平成21年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(長坂隆司議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前10時0分開議
○議長(冨安民浩君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第155号及び議案第164号から議案第180号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 36番長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 おはようございます。議長のお許しをちょうだいいたしましたので、以下、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 まず、和歌山県のがん対策についてであります。
 去る10月22日、那賀病院で毎月2回行われています那賀いきいきサロンという、がん患者、家族の方と医療スタッフが加わってお互いの不安や悩みを話し合う場を見学に行ってまいりました。医療スタッフの方が事務局長となって、おいしいコーヒーを飲みながら実際に治療を施す医師のバックアップもいただいて、看護師さんのお話と、それに対する患者さんの真剣な質問、そして患者さんも一生懸命勉強された知識を持っていらっしゃって、熱のこもった、でも雰囲気の和やかな交流会でありました。
 患者会代表世話人の石井さんも自分の病気体験を生かして、サロンの中で「同じ病気の経験者として心を閉ざしている人にも話をする場所を与えられたら。だれも来ない日があっても続けていく」と、仲間の患者さんにとっても心強いお話をされています。部屋に入り切れないぐらい、15人を超える方が集まっておられました。
 そんながんサロン発祥の地である島根県で、去る9月21日、第1回全国がんサロン交流会が開催され、那賀いきいきサロンからも患者さんお2人と事務局長さんが参加されました。ボランティアスタッフを含め、参加総数約800名、島根県外から約250名もの参加があったそうです。
 がんは、島根県における死亡原因の第1位となっており、平成17年度から県独自の事業として島根がん対策強化事業に取り組んできました。国において、平成18年6月、がん対策基本法が成立。同年9月に、島根県議会議員全員の提案により、全国初の条例である島根県がん対策推進条例が制定され、平成20年3月には島根県がん対策推進計画が策定されて、がん予防の推進、がん医療水準の向上、患者支援の3つの柱として総合的がん対策に取り組んでいます。島根県がん対策推進計画策定に係る島根県がん対策推進協議会には4人の患者委員がいて、患者の声を計画に反映しています。
 患者支援として定期的な意見交換会の開催、サロンのリーダー育成、がん患者塾の開講など、患者の視点に立った施策が充実しています。平成19年にはお茶とかバナナを買うと消費者が募金することになる企業参加のがん対策募金が始まり、2009年9月末現在、約6億4000万円も集まっているそうであります。
 がんサロンは、がん患者や家族などの方々が病院の会議室や保健センターなどに集まってお互いの療養体験を語り合ったり、がん医療の最新情報などを学習したりしています。がんサロンの一番のメリットは、患者さんはサロンでの交流で闘病する勇気をもらい、非常に前向きになることだと言います。
 現在、県内に22カ所も開設され、だれでも参加できます。教育機関も積極的にかかわり、島根県立短期大学部看護学科では、1年生の授業の一環として学生をがんサロンに行かせています。つらい思いをしているだけでなく、前向きに取り組む患者さんもいることを知って、当事者の力を信じて、その力を生かすために私たち看護者が何ができるか考えるようになっていると平野教授は指摘しています。
 島根県のがん対策は、がん患者とその家族、病院、企業、メディア、行政、議会、教育が一体となった七位一体を基本に進められており、まさに全国的に島根モデルとして注目を浴びています。参加した感想として、人間関係がオープンで、仲間同士の助け合いの大切さを実感したし、患者、医療スタッフが同じ目線でサロンに集えており、垣根がなく、みんな同じ方向を向いていると言っておられました。
