。
 だから、画一的農政から地域の特性ある農業づくりを目指してほしいということを要望したわけですけれども、そういう意味で、県もひとつぜひ国とのコンタクトをとって現場を理解さしていく。そして、とりわけ中山間地域の農業が、やっぱり全体として国の官僚がよく理解するということを努力していただけたらありがたいと思います。
 以上、要望にかえて、終わります。
○副議長(坂本 登君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で原日出夫君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 43番藤井健太郎君。
  〔藤井健太郎君、登壇〕(拍手)
○藤井健太郎君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 まず、補正予算、新年度予算と県経済について知事にお尋ねをいたします。
 年度末を迎えまして、雇用や収入の低迷は依然続いております。県民の暮らしを取り巻く状況にも相変わらず厳しいものがありますし、中小零細業者の皆さんの売り上げも落ち込んだままであります。
 新年度、国の施策では、子ども手当、高校授業料無償化や農家への戸別所得補償など、家計への応援がされる一方では、社会保険料の引き上げ、税の扶養控除の一部廃止や縮小、これによる増税が保育料など福祉制度への負担金へのはね返り、将来家計へどのように影響してくるのか、不安材料が残されている面もあります。
 国の新年度の経済見通しでは、名目成長率0.4%、完全失業率5.3%、雇用者報酬マイナス0.7%、民間最終消費支出は名目でマイナス0.2%と生活の実感としてはなかなか厳しいデフレ基調が続くのではないか、こういう予測もされます。
 県の新年度の税収見込みでは、前年度当初比較で160億円の減となっており、個人県民税や法人2税とも前年度に引き続き2年連続の大幅減額の見込みとなっています。景気回復の厳しさを示すものであるでしょう。
 ところで、20年の12月補正よりことしの2月補正まで7回の補正予算で、高速道路4車線化の凍結分102億円を引いても907億円が生活対策、経済対策としての社会資本整備や雇用対策、生活応援、地域活性化のための予算として充てられております。
 新年度においても事業が進められているところであります。これらの事業は、単年度限りであったり、23年度までの3年間の事業と年限が限られていることから、最も効果の上がる活用方法が望まれています。
 家計への直接応援や県内の需要拡大へとつながるもの、県内事業者の仕事をふやすこと、県民の雇用の場をつくり出すこと、ひいては県民の所得を引き上げていくことにつながる活用が求められております。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。
 1つは、県内事業者の受注機会の拡大と成果がどうなっているのか。新年度予算についての知事説明の中で、きめ細かな社会資本整備を補正予算に盛り込むことで県内企業の受注機会確保にも配慮したと言われております。今議会の最終補正に限らず、これまで幾度となく経済対策の補正が公共事業を中心に行われてきておりますけども、県内需要の思い切った拡大を進めるためにも、県内事業者の仕事をふやしていくことが必要であります。
 そこで、県内事業者の受注機会の確保に具体的にはどのように取り組んでこられたのか。そして、どのような成果があったと考えておられるのでしょうか。受注機会が拡大されても、実際に仕事につながらないと意味がないわけです。発注に対する受注件数、受注金額などの割合はどのようになってるのでしょうか。
 また、新年度の取り組みをどのようにしていくのか。さらに、県内事業者の受注機会の拡大にどのように取り組み、期待される成果をどのように考えておられるのか、お尋ねいたします。
 2つ目に、雇用創出の取り組みについてであります。
 同じく新年度予算についての知事説明で、離職を余儀なくされた方への雇用対策や、高校生の就職支援強化など、新たなセーフティーネットを講じていくとともに、雇用創出プロジェクトを引き続き実施すると言われております。昨年12月末時点での緊急雇用創出事業の実績を国が発表しておりますが、それを見ると、本県は事業数、雇用創出数で全国比較では最下位に甘んじているという状況となっております。
 知事の言う雇用創出プロジェクトのこれまでの成果と新年度の取り組みはどのようなものなのか。緊急雇用やふるさと雇用などの基金事業、福祉や医療、農業分野でのU・Iターンへの取り組みなど、直接雇用につながる事業の拡大が必要であろうかと思います。これから強化されようとする環境対策や観光事業などでの雇用創出への期待も聞こえてまいりますが、新年度、雇用創出の取り組みで強化をされる、また新たに雇用創出プロジェクトとして取り組むようなものがあるのか、雇用創出の目標をどのように考えておられるのか、お尋ねをいたします。
 次に、経済対策としての官公需のあり方についてお尋ねをいたします。
 物品の購入、役務の提供や工事請負契約などの官公需の発注に当たっては、中小企業の受注機会の拡大を図るために官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律、いわゆる官公需確保法が制定されております。国においては、中小企業向け契約目標の設定と達成に向けた措置を契約の方針として毎年閣議決定を行い、発注情報の提供、受注機会の拡大、分離・分割発注の推進、適正価格による発注などの方針を定めています。
 県の官公需のあり方について、今日の経済状況と予算の有効活用を考えていく上で、県内中小事業者への発注のあり方にも配慮していくことが重要ではないかと思います。「県内業者でできる仕事は県内業者への発注を」が原則でもあります。
