平成21年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(前芝雅嗣議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前10時1分開議
○議長(冨安民浩君) これより本日の会議を開きます。
 この際、報告いたします。
 議案の追加提出がありました。
 日程第1、議案第175号から議案第180号までを一括して議題といたします。
 議案は、お手元に配付しております。
 まず、当局の説明を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいま追加提出いたしました議案第175号から180号は、去る11月30日に議決をいただき、改正した給与関係条例の施行等に伴う所要額を補正するものであり、一般会計で27億5500万円余、特別会計で8500万円余の減額の補正予算を計上しております。
 何とぞ、御審議の上、御賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(冨安民浩君) 以上で、当局の説明が終わりました。
 日程第2、議案第155号及び議案第164号から議案第180号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第3、一般質問を行います。
 3番前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕(拍手)
○前芝雅嗣君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問をさせていただきます。
 質問に先立ち、今議会のトップバッターとして質問する機会をお与えいただきました先輩・同僚議員の御配慮に厚く御礼申し上げます。
 それでは、早速質問に入ってまいりたいと思います。
 初めに、平成22年度当初予算編成方針と新政策についてお伺いいたします。
 先月内閣府が発表した月例経済報告によりますと、「景気は、持ち直してきているが、自律性に乏しく、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある。」との厳しい認識とあわせて、平成18年6月以来、3年5カ月ぶりに日本経済が緩やかなデフレ状態にあるとの憂慮すべき認識が示されたところであります。
 一方、本県に目を転じますと、9月時点の製造工業部門の鉱工業生産指数は平成17年を100として84.0、10月時点の有効求人倍率は0.53倍とともに夏場を境にやや持ち直し傾向にあるものの、依然として低位にあり、一日も早い景気回復を待ち望む県民からすれば一向に明るさは感じられず、忍耐も限界に達しているのではないかと大変危惧しております。
 また、先般、自由民主党県議団から知事に対し、立ちおくれている本県社会資本を整備するための公共事業関係予算の増額に関する申し入れをさせていただいたところですが、本県、とりわけ県南部においては、もはや1つの地場産業とも言える公共事業についても近畿自動車道紀勢線の御坊─田辺間4車線化事業の執行停止が閣議決定され、また平成22年度予算概算要求の組みかえでは公共事業費が大幅に削減されるなど、ここ数年来事業量が減り続けている上に、過当競争による近年の受注額の低価格化が拍車をかけ、建設業の経営は極めて厳しい状況となっております。
 県では、このような厳しい経済状況のもと、来年度の予算編成に向けた予算編成方針を発表されたところですが、その中で知事は、平成22年度予算は、元気な和歌山の創造に向け、県民の生活に希望と安心をもたらす取り組みに重点投資するとの重点目標を掲げられております。元気な和歌山の創造は、長期総合計画に掲げる将来像であり、知事はかつてこの議場で、「今後は、毎年度の新政策プロセスにおいて、長期総合計画に常に立ち返り、その進捗状況を注視しながら事業の不断の見直しを行うとともに、県政の課題に対する新しい施策を積極的に展開してまいりたい」と述べられておりますが、まさに今こそ長期総合計画の原点に立ち返り、県民が待ち望む地域や経済を元気にする新政策を積極的に展開する必要があると感じているところです。
 そこで、以下の2つの点について知事にお伺いいたします。
 第1に、予算編成方針で示された「希望」と「安心」という2つのキーワードを目にしたとき、私は、未来への明るい展望を待ち望む県民の切なる願いにこたえようとする知事の決意を感じ、今後の県の取り組みに大きな期待を抱いたところでありますが、知事は希望と安心という言葉にどのような思いを込められたのか、まずお聞かせいただきたいと思います。
 第2に、予算編成方針で示された希望と安心という2つの目標は県民から見てもわかりやすい言葉であると思いますが、肝心なことは、具体的にどのような施策を実行していくかということであると考えるところです。具体的な施策となる来年度の新政策としてどのような取り組みを進められようとしているのか、現時点での知事のお考えをお伺いいたします。
