平成21年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


県議会の活動

平成21年9月
和歌山県議会定例会会議録
第5号
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議事日程 第5号
 平成21年9月18日(金曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第132号から議案第151号まで(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案の付託
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会議に付した事件
 第1 議案第132号から議案第151号まで(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案の付託
 第4 休会決定の件
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出席議員(42人)
 1番 泉 正徳
 2番 山本茂博
 3番 前芝雅嗣
 4番 浅井修一郎
 5番 吉井和視
 6番 向井嘉久藏
 7番 門 三佐博
 8番 町田 亘
 9番 服部 一
 10番 平木哲朗
 11番 花田健吉
 12番 須川倍行
 13番 大沢広太郎
 14番 谷 洋一
 15番 平越孝哉
 17番 岸本 健
 18番 川口文章
 19番 尾崎太郎
 20番 藤山将材
 21番 新島 雄
 22番 山下直也
 23番 井出益弘
 24番 宇治田栄蔵
 25番 多田純一
 26番 中 拓哉
 27番 角田秀樹
 29番 山田正彦
 30番 坂本 登
 31番 尾崎要二
 32番 中村裕一
 33番 片桐章浩
 35番 藤本眞利子
 36番 長坂隆司
 38番 小川 武
 39番 冨安民浩
 40番 奥村規子
 41番 山下大輔
 42番 松坂英樹
 43番 藤井健太郎
 44番 雑賀光夫
 45番 野見山 海
 46番 松本貞次
欠席議員(2人)
 28番 江上柳助
 34番 原 日出夫
〔備考〕
 16番 欠員
 37番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 知事室長       曽根義廣
 危機管理監      森 崇
 総務部長       宮地俊明
 企画部長       前硲健作
 環境生活部長     井口悦治
 福祉保健部長     北田佳秀
 商工観光労働部長   永井慶一
 農林水産部長     下林茂文
 県土整備部長     茅野牧夫
 会計管理者      雑賀忠士
 教育委員会委員長   湯川 力
 教育長        山口裕市
 公安委員会委員長   大岡淳人
 警察本部長      永松健次
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     楠本 隆
 選挙管理委員会委員長 諸木良介
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       藁科善崇
 次長         東岡誠吾
 議事課長       上坊 晃
 議事課副課長     土井敏弘
 議事課課長補佐兼議事班長
            田中健司
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      瀧川泰治
 議事課主査      中村安隆
 総務課長       佐本 明
 調査課長       中井祥之
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  午前10時1分開議
○議長(冨安民浩君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第132号から議案第151号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 19番尾崎太郎君。
  〔尾崎太郎君、登壇〕(拍手)
○尾崎太郎君 おはようございます。議長の許可を得ましたので、一般質問をいたします。
 衆議院総選挙が行われました。残念ながら我が党は歴史的大敗北を喫し、野に下りましたが、何ゆえこのような結果となってしまったのか。くるくる変わる総理総裁、ばんそうこう大臣に酔いどれ大臣、漢字の読み違いに世論の読み違い、それこそ理由は幾つとなく挙げることができます。しかし、その根本的な原因は、我が党が保守政党としてのアイデンティティーを喪失したことによるのです。
 1989年にベルリンの壁が崩壊し、1991年12月25日にソ連が解体して冷戦が終結します。世界の構造は、このときをもって一変したのであって、政治、経済、文化、あらゆる分野にわたって再構築が行われることは必至でありました。
 それまで、我が国の政治風土において、保守とは革新、すなわち共産主義、社会主義でないものを包括的に指し、保守とは何かといった積極的なアプローチは行われてきませんでした。国民の支持を得るには、いわばこの消極的保守でさえあれば十分であり、本来の保守主義を標榜する必要性はなかったのです。アメリカから見れば、自民党の存在意義は共産主義、社会主義革命に対する防波堤、国民から見ればいわゆる現実的選択であったのです。
 誤解のないように申し上げれば、このことは自民党の政治が悪かったことを示唆するものではありません。自民党は、細川護熙を首班とする非自民連立政権が発足し、野に下るまでの35年間政権の座にあって、焦土と化した我が国を経済的にも文化的にも世界で最も豊かな国として再生する一助となりました。後に政、官、業の癒着と非難される自民党政治ですが、敗戦後、極めて脆弱となった国力を経済発展に集中し、奇跡の復興を成し遂げたのは、政、官、業の鉄のトライアングルが効率的に機能してきたこともまた事実であります。
 しかし、世界の構造は変わったのです。もはや、だれの目にも共産主義や社会主義が失敗であることは明らかとなりました。市場は万能ではありませんが、市場や私有財産を否定したところに豊かな社会が成立しないことは自明となりました。もはや、消極的保守、共産主義、社会主義でないことは政治の大前提となり、それで差別化することはできません。小選挙区制度となり、いずれ2大政党へと収れんしていくのであれば、自民党の存在意義は積極的保守、本来の保守政治にこそ求められるべきでありました。
 ところが、野党暮らしの悲哀に耐えかね、自民党は政権党であることだけにしかみずからの存在意義を見出せず、あろうことか、社会党の党首を首班とする自社さ連立政権を発足させます。当時の自民党幹部の言いぐさは、「野党になったらだれも陳情に来ないし、役人も説明にも来ない」などという、全く取るに足りないものでありました。今日の自民党の壊滅的大敗は、このとき定まったと言えるでしょう。
 さすがに、村山政権が画策した国会での謝罪決議は、腐ってもタイ、当時の自民党にはまだまだ健全な保守も多く、衆議院では反対派の議員を本会議は開かれないと帰省させておいてから土井衆議院議長が開会のベルを鳴らすといういわばだまし討ちで、議員の過半数を超えずに採決され、参議院ではついに採択に至りませんでした。
 しかし、いわゆる村山談話を許してしまったことは痛恨のきわみであり、以後、村山談話は我が国と我が党を深くむしばむことになります。
 保守政治とは、悠久の歴史がはぐくんだ国民精神、国体に至上の価値を見、これを保守せんとするものであり、同時にまた国民精神に立脚する政治であります。ゆめ国民精神を人為的に改革するなどということを企てるものではありません。国民精神と保守政治は、相互に依存する関係にあると言えます。したがって、国民精神が損なわれてさえいなければ保守政党は必ず力を取り戻すはずであります。
 幸い、長い歴史を誇る我が国が時をかけ熟成した国民精神は、決して油断はできないものの、そうやすやすと壊されるものではありません。問題は、自民党が保守政党たり得るかということであります。保守政党たるには、まずはこの豊かな国民精神をはぐくんだ自国の歴史をでき得る限り肯定的にとらえようと構えることが必要不可欠であり、村山談話を継承したまま真の保守政党たることはできません。
 真の保守政治家である安倍総理は、村山談話を踏襲してしまい、深刻な自己矛盾に陥りました。苦悩煩悶したあげく、彼は健康を損ねたのではないでしょうか。安倍総理は、村山談話を破棄し、靖国へ参拝すべきでありました。2代続けて総理が靖国に参拝することは決定的な意味を持ったはずです。対外的にも靖国参拝を、いささかいこじな小泉総理の蛮行から総理の慣行にすることができたのです。マスコミが騒ごうが、小役人がそれを引っ張ろうが、何ほどのことがある。安倍総理の靖国参拝は国民の大半が支持したはずで、中国は、抗議しても無駄だと知れば、以後、靖国を政治カードとして利用しなくなるでしょう。
 まあ、韓国は騒ぐでしょうが、ほうっておいたらそれでよし。カトリックとプロテスタントが徹底的に戦った30年戦争後、ウェストファリア条約が結ばれますが、これ以降は宗教は問題にしないのが国際社会のコンセンサスです。神社へお参りする程度のことで騒ぎ続ければ、国際社会で白眼視されるのは韓国なのです。
 みずからが守るべき、そしてみずからがよるべき国民精神に絶対の信を置き、堂々参拝すれば、靖国の英霊は安倍政権をお守りくださったに違いありません。
 私は、ことしの8月15日にも、例年どおり靖国に参拝をいたしました。早朝から途切れることのない参拝者の列、夏の日差しは強く、日傘を差す人、参道でもらったパンフレットをかざす人、汗が首筋を流れ落ちる。私の前の家族連れは、神殿の前に来ると父が子供たちに帽子をとるように命じる。2礼2拍手1礼、父に合わせ兄弟は小さな手でかしわ手を打つ。私の横は、恐らくは大学生、今風の若者のファッションに身を包んでいる。背広姿の人もいる。着物姿の御婦人がいる。気負うわけでもなく、皆、ごく自然に参拝をしているのです。
 私は、知人に「機会があればぜひ8月15日に靖国に参拝してはいかがですか」と勧めています。ことしは、私の後援者の1人がお孫さんを連れて参拝されました。陸続たる参拝者の列に彼は心底驚いたそうで、「まさかあれほどとは思わなかった」と述べておられました。
 本年は靖国の境内で、国民集会で田母神元航空幕僚長や金美齢氏がスピーチを行っていましたが、田母神氏の講演は全国どこでも大入り満員。昨日も、ことし2度目の和歌山入りをしていただき、前回同様、立錐の余地のない大盛況でありました。
 マスコミは、「ぞっとする自衛官の暴走」と題し、「こんなゆがんだ考え方の持ち主が事もあろうに自衛隊組織のトップにいたとは驚き、あきれ」などと書いていましたが、ゆがんでいるのは村山談話なのか、田母神論文なのか、あるいは麻生総理の口なのか。麻生総理は、郵政民営化は本当は賛成ではなかったなどと告白するのであれば、村山談話の継承も本心ではないとざんげし、国民に信を問うべきでありました。
 私は、自民党青年局中央常任委員会議長の職にあり、総選挙における惨敗が必至となった情勢にかんがみ、党本部に、総理は8月15日、靖国に行くべきだ、我が党所属の全国会議員を連れていけばなおよしとの提言をいたしました。また、青年局長は麻生派の一員ということもあり、総理にじかに15日の参拝を迫ったそうであります。村山談話を継承し、靖国にも参拝せず、民主党の日の丸切り裂き事件だけを声高に叫んだぐらいで自民党は保守政党であると国民が認めるはずもなかったのです。
 党大会に日の丸を掲げない民主党は、明らかに保守政党ではない。しかし、ならば自民党は保守政党だと胸を張れるのか。数合わせで政権に手が届く程度の負け方では、権力欲に取りつかれた自民党に保守政党としての自覚を促すことは不可能。ならば、我々は、この大敗北を自民党が本来の姿に変えるチャンス、村山談話の呪縛を解く好機に変えなければなりません。世界に誇るべき我が国の国民精神、国体を保守すべく、私は一兵卒としてこれからも微力ながら県議会で発言を続けてまいりたいと存じます。
 さて、横浜市教育委員会が8月4日、18採択地区のうち8地区で「新編新しい歴史教科書」を採択いたしました。この教科書は、教育基本法改正に伴う新学習指導要領に則して編まれたもので、虚心坦懐に審査してもらえば一定数は必ず採択されるべきものであると考えておりましたが、本県でも以前、教科書採択をめぐって田辺市で教育委員らに対する非常識な抗議行動があったことから、文部科学省の言う教育委員らの静ひつな採択環境が維持できるかどうか憂慮しておりました。
 教科書採択の複雑な仕組みにつきましては、これまでも質問をしてきましたので繰り返しませんが、ともかく横浜市では教育委員による真摯な採択が行われたようであり、まことに喜ばしいことであります。「新編新しい歴史教科書」には戦艦大和の写真が掲載されており、私などはその勇姿に見とれてしまいますが、あるいは軍国主義であるとの批判があるかもしれません。
 「WiLL」7月号別冊「歴史通」に、昭和58年8月号の「中央公論」増刊号、「歴史と人物 太平洋戦争──終戦秘話」に塩野義製薬の係長で海軍大尉待遇嘱託であった市橋立彦氏が寄稿した話が紹介されています。昭和20年3月半ばのある日、市橋氏は第2海軍療品廠で、「本日より1週間以内に歯磨き、歯ブラシを各50万人分、美顔クリーム25万人分、メンスバンド15万人分を調達するために○大尉に協力してほしい。理由は言えない、直ちにかかれ。」との命令を受けます。非常な努力の末、何とか調達に成功しますが、4月8日ごろ、大尉から、「市橋君、我々がともに1週間闘ったあの4品目は大和に積んだそうだ。沖縄県民のために残念なことをした。市橋君、本当に御苦労だった。」と聞かされたというのです。
 このような沖縄県民に対する細やかな配慮を軍部がしていたとは私にとっても驚きですが、日本軍は民を虐げるおどろおどろしい組織であると信じている、あるいは信じさせたい方々に耳の痛い話でしょう。
 沖縄は紛れもなく日本であり、それゆえ持てる力を振り絞り、軍は沖縄を守ろうとした。軍は、住民をでき得る限り疎開させようとした。作戦は必ずしも的確ではなかったかもしれない。それでも軍は、大和は、矢折れ刀尽きるまで沖縄を守ろうとした。それは、ひめゆり部隊等とともに後世に語り継いでもよいのではないでしょうか。
 「新編新しい歴史教科書」は、今回の採択でようやく1%のシェアを獲得することができました。祖国に誇りを持てる子供たちが育ってくれるよう願ってやみません。
 さて、本県では、教育基本法に基づき和歌山県教育振興基本計画を策定し、「未来を拓くひたむきな人間力を育む和歌山」を目標として教育行政に取り組んでいるところでございます。
 新教育基本法には、親が子の教育に第一義的責任を有し、生活習慣、自立心、心身の調和を図る規定が新たに設けられ、国及び地方公共団体が家庭教育支援を行うことが明記されています。
 本県の教育振興基本計画によりますと、家庭の教育力向上のため、子育てや家庭教育に関する情報の提供及び学習機会の充実、子育てに関する相談体制や親子や親同士が集える場の充実、地域で支え合う子育て支援体制の確立等の政策を実施することとなっておりますが、児童虐待は犯罪でありますから論外としても、いわゆるネグレクトやモンスターペアレントに、学校でも教育委員会でもなく、親が子の教育に第一義的責任を負っているということを意識づけていくという視点はあるのでしょうか。
 親が我が子の教育に責任を持つなどということは、それこそ法律以前の問題ですが、わざわざそれを法律に明記しなければならない状況にあるとはゆゆしきことであります。
 日本には、しつけという世界に誇る文化があります。いや、あったと言うべきか。「しつけがなっていない」、「親の顔が見たい」などは、かつてよく聞かれた物言いです。子を持つ親ならだれでもそうでしょうが、我が子はそれこそ目の中に入れても痛くないほどかわいいものですが、それでも、いや、それゆえに子供はしつけなければならない存在なのであり、親がその責務を負うのです。しつけは、時に子供にとり不快なものであり、厳しさを伴うものであります。的外れな子供の権利論を振り回すのは、まさに子供のためにこそ、そろそろやめにしなければなりません。
 核家族の増加や地域社会の人間関係の希薄化に伴い、しつけの伝統は失われつつあり、子供のしつけ方がよくわからない親もいることでしょう。教育基本法第10条2項は、地方公共団体は保護者に対する学習機会の提供を義務づけており、これは親に子供のしつけ方を学んでもらおうというものでありましょう。単なる育児相談にとどまらず、親に親としての自覚を促し、きちんとした子育てを習得できる場を提供できる政策が必要とされています。
 前埼玉県教育委員長で明星大学教授の高橋史朗先生が提唱なさっている親学は、親となるための学習を体系的に整備したもので注目に値します。
 また、早寝、早起き、朝御飯はしつけの基本とされるものですが、平成17年、食育基本法が制定され、食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身につけることができるよう、学校においても積極的に食育に取り組むことが求められています。
 共稼ぎ家庭がふえたこともあり、朝食抜きの子供やインスタントラーメンや菓子パンなどで食事を済ます子供たちがふえてきているようです。食べ物により我々はできているのですから、何をどのように食するかということは大問題であり、肉体も精神も発展途上にある青少年にとり、食育は決定的に重要なものであります。
 何でもない運動で骨折してしまう子供、一定時間立っていることもできない子供、無気力感にさいなまれる子供、すぐにキレる子供、落ちつきがない子供たちも日ごろの食生活にその原因がある場合もあると推察されます。まさしく、食を正すことは人を正すことでありましょう。
 社会の食に対する関心が高まる中、食に関する指導の推進に中核的役割を担う栄養教諭制度の創設は時宜を得たものと言えます。
 最近、栄養教諭の方と話す機会がありました。子供たちの栄養管理はもとより、はしの持ち方や食事マナーに至るまで、我が国の伝統的な食文化についての理解を深めていくことにも配慮されているようで、大変感心いたしました。手づくりのテキストにも仕事に対する情熱が感じられ、教諭としての使命感と誇りを持って職務に当たっておられるようであります。
 学校栄養職員は、学校給食法の5条の3に「学校給食の栄養に関する専門的事項をつかさどる」と規定され、栄養教諭は、学校教育法28条8項に「児童生徒の栄養の指導及び管理をつかさどる」と規定されています。栄養教諭は、職務として食に関する指導を明確にされたものであります。
 給食における地場産物の活用等は同僚議員も何度も質問されていますが、これなど、栄養教諭が食に関する指導と給食管理を一体のものとして行うことでより効率的に実施することができます。給食における食材の仕入れについては地域地域で異なっているようですが、栄養教諭が職務としてかかわることでよりよいものになっていくでしょう。また、肥満や偏食、食物アレルギーなどの児童に対する個別指導は、専門的知識に基づいて行われなければならないものであり、栄養教諭の活躍に期待するところ大であります。
