平成21年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(山下直也議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前10時0分開議
○議長(冨安民浩君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第132号から議案第151号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 22番山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 おはようございます。ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 今回、教育の充実と振興を願い、私自身の経験も取り入れ、教育行政について3項目にわたり一般質問をさせていただきたいと存じます。
 では、早速質問に入ります。
 「教育は国家百年の大計」であると言われております。100年という3~4世代にわたる長い物差しで見なければならない、そういう重要なものであると私は考えます。また、近年、教育における不易と流行、すなわち教育において普遍的にいつの時代においても大切にしなければならないことと、時代に即応、対応していかなければならないことがよく議論されているところであります。
 教育は、人格の完成を目指し、個性を尊重しつつ個人の能力を伸ばし、自立した人間を育て、幸福な生涯を実現する上で不可欠なものと、私はそう思います。と同時に、教育は、国家や社会の形成者たる国民を育成するという使命を担うものであり、民主主義社会を支える基盤でもあります。さらに、人類の歴史の中で継承されてきた文化や文明は、教育の営みを通じて次の世代に伝えられ、より豊かなものへと発展してまいります。
 折しも本日、鳩山新政権のもと、内閣が誕生いたすわけでありますけれども、こうした教育の使命は、政権が変わろうとも、また今後いかに時代が変わろうとも普遍的なものであり、さきに述べた不易たる部分だと考えております。また、「教育は人なり」とも言われ、子供の成長に直接かかわる教員の力量が大切であるということは言うまでもありません。同時に、教育は人材育成という大きな任務を担っているところであり、教育行政においても教員の指導力向上と各分野における人材育成の観点からさまざまな施策をとるのは当然のことであります。
 次のような言葉があります。「人は人によりて人となる」。言いかえれば、夢と希望を持つ未来ある子供たちは、よき大人によりてよき大人になるのであります。それほど教育は、どの時代においても重要な営みであると言えるのではないでしょうか。
 しかるに、現在、国際社会に目を向けますと、グローバル化に伴う国際競争が激しくなる中、深刻な失業問題、紛争、暴動、金融危機に端を発した経済問題、地球温暖化等の影響による大災害や環境問題、さらに食料問題、エネルギー問題等、人類全体で取り組まなければならないさまざまな問題が山積をいたしております。
 他方、国内に目を向けますと、近年、少子高齢化、高度情報化、国際化などが急速に進む中で、社会保障、環境問題、経済の活力の維持、地域間の格差の広がり、世代をまたがる社会的・経済的格差の固定化への懸念、社会における安全・安心の確保など、さまざまな課題が生じております。特に近年、都市化や少子化が進み、社会が物質的に豊かになり成熟化する中で、家庭、地域の教育力不足の問題や、個人が明確な目的意識を持ったり、何かに意欲的に取り組んだりすることが以前よりも難しい社会になりつつあることが指摘されております。
 こうした状況の中で、近年、教育をめぐって、子供の学ぶ意欲や学力、体力の低下、問題行動など、多くの面で課題が指摘されております。また、社会問題化している多くの事件の背景には、社会を構成する個人1人1人に規範意識や倫理観が低下してきているとの指摘もあり、みずから果たすべき責任の自覚や正義感、また志などが欠けてきているのではと懸念する意見もあります。このような状況は、経済性や利便性といった価値観を過剰に追求する風潮や人間関係の希薄化、自分さえよければよいという履き違えた個人主義の広がりなどが相まって生じてきたものと見ることもできます。
 経済などの一面的な豊かさの追求のみによっては真に豊かな社会を実現することができないことは言うまでもなく、社会を公正で活力あるものとして持続的に発展させるためには、我々の意識や社会のさまざまなシステムや制度において、人として他と調和してともに生きることの喜びや、そのために求められる倫理なども含めた価値を重視していくことが重要であると考えます。
 さきに述べました教育の不易の部分の実現のために、今述べました近年の社会状況と、特に教育における課題を克服するために、教育の流行の部分として国の教育振興基本計画で、「今後10年間を通じて目指すべき教育の姿」と題する次のような目標を掲げているのだと私は解釈をいたしております。その1つ、「義務教育終了までに、すべての子どもに、自立して社会で生きていく基礎を育てる」、2つ、「社会を支え、発展させるとともに、国際社会をリードする人材を育てる」ということであります。
