平成21年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(山下直也議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後1時1分再開
○副議長(坂本 登君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 22番山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 議長のお許しをいただきましたので、質問に入ります前に、今、壇上にこうして立ち議場を見ましたときに、28番江上柳助議員の席に白い花が飾られております。これを見、経済警察委員会で御一緒させていただき、また同世代でもありましたゆえ、元気に発言をし、活動されておられました江上議員の姿が今も思い出されるわけであります。改めまして、この場をおかりして江上議員の御冥福をお祈り申し上げます。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきたいと思います。
 今回は、関西国際空港の問題について、通告に基づき、4項目にわたり質問をさせていただきたいと思います。なお、私は今回あえて、ある理由をもって質問をさせていただきたいと考えておりますので、先輩・同僚議員の皆様、また知事初め県当局の皆様、何とぞ意のあるところをお酌み取りいただきまして、これから行います私の質問をしばしの間、御清聴いただきたく、よろしくお願いを申し上げます。
 質問に入ります。
 今、地方にとって公共インフラの整備のあり方が大きな転換を余儀なくされ、混迷しようとしているところであります。そんな中、11月30日午後2時より和歌山県自治会館におきまして、市町村長会や市町村議会議長会、さらには社団法人和歌山県バス協会、社団法人和歌山県観光連盟、社団法人日本青年会議所和歌山ブロック協議会など、県下の諸団体を代表される方々が集まり、仁坂和歌山県知事、そして県議会より冨安議長を初め議連の会長でございます門議員、町田議員、そして全会派の代表者が出席をいたし、近畿自動車道4車線化などの道路整備を促進する和歌山県民大会が開催され、多くの県会議員の皆様方の出席のもと、道路整備促進を求める決議がなされました。
 そして、この県民大会を受け、12月3日には東京において県選出衆参国会議員への道路整備の促進を求める要請活動にも、私も参加をさせていただきました。ただ、その席上、本県選出の民主党の3名の衆議院議員がそろって欠席をされておりましたことは、まことに遺憾でありました。一体なぜなのでしょうか。正直、寂しい思いをいたしました。当日、この要請活動に参加されていた熊野の女性からこういう発言がありました。「私たちはぜいたくな道は要らない。ただ、そこに暮らす者として普通の道が欲しいだけ」との発言がなされましたが、この言葉は私の胸を打ちました。
 国、地方の違いはあれど、また与党、野党の違いはあれど、党派を超えて、政治家はまず地元の声を聞くということが基本であり、大切であると思います。県民から選ばれた政治家ならば、できるできないは別にしても、和歌山県が抱える大きな課題に対し、和歌山県代表の国会議員として堂々とこの場に出て、県民の皆さん方の意見を聞いていただきたかった。私は、素直にそう思いました。
 いささか生意気なことを申し上げましたが、このように道路整備に対する県民の強い思いが県、市、経済団体一丸となった活動として取り組まれておりますし、それだけに、この先、和歌山県にとって今回のことは1つの将来に向けた不安材料になってしまったのではないかな、そのように感じますが、皆様方はいかがお感じになりますでしょうか。
 さて、本題に入ります。
 今、道路の話をさせていただきましたが、もう1つ傍観してはならない大切な問題が出てまいりました。それが関西国際空港問題であります。県議会の一般質問において、この関空建設に関連し、コスモパーク加太問題等について幾度かこの議場において県の見解をお聞きしてきた経緯があります。そして、これらのことはすべて関空に関する大きな課題であったことだと今も認識をいたしております。
 以上のことから、今回の一般質問を関空問題に的を絞り取り上げた次第でありますので、御理解をいただきたいと思います。
 質問を続けます。
 午前中、真わかやまの山下大輔議員から質問がなされ、また私の質問の後、公明党県議団の角田議員からも質問がなされるようにお聞きをいたしております。関西国際空港の行方は今後の和歌山県の浮沈に大きくかかわってくる課題でもあり、県民にこのまま負の遺産を残すのか、それとも結末をプラスに変えていくのか、党派を超えて同じ課題に注目をいたし、今議会において3名が質問をすることは、県域を守るといった観点から志を同じくし、いかに大切で大きな問題であるかということをまさに認識を一にしていると、ある種、力強く、うれしくも感じる次第であります。
