平成21年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

平成21年9月
和歌山県議会定例会会議録
第4号
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議事日程 第4号
 平成21年9月17日(木曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第132号から議案第151号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第132号から議案第151号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(42人)
 1番 泉 正徳
 2番 山本茂博
 3番 前芝雅嗣
 4番 浅井修一郎
 5番 吉井和視
 6番 向井嘉久藏
 7番 門 三佐博
 8番 町田 亘
 9番 服部 一
 10番 平木哲朗
 11番 花田健吉
 12番 須川倍行
 13番 大沢広太郎
 14番 谷 洋一
 15番 平越孝哉
 17番 岸本 健
 18番 川口文章
 19番 尾崎太郎
 20番 藤山将材
 21番 新島 雄
 22番 山下直也
 23番 井出益弘
 24番 宇治田栄蔵
 25番 多田純一
 26番 中 拓哉
 27番 角田秀樹
 29番 山田正彦
 30番 坂本 登
 31番 尾崎要二
 32番 中村裕一
 33番 片桐章浩
 35番 藤本眞利子
 36番 長坂隆司
 38番 小川 武
 39番 冨安民浩
 40番 奥村規子
 41番 山下大輔
 42番 松坂英樹
 43番 藤井健太郎
 44番 雑賀光夫
 45番 野見山 海
 46番 松本貞次
欠席議員(2人)
 28番 江上柳助
 34番 原 日出夫
〔備考〕
 16番 欠員
37番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       曽根義廣
 危機管理監      森 崇
 総務部長       宮地俊明
 企画部長       前硲健作
 環境生活部長     井口悦治
 福祉保健部長     北田佳秀
 商工観光労働部長   永井慶一
 農林水産部長     下林茂文
 県土整備部長     茅野牧夫
 会計管理者      雑賀忠士
 教育委員会委員    寺村多喜
 教育長        山口裕市
 公安委員会委員    大桑いく嗣
 警察本部長      永松健次
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     楠本 隆
 選挙管理委員会委員長 諸木良介
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       藁科善崇
 次長         東岡誠吾
 議事課長       上坊 晃
 議事課副課長     土井敏弘
 議事課課長補佐兼議事班長
            田中健司
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      瀧川泰治
 議事課主査      中村安隆
 総務課長       佐本 明
 調査課長       中井祥之
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  午前10時0分開議
○議長(冨安民浩君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第135号は、職員に関する条例案でありますので、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。
 日程第1、議案第132号から議案第151号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 36番長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 皆さん、おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、以下、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 1つ目に、科学技術研究を生かした農業振興についてであります。
 1つ目、今9月定例会において議案第140号和歌山県新技術創出推進条例案が上程されました。事業者、大学等高等教育研究機関、国、県、市町村のみならず県民や各支援団体がこぞって適切な役割分担を行いながら地域全体で新技術の創出を推進していくための目的、理念、そして県の責務や各関係者の役割がうたわれ、人材育成や資金の確保についての言及がなされていることは大いに評価するものであります。
 さて、文部科学省は、2009年度補正予算として各都道府県に地域産学官共同研究拠点を整備して、産学官連携の総合的な取り組みを加速することによって地域の特性を生かした産学官共同研究を推進するとともに、研究成果の地域企業への展開を図ろうと、具体的には科学技術振興機構(JST)と各都道府県の共同による地域ニーズに合った共同研究や企業の施設、機器、装置の計画に対し、1件5億から30億円のJSTの施設整備補助金の支援を行うものであります。
 本県においても、このJSTの地域産学官共同研究拠点整備事業を受けて、和歌山県産学官共同研究プロジェクト推進センター(仮称)整備構想を掲げ、JSTとの協議も始まったと伺っています。
 本県においては、ちょうど新技術創出推進条例と時期も合った本県の願ってもない起死回生の産業振興飛躍のプロジェクトでありますので、国の動きを地方から見守ってまいりたいと思いますし、本県の地域資源やポテンシャルが生かせるよう、県当局におかれましては、今後JSTとの交渉を実のあるものにしていただきますよう要望させていただきます。
 2番目に、食料自給率の10年後の50%達成をという国家目標が国でも大きく主張されるところであります。
 ちなみに、カロリーベースで日本の2008年の食料自給率は41%と、この2年で微増しているものの、一番消費増が期待された米は1人当たりの年間消費量で59キロと、前年度と比べて2.4キロ減という厳しい結果になっています。
 ちなみに、2003年統計でありますが、海外の食料自給率は、オーストラリアが237%、アメリカ128%、フランス122%、イギリスでも70%であり、主要先進国の中でも日本の低さは際立っています。やはり消費者のニーズに合った食料を国内で供給できる体制を築くため、生産や流通、販売などで多面的な取り組みが求められます。季節や天候に左右されず、場所を選ばずに栽培できて、徹底した生産管理ができる植物工場への企業参入が増加するなど、食の安全や安心への関心の高まりもあり、今をチャンスと農業に参入する企業もふえていますし、世界に向ければ食料需要は大いにあるのに、肝心の供給体制自身が縮小しているのが日本の現状であります。
 9月3日と4日の両日、熊本県へ視察に行ってまいりまして、県産業技術センターの食品加工室と、副社長が熊本県食料産業クラスター協議会の会長を務めておられる熊本製粉株式会社にお邪魔してまいりました。
 熊本製粉さんという企業のクラスター協議会でのさまざまな商品開発におけるすぐれた指導性が熊本県の農業と直結した食品加工を支えていることが実感されました。小麦の新品種ミナミノカオリを生産者とともに研究して100%自社でそれを購入し、おいしいパン用小麦粉を開発して成功をおさめただけでなく、多収穫米の栽培にもかかわってパン用の米粉開発にも成功して、もちもちした食感のパン用米粉の生産を進めておられました。
 和歌山県でも青洲の里においしい米粉製のパン屋さんがありますし、JA紀の里のめっけもん広場でも機械を購入して米粉を使った製造実演のパンが好評と聞いております。多収穫米といった下位等級米の使い道にもなり、小麦価格の高どまりで小麦粉と米粉との価格差も縮まっており、政府の米粉支援施策という後押しもあります。若い新規就農者も徐々にふえ、農業生産法人も大幅にふえていると言います。そんな中、米粉パンのような食品加工技術を活用して地産地消を推進しながら食料自給率向上を目指すといった取り組みが本県においてもますます必要だと思いますが、農林水産部長、いかがですか。
 2点目に、先日9月の12日土曜日に和歌山市内で開催されたフォーラムで、県と県農協連合会、そして県内全農協が出資している社団法人和歌山県農産物加工研究所の稲葉伸也所長の講演を聞かせていただきました。
