平成21年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

平成21年9月
和歌山県議会定例会会議録
第3号
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議事日程 第3号
 平成21年9月16日(水曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第132号から議案第151号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第132号から議案第151号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(42人)
 1番 泉 正徳
 2番 山本茂博
 3番 前芝雅嗣
 4番 浅井修一郎
 5番 吉井和視
 6番 向井嘉久藏
 7番 門 三佐博
 8番 町田 亘
 9番 服部 一
 10番 平木哲朗
 11番 花田健吉
 12番 須川倍行
 13番 大沢広太郎
 14番 谷 洋一
 15番 平越孝哉
 17番 岸本 健
 18番 川口文章
 19番 尾崎太郎
 20番 藤山将材
 21番 新島 雄
 22番 山下直也
 23番 井出益弘
 24番 宇治田栄蔵
 25番 多田純一
 26番 中 拓哉
 27番 角田秀樹
 29番 山田正彦
 30番 坂本 登
 31番 尾崎要二
 32番 中村裕一
 33番 片桐章浩
 35番 藤本眞利子
 36番 長坂隆司
 38番 小川 武
 39番 冨安民浩
 40番 奥村規子
 41番 山下大輔
 42番 松坂英樹
 43番 藤井健太郎
 44番 雑賀光夫
 45番 野見山 海
 46番 松本貞次
欠席議員(2人)
 28番 江上柳助
 34番 原 日出夫
〔備考〕
 16番 欠員
37番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       曽根義廣
 危機管理監      森 崇
 総務部長       宮地俊明
 企画部長       前硲健作
 環境生活部長     井口悦治
 福祉保健部長     北田佳秀
 商工観光労働部長   永井慶一
 農林水産部長     下林茂文
 県土整備部長     茅野牧夫
 会計管理者      雑賀忠士
 教育委員会委員長   湯川 力
 教育長        山口裕市
 公安委員会委員長   大岡淳人
 警察本部長      永松健次
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     楠本 隆
 選挙管理委員会委員長 諸木良介
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       藁科善崇
 次長         東岡誠吾
 議事課長       上坊 晃
 議事課副課長     土井敏弘
 議事課課長補佐兼議事班長
            田中健司
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      瀧川泰治
 議事課主査      中村安隆
 総務課長       佐本 明
 調査課長       中井祥之
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  午前10時0分開議
○議長(冨安民浩君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第132号から議案第151号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 22番山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 おはようございます。ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 今回、教育の充実と振興を願い、私自身の経験も取り入れ、教育行政について3項目にわたり一般質問をさせていただきたいと存じます。
 では、早速質問に入ります。
 「教育は国家百年の大計」であると言われております。100年という3~4世代にわたる長い物差しで見なければならない、そういう重要なものであると私は考えます。また、近年、教育における不易と流行、すなわち教育において普遍的にいつの時代においても大切にしなければならないことと、時代に即応、対応していかなければならないことがよく議論されているところであります。
 教育は、人格の完成を目指し、個性を尊重しつつ個人の能力を伸ばし、自立した人間を育て、幸福な生涯を実現する上で不可欠なものと、私はそう思います。と同時に、教育は、国家や社会の形成者たる国民を育成するという使命を担うものであり、民主主義社会を支える基盤でもあります。さらに、人類の歴史の中で継承されてきた文化や文明は、教育の営みを通じて次の世代に伝えられ、より豊かなものへと発展してまいります。
 折しも本日、鳩山新政権のもと、内閣が誕生いたすわけでありますけれども、こうした教育の使命は、政権が変わろうとも、また今後いかに時代が変わろうとも普遍的なものであり、さきに述べた不易たる部分だと考えております。また、「教育は人なり」とも言われ、子供の成長に直接かかわる教員の力量が大切であるということは言うまでもありません。同時に、教育は人材育成という大きな任務を担っているところであり、教育行政においても教員の指導力向上と各分野における人材育成の観点からさまざまな施策をとるのは当然のことであります。
