平成21年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(山下大輔議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 41番山下大輔君。
  〔山下大輔君、登壇〕(拍手)
○山下大輔君 おはようございます。今議会も、和歌山再建に向け、希望を持って質問、提案をさせていただきますので、当局におかれましては誠意ある御答弁をよろしくお願いいたします。
 議長のお許しをいただきましたので、通告に従って質問させていただきます。
 まず、地方分権、地域主権型国家の創造に向けた現状における地方政府の取り組みについて質問さしてもらいます。
 政権交代が実現した今、日本は新たな進路を進もうとしています。新たな日本の国づくりといったことでは、特に地方との関係についてもさまざまな議論が噴出し、これまでのやり方が通用せず、現在は暗中模索といったところです。
 新たな国づくりに向けて、地方側からは不安や不満も数多く出される状況にはありますが、そんな中、菅直人副総理・国家戦略担当大臣は、「明治維新以来続いた中央集権の改革には10年はかかる。それぐらいの大改革だ」と指摘されています。また、鳩山首相も、「地域主権は改革の1丁目1番地。霞ケ関を解体、再編し、地域主権を確立するのは簡単なものではないが、これまでの政権ではできなかったことの実現に努力してほしい」と、原口総務大臣に改めて強い指示を出されております。それを受けて、原口総務大臣も「新たな体制による、これまでとは違ったアプローチで地域主権を確立させる」と意気込み、そこでは、そもそも中央が決め、地方がそれに従うといった発想を転換する必要があり、国主導ではなく、あくまで地方の意見、提案を受け入れて、あるべき国と地方の姿を描き直すと、基本的には地方の意見を尊重し、重視する姿勢を明確にしています。
 そんな中、原口大臣は、主に地方分権改革を担当する非常勤顧問として、大阪府の橋下徹知事や滋賀県の嘉田由紀子知事、北海道の寺島光一郎乙部町長、そして中田宏前横浜市長や東京都杉並区の山田宏区長など、いずれもこれまで改革派の首長として活躍されてきた14人を充てる人事を発令しました。
 また、鳩山首相は、先月17日、地域主権戦略会議を立ち上げ、その除幕式では「ここからが本当の意味で地域が頑張っていける国に変えていくスタートだ」と意欲を示し、今後は地域主権戦略会議の設置に伴い、内閣府に地域主権戦略室を新設し、来年の通常国会には関連法案を提出、戦略局に格上げする予定にしています。地域主権戦略局のトップには、もとの北海道ニセコ町長、筋金入りの分権派首長であった逢坂誠二氏が就任する予定です。
 これを受けて福岡県知事、麻生渡全国知事会会長は、「地域主権戦略会議は、政治主導による総合的な推進機関で、従来の推進本部より強力になる」と評価、全国市長会の森民夫会長も「地域主権を目指す首相の決意は高く評価する」としています。
 いろいろと不安、不満もありますが、地方分権、地域主権といったことでは一歩ずつ着実な歩みが進められるものとなっています。そこでは、地方、それぞれの都道府県においても新たな国づくりに取り組む大改革の時代ですので、単に不満を口にするだけでなく、どれだけ前向きな提言ができるのかが問われています。
 さて、その地域主権戦略会議では、今月中旬までに改革の工程表をまとめるよう作業を進めています。当面の改革プランとしては、現行の補助金制度にかわって、念願であった地方が自由に使える一括交付金制度の創設、また、国土交通省の地方整備局、農林水産省の地方農政局など国の出先機関を原則廃止し、地方に移管する、また、あわせて使途を問わず自由に地方債を発行できるような要件緩和も検討すると、早速幾つかのメニューが俎上に上がっています。
 さて、そこで今回の質問では、この改革メニューにある国の出先機関の原則廃止について幾つかの提案並びに質問をさせていただきたいと思います。
 今、国の取り組みを地方に移管するよう具体的に要請する地方自治体がふえています。
 先月の11月2日、大阪府の橋下知事は、国直轄事業負担金制度に関する全国知事会のプロジェクトチームのメンバーとして、前原誠司国土交通大臣らと意見交換した際に、「負担金をなくすだけで国が直轄事業を全部握ったら地域主権にはならない」と強く訴え、国の出先機関の廃止とともに直轄事業自体を地方に移譲するよう強く訴えています。
 また、11月4日には、政権交代後初めての近畿ブロック知事会議が京都で開かれていますが、そこでは、国の出先機関の廃止について、京都府の山田啓二知事は「地方が主張しなければ地方の求める形にはならない」、また、大阪府の橋下知事も「近畿地方整備局などの国の出先機関の原則廃止については、国に残す事業や各府県や民間に移管する事業など、廃止後の具体的な仕分けを各府県が連携して地方から率先して提案していくべき」と強く指摘されています。また、この一連の作業、国への働きかけについては、「ことしから来年早々にかけてやっていく」と、座長を務めた山田啓二京都府知事も早期に着手することを明言し、あくまで、国に残す事業や府県に移管する事業の仕分けについては国の出方をうかがうのではなく、地方独自で具体案づくりを進めるとしています。
 そこで質問ですが、今、地方分権に係る具体的な動きとして、国がみずからの役割を規定するといったことを待っていたのではなかなか前には進まない状況がある中で、現在、地方側から積極的に国の権限、役割を地方に移すよう働きかける状況があります。そこで、まず国の出先機関の地方への移管について、知事の基本的なお考えをお示しいただきたいと思います。
 また、国の出先機関の移管については、本県でも独自にそのあり方を検討し、地域にとって不利益をこうむらず、メリットを最大化する事務移管を戦略的に考えることが必要です。そこでは、和歌山なりの考えを早期にまとめ、積極的に情報発信、外部に伝えていくことが特に重要となると考えますが、情報発信の重要性について知事はどのように考えられるか。