 さて、質問に移りますが、1、平成19年10月、和歌山県立医科大学附属病院に化学療法センターが設置され、本年10月には和歌山県立医科大学附属病院腫瘍センターが設立されたと聞きます。平成20年3月に和歌山県も和歌山県がん対策推進計画が策定されましたが、これをさらに具体的に実践していくために、これまでの県下の各がん手術件数を踏まえて、がん診療に必要な医師や看護師などの医療スタッフの充実が望まれますが、がん診療連携拠点病院の現状はいかがでしょうか。福祉保健部長、お願いいたします。
 2点目に、本県においても6つのがん診療連携拠点病院があります。それぞれに専任の相談員を配置した相談支援センターが設置されていると思いますが、どのような利用状況でしょうか。福祉保健部長、お答えください。
 3点目に、和歌山県下においても那賀病院以外に患者会ができている病院もあると聞いていますが、がん患者の皆さんがつらくて悲しい思いを前向きな気持ちに変えて、メンバー同士で情報交換をしながら連携して、その中で患者の声を行政や医療関係者へ伝えていき、ひいてはがん対策を大きく変えていく、そんな力ががんサロンにはあると思います。ぜひ各地の患者会をバックアップしていける患者の目線に立ったがん患者支援を行っていただきたいし、がんサロンの普及に力を注いでいただきたいと思いますが、福祉保健部長、いかがでしょうか。
 4点目に、がん予防には何より早期検診が望まれますが、和歌山県がん対策推進計画において5年以内の各がん検診の受診率を50%以上にするという目標値が掲げられていますが、それを実現させるためには企業、団体などの職域検診や住民検診を義務化するような手だてが必要ではないかと思いますが、県のお考えを福祉保健部長、お聞かせください。
 2点目に、和歌山県の医療についてであります。
 去る11月19日、第6回近畿6府県議員交流フォーラムの医療分科会に冨安県議会議長とともに参加させていただきました。地域医療の維持・再生のための方策をテーマに各府県の議員さんの熱心な取り組みぶり、特に救急のたらい回しによる死亡事故があった府県の危機感を持った熱を帯びたお話も聞かせていただきました。
 そこで質問ですが、1つ目、近畿の議員交流フォーラムでも問題点として挙げられていましたが、精神科の救急の問題であります。夜間、精神科で対応できる医者が少ないという県もありましたが、以前、平成13年6月議会において私も精神科の医療について、特に県下の精神科救急医療システムについてお尋ねしたところ、医療圏を紀北、紀中、紀南の3ブロックに分けて、紀北では輪番制を設けて対応しているとお答えいただきましたし、紀北ブロックについては、私も男性の看護師と医療スタッフが不足していることを理由に挙げましたが、県立医科大学附属病院も視野に入れて検討してまいると答弁いただいております。最近の本県の精神科救急医療システムが問題なく機能しているかどうか、そして県立医科大学附属病院の精神科の救急患者の受け入れはどんな状況なのか、福祉保健部長にお伺いいたします。
 2点目に、総務省のモデル事業で、10月1日から愛知、奈良両県と大阪市において♯7119に固定電話や携帯電話からかけると、看護師や救急救命士らが症状などを尋ねてくれて、より詳しい診断が、必要なときは医師が相談に加わってくれる救急安心センターができました。病気に急いでいく必要があれば、救急車での搬送が必要と教えてくれ、症状が軽くみずから病院に行けると判断されれば、対象となる診療科のある最寄りの病院を紹介してくれます。急を要さない救急車の出動を抑え、救える命をふやすのがねらいです。
 センターが病院ごとの受け入れ状況を一元的に管理し、急病人を短時間で運べる利点も期待できます。総務省も、モデル事業で効果や課題を整理し、全国に整えたいとしています。
 和歌山県においては、この救急相談♯7119の導入予定はいかがでしょうか。危機管理監にお伺いいたします。