 さらに、国の教育振興基本計画を踏まえて、本県はこの3月に和歌山県教育振興基本計画──きょうは持ってまいりましたが、皆さん方もごらんになったことあると思います──この和歌山県教育振興基本計画を策定いたし、「未来を拓くひたむきな人間力を育む和歌山」──実はここにサブタイトルとしてこれがつけられてるわけなんですけども──「未来を拓くひたむきな人間力を育む和歌山」を将来像として、今後5年間に総合的かつ計画的に取り組む施策として5つの基本的方向が示されております。
 第1章、「計画の策定」に述べられているように、和歌山県が目指す教育の姿、目標や施策の基本的方向などがより明確に示されており、本県として初めて策定された教育に関する総合的な計画であることから、内容につきましては一定の評価をいたすとともに、私自身も正直、多くのことをこの基本計画によって学ばせていただいたわけであります。
 しかし、計画の実効性を確保するためには、県教育委員会がその基盤となる環境づくり、すなわちみずからの組織づくりを進める必要があると思います。それとともに、計画策定の前に少なくとも過去5年間程度の教育行政についての反省や課題等をしっかりと総括する必要があるのではないでしょうか。
 近年、学校現場に新しく導入されている学校評価システムというのがあるわけなんですけども、この学校評価システムでもよく言われているように、実施する施策はPDCAサイクルに沿わなければなりません。すなわち、プランであります、計画を立てる、ドゥ、実践する、そしてチェック、評価をし効果を把握する、アクション、改善、活用するということが施策をよりよいものとしていく上で効果的な方策と認識をしているわけでありますが、教育の振興管理において果たしてこのような方策は実施されているのでしょうか。やや疑問を持つところであります。
 そこで、県教育委員会事務局の組織についてでありますが、平成15年度に学校教育課と教職員課の両課を小中学校課など3課に改編され、また本年度、再び小中学校課と県立学校課を学校指導課と学校人事課に編成し直しました。また、市町村教育委員会と連携をしながら義務教育の充実に大きな役割を果たしていた県下7カ所の地方教育事務所を平成17年度に廃止されました。
 そこで、お伺いをいたします。
 小学生、中学生の実態把握ができる貴重なネットワークであった地方教育事務所の完全廃止は、ひょっとして時期尚早ではなかったのか。私自身、今も正直自問自答いたしております。例えば、各地の地方振興局内に配置したまま規模を大幅に縮小するとか、3~5カ所程度に再編するなどできなかったものなのかなと自分でも考えるわけでありますが、教育長にこの点、お伺いをいたしたいと存じます。
 また、本年度からは小中学校という課の名称が消えましたが、振興計画に述べられているように、県、市町村、県民との協働による計画の推進のためには、学校人事課と学校指導課が果たす役割も大きいと考えます。両課と小中学校を所管する市町村教育委員会が今後どのように協調、協働を進めていかれるのか、教育長にお伺いをいたしたいと存じます。
 次に、青少年健全育成における県教育委員会のかかわり方についてお尋ねをいたします。
 少年センター、また少年補導センターについてでありますが、県下には橋本市少年センター、田辺青少年補導センターなど20の青少年補導、また相談センターがあり、すべて市町村の負担で運営され、青少年健全育成のために活動しているところであります。以前は県費負担教職員である派遣教員が各センターに配置されておりましたが、平成18年度に、県は市町村からの存続要望にもかかわらず、派遣教員をすべて引き揚げ、廃止されたと聞いております。
 現在、市の負担で現職教員を雇用し活動しているのは、和歌山市立少年センターのみとなっております。当少年センターでは、教員3名と県警から派遣をされた4名の警察官を含めた総勢13名にて街頭補導、夜間特別補導などの活動や少年相談、広報啓発活動などを行っており、他のセンターからはもちろん、県外の関係者からもこの市立センターの取り組みが評価されております。
 その理由の1つは、現職の教員だからこそできる学校現場との信頼関係を持ちながら、市内3警察署から派遣されている4名の警察官の強いサポートを得て活動しているからであります。そして、補導や相談活動の対象者は、実は小中学生のみならず、当然、高校生も含まれているわけであります。振興計画には、生徒指導上の課題への対応について、学校、家庭、地域、関係機関の連携体制を強化するとあります。
 そこで、教育長の見解をお伺いいたします。
 派遣教員の廃止後、県下の市町村の青少年補導、また相談センターに関して、県教育委員会はどのように連携し、どのように各センターの活動の状況を把握され、支援策をとられてきたのでしょうか。そして、とりわけ和歌山市立少年センターとの連携について今どのようになされ、センター長を初め市負担の教員3名の配置について評価されておられるのでしょうか、お聞かせをいただきたいと存じます。