 学校栄養職員は、一定の在職経験と都道府県教育委員会が実施する講習等において所定の単位を修得することにより栄養教諭免状を取得できることになっていますが、学校栄養職員が教諭となることで生まれる職責に対する自覚が日々の仕事に非常によい影響をもたらすということは栄養教諭の方々とお会いして感じましたし、食に対する近年の国民的関心の高まりからも、栄養教諭をでき得る限り配置していきたいものであります。
 ところで、麻生総理が「昨年秋に解散しておけばよかった」などと語ったとの報道がありました。総理就任直後の秋葉原での街頭演説での人気は大変なもので、一目生麻生を見ようとする人で駅前は埋め尽くされました。私も総理の前座を務め、「名前も大学も総理と同じです」などと演説をして浮かれていたのがうそのようであります。だれもがこの勢いをかって解散かと思ったのですが、演説会終了後の懇親会で総理が、「とても解散できる状況にない。各国から悲鳴が上がっている」と漏らしたのを覚えています。
 米国のサブプライムローン問題に端を発する金融危機は、まさに100年に一度と形容するにふさわしいものであります。トリプルAを自慢に日本の保険市場を席巻した世界最大の保険会社AIGは、本来倒産してしかるべきところを、その余りの規模ゆえにFRBがなりふり構わぬ融資で生き長らえさせている状態であり、世界の金融を牛耳ってきたアメリカの5大投資銀行、ゴールドマン・サックス、メリルリンチ、モルガン・スタンレー、リーマン・ブラザーズ、ベア・スターンズはすべて消滅してしまいました。
 1つかじを切り間違えれば世界恐慌は必至であり、各国が保護主義を強め、自由貿易が死ねば、それはいつか来た道、戦争への足音が聞こえてきます。リーマンショック以降の各国首脳がどれほどの緊張を強いられたことか想像にかたくありません。麻生総理の苦悩も、また推して知るべしであります。
 10月26日の秋葉原での演説から18日後の11月14日、ワシントンでの金融サミットにおいて、日本は外貨準備から最大1000億ドルをIMFに拠出することを表明します。
 金融立国として1人当たりのGDP世界第3位、まさに我が世の春を謳歌していたアイスランドは、一瞬にして事実上デフォルトしてしまいました。事実上と申し上げたのは、正確には政府の管理下にある銀行がデフォルトしたからですが、英国などはこわもてで自国の債権保全に動きました。無論、軍を持たない我が国がそんな芸当ができるわけもなく、邦銀等が持つ債権などは紙切れとなったのでありました。
 日本は世界最大の債権国、世界じゅうにお金を貸しているのですから、金融危機が連鎖し各国がデフォルトすれば、世界で最も深刻なダメージをこうむるのは我が国、危機に瀕している国を支援することは、国際的な道義のみならず、国益にもかなった行為なのです。
 とはいえ、破綻のふちにある国に直接融資をするというのでは余りにリスクが大き過ぎます。IMFに資金を拠出し、IMFがそれらの国に融資すれば、いざというときには我が国の資金はIMFが保証しますし、何よりIMFには融資をする国にさまざまな改善計画を強制することができるため、融資返済の可能性は日本が直接融資した場合とは比べ物になりません。もちろん、日本はIMFから利息も受け取ることができるのです。
 橋本総理がかつて「米国債を売る誘惑に駆られることがある」と発言してニューヨークダウがたちまち下落したことはよく知られていますが、外貨準備はそのほとんどが米国債の形で運用されており、これを大量に売ることはドルの暴落を招き、ドルの暴落は世界経済のさらなる崩落を招くことになり、事実上、できることではありません。IMFへの資金の拠出は、この売るに売れない米国債で行われ、IMFはこれを担保に現金を調達し、支援を実施するのです。どうでしょう、一石二鳥にも三鳥にもなる見事なスキームではありませんか。
 そして、ことしの2月13日、ローマでのG7で中川財務金融担当大臣はIMFへの融資に正式に調印をいたしました。IMF専務理事のストロス・カーン氏は、これを「人類史上最大の融資である」と我が国の国際貢献に賛辞を惜しみませんでした。浮かれ過ぎて酔っぱらってしまったのが玉にきずですが、電光石火の早わざでこれだけのスキームを立案・実行した麻生総理、中川財務金融担当大臣は、再評価されるときが必ず来るはずであります。
 平成21年度補正予算も評価されるべきものであると考えます。プライマリーバランスの達成も結構ですが、民間の設備投資や消費の回復がしばらくは見込めず、有効需要が決定的に不足している状況下では、国債を発行し、政府が需要を創出することは理にかなった行為であると言えます。
 我が国の長期金利は世界最低で極めて安定しており、これは国債の消化に何の問題もないことを示しています。かつて、アメリカの格付会社が我が国の国債をボツワナ並みと評価したことがありましたが、この格付会社の評価が投資適格であるとした債権が今回の金融危機であっさりと崩落したことを思えば、格付なるもののいかがわしさがわかろうというものであります。ちなみに、ムーディーズは、国債の増発による補正予算が成立する直前、日本国債の格付を一段階引き上げています。
 我が国の国債は国内でその大半が消化されており、現在のところ、全く問題はありません。無論、国民の理解を得る意味でも、いわゆる箱物行政はいただけませんが、今回の補正予算には、国際公約であるCO2の排出抑制にもつながる太陽光発電等の環境関連の支出や、増田悦佐氏が説くところの世界に比類のない効率的社会をつくり上げている鉄道網を有する我が国がさらなる高みを目指すリニア新幹線関連の支出など、これからの日本の基幹産業になるであろう分野に対する投資がメジロ押しであります。
 民主党政権下での補正予算の見直しは必至の情勢でありますが、いたずらに政府支出を削ることは、例えば公務員の人件費を削減することも──いささか国民感情とは異なるかもしれませんが──事景気に関する限りマイナスに作用するのです。
 日本は世界第2位の経済大国であり、世界経済にとり極めて大きな存在であり、我が国の景気は世界に大きな影響を与えることを考えれば、麻生総理が「まずは景気だ」と叫び続けたことは、自民党にはともかく、状況を考えれば決して間違いであったとは言えないのです。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。
 第1点、現在の経済情勢をどのようにとらえているか。
 第2点、民間の需要が低迷する中で官需の果たす役割は、本県のような地域は特に大きいと考えるがどうか。
 第3点、知事の考える経済活性化策があればお聞かせをいただきたい。
 次に、教育長にお尋ねをいたします。
 第1点、和歌山県教育振興基本計画における家庭の教育力とは具体的にどのようなものを指すのか。
 第2点、かつて我が国の家庭で広く行われていたしつけについてどのように考えるか。
 第3点、親学というものを知っているか。知っているならば、どのような感想を持っているか。
 第4点、学校教育における食育の重要性をどのように考えているか。
 第5点、栄養教育の役割についてどのような認識を持っているか。また、現在の栄養教諭の数は十分であると考えているか。
 第6点、教育振興基本計画には環境教育の推進が掲げられているが、今回の積極予算を受けて、この機会に太陽光発電を県内各学校にでき得る限り整備すべきだと思うが、どのように取り組んでいるか。
 以上お尋ねして質問といたします。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの尾崎太郎君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 昨年9月のリーマン・ブラザーズの破綻から1年が経過いたしまして、世界経済の現状を概括いたしておりますと、議員御指摘のように、金融危機は最悪期を脱し、打撃を受けた各産業も昨年の10月よりは少し回復しているというような事態にあると思います。
 ただ、そのプロセスで職を失って所得もない方々がたくさんいらっしゃる。それから、失業しなくても残業手当が減った等々で、低下した所得の影響が今度は消費に結びついて、消費の低下によって有効需要が減っていくというようなこともまた懸念される事態にまだまだあると思います。
 それから、これまでと違って、世界経済の回復を、今までの産業がだめになったらこっちの産業で何とかしようというような新しい産業が、世界的規模で言うと余り顕著ではない。また、地域もそれほど顕著ではないということであろうかと思います。そういたしますと、産業界の民間投資もまだまだ回復するに至っていない。そういうことで、回復ということがこれまでの水準に戻るということであるとすれば、まだまだ回復への条件は整っていないというふうに考えざるを得ないと思います。
 国の月例経済報告も──これはちょっと退屈なような表現がいつも多いんでありますが──国の経済対策の効果等により、9月の月例経済報告の基調判断は、持ち直しつつあるものの、雇用については一層の悪化が懸念されると指摘されています。雇用の一段の悪化や所得の減少が消費を冷え込ませ、景気を下押しするおそれもありまして、まだまだ予断を許さない状況にあると考えております。
 このような中、本県経済情勢につきましても例外というわけにはまいりません。どこかの民間の研究機関の月例経済報告と同じような分析によると、一部に持ち直しの兆しも見られるものの生産や消費が低迷しており、厳しい状況が続いているということを書いておりますが、私たちもそのように考えております。
 ただ、全国的に雇用情勢が深刻化しておりますが、我が県においては、雇用の維持を最優先に考えている県内企業の頑張りもあります。そういうこともありまして、本県の有効求人倍率は、数年前とは一転して全国で上位を保っています。しかし、それはあくまでも相対的な問題でありまして、県民が幸せであるか、あるいは県内企業が余裕があるか、そういうこととは全く別でございまして、和歌山県もまだまだ回復までには苦労しながらやっていかないといけないと、そういう事態にあると考えております。
 そこで、県といたしましては、引き続き県内状況の的確な把握に努めるとともに、ことしの10月から県制度融資の金利引き下げといった資金繰り対策も追加しておりますし、一連の「和歌山で働きませんか!」プロジェクト等々と、いろいろと考えて実施してまいりましたが、今後とも実態については熱心に把握をし、それに対して必要な対策が怠っているものはないかということをよくよく考えて対策を続けてまいりたい、そんなふうに考えております。
 次に、官需の果たす役割についてでございます。
 議員御指摘のとおり、民間需要が落ち込んでいる中、特に中小企業が大半を占める本県において、官公需の果たす役割は重要であると考えております。
 こういう急激な落ち込みがありましたときに、財政政策が有効であるということは私もそう思います。財政施策がどれだけ有効かというのは、経済学の常に大きな論争の対象になっておりますけれども、この事態においては絶対に有効であるというふうに思います。そういう意味で、国がたび重なる経済対策をやってくれて、補正予算もかなり奮発した形で、特に地方などにもいただいたということは評価すべきであったというふうに思います。
 ただ、これは赤字国債を出せない県ではなくて、この財政政策、フィスカルポリシーというのは主として国の仕事だというふうに考えております。
 しかしながら、和歌山県においても、このような国の政策の足を引っ張る──例えば交付金をいただいたときに使わないで残しておくとか、そういうことばっかりやっておりますと、その当該県において足を引っ張るということになりますので、足を引っ張らないように我が県の深刻な事態も十分把握して対応してまいった次第であります。
 したがって、9月補正予算におきましても、これまでの国の交付金を活用した切れ目のない景気対策として、安心・安全とか低炭素革命、社会資本整備、産業振興などの7分野で、今後対応が必要となる事業を前倒しで実施することによって有効需要を創出し、県経済の下支えを図ってまいりたいと、こう考えている次第であります。
 次に、県経済の活性化でございます。
 私の考える経済活性化ということでございますが、少しダブるかもしれませんが、先ほど、資金繰りや雇用対策など、不況に耐える県内企業の下支えをするための緊急対策、これがまだ依然として必要だと思っております。それから、このような不況期にあっても、不況後のことを見据えて底力を蓄える、そういう取り組みも重要であると考えております。このため、産学官連携による研究開発や地域資源活用、農商工連携による新商品、新サービスの開発支援などに取り組んでいるところであります。また、新産業分野に挑戦するものづくり中小企業等の支援や県内業者の販路開拓支援、こういう経済活性化に資する施策を9月補正予算にも盛り込ませていただいた次第であります。
 あわせて、今後の産業活動の基礎となる社会資本整備は、これは頑張ろうとする民間企業のハンディキャップの解消とか、あるいは足を引っ張らないようにするというような意味で必要だと思いますので、必要な社会資本の整備を積極的に進め、将来の本県経済の成長につなげていきたいと考えております。
○議長(冨安民浩君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 家庭教育についてお答えいたします。
 近年、少子化の進行や人間関係の希薄化など家庭を取り巻く社会環境の急激な変化に伴って、家庭の教育力が低下してきていると指摘されてございます。
 家庭は教育の原点であり、家庭の教育力は、子供の命を守り育てること、社会人として生きていくための素地を子供に身につけさせることにあると考えております。その具体的な行為であります子供のしつけにつきましては、他人に対する思いやりや社会的なマナー、規範意識等を身につけ、将来、子供が尊敬される大人になるために必要なものでありまして、日本文化のよさを受け継いでいく営みでもあると受けとめてございます。
 議員御指摘の親学につきましては、親学推進協会理事長の講演記録等を拝見いたしましたが、親が親としての役割を果たすために必要な学習を述べておられまして、教育再生会議などで論議が重ねられたものと理解をしております。
 県教育委員会といたしましては、保護者が子供の教育に第一義的責任を有するものと定められた教育基本法の理念を踏まえ、家庭教育の自主性を尊重しつつ、市町村と連携しながら、地域共育コミュニティを生かすなどして、地域ぐるみの子育てや親の学びを支援する取り組みを充実してまいります。
 続いて、学校におきます食育の推進についてお答えいたします。
 このたび改訂されました学習指導要領におきまして、学校における食育の推進が新たに明記されており、学校教育活動全体での取り組みを推進することとなっております。
 本県の教育におきましても、食育の推進は大変重要でありまして、児童生徒が生涯にわたって心身の健康を保持・増進できるよう、正しい食事のとり方や望ましい食習慣を身につけ、食事を通じてみずからの健康管理ができる子供を育成してまいりたいと考えております。
 次に、栄養教諭の役割につきましては、栄養に関する専門性と教育に関する資質をあわせ持つ教員として、学校での組織的な取り組みのかなめとなるものと認識しております。また、食育推進の観点から改正された学校給食法におきましても、学校給食を活用した実践的な指導を行うことと定められるなど、求められる役割と期待は大きいものと考えます。
 本県における栄養教諭の配置状況は、平成19年度に3名、本年度新たに7名を増員し、計10名となっておりまして、各地方において、学校、家庭、地域と連携したさまざまな取り組みを展開しております。今後とも、栄養教諭の資質向上を図るとともに、各地方において、栄養教諭を中心とした食育の推進に積極的に取り組んでまいります。
 次に、学校施設への太陽光発電導入の取り組みについてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、地球温暖化対策は今や全世界共通の懸案事項であり、世界の国々が総力を挙げて取り組むべき重要課題の1つとなっております。
 また、和歌山県教育振興基本計画には環境教育の推進が掲げられておりまして、今回、太陽光発電を学校へ導入することは、この基本的方向に沿ったものでございます。
 今年度、経済危機対策におけるスクール・ニューディール構想の3本柱の1つとして、太陽光発電等を初めとしたエコ改修が補助制度化され、公立の幼稚園、小中学校、産業教育施設を有する高等学校及び特別支援学校が補助対象となりました。
 これを受けまして、県立学校につきましては、6月補正予算において、産業教育施設を有する高等学校10校と特別支援学校7校に太陽光発電設備設置が予算化されてございます。小中学校につきましては、各市町村教育委員会に対しまして、7月から9月にかけて太陽光発電設備導入の意義と補助内容について説明を行い、その導入を働きかけてまいりました。その結果、現在13市町、38校において設置の検討をしていただいております。
 県教育委員会といたしましては、今後も引き続き市町村に対しまして太陽光発電設備の導入を積極的に働きかけてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再質問を許します。
 19番尾崎太郎君。
○尾崎太郎君 底を打ったという見方もあるんですが、私は、一時的に各国が経済対策をとりましてカンフル剤を注入している状況で、全くこれは予断を許さない状況である、そんなふうに考えております。
 それは大きな世界経済のことでありますから、我々和歌山県がどうこうできる問題ではないかもしれませんが、しかし、我々は和歌山県政に携わる者としてできることはやっぱりやっていかなければいけないわけでありまして、その一環は、こういうふうに民需が落ち込んだときには、できるだけ官需を出して県経済に刺激を与えていく。そして、それに要望させていただきたいのは、その際、できる限り和歌山県の業者に仕事を回していけるようなさらなるよい入札制度をつくっていくという努力をあわせてお願いしたい。
 制度のみならず、いろんな努力目標なんかを最近は掲げていただいて、それが有効に作用しているようにも思います。今後とも、その辺のところを県土整備部長もよくよく勘案をしていただきたいなと、これは要望しておきます。
 それに伴って、今、太陽光発電、県下の県立学校17校、それから市町村で38校導入をしていただきました。
 こういう補正でどんと積んでくれたんですけれども、こういう社会的にも意義があって、なおかつ教育的にも非常に大きな目的を達成できる、そして国民の皆さん方からも支持を得られることが確実な予算については、積極的にこれをとりにいってほしいなと思っておりました。
 私、途中で、「こんな導入どうなってますか」とお聞きしたときに、ある市町村については余りとりにいってないようなところが見受けられまして、「これ何で」というふうに聞きに行ったことがあるんです。そうすると、設計が間に合わんとか、そういう理由でありましたけれども、せっかくそれだけのお金──これ、補助率が非常に高いですから、ほとんど地元負担率がないわけでありまして、こういう予算があれば目を光らしてばっととりに行っていただく。教育委員会も、もっともっと働きかけていただいて、どんどんと和歌山にそういう意味のあるお金についてはとってきていただきたいなと、そのように思います。