 最近、県の教育施設や県内の自治体で、物品の発注においてですが、製造はISO認証工場と指定して発注を行っていることがありました。ある自治体では、学校の本棚をつくるのに設計仕様の中で、紀州ヒノキの集成材を使用すること、紀州産の証明をつけること、ここまではいいわけですが、しかし、製造はISO認定工場でとなっていました。木工品をつくるのに県内でISO認証取得している事業者がどれほどあるのでしょうか。これでは、せっかく県産材を使用しても県内事業者の仕事の機会を狭めてしまうことになります。
 また、設計仕様書の中で大手特定メーカーの金具品番を指定して発注されていることもありました。工事発注だけではなく、物品の発注に当たっても県内業者で製造可能なものなら受注の機会を広げるように細心の注意を払っていくべきであろうかと思います。
 そこで、改めて県の官公需、中でも予算額の大きい工事発注のあり方についての考え方や今後の方針についてお尋ねをしておきます。
 1つは、よりきめ細かな発注をお願いしたいということです。
 きめ細かな社会資本の整備を進めると言われていますが、それにはよりきめ細かな発注も必要ではないか。この辺はどのように考えておられるのでしょうか。受注が特定の事業者に集中することなく、より多くの事業者に仕事が行き渡るように発注の工夫を尽くすことも必要です。そのためにも、きめ細かな分離発注を行うこと。当然、職員体制の確保も必要となってきますが、特に多くの業種が参加する建築工事においての分離・分割発注のさらなる推進を求めたいと思います。
 2つ目に、県産材、県産品の活用の促進についてであります。
 県内の需要を高めていくためには、県内事業者の受注機会を拡大していくとともに、県内での生産物、製造物の利活用を高めていくことも重要な課題です。県産材、県産品活用についての考え方はどうか。どのぐらいまで活用できているのか。新年度の目標の設定はどうか。さらに、引き上げることへの考えはあるか。また、これから整備しようとする県立体育館や屋内プールを初め、国体施設への紀州材の活用方針はいかがなものか。
 3つ目に、適切な下請単価と労務単価となっているのでしょうか。工事請負では、下請は1次下請にとどまらず、2次、3次、それ以上へと重層化しているのが通例であります。建設業を取り巻く状況が厳しさを増す中で、下請単価において一方的な価格の押しつけ、契約書が交わされていないことや、最低賃金を下回る労賃になっていること、支払いの遅延など、下請事業者や建設労働者にしわ寄せがさらに広がっていくのではないか懸念がされます。県発注の工事において、実態把握がどの程度までできているのでしょうか。検証していくシステムづくりも必要となってくるのではないかと思います。
 今、国においては昨年12月参議院で、国や自治体が発注者となる公共工事で働く労働者の賃金、労働条件を確保、改善するための公契約法制定を求める請願が採択をされました。法案が国会に提出される予定にもなっております。国に先駆け条例を策定した自治体も生まれています。
 地域での建設産業の健全な育成と技術者の養成、確保という点からも、適正価格での発注であり、適切な下請単価、労務単価であることが求められます。それは、公共工事の品質の確保を保証することにもつながってまいります。どのように考えておられるのでしょうか。
 次に、住宅関連施策の拡充についてでありますが、住宅着工戸数が激減をしてきております。所得が低迷を続け、住宅ローンの返済のことなどを考えると、新築、改築など、しばらく様子見の状況が続くものと思われます。そういうときこそ、住宅関連施策の拡充を図っていくことが必要ではないでしょうか。「住まいは人権」とも言われていますし、家計を応援することにより県民の住環境の改善を図るとともに、広いすそ野を持つ建設関連産業の需要拡大にもつなげることができます。
 新年度、太陽光発電で2000万円、紀州材を使っての住宅新築・改築に4000万円の予算で個人に対する直接助成を継続して行うとしていますが、予算は昨年と同額となっております。双方ともに申し込み件数もふえていて抽せんとなっているために競争率が2倍を超えるなど、助成制度の公平性が損なわれるおそれがあります。抽せん制度をやめて、予算の拡大こそ進めるべきであると思います。このことについては、今回は意見として述べておきたいと思います。
 耐震改修への助成と住宅リフォーム助成制度の創設についてお尋ねをいたします。
 国の耐震診断への助成制度とあわせて耐震改修に取り組む個人住宅に対して、県単独事業として60万円を限度額に耐震に係る費用の3分の2を市町村と半分ずつ負担しています。昨年度からは、国からの改修費の11.5%の上乗せ補助が追加されているというふうに聞き及んでおります。改修に対する助成制度ができてから既に6年が過ぎようといたしておりますが、利用戸数は400戸にも満たないという到達です。
 昭和56年5月以前に建築された木造住宅で耐震診断の結果、評点が0.7点未満の住宅については評点1.0以上に、昭和45年以前に建築された住宅については評点0.7以上に改修することとされていますが、耐震改修は住宅のリフォームにあわせて行っている世帯が多く、平均200万円以上はかかっているという話も聞きます。
 この際、耐震改修に係る助成限度額の引き上げ、そして昭和56年5月以降に建築された住宅についても、既に築後30年を経過していることもありまして、リフォームの必要な時期にも来ております。そういう住宅も助成対象に加えていくことを検討してはいかがでしょうか。
