平成21年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(山本茂博議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後1時0分再開
○副議長(坂本 登君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 2番山本茂博君。
  〔山本茂博君、登壇〕(拍手)
○山本茂博君 議長の許可を得ましたので、通告によりまして一般質問をさせていただきます。
 昼一番ということで、まぶたが閉じたいというようなこともあろうかと思いますが、御清聴のほど、ひとつよろしくお願いいたします。
 去る11月の6日から12日まで、冨安議長、そして松本議員、中村議員、谷議員、そして知事とともに、ブラジルの和歌山県人会連合会創立55周年記念式典への参加及びペルーの和歌山県人会を訪問いたしましたので、その御報告をさせていただきます。
 私どもが伊丹空港を出発したのは11月6日の午後2時10分、それから成田空港、そしてアメリカのダラス・フォートワース空港を経由し、ブラジルのサンパウロ空港到着まで要した時間は約30時間でした。日本から見れば時差は12時間、まさに地球の反対側、季節も日本とは全く正反対の初夏で、当然と言えば当然かもわかりませんが、飛行機をおりると、この日本の暑さが逆戻りしたように本当に暑いなという熱気を感じました。まさに地球の裏側に来たんだなと実感いたしました。
 そのような遠い距離を、ブラジル在住の和歌山県人会の役員の方が出迎えに来てくださり、空港の外では多くの会員の方が横断幕を持って出迎えてくださいました。こんな遠くの地で日本語で歓迎を受けたことに、長旅の疲れも忘れた思いでありました。
 昼食後、早速迎えのバスでサンパウロ市内のイビラプエラ公園内にあります、ブラジル日本都道府県人会連合会が設立した日本移民開拓先没者慰霊碑に向かいました。連合会副会長より慰霊碑建立についての説明を受け、1人1人心を込めて参拝させていただきました。この慰霊碑には、天皇皇后両陛下を初め歴代総理大臣など多数の参拝者が訪れておるということでございました。
 慰霊碑を後にして、私たち、ブラジル日本移民資料館に案内をしていただき、日本からの移民が始まったころの展示、そしてブラジル移民たちが命がけで奥地を開拓し、過酷な状況が再現された当時の開拓小屋や作業道具などを十分観察することができました。
 その日の夜に、ホテル内のサンパウロの日系旅行社7社と日系新聞社2社を招いて観光交流意見会を開催し、知事は本県の特産品や豊かな観光資源などのプレゼンテーションを行いました。その後、私たちも参加者と意見交換を行い、和歌山県のPRを行ったところでございます。
 さて、そして翌日、在ブラジル和歌山県人会連合会創立55周年記念式典が開催されました。県人会連合会の役員や一般の会員など600名の方が参加され、参加者の中には600キロ離れたブラジルの奥地から来られている方もおられたということで、会場は熱気に包まれておりました。
 また、財団法人和歌山県国際交流協会の樫畑理事長や昨年発足した県内の民間団体である和歌山県中南米交流協会の皆さんも一緒に参加されました。また、在サンパウロ日本国総領事、サンパウロ州知事代理、サンパウロ市長代理、JICAサンパウロ支所長、各都道府県県人会長など、多くの地元の関係者や来賓の参加もありました。
 式典は、まず両国の国歌斉唱に始まり、先没者への黙祷──先没者とは、戦いで亡くなった方ではなくて、1世の方が亡くなったということの先没者ということでございます。県人会の木原会長はあいさつで、和歌山県人のブラジル移住は今から92年前の1917年に始まったと。戦前戦後を通じて1416家族、総勢5819人の県民が移住してきた結果、現在、県人ゆかりの人は2万人を超えると言われております。そのうち1世は10%で、あとは2世、3世、4世と世代は移り、ややもすると和歌山県とのつながりも薄れがちになってきておりますということでありました。しかし、こういった中でも和歌山県の県人師弟の留学研修制度が長年にわたり実施された結果、和歌山県とのきずなが保たれ、また研修生が日本での体験を生かし、活躍が発揮されているということをお話しされておりました。
 また、ブラジルでは、2014年にはワールドカップ、2016年にはオリンピックの開催が決定され、これから7年間、特に物的・人的にも交流が頻繁になるということで、県人会としてもその橋渡し役に極力努めたいということでございました。
 式典に引き続き行われた祝賀会では、県人会の役員から各選挙区選出の議員のもとに親戚やふるさとの様子などを聞く場ができておりました。しかし、残念ながら私の岩出市出身の方はおられませんでした。