 さて、関西国際空港は、皆様御承知のとおり、1994年9月4日に日本で初めて旅客、航空貨物の両方の24時間運用される空港として華々しく開港いたしました。ことしで15年目を迎えた本年9月には、旅客ターミナルビル4階の国際線出発ロビーにて記念式典が開かれ、福島社長から累計利用者数が2億6000万人に上ったことが披露され、さまざまな思い出やドラマも見守ってきたと思うと感慨深いとのあいさつがあったと聞いております。
 しかし、16年目のスタートを切ったお祝いムードとは裏腹に、関空を取り巻く環境は「極めて厳しい」の一語に尽きる状況であります。
 世界的な不況の影響を受けた国際線利用者数の低迷、相次ぐ路線廃止や減便、10月12日には前原国土交通大臣と橋下大阪府知事との会談での中、羽田空港を24時間運用の国際ハブ空港として優先整備との発言や、さらに政府行政刷新会議が11月16日に行った事業仕分け作業での関西国際空港会社への補給金約160億円の凍結、そして、大臣は事業仕分けで補給金計上の前提とされた関西3空港問題の抜本的解決策を年内にまとめるのは不可能との見方を示されたのであります。
 特に国の補給金160億円の凍結に対しましては、午前中にも質問があったとおり、仮に来年度補給金160億円がなくなった場合、県として関西国際空港がどのような事態になるかという質問に対し、知事から以下の答弁がございました。補給金を凍結することはまことに遺憾である、しかしながら、長期的に見れば伊丹空港を含めた抜本的な解決策を考える上ではいい機会となった、つなぎとして補給金はつないでほしい旨の答弁があったことと思います。ごもっともだと感じます。
 ここでいま一度思い起こしていただきたいことがございます。そもそも関西国際空港は、大阪国際空港いわゆる伊丹空港が都市部にあり、騒音等の問題により近隣の市町から廃止の要求が起こっていたこと、発着便数やジェット機の離着陸の制限、夜間の離着陸禁止という国際空港としては致命的な欠陥を抱えていたことを受け、伊丹空港を廃止し、騒音問題もクリアし、24時間運用可能で航空需要にも十分対応のできる複数の滑走路を備えた国際ハブ空港を国策として泉州沖に建設することとなり、1994年に開港されたものであるということは言うまでもないと思います。私が今さらここで声を大にして言うのもおかしいかもしれませんが、関西国際空港の原点は、まさにここにあるのであります。
 一方、国費投入を抑止するため民間活用の方式が採用された結果、現在1兆円を超える有利子負債を抱えてしまい、割高な空港使用料により航空会社が利用しにくい状況になっていること、また伊丹空港の存続が影響した結果、旅客、貨物の実績が当初想定した予測を大幅に下回っていることなど、国の航空行政の混乱が引き起こしたものでもあると思います。
 国策として関西国際空港の建設を決定しておきながら後の責任を放棄する国土交通省の失政と、伊丹空港周辺の11市でつくる大阪国際空港騒音対策協議会いわゆる11市協議会の「廃止」から一転「存続」へという、経済的損失が大き過ぎるとはいえ、甚だ今さらながら地域エゴと言わざるを得ない状況が現在の結果の大きな要因の1つではないかと考えております。
 現に私は、大学時代、豊中に住んでおりましたが、当時、伊丹空港の問題につきましては、地元の方々は「出ていってほしい」という声ばかりでありました。それが今ではどうでしょうか。余りにも理不尽ではないでしょうか。加えて当初は神戸沖との案もあったようでありますが、環境問題から反対が起こり、結局のところ、現在の泉州沖に決まったわけであります。そしてまた、2006年には神戸空港が開港し、関西3空港の時代に入ってしまい、余りにも無計画な状態と言わざるを得ない状況になってしまったのではないでしょうか。
 一方で、本県はこの国家プロジェクトに協力するため、土取り事業など、いわば関空建設に協力をいたし、負の遺産とも言うべき本年11月末現在で約483億円という多額の借金を土地開発公社が背負っている状況になっており、加えて土取り跡地はカゴメ株式会社の誘致のみ。過去幾度となくこの議場にて、先輩の渡辺勲元県議や和田正人前県議、森正樹前県議、また小川武議員、尾崎要二議員や、最近では同僚の泉議員などから、多くの議員の皆さん方からこの関西国際空港の問題について質問がなされ、指摘がされてきたわけであります。
