平成21年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(片桐章浩議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 33番片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
○片桐章浩君 こんにちは。ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問を行わせていただきます。どうか、最後までよろしくお願いします。
 1点目は、地球環境問題についてでございます。
 平成21年2月議会で地球環境問題、特にメガソーラーについての一般質問、提言ということでさせていただきまして以降、和歌山県での動きというのは余り見られないんですが、その間、ほかの県では動きが見えております。幾つか紹介しながら再度質問をさせていただきたい、このように思います。
 平成21年11月24日、これは昭和シェル石油なんですが、新潟県と共同で出力1000キロワット、このメガソーラー発電所を建設する、このように発表しております。その後、同社は同月27日、宮崎県において子会社昭和シェルソーラーの第2工場内に出力1000キロワットのメガソーラー発電所を設置する、このように発表をしているわけであります。宮崎県や国の補助事業を活用しながら平成22年初めに着工、同年末の発電開始、これを目指しているところであります。
 新潟県の新しい取り組みです。雪国型メガソーラーという取り組みなんですが、総事業費は7億円、地方自治体と民間企業が共同で整備する商業用のメガソーラー発電所、これは全国で初めてのことであります。新潟県が2億円、昭和シェルが約1億5000万円、国の補助金として3億5000万円、これが既に決定しているわけでありまして、新潟県知事はこれを受けまして、県内には太陽光発電の技術を持つ企業が多く、次世代のさまざまな展開が考えられる、このように期待感を表明しております。これは、周辺産業の集積とか雇用、そういう意味も含んでいると思います。
 また、昭和シェルの新井社長は、太陽電池そのものが環境に優しい、発電所にはエネルギー教室や電気自動車のステーション、こういったものを設けて県民サービスを図りたいと、地域との共生を目指している、こういうふうな話をしております。
 新潟県については、環境問題に関しては新潟県版グリーンニューディール施策、宮崎県ではソーラーフロンティア構想、こういった大義名分がありまして、和歌山県の環境の取り組みは決して負けていないと、おのおのの施策ではむしろ進んでいるのではないかなと感じている部分があるんですが、こういった大義がないので少し総花的でわかりにくい、この辺が少し残念な気がしております。
 さて、宮崎県のメガソーラーも総事業費7億円になっております。宮崎県知事は、これを宮崎県の象徴として情報発信していきたいということで、これを企業誘致につなげる、こういう期待感を持って話しているところであります。
 このソーラーフロンティア構想から少しだけ引用させていただきますと、太陽電池産業というのは自動車産業と並ぶすそ野の広い産業、産業の集積に伴う県内経済への波及効果が期待される、あるいは産業集積に欠かせない高い技術を身につけた人材を輩出することができる、さらに太陽光発電、これをほかの産業との連携を図り、新たな付加価値を創造することに取り組む、こういうことを発言しております。つまり、宮崎県のメガソーラー全県展開プロジェクトというのは、環境を視覚的に発信するシンボルとして県内各地への立地を進める、立地後は、単に発電所という取り組みだけではなくて、地域における活用策についても検討し、このことを全国に発信しよう、こういう考えを持っているようであります。また、メガソーラー発電を含む環境や新エネルギーに関する分野、これは今後とも新たな経済の創造、それから雇用を生む分野として期待されていることから、地域経済の活性化につながるような取り組みを進める、こういうふうに考えているようです。
 既に新潟県、宮崎県では、雇用を含めて地域活性化になると見込んで立地を進めている。和歌山県との認識のほんの少しの違いがこのような結果につながったのかなというふうに思っております。
 おひざ元を見てみますと、私たちの関西では福井県、2012年にメガソーラー発電所を建設することになっております。出力は同じく1000キロワット。11月24日に起工式を行い、その姿をあらわそうとしている堺市に次いで2カ所目ということになります。
 最初の質問は知事に答弁をお願いしたいと思います。メガソーラーの立地を進めているこれらの県では、この取り組みが経済的需要と雇用を生むものととらえております。グリーン雇用の観点からも、1つのシンボル的な拠点ができることで周辺産業のすそ野が広がる可能性もありますが、和歌山県でのエネルギー環境産業立地による環境分野での雇用拡大を含めての可能性、期待、こういったものについてまずお伺いをしたいと思います。