 同様に、和歌山市立子ども支援センターについてでありますが、市立子ども支援センターにも、以前は県費負担教職員である教育相談主事が2名配置されておりましたが、ビッグ愛にある県の教育相談センターに引き揚げられ、現在、市の負担で現職教員、指導主事を2名雇用し、指導主事であるセンター長が臨床心理士等の教育相談カウンセラーや市の行政事務職員を統括しながら活発な行動をしていると聞いております。
 市立子ども支援センターの主な活動内容は、性格や行動、学校での集団学習や思春期の性、子育て等、いろいろな悩みを抱えた子供また保護者に対する教育相談、不登校の子供のための適応指導教室、ふれあい教室の開催や、帰国子女また外国籍の子供の日本語学習等のサポート、いじめ問題も含め、学校での集団学習で悩みを抱えた子供への生活指導や学習指導等のサポートであり、小中学生とその保護者のみならず、多くの高校生もお世話になっていると聞いております。事実、私の知人である方も子供が高校生のときに親子ともどもさまざまな相談をいたし、助言をいただいたと聞いております。
 そこで、教育長にお伺いをいたしたいと存じます。
 先ほどの少年センター同様、子ども支援センターに関しましても、県教委は同センターでどのように連携をしておられるのか、また、市費で配置している2名の指導主事についてどのように評価されているのか、お伺いしたいと思います。
 次に、県教委が持つ人事権の中核市である和歌山市への移譲についてお伺いをいたします。
 昨年5月28日付で取りまとめられた政府の地方分権改革推進委員会の勧告では、まず中核市に、対象とした事務を権限移譲すべしと位置づけたところであります。この勧告を待つまでもなく、地方分権を進めることが国の活力につながるものであり、地方自治体の権限と責任の一体化による行政がきめ細かな施策となり、住民の生活向上、福祉の充実へとつながるのであります。
 特に本県の教育において、和歌山市との連携、強調、さらには協働を基盤とした取り組みが義務教育の推進、充実には欠かせないものと考えます。既に和歌山市では、教員の初任者研修の権限は3年前から移譲されており、本年度も72人という多数の新任の先生が研修を行っていると聞いております。特色ある地域に根差した義務教育の実現には地域の教育に情熱を持って取り組む優秀な人材の育成と確保が大切であり、そのためには、人事権についても研修権とともに和歌山市への移譲が必要不可欠であると思います。
 本県においては、地方教育事務所廃止後の義務教育の充実が重要な課題であり、よって和歌山市への人事権の移譲については義務教育振興の観点から県内地方ブロック別に和歌山市との連携を強め、広域的な人事交流等を目指すことが必要だと考えております。
 本県の教育における将来像、「未来を拓くひたむきな人間力を育む和歌山」という言葉は非常にすばらしいと思っております。そこからは、人づくりこそが個人の幸福の実現と国家、社会の発展の礎であるという基本の考え方がうかがえるものであります。さらに、我が県、国の将来発展の原動力足り得るものは人づくり、すなわち教育をおいてほかにないという意気込みが感じられます。
 しかし、さきに述べた地方教育事務所の廃止や県教育委員会事務局の市町村教育委員会との協働の姿勢、市立少年センターや子ども支援センターの存在意義に対する評価や連携、中核市への人事権移譲への取り組み等に関しては、より子供に近いところできめ細かい手厚いサポートをすることが絶大なる教育効果を上げるということや、子供と直接かかわる教員を的確に評価し、配置することの重要性がなお一層立証されてきている現在において、その方法、戦略というものが逆行しているのではないかと私は感じられます。
 文部科学省の中央教育審議会専門委員・臨時委員である小川正人先生は、みずからの著書「市町村の教育改革が学校を変える」──ひょっとしたら議員の皆さん方もこの本を見たことあるぞと言われる方があるかもわかりませんが──この本の中で次のように述べられております。「義務教育学校の設置・運営に第一義的責任を負う市区町村教育委員会が、教員給与や採用・人事、1学級当たりの児童生徒数等を自らの判断で自由に決定できないのでは、地域の教育政策の決定や教育行政運営を自らで担えていないということであり、市区町村教育委員会の存在意義は無いに等しい」と。
 正直言いまして、ちょっとこれを読んだときに少々厳しいようにも思ったわけでありますが、しかし、これらのことから判断をし、私はすべての人事権を一度に移譲することは難しいとしても、部分的、段階的な和歌山市への人事権移譲を視野に入れれば来年からでもできることがあるのではないかと考えます。例えば、和歌山市の教育委員会指導主事の管理職登用については、その任命権を和歌山市に移譲するというようなこともその一例となり得るのではないでしょうか。