 また、現状、国の出先機関の地方への移管について、さまざまな省庁の幾つかの出先機関がありますが、それらをどのような形で受け入れるのか。それが和歌山県として一番大きなメリットが得られるのか。例えば、和歌山県内に設置されている事務所とあわせて、県外に置かれていながらも和歌山に大きな影響のある近畿地方整備局、近畿地方農政局、近畿経済産業局などについて、具体的な和歌山への受け入れイメージを持っておくことが必要だと考えます。どことどこの国の機関を和歌山県として受け入れ、概算でどれぐらいの予算規模を和歌山県の予算として組み入れることが必要と考えるか、できるだけ具体的に知事のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 続きまして、事業仕分けから考える行政の見える化への取り組みの重要性について。
 「見える化」って、ちょっと言葉でもう簡単なんですけど、見てもうたほうがわかると思いますんで。(パネルを示す)見える化──各分野で、これは企業経営の中でも言われます。トレーサビリティ、見える化というのは、実は事業仕分けでは、時間が短いとか中身の審議は不十分じゃないか、いろんな御指摘もございますが、実はそういった個々の指摘よりも今回の事業仕分けの意義の本質というのは、見える化ということだと私自身は考えております。
 先日、これまでのニュース、ワイドショーなどでも連日報道され続けてきた9日間の事業仕分けが終了いたしました。テレビを初め、インターネットなどでも中継され、世論の注目を随分集めてまいりました。今回の事業仕分けについては、仕分け人の人選から始まって、判定基準の問題、また科学技術振興など中長期の視点を欠くことなどについてさまざまな賛否の声が上がりましたが、基本的に政府は来年以降も事業仕分けを実施する考えだということです。
 今回の事業仕分けについては、お茶の間でも、居酒屋でも、ホームレスの車座談義でも話題に上った、日本で初めて政治、税金の使われ方が日常会話の話題になったと新聞紙上でも指摘されるように、私自身は、基本的に国民に予算が見える形になり、これまでは財務省と各省が水面下で繰り広げられてきた、ある意味お手盛りの予算折衝を公に見える形にしたその成果は大きく、特にこれからの日本にとって非常に意義のあることだと思っております。
 これからの日本は、人口減少、少子高齢化の強烈な波を受け、しかも人口の構成比から考えても若い働く世代が大きく減少していく時代を迎える中では、その影響は地方にこそ顕著にあらわれ、これまでの右肩上がりの時代からは確実に頭を切りかえなくてはなりません。そういった時代には、行政運営においても、新たな施策をどんどん積み上げることはできず、逆にこれまでやってきた施策、サービスも整理していかなくてはならない状況となり、そこでは、単に緊縮型の運営をやっているのではなく、選択と集中で切るべきものは思い切って縮減し、伸ばすべきところは思い切った予算もつけていくことが必要であり、それこそ行政手腕が問われるものとなります。そういったことを実現していく前提には、きっちりと国民、県民の皆さんに納得してもらい、理解してもらうことが重要で、当事者としての認識の共有が必要不可欠となります。
 これからの時代には、今回の事業仕分けのような政策決定、予算策定のプロセスの透明化は避けては通れないものとなります。こういった問題を今回、事業仕分けの事務局を務めた加藤秀樹さんが代表を務める構想日本──私も会員ですが──その構想日本を初め、私自身、さまざまな政策の勉強会で何度となく議論してまいりました。そんな中、地方政府、地方自治体において大阪などではいち早く取り組みを進めています。
 昨年の議会でも指摘、提案さしていただきましたが、大阪府ではいち早く政策決定プロセスの透明化に取り組み、現在も続けています。さらに、大阪府では、橋下知事が進める財政再建プログラムが期限切れとなる2011年度以降の新たな財政再建策を検討するための改革プロジェクトチームを12月1日付で設置し、そこでの議論では、大阪府の行政サービスが他の都道府県と比べて過剰なのか足りないのか、それを府民にはっきりわかる形で示していくと、知事自身が新たな行政運営、地域運営の透明化を宣言しています。
 今後の行政運営、地方政府のガバナンスにおいて、見える化といったことは非常に重要な取り組みとして注目されるものと思いますが、和歌山県としてもぜひ積極的な取り組みが望まれるところです。
 そこで、知事にお伺いいたしますが、今回国で行われた事業仕分けの意義とはどういったものとお考えになるか。また、この事業仕分けの有効性といったことについて知事の率直な御意見をお聞かせ願いたいと思います。
 また、実際に事業仕分けを導入するかどうかは別にして、そもそも政策決定のプロセス、予算査定のプロセスの透明化、行政の見える化の推進、そこから県民との問題意識の共有といったことについては、これからの時代、財源不足が恒常化していく中では欠くことのできない行政運営の手法になると考えます。私自身、昨年も提案しましたが、形はどうあれ、和歌山県でも政策決定、予算策定のプロセスの透明化はぜひとも早期に取り組む意義のあるものと思いますが、知事の御認識をお伺いいたします。
 続きまして、関西国際空港に係る県の対応についてお伺いいたします。
 現在、関西国際空港を取り巻く環境は大きな転換点を迎えています。先日、前原誠司国土交通大臣が羽田空港を国際拠点のハブ空港と位置づけたことで、関西国際空港の活性化策が見直しを迫られる可能性が出てきています。また、関空では、国からの補給金を原資に韓国仁川空港などと比べて割高な着陸料を含む空港利用料を抜本的に見直す方向で検討に入っていましたが、しかし、さきの行政刷新会議、事業仕分けの中で、伊丹を含めた抜本的な解決策が得られるまでは政府補給金を凍結するといった判定を受けるものとなりました。これにより、現状まで進められてきている関空再生計画も国の支援の前提が崩れかねない状況となり、その成り行きが心配されるものとなっています。
 まず、行政刷新会議の取り組みを確認してみると、関空の補給金が俎上に上げられたのは、11月16日に行われた事業仕分けでした。(資料を示す)これがそのときの資料ですが、インターネット等でもダウンロードできます。国土交通省が来年度の概算要求に盛り込んだ関空への補給金160億円が議論の対象とされていました。議論の中身としては、補給金は延命策でしかない、毎年入れることが逆に抜本的な改革を遠ざけている、巨額の税金で一時的に着陸料を引き下げて、それで本当に需要がふえるのかなど指摘されていたようです。
 1兆円を超える有利子負債の金利負担を軽減するための160億円の補給金について14人の仕分け人の判定は、廃止が2人、凍結9人、縮減3人となり、このグループでの結論は凍結ということでした。この凍結を解くためには、従来の対症療法ではなく、伊丹空港や神戸空港も交えた抜本的な経営改善策を示すことが絶対条件とされています。