 次のような言葉があります。「人は人によりて人となる」。言いかえれば、夢と希望を持つ未来ある子供たちは、よき大人によりてよき大人になるのであります。それほど教育は、どの時代においても重要な営みであると言えるのではないでしょうか。
 しかるに、現在、国際社会に目を向けますと、グローバル化に伴う国際競争が激しくなる中、深刻な失業問題、紛争、暴動、金融危機に端を発した経済問題、地球温暖化等の影響による大災害や環境問題、さらに食料問題、エネルギー問題等、人類全体で取り組まなければならないさまざまな問題が山積をいたしております。
 他方、国内に目を向けますと、近年、少子高齢化、高度情報化、国際化などが急速に進む中で、社会保障、環境問題、経済の活力の維持、地域間の格差の広がり、世代をまたがる社会的・経済的格差の固定化への懸念、社会における安全・安心の確保など、さまざまな課題が生じております。特に近年、都市化や少子化が進み、社会が物質的に豊かになり成熟化する中で、家庭、地域の教育力不足の問題や、個人が明確な目的意識を持ったり、何かに意欲的に取り組んだりすることが以前よりも難しい社会になりつつあることが指摘されております。
 こうした状況の中で、近年、教育をめぐって、子供の学ぶ意欲や学力、体力の低下、問題行動など、多くの面で課題が指摘されております。また、社会問題化している多くの事件の背景には、社会を構成する個人1人1人に規範意識や倫理観が低下してきているとの指摘もあり、みずから果たすべき責任の自覚や正義感、また志などが欠けてきているのではと懸念する意見もあります。このような状況は、経済性や利便性といった価値観を過剰に追求する風潮や人間関係の希薄化、自分さえよければよいという履き違えた個人主義の広がりなどが相まって生じてきたものと見ることもできます。
 経済などの一面的な豊かさの追求のみによっては真に豊かな社会を実現することができないことは言うまでもなく、社会を公正で活力あるものとして持続的に発展させるためには、我々の意識や社会のさまざまなシステムや制度において、人として他と調和してともに生きることの喜びや、そのために求められる倫理なども含めた価値を重視していくことが重要であると考えます。
 さきに述べました教育の不易の部分の実現のために、今述べました近年の社会状況と、特に教育における課題を克服するために、教育の流行の部分として国の教育振興基本計画で、「今後10年間を通じて目指すべき教育の姿」と題する次のような目標を掲げているのだと私は解釈をいたしております。その1つ、「義務教育終了までに、すべての子どもに、自立して社会で生きていく基礎を育てる」、2つ、「社会を支え、発展させるとともに、国際社会をリードする人材を育てる」ということであります。
 さらに、国の教育振興基本計画を踏まえて、本県はこの3月に和歌山県教育振興基本計画──きょうは持ってまいりましたが、皆さん方もごらんになったことあると思います──この和歌山県教育振興基本計画を策定いたし、「未来を拓くひたむきな人間力を育む和歌山」──実はここにサブタイトルとしてこれがつけられてるわけなんですけども──「未来を拓くひたむきな人間力を育む和歌山」を将来像として、今後5年間に総合的かつ計画的に取り組む施策として5つの基本的方向が示されております。
 第1章、「計画の策定」に述べられているように、和歌山県が目指す教育の姿、目標や施策の基本的方向などがより明確に示されており、本県として初めて策定された教育に関する総合的な計画であることから、内容につきましては一定の評価をいたすとともに、私自身も正直、多くのことをこの基本計画によって学ばせていただいたわけであります。
 しかし、計画の実効性を確保するためには、県教育委員会がその基盤となる環境づくり、すなわちみずからの組織づくりを進める必要があると思います。それとともに、計画策定の前に少なくとも過去5年間程度の教育行政についての反省や課題等をしっかりと総括する必要があるのではないでしょうか。
 近年、学校現場に新しく導入されている学校評価システムというのがあるわけなんですけども、この学校評価システムでもよく言われているように、実施する施策はPDCAサイクルに沿わなければなりません。すなわち、プランであります、計画を立てる、ドゥ、実践する、そしてチェック、評価をし効果を把握する、アクション、改善、活用するということが施策をよりよいものとしていく上で効果的な方策と認識をしているわけでありますが、教育の振興管理において果たしてこのような方策は実施されているのでしょうか。やや疑問を持つところであります。
 そこで、県教育委員会事務局の組織についてでありますが、平成15年度に学校教育課と教職員課の両課を小中学校課など3課に改編され、また本年度、再び小中学校課と県立学校課を学校指導課と学校人事課に編成し直しました。また、市町村教育委員会と連携をしながら義務教育の充実に大きな役割を果たしていた県下7カ所の地方教育事務所を平成17年度に廃止されました。
 そこで、お伺いをいたします。
 小学生、中学生の実態把握ができる貴重なネットワークであった地方教育事務所の完全廃止は、ひょっとして時期尚早ではなかったのか。私自身、今も正直自問自答いたしております。例えば、各地の地方振興局内に配置したまま規模を大幅に縮小するとか、3~5カ所程度に再編するなどできなかったものなのかなと自分でも考えるわけでありますが、教育長にこの点、お伺いをいたしたいと存じます。
