平成21年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(奥村規子議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後1時2分再開
○副議長(坂本 登君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 40番奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 議長のお許しを得ましたので、5つの項目について質問させていただきます。
 1つ目は、後期高齢者医療制度についてお尋ねをいたします。
 新政権は、後期高齢者医療制度について、新制度ができるまで廃止を先送りするという態度を示しました。制度が実施され、1年8カ月を経た今でも多くのお年寄りの皆さんが「なぜ年齢で区別するのかわからない」と疑問や不満、怒りの声がおさまりません。年をとったら医療費がかさむのは自然の成り行き、それを病気する老人は悪いように言われて、経済的にも精神的にも生きる力を奪うものだと抗議の声を上げています。不服申し立ては、昨年は県で86件、全国で1万398件に及び、ことしは県で71件あります。
 そもそも、この制度の根拠となる法律は高齢者の医療の確保に関する法律で、その目的は第1条に、「この法律は、国民の高齢期における適切な医療の確保を図るため、医療費の適正化を推進するための計画の作成と保険者による健康診査等の実施に関する措置を講ずる」とあり、医療費抑制が最大の目的になっています。
 もとの制度であった老人保健法は第1条に、「国民の老後における健康の保持と適切な医療の確保を図るため、疾病の予防、治療、機能訓練等の保健事業を総合的に実施し、もつて国民保健の向上及び老人福祉の増進を図ること」となっており、高齢者の健康の保持、適切な医療の確保を目的としたものでした。これを後期高齢者だけの別枠の保険をつくり、医療費の抑制を図る、こういう仕組みに変えたものです。これは人権を無視した世界に例のない悪法と言わざるを得ません。こういった悪法のもとで、これ以上国民の犠牲を広げることはすべきでないと考えます。
 また、このまま継続すれば、保険料は2年ごとに際限なく上がっていきます。来年度は全国平均で約12%も保険料が上がるという事態となっています。国民の立場に立つならば、すぐにやめるべきです。
 さらに、この制度にはほかにも問題があります。保険料滞納者への制裁として保険証を取り上げるとしていることです。1年以上の滞納者には正規の保険証は出さず、短期証や資格証に切りかえるというものです。
 和歌山市で保険料の滞納で短期保険証が発行されている方の状況を聞きました。
 ひとり暮らしの88歳のAさんは満州からの引揚者で、年金の掛金が捻出できず、年金はありません。後期高齢者医療制度が始まるまでは息子さんの保険に入っていたので保険料を納める必要がありませんでした。この制度になってからは保険料の負担をしなければいけないということがわかりませんでした。その結果、滞納状態になっており、短期保険証にも気づいていませんでした。今は滞納分も納め、通常の保険証を手にして月々の保険料も納めています。しかし、住居や水・光熱費以外の生活費は息子からもらう2万円で賄っており、日々の生活には大きな負担になっています。食費に通院費、介護保険料など、2万円でやりくりしなければなりません。往診で入院を勧められても応じようとしません。Aさんは、「最近、何のために生きてるんかなあと思うようになってきた」と言います。
 また、Bさんは、75歳の誕生日が来て、前期高齢者の妻と別保険になりました。年額40万円の年金の妻に5万円の国保料、Bさん本人には10万円の保険料がかかりますが、年金を担保にした借金の支払いにも困り、保険料を滞納しています。
 特養施設に入所しているCさんも、自営の仕事をしていました。無年金で短期保険証が発行されていました。
 79歳のDさんは、病院に入院中です。息子さんと孫の3人暮らしで、入院費は何とか工面できるということでしたが、本人は無年金です。
 いずれの方も、ぎりぎりの生活状態です。そのため、保険料が払えない、あるいは家族とは別の保険になったことに気づいていない方もいました。
 厚生労働省が明らかにした短期保険証の発行数は、平成21年10月1日時点で全国2万8000件を超え、当県では507件もありました。12月1日時点では387件となっています。こうした短期保険証の発行を繰り返した後、資格証が発行されるとなれば、大変な問題です。どんなに年金が少なくても、無年金でもすべての高齢者に保険料を課し、その結果払い切れない低所得の人たちの医療を奪う危険性のある制度は「うば捨て保険」と言われても仕方がないと思います。高齢者からの保険証の取り上げは直ちに命にかかわる問題となります。だからこそ、前の老人保健法では保険証を取り上げなかったのです。