 この項目の2点目であります。カーボンオフセット制度、これの運用についての質問であります。
 これも、和歌山県は豊富な森林資源を有しておりまして、環境に先進的な取り組みをしているということがありまして、企業の森とかいろんな森の活動をしているところなんですが、自治体としてカーボンオフセット制度を正式に取り組んでいるのは、これまた新潟県、グリーンニューディールの一環と思いますが、初めてのことになっております。
 カーボンオフセット、簡単にちょっと触れさせていただきますと、私たち人間が活動する中でさまざまなエネルギーを消費するわけなんですけども、その中で二酸化炭素を排出しております。その出した二酸化炭素をその活動に対する、二酸化炭素を出した分に対する一定のお金をいただきまして、これをオフセットする。オフセットとは相殺とか吸収ということなんですが、出した分をお金をそこに回すことによって、計算上でありますが、活動に伴う二酸化炭素を発生させない、活動したけども二酸化炭素が発生していないよと、こういうふうにしようというルールがカーボンオフセットであります。
 新潟県では、このカーボンオフセット制度を確実に運用しようということで、国のプログラム認証を受け、国と同レベルの制度の運用を目指しております。どういうことかといいましたら、新潟県のクレジットが認証されると、新潟県のオフセットクレジットというんですけども、これが全国の市場に登録され、全国の企業から活用されることになり、同県の森林整備などの温暖化対策、これにつながることが期待される、こういうことであります。
 新潟県と同様に、和歌山県では森づくり、太陽光発電の設置支援、公共機関への太陽光発電、こういったものの支援を行っておりますから、ここで生み出されている環境価値をカーボンオフセット制度として活用を図ることを検討することもよいのではないのかなというふうに思います。もし全国的に通用する認証制度、オフセットクレジットとして全国の市場に登録することができましたら、認証された部分は資金を全国から和歌山県に引っ張ってくることも可能でありますんで。
 ここで1つ知事に質問でありますが、クレジット認証に関して、課題は多くあります。費用面の課題とか手続の煩わしさというのはあるわけなんですが、すぐの導入は難しいと思うんですが、このカーボンオフセットの制度の仕組みづくりについて知事のお考えを聞かせていただきたい、このように思います。
 環境問題について3点目であります。これは、昨今話題になっております環境税の問題であります。
 これは流動的なんですが、政府は平成22年度から環境税を導入する方向で検討に入ったと報道されております。地球温暖化防止対策の一環という意味であれば、社会の行動パターンを環境負荷の小さいものに転換させるために経済的な誘導を図っていく、この観点であれば、これは理解できるものであります。ただ、今回問題と思うのは、ガソリン税の暫定税率を廃止して、その減少する分の穴埋めとして環境税を導入しよう、こういう議論になっているところが少し問題なのかなというふうに思っております。
 しかも、政府が11月20日、これ、デフレ宣言をしているわけなんですよね。デフレ宣言をした直後の環境税構想ですから、これを見たときは日本経済をさらに失速させるつもりなのかなと少し疑ったところであります。本来であれば公共投資、これの拡大が必要な経済状況なのに、企業活動を制約するような新しい課税の話、これは少し疑問に思っているところであります。
 ただでさえ、この分野の税制に触れますと、2003年の10月から石油石炭税、こういったものが導入されておりまして、産業界ではこの税を価格への転換を極力抑え価格を安定さしていく、こういう努力をしているわけであります。そこに環境税という新しい税、さらに国内排出権取引制度、こういったものがもし同時期に導入された場合、経済と環境の両立を図るために技術革新を進めている産業界の活力をそぐおそれもあるわけであります。つまり、二酸化炭素排出に対する産業界の負担が重複し、これを価格に転換させることで私たち国民、県民負担が増加することになりまして、このコンセンサスが得られる時間もない中での早急な打ち出しというのは少し疑問に思っているところであります。
 現在のデフレ状況ですが、ごく簡単にサイクルを説明させていただきますと、和歌山県の場合は特にそうなんですが、民間企業の中に力強い設備投資、これは期待できない中、政府による、ここで言うところの県による需要創造がなければ経済的な需要不足となり、企業の売り上げが減少する。その結果、賃金カットや人員削減になり、消費の冷え込み、経済が悪化、そして税収の減少、こういうサイクルになるわけであります。
 間もなく県庁内で支給されるであろう年末の賞与、これは減少することになっておりますから、このことで消費を抑える心理的な効果が働くということを間もなく私たちは実感することになるわけです。