 3点目に、和歌山県においては、医療の充実から言えば、当局や県立医大の御尽力で地域による医療格差は改善されてきているとはいえ、厳然として南北格差はあります。全県的に医療レベルを高めていくためにも、技術的にも人的にも地域的な医療格差を解消していくコーディネートを県当局が指導して行っていただきたい。そのために、全県的に卒業生や研修生のネットワークが持てる和歌山県立医科大学の現場の医療状況を熟知している中堅幹部医師を、保健所のみならず、県行政の、例えば福祉保健部の要職に配置して県の医療福祉行政のさらなる充実を図ってみてはどうかと思いますが、いかがですか。知事にお伺いいたします。
 3点目に、COP15とサイクリングについてであります。
 去る12月7日、デンマーク・コペンハーゲンにて、2013年以降の温暖化対策を決める国連の気候変動枠組み条約第15回締約国会議、COP15が始まりました。先進国全体が2020年までに温室効果ガスを削減する目標や途上国全体の削減割合を定め、2020年までに世界全体の排出量を減少に転じさせることを目指しています。途上国側も、産業革命以降、化石燃料を燃やしてCO2を吐き出し続けた先進国の歴史的責任があるとして反発しており、現行のアメリカを除く先進国のみが削減義務を負う京都議定書にかわる新議定書の採択が困難な状況も見られています。
 そんなCOP15に向けて、京都議定書からコペンハーゲン議定書への流れをつくろうとして、ことし5月に全国9カ所で開催されたのが「デンマーク大使と走ろう、エコサイクリング」大会でした。
 和歌山県和歌山市も開催場所の1つとして、和歌山城を起点に、県、市町村の協力のもと、215名がサイクリングに参加いただきました。当日は、デンマーク大使や二階前経済産業大臣、鶴保議員とともに仁坂知事も県幹部職員さんと一緒に、和歌山市長と一緒に走っていただきました。
 私も実行委員長として当初からかかわりましたが、CO2削減には自動車のかわりに環境に優しい自転車に乗って、同時に観光アピールも行おうということで市内3コースを設定して1人平均約34キロ走りました。自動車1台当たり1キロにつき約230グラムのCO2を排出、自転車だと1キロにつき約0.7グラムの排出という基準で計算いたしますと、和歌山大会においては、走行距離合計が7262キロ、CO2排出の削減が1670キロという結果が出たわけであります。
 そこで質問ですが、1つ目、エコサイクリング大会当日、仁坂知事よりデンマーク首相あてにCOP15会議開催に当たって、デンマーク大使にメッセージを伝達いただきました。今、COP15が開催されておりますが、仁坂知事の和歌山県の環境を守っていこうという強い思いを改めてお聞かせください。
 2点目に、平成19年11月10日と11日に和歌山市の片男波と和歌山城を起点に全国サイクリング大会を開催させていただきましたが、これに前後して国交省、和歌山県には、これを契機に紀の川河川敷、沿道を中心にサイクリングロードの整備に大きな御尽力をいただいております。今、和歌山県サイクリング協会ではサイクリングマップを考えております。エコ、観光、そして健康をアピールするサイクリングの振興に寄与できればというものであります。
 最近、国交省の和歌山河川国道事務所で紀の川堤防道路現況図というのをつくっていただいております。(資料提示)これ、ちょっとぱーっと伸ばし切れないんですけど、和歌山港から、この紀の川大橋からサイクリングロードに入るわけですね。ここからずうっとサイクリングロードが整備されておりまして、小豆島からもう少し行くと西田井、そこでちょん切れておりまして、ここから県道のほうへ上っていかざるを得ません。そして、今現在、国交省和歌山河川国道事務所でこの和歌山市小豆島から岩出市の大宮緑地公園までのサイクリングに利用できる河川敷道路、そして紀の川市の名手川──ここからずっと行くんですね──この春日川も、いわで御殿のところをちょっと県に整備いただいたことがあります。
 ずうっと紀の川、これ、岩出市から紀の川市へ走る。これは北岸も南岸もいろいろバリエーションを楽しんでいただくわけであります。そして、名手川というのが旧那賀町にありますが、ここの河口の東側から妹背橋ですね──ここですかね──ここまでの堤防道路の整備も国交省のほうで御検討いただいております。一部県の区間も御検討いただいてるわけであります。