 昭和57年に設置されて以来、本県の農産物生産状況、とりわけ果実飲料に代表される果実加工の現状分析、そして柿、梅、ハッサク等のかんきつ類といった農産物の機能性の研究と加工品の研究開発にいかに真剣に実績を上げながら取り組んでこられたことかと、深く印象づけられました。また、県産果実を利用した食品開発として、おいしい、健康的、安全、安心、便利といった消費者のニーズに合った加工品を開発するというコンセプトのもとで、県産、地域ブランドへのこだわり、果実、果汁本来のおいしさと健康機能のアピール、新技術の導入、それに県産果実加工品の差別化、高付加価値化について大変強い思い入れを語っていただきました。同じく、サントリーの特定保健用食品開発の講演をされたサントリーウェルネス株式会社の平島常務さんも目をみはるような果汁の高い加工開発技術を、この県農産物加工研究所は持っておられます。
 県は、自身も出資もなされているこの加工研究所を県の公共試験研究機関、大学等の高等教育研究機関あるいは県食品産業界との協力関係の中で、大企業とタイアップした商品開発、それに国の競争的資金を活用してきた食品関連研究事業の商品化と実用化、さらにはすぐれたシーズを持ちながら世になかなか出せないでいる中小食品加工業者との共同研究開発等にもっと活用していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。農林水産部長にお答えいただきます。
 2点目に、和歌山下津港についてであります。
 1点目、我が国の貿易貨物の99.7%は海上輸送で運ばれており、うちコンテナで運ばれる貨物は12%程度で、多くはばら積み貨物船で輸送されるバルク貨物や、タンカーで運ばれる原油等の液体貨物であります。3大バルク貨物には、資源、エネルギー、食料すなわち牛豚の飼料として需要の高いトウモロコシ、食用油などの材料となる大豆といった穀物類がありますが、これらは我が国にとって欠くことのできないものであり、輸入に大部分頼っている現状でありまして、今後もその傾向は続くでしょう。
 そんな中、大量の貨物を一括で輸送し、物流コストを削減しようという動きから、船舶の大型化が急速に進んでいます。2015年にはパナマ運河が拡張され、それを見越して最近ではポストパナマックスと呼ばれるようなばら積み貨物船が登場してきています。中国でも水深25メートルを超えるような岸壁が整備されてきており、今後、原料資源の獲得競争は激化、我が国の産業港湾インフラの整備がおくれてしまうと、原材料の価格高騰や供給不安などの一因となりかねません。日本では、バルク貨物を受け入れする港湾の老朽更新や大型船舶の受け入れ対応は進んでおらず、BRICsを初めとする新興国におくれをとっている状況であります。
 そんな中、コンテナ貨物も国策によって阪神港、京浜港のようなスーパー中枢港湾に集中化されており、和歌山下津港はもともと木材荷役のノウハウを備えた港でありますし、石油鋼管等のばら積み貨物も取り扱っている港湾であり、コンテナ貨物が苦戦している中、むしろばら積み貨物に特化できる特定重要港湾としてのポートセールスが重要でないかと思うわけであります。
 とりわけ和歌山下津港本港区は、本県の主たる外貿埠頭として大きな役割を担うものであります。現下、輸出入等の荷動き状況はまことに厳しいものがありますが、県におかれましては、コンテナ船はもちろんのこと、大型化の進むばら積み貨物船に対応できる水深の確保や岸壁強度の維持といった港湾整備を今後もよろしくお願いいたします。これも要望にかえさせていただきます。
 2点目に、通常、主要な各港湾にはポートラジオ局というものがあります。地方自治体や港湾局が民間業者にポートラジオ業務を委託しており、日本でも全国に27カ所を数えます。ポートラジオは、電波法施行細則及び電波法審査基準により定められた海洋局の総称で、港湾管理業務事務及び入出港船舶の航行の能率化を図るための港湾通信業務を行うことを目的としています。港湾管理情報や保安関連情報、他船情報、バース情報、代理店等関係者情報、気象情報や津波情報などを船舶へ伝えるとともに、船舶の航行状況や入出時間を把握して、港内の各案内担当者や荷受け側へ知らせます。通信に使用されるのは国際VHS無線電話で、16チャンネルが船舶、港湾関連情報専門の周波数として当てられています。
 しかるに、特定重要港湾として18番目の規模を誇る和歌山下津港は、ポートラジオ局がありません。特に外国船との緊急連絡がとれないなどで困る場合が往々にしてあります。港は24時間365日体制で、公用語たる英語が使えることが必須でありまして、施設がないままだと、大切な積み荷を預かる船舶の安全が損なわれてしまうわけであります。特に和歌山県は過去に南海地震やチリ地震で津波の被害も受けておりますし、近い将来の東南海・南海地震発生の確率も高くなっています。単に船の出入りの問題だけでなく、港湾の緊急時の安全確保は最優先されなければならず、ポートラジオ局の設置は喫緊の問題ではないでしょうか。コストを考えましても、和歌山下津港クラスの港だと、カメラの設置と24時間対応できる人材の配置、それに小さい事務所が必要なくらいで、大きなコストはかからないのではないかと思います。港湾管理者たる県の和歌山下津港におけるポートラジオ局設置についてどうお考えか、県土整備部長の御答弁をいただきます。
 3番目に、読書についてであります。
 日ごろついついおっくうになっているのが本を読むことであります。テレビやラジオあるいはパソコンや携帯電話などで一方的に目や耳に飛び込んでくる受け身な状態が大変多い中、たまにする読書というのは非常に新鮮で気分転換になりますし、自分の想像の世界にいつしか引き込まれ、後で何かしら自分の生き方を考えさせられることがあります。それだけ言葉の力というものは大きく、とりわけ子供たちにとって読書は、感性を磨き、自分の知性や理性も鍛えてくれるし、生きていく上での力を与えてくれるものだと思います。特に小説なんかで行間を読む、すなわち作家の気持ちをいかに読むかというのもおもしろいし、想像力を豊かにし、自分で物を考える力になると思います。
 学校から帰ってきて、宿題よりもまずパソコンでインターネットの世界やゲームに興じる子供を見ていると、日本においても活字離れあるいは国語離れが現実に進んでいることは、国として大いに憂慮すべきことではないかと思います。活字離れは、思考が単純化し短絡的になるし、ひいては情緒、感受性も欠落した人間を生み出すことになるのではないでしょうか。
 言葉の力をつけるためには、子供のうちから読書に親しむ、そして家庭や学校で読んだ後の感想を話し合うといったことが大切だと思います。これは何も子供に限ったことではないし、我々大人も実は余り本を読んでいない。大人が本を楽しそうに真剣に読んでいるさまを見て、子供も読書に興味を覚えて、大きな影響を受けるのではないでしょうか。
 国では、子供の読書活動を推進すべく平成12年を子ども読書年とする決議が出され、平成13年12月には子どもの読書活動の推進に関する法律が公布・施行され、平成14年8月にこの法律のもとで国の子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画(第1次基本計画)が策定され、平成20年3月に新たな、子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画が策定されました。その間、平成17年7月には文字・活字文化振興法が成立、平成18年12月には教育基本法が改正されて、平成19年6月に学校教育法等教育関連3法の改正、平成20年6月には社会教育法及び図書館法が改正されました。さらに、平成20年6月に国会において平成22年を国民読書年と定めて、読書への国民機運をさらに高めるため政官民が協力し、国を挙げてあらゆる努力を重ねることが決議されました。
 和歌山県では、平成16年3月に和歌山県子ども読書活動推進計画が策定され、さらに本年3月、第2次推進計画が発表されました。
 そこで質問に移りますが、1つ目、ことし8月27日に公表された今年度の全国学力・学習状況調査、すなわち全国学力テストの結果で、児童生徒が依然として知識の活用を問う問題や記述力に弱い面があることが鮮明となっています。秋田県は今回もトップクラスを維持し、徳島県は小学校国語で大きく順位を上げましたが、徳島では読み聞かせや一斉読書の時間を設けるような取り組みが功を奏したと聞いています。和歌山県では、残念ながら小中学校ともに国語は全国平均を下回る結果に終わっています。読書と国語の学力向上についての関係について、教育長の所見をお聞かせください。