 厚生労働省は、10月26日、全都道府県にあて、資格証の発行には悪質な人に限るということで、厳格を期すように通知を出しています。悪質かどうかの見きわめを自治体ができるのか、大変疑問に思います。他県には制度の理解ができずに滞納していた人が悪質とみなされ、無保険状態になっていたという事例もあります。
 そこで、福祉保健部長にお尋ねいたします。
 後期高齢者医療制度の開始から1年8カ月たちました。県民の皆さんの反応をどのように受けとめ、制度の問題点をどのように考えていますか。また、短期被保険者証、資格証明書発行に当たって、被保険者への対応はどうなっていますか。払えるのに払わない悪質な滞納者をどのように見分けるのでしょうか。資格証明書は発行しないようにすべきではないでしょうか。福祉保健部長、お答えください。
 次に、知事にお尋ねいたします。
 新政権は新制度を検討するとして廃止を先送りにしていますが、世界に例のない差別法であり、直ちに廃止して老人保健制度に戻すべきと考えます。これが高齢者の願いであり、生きる希望です。この制度の廃止をどのように受けとめているか。直ちに廃止するよう国に意見を上げる考えはないでしょうか。お答えいただきたいと思います。
 2つ目は、障害者自立支援法についてお尋ねいたします。
 2006年4月から障害者自立支援法が施行されました。福祉サービスや自立支援医療に導入された原則1割の応益負担がこの制度の根本的な矛盾、欠陥であることがますます明らかになっています。障害者が人間として当たり前の生活をするために必要な支援を益などとして負担を課すという応益負担は、憲法や福祉の理念に反すると考えます。重い負担のためにサービスの利用を抑制せざるを得なくなった障害者の方もいます。事業所に対する報酬単価の引き下げや日払い化で施設、事業所の経営は苦しくなり、廃園に追い込まれた施設もあります。「福祉は人」なのに、福祉労働者の離職や労働条件の悪化が深刻になっています。政府も利用料軽減等を含む特別対策緊急措置を実施せざるを得なくなりました。
 新政権が誕生し、鳩山首相が10月、国会の所信表明で障害者自立支援法の廃止を公約しました。長妻厚労相も、障害者自立支援法廃止と当事者の参画のもとで新法づくりをしていくことを約束しました。障害者の皆さん初め、県民の多くの皆さんの運動が実を結んだのだと思います。
 しかし、ここに来て新政権は公約実現の困難さを強調するようになってきており、障害者施策についてもサービス利用料の応益負担の廃止やサービス事業者の収入源である報酬単価の引き上げ、障害者施設の経営悪化を招いている報酬の日割り単価の見直しなど、切実な願いに反して先送りの姿勢が見られます。
 長妻厚労相は、4年間で応益負担から応能負担に変える新制度を創設すると説明しています。しかし、新法の実現を一日も一刻も早くというのが皆さんの願いではないでしょうか。障害者や家族は、食事やトイレなど障害者が生きていく上で不可欠な支援を益とみなして利用料を課す負担は、憲法違反だと裁判まで起こしています。障害者の福祉や医療は本来無料であるべきです。県としても、障害者の苦しみを改善する緊急対策を国に求めるべきだと思います。
 そこで、福祉保健部長にお聞きいたします。
 応益負担についてどのようにお考えでしょうか。また、就労支援B型の施設に働く職員は、「報酬が日払い制のため、利用者の顔がお金に見えてくることがある。こんな状況ではニーズに応じた支援が難しい。月払いに戻してほしい」と切実に訴えています。日割り計算による施設運営の影響をどのようにお考えですか。福祉保健部長お答えください。
 次に、3つ目の高校生の雇用対策の強化についてお尋ねいたします。
 国民生活の危機はますます深刻になり、失業率、有効求人倍率も史上最悪水準を記録しています。このような中で、当然、高校生初め新規卒業生の就職も厳しく、和歌山労働局の10月末時点の状況調査では、高卒生の求職者1756人に対し求人数は1167人、昨年より34%も減っています。製造業などが大きく減り、県内企業も県外企業も減少しています。求人倍率は0.66、就職内定率は県合計で55.6%、昨年同時期に比べ11.3ポイントも下がっています。女子は特に厳しく、10月末で48.6%と、半分以上が決まっていません。
 ことしの春の高校卒業生は、216人が就職できませんでした。来春は、それより厳しい状況が予想されます。就職を希望する高校生が、就職できないまま卒業していかなければならない、卒業と同時に失業という事態は、日本社会、和歌山県の未来にかかわる重要な課題です。高校現場や保護者の皆さん初め、関係者の皆さんも心を痛め、それぞれの立場や、従来にも増して連携をしながら就職を希望するすべての高校生に就職保障できるようにと必死に努力されています。