 デフレによって、経済活動が萎縮することによって税収も落ち込む。途中は省略をさせていただきますが、積極的な財政出動をデフレの場合はしなければかえって財政赤字が膨らむ、こういう循環に陥っているわけです。
 そこで質問でありますが、このように厳しい経済状況の中での環境税導入について、知事の考え方をお示しいただきたいと思います。また、お示しいただきました考え方に基づいて、果たして知事はどう対応していこうとお思いなのか、お聞かせいただければ幸いであります。
 2点目の質問です。これは、和歌山市中心市街地住宅供給促進事業、こういう問題について触れさせていただきたいと思います。
 この問題につきましては、平成20年の6月、都市再開発法に基づいて認可を受けた和歌山市のJR和歌山駅のけやき大通り第1種市街地再開発事業、この問題なんですが、実は認可を受けてから大幅におくれております。当初の計画であれば平成22年度に竣工する予定でしたが、現状を見ると動きが余り感じられない、こういう状況であります。
 この事業の期待されているところは、民間主導による──これ県内初です──県内初の都市再開発事業という意味合いがありまして、倉庫跡などの土地を所有する昭和倉庫と不動産関係会社が施行者として、大型商業施設とマンション、この建設を計画しているものであります。
 さかのぼるところの平成18年、和歌山市が市街地活性化につながるものだと判断をしまして、和歌山市の補助事業にも認定され、和歌山市が主体、国と和歌山県も事業の補助、これをして進めているところであります。敷地面積が約3577平方メートル、15階建てマンションと13階建てのホテルに4階建ての商業施設を計画しているもので、総事業費は41億円、補助対象事業、これが12億円でありまして、国が3分の1、県と和歌山市が6分の1ずつ負担するということになっておりますから、国が4億1050万円、和歌山県と和歌山市がそれぞれ2億円を補助する、こういう事業であります。
 少し時計を19年度に戻しまして、19年度末の和歌山市の当初予算にあった1億3360万円、これは国、和歌山県からの補助金も含むわけなんですが、このうち基本設計、地質調査、これで約4400万円が使われておりますが、残りの予算は平成20年度中に失効しております。事業化が不透明であることから、和歌山県におきましては平成21年度予算、つまり本年度の予算にこの補助金の予算は計上されていない、こういうふうな事業になっております。
 さて、事業主体が決まらないまま時間が経過してきましたが、ようやく共同事業体に独立行政法人都市再生機構、通称「UR」でありますが、なることが決まりました。都市再開発が和歌山県では初めてのことでありまして、全国で都市の再開発計画がなかったのは非常に少なくて、和歌山県、鳥取県、愛媛県、高知県、この4つだけでしたから、和歌山市もようやくアーバンの一員として認められたのかなということでは歓迎であります。今後は、事業計画の見直しと早期着工を目指し、あわせて県としては補助金の予算計上をする、こういうことになろうかと思いますが、質問をここで2点させていただきたいと思います。
 この再開発事業が遅延していた理由と、独立行政法人都市再生機構、この役割は一体何になるのでしょうか。マンションとホテル事業者は果たして決定しているのでしょうか。決定していないとすれば、そのめどは立っているのでしょうか。これが1点目であります。
 2点目、平成22年の初めにもこの事業は着工する、着手する、こういうふうに聞くこともありますが、今後のスケジュールと事業の完成時期についてお示しいただきたいと思います。この事業に関して、和歌山県の考え方と協力体制、これはどのように考えているのか、また補助金は当初予算なのか何なのか、計上される予定なのか、この辺につきまして県土整備部長の答弁をお願いしたいと思います。
 最後であります。最後は、昨今の厳しい雇用問題につきまして質問をさしていただきたいと思います。
 総務省によりますと、平成21年10月の完全失業率は344万人、完全失業率は5.1%となっています。公共事業の減少と民間企業の雇用調整などによりまして地方経済は厳しく、和歌山県の有効求人倍率では、関西では高いほうであると知事も時々話しているところでありますが、和歌山県の経済は他府県よりも厳しい状況であるというのは、数字以上に厳しいというのは知事もおわかりのことだというふうに思っております。
 政府の雇用対策では、平成22年3月末までに10万人の雇用の下支え、これを目指しているようでありまして、主な雇用施策といたしまして、情報処理、介護の職業訓練、農業・環境・エネルギー・観光分野、ここでの雇用創造が重点的な対策として掲げられております。和歌山県がさきに発表いたしました雇用政策を図ろうとしている分野とほぼ一致しているのではないのかなというふうに思っております。
