平成21年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(山下大輔議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後1時0分再開
○副議長(坂本 登君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 41番山下大輔君。
  〔山下大輔君、登壇〕(拍手)
○山下大輔君 皆さん、こんにちは。議会最終日、また張り切って頑張りますのでよろしくお願いいたします。
 先日行われました第45回衆議院選挙、総選挙は、この国の政治に新たなページを加える歴史的にも大きな意義のあるものになったと思います。ここから日本の政治も新たな枠組みで新しいステージに進むこととなり、そこでは、国家、国民のため、よりよい政治が形づくられることを心から望むものです。
 選挙結果は民主党が308議席と、前回の郵政選挙で自民党が大勝して獲得した議席をさらに上回るものとなりました。この結果を見て政治学者の御厨貴さんは、「保守、革新といった政治体制の終えん。そもそも革新の崩壊により、実際的には保守といったもの自体が幻想であり、今は新たな言語象徴の模索が始まっている過程。今回の選挙は、これまで戦後から続いた55年体制の真の意味での崩壊を意味する。今、新たな民主国家日本の着実な歩みが期待される」と指摘されています。
 このような政権交代の実現は、この国の政治にとって、言うまでもなく大きな影響を及ぼすものになりますが、国民にとっても、みずからの意思で政権を交代させた今回の選挙は非常に大きな意味があるものと考えます。
 これまでも制度上は国民が主権者であり、政権交代の可能性はありましたが、しかし、実際に政権交代が行われない中では、みずからの1票の価値を十分に意識することはありませんでした。しかし、今回はその呪縛から解き放たれ、政治を動かす1票の重みを国民の多くが改めて実感したものと思います。この貴重な体験を、今後にも、よりよい政治を生み出す原動力として生かしていかなくてはいけないのだと思います。
 今回の結果を受けて今願うことは、単なる政党間の争いでなく、これが国民にとって大きな成功体験となり、政治への意識が高まり、民主国家としてさらに進展することが期待されます。みずからが投じる1票が政権を変え、社会をよりよい方向に変えていき、そして自分たちの生活も変えることになる。そのためにも、今回の政権交代が一定の成果を上げ、国民にとって本当によかったという認識を持てるようにしなくてはなりません。
 もし、これが逆の結果となり、自分たちの手で実現した政権交代が何の成果も上げられないとなると、それは政治自体への大きな失望につながり、これまで以上に政治への参加意欲を失わせることにもなりかねません。そういった意味からも、今の民主党には大きな責任があり、今回の結果を未来への希望へつなげるためにも、何としても頑張っていかなくてはいけないのだと思います。
 私自身も、昨年、民主党に入党させていただき、その一員として活動させていただく中では、これまで以上に真剣な政治活動を進めていこうと決意を新たにしているところです。そういった思いの中で、今議会も和歌山のさらなる飛躍と発展を心から願い、議長の許可を得て一般質問をさせていただきますので、当局には誠意ある御答弁をお願いいたします。
 それでは、最初の質問として、政権交代から新たな和歌山づくりに向けて。
 このたびの政権交代を受けて、民主党が中心となる連立政権が日本のかじ取りを担っていく中では、この国の形といったものが再考され、そこではこれからの地方のあり方自体も改めて見直されることになります。今後は、国と地方でその関係性を新たに模索する状況が生まれ、そこでは地方からもしっかりと未来を展望した新たな地域ビジョンの発信が期待されます。
 今回の選挙において、民主党はマニフェストとして新たな国づくりを宣言する中で、その5つの柱の1つに「地域主権」を掲げました。
 「地方分権」、「地域主権」といったことは、最近マスコミなどを通じてよく耳にする言葉となり、一般にも知られるようになっていますが、その中身については余り理解が深まっていないように感じます。
 そもそも地方分権、その後に出てきている地域主権とは、どういったもので、どういった意味が込められているのか、そしてなぜ今の日本で必要とされるのか。
 民主党は、今後の日本が目指すべき方向性として、あくまで地方分権よりも地域主権が必要だと訴えています。その上で、地域主権が確立した地方の集合体が国家となるといった考えに立脚して新しい国の形を模索しようとしています。
 地方分権は、あくまで分権、権限を分け与えるという意味であり、そこでは中央である国と地方である自治体との間に上下の関係があり、そういった意味では、これまでの地方分権議論は中央集権体制下の微調整だといった認識があります。
 これからの日本は、地方分権の発想を一歩進めて地域主権国家として、国が内政全般に関与してきた中央集権体制を見直し、国と地方が明確な役割分担のもと、それぞれが独立した権限とみずからの税財源を持ち、地域が自由で独創的な活動をできるようにする新しい国の形を志向するものとなっています。
 私たちの国は、明治維新以降、先進西洋諸国に追いつけ追い越せで、中央集権体制のもと大きな発展をなし遂げてきました。しかし、今日では、東京などの大都市圏だけが繁栄し、地方は押しなべて衰退している現実があります。しかも、唯一繁栄してきた東京圏ですら国際的な地位を低下させ続けています。
 これは、東京で中央官僚が画一的に政策を進めてきた中央集権体制が、高度経済成長を経た今、既に制度疲労を起こしており、国が地方自治体を初め民間活動までも主導する中央集権・官僚統治体制は限界に来ている、現在の仕組みでは、東京一極集中と地域間格差は広がる一方で、地方での取り組みも既に限界が見える状況で、特に親方日の丸、中央集権体制の大きな傘の下でやってきた地方自治体は、自主・自立の気概をなくし、みずから考える意欲さえも失い続け、現在に至っては、地域固有の個性さえも失いつつある状況にあります。