 とりわけ、先輩の森正樹議員につきましては、再三にわたりハブ空港を仁川にとられてしまうではないかというような質問が繰り返し行われました。ハブ空港を韓国の仁川空港に持っていかれ、当初期待していた機能を関西国際空港が果たせていないという、いわば先ほど申し上げた点と今私が述べた点の二重の苦しみを味わっているのが現在の関空と和歌山県の関係であると感じます。
 ここに1冊の本を持ってまいりました。「ナベやんの関空物語」と題した本であります。この中には、昭和51年7月に和歌山県議会に関西新国際空港特別委員会が設置されたとか、それ以降、開港に至るまでの経過等が延々とこの中に書かれているのであります。そして、政治家の仕事は何か、次の世代のために希望の持てる社会の展望を開かなければならないと書かれてありました。まさにそのとおりであると思います。
 関西空港は、当初、本県にとって果たすべき役割は大と期待をいたしスタートしたのに、今この状態は一体どういうことなのでありましょうか。現状をかんがみ、これからの関空のあり方や本来のあるべき姿をもう一度この際考えていくべき大切なときを迎えていると感じるのは、私だけではないと思います。
 そこで、改めて関西国際空港の役割と現状について、知事は今どのように考えておられるのでしょうか、お伺いをいたしたいと存じます。
 次に、先般、関西、伊丹、神戸の各空港の利用方法を考える関西3空港懇談会の幹事会が11月30日に大阪市内にて開かれ、3空港の一元管理を12月14日に予定されております懇談会で提案することを固めたとの報道がなされました。この懇談会は、大阪府や兵庫県、神戸市、国土交通省や地元経済界など12団体で構成されており、もちろん、当和歌山県も入っております。
 懇談会が目指す一元管理は、資産や財務を一緒にする経営統合ではなくって、滑走路などの共同運用を想定しており、伊丹と神戸を関西国際空港株式会社に管理させるという案も浮上しております。また、行政刷新会議のワーキンググループは、160億円の補給金の凍結を解除する条件として、関空と伊丹との競合問題などの解決を求めております。
 一元管理案はプラスに作用することには間違いないと見られておりますが、しかし、この先議論が深まってくれば、当然、対立点も出てくるであろうし、現に大阪府知事の橋下氏は、2035年の伊丹廃港などを条件に関空と伊丹を一体管理する案を打ち出し、一方、兵庫県知事の井戸氏は、3空港の一体運営を訴えているが、同時に伊丹の有効活用を求めており、とても同じ方向を向いているとは言いがたい状況であり、加えて先般、11市協に加盟する自治体、そのうち大阪府池田市の倉田市長は橋下知事の案に賛同、伊丹廃港案を示されております。
 そんな中、今、関西広域連合の設立に向けて関係府県で議論が本格化しようとしており、地方分権が叫ばれている中、自主自立の関西を実現するため、この関空問題は避けて通れない課題であり、まさに地方主導による広域課題として、まず関西が一丸となって解決に取り組まなければならない問題の大きな1つではないのでしょうか。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。
 関西3空港懇談会において、和歌山県としてどういう立場をとり、どういう主張をなされていくおつもりなのか。これについてお伺いをいたします。
 次に、今後の関西国際空港の国際ハブ空港に向けた取り組みについてであります。
 関空問題は、大阪周辺に関空、伊丹、神戸と3空港が乱立をし、限られたパイをめぐる競争は激しく、中心部から遠い関空は不利な状況であるのは事実であります。また、関空の再生には有利子負債の削減が欠かせない、関空が多額の借金を抱えたのは、そもそも民活方式で用地を造成したからだとも言われておりました。また、補給金は延命策にすぎず、抜本的な解決にはならないのではないか、本来は国策として、国際ハブ空港を計画した国が責任を持って借金の一部を肩がわりせざるを得ないのではないかなどと考えられます。
 ちなみに、関西地域の経済力は、人口でオーストラリアを上回り、GDPで韓国に匹敵をしており、また関西には京都、奈良、大阪、神戸、そして和歌山県も含め豊富な観光資源もあり、関空は国際ハブ空港のポテンシャルについては十分あるというふうに考えられます。
 今お示しをしたハブ空港の成功例として引き合いに出されます韓国の仁川空港も、当時は民間活力を生かすプロジェクトとしてスタートをいたしました。しかし、開港前の空港の社長が予測されていたとおり、多額の借金に苦しんで、当初は厳しい経営を余儀なくされ、その後、韓国政府は仁川空港に財政支援をいたし、やがて着陸料を引き下げることができ、競争力をつけ、現在のアジアのハブ空港としての位置づけを確立したということであります。