 また、本年度からは小中学校という課の名称が消えましたが、振興計画に述べられているように、県、市町村、県民との協働による計画の推進のためには、学校人事課と学校指導課が果たす役割も大きいと考えます。両課と小中学校を所管する市町村教育委員会が今後どのように協調、協働を進めていかれるのか、教育長にお伺いをいたしたいと存じます。
 次に、青少年健全育成における県教育委員会のかかわり方についてお尋ねをいたします。
 少年センター、また少年補導センターについてでありますが、県下には橋本市少年センター、田辺青少年補導センターなど20の青少年補導、また相談センターがあり、すべて市町村の負担で運営され、青少年健全育成のために活動しているところであります。以前は県費負担教職員である派遣教員が各センターに配置されておりましたが、平成18年度に、県は市町村からの存続要望にもかかわらず、派遣教員をすべて引き揚げ、廃止されたと聞いております。
 現在、市の負担で現職教員を雇用し活動しているのは、和歌山市立少年センターのみとなっております。当少年センターでは、教員3名と県警から派遣をされた4名の警察官を含めた総勢13名にて街頭補導、夜間特別補導などの活動や少年相談、広報啓発活動などを行っており、他のセンターからはもちろん、県外の関係者からもこの市立センターの取り組みが評価されております。
 その理由の1つは、現職の教員だからこそできる学校現場との信頼関係を持ちながら、市内3警察署から派遣されている4名の警察官の強いサポートを得て活動しているからであります。そして、補導や相談活動の対象者は、実は小中学生のみならず、当然、高校生も含まれているわけであります。振興計画には、生徒指導上の課題への対応について、学校、家庭、地域、関係機関の連携体制を強化するとあります。
 そこで、教育長の見解をお伺いいたします。
 派遣教員の廃止後、県下の市町村の青少年補導、また相談センターに関して、県教育委員会はどのように連携し、どのように各センターの活動の状況を把握され、支援策をとられてきたのでしょうか。そして、とりわけ和歌山市立少年センターとの連携について今どのようになされ、センター長を初め市負担の教員3名の配置について評価されておられるのでしょうか、お聞かせをいただきたいと存じます。
 同様に、和歌山市立子ども支援センターについてでありますが、市立子ども支援センターにも、以前は県費負担教職員である教育相談主事が2名配置されておりましたが、ビッグ愛にある県の教育相談センターに引き揚げられ、現在、市の負担で現職教員、指導主事を2名雇用し、指導主事であるセンター長が臨床心理士等の教育相談カウンセラーや市の行政事務職員を統括しながら活発な行動をしていると聞いております。
 市立子ども支援センターの主な活動内容は、性格や行動、学校での集団学習や思春期の性、子育て等、いろいろな悩みを抱えた子供また保護者に対する教育相談、不登校の子供のための適応指導教室、ふれあい教室の開催や、帰国子女また外国籍の子供の日本語学習等のサポート、いじめ問題も含め、学校での集団学習で悩みを抱えた子供への生活指導や学習指導等のサポートであり、小中学生とその保護者のみならず、多くの高校生もお世話になっていると聞いております。事実、私の知人である方も子供が高校生のときに親子ともどもさまざまな相談をいたし、助言をいただいたと聞いております。
 そこで、教育長にお伺いをいたしたいと存じます。
 先ほどの少年センター同様、子ども支援センターに関しましても、県教委は同センターでどのように連携をしておられるのか、また、市費で配置している2名の指導主事についてどのように評価されているのか、お伺いしたいと思います。
 次に、県教委が持つ人事権の中核市である和歌山市への移譲についてお伺いをいたします。
 昨年5月28日付で取りまとめられた政府の地方分権改革推進委員会の勧告では、まず中核市に、対象とした事務を権限移譲すべしと位置づけたところであります。この勧告を待つまでもなく、地方分権を進めることが国の活力につながるものであり、地方自治体の権限と責任の一体化による行政がきめ細かな施策となり、住民の生活向上、福祉の充実へとつながるのであります。
 特に本県の教育において、和歌山市との連携、強調、さらには協働を基盤とした取り組みが義務教育の推進、充実には欠かせないものと考えます。既に和歌山市では、教員の初任者研修の権限は3年前から移譲されており、本年度も72人という多数の新任の先生が研修を行っていると聞いております。特色ある地域に根差した義務教育の実現には地域の教育に情熱を持って取り組む優秀な人材の育成と確保が大切であり、そのためには、人事権についても研修権とともに和歌山市への移譲が必要不可欠であると思います。
 本県においては、地方教育事務所廃止後の義務教育の充実が重要な課題であり、よって和歌山市への人事権の移譲については義務教育振興の観点から県内地方ブロック別に和歌山市との連携を強め、広域的な人事交流等を目指すことが必要だと考えております。
 本県の教育における将来像、「未来を拓くひたむきな人間力を育む和歌山」という言葉は非常にすばらしいと思っております。そこからは、人づくりこそが個人の幸福の実現と国家、社会の発展の礎であるという基本の考え方がうかがえるものであります。さらに、我が県、国の将来発展の原動力足り得るものは人づくり、すなわち教育をおいてほかにないという意気込みが感じられます。