 また、今の体制では受益と負担の関係も見えづらく、国民の目線からは国会、霞ケ関は遠過ぎてチェックも働かず、結果的にはニーズに合わない社会資本整備、効率の悪い公共サービスが生まれ、多くの無駄と膨大な財政赤字を生み出す原因ともなってしまっています。
 こうした問題を解決するためには、小手先の制度改正ではなく、国の形を根本的に変える改革を断行する必要があり、それこそが地域主権、道州制構想であって、それはまた官僚主導の社会経済構造を改める究極の構造改革とも位置づけられています。
 このような大方針のもと、今後は地方も地域の自立、地域経営といった視点で地域戦略を再構築することが迫られ、そこでは、私たちの和歌山も、新たな日本づくりの中で国益にも資する和歌山県発展のビジョンを描き切れるのかが問われるものとなります。
 今、日本全体から地方を見て、新たな発想、これまでの考え方から180度転換することが必要とされています。これからの日本は、人口減少、産業構造の変化などから、日本全体の経済成長によって同じように地方も引っ張られ成長し、よくなっていくといった状況にはなく、大きなひずみが生まれています。そこでは、これまでの発想を180度転換して、まずは地方が元気になることが先決であり、地方分権、地域主権が進められていく中で、地方みずから知恵を絞り、個性を磨き、大いに発展していく、そしてその先に活力ある地方の集合体として国家の発展を実現していくといった青写真が描かれています。
 このように、これまでのパラダイムが大きく変化しようとするときに、和歌山県もその流れをしっかりとつかみつつ、新たな地域戦略の構築が求められます。
 そこでは、これまでの発想は通用しません。これまでの高度経済成長期に地方を発展させた魔法の言葉、三種の神器、高速・空港・新幹線、地方でよく言われた「何々ができれば」といった発想にいつまでもしがみついていては未来はありません。和歌山でも言われ続けた「関空ができれば」「高速が通れば」。しかし、結局何も変わってきませんでした。事実として、逆に衰退し続けています。
 20世紀の成功体験を何となく引きずっていたのでは、地方に明るい希望をもたらすことはできない。その現実を真摯に受けとめ、これまでの反省にしっかりと立って新たな取り組みが求められます。これからは、どことも地方がやっている成功モデルを単にまねするのではなく、まずはみずからが考え、知恵を絞り、他の地域にない魅力を創造し、オンリーワンのブランドを構築していく、ブランドを獲得していく、このことこそが新しい国づくりの中での地方の生き残りの秘訣となります。
 私は、和歌山の未来を必ず明るいものにできると心から信じています。これまでの反省に立ち、地域の個性を磨き上げる真剣な努力ができれば、和歌山には大きな可能性があると信じています。
 半島にあって国土軸から外れていた和歌山にとって、20世紀の工業化が爆発的に進んだ社会は大きなハンディを背負った時代でした。しかし、逆に考えると、この20世紀という時代に乗りおくれたことで、今後、世界的なテーマとなる恵まれた自然、すぐれた環境といったものが残され、これからの21世紀には大きな追い風を受けることができます。そこでは、あくまで大都市を追いかけるまちづくりではなく、逆に大都市との違いを鮮明にして、対立軸をしっかりと打ち立て、地域の特徴ある恵まれた自然環境を徹底して生かした地域づくりのビジョンこそが必要とされるもので、そういった地域の将来像をしっかりと描き切ることができれば、21世紀こそ和歌山の時代になると私は大きな希望を持っています。
 今、地域主権を掲げる民主党中心の連立政権ができ、新たな国づくりを進めようとするこのタイミングは、大きなチャンスのときでもあります。ここで、これまでの国づくりにおいて和歌山が取り残され後回しにされてきたことも、この機会にきちっと清算させて、そこでは地域エゴととられないような形で主張すべきは主張して、和歌山の権利として他地域以上に国からの財源もしっかりと確保し、未来に向かってチャレンジすることが必要です。
 さて、そういった中で、改めて今後の和歌山の地域づくり、新たな方向性などについて知事の御所見を賜りたいと思います。
 まず、知事に今回の政権交代の意義について、地方の立場、首長の立場からどういった感想を持たれたか、率直な御意見をお聞かせ願いたいと思います。
 また、民主党が政権をとり、新たな国づくりを宣言する中で、その5つの柱の1つに地域主権を掲げていますが、その地域主権が実現される意味、その必要性についてどのようにお考えになられるか。改めて知事の御所見を賜りたいと思います。
 また、地域主権を進め、税財源も地方に移していく中で、和歌山の主張として、これまで知事は、公共投資、特に高速道路建設などについて、和歌山の立場は、これまで我慢し続けてきて、やっと順番が回ってきたときに公共投資の削減、高速道路もつくらないといったことでは不公正だといった発言をされてきています。
 確かに私も、何よりも優先してまず高速をつくるかどうかは別にしても、和歌山として、これまで我慢してきた分を改めて要求する立場は、正当に認められるものだと考えます。そこでは、まずどれだけの我慢をしてきたのかを具体的に示し、また今後どの程度の財源を要求していくことに正当性が見出せるのか、改めて表面立てて議論する論理と数字が必要になってくると考えますが、それらについて知事のお考えをできるだけ詳しく、具体的な数値も示してお聞かせいただきたいと思います。
 また、これまでの議会でも、私自身何度か議論してきたことでありますが、今回の政権交代を受けて、いよいよ地方分権、地域主権、道州制といった取り組みも加速される見通しとなる中で、改めて和歌山としてもその準備を真剣に考えるタイミングにあるのだと思います。