 2点目に、言葉の力をつけることは、実社会に出ても大きな力を発揮することと思います。先般の衆議院議員総選挙に至るプロセスでも言葉の持つ影響力の大きさ、言葉の重要性というものを思い知らされましたし、同時に自戒の念も禁じ得ませんでしたが、読書をすることは、表現力、すなわち話す力と書く力をつけることにも大いに役立つのではないでしょうか。本県の今後の読書教育について、教育長のお考えをお聞かせください。
 これで、第1問目を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する答弁を求めます。
 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 科学技術研究を生かした農業振興についての2点についてお答えをさしていただきます。
 まず、食品加工技術を生かした食料自給率の向上についてということでございますが、食料自給率の向上につきましては、国民への食料の安定供給という観点から、国を挙げて取り組まなければならない課題であるというふうに考えてございます。県といたしましても、地域の特性を生かした果樹、野菜等の食料生産を基本にいたしまして、学校における農作業体験、給食への地場産物の利用拡大、また産地直売所の整備などによりまして、食育あるいは地産地消を推進しているところでございます。
 議員お話しの食品加工の活用につきましては、県の長期総合計画におきまして加工を核としたアグリビジネスの構築を農業振興の重要な柱と位置づけてございまして、本年からスタートをいたしました新農林水産業戦略プロジェクト等におきまして、新たな加工食品の開発や商品化に向けた支援を盛り込んだところでございまして、梅を使ったグラッセや機能性飲料、また飲みやすい柿酢ドリンクなどの開発に向けた取り組みが始まってございます。
 今後ともこのような取り組みを進めるとともに、担い手の育成や優良農地の確保等を含めまして、総合的な食料自給力の向上に努めてまいりたいと考えてございます。
 2点目の社団法人の和歌山県農産物加工研究所の活用についてでございますが、お話ございましたように、昭和57年の設立以来、ジョインブランドという中で果実のジュースを初めといたしまして、県産の農産物を活用した多くの加工製品の開発を行ってございます。近年では、県のうめ研究所との共同研究によりまして梅干しの機能性成分を高める加工技術の開発や県果樹試験場、あるいはまた県立医科大学との共同研究によります柿酢の血圧降下作用に関する調査研究など、多くの成果も上げてございます。
 また、本年度からは、県内外の大学、公的研究機関、一般企業などとともに、文部科学省の都市エリア産学官連携促進事業に参画をいたしまして、梅干しの機能性成分であるポリフェノールを効率的に抽出をし、新たな食品素材とする研究に取り組むこととなってございます。
 県といたしましては、地域資源としての農産物を活用した食品加工の推進は、本県農業の活性化にとりまして非常に重要であるというふうに考えてございます。今後、より一層県農産物加工研究所の持つ高い技術開発力が広く生かされるよう、お話ございましたように、産学官との連携をより強化しながら新たな商品開発などに積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
○議長(冨安民浩君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 和歌山下津港におけるポートラジオ設置についてでございますが、議員御指摘のとおり、ポートラジオにつきましては、入出港する船舶への情報提供による円滑な港湾サービスの確保、港湾内における船舶航行の安全性向上に資するものと認識しております。
 しかしながら、その開設、運営につきましては、費用対効果や民間事業者との連携など、現時点ではまだ課題が多いと考えております。県としましては、まず和歌山下津港の利用向上に向けてポートセールスに努めるとともに、今後の港湾利用の増大や情報通信技術の進歩等を総合的に勘案しながら検討してまいりたいと思います。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 読書と国語の学力向上についてお答えいたします。
 読書は、感性、情緒を豊かにするだけではなく、知識を広げるとともに、論理的な思考力をはぐくむものと認識しております。また、議員御指摘のように、読書は、読む、書く、話す、聞くという国語の能力を高めるとともに、すべての教科等において必要な読解力や表現力の基盤となるものであり、学力の向上にとって極めて重要であると考えます。
 次に、本県の今後の読書教育につきましては、現在、和歌山県子ども読書活動推進計画に基づきまして、学校の読書活動を支援するリサイクル図書寄贈ボランティア活動や全校一斉読書の推進、学校図書館を活用した学習活動の充実などに取り組んでいるところでございます。こうした取り組みは、しっかりと読み、書くことを通して、考える力の基盤となる言葉の力の育成を目指しており、日々の授業や家庭においても読書に親しむ態度や読書習慣を身につけさせることが大切であると考えております。
 今後も学校、家庭、地域が連携を密にしながら読書に親しむ文化をはぐくむとともに、さまざまな文章や資料を読んだり調べたりするなどの多様な活動を積極的に推進してまいります。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再質問を許します。
 36番長坂隆司君。
○長坂隆司君 御答弁をいただきました。
 食料自給率向上につきましては、本県の果樹でも柿やミカンの摘果したもの、落ちて捨て置かれたもの、桃のように少し傷がつくと生果として出荷できないもの、これがかなりの割合になると聞いております。こうしたものをおいしく活用するために食品加工のさらなる充実を図って、ひいては食料自給率を上げていく、これが効果的だと思います。ぜひ、もったいない精神で、傷物とか見た目2級品の加工による活用、これもよろしく検討いただきたいと思います。
 また、清涼飲料水の中で最近果汁飲料については、先ほどのサントリーさんも苦戦していると言われていましたけど、県農産物加工研究所の稲葉所長さんは、100%ものの果汁飲料は現状を維持してるんだと、そういうふうに語っておられました。搾りたてのジュースを例えば駅の売店とかデパートの地下売り場で、例えばドイツ、ミュンヘン駅のホームの生ビール売り場のごとく本物の味を手軽に飲めるような流通販売、そういうものを考えてみてもいいのではないでしょうか。提案がてら要望させていただきます。
 和歌山下津港については、ふだんの備えという意味でポートセールスの意味合いも込めて言及させていただきました。近い将来よろしくお願いします。
 読書につきましては、西高松の県立図書館でも子供たちを引き込もうと、学習室を広げたり、地域の学校の生徒の作品を展示いただいたり、読み聞かせ等で一部開放いただいたりと、いろんな取り組みをされております。読書を推進すべく、子供たちに学校図書館とともに、公立の図書館利用もさらに呼びかけていただきたいなと思います。
 以上、要望させていただきまして、私の一般質問を終わります。
○議長(冨安民浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で長坂隆司君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 40番奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 皆さん、おはようございます。議長のお許しを得ましたので、5項目にわたって質問をさせていただきます。
 第1の項目は、新型インフルエンザ対策の充実についてでございます。
 発生後間もない6月議会においても質問をさせていただきました。今回は国内発生から4カ月たち、現時点では全国的にあちこちで集団感染が発生している状況の中で、感染被害を最小限に食いとめるための予防策について質問をさせていただきます。
 県内では、新型インフルエンザと見られる集団風邪で閉鎖措置をとった学校が8月31日から昨日まで延べ39件、患者数は775人になっていると聞いています。全国では重症者や死亡者まで出ており、油断は禁物です。県の対応は、これまでは個々の発生患者に伴う感染拡大防止に焦点が当てられてきましたが、8月からは患者が急激に増加した場合に、迅速な感染拡大の抑制、緩和のできる対策に移行となっています。具体的には、発熱相談センターと相談窓口にという役割機能に変え、8月1日からは発熱外来を休止し、一般医療機関で外来診療を行うとしています。重症患者については、感染症指定医療機関など以外の一般医療機関においても入院を受け入れるとなりました。