 次に、質問項目の2番目、県職員の人事に関する知事の基本的な考え方についてお伺いいたします。
 私は、知事が県勢発展のため企業誘致や観光振興に日夜東奔西走していただいていることに対し、敬意を表しております。知事及び職員の方々の努力により、この厳しい経済状況の中、和歌山県への企業進出は徐々にふえており、また紀伊山地の霊場と参詣道の世界遺産登録、串本沿岸海域のラムサール条約湿地登録の効果等もあって、観光においても明るい兆しが見えてきているものと認識しております。
 企業誘致や観光振興だけでなく、すべての県の政策は、知事の方針に沿って短期、中期、長期の計画を立て、それぞれ戦略を持って諸施策を実施していくというのが基本であろうと思います。知事みずからがプロモーションに積極的に参加するなど、各方面に御活躍をされているというのは認識しているところでございますが、各種政策、施策を実際に実行していくのは県の職員であり、それぞれの分野に適した人材を配置し、その能力を遺憾なく発揮してもらうことが最も重要であると考えます。
 さきの9月議会で自由民主党県議団の中村裕一議員が、がん対策に対する専門分野に熟知した職員の育成について質問した際、総務部長から専門分野に精通した職員の養成に努める旨の答弁がなされたところですが、がん対策という分野のみならず、専門的知識・経験を要する部署は、税財政、福祉、環境、農林水産、建築、土木等、知事部局においても多々あることと思います。
 中でも、紀南地域振興のため私も微力ながら懸命に取り組んでいる観光振興、企業誘致といった分野においては専門的知識・経験に加え、人と人とのつながりというものが大変重要な意味を持ってまいります。県の職員に人事異動はつきものではありますが、専門的知識・経験を積み重ねた上に人とのつながりも蓄積した職員を、人事ローテーション上の必要性とはいえ、2~3年の短期間で異動させてしまうのは、県の組織として大きな損失であろうと思います。
 特に海外からの観光客の誘致等につきましては、相手先旅行代理店等関係者との人的つながりが非常に重視されるところがあり、相手先と良好な関係を築いている職員については、多少在職期間が長くなっても引き続き県の観光振興のために頑張ってもらうというようなことも必要であると考えるところですが、知事としてどのような考え方のもとに人事を行っているのかをお聞かせいただきたいと思います。
 また、在職期間にこだわらず適材適所の人事配置をしていただくとしても、みずから限界もあろうかと思います。県職員としてさまざまな分野の仕事を経験してステップアップしていくためには、どこかの時点で人事異動が必要になるということも理解できるところであります。その際には、後任の人事において適任者を選任するのは当然ですが、前任者が培った人脈を絶やすことのない人的つながりに十分に配慮した引き継ぎが絶対に必要であると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、質問項目の3番目として、漁業振興策についてお伺いいたします。
 その第1は、漁業不振の原因と今後の対策についてであります。
 漁業は、水産資源の減少、魚価の低迷、漁業者の高齢化に加え、燃油高騰により全国的に厳しい状況が続いております。和歌山県においても、海面漁業の漁獲量は、平成9年と平成19年を比較すると、6万2000トンから3万8000トンに約4割減少し、生産額は410億円から176億円に約6割減少しており、漁業者の高齢化も進み、60歳以上が55%を占めていると聞いております。
 紀南地域では、生マグロ水揚げ日本一を誇る勝浦漁港においても、マグロの水揚げが最大であった平成4年の2万4000トンから平成20年には1万1000トンにまで減少してきました。カツオの漁獲量も、近年には好漁時の3分の1程度である1000トン前後の不漁が続いております。また、イセエビの浜値が最も価格の高いときから見れば半額以下になり、養殖マダイは生産原価を割りかねない厳しい状況にあります。
 このような状況の中、県では、マグロやカツオを対象とした中層式浮き漁礁の設置などハード対策を実施しつつ、流通、販売のソフト対策として勝浦の生マグロや串本のしょらさん鰹、すさみのケンケン鰹についてプレミア和歌山に認定するほか、水産物流通アドバイザーによる販売指導、イセエビの消費拡大を図る地元イベントへの支援、クロマグロやクエなどの高級魚の養殖や安全・安心なマダイ養殖の推進等の種々の対策を実施していると聞いているところではございますが、そもそも漁業が現在のように不振に陥った原因はどこにあるのでしょうか。また、今後の漁業振興のための対策について、農林水産部長にお伺いいたします。
 第2は、水産試験場の取り組み状況と今後の展望についてであります。