 そして、これが背ノ山から──これはちょっと自分でつくったんですけど──かつらぎ町のほう、これ、ずうっと河川敷ですね。そして、河川敷のほう、小さな川の周囲も県にも御配慮いただこうとしてるんですが、そこからこのかつらぎ町の三谷橋を渡って九度山のほうへ地道を走らせると。そして、慈尊院へ到達するという格好になっております。
 那賀高校生徒のマラソンコースとして、折り返しでフルマラソンのコースもとれますし、岩出市方面からの通勤にも好都合だという御意見も多いと聞いております。
 また、紀の川市農地課のほうでは、青洲の里からかつらぎ町との市境までの遊歩道工事にことし10月から取りかかっていただいております。紀の川支川部の県管理区間につきましても、御配慮いただいております。
 和歌山市から世界遺産の高野の玄関口である九度山町の慈尊院までつながれば、まさに和歌山市から高野の世界遺産へ通じるサイクリングロードができます。その後、エコへつなげるためにJR西日本にお願いをしまして、和歌山市から橋本市まで土日に臨時に一部車両のスペースを提供いただいてサイクルトレインを走らせていただいて、帰りは自転車で帰ってこられる取り組みが実現できればCO2削減に寄与できるのではないでしょうか。
 紀の川の支流貴志川の土手は、サイクリングにぴったりの道路が続いております。また、貴志川線の伊太祁曽駅では、この秋からたま自転車としてレンタサイクルを開始して、大池遊園駅から甘露寺前駅近くの平池緑地公園の快適な田園風景を通り抜けて、終点の貴志駅は猫のたま駅長をあしらったデザインに変貌していくようであります。
 ぜひ県当局におかれましては、和歌山県の持つ魅力のアピールのためにも、和歌山市から高野の世界遺産につながる紀の川沿線のサイクリングロード整備に、国を初め関係市町とともに取り組んでいただきたいと思いますが、知事、いかがですか。
 4点目に、南海電鉄和大新駅(仮称)についてであります。
 1番目、平成26年には6500世帯、約3万人の人口を構想している和大学園前ふじと台でありますが、和歌山市中地区で進められています1日の乗降客数約6000人が見込まれるという和大新駅(仮称)の完成が待たれます。和大新駅の建設工事は、2007年7月に着工、総事業費約33億円をかけて、完成は平成23年度とお聞きしておりますが、現在の進捗状況を教えてください。企画部長にお伺いいたします。
 2点目に、私はバス乗り場が自宅のごく近くにありますんで、関空からの飛行機利用の出張にはリムジンバスをよく利用させていただきますが、どの時間帯も結構たくさんの関空利用の乗客がいらっしゃいます。南海電鉄を利用しますと、現在は泉佐野駅での乗り継ぎが必要で、乗りかえ時間の御配慮は十分いただいておるのですが、この和大新駅完成を目途に、時間帯によっては和歌山市駅から直接関西国際空港へ乗り入れできるように直行列車も走らせていただけますよう、南海電鉄のほうへぜひ申し入れを行っていただきたいと思いますが、企画部長、いかがですか。
 5点目に、科学技術振興機構(JST)の地域産学官共同研究拠点整備事業についてであります。
 国の平成21年度補正予算で、文部科学省から独立行政法人科学技術振興機構(JST)へ695億円の補助金を出して、各都道府県に地域産学官共同研究拠点を整備し、産学官連携の総合的な取り組みを加速することにより地域の特性を生かした産学官共同研究を推進するとともに、研究成果の地域企業への展開を図ろうと、具体的には地域ニーズに合った共同研究や企業の施設、機器・装置の計画に対し、1件5億から30億円のJST施設整備補助金の支援を行うものでした。
 本県も和歌山県産学官共同研究プロジェクト推進センター(仮称)整備構想を立て、JSTのほうへ8月以降申請、ヒアリングを重ねていたところ、政権が交代して695億円の予算が263億円程度に減らされ、施設はだめ、地域にシーズのある共同研究に資する機器・装置の計画に対する補助に限定し、都道府県も絞られるという方針変更を行いました。
 県当局も県内3大学等関係機関との協議を重ねた上、12月初め、最終要望案をまとめてJSTへ提出したものの、今回選に漏れたことをお伺いいたしました。和歌山県もJSTと鋭意折衝いただいたと思いますが、せっかく本県の科学技術振興を図るために県新技術創出推進条例も9月議会で成立、そして地域にシーズのある全国有数の農産物資源を活用した食品加工などの研究開発のさらなる充実を私も楽しみにしておりましたが、まことに残念でなりません。