 これを受けて地元の反応はさまざまで、関空会社の福島伸一社長は、「非常に残念。政府には国家戦略に基づき、満額を認めていただくよう強く要望する」としていますが、一方、大阪府の橋下知事などは、「大歓迎。補給金の凍結は、長期的に見れば関西のためになる。これでやっと国も地元も目を覚ますでしょう」とカンフル剤としての効果を期待した逆説的な発言をされています。
 私自身も、事業仕分けで指摘された関空不振の背景には、関西圏全体の空港過剰問題があり、それを放置したまま補助金をつぎ込んでも問題の先送りにしかならないという判断は妥当なものと思います。今回の機会をとらえて、この関西圏での空港の整理統合を決断することは、和歌山にとってはもちろんのこと、関西全体にとっても非常に大切なことと考えます。
 ここで、和歌山県としても、これまでは避けてきた関空に係る本質的な議論、伊丹廃止を含めた今の関西における空港整備の全体構想、和歌山ビジョンを明確にすべき段階に来ていると思います。補給金が最終的に予算案に盛り込まれるのかは財務省の予算査定となりますが、もうこの年末と目前に迫っていて、そこでは和歌山県なりの構想を思い切ってぶつけるのは今がラストチャンスとなります。
 これまでの和歌山県は、関西国際空港に対して県民の税金をつぎ込み続けてきています。昨年までの累計で出資金として66億9000万、貸付金として16億4000万、1期工事の負担金54億4000万、2期工事の負担金83億3000万、そしてプロモーションなどの経費として関空促進協議会へ1億6000万円の血税をつぎ込んできています。しかし、このままではこれまでの税金投入も無駄となり、将来の和歌山県民に大きな禍根を残すことにもなりかねない状況です。ここらで和歌山県としても今後の展開を見通して、これまでの努力を無駄にしないためにも、また税金をつぎ込んできた責任としても、しっかり物を言っていかなくてはいけないのだと思います。
 そこで知事に質問ですが、まず今回の事業仕分けの結果を聞いて率直な感想をお聞かせ願いたいと思います。また、仮に来年度からの補給金160億円がなくなった場合、県として関西国際空港がどのような事態になると想定しているか。あわせて、国からの補給金がなくなった場合、大阪府では関空関連の予算を凍結するといったことも検討されているようですが、和歌山県はどういった対応を考えているか、御所見を賜りたいと思います。
 続けて、この関空問題で、最重要の指摘となります伊丹空港廃止に向けた和歌山県の姿勢についてお尋ねいたします。
 伊丹空港への対応としては、これまで和歌山県としては、関空から受けるメリットが他の近畿府県よりも大きく、そこでは地域エゴととられないためにも伊丹空港に係る露骨な発言は控えてきていますが、しかし、私は、事ここに至っては、はっきりと伊丹のあり方についても言及すべきタイミングに来ていると思います。伊丹空港に隣接する自治体は、今になってこれまでのいきさつを抜きにして伊丹空港存続の運動を強化し、ややもすると、伊丹を廃止すること自体が道理の通らない理不尽なものに聞こえるような全くおかしな発言まで出てきています。そこでは、我々も関空の整備に至る経過を改めて確認しつつ、関西広域に係る利益の最大化といった視点から、和歌山県なりに堂々と伊丹廃止の妥当性について声を大にして訴えるべきと思います。
 まず、これまでの伊丹空港の開港から今日まで、皆様も御存じかと思いますが、改めて簡単に振り返ってみたいと思います。
 現在の大阪国際空港は、1939年、昭和14年に大阪第二飛行場として開設されました。戦後、一時的に連合国軍に接収されたときに伊丹エアベースと名づけられたことが現在の通称伊丹空港となっています。日本への返還後、1958年に大阪空港として新たに開港、翌59年には第一種空港として国際路線を開設し、大阪国際空港と改称されました。1964年からジェット機が乗り入れを始めたのを契機に、伊丹周辺地域では環境・公害問題が大きな社会問題となり、1964年10月には大阪国際空港騒音対策協議会が発足し、1967年には公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律いわゆる騒防法が制定され、伊丹の騒音に対して国が補償する長い歴史がスタートすることとなります。周辺住民、周辺自治体の反対運動は激しさを増していき、1973年には、伊丹市が大阪国際空港撤去都市と宣言するところまで行っています。
 こういった一連の反対運動の激化から、運輸省はこれ以上の衝突を避けるため、関西圏での新空港開設を検討することとなり、その際、そもそも前提条件として、あくまで新空港開港に伴い伊丹空港は廃止される予定となっていました。しかし、いざ新空港ができるという現実を突きつけられると、周辺自治体では経済的利益の損失を恐れる声が大きくなり、それまで伊丹廃止を声高に叫び、その対策費を国から享受してきた多くの自治体、市民は姿勢を反転させ、逆に存続運動を始めるようになります。
 1968年から新空港開設の正式な調査がスタートし、当初は淡路島、神戸沖、播磨灘など候補地が上がっては消えていく中で、結局、1974年に新空港建設地として泉州沖が決定され、沖合5キロに世界初となる本格的な海上空港を建設、騒音に加えて大気や海上汚染など環境問題に配慮し、24時間運用可能な国際拠点空港を築き上げる壮大な国家プロジェクトがスタートしました。
 その後、泉州地域を初め、和歌山など周辺自治体の理解、協力を得て1994年に関西国際空港が正式に開業、さらに24時間運用のための第2滑走路が建設され、現在に至っています。
 反対運動の現況としては、伊丹空港廃止、撤去を強く要望してきた大阪国際空港騒音対策協議会は平成17年に、時代の要請を受けてといった理屈で、その名称から「騒音」といったかなめの言葉を簡単に外して大阪国際空港周辺都市対策協議会に名前を変え、今や堂々と伊丹空港存続を声高に叫んでいます。しかも一方で、昨年から減額されたとはいえ、国からの税金支出となる騒音対策費についても、今でもそれを受け取り続けている現実があります。
 ちなみに、これまで騒音対策費として国から周辺自治体に投入された税金は、昨年までで総額、何と6755億円にも上っており、通常なら新しい空港が1つ、2つできるぐらいの金額を享受してきています。