 翌日、サンパウロ空港を午前8時25分に出発して、11時にペルーのリマ空港に到着いたしました。6時間のフライトで、しかし、そのときに1個の荷物が紛失で出国がおくれ、お待ちしていただいたペルーの方には非常に気の毒でありました。まあ、これも中南米かなというふうに思いました。
 昼食を済ませ、それからリマ旧市街を大急ぎで案内していただいた後に、ペルー日系人協会が移民100周年を記念して設立した病院を見せていただきました。この病院は、ペルー日系人協会がペルー社会に対する感謝の気持ちをあらわすため、医療衛生の貢献が最善との判断で設立したもので、最新の医療設備を備え、300名もの医師がいる非常に立派な病院でありました。
 続いて、日秘文化会館の中にある日本人ペルー移民資料館において、日本人のペルー移民の歴史、ペルー社会における活躍などについて会員より説明を受けました。その後、ペルー日系人協会を表敬訪問し、役員との意見交換を行いました。
 また、その夜には、開催してくれました県人会主催の歓迎交流会では、役員、会員のほか、在ペルー日本国大使館福田代理大使、県人会役員の夫である経済財政大臣のルイス・カランサ氏も出席していただき、ブラジル同様、有意義な意見交換と親しく交流を行うことができました。
 なお、ブラジルと比べると、ペルーは特に若い日系人は日本語ができない人が多くなっているのが現状であると言われておりました。
 また、ペルーからの帰途、ロサンゼルスでは、現地で貿易商を営んでいる方を招いて現地の農産物の消費状況などを伺い、和歌山県産の販路拡大について意見交換をいたしました。また、来年3月12日から2日間、食品見本市がロサンゼルスの隣のアナハイム市で開催されます。日本から10社の団体が参加され、うち1つが和歌山県からの出品となる予定ということで、現地視察を行いました。また、南カリフォルニア県人会の役員の方とお会いし、平成23年には創立100周年祭を行いたい、県人会とのきずなが深まるよう協力したいし、県にも積極的に取り組んでいただきたいとのことでございました。
 さて、地球の反対側へ、知事、議長は2泊6日ということで、私たちは3泊7日ということで、本当に駆け足の、そして非常に過酷な訪問でありました。ペルーは朝入国し、夜帰国するということで、本当に和歌山県人会の斉藤カルロスさんは、次回はせめて2~3日滞在し、ペルーの日系人の状況、そしてペルーに対して理解をしていただきたいと、くれぐれもそう言われておりました。機会があれば私も、ブラジルもそうですが、現地の状況の視察、またサンパウロ市、そしてリマ市の議会についても視察したかったなと思った次第であります。(「もっとゆっくりしてこい」と呼ぶ者あり)はい。
 サンパウロ市の人口は、100年前は20万人でした。現在1079万となっております。また、中南米の経済の中心地であります。また、サッカー、オリンピックがあり、インフラ整備が追いつかない状況である。そしてまた、交通渋滞も年々ひどくなっているとのことでありました。また、川も地下鉄も日本のODAでつくられたということでありました。今、そのODAで川をつくったその上にモノレールをこれから通すんだということを言っておられ、サンパウロがこれからオリンピックのときにはどれだけ発展するんだか、そういうふうに思いました。
 また、ブラジルの新車、トウモロコシを原料とした7割アルコールのバイオエタノールフレックス車が、新車の場合、多いというふうに聞きました。また、ガソリンの55%の値段ということで、大いに普及をされておりました。
 また、ペルーにおいて太平洋、アンデス山脈、そしてエルニーニョ現象の関係で霧がかかった状態で、降雨量は30ミリだということで、傘屋がない、家に屋根がない、雨が降らないからがけの上に家が建っても怖くない、それにはびっくりいたしました。
 そしてまた、ペルーといえばフジモリさん。フジモリさんは、大統領に出ることについて非常に苦労されたということであります。日系人のまじめさ、そしてうそを言わない今までの日系人のイメージ、それを損なうのが心配であった、そういうふうに言われておりました。日系人は教育に熱心で、医者、弁護士、政治家になっている人が多いということでありました。
 また、日系人が言われる中に「ありがとう。きのうの苦労はあしたへの希望」、そう言われてました。それを聞くと、改めて現地の人の、いかに頑張ってここまで来たんかなというのがわかりました。多くの日系人と出会い、生の声を聞くことができました。日系人の方が母県──母なる県──と呼んでいることもわかるように、親や祖父母のふるさと和歌山を、何世代たっても私たちは和歌山県から来たのだということだけは忘れたくないという気持ちが伝わってきたような気がいたします。