 しかし、さきに述べた地方教育事務所の廃止や県教育委員会事務局の市町村教育委員会との協働の姿勢、市立少年センターや子ども支援センターの存在意義に対する評価や連携、中核市への人事権移譲への取り組み等に関しては、より子供に近いところできめ細かい手厚いサポートをすることが絶大なる教育効果を上げるということや、子供と直接かかわる教員を的確に評価し、配置することの重要性がなお一層立証されてきている現在において、その方法、戦略というものが逆行しているのではないかと私は感じられます。
 文部科学省の中央教育審議会専門委員・臨時委員である小川正人先生は、みずからの著書「市町村の教育改革が学校を変える」──ひょっとしたら議員の皆さん方もこの本を見たことあるぞと言われる方があるかもわかりませんが──この本の中で次のように述べられております。「義務教育学校の設置・運営に第一義的責任を負う市区町村教育委員会が、教員給与や採用・人事、1学級当たりの児童生徒数等を自らの判断で自由に決定できないのでは、地域の教育政策の決定や教育行政運営を自らで担えていないということであり、市区町村教育委員会の存在意義は無いに等しい」と。
 正直言いまして、ちょっとこれを読んだときに少々厳しいようにも思ったわけでありますが、しかし、これらのことから判断をし、私はすべての人事権を一度に移譲することは難しいとしても、部分的、段階的な和歌山市への人事権移譲を視野に入れれば来年からでもできることがあるのではないかと考えます。例えば、和歌山市の教育委員会指導主事の管理職登用については、その任命権を和歌山市に移譲するというようなこともその一例となり得るのではないでしょうか。
 昨年6月、教育長は市教委からの中核市への人事権移譲についての質問に対して、「中核市への権限委譲については、国の地方分権改革推進委員会において協議が行われているところであり、今後その結論を待って対応していきます」と回答されておりますが、先ほどから私が述べたことを踏まえ、いま一度教育長のお考えをお伺いいたしたいと存じます。
 さらに、平成22年度国の施策及び予算に関する提案・要望の中で、知事は、教職員の人事権のあり方について、地方の実情を無視して教職員の人事権を中核市に移譲しないことと要望されていると思いますが、このことについて知事のお考えをお伺いいたしたいと思います。
 最後に、私個人の話をさせていただき、質問を閉めたいと存じます。自慢できる話ではありません。しかし、ドキュメンタリーであります。何とぞ最後までお聞きをいただきたいと思います。
 1955年、昭和30年に私は生まれ、和歌山大学教育学部附属小学校から同中学校へと進みました。仁坂知事の後輩の1人であります。ここまでは私も順調でありました。そして、その後、県立高校への進学となるわけでありますが、私はこの受験に失敗をし、神戸にある私立の男子高校へと進学をいたしました。初めて親元を離れ、高校生活3年間を神戸で過ごすこととなったのであります。
 当時、サッカーばかりして余り勉強しなかった自分の反省もありますが、人生で初めて挫折を経験したのであります。まさに15歳、15の挫折ということでありましょうか。正直、神戸の3年間、男子校であるがゆえ短髪に学ランを身にまとい、三宮付近で他校の男子生徒とけんかに明け暮れる毎日でありました。少々横道にそれかかった時期でもあったと思います。しかし、そのとき私を支え、正しい道に導いてくださったのが当時の仲間、友人、そして何よりもお世話になった先生方の存在でありました。
 学校を卒業してしまえば先生方との縁というのは大体が疎遠になってしまうもんではないかなというふうに思うわけでありますが、私がお世話になった先生方は違いました。私とのきずなを切らず、ずっとおつき合いをしてくださいました。また、ある先生は、泣きながら私を殴り──殴られたのは本当に痛かったんですけどね。でも、腹立ったんですが、先生の顔を見たら涙を流されておりました。泣きながら私を殴り「なぜ先生の心がわからない。なぜ私の教えがわからないのか」としかってくださった先生もおられました。まさに私にとっては恩師でありました。本当に勉強以外に人生のいろいろなことを学びました。振り返れば、この時期は、私の今日までの人生において大変貴重な時間であったと思います。そして今、教師、教育の大切さを身をもって感じている次第であります。
 質問の冒頭に申し上げましたように、今、我が国において、また我が県において、経済対策、環境問題、福祉等々大切な課題はたくさんありますが、私が今回教育1点について絞り込み質問に至ったというのも、このような経験を踏まえ、これまで気になっていたことを質問さしていただいた次第であります。
 あえて皆様に問わせていただきたい。今、教育は大丈夫なのかと。私は何か心配な気がいたします。知事、教育長におかれましては、何とぞ私の意のあるところをお酌み取りいただき、心ある答弁をお願いいたし、私の質問を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの山下直也君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 山下議員の御質問のうち、私に答えろという御指名がありました中核市への人事権の移譲について御答弁申し上げます。
 地方分権の流れは、もちろん、私は人後に落ちないように頑張ってるつもりでございますし、昨日申し上げました市町村負担金の問題につきましても、その方向に従って市町村とお話をしてまいりたいと、こう考えているところでございます。