 こういった状況を改めて確認して、やはり本当に理屈が通らないと思いますし、ほとほと情けなく思いますが、関空が危機に際している今、伊丹空港廃止以外には結局手詰まりとなる可能性が大きい中、今後は和歌山県の戦略としても伊丹空港廃止に向けてしっかりとした姿勢が必要になると考えます。
 そこで知事にお尋ねいたしますが、まず、伊丹空港のこれまでの経過を見て率直に知事はどのように感じられるでしょうか、お聞かせください。
 また、私はこれまで、関西圏全体における空港整備についてその理想とするあり方を和歌山独自に描くべきと、この議会で何度も提案してまいりました。県としても構想をまとめていただいているものと思いますが、そこで伊丹が廃止になった場合の関西圏全体のメリット、関空のメリットをどのように考えているか、あわせて御答弁いただきたいと思います。
 また、基本的に私は、関西圏全体の未来の発展のためにも、今こそ伊丹空港廃止の道筋をつけるべきときに来ていると思います。今回の事業仕分けの議論でも、基本的には、関空は西日本の国際拠点となるハブ空港といった位置づけで、その価値は認められるものとなっています。あくまで予算凍結の理由は、伊丹空港廃止を含めた抜本的な改善策を検討すべきだということで、結論を先送りさせないということです。伊丹廃止に向けて和歌山県としてもはっきり発言していくべきと考えますが、知事の御認識を賜りたいと思います。
 次に、観光医療を初め、新たな観光、集客への提言について。
 これまでも観光医療といったことで和歌山の気候風土、自然条件などの地域資源を最大限に生かした新たな観光集客の取り組みを提言してきましたが、今回改めてメディカルツーリズム、ヘルスツーリズムの取り組みについてアジア市場、特に中国にフォーカスして強化する提案をさせていただきたいと思います。
 「健康」「観光」「環境」は、今の時代、3K、時代のキーワードとなっています。現在の鳩山政権においても、前原国土交通大臣は、特に観光の取り組みに力を入れたいと、事あるごとに指摘もされています。そんな中、とりわけ健康と観光を組み合わせたヘルスツーリズムは、新たな観光商品の1つとしてその有効性は強く指摘され、今後ますます期待される分野となっています。
 そもそも古来から、観光、旅行には人をいやし、健康にする力があることは知られています。温泉療法、運動療法、森林セラピー、アロマセラピー、アンチエイジングのための長寿食事療法など、旅するときには五感を働かせることで人にいやしを与えることができます。観光を通じて健康を取り戻したい、維持したいといった欲求は、特に富裕層が爆発的に増加している今の中国では大きなものとなっているようです。
 先日、和歌山県、山東省の友好提携25周年を記念する行事に私自身も参加させていただき、青島、済南を訪問させていただきました。訪問団の件については、あす、向井先輩議員のほうから詳しく御報告いただけるということですので、ここでは詳しく述べませんが、やはり今の中国は一見にしかずであり、今回の訪問でも多くのことを気づかされ、また新たなビジネスチャンスといったことについても体感してまいりました。
 今回提案させていただくものは、中国訪問中に私たちの案内役をしていただいた元済南市の外事弁公室に勤務されていた王勇さんから勧められた中国人を対象とする観光旅行についてです。王氏からは、和歌山県でも大きなメリットのある取り組みになると思うので、ぜひ具体的に検討すればよいのではないかと貴重なアドバイスをいただきました。
 王氏は、もともと山東省済南市、外事弁公室で日本担当として仕事をされていて、私との出会いは8年前、私が市議会議員当時、和歌山市と済南市が姉妹都市で、その交流事業のため済南市へ伺った際にお世話をしてくれたのが彼でした。その王氏は、2001年、青島中国旅行社にヘッドハンティングされ、今回の和歌山県の友好訪問の担当者として再会することとなりました。
 彼が勤める青島中国旅行社は1958年に設立された歴史ある旅行社で、この2008年からは青島市政府が運営する青島華通国有資本運営グループに組み入れられ、正社員130名の青島最大の旅行社となっています。
 その王氏と現在の中国人の旅行ニーズ、動向といったことをお話しする中で、私たちがこれまで取り組んできている観光医療に対する大きな可能性について改めて指摘されるものとなりました。今後、日本への個人旅行が解禁された中国では多くの旅行需要が生み出される、そこでは、特に和歌山などの地方は新たな付加価値をつけた旅行商品をつくらないといけない、それができれば大きな成果が期待される。その一例として、この12月中旬に王さんが実際に主催する中国人の日本向けツアーの内容を御紹介いただきました。
 王さんが今回担当するのは、まさに観光医療の商品であり、それは青島中国旅行社としても初めて扱うツアーだということです。定員は20名でしたが、山東省以外からも申し込みが殺到したということです。参加する人は30歳から45歳までのまだ若い企業経営者や資産家などの富裕層で、12月の16日に上海を出発し、17日に東京で人間ドック、PET検査を受けてから20日までは観光。訪れる観光地としては定番の富士山や箱根をルートに入れて、高級ホテルに宿泊。ツアー代金は日本円で1人50万円程度という高額な旅行商品だということです。
 王さんの話で特に印象的だったのは、日本向けの旅行で観光医療は今後ますます盛んになるだろう、その理由としては、中国にも同様の検査を受けられる環境はあるが、しかし、日本には中国にない特別な信頼感があるということでした。医療でも日本は中国の先を行く先進国であり、経験値も高く、中国で同じような最先端の医療機器を導入しても信頼性が乏しく、診断の結果についても不信感があるということでした。日本は厳密で正確といった国としてのイメージがあり、それこそが日本の強みでありブランドとなっていると指摘されました。
 また、この人間ドック、PET検査などを含む観光ツアーを誘致する利点としては、一度検査して終わる話ではなく、その人の健康状態を継続的に見ていく必要があり、一度このツアーに参加すると毎年参加してくれる可能性があり、リピーターの確保が容易であるということでした。
 こういった旅行商品は全国でも幾つかの取り組みが進められていて、この関西圏でも大阪府などは、MRIなど医療設備が整った病院が多い大阪の特徴を生かし、アジア客向け人間ドックツアーを企画し、特に中国の沿岸部に住む30から50代の富裕層をターゲットにして1泊2日の健診に、有馬温泉での保養や大阪市内での買い物を組み合わせた旅行商品づくりを進めています。今後は府内各病院でも受け入れ態勢を整備し、また大阪府としても通訳などを用意し、バックアップしていくということです。