 このような中で、高校生と直接対応する進路就職担当者も過重勤務になっています。補助教員の配置など、予算措置をすることなど県としても特別な対策が必要と考えます。新規卒業予定の高校生の就職内定状況と対策について、教育長にお尋ねいたします。
 次に、商工観光労働部長にお聞きいたします。
 来春の高校新卒者の就職環境が厳しさを増している中、幾つかの県ではさまざまな対策が講じられようとしています。京都府では来年4月から高校新卒の未就職者を直接雇用し、職業訓練を受けてもらう支援事業を始めると発表しています。新潟県では医療介護分野に就職しやすくするなどの追加支援策を発表し、宮城県では高校生を採用する企業に、1カ月のみですが、1人15万円の奨励金を支給するとしています。
 卒業後の未就職者への支援は、県としても緊急に取り組むべき事項であると思いますが、どのような対策を考えておられますか。商工観光労働部長にお尋ねいたします。
 次に、4つ目の項目です。保育所の充実について、福祉保健部長にお尋ねいたします。
 22年度の県の新政策の基本方向として、県民生活に希望と安心をもたらす取り組みを重点と打ち出されています。そして、生活の安心を守る施策の展開の中の1つに子育て支援の充実が掲げられています。
 今、経済的格差による子供家庭の貧困が進んでいる中、先日、新政権がOECDが発表しているものと同様の計算方法で、日本の相対的貧困率及び子供の相対的貧困率を算出しました。最新の相対的貧困率は、2007年の調査で15.7%、子供の相対的貧困率は14.2%と発表しました。2006年に経済開発協力機構OECDが、OECD諸国の中で日本の相対的貧困率はアメリカに次いで高く、15.3%であると指摘し、貧困という問題が改めてクローズアップされるようになりました。OECDの調査では、2005年の日本の子供の貧困率は14.3%と報告されています。
 子供の貧困は、子育ての場である家庭環境の貧困であり、不健康、体力の低下、学力の低下、虐待を受けるなど、さまざまな問題を生む背景になっています。それは、子供の希望、意欲、やる気を奪い、生きる力を奪っていくものです。子供家庭への福祉にとって、最大の克服すべき問題ではないでしょうか。そういうことからも子育て支援のより一層の充実が求められています。
 中でも子供の豊かな発達を支え、県民のさまざまな保育要求にこたえるなど、保育所の果たしている役割は大変大きいと思います。子育て支援において大きな役割を担う保育所の充実・整備が必要です。
 そこで、福祉保健部長にお尋ねいたします。
 和歌山県の保育の現状をどのように把握していますか。保育の質の向上に向けて取り組んでいることは何ですか。以上、お答えください。
 最後に、5つ目の項目です。紀州材の販路拡大に向けた家づくり支援について、農林水産部長にお尋ねいたします。
 県土の7割を占める森林は、かけがえのない役割を持っています。森林を守り育てることは、県土を守ることにとどまらず、地球環境の保全という課題への大きな貢献でもあります。そのためにも、もう一度林業そのものが産業として再生することが必要であると考えています。
 森林県である和歌山にとって林業は、製材加工から住宅、家具等への利用まで、広いすそ野を持った産業です。また、低炭素社会に向け、バイオマス燃料を初めとして大きな可能性を持った産業であり、まさに地域経済と地域社会を支えることのでき得る産業です。
 私は、林業が産業としてすばらしい潜在力を持っていると考えています。森林の保全整備から木材が広く利用していただける環境整備に至るまで、本腰を入れた振興を図ることが大切だと考えています。現在、間伐などの森林整備や路網整備、機械化など、川上側への支援を強めながらも、今後は川下側の木材利用、いわゆる出口部分の施策の充実も必要であると考えております。
 そこで、木材の需要先と言えば何といっても住宅建築用資材としての利用がメーンになると思います。そんな中で、県では平成13年度から紀州材の利用を促進するため、紀州材を使用した家づくりに対し、1平方当たり2万円、1軒当たり最高20万円を限度として支援しているところであり、その申し込みは年々増加し、事業開始時に154件であったものが、本年度は406件と事業創設時に比べ約2.6倍にもなったと聞き、反響の大きさをあらわしているものだと感じているところです。