 そこで、この質問項目の最後に、知事は、地方分権が進み、地域主権型国家といったものが形づくられていく中で、どうやって和歌山を発展させていくことができると考えておられるのか。そこでは何がこれまで問題だったのか。その反省点も明確にした上で、和歌山発展のビジョン、実現に向けたプロセス、その青写真をどう描かれるのか、お聞かせいただきたいと思います。
 この地域再生のビジョンなくして、今後、日本のどの地域においても、それぞれの首長、知事職などは担えないものと考えますが、御所見を賜りたいと思います。
 続きまして、投票率アップへの取り組み。
 今回の第45回衆議院選挙の投票結果について、総務省は31日、有権者数は1億394万9442人、このうち7201万9655人が投票し、投票率は69.28%だったと発表しています。これは、前回の2005年に行われた総選挙の67.51%より1.77ポイント高く、小選挙区比例代表並立制が導入された96年以降の5回の選挙では過去最高となっています。
 都道府県別に見ると、大分県を除く46都道府県で前回を上回り、最も投票率が高かったのは島根県の78.35%、逆に投票率が最も低かったのは千葉県の64.87%でした。今回の総選挙では、28の道県で70%を超える投票率となっています。
 和歌山県も、小選挙区の投票率は、前回2005年の投票率が上がった郵政選挙よりもさらに2.46ポイント上がって71.7%となり、政権選択のかけ声のもと行われた今回の選挙は、有権者にとっても非常に関心の高いものとなっていたことがうかがえます。
 市町村別では、投票率が最も高かった北山村で87.42%、最も低かったのは岩出市の66.86%となっています。比例区でも、現行制度になって過去最高で、前回より1.81ポイント高い69.27%となっています。
 選挙は民主政治の原点であり、投票率は国民の政治参加の度合いを示すバロメーターです。当然、投票率が高ければ何でもよいといったことではないにしても、しかし1人でも多くの人が投票すれば、それだけ国民の政治参加が進むことは事実です。これからの健全な民主国家として日本によりよい政治が生まれてくるように、また民意が反映される民主政治を守るためにも、より多くの国民が選挙に参加できる取り組みが求められます。
 しかしながら、今、高齢化が進み、特に和歌山では全国に先駆けて御高齢の有権者もふえ続ける状況においては、投票行動の重要性を説くだけでなく、物理的な問題としても、投票できる環境を整えることが今まで以上に必要となってきます。今後は、単純に投票を上げるといっても、さまざまな工夫が必要となります。
 そこで今回は、私自身、選挙期間中、また投票日において、みずから感じた、また他の有権者の方からも御指摘をいただいた点において、投票率を上げるための今後の取り組みについて幾つかの提言と質問をさせていただきたいと思います。
 まず、期日前投票について。
 基本的に、選挙は決められた投票日に指定された投票所において1票を投じることが原則となっていますが、期日前投票制度は、皆様も御存じのように、選挙期日に仕事や旅行などの一定の予定のある方が投票日の前にあらかじめ1票を投じることのできる制度です。
 今回の衆議院選挙では、告示日翌日の8月19日から投票日前日の29日までが期日前投票の期間となっていましたが、この制度を使って投票を済ませた人は県内で何と12万6191人にも上り、これは有権者全体のおよそ15%を占めるものになっています。ちなみに、これは2005年に行われた前回総選挙の1.43倍だったということです。
 選挙区別の投票人数としては、和歌山1区で2万9145人となっており、前回の1.62倍、2区では4万1727人となっていて、これも前回の1.28倍、3区では5万5319人で前回の1.46倍となっています。これは、おととし2007年に行われた直前の国政選挙である参院選と比べても、選挙期間は参議院選挙のほうが5日長いにもかかわらず、今回の衆議院選挙のほうが県全体で30%も投票数がふえ、期日前投票の重要性が増している状況にあります。
 さて、そこで幾つかの提案並びに質問をさせていただくのですが、まず、この期日前投票は有権者にとって投票の利便性を大きく高めるものとなっていると思われますが、選挙管理委員会では、この期日前投票の有効性についてどのように認識されているでしょうか。
 また、この期日前投票所の設置場所について、私としては、もっと便利なところに、数としてもできるだけふやしていく方策を御検討いただきたいと思います。例えば、駅前などの設置で投票行動がさらに加速されるといった他府県の状況もある中では、工夫次第でもっと投票率も上げることができるのではないかと考えます。
 ちなみに、私の選挙区となる和歌山市では和歌山商工会議所と河北コミュニティセンターに期日前投票所が開設されましたが、特に商工会議所では、連日のように多くの有権者が列をつくり、投票した人からも何とか設置場所をふやしてほしいといった要望も受けました。また、その投票時間についても延長するなど、検討する必要があると考えますが、選挙管理委員会委員長から御答弁をお願いしたいと思います。
 また、御高齢者の投票について、現在、和歌山県では他の都道府県以上のスピードで高齢化が進む状況にあります。そういった実態に合わせて、選挙の投票所のあり方自体ももう一度見直すべきときに来ているように感じます。
 御高齢の皆さんにとって、選挙の投票は国民に与えられた権利であるといった考えから、特に高齢者の方ほど投票への意識は高いものとなっています。
 しかしながら、車はもちろんのこと、自転車にも乗れない高齢者の皆さんにとっては投票所にお出かけいただくこと自体が大変な作業となり、一部では自治会長さんや御近所の方などが車に乗せて送り迎えをしている地域も珍しい状況ではありません。
 ちなみに、私の住まいのある和歌山市の紀三井寺団地の投票所にも、そこは国体道路を隔てた浜の宮側の毛見地区住民の皆さんの投票所ともなっていて、毛見地区の御高齢の皆さんにとっては、徒歩で投票に行くには大変な御苦労をおかけすることになっています。