 また、住宅のリフォームに対する助成に取り組む自治体が広がりつつあります。住宅ローンに対する利子補給から直接助成に踏み切る自治体がふえつつあります。ことしの3月から秋田県が利子補給から直接助成へと進めました。工事費50万円以上で、大手ハウスメーカーではなく県内に本店を置く建設業者が施工することとし、工事費の10分の1、限度額20万円で、22年度は7000戸を募集、予算12億6000万円で開始をしました。この結果が注目されるところではございますが、住宅投資の経済波及効果に着目して始めたものであります。本県においても、耐震改修への助成の拡大とあわせて住宅リフォームへの助成制度を検討してみてはいかがでしょうか。
 2つ目に、住宅関連施策を網羅した情報発信を考えてはどうかということです。
 住宅建設投資関連の施策、メニューが複数の部局にまたがって、それぞれ独自の取り組みがされております。環境生活部での合併浄化槽、太陽光発電、農林水産部での紀州材を使用しての家づくり支援、県土整備部の耐震改修、また国の施策やバリアフリー化への融資制度などなど、多岐にわたっております。それらの制度を網羅した統一の宣伝物を作成し広報を強化し、相談窓口を設置するなど、今ある制度の総合的な活用を最大限図って少しでも住宅投資の促進へとつなげていく努力をしてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、関西広域連合について、知事にお尋ねをいたします。
 広域連合に参加を表明している大阪、京都、兵庫、滋賀、和歌山、徳島、鳥取の2府5県が、今議会に規約案の説明を行い、ことしじゅうに議会上程を一斉に行うということです。
 関西広域連合の設立の目的は、東京一極集中とそれを進める中央集権体制を打破し、関西規模での自主・自立的な広域行政の実現と、国の出先機関である地方支分部局の廃止後の受け皿づくりを進めることと説明されているように思います。広域連合が、果たして県や市町村、県民にとって暮らしや福祉の向上、地域産業の活性化にどのように結びつくのか、県民の利益につながるものとなるのか、県民の声がどこまで届くのか。産業界を初め、県民の中での議論が盛り上がらない状況にあります。
 県は、説明責任をどのように果たしていくのでしょうか。県民の負担で新たな地方公共団体をつくっていくことになるわけですから、県民の理解を得ることが求められていますし、そのための説明責任を果たしていくことが必要です。
 そこで、積極的に参加を表明されている知事にお尋ねをいたします。
 1つ目に、県民の合意形成について。これは午前中にも議論がされたところでありますが、私のほうからも少しお聞きをしたいと思います。
 広域連合は、地方自治法での規定がされている地方公共団体の1つでもあります。地方自治の理念が発揮される必要があります。連合長も議会議員も住民の直接選挙で選ばれるわけではなく、その運営のあり方が問われてきます。また、つくる過程においても住民の合意形成に努力をする必要があります。広域連合発足に向けて、市町村や県民の声を反映していくための手だてをどのように考えられているのか。また、県民の広域連合参加への理解をどのように得ていこうと考えているのか。
 知事は、昨年の6月議会で、県民の中でよく理解していただいて、わかった上で発足しなきゃいけないと考えているというふうに答弁をされております。それから既に半年以上がたつわけですが、わかった上での発足とは具体的にどのような状況を考えておられるのか。そういう状況になっているのでしょうか。広域連合発足に向けての住民の合意のあり方、どういう状況となることが必要だと考えておられるのか、お尋ねをいたします。
 2つ目に、入り口の姿は規約案で示されていますが、将来の出口はどのように考えているのか。出口は、広域連合を解消しての道州制なのか。確たる将来の広域連合のあり方をどのように見通されているのでしょうか。広域連合の設立案の中では、広域連合が道州制導入のステップになるのか、道州制にかわるシステムになるのかは今後の検討課題だと、このようにされております。
 仁坂知事は、関西広域連合は道州制を目指して設立するものではないと繰り返し議会で答弁をされてきましたが、大阪府の橋下知事は府議会に、広域連合は最終的に道州制を目指す第一歩であると明確に説明をされております。広域連合と道州制は、法理上は、法律上は全く違う組織でありますが、将来の広域行政のあり方として広域連合から道州制へ衣がえをしていく可能性、これを否定することはできるのでしょうか。
 3つ目に、目的の1つに、これが大きな目的だと思うわけですが、国の地方支分部局を廃止して広域連合が受け皿となることを目指すとされています。国が責任を負うべき仕事と広域連合で担おうとする仕事の区分、広域連合として提言をしていくのでしょうか。だとすれば、その区分について知事はどのように考えておられるのか。国が全国統一的に責任を担うべきナショナルミニマムとして実施すべき事業もありましょう。憲法が国民に保障する基本的人権にかかわる事業など当然残しておくべきだと考えますが、知事はどのように考えておられますか。
 4つ目に、広域連合の実施する分野、事業ごとに参加するかどうかは自由というふうになっております。反対する分野については参加しなくてもいい。不参加の事業については財政負担もありません。これでは、事業連携、一部事務組合と広域で取り組む事業として何が違うのでしょうか。広域連合で当面の取り組みとされている防災、観光、産業、医療、環境などの事業を見ても、事業連携、事務組合で十分対応できる事業と見受けられますが、県民生活にとって広域連合であるかないか、どのように違ってくるのでしょうか。
 また、徳島や鳥取の一部参加、政令市が参加していないこと、半島振興でともに歩むべき奈良の不参加をどのように考えておられるのか。
 5つ目に、県域を越えて解決すべき差し迫った緊急性のある課題は何かということです。現在でも防災、医療などは広域連携が取り組まれているところですが、広域連合でないと解決しない緊急性のある課題にはどういうものがあるのでしょうか。