 県内には、第1種感染症指定医療機関がなく、大阪府にお願いをしているという現状が続いています。その上に、和歌山医療圏には第2種感染症指定医療機関もない状況です。平成15年6月の県議会においても指摘されているところですが、将来どのような感染症が発生するかもしれない状況にあって、県民の命を守る立場から早急な解決を要望いたします。
 重症化対策については、一昨日の中議員より質問があり省きますが、特に感染の重症化の防止や予防の観点から予防接種について、福祉保健部長にお尋ねいたします。
 厚生統計協会の「国民衛生の動向2009」には、予防接種の意義として、「予防接種はこれまで、天然痘の根絶をはじめ多くの疾病の流行防止に大きな成果を上げ、感染症による患者の発生や死亡者の大幅な減少をもたらすなど感染対策上きわめて重要な役割を果たしてきた」、また「予防接種により国民全体の免疫水準を維持するために社会全体として一定の接種率を確保することが重要」などと書かれています。したがって、最大限の予防的効果を上げるためにも、新型インフルエンザワクチン接種が必要な県民に滞っておくれることなく準備し、ワクチン接種の優先順位についても県民合意のもとで進めていただきたいと思います。
 特に費用負担については、従来からの季節性インフルエンザの予防接種でさえ、費用負担が大変でとても家族全員できないなど訴えが多い中、ぜひ公費負担で予防接種が受けられるようにしてほしいという声があります。重症化防止のためにも必要な措置ではないでしょうか。お金のあるなしで受けられないということのないようにぜひ考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。福祉保健部長、お答えいただきたいと思います。
 もう1つの問題は、早期受診の問題です。
 感染拡大を避け、重症化防止のために早期に受診できる対策が必要となってきます。乳幼児を抱えたひとり親家庭や核家族で子育てしている人、低年齢で多くのお子さんを持っていられる御家庭の方、障害のある方、乳児を含め子供の多い──済みません。核家族、ひとり暮らしの高齢者などの受診が容易にできるように、各市町村できめ細かく対応できるように県として指導、援助をよろしくお願いしたいと思います。これは要望をしておきたいと思います。
 福祉保健部長に、特に生活困窮者への対応についてお尋ねいたします。
 今、景気悪化の中で雇用の破壊、家計の冷え込み、企業、商店の売り上げ減、景気悪化、さらなる雇用の破壊と、悪循環になっています。全国的に見ても、国民健康保険の保険料が高過ぎて2割の世帯が保険料を払えなくなっていると聞いています。保険料を払いたくても払えず、保険証の持てない無保険の方、資格証明書の方などへの受診しやすい環境づくりの対策強化が必要と考えますが、いかがでしょうか。
 次に、2項目めは看護職員確保対策強化の問題です。
 依然として医療現場は厳しい状況の上に、今後起こるであろうと言われている東南海・南海地震など災害への対応や今起こっている新型インフルエンザなどの感染症への対応など、看護職員は危機管理上も多く求められる人材ではないでしょうか。県としても十分認識していただいていると思いますが、最近気になることは、2交代制勤務を導入しているところがふえてきているということです。長時間労働で現場を維持していこうとするものですが、身体的にも心理的にも社会的にも支障が出てきます。職場にゆとりがなければ突発的な事態にも対応できません。危機管理の上でも思い切った充足対策が必要ではないかと思います。
 医師不足、看護不足は国民的課題になっています。2006年4月、患者7人に看護師1人という手厚い看護の配置基準へと、現場の運動や国民の皆さんの力もあって18年ぶりに改正がされました。この人員配置にすれば病院が受け取る報酬もふえる仕組みです。しかし、絶対的な看護師不足がある上に、前政権の構造改革に基づき診療報酬を総額1兆円も削減されました。ここに、看護師争奪戦が激しくなり、地方や中小病院で看護師不足が一段と深刻になった背景があると考えます。
 2002年の比較ですが、日本の看護師数は100床当たり54人です。アメリカでは233人、イギリスでは224人、ドイツでは109人、他国と比べても大きく立ちおくれています。入院日数が大幅に短縮され、看護の業務量が激増しています。超過密労働になっている原因となっています。県としてもぜひ実態を把握していただきたいと思います。
 そこで、福祉保健部長にお尋ねしておきたいんですが、看護職員確保状況、現在の看護職員確保状況と23年から始まる第7次需給見通し策定について基本的な考え方をお尋ねいたします。
 第3の項目は、子供の医療費自己負担の軽減についてお聞きいたします。
 厚生労働省の第5回21世紀出生児縦断調査結果(2006年11月)では、負担に思う子育て費用の1番目が保育所や幼稚園にかかる費用で、2番目が医療費負担となっています。お母さんたちの声を御紹介いたします。
 あるお母さんは、「毎月1万円から5000円の医療費の出費で大変だ」。月2万円かかると言う人もあります。また、あるお母さんは、「4歳のときに川崎病の不全型と診断されて、毎月病院通いで、無料の時期もあり大変助かったけれど、今は小学校に上がり、また3割負担となり大変です。阪大や京大病院にも行くので交通費も大変。何とか無料にしてほしい」と切実な声が届いています。
 ほかにも、「子供に障害があるので、病院や訓練のため受診を合計すると毎月結構な費用がかかっている。医療費が無料であれば安心して病院にかかることができます。医療費がかかると思うと、少しぐらいのことであれば子供に我慢させてしまう」、胸の痛む声もあります。また、「気管が弱くてこれまで5回も入院を経験しています。いずれも就学前だったので助かりました。今も気をつけて、こじらす前に早目に受診をしていますが、医療費が高く、数日様子を見たりして、すぐに受診しないときもあります。障害を持つ子供は通常の検診を受けてもちゃんとした結果が得られないので、改めて専門医の受診となって、結果的に異常がなくても専門医の受診によって1000円から2500円の出費になります。もう1人の子供については、ことしの5月から6月、眼科、耳鼻科、歯科にかかり6000円の出費です。この先不安で不安でたまりません」と訴えられています。
 知事は、このような実態をどのようにお感じになるでしょうか。お答えいただきたいと思います。そして、ぜひ安心して子育てができるように、中学を卒業するまで医療費の無料化を拡充するように国に求めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。知事にお尋ねいたします。
 第4の項目についてです。介護・福祉職員の待遇改善について。
 高過ぎる介護保険料や利用料、在宅介護での介護サービスの利用制限、多くの特養老人ホーム待機者など、介護地獄が解決されずに痛ましい事件が続いています。経済的理由で介護を受けられない人をなくすため、介護保険への国庫負担割合を引き上げ、国の制度として保険料、利用料の減免制度をつくっていただきたいと私は考えています。
 4月から変わった要介護認定は大変不評でした。大きな見直しを迫られました。私は、要介護認定制度や利用限度額は廃止して、現場の専門家の判断で必要な介護が提供できるようにすべきだと思っています。介護施設などの整備を進め、安心して利用できる介護制度への抜本的見直しは待ったなしの緊急課題だと思います。
 また、障害を持っている人も安心して過ごせるように、障害者に負担を求めるような自立支援法は廃止すべきだと思います。障害者の福祉や医療は、本来、利用料の負担を求めるべきものではありません。介護労働者や障害福祉労働者の賃金アップは、まず人間らしい生活ができるように公費投入をすべきという考えに立って、以下、福祉保健部長に質問をさせていただきます。
 今回打ち出された臨時特例交付金事業を大いに活用すべきと思います。現在、この介護職員処遇改善等臨時特例基金、障害者自立支援対策臨時特例基金活用状況はいかがでしょうか。現場では、書類作成が大変だ、対象が限られているなど制約があり、申請に時間がかかっているようです。もっと活用できるよう事業所への周知徹底と指導援助の強化が必要と考えますが、いかがでしょうか。そして、介護報酬の引き上げなど、抜本的改善が必要と考えますが、ぜひこの問題も引き続いて国に求めていただきたいと思います。福祉保健部長、お答えください。