 こういった課題は現状の和歌山県内の多くの投票所でも見られるものであり、今後ますます高齢化が進む和歌山県においては、さまざまな工夫が必要となります。例えば、これまでの投票所の設置場所について、もう一度新たな視点で見直し、できれば投票所の数自体を見直すといったことや、また移動投票所なども検討してもらえればと思います。例えば、バスなどを改造して投票できる空間をつくり、時間と場所を設定し、御高齢の有権者の方が住まわれているより近い場所へ投票できる環境を整備していくといったことなども考えるべきと思います。
 高齢者の方が今後ますますふえていく和歌山県では、投票の権利を守るためにも、投票しやすい環境をどのように確保するか、いま一度御検討をお願いしたいと思いますが、これも選挙管理委員会委員長から御答弁をお願いいたします。
 また、投票済証の発行とその活用について。
 投票済証とは投票に行ったことを証明する証書であり、その活用について、今回の衆議院選挙でも投票率アップを呼びかけ、民間の商店、観光事業者などで応援する取り組みが進みつつあります。
 そもそも投票済証明書の発行については、現行法においては明確な規定はなく、各選管の判断で発行している状況となっています。
 この投票済証の利用については、反対する意見として、特定候補の投票誘導につながる、組織投票の問題点があるなど、さまざまな指摘もありますが、そういった問題点は認識しながらも、しかし、投票率アップにつながる要素も大きいものですので、単にやらない理由を挙げ連ねるのではなく、問題を解決するための知恵を絞りながら積極的な利用を検討していくべきと思います。
 ちなみに、和歌山県では、和歌山市、橋本市、有田市、新宮市、紀の川市、岩出市などを初め紀美野町、かつらぎ町、九度山町、印南町、みなべ町、日高川町などが投票済証を発行しています。
 この投票済証の利用方法としては、マスコミなどでも紹介されていましたが、各事業者、商店街などが選挙セールを企画し、投票済証の提示によって割引するなどし、投票率アップと売り上げアップの一石二鳥をねらうというものになっています。
 ちなみに、こういった取り組みを最初に提案したのは──私も卒業生ですが──元マッキンゼー・アンド・カンパニーのアジア太平洋支局長であり、現在、経営コンサルタントとして活躍されている大前研一さんが主催する一新塾の第6期生、吉金大輔さんが発案者となっています。決して何か政治的な背景があるわけではなく、純粋に投票率の低下する状況を社会問題としてとらえ、その解決策を提案したことが出発点となっています。
 今回の衆議院選挙でも、全国的に有名になった例として、藤田観光が企画した全国キャンペーンでは、選挙の投票済証を持っていくと、フォーシーズンズホテル椿山荘東京、ワシントンホテルチェーン、箱根ホテル、温泉、水族館、レストランなど全国40カ所以上の傘下のホテル、レストラン、レジャー施設で、宿泊料や入場料が最大半額のサービスが受けられるものとなっていました。
 こういった取り組みは、地元の商業振興にもつなげられる可能性があり、県としても地域活性化と投票行動への促進策ともなる有効な手段として、ぜひ積極的な姿勢で取り組んでもらえればと考えます。直接的な支援はすぐには難しいとしても、例えば広報活動などでは応援できる可能性もあると考えますので、ぜひ検討してもらいたいと思います。
 この投票済証を利用した取り組みについて、まず現状の認識と、あわせて地域振興策とをセットにした取り組みの有効性について、どのように考えられるか。また、今後、投票済証を利用した取り組みを行政として積極的に応援していくことを提言いたしますが、これも選挙管理委員会委員長に御答弁をお願いいたします。
 最後に、新型インフルエンザの流行に対する県の対応について。
 今議会では、中議員、奥村議員からも新型インフルエンザに係る貴重な指摘がありましたが、重複する部分は省き、私なりの視点で幾つかの質問、提言をさせていただきますのでよろしくお願いいたします。
 先日、世界保健機関(WHO)は、インフルエンザが流行しやすい秋、冬を迎える北半球各国に対し、新型インフルエンザの世界的な大流行、パンデミックの第2波に向けて準備を整えるよう勧告を出しました。そこでは、感染者がふえる第2波ではさらに多くの人が集中治療を必要とするため、病院が混乱するおそれがあると警告。人工呼吸器などを備えた集中治療室・ICUなどの増設を訴えています。
 アメリカでは、オバマ政権が新型インフルエンザの大流行を予測、今月初めにはセベリウス保健長官は、最大で9万人の犠牲者が出ることを覚悟していると表明。各ニュースメディアには衝撃が走りました。
 ただ、これは、最悪の事態を先に想定しておいて、実際には予想より好転したというポジティブなストーリーを描くアメリカ政府の典型的な対応ということもありますが、しかし、アメリカでも今回のインフルエンザの流行については相当厳しくとらえているのは間違いありません。
 日本でも、先月末、厚生労働省が初めて新型インフルエンザの国内での流行シナリオを公表していますが、それによると、感染者は約2550万人となり、入院患者は約38万人、重症患者は約3万8000人に達するということです。また、1日で受診する患者数は最大約76万人で、入院患者は4万人を超えるものとなり、医療機関も大変厳しい状況に陥る可能性があるとして、診療体制の整備を急ぐとされています。
 さて、そういった中で、和歌山県でも、先日、近畿大学附属和歌山中学・高校で500人近くの集団感染が報告されるなど、いよいよ本格的に危機管理の体制が問われるものとなります。
 そこで、新型インフルエンザの流行に対して、この春に私自身も議会で幾つかの提言をさせていただきましたが、県としてこれまでどういった対応をとってきているのか、また、今後の取り組みでどのようにして県民の皆様の安全・安心を守っていこうとされているのか、幾つかの質問をさせていただきたいと思います。
 まず、現在、既に始まっている新型インフルエンザの流行状況について、和歌山県として今後予測される患者数など、どういった予測を立てられているか。これは、アメリカのようにしっかりと予測値を出して、県民の皆様との情報共有が重要だと考えます。