 本県の教育の問題についても、実はそういう要素はたくさんございまして、議員御指摘のように、身近なところで人事権も行使しながら教育をやっていくということは大事なことだというふうに思います。
 和歌山市が中核市でございますけれども、和歌山市だけで和歌山県が成り立っておるならば、私は直ちにそれに賛成したいと思いますし、地方分権推進委員会の丹羽さんとも本県は議論したことがあるんですが、そういうことを全くしないで済むということだろうと思います。
 しかしながら、物事にはいろんな副作用があります。中核市へ教職員人事権を移譲する、つまり採用と、それから人事権を移譲するということは、中核市の中でやってください、あとは中核市を除いてやりましょうと、こういうことになります。そういたしますと、小規模市町村が多い本県では、中核市以外の市町村の教育水準をどう担保していくかという問題が当然あるわけですけれども、そのときに限られた先生をどうやって配置をしながら和歌山市以外の教育水準も落とさないようにするというようなことが大変大事な、かつ現実的な課題だと考えております。
 私はこう思うんですけれども、和歌山市だけで採用する、それから和歌山市を除いて、「あなたは行ってもらうんですよ」と言って採用する。そうすると、前者はまあよろしいと思いますが、後者のほうは、果たして今のような優秀な先生方が和歌山県の残りのところに来てくださるだろうかというような問題もあるわけであります。したがって、そういうことも含めて現実的な対応をしないといけないので、「地方分権だからとにかくできるだけ移しなさい」だけで考えられると、国を誤ることになるんじゃないでしょうかというようなことを申し上げてる次第なんであります。
 議員、最後に御指摘のように、教育の大切さというのはもう筆舌に尽くしがたいものがありますし、それから、その中で教師の大切さというのは大変大事だと思います。したがって、和歌山県全体で教育を高めるために教師の質をどうやって高めていくか。それは、頭が優秀な、成績優秀な人だけじゃいけないと思いますし、そういうことを考える1つの材料になるかなというふうに思います。
 あわせて、各地域、地域のいろいろな事情、そういうものも当然何も聞かないで人事をするというのは大変問題だと思いますので、幸い、教育長以下、そういう点では非常に受容性のある方々がそろってると思いますから、そういう点でもよく連絡を密にして人事についてもやっていただいたらどうかなというふうに私は考えております。
○議長(冨安民浩君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 県教育委員会事務局の組織等についてお答えいたします。
 地方教育事務所の廃止につきましては、当時、地方分権の流れや市町村合併が進む中、各市町村教育委員会がより主体的に教育行政を行えるよう市町村から意見を伺いながら検討を重ね、平成16年度末、平成17年度から実施したところでございます。廃止に際しましては、本庁各課室の体制を強化するとともに、紀南の市町村支援の拠点といたしまして教育指導室を教育センター学びの丘内に設けるなど、指導の充実を図りました。
 しかしながら、平成19年度、県議会の文教委員会主催で開催いただきました地方別教育懇談会では、県と市町村の連携が十分にできていない、現場の声や意見が県に届きにくい、あるいは学校への指導力が弱まってきている等の意見が出されるなど、さまざまな課題も見えてまいりました。
 このようなことから、県教育委員会では、平成20年度から振興局や市町村の協力を得まして、伊都・日高・東牟婁の3地方に指導主事が駐在する地方教育指導室を設けまして、市町村教育委員会との連携強化に努めてまいりました。
 次に、組織の改編に伴う市町村教育委員会との協調、協働のあり方につきまして、県教育委員会では、学校人事課と学校指導課が一体となって市町村教育委員会と連携した学校訪問の実施や市町村教育委員会の教育長会及び事務担当者会議等での指導助言など、市町村支援に努めているところでございます。
 今後も市町村教育委員会と密接な連携を図り、教育効果を高める取り組みを一層進めるとともに、より効果的な体制についても検討してまいります。
 次に、青少年健全育成における県教育委員会のかかわり方についてお答えいたします。
 県教育委員会では、平成10年以降、それまでのような職員の派遣は制度的に困難になりましたが、少年センターなど市町村設置の青少年補導・相談センターと連携をいたしまして、小・中・高等学校等生徒指導研究協議会や夜間補導、列車乗車マナーの指導などを通して問題行動の未然防止、早期発見、早期解決に向けた取り組みを進めております。和歌山市の少年センターにおきましては、学校現場との信頼関係を持ちながら、さまざまな活動を展開することで着実な教育的効果を上げていると把握をしてございます。
 また、教育相談の取り組みにつきましては、以前は県教育研修センターの相談事業を拡充するため和歌山市の施設をお借りして実施しておりましたが、同センターが教育センター学びの丘として紀南のBig・Uに移転したことに伴いまして、ビッグ愛において実施することになりました。しかし、和歌山市教育委員会においては、増大する利用者のニーズにこたえるため独自に職員を置いていただき、相談活動を継続していただくことになりまして着実な成果を上げておられます。
 県教育委員会といたしましては、引き続き市の教育委員会を通じて子ども支援センターや適応指導教室等と連携をし、不登校児童生徒の実態把握や学校での効果的な指導、学校復帰に向けた取り組みなどを推進してまいります。