 私は、今、仁川空港について、ハブ化の成功という華やかなところだけに目を奪われがちになっているのではないかなというふうに考えます。今だんだんお話をいたしましたように、実はその裏で、緻密な国家戦略のもと、努力と勉強を重ね、成功へ持ってきた。だとするならば、関空も同じことが言えるわけであり、これから一日も早く地道な努力と知恵を絞り、いい関西空港をつくっていただきたい、私はそのように考えます。これからでも決して遅くはない。関空を当初より計画していた日本の第2の国際ハブ空港として位置づけるよう国に求め、国策として関西空港を立て直していくべき、私はそう考えます。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 今後の関空のハブ空港に向けた取り組みについて、県としていかに進めていかれるのか、また関西空港の機能強化についてどう進めていくおつもりなのか、お伺いをいたします。
 最後に、和歌山にとって関西国際空港を今後県勢浮揚にどうつなげていくのかについてお尋ねをいたします。
 日本で唯一、長距離滑走路を備え、完全24時間運用可能な世界標準空港である関空に最も至近距離にある和歌山県としては、この関空のインパクトを有効に活用していく必要が今もあると思います。さきにも言いましたように、大阪府知事の橋下氏は、2035年の伊丹空港の廃止や、その跡地を特区制度を活用した国際都市や、それから新線──新しい線ですね──なにわ筋線の計画、また梅田から関空のリニア構想等、具体的にさまざまな関空利用促進策などを打ち出しておられます。
 本県では、昭和61年に関西国際空港の立地に伴う波及効果を積極的に活用し、県勢の活性化を図るために関西国際空港関連地域整備計画(7プロジェクト・3軸計画の推進)を策定し取り組んできたことは、皆さんも御承知のとおりだと思います。
 昨年、平成20年4月に策定をいたしました和歌山県長期総合計画を見ますと、次のように書かれております。「関西国際空港は、第2滑走路がオープンし、離着陸に最小限必要な施設による限定供用ではあるものの、日本初の世界標準空港になりました。 関西国際空港がアジアそして世界のゲートウエイにふさわしい機能を発揮し、さらに広域的な道路網と結節されることにより、空港から至近距離に位置する本県経済の発展にとって大きなメリットをもたらすことになります」と関西国際空港のポテンシャルを位置づけ、「関西の自治体や経済界と一体となって、関西国際空港の機能を拡充するため旅客ターミナルビル等の2期事業を推進するとともに、エアポートプロモーション等による国際線・国内線の拡充や利用促進に努めます。 また、関西国際空港が至近距離にあるメリットを活かし、国内外の観光客の誘致や企業誘致、農作物をはじめとする県産品の輸出等を行うとともに、公共交通機関の接続向上や府県間道路の整備などアクセスを強化します」と、その将来像に向けた取り組みを記載しております。
 関空開港15年、いま一度原点に立ち返り、和歌山県と関西国際空港を県勢浮揚にどうつなげていこうと考えておられるのでしょうか。知事のその御意見をお聞かせいただきたいと思います。
 以上、質問を4点にわたり申し上げてきたわけでございますけども、何とぞ、私の質問の冒頭申し上げましたとおり、意のあるところをお酌み取りいただきまして心ある答弁をお願いいたし、私の第1問を終わらしていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの山下直也君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 関西国際空港問題についてお答え申し上げたいと思います。
 関西地域の自立的な発展のためには、首都圏空港と並ぶ日本第2の国際ハブ空港が不可欠であり、関西において唯一、国際ハブ空港となり得るのは関西国際空港であることは言うまでもありません。したがって、これを伸ばしていくということは、和歌山が近いとか、よそが遠いとか、そういう問題ではなくて、関西全体の復興のためのまさに一番大事な条件であるというふうに思っております。
 また、この空港ができたときの経緯、それから今までの皆さんの御努力、そういうような原点を踏まえてすべての人が考えていかなきゃいけないということも、また事実であるかと思います。
 しかしながら、昨年からの世界的な景気後退あるいは新型インフルエンザで人々が少し不安を持った。JALの経営危機などの影響によって関西国際空港の離発着便が減少してまいりました。その中で、関空会社の中間決算は辛うじて6億円の黒字でありましたけれども、ここ数年間ずっとだんだんよくなってきておったのに、通期見通しでは27億円の赤字というふうに発表されておって、大変厳しい状況にあります。
