平成21年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(松坂英樹議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 42番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 通告に従い、早速一般質問に入らせていただきます。
 まず初めに、今議会の補正予算案に盛り込まれております県立射撃場建設計画について、以下3点にわたって知事に質問をさせていただきます。
 ここ3回の県議会で、国体施設としてクレー射撃場建設を求める提案や、また鳥獣被害対策として射撃場建設の提案が繰り返されてきました。
 これまで県は、国体施設については既存施設の活用を基本としながら、県の施設は県が、市町村の施設は市町村が整備し、困難なものは県外施設を活用するという基本方針で競技団体等とも相談を進めてきました。また、知事は6月議会の答弁で、射撃場建設を求める提案に対して、施設の必要性に加えて財源や運営コスト面、地元が賛成をするかどうかなどの幾つかの条件を挙げ、これらは全部必要条件で1つでも欠けると難しい、そしてまた、それらが全部かなえられるならば検討に値するとの答弁をされたわけです。
 このように、かなり慎重にこの問題に対応してこられたと思いますが、その6月議会が終わるころに知事は一気にこの射撃場建設を決意し、市町村ではなく県が施設を建設すること、そして鳥獣被害対策の射撃訓練場として建設をし、行く行く国体施設としても活用するという方法を決断し、今議会での補正予算提案となりました。
 第1の質問として、県立射撃場建設計画の決断に至った経緯と理由をお示しいただきたいと思います。
 次に、県立射撃場計画の中身について、具体的にお尋ねをしたいと思います。
 補正予算案では、事業費5億5000万円が計上をされていますが、県は一体どのような規模の射撃場を建設し、どうやって維持管理をするつもりなのでしょうか。担当課に予算説明を求めましたが、これから設計にかかるということで、議会には具体的なビジョンも試算も一切示されていないという今現状です。
 知事は、補正予算案を説明した記者会見で、関係者の話として、「うまくやればもうかると聞いている」と、随分気楽な見通しを示されました。一体、施設の規模や利用見込み、維持管理のコストと運営方法はどう検討されたのでしょうか。
 私が指摘したいのは、射撃場における銃弾の鉛による環境汚染対策、いわゆる鉛害対策はとりわけ重要な課題だということです。全国各地で県営射撃場が使用中止や廃止となる事例が重なり、環境省も対策ガイドラインを示すなど、全国的にもこの10年間、問題になっているこの鉛害対策をどうクリアする計画なのでしょうか。
 加えて、谷を埋め立てた造成地への建設ということで、この災害対策は万全なのでしょうか。
 これら、知事が射撃場を建設するという点で、その際の条件としたもの、クリアすべき前提条件についてどうなったのか、2点目に御答弁を願います。
 この際、全国的な射撃場をめぐる状況を紹介申し上げますと、千葉県の県立射撃場は水路から環境基準の7倍の鉛が検出されました。ここでは、年間で200万発、重さにして約48トンの散弾が使用されます。そのうちのかなりの量が施設外の周辺森林にも飛散していたとのことで、使用中止、閉鎖をして、今、鉛弾の除去作業中となっています。このようなケースが各地に見られます。
 また一方で、今度は神奈川県の県立射撃場は、県教委が調査をした結果、環境基準を超える土壌が2万8000立方メートルに達することが判明をしました。この射撃場では、年間3万人が利用し、推定でこれまで1400トンの鉛が射撃場内と周辺山林に発射された計算だと報道をされています。20億円かけてこの4万9800トンの土壌を搬出し、秋田県まで運んでいって処理をいたしました。その後、閉鎖するか再開するかということで専門の検討委員会で議論をしたそうです。閉鎖をするとしても、土どめなどもし、排水管理対策をするのに7億円かかると、鉛害対策をして再開する、これにも10億円かかると、こういう選択を迫られて、ここでは10億円の対策工事をすることを選択し、来年4月から再開をする予定だそうです。
 また、ほかのケースでは、山梨県の県立射撃場、ここではゴルフ場の建設計画が中止になって、市に寄附をされた土地に15億円をかけて建設する計画だそうです。県は、既に建設計画を予算化しておりますが、地域から反対が出てきて、いまだに決着はつかず、計画は難航しているという報道です。
 次は、2007年の秋田国体で使用した秋田県立射撃場も、環境基準を超える数値が出たため、今年度から閉鎖中というふうに表示をされています。