 青少年補導・相談センターや子ども支援センターに関しましては、幾つかの市町で独自に職員を配置して青少年の健全育成に努力いただいておりますので、今後とも担当部局とも協議しながら、各市町村教育委員会、青少年補導・相談センター等関係機関と一層連携を密にし、組織的かつ効果的な取り組みを進めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再質問を許します。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 以上で、山下直也君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 33番片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
○片桐章浩君 おはようございます。議長からお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 1点目、自殺対策についてでございます。
 本日、自殺予防週間最終日であります。しかし、さきの9月10日というのが自殺予防デーというふうに定められておりまして、全国では実践的な取り組みというのがなされております。和歌山県におきましては、50歳代の方の自殺が多い、次いで20歳代の自殺が多い、こういうふうに聞いております。つきましては、10代の学生の方への例えば命の教育、こういったものが大切だと思っておりますので、代表的な事例を1点紹介さしていただきながら提案をさしていただきたい、このように思います。
 埼玉県志木市立志木第二中学校、ここにおきまして斎藤友紀雄さんという方が先般授業を行いました。斎藤さんという方を知ってる方はいらっしゃるかもわかりませんが、日本いのちの電話連盟常務理事、それから内閣府及び東京都の自殺対策検討会の委員及び日本自殺予防学会理事長をされております。昨年も1年生の生徒を対象に授業を行ったわけなんですが、ことしも自殺予防デーに合わせまして、中学校で授業を行っております。
 この経緯は、昨年の授業が国あるいは東京都から高い評価を受けて実施したもので、成果としては、お互いに思いやる心を大切にして不登校ゼロ、こういったことを維持している。加えて、先生方は、この昨年の授業の後も子供たちの心を見守り、ケア、フォロー、こういったものに努めておられるなど、この問題に真剣に取り組んで予防する。こういう姿勢が保たれております。
 ことしの場合は9月10日ですから、後ほど紹介さしてもらいたいと思いますが、昨年は、内閣府自殺対策推進室、文部科学省、厚生労働省のほか東京都教育委員会から視察に訪れております。このときの結果を受けて、ことしの春、今春の東京都教育委員会道徳教育担当指導主事連絡協議会では、この授業で取り入れられているような絵本の読み聞かせに基づいた小中学校用の指導資料、こういったものが配布され、小中学校にてうつ予防、心の健康のためにこの授業を取り入れてはどうか、このように進められております。
 授業を視察した内閣府政策統括官・自殺対策担当参事官、加藤さんという方なんですが、「使われている教材は地域、地域の特性に応じていろいろな本があるでしょうが、杉並の小学校で拝見した絵本の読み聞かせと、これに基づいた意見交換を行うような取り組みはとても有意義であります。この試みが全国的に広まっていけばいいと思います」というふうな発言があり、厚生労働省においては、内閣府の報告書、自殺対策推進会議で活用するようにというふうに勧められているところであります。
 また、ことしの授業も見に来れたらということでお誘いを受けたんですが、議会開会中で行くことができませんでした。ただ、終わった結果も知らせてもらっております。「多くの成果と誇りを学び、はぐくむことができたことに感謝申し上げます。担当の先生は、卒業生にこの授業を実施できていれば、死にたいと話していた生徒にいろいろな支援ができたのにと話してくれました。子供たち1人1人に寄り添える先生に成長できるものと確信する、こういうコメントもいただいておりますし、担任の先生からは、心の病気について扱う心の健康のための教育、いわゆるうつ・自殺予防教育と言われるものですが、これはもう日本全国で進めていかなければならない」、このように感想を話してくれました。
 斎藤さんの地元、埼玉いのちの電話では、金曜、土曜に子供専用の相談ダイヤル、こどもライン──これ、18歳以下の方が対象になっておりますが──設けて対応しているところであります。学校現場での早期の教育、対応のために小中学校での読み聞かせの授業を行う際には、いのちの電話の相談員の方が講師として授業を行うことも検討されていると、このように伺っております。
 教師による絵本を活用した子供の心の健康のための教育、これが全国で進められようとしているように、学校における早期の教育、対応のために小中学校での読み聞かせの授業、これを行う際にはいのちの電話の相談員の方が講師として授業を行うことも検討してほしいなというふうに考えております。
 学校現場での早期の教育のために、小中学校での読み聞かせの授業を行う際には、いのちの電話の相談員の方が講師として授業を行うことも1つの手段だと思いますし、厚生労働省の報告書におきましても、道徳、保健体育等の授業を活用した心の健康のための教育は日本全国の小中学校の教育現場において行われるように義務化されるとよい、このように記しているわけであります。この点に関して、和歌山県としての取り組みについて教育長の見解をまずお伺いしたいと思います。