 最後に、設立当初の事務として、防災、観光、産業、医療、環境、資格試験、職員研修の7分野では、ある程度具体的な事業例が示されております。その他ということで、広域にわたる行政の推進に係る基本的な政策の企画、交通・物流基盤整備計画とありますが、これは国土形成計画の広域計画や大阪湾ベイエリア再開発を指しているのでしょうか。東京一極集中に対抗するための広域連合が権限と財源を手にしたとき、真っ先に大阪、神戸などの大都市に集中して財源を投入する動きになる、広域連合全体を見ての配分となるかどうか、そういう点でも非常に危惧するところがありますが、そういう点も想像にかたくないと思われます。
 以上、お尋ねをいたしまして、私の第1問といたします。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの藤井健太郎君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、県内事業者の受注機会の拡大と成果についてということでございますけれども、平成22年度において公共事業に対する国の方針が大きく変更される中で、和歌山県としては必要な社会資本整備を進めるため、国の補正予算等も最大限活用し、2月補正予算を含めた実質的な投資的経費としては対前年40億円増の総額1193億円を計上しております。
 公共工事等の発注に当たっては、現下の経済・雇用情勢に対応し、県内事業者の健全な育成・発展を図るため、県内事業者で施工、履行が可能と見込まれるものについては、一部特殊な工事を除いて原則県内事業者へ発注するということとしております。
 平成20年6月の新公共調達制度導入以降、このような考え方でやっておりまして、県内事業者の受注機会の確保に取り組んでおるわけですが、平成18年度、これのときには受注状況は、件数では県内が96%、しかし金額では約79%でありましたが、平成22年1月──直近でございますが──末現在における受注状況は、件数で約98%、ちょっと上がったぐらいですが、金額で約94%と増加しておりまして、ほとんどの工事を県内事業者が受注している状況にあります。
 今後とも、県経済の活性化のためにも、県内事業者の受注機会の拡大に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、雇用創出に係るプロジェクトでございますが、長期にわたる厳しい雇用情勢を踏まえ、県といたしましては、国に先駆けた独自施策として、離職された方々と優秀な人材を求める県内企業とのマッチングを図る「和歌山で働きませんか!」プロジェクト、そのほか兄弟分で全部で4つございますけれども、そういうものを立ち上げまして、さらにこのような取り組みを福祉、医療や農業、地域資源を生かした産品づくりの分野にも広げ、これで4つになるわけですが、雇用機会の拡大に積極的に取り組んでまいりました。
 また、国の生活防衛のための緊急対策──昨年でございますが──により創設されたふるさと雇用再生特別基金活用事業及び緊急雇用創出事業臨時特例基金活用事業を早期かつ最大限に活用し、1人でも多く雇用創出できるよう取り組んでまいりました。──今、「昨年」と申し上げましたけど、一昨年からのもございます。
 その結果、これらのプロジェクト関連として、直近の雇用創出の概数は2000人と把握しております。雇用の確保、創出は、県政の最重要課題の1つであると認識しております。新年度におきましても、中小企業にとって優秀な人材を獲得する絶好の機会ととらえまして、人材確保に意欲的な県内企業等とのさらなる発掘、さらには創意工夫を凝らした両基金の積極的な活用により、就職氷河期と呼ばれる厳しい雇用環境を乗り切ってまいりたいと考えております。
 なお、議員御質問の新年度の目標につきましては、21年度を相当程度上回る数値を目指して努力したい、こんなふうに考えております。
 次に、広域連合についてまとめてお答え申し上げたいと思います。
 関西広域連合の設立は、本県の発展に必要不可欠である元気な関西づくりにつながるものと評価しておりますので、本県も設立当初から参加してはどうかと考えております。このためには、県民の皆さんによく御理解いただかなけりゃいけない。最終的には県議会で御賛同いただく必要があります。
 これまでも「県民の友」、それからホームページを通じて関西広域連合設立の意義を、私どもの考える意義を広報して御理解いただきたいと思ってきたところであります。今後とも、いろいろやっていきたいと思っております。
 また、市町村には適宜情報を提供しておりますが、昨年10月には市町村長との意見交換を2回に分けて行いました。今後も、これまで以上にきめ細かく県民や市町村に周知を図ることで御理解を得てまいりたいと考えております。
 それから、関西広域連合は、府県の存在を前提にしております。それ自体として道州制を目指すものではありません。御質問では変わっていくことを否定できないということでありましたが、同時に、変わることをビルトインしているものでもありません。
 関西広域連合の設置の目的は、関西における広域行政を担う責任主体を確立することと、それから一部事務組合では認められていない国の出先機関の権限移譲の受け皿として地域の自己決定、自己責任を果たすことでありまして、これは設立以降も変わるものではないと考えております。
 関西広域連合が国の出先機関の権限移譲を受けて事務を実施する場合には、その事務についてまず仕分けを行った上で、地方に移管すべき事務について広域連合で行うほうが適当か、府県で行うほうが適当なのかを議論する必要があると思います。
 また、事務を執行する際に必要となる財源の移譲については不可欠でありますが、人員の移管を受ける場合は、まずは国で整理を行った上で必要最低限の移管にすべきである。全部いただくということになると、当方で大変な行革を行っているわけですから、そういうものについては厳しくやっていかなきゃいけないというふうに思っております。