 しかしながら、家づくり支援事業は当初予算の範囲内で執行されており、毎年予算額を超える申し込みがあることから抽せんで採択を決め、本年度分についても、先日、抽せん会が行われたと聞いています。せっかく紀州材で家を建てても、結果的に支援を受けることのできる方とそうでない方がいるということは非常に残念なことであります。私は、地域の木材がその地域で利用されることは、林業の再生のみならず運搬による二酸化炭素の排出削減など、地球環境保全の観点からも重要であり、県内での需要拡大施策として思い切って予算を振り向け、家づくり支援の拡充をすべきだと考えますが、農林水産部長のお考えをお伺いいたします。
 以上で、第1回目の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの奥村規子君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 後期高齢者医療制度についてお答え申し上げます。
 高齢化に伴い医療費の一層の増大が見込まれる中、この制度は、国民皆保険制度を将来にわたり維持するため、若年世代と高齢者でともに支え合う制度として、そういう思想のもとに設けられたものと認識しております。
 一方、高齢者を年齢で区分し、医療費増加に比例して保険料が増加するなどといった問題点が各方面から指摘されたことを踏まえ、国においては平成25年度の施行に向けて、後期高齢者医療制度廃止後の新たな制度のあり方について検討が開始されたところであります。
 新政権は、他の制度は拙速とか言われるようなスピードで判断をどんどんしておられますが、本件は、平成25年度の施行に向けてじっくり検討をしておられます。これは、本件のような根幹にかかわる、特に保険制度みたいなものは大変難しくて、こちらを立てればあちらが立たんとか、そういうことになるということをよく考えられて、また、たび重なる拙速な制度の見直しは、被保険者の方々と、それからそれを実施する地方行政に、あるいは地方財政に不安と混乱を招くことが懸念されるためであると思います。十分な検討と準備を行った上で新制度に移行する方針とされたものと理解しております。
 県といたしましては、県民の信頼が得られる制度となるように、この検討の国の動向を注視するとともに、必要に応じて国に働きかけてまいりたいと考えております。
○副議長(坂本 登君) 福祉保健部長北田佳秀君。
  〔北田佳秀君、登壇〕
○福祉保健部長(北田佳秀君) 後期高齢者医療制度の2点についてお答え申し上げます。
 まず、後期高齢者医療制度につきましては、制度発足当初、被保険者証や保険料の賦課徴収に関する問い合わせや意見を多数いただきました。窓口である後期高齢者医療広域連合と市町村からは、最近は保険料等に係る問い合わせ以外、制度に対する苦情や意見はそれほど多くはないというふうに聞いてございます。
 この制度につきましては、各方面から問題点が指摘されてきたことは承知しておりますが、昨年6月以降、新たな保険料軽減措置の追加や年金からの特別徴収制度を口座振替との選択制へと見直すなど、きめ細かな改善策が実施され、県内の情勢といたしましては、おおむね制度が安定してきた段階にあると考えております。
 次に、短期被保険者証の交付につきましては、保険料滞納者に対する納付相談の機会を確保するための制度であることから、保険料の分割納付など、その方々の収入や生活状況に応じた相談指導を行うよう市町村を指導しております。
 また、資格証明書につきましては、交付に当たり滞納者の生活状況を電話や個別訪問等により市町村が十分に把握した上で、後期高齢者医療広域連合が交付することとなっております。
 現在、資格証明書の交付実績はございませんが、国においては原則として交付しないことを基本的な方針としております。県といたしましては、国の方針を踏まえ、後期高齢者医療広域連合に対し、資格証明書の交付により必要な医療を受ける機会が損なわれることがないように厳格な運用の徹底を指導しております。
 次に、障害者自立支援法に関する2点についてお答え申し上げます。
 まず、応益負担につきましては、障害のある方もサービス利用量に応じた負担と食事等の実費を負担していただき、持続可能な仕組みとなるよう導入された制度であります。しかしながら、この制度改正が抜本的であったことから、国に対し利用者負担の見直しを要望してきた結果、大幅な負担軽減がなされたところであります。
 国におきましては、障害者自立支援法は廃止し、利用者の応能負担を基本とする総合的な制度が検討されているところであります。県といたしましては、持続可能な仕組みになるとともに、ニーズに応じた適正な制度として障害のある方が地域で福祉サービスを選択、利用できるようになることが重要であると考えております。