 そもそも中国人の観光客の市場としては、2006年に前年比11%増の3450万人となっていて右肩上がり、その消費額は300億USドル、3兆円に迫る市場となっています。中国人の海外旅行による平均消費額は、旅費、宿泊費を除き一旅行当たり2913USドル、約25万円となっていて、大半がショッピングで消費されています。中国の金融資産100万ドル以上の人口は34万人で、これも右肩上がり。その富裕層にとって、近年、旅行への関心が急激に高まっており、旅行に関心の高いスーパーリッチの市場でも毎年8%前後で拡大していくと見込まれていて、アジアでの観光爆発を誘引する核となると言われています。
 今こそ和歌山県としても、山東省との友好関係を単なる親善交流だけに終わらせずに、和歌山への観光客の誘致にも積極的に活用すべきと考えます。これまでの交流でお互いの信頼関係を地道に築いてきているわけですから、今回はぜひ王さんの提案に耳を傾け、これまで私たちも取り組んできている観光医療といった概念の延長線上にPET検査や人間ドックなどの付加価値を和歌山観光に組み合わせ、中国からの集客を図る取り組みを強化していただきたいと思います。
 そこで質問ですが、まずアジア、特に中国の富裕層などを対象とした観光旅行の商品としてMRIやPET検査、人間ドックなどの予防医療を組み込む取り組みについてどのように考えるか。また、そういったものを具体的に商品化していく場合、和歌山における可能性をどのように考えるか。また、このような旅行商品を和歌山で考える場合には、県内の病院、医師会などとの連携が欠かせません。これは観光交流課だけで取り組めるものではなく、庁内でのワーキンググループづくりを初め、作業を進めてもらうことが必要だと考えます。また、あわせて、できるだけ早期にモデル事業をつくって取り組んでいただきたいと考えますが、商工観光労働部長より御所見を賜りたいと思います。
 最後に、新たな観光集客といった同じくくりの中で、Jリーグチーム、ヴァンフォーレ甲府のキャンプの誘致についてお尋ねいたします。
 Jリーグチーム、ヴァンフォーレ甲府の合宿誘致がほぼ決定に近い段階となっている中で、県の対応について幾つかの提案並びに質問をさせていただきます。
 プロスポーツのキャンプ誘致は、全国的にも多くの自治体が、特に観光を重視する地域では相乗効果を期待する声が多く、激しい誘致合戦が繰り広げられています。
 プロスポーツのキャンプは、通常、観光シーズンのオフの時期に行われることが多く、観光客の入り込みを平準化したい多くの観光地にとっては願ってもないチャンスとなります。特にサッカーJリーグのキャンプは、1年のうち1月と6月がキャンプシーズンとなり、和歌山観光にとっても非常に都合がよく、受け入れやすい環境にあります。また、サッカーのJリーグの場合は地域主義をとっていて、地元のテレビ局、ラジオ局による熱烈な応援もあり、オフシーズンのキャンプなどは地元のテレビ局のクルーも同伴することも多く、そこではチーム状況のリポートが毎日のように伝えられ、広告効果としても大きな成果が期待できます。
 今回のヴァンフォーレ甲府は、日本テレビ系列のYBS山梨放送が地元チームとして応援していて、そこではスポーツ番組、またニュースとしても和歌山の紹介を含めてキャンプ情報を放送してくれることが期待されます。
 さて、こういった地域への貢献を期待して、全国でも多くの自治体がプロスポーツのキャンプ誘致を積極的に行っています。例えば宮崎県などでは、合宿誘致について県を挙げて取り組み、成果を上げています。読売巨人軍の宮崎キャンプは有名ですが、プロ野球だけでなく、プロサッカー、JFL、実業団野球、実業団陸上部等の合宿誘致を積極的に推進し、それにあわせて天然芝の球場や雨天時の屋内練習場、宿泊施設等の整備を行い、全国的にも認知される状況となっています。
 ちなみに、昨年春季の経済効果は、宮崎県の試算で125億円となっています。そのほか、最近キャンプ地として有名になったところでは、北海道網走市などは道と市が協力し、行政主導のキャンプ誘致を成功させています。現在、夏には実業団ラグビーチームを初め、約1000人が訪れ、経済効果は5億2000万円ということです。また、長野県でもラグビー合宿で有名な菅平では、芝生のグラウンド6面、公認陸上競技場を完備したサニアパークを整備し、最近はサッカー、陸上競技を含む年間約1300チームが訪れるものとなっています。
 そういった中で、今回、和歌山にもチャンスが来ました。株式会社ヴァンフォーレ山梨スポーツクラブ、通称ヴァンフォーレ甲府が来年1月18日から29日の間、和歌山でキャンプをしていただける可能性が高いものとなっています。
 このヴァンフォーレ甲府というチームは、1999年から開始されたJリーグにおいて、当初はJ2からスタートし、2000年にはクラブ存続の危機を迎えたが、地域一丸となって乗り越え、2005年にはJ1の入れかえ戦を制し、2006年から2年間J1の舞台で活躍されています。2008年には、残念ながらJ2に降格してしまいましたが、現在、J1復帰を目指して健闘されています。
 また、このチームの代表取締役社長の海野一幸さんは、今のJリーグでカリスマ的な経営者として知られ、Jリーグ全体のチェアマンにもふさわしい人と評価される人物で、今回の合宿が決まれば和歌山にも来られる予定となっていて、講演等をお願いできる可能性があります。
 さて、今回の件でここまで来るには多くの人にお世話になりましたが、それは、日ごろから地道な努力をされている縁の下の力持ちがあって初めて実現した話です。このキャンプ誘致の一番の功労者は、特定非営利活動法人NPOのミラグロッソカイナンスポーツクラブの副理事長、森下勇人さんです。
 森下さんは、生まれ育ちは海南ですが、高校から東京の帝京高校に行き、名将小沼監督のもとでサッカー人生を歩まれました。その人柄から多くの人に慕われ、今や全国にサッカー関係の人脈を持ち、また家業を継ぐために地元に戻った後もボランティアで長年にわたって熱心に地域の子供たちに世界を目指すサッカーを教えてきています。
 その彼から、東京にあるコラボという会社を御紹介いただいたのですが、このコラボという会社は、Jリーグを退団した若い選手のセカンドキャリアをつくろうと設立された会社で、その社長さんも和歌山海南出身、森下さんの同級生で鈴川純二氏が引き受けられています。
