平成21年12月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(藤井健太郎議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 43番藤井健太郎君。
  〔藤井健太郎君、登壇〕(拍手)
○藤井健太郎君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして、順次質問をさせていただきます。
 経済情勢への対応と新年度予算編成方針について、知事並びに担当部長にお尋ねをいたします。
 まず、年末、年度末に向けての対応です。
 一昨年は重油、ガソリンなどの燃油高騰問題が、昨年はアメリカ発の金融危機が日本経済に打撃を与え、本県の地域経済にも深刻な影響をもたらしました。この間、政府は数度の経済対策を打ち出し、輸出依存の経済構造から内需主導へとかじを切りかえることを掲げましたが、内需主導型経済の牽引役とも言える安定した雇用の確保と賃金水準の引き上げは実現できず、逆に雇用も賃金も落ち込みを続け、ことしも年末を迎えることとなりました。
 本県の有効求人倍率は平成19年度の0.9倍から落ち込みを続け、ことしの10月には0.53倍に、労働者の給与総額も平成17年から下がり続けている状況となっています。購買力、消費力が冷え込んでいくようでは内需を喚起することもできず、中小事業者の売り上げの大幅減少へとつながってきています。
 日本経済を立て直していくためにも、暮らしと雇用の立て直しが急務の政治課題と考えられますが、県政の場では年末、年度末を迎えて県民生活、地域経済を下支えしていく緊急対応が求められているところです。
 知事は、今議会の冒頭に現下の経済情勢への対応として、中小企業を取り巻く環境や雇用、所得環境については懸念要因が払拭し切れない状態が続いており、中小企業に対する一層の資金繰りを行っているところであり、国の動向も踏まえながら、年末、年度末に向け、必要な施策を機動的に講じていくと言われておりました。深刻化する中小事業者の経営や県民生活をどう守るのか、その基本的な考え方と幾つか具体的な中身についてお尋ねをいたします。
 1つは、中小零細事業者への万全の対応をお願いしたいということです。
 県は、緊急経済対策本部において取り組みの強化を進められているところですが、中小零細事業者の資金需要や経営の維持に対して、万全の対策となるようきめ細かく心して取り組んでもらいたいと思います。
 県内のほとんどの産業で、中小零細になればなるほど売り上げの大幅減が見られます。保証協会の保証を受け、借りかえ融資を受けたものの、売り上げの大幅減少で返済のめどが立たないといった事業者もあります。さらに、保証協会の保証も得られないという事業者も現実にあります。取引先の倒産や発注の減などに対する資金繰りへの一層の支援を強めることや、年末を控えて、先ほど施行された返済猶予など条件変更への金融機関の努力義務を課す金融円滑化法を、当面の危機を乗り切るためにも、生きたものとして有効活用していくことが求められています。
 県として保証協会や金融機関に特段の配慮を求める要請を行ったと伺っていますが、事業者にとって万全のものとなるように一層の努力をしてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
 2つ目に、長期失業者など当面の生活に困窮する人への生活支援の手だては万全になっているのでしょうか。県民生活にも厳しいものが見られます。県民1人とて路頭に迷わすことのないように取り組みを強めていただきたいと思いますが、どのように考えておられるのか。以上、知事にお尋ねをいたします。
 具体的な問題への対応について幾つか関係部長にお尋ねします。
 ハローワークのワンストップサービスについて。
 仕事、住まい、生活の総合支援窓口を試験的に設置する「ワンストップ・サービス・デイ」が11月30日、17都道府県77カ所のハローワークで取り組まれました。国は一括して解決するためとして、ハローワークの職業紹介、職業訓練に加え、公営住宅への入居、納税や生活保護、社会福祉協議会の生活資金、保健所による心のケア、弁護士の法律相談など関係機関が1カ所に集まり実施したものですが、和歌山では取り組まれませんでした。和歌山労働局でも実施について検討されていたようですが、県としてこの取り組みについてどう対応してきたのか、また今後どうしていくのか、お尋ねいたします。
 県の総合相談活動について。