 私は、今回、遠い昔に私たち日本人の祖先たち、先輩たちが夢と希望を胸に地球の反対側で未開の大地を開拓しようとした大いなる心意気に、まず敬意を表したいと思います。そして、志半ばで病に倒れた人も多い中で、私たちの想像を絶する困難を乗り越えた人々、その子孫の方々の温かいもてなしに感謝するとともに、現在の私たちが忘れてしまったかつての日本人の姿をかいま見ることができました。
 在ブラジル県人会の木原会長は、今後の県人会のあり方として、民間レベルの人的交流が一層重要であり、民間の方による和歌山県中南米交流協会の立ち上げは時宜を得たものであると言われております。私も同感であり、もっともっと民間レベルで交流が進むことを期待いたします。そして、何といっても世界の県人たちがふるさと和歌山を誇りに思えるようなすばらしい和歌山をつくることが私たちの使命であると認識いたしました。
 以上をもちまして、参加議員を代表しての報告といたします。
 次に、一般質問であります。
 青少年育成についてであります。
 フィンランドは学力世界一であります。フィンランドの教育の特徴は、グループ学習、少人数学習、個別指導、環境教育、そして日常生活から生まれる教育が徹底されていることにあり、落ちこぼれを防ぐあらゆる手段が講じられております。フィンランドのトゥーラ・ハータイネン教育科学大臣は、「教育とは明日の世界に備えることである。そして、子供たちにどんな将来を準備しているのか、そしてどんな知識や技能の需要に対応していかなければならないかが極めて重要である」と言われています。それこそ次代を担う人づくりであります。また、教育の目的はよき納税者を育てることであると言われています。
 また、「米百俵」という言葉があります。明治の初め、北越戊辰戦争で焦土と化した長岡に、支藩の三根山藩から見舞いの米百俵が送られてきました。時の長岡藩大参事小林虎三郎は、食えないからこそ教育をするのだ、学校をつくるのだと、米を売り払い、その代金を国漢学校に注ぎ込みました。小林虎三郎の「食われねばこそ教育する」という教育。教育は金では買えません。教育は、日本にとって日本を支える原動力ではないかと思います。
 私は、ブラジル訪問の中で、ブラジルは日系人、そして中国系、韓国系、そしてヨーロッパ系と、いろんな人種がまざっております。また、その中でユダヤ人の頭脳の優秀さ、日本人の勤勉さ、それが特徴であると言われておりました。また、1世の日本人の勤勉さによって、大変な努力によって、我々日系2世、3世、4世がこのブラジル社会の中で社会的地位を保つことができたんだと言われております。
 ユダヤ人は金融、そして政治分野に秀でており、日本人は医者や会計士などの専門性分野のほか、事務処理に関しては特にすぐれているとのことでありまして、苦しい、つらい移住生活の中にあって子供には教育を受けさせた、そして日系人として誇りを持っているとのことでございました。しかし、今では3世、4世となる中で日本語がわからない人も多くなっており、日系人もこれからどうなるのかなと思いました。
 そこで、もし日本人の若者が反対に日本からブラジルに移住したらどうだろうかと聞いたところ、クエスチョンマークが返ってきました。それだけ今の若者自体が受け入れを拒まれるんではないかと、それだけ日本の教育力が低下してるんではないかと、私は憂うる状況ではないかと思います。
 勤勉性について、児童精神小児科医の佐々木正美さんはこう述べております。保育園、幼稚園の卒園の資格は仲間と一緒に楽しく遊ぶこと、そして1人で遊ぶよりは仲間と遊んだほうが何倍も楽しいという習慣、いわゆるそういう能力を子供が身につけることである、そして、感情、感性、機能、能力を身につけること、それが卒園の基本であると。そしてまた、小学生の時期には、非常に大事なのは勤勉に生きていくための基礎ができていることであると。そして勤勉性とは、周りの人から、社会から期待されていることに対して、自発的に、しかも習慣的に行動できることだと言われております。いわゆる友達から物を学ぶ、協調性を持つということだと思います。
 社会環境の変化、そして少子高齢化、国際化、高度情報化、消費社会化が急速に進んでおります。青少年を取り巻く環境においても、携帯電話、インターネット、若者にとっても大事なツールではあります。また、生活様式、交友関係においても大きなツールであります。その利便性の反面、人と人が分断されて、そして人間関係が希薄になっているのではないでしょうか。子供を見ていますと、自分さえよければよいという個人主義に染まってはいないでしょうか。
 また、子供たちの中には、果たして団体生活を経験したことがあるのかどうか疑問なところもあります。それは、ある中学校の修学旅行のことなんですが、男子生徒がおふろに入るときに海水パンツをはいて入ったと。多分、恥ずかしいということであろうと思います。しかし、団体生活に全くなじんでいないというのが今の現実ではないかと思います。