 和歌山県の近隣府県では、京都府営射撃場が5年前から休止し、10億円かけて鉛を回収して、再開の目途は白紙状態と。徳島県営射撃場は、4億円かけて改修した後に、3年前に廃止。姫路の射撃場は、土地契約の更新ができないので、この9月末で廃止という状況だそうです。
 和歌山県内では、さきの和歌山国体で建設をいたしました海南市の射撃場でも鉛対策が必要となり、5年前に約3200万円かけて鉛害対策をしましたが、そのうち800万円を県が負担、残り2400万円は県体育協会が負担をし、今も借金を返済しているようです。
 私は、調べれば調べるほど、これは無理して建設して本当に大丈夫なのだろうかという率直な感想を持ちました。
 射撃場をめぐるこの困難な状況が多い中、先ほど紹介いたしました神奈川県の検討委員会は、射撃場再開の条件としまして、すべての銃弾を回収できるようなそういう施設につくり変えること、それから、スチール弾など環境への影響が少ない代替弾の使用を原則として、競技ルールから鉛弾を使用しなければならない場合のみ例外的に認める、こういったことを再開の条件として答申をしております。
 この鉛の銃弾の問題ですが、鉛弾からの転換が進まない理由として、鉛の弾のほうが鉄の弾より比重が重くて破壊力があることや、タングステンなど非鉄金属弾というのも最近はあるんですが、これは比重が重くても大変高価であるために普及が進みにくいということであります。
 しかし、スポーツ競技としても、また狩猟という面や有害駆除の面でも、いつまでも鉛弾を使いっ放し、打ちっ放しにできる時代ではありません。
 デンマークではラムサール条約登録湿地での鉛弾使用が禁止され、アメリカでは水鳥などの猟で全面的に鉛散弾の使用が禁止されていて、日本でも、既に北海道ではライフルも散弾も鉛弾は環境の面から全面禁止だそうです。競技ルールを見ても、北欧では既にクレー射撃公式競技でも鉄の散弾が使用されています。
 こういった流れの中で、環境省が示したこの鉛対策のガイドライン、私、見せていただきましたが、事細かにこの対策が例示をされまして、例えば場内を舗装するときでも、水たまりができては鉛が溶け出すから水たまりができないようにと、そういうこととか、斜面に、のり面にコンクリートを吹きつけるときも亀裂が生じないように維持修繕が求められておりますし、水処理のプラントや、またろ過装置なども例示をされておりまして、これ、ランニングコストはかなりのものだなと感じました。
 これらの対策がどの程度まで今回の予算案、今回の計画に盛り込まれているのでしょうか。いろいろ全部やろうとすれば5億円で足りなくなって追加予算が要ってくるんじゃないか、また一方で、形だけやっても実際に防ぎ切れるのだろうかなどの疑問が出てくるわけです。
 このように、県立の射撃場建設計画に際しては、県民や専門家との間での十分な議論や検討、また規模や内容、予算についても議会での慎重な審議が必要だと考えますが、何しろ予算案の可否を判断する際に、その審議にたえる判断材料が議会にも県民にも示されていないのではないでしょうか。答弁では、これらの前提条件をどうクリアする計画なのかということをしっかりとお答え願いたいと思います。
 3点目の質問といたしまして、県立射撃場建設計画の説明責任と住民合意についてお尋ねをいたします。
 建設計画予定地となっている湯浅町の山田山は、過去にゴルフ場の大型乱開発計画で町民も町政も大混乱したところです。ゴルフ場計画への地元同意として区長さんの印鑑を押した書類が先行し、山田区民、湯浅町民が後で大変な苦労をした過去があります。結局、ゴルフ場開発は頓挫をいたしましたが、山田山には乱開発のつめ跡が残り、町当局を初め町民、県民の手によって自然回復と活用の努力が地道に続けられてきたところであります。
 このような経過のあったところであるだけに、「建設するということで国から予算とってきました」と、こういうトップダウンの決定ではなく、地元住民が納得も合意もできるような説明責任を、この建物を建てる県自身が果たすべきではないでしょうか。計画の全容も知らされないままに同意の印鑑だけを迫られるようなことを繰り返してはなりません。山田山の歴史を踏まえるならば、きちんと順序と段階を踏むべきです。調査もし、計画素案を住民に示し、住民合意を得た上で本体予算案を議会に諮るべきであったと考えます。
 私は、この間、地元山田区の住民の方々に射撃場建設計画への御意見を伺いに回らせていただきました。鉛害対策や災害対策などの不安点を挙げられる方、また、「大丈夫だろう」と、そういうふうに理解を示される方や活性化に期待する方など、まさに半々に分かれている状況です。また、「国体まではお客も来るんだろうが、それ以降はどうなるんだろうか」という、その後の心配をする声も多く聞きました。また、広く町民の中では、山田山の自然回復に取り組んでこられた住民の方々を初め、寝耳に水という方がほとんどです。