 県は緊急経済対策として、また日常的には県民相談の窓口を開いていますが、年末、年度末に向けて生活に困窮する人の総合的な相談に乗れるように、関係部局や国、市町村など関係機関との連携も密にとりながら、相談者の立場に立った相談活動を強めてもらいたいと思います。相談者が気軽に訪ねることができて、解決に向けての道筋への展望を持てるような、県に相談に来てよかったと思ってもらえるような相談活動を期待したいと思うが、いかがでしょうか。
 生活福祉資金の活用についてです。
 国、県の資金を原資として、収入が少なく必要な資金がほかから受けることが困難な世帯に融資をする社会福祉協議会の生活福祉資金制度があります。これまで失業者に月20万円以内で融資をする離職者支援資金、一時的に生活の維持が困難となった人につなぎ資金として5万円以内を融資する緊急小口資金などの制度がありましたが、利用者はほとんどいないという状態が続いておりました。
 ことしの10月から生活福祉資金の貸付内容が4種類に整理・統合され、資金の必要性に応じて融資限度額をふやし、比較的弾力的な運用が可能となりました。また、貸付利率も3%から1.5%への引き下げ、緊急小口資金は枠が10万円に拡大し、保証人を必要としないなど条件緩和も行われたところであります。借りたお金は返さなくてはなりませんが、以前の制度に比べるとはるかに利用しやすくなりました。
 今日までの利用状況はどのようになっているのか。有効活用が望まれるところですが、どう活用していくのか。制度の周知はもちろん、審査期間の短縮など、すぐに用立てることのできるように取り組んでもらいたいと思いますが、どのように取り組んでいくのか。
 新年度予算編成方針について、知事にお尋ねをいたします。
 知事は、新年度の予算編成方針について、県民に希望と安心をもたらす取り組みを重点に進めると言われています。大変タイムリーなテーマであり、ぜひともその実現を強く望むものであります。
 一般質問初日の答弁で、知事は「元気な和歌山を創造するのに今何が必要か。それは少しずつでも和歌山がよくなるという希望を持ってもらうこと。そして、いろんな不安があると元気も出なくなる。元気な和歌山にしていくために今希望と安心が求められている」というような答弁をされていたように思います。知事の基本的な理念について、私なりにもう少しお尋ねをしておきたいと思います。
 そもそも地方自治体の行う行政は、住民の暮らしの擁護、福祉の増進であります。そのために日常生活の安全・安心を確保することは、最大の責務でもあります。この実現は、住民が地方行政に期待を寄せ、信頼できる自治体にしていくためにも欠かせない課題でもあります。したがって、希望と安心は決して一過性のスローガンではなく、自治体行政の根幹となるものであり、片時も忘れることなく、常に目指していくべきテーマであると考えます。
 知事の言う県民生活における希望と安心とはどのような内容、どのような状態が実現できることを指して言っておられるのか。新年度だけの重点テーマに終わらせてはならないものと考えますが、どの程度までの成果を考えて政策の組み立てを考えておられるのか、お尋ねをしておきたいと思います。
 今日、生活の貧困、格差の拡大が進む中で、生きていくのが精いっぱいという状況に置かれている県民の方が多くなってきていることに心を痛めます。私のところへ生活相談に来られた方で、大学を卒業し就職したがうまくいかず、職を幾度となくかえ、家庭も行き詰まって崩壊をし、現在ひとり身で古新聞、雑誌などの古紙回収をしている40歳代の男性がいました。回収車のレンタルが1日500円、ガソリンなど消耗品は自分持ちとなっていて、新聞紙の引き取り価格がキロ6円、雑誌が4円、今は暫定価格として新聞紙は7円で引き取ってもらえるということですが、1日回っても3000円から4000円ぐらいにしかならず、生活が成り立たないということでした。
 そこで、生活保護の申請をして、現在は保護を受けながら古紙回収の仕事を続け、もっと収入のあるほかの仕事を探す日々を送っています。しかし、職をかえ続けてきた本人ができるような仕事はアルバイトぐらいしかなく、それでは現在の収入と余り変わらず、先の展望が見えないと言われています。ワーキングプアから抜け出せない現実がここにはあります。
 また、夫からの暴力に耐えかね5歳の子供を連れて家を飛び出したものの、行く先もなく途方に暮れて相談に見えられた人ですが、子供は児童相談所を通じて里親にお願いをして、本人の住む住宅を確保し、そこから生活保護の申請を行い、保護を受けながらできる仕事を探しました。ようやく介護事業所での仕事が見つかり、現在は保護の廃止を申し出て、働きながらヘルパーの資格取得を目指しています。生活の自立と再建への展望が開け、その結果、来年春には子供を引き取れる話へと進み、今は希望が見えてきたと喜ばれています。しかし、現在の生活保護費より少し上回るだけのホームヘルパーの収入だけでは、この先大変厳しいものが予想されます。