 そこで質問ですが、1つ目、今回なぜ和歌山県はJST資金獲得に失敗したのか、反省と検証は必要だろうと思います。最終的にどんなテーマ、戦略のもとに要望書を出したのでしょうか。あれもこれもと多岐にわたり過ぎてテーマが絞り切れなかったのではないですか。本県の持つ地域資源やポテンシャルを生かして、地域振興を図れる絶好のチャンスであったのです。ぜひ猛省いただいて、今後の教訓を引き出していただきたいものであります。強く要望させていただきます。
 2点目に、行政刷新会議の事業仕分けで、和歌山県において現在進行中の文部科学省の都市エリア産学官連携促進事業も廃止ということになってしまうそうですが、せっかくこの1年間、大学、企業などの協力も得て進めてきた研究事業であります。県におかれましては、この研究の中から実を結びそうなものだけでも選んで継続的な研究を行っていただきたいと思いますが、知事、いかがでしょうか。
 以上5点、第1回目の質問を終わらせていただきます。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、県当局と県立医科大学の交流についてでございます。
 県民の健康と生命を守ることは県政の重要な役割であると認識しており、県立医科大学の関係者とは平素から医療現場や医学研究の実情を踏まえた情報交換や協議の機会を十分に確保し、県立医科大学の医療体制のさらなる向上と県の保健医療行政の適切な推進に向けてお互いに大いに協力しているところでございます。
 私自身に関しても、多分歴代の知事の中では一番、医科大学の幹部──学長以下としょっちゅう情報交換をして協力していただいているということかなというふうには思います。
 特に医師確保とか救急医療とかがん対策などの現に直面している重要課題には、県行政と県立医科大学が一体となって取り組んでいるところであります。
 御提案の人事交流については、私はいいアイデアだと思いますが、一方で医師自身が深刻な医師不足下で、そういう中で医師を抜けるかという議論もあります。それから、そもそも行政官をやりたいか、あるいはやることができるか、つまりそういう能力が割合向いてるか、そういう問題もありまして、これは検討課題とさしていただきたいと思います。
 いずれにしても、御趣旨を呈して、県立医科大学との連携を積極的に進めてまいりたいと考えております。
 次にCOP15についてでございますが、これは、将来の世代によりよい環境を引き継ぐべき理想と経済発展を阻害できないという現実のはざまで各国の思惑が交錯し、難航する交渉を目の当たりにして、この問題の難しさを改めて感じております。ただ、地球温暖化対策というのは人類共通の危機管理でありますので、すべての方がこれに対して力を合わせるべきだというふうに思います。
 これからの道のりは決してたやすいものではありませんけれども、よりよい地球環境を未来の子供たちに残すために、本県においても、世界が皆そうでありますが、その自然的・社会的条件を踏まえた地球温暖化対策を推し進める必要があると思います。
 このため、今後加速化する国の温暖化対策と一体となって、県内各層における省エネルギー対策や太陽光発電など再生可能エネルギー導入、本県の特性を生かした森林整備による二酸化炭素吸収源対策等を積極的に推進してまいりたいと考えております。これが、エコサイクリング大会で、御指摘のようにデンマーク大使に示した環境と経済が両立した持続可能な低炭素社会の構築という提言、宣言といいますか、それに対する我々の努力になるんじゃないかと思います。できるところは、県を挙げて、すなわち県民が皆協力して積極的に取り組んでいくべきだと思いますし、そのように努力したいと思っております。
 次に、サイクリングロードでございます。
 近年、健康志向やエコに対する関心が高まっていることから、環境に優しく身近な交通手段である自転車に注目が集まっております。
 自転車の利用は、県民の健康増進やCO2の削減にもちろん資するわけでありますが、地域の新たな観光振興のツールとして活用が見込まれるために、県といたしましては自転車の利用促進に努めてまいりたいと思います。