 ここには期待しているわけなんですが、もっと深刻な問題が高校生の就職問題であります。就職希望でいまだ就職先が内定していない学生は例年よりも数多くいるというふうに聞いております。この時点で内定をしていなければ、年内または卒業までの進路決定というのは極めて難しい状況にあると言わざるを得ません。学校では、ほぼ連日にわたりまして進路指導に努めている、実施している、こういう状況はわかるわけなんですが、今以上に対応策が必要ではないのかなというふうに思います。
 雇用対策と経済対策とどういう絡みがあるかと申しますと、経済対策というのは本質的には失業対策であります。地域として雇用機会をふやすことは最重要課題だと考えております。
 知事は、以前、「経済対策についての究極の目標は、和歌山県内の雇用をふやすこと、皆様方働く人たちの所得をふやすことであると思います。それ以外の政策は、今申し上げた目標に対する手段です」、こういうふうに話していたことがありますから、知事の考え方も経済のパイをふやすことで雇用をふやそう、増加させよう、そういう考え方は同じだというふうに思っております。
 その考えの中の方策といたしまして、和歌山県では「和歌山で働きませんか!」、この賛同企業を募ったり、「和歌山で『和』の仕事人になろう」プロジェクト、これを企画したり、雇用を積極的にふやそうという取り組みもしてくれているところでありますし、これらの県の施策に呼応して県内の企業経営者は雇用を守ってくれている、こういう部分もあるわけなんですが、各県内企業の経営環境が悪化している中、今以上負担をお願いするというのはこれまた難しい話だなというふうに思います。
 そのため、官が主導して雇用をふやそうとしている政策として、ふるさと雇用再生特別基金活用事業、それから緊急雇用創出事業臨時特例基金活用事業、こういったものがあるわけです。既にふるさと雇用再生特別基金活用事業におきましては、77事業285人の将来にわたる雇用、これを確保できているようであります。もう1つの緊急雇用、こちらの基金の事業では151の事業で895人の雇用──これは短期的なものなのですが──生み出されようとしていることが成果の1つになろうかなというふうに思っております。
 ところが、数字の上ではこれだけの雇用創出が図られようとしているのに、依然として状況は改善されている、そういう兆しも感覚も感じられないところであります。それどころか、来年はさらに雇用も厳しく、失業も増加するのではないかなという思いさえあります。それは、県が平成21年度以上に来年度は公共投資をするとはとても思えない状況ですし、これは県の責任ではないんですが、事業仕分けによって予算が削られようと判定された事業の影響があらわれてる部分もあります。
 例えば、地上波デジタルの普及推進のために和歌山市内にもデジサポのチームがあるわけなんですが、新しい組織で仕事をつくってたわけなんですが、この予算が実は削られてしまいまして、その結果、人件費削減、平成22年3月をもって職を失う職員も発生している、こういう事態になっております。経費削減、これは絶対的に必要なものですが、結果として弱いところや弱い地域にしわ寄せが出てくる、こういう可能性もありますので、県としての対応も必要ではないでしょうか。
 そこで、質問を4つお願いしたいと思います。
 1点目は知事にお伺いをしたいと思います。知事が言うところの経済政策の目的でもある和歌山県内の雇用をふやすことと所得を増加させること、これに関する実感はどのようなものでしょうか。
 2点目は福祉保健部長の答弁をお願いしたいと思います。雇用の中で重点施策の中にありました介護分野、この分野は将来的にも雇用拡大が見込まれる有望な業種であります。ところが、現在のところ介護職員さんに関しては、賃金が比較的水準が低いということも相まって、募集してもなかなか集まりにくい、こういう状況があります。所得や処遇面の改善を図らなければ、資格者を養成してもそのまま雇用増につながりにくいと思います。介護施設の経営が安定し、介護職員さんの給与水準など処遇の向上と、そこに将来の希望を持って就労できるような職業のあり方も検討すべき課題ですが、この点はいかがでしょうか。
 3点目は商工観光労働部長にお答えをお願いしたいと思います。ふるさと雇用再生特別基金活用事業、これによって生み出されようとしている285人、これに関しては3年後にも雇用が成り立っているのでしょうか。この基金の精神からしますと、ここで雇用した人は基本的に正職員としての雇用を継続する、こういうふうにうたわれているわけなんですが、これが成り立つのかどうか。また、厳しい経済環境の中、6カ月未満で緊急雇用創出事業臨時特例基金活用事業、これ、繰り返しますが6カ月未満の雇用になっておりますが、ここで雇用された方々のこれからの雇用はどうなるのでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