 以上はほんの一例ですが、このような経験を通じて思うことは、希望と安心を実現するためにも、努力すれば報われる社会、何度でも立ち上がることのできる社会であること。病気、失業、不慮の事故、災害などから県民生活を守るとともに、生活の再建を進めることができること。そのための支援の仕組みが県行政としても整備されていることが大事ではないかと思います。権限の範囲内となるでしょうが、どこまで到達したのかを絶えず検証して、施策の整備と拡充を目指していってもらいたいと思います。
 新年度福祉医療制度への取り組みについてお尋ねをいたします。
 県の単独医療費助成制度として、重度の心身障害児者、乳幼児、ひとり親、67歳から69歳までの高齢者を対象に医療費の窓口での一部自己負担金を所得制限の範囲内で助成を行い、県民福祉の増進に貢献をしています。
 県が昨年3月に策定した新行財政改革推進プランの中で、歳出削減を図る事務事業の見直しの中に、この福祉医療制度への補助対象として、訪問看護療養費と精神障害者を加えることとあわせて、新たに一定額の自己負担金を徴収することが検討課題とされ、議論が続けられ、現在は現行の制度での運用がされております。
 ことしの2月議会で、私は福祉医療制度に新たに自己負担を導入するとした行革方針の凍結もしくは撤回を求める質問に対して、知事は「景気が悪くなっていくと県財政は苦しくなっていくが、助成の対象になっている人に負担を課すのも苦しくなってくる。その苦しさを理解する県政でありたい」と答えられていました。知事は、新年度の予算編成方針の中で行財政改革を着実に進めるとも言われていますが、県民の所得が減少していくもとで医療、福祉に対する負担が増大するようでは、県民の生活の安心は確保できません。財政状況に余裕があるとは決して思いませんが、福祉医療制度の拡充の方向こそが求められています。
 そこで、新年度、福祉医療制度についてどのように考えているのか。現在の制度内容で継続していく考えなのか。福祉医療制度の重度心身医療の助成対象に自立支援医療として一元化された精神疾患を加えることを求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、災害対策について、担当部長にお尋ねをいたします。
 風水害からの生活と営業の再建支援についてです。
 11月11日未明、和歌山市を中心に紀北地域への集中豪雨は記録的な雨量となりました。和歌山市では1時間に120ミリ、3時間雨量が221ミリといずれも観測史上最高の雨量を記録し、とうとい命をなくされた方を初め、これまでにない多くの世帯が床上・床下浸水の被害を受け、生活と営業の再建に多大の苦労がありました。とりわけ高齢化が進む中で、年金に頼るひとり暮らしの高齢者で被災された方の心労は、いかほどであったでしょうか。中には、もうここには住みたくない、このように訴えられる方もありました。
 あってほしくはないことですが、広域で大規模な災害ならば、国の災害救助法や被災者生活再建支援法の適用ともなりますが、今回の場合はその適用とはなりません。
 近年、集中豪雨による局地的な災害が頻発する傾向にありますが、法の適用とはならない災害に対する県民の生活と営業の再建を支援する手だての整備が求められているのではないかと思います。とりわけ低所得の高齢者、障害を持つ人など災害時援護を要する被災者への手だてについて、支援策を確立しておくことが求められているのではないでしょうか。
 知事は、台風18号被害、11月11日の集中豪雨などの風水害に対して、県としても一日も早い復旧に向け取り組んでいくと言われていますが、これは土木事業を中心とした災害復旧事業、ハード面での事業を主に指していると思われます。県民生活や営業の再建支援というソフト面での支援も同時に必要なのではないでしょうか。
 そこで、担当部長にお尋ねをいたします。
 生活と営業を再建する支援策として、どういう施策が準備をされているのか。県独自の施策としてはどのようなものがあるのか。
 県に和歌山県災害見舞金支給に係る内規があると聞いております。自然災害により家屋が全壊したときは1万円、半壊したときは5000円、住宅が床上浸水したとき5000円、死亡者が生じたとき5万円、負傷者が生じたとき5000円と支給基準と金額を定めています。今回多くの被災者を出した床上浸水の場合では、5000円と畳1枚分にもならない金額です。この20年間、金額は変わっていないということです。拡充が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