 特に最後の観光という面は、これは和歌山にとってはかなりいい玉になるのではないかというふうに思っておりまして、議員御要望の紀の川沿線のサイクリングロード整備につきましては、実は私も内部で検討を命じていたところであります。その結果、ちょっと申し上げますと、御指摘のように既に使える部分がかなりあると同時に、沿線の既存道路の整備状況とか、あるいは実は一部地形がありまして、こういうところで難しいところもあるということもわかっております。本日の御議論をもとに、一層検討に拍車をかけてまいりたいと考えております。
 次に、科学技術振興機構のいろいろな振興策であります。
 実は、残念ながら、御指摘のように、もともと施設をつくってあげるという不況対策で始まった議論が、新政権になりまして、科学技術の振興のソフト振興になりました。これで、我々はもともと別に施設が要るわけではなかったので、ちょうどこれから和歌山を伸ばしていく、そういう芽をアピールして、それで施設はあちこちに分散さして研究の強化と産業の振興というのに結びつけていこうとして全力を挙げて申請をしたのですが、残念ながら選に漏れた、あるいは漏れる予定であります。発表がされてない可能性がありますので、そう申し上げます。
 いろいろ聞いておりますと、つらいところは、もともとすぐれているものは科学技術の見地から選考に入りやすい。ところが、これから和歌山のようにやろうぞと言って、今戦略を立てて大いに頑張って、まだレベルは大したことないというところはレベルが低いということでなかなか受からない。次に出てまいります都市エリア産学官連携促進事業の問題についてもそうでございますが、これについても、地域において技術開発をするということについては、そもそも要らないというのが行政仕分けと。新政権の決定ではまだありませんが、行政仕分けの精神ではあったかなと思います。科学技術になると、常にレベルが一番高いところにしかお金をつけないということであったとすると、本県のようなこれから技術をもとにして地域をおこしていこうというようなことを戦略にしているところは物すごくつらいということであります。
 これは本県だけではなくて、実は知事会の共通の危機感になっております。去る11月30日、32道府県の知事と行動を一にいたしまして、地域科学技術振興・産学官連携事業につきまして、次年度以降も事業を継続するように文部科学省に要望するとともに、我々の共通の共同声明を発表したところでございます。
 御指摘のように、「和歌山の特産果実と独自技術を活用した新機能食品・素材の開発」というのは、必死で努力した結果、平成23年までの3年間にわたり認めると。これでもって、農林水産業はもちろん、その周辺にいる食品加工業とか創薬をつくる企業とか、そういうのをできるだけ活性化さしていこうというようなことをもくろんでおったんですが、これがちょっと危機に瀕しております。
 今後とも文部科学省の動きも注意深く見守る、それから政府全体にこういう政策を切ってしまうというのはやめてもらえないかというようなことをぜひ言っていきたいと思います。議員諸公におかれましては、ぜひ御協力くださいますようにお願い申し上げます。
○議長(冨安民浩君) 福祉保健部長北田佳秀君。
  〔北田佳秀君、登壇〕
○福祉保健部長(北田佳秀君) 和歌山県のがん対策についての4点にお答えいたします。
 まず、がん診療連携拠点病院の現状についてでございますが、県内のがん拠点病院6病院における手術件数は年間約4800件となっております。手術はもとより、放射線療法や化学療法を効果的に組み合わせた集学的治療や緩和ケアの提供を行うため、専門的な知識及び技能を有する医師等の育成・確保に努めているところです。
 また、地域におけるがん診療に従事する医師、看護師等を対象とした研修会なども実施し、がん医療に係る人材育成の拠点としての役割も果たしているところです。特に県立医科大学附属病院では多くの職種を確保して、組織横断的なチーム医療を基本とした先進的かつ集学的ながん診療を行うための腫瘍センターがこのたび設置されたところであり、質の高い高度な医療の提供が期待されております。