 また、あわせて、ピーク時における医療機関の対応などについてどういった計画となっているか。また、現時点で県として一番心配されている点、県民の皆様にぜひ持っておいていただきたい心づもりなど、どのように考えておられるか。福祉保健部長から御答弁をいただきたいと思います。
 また、兵庫県、大阪府、それぞれで危機対応時に大きな成果を上げていた専門者会議の取り組みについて、これは和歌山県でも開催することを検討されているでしょうか。もし検討されているならば、開催時期はいつごろとなる予定か。また、そこでの検討項目について、どういった内容を討議し、どういった決定事項を見出そうとされているのか。あわせて福祉保健部長から御答弁願います。
 次に、さきの議会で私自身指摘したように、これからの大流行への和歌山県庁自身の備えとして、BCP(ビジネス・コンティニュイティー・プラン)、事業継続計画について。
 これは住民の生命・財産を守ることを組織目的の第一番に上げる行政機関の使命からしても、急ぎ整備する必要があると提案させていただきましたが、現状の対応状況はどうなっているでしょうか。危機管理監から御答弁をいただきたいと思います。
 また、前回の提言を行うに当たって、私自身、大阪、兵庫を実際に調査して、そこでは本当に貴重な話を聞くことができました。和歌山県としても、他府県での教訓、危機対応の改善ポイントなどを実際に現地で確認し、それを和歌山での取り組みに生かしてもらいたいと提言しましたが、実際に調査には行かれたでしょうか。そこでのケースワークとして、確認されたことについて、これも危機管理監から、今後の和歌山県において生かすべき点としてどういった分析をされているのか御答弁をお願いいたします。
 あわせて、庁内関係課室の連携に係る提言について、これも他府県では大きな成果をおさめた非常に重要な取り組みとなりますが、現時点でどのような対応を検討されているでしょうか。
 最後に、基礎自治体となる市町村間の連携の問題について。
 これも兵庫県で特に強く指摘されていたことですが、いざ有事のときには、危機管理上、当該地域の行政機関同士のスムーズな連携、情報の伝達・収集が重要なものとなります。この行政連携のあり方、現状での進捗状況について、これもあわせて危機管理監からお聞かせ願いたいと思います。
 以上、私の第1問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの山下大輔君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、政権交代についての考えであります。
 この問題につきましては、この議会で何度か答弁をさせていただきましたが、もう一度申し上げますと、今回の政権交代は、多くの有権者が、たび重なる政府側の不祥事に加えて、100年に一度と言われる経済危機への不安感や地域経済の疲弊などによる閉塞感を、政権を交代することで打破できるのではないかというふうに考えた結果であろうと思います。
 国民の多数の支持により発足した政権には、国民はまずは期待と信頼を持って対処しなければならないというふうに考えております。新しい政権には、このような期待にこたえて、官僚任せではなくて、政策的意図を持って日本を再活性化してほしいと思いますけれども、本県のように経済的にも社会的にも閉塞感に悩んできた、取り残されてきた地方の立場からも、地方を大事にする政策をぜひ選択して、重点的に進めてほしいというふうに考えているところであります。
 次に、地域主権の問題であります。
 本件については、私はずっと中央政府の官僚のときからも思い入れがありまして、それで熱心に取り組んでいると自負をしております。
 民主党が、政権公約の中で、国から権限や財源を分け与えてもらうという印象もある地方分権ではなくて、より積極的な印象を与える地方主権の確立を掲げ、地方の自主財源の大幅増などを明記していることを大いに歓迎しております。
 私は、地域主権であれ、地方分権であれ、目標としていることは、地域に住んでいる人がその意欲と知恵と能力、そして地域にある資源を生かして、みずからの決定と責任のもとに地域づくりを行えるような社会を築くことだと考えております。
 そういう意味から、自分で責任を持って決定し、自分でそれを実行するということが多いほうがよろしいということだろうと思います。あくまでも責任を持ってやるということですから、何でも──例えば、予算だけくださいとか、お金だけくださいとか、そういうことではないというふうに思っております。
 確かに、議員御指摘のように、三種の神器で何とかなったという時代ではないわけでありますが、東北自動車道の上に工場がぱかぱかできていくということを──過去のことですけれども──拝見したりしておりますと、やっぱり神器も少なくとも一部、昔は有効であった時代もあるなあというふうに考えます。
 それから、自然環境を生かして独自の地域づくりをする、これはもっともなことでありまして、そのとおりであります。だけど、どのぐらいの戦略を立てればどのぐらいの人口を幸せにできるかというようなことも、また考えておかなきゃいけないことでありまして、そういう意味では全体を見るということも大事だろうと思います。
 一方では、地域でそういうふうに、それぞれの責任のもとにみんなが頑張るということが大事だと。議員御指摘のとおりでありますが、この国の形を変えるというためには、まず日本という国をどうするのかという意思が必要であります。したがって、地域主権の名のもとに、国が責任を負うべきものまで安易に地方に押しつけるということであると、国の統一的な政策がなかなかできなくなってどうかなという議論もあります。したがって、この国の形というのは、きちんと国で議論して決めていただいた上で、地域主権に向けたよい政策を推進されることを期待しております。国が行うべきことはきちんと行った上で、残りは地方で責任を持って行えるように、それが可能であるような制度をつくられんことを願っている次第であります。