 また、国の法律の適用にならない被災者に対して、生活を再建していくための支援策と言えるにふさわしいものとしていくために、例えば、被災者生活再建支援基金なるものを造成して被災者救援の準備を進めていくことも1つの方策だと思いますが、いかがでしょうか。
 家具の転倒防止対策についてお尋ねをいたします。
 風水害対策とともに、地震対策も着実に進めていかねばならない差し迫った課題となっています。県では地震防災対策アクションプログラムを策定し、短期、中期、長期に整備する課題がまとめられ、必要に応じて見直しがされ、進捗状況について進行管理がされています。大規模地震への備えとして、また県民の命を守る取り組みとして建物の耐震化、津波対策などさまざまな課題がある中で、以前にもこの場で取り上げさせていただきましたが、家具の転倒防止対策の普及の緊急性についてお尋ねをしたいと思います。
 三重、和歌山、徳島、高知の4県共同で地震・津波県民意識調査が3年ごとに行われています。第2回目の調査報告が昨年3月に行われました。来年は第3回目の調査を行うこととされています。その中で家具類の固定についての調査も行われています。全部または大部分固定している人は4県平均で5.5%、一部のみ固定している人は29.8%という結果が報告されています。本県で見ると、全部または大部分固定している人は6%、一部のみ固定している人は30%となっていて、ほぼ4県平均並みとなっております。
 ちなみに防災先進県と言われる静岡県は、全部または大部分固定している人は10%、一部固定している人は52.7%と、60%を超す人が家具の固定対策を始めているということです。
 本県ではその半分ほどの到達ですが、前回調査時から比べると、家具の固定対策を始めた人は10%も伸びており、急速に普及しつつあることがうかがえます。ちなみに私の家もほぼ固定しているという部類に入るのではないかと、そういうふうに自負をしておりますが、家具の固定に多少の手間はかかりますが、費用的にはわずかの金額で済み、地震の際の脱出を容易にすることや負傷を軽微なものとすることの効果は絶大で、極めて有効な地震対策であると言えます。また、家具の固定がどれだけ行われているかは、地震対策に対する真剣さを推し量る重要な指標ともなります。活動期に入ったと言われる大規模地震への備えは急務の課題であって、さしたる費用も時間もかからずに手短にできる対策として、家具の固定を一気に普及するための対策の強化を求めたいと思います。
 そこで、お尋ねをいたします。
 家具の転倒防止対策をどのように位置づけているのか。保育所、幼稚園、学校などの公共施設での転倒防止対策は万全か。個人住宅への転倒防止対策をどう進めていくのか。とりわけ高齢者、障害者など援護を必要とするお宅への対策をどう進めるのか。県補助制度の拡充と防止対策の普及に向けて一層の努力を求めたいと思います。
 最後に、国民健康保険の医療費一部自己負担金についてお尋ねをいたします。
 平成18年の2月議会で県民の医療保障の充実を求める観点から、国民健康保険の保険料滞納世帯への対応として、通常の被保険者証にかわって資格証明書や短期の被保険者証の発行がふえていること、地方税回収機構に保険料の滞納処分を移管する問題点とあわせて、国民健康保険法に規定する医療費の一部自己負担金、現在、就学前まではかかった医療費の2割、69歳までは3割、74歳までは1割となっている一部自己負担の減額について、県内での適用を進めていくべきではないかという趣旨の質問をいたしました。
 当時の福祉保健部長からは、県として医療費の自己負担の軽減が適切に行われていくよう助言をしていくという答弁があって、市町村にもその旨が通知をされました。今日の経済情勢のもとで、保険料と医療費の自己負担金の支払いが困難となる家庭の増加が懸念されます。資格証明書や短期被保険者証の発行がさらに進み、県民が医療を受ける機会を失することにつながらないか。そのことが県民の健康破壊や重症化を招き、医療費のさらなる高騰と社会全体としての活力が失われることにならないか危惧するところであります。
 資格証明書世帯にあって、中学生までには短期の被保険者証の発行がされるようになりましたが、高過ぎる保険料の引き下げ、無保険問題、一部負担金の軽減が依然として課題となっています。