 今後とも、がん拠点病院における医療従事者の育成・確保を積極的に支援し、すべての県民が質の高いがん診療を受けることができる連携体制の整備を進めてまいります。
 次に、がん診療連携拠点病院の相談支援センターについてでございます。
 県内のがん拠点病院6病院では、専任の相談員を有する相談支援センターを設置しておりまして、患者、家族の療養上の相談に応じるとともに、適切な助言を行っているところです。相談件数は年間約1800件となっており、療養上の相談以外にも、がんの予防、早期発見等に関する一般的な情報や診療機能、入院、外来の待ち時間情報などを必要に応じ提供しているところです。
 次に、がんサロンの普及についてでございます。
 議員御指摘のとおり、患者の目線に立ったがん患者支援は非常に重要であると認識しております。現在、公立那賀病院を初めとする県内の各がん拠点病院では、患者相互の相談や交流活動に取り組んでいるがん患者団体との連携や協力が進められております。
 県といたしましては、各がん拠点病院を中心として、これらの患者団体の活動の輪が広がり、また、がん患者及びその家族が心の悩みや体験等を語り合うがんサロンが普及・定着していくよう支援してまいります。
 最後に、がん検診についてでございます。
 がんにつきましては、早期発見、早期治療が重要であり、5年以内にがん検診受診率を50%以上にするという目標達成に向けましては、さらなる環境整備が必要であると認識しております。このため、市町村のがん検診体制の充実に向けた所要財源のより一層の充実・拡充及び市町村または医療保険者におけるがん検診実施を法により義務化するということなどにつきましても、国に対し要望してきているところです。
 今後とも、がん検診体制の充実に向け、必要に応じ国に対して要望するなど、積極的に取り組んでまいります。
 続きまして、和歌山県の精神科救急医療についてお答え申し上げます。
 本県では、精神科医療機関が休日・夜間に診療時間を設けていないため、その時間帯における精神疾患の発症・再発に対し、緊急に診察、入院等の医療が必要な場合に対応できる体制を県内3ブロックに分けて整備しております。紀中ブロックは県立こころの医療センター、紀南ブロックは紀南こころの医療センターをそれぞれ基幹病院に指定し、また紀北ブロックにつきましては民間の精神科5病院の輪番制による救急患者の受け入れ体制をとっており、これまで円滑に機能しております。
 また、議員御指摘の県立医科大学附属病院の精神科の救急患者につきましては、支援病院として、他の病院では対応できない身体合併症を有する精神疾患患者について、年間約800人の患者を受け入れております。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 危機管理監森 崇君。
  〔森 崇君、登壇〕
○危機管理監(森 崇君) 救急相談♯7119の導入についてお答えいたします。
 この救急相談♯7119は、急を要さない救急自動車の出動を抑え、真に緊急を要する方の要請にこたえることが主なねらいとなっておりまして、出動件数が増加傾向にある救急自動車の適正利用の観点からも有用な仕組みの1つと考えております。しかしながら、その導入につきましては、相談窓口と指令センターとの連携、医師や看護師の確保、また既に実施されている相談窓口との連携などの点において課題もございます。
 そうしたことから、本年度から実施されております総務省の救急安心センターモデル事業の効果分析や検証結果などを踏まえ、関係機関と相談しながら検討してまいりたいと考えております。
○議長(冨安民浩君) 企画部長前硲健作君。
  〔前硲健作君、登壇〕
○企画部長(前硲健作君) 南海電鉄の仮称・和大新駅についての御質問にお答えいたします。
 まず、和大新駅建設工事の進捗状況についてでございますけれども、この工事は平成19年7月に工期約5年の計画で着工しまして、現在3年目でございます。これまでに大規模な土木工事はほぼ終了しまして、現在は線路の工事や駅舎の工事に取り組んでいるところでございます。工事は平成23年度末に完成し、平成24年春には駅開業の予定で進んでおりまして、本年11月末の進捗状況はおよそ46%ということになっております。