 続きまして、平成21年度、本年度から3年間で内閣府から自殺対策の予算、地域自殺対策緊急強化基金、これは全国レベルで100億円という数字なんですが、これが支出される予定になっております。各県では具体的にこの予算をどう使うのかなという検討がされている。ただ、まだ具体的な提案がない自治体も多く、先ほどの東京都の例もそうだと聞いておりますが、子供に対しての対策をどうするか、この点に関しては全くと言っていいほど考えられていない。こういう状況だそうです。
 この大切な予算を子供の教育にぜひとも充ててほしいと思います。自殺予防の啓発、講演、命の教育のための対策を決定し、有効に使っていただきたいと思いますが、予算の考え方を含めて教育長としての具体的な取り組みをお示しいただきたいと思います。
 そして、この問題に関して、自殺対策に関して和歌山県にはうれしい話題があります。NHKニュースの全国放送でも流れておりましたが、和歌山県自殺対策情報センター、これが県精神保健福祉センター内、こちらに開設されております。自殺予防週間の直前に開設されたことに関係者の意気込みを感じるものであります。
 このセンターは、神奈川県、高知県などに次いで全国で最も早い時期である5番目に開設したセンターであります。このセンターの開設を知ったのは、東京の友人から、「ニュースを見たよ」ということで連絡をいただきまして、「和歌山県はすごいですね。一度見学に訪れます」、あるいは「和歌山市で開催予定されておりますいのちの電話の全国大会のときにはこのセンターにぜひ立ち寄りたい。どんな取り組みをしているのか聞きたいと思います」と、こういうふうな反響がありまして、このセンターのすごさというのを知ったわけなんですが、自殺の問題というのは個人的な問題、そういう固定観念を持つものではなく、自殺対策で成果を上げている府県もあります。例えば秋田県などがあるわけなんですが、医学対策だけではなく、民間団体と行政が連携し、地域社会を巻き込む活動、これが必要だと思います。
 和歌山県は、先駆的役割を果たすセンターをこのたび設立したのですから、その取り組み内容を知らせていただきまして、もっと広く広報をしていただきたいというふうに思います。
 業務としての相談窓口、情報の提供、地域のネットワークづくり、人材育成、こういった取り組みが記されているわけなんですが、具体的な取り組みについてお示しいただきたいと思います。また、和歌山県における自殺対策の推進基本方針というのが策定されておりますが、これを踏まえて地域自殺対策緊急強化基金、この活用についてお示しをいただきたい、このように思います。答弁は福祉保健部長にお願いします。
 2点目は、地上波デジタル放送への対応についてです。
 御存じのように、2011年7月24日までにテレビのアナログ放送が終了し、すべてデジタル化されることになっております。デジタル化される意味というのは幾つかあるんですが、代表的なものは次のようなものがあるとお伺いしております。
 現在使用されている電波というのは既に飽和状態にある、これ以上新しい周波数をふやすことができないところまで来ている、そのため、アナログをデジタル化することで周波数は3分の2程度に圧縮することが可能となり、3分の1の余裕が生まれる、こういうものです。わかりやすいイメージで例えると、ビデオテープがDVDに置きかわる、それで収納スペースが生じると、そういったものでデジタル化することで周波数の使用領域、これが飛躍的にふえると、こういうふうなものであります。
 さて、総務省の委託機関デジサポによりまして、全国で7万回、和歌山県内では570回、デジタル放送の説明会が計画されております。これを10カ月ですべて仕上げようとしていますから、相当ピッチをこれから上げると、こういうふうなことを伺っております。和歌山市においても、今月からデジサポの説明会というのが開始されております。
 通常はデジタル対応テレビに変えればデジタル放送が受信できるのですが、県営住宅、公共施設、こういった共同受信をしているところでは課題が生じております。アナログの共同受信アンテナを採用しているところでは、デジタル対応の共同受信アンテナに立てかえる必要があります。国からは半額の補助が受けられるわけですが、1基当たりの立てかえ費用が高額な場合、たとえ半分の負担だとしても地元の負担は相当なものになります。果たしてこれが自治会負担なのか、だれが負担するのか、ここが問題だと思われます。
 テレビは、私たちの生活に欠かせない娯楽の1つですから、だれもがその楽しみを享受できることや情報を受け取れる、こういうことが望ましい姿だと思います。デジタル化に伴って個人で費用負担をしなければそれらを享受することができない環境にあるとすれば、国として、または地方自治体として、ひとつここは考えていただきたいところであります。地上波デジタル化は国策として推進しているものだからです。費用負担を伴わない家庭もあるし、デジタル受信用の共同アンテナを建設しなければならないところもある。これが問題だと思います。国としてデジタル化を推進する意味は理解できますが、国策なのに個人負担が必要な家庭が発生する、こういうところは問題だというふうに思います。
 例えば、県営住宅施設のデジタル化が進展していないため、そこで生活している皆さんがデジタル対応のテレビに変えることをちゅうちょしている、こういう事例も幾つか聞いております。県営住宅ではデジタル放送が見られないとなると、テレビを見る権利──もっともまだこの権利に関しては判例がありませんから権利と言えるかどうか微妙なところですが──その観点からすると問題ではないかというふうに思います。