 今回のキャンプ誘致を実際に現場サイドで進めてくれたのは、帝京高校で森下さんの4つ下のキャプテンを務め、そのコラボで中心的な役割を担い、現在のJリーグでも多くの有名選手から絶大なる信頼を集めている日比さんという方です。この日比さんが和歌山に来られたときに私も御紹介いただき、いろいろと話をし、そこでは和歌山の環境を説明し、ヨットのナショナルトレセンが誘致された話などをしている中で、Jリーグのキャンプを考えてもらえないかとお願いしたところ、実際に候補チームに和歌山を御紹介いただき、現地視察をしていただけるところまでとんとん拍子に話を進めてくれました。
 今回は森下さんの御紹介から多くの人の出会いをいただき、今回のキャンプ誘致を進めることになっていて、本当にありがたく、この場をかりて心からお礼を言いたいと思います。また、現地視察では、私自身は中国出張が重なり同行できなかったのですが、マリーナシティのロイヤルパインズホテル様にも御無理をお願いし、破格の条件を出していただきました。また、県のスポーツ課も誠心誠意御案内いただき、特に日比野課長御自身も大学までサッカー選手として活躍された経歴から、共通の知人などもあって話を盛り上げていただけたようです。
 このようにたくさんの方の力を結集して、今回のキャンプ誘致が進められているわけですが、和歌山県としても、今後、国体を契機として、県の多額の税金を投入して多くのスポーツ施設が整備されることとなります。その投資をしっかりと将来に生かしていくためにも、今後はプロスポーツのキャンプ誘致などは欠かせないものとなります。
 そこで、今回のヴァンフォーレ甲府のキャンプ誘致に係る過程で幾つかの課題も見えてきましたので、そういった話も含めて知事並びに教育長に質問並びに提案をさせていただきます。
 まず、プロスポーツチームのキャンプ誘致について、その地域におけるメリットを県としてどのように考えるか、知事の御所見を賜りたいと思います。
 また、今回キャンプ誘致を実現させるために何らかの助成をできないかと県の制度を調べてみたのですが、対応できそうなものがありませんでした。よく似た性格のもので、和歌山県観光連盟のコンベンション開催助成金制度というのがありましたが、担当課からお話を伺うと利用できないということでした。これでは他の自治体での取り組みと比較しても余りにもお粗末で、もう少し体制を整備する必要があると考えます。今後、県でもキャンプ誘致のインセンティブとなる助成、補助の制度については早急に整備してもらいたいと考えますが、知事の御所見を賜りたいと思います。
 また、プロスポーツチームのキャンプが誘致された場合には、これは地域の子供たちにとってもまたとない機会となり、地域への貢献が期待されます。スポーツクリニックなどを開催して、競技スポーツのトップ選手と地域の子供たちが触れ合える環境をつくる、そういった体験は子供たちにとっても大きな財産となりますが、教育長に、地域における特に子供たちとの交流の意義、また、どういった取り組みが具体的に可能か、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
 2点目、先ほど知事と言いましたけれども、答弁は商工観光労働部長のほうからお願いしたいと思います。
 以上で、私の1問目の質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの山下大輔君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、国の出先機関の地方移管の問題でございます。
 私は、地方分権とか地域主権とか大変大事でありまして、現在の立場だけじゃなくて、もともといろんな意見はたくさん持っております。人後に落ちないと思います。その中でも、前政権の中でも、どうもこの出先機関の地方移管あるいは解体あるいは廃止、そういうものにだけ脚光が浴びているのはちょっと変だなあという感じはしております。もっと大切なことがたくさんあるじゃないかというふうに思うんですが、御質問ですので、お答え申し上げたいと思います。
 この問題については、大事なことが3つあると思います。第1は国と地方の役割分担の明確化、第2は財源の確保、第3は人の取り扱いであります。こういうことをきっちりしないと、地方への押しつけになったり、あるいは、例えば大阪のかわりに東京になっちゃったという一極集中が加速するなんていう結果になってしまうということにもなりかねません。
 「地方にできることは地方で」とよく言われますけれども、大切なのは、できるとかできないとかいう話じゃなくて、責任を持ってだれがやるべきかということではないかと思います。まず、国が責任を持つべきことは何かということをきちんと整理した上で、それ以外の事務、権限等は全部地方に移管すべきだと思います。
 国が責任を持つべき範囲、ある意味ではこの国の形というのは、本来的には国全体で議論して決めるものだと思いますし、鳩山総理が所信表明演説で明言されましたように、活力に満ちた地域社会をつくるため、国が果たすべき役割は率先して果たすべきだということだと思います。
 しかしながら、最近の政府の動向を見ておりますと、地域主権の名のもとに国が責任を負うべきものまで安易に地方に押しつけられるのではないかなあという心配も私自身はちょっとしておりまして、本県としては、何が国が責任を負うべき分野なのかということを積極的に国に申し入れていきたいと考えております。
 具体的に、例えば1つ申し上げますと、高速道路を初めとする幹線道路網の整備というのは、地域間の競争条件を整えるという観点だけではなくて、国土を有効に使って日本というものの国際競争力を高めるという観点からも、これは国が最後まで責任を持つべきだと思っております。地方で勝手にやりなさいというようなものではないと思います。社会保障などもそうだと思います。
 議員御指摘の近畿に所在する出先機関の事務権限についても、国が責任を負うべき分野の明確化を図った上で、それ以外の事務は必要な財源をちゃんとつけた上で地方に移管すればええと思うんです。その際、府県単位では移管できないような事務については、広域連合で受け入れればよいというふうに思います。橋下知事はこういった趣旨で広域連合での出先機関の受け入れを提案しているのだと考えております。
 今後、全国知事会や近畿ブロック知事会において国の出先機関の事務の仕分けを行うことになっておりますので、こういった観点から本県の意見を発信してまいりたいと思います。