 最後に、第5の項目について要望しておきたいと思います。核兵器廃絶宣言の県民へのアピールについてです。
 私は、高校生のときに修学旅行にかわって現地教育の一環で初めて広島平和記念資料館を訪れました。そして、原子爆弾によって人影しか残らなかった写真や、焼けただれ苦しみながら息絶えた人々のことを知りました。広島、長崎原爆死者21万人です。人が人を殺す、絶対あってはいけないことだと強く思いました。原爆被災者の方は今も苦しみと不安と怒りの中にありながら、「語り継がねばならない」と命を燃やしています。戦争や被爆体験がなくても、私たちは核兵器の残酷さや恐ろしさをしっかりと聞き取り、若い世代に伝えていかなければなりません。
 和歌山県議会では、平成10年6月8日、「核実験の禁止及び核兵器の廃絶を求める決議」と、同年6月24日、核兵器廃絶平和県を宣言しています。11年経ても、今も2万6000発の核兵器が世界の平和と安全を脅かしている状況です。オバマ・アメリカ大統領は、4月、プラハにおいて、核兵器のない世界を追求すること、米国の国家目標にすると宣言しました。核兵器廃絶に向けた世界の人々に協力を呼びかけています。来年の2010年には、核不拡散条約再検討会議がニューヨークで開催されます。核保有国によって核兵器廃絶への明確な約束が再確認されるように切に望むものです。ぜひ県としても、県民に向けて、また世界に向けてさらに核兵器廃絶宣言の取り組みを広げていただけますように要望して、第1回目の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの奥村規子君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 子供の医療費自己負担の軽減についてでございます。
 私も、議員御提言のように、福祉については手厚くしたいという思いは強うございます。特に子育ての応援になる政策につきましては、特にその思いが強いわけであります。これまでは少子化対策に力を入れてまいりまして、例えば3人目のお子さんの保育園の無料化とか、そういうようなことを頑張ってまいりました。
 それから、県単医療、恵まれないいわゆる弱者というんでしょうか、そういう方に対する県単医療についても、財政がきつかったんですけども、何とか守ることができました。ただ、守ることができたのが精いっぱいでありまして、本県の厳しい財政状況を考えますと、これ以上は難しかったというのが現状であります。
 もし国が一律に制度を運用するというのであれば、いろんな手だてがあると思います。財政的にも、例えば赤字国債を出すということも国はできるけれども、県はできないというような、そういう事情があります。このたび誕生した新政権では、小児医療の自己負担軽減や、あるいは子ども手当の創設等がマニフェストにおける目標になっておりますので、子育て家庭の支援につながればと期待しております。
 県といたしましては、今後の国の動きを十分注視しながら、より有効な子育て支援策が導き出されるよう、時期を逸することなく働きかけをしてまいりたいと考えております。
○議長(冨安民浩君) 福祉保健部長北田佳秀君。
  〔北田佳秀君、登壇〕
○福祉保健部長(北田佳秀君) 新型インフルエンザ対策の充実、看護職員確保対策の強化、介護・福祉職員の待遇改善の3点についてお答えいたします。
 まず最初に、新型インフルエンザ対策の充実のうち、予防的効果を上げるためのワクチン接種を公費負担にできないかとの御質問でございます。
 今般の新型インフルエンザのワクチン接種体制につきましては、確保できるワクチンの量が限定されていることから、国においてワクチンの一元的な確保や接種を行う医療機関との契約などを統一的に進める方針であると聞いております。また、ワクチン接種に当たっては、予防接種法に基づかない任意接種とする方針であることから、接種者からの実費相当額の徴収、低所得者に対する負担軽減策などが検討されている状況であり、今後国の対応を注視してまいります。
 なお、接種に当たっては、国から示される優先順位に基づき、接種を希望される方々に対して計画的に接種できる体制を医師会、病院協会等の協力をいただきながら構築してまいりたいと考えております。
 次に、無保険や資格証明書に対する県としての対策でございます。
 特別の事情がないにもかかわらず、保険料を1年以上滞納し、被保険者資格証明書を交付されている方から、新型インフルエンザにより緊急に医療機関を受診する必要が生じ、かつ医療費の一時払いが困難である旨の相談があった場合には、市町村に対して速やかに短期被保険者証を交付するよう指導しております。
 次に、失業等により無保険となった方から受診の相談があった場合には、国民健康保険に加入するよう勧奨し、必要に応じて保険料の分割納付や徴収猶予、減免を行うよう市町村を指導しております。
 次に、看護職員の確保状況についてでございますが、国の看護職員業務従事者届によりますと、平成20年末の県内で就業している看護職員は1万2486人で、平成16年の調査から900人増加しております。しかしながら、第6次看護職員需給見通しでは平成22年には711人が不足する見通しであり、看護職員の確保対策は喫緊の課題であると考えております。
 県といたしましては、看護職員の確保のため、看護学校養成所に対する運営費補助や看護学生を対象とした修学資金の貸与、またナースバンク事業による就業のあっせん、さらには安心して働ける環境づくりのための院内保育所の設置促進、専門分野に応じた研修の実施など、養成力確保、就業促進、離職防止、資質向上を4本柱として、量と質の両面にわたり取り組んでいるところです。
 さらに、看護師等の有資格者で働く意欲のある潜在看護職員が復職できるような支援方策についても検討しております。
 次に、第7次看護職員需給見通しにつきましては、平成23年から27年の5年間を対象としており、本年10月から策定作業を進める予定です。策定に当たりましては、看護を取り巻く状況の変化を踏まえ、勤務環境の改善等を見込んだ看護職員の需給見通しについて調査することとしております。
 なお、調査に当たっては、現場の声を反映させた基礎資料となるよう策定に取り組んでまいります。
 最後に、介護・福祉職員の待遇改善についてでございますが、本年4月より介護や障害福祉における報酬がそれぞれ3%、5.1%プラス改定されたところです。また、今回の臨時特例交付金事業により、さらなる介護・福祉職員の待遇改善を図るべく、8月に県内2カ所で事業者に対し説明会を行ったほか、県ホームページへの掲載などを通じ、申請事務の指導や周知を行ってきたところです。
 現在は、事業所からの問い合わせに適切に対応しながら処遇改善計画書の申請受け付けを行っているところであり、承認を受けた事業者に対しましては、本年12月以降、交付金が支払われ、順次計画書に沿って処遇改善が図られてくるものと考えております。
 また、未申請の事業者に対しましては、文書等により再度の周知を図ることとしております。
 介護・福祉職員の処遇改善につきましては、国において引き続き推進されるものと考えておりますが、次期報酬改定においては介護労働等を適正に評価した報酬とすることなどにつきまして、今後とも国に対し要望してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ございません」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再質問を許します。
 40番奥村規子君。
○奥村規子君 御答弁ありがとうございました。
 知事に再度、子供の医療費の件で質問をさせていただきたいんですけど、子供の医療費、軽減するということは、非常に知事も努力をして、和歌山県としても努力していただいているというのはよくわかるんですが、子育て、この子供医療費の問題は、少子化対策ということでなくって、やはり子供の権利を守るというその立場から私はやっていかなあかんことじゃないかなと思てるんですが、その点、いかがでしょうか。
○議長(冨安民浩君) 再質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 子供の権利を守るというか、子供を大事にするという点からも評価すべき政策だというふうに考えます。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「はい」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再々質問を許します。