 4点目であります。これは教育長に答弁をお願いしたいと思います。来年3月卒業予定で就職が決まっていない高校3年生のための就職支援策、これについては何か手だてを講じているのでしょうか。卒業時点で仮に就職が決まっていない生徒に対しては卒業後も手厚く就労支援をしてほしいと思いますが、この点についていかがでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
 以上をもちまして、一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの片桐章浩君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、メガソーラーによる地域活性化でございます。
 太陽光発電につきましては、太陽光に恵まれた本県の特徴を生かせるものでありまして、温室効果ガスを発生させない自然エネルギーの利用として、県有施設を初め住宅などへの導入に積極的に取り組んでいるところは御評価いただいたところであります。
 また、太陽光発電の普及促進により、新たな雇用や産業の創出といった経済効果も大いに期待されるところなので、これについてはぜひ戦略的に取り組んでいきたいと思っているところなのでございます。
 県といたしましては、大きな成長が見込まれるこのような新エネルギー関連産業をターゲットとした企業誘致に積極的に取り組んでおり、メガソーラー発電所もこの1つでございますので、県内に立地することになると、低炭素社会の実現、新エネルギー導入に取り組む県の姿勢を県内外にアピールすることになりまして、波及効果の高い環境エネルギー関連企業の立地とか雇用の増大あるいはイメージアップ、そういうものにつながるものと考えております。昔は余りよくわかりませんが、本件への認識は片桐議員と共有しているつもりでございます。
 メガソーラーそのもの、それから関連産業、両方にわたりまして既にいろいろと打診、工作、誘致、育成、いろいろやっておるんでありますが、事業者側の都合もありましてなかなか容易ではありません。今後とも引き続き、メガソーラー発電所の立地に向けて民間事業者、特に電力企業との連携を密にしながら取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、カーボンオフセット制度についてでございます。
 これにつきましては、これまた豊富な森林資源を有する本県にとりまして、その環境価値を最大限に生かすことは、本県のポテンシャルを向上させるとともに、我が国全体のCO2削減にも大きな貢献ができるものと考えております。
 議員御指摘のとおり、カーボンオフセット制度は森林整備等による温室効果ガスの吸収・削減クレジットを全国の排出企業等から購入していただく制度でありまして、その活用は本県にとって有用でありますが、まだいわば任意の相互了解に基づくものでございまして、それなのにと言ったらおかしいんですが、他府県の先行事例を見ると、認証機関に対する申請、証書発行等に係る手数料負担のほか、国際的な規格に準拠した厳格なモニタリング実施と第三者機関による検証に、実は多大な時間と費用を要しておりまして、さらにクレジット購入が確約されていないことから、現時点ではその利用は少数かつ苦戦をしているということは御承知のとおりかと思います。
 しかし、御指摘のように、これはネガティブな反応を続けていっていいものではございません。したがって、今採算が合わないかとか利用できないかとか、状況が変化するに応じて変わってまいるわけでございますので、したがって怠ることなくチャンスをうかがっていきたいと考えております。
 一方、本県が全国に先駆けて実施している企業の森では、既に51社の企業等から参画をいただいておりますが、これについては、簡易な形式ではありますが、その森林を対象とした県による二酸化炭素吸収力認証制度も実施しております。仮にその全部の吸収量を認証した場合には、100年間で約8万トンのCO2を吸収する計算になります。二酸化炭素吸収源対策として、また企業等の環境貢献の場として大きな役割を果たしていると思います。
 カーボンオフセット制度が将来、制度がきちんと整備されてくるということがありましたら、実はこの実態は大変役に立つというふうに考えております。そういう意味で、これは広い意味でのカーボンオフセット制度に我が県が既に手を出しているというふうに言ってもいいと思います。
 今後とも、評価されている企業の森を積極的に推進するとともに、本格的なカーボンオフセットで、狭義のカーボンオフセット制度についても、現状はともかくとして、その動向をよく把握しながら今後有効活用について検討してまいりたいと考えております。
 次に、環境税についての考え方でございます。
 環境税につきましては、これは経済学的に言うと化石燃料の消費を抑制してCO2排出削減のための1つの有効な手段であると、これは論をまたないところであります。しかし、具体的に考えますと、議員もいろいろ言っておられましたように、さまざまに悩ましいことがあります。環境についてつべこべ言うと何か反動的であるようにいろいろ批判をされたりするんですが、勇気を持って真実を申し上げたいと考えております。