 昨年6月、教育長は市教委からの中核市への人事権移譲についての質問に対して、「中核市への権限委譲については、国の地方分権改革推進委員会において協議が行われているところであり、今後その結論を待って対応していきます」と回答されておりますが、先ほどから私が述べたことを踏まえ、いま一度教育長のお考えをお伺いいたしたいと存じます。
 さらに、平成22年度国の施策及び予算に関する提案・要望の中で、知事は、教職員の人事権のあり方について、地方の実情を無視して教職員の人事権を中核市に移譲しないことと要望されていると思いますが、このことについて知事のお考えをお伺いいたしたいと思います。
 最後に、私個人の話をさせていただき、質問を閉めたいと存じます。自慢できる話ではありません。しかし、ドキュメンタリーであります。何とぞ最後までお聞きをいただきたいと思います。
 1955年、昭和30年に私は生まれ、和歌山大学教育学部附属小学校から同中学校へと進みました。仁坂知事の後輩の1人であります。ここまでは私も順調でありました。そして、その後、県立高校への進学となるわけでありますが、私はこの受験に失敗をし、神戸にある私立の男子高校へと進学をいたしました。初めて親元を離れ、高校生活3年間を神戸で過ごすこととなったのであります。
 当時、サッカーばかりして余り勉強しなかった自分の反省もありますが、人生で初めて挫折を経験したのであります。まさに15歳、15の挫折ということでありましょうか。正直、神戸の3年間、男子校であるがゆえ短髪に学ランを身にまとい、三宮付近で他校の男子生徒とけんかに明け暮れる毎日でありました。少々横道にそれかかった時期でもあったと思います。しかし、そのとき私を支え、正しい道に導いてくださったのが当時の仲間、友人、そして何よりもお世話になった先生方の存在でありました。
 学校を卒業してしまえば先生方との縁というのは大体が疎遠になってしまうもんではないかなというふうに思うわけでありますが、私がお世話になった先生方は違いました。私とのきずなを切らず、ずっとおつき合いをしてくださいました。また、ある先生は、泣きながら私を殴り──殴られたのは本当に痛かったんですけどね。でも、腹立ったんですが、先生の顔を見たら涙を流されておりました。泣きながら私を殴り「なぜ先生の心がわからない。なぜ私の教えがわからないのか」としかってくださった先生もおられました。まさに私にとっては恩師でありました。本当に勉強以外に人生のいろいろなことを学びました。振り返れば、この時期は、私の今日までの人生において大変貴重な時間であったと思います。そして今、教師、教育の大切さを身をもって感じている次第であります。
 質問の冒頭に申し上げましたように、今、我が国において、また我が県において、経済対策、環境問題、福祉等々大切な課題はたくさんありますが、私が今回教育1点について絞り込み質問に至ったというのも、このような経験を踏まえ、これまで気になっていたことを質問さしていただいた次第であります。
 あえて皆様に問わせていただきたい。今、教育は大丈夫なのかと。私は何か心配な気がいたします。知事、教育長におかれましては、何とぞ私の意のあるところをお酌み取りいただき、心ある答弁をお願いいたし、私の質問を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの山下直也君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 山下議員の御質問のうち、私に答えろという御指名がありました中核市への人事権の移譲について御答弁申し上げます。
 地方分権の流れは、もちろん、私は人後に落ちないように頑張ってるつもりでございますし、昨日申し上げました市町村負担金の問題につきましても、その方向に従って市町村とお話をしてまいりたいと、こう考えているところでございます。
 本県の教育の問題についても、実はそういう要素はたくさんございまして、議員御指摘のように、身近なところで人事権も行使しながら教育をやっていくということは大事なことだというふうに思います。
 和歌山市が中核市でございますけれども、和歌山市だけで和歌山県が成り立っておるならば、私は直ちにそれに賛成したいと思いますし、地方分権推進委員会の丹羽さんとも本県は議論したことがあるんですが、そういうことを全くしないで済むということだろうと思います。
 しかしながら、物事にはいろんな副作用があります。中核市へ教職員人事権を移譲する、つまり採用と、それから人事権を移譲するということは、中核市の中でやってください、あとは中核市を除いてやりましょうと、こういうことになります。そういたしますと、小規模市町村が多い本県では、中核市以外の市町村の教育水準をどう担保していくかという問題が当然あるわけですけれども、そのときに限られた先生をどうやって配置をしながら和歌山市以外の教育水準も落とさないようにするというようなことが大変大事な、かつ現実的な課題だと考えております。