 40番奥村規子君。
○奥村規子君 総合計画で子育てナンバーワンを目指すというのは、非常に子育てしている保護者の皆さんが勇気づけられ、期待もしているところなんですが、このことに限って現状を言えば、都道府県の助成制度というのが、2001年の1月時点ですけども、外来について就学前まで助成対象としていたのは秋田県だけで、入院についても青森、秋田、千葉、神奈川といういろいろと11府県だけだったのが、現在はやはり外来について就学前まで助成対象とする都道府県が35都道府県、入院については43都道府県に広がってきてると。こういった中で、中学卒業までを対象とする都府県も外来は10月から、東京は11月からとかいろいろちょっと広がってきてるので、そういった点も含めてぜひまた県としても国に求める中で、その財源をさらにまた県として助成制度の対象を広げていくと、そういうようなことで考えていただきたいなというふうに思っています。
 子供を育てるということで大変なのは、やはり病気を持った子供さんを育てるというのは、今非常に家計の収入が大変な状況の中で、全く働けないと。お母さんが働きに行けないとか、そういった状況になります。そういう意味では、ただ単に医療費ということだけでなくって、その御家庭が成り立っていかないという声もよく聞いていますので、ぜひ今後とも国に求めていっていただきたいなということをよろしくお願いしたいと思います。
 あと何点か要望なんですけども、最後の第5項目の核兵器廃絶平和県宣言というのが、私もこれについては改めて知ったことなんですけど、平成10年6月24日、和歌山県議会でされています。これ、改めて読ませていただきたいんですが、「核兵器を廃絶し、恒久平和を実現することは、唯一の被爆国である我が国はもとより人類共通の悲願である。 現在、世界には、地球上のすべてを破壊して余りある核兵器が貯蔵されており、人類は常に核戦争の脅威にさらされている。 和歌山県議会は、人類永遠の平和確立のため、いかなる核兵器も廃絶するよう強く訴え、県民の総意として、ここに核兵器廃絶平和県を宣言する」ということになっています。
 こういった平和宣言を県議会としてやってることを尊重していただいて、やはり和歌山県でも被爆者の方たちが記録集をつくったりされているそういう本を新入の職員さんにもぜひ見ていただいて、こういった事実を伝えていくということを県としてもやっていただけたらなということを思っています。
 また、平和の宣言をしているというようなモニュメントなんかも、他県や和歌山県内でも市町村でも、やっぱり平和宣言の都市ということで宣言されて、どこから来てもわかるようなそういったものが、碑が建てられたりしてるところもありますし、そういう意味でも県庁というのか、和歌山県としても県民に向けてそういった意思が伝わるような、そういったことを今後とも考えていっていただきたいなというふうに思っています。
 もう1つは看護職員のことですが、このことについて本当にこれ、県レベルだけで努力してもなかなかいかんことだと思いますし、県としては本当に頑張っていろいろな看護対策、看護職員確保ということでされてると思うんですが、やっぱり医療の根本的な診療報酬がなかなか引き上げられない、反対に削減されてきたという、そういう根本的な大きな問題があることを私は認識してるんですけども、そういう中でも本当に和歌山県として今後とも努力していっていただきたいのと、今度、第7次の看護職員の需給見通しということが策定をしなければならないということで国からも来てると思うんですが、それを今度は23年度からつくるに際して、やはり実態──看護現場、そういう病院の現場も含めて、いろんな介護職場の現場や福祉職場も含めて、実態がやっぱりどうなってるかがぜひわかるように、把握できるような資料を集めるための努力をぜひしていただきたいなと思いますので、これは要望です。よろしくお願いします。
 以上、要望して終わります。
○議長(冨安民浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で奥村規子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時11分休憩
────────────────────
  午後1時1分再開
○副議長(坂本 登君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 12番須川倍行君。
  〔須川倍行君、登壇〕(拍手)
○須川倍行君 先進地事例の御報告を申し上げるときには、写真を資料として添えたほうがより一層質問の内容がわかりやすいんじゃないかということに気づきましたもんで、今回もたくさん写真の資料を添えさしてもらってます。どうか御参照いただければ幸いです。
 それでは、質問に入ります。
 十和田の奥入瀬渓谷、紅葉の季節はとってもきれいで観光客も非常に多いところなんですけど、行ったことのない方はぜひ一度行っていただければなあと思いますんで。
 まず、皆様に、新宮市の初代名誉市民である佐藤春夫先生について紹介させていただきます。敬称は略させていただきます。
 佐藤春夫は、明治25年、和歌山県東牟婁郡新宮町に生まれました。医師である父・豊太郎が文芸にも造詣が深く、また当時木材業で栄えた新宮には、大石誠之助、西村伊作、沖野岩三郎ら先進的な文化人が活発に活動しており、そうした環境の中で春夫は文学少年として成長していったと言われます。
 明治43年、中学卒業と同時に上京、慶應義塾大学予科文学部に入りますが、後に中退。雑誌「三田文学」、「スバル」などに詩歌を発表、また、「西班牙犬の家」を発表してその才能が注目されつつありましたが、大正7年、谷崎潤一郎の推挙により文壇に登場。以来、「田園の憂鬱」、「お絹とその兄弟」、「美しき町」などの作品を次々に発表して、たちまち新進流行作家となり、芥川龍之介と並んで時代を担う2大作家と目されるようになりました。
 その著作は多様多彩で、詩歌、小説、紀行文、戯曲、評伝、自伝、研究、随筆、評論、童話、民話取材のもの、外国児童文学翻訳など、あらゆるジャンルにわたっています。また、詩人、作家として文化勲章を受章するなど、ふるさとを愛した望郷詩人であります。もちろん、新宮市歌も春夫が作詞したものです。
 昭和39年5月6日、自宅でラジオ録音中、心筋梗塞のため72歳で死去しました。
 新宮市では、佐藤春夫が市民の敬愛する人として、長年の功労を顕彰する強い思いがかない、東京の邸宅を新宮市に移築し、平成元年11月に記念館として開館しています。この建物は、昭和2年、東京都文京区関口町に建てられ、昭和39年、春夫が72歳で亡くなるまでを過ごした家で、設計は大石七分、同じく新宮出身で、東京にある文化学院を創設した教育者であり、建築家でもある西村伊作の弟であります。
 さて、本題に入ります。
 本年5月14日、新宮市議会議員7名一行が青森県十和田市を視察いたしました。視察の目的は、十和田八幡平国立公園の奥入瀬渓流の魅力を詩歌「奥入瀬渓谷の賦」で賛美した詩人・佐藤春夫の詩碑があるということをデーリー東北新聞社の報道で知ったのがきっかけでした。
 当日、詩碑に詳しい湖畔休屋の土産物店経営の鈴木博さんの案内で視察されたそうです。詩碑は銚子大滝付近の遊歩道から外れたところにあり、天然石に詩文が刻まれています。
 昭和28年、国立公園指定15周年記念事業として十和田湖湖畔休屋の「乙女の像」と同じ日に除幕式が行われたようです。しかし、十和田湖のシンボルである「乙女の像」と除幕されながら訪れる人もなく、奥入瀬渓流の銚子大滝付近に埋もれていた詩碑もこの鈴木さんが54年ぶりに確認、発見されたもので、詩が掘られた天然岩の周囲は草木が生い茂り、容易に人が近づけないありさまで、鈴木さんは、せっかくの貴重な詩碑を多くの観光客にも見てもらいたいと整備を訴え続けていると言われています。
 詩碑は、銚子大滝下流約100メートルの遊歩道から約20メートル離れた天然の岩にあり、佐藤春夫の直筆の詩が彫られています。その大きな岸壁は、佐藤春夫みずからが探し当てたものだそうです。「おちたぎり 急ぎ流るる なかなかに 見つつ悲しき 行きゆきて 野川と濁る 汝が末を 我し知れれば」と刻まれています。
 新宮市議会一行も何とかしなければとの思いを強くしたようでありますし、整備しようとする場所は距離的にも短いので何とかならないかという悔しい思いをして帰ってきたそうであります。また、春夫がこの地を訪れた経緯やそのときの心境、また地域の人の春夫の詩碑に対する熱い思いに触れ、「十和田では春夫に対して手厚くしていただいている印象を受けた。今回の訪問を第1に、行く行くお互いの都市の交流が盛んになれば」と期待しつつ、市長に視察内容を報告したそうであります。