 国民全体がCO2の排出にはコストがかかるということの理解を環境税というのは前提にいたしまして、ガソリンとか軽油、石炭、灯油などのすべての化石燃料を対象として幅広く負担を求めるものであると考えられます。したがって、その導入時期とか方法など制度設計のあり方によっては、国民生活全般あるいは農林水産業など今までちょっとその関係では無縁で弱い産業だと言われていたものについても、さまざまなところに影響が生じてくることになるというのは論をまたないことであります。
 一方、実はガソリン税等の暫定税率廃止が実現いたしますと、国のみならず地方公共団体も財源が大幅に減少することになるのでございます。そこで、現在、全国知事会では、地方の自主財源確保と地球温暖化対策の推進を目的といたしまして、地方環境税という名前をつけた地方税をつくってくれというふうに提案しております。私はそれに対しても反対をしておりませんので、これまたそういう意味では一方に少し偏した行動をとってるわけでございます。そういう地方の財源を確保することも1つの重要な視点であるということであります。これは、暫定税率等々との全体のパッケージの中で考えられることかなというふうに思います。
 また、今度は経済でございますが、現在、雇用情勢が大変厳しくて、円高やデフレなどの景気を下押しするリスクが払拭されてない状況にある中で、当然、景気抑制効果を持つ増税、こういう広範な増税が行われるということは、これは景気が大丈夫かという心配を大変しなきゃいけない。これもまた当然であろうと思います。
 さらに申し上げますと、我が国だけがそういうことをする、これは、地球環境問題は全世界の問題なのに我が国だけが環境税を導入するということになりますと、しかもかなり高率のものを導入すると、企業にとって高コスト構造に当然なります。我が国産業の国際競争力を低下させ、ひいては国内経済や雇用に大きな影響を及ぼす懸念があると考えております。
 特に、産業界のCO2の排出原単位、これは日本が抜群によろしいわけでございます。日本だけいろいろプレッシャーをかけてへこませて、それでその部分の生産が海外に行っちまいますと、実はCO2はその部分はふえるということになってしまうわけで、わけのわからんことになるわけであります。
 そういうことを、いろいろな議論がございますので、県といたしましては、国における議論を注視しながら、県の経済と環境の両立を図るという大事な観点から適切に対応してまいりたいと考えておりますので、申し上げたいと思います。
 次に、雇用をふやすことと所得をふやすことに関する実感はどうだと、こういうことであります。
 これについては、御指摘もありましたが、本県の雇用情勢は求人数が求職者数の半分程度でございます。また、高卒予定者の就職内定率が前年に比べて大きく悪化して、大変心配する事態になっております。依然として厳しい状況にあるということは、これまた論をまたないことであります。
 一方、御指摘のように、雇用関係の統計は日本の他の地域よりは多少ましで、有効求人倍率は数年前の近畿のびりから今トップになっております。しかし、絶対的な苦しさはそんなことで喜んでいられないということでありまして、それにここ何十年かの総体的な低迷で、他県に比べると蓄えを使い果たしたりすると──例えで言いますと──そういう感じになっておるんじゃないかということを私は大変憂慮しております。また、かつかつのところで耐えているようなそういう家計とか企業がいっぱいあるんじゃないかなというふうに思うわけであります。
 したがいまして、これは何とか景気は立て直さないといけない。その全体的な景気の立て直しという景気対策、これはなかなか県では限界がございます。したがって、国の適切な経済対策が待たれるところでありますが、ようやく昨日、経済対策が打たれることになりました。県といたしましては、せっかく打たれた対策ですから、これをできるだけ活用するようにやっていきたいと思っております。
 と同時に、和歌山県の経済は年末が特に心配でございますので、先日指令を出しまして、年末対策を綿密にやろうと。少なくとも我々が持ってる手段を全部使ってやろうというふうに考えました。
 そこで、産業別担当者制度を活用して業況把握をきちんとする、支援施策の周知やあるいは資金繰り支援等による県内中小企業の下支えとか、きめ細かな就職支援とか、関係機関と連絡しながらできるだけ一生懸命やっていくというふうに今指令を発しているところであります。
 また、このような不況下にあっても将来の成長分野の育成は重要であると考えております。先ほど雇用が大事だというふうな御指摘がありました。そのとおりなのでありますが、その雇用をふやすためには、少なくとも中長期的には産業を興す以外に道はないわけであります。