 私はこう思うんですけれども、和歌山市だけで採用する、それから和歌山市を除いて、「あなたは行ってもらうんですよ」と言って採用する。そうすると、前者はまあよろしいと思いますが、後者のほうは、果たして今のような優秀な先生方が和歌山県の残りのところに来てくださるだろうかというような問題もあるわけであります。したがって、そういうことも含めて現実的な対応をしないといけないので、「地方分権だからとにかくできるだけ移しなさい」だけで考えられると、国を誤ることになるんじゃないでしょうかというようなことを申し上げてる次第なんであります。
 議員、最後に御指摘のように、教育の大切さというのはもう筆舌に尽くしがたいものがありますし、それから、その中で教師の大切さというのは大変大事だと思います。したがって、和歌山県全体で教育を高めるために教師の質をどうやって高めていくか。それは、頭が優秀な、成績優秀な人だけじゃいけないと思いますし、そういうことを考える1つの材料になるかなというふうに思います。
 あわせて、各地域、地域のいろいろな事情、そういうものも当然何も聞かないで人事をするというのは大変問題だと思いますので、幸い、教育長以下、そういう点では非常に受容性のある方々がそろってると思いますから、そういう点でもよく連絡を密にして人事についてもやっていただいたらどうかなというふうに私は考えております。
○議長(冨安民浩君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 県教育委員会事務局の組織等についてお答えいたします。
 地方教育事務所の廃止につきましては、当時、地方分権の流れや市町村合併が進む中、各市町村教育委員会がより主体的に教育行政を行えるよう市町村から意見を伺いながら検討を重ね、平成16年度末、平成17年度から実施したところでございます。廃止に際しましては、本庁各課室の体制を強化するとともに、紀南の市町村支援の拠点といたしまして教育指導室を教育センター学びの丘内に設けるなど、指導の充実を図りました。
 しかしながら、平成19年度、県議会の文教委員会主催で開催いただきました地方別教育懇談会では、県と市町村の連携が十分にできていない、現場の声や意見が県に届きにくい、あるいは学校への指導力が弱まってきている等の意見が出されるなど、さまざまな課題も見えてまいりました。
 このようなことから、県教育委員会では、平成20年度から振興局や市町村の協力を得まして、伊都・日高・東牟婁の3地方に指導主事が駐在する地方教育指導室を設けまして、市町村教育委員会との連携強化に努めてまいりました。
 次に、組織の改編に伴う市町村教育委員会との協調、協働のあり方につきまして、県教育委員会では、学校人事課と学校指導課が一体となって市町村教育委員会と連携した学校訪問の実施や市町村教育委員会の教育長会及び事務担当者会議等での指導助言など、市町村支援に努めているところでございます。
 今後も市町村教育委員会と密接な連携を図り、教育効果を高める取り組みを一層進めるとともに、より効果的な体制についても検討してまいります。
 次に、青少年健全育成における県教育委員会のかかわり方についてお答えいたします。
 県教育委員会では、平成10年以降、それまでのような職員の派遣は制度的に困難になりましたが、少年センターなど市町村設置の青少年補導・相談センターと連携をいたしまして、小・中・高等学校等生徒指導研究協議会や夜間補導、列車乗車マナーの指導などを通して問題行動の未然防止、早期発見、早期解決に向けた取り組みを進めております。和歌山市の少年センターにおきましては、学校現場との信頼関係を持ちながら、さまざまな活動を展開することで着実な教育的効果を上げていると把握をしてございます。
 また、教育相談の取り組みにつきましては、以前は県教育研修センターの相談事業を拡充するため和歌山市の施設をお借りして実施しておりましたが、同センターが教育センター学びの丘として紀南のBig・Uに移転したことに伴いまして、ビッグ愛において実施することになりました。しかし、和歌山市教育委員会においては、増大する利用者のニーズにこたえるため独自に職員を置いていただき、相談活動を継続していただくことになりまして着実な成果を上げておられます。
 県教育委員会といたしましては、引き続き市の教育委員会を通じて子ども支援センターや適応指導教室等と連携をし、不登校児童生徒の実態把握や学校での効果的な指導、学校復帰に向けた取り組みなどを推進してまいります。
 青少年補導・相談センターや子ども支援センターに関しましては、幾つかの市町で独自に職員を配置して青少年の健全育成に努力いただいておりますので、今後とも担当部局とも協議しながら、各市町村教育委員会、青少年補導・相談センター等関係機関と一層連携を密にし、組織的かつ効果的な取り組みを進めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再質問を許します。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 以上で、山下直也君の質問が終了いたしました。

このページの先頭へ