 その後、7月11日、佐藤新宮市長も初めて十和田市を訪問し、渓流の銚子大滝付近の天然石に刻まれた「奥入瀬渓谷の賦」の詩碑を視察し、翌日、小山田久十和田市長と懇談し、お互いが今後とも文化的な交流を活発にするという前向きな姿勢が確認されています。
 ここで、十和田での春夫のエピソードを少し紹介します。
 佐藤春夫といえば、当時は大変に有名な詩人で、三本木高校の校歌の作詞をお願いすることになり、校長が2度にわたって上京し、お願いしてもだめだったそうで、とうとう3回目には当時の生徒会長まで一緒に陳情に行き、こうした関係者の熱意がついに大詩人の心を動かし、佐藤春夫の承諾をようやく得る運びとなったのだそうです。こうして三本木高校の新校歌は昭和26年2月に完成。ぎりぎり3月に校歌制定に奔走した生徒たちを新校歌で見送ることができたと言われています。
 さて、昭和26年の5月の末、佐藤春夫が新校歌発表会の席に、右足が不自由であったにもかかわらず、御夫婦でわざわざ三本木高校を訪れたそうです。実はこの三本木高校と佐藤春夫の出会いによって、青森県にとって重要な記念像、そして新たな音楽作品が後に十和田の地に生み落とされることになるのです。
 三本木高校の校長の案内で、十和田湖の大自然に佐藤春夫は触れることになりました。遊覧船で子ノ口から休屋まで行き、校長らが十和田湖についてあれこれ説明したところ、佐藤春夫は少し不機嫌な表情となり、「黙っていてくれませんか。自然の英知をかみしめていたいのです」と厳しく一喝されたそうです。このとき十和田湖の湖面をじっと見詰めていたそうです。そして、最後に遊覧船をおりるとき、「これだけの自然が残っているとは」と一言ぽつりと語ったと言います。こうして大変な感銘をこのとき十和田の大自然から受けたと、佐藤は後に語ることになるのです。
 帰途、佐藤春夫は太宰治とも親交があったため、太宰氏の兄であった津島文治青森県知事に会い、打ち解けた関係をつくったと言います。
 昭和28年、十和田国立公園指定15周年を記念して、十和田湖を世に紹介した3人の功労者を顕彰する記念モニュメントを制作する話が進められていたようです。この顕彰記念碑制作の依頼をするため、当時副知事であった横山武夫氏がある芸術家とコンタクトをとっていました。その人の名は高村光太郎。当時高村氏は妻の智恵子を亡くし、一切の芸術活動から遠ざかり、岩手県の山中、太田村に引きこもっていたそうです。その高村氏に横山副知事が幾度も依頼しますが、承諾を得ることができなかったそうです。
 こうした状況に強力な味方があらわれるのです。それが佐藤春夫でした。佐藤春夫は、高村氏と親交が厚く、高村氏の説得役を引き受けてくれたわけであります。不自由な体をいとうことなく、佐藤春夫は昭和27年の7月、わざわざこのためだけに太田村近くの志戸平温泉に行き、高村氏と会うこととなり、春夫の説得を聞き入れ、高村氏は「十和田湖の自然が自分の創作意欲をかき立ててくれたならやりましょう」と、ついに重い腰を上げることになったそうです。
 昭和27年、高村光太郎氏は詩人の草野心平氏らとともに十和田湖を訪れ、十和田湖の大自然にたちまち心を奪われたようです。そのときの感動を彼は「十和田湖は永遠に汚れを知らない乙女の姿である」と語ったと言われています。そして、ついに「乙女の像」の制作に取り組むこととなったのでした。
 余り知られていませんが、十和田湖の象徴である「乙女の像」制作の背後に佐藤春夫の尽力があり、彼の高村氏への働きかけがなかったら恐らく「乙女の像」は生まれなかっただろうと言われています。
 さて、「乙女の像」の完成に佐藤氏もお祝いとして詩を青森県に寄託することとなりました。それが「湖畔の乙女」です。「乙女の像」が2人対峙しているのは、十和田湖で高村氏が船に乗ったときに湖水に映った自分の姿からの発想だと言われています。「乙女の像」の肉体的モデルは、当時25歳前後のプロのモデルの藤井照子さんですが、顔は亡き妻・智恵子さんの面影をとどめているそうです。
 ところで、佐藤春夫の「湖畔の乙女」ですが、春夫と関係の深い三本木高校の生徒たちに歌ってもらいたいという希望が出て、ついに完成した曲は、昭和28年の10月21日、「乙女の像」除幕式で歌われることになり、三本木高校30名ほどの女子音楽部の皆様による「湖畔の乙女」の歌で「乙女の像」が除幕されたそうです。その歌を来賓席で佐藤春夫、そして高村光太郎氏が、さらには、はかま姿の詩人・草野心平氏が聞き入っていたそうです。
 この3年後、「乙女の像」に精魂を傾けた高村氏は世を去りました。高村氏にとってこれは最後の大きな仕事で、その遺作となった像が十和田湖畔に「湖畔の乙女」の歌とともに誕生。それ以来、この「乙女の像」は十和田湖の象徴となってきたと言えます。
 このように春夫が十和田のために尽力した経緯から、十和田湖畔の観光業者の一部からは、春夫の詩碑であればそれなりの観光資源となるはずなのに、なぜ忘れ去られたのかと。詩碑がこけや草木に覆われている状況を見て、詩碑の周辺整備を求める声が上がっています。しかし、岩には無許可で詩が掘られた可能性が高いということで、青森県は整備に慎重な構えを示しているとも言われています。
 また、周辺整備が原因かどうかわかりませんが、2003年8月に遊歩道沿いの女性観光客が昼食中にブナの枝が落下し、女性が下半身不随の重傷を負い、国と県を相手取り損害賠償の訴訟を起こし、裁判中とも聞いております。これも慎重な構えになっている原因の1つかもしれませんが、管理面について世界遺産の私たちの県でも起こり得る話だなと思いました。
 先ほどから述べたように、十和田八幡平国立公園の奥入瀬渓流を詩碑で賛美した文人・佐藤春夫の縁で、十和田市と春夫の生誕地、和歌山県新宮市が文化交流を進める動きも出ています。また、観光関係者を中心に春夫の詩碑の存在をPRしようという動きが持ち上がってきており、先ほどの理由も手伝って、佐藤春陽新宮市長は、7月12日、十和田市で小山田久市長と懇談し、ともに今後の交流に前向きな姿勢を見せています。十和田市では、世界文化遺産熊野古道の玄関口として知られる新宮市との交流は、日本有数の自然観光地である十和田湖と奥入瀬渓流を抱える十和田市にとっても有意義であると言われています。
 そこで、県当局にお尋ねしたいと思います。「奥入瀬渓流の賦」の歌碑は、詩人の春夫がこの渓谷のすばらしさ、自然のすばらしさを詩に歌い、いつまでもその姿であってほしいとの願いが込められているものと思うのです。郷土が生んだ偉人である佐藤春夫が取り持つ縁を契機として、青森県との文化交流や地域間交流のための情報交換を進めていくことや、新宮市と十和田市との間で進められているような文化交流が一層深まるよう、県においても支援はできないものか、仁坂知事のお考えをお聞かせください。
 次の質問に入ります。
 高野・熊野が世界遺産登録されてから本年で5年が経過いたしました。県から出された平成20年和歌山県観光客動態調査報告書を見てみますと、宿泊客、日帰り客とも県全体として過去最高を記録した平成19年に少し及ばなかったものの、高野山や本宮などの世界遺産登録地域では、宿泊客、日帰り客ともに引き続き好調ということで、これは和歌山県の歴史、文化、そして豊かな自然の魅力が全国に浸透しつつあるというあかしであり、都市と山村の交流という視点からもまことにすばらしい成果であると考えているところです。
 しかしながら、一方でこのような観光客が好調な地域もあれば、そうでない地域もあります。世界遺産登録に係る市町村別の入り込み客の推移を見ますと、特に旧熊野川町については世界遺産に登録される前年の平成15年と平成20年を比べますと77%まで減少しています。これは世界遺産登録市町村の中で最も高い減少率となっています。これについてはさまざまな理由が考えられるところですが、やはり地域の魅力を発信する拠点となる施設が少ないことが原因ではないかと私は考えております。
 御存じのとおり、熊野川町には、その名が示すとおり、太古の昔より神々しい美しさをたたえる熊野川が流れております。この清流を活用し、平成17年から熊野川町田長の道の駅下の河原から速玉大社裏の河原まで川舟下りが行われております。私も、これまで議会において幾度となくこの川舟下りの充実に向けたさまざまなお話をしてまいりました。おかげをもちまして、これまで2万人近くの方々が利用していただいており、大変ありがたく思っているところです。