 我々の子供のときは、子供会とか区自治会で毎年海水浴、我々のときだったら大峰山の登山とか、そういうことを泊り込んで行きました。その集大成が修学旅行じゃなかったでしょうか。今、懐かしく思い出します。
 しかし、今の大人社会でもどうでしょうか。例えば商工会、消防団、各種団体などで親睦旅行に行くと、今まで6人部屋、8人部屋とかそういった部屋で寝起きしましたが、今は個室となってます。プライバシーという点、あるとは思います。それが今の現実です。また反対に、大人社会で我々、今、おふろ文化、大衆ぶろ、いわゆるスーパー銭湯が各地にあります。それも、主の国道沿い、そして都会の真ん中にできております。人気を集めてます。私はこれは、個人主義化した現代において、やはり人間は裸と裸のつき合い、いや、群れる楽しさとか安心感とか、そんなことがあっていやしを求めて行ってるんではないかなと思ったりもいたします。
 また、今、和歌山県のボーイスカウト、そして青少年の団体加入者数は年々減少しています。団体生活における規律規範、マナー、道徳、それについての教育が非常に大事ではないかと考えます。
 そこで、知事に、今まで言った日本人の勤勉さを含めたこの和歌山県の青少年教育のビジョンについてどのように考えているのか、お聞かせください。
 また、教育長には、団体生活における規律規範、マナー、道徳という点について、和歌山県の教育全般についてどのように考えているのか、お聞かせください。
 さて、私は去年、行政改革・基本計画等に関する特別委員をさせていただきました。3つある青少年の家を2つにする案が検討されましたが、知事の決断で青少年の家は残ることになりました。耐震化と老朽化で経費がかかるということで見直し対象になったと思います。
 私は3カ所の青少年の家に視察に行きましたが、紀北青少年の家では日帰りが多く、兵庫県からの小中学生の生徒が3泊4日で利用されているということでした。また、白崎、潮岬では近隣の小中学校の8割が利用しているということでございました。また、家庭でも家庭旅行として利用されているとも聞きました。
 また、一般の人にお聞きいたしますと、施設利用に対して、青少年の家自体、何をするところかわからない人や、まず知らない人も多いというのが現状です。そしてまた、今まで役所管理のため、県管理のため、かたいというイメージが先行しているんではないかと思います。そして、青少年の家利用については、ある先生が、宿泊料を含めて安いため1泊2日で行きたい、しかし、行くまでのバス代が、今の卒業旅行でもそうですが、やっぱりお金が要る、チャーターするのにバス代をどう捻出しようかと、それを考えているのが実情で、青少年の家に行くのが行かれないんだと、そう言っておられました。
 また、指定管理者制度になってどの青少年の家の管理者の方も言われるのは、子供のために社会教育、この青少年の家は非常に大事である、またそれとともに、子供の教育もそうだけども、親の教育も大事であると言われておりました。それは、やはり青少年が団体宿泊生活を通じていろいろな研修、そして研究討議をしたり体育レクリエーションや野外生活を行い、規律、連帯、創造をモットーとして豊かな人間性を養う、そして立派な社会人となることを期待する施設であるという基本理念であるということであります。
 そして、3つの青少年の家は、今、耐震化工事がなされるということであります。維持管理を指定管理者に委託されておりますが、今回見直しをされ、せっかく残すということになったわけですから、原点に戻っていただき、今までの青少年の家がどのようにしてつくられたのかということをまさに考える、そういう必要性があると思います。ぜひ青少年の家の充実強化が必要であると考えます。
 また反対に、利用されている方はボーイスカウトまたはスポーツ少年団という限られた団体が多いのが実情であります。それを否定するわけではないんですけども、やはり全員の方が参加されたらいいなと。そうしたら、パンツの話じゃないですけども、本当になくなるんでないかなと思います。
 また、和歌山市において和歌山市立加太少年自然の家があり、市内小学校5年生全員を対象に教育課程の一部として「加太合宿」と称して実施しております。和歌山市では実施されてます。年間52校、約3000人が参加され、通常は1泊であるとのことでありました。また、和歌山県日高町の志賀には堺市立日高少年自然の家もあります。これらは各自治体で運営されています。3つの県立青少年の家を含めた連携についてどのようにお考えですか、環境生活部長にお聞きいたします。
 また、集団宿泊活動をされている学校はどれだけあるのか、また補助しているのはどのようなものがあるのか、お聞かせください。教育長に答弁を求めます。