 次に、公共投資についてであります。
 私がこれまで申し上げてきましたように、和歌山県のハンディキャップを負っているところ、それから、チャンスを奪われていると言ったらちょっと言い過ぎかもしれませんが、チャンスを少なくさせているところ、そういうところについては、やっぱり国は責任を持ってほしいと。時間的な先後によって大都市からそういうもの、公共投資をしていくということは許すとしても、最後まで責任を持ってほしいということについての御質問だと考えております。
 これについては、まず道路整備の投資額の全国シェアの推移を東京都と和歌山県で比較して見てますと、2003年では東京都は7%ぐらい、和歌山県も最近になってようやく順番が回ってきまして、ちょっとふえてきましたので1.7%ぐらいとなっております。人口よりも少し多くなっているということです。
 ただし、高度経済成長期の1965年──ちょうど東京オリンピックが終わって1年後なんですが──そのときですら東京都は15%投資をしてもらっています。それから、和歌山県は、その当時は1.1%であった。ちょうど人口ぐらいであったというふうに考えます。
 これを人口比率で比較してみますと、1965年当時の東京都は人口比率で11%でした。和歌山県は1.0%でした。和歌山県というのは、山がちで県土がずっと広がっています。そういうところで例えば道路をつくるということになると、割高のコストがかかるというのは当たり前であります。しかしながら、そういう意味では、何も考えなければ、本当は地方は多少補正して多くして、東京都は割り引いてというぐらいが相場かなというふうに思うんですが、逆に人口比率以上に東京都に集中していました。
 これは、国の形をつくる当時の政策として、私は一概に非難はできないというふうに思います。それ以前のデータはありませんが、東京オリンピックに向けて首都高速道路などがばかばか整備されていたということを考えますと、道路に関しては、道路整備への投資の東京都への集中はもっと著しいものであったろうなあというふうに思います。
 一方、負担はどうかと考えますと、統計資料などによる試算では、和歌山県は30年以上前から、東京都に比べ1世帯当たり2倍以上のガソリン税を支払っております。これがどんどんふえまして、平成20年度には3.6倍にまで達しております。
 これからは財源を移譲するから、その範囲内で地方それぞれの判断で道路整備をすればよいではないかというようなことは、これまで道路整備が取り残され、財政力が今も含めて弱い本県にとっては非常に厳しい、割を食っているなあというようなことと思いますので、そのようなことは言わないでいただきたい、こう考えている次第であります。
 議員御指摘の、これまで我慢してきた分をどの程度改めて要求するかということについてでございますけれども、今のように概略の議論しか本当はできません。できませんけれども、もう1つ、別の方向から考えますと、例えば国土の骨格となる高速道路のネットワークをどういうふうに国じゅうで引いていくか。これは私はこの国の形を規定する中央政府の重要な仕事だというふうに思います。
 せっかく国民の多数の支持を得て発足して、みんなが期待している行政府でありますので、官僚任せ──とんでもないことでありますが──一方では地方任せというのも、これもまたどうかなというふうに思うわけであります。その中で、国としてどういうふうにネットワークを張っていくか、その最後の残された区間が、実は和歌山県に集中しておりますので、そこのところだけは最後まで国に引いてもらいたいなというふうに私としては思うのが、そう間違ってないんじゃないかなあというふうに考えます。
 次に、地域、すなわち和歌山県をどう発展させるかということなんであります。
 地域のことは地域に住んでいる人が決定するという地域主権型の社会は、これは一方では、地域同士が知恵と能力を競い合う社会の到来というのを意味しております。それぞれの地域が、他の地域に負けないように地域力を高めていかなければなりません。三種の神器だけで決してできるものではないと思います。
 この観点から、本県が有する豊かな自然環境、世界遺産を初めとする文化・歴史面での数多くの資産、恵まれた農林水産物、豊富な温泉資源などのすぐれた資源を生かしていくことが和歌山県の発展に不可欠であるというふうに考えて、取り組みを進めているところであります。具体的には、これまでは必ずしも地域資源の活用では十分ではなかったかなあというふうに思いますので、特に、農水産物、加工食品の販売促進戦略とか、あるいは観光振興アクションプログラムをつくって積極的に他圏域に和歌山の魅力を売り込むとか、わがまち元気プロジェクトや新農林水産業戦略プロジェクトによって農林水産業や観光業の活性化、地域資源を活用した新しい産業の創出も図っております。
 また、本県を大阪都市圏の緑のヒンターランドと位置づける。これは実は、国土形成計画の近畿国土計画に位置づけてもらいました。実を申し上げますと、初めの原案は大阪の周辺の千里丘陵等が緑のヒンターランドだったんですが、とんでもないと言っていろいろ意見をして、それで例えば紀伊半島とか北丹後とか、そういうところが都会の人々のいやしを満足する本当の意味での緑のヒンターランドだと、そういうふうに主張してそういうふうに位置づけてもらいました。
 都市住民のいやしの場としての価値を高めることも重要でありますので、これは利用するだけじゃなくて保全も大事であります。したがって、景観条例の制定、自然公園の見直しなどの地域の価値を損なわないように努めてもおります。
 さらには、これまでの産業集積や地域資源の状況を踏まえた選択と集中による重点的な産業振興や新たな企業誘致を積極的に推進しております。
 こうやって、地域間競争の時代でも負けないように、和歌山の地域力をみんなで高めるということの先導をしているということだと思います。