 知事、今問題なのは、この地元の区民や町民、県民に何の具体的な説明もなく、住民の判断材料がないままに、「もう県がつくると決まって、予算もつくらしいで」と建設計画が進んでいるということです。知事は、一番大事なこの地元同意という条件をどう考えておられるのか。既に地元同意は得ていると考えているのでしょうか。
 以上、大きく3点、知事に御答弁を願います。
 次に、2つ目の柱として鳥獣害対策について質問をさせていただきます。
 以下4点、農林水産部長より御答弁願います。
 有田地方では、イノシシ被害とともに、シカの被害、猿の被害が件数やその地域ともに急拡大しているというふうに悲鳴が上がっています。
 配付資料には、有田地方の最近の有害捕獲実績と狩猟期の捕獲頭数を、これを合わせて見られるようにまとめたものをお配りしておりますが、数字を見れば一目瞭然だというふうに思います。
 まず、第1の質問として、県はイノシシとともに、近年のシカ・猿の鳥獣被害と有害捕獲の実態をどう把握し対応しているのか、答弁を求めます。
 次に、昨年9月議会で私は、国の鳥獣被害防止特別措置法、これに基づき野生動物の生態保護に十分努めながら、被害対策として積極的に事業化を促進するように求めたところです。
 この国事業は、市町村の協議会が主体となって地域に合った対策に取り組める事業であり、国や県の事業に合うように対策するという受け身ではなくて、実情に合った対策事業ができる財源として私は重視したわけです。
 国の事業化2年目となるわけですが、県内市町村の協議会や広域での地域協議会の事業化の状況はどう進んだのか、お示しください。
 続いて、有田圏域での広域的猿対策についてお伺いをいたします。
 猿対策の広域的対応を私はこれまでも何度となく提案してきたわけですが、昨年からことしにかけて、被害に耐えかねた地元の住民が県の補助事業を活用して猿の捕獲おり、これを有田川町では吉原地区と修理川地区の2カ所、湯浅町の青木地区でこれも2カ所、広川町でも柳瀬地区と唐尾地区で2カ所、こういうふうに設置をいたしました。先日、有田川町の2カ所の捕獲おりを御案内いただいて、御苦労いただいている状況もお聞きしてきたんですが、既に来年度予算に向けてこの要望も複数箇所から出てきているそうであります。
 この有田地方での猿対策を考えるとき、山田山を中心にした湯浅町、広川町、有田川町、この転々と移動する猿を全体の視点として、1つの固まりとして見る、そういうことがかぎとなります。市町村任せにしてしまっては、どうしても自分の担当のエリアからほかに移れば「やれやれ」と、イタチごっこになりかねないわけで、住民自身の取り組みもこんなふうに今広がってきている中ですから、広域で連携して取り組む必要性が高まっていると考えます。有田圏域での広域的猿対策について県はどう取り組むのか、御答弁を願います。
 4点目に、県単独事業である鳥獣害対策事業の拡充について伺います。
 県単事業の防護さく、これは1メートル当たりの単価が900円で設定をされているんですね。イノシシ用の低いメッシュさくや、それから電気さくであれば、この900円で十分間に合うんですが、近年のシカの被害にも対応するために少し背の高いメッシュさくをつけようとすれば、1200円程度、1メートル当たりかかると言われています。
 県が3分の1、町が3分の1、地元が3分の1というこの補助事業ということで地域で事業を計画しても、設定単価というのは900円が限度になりますから、結局、県300円、町300円しか出ないので、残りの地元負担が600円になってしまって「約束が違う」という声が出るようです。
 今後は、こういったシカ対策も兼ねたさくも必要なところがふえてくるでしょうから、設定単価の引き上げや何種類かの単価設定をするなど、メニューの充実というのが要望されています。
 このほかにも、今年度の予算枠は要望が多くてすぐにいっぱいになってしまったことから、事業費の増額を求める要望、補助率アップの要望などを地域住民や市町村の担当職員からお聞きしました。県民の切実な声にこたえて、今後とも一層この鳥獣害対策事業を拡充すべきではないかと考えますが、御答弁を願います。
 さて、最後の3つ目の柱といたしまして、道路の災害対策と維持管理について質問をさせていただきます。
 去る9月1日、突然国道480号が有田川町清水地内で、片側車線が崩落する災害が起こりました。配付資料に現場の写真を載せておりますので、ごらんをいただきたいというふうに思います。