 一部負担金で言いますと、国民健康保険法44条の一部負担金減免制度の活用が求められます。自己負担金の支払いの困難さは、医療機関窓口での未収金となってあらわれてきています。医大附属病院に未収金の状況を聞いてみますと、ことしの11月末現在で21年度に発生している未収金は入院、外来合わせて1504件、3017万円あり、この10年間の累計では約5000件、1億8000万円になっていて、現在督促を進めているということです。
 折しも、ことしの7月1日付で「生活に困窮する国民健康保険の被保険者に対する対応について」という通知が厚生労働省から出されました。その内容は、増大する医療機関の未収金問題の解決、未然防止を前提として、一部負担金減免等の適切な運用、生活保護等の相談、無料低額診療事業の情報提供など具体的な推進を都道府県及び政令指定都市に指示をし、各都道府県においてモデル事業をことしの9月から来年の3月までの半年間に実施するとなっています。県には、社会保障としての国民健康保険が県民に必要とする医療を保障していく、それを推進するという立場からの努力が一層求められているのではないでしょうか。
 そこで、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 県の一部負担金の減免についての基本的な考え方と今後の取り組みはどうか。
 県は、一部自己負担金の適切な実施についての通知を市町村に出しましたが、現在、減免の規定を設けている市町村と申請受付数、減免の実施状況はどのようになっているのでしょうか。
 国、県の市町村国保への一部負担金減免に対する財政支援をどうしていくのかという問題です。現行の制度で実施をするならば、市町村は国民健康保険の特別会計の中からの財源捻出を余儀なくされ、国保の運営を一層厳しいものとしていくことになります。国民健康保険の安定した運営のための財政支援の責任は、第一義的には国にあります。県には、市町村への適切な助言と援助が求められているところです。国に対してしっかりと働きかけていってもらいたいとも思います。
 以上、お尋ねいたしまして、私の第1問といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの藤井健太郎君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、厳しい経済情勢を踏まえた年末、年度末への対応についてお答え申し上げたいと思います。
 議員御指摘を待つまでもなく、多くの県民から景気が悪くてとても苦しいという声が現にたくさん聞こえてまいります。また、具体的に聞いていないもっともっと多くの方々の声も聞こえるような気がいたします。
 まず初めに、中小零細事業者への対応についてでございますが、県では国の緊急保証制度──これは昨年末からなんですが、県融資制度の新設、拡充を行い、昨年11月からの1年間で中小企業者の方々に過去最大となる1000億円を超える県融資制度の御利用をいただいております。
 また、本年10月から貸出金利をもう一段引き下げるなど、中小企業者の金利負担の軽減を図り、より一層の資金繰り支援を行っております。
 さらに12月1日に発表いたしましたが、県制度を円滑に使っていただいて、お助けできるものについては漏れなくお助けしようということで、年末対策を指令したところであります。その際、県庁の中にじっと待って座り込んでおるとわからないことがたくさんあると思います。その結果、救うことのできるはずのものも救えないようでは大変申しわけないというふうに思いますので、今養成中の産業別担当者による企業訪問の強化とか、あるいは中小企業支援施策説明会の開催などを通じて、中小企業者に対する県支援策の周知徹底あるいは場合によってはお勧め、そういうことを行うとともに、11月30日に成立しました中小企業等金融円滑化法の趣旨も踏まえ、中小企業向け県融資制度の取扱金融機関及び県信用保証協会に対し、返済猶予等既往債務の条件変更など、より一層柔軟に対応するよう要請したところであります。
 県内中小企業者の資金繰り支援は、県経済の活力、浮揚のための重要施策であると認識しておりまして、年末対策はもとより、今般発表された国の緊急経済対策に盛り込まれた金融支援策を踏まえ、厳しい経営環境にある中小企業の皆さんを引き続き積極的に支援してまいりたいと考えております。
 次に、生活困窮者への支援でございます。
 厳しい経済・雇用情勢の中で、年末、年度末を迎えるに当たり、生活に困窮されている方のことを大変危惧しているところでございます。県民1人1人が安定した生活を維持し、路頭に迷わないように国や県の施策を総動員して対応してまいりたいと考えております。