 串本町にある県の水産試験場は、平成18年度に当時の水産試験場と増養殖研究所を統合し、21世紀にふさわしいこれからの水産業や海の環境保全の研究、都市と農村との交流を深める拠点として整備されたものであります。
 建設当時に私が県議会において一般質問を行っており、その議事録を見ると、新しい水産試験場は、水産業を支える地域科学技術の振興を図るため、国の支援のもとナノテクノロジーやバイオテクノロジー分野の研究を駆使して、県独自の戦略的研究開発プランに基づき研究開発を進めながら、産学官が一体となった共同研究にも取り組むとともに、見る、触れる、学ぶ、食べるを基本理念に都市との交流や地域の活性化に寄与できる開かれた研究施設とすると説明されております。
 私も、地元の串本町にできる施設でもあり、県の水産業に新風を吹き込んでくれるものとして大変期待したところであります。開設から3年余りの年月が経過したところですが、水産試験場施設開設後の取り組み状況と今後の方向性について、農林水産部長にお尋ねいたします。
 第3は、クロマグロ養殖の新規計画の現状と今後の展望についてであります。
 県内養殖業は、マダイを中心に串本の浅海漁場、田辺湾等において行われていますが、最近の魚価の低迷等により廃業していく業者が多く、大変厳しい状況にあります。一方、近年、鹿児島県や長崎県ではマグロ養殖が大規模に行われ、生産量が増加しております。本県では、近畿大学水産研究所が串本町において平成15年に完全養殖に成功し、本年には養殖用種苗4万匹の大量生産に成功するなど、マグロ養殖について先進的な研究が行われているところであります。
 マグロ類の中でも特にクロマグロについては、乱獲による資源の減少が叫ばれ、国際的なマグロの漁獲枠規制の声が高まる中、本年11月15日には大西洋まぐろ類保存国際委員会──ICCATですが──の年次総会で、2010年の東大西洋と地中海の漁獲枠を2009年と比較し、約4割減の1万3500トンに削減することで各国が合意し、日本の国別割り当て量は2009年の1871トンから2010年には1148トンになってしまうという新聞報道がございました。また、2010年にはICCATの科学委員会が資源調査を実施し、この調査に基づき来年度以降の漁獲枠を自動的に決める新制度の採用も決定されたところであります。
 日本は、世界のマグロの約8割を消費するマグロ大好き国であります。日本の消費量の半分はこの海域産であるという現状であり、また台湾、中国を初め世界的にマグロ食用需要が急増していることを考えると、これからの天然マグロ、養殖マグロ関係産業はともに将来大変有望であり、紀南地方活性化の核となり得る産業であると思うところであります。
 こうした状況のもと、民間漁業会社が串本町地先でクロマグロの新規養殖に乗り出そうとしているとのことですが、その漁場計画の進捗状況と今後の展望について、農林水産部長にお伺いいたします。
 第4は、第3とも関連しますが、県としてのマグロ資源に対する考え方についてであります。
 これまで述べたようなマグロを取り巻く世界的な動きがある中、マグロに対する需要がふえればふえるほど資源保護の観点から規制が強化されるものと考えられ、将来的には、大西洋、地中海のみならず、太平洋海域にも規制が及んでくるものと考えるところでございます。
 そうしたことが予測される中、日本一の水揚げを誇る勝浦の天然生マグロ、勝浦串本地区での養殖マグロ、世界に誇る近畿大学の完全養殖マグロ等、さまざまなマグロ資源に恵まれている本県として、このマグロ資源の活用についてどのような方向性を持って進めていくのかを農林水産部長にお伺いいたします。
 最後に、質問事項の4番目として、2010年トルコにおける日本年に係る県の取り組みについてお伺いいたします。
 昨年の12月、この議場において私は、和歌山県議会としてのトルコ共和国訪問の報告とともに、2010年トルコにおける日本年事業に対する県の取り組みについて質問をさせていただいたところではございますが、今回の質問に当たり、最初に、改めてトルコにおける日本年事業について簡単に御紹介させていただきたいと思います。
 トルコにおける日本年事業とは、1890年、明治天皇に拝謁したオスマン帝国使節団が軍艦エルトゥールル号での母国トルコへの帰路、串本町沖で台風により沈没、600名余りのとうとい命が失われる一方、69名の乗組員が旧大島村の人々により救出されたという事件から、120年の節目となる2010年を日本とトルコの友好120年と位置づけ開催される事業であり、張富士夫トヨタ自動車会長らが発起人となってできた実行委員会には仁坂知事、田嶋串本町長も賛助委員として加わっております。
 また、昨年は、トルコの国家元首であるギュル大統領が来日、串本町へも訪問されるなど、「トルコにおける日本年」を控え、日本とトルコとの友好の機運が大変盛り上がってきている状況であります。