 それから、栄養教諭。この意義については教育長もよく把握されていることと思いますが、今御答弁をいただきましたところによると10名配置をしていただいているようであります。
 この10名というのが多いか少ないかということについては、いろんな意見がありまして、全国的な数字を見ますと、必ずしも多いとも言えない。私は、もうちょっとこれをふやしていただいてもいいのではないかと思うんですが、恐らく教育長も内心ではそういうふうに思っておられるのかもしれませんが、これは財政との兼ね合いがございまして、いろいろと御配慮をされているのかもしれません。しかし、財政的事情が許すならば、食育というのは極めて子供たちにとって大切なものでありますから、ぜひこの増員をお考えいただければと思っております。
 以上要望して、質問を終わります。
○議長(冨安民浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で尾崎太郎君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 42番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 通告に従い、早速一般質問に入らせていただきます。
 まず初めに、今議会の補正予算案に盛り込まれております県立射撃場建設計画について、以下3点にわたって知事に質問をさせていただきます。
 ここ3回の県議会で、国体施設としてクレー射撃場建設を求める提案や、また鳥獣被害対策として射撃場建設の提案が繰り返されてきました。
 これまで県は、国体施設については既存施設の活用を基本としながら、県の施設は県が、市町村の施設は市町村が整備し、困難なものは県外施設を活用するという基本方針で競技団体等とも相談を進めてきました。また、知事は6月議会の答弁で、射撃場建設を求める提案に対して、施設の必要性に加えて財源や運営コスト面、地元が賛成をするかどうかなどの幾つかの条件を挙げ、これらは全部必要条件で1つでも欠けると難しい、そしてまた、それらが全部かなえられるならば検討に値するとの答弁をされたわけです。
 このように、かなり慎重にこの問題に対応してこられたと思いますが、その6月議会が終わるころに知事は一気にこの射撃場建設を決意し、市町村ではなく県が施設を建設すること、そして鳥獣被害対策の射撃訓練場として建設をし、行く行く国体施設としても活用するという方法を決断し、今議会での補正予算提案となりました。
 第1の質問として、県立射撃場建設計画の決断に至った経緯と理由をお示しいただきたいと思います。
 次に、県立射撃場計画の中身について、具体的にお尋ねをしたいと思います。
 補正予算案では、事業費5億5000万円が計上をされていますが、県は一体どのような規模の射撃場を建設し、どうやって維持管理をするつもりなのでしょうか。担当課に予算説明を求めましたが、これから設計にかかるということで、議会には具体的なビジョンも試算も一切示されていないという今現状です。
 知事は、補正予算案を説明した記者会見で、関係者の話として、「うまくやればもうかると聞いている」と、随分気楽な見通しを示されました。一体、施設の規模や利用見込み、維持管理のコストと運営方法はどう検討されたのでしょうか。
 私が指摘したいのは、射撃場における銃弾の鉛による環境汚染対策、いわゆる鉛害対策はとりわけ重要な課題だということです。全国各地で県営射撃場が使用中止や廃止となる事例が重なり、環境省も対策ガイドラインを示すなど、全国的にもこの10年間、問題になっているこの鉛害対策をどうクリアする計画なのでしょうか。
 加えて、谷を埋め立てた造成地への建設ということで、この災害対策は万全なのでしょうか。
 これら、知事が射撃場を建設するという点で、その際の条件としたもの、クリアすべき前提条件についてどうなったのか、2点目に御答弁を願います。
 この際、全国的な射撃場をめぐる状況を紹介申し上げますと、千葉県の県立射撃場は水路から環境基準の7倍の鉛が検出されました。ここでは、年間で200万発、重さにして約48トンの散弾が使用されます。そのうちのかなりの量が施設外の周辺森林にも飛散していたとのことで、使用中止、閉鎖をして、今、鉛弾の除去作業中となっています。このようなケースが各地に見られます。
 また一方で、今度は神奈川県の県立射撃場は、県教委が調査をした結果、環境基準を超える土壌が2万8000立方メートルに達することが判明をしました。この射撃場では、年間3万人が利用し、推定でこれまで1400トンの鉛が射撃場内と周辺山林に発射された計算だと報道をされています。20億円かけてこの4万9800トンの土壌を搬出し、秋田県まで運んでいって処理をいたしました。その後、閉鎖するか再開するかということで専門の検討委員会で議論をしたそうです。閉鎖をするとしても、土どめなどもし、排水管理対策をするのに7億円かかると、鉛害対策をして再開する、これにも10億円かかると、こういう選択を迫られて、ここでは10億円の対策工事をすることを選択し、来年4月から再開をする予定だそうです。
 また、ほかのケースでは、山梨県の県立射撃場、ここではゴルフ場の建設計画が中止になって、市に寄附をされた土地に15億円をかけて建設する計画だそうです。県は、既に建設計画を予算化しておりますが、地域から反対が出てきて、いまだに決着はつかず、計画は難航しているという報道です。
 次は、2007年の秋田国体で使用した秋田県立射撃場も、環境基準を超える数値が出たため、今年度から閉鎖中というふうに表示をされています。
 和歌山県の近隣府県では、京都府営射撃場が5年前から休止し、10億円かけて鉛を回収して、再開の目途は白紙状態と。徳島県営射撃場は、4億円かけて改修した後に、3年前に廃止。姫路の射撃場は、土地契約の更新ができないので、この9月末で廃止という状況だそうです。
 和歌山県内では、さきの和歌山国体で建設をいたしました海南市の射撃場でも鉛対策が必要となり、5年前に約3200万円かけて鉛害対策をしましたが、そのうち800万円を県が負担、残り2400万円は県体育協会が負担をし、今も借金を返済しているようです。
 私は、調べれば調べるほど、これは無理して建設して本当に大丈夫なのだろうかという率直な感想を持ちました。
 射撃場をめぐるこの困難な状況が多い中、先ほど紹介いたしました神奈川県の検討委員会は、射撃場再開の条件としまして、すべての銃弾を回収できるようなそういう施設につくり変えること、それから、スチール弾など環境への影響が少ない代替弾の使用を原則として、競技ルールから鉛弾を使用しなければならない場合のみ例外的に認める、こういったことを再開の条件として答申をしております。
 この鉛の銃弾の問題ですが、鉛弾からの転換が進まない理由として、鉛の弾のほうが鉄の弾より比重が重くて破壊力があることや、タングステンなど非鉄金属弾というのも最近はあるんですが、これは比重が重くても大変高価であるために普及が進みにくいということであります。
 しかし、スポーツ競技としても、また狩猟という面や有害駆除の面でも、いつまでも鉛弾を使いっ放し、打ちっ放しにできる時代ではありません。
 デンマークではラムサール条約登録湿地での鉛弾使用が禁止され、アメリカでは水鳥などの猟で全面的に鉛散弾の使用が禁止されていて、日本でも、既に北海道ではライフルも散弾も鉛弾は環境の面から全面禁止だそうです。競技ルールを見ても、北欧では既にクレー射撃公式競技でも鉄の散弾が使用されています。
 こういった流れの中で、環境省が示したこの鉛対策のガイドライン、私、見せていただきましたが、事細かにこの対策が例示をされまして、例えば場内を舗装するときでも、水たまりができては鉛が溶け出すから水たまりができないようにと、そういうこととか、斜面に、のり面にコンクリートを吹きつけるときも亀裂が生じないように維持修繕が求められておりますし、水処理のプラントや、またろ過装置なども例示をされておりまして、これ、ランニングコストはかなりのものだなと感じました。
 これらの対策がどの程度まで今回の予算案、今回の計画に盛り込まれているのでしょうか。いろいろ全部やろうとすれば5億円で足りなくなって追加予算が要ってくるんじゃないか、また一方で、形だけやっても実際に防ぎ切れるのだろうかなどの疑問が出てくるわけです。
 このように、県立の射撃場建設計画に際しては、県民や専門家との間での十分な議論や検討、また規模や内容、予算についても議会での慎重な審議が必要だと考えますが、何しろ予算案の可否を判断する際に、その審議にたえる判断材料が議会にも県民にも示されていないのではないでしょうか。答弁では、これらの前提条件をどうクリアする計画なのかということをしっかりとお答え願いたいと思います。
 3点目の質問といたしまして、県立射撃場建設計画の説明責任と住民合意についてお尋ねをいたします。
 建設計画予定地となっている湯浅町の山田山は、過去にゴルフ場の大型乱開発計画で町民も町政も大混乱したところです。ゴルフ場計画への地元同意として区長さんの印鑑を押した書類が先行し、山田区民、湯浅町民が後で大変な苦労をした過去があります。結局、ゴルフ場開発は頓挫をいたしましたが、山田山には乱開発のつめ跡が残り、町当局を初め町民、県民の手によって自然回復と活用の努力が地道に続けられてきたところであります。
 このような経過のあったところであるだけに、「建設するということで国から予算とってきました」と、こういうトップダウンの決定ではなく、地元住民が納得も合意もできるような説明責任を、この建物を建てる県自身が果たすべきではないでしょうか。計画の全容も知らされないままに同意の印鑑だけを迫られるようなことを繰り返してはなりません。山田山の歴史を踏まえるならば、きちんと順序と段階を踏むべきです。調査もし、計画素案を住民に示し、住民合意を得た上で本体予算案を議会に諮るべきであったと考えます。
 私は、この間、地元山田区の住民の方々に射撃場建設計画への御意見を伺いに回らせていただきました。鉛害対策や災害対策などの不安点を挙げられる方、また、「大丈夫だろう」と、そういうふうに理解を示される方や活性化に期待する方など、まさに半々に分かれている状況です。また、「国体まではお客も来るんだろうが、それ以降はどうなるんだろうか」という、その後の心配をする声も多く聞きました。また、広く町民の中では、山田山の自然回復に取り組んでこられた住民の方々を初め、寝耳に水という方がほとんどです。
 知事、今問題なのは、この地元の区民や町民、県民に何の具体的な説明もなく、住民の判断材料がないままに、「もう県がつくると決まって、予算もつくらしいで」と建設計画が進んでいるということです。知事は、一番大事なこの地元同意という条件をどう考えておられるのか。既に地元同意は得ていると考えているのでしょうか。
 以上、大きく3点、知事に御答弁を願います。
 次に、2つ目の柱として鳥獣害対策について質問をさせていただきます。
 以下4点、農林水産部長より御答弁願います。
 有田地方では、イノシシ被害とともに、シカの被害、猿の被害が件数やその地域ともに急拡大しているというふうに悲鳴が上がっています。
 配付資料には、有田地方の最近の有害捕獲実績と狩猟期の捕獲頭数を、これを合わせて見られるようにまとめたものをお配りしておりますが、数字を見れば一目瞭然だというふうに思います。
 まず、第1の質問として、県はイノシシとともに、近年のシカ・猿の鳥獣被害と有害捕獲の実態をどう把握し対応しているのか、答弁を求めます。
 次に、昨年9月議会で私は、国の鳥獣被害防止特別措置法、これに基づき野生動物の生態保護に十分努めながら、被害対策として積極的に事業化を促進するように求めたところです。
 この国事業は、市町村の協議会が主体となって地域に合った対策に取り組める事業であり、国や県の事業に合うように対策するという受け身ではなくて、実情に合った対策事業ができる財源として私は重視したわけです。
 国の事業化2年目となるわけですが、県内市町村の協議会や広域での地域協議会の事業化の状況はどう進んだのか、お示しください。
 続いて、有田圏域での広域的猿対策についてお伺いをいたします。
 猿対策の広域的対応を私はこれまでも何度となく提案してきたわけですが、昨年からことしにかけて、被害に耐えかねた地元の住民が県の補助事業を活用して猿の捕獲おり、これを有田川町では吉原地区と修理川地区の2カ所、湯浅町の青木地区でこれも2カ所、広川町でも柳瀬地区と唐尾地区で2カ所、こういうふうに設置をいたしました。先日、有田川町の2カ所の捕獲おりを御案内いただいて、御苦労いただいている状況もお聞きしてきたんですが、既に来年度予算に向けてこの要望も複数箇所から出てきているそうであります。
 この有田地方での猿対策を考えるとき、山田山を中心にした湯浅町、広川町、有田川町、この転々と移動する猿を全体の視点として、1つの固まりとして見る、そういうことがかぎとなります。市町村任せにしてしまっては、どうしても自分の担当のエリアからほかに移れば「やれやれ」と、イタチごっこになりかねないわけで、住民自身の取り組みもこんなふうに今広がってきている中ですから、広域で連携して取り組む必要性が高まっていると考えます。有田圏域での広域的猿対策について県はどう取り組むのか、御答弁を願います。
 4点目に、県単独事業である鳥獣害対策事業の拡充について伺います。
 県単事業の防護さく、これは1メートル当たりの単価が900円で設定をされているんですね。イノシシ用の低いメッシュさくや、それから電気さくであれば、この900円で十分間に合うんですが、近年のシカの被害にも対応するために少し背の高いメッシュさくをつけようとすれば、1200円程度、1メートル当たりかかると言われています。
 県が3分の1、町が3分の1、地元が3分の1というこの補助事業ということで地域で事業を計画しても、設定単価というのは900円が限度になりますから、結局、県300円、町300円しか出ないので、残りの地元負担が600円になってしまって「約束が違う」という声が出るようです。
 今後は、こういったシカ対策も兼ねたさくも必要なところがふえてくるでしょうから、設定単価の引き上げや何種類かの単価設定をするなど、メニューの充実というのが要望されています。
 このほかにも、今年度の予算枠は要望が多くてすぐにいっぱいになってしまったことから、事業費の増額を求める要望、補助率アップの要望などを地域住民や市町村の担当職員からお聞きしました。県民の切実な声にこたえて、今後とも一層この鳥獣害対策事業を拡充すべきではないかと考えますが、御答弁を願います。
 さて、最後の3つ目の柱といたしまして、道路の災害対策と維持管理について質問をさせていただきます。
 去る9月1日、突然国道480号が有田川町清水地内で、片側車線が崩落する災害が起こりました。配付資料に現場の写真を載せておりますので、ごらんをいただきたいというふうに思います。
 有田川の流れがぶつかることによって、道路のコンクリート壁の根元が掘り込まれた。このことによって崩落したという報告を受けております。幸いにして崩落に巻き込まれた通行車両や歩行者がなく、目の前で崩落を確認した地元の皆さんが適切な対応をしていただいたなど、関係する人的被害がなかったことは、本当に不幸中の幸いであったと思います。一日も早い復旧対策を求めるものであります。
 私も現場に足を運びましたが、想像以上の大きな亀裂に驚くとともに、なぜこんな災害が起きたのかという思いがしてなりませんでした。早速近所の住民の方にお話を伺うと、「陥没していた舗装を最近県にやり直してもらったばっかりや」と、「川底が掘れてるでという話が以前からもあって県にも伝えていた」、「県の工事や管理はどうだったのか」などの声をお聞きいたしました。
 そこで、以下3点を県土整備部長にお尋ねをいたします。
 崩落後、これまで台風や大雨が奇跡的になかったことが幸いしましたが、台風14号も気になります。台風による大雨が来れば、残った片側車線も流出しかねない2次被害の危険がある状況です。大雨が予想される事態となれば、緊急の応急対策をするよう求めるとともに、完全復旧に向けて一日も早い工事開始と完成を求めるものですが、今回の国道崩落災害について、災害の原因分析と今後の復旧スケジュールをお示しください。
 また、2年前の補修工事の際、河川によるこの基礎部分の掘れ込みを調査していたのかどうかも明らかにしていただきたいと思います。
 2点目に、県内にはこのような道路と河川が並行して、そして川の流れが当たっている、こういうところは数多く存在をいたします。今回のような災害を未然に防止するために、今後どう対応するのかもお答えください。
 3点目に、こういった災害を防ぎ、安全な通行を保障するために大切な道路維持管理のあり方について伺います。
 近年、和歌山県では、道路予算に占める国直轄負担金の割合が年々ふえてきて財政負担が大きいと指摘をしてまいりましたが、道路維持管理の予算のほうは、延長路線が年々ふえ、管理する対象もコストもふえているのに、総額は抑制傾向が続いてきました。
 無駄な大型公共事業を見直し、こういった維持管理の事業量を適切に確保することは、大変重要な意味を持っていると思います。道路という社会資本を大切に有効利用し、安全な通行を保障する生活に密着した公共事業です。
 また、これは地元業者にとっても、下請ではなく県から直接発注を受けられると、そういう事業であるという点では、地元経済効果も大変高いのです。県として、道路維持管理予算に対する考え方と今後の方向について答弁を願います。
 以上で、第1回目の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県立射撃場建設計画ということでございます。
 この問題につきましては、一番初めは国体のクレー射撃をどこでやるかというようなことから始まっております。
 これについては、一昨年でございますか、原案を出したときには、なかなか建設をするのは大変なので各市町村とも余り乗り気ではありませんでしたので、したがって県外で実施してはどうかという意見を原案としては提出しました。クレー協会等々からは、それはのめないということでございましたので、ペンディングになっておりました。ほかにもあと2つぐらいペンディングがあるんですが、数少ない未決定部分であったわけであります。
 ただ、そのときから、推進をしたいという方がおっしゃっていた、例えば地元の雇用になるとか、先ほど松坂議員が指摘されましたように各地域で旧型のクレー射撃場がどんどん減っている状況であります。そうすると、供給と需要の関係によって、これが意外と地域おこしになるんじゃないかとか、そういうような議論がありまして、できれば県内でやるのが一番いいわけですから、そういう意味で推進をするほうの御意見も理屈があるというふうに思ったわけでございます。
 そうしておりましたところ、国のほうで予算措置をしようという動きもありました。その国のほうの予算措置というのは、実は松坂議員が今御指摘にあって、ぜひ熱心に進めるべきだとおっしゃった鳥獣被害の問題に絡むところなんでございます。スポーツということではなくてですね。