 加えて申し上げますと、こういうふうに一種の競争になっている社会ということでありますが、この競争条件が一方で不利になっているとつらいものがあります。したがって、いろんな制度において、例えば基幹道路ネットワークの話もそうでありますが、そういうところにおいてイコールフッティングの状況にしていただいた上で、我々の責任で頑張ろうじゃないかというようなことを考えないといけないのではないかと思います。
 過去の反省点をということでありますが、実は、私が知事になりましてから、そういう観点でいろいろな新しい制度をつくってまいりました。新行財政改革プランもそうですし、知事が逮捕されるという忌まわしい事件の総括の文書もそうでありますし、そういうところで過去の反省点というのを全部如実に書いております。隠し立てをすることなく書いております。
 また、新長期総合計画においても、現在までの問題点というのをまず踏まえた上で未来を語ろうじゃないかということでやっております。そういう意味では、新長期総合計画が議会も承認していただいた我々共通の和歌山を変えていく戦略であるというふうに考えております。これは、何も政権交代を待たず、和歌山県が、我々ができる話でありまして、まさに我々は議会も含めてそういうことをやったところであります。
 和歌山県の最高の努力は、既に始まっていると言ってもいいと思います。まだまだ脆弱であります。例えば少子化比率の伸びが日本一になったり、ちょっといいところも出てきました。だけど、まだまだであります。まだまだをずうっと頑張って続けていくということが、これからもまた和歌山が地域力を高めていくことになるんじゃないか、そんなふうに考えておるところであります。
○副議長(坂本 登君) 福祉保健部長北田佳秀君。
  〔北田佳秀君、登壇〕
○福祉保健部長(北田佳秀君) 新型インフルエンザの流行に関する県の対応の2点についてお答え申し上げます。
 今回、国が示した流行シナリオでは、国民の20%が発症すると仮定した場合、流行ピーク時の最大入院患者数は人口10万人当たり36.3人とされ、その数値を単純に本県に置きかえますと、県民の約20万人が発症し、ピーク時の最大入院患者数は約370人となりますが、若年人口割合、人口密度、教育施設の数などの地域による差異が加味されておりません。
 しかしながら、県といたしましては、このような大流行を想定しつつ、小児科、産科、透析の専門医やかかりつけ医等の参加した専門家会議などの御意見を踏まえながら、新型インフルエンザの患者に対する適切な医療提供体制の確保や公衆衛生対策の確実な実施などに努めてまいります。
 特に、基礎疾患を有する患者や妊婦、小児患者等の重症者を受け入れる医療機関の確保は重要であると認識しており、9月15日現在、50病院286床で受け入れが可能となったところです。
 引き続き、今後の感染拡大に備え、医療機関や関係団体と連携しながら必要な病床の確保に取り組んでまいります。
 なお、新型インフルエンザの今後の病原性の変化や薬剤耐性の出現などが懸念されるため、これらを適切に監視するサーベイランス体制を強化してまいります。
 県民の皆様に対しましては、手洗い、うがいの励行、せきエチケット等の個人でできる感染防止策の徹底や流行時の適切な医療機関の受診などについて、引き続き普及啓発に努めてまいります。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 危機管理監森 崇君。
  〔森 崇君、登壇〕
○危機管理監(森 崇君) 新型インフルエンザの流行に関する県の対応につきまして、4点の御質問にお答えいたします。
 まず、BCP、業務継続計画につきましては、その必要性を認識しているところでございまして、現在、地震対策の事業継続計画を策定中でございますが、それにあわせて新型インフルエンザの事業継続計画についても策定準備を進めているところでございます。
 次に、大阪、兵庫のケースワークについてでございます。
 全国初の感染者を確認した兵庫県との意見交換におきましては、県対策本部の事務局一元化の有効性、それから保健所設置市──本県でいうと和歌山市でございますが──そことの情報共有の難しさ及び秋以降の流行期に備えた体制の強化などについて確認することができました。
 県庁の庁内関係課室の連携につきましては、現在、関連情報の共有を目的として、危機管理局、健康局、それから教育委員会等関係課室におきまして、定期的な情報交換会や保健所間の情報交換などを通じ連携を図っているところでございます。
 最後に、市町村間の連携につきましては、県対策本部から市町村に対し、関連情報の提供を行い共有を図っているところでございます。特に、保健所設置市である和歌山市との連携につきましては、相互の情報伝達や住民への情報提供等についての事前協議を行っておりまして、関係機関への情報提供の一元化など、スムーズな連携ができているものと考えてございます。
 庁内関係課室や市町村間の連携におきましては、現在のところ特段の問題はないと考えておりますが、さらなる流行期を見据え、他府県でのケースワークと教訓事項を参考に、県対策本部の事務局一元化、また庁内関係課室や市町村間の連携、また県民への迅速な情報提供等、油断なく的確に対処してまいります。
○副議長(坂本 登君) 選挙管理委員会委員長諸木良介君。
  〔諸木良介君、登壇〕
○選挙管理委員会委員長(諸木良介君) 山下議員の投票率アップに関する取り組み等についての御質問、御提案にお答えをいたします。
 まず、期日前投票についてでございますが、議員御指摘のとおり、期日前投票の利用者は増加しており、本制度が有効に機能向上を果たしていると認識してございます。
 期日前投票所の増設や時間延長など、議員の御提案につきましても、市町村選挙管理委員会において、人員や経費の確保など、直ちに対応しがたい問題もございますが、それらは、制約の中で有権者の利便性がさらに向上するよう助言をしてまいりたいと考えてございます。
 続いて、御高齢の有権者の投票しやすい環境の確保についてでございます。