 有田川の流れがぶつかることによって、道路のコンクリート壁の根元が掘り込まれた。このことによって崩落したという報告を受けております。幸いにして崩落に巻き込まれた通行車両や歩行者がなく、目の前で崩落を確認した地元の皆さんが適切な対応をしていただいたなど、関係する人的被害がなかったことは、本当に不幸中の幸いであったと思います。一日も早い復旧対策を求めるものであります。
 私も現場に足を運びましたが、想像以上の大きな亀裂に驚くとともに、なぜこんな災害が起きたのかという思いがしてなりませんでした。早速近所の住民の方にお話を伺うと、「陥没していた舗装を最近県にやり直してもらったばっかりや」と、「川底が掘れてるでという話が以前からもあって県にも伝えていた」、「県の工事や管理はどうだったのか」などの声をお聞きいたしました。
 そこで、以下3点を県土整備部長にお尋ねをいたします。
 崩落後、これまで台風や大雨が奇跡的になかったことが幸いしましたが、台風14号も気になります。台風による大雨が来れば、残った片側車線も流出しかねない2次被害の危険がある状況です。大雨が予想される事態となれば、緊急の応急対策をするよう求めるとともに、完全復旧に向けて一日も早い工事開始と完成を求めるものですが、今回の国道崩落災害について、災害の原因分析と今後の復旧スケジュールをお示しください。
 また、2年前の補修工事の際、河川によるこの基礎部分の掘れ込みを調査していたのかどうかも明らかにしていただきたいと思います。
 2点目に、県内にはこのような道路と河川が並行して、そして川の流れが当たっている、こういうところは数多く存在をいたします。今回のような災害を未然に防止するために、今後どう対応するのかもお答えください。
 3点目に、こういった災害を防ぎ、安全な通行を保障するために大切な道路維持管理のあり方について伺います。
 近年、和歌山県では、道路予算に占める国直轄負担金の割合が年々ふえてきて財政負担が大きいと指摘をしてまいりましたが、道路維持管理の予算のほうは、延長路線が年々ふえ、管理する対象もコストもふえているのに、総額は抑制傾向が続いてきました。
 無駄な大型公共事業を見直し、こういった維持管理の事業量を適切に確保することは、大変重要な意味を持っていると思います。道路という社会資本を大切に有効利用し、安全な通行を保障する生活に密着した公共事業です。
 また、これは地元業者にとっても、下請ではなく県から直接発注を受けられると、そういう事業であるという点では、地元経済効果も大変高いのです。県として、道路維持管理予算に対する考え方と今後の方向について答弁を願います。
 以上で、第1回目の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県立射撃場建設計画ということでございます。
 この問題につきましては、一番初めは国体のクレー射撃をどこでやるかというようなことから始まっております。
 これについては、一昨年でございますか、原案を出したときには、なかなか建設をするのは大変なので各市町村とも余り乗り気ではありませんでしたので、したがって県外で実施してはどうかという意見を原案としては提出しました。クレー協会等々からは、それはのめないということでございましたので、ペンディングになっておりました。ほかにもあと2つぐらいペンディングがあるんですが、数少ない未決定部分であったわけであります。
 ただ、そのときから、推進をしたいという方がおっしゃっていた、例えば地元の雇用になるとか、先ほど松坂議員が指摘されましたように各地域で旧型のクレー射撃場がどんどん減っている状況であります。そうすると、供給と需要の関係によって、これが意外と地域おこしになるんじゃないかとか、そういうような議論がありまして、できれば県内でやるのが一番いいわけですから、そういう意味で推進をするほうの御意見も理屈があるというふうに思ったわけでございます。
 そうしておりましたところ、国のほうで予算措置をしようという動きもありました。その国のほうの予算措置というのは、実は松坂議員が今御指摘にあって、ぜひ熱心に進めるべきだとおっしゃった鳥獣被害の問題に絡むところなんでございます。スポーツということではなくてですね。
 実は、鳥獣被害については国も危機意識を持っているし、それから和歌山県は、特に私などは危機意識を持っております。記者会見で、「あなたは鳥獣知事か」とか何か嫌味を言われたぐらい、矢継ぎ早にできることはどんどん対策を打ってまいりました。ただ、鳥獣被害がどんどん拡大しているにもかかわらず、狩猟をする人、この方々がどんどん高齢化して、それで後進の育成がなかなかままならないというような議論も一方であるわけでございます。