 私としては、失業者、低所得者の困難さ、苦しさが増しているのではないかと心配しておりまして、例えば、セーフティーネット施策の大きな柱である生活福祉資金の貸付制度──これは前政権のときにできた制度なんでございますが──これの抜本的見直しがありましたので、低所得者等に対して効果的な支援策を講じてまいりたい、使っていただきたい、そんなふうに思っております。
 そのほかにも、既にございましたさまざまな施策があります。就職のあっせん、生活支援の給付・貸し付け、生活保護などの困窮者に真摯に対応していくことが肝要でありまして、ハローワーク、市町村など関係機関との連携を一層密にして、その施策を有効に活用してまいる所存であります。
 次に、新年度予算編成方針ということで、希望と安心についてということでございます。
 予算編成方針の基本理念として発表された希望と安心ということでございますが、まず希望につきましては、政策が1つずつ効果を持って、県民が「あすはきょうよりいいかもしらん」というふうに考え、それを信じて頑張ろうと考えるような、そういう政策をしようというふうに考えておるわけです。
 それから、将来及び現在に不安があるために人々の元気が出てきにくくならないように、肝心なところは不安を払拭できるような、そういう政策をしようということでございます。それが長期総合計画で将来像として私どもが描きました「元気な和歌山」を実現していくことになるんだと、そういうことを考えております。いわば長期総合計画実現のために22年度政策を考えていくときの現下の状況を踏まえた設計思想というべきものだと考えております。いろいろな制約があります。財政等々ありますが、この考え方に沿ってこれから予算編成に努めてまいりたいと考えております。
 また、議員の御質問にありました新年度だけの重点テーマに終わらせてはならないとの御意見につきましては、私も同感であります。そのような考えから長期総合計画で描いた将来像の実現に向け、「元気な和歌山」を創造していくために、全庁で今何をなすべきかを考え、毎年度、新政策プロセスを通じた検討を行っているところでございまして、ことしの設計思想として希望と安心ということを焦点に当てていこうというのもこのプロセスの中で出てきた話でございます。この2つの設計思想は、当然、大変大事な話だと思いますので、こういう考え方をずっと持ち続けながら頑張っていかなけりゃいけないというふうに考えております。
 次に、福祉医療制度でございます。
 重度心身障害児者やひとり親家庭等を対象といたします県単独医療費助成制度につきましては、県議会を初め市町村長及び関係団体の皆様からの御意見を十分踏まえまして、本制度を見直しすることなく、今年度においても継続することといたしました。
 ちょうど今、中央政府で仕分けなどがありますが、いわば仕分けというのを別の形で行って、皆さんから大変きつい意見もいただいて、それで最終的に判断をして存続ということにしたわけであります。
 新行財政改革推進プランにおいては、財政状況を考慮しつつ引き続き見直しを検討していくこととしておりますが、県単独見直しというのは、推進プランをやめるというんじゃなくて、その中身をいつも考えながら実行のための政策を見直していかなきゃいけないということでありますが、県単独医療費助成制度の必要性は認識しておりまして、一度大議論をした後でございますから、また現下の厳しい財政状況ではあるものの、一方、現下の厳しい経済情勢でありますから、新年度においても現行制度を維持してまいりたいと私は考えております。
 また、精神障害のある方々を助成対象に加えることにつきましては、その県単独医療費助成制度を持続可能なものにしなければいけませんので、その関係から現行の対象者を含めた制度全体の中で総合的に検討してまいりたいと、そんなふうに考えております。
○副議長(坂本 登君) 福祉保健部長北田佳秀君。
  〔北田佳秀君、登壇〕
○福祉保健部長(北田佳秀君) 年末、年度末に向けての対応のうちの2点についてお答えいたします。
 まず、ハローワークのワンストップサービスについてでございます。
 年末、年度末を迎え、職業紹介、生活支援等の相談窓口を設ける「ワンストップ・サービス・デイ」の実施につきましては、国の要請のもと去る11月30日に17都道府県215市町村の参加により試行されたところです。その結果を踏まえ、現在国におきましては、年内に実施地域を拡大しての開催を目指すこととしております。県といたしましても、今後、和歌山労働局、和歌山市、県社会福祉協議会等の関係機関と連携し、年内開催に向け取り組んでまいります。
 次に、生活福祉資金の活用についてでございます。