 議員御指摘のように、今後も高齢化が進展しますと、投票所に赴くことが困難となる有権者の増加が見込まれるなど、投票を取り巻く環境がこれまでとは変わっていくものと予想されます。選挙管理委員会といたしましても、議員から御提案のあった高齢化に対応した有効な方策について、よく研究してまいりたいと考えてございます。
 最後に、投票済証についてでございます。
 議員御指摘のとおり、投票済証については法令に定めがなく、各市町村選挙管理委員会の判断で発行されておりますが、この投票済証につきましては、投票率の向上に寄与するとの意見がある一方、投票に対する組織的な圧力、さらに事後買収などにつながるのではないかといった懸念も指摘されてございます。
 選挙管理委員会といたしましては、この投票済証を発行した場合の影響等について、よく研究してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再質問を許します。
 41番山下大輔君。
○山下大輔君 御答弁ありがとうございました。
 まず、投票率アップに係る取り組みですけれども、お答えいただきましたように、それぞれ前向きに御検討いただきたいと思います。
 特に、選管の委員会委員長のほうからもお話がありましたが、和歌山の場合は投票環境というのが物すごく変わるんやと思います。以前は10人に1人が高齢者やったのが、これからもう10人に3人、4人となってくると。実はそういう場合には、投票できる環境というものをどう整えるかというのも今後大きな課題になると思いますので、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。もうこれは要望だけにしておきます。
 次に、新型インフルエンザへの対応につきましては、これも、福祉保健部長、また危機管理監からそれぞれ前向きな御答弁をいただきました。
 特に、患者数の予測については、アメリカの例も引きましたが、やはりこういう厳しい状況というのをしっかりと知らしめること、情報共有というのが非常に重要だと考えます。この発表の仕方であったりとか伝える内容にもよりますが、基本は情報の透明度を上げることで、厳しい状況も、認識を共有する中で県民の皆様の協力も得られることになると考えます。
 また、今回のところは今後の強毒性の感染症──今回は弱毒性ということですんで、そんなにばたばた死者が出るという状況では当然ないとは思いますけれども、今後、強毒性で大変な、社会的にももっともっと厳しい状況が訪れたときに、今回、テストケースとしながら、情報の出し方であったりとか県民に対してどのように安心を与えていけるのかという部分についてはぜひ御検討いただいて、積極的な対応から経験値を積んでおいてもらいたいと思います。
 最後に、知事にですけれども、御答弁いただきましたように──知事が就任されてもう3年になるんですかね。3年間やってこられて、おっしゃるようにいろんな取り組みを──これは、以前官僚で、経済の分野では大変御見識もおありやということで、この議会でもいろいろと私自身も勉強させていただいていますけれども、いろんな取り組みを進める中で、確かにこれやってる、やってる、やってるということで今御答弁いただいたんですけど、その3年間やってきたことに対して、県民に本当に和歌山の未来に対しての希望というのが生まれているかと。実はそういうことがすごく大事やろうなと。
 以前、小泉改革とか、いろんな政治の改革の中でも、すぐに結果があらわれなくても、その一部に対しても希望が与えられれば、国民、県民というのはやっぱり協力もしていこうと、いろんな形で取り組みに対しても賛同が得られるやろうと。
 ただ、外に出して、どういうことをやっているかということを知らしめたりとか、実際にその結果としてどういう結果が生まれているかというようなことをもっともっと伝えていく中で、地域としてこういう方向に行ってるんだよと、その中で和歌山の地域というのは、ほかの地域にないこういう特徴を持って、日本の中でも1つの和歌山のブランドというのをこういう形で構築してるんだと、そういうことをもっと理解していただく方法というのを考えていかないと、なかなか県民の中での評価というのも、いろんな評価があるんじゃないかなというふうに考えております。
 それともう1点、地方分権、地域主権の取り組みについてですけれども、今後、新政権に対して、地方に優しい、地方に対してしっかりとフォローもしてもらいたいということを御答弁いただきましたけれども、これは実は今回、原口総務大臣が新たに大臣として就任されて、橋下知事なんかとも今いろんなお話しされてるみたいですけれども、国が何かをしてくれるというのを待ってるだけじゃなくて、これ、地方からとりに行かないかんことなんやろうなと。
 知事がよく言われるように、国としてまず役割分担を、自分ところを決めて、後は地方やという話だけで、その後与えられた分だけで納得できるかというところが、実はこれ、考えていかないかんところやと。地域として、やっぱり我々が何を望むかということをもっと積極的に和歌山県としても提起し、国に対して申し入れしていくと。ある部分では、権限のお互いの取り合いになりますんで、これ、戦っていく姿勢というのもなかったら、なかなかうまく状況というのは前へ進まんのじゃないか。そういう部分では、今まで、知事の御答弁の中で、国がまず決めて、その残りを地方という感覚だけではちょっと物足りんのかなと。
 地方の中でも、国に対して我々はどういうことをする、どういう責任を持つから権限、税財源というものを移してこいというふうな形に、具体的な提言というのを地方からやっていく時代になると思いますんで、ぜひそういう部分では乗りおくれずに、和歌山としても主張していただけますようにお願いいたしまして、私の、もう2問目は要望だけといたします。
 以上です。
○副議長(坂本 登君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で山下大輔君の質問が終了いたしました。

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