 最後に、地方移管される事務を担当している国家公務員の処遇の問題については、私は基本的には、地方に事務移管されるからといって、国の職員を簡単に引き受けることはできないというふうに発言をしております。地方と比べて国の職員の数の見直しは進んでおりません。本県でも、新行財政改革推進プランに基づき、血のにじむような気持ちで11.7%の職員を削減しようとしているところでございます。そういうことですから、まず国において行政改革をきっちりと行うべきであると考えております。そうでなければ行革に伴う痛み、つらいことだけを地方に押しつけるということになるわけであります。
 次に、事業仕分けでございます。
 事業仕分けから考える行政の見える化─ちょっと漢字を当てておもしろいなあというふうに思いますが─への取り組みの重要性についてでございますけれども、今回国で行われた事業仕分けについては、政権交代に伴ってこれまでの政策を点検し、それを予算編成に生かしていこうというものであると理解しております。
 改革をしようとするときは、こういう何らかの形のリシャッフルというのは有効であり、かつ必要であるかと思います。また、これにより、これまで継続されてきた事業等のあり方について、まさに見える化で国民の関心を集め、大いに議論されたということは意味のあることだと考えております。
 次に、政策決定や予算編成のプロセスの透明化を図るべきではないかという御質問でありますが、私は、知事就任以来、できるだけ県民の皆様にわかりやすく県の考え方をお知らせし、より多くの県民の声を聞くことを心がけ、そういう意味で1つ1つ真摯に、まさに見える化をやってきたつもりでございます。
 昨年度は、新行財政改革推進プランの初年度でありました。この新行財政改革推進プランをつくるときにも何度もプロセスを発表して、それで意見を聞きながらやってまいりました。それで、県の総意としてそういうことができたので、今度はそれを実行せないかん。それの初年度でございます。で、御承知のように、10億円ずつ毎年削っていかないとちゃんとしたつじつまが合わないというふうになっております。そのために行革をせにゃいかん、県有施設、外郭団体、補助金の見直し等、こういうものを実施しなきゃいけないということなんで、まず行政改革を担当する事務局案、これを私の結論を得る前に発表してもらいました。その政策的な見地からの必要性の検討を1年間かけて行って、それで結論を出したわけです。
 その間、県議会でも御審議いただきましたし、県民からの意見もたくさんいただきました。俎上に上った各政策のサポーターから机の上にこんな山と積まれるほどの反対の御意見もいただきました。賛成も少しありましたが。そういう意味で、和歌山の場合、目に見える化をやったわけですが、プランを実施するというときに、財政が破綻しないようにという共通の座標軸があったと思います。そういう意味では、和歌山の場合は国がやっているのよりももう少し理論的だったかなという感じはするんですが、そういう検討を加えた上で見直し案を検討したわけであります。
 さらに、毎年度の県の政策形成におきましても、毎年、新施策を部内で議論しております。その新政策の議論の節々で公表いたしまして、それをもとにいたしまして、一般の意見はもちろんのこと、例えば市町村長の懇談会を開催して市町村の立場からの御意見をいただいたりして修正をしたり、さらに拡大をしたりするということをやっておるわけであります。
 私は、県がやるべきことは、こうしたさまざまな工夫を踏んだ上で行政内部で真摯に検討を重ね、県としての責任のある成案をまとめて県民にお示しすることであって、その成案について十分に説明責任を果たしていくことだと考えております。
 それを、申し上げました以上に議論の過程をオープンにする。例えば、知事と部内で議論しているところをテレビで映すとか、そういうことをいたしますと、俗な言葉でございますが、カメラ目線になりまして、それで、あるいはええ格好をする、あるいはひょっとしたら言いたいことも我慢しちゃうということになってはならないというふうに思います。したがいまして、現実の問題として多少無理があるというふうに思いますので、来年度の新施策につきましても、今後、国の予算編成の動向や地方交付税、税収などの歳入見通しを踏まえながら、十分な内部検討を経て責任のある当局案を作成し、そして県民の代表である議会にこれを御審議いただくのが筋かなというふうに考えておる次第でございます。
 次に、関西空港に関してでございます。
 これの事業仕分けの結果についての感想ということでございますが、これは、概算要求において、関西国際空港に対する補給金が従来の90億円から160億円に増額されておりました。ある意味では期待しておりました。さきの事業仕分けにより補給金が、言葉だけ言えば凍結ということになりました。長期的に見ると、それは、まさに仕分けのときに書いてありましたように伊丹空港を含めた抜本的な解決策を考えるためのということでございますので、その解決策を考える上ではいい機会となったと私も思います。
 ただ、現実の問題から考えますと、その解決策が出るまで補給金がなくていいかというと、これはつらいわけであります。したがって、つなぎの意味として補給金を続けていってほしいなあというふうに思っております。
 山下議員は引用されませんでしたけども、橋下さんの声明文には、実は同じことが書かれています。新聞報道ではそこは書かれなかったのでございますが、現実の問題としては、しばらく検討が済むまでの間は補給金は必要であるぞよというふうに書かれていることを、よその県でございますが、一言だけ御報告しておきたいと思います。
 そこで、関空会社では、国際拠点空港としての競争力強化策として、ことし10月から新規就航、増便に対して着陸料割引の拡大を行っております。例えば、私もイタリアに行って、関西全体のためにアリタリア航空の増便を頼めないかというような運動もしましたし、全員でいろいろ運動をしております。幸い、この冬のダイヤでは、アジア方面を中心に国際旅客線の増便の動きもあります。これを可能にするように、補給金160億円を活用して、既存便の国際線着陸料の割引等も考えてるというふうに聞いております。
 補給金がなくなりますと、財務構造のさらなる悪化はもとより、こういうプロモーションに使う前向きのためのいろんな仕事がなかなかできなくなっていきます。そういう意味では、抜本的改善を待たないうちに関西空港の競争力がさらに低下するということを恐れるわけであります。