 和歌山県といたしましては、今はやりの言葉で言うと成長戦略を国よりは立てているなと思うんですが、産学官連携による研究開発や農商工連携による新商品等開発支援あるいは県内業者の販路開拓支援、さらには成長分野の企業誘致に積極的に取り組んでおりまして、そういうことを積み重ねていくことによって今後とも機動的な、第1に申し上げました緊急対策と、それから後半に申し上げました県民の希望を開く施策、すなわち成長戦略を展開して、雇用や所得の増大につなげるべく頑張っていきたいと思います。不況に必死に耐えながら県経済の活性化を図っていきたい、そんなふうに考えております。
○副議長(坂本 登君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 和歌山市の中心市街地住宅供給促進事業についての御質問にお答えいたします。
 まず、事業遅延の理由と独立行政法人都市再生機構の役割についてでございます。
 平成20年6月の施行認可後、全国的な経済不況の影響を受けまして施行者の資金調達が難航し、事業が遅延しておりましたが、新たな施行者として同機構が本事業へ参画することになり、施行者の一員として事業資金の出資、住宅等の所有権の取得、事業のトータルコーディネートを行う、このように和歌山市から聞いておるところでございます。
 次に、マンション及びホテルの事業者についてですけれども、マンションは都市再生機構が一たん取得いたしまして、実際の販売は同機構が選定する者が行う予定であると聞いております。また、ホテルにつきましては、建物を建築し取得する特定建築者を、現在、施行者が公募により選定しているところであると聞いております。
 次に、事業の今後のスケジュールについてでございますが、和歌山市からは、今年度中に建築工事に着手し、事業完了が平成23年度中になる予定というふうに聞いております。
 最後に、県としての考え方、協力体制、補助金についてでございますが、県として、再開発は中心市街地活性化のために極めて有効な手段であるというふうに認識しております。このため、本事業に対し引き続き和歌山市に協力していくこととしており、当初予算として通路などの共用部分に対する県の補助金を計上することを考えております。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 福祉保健部長北田佳秀君。
  〔北田佳秀君、登壇〕
○福祉保健部長(北田佳秀君) 雇用問題についての介護分野の雇用につきましてお答え申し上げます。
 介護サービス分野が確固とした雇用の場として成長していくためには、議員御指摘のとおり、介護職員の給与水準の向上などの処遇改善を図ることが重要であると認識しております。そのため、本年4月からの介護報酬の3%引き上げに加えまして、国の経済危機対策による介護職員処遇改善交付金等を活用し賃金の引き上げを図るなど、さらなる処遇の改善に努めているところです。
 また、介護分野の人材確保につきましては、本年10月からふるさと雇用再生特別基金を活用し、失業者等の新規就業支援事業を実施してきたところですが、今回、国の緊急雇用対策として、働きながら資格を取るという雇用プログラムが策定されたことに伴いまして、さらなる人材の確保に取り組むこととしております。
 県といたしましては、介護の職場で働いておられる方や介護職を志す方が希望を持ち安心して就労できるよう、引き続き支援してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 基金活用事業についての御質問にお答えさせていただきます。
 ふるさと雇用再生特別基金活用事業、いわゆるふるさと雇用につきましては、事業終了後も継続的な雇用が見込まれるものを、内容を精査しながら実施しているところでございますが、さらに、委託企業等が正社員として引き続き雇用した場合、一時金の支給制度などがあり、このことなどの周知徹底を図りながら安定した雇用に結びつけたいと考えてございます。
 次に、緊急雇用創出事業臨時特例基金活用事業、いわゆる緊急雇用につきましては、離職された方に暫定的な6カ月未満の就業機会を創出するものでございますが、国への要望活動等の結果、今般、6カ月から最長1年の就業が可能となったところであります。就業期間中に安定した雇用につながるよう、関係機関と連携するとともに、情報提供等に鋭意努めてまいりたいと考えております。
 いずれにしましても、現下の厳しい雇用情勢を踏まえ、これらの基金をフルに活用し、切れ目のない雇用創出に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○副議長(坂本 登君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 高校新卒者の就職支援についてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、本県の高校生の就職を取り巻く状況は極めて厳しい状況にございます。高等学校におきましては、就職を希望する生徒1人1人に対して、丁寧できめ細かな指導を行っているところでございます。また、校長を先頭に地元企業を訪問するなど教員が一体となって就職先の開拓に粘り強く取り組むとともに、就職が決まらない生徒に対しては、現在配置しております就職支援教員等と協力しながら相談活動を充実し、生徒の視野を広げ、励ましながら企業等の紹介を行っているところでございます。