 実は、鳥獣被害については国も危機意識を持っているし、それから和歌山県は、特に私などは危機意識を持っております。記者会見で、「あなたは鳥獣知事か」とか何か嫌味を言われたぐらい、矢継ぎ早にできることはどんどん対策を打ってまいりました。ただ、鳥獣被害がどんどん拡大しているにもかかわらず、狩猟をする人、この方々がどんどん高齢化して、それで後進の育成がなかなかままならないというような議論も一方であるわけでございます。
 したがって、後進の育成と、あるいは未熟な人が鉄砲を撃ってはいけませんので練習をするというようなことも大事であるということから、これはだんだんと条件が整ってきたなというふうに思いました。その条件というのは、国からの補助金の活用であり、地元市町村が応分の負担をしてくださること、それから住民は市町村がきちんと同意を取りつけてくれること、それから、県に後年度負担が生じるとまずうございますので、これは採算に合うと言っておられる人を中心にして自分たちできちんと運営をしてくださること、こういうことが必要であって、このうち1つでも欠けるとなかなか難しいということを先ほどの6月議会で申し上げたところは、松坂議員指摘のとおりであります。この点については、いささかも変わっておりません。
 ただ、国の補正予算において、先ほど申し上げましたように、鳥獣害防止総合対策事業のメニューとして新たな射撃訓練施設が追加され、補助金の確保に一定のめどがついております。
 それから、幾つかの市町村と協議を進めてきたところ、湯浅町から用地の無償提供をすると、それから地元同意については責任を持って対応するという申し出がありましたので、この条件もめどとしては一応ついております。
 それから、運営主体についても、関係者と協議をして、実射訓練や技術講習会、競技会等での利用が見込まれ、十分採算に見合うものという見解から、前向きな姿勢を示していただいております。
 こういうような全部の条件について、一応めどが整いましたので、今議会に補正予算をお願いしたものでございます。
 今後はどういうことをするかということなんでございますが──もう1つ、忘れましたが、先ほど御指摘のありました鉛対策または災害対策、これによる被害を出さないということが、これはもう前提でありますので、最近の射撃場については、そういうような備えをしたものだけができ上がっていくという状況になっています。そのようにしなかったものについては、先ほど松坂議員がおっしゃったように、改造するとかあるいは廃止をするとか、そういうことになっているわけでございます。
 その上で、これまで申し上げました各条件を本当に詳細まで詰めていったときに、それでいけるかどうか、これを今後しないといかんわけであります。しかし、これをやるに当たっては、予算のめどがついてないと──国のめどはついておりますが──県のめどがついてないとそういうことはできませんので、我々に予算を、うまくいけば執行する権限を議会として与えていただきたい、そういうふうにお願い申し上げまして、今回上程している次第でございます。
 我々のあらあらの試算によれば、土地代を除いて約5億円で施設は完成する見込みであります。もちろん、災害対策、鉛対策を備えたものでございます。
 土地代につきましては、さらに負担がありますが、これについては湯浅町が無償で提供するということになっております。私も現地を見てまいりましたけれども、一見したところ、私は素人ですから、必ずしも権威があるわけではありませんが、私の、ただの行政官として見たところ、一応条件は整っているような感じがいたしました。
 それから、現地で案内をしてくれたり、ぜひ頼むと言ってくださった湯浅町の関係の方々などは、これによって、ほかになかなか産業というようなものがない湯浅町においては、例えば大会などが開かれたら大勢の人が来てくれて、それで宿泊施設などに泊まってくれるかなあとか、そういうような若干の希望といいますか、夢というか、そういうこともまた抱いておられるようなことをお聞きいたしました。
 今後、その設計の予算を議会で認めていただきましたら、設計をいたしまして、その条件をまた提示し、これで最終的に市町村としては大丈夫かどうか、それからその予算の範囲内にはまるかどうか、そういうようなことをきっちりと今度は実施の段階でやっていく、これはほかの水泳場とか、それから県営体育館というようなものと同じでございます。
 一部、この間の議会と少し変えたところがありますが、それは一応の建設主体を、県のお金をつぎ込んで建設主体を市町村にするというふうに思っておったんですが──これはなぜかというと、鳥獣害対策は市町村が主体的に取り組むという特措法の趣旨からでございます。鳥獣害被害が拡大し、利用者が県下全域に及んでおります。また、国体のクレー射撃にも使えるというようなこと、あるいは市町村の財政事情がとても悪いということも勘案して、施設整備については県で行い、土地は提供していただこう、そういうことを現在考えておりまして、これが適当と判断しているところでございます。
 地元への説明につきましては、町が主体的に行っていただかなければならないし、それが条件であります。ただ、県といたしましても、設置者としてこれから設計をし、その情報を提供していくというようなことをしまして、地元への説明等に際しましても町と協力をいたしまして進めてまいりたい、そんなふうに考えているところでございます。
○議長(冨安民浩君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 鳥獣害対策につきます4点につきまして、まとめて一括してお答えをさしていただきたいと思います。
 まず、イノシシ、シカ、猿の有害駆除の状況につきましてでございますが、猟友会を初め関係者の努力等にもよりまして、その捕獲数は年々増加をいたしてございます。平成20年度には5000頭を超えるということで実績が上がってございますが、農作物の被害につきましては、ここ数年3億円前後で横ばいということで推移をしている状況にございます。
 こうした中で、県といたしましては、防護さく、捕獲おりの設置あるいは有害駆除への捕獲への助成等について充実強化を図るとともに、猟期の延長やくくりわなの規制緩和など、きめ細かな対策に取り組んでいるところでございます。
 次に、国の特措法に基づきます鳥獣害防止総合対策事業を実施をしてございます市町村協議会、これにつきましては、昨年より5協議会増加をして現在10協議会となってございまして、雑木林等の刈り払いによる緩衝帯の設置あるいはモンキードッグの育成などに取り組んでございます。
 一方、市町村の枠、域を超える地域の協議会につきましては、現在、振興局単位に7協議会が設置いたしてございまして、鳥獣害防止施設の展示や研修会の開催等を行ってございますが、今後、より効率的な事業展開ができるように県としても積極的に支援をしてまいりたいと考えてございます。
 また、広域的な猿対策についてでございますが、猿の行動パターンといいますか、その行動域からいたしまして非常に難しい面があるというふうに考えてございまして、現在、改めて県下で猿の生息調査を実施して、生息マップの作成ということに取り組んでいるところでございます。
 今後、この調査結果も踏まえながら、市町村の主体的な取り組みを支援いたしますとともに、地域の協議会との連携を図りまして、捕獲、防護の両面から総合的かつ効果的な対策を実施してまいりたいと思ってございます。
 最後に、県単の鳥獣害防止対策事業についてでございますが、中山間地域を中心といたしました被害の実態から見まして、その対策は喫緊の課題であります。そういう中で、県といたしましては、厳しい財政事情の中ではありますが、市町村等の意向も伺いながら、地域の実態に即した効果的な事業の実施ができるよう適切に対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 国道480号清水地内の崩落災害についてでございますが、路側擁壁の崩壊の原因につきましては、擁壁下面が河川により深く洗掘され、内部の土砂が吸い出され流出したものと判断しております。
 県では、9月1日の被災後、直ちにバリケード等の安全対策を実施し、片側交互交通といたしました。それとあわせ、被災状況を調査し、測量設計を実施するとともに、台風に備え、大型土のうの製作を行っているところでございます。今後、早期に工事を実施し、年内の復旧を予定しております。
 また、今回の崩壊箇所につきましては、2年前の平成19年6月に県の通常パトロールで舗装面に沈み込み、ひび割れを確認し、直ちに舗装補修工事を実施しております。その工事の際に擁壁下面に多少の洗掘は認めましたものの、道路本体は安定した状態であると判断し、舗装工事を行ったものでございます。
 それから、同様の災害に対します未然防止策についてでございますが、河川の流れが道路に当たる今回の災害と似たような箇所につきましては、今後、入念なパトロールを行って、舗装面に沈み込みとかひび割れ等の異常が認められます場合には、河川への土砂の吸い出しの可能性も想定した調査を行って、必要に応じ河川への根固め工を実施するなど、住民の方々の安全・安心を確保するため、一層注意を払ってまいりたいと思います。
 それから3つ目、道路維持管理の位置づけについてでございますが、県におきましては、道路の機能を保持するため、日常のパトロールや点検により道路の状況を的確に把握し、効率的で効果的な維持補修を適宜実施するよう努めております。また、限られた財源の中で、初期段階での手当てや予防的な補修・修繕方法を採用することで中長期的な維持管理費の総額の縮減や施設の長寿命化を図るなど、効率的な維持管理を行うことが重要だと考えております。
 道路整備が著しくおくれました本県にとって、幹線道路の整備が重要であることは言うまでもありませんが、それとあわせ、今後増大することが予想されます維持管理予算の確保にも努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再質問を許します。
 42番松坂英樹君。
○松坂英樹君 御答弁をいただきました。知事と、それから県土整備部長にそれぞれ再質問をさせていただきたいと思います。
 まず、県の射撃場建設計画ですが、1つ目の再質問は、知事にこの前提条件の問題で質問いたします。
 考えられるハードルをどうクリアしていくのかというふうに私が具体的に聞いたのに対し、知事からは条件はほぼ整ってきたという見解を示されましたものの、中身を見れば、この維持コストや運営の面では関係者の聞いている話ということで、県がみずから試算をしてみたということもこれからやという話だというふうに思います。
 そして、鉛害対策ということも、これは前提条件ですと、しっかりやりますと言うけれども、概要は、具体的に何までやるんかと、どこまでやるんかということはこれからだということでして、具体的な中身をお聞きすることはできませんでした。今の段階で一定のめどがついたのは国のお金だけかもしれません。
 知事がおっしゃったように、これがもし無理して国の補正に乗っていこうという話でなければ、水泳場や体育館と違って、この山田はいろんな、先ほど申し上げたような経過のあるところですから、第1問でお話をしたように、まず調査費をつけて、概要を説明をして、住民の方にも見ていただき、また競技団体とか猟友会の皆さんの意見も聞いて、十分な地元同意を得た上で、これでいこうということになれば本体工事の予算計上というふうに進むんだったというふうに思うんですね。でも、今回は、知事、先ほど、そういう条件、うまくいけば執行する権限を与えてほしいということですというふうに答弁されましたけども、そういうことになっているんだと思います。
 そこで、再質問で確認をしたいんですが、幾つかの越えなければならないハードルや条件をクリアできたから建設計画を決定したというんじゃなくて、これから1つ1つハードルを越えていく、具体的に条件を満たすように詰めていくということでとらしていただいてよろしいんですね。御答弁を願いたいと思います。
 次に、2つ目の知事への質問は住民合意の問題です。
 湯浅町が誘致に手を挙げたんだから、住民合意は町のほうで主になってやってもらうという趣旨の答弁、県は情報提供して町に協力をしていくという趣旨の答弁だったと思うんですが、これはどうかというふうに思うんですね。
 この射撃場建設計画に対する住民合意のかぎは、鉛害対策などいろんな不安にどうこたえていくかと、説明責任を果たして信頼関係を築き、どう理解と納得を得るのかということに尽きるというふうに思うんです。ですから、施設がどんなものになるか、どう対応、運営するのか、先々どうなるのか、こういう中身が実は大切であり、その意味では、設置者である県が主体的に説明責任を果たす、町はその窓口となって一緒にやる、このことが求められているんじゃないでしょうか。
 町が手を挙げたんだから責任持ってやってよというのではだめだと私は思うんです。町が、その計画の中身抜きの合意を迫ってしまうことになってしまえば、例えば地域の中で、先ほどもお話があったように、施設ができたらお金も落ちて活性化につながるから賛成してよとか、早よ合意せなよその町にとられるらしいでと、早よ判こ押してよともなりかねないと私心配しております。これでは、ゴルフ場開発のときと変わらないことになってしまうんです。
 確認をさせていただきますが、基本設計ができ上がり次第、これをもって住民説明に入っていくというふうに聞いておりますから、住民合意はこれからだということで、先ほど知事もあったと思いますが、よろしいですね。
 それから、私は県が主体的に説明責任を果たして住民合意を得るという姿勢にならないといけないというふうに考えますが、そこはどうなんでしょうか。再度答弁を求めます。
 それから、国道の崩壊の問題で県土整備部長に再質問をいたします。
 部長の答弁お聞きしていまして、やはり説明的なことの答弁だというふうに思うんですね。今回の災害へのとらえ方、県の対応、どうかというふうに思うんです。
 私自身も県議として、今回の崩壊箇所が、住民の方から「危ないで」と、「ひび入ってるで」、「底掘れてるで」という声があったということなのに、災害を防ぐことができなかった。申しわけないなと、もっとそういう地域の声をつぶさに聞いて伝えんといかんなという、そのみずからの不十分さを反省しています。
 ところが、部長の今の答弁を聞いてますと、「当時ちゃんと調べましたよ」と、「ちゃんと直しましたよ」と、「これからもちゃんとやりますよ」と、こういうふうに聞こえて、何か人ごとなんですね。もっと素朴に反省といいますか、道路管理者として、技術屋として、とても残念だと、悔しいという気持ちはないんでしょうか。今から思えば、下の掘れぐあい、もっと継続して追っかけて見とけばよかったなと、そういうふうに思わないんでしょうかね。答弁には、「県に非はないんです」という言い方に、私、聞こえるんです。県民の皆さんに、えらい悪かったなあとかというふうに思わんのでしょうかね。
 今回の災害を防げなかったことへの率直な思いというか、反省はどうなんでしょうか。再度答弁を求めたいと思います。
 以上です。
○議長(冨安民浩君) 再質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 2つ御質問がありましたので、第1の点については、「そうです」ということでございます。
 第2の点については、これから御答弁申し上げますが、先ほど申し上げましたように、地元の同意については市町村で主体的に取り組んでいただくということで、その前提で「来てください」ということを湯浅町からいただいておりますので、そのレベルにおいて、今は地元の同意というか、同意というよりもむしろ「来てください」、そういう意思表示をいただいているということです。
 もちろん、その中身については、例えば「ええ、そんなんだったのか」というようなことでは困りますので、今後、設置者として設計などをどんどんやっていって、そのたびごとに「こんなんでいいですね」ということを町のほうに言うていかないかんと思います。もちろん、町もいろんなおぜん立てをして、我々も当然出席して、それで「こういう設計なんございまして、こういう点は、例えば鉛の害なんかは配慮してます」とか、そういうことをちゃんと説明をして、その上で皆さんに御納得いただくということにしないといかんと思います。
 ただ、御納得いただくときの、例えば取りまとめとか、そういうのはやっぱり町がきちんとやっていただかないと、なかなか県としても遠うございますので、そういうことを申し上げている次第でございます。
○議長(冨安民浩君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) お答えいたします。
 平成19年度に、先ほども申し上げましたが、舗装面にひび割れ、沈み込みを見つけて、擁壁の下面に多少の洗掘は認め、今回のような大きな崩壊にはつながらないと当時判断し、舗装の補修を行いました。
 しかしながら、それから2年たって、ことしの9月1日に河川によります洗掘が原因と考えられる擁壁の崩壊が発生し、住民の皆様に多大な御心配と御不便をおかけしていると深く認識しております。
 2年前のひび割れ、沈み込みが起こったことと今回の現象との因果関係は不明ですが、今回の事案の重大性を深く受けとめて、今後はさらに入念なパトロールを行うとともに、住民の皆様方から寄せられる情報等も参考にして、少しでも異常が認められれば、土質工学、河川工学、そういった知識も総動員して原因の究明や適切な対策を実施して、住民の皆様の安全・安心の確保に努めていきたいと思っております。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再々質問を許します。
 42番松坂英樹君。
○松坂英樹君 御答弁いただきました。
 射撃場についての知事の御答弁は、1点目はそのとおりだと、2点目は、きちんと説明をした上で納得、合意をいただくことになるというお話だったというふうに思います。それが、1回目の答弁のそういうお話だったというふうに思います。
 先日の記者会見での知事の説明や、きょうこの一般質問への知事答弁、これも含めて、町民、県民の皆さんの御意見をお聞きしながら、今後ともこの問題に対応していきたいというふうに思います。
 住民合意なしに進めないということを再度確認し、強く要望しておきたいと思っております。
 それから、県土整備部長の再答弁もいただきました。
 聞いておりますと、因果関係とか、まるで裁判に訴えられた被告の主張のようですね。裁判でもないのに、ふだんからそんな対応をしてたら、県は何なということになると思います。有田川町の当局も、前々から危ないと指摘をされてきたのに県が手だてをしてこなかったと注文をつけておられます。再答弁にもあったように、今回のことをよく検証し、今後に生かしていただきたいというふうに思います。
 いずれにしろ、清水の大動脈ですから、一日も早く復旧をして、安全も信頼も回復いただけるように強く求めまして、以上要望として私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(冨安民浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で松坂英樹君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時37分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(坂本 登君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 41番山下大輔君。