 また、現在、本県と不参加の奈良県等との連携事業については、広域連合が実施することになる事業との整理が必要となってくると思います。広域連合で行う事業がようやく固まってまいりましたので、既存の連携事業の整理について、現在、関係団体との協議を行っているということであります。
 なお、連携事業の整理を行う際には、住民サービスの低下を来さないという観点から関係団体との調整を行ってまいる、そういうことであろうかと思います。
 県域を越えて緊急性のある課題についてということでありますが、今までもそれは府県間連携で行ってまいりましたが、広域連合の設立によりこれが一層充実、スピーディーなものになるというふうに考えております。
 例えば、東南海・南海地震などが起こったときにどういう協力体制をとるか。いつ起こるかわからない災害に対する備えや対応に、いち早く検討して初めから備えておくということがより決定的にやりやすくなるんではないかと、そんなふうに考えております。
 広域にわたる政策の企画や計画の策定といった事務事業、これについては、現在、国で行われております。関西広域連合の設立案に例示として交通・物流基盤整備計画の検討と記載しておりますけれども、これについては、今まで県にまたがるから国でやるんだということを言っておったのが、国の権限移譲の受け皿としてこういう広域連合があると便利だということであろうかと思います。そこで、国の広域計画についても地域の自己決定、自己責任のもと計画策定がしやすくなるという、そういう計画策定ができるという体制が整うものと考えております。
○副議長(坂本 登君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 先生から経済対策としての官公需のあり方ということで3つ御質問、一括してお答えしたいと思います。
 まず、きめ細かな発注についてでございます。
 舗装工事、電気工事などの専門工事では、一括下請防止や品質確保の観点から、可能な限り分離発注することを原則としております。また、工事の入札参加条件設定に当たって、可能な限り多くの事業者が参加できるような配慮もしてございます。今後とも、可能な限り分離発注に努めてまいりたいと思います。
 続きまして、県産品についてですけれども、県内景気浮揚と雇用の確保を図るために、県発注工事においては県産品等の優先使用に努めているところです。また、県産品等を積極的に利用した建設事業者に対しては、工事成績評定や総合評価方式において加点評価をしており、利用の促進を図っているところです。今後とも、県産材、県産品のさらなる利用に努めてまいりたいと思います。
 特に紀州材については、国体関連施設の建設時にも利用に努めたいと考えております。
 最後に、適切な下請単価、労務単価についてでございます。
 県では、予定価格1億円以上の工事に低入札調査基準価格を導入して、工事の内容に適合した履行が行われているかどうか低入札の調査を行っております。その中で、応札者の見積もり等が設計内容に適合しているかどうか、必要な経費が計上されているか、下請業者や資材納入業者の見積書が反映されているかなど調査いたします。また、工事完成後、元請業者から下請代金の支払い状況等も報告していただいて、必要に応じて指導を行うこととしております。
 このように、工事の品質確保のために下請状況を確認しているところですが、今後とも良好な元請、下請関係に努めていきたいというふうに思っております。
 それから、住宅関連の施策について、まず耐震改修助成の拡大、リフォーム助成の創設についてでございます。
 まず、耐震改修助成の拡大につきましては、今年度より設計費への補助制度とともに、高齢者の方などを対象として専門家を派遣してさまざまな相談に応じたり、改修プランの提案を行う耐震改修サポート事業を創設したところでございます。
 これら新たな施策の周知に努めてまいりましたが、今後は耐震診断の結果が悪かった方に対して個別に説明を行うなど、耐震改修の促進に一層努めてまいります。
 住宅リフォームへの助成制度についてでございますけれども、耐震改修などそれぞれの施策目的に応じた、現在ある補助制度を御活用いただければというふうに考えております。
 今後も、それぞれ目的に応じた助成を通じて、耐震改修など促進に取り組んでまいりたいと思います。
 次に、住宅関連施策を網羅した情報発信についてでございますが、県の補助制度のほか、住宅金融支援機構などの融資や住宅ローン減税など、さまざまな制度があり、関係機関も多方面にわたってございます。そのため、制度を網羅している宣伝物の作成、広報の方法、総合的な相談窓口などについて、消費者の方々にとってわかりやすく効果的になるように、関係部局とともに検討してまいりたいと思います。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再質問を許します。
 43番藤井健太郎君。
○藤井健太郎君 要望ということにとどめさせていただきたいと思うんですが、3つ申し上げておきます。
 1つは、公共工事、物品も含めての発注の問題なんですが、今、国の経済対策ということで予算が膨らんでおりまして、21年度の繰り越しも約460億ほど、これ22年度に持っていくわけですが、それも補正予算も2月補正も含めて1193億、繰り越し分を入れますと、ざっと1500億近くになってくるんじゃないかと思うんですが、国としては公共工事というのは抑制の方向で今ずっと進んでいるんですよね、全体としては。そういう中で、今回の経済対策分も含めて、新年度予算も含めて、どれだけ県内の事業者の仕事づくりをしていくのか、これが非常に大事な問題だと思うんです。