 また、私は、和歌山県内全域の生徒に強制的と言ってもよいくらい青少年の家を利用させる。例えば1年から6年までの間に必ず小学生は利用するんだと、利用させるんだという制度設計、これについていかがでしょうか。
 また、和歌山県の生徒は学校で行く場合非常に大変だと。先ほども言いましたけども、それを全額無償にする、そういったことができないのか、教育長にお伺いいたします。
 次に、高校授業料無償化に伴う影響と対策についてであります。
 民主党政権により、今までと違った新しい政策が出されようとしております。事業仕分けについては戸惑いが起こっており、国民の期待とは反対に、この日本の国をどう考えるのか、国家ビジョンのなさが露呈されたのではないかと思います。
 民主党マニフェストの中に高校無償化があります。高額所得者について議論されていると聞いております。高校無料化により、問題点はないのだろうか。高校無料化になると、高校に行くのをあきらめた人が無償、ただで行けるということになれば当然義務教育的になると考えますし、義務教育化されると向学心に燃える子供も比較的少なくなり、学力も低下するのではないかと懸念されます。
 私としては、もっと奨学金制度の充実や、アメリカの大学のように入学はしやすいが卒業がしにくいシステム、例えば高校において赤点を30点を40点にするとかのシステム改善が求められると思います。
 また、当然、高校入学志望者は今までと比べて増加すると考えられます。今、中学校において、高校授業料無償化による実態把握が必要なのではないでしょうか。入学定員の枠は大丈夫なのでしょうか。高校受験で選抜して、あとは私立に任すというのか、また反対に、ふえる生徒に対しては県立高校で受け入れる用意があるのか、今、明確に教育委員会としての判断が必要になってきていると思います。その点について教育長にお伺いいたします。
 岩出を含めて那賀地方は人口がふえております。ことしの春に教育長に、那賀地方に学級増をということで、那賀の各学校の校長、教育長、PTAの代表が我々那賀郡の県会議員と一緒に陳情に上がりました。そして、結果として1学級増となりました。各学校の校長、そしてPTAの皆さんには非常に喜んでいただいてます。
 那賀郡は人口が急増している地域で、大阪に近いということもあり、私立高校に入学ということも考えなくてはいけないということもあろうかと思います。毎年毎年、要望活動をされているのが実情であります。しかし、本来のPTA活動や先生の仕事が、学級増のために要らぬ時間を割かれていないか疑問に思うわけであります。先生は、本来の生徒を教える教育に没頭できる環境づくりが大事であると思います。
 5月1日に生徒数が確定し、7月ごろ、先生の配置、それにより学級増を検討、そして新聞発表ということになります。教育委員会の権威ということもあろうかと思いますが、そしてまた行政改革によるお金の問題もあるのは承知してますが、和歌山市立和歌山高校では40人学級を30人学級にされているとも聞いてますし、また小中学校においても40人学級を35人学級ということで、少人数学級を指導されてます。また、県立の高校も少人数学級が必要なのではないでしょうか。40人学級という枠ばかりを考えて数合わせをしていないでしょうか。そして、そのしわ寄せが那賀地方ではないのかと思ってしまいます。教育は、和歌山県にとって将来への投資であると思います。余裕のある学級数の確保はぜひ必要であると考えます。
 5月以前に、教育委員会では中学校の学校児童を把握されていると思います。その結果、来年度は何人増加、そして学級をふやさなくてはいけないとわかっていると思うんです。そういったことをかんがみて、5月の確定時期に那賀郡の中学校または教育委員会に学級数について懇談会を開催していただきたい。そうすれば、要らぬ心配を持つこと、要望活動も少なくなるのではと考えます。教育長の答弁を求めます。
 次に、最後になりますが、防犯体制について。
 島根県で痛ましい女子大学生殺人事件が報道されております。大学において送り迎えをしていると言われてますし、また、周辺の自治体においては女子生徒の外出を控える状況であると言われております。また、先日には大阪の阪南市においてドラム缶の中に夫婦の死体が発見され、殺人事件が捜査されております。私の住んでいる隣の市であります。人ごとと思われない事件であるわけです。
 7月19日の「毎日新聞」によりますと、和歌山の犯罪件数は全国で9番目だという報道がありました。その記事を読んで、なぜかと思いました。それで、全国の都道府県の中で犯罪率について調べてみますと、1番は大阪、2番は愛知、そして3番福岡、京都、兵庫、埼玉、東京、千葉、そして9番目が和歌山です。その次に茨城県とか三重県です。それは、上位にいてるのは皆、都市化している都府県です。