  〔山下大輔君、登壇〕(拍手)
○山下大輔君 皆さん、こんにちは。議会最終日、また張り切って頑張りますのでよろしくお願いいたします。
 先日行われました第45回衆議院選挙、総選挙は、この国の政治に新たなページを加える歴史的にも大きな意義のあるものになったと思います。ここから日本の政治も新たな枠組みで新しいステージに進むこととなり、そこでは、国家、国民のため、よりよい政治が形づくられることを心から望むものです。
 選挙結果は民主党が308議席と、前回の郵政選挙で自民党が大勝して獲得した議席をさらに上回るものとなりました。この結果を見て政治学者の御厨貴さんは、「保守、革新といった政治体制の終えん。そもそも革新の崩壊により、実際的には保守といったもの自体が幻想であり、今は新たな言語象徴の模索が始まっている過程。今回の選挙は、これまで戦後から続いた55年体制の真の意味での崩壊を意味する。今、新たな民主国家日本の着実な歩みが期待される」と指摘されています。
 このような政権交代の実現は、この国の政治にとって、言うまでもなく大きな影響を及ぼすものになりますが、国民にとっても、みずからの意思で政権を交代させた今回の選挙は非常に大きな意味があるものと考えます。
 これまでも制度上は国民が主権者であり、政権交代の可能性はありましたが、しかし、実際に政権交代が行われない中では、みずからの1票の価値を十分に意識することはありませんでした。しかし、今回はその呪縛から解き放たれ、政治を動かす1票の重みを国民の多くが改めて実感したものと思います。この貴重な体験を、今後にも、よりよい政治を生み出す原動力として生かしていかなくてはいけないのだと思います。
 今回の結果を受けて今願うことは、単なる政党間の争いでなく、これが国民にとって大きな成功体験となり、政治への意識が高まり、民主国家としてさらに進展することが期待されます。みずからが投じる1票が政権を変え、社会をよりよい方向に変えていき、そして自分たちの生活も変えることになる。そのためにも、今回の政権交代が一定の成果を上げ、国民にとって本当によかったという認識を持てるようにしなくてはなりません。
 もし、これが逆の結果となり、自分たちの手で実現した政権交代が何の成果も上げられないとなると、それは政治自体への大きな失望につながり、これまで以上に政治への参加意欲を失わせることにもなりかねません。そういった意味からも、今の民主党には大きな責任があり、今回の結果を未来への希望へつなげるためにも、何としても頑張っていかなくてはいけないのだと思います。
 私自身も、昨年、民主党に入党させていただき、その一員として活動させていただく中では、これまで以上に真剣な政治活動を進めていこうと決意を新たにしているところです。そういった思いの中で、今議会も和歌山のさらなる飛躍と発展を心から願い、議長の許可を得て一般質問をさせていただきますので、当局には誠意ある御答弁をお願いいたします。
 それでは、最初の質問として、政権交代から新たな和歌山づくりに向けて。
 このたびの政権交代を受けて、民主党が中心となる連立政権が日本のかじ取りを担っていく中では、この国の形といったものが再考され、そこではこれからの地方のあり方自体も改めて見直されることになります。今後は、国と地方でその関係性を新たに模索する状況が生まれ、そこでは地方からもしっかりと未来を展望した新たな地域ビジョンの発信が期待されます。
 今回の選挙において、民主党はマニフェストとして新たな国づくりを宣言する中で、その5つの柱の1つに「地域主権」を掲げました。
 「地方分権」、「地域主権」といったことは、最近マスコミなどを通じてよく耳にする言葉となり、一般にも知られるようになっていますが、その中身については余り理解が深まっていないように感じます。
 そもそも地方分権、その後に出てきている地域主権とは、どういったもので、どういった意味が込められているのか、そしてなぜ今の日本で必要とされるのか。
 民主党は、今後の日本が目指すべき方向性として、あくまで地方分権よりも地域主権が必要だと訴えています。その上で、地域主権が確立した地方の集合体が国家となるといった考えに立脚して新しい国の形を模索しようとしています。
 地方分権は、あくまで分権、権限を分け与えるという意味であり、そこでは中央である国と地方である自治体との間に上下の関係があり、そういった意味では、これまでの地方分権議論は中央集権体制下の微調整だといった認識があります。
 これからの日本は、地方分権の発想を一歩進めて地域主権国家として、国が内政全般に関与してきた中央集権体制を見直し、国と地方が明確な役割分担のもと、それぞれが独立した権限とみずからの税財源を持ち、地域が自由で独創的な活動をできるようにする新しい国の形を志向するものとなっています。
 私たちの国は、明治維新以降、先進西洋諸国に追いつけ追い越せで、中央集権体制のもと大きな発展をなし遂げてきました。しかし、今日では、東京などの大都市圏だけが繁栄し、地方は押しなべて衰退している現実があります。しかも、唯一繁栄してきた東京圏ですら国際的な地位を低下させ続けています。
 これは、東京で中央官僚が画一的に政策を進めてきた中央集権体制が、高度経済成長を経た今、既に制度疲労を起こしており、国が地方自治体を初め民間活動までも主導する中央集権・官僚統治体制は限界に来ている、現在の仕組みでは、東京一極集中と地域間格差は広がる一方で、地方での取り組みも既に限界が見える状況で、特に親方日の丸、中央集権体制の大きな傘の下でやってきた地方自治体は、自主・自立の気概をなくし、みずから考える意欲さえも失い続け、現在に至っては、地域固有の個性さえも失いつつある状況にあります。
 また、今の体制では受益と負担の関係も見えづらく、国民の目線からは国会、霞ケ関は遠過ぎてチェックも働かず、結果的にはニーズに合わない社会資本整備、効率の悪い公共サービスが生まれ、多くの無駄と膨大な財政赤字を生み出す原因ともなってしまっています。
 こうした問題を解決するためには、小手先の制度改正ではなく、国の形を根本的に変える改革を断行する必要があり、それこそが地域主権、道州制構想であって、それはまた官僚主導の社会経済構造を改める究極の構造改革とも位置づけられています。
 このような大方針のもと、今後は地方も地域の自立、地域経営といった視点で地域戦略を再構築することが迫られ、そこでは、私たちの和歌山も、新たな日本づくりの中で国益にも資する和歌山県発展のビジョンを描き切れるのかが問われるものとなります。
 今、日本全体から地方を見て、新たな発想、これまでの考え方から180度転換することが必要とされています。これからの日本は、人口減少、産業構造の変化などから、日本全体の経済成長によって同じように地方も引っ張られ成長し、よくなっていくといった状況にはなく、大きなひずみが生まれています。そこでは、これまでの発想を180度転換して、まずは地方が元気になることが先決であり、地方分権、地域主権が進められていく中で、地方みずから知恵を絞り、個性を磨き、大いに発展していく、そしてその先に活力ある地方の集合体として国家の発展を実現していくといった青写真が描かれています。
 このように、これまでのパラダイムが大きく変化しようとするときに、和歌山県もその流れをしっかりとつかみつつ、新たな地域戦略の構築が求められます。
 そこでは、これまでの発想は通用しません。これまでの高度経済成長期に地方を発展させた魔法の言葉、三種の神器、高速・空港・新幹線、地方でよく言われた「何々ができれば」といった発想にいつまでもしがみついていては未来はありません。和歌山でも言われ続けた「関空ができれば」「高速が通れば」。しかし、結局何も変わってきませんでした。事実として、逆に衰退し続けています。
 20世紀の成功体験を何となく引きずっていたのでは、地方に明るい希望をもたらすことはできない。その現実を真摯に受けとめ、これまでの反省にしっかりと立って新たな取り組みが求められます。これからは、どことも地方がやっている成功モデルを単にまねするのではなく、まずはみずからが考え、知恵を絞り、他の地域にない魅力を創造し、オンリーワンのブランドを構築していく、ブランドを獲得していく、このことこそが新しい国づくりの中での地方の生き残りの秘訣となります。
 私は、和歌山の未来を必ず明るいものにできると心から信じています。これまでの反省に立ち、地域の個性を磨き上げる真剣な努力ができれば、和歌山には大きな可能性があると信じています。
 半島にあって国土軸から外れていた和歌山にとって、20世紀の工業化が爆発的に進んだ社会は大きなハンディを背負った時代でした。しかし、逆に考えると、この20世紀という時代に乗りおくれたことで、今後、世界的なテーマとなる恵まれた自然、すぐれた環境といったものが残され、これからの21世紀には大きな追い風を受けることができます。そこでは、あくまで大都市を追いかけるまちづくりではなく、逆に大都市との違いを鮮明にして、対立軸をしっかりと打ち立て、地域の特徴ある恵まれた自然環境を徹底して生かした地域づくりのビジョンこそが必要とされるもので、そういった地域の将来像をしっかりと描き切ることができれば、21世紀こそ和歌山の時代になると私は大きな希望を持っています。
 今、地域主権を掲げる民主党中心の連立政権ができ、新たな国づくりを進めようとするこのタイミングは、大きなチャンスのときでもあります。ここで、これまでの国づくりにおいて和歌山が取り残され後回しにされてきたことも、この機会にきちっと清算させて、そこでは地域エゴととられないような形で主張すべきは主張して、和歌山の権利として他地域以上に国からの財源もしっかりと確保し、未来に向かってチャレンジすることが必要です。
 さて、そういった中で、改めて今後の和歌山の地域づくり、新たな方向性などについて知事の御所見を賜りたいと思います。
 まず、知事に今回の政権交代の意義について、地方の立場、首長の立場からどういった感想を持たれたか、率直な御意見をお聞かせ願いたいと思います。
 また、民主党が政権をとり、新たな国づくりを宣言する中で、その5つの柱の1つに地域主権を掲げていますが、その地域主権が実現される意味、その必要性についてどのようにお考えになられるか。改めて知事の御所見を賜りたいと思います。
 また、地域主権を進め、税財源も地方に移していく中で、和歌山の主張として、これまで知事は、公共投資、特に高速道路建設などについて、和歌山の立場は、これまで我慢し続けてきて、やっと順番が回ってきたときに公共投資の削減、高速道路もつくらないといったことでは不公正だといった発言をされてきています。
 確かに私も、何よりも優先してまず高速をつくるかどうかは別にしても、和歌山として、これまで我慢してきた分を改めて要求する立場は、正当に認められるものだと考えます。そこでは、まずどれだけの我慢をしてきたのかを具体的に示し、また今後どの程度の財源を要求していくことに正当性が見出せるのか、改めて表面立てて議論する論理と数字が必要になってくると考えますが、それらについて知事のお考えをできるだけ詳しく、具体的な数値も示してお聞かせいただきたいと思います。
 また、これまでの議会でも、私自身何度か議論してきたことでありますが、今回の政権交代を受けて、いよいよ地方分権、地域主権、道州制といった取り組みも加速される見通しとなる中で、改めて和歌山としてもその準備を真剣に考えるタイミングにあるのだと思います。
 そこで、この質問項目の最後に、知事は、地方分権が進み、地域主権型国家といったものが形づくられていく中で、どうやって和歌山を発展させていくことができると考えておられるのか。そこでは何がこれまで問題だったのか。その反省点も明確にした上で、和歌山発展のビジョン、実現に向けたプロセス、その青写真をどう描かれるのか、お聞かせいただきたいと思います。
 この地域再生のビジョンなくして、今後、日本のどの地域においても、それぞれの首長、知事職などは担えないものと考えますが、御所見を賜りたいと思います。
 続きまして、投票率アップへの取り組み。
 今回の第45回衆議院選挙の投票結果について、総務省は31日、有権者数は1億394万9442人、このうち7201万9655人が投票し、投票率は69.28%だったと発表しています。これは、前回の2005年に行われた総選挙の67.51%より1.77ポイント高く、小選挙区比例代表並立制が導入された96年以降の5回の選挙では過去最高となっています。
 都道府県別に見ると、大分県を除く46都道府県で前回を上回り、最も投票率が高かったのは島根県の78.35%、逆に投票率が最も低かったのは千葉県の64.87%でした。今回の総選挙では、28の道県で70%を超える投票率となっています。
 和歌山県も、小選挙区の投票率は、前回2005年の投票率が上がった郵政選挙よりもさらに2.46ポイント上がって71.7%となり、政権選択のかけ声のもと行われた今回の選挙は、有権者にとっても非常に関心の高いものとなっていたことがうかがえます。
 市町村別では、投票率が最も高かった北山村で87.42%、最も低かったのは岩出市の66.86%となっています。比例区でも、現行制度になって過去最高で、前回より1.81ポイント高い69.27%となっています。
 選挙は民主政治の原点であり、投票率は国民の政治参加の度合いを示すバロメーターです。当然、投票率が高ければ何でもよいといったことではないにしても、しかし1人でも多くの人が投票すれば、それだけ国民の政治参加が進むことは事実です。これからの健全な民主国家として日本によりよい政治が生まれてくるように、また民意が反映される民主政治を守るためにも、より多くの国民が選挙に参加できる取り組みが求められます。
 しかしながら、今、高齢化が進み、特に和歌山では全国に先駆けて御高齢の有権者もふえ続ける状況においては、投票行動の重要性を説くだけでなく、物理的な問題としても、投票できる環境を整えることが今まで以上に必要となってきます。今後は、単純に投票を上げるといっても、さまざまな工夫が必要となります。
 そこで今回は、私自身、選挙期間中、また投票日において、みずから感じた、また他の有権者の方からも御指摘をいただいた点において、投票率を上げるための今後の取り組みについて幾つかの提言と質問をさせていただきたいと思います。
 まず、期日前投票について。
 基本的に、選挙は決められた投票日に指定された投票所において1票を投じることが原則となっていますが、期日前投票制度は、皆様も御存じのように、選挙期日に仕事や旅行などの一定の予定のある方が投票日の前にあらかじめ1票を投じることのできる制度です。
 今回の衆議院選挙では、告示日翌日の8月19日から投票日前日の29日までが期日前投票の期間となっていましたが、この制度を使って投票を済ませた人は県内で何と12万6191人にも上り、これは有権者全体のおよそ15%を占めるものになっています。ちなみに、これは2005年に行われた前回総選挙の1.43倍だったということです。
 選挙区別の投票人数としては、和歌山1区で2万9145人となっており、前回の1.62倍、2区では4万1727人となっていて、これも前回の1.28倍、3区では5万5319人で前回の1.46倍となっています。これは、おととし2007年に行われた直前の国政選挙である参院選と比べても、選挙期間は参議院選挙のほうが5日長いにもかかわらず、今回の衆議院選挙のほうが県全体で30%も投票数がふえ、期日前投票の重要性が増している状況にあります。
 さて、そこで幾つかの提案並びに質問をさせていただくのですが、まず、この期日前投票は有権者にとって投票の利便性を大きく高めるものとなっていると思われますが、選挙管理委員会では、この期日前投票の有効性についてどのように認識されているでしょうか。
 また、この期日前投票所の設置場所について、私としては、もっと便利なところに、数としてもできるだけふやしていく方策を御検討いただきたいと思います。例えば、駅前などの設置で投票行動がさらに加速されるといった他府県の状況もある中では、工夫次第でもっと投票率も上げることができるのではないかと考えます。
 ちなみに、私の選挙区となる和歌山市では和歌山商工会議所と河北コミュニティセンターに期日前投票所が開設されましたが、特に商工会議所では、連日のように多くの有権者が列をつくり、投票した人からも何とか設置場所をふやしてほしいといった要望も受けました。また、その投票時間についても延長するなど、検討する必要があると考えますが、選挙管理委員会委員長から御答弁をお願いしたいと思います。
 また、御高齢者の投票について、現在、和歌山県では他の都道府県以上のスピードで高齢化が進む状況にあります。そういった実態に合わせて、選挙の投票所のあり方自体ももう一度見直すべきときに来ているように感じます。
 御高齢の皆さんにとって、選挙の投票は国民に与えられた権利であるといった考えから、特に高齢者の方ほど投票への意識は高いものとなっています。
 しかしながら、車はもちろんのこと、自転車にも乗れない高齢者の皆さんにとっては投票所にお出かけいただくこと自体が大変な作業となり、一部では自治会長さんや御近所の方などが車に乗せて送り迎えをしている地域も珍しい状況ではありません。
 ちなみに、私の住まいのある和歌山市の紀三井寺団地の投票所にも、そこは国体道路を隔てた浜の宮側の毛見地区住民の皆さんの投票所ともなっていて、毛見地区の御高齢の皆さんにとっては、徒歩で投票に行くには大変な御苦労をおかけすることになっています。
 こういった課題は現状の和歌山県内の多くの投票所でも見られるものであり、今後ますます高齢化が進む和歌山県においては、さまざまな工夫が必要となります。例えば、これまでの投票所の設置場所について、もう一度新たな視点で見直し、できれば投票所の数自体を見直すといったことや、また移動投票所なども検討してもらえればと思います。例えば、バスなどを改造して投票できる空間をつくり、時間と場所を設定し、御高齢の有権者の方が住まわれているより近い場所へ投票できる環境を整備していくといったことなども考えるべきと思います。
 高齢者の方が今後ますますふえていく和歌山県では、投票の権利を守るためにも、投票しやすい環境をどのように確保するか、いま一度御検討をお願いしたいと思いますが、これも選挙管理委員会委員長から御答弁をお願いいたします。
 また、投票済証の発行とその活用について。
 投票済証とは投票に行ったことを証明する証書であり、その活用について、今回の衆議院選挙でも投票率アップを呼びかけ、民間の商店、観光事業者などで応援する取り組みが進みつつあります。
 そもそも投票済証明書の発行については、現行法においては明確な規定はなく、各選管の判断で発行している状況となっています。
 この投票済証の利用については、反対する意見として、特定候補の投票誘導につながる、組織投票の問題点があるなど、さまざまな指摘もありますが、そういった問題点は認識しながらも、しかし、投票率アップにつながる要素も大きいものですので、単にやらない理由を挙げ連ねるのではなく、問題を解決するための知恵を絞りながら積極的な利用を検討していくべきと思います。