 県教育委員会といたしましても、県内における雇用が拡大されるよう、和歌山労働局及び県労働関係部局とともに、経済5団体に対しまして2度にわたって協力を強く要望してまいりました。また、高校生がさまざまな企業を知る機会として、和歌山労働局及び県労働部局等と連携いたしまして企業の合同説明会の機会をふやし、11月から県内各地で計6回開催しているところでございます。こうした取り組みにもかかわらず、なお就職が決まらないまま卒業する生徒が出ることも懸念されているところです。
 高等学校におきましては、次代を担う子供たちを育てるという責任と自覚を持ち、卒業後も学校において相談活動を継続、強化するとともに、ハローワークや県の設置するジョブカフェ等につなぎながら、手厚く支援できるよう各学校を指導してまいります。
 今後とも、1人でも多くの生徒の希望がかなうよう、各学校とともに全力を挙げて取り組んでまいります。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再質問を許します。
 33番片桐章浩君。
○片桐章浩君 お答えいただきましてありがとうございます。2点ばかり要望という形でさしていただきたいと思います。
 1点目は環境税であります。
 まだ具体的なモデルは出てないんですが、現段階、環境省の試算によりますと、環境税導入による負担額、これ、年間ですが、1万6728円増加。暫定税率廃止による負担額減が1万6094円ですから、ほぼ相殺される形ということになりまして、一見すると余り影響はないんではないのかなというふうに思うんですが、実はこれに伴って各税の年間負担額、これも一般モデルですが、はじかれた数字を見ますと、灯油が現在の税金が422円が997円、プロパンガスだと1643円が1897円、都市ガスだったら255円が706円、電気に至りましては2839円から5719円と、それぞれの税負担がふえるわけであります。そういうことから、これ、間接的な増税ということになりまして、特に自動車を持たない家庭の税負担額というのは、これは大きくなる、倍増するところも出てくる、こういう問題が実ははらんでいるわけであります。
 私たちは、こういった新しい税に関して、具体的に受ける経済的な影響、国民負担、こういうものを示されていませんから、果たして環境税が財源確保なのか環境対策なのか、こういったところを十分議論した上で導入を考えてもらう必要があると思いますので、ぜひ、知事の答弁にありましたように、発言力に大いに期待しておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 もう1点が和歌山市の中心市街地の活性化事業についてなんですが、ようやくJR和歌山駅前の再開発、これが来年から動き出す。これはもう至って朗報であります。再開発によって和歌山市の中心市街地、これはJR和歌山駅から市駅の間なんですが、活性化することを期待できるわけです。
 この次なんですが、あとは南海和歌山市駅前の再開発、これが残っているところであります。市駅前再開発に関してはもう歴史は古くて昭和59年、このときに推進計画というのが策定されておりますが、依然として具体化されているものはありません。当時、開発対象地区の皆さんが準備組合を設けまして検討していたようですが、25年が経過してそのまま、この状態が続いております。
 きのうも先輩議員から一般質問にありましたように、和歌山市における西の玄関口が和歌山市駅でありまして、県内で乗降客が最も多い駅の1つということですから、にぎわいの創出、バリアフリー化など含めてもう一度市駅周辺の再開発計画にも関心を払っていただきたい、このように思います。もちろん、前提条件としては、準備組合と事業者、これがあっての話ですが、今回の再開発が成功事例となった暁には、ぜひ和歌山市と共同してこの点に関しても取り組んでほしいということを要望して、一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。
○副議長(坂本 登君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で片桐章浩君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時45分散会

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