 和歌山県は、平成18年度は14位、平成19年度は13位、そして平成20年12位、そして平成21年は9位と、だんだんと順位が上がっております。いわゆるいいことで上がってるんならいいんだけども、悪いことで上がっています。そこで、県について、犯罪率9番目というだんだん悪くなっている状況をどのように認識しているのか、警察本部長にお聞きいたします。
 また、和歌山県内において犯罪率の高い順番で言うと、1番は岩出市、2番は和歌山市、3番御坊市、そして湯浅、新宮、田辺、紀の川市となっております。私は全然思っていないんですけれども、岩出市は治安が悪い、そして岩出の人間は悪いのかと、そういう風潮につながらないかと心配しております。
 岩出市は、和歌山県内で唯一の人口がふえているところであります。都市化し、そして情報化の時代の中で社会情勢の変化、それの対応への影響が原因であろうと思います。しかし、反対に和歌山県の人口は毎年減少しております。警察官の過去5年間における人員配置はどうだったんだろうか、また人口が急増している岩出市において適正配置がなされているのか、疑問なのであります。
 先ほどの報告にはなかったのですが、ブラジル・サンパウロ、ペルー・リマ、ロサンゼルスの中で治安が一番悪いのは、やっぱりロサンゼルス、リマ、サンパウロかなと思います。ロサンゼルスの場合は、車での移動が主で、夜になると人が歩いていません。改めて日本の治安のよさを認識した思いであります。そして、オリンピックがブラジルに決まりました。現地の日系人も治安について心配しておられます。ブラジル・サンパウロの警察の方が、日本に交通渋滞の解消や犯罪件数減少のために勉強しているということでありました。そして、犯罪件数を減らす一番の方法は、日本の警察が行っている巡回パトロールであると言われております。
 そこで、巡回パトロールの強化が必要であると思いますが、警察本部長にお伺いいたします。
 また、岩出市において交番が2つ、駐在所が3つあります。また、刑法犯、交通事故、犯罪件数が多く、受け持ち世帯数もふえておりますので、駐在所、交番の負担も非常に高いものと思われます。そこで、駐在所を交番に格上げされ、充実強化される考えはありませんか、警察本部長にお伺いいたします。
 また、島根県の女子大学生殺人事件でも、12月1日に靴が見つかったとあります。道筋の防犯カメラに写っていなかったため、後で捨てた意図的な面があると分析されていました。
 先日、私のコンビニで万引きがありました。なぜわかったかというと、防犯カメラに窃盗現場が映し出されていたからです。まず警察に通報いたしました。今、防犯カメラというのはすばらしい犯罪撲滅のための有効手段だと私は考えます。防犯カメラの設置について、今の現状、そして和歌山県警の取り組みについて、警察本部長にお伺いいたします。
 また、警察も市町村、そしてまた民間と連携した防犯体制をとる必要があると思いますが、現状について警察本部長にお伺いいたします。
 以上で、一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの山本茂博君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 日本人の勤勉さについての御質問でございますが、山本議員とも御一緒させていただきましたブラジル、ペルーの出張でございますけれども、そのときにいろいろな方とお話をする中で、それからまた勉強させていただく中で、日本人がいかに高く評価されているか、それから昔の移民の方がいかに勤勉で誠実で、かつ将来を見据えて行動していたか、そういうことをよく勉強させていただきました。そういう観点から、山本議員がいろいろお話しになったような点を私もいろいろ思うところがあります。
 国土も狭く資源も少ない日本の発展を支えてきた要因は、日本人の器用さ、教育水準の高さもさることながら、その勤勉さを抜きにしては語れないと信じております。
 昨今、ともすれば勤勉であることを何か格好悪いように思われる風潮があると。これは残念きわまりないことであるというふうに考えております。そういう意味で、もう一度その勤勉の意味というのを皆で見直すべきであるというふうに思います。
 私のそういった観点を踏まえた青少年教育のビジョンについての御質問でございますけれども、郷土、ひいては我が国の発展の根幹は人づくりにあると考えております。このため、新長期総合計画の中でも「未来を拓くひたむきな人間力を育む和歌山」ということを1番目に掲げて、最も重要視しているというふうに心の中では思っております。時代を開き担っていく青少年の育成のために、学力の定着や向上、これは言うまでもありませんが、いわゆる人として、人間として立派に育ってほしいという思いがあります。