 ちなみに、和歌山県では、和歌山市、橋本市、有田市、新宮市、紀の川市、岩出市などを初め紀美野町、かつらぎ町、九度山町、印南町、みなべ町、日高川町などが投票済証を発行しています。
 この投票済証の利用方法としては、マスコミなどでも紹介されていましたが、各事業者、商店街などが選挙セールを企画し、投票済証の提示によって割引するなどし、投票率アップと売り上げアップの一石二鳥をねらうというものになっています。
 ちなみに、こういった取り組みを最初に提案したのは──私も卒業生ですが──元マッキンゼー・アンド・カンパニーのアジア太平洋支局長であり、現在、経営コンサルタントとして活躍されている大前研一さんが主催する一新塾の第6期生、吉金大輔さんが発案者となっています。決して何か政治的な背景があるわけではなく、純粋に投票率の低下する状況を社会問題としてとらえ、その解決策を提案したことが出発点となっています。
 今回の衆議院選挙でも、全国的に有名になった例として、藤田観光が企画した全国キャンペーンでは、選挙の投票済証を持っていくと、フォーシーズンズホテル椿山荘東京、ワシントンホテルチェーン、箱根ホテル、温泉、水族館、レストランなど全国40カ所以上の傘下のホテル、レストラン、レジャー施設で、宿泊料や入場料が最大半額のサービスが受けられるものとなっていました。
 こういった取り組みは、地元の商業振興にもつなげられる可能性があり、県としても地域活性化と投票行動への促進策ともなる有効な手段として、ぜひ積極的な姿勢で取り組んでもらえればと考えます。直接的な支援はすぐには難しいとしても、例えば広報活動などでは応援できる可能性もあると考えますので、ぜひ検討してもらいたいと思います。
 この投票済証を利用した取り組みについて、まず現状の認識と、あわせて地域振興策とをセットにした取り組みの有効性について、どのように考えられるか。また、今後、投票済証を利用した取り組みを行政として積極的に応援していくことを提言いたしますが、これも選挙管理委員会委員長に御答弁をお願いいたします。
 最後に、新型インフルエンザの流行に対する県の対応について。
 今議会では、中議員、奥村議員からも新型インフルエンザに係る貴重な指摘がありましたが、重複する部分は省き、私なりの視点で幾つかの質問、提言をさせていただきますのでよろしくお願いいたします。
 先日、世界保健機関(WHO)は、インフルエンザが流行しやすい秋、冬を迎える北半球各国に対し、新型インフルエンザの世界的な大流行、パンデミックの第2波に向けて準備を整えるよう勧告を出しました。そこでは、感染者がふえる第2波ではさらに多くの人が集中治療を必要とするため、病院が混乱するおそれがあると警告。人工呼吸器などを備えた集中治療室・ICUなどの増設を訴えています。
 アメリカでは、オバマ政権が新型インフルエンザの大流行を予測、今月初めにはセベリウス保健長官は、最大で9万人の犠牲者が出ることを覚悟していると表明。各ニュースメディアには衝撃が走りました。
 ただ、これは、最悪の事態を先に想定しておいて、実際には予想より好転したというポジティブなストーリーを描くアメリカ政府の典型的な対応ということもありますが、しかし、アメリカでも今回のインフルエンザの流行については相当厳しくとらえているのは間違いありません。
 日本でも、先月末、厚生労働省が初めて新型インフルエンザの国内での流行シナリオを公表していますが、それによると、感染者は約2550万人となり、入院患者は約38万人、重症患者は約3万8000人に達するということです。また、1日で受診する患者数は最大約76万人で、入院患者は4万人を超えるものとなり、医療機関も大変厳しい状況に陥る可能性があるとして、診療体制の整備を急ぐとされています。
 さて、そういった中で、和歌山県でも、先日、近畿大学附属和歌山中学・高校で500人近くの集団感染が報告されるなど、いよいよ本格的に危機管理の体制が問われるものとなります。
 そこで、新型インフルエンザの流行に対して、この春に私自身も議会で幾つかの提言をさせていただきましたが、県としてこれまでどういった対応をとってきているのか、また、今後の取り組みでどのようにして県民の皆様の安全・安心を守っていこうとされているのか、幾つかの質問をさせていただきたいと思います。
 まず、現在、既に始まっている新型インフルエンザの流行状況について、和歌山県として今後予測される患者数など、どういった予測を立てられているか。これは、アメリカのようにしっかりと予測値を出して、県民の皆様との情報共有が重要だと考えます。
 また、あわせて、ピーク時における医療機関の対応などについてどういった計画となっているか。また、現時点で県として一番心配されている点、県民の皆様にぜひ持っておいていただきたい心づもりなど、どのように考えておられるか。福祉保健部長から御答弁をいただきたいと思います。
 また、兵庫県、大阪府、それぞれで危機対応時に大きな成果を上げていた専門者会議の取り組みについて、これは和歌山県でも開催することを検討されているでしょうか。もし検討されているならば、開催時期はいつごろとなる予定か。また、そこでの検討項目について、どういった内容を討議し、どういった決定事項を見出そうとされているのか。あわせて福祉保健部長から御答弁願います。
 次に、さきの議会で私自身指摘したように、これからの大流行への和歌山県庁自身の備えとして、BCP(ビジネス・コンティニュイティー・プラン)、事業継続計画について。
 これは住民の生命・財産を守ることを組織目的の第一番に上げる行政機関の使命からしても、急ぎ整備する必要があると提案させていただきましたが、現状の対応状況はどうなっているでしょうか。危機管理監から御答弁をいただきたいと思います。
 また、前回の提言を行うに当たって、私自身、大阪、兵庫を実際に調査して、そこでは本当に貴重な話を聞くことができました。和歌山県としても、他府県での教訓、危機対応の改善ポイントなどを実際に現地で確認し、それを和歌山での取り組みに生かしてもらいたいと提言しましたが、実際に調査には行かれたでしょうか。そこでのケースワークとして、確認されたことについて、これも危機管理監から、今後の和歌山県において生かすべき点としてどういった分析をされているのか御答弁をお願いいたします。
 あわせて、庁内関係課室の連携に係る提言について、これも他府県では大きな成果をおさめた非常に重要な取り組みとなりますが、現時点でどのような対応を検討されているでしょうか。
 最後に、基礎自治体となる市町村間の連携の問題について。
 これも兵庫県で特に強く指摘されていたことですが、いざ有事のときには、危機管理上、当該地域の行政機関同士のスムーズな連携、情報の伝達・収集が重要なものとなります。この行政連携のあり方、現状での進捗状況について、これもあわせて危機管理監からお聞かせ願いたいと思います。
 以上、私の第1問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの山下大輔君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、政権交代についての考えであります。
 この問題につきましては、この議会で何度か答弁をさせていただきましたが、もう一度申し上げますと、今回の政権交代は、多くの有権者が、たび重なる政府側の不祥事に加えて、100年に一度と言われる経済危機への不安感や地域経済の疲弊などによる閉塞感を、政権を交代することで打破できるのではないかというふうに考えた結果であろうと思います。
 国民の多数の支持により発足した政権には、国民はまずは期待と信頼を持って対処しなければならないというふうに考えております。新しい政権には、このような期待にこたえて、官僚任せではなくて、政策的意図を持って日本を再活性化してほしいと思いますけれども、本県のように経済的にも社会的にも閉塞感に悩んできた、取り残されてきた地方の立場からも、地方を大事にする政策をぜひ選択して、重点的に進めてほしいというふうに考えているところであります。
 次に、地域主権の問題であります。
 本件については、私はずっと中央政府の官僚のときからも思い入れがありまして、それで熱心に取り組んでいると自負をしております。
 民主党が、政権公約の中で、国から権限や財源を分け与えてもらうという印象もある地方分権ではなくて、より積極的な印象を与える地方主権の確立を掲げ、地方の自主財源の大幅増などを明記していることを大いに歓迎しております。
 私は、地域主権であれ、地方分権であれ、目標としていることは、地域に住んでいる人がその意欲と知恵と能力、そして地域にある資源を生かして、みずからの決定と責任のもとに地域づくりを行えるような社会を築くことだと考えております。
 そういう意味から、自分で責任を持って決定し、自分でそれを実行するということが多いほうがよろしいということだろうと思います。あくまでも責任を持ってやるということですから、何でも──例えば、予算だけくださいとか、お金だけくださいとか、そういうことではないというふうに思っております。
 確かに、議員御指摘のように、三種の神器で何とかなったという時代ではないわけでありますが、東北自動車道の上に工場がぱかぱかできていくということを──過去のことですけれども──拝見したりしておりますと、やっぱり神器も少なくとも一部、昔は有効であった時代もあるなあというふうに考えます。
 それから、自然環境を生かして独自の地域づくりをする、これはもっともなことでありまして、そのとおりであります。だけど、どのぐらいの戦略を立てればどのぐらいの人口を幸せにできるかというようなことも、また考えておかなきゃいけないことでありまして、そういう意味では全体を見るということも大事だろうと思います。
 一方では、地域でそういうふうに、それぞれの責任のもとにみんなが頑張るということが大事だと。議員御指摘のとおりでありますが、この国の形を変えるというためには、まず日本という国をどうするのかという意思が必要であります。したがって、地域主権の名のもとに、国が責任を負うべきものまで安易に地方に押しつけるということであると、国の統一的な政策がなかなかできなくなってどうかなという議論もあります。したがって、この国の形というのは、きちんと国で議論して決めていただいた上で、地域主権に向けたよい政策を推進されることを期待しております。国が行うべきことはきちんと行った上で、残りは地方で責任を持って行えるように、それが可能であるような制度をつくられんことを願っている次第であります。
 次に、公共投資についてであります。
 私がこれまで申し上げてきましたように、和歌山県のハンディキャップを負っているところ、それから、チャンスを奪われていると言ったらちょっと言い過ぎかもしれませんが、チャンスを少なくさせているところ、そういうところについては、やっぱり国は責任を持ってほしいと。時間的な先後によって大都市からそういうもの、公共投資をしていくということは許すとしても、最後まで責任を持ってほしいということについての御質問だと考えております。
 これについては、まず道路整備の投資額の全国シェアの推移を東京都と和歌山県で比較して見てますと、2003年では東京都は7%ぐらい、和歌山県も最近になってようやく順番が回ってきまして、ちょっとふえてきましたので1.7%ぐらいとなっております。人口よりも少し多くなっているということです。
 ただし、高度経済成長期の1965年──ちょうど東京オリンピックが終わって1年後なんですが──そのときですら東京都は15%投資をしてもらっています。それから、和歌山県は、その当時は1.1%であった。ちょうど人口ぐらいであったというふうに考えます。
 これを人口比率で比較してみますと、1965年当時の東京都は人口比率で11%でした。和歌山県は1.0%でした。和歌山県というのは、山がちで県土がずっと広がっています。そういうところで例えば道路をつくるということになると、割高のコストがかかるというのは当たり前であります。しかしながら、そういう意味では、何も考えなければ、本当は地方は多少補正して多くして、東京都は割り引いてというぐらいが相場かなというふうに思うんですが、逆に人口比率以上に東京都に集中していました。
 これは、国の形をつくる当時の政策として、私は一概に非難はできないというふうに思います。それ以前のデータはありませんが、東京オリンピックに向けて首都高速道路などがばかばか整備されていたということを考えますと、道路に関しては、道路整備への投資の東京都への集中はもっと著しいものであったろうなあというふうに思います。
 一方、負担はどうかと考えますと、統計資料などによる試算では、和歌山県は30年以上前から、東京都に比べ1世帯当たり2倍以上のガソリン税を支払っております。これがどんどんふえまして、平成20年度には3.6倍にまで達しております。
 これからは財源を移譲するから、その範囲内で地方それぞれの判断で道路整備をすればよいではないかというようなことは、これまで道路整備が取り残され、財政力が今も含めて弱い本県にとっては非常に厳しい、割を食っているなあというようなことと思いますので、そのようなことは言わないでいただきたい、こう考えている次第であります。
 議員御指摘の、これまで我慢してきた分をどの程度改めて要求するかということについてでございますけれども、今のように概略の議論しか本当はできません。できませんけれども、もう1つ、別の方向から考えますと、例えば国土の骨格となる高速道路のネットワークをどういうふうに国じゅうで引いていくか。これは私はこの国の形を規定する中央政府の重要な仕事だというふうに思います。
 せっかく国民の多数の支持を得て発足して、みんなが期待している行政府でありますので、官僚任せ──とんでもないことでありますが──一方では地方任せというのも、これもまたどうかなというふうに思うわけであります。その中で、国としてどういうふうにネットワークを張っていくか、その最後の残された区間が、実は和歌山県に集中しておりますので、そこのところだけは最後まで国に引いてもらいたいなというふうに私としては思うのが、そう間違ってないんじゃないかなあというふうに考えます。
 次に、地域、すなわち和歌山県をどう発展させるかということなんであります。
 地域のことは地域に住んでいる人が決定するという地域主権型の社会は、これは一方では、地域同士が知恵と能力を競い合う社会の到来というのを意味しております。それぞれの地域が、他の地域に負けないように地域力を高めていかなければなりません。三種の神器だけで決してできるものではないと思います。
 この観点から、本県が有する豊かな自然環境、世界遺産を初めとする文化・歴史面での数多くの資産、恵まれた農林水産物、豊富な温泉資源などのすぐれた資源を生かしていくことが和歌山県の発展に不可欠であるというふうに考えて、取り組みを進めているところであります。具体的には、これまでは必ずしも地域資源の活用では十分ではなかったかなあというふうに思いますので、特に、農水産物、加工食品の販売促進戦略とか、あるいは観光振興アクションプログラムをつくって積極的に他圏域に和歌山の魅力を売り込むとか、わがまち元気プロジェクトや新農林水産業戦略プロジェクトによって農林水産業や観光業の活性化、地域資源を活用した新しい産業の創出も図っております。
 また、本県を大阪都市圏の緑のヒンターランドと位置づける。これは実は、国土形成計画の近畿国土計画に位置づけてもらいました。実を申し上げますと、初めの原案は大阪の周辺の千里丘陵等が緑のヒンターランドだったんですが、とんでもないと言っていろいろ意見をして、それで例えば紀伊半島とか北丹後とか、そういうところが都会の人々のいやしを満足する本当の意味での緑のヒンターランドだと、そういうふうに主張してそういうふうに位置づけてもらいました。
 都市住民のいやしの場としての価値を高めることも重要でありますので、これは利用するだけじゃなくて保全も大事であります。したがって、景観条例の制定、自然公園の見直しなどの地域の価値を損なわないように努めてもおります。
 さらには、これまでの産業集積や地域資源の状況を踏まえた選択と集中による重点的な産業振興や新たな企業誘致を積極的に推進しております。
 こうやって、地域間競争の時代でも負けないように、和歌山の地域力をみんなで高めるということの先導をしているということだと思います。
 加えて申し上げますと、こういうふうに一種の競争になっている社会ということでありますが、この競争条件が一方で不利になっているとつらいものがあります。したがって、いろんな制度において、例えば基幹道路ネットワークの話もそうでありますが、そういうところにおいてイコールフッティングの状況にしていただいた上で、我々の責任で頑張ろうじゃないかというようなことを考えないといけないのではないかと思います。
 過去の反省点をということでありますが、実は、私が知事になりましてから、そういう観点でいろいろな新しい制度をつくってまいりました。新行財政改革プランもそうですし、知事が逮捕されるという忌まわしい事件の総括の文書もそうでありますし、そういうところで過去の反省点というのを全部如実に書いております。隠し立てをすることなく書いております。
 また、新長期総合計画においても、現在までの問題点というのをまず踏まえた上で未来を語ろうじゃないかということでやっております。そういう意味では、新長期総合計画が議会も承認していただいた我々共通の和歌山を変えていく戦略であるというふうに考えております。これは、何も政権交代を待たず、和歌山県が、我々ができる話でありまして、まさに我々は議会も含めてそういうことをやったところであります。
 和歌山県の最高の努力は、既に始まっていると言ってもいいと思います。まだまだ脆弱であります。例えば少子化比率の伸びが日本一になったり、ちょっといいところも出てきました。だけど、まだまだであります。まだまだをずうっと頑張って続けていくということが、これからもまた和歌山が地域力を高めていくことになるんじゃないか、そんなふうに考えておるところであります。
○副議長(坂本 登君) 福祉保健部長北田佳秀君。
  〔北田佳秀君、登壇〕
○福祉保健部長(北田佳秀君) 新型インフルエンザの流行に関する県の対応の2点についてお答え申し上げます。
 今回、国が示した流行シナリオでは、国民の20%が発症すると仮定した場合、流行ピーク時の最大入院患者数は人口10万人当たり36.3人とされ、その数値を単純に本県に置きかえますと、県民の約20万人が発症し、ピーク時の最大入院患者数は約370人となりますが、若年人口割合、人口密度、教育施設の数などの地域による差異が加味されておりません。
 しかしながら、県といたしましては、このような大流行を想定しつつ、小児科、産科、透析の専門医やかかりつけ医等の参加した専門家会議などの御意見を踏まえながら、新型インフルエンザの患者に対する適切な医療提供体制の確保や公衆衛生対策の確実な実施などに努めてまいります。
 特に、基礎疾患を有する患者や妊婦、小児患者等の重症者を受け入れる医療機関の確保は重要であると認識しており、9月15日現在、50病院286床で受け入れが可能となったところです。
 引き続き、今後の感染拡大に備え、医療機関や関係団体と連携しながら必要な病床の確保に取り組んでまいります。
 なお、新型インフルエンザの今後の病原性の変化や薬剤耐性の出現などが懸念されるため、これらを適切に監視するサーベイランス体制を強化してまいります。