 生活福祉資金貸付制度の見直しにつきましては、本年10月1日より、借りやすく貸しやすいという制度に改め、失業者等の生活再建に必要な費用等を貸し付ける総合支援資金の創設を初め、連帯保証人要件の緩和、貸付利率の引き下げ、さらには償還期間の延長などを行ったところでございます。
 この制度の見直しによりまして、11月末現在の貸付件数が25件、貸付金額が1845万円となっておりまして、従来に比べまして大幅に増加してございます。今後、この資金の貸し付けが必要と判断された場合には、速やかに実行できるよう、実施主体である県社会福祉協議会を指導してまいりたいと考えてございます。
 続きまして、風水害からの生活の再建支援についてでございます。
 台風18号におきましては床上浸水等の被害はなかったものの、11月11日の豪雨による災害では、和歌山市、海南市、紀の川市及び岩出市の複数自治体にわたり600戸を超える床上浸水の被害が生じたところです。
 今回の災害により、国の災害弔慰金の制度が適用される見込みとなっており、県の災害見舞金制度も、少額ではありますが、活用する予定でございます。災害見舞金制度の見直し及び基金創設につきましては、今後検討してまいりたいと考えております。県といたしましては、生活福祉資金貸付制度等の利用により、一日も早く安心できる生活を取り戻していただきたいと存じます。
 続きまして、国民健康保険の医療費一部自己負担の減免についての3点にお答えをいたします。
 まず、減免についての基本的な考え方と今後の対応についてでございます。
 国民健康保険法第44条により、保険者は、特別の理由があり一部負担金を支払うことが困難であると認められる被保険者につきましては、一部負担金の減免措置をとることができると規定されており、適切に運用されることが重要と考えております。
 本県では、有田市が本年9月より、国民健康保険における一部負担金の適切な運用に係るモデル事業に取り組んでおり、平成22年度中には、当該モデル事業の全国的な結果を踏まえ、一部負担金減免に係る運用基準が国から示される予定となっております。
 県といたしましては、この運用基準に基づき、市町村において一部負担金減免制度が適切に運用されるよう指導してまいりたいと考えております。
 次に、市町村の実施状況についてでございます。
 現行の一部負担金の減免措置につきましては、減免に必要な国による財政支援制度がなく、また一部負担金を支払うことが困難であると判断するための運用基準も国から示されていないため、県内では独自の規定を設けているのは2市1町の保険者であり、平成20年度の減免実績は1町で免除1件となっております。
 次に、減免に対する国、県の財政支援についてでございます。
 市町村国民健康保険の一部負担金の減免につきましては、市町村保険者が財政負担を行っております。県といたしましては、平成22年度中に国から全国統一的な運用基準が示される予定となっておることから、一部負担金の減免実施に必要な財政支援を他府県とも連携しながら国に要望してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 年末、年度末に向けての対応のうち、総合相談活動についてお答えさせていただきます。
 昨年12月の緊急経済対策本部の立ち上げと同時に、資金繰りや生活困窮、失業などお困りの方々の相談に応じる場として、本庁と各振興局ごとの相談窓口及び相談内容別の個別相談窓口を設置してございます。開設以来、中小企業者や県民の皆様方から700件を超える相談に対応してございます。
 しかしながら、本県経済は依然として厳しい状況にあることから、今月1日、年末対策として、産業別担当者による企業訪問の強化や支援施策説明会の開催などを通じ、中小企業者に対する県の支援策の周知を図るとともに、29日及び30日に年末相談窓口を開設することなどを発表し、その取り組みを強化したところでございます。
 商工団体や金融機関などにおきましても年末に向けて相談窓口が開設されているところでございまして、これらの関係機関とも連携しながら総合的な相談体制をつくり、中小企業者や県民の皆様がこの苦境を乗り切れるように、きめ細かく対応してまいりたいと考えてございます。
 次に、風水害からの営業の再建支援についてでございますが、先日の和歌山市を中心とした記録的な集中豪雨により、工場、事業所が床上・床下浸水の被害を受け、経済環境の厳しい折、さらに深刻な状況になったのではないかと危惧してございます。