 私は、このトルコにおける日本年は、本県にとりましても、トルコ及び日本国内に和歌山を売り出すチャンスだと考えていますが、2010年を目の前に控え、来年9月に予定されているエルトゥールル号の120年慰霊式典まで1年を切った現在、本県としての取り組み状況はどうなっているのか、企画部長にお伺いいたします。
 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの前芝雅嗣君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 最初に、予算編成方針と新政策についての御質問についてお答え申し上げます。
 昨年3月に策定いたしました長期総合計画に掲げた元気な和歌山の実現に向け、毎年度新政策プロセスを通じて事業の進捗状況をチェックしながら、足らずを補い、進んでいるところを伸ばすというような視点で検討を進めているところであります。
 議員のお話にございましたが、私は、就任以来、和歌山を元気にしたいとの一念で今日まで全身全霊で取り組んできました。予算編成方針に盛り込んだ御指摘の希望と安心という2つの方向性は、元気な和歌山を創造するために今何が必要かというような観点から考えた元気な和歌山のための方向性でありまして、22年度新政策の設計思想とも言うべきものだと考えております。
 政策が実行され、少しずつでも和歌山がよくなるというふうに皆さんが希望を持ってくださったら、それは和歌山県全体が元気になっていくもとだと考えております。また、それぞれのいろんな点で不安がありますと、これが元気がなくなる。そういう意味で安心ということも元気のもとだというふうに思っております。
 現在、この方針に基づきまして、具体化に向けた検討を進めているところでありまして、最終的に議会を初め県民の皆様からいただいた御意見を参考にさしていただきながら、財政の健全化にもこれまた十分配慮して予算を編成してまいりたいと考えております。
 次に、来年度の新政策の具体的な取り組みについてでございますけれども、1つ目の柱である県民の希望を開く施策については、地域や県経済を活性化するためには、地域づくりや産業振興を強化することが、まずもって重要と考えております。
 たくましい産業をつくる政策として、海外への販路開拓支援など県内企業の競争力を強化する取り組みとか、あるいは生産から加工、流通、販売までを一体的に支援する新農林水産業戦略プロジェクトの取り組み拡大など、足腰の強い農林水産業の育成を進めてまいりたいと考えております。
 さらに、学力の向上はもとより心の教育に至るまで、和歌山県としての教育モデルを確立し、しっかりとした人づくりを進めるとともに、新エネルギーの導入やわがまち元気プロジェクトなど、本県の強みを生かした取り組みについても力を注いでまいりたいと考えているところです。
 さらに、地域づくりについては、とりわけ過疎対策が、これは喫緊の課題であります。現行の過疎法が期限切れを迎えるに当たりまして、現在国に対して過疎債の延長、総合対策交付金の新設──これはこちらで考えたことでございますが──大胆な規制緩和などを盛り込んだ県独自の政策提案を行っているところでありますけれども、県としても、今地域にお住まいの方の生活を守ることはもとより、定住者の増加につながる条件整備等も含めて、過疎地域に希望の灯をともす、集落の再生に向けた施策を実施していきたいと考えているところでございます。
 2つ目の生活の安心を守る施策については、厳しい社会経済情勢の中にあってこそ、まずは県民が日々の生活を送っていく上での不安を少しでもなくしていけるように、市町村とも十分連携してきめ細かな対策を講じていく必要があると考えております。
 具体的には、地域の方々が相互に助け合い支え合う社会づくりを目指す地域福祉の推進や、あるいは地域の拠点病院の整備など福祉医療体制のさらなる充実を初め、消費者行政に取り組む市町村への支援、あるいは東南海・南海地震に備えるための防災対策等をより一層充実強化してまいりたいと考えております。
 次に、職員人事の基本的な考え方であります。
 私は、県職員1人1人の能力を高めるということが一番大事だと思っております。職員を育てていくということが一番大事だと思っております。県の組織は永遠でございます。先輩から後輩へどんどんと能力が高まり、それが伝えられていくということが大事であります。知事が幾らすぐれていても、いつかは去ります。議員もまた同じだと思います。全体の県の職員の資質を高めておかないと、県百年の大計は図れないというふうに考えます。
 そのために職員の人事配置も大事でございます。職員の力が最大限発揮され、その時々の行政課題に適切に対応できるように、適材適所と育成が大事だと考えております。育成のためには、広範囲の知識、経験を有する職員だけじゃなくて、特定の分野に深い知識、経験を有する職員の育成も必要であると考えております。