 県民の皆様に対しましては、手洗い、うがいの励行、せきエチケット等の個人でできる感染防止策の徹底や流行時の適切な医療機関の受診などについて、引き続き普及啓発に努めてまいります。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 危機管理監森 崇君。
  〔森 崇君、登壇〕
○危機管理監(森 崇君) 新型インフルエンザの流行に関する県の対応につきまして、4点の御質問にお答えいたします。
 まず、BCP、業務継続計画につきましては、その必要性を認識しているところでございまして、現在、地震対策の事業継続計画を策定中でございますが、それにあわせて新型インフルエンザの事業継続計画についても策定準備を進めているところでございます。
 次に、大阪、兵庫のケースワークについてでございます。
 全国初の感染者を確認した兵庫県との意見交換におきましては、県対策本部の事務局一元化の有効性、それから保健所設置市──本県でいうと和歌山市でございますが──そことの情報共有の難しさ及び秋以降の流行期に備えた体制の強化などについて確認することができました。
 県庁の庁内関係課室の連携につきましては、現在、関連情報の共有を目的として、危機管理局、健康局、それから教育委員会等関係課室におきまして、定期的な情報交換会や保健所間の情報交換などを通じ連携を図っているところでございます。
 最後に、市町村間の連携につきましては、県対策本部から市町村に対し、関連情報の提供を行い共有を図っているところでございます。特に、保健所設置市である和歌山市との連携につきましては、相互の情報伝達や住民への情報提供等についての事前協議を行っておりまして、関係機関への情報提供の一元化など、スムーズな連携ができているものと考えてございます。
 庁内関係課室や市町村間の連携におきましては、現在のところ特段の問題はないと考えておりますが、さらなる流行期を見据え、他府県でのケースワークと教訓事項を参考に、県対策本部の事務局一元化、また庁内関係課室や市町村間の連携、また県民への迅速な情報提供等、油断なく的確に対処してまいります。
○副議長(坂本 登君) 選挙管理委員会委員長諸木良介君。
  〔諸木良介君、登壇〕
○選挙管理委員会委員長(諸木良介君) 山下議員の投票率アップに関する取り組み等についての御質問、御提案にお答えをいたします。
 まず、期日前投票についてでございますが、議員御指摘のとおり、期日前投票の利用者は増加しており、本制度が有効に機能向上を果たしていると認識してございます。
 期日前投票所の増設や時間延長など、議員の御提案につきましても、市町村選挙管理委員会において、人員や経費の確保など、直ちに対応しがたい問題もございますが、それらは、制約の中で有権者の利便性がさらに向上するよう助言をしてまいりたいと考えてございます。
 続いて、御高齢の有権者の投票しやすい環境の確保についてでございます。
 議員御指摘のように、今後も高齢化が進展しますと、投票所に赴くことが困難となる有権者の増加が見込まれるなど、投票を取り巻く環境がこれまでとは変わっていくものと予想されます。選挙管理委員会といたしましても、議員から御提案のあった高齢化に対応した有効な方策について、よく研究してまいりたいと考えてございます。
 最後に、投票済証についてでございます。
 議員御指摘のとおり、投票済証については法令に定めがなく、各市町村選挙管理委員会の判断で発行されておりますが、この投票済証につきましては、投票率の向上に寄与するとの意見がある一方、投票に対する組織的な圧力、さらに事後買収などにつながるのではないかといった懸念も指摘されてございます。
 選挙管理委員会といたしましては、この投票済証を発行した場合の影響等について、よく研究してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再質問を許します。
 41番山下大輔君。
○山下大輔君 御答弁ありがとうございました。
 まず、投票率アップに係る取り組みですけれども、お答えいただきましたように、それぞれ前向きに御検討いただきたいと思います。
 特に、選管の委員会委員長のほうからもお話がありましたが、和歌山の場合は投票環境というのが物すごく変わるんやと思います。以前は10人に1人が高齢者やったのが、これからもう10人に3人、4人となってくると。実はそういう場合には、投票できる環境というものをどう整えるかというのも今後大きな課題になると思いますので、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。もうこれは要望だけにしておきます。
 次に、新型インフルエンザへの対応につきましては、これも、福祉保健部長、また危機管理監からそれぞれ前向きな御答弁をいただきました。
 特に、患者数の予測については、アメリカの例も引きましたが、やはりこういう厳しい状況というのをしっかりと知らしめること、情報共有というのが非常に重要だと考えます。この発表の仕方であったりとか伝える内容にもよりますが、基本は情報の透明度を上げることで、厳しい状況も、認識を共有する中で県民の皆様の協力も得られることになると考えます。
 また、今回のところは今後の強毒性の感染症──今回は弱毒性ということですんで、そんなにばたばた死者が出るという状況では当然ないとは思いますけれども、今後、強毒性で大変な、社会的にももっともっと厳しい状況が訪れたときに、今回、テストケースとしながら、情報の出し方であったりとか県民に対してどのように安心を与えていけるのかという部分についてはぜひ御検討いただいて、積極的な対応から経験値を積んでおいてもらいたいと思います。
 最後に、知事にですけれども、御答弁いただきましたように──知事が就任されてもう3年になるんですかね。3年間やってこられて、おっしゃるようにいろんな取り組みを──これは、以前官僚で、経済の分野では大変御見識もおありやということで、この議会でもいろいろと私自身も勉強させていただいていますけれども、いろんな取り組みを進める中で、確かにこれやってる、やってる、やってるということで今御答弁いただいたんですけど、その3年間やってきたことに対して、県民に本当に和歌山の未来に対しての希望というのが生まれているかと。実はそういうことがすごく大事やろうなと。
 以前、小泉改革とか、いろんな政治の改革の中でも、すぐに結果があらわれなくても、その一部に対しても希望が与えられれば、国民、県民というのはやっぱり協力もしていこうと、いろんな形で取り組みに対しても賛同が得られるやろうと。
 ただ、外に出して、どういうことをやっているかということを知らしめたりとか、実際にその結果としてどういう結果が生まれているかというようなことをもっともっと伝えていく中で、地域としてこういう方向に行ってるんだよと、その中で和歌山の地域というのは、ほかの地域にないこういう特徴を持って、日本の中でも1つの和歌山のブランドというのをこういう形で構築してるんだと、そういうことをもっと理解していただく方法というのを考えていかないと、なかなか県民の中での評価というのも、いろんな評価があるんじゃないかなというふうに考えております。
 それともう1点、地方分権、地域主権の取り組みについてですけれども、今後、新政権に対して、地方に優しい、地方に対してしっかりとフォローもしてもらいたいということを御答弁いただきましたけれども、これは実は今回、原口総務大臣が新たに大臣として就任されて、橋下知事なんかとも今いろんなお話しされてるみたいですけれども、国が何かをしてくれるというのを待ってるだけじゃなくて、これ、地方からとりに行かないかんことなんやろうなと。
 知事がよく言われるように、国としてまず役割分担を、自分ところを決めて、後は地方やという話だけで、その後与えられた分だけで納得できるかというところが、実はこれ、考えていかないかんところやと。地域として、やっぱり我々が何を望むかということをもっと積極的に和歌山県としても提起し、国に対して申し入れしていくと。ある部分では、権限のお互いの取り合いになりますんで、これ、戦っていく姿勢というのもなかったら、なかなかうまく状況というのは前へ進まんのじゃないか。そういう部分では、今まで、知事の御答弁の中で、国がまず決めて、その残りを地方という感覚だけではちょっと物足りんのかなと。
 地方の中でも、国に対して我々はどういうことをする、どういう責任を持つから権限、税財源というものを移してこいというふうな形に、具体的な提言というのを地方からやっていく時代になると思いますんで、ぜひそういう部分では乗りおくれずに、和歌山としても主張していただけますようにお願いいたしまして、私の、もう2問目は要望だけといたします。
 以上です。
○副議長(坂本 登君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で山下大輔君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 32番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 質問に入る前に、一言申し上げたいと思います。
 おかげさまで、私は、ことしの秋で県会議員活動20年目を迎えさせていただきます。日常的に、そしてまた、議会を通じて県当局にこんなことをやったらどうか、これについてはどうかというようなことを申し上げてまいりましたが、それに対して、もうやってるというようなお話がございます。しかし、1%しかやってなくても100%やってるような答弁も実はあるわけでございまして、もっと悪いことは、もうやってしまってるからもうやらんでもええというようなことがよくあるわけでございます。
 我々は、それに対して厳しく追及をするわけでありますけども、あんまりそういうことが多いと、もう役所ってこんなもんかなというふうにあきらめかけてる、そういうときに実は、中議員も言われましたけども、7月に知事からのメッセージというのを拝見いたしまして、我が意を得たりという、そういう思いをしたわけでございます。
 ぜひ、知事御自身も含め、いつも県民がどの程度満足をしているのか、それぞれ県の職員の皆さんもその立場で行政をやっていただくことを心から念願をする次第でございます。
 それでは、通告に従いまして一般質問を行ってまいりたいと思います。
 まず最初は、新型インフルエンザ対策についであります。
 9月15日、県内の中高一貫校で突然約500人のインフルエンザが発生し、学校閉鎖となりました。長らく発生件数が少なかった本県にも、いよいよ来るものが来たという感じであり、今後の急増が心配されます。
 さて、選挙で大騒ぎしていたところ、8月28日、厚生労働省は、インフルエンザ患者の報告数が定点当たり1.69になり流行開始の目安1.00を超えたことから、流行シーズンに入ったと判断をして、今後、新型インフルエンザ患者数の急増することに備え、医療提供体制の確保を都道府県等に要請をいたしました。それを裏づけるかのように、新学期が始まった8月31日から9月6日までの1週間で集団感染が2318件発生し、定点調査が2.62になり、9週連続で増加したことが報告されました。さらに、13日までの1週間では、学校や福祉施設を中心に、集団感染が1.4倍の3284件に達しました。
 こうした中、厚生労働省は、9月8日、新型インフルエンザ対策担当課長会議を招集し、重症化を防止するため、ワクチン接種事業に取り組むことにいたしました。
 そこで伺います。
 まず、国から要請のあった医療提供体制はうまく準備できているのでしょうか。特に、病院と診療所の連携や重症患者用のベッド確保について伺います。
 次に、ワクチン接種事業についての見通しはいかがでしょうか。都道府県が医療機関ごとのワクチン配分量を決定するということですが、それは可能でしょうか。また、今回のワクチン接種事業は任意と聞いていますが、優先順位の高い妊婦や基礎疾患を有する人がワクチン接種を受けないときはどうするのでしょうか。
 3番目に、今回の新型インフルエンザは、弱毒性であることが判明したときから世間の対応が緩んだように思いますが、学校以外の役所や企業においても、従業員や職場での感染対策、継続すべき重要業務の選定、従業員の勤務体制の決定など、発生に備えた事業継続計画が必要ではないでしょうか。この際、その普及に努めていただくよう要望しておきます。
 4番目に、今回の新型インフルエンザの流行は、幸い弱毒性でした。しかし、ぜひ手を抜くことなくきっちりと対応していただきたいと思います。そして、いつか必ず発生する強毒性インフルエンザへの貴重な教訓とすべきでありますが、知事の御所見を伺います。
 2番目に、県がん対策推進計画について伺います。
 昨年3月、がん検診の現状と問題点を報告する市民フォーラムに参加いたしました。会場の小ホールは、500名余の聴衆でいっぱいになり、県民のがんに対する関心の強さがうかがわれました。
 そのときに印象的だったのが県立医科大学の尾浦准教授のお話で、マンモグラフィーの普及は進んでいるものの、その読影という画像を読み取る能力がある乳腺専門医が県内に7名しかいないこと、そのため検診をしてもがんが見逃されてしまっていること、さらに精密検査を行うマンモトームという機材が4台しかないことが報告され、がん対策のおくれに大変驚いた次第であります。そして、同月に策定された県がん対策推進計画に大いに期待したところであります。
 最近、改めて尾浦先生にお目にかかったので、その後の状況を伺うと、引き続き読影講習会や超音波検診の勉強会を手弁当で開催していただいているそうでありますが、県当局の対応力不足について御指摘がありました。
 そこで、改めて県がん対策推進計画を見てみますと、2つの全体目標と4つの重点課題を設定し、がんの発症予防、がんの早期発見、がん診療体制の整備・充実、がん医療に関する相談支援及び情報提供体制の整備、がん登録、がんに関する実態把握という分野別施策を実施することにしています。
 しかし、目標を達成するために、具体的にだれがどのようにするのでしょうか。特に、この計画を策定した県自身は、計画の推進に当たり、自主的かつ主体的に地域の特性に応じた施策に取り組むという強い決意を述べていますが、実施するための具体的手順、方法が明示されていません。これでは絵にかいたもちになりはしないかと心配をいたします。
 これまでも、計画の基本施策であるがん拠点病院の指定に当たり、日高病院の申請は困難というだけで、特に支援はありませんでした。本来なら、計画達成のために、日高病院から要望がなくても県が自主的、主体的に応援を行うべきであります。
 さて、県政の大きな目標の1つに県民の生命・財産を守るということがありますが、私は、がん対策こそ、今すぐ行うべき県政の重要課題であると思います。
 そこで伺います。
 本計画には、県民をがんから守るため、がんによる死亡率を10年以内に25%削減することなど、具体的に各分野でたくさんの目標を掲げていますが、それらはいかに達成するのでしょうか。実際に、この1年余でどの程度達成できたのでしょうか。
 また、計画推進に当たり、実務を担うプロが必要になります。以前に防衛や医療など専門分野に熟知した職員を育てる人事を行うよう要請した経緯がありますが、その後の経過はどうなっているのでしょうか。
 知事も、計画の初めに、県民や医療関係者、行政が一体になってがん対策を推進すると述べられていますが、この際、改めて知事のがんに対する意気込みをお伺いするものであります。
 大きな3番目に、リサイクル製品の普及について伺います。
 9月1日、県は認定リサイクル製品の平成20年度使用・購入状況を公表いたしました。これは、県リサイクル製品の認定及び利用の促進に関する条例第10条第2項に基づく公表ですが、そもそもこの条例は、リサイクル製品を認定し、それを利用することでリサイクルの普及とリサイクル産業の育成を図り、循環型社会の創造に資するというものであります。そして、県みずからが率先して認定製品を使用・購入するほか、市町村や事業者、県民にも要請するという、なかなかよくできた制度であります。
 しかし、公表されている県の使用量と購入金額だけを見ていると、仕方なしに条例に基づいてやっているという感じがいたします。市町村や県民に要請するどころか、県自身もどれだけ努力したのかよくわかりません。
 そこで、まず、この条例に基づいて平成17年の施行以来どのような実績があったのか、御報告いただきたいと思います。
 次に、条例がさらに実効性あるものとするためには、努力目標の設定や市町村、県内での使用実績も公表するなど、具体的に制度を充実する考えはないのでしょうか。条例の目標とする循環型社会の創造に向け、県みずからが認定した製品の普及に努力していただきたいと思います。
 4番目に、鳥獣害対策について伺います。
 農山村に人がいなくなり、かわりに動物がふえ、結果的に今や鳥獣害が大変なことになっています。県内での被害額は毎年3億円程度ですが、届け出ていない分を含めるとかなりの額になることが予想されます。行政では、規制を緩和し、補助事業を設け支援していますが、農家の高齢化や人手不足もあって被害は一向に減りません。もはや、電気さくや網などの防御では限度があり、何か新しい方法を見出さねばいけない段階に入ったと考えます。
 最近、日高川町では、県の雇用対策基金を利用し、猟友会員による環境警備隊が発足いたしました。2人体制で担当地区の巡視や駆除、追い払い、被害地、出没状況の調査のほか、ごみの不法投棄場所の確認などを行うそうであります。
 県においても、今年度から果樹試験場で獣害防止技術の実証試験が始まったと聞いております。大いに期待するところでありますが、これまでの成果や研究の見通しについて伺います。
 5番目は、高校新卒者の就職対策についてであります。
 厚生労働省が先ごろ発表した来春卒業予定の高校生の求人・求職状況によりますと、7月末の求人数は約13万5000件で、昨年同期に比べて48.8%と、半数に落ち込みました。調査開始以来最大の減少幅で、求人倍率は昨年の1.31倍から0.71倍に下落し、4年ぶりに1を切りました。
 世界同時不況により雇用情勢が悪化し、新卒者の就職環境は氷河期の再来を心配する声があるほど厳しく、全国平均0.71倍をさらに下回る0.49倍の本県では、今月16日から始まったばかりの就職活動にはさらに厳しい状況が予測されます。
 そこで、教育委員会では、今年度の就職希望者の進路についてどのような見通しを立てているのでしょうか。また、多くの進路未定者が出ると予想されますが、その支援策について伺います。
 最後に、スポーツ振興について伺います。
 この日曜日、御坊市では市民総合体育大会が開催され、私は開会式で、毎年3100億円の医療費はスポーツを楽しむことで減らすことができる、6年後の国体はスポーツ振興のきっかけであり、和歌山県もかつてのような輝きを取り戻そうという趣旨のあいさつを行いました。
 ところが、会場にいたバドミントン関係者から、中学生が県大会で優勝しても学校にクラブがないと全国大会に出場できないことや、指導者が教員でないから試合では選手の監督ができない、目標の高校にクラブがないのでバドミントンをとるか勉強をとるか迷っているというような話を聞きました。同様の話は、以前にもソフトテニスでもあり、その解決方法の1つに総合型地域スポーツクラブがあると答えておきました。