 1問でも申し上げましたように、県産材を使用してもISO工場でつくったものと、こういうようなことをされますと大変なんですよね、県内の業者にとっては。受注機会を広げることと実際に仕事になるかどうかは別ですよ。とにかく、県内の事業者が仕事ができるようなそういう発注条件、仕様というものをやっぱりきめ細かく点検、チェックしていかないと、さあっと流れてしまうということで受注機会が狭められてしまっているということになるわけですから、その点はぜひ発注者においてやっぱりきめ細かな配慮をして、できるだけ多くの事業者に仕事が渡るように──これも一般競争入札が主流になっておりますからなかなか難しい点はあろうかと思いますが──そういう点の最大限の工夫をお願いしたいということが1つです。
 2つ目には、そういうことで行政の仕事量が随分ふえてきておりますが、一方、行革プランで職員の定数削減ということが、これはこれとして進められていっておるわけです。その行革プランを作成するときは、その国の経済対策以前の問題ですから、その分がカウントされていないということにもなってるんじゃないかと思うんです。そういう点では、事業執行を確実に行っていくと。これだけの予算を執行していくという上で必要な体制は十分にとっていただきたいと。きめ細かな発注をしていくためにもそれだけの職員が要るわけですから、その辺も十分配慮していただきたいということが2つ目です。
 3つ目ですが、関西広域連合です。知事は小さく産んで大きく育てるというような言い方をされてますが、そこのところが見えないからなかなかわかりにくいということにもなってるんじゃないかと思うんです。
 国の権限と財源の移譲を受けるというのが広域連合の大きな役割、目的だと思うんですが、そのときに和歌山県にとってどういうことが起こってくるのかと。果たして県民の利益につながるのかどうか、そういう点のきちんとした担保ができるのかどうかというところがまだ定かではないというようなことで、県民の中でもなかなか議論になりにくいという状況があるんじゃないかと思うんです。
 議会の同意ということで最終決まるわけですが、そこに至るまで知事が言われたように、県民に説明をして理解をしてもらって、わかった上で発足をしていくんだと。この「わかった上で」というのがどういうレベルのわかったと。こういうことになればわかったよというふうに判断するのかどうかというようなことがあるわけですけども、住民の合意形成に向けた努力を急ぐべきであろうと思います。決して見切り発車とならないように、この点は強く要望しておきたいと思います。
 以上で終わります。
○副議長(坂本 登君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で藤井健太郎君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 21番新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕(拍手)
○新島 雄君 初日の5人目であります。大変お疲れだと思いますが、議長のお許しをいただきましたので、なるべく短く質問をしていきたいと、かように思っております。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 リーダーとはどのような人のことを言うのだろうか。また、リーダーには何が必要かを考えてみたいと思います。
 その昔、時のアメリカ合衆国大統領ジョン・F・ケネディは、日本人記者の質問に次のように答えたと聞いております。「大統領、あなたの尊敬する日本の政治家はだれですか」、即座に大統領は「ミスター・ヨウザン・ウエスギ」と答えたと聞いております。今までいろいろな人がいろんな話をし、本にも書いてきました。時代背景や状況、国や地域によっても異なることもあると思います。知事は、本日、我が会派の会長、吉井議員の質問に答え、すばらしい答弁で2期目への出馬を鮮明にされました。ということは、和歌山県のリーダーを選ぶ選挙に再び挑戦するということであります。
 今、世界を見てみますと、いろいろなタイプのリーダーがいます。現在では、アメリカのオバマ大統領、大リーガーのイチロー、また国際オリンピック委員会のジャック・ロゲ会長、FIFA国際サッカー連盟のブラッター会長、各分野に個性豊かなリーダーがたくさんいます。
 ここで、日本の現状を考えてみます。よく言われることが、日本の未来を託すリーダーが強く求められているという言葉であります。これを私の勝手な解釈で具体的に言いかえるとすれば、未来を託すというよりも現状を打破し、将来の私たちの国のあり方をイメージさせ、国民に理解させ、根づかせることのできるリーダーの出現を我々は望んでいるのだろうと思います。
 現在の日本は、経済の足を政治が引っ張っていると言う人もいますし、世界からは、経済も一流ではないと言われています。GDPもアメリカに次いで2位の日本ですが、ことしは中国に抜かれるでしょう。道州制を導入して大胆な改革をするしかないと言う人もいます。いろいろなことが言われている現在、それでも私たちは未来に向かって進んでいかねばなりません。
 そこで、知事に伺います。
 厳しい経済環境の中、和歌山県内の中小零細企業は大変苦しんでいます。こんなときの理想のリーダー像とはどのような人だとお考えですか。お答えをいただきたいと思います。
 次の質問です。
 平成12年の男女共同参画会議の答申には、10年以内に選択的夫婦別姓制度を導入することを求めています。現内閣において審議、採択する動きが加速されているのを見て、大いに問題があるという立場で質問をいたします。
 答申の10年以内が来ました。しかし、決して議論が深まったわけでもなく、極めて少数である特定の主張により形だけ安易に法制化されようとしています。この件について改めて精査する必要があると考えます。