 したがって、後進の育成と、あるいは未熟な人が鉄砲を撃ってはいけませんので練習をするというようなことも大事であるということから、これはだんだんと条件が整ってきたなというふうに思いました。その条件というのは、国からの補助金の活用であり、地元市町村が応分の負担をしてくださること、それから住民は市町村がきちんと同意を取りつけてくれること、それから、県に後年度負担が生じるとまずうございますので、これは採算に合うと言っておられる人を中心にして自分たちできちんと運営をしてくださること、こういうことが必要であって、このうち1つでも欠けるとなかなか難しいということを先ほどの6月議会で申し上げたところは、松坂議員指摘のとおりであります。この点については、いささかも変わっておりません。
 ただ、国の補正予算において、先ほど申し上げましたように、鳥獣害防止総合対策事業のメニューとして新たな射撃訓練施設が追加され、補助金の確保に一定のめどがついております。
 それから、幾つかの市町村と協議を進めてきたところ、湯浅町から用地の無償提供をすると、それから地元同意については責任を持って対応するという申し出がありましたので、この条件もめどとしては一応ついております。
 それから、運営主体についても、関係者と協議をして、実射訓練や技術講習会、競技会等での利用が見込まれ、十分採算に見合うものという見解から、前向きな姿勢を示していただいております。
 こういうような全部の条件について、一応めどが整いましたので、今議会に補正予算をお願いしたものでございます。
 今後はどういうことをするかということなんでございますが──もう1つ、忘れましたが、先ほど御指摘のありました鉛対策または災害対策、これによる被害を出さないということが、これはもう前提でありますので、最近の射撃場については、そういうような備えをしたものだけができ上がっていくという状況になっています。そのようにしなかったものについては、先ほど松坂議員がおっしゃったように、改造するとかあるいは廃止をするとか、そういうことになっているわけでございます。
 その上で、これまで申し上げました各条件を本当に詳細まで詰めていったときに、それでいけるかどうか、これを今後しないといかんわけであります。しかし、これをやるに当たっては、予算のめどがついてないと──国のめどはついておりますが──県のめどがついてないとそういうことはできませんので、我々に予算を、うまくいけば執行する権限を議会として与えていただきたい、そういうふうにお願い申し上げまして、今回上程している次第でございます。
 我々のあらあらの試算によれば、土地代を除いて約5億円で施設は完成する見込みであります。もちろん、災害対策、鉛対策を備えたものでございます。
 土地代につきましては、さらに負担がありますが、これについては湯浅町が無償で提供するということになっております。私も現地を見てまいりましたけれども、一見したところ、私は素人ですから、必ずしも権威があるわけではありませんが、私の、ただの行政官として見たところ、一応条件は整っているような感じがいたしました。
 それから、現地で案内をしてくれたり、ぜひ頼むと言ってくださった湯浅町の関係の方々などは、これによって、ほかになかなか産業というようなものがない湯浅町においては、例えば大会などが開かれたら大勢の人が来てくれて、それで宿泊施設などに泊まってくれるかなあとか、そういうような若干の希望といいますか、夢というか、そういうこともまた抱いておられるようなことをお聞きいたしました。
 今後、その設計の予算を議会で認めていただきましたら、設計をいたしまして、その条件をまた提示し、これで最終的に市町村としては大丈夫かどうか、それからその予算の範囲内にはまるかどうか、そういうようなことをきっちりと今度は実施の段階でやっていく、これはほかの水泳場とか、それから県営体育館というようなものと同じでございます。
 一部、この間の議会と少し変えたところがありますが、それは一応の建設主体を、県のお金をつぎ込んで建設主体を市町村にするというふうに思っておったんですが──これはなぜかというと、鳥獣害対策は市町村が主体的に取り組むという特措法の趣旨からでございます。鳥獣害被害が拡大し、利用者が県下全域に及んでおります。また、国体のクレー射撃にも使えるというようなこと、あるいは市町村の財政事情がとても悪いということも勘案して、施設整備については県で行い、土地は提供していただこう、そういうことを現在考えておりまして、これが適当と判断しているところでございます。
 地元への説明につきましては、町が主体的に行っていただかなければならないし、それが条件であります。ただ、県といたしましても、設置者としてこれから設計をし、その情報を提供していくというようなことをしまして、地元への説明等に際しましても町と協力をいたしまして進めてまいりたい、そんなふうに考えているところでございます。