 そうした中、いろいろな議論はあると思いますが、補給金が凍結されるべきだというような事業仕分けがなされましたけれども、これについては大変な問題になるなというふうに思います。
 関西国際空港の経営に大きく影響を与えているのは、議員御指摘のように、1兆1200億円の長期債務であります。これについては、これまた原点に戻って考えれば、本来国の責任において財務構造の抜本的改善がなされてしかるべきであったと、あるいはこれからそうされるべきであるというふうに思います。
 また、これは仕分けのときにもありましたが、3空港の根本的なあり方の検討ということも必要であろうかと思います。ただ、それまではもう何もしないというのも、関西空港のこれからの発展を考えると大変危険なことであると思いますので、それまでの間はつなぎとして補給金の継続が必要であるというふうに考えます。
 本年9月から私もメンバーとなりました関西3空港懇談会において、これをちょっと付言いたしますと、本来和歌山県と知事がメンバーでなかったというのはおかしいと思いますが、いろいろ議論をしておりましたところ、メンバーに入れていただきましたが、その懇談会において、伊丹空港を含めた抜本的解決策の合意に向けて全力を尽くしてまいりたいと考えております。
 それから2番目でございますが、関西3空港懇談会における本県の立場でございます。
 これは、関西国際空港のハブ&スポークス機能の強化を図るため──これが大事だと思いますが──特に国内線の減便が続く現状からも、国内長距離路線や主要都市への路線を、これは前々からの約束どおり伊丹から関空にシフトすべきであると、関空をなくすというのはとんでもないというふうに考えております。
 また、一元管理という議論があります。これについては、手法、内容等、議論していく課題がたくさんあると思いますけれども、関西国際空港の国際ハブ空港化にとってプラスとなるような形での一元化を図っていくべきだというふうに考えております。
 何よりもその懇談会で私が申しておりますのは、繰り返しになりますが、和歌山がどうだとか、兵庫がどうだとか、大阪がどうだとかいうんじゃなくて、全部の関西で考えたときに、関西が国際ハブ空港を持っていないというのはとんでもない弱みになるわけだから、これを盛り立てるように、これの活性化のためにいろいろな手段を労して力を合わせるべきだ、それを第一に据えるべきだ、すべてはそこから始まる、そういうふうに私はその場でも主張しているし、今もそう思っております。
 次に、関西国際空港が真の国際ハブ空港となるにはどうしたらいいかということだろうと思いますが、高コスト構造の抜本的な改善あるいはアクセスの利便性向上など、根本的な問題を解決し、仁川空港、上海空港を初めとするアジアの空港との競争に勝ち得る着陸料等の条件整備を行う必要があると考えております。
 このため、今秋より関西国際空港全体構想促進協議会と関空会社が共同で新規就航便については実質無料となる施策を行っているということから、実はこの冬のダイヤではアジア方面を中心に国際旅客便の増便、すなわち若干の巻き返しの動きも出てまいりました。
 国際ハブ空港が大事だ、このままでは外国の空港がそうなってしまって、日本が中心ではなくなるぞという点については、この協議会で申し上げるだけではなくて、実は国土交通省関係──新政権になってもいろいろ話をさしていただいておりますけれども、そのときにもいろんな資料を持っていって、仁川がこうなっておるぞとか、それから、このままでは日本が全部仁川のスポークスになってしまうじゃないかとか、そういうことを一生懸命力説して、新政権にも頑張ってもらいたいというふうに思っているところであります。
 4番目に、関西国際空港が開港して15年を見てまいりますと、例えば本県を訪れる外国人の宿泊者数や出国者数の増加、県農産物の輸出増加等、県のグローバル化に一定の成果があったと考えます。それから、何よりも、これまでの成果があったという結果ではなくて、我々にチャンスを保証する、そういう非常に重要なものになっているというふうに思います。昨年、桃を台湾にというような実験をやってみましたが、そういうことが可能になるのも関空があっての話であります。
 今後、関西国際空港のハブ&スポークス機能が充実し、アジア、そして世界のゲートウエーにふさわしい国際拠点空港となることで、関西国際空港が持つ輸送機能を活用した、今申し上げましたような農産物の輸出拡大や、あるいは中小企業の海外展開、海外と組んで事業を伸ばそうと、どんどん売ろうと、あるいは国際交流の増進、人と物の流れを拡大するということを通じて県勢発展につながるようにしていきたいと思っております。