 説明を聞いてもデジタル化に対応していない県営住宅や費用負担を求められる地域の皆さんにとっては意味がない、国や県は根本的解決をするための施策を講じてほしい、こういったものがデジサポの説明会の後、意見として伺っております。県営住宅のデジタル受信用の共同アンテナの設置計画の有無、計画がある場合の工事計画、そしてデジサポとの連携について調査したいと思いますし、同様に公共施設の共同アンテナ設置に関しても調査が必要です。
 また、生活保護受給世帯などNHKの受信料金を全額免除されている家庭は、デジタルチューナーを、簡易版ですが、無償で提供を受けられます。10月1日から受け付けが開始、支給世帯の最大が260万世帯、このようにされておりますが、このデジタルチューナーは、最近は少し価格の安いものが出ておりますが1万円、必要な家庭は申請してもらう必要があります。申請をしなければこの適用は受けられません。この経済危機の中、1万円の負担でも厳しい家庭は数多くあります。デジタル化の費用の一部を国民が負担すべきことに対して、怒りの声も聞いております。生活保護家庭などでデジタル対応が困難な家庭の対応について検討していただくように、これは要望をしておきたいと思います。
 そこで、3点質問をさしていただきます。
 地上波デジタル化に関して、個人に負担を求める国の考え方をどう考えていますか。福祉を志向する政権にかわったことですから、国の政権においてデジタル視聴困難地域対策を求めるべきだと思いますが、知事の見解をお尋ねいたします。
 県有施設への地上波デジタル放送への対応の状況はどのようになっていますか。特に県営住宅の状況も含めて、今後の見通しもあわせてお答えください。
 もう1つ、地形的理由によって共同受信を行っている地域における共同受信施設のデジタル改修費負担について県の見解をお聞かせいただきたいと思いますが、この後半2点につきましては企画部長の答弁をお願いしたいと思います。
 3点目であります。3点目は、不妊治療への支援についてお伺いをさしていただきます。
 余り表では出てきていないような問題かと思われますが、不妊治療で悩んでいる女性が数多くいるようです。幾つか各地で議会報告会とかいろんな集会をする中で、女性の方からこの意見を聞いております。なかなか意見を言う機会がないということから、余り届いていないんではないか、このように指摘を受けました。
 不妊治療というのは周囲からのプレッシャー、そして自分との闘いであり、決して他人には言えない領域に入っております。もっと言えば、夫、両親、そういった親しい方にも言えないような深刻な悩みだそうです。自分1人で病院に行く、特定不妊治療になりますと、費用ももっと高額になりますし、この治療というのは気分が悪くなり吐き気を催すとてもつらい治療になっているそうです。
 不妊で悩む方から、少子化の目的で子供手当の創設とかさまざまな方策が出ていること、これはうれしく歓迎すべきことなんですが、そういう施策ができるたびにプレッシャーを感じている、子供ができないことに関してプレッシャーを感じている、このような精神的な負担も新たに出ているとお伺いしております。子供を授かれない悩みは本人にしかわかりません。手当を創設したからといって、子供が授かれるものではありません。周囲からの「子供はまだ?」という声が非常な精神的な負担になっている、そのように切なる訴えというものがあります。
 そこで、質問であります。
 特定不妊治療を医療保険に適用すること、あるいは補助金を支給する方策、こういったものが考えられるわけなんですが、不妊治療の医療保険適用に関して、この点に関して知事のお考えをお聞かせいただければというふうに思います。
 それからもう1点、県として特定不妊治療については、これ、実は制度化がありまして、年間15万円を2回まで、通算5年間助成する、こういう制度設計になっております。ただ、高度不妊治療という治療費は何百万円もというクラスになることもありまして、そういう方のために助成金の増額あるいは所得制限──これは所得制限がありまして、一定の所得があればこの助成は受けられない、こういう制度設計になっているわけなんですが、所得制限の撤廃など、その制度設計のあり方を再検討してほしいと思います。この点、いかがでしょうか。福祉保健部長の見解をお聞かせいただきたい、このように思います。
 子育て手当ももちろん大切ですが、産むことの悩みと苦しさ、経済的理由を解消するために不妊治療に関しての医療保険適用と高度医療に関する助成金、これが最初に必要なことだと思いますので、ぜひとも誠意ある答弁をよろしくお願いしたいと思います。
 4点目であります。温室効果ガス排出量25%削減に対する和歌山県の取り組みについてお伺いをさしていただきます。
 本日発足する予定の、民主党の鳩山代表は、地球温暖化問題に関するフォーラムにおきまして、2020年までに我が国の温室効果ガスの削減目標を1990年比25%削減、これを宣言しています。地球温暖化防止の問題は、これはもう人類生存あるいは文明の話、そういう大きな話になるものであり、単純に経済と比較するものではないとしても、私たちの生活や経済界にとって極めて厳しい数値目標であると思われます。
 具体的に、1990年比25%削減を目指した場合の経済関連の数字はどのようになるか少しお示しをしたいと思います。オフィシャルな数字はこれ1つしかないと思