 夫婦が別々の姓を名乗ることに関して違和感を感じるのは私だけでしょうか。私だけだとすれば、私は随分古い人間なんでしょうか。しかし、古い人間であろうと、そこには、少しだけかもしれませんが、意味があることを考えてほしいと思います。
 夫婦別姓のことを考えると、どうしても男女平等や男女共同参画社会などのことを考えてしまいます。女性が社会へ出て活躍することは大いに喜ばしいことと思います。女性には大変すばらしい能力があることも十分認識をしています。
 しかし、余りにも何もかもが男女を一緒に考えてしまうと、おかしな世の中になってしまうように思えてなりません。個々の事例は省くとして、何もそこまでと思うことは多々あります。女性から見て、また男性から見て、男女が力関係で対等になることを目指しているわけではないと思いますし、大半の女性が男性と同じようになることを望んでいるのか大いに疑問のあるところであります。「男は男らしく」、「女は女らしく」、こんな言葉は死語になってしまうのでありましょうか。
 私は、女性が大好きです。女性には女性にしかない、また女性にしかできないたくさんのことがあります。その違いを認識した上で、相手を思いやり、慈しみ愛していくことこそが男女共同の社会ではないかと考えています。
 そこで、質問です。
 ここ10年間、この夫婦別姓に関する議論の深まりはあったと考えているか。今後、県民の意識調査をするつもりはあるのか。また、先祖とは何か、家族とは何か、親子とは何か、そんなことを含め、大きくは国家とは何かを考えるよい機会だと思います。環境生活部長の答弁を求めます。
 3問目に移ります。
 今から12年前、平成10年に質問をしました。そのときからは状況が変わっていますので、現状を踏まえて質問をし直します。
 当時は貴志川線も南海電鉄が運行しておりました。現在は、ネコのたま駅長で知られる和歌山電鐵が貴志川線を運行しております。この和歌山電鐵は、南海電鉄が赤字路線で廃線を打ち出した路線を買い取り、県・市の協力を仰ぎ、話題を振りまきながら、厳しい中でも順調に営業を行っております。
 このたび、駅舎の改築と架線電圧を充実させると聞いております。となると、和歌山市駅とJR和歌山駅の間が運行できるようになると思うのですが、この間の線路はJRの所有であります。市駅に関しては南海電鉄の所有であります。多少の問題があろうとは思いますが、公共交通機関という立場を考えれば、県民、市民のため利便性が向上するものと考えますし、営業的にも必要な事業であると考えます。
 和歌山市議会でも議論になり、何とか運行できないものかと期待されています。ただ、公共性と利便性を追求するものの、事故対策や安全性を無視して実行するものではないことも現実ですので、申し添えておきます。
 そこで、私は担当部局にお願いをして、南海電鉄、和歌山電鐵、そしてJRの3者がこの件に関してどのような考えを持っているのか、どのような取り組みをしているのか、今後どのような対応を考えているのかなど調べていただくようお願いをいたしました。
 その返事に関しては御答弁いただくとして、聞くだけでは何もなりませんので、県当局として3者に対し、問題点を解決し運行できるよう申し込みをして積極的にかかわっていく姿勢をあらわしてほしいと思います。企画部長の答弁を求めます。
 最後の質問です。和歌山県にカジノ・プラス・エンターテインメントを誘致する考えがあるのかないのかをお尋ねいたします。
 和歌山県は早くからこの問題に取り組み、研究会の立ち上げにも、全国5県とともに最初から活動を進めています。その後、各都道府県がカジノ・プラス・エンターテインメントに対してさまざまな発言をし、取り組みを見せています。最近では、大阪府などもどうしても誘致したいとの発言をしています。そんな中で、近ごろの和歌山県はこの件に関する発言は大変少なくなっているように感じます。継続している行政の中にあってそれを見るにつけ、少し寂しさを感じますし、常に先を越されている感はぬぐえません。
 カジノとエンターテインメントには、ホテル、劇場、ショップなど、附随する施設がたくさん必要であります。ディーラーやセキュリティーの専門分野以外に働く人も必要となります。日本各地から、また世界各国から観光客が来店するものと考えます。
 では、和歌山県にこれができたならばどうなるのか。過去に、和歌山地域経済研究機構が立地場所を観光客の多い温泉地と想定して経済波及効果を試算しているものがあります。それによりますと、年間55万人、1日平均1500人の人が来場した場合、直接の効果は年間129億円、誘発雇用人口は2630名、経済波及効果は200億円になるとの試算があります。これは、あくまでも机上の計算であります。うのみにするわけにはまいりませんが、和歌山県にできるとなれば、かなりの経済波及効果があるというのは事実だと思います。
 そこで、知事に伺います。
 和歌山県にカジノ・プラス・エンターテインメントができればとの仮定で、いま一度この問題について和歌山県の立場や考え方を示すとともに、デメリットも含め、今後どうしていくお考えなのかをお示しいただき、お答えください。
 以上で、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの新島雄君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、理想のリーダーとはという御質問でございますけども、和歌山県知事に求められるものは何かという観点でお答え申し上げたいと思います。
 理想の知事とは、議員の御質問にもございましたように、将来の和歌山県のあり方を県民の皆様に示し、その将来像を実現するための具体的な行程を明らかにして、県議会を初め市町村、県民の皆様と一丸となって目標達成のために頑張り、それに導いていく、そういうような知事であると考えております。そのためには、熱いものがないといけません。私は、そのような知事に一番必要なものは、愛情だと思っております。やはり和歌山県を愛していなければ和歌山県を元気にすることはできないというふうに思います。