 そのため、人事異動におきましても、在職年数等において一律的な取り扱いをするのではなくて、職員の適正を十分見きわめつつ、業務の内容や状況等に応じて柔軟に対応していきたいと考えております。2年間ですぱすぱっとかえるというのが割合慣例でありましたが、私が知事になってからちょっと、だんだんと直しております。
 また、人事異動に伴う引き継ぎが、これまた大変大切でございます。そのため、引き継ぎ書をつくってください、その中には自分がそのときに知り合いになった人脈、立派な人、それも全部書いてください、そういうふうに今お願いを職員にしております。そういうことによって、仮に人事異動があったとしても県民サービスの低下を招くことを極小にして、業務を円滑に遂行していく上で頑張っていきたいというふうに思っております。
 職員に対しては、業務内容だけじゃなくて、今申し上げましたように、職務上培った人脈などもしっかり引き継ぎをして、それで組織全体で落っこちることがないように、後退することがないようにしていきたい、そんなふうに考えているところでございます。
○議長(冨安民浩君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 漁業の振興策についての4点についてお答えを申し上げたいと思います。
 まず、第1点目の漁業不振の原因と今後の対策ということでございますが、まず漁業の不振につきましては、ライフスタイルの変貌ということの中で、魚介類の消費の減少という大きな構造的な変化を背景といたしまして、議員お話しのように、水産資源の減少や魚価の低迷、漁業者の高齢化や若年層の魚離れに加えまして、紀南地域におきましては、黒潮の変化等によるカツオの漁獲量の減少などが主な要因ではないかというふうに考えてございます。
 こうした厳しい環境に対処するために、県では、平成20年の2月に策定をいたしました水産業活性化アクションプログラムに基づきまして、漁家の所得向上に向けた取り組みを現在進めているところでございます。
 具体的には、まず、まき網漁業の船団のスリム化やマグロ、クエの養殖の推進のための経営基盤の再構築、県漁連による低価格魚の加工品の開発や販売等の流通戦略の構築、それからヒラメ、イサキ等の増殖場や漁礁の設置等の水産基盤の整備、それから漁業体験や漁家民泊、朝市等の観光業との連携という4つの柱を基本といたしまして各般の施策を推進しているところでございます。
 中でも、まき網、底びき網、それから船引き網などの主要漁業につきましては、資源の回復、また減船を含めた構造改革を進めているところでございまして、今後とも漁業の再生に向けた取り組みに努力してまいりたいというふうに考えてございます。
 次に、2点目の水産試験場の取り組み状況と今後の方向性ということでございますが、平成18年度に統合してからこれまでの主な試験研究のテーマといたしましては、梅まだいの肉質改善、それからマダイとヒラメとの複合養殖による漁場環境の保全、それからクエの種苗生産のふ化率の向上等に取り組んでまいってございます。こうした中で、クエの種苗の安定生産が可能ということになってきたことから、水産試験場内に種苗の量産施設を建設するということにしてございます。
 また、2カ月先の漁場予測の実用化ということを目指しまして、独立法人でございます海洋研究開発機構とも共同研究に現在取り組んでいるところでございます。さらに、地域に開かれた試験場の取り組みの一環といたしまして、主に小中高校生を対象に地元の魚を使った料理や海藻の分類などを体験しながら学べるくろしおふれあい講座を開設いたしまして、これまで延べ3800人が受講し、好評を得てございます。今後とも、漁業振興の核として地元に密着し、開かれた研究機関として充実してまいりたいというふうに考えてございます。
 次に、クロマグロ養殖の新規計画の現状と今後の展望ということでございますが、和歌山東漁協のほうから、ことしの3月にクロマグロの養殖の新規漁場についての要望がございました。これを受けまして、県といたしましては、計画樹立に向けた取り組みを進めてまいってございます。
 御承知のとおり、クロマグロの養殖というのは、大規模な漁場を占有することから地元地区あるいはその関係漁業者との調整に時間を要するということがございましたが、このたび漁場の利用についての理解が得られましたので、今後、県として所要の手続を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
 県内のクロマグロの養殖につきましては、水温あるいは水質の条件から見まして、田辺市、串本町、太地地先の3海域が適地でございまして、今後とも地域との連携を図りながら本海域におけるクロマグロ養殖を積極的に進めてまいりたいというふうに考えてございます。