 私は、こういった観点から、和歌山県の教育には大きく3つの柱があってしかるべきだと思っております。1つ目は、礼儀や人の道を説くといったいわゆる道徳教育、2つ目は、なぜ、どうしてといったような観点で考える力を持たせる学力向上をねらっての教育、3つ目は、郷土を愛する教育であると思います。そうした教育は、学校の中だけで行われるわけではありません。集団活動、集団生活の中で規則正しい生活やさまざまな人間関係を通して規律を学んだり、あるいはお互いに助け合う心や奉仕の精神を培うことができるものと考えております。
 今後とも、教育委員会に迅速な対応をお願いし、知事部局にも叱咤激励をして、和歌山県が勤勉さを持ち、道徳心を兼ね備えた心身ともに健康な青少年の育成に邁進することに努力をしてまいりたいと考えております。
○副議長(坂本 登君) 環境生活部長井口悦治君。
  〔井口悦治君、登壇〕
○環境生活部長(井口悦治君) 山本議員の青少年育成のうち、3番目の県内青少年施設との連携及び利用促進に係るPRについてお答えを申し上げます。
 まず、県内青少年施設との連携についてでありますが、昨年の行財政改革での論議を踏まえ、県の青少年育成施策の中核として、ことしから県内青少年施設4カ所において、青少年が青少年を育てるリレー式次世代健全育成事業を実施し、小学校5年生から高校生までを対象とした2泊3日のリーダー育成研修を行っております。これは県内全域を対象とした事業でありますので、県立青少年の家だけでなく和歌山市立少年自然の家にも御協力をいただきながら、青少年教育施設本来の目的である青少年の健全育成事業展開のため、連携を図りつつ取り組んでいるところであります。
 次に、青少年の家利用促進に係るPRについてでありますが、各青少年の家では小中学校関係者を対象に施設の見学会を開催し、集団宿泊体験プログラムについての提案もしてまいりました。また、スキューバダイビングやカヌー体験等地域の特色を生かした魅力ある自主事業の開発や、地域の方々と連携したこおるどフェスタ、すいせん祭などの地域交流事業を実施するだけでなく、「県民の友」やテレビ、ラジオを活用しながら広く多くの方々に御来場いただけるよう広報にも努めているところであります。
 引き続き、さまざまな工夫を凝らすとともに、県及び市町村教育委員会や学校関係者とも連携しながら、児童生徒を初め多くの方々にも御利用いただけるよう取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○副議長(坂本 登君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 集団宿泊活動の推進についてお答えいたします。
 小学校の新学習指導要領におきましては、集団宿泊活動を通して道徳性の育成や人間関係を深めることなどが重視されております。また、本県の教育振興基本計画におきましても、「子どもの自立を育む学校教育の推進」を施策の1つとして、体験活動の充実を位置づけております。
 このような中で、子供たちの学習、生活の基盤づくりのため、自然体験活動など、さまざまな体験活動の充実に努めているところでございます。特に、宿泊を伴う体験活動を実施した学校からは、互いに励まし合うなど仲間意識が向上し、共通の目標に向かって協力し合う姿が見られるとともに、約束、ルール、時間を守るようになったといった報告もございます。このように、宿泊を伴う体験活動は、子供たちの協調性や規範意識、マナーなどをはぐくむための有効な手だての1つであると考えております。
 平成20年度におきましては、県内小学校281校のうち223校が集団宿泊活動を行っておりまして、その中で177校が青少年の家等の県内施設を利用しております。また、補助につきましては、7市町15校が豊かな体験活動推進事業で国の補助を、また3市町9校が市町村の補助を受け、集団宿泊活動を行っております。
 今後とも、子供たちの社会性や豊かな人間性をはぐくむため、和歌山県の豊かな自然の中で青少年の家等の県内施設を活用した体験活動のより一層の推進に努めたいと考えております。
 また、集団宿泊活動を推進するに当たりましては、より多くの学校で実施できるよう、議員御指摘の支援策も含めまして市町村教育委員会や関係部局とも協議し、検討してまいります。
 次に、高等学校授業料無償化に伴う影響と対策についてお答えいたします。
 県立高等学校生徒募集定員につきましては、これまでも中学校卒業生徒数の推移、高等学校への入学状況、進学率及び地域の状況などを十分検討し、総合的な観点に立って慎重に決定しているところでございます。
 平成22年度の生徒募集定員につきましては、国において高等学校の授業料を無償化するという動きが表面化したことや県内の経済状況などにより、地元の公立高等学校への希望が強まる傾向があることを考慮いたしまして、那賀高等学校や日高高等学校などで7学級増、280名分の増といたしました。