○議長(冨安民浩君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 鳥獣害対策につきます4点につきまして、まとめて一括してお答えをさしていただきたいと思います。
 まず、イノシシ、シカ、猿の有害駆除の状況につきましてでございますが、猟友会を初め関係者の努力等にもよりまして、その捕獲数は年々増加をいたしてございます。平成20年度には5000頭を超えるということで実績が上がってございますが、農作物の被害につきましては、ここ数年3億円前後で横ばいということで推移をしている状況にございます。
 こうした中で、県といたしましては、防護さく、捕獲おりの設置あるいは有害駆除への捕獲への助成等について充実強化を図るとともに、猟期の延長やくくりわなの規制緩和など、きめ細かな対策に取り組んでいるところでございます。
 次に、国の特措法に基づきます鳥獣害防止総合対策事業を実施をしてございます市町村協議会、これにつきましては、昨年より5協議会増加をして現在10協議会となってございまして、雑木林等の刈り払いによる緩衝帯の設置あるいはモンキードッグの育成などに取り組んでございます。
 一方、市町村の枠、域を超える地域の協議会につきましては、現在、振興局単位に7協議会が設置いたしてございまして、鳥獣害防止施設の展示や研修会の開催等を行ってございますが、今後、より効率的な事業展開ができるように県としても積極的に支援をしてまいりたいと考えてございます。
 また、広域的な猿対策についてでございますが、猿の行動パターンといいますか、その行動域からいたしまして非常に難しい面があるというふうに考えてございまして、現在、改めて県下で猿の生息調査を実施して、生息マップの作成ということに取り組んでいるところでございます。
 今後、この調査結果も踏まえながら、市町村の主体的な取り組みを支援いたしますとともに、地域の協議会との連携を図りまして、捕獲、防護の両面から総合的かつ効果的な対策を実施してまいりたいと思ってございます。
 最後に、県単の鳥獣害防止対策事業についてでございますが、中山間地域を中心といたしました被害の実態から見まして、その対策は喫緊の課題であります。そういう中で、県といたしましては、厳しい財政事情の中ではありますが、市町村等の意向も伺いながら、地域の実態に即した効果的な事業の実施ができるよう適切に対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 国道480号清水地内の崩落災害についてでございますが、路側擁壁の崩壊の原因につきましては、擁壁下面が河川により深く洗掘され、内部の土砂が吸い出され流出したものと判断しております。
 県では、9月1日の被災後、直ちにバリケード等の安全対策を実施し、片側交互交通といたしました。それとあわせ、被災状況を調査し、測量設計を実施するとともに、台風に備え、大型土のうの製作を行っているところでございます。今後、早期に工事を実施し、年内の復旧を予定しております。
 また、今回の崩壊箇所につきましては、2年前の平成19年6月に県の通常パトロールで舗装面に沈み込み、ひび割れを確認し、直ちに舗装補修工事を実施しております。その工事の際に擁壁下面に多少の洗掘は認めましたものの、道路本体は安定した状態であると判断し、舗装工事を行ったものでございます。
 それから、同様の災害に対します未然防止策についてでございますが、河川の流れが道路に当たる今回の災害と似たような箇所につきましては、今後、入念なパトロールを行って、舗装面に沈み込みとかひび割れ等の異常が認められます場合には、河川への土砂の吸い出しの可能性も想定した調査を行って、必要に応じ河川への根固め工を実施するなど、住民の方々の安全・安心を確保するため、一層注意を払ってまいりたいと思います。
 それから3つ目、道路維持管理の位置づけについてでございますが、県におきましては、道路の機能を保持するため、日常のパトロールや点検により道路の状況を的確に把握し、効率的で効果的な維持補修を適宜実施するよう努めております。また、限られた財源の中で、初期段階での手当てや予防的な補修・修繕方法を採用することで中長期的な維持管理費の総額の縮減や施設の長寿命化を図るなど、効率的な維持管理を行うことが重要だと考えております。
 道路整備が著しくおくれました本県にとって、幹線道路の整備が重要であることは言うまでもありませんが、それとあわせ、今後増大することが予想されます維持管理予算の確保にも努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再質問を許します。
 42番松坂英樹君。