 しかし同時に、私は、2巡目国体へ向けて施設整備費数十億円、ゴールデンキッズ云々と、ふだん聞いている景気のいい話と現実には随分違いがあることを再認識いたしました。高い目標を掲げることは大切でありますが、それを実現するためには、1つずつ施策を積み上げていくことが必要であります。
 そこで、学校のクラブ活動と指導者の問題はなぜ起きるのか。次に、本当に総合型地域スポーツクラブは救世主になり得るのか。その普及、実績についても教育長からあわせてお答えいただきたいと思います。
 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、新型インフルエンザの関係のうち、医療提供体制でございます。
 本県では、今般の新型インフルエンザ対策において、重症者を受け入れる病床など医療体制の確保は、国の要請のある前から最優先の課題として位置づけて進めてきたところであります。特に8月1日からは、県インフルエンザ対策本部の対象方針に基づきまして、感染者のうち、軽症者は一般の医療機関で外来診療を行い、重症者は拠点病院等で入院治療を行う体制に移行したことから、医師会、病院協会等の協力のもと、かかりつけ医から専門病院、拠点病院に至る医療連携体制の構築を進めてきたところであります。
 また、基礎疾患を有する患者や妊婦、小児患者等の重症者を受け入れる医療機関を確保することが重要であると認識しており、各地域の医療機関や関係団体と連携しながら、必要な病床の確保に取り組んでいるところでございます。
 今後とも、県民が安心してインフルエンザの診療を受けられるように関係機関と緊密な連携のもと、医療提供体制を確保してまいりたいと考えております。
 全体の教訓ということでありますが、私なりの自分の印象を申し上げますと、5月ぐらいに国内でインフルエンザの患者が出たときに、各県の知事の対応を見ておりますと、私は最も緩やか対応といいますか、そういう知事であったなあというふうに思います。そこからほとんど実は対処方針を変えてないんでありますが、今、最左翼になってしまって、最も厳しい知事だというふうな感じの印象を受けております。
 もっと説明いたしますと、いろいろこのインフルエンザの本質などについて、私どもにも専門家がたくさんいますから、しかもまた国の専門家とも情報交換は簡単にできますので、これについては初めから毒性は大したことはないと。普通のインフルエンザとそう変わらない。だけど、少し変わるところもあるんですけれども。したがって、まずそんなに慌てないでもいいけれども、今は数少ない発生者しかいないんだから、新しい病気なんで免疫のある人は少ない。したがって、かからないにこしたことはないから押さえ込もうと。押さえ込むためのまず手段を講じたわけです。これは、緊急発熱外来と、それから発熱相談センターを組み合わせてそういう体制をつくって、それが当初は結構機能しておりました。これは、もちろん全国的に機能しておりましたけれども、和歌山県も関係者が頑張って押さえ込んだと思います。
 その後、もう一度ぶり返しがあったときに、各県はかなり手を引いていました。それで、特に大阪なんかは、北部ではやったときは、──一番初めですが──例えば緊急事態宣言を出したりしてかなり徹底的にやっていたんですが、泉南地域で第2波の流行があったときは、もう既に考え方が変わっておりまして、和歌山県よりも緩やかになっておりまして、1人1人の患者も余り把握しないというぐらいの感じになっていました。
 その結果、何が起こったかというと、我々は一生懸命押さえ込もうとしていたんですけれども、大阪に通っている生徒さんがいるわけです。この生徒さんが、なかなか学校が対応しないものですから、結構うつってうちへ帰ってくるというようなことが──これは、「ええ、そんなところからもあそこへ通ってたのか」というようなことが後でわかったりしましたが、そういう事態でありました。
 現在は、全国的にもっと蔓延しておりまして、和歌山県もその例外ではありません。一番初めに、まずは押さえ込むけれども、第2幕として、もっとはやってくると、入院を全員にさしてたらとても間に合わないから、したがって重篤の人だけ入院をさして、残りの方は自宅でちゃんと薬を投与して治していただくというふうに切りかえました。
 第3は、一番初めから申し上げてたんですが、一番危ないのは、もともと体の弱い人であったり、あるいは妊婦さんであったり、乳幼児であったりするので、そういう方に対するケアというか隔離とかいうことですか、そういうことについて考えざるを得ない時期が来るということを申し上げておりました。
 現在は、このフェーズ2から3の両方にかかっているところかなというふうに思います。もちろん、重篤な方が出ないように、患者さんについてはきっちり対応しなきゃいけないし、それで、依然として人にうつさないように──今は発熱相談センター制度はなくなりましたけども、事前にお医者様に電話をしていただいて、指示に従って診療を受けるようにというようなことは徹底をしております。
 それから、今、健康局の者が中心になりまして、病院協会とか医師会とよく相談をして、それで体の弱い方にうつさないように、それを今、重点的に頑張ってるところでございます。ただし、もうかなり全国に広がってしまった後でございますので、その努力を必死で続けないといけませんが、どこかでそういう問題が発生しないかと思って、なかなかちょっと頭を悩ましてるというか、冷や冷やしているということでございます。全国的にも幾つか症状が出てまいりました。
 そういうことをやってまいった結果、我が県の発生は比較的低レベルで推移しておりました。しかしながら、やっぱり最近はかなり増加してまいりまして、全校ひっくるめて休校というような学校も出てまいりまして、残念だなというふうに思っております。
 今後、この蔓延期への対応を踏まえて、段階的な取り組みが重要と考えております。
 次は、フェーズ3を徹底的にやるということだろうと思いますが、議員御指摘のように、強毒性インフルエンザの発生がもしあったとしたら、これまでの対応からいろんな勉強を我々もしておりますので、ルート等々はそのまま利用して、相談窓口にある発熱相談センターの役割をもう一度復活させるとか、あるいは発熱外来をもう一回整備し直すとか、あるいは重症者を受け入れる医療体制の整備とか、そういうことについて、これまでの経験を生かしてきちっとやっていかないといかんと思います。
 と同時に、この問題はどうも広域の問題が大事だなあと。和歌山県だけ幾ら頑張っても、どうもやっぱりうつってしまうというところがあって、やっぱり近隣と歩調を合わしてもうちょっとやらないといけないかなと。どうも、一般的に地方公共団体というか、県というか、そういうところは、先ほどのお話にもありましたように、国のほうを見てしまって、それで国から指令がなければ何もしないし、あったらするというのが強いんですが、そんなもんじゃ住民の健康は守れませんから、むしろ自分たちでよく考えて、場合によっては国を使って、それで国に指令を出さして近隣も巻き込むとか、あるいは大阪府なんかとは非常にコミュニケーションいいですから、いろんな議論をして同じようなレベルでやっていくとか、そういうこともやっていかなきゃいけないなあというふうに思っております。
 次に、がん対策でございます。
 本県のがんの死亡率は、御指摘のように全国的に見ても高く、これは大変残念なことだと思います。がん対策は、県民の暮らしの安心・安全を確保していく上で重点的に取り組むべき喫緊の課題であると、議員と同様考えております。そのため、和歌山県がん対策推進委員会などで議論を重ねていただきました。それもまだ続いております。本県のがん死亡率の高い原因を究明して、それを克服していくための効果的な方法とか、あるいは藤本議員御指摘がありましたが、長野県などのがん対策先進県の取り組みも大いに参考にして、総合的な対策を講じてまいりたいと考えているところであります。
 推進委員会で全国の碩学を集めて実は勉強していただいているんですが、どうもちょっと問題だなあと思うところは、検診の問題と、それから喫煙の問題が指摘されています。
 検診の問題については、検診率は和歌山県はそう低くないのであります。ところが、どうもリピーターの人はどんどん検診するけれども、全然検診に応じない人とか、そういう人が結構いるとか、そういう問題があるので、ここのところはてこ入れがぜひ必要だと思って、今後頑張っていきたいと思います。
 それから、喫煙の問題については、県議の皆さんもたばこを愛好される方もいらっしゃると思いますが、なかなかやっぱり、ほかの生活とのバランスとか、そういうこともあります。それから、余り無理にやりますと、例えば学校で休み時間になると、先生が学校からばっと出ていってしまって生徒に笑われるというような、そういうちょっとほかの面で不都合な問題も生じます。
 しかしながら、この問題についても専門家が指摘しているというところもありまして、これから皆さんと御相談しながら、まただんだんと考えていかないといけない、民間の方ともよく相談してまいりたいと、そんなふうに考えているところであります。
○副議長(坂本 登君) 福祉保健部長北田佳秀君。
  〔北田佳秀君、登壇〕
○福祉保健部長(北田佳秀君) 新型インフルエンザ対策及び県がん対策推進計画についての2点にお答えいたします。
 まず最初に、新型インフルエンザ対策のワクチン接種事業の見通しについてでございます。
 今般の新型インフルエンザのワクチン接種につきましては、本年10月末の実施に向け、国においてワクチンの一元的な確保や接種を行う医療機関との契約などが統一的に進められると聞いております。
 ワクチン接種を行う医療機関の確保は、医師会や市町村を通じて行われ、具体的な接種スケジュールの設定や医療機関の在庫等を把握してワクチンの円滑な流通を確保するということは、県の役割として位置づけられております。実際のワクチン配分は、接種対象者数、医療機関の規模等を勘案して行われることになります。
 ワクチン接種につきましては、予防接種法に基づかない任意接種とする方針となっておりますが、接種を推進するため、低所得者への負担軽減策等が検討されております。
 今後、県民に向けてのワクチンの有効性や安全性等の情報を適時適切に提供するとともに、接種対象となる方々にできるだけ多くワクチン接種を受けていただくよう、市町村や医療機関、病院協会、関係機関と協力して積極的に普及啓発を図ってまいります。
 次に、県がん対策推進計画の目標達成への取り組みと進捗状況についてでございます。
 平成19年度に策定しました県がん対策推進計画の目標達成に向けましては、県内外の有識者らから成る和歌山県がん対策推進委員会のがん部位別検討会等で、具体的な方策に関する御提言をいただきながら、がんの発症予防、早期発見、診療体制の整備充実、がん医療に関する相談支援など、一連の対策を進めているところです。
 特に、がんの早期発見は重要であると指摘されたことから、さらなるがん検診の受診率向上に向け、一定期間未受診の県民を対象にした市町村の休日検診などを推進しているところです。
 また、がん診療体制整備に向けて、国のがん診療連携拠点病院に準ずる病院──日高病院もこれに相当しますが──そういったところの県としての拠点病院の指定や医療従事者の緩和ケアに関する専門的な研修を計画的に進めているところです。
 さらに、がんの発生状況や治療情報などを集積、解析する院内がん登録については、本年度から拠点病院以外の病院においても進めることとしております。
 推進計画に掲げる目標は長期にわたるものであり、施策効果は直ちにはあらわれにくいと承知しておりますが、中間の評価を行いながら、今後とも関係者、関係機関の協力のもと、目標達成に向け全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 総務部長宮地俊明君。
  〔宮地俊明君、登壇〕
○総務部長(宮地俊明君) 専門分野に熟知した職員の育成につきましてお答え申し上げます。
 人事異動につきましては、ジョブローテーションによる総合的な人材育成や職場の活性化等の観点から実施しているところであります。
 また、以前から議員に御指摘いただいているとおり、複雑多様化する県民ニーズに適切に対応していくためには、専門的な知識・経験を有した職員を育てることも非常に重要であると考えております。
 このため、特に専門的知識・経験を要する部署につきましては、在職年数にこだわることなく、業務の内容及び状況等に応じて柔軟に対応しており、今後とも専門分野に精通した職員の養成に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 環境生活部長井口悦治君。
  〔井口悦治君、登壇〕
○環境生活部長(井口悦治君) リサイクル製品の普及についてでございます。
 まず、1点目の使用・購入実績につきましては、現在、工事・園芸用資材、事務用品など117社255製品を認定しており、その認定事業者からの報告では、平成17年度から19年度までの3カ年の販売額は19億円余となってございます。
 このうち、県における使用・購入実績は、条例制定以降、平成18年度から20年度までの3カ年でございますが、県の公共工事においては、ほぼ100%リサイクル製品を使用している下層路盤材やその他のり面吹きつけ材等で92製品、約4億5000万円、また物品購入ではトナーカートリッジなどで8製品、約540万円となってございます。
 次に、2点目の認定リサイクル製品の利用促進につきましては、現在、認定製品は県ホームページへの搭載、マスコミへの資料提供などを通じPRに努めているところでありますが、今後とも関係部局、市町村とも十分協議しながら、県内での需要を喚起するため、あらゆる機会を通じて積極的にPRするなど、県内での普及啓発を図り、なお一層制度の充実に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○副議長(坂本 登君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 獣害対策といたしまして、果樹試験場において実施をしております獣害防止技術実証試験の成果と今後の見通しということでございますが、果樹試験場におきまして、本年の4月から研究員5名から成る鳥獣害対策チームを設置いたしまして、現在、試験場内においては、忌避剤としての効果が掲げられてございます各種資材の効果試験とか、赤外線カメラによる猿、イノシシなどの行動パターンの把握の分析等の研究を行うとともに、現地におきましては、市町村協議会等の協力をいただきながら、モンキードッグの活用によります猿の追い払いの効果測定などの実証試験に取り組みつつございます。
 今後、こうした試験結果や国、他府県等の研究事例等も生かすとともに、メーカーとの共同研究による捕獲機材の改良を進めるなど、捕獲、防護の両面から鳥獣害防止対策技術の向上を図ってまいりたいと考えてございます。
○副議長(坂本 登君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 高校新卒者の就職対策についてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、雇用状況の悪化に伴いまして、本県の高校生の就職状況は極めて厳しく、今後、就職未内定となる生徒ややむなく進学へと進路を変更する生徒が増加することが懸念されます。
 県教育委員会では、就職支援教員等を15校に配置いたしまして、企業訪問等、積極的に行ってきたところでございますが、今後とも就職支援教員等と学校が一体となって、近府県も含めて企業開拓に取り組むよう指導・支援を行ってまいります。
 また、企業との合同面接会につきましては、労働局及び県労働部局等と連携しまして、11月から和歌山、田辺、橋本・伊都地域において実施してまいります。さらに、一般求職者対象の12月のWakayama就職フェア2009におきましても、今年度は高校生にも面接応募の機会が与えられることになりました。
 なお、7月には経済5団体に求人要請を行ってきたところでございますが、重ねて雇用の拡大を図るよう強く要望してまいります。
 さらに、生徒や保護者に過度の不安を感じさせないよう就職情報等の提供や相談活動の充実を図り、生徒が県内外を問わず、みずからの適性を考慮しながら粘り強く就職活動に取り組むよう各学校を指導してまいります。
 県教育委員会といたしましては、今後も関連機関と連携しながら、1人でも多くの生徒の希望がかなうよう取り組んでまいりたいと考えます。
 スポーツ振興についてでございますが、議員御指摘の学校運動部と指導者の問題につきましては、特に中学校の専門指導者が不足してございまして、指導者の適正配置や外部指導者の活用、複数校による合同運動部の促進などに努めてきたところでございます。
 昨年から、きのくにジュニアスポーツ推進事業を立ち上げまして、専門の指導者がいない中学校にテクニカルコーチとして高度な技術指導ができる指導者を8市町23名派遣しております。
 また、子供のスポーツ活動の選択肢を拡大する観点から、中学校の通学区域の弾力化が必要と考えまして、市町村教育委員会代表の検討委員会から提言を受け、ガイドラインを策定いたしまして、来年度からの導入に当たり、各市町村の実情に応じた運用方法や近隣の市町村教育委員会の間での連携・協力について検討いただくこととしてございます。
 総合型地域スポーツクラブにつきましては、現在、県内13市町23クラブが設立されており、今後、総合型クラブが学校運動部がない競技の受け皿となることや中体連主催の大会などへの参加について、関係者の理解を広げていく必要があると考えてございます。
 なお、外部指導者による試合上での指導は、事前に申請することにより、現在は可能となっております。
 今後、学校が地域住民の活動拠点となることや子供のスポーツ活動の機会を保障する視点から、学校と地域スポーツとが互いに補完し、共存できる具体的な連携方策を検討し、平成22年度末までに30市町村に少なくとも1つの総合型スポーツクラブの設立を支援することとしております。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問は、これをもって終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
 次に日程第3、議案の付託について申し上げます。
 議案第132号から議案第149号までは、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
 なお、常任委員会の会場はお手元に配付しておりますので、御了承願います。
 お諮りいたします。9月24日及び25日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 御異議なしと認めます。よって、9月24日及び25日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、9月28日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時40分散会

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