 ただし、愛情だけあって、それだけであると、「頑張るぞ」とかけ声だけかけてもうまくいかないこともあります。そのときは、今何が問題なのかを見抜く洞察力と、その問題を解決する処方せんを描く構想力がなくてはならないと思います。それがなくて、かけ声だけかけて「命をかけて頑張るぞ」と言っていても、県の職員も県民の皆様もなかなかついていけないし、頑張れないというふうに思います。
 そして、やっていることが間違いでなければ、すぐに成果が出なくても、飽きず、うまず、緩まず、やり続ける持続する意思が必要だと考えております。
 今申し上げました愛情、洞察力、構想力、持続する意思、こういうものを持って県民の皆様に未来への希望を抱かせる、そういう知事になりたいというふうに、それを目指して頑張っていきたいと思っております。
 次に、カジノ・プラス・エンターテインメントについてでございます。
 議員御指摘のとおり、経済波及効果や雇用創出効果が、これは期待できます。地域活性化につながる有効な手段の1つと私は考えております。
 これについてよく研究をしようということで、実は少しずつ熱意が知事の間でも冷めておるのですが、松沢神奈川県知事と仲井眞沖縄県知事と私と3人で勉強しようということで、この間、それを松沢さんが代表で発表したところであります。
 しかしながら、一方、これはもちろん勉強の1つではあると思うんですが、青少年に悪い影響を与えないかとか、あるいは犯罪組織の資金源にならないかとか、ギャンブル依存症の方がふえないかなど、懸念される問題もございますので、これらをうまく克服することも重要であると思っております。私は、これを上手に隔離をする、一般の普通の市民生活と隔離する、それとともにうまく管理をする、そういうことで克服できるのではないかというふうに思っております。
 そのため、国における法制化の動向を見きわめつつ、県民の方々の理解など、誘致に向けての諸条件の状況を踏まえながら前向きに取り組んでまいりたい、こういうふうに考えております。
 先ほど申しました神奈川県や沖縄県などと今後とも連携をいたしまして、海外の事例も参考にしながらよく勉強し、カジノ実現に向けた課題や方策、さらに地方にとって望ましいカジノ制度の仕組みなどを研究するとともに、県民の方々へのカジノに対する正確な知識あるいは情報の提供、そういうものをやってまいりたいと考えております。
○副議長(坂本 登君) 環境生活部長井口悦治君。
  〔井口悦治君、登壇〕
○環境生活部長(井口悦治君) 新島議員の選択的夫婦別姓制度についてお答えを申し上げます。
 男女共同参画を推進するためには、社会における制度や慣行が男女どちらかに不利な影響を及ぼすことのないよう配慮することが必要ですが、選択的夫婦別姓制度の問題は、議員御指摘のとおり、国民生活に広く深くかかわるテーマであり、男女の平等や社会参画といった観点だけでなく、これまで日本が培ってきた文化、家族や親子のあり方など、さまざまな角度からの国民的議論が必要であると考えるところであります。
 内閣府において、平成8年、13年、18年と3回にわたり家族の法制に関する世論調査が行われていますが、平成18年に実施した世論調査では、選択的夫婦別姓を導入しても構わないという答えが36.6%、現行制度を改める必要はないという答えが35.0%であり、なお国民の意見は分かれている状況にあると言えるものと考えております。
 2月19日に法務省が選択的夫婦別姓制度を含む民法改正案概要を示したとの報道がありましたが、今後、平成23年ごろ行われるであろう内閣府の世論調査などによる国民の意識の動向を踏まえながら、国における動きを注視してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 企画部長前硲健作君。
  〔前硲健作君、登壇〕
○企画部長(前硲健作君) 南海加太線と和歌山電鐵貴志川線の相互乗り入れにつきましては、平成10年の6月議会で当時の企画部長が答弁しておりますように、架線電圧の違いでありますとかATSなど運転保安設備の違い、その他運転に必要な設備改良などのハード面の問題点が多く、その解決には相当の経費を要するものと聞いております。
 このうち架線電圧の違いにつきましては、議員お話しのとおり、和歌山電鐵が今年度から3カ年計画で総事業費約4億円の昇圧工事に着手しておりまして、完成すればこの点については解決することになります。
 そこで、議員御質問の鉄道事業者の考えなどについてでありますが、和歌山電鐵にありましては、まずは貴志川線沿線の魅力向上に努め、経営基盤を固めることが先決であると、さらに南海電鉄におきましては、貴志川線を撤退した経緯もありまして、具体的な検討は行ったことがないと、JR和歌山支社は、運行管理など乗り入れに対する安全対策などについて検討する必要があると、そういうことであり、加えて各社とも採算性の問題を指摘しております。
 しかしながら、各社とも協議には応じるということでありますので、今後、和歌山市とともに鉄道事業者と話し合っていきたいと思っております。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 以上で、新島雄君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は3月8日定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時53分散会

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