○松坂英樹君 御答弁をいただきました。知事と、それから県土整備部長にそれぞれ再質問をさせていただきたいと思います。
 まず、県の射撃場建設計画ですが、1つ目の再質問は、知事にこの前提条件の問題で質問いたします。
 考えられるハードルをどうクリアしていくのかというふうに私が具体的に聞いたのに対し、知事からは条件はほぼ整ってきたという見解を示されましたものの、中身を見れば、この維持コストや運営の面では関係者の聞いている話ということで、県がみずから試算をしてみたということもこれからやという話だというふうに思います。
 そして、鉛害対策ということも、これは前提条件ですと、しっかりやりますと言うけれども、概要は、具体的に何までやるんかと、どこまでやるんかということはこれからだということでして、具体的な中身をお聞きすることはできませんでした。今の段階で一定のめどがついたのは国のお金だけかもしれません。
 知事がおっしゃったように、これがもし無理して国の補正に乗っていこうという話でなければ、水泳場や体育館と違って、この山田はいろんな、先ほど申し上げたような経過のあるところですから、第1問でお話をしたように、まず調査費をつけて、概要を説明をして、住民の方にも見ていただき、また競技団体とか猟友会の皆さんの意見も聞いて、十分な地元同意を得た上で、これでいこうということになれば本体工事の予算計上というふうに進むんだったというふうに思うんですね。でも、今回は、知事、先ほど、そういう条件、うまくいけば執行する権限を与えてほしいということですというふうに答弁されましたけども、そういうことになっているんだと思います。
 そこで、再質問で確認をしたいんですが、幾つかの越えなければならないハードルや条件をクリアできたから建設計画を決定したというんじゃなくて、これから1つ1つハードルを越えていく、具体的に条件を満たすように詰めていくということでとらしていただいてよろしいんですね。御答弁を願いたいと思います。
 次に、2つ目の知事への質問は住民合意の問題です。
 湯浅町が誘致に手を挙げたんだから、住民合意は町のほうで主になってやってもらうという趣旨の答弁、県は情報提供して町に協力をしていくという趣旨の答弁だったと思うんですが、これはどうかというふうに思うんですね。
 この射撃場建設計画に対する住民合意のかぎは、鉛害対策などいろんな不安にどうこたえていくかと、説明責任を果たして信頼関係を築き、どう理解と納得を得るのかということに尽きるというふうに思うんです。ですから、施設がどんなものになるか、どう対応、運営するのか、先々どうなるのか、こういう中身が実は大切であり、その意味では、設置者である県が主体的に説明責任を果たす、町はその窓口となって一緒にやる、このことが求められているんじゃないでしょうか。
 町が手を挙げたんだから責任持ってやってよというのではだめだと私は思うんです。町が、その計画の中身抜きの合意を迫ってしまうことになってしまえば、例えば地域の中で、先ほどもお話があったように、施設ができたらお金も落ちて活性化につながるから賛成してよとか、早よ合意せなよその町にとられるらしいでと、早よ判こ押してよともなりかねないと私心配しております。これでは、ゴルフ場開発のときと変わらないことになってしまうんです。
 確認をさせていただきますが、基本設計ができ上がり次第、これをもって住民説明に入っていくというふうに聞いておりますから、住民合意はこれからだということで、先ほど知事もあったと思いますが、よろしいですね。
 それから、私は県が主体的に説明責任を果たして住民合意を得るという姿勢にならないといけないというふうに考えますが、そこはどうなんでしょうか。再度答弁を求めます。
 それから、国道の崩壊の問題で県土整備部長に再質問をいたします。
 部長の答弁お聞きしていまして、やはり説明的なことの答弁だというふうに思うんですね。今回の災害へのとらえ方、県の対応、どうかというふうに思うんです。
 私自身も県議として、今回の崩壊箇所が、住民の方から「危ないで」と、「ひび入ってるで」、「底掘れてるで」という声があったということなのに、災害を防ぐことができなかった。申しわけないなと、もっとそういう地域の声をつぶさに聞いて伝えんといかんなという、そのみずからの不十分さを反省しています。
 ところが、部長の今の答弁を聞いてますと、「当時ちゃんと調べましたよ」と、「ちゃんと直しましたよ」と、「これからもちゃんとやりますよ」と、こういうふうに聞こえて、何か人ごとなんですね。もっと素朴に反省といいますか、道路管理者として、技術屋として、とても残念だと、悔しいという気持ちはないんでしょうか。今から思えば、下の掘れぐあい、もっと継続して追っかけて見とけばよかったなと、そういうふうに思わないんでしょうかね。答弁には、「県に非はないんです」という言い方に、私、聞こえるんです。県民の皆さんに、えらい悪かったなあとかというふうに思わんのでしょうかね。