 次に、報酬の日割り計算による施設運営への影響についてでございますが、障害者自立支援法の施行により、利用日数にかかわらず計算される月額方式から日割り計算による日額方式に改正されたことから、通所施設等において収入が減少いたしました。この収入の減少による施設運営への影響が大きかったことから、国において、定員を超えての受け入れや通所施設の開所日数をふやすなど、弾力的な措置が講じられるとともに、法施行前の報酬額の9割が保障されております。
 また、本年度から5.1%の報酬単価の引き上げが実施され、施設運営は改善してきたものと考えておりますが、引き続き円滑な施設運営ができるよう支援してまいります。
 次に、保育所の充実についての2点にお答え申し上げます。
 まず、保育所の現状についてでございますが、保育所は、子供の最善の利益を考慮し、その福祉を積極的に増進することに最もふさわしい生活の場でなければならないという理念に基づき運営されるべきものと考えております。
 県所管の保育所の現状につきましては、そのような観点に立ち、毎年実施している指導監査の中で、その運営等について詳細かつ的確な把握に努めております。また、施設に改善すべき事項があった場合には厳正に指導しており、改善の確認等も速やかに行っております。
 次に、保育の質の向上についてでございます。
 保育の質の向上を図ることは、まさしく保育所という現場で頑張っていただいている方々の取り組みいかんにかかっており、そういう意味からも県では職員の研修には力を入れてございます。
 特にすべての研修を幼稚園・保育所職員合同研修として、経験年数別、担当業務別などで実施しており、このことは就学前の児童の教育と保育に携わる職員同士が情報を共有し、専門性をさらに磨くことにつながっていくものと考えております。
 そのほかにも食育を推進するための研修や、県職員が直接保育所に赴く研修を実施するなど、現場と一体となって取り組んでおります。
 なお、各保育所の設置主体に対し外部評価の導入なども働きかけており、このような取り組みも保育の質の向上に役立つのではないかと考えております。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 高校卒業生未就職者への支援策につきましてお答えさせていただきます。
 高校生の就職支援につきましては、卒業時までの就職支援を最重点に、関係機関と連携しながらさまざまな対策を講じておりますが、議員御指摘のとおり、高校生を取り巻く雇用環境は例年以上に厳しいため、多くの生徒が卒業時において未就職となるのではないかと大いに心配しております。
 このような生徒に対しましては、ジョブカフェ・わかやまに緊急雇用創出事業臨時特例基金を活用したコーディネーターを追加配置し、ハローワークや教育委員会の就職支援員等との連携強化のもと、カウンセリングや企業訪問等を実施しながら対応してまいりたいと考えてございます。
 また、将来の安定的な就職につなげるためにも職業訓練の実施は重要な事項であり、今般、政府の追加経済対策に盛り込まれた高校新卒者の職業訓練制度について情報収集を図るとともに、その活用を図ってまいりたいと考えてございます。
○副議長(坂本 登君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 紀州材の販路拡大に向けた家づくり支援の拡充についてでございますが、議員お話しのように、平成13年度から県単独事業として乾燥紀州材を利用した木造住宅の建設に対しまして、20万円を限度とした助成を行ってございます。
 これまで申込者数につきましては、年々増加しておりまして、本年度は約2倍の406名の申し込みとなってございます。
 県といたしましては、厳しい財政事情の中ではございますが、今後とも木材の関係者、建築・設計関係者等の意見も聞きながら紀州材を活用した家づくり支援に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○副議長(坂本 登君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 新規卒業予定の高校生の就職内定状況と対策についてお答えいたします。
 雇用状況の悪化に伴いまして、昨年に比べてさらに本年の就職状況は極めて厳しく、今後、就職が決まらずに卒業する生徒ややむなく進学へと進路を変更する生徒がふえる可能性があると懸念しております。
 県教育委員会では、和歌山労働局及び県労働関係部局等と連携をし、さまざまな対策を講じているところです。経済5団体に対する求人要請につきましても、7月に続いて10月に重ねて行いまして、雇用拡大の協力を強く要望してまいりました。
 また、就職が内定していない生徒に対しては、企業の合同面接会の機会をふやし、11月から県内各地で計6回開催しているところです。さらに、高等学校の就職担当教員等とハローワークやジョブカフェにおいて就職支援に携わっている支援員との連絡会議を設置いたしまして、就職関連情報を共有するとともに、こうした支援員等の協力を得て生徒1人1人の希望を丁寧に聞き、求人情報と照らしながら手厚く支援する体制を整えているところです。