 次に、南海電鉄の関空への直通列車ということでございますが、これまで県議会の皆様方の御協力をいただきながら利便性の向上などを南海電鉄に対し要望してまいりました。その結果、泉佐野駅における連続立体交差事業の完成によりまして、平成17年11月27日のダイヤからは空港線の運転本数の増加とともに、一部の列車を除きまして、同一ホームでのスムーズな乗りかえが可能となっております。
 さらに、本年10月4日からのダイヤ改正によりまして、特急「サザン」を平日、土・休日とも32本に増発したことに伴いまして、おおむね30分間隔で運行されるなど、利便性が向上しているところでございます。
 このように、こちらの要望を受けて南海電鉄側もいろいろと努力をしてくれているわけでありますけれども、関空への直通列車ということになりますと、莫大な投資を伴う工事を必要とするため、正直なところは現状では難しいと思われますが、御提案の趣旨を南海電鉄にお伝えしまして、引き続き利便性の向上に向けた努力を求めてまいりたいと存じます。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再質問を許します。
 36番長坂隆司君。
○長坂隆司君 御答弁いただきました。
 まず、がん対策についてでありますが、現在、本県でもそれぞれのがんに分かれて部会の中で検討が続けられているそうですが、現実にそれぞれのがん死亡率が減少するよう、例えばがん検診についても、頻度の多いがん種についてそれぞれの検診の具体的なアクションをお示しいただくような実効的ながん対策を進めていただきたいと思います。
 また、県として放射線治療医とか腫瘍内科医とか、また病理医などの育成について数値目標を持っていただいてもいいんじゃないかなと思います。
 「病は気から」と申しますが、お互いに助け合い、励まし合って精神的な支えとなるがんサロンの存在は、これ、大変意義深いものであります。実際、島根県での実践は参考になると思います。本県においても患者支援ということに一層取り組んでいただきますよう、よろしくお願いいたします。
 次に、県当局への医大の医師を派遣することにつきましては、他府県においても前例はあるんじゃないかなと思うんです。それと、医療の現場を知っていて、しかも県民医療全体を見通していただくべき県立医科大学附属病院の医師が県行政組織の中で汗をかいて御活躍いただくことは、その医療とも関係する福祉も学んでいただいて、それをまた医大へ持って帰っていただいて役に立てていただくとか、県、医大ともに新鮮なよい刺激も効果も生み出すものと思うからであります。
 事務的なハードル、本当にいろいろあると思いますけど、ぜひ御一考いただきたいと思います。
 COP15につきましては、和歌山県は森林王国、それこそCO2の排出権で商売できるような県であります。県外、国外に向けた環境への取り組みのアピールを積極的に行うその1つのツールとしてサイクリングをさらに振興することは、CO2削減にも大変効果的だと思います。その意味でもサイクリングへのさらなる御理解、御支援をよろしくお願いいたします。
 それと、JST事業でありますが、和歌山県の要望が選に漏れたこと、それも近畿で1県だけ落とされたというようなことが今回実に残念で、自分自身、腹立たしくもあるわけであります。この近畿6府県でバイオの取り組みが唯一おくれた県でもありまして、それなら和歌山県の持つこの全国有数の農産物資源、特に果実を活用してアグリバイオを振興していくと。これはもう和歌山県にとりまして、まさに今後の飛躍の命運を握ってるのではないかと思っております。ぜひ今回の失敗を厳しく検証していただいて、立ちおくれている本県の科学技術振興に戦略を立てていただいて取り組んでいただきたいかなと思います。あと、また経済警察委員会のほうで質問さしていただきます。
 以上、要望さしていただいて、私の質問を終わります。
○議長(冨安民浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で長坂隆司君の質問が終了いたしました。

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