 県といたしましては、中小零細事業者の皆様が御利用しやすい長期、低利な設備資金、運転資金として振興対策資金あるいは小企業応援資金などの融資制度がございまして、金融機関などとともに、その利用拡大を図ってまいりたいと考えてございます。
 そのほか、今回の被害などにより売り上げ減少した中小企業の皆様方には、緊急保証関連融資制度といった今時の不況対策資金もございますので、金融機関などと連携しながらきめ細かな対応を行ってまいりたいと考えてございます。
○副議長(坂本 登君) 危機管理監森 崇君。
  〔森 崇君、登壇〕
○危機管理監(森 崇君) 家具の転倒防止対策についてお答えいたします。
 震災対策について、被害を軽減するためには、議員御指摘のとおり、家具などの転倒防止対策が大変重要であると認識してございます。
 保育園、幼稚園、学校等における転倒防止対策の状況は、一部固定も含めますと固定実施施設数は約6割となっております。また、県庁舎の転倒防止対策につきましては、平成20年度から庁舎の耐震化にあわせて計画的に実施しているところでございます。
 個人住宅対策につきましては、「県民の友」やパンフレット等で啓発してまいりましたが、固定方法がわからないとか、どこで相談すればいいのかなどの声も依然として多くございまして、そのため、本年11月からふるさと雇用再生事業を活用して、専門業者による家具転倒防止講習会を実施しております。
 さらに、来年1月からは、高齢者世帯等の固定作業を実施できる人材育成のための技術講習会も開催する予定です。今後とも、家具固定率を引き上げるための対策に取り組んでまいります。
 また、要援護者への対策でございますが、県におきましては、一部の市町に対し、補助金や緊急雇用創出事業臨時特例基金で支援しておりますが、今後さらに多くの市町村でも実施するよう積極的に働きかけてまいります。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再質問を許します。
 43番藤井健太郎君。
○藤井健太郎君 要望にとどめておきたいと思うわけですが、知事のほうから年末、年度末に向けて大変な苦境に立ち入ってる中小零細事業の皆さんですね、漏れなくお助けをするというお話があったり、生活に困窮する県民の皆さんを路頭に迷わせないと、そういう意気込みはよしとしておきたいと思うんです。
 しかし、実際に保証協会の保証もとれない、それからお金を借りたくても借りる体力がないというところまで、今もうどん底といいますか、あとはもう廃業しかないんじゃないかというようなところまで陥っている事業者の方というのは、実にたくさんいらっしゃいまして、私も大変苦慮してることが多いわけですが、そういったところもやっぱり漏れなくお助けするという心意気をぜひ現実のものとして、年末、年度末、安心をして年越しができるという状況にぜひしていただきたいと。
 新年度は希望が持てるようにというふうにお願いしたいと思うんですが、金融円滑化法なんかも金融機関の努力義務ということになっておるわけでして、実際に私、金融機関に足運んで何度か話をして、返済を猶予してもらうということもしてもらったことがあるわけですが、しかし、その次はもう借りられないということになってくるわけですね。だから、そういうことも含めて、当面この時期を何とか乗り切って、そして新年度には新たな展望が開けるというような、これは県だけでするというのは大変難しいことではあろうかと思うんですが、国、市町村と連携をとりながら、そこの目と構えは忘れずにぜひやっていただきたいと思います。
 被災時の生活再建の問題なんですが、営業再建では融資しかないという話ですよね。被災を受けて、今、ただでさえ売り上げが減ってるのに、ボイラーとか機械がつかってしまって使えないと、それを借りかえないと商売ができないというような方もたくさんいらっしゃるわけでしてね。生活再建支援のための見舞金であるとか支援制度を独自につくってほしいという質問を今回したわけですが、拡充に向けてとか基金の設置については検討していきたいというような御答弁でありましたけども、そういう中でせめて被災したときは心配することがないというような県の姿勢もぜひ新年度に向けて示していっていただきたいと、このことを強く要望して、私の質問を終わりたいと思います。
○副議長(坂本 登君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で藤井健太郎君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時25分休憩
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