 議員御指摘の就職を支援する人の配置につきましても、前向きに検討してまいりたいと考えております。
 今後とも1人でも多くの生徒の希望がかなうよう、各学校とともに全力を挙げて取り組んでまいります。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ございません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再質問を許します。
 40番奥村規子君。
○奥村規子君 答弁をいただきました。それで、後期高齢者医療制度について再度質問をさせていただきたいと思いますが、先ほど事例でAさんと申し上げましたが、その方のことをもう少し知っていただきたいと思います。
 Aさんという方は、88歳で、女性の方です。現在はひとり暮らししてるわけですけども、若いとき、20歳過ぎのころから台湾のほうに渡り、そして広東に行き、軍の賄いをしながら生活をして、その後、終戦を迎え、そのときには大変な思いをされたわけです。当時は固まりで──1人1人じゃなくって、この方の場合は11人ほど固まって、夜も含めて逃げたわけですけども、そのときに生まれたての子供も一緒だったんです。同じその11人の固まりの中でも、集団の中でも、そういう小さい子供を抱えながら逃げ回ったと言われていました。そして、子供が泣くので川に捨てたということを言われてるんです。それは一緒に逃げ回っていた人たちの中で、子供が泣くとみんなにも危険が及ぶので川に捨てざるを得なかったと、そういった経験をされ、自分の子供は幸いにおとなしかったので、泣くことがなかったので助かったと。そういった経験をしながら生き延びて、戦後をずっと過ごしてきたその方が、今、歩けるうちに、紀の川まで歩けるというふうに言われています。そして、その大変な中で、死ぬことさえ、寝たきりになったらできないのでというようなことも言われていました。
 先ほどは無年金でと言いましたので、息子さんからの2万円のお金で何とかやっているので、こういう生活保護の制度もありますよという話もしたんですけども、その2万円を持ってきてくれる息子さんとの関係がそれで切れてしまうんじゃないかと、そういう思いで、それでもその2万円を持ってきてくれるので、息子が家に訪ねてきてくれると、そんな思いで過ごしてるその方を本当に──知事は先ほど社会保障で、こういったことを皆さんが負担していくということでは、あちらが立てばこちらが立たず──こちらが立たないんですよ、この高齢者の本当に大変な人が。そういう思いでやはりせっかく──これを廃止するというふうになってるこの制度に対して、私は知事がどんなふうに思われてるのかを問いたかったわけです。
 その点で──こういったお年寄りは別に特別なお年寄りではないと思うんです。この方のことをどう思われるのかを再度質問したいと思います。
 それと、福祉保健部長にもう一度お尋ねするんですが、こういう方たちが短期保険証を受け取るわけです。先ほど、短期保険証になった人に丁寧な相談とかそういったことでお話しされていましたが、短期保険証を発行しなければいけない時点で、この方たちの本当に非課税とかいろんな状況、税金の納めてる状況やいろんなことがわかると思うんです。そのときになぜやっぱりきちっと相談や──それでまた、いろんなことを本当にお話しできるチャンスでもあると思うんですが。
 今先ほどの中でも300何人ほど現在あると。これもわかっていることだと思うんです。だから、資格証を発行するということで、悪徳かどうかでない──悪徳でお金を持ってる人は、もう払わなかったら、お金を持ってるんだから医療にもかかれる可能性が高いと思うんですけど、この仕組みはやっぱりそういった所得が厳しい人たちに対しても非常に冷たい制度だということを私は感じているんです。
 そういう意味でも、ぜひこの資格証は、特に大変な人には発行しない。和歌山県としてもやっぱり発行しない。また、短期保険証の場合は、発行する前にやはり丁寧に相談して、何らかの支援もそれと同時に考えていくということで、非常に温かい政治になっていくんじゃないかと思うんです。
 私は、知事の県政報告会というところにも行かせていただいたんですけど、やっぱり先ほども、政治は正義でなくっちゃいけないと言われたその思いを、社会保障制度をよくしていくという中でも厳しい暮らしを、この雇用が大変な中でも一層厳しい状況になってると思うんです。そこへぜひ心を寄せていただいて、こちらが立てばあちらが立たずじゃなくって、立たないその状況の中で支援をぜひしていっていただきたいなと思います。