 大阪府が予算を凍結した場合の対応ということでございますが、私は、そういうことがというよりも、その前提として補給金がなくなってはならんというふうに思います。なくなってることを想定して、それで大阪府が、じゃ凍結するということを想定してということはなかなか答えにくいんですけれども、関係府県と連携して関空が盛り上がっていくように何とか相談をしてまいりたいと考えています。
 伊丹空港の問題でありますが、これまでの経過を見ての感想ということでありますが、伊丹空港を含めた3空港のあり方についての議論の必要性は感じております。伊丹空港の環境問題から関西国際空港が伊丹空港の廃止を前提に建設されたという過去の経緯は大変大事なことでありまして、これを忘れたかのごとく伊丹空港の機能強化を唱える意見があることについても、また、そういうことにくみしてしまった国の政策が行われてきたということも、私は率直に申し上げますと、どうよという気持ちでございます。
 次に、伊丹廃止によるメリットあるいはデメリットについてはさまざまな議論の余地があると思いますが、私は、関西国際空港の機能強化を図り、関西国際空港を国際ハブ空港として発展させるということを大事に考える、これが一番大事な視点で、長期的にはこれこそが関西の発展につながるものと、これは和歌山県だけではなくて、関西全体のためだと確信しておりまして、これを主張してまいりたいと思います。
 伊丹廃止に向けた和歌山県の姿勢はどうかということでございます。
 9月の関西3空港懇談会において、橋下大阪府知事からの提案で、伊丹空港の廃止を含めた長期ビジョンを1年程度かけて議論していくこととしておりますが、県としては関西及び和歌山の発展につながるよう、今申し上げましたように関西国際空港の活性化、国際ハブ空港化を強力に主張してまいる所存でございます。
 次に、プロチームのキャンプ誘致に係る地域メリットについてでございますが、スポーツ合宿はリピート性が高く、長期滞在につながるなど、県内宿泊施設の稼働率アップを初めとする経済的な波及効果も、あるいは教育効果も、いろんな面でいいところがあると思います。また、豊かな文化や自然、そういう本県の魅力を知っていただく絶好の観光のPRの機会とも考えております。
 実は、国体の施設、これをつくる、それをどこの市町村で、どういうスキームでやるかということをほぼ1年かけて、ちょうど1年ぐらい前まで検討してきたわけでございます。そのときも、重要な視点は、単に国体を実行するということじゃなくて、その後もずうっとスポーツ合宿によるまちおこしに役立たせるような、そういう見地からいろいろ考えてやっていただいたわけであります。
 既に、特に先進的な市町村では、こういうことについて積極的な誘致活動も行われております。それを後押ししようと考えまして、本県では職員が努力をしてくれて、各種スポーツ施設や宿泊施設あるいは医療機関など合宿に必要な情報を1つにまとめた「スポーツ王国わかやま合宿ガイド」をつくりまして、京阪神への近接性、温暖な気候という本県の持つメリットを生かしたスポーツ合宿の誘致に努めているところであります。
 このたび本県がJリーグに所属するプロサッカーチームのキャンプ候補地として選考されておりますことは、大変歓迎すべきでありまして、このチャンスを生かすとともに、もっとこの動きを加速してまいりたいというふうに考えております。
○議長(冨安民浩君) この際、申し上げます。
 所定の時間まで残り2分強であります。答弁は簡潔にお願いいたします。
 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) まず、アジアの富裕層を対象とした観光旅行に人間ドック等の予防医療を組み込む取り組みにつきまして、1、2、3、まとめてお答えいたします。
 議員御提言の人間ドックなどを組み込んだ旅行ツアーは、健康志向が強まっている中国の富裕層の方々にとりましては、付加価値の高い旅行商品となるものと考えてございます。また、本県のすばらしい自然景観や温泉、多彩な食文化などと医療サービスとをうまく組み合わせることで魅力的な観光メニューとなり、本県へのより一層の誘客が期待できるものと考えております。
 なお、その実施に当たりましては、医療通訳の確保などの受け入れ体制の課題もありますが、今後、早急に関係機関と協議に入りたいと考えております。
 次に、キャンプ誘致のインセンティブとなる助成制度の整備についてお答えをさせていただきます。
 プロスポーツのキャンプ誘致につきましては、議員御提案のとおり、コンベンション開催の助成も1つの方策ではありますが、プロチームのキャンプ地選定に当たりましては、施設や設備のレベルを重視したキャンプ地の選定が行われていると聞いております。また、そのことに加え、市町村が主体となった地域全体での誘致活動やキャンプ運営へのサポートも実現への大きな牽引力になるものと考えられております。
 このため、県としましては、今回の経験を踏まえ、関係市町村との役割分担を明確にしながら、本県がプロスポーツのキャンプ地として選ばれるよう適切な支援策を検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) プロスポーツチームのキャンプ誘致についてお答えいたします。
 議員御指摘のプロスポーツチームの本県でのキャンプ誘致につきましては、子供たちが一流のプレーを目の当たりにすることによりまして、夢や感動を与え、スポーツに対する高い目的意識を醸成し、運動、スポーツの苦手な子供たちにも運動習慣をはぐくむそういった効果が期待できます。
 また、国体開催に向けて「わがまちのスポーツ」の振興や住民の意識を高める意味でも期待できるとともに、教育的見地からも効果的でございます。キャンプ期間中には、一流の選手やコーチによるスポーツ教室の開催や指導者の資質向上のための研修会などの開催が可能でありまして、主体となります市町村や関係団体と連携・協力し、誘致促進に努めてまいります。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 所定の時間が参りましたので、以上で山下大輔君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時46分休憩
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