 今回の災害を防げなかったことへの率直な思いというか、反省はどうなんでしょうか。再度答弁を求めたいと思います。
 以上です。
○議長(冨安民浩君) 再質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 2つ御質問がありましたので、第1の点については、「そうです」ということでございます。
 第2の点については、これから御答弁申し上げますが、先ほど申し上げましたように、地元の同意については市町村で主体的に取り組んでいただくということで、その前提で「来てください」ということを湯浅町からいただいておりますので、そのレベルにおいて、今は地元の同意というか、同意というよりもむしろ「来てください」、そういう意思表示をいただいているということです。
 もちろん、その中身については、例えば「ええ、そんなんだったのか」というようなことでは困りますので、今後、設置者として設計などをどんどんやっていって、そのたびごとに「こんなんでいいですね」ということを町のほうに言うていかないかんと思います。もちろん、町もいろんなおぜん立てをして、我々も当然出席して、それで「こういう設計なんございまして、こういう点は、例えば鉛の害なんかは配慮してます」とか、そういうことをちゃんと説明をして、その上で皆さんに御納得いただくということにしないといかんと思います。
 ただ、御納得いただくときの、例えば取りまとめとか、そういうのはやっぱり町がきちんとやっていただかないと、なかなか県としても遠うございますので、そういうことを申し上げている次第でございます。
○議長(冨安民浩君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) お答えいたします。
 平成19年度に、先ほども申し上げましたが、舗装面にひび割れ、沈み込みを見つけて、擁壁の下面に多少の洗掘は認め、今回のような大きな崩壊にはつながらないと当時判断し、舗装の補修を行いました。
 しかしながら、それから2年たって、ことしの9月1日に河川によります洗掘が原因と考えられる擁壁の崩壊が発生し、住民の皆様に多大な御心配と御不便をおかけしていると深く認識しております。
 2年前のひび割れ、沈み込みが起こったことと今回の現象との因果関係は不明ですが、今回の事案の重大性を深く受けとめて、今後はさらに入念なパトロールを行うとともに、住民の皆様方から寄せられる情報等も参考にして、少しでも異常が認められれば、土質工学、河川工学、そういった知識も総動員して原因の究明や適切な対策を実施して、住民の皆様の安全・安心の確保に努めていきたいと思っております。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再々質問を許します。
 42番松坂英樹君。
○松坂英樹君 御答弁いただきました。
 射撃場についての知事の御答弁は、1点目はそのとおりだと、2点目は、きちんと説明をした上で納得、合意をいただくことになるというお話だったというふうに思います。それが、1回目の答弁のそういうお話だったというふうに思います。
 先日の記者会見での知事の説明や、きょうこの一般質問への知事答弁、これも含めて、町民、県民の皆さんの御意見をお聞きしながら、今後ともこの問題に対応していきたいというふうに思います。
 住民合意なしに進めないということを再度確認し、強く要望しておきたいと思っております。
 それから、県土整備部長の再答弁もいただきました。
 聞いておりますと、因果関係とか、まるで裁判に訴えられた被告の主張のようですね。裁判でもないのに、ふだんからそんな対応をしてたら、県は何なということになると思います。有田川町の当局も、前々から危ないと指摘をされてきたのに県が手だてをしてこなかったと注文をつけておられます。再答弁にもあったように、今回のことをよく検証し、今後に生かしていただきたいというふうに思います。
 いずれにしろ、清水の大動脈ですから、一日も早く復旧をして、安全も信頼も回復いただけるように強く求めまして、以上要望として私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(冨安民浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で松坂英樹君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時37分休憩
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