 空港があったからといって、こういう努力を一方でいたしませんと、これまた宝の持ち腐れになるわけでございますので、いろいろ問題のある関空ではございますが、ぜひこれをうまく利用して頑張っていくべく、これまた他の政策も動員してまいりたいと思っております。県議会の皆様と連携して総合的に取り組んでまいりたいと、そんなふうに考えております。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再質問を許します。
 22番山下直也君。
○山下直也君 ただいま知事から御答弁をいただきました。そこで、私は、今こう思います。関空がいろんな意味で浮沈の瀬戸際に立たされているのは、これはもう事実であろうかと思います。関空をつくる時点から協力をいたし、また知事の御答弁にもありましたように、少なくとも開港以来、観光を初め関空の恩恵を享受し、関空を活用しながらの県勢浮揚等を行ってきた和歌山県にとって、この問題は見過ごしができない大きな課題の1つであるという、そういうところはやはり一緒であろうかと思います。
 言い過ぎかもしれませんが、言うなれば関空が疲弊をすれば和歌山県の発展への道を1つ失ってしまうことになるんではないか。そういう点でいまだ和歌山県の、少し知事に対しては失礼な言い方になるかもしれませんが、明確なメッセージが今日まで発信されていなかったのではないかなというふうに思いました。今、知事の答弁を聞いておりまして、いろいろ考えておられるというのは理解をするところであります。
 昭和49年、航空審議会答申にある関西国際空港の機能が十分に発揮されるようになった時点で大阪国際空港、すなわち伊丹空港を廃止することを前提にするとの内容があり、これは首尾一貫した正論と考えるわけであります。神戸空港まで誕生した現在、このまま行けば関空の存在意義が確実にぼかされてしまう。現に関西経済同友会の山中代表幹事──南海電鉄の会長さんでございますが──関空のハブ化のためには神戸空港を廃止すべきとさえ主張をしておられるわけであります。
 このような事態を今もって、くどいようでありますけれども、開発公社の抱えておる債務の問題があるわけでありますけれども、和歌山県はそういう大きなものも背負いながらの闘いでありますので、やはり見過ごしていってはいかんのではないかなと、このように思うわけであります。
 あんまり好きな言い方ではありませんけれども、かつて関空ができれば和歌山県は扇風機の裏側となる、そのような後ろ向きな意見があったのも事実であります。しかし、今では和歌山県民は関空の恩恵を受け、今、知事答弁にありましたように、その恩恵を享受しているのではないかということでありますので、例えばそれが企業誘致であったり、インフラの整備であったり、海外観光客を本県へ誘致をしていると。観光客が和歌山にたくさん入ってきている、その数字はふえているじゃないかと。和歌山の将来ビジョン、関空の存在抜きではこれらのことは全部私は考えられなくなってしまうのではないかなと。だから、それだけ大切なんだということでこだわったわけでございます。
 したがいまして、その関空が危ない今こそ、国においても、これもまたしつこいなあと言われるかもわかりませんが、党派を超え、県においても私たち議会も、そして県当局も地元経済界も道路整備の促進を求める要請活動と同様に、やはり歩調を合わせて一致団結して行動すべきときではないかなと、そのように思うわけであります。そのために今我々は何をすべきなのかと、それぞれの立場において考えることが大切なわけであります。
 前回、道路のことで東京に行かしていただいたときに二階衆議院議員から、例えば県議会のほうで1つにまとまるんならば──もちろん全会派の代表が行っていただいたわけでありますから、まとまるわけでありますけれども──意見書や、それから請願等をどんどんやっぱり国に対して上げてくるべきだという指摘がございました。そのとおりだと思います。我々もこれから懸命にこのための努力をする覚悟でございますので、どうか、県当局におかれましてもなお一層の御努力をお願い申し上げ、将来、この関西空港ができてよかった、その空港に和歌山県も大いに寄与することができた、これは和歌山県にとって誇りであるという結論が出ますように最大の努力をお願い申し上げ、要望といたし、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で山下直也君の質問が終了いたしました。

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