 この川舟からは、満々とした水をたたえた熊野川を眼前にしながら、少し距離を置いてゆっくりとした時間の中で緑あふれる樹木が茂る山々を堪能することができます。いわば川舟は熊野川町の持つ川の自然という魅力を満喫できる施設と言えます。また一方、熊野川町の山に一歩足を踏み入れますと、肥沃な森林土壌と全国屈指の降雨量によって育てられた雄々しい樹木が生い茂っています。場所によっては巨木群が林立し、いにしえの神々をほうふつさせるような人を寄せつけない荒々しい自然を感じさせる森もあります。このいわば山の自然という魅力も熊野川町にはあると思います。
 しかしながら、私は、この山の自然を訪れた人に十分に味わっていただくための施設がないと感じておりました。私は、学童や中高年齢層の方々を険しい森林内に安全に案内する施設として乗用モノレールが適していると考えております。
 実は、森林内に設置する乗用モノレールにつきましては、徳島県に優良な先進事例がありまして、去る7月22日に新宮市議会の産業振興対策特別委員会の方々とともに調査に行ってまいりましたので、ここで御紹介、御報告をさせていただきたいと思います。
 概要から申しますと、当施設は名称を「奥祖谷観光周遊モノレール」と言いまして、徳島県の三好市において市が事業主体となり、平成18年度に事業費約2億9000万円をかけて整備を行った4600メートルの森林を周遊するモノレールです。4600メートルの長さは全国一と聞いております。
 このモノレールは、遠く剣山を望む山ろくにおいて標高790メートルから1380メートルの約600メートルの標高差を周遊する形で設置されています。周遊の所要時間は1時間6分となっており、2名乗りの台車が全部で15台ありました。モノレールの利用者数は、平成19年度、20年度ともそれぞれ約1万2000人であり、売り上げは年間約1600万円、雇用は4人で、年間の人件費、維持管理、電気代等計約1000万円の必要経費となっていますので、黒字経営ということであります。
 シーズン中は利用客が非常に多く、待ち時間が長いことから地元の新聞に苦情の記事が載ったこともあると、三好市役所の方から聞きました。私も乗ってみたんですが、この地域は昔から余り人が入っていない森林で、いわゆる手つかずの自然が残されており、本物の自然という感じがして見ごたえがありました。先ほども申し上げましたが、標高差が約600メートルもあり、山の下のほうと上のほうでは植生が違っておりまして、ゆっくりと移動するので植生の移り変わりがよくわかりました。
 また、周遊する森林のほとんどが広葉樹などの豊かな自然林であったこと、さらに山頂付近では湧水などによる大きな湿地が広がるなど、森林地形が変化に富んでいて、約70分間の乗車時間は長く感じませんでした。利用者数の多さや森林の魅力を満喫できる点などから、うまく成功させていると思うと同時に、熊野地域においても世界遺産への観光客が堅調なことや、豊かな森林、自然が残されていることなど、こちらに引けをとらないポテンシャルがあると考えます。
 徳島市から大体車で2時間半強かかるんです。高速道路をおりてからが1時間半ぐらいかかるんですけど、私が行ったときは大型バスだったもので、インターをおりてから3時間ぐらいかかったわけです。なぜかというと、とにかく道路がむちゃくちゃ狭くて曲がりくねってまして、ぱっと右を見ると断崖絶壁なわけなんです。物すごいスリルがあるんです。恐怖感もあるんです。そういった道をずっと通っていくんで、これは物すごく観光地としては非常に不便なとこだなと感じました。その点から考えると、熊野は、道はここに比べるとずっといいんで、かなりの集客力アップは見込めると思うんです。
 それから、ここは周辺の観光名所といっても、祖谷のかずら橋とか奥祖谷の二重かずら橋、そういったとこぐらいなんですよね、観光名所といっても。ほかにあんまり見るとこがないのに、どうしてこんなに人が来ているんかなと思うのと、それからこのモノレール施設の隣に宿泊地があるんですけど、この写真にもありますけど、これは恐らく三好市役所の3セクのようなもんだと思うんですが、中はもうふんだんに木材を使ってる、もう木材でほとんどできてる宿泊地という感じで、料金は2人で泊まると1泊1万3800円、2食込み。食事も大変おいしかったです。ほかにも5~6名の観光客の方が泊まっていました。ここはちょっと採算的には余りとれてないのかなというお話がありましたけれども、先ほども申し上げました川舟下りと連携をして、相乗効果を図れるような形で森林の魅力を大いに生かすことにより、観光にも視点を置いた山村地域の活性化に効果を発揮すると考えます。
 そこで、この乗用モノレールのような自然を見せる仕組みづくりを念頭に置きながら、森林を生かすことにより地域振興を図ることについて、仁坂知事のお考えをお尋ねいたします。
 以上で、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの須川倍行君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 佐藤春夫さんは、ちょっとまた議員に倣いまして敬称略で言わせていただきますと、佐藤春夫は、我が国を代表する大文学者、詩人として、大正、昭和の文学界に大きな足跡を残す偉人でありまして、和歌山県の誇りであります。和歌山県では、この文豪の偉業をたたえ、平成17年以来、県のすぐれた先人として「きのくに志学館」にて顕彰事業を行ってるところであります。
 今回、同氏の詩碑が残されていることを契機に、出身地である新宮市と十和田市との間で交流に取り組まれているということについては、共通の文化やあるいは歴史的な資産を背景として地域の活性化や魅力の向上につなげていく試みでありまして、大変すばらしいことであると考えます。県といたしましても、こうした両市間の交流の深まりを注視しながら、この交流を促進する上で必要なことがあれば、青森県との情報交換など適切に対応してまいりたいと存じます。
 まず手始めに、今度、知事会等々で青森県知事に会いましたら、そのことを深く、申し上げておきたい、印象に残してもらうように申し上げておきたいと考えております。
 それから、熊野地域での森林周遊モノレールでございます。
 これも日本の原郷と言われる熊野は、自然と人間の営みによって形成された景観が評価されて世界遺産登録された地域でありまして、森林や渓谷、河川など豊かな資源に恵まれ、一方、古くからウバメガシを使った備長炭の生産やいかだ流しによる木材輸送の技術など、自然と共生した独自の地域文化を形づくってまいりました。
 このような豊かな自然と文化をしっかりと守り、生かしていくことが熊野地域の観光交流を進める上で重要であると考えておりまして、これまで熊野古道の整備あるいは熊野川川舟の運航を初め、都市と山村の交流施設の整備などに努めてきたところであります。
 また、特に川舟などに見られるように、地元の方々がこれを盛り立てていこうという機運が大変強いということもよく承知しておりまして、ありがたいことだと思うとともに、応援をしなきゃいかんというふうに思っております。
 議員御提案のお話につきましては、自然保護や景観保全の観点から留意すべきこともあるけれども、それから、ちゃんと採算がとれるかとか、観光客がどのぐらい来てくれるかとか、地元自治体が、議員御指摘のあるように、どういうふうに関与してくださるかとか、そういうことがあろうと思いますけれども、モノレールというものに着目して、それで観光客に魅力を提供しようというのは、基本的には大変いいアイデアだと思います。
 私も実は、北大の古座川の演習林がありまして、そこに行かしていただいたときに、学生が乗って山奥に行くそのモノレールに乗せてもらいました。ここは太古の原生林の中を通るモノレールでありましたので、ちょっとほかでは見られないような大変立派な雰囲気があったと思います。観光客もこれなら喜ぶなというふうに思いましたが、これは学術用でございますので、そのまま観光客用にというわけにはいかないと思います。同じようなものがあれば、宣伝のしようによっては採算がとれてはやるかもしれないなという感じは持っております。ただ、本当にそうかどうか。それは地元の方々がいろいろ考えて、それでどのぐらいそれをやろうとしていらっしゃるかと、そういうことによってくるんじゃないかなと考えております。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 以上で、須川倍行君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後1時28分散会

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