 最後、4点目でございますが、天然マグロを含むマグロ資源に対する県の考え方ということでございますが、お話しございましたように、クロマグロの国際的な漁獲の規制が進む中で、水産庁といたしましても、養殖用の種苗を含めた太平洋クロマグロの本格的な資源管理への移行ということが示唆をされてございます。
 こうした中で、県といたしましては、養殖を進める中ではございますが、本年の5月に、近畿大学を初め、漁協、養殖業者あるいは町、県の関係者で構成いたします和歌山県マグロ推進協議会を設立いたしまして、県産マグロのPRの方法、あるいは養殖技術の開発等について検討に着手をしてございます。将来的には天然養殖種苗の規制も懸念されますので、今後、関係機関とも連携をし、人工種苗による完全養殖の推進に努めてまいる所存でございます。
 また、議員お話しのように、天然マグロにつきましては、生マグロ水揚げ西日本一の紀州勝浦産生マグロのブランド化の強化を図るために、本年の3月、東京の築地市場におきまして一般消費者を含めた関係者への試食会を開催するなど、新たな取り組みも進めてございまして、今後とも積極的なPR活動を展開してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 企画部長前硲健作君。
  〔前硲健作君、登壇〕
○企画部長(前硲健作君) 2010年トルコにおける日本年についてでございますが、日本とトルコの間における長年にわたる良好な友好関係、その礎には、今から120年前、串本町沖で起きましたトルコ軍艦エルトゥールル号遭難事件、そこにおける大島島民の献身的な活動というのがあるという、この歴史的な重みを次の世代に伝えていくことは極めて重要なことであると思いまして、この機会に国内外にそのことを強くアピールしていきたいという考えを持っております。
 このため、県におきましては、本年7月に串本町が主体となって組織いたしました日本トルコ友好120周年等事業実行委員会に参加いたしまして、地元主体の事業の具体化に向けまして串本町及び同町内の民間団体の方々とともに検討を進めているところではありますが、これにあわせまして、国で計画しておりますトルコにおける日本年関連事業、いろいろございますが、その中でも串本町とともに積極的にこうしたことをアピールしてまいりたいと考えておりまして、国とも現在協議を進めているところでございます。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再質問を許します。
 3番前芝雅嗣君。
○前芝雅嗣君 御答弁、ありがとうございました。知事におきましては、この低迷している和歌山県、何とか浮上させていただきたいと、そのように思います。
 何点か要望したいと思うんですけど、トルコにおける日本年の事業でございますが、本当に力強い御答弁をいただきまして、1人の串本町民としましても大変ありがたく、感謝しております。どうか、これからも串本町と協議なさって一生懸命取り組んでいただきますように、よろしくお願い申し上げます。
 エルトゥールル号事件に関してですが、串本町のほうでも映画の制作の話が持ち上がっておりまして、地元としても大変期待をしている、そういった今、現状にございます。そういった中で、町長と監督から知事に表敬訪問をしたいという意向を聞いておりますので、公務御多忙かとは思いますが、その節はどうかよろしくお願い申し上げます。
 そして、マグロに関する新規事業の養殖計画についてでございますが、地元でも紆余曲折があり、また地元漁民の中でも漁場を失うという漁師の方もたくさんございます。そういった中で、やっぱり雇用や経済波及効果を考え、大所高所に立って計画に賛成してくれた方も多数いらっしゃいます。そうした地元の思いのこもった計画でもあり、ぜひ成功させていただきたいと。実現に向けて県としても前向きに取り組んでいただけるよう御要望しておきます。
 そしてまた、この計画が実現した場合、養殖場計画のある場所はラムサール条約登録の湿地の近くにございますので、環境面の配慮というのは大変重要になってくると、そのように思うんですよ。養殖の場合は、えさのやり方等で海底にえさが堆積するなど、海域に影響を及ぼすことも考えられまして、串本町民も、そういうことも一部やっぱり大変不安に思ってる方々もいらっしゃいます。定期的なモニタリング等、環境との共存を図るなど、大変ちょっと配慮が欠かせないと思いますので、県の適切な御指導により、美しい海を守りながら産業を育てることに取り組んでいただきたいと、そのように強く思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
 以上、要望を申し上げまして、質問を終わります。
○議長(冨安民浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で前芝雅嗣君の質問が終了いたしました。

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