 再質問は、先ほどの短期保険証の発行のあり方、それについてぜひ答弁いただきたいのと、この女性がこんな思いをしてるこの状況に対して知事がどう思われるのか、ぜひ答弁をよろしくお願いしたいと思います。
○副議長(坂本 登君) 再質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 今の奥村議員の再質問にお答えしたいと思います。
 奥村議員が言われたそのAさんという方に対する同情とか、あるいはその方を何とか救ってあげたいなとか、そういうような気持ち、それから一般に言えばこういう方がいろんな事情でたくさんいらっしゃるのを何とか全体として泣く人がないように、見捨てないようにするということが大事なことであって、それをどうやって何とかしていくかなということを考えようという意味においては、私は奥村議員に落ちるものではないというふうに思います。
 ただ、政治とか行政とかいうのは、それをどういう制度によって救い、その制度をつくることによって、ある目的を達するときに他の目的、例えば増税になったり、ほかの負担者の方が不公平だと思われることのないような、そういう制度をつくることによってできるだけ多くの人を助けるというのが多分政治の提要であるというふうに思います。それが私のような立場にいる人、それから奥村議員のような議員さん、あるいは、もっと言うと国政をあずかる、本県で言えばそのとおりですが、そういう方々が本当に真摯に考えなきゃいけないことだというふうに思うわけでございます。でございますので、私は先ほどのような答弁をさしていただいたということでございます。
○副議長(坂本 登君) 福祉保健部長北田佳秀君。
  〔北田佳秀君、登壇〕
○福祉保健部長(北田佳秀君) 短期被保険者証の議員御指摘のような被保険者への対応についての再質問にお答えいたします。
 短期被保険者証の交付につきましては、その交付前においても市町村が滞納者の方と納付相談を行うということが必要と考えております。私どもとしても、市町村が滞納者の収入や生活状況を把握し、保険料の分割納付など、その方の状況に応じた適切な納付相談に努めた上で短期被保険者証を交付するよう市町村と後期高齢者医療広域連合を指導してまいりたいと、そのように考えております。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再々質問を許します。
 40番奥村規子君。
○奥村規子君 あと、要望だけさせていただきます。
 高校生の来春卒業される方の、非常に厳しいということではおっしゃってくださったんですが、私も娘が就職するときには本当にいろいろと悩んだり、就職状況の中で十分選択できるとか、そういうことではない状況もある中で、今、親御さんの気持ちとか保護者の皆さんというのも大変な思いを、何よりも当人が大変な思いをしていると思うんです。
 そういった中で、先ほど答弁の中でも、関係者の皆さん、できるだけ全力をかけてとおっしゃってくれたんですが、この高校生というのは、教育委員会の進路状況という中でも、和歌山で就職するという方が本当にたくさんいらっしゃるんですね。ここでは和歌山県69.5%って──20年度ですけども──書かれてる中で、これから本当に和歌山を背負って、和歌山で開いていく貴重な人材の方をぜひ、私は、できるだけ多くではなくて、1人1人を大切にするということではやっぱり100%何とか就職ができるように、そういうことをぜひ県挙げて力を注いでいただきたいなあと強く思います。ぜひよろしくお願いしたいなあ。
 以前、京都での知事をされた方が「15の春は泣かせない」と、全員高校入学のことをそういうふうに言われた中で、本当に全員、18歳の子供を泣かせないというつもりでぜひ取り組んでいただきたいなと切にお願いいたします。
 もう1つは、自立支援法の中で、ことし単価、報酬が引き上がったりして改善してる部分もあるということも言われたんですが、実際、先ほどの質問の中にも、働いている人の中で、確かにまだまだ実感できない、もともと非常に賃金が低かったところに改善されたというところはあると思うんですけど、やはり今の改善された中でも大変な状況ということでは、ぜひ実態をつかんでいただきたいなあというふうにまた思います。
 ぜひよろしくお願いして、再々質問を要望としてよろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
○副議長(坂本 登君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で奥村規子君の質問が終了いたしました。

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