 今後とも、次年度以降の募集定員につきましては、高等学校入学者選抜における生徒の動向等を十分把握しながら、早い時期に中学校長会、高等学校長会等関係する皆様方と情報交換などを行い、検討してまいります。
○副議長(坂本 登君) 警察本部長永松健次君。
  〔永松健次君、登壇〕
○警察本部長(永松健次君) 防犯対策に関します5点の御質問についてお答えをいたします。
 まず、和歌山県の犯罪情勢に対する現状認識についてお答えをいたします。
 治安のバロメーターと言える刑法犯の認知件数につきましては、平成14年以降、昨年まで7年連続減少し、本年におきましても上半期における急増を受けまして抑止対策を最重要課題として取り組みました結果、検挙率を向上させるなどにより、11月末現在で昨年に比べ減少させるまでに至っております。
 しかしながら、議員御指摘のとおり、人口1000人当たりの刑法犯認知件数であります犯罪率はここ数年全国順位としては上昇しているところでありまして、治安情勢は依然として厳しく、一層の対策強化が必要であると考えております。
 次に、警察官の配置とパトロールの強化についてお答えいたします。
 県警察におきましては、県内各地域の治安情勢や重要課題等を勘案し、組織、人員について不断の見直しを行っているところであります。
 岩出市を管轄いたします岩出警察署につきましては、平成9年に約100名の規模でありましたが、人口の増加に加えまして犯罪が多発をしていることから順次体制を強化し、現在は約150名の署員を有し、和歌山東警察署、和歌山西警察署に次ぎます県下第3位の規模の警察署としているところであります。
 議員御指摘のとおり、犯罪を防止するためにはパトロール活動を中心とした街頭活動を強化することが重要であると考えております。岩出警察署におきましては、増員されました署員をパトカー勤務員や交番勤務員等に充てるとともに、街頭活動の強化等を図るため、岩出市内の2つの交番には通常1名を配置する交番相談員を2名配置するなどの措置を講じているところであります。
 また、重大な事件事故が発生するなどの場合には、近隣警察署からの応援のほか、機動捜査隊、交通機動隊、本年4月に発足しました子ども・女性安全対策班等の警察本部執行隊を投入しているところであります。
 議員御指摘の岩出市内の駐在所につきましては、事件事故の発生状況や近隣、隣接交番からの距離等から現時点では現在の3駐在所が適切と判断しておりますが、今後、人口増加や治安情勢等を見ながら必要に応じて検討すべきものと考えております。
 次に、防犯カメラの設置と市町村や民間防犯ボランティアとの連携についてであります。
 防犯カメラにつきましては、犯罪の抑止と検挙に有効な手段であると考えており、今春、和歌山市の柳通りに6台を設置いたしましたが、各市町村や関係団体にも設置を要望し、その拡充に努めているところであります。
 また、岩出市におきましては、国の補正予算におけるモデル事業といたしまして、防犯ボランティアの行う子ども見守り活動を支援するため通学路に25台の防犯カメラを設置する事業を進めており、来春からの運用を予定しているところであります。
 市町村や民間防犯ボランティアとの連携につきましては、現在、県下には民間防犯ボランティアとして179団体約1万6000人の方々に活動していただいておりまして、このほか、青色パトロール隊は48団体150台があり、年々増加しているところであります。
 また、この10月からは警備員による安全・安心パトロール事業を拡大強化し、和歌山市のほか、紀の川市、岩出市、田辺市においても実施しているところであります。
 警察といたしましては、今後とも犯罪を抑止し、県民の安全と安心を確保するため、市町村はもとより地域の防犯ボランティアの方々とのより一層緊密な連携を図りながら、活動の支援や地域住民に対する安全情報の発信等を積極的に推進し、県民1人1人の防犯意識を高め、犯罪の起こりにくい環境づくりに努めてまいります。
 以上です。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再質問を許します。
 2番山本茂博君。
○山本茂博君 1点だけ、ちょっと要望ということでお願いいたしたいと思います。
 青少年の家のことなんですけども、先ほどから私も言いましたけども、強制的に集団宿泊を本当に行えんもんか、小学生の間に。ということで再度要望したいと思います。それを今度は知事、そして教育長で再検討をひとつよろしくお願い申し上げまして、要望といたします。よろしく。
○副議長(坂本 登君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で山本茂博君の質問が終了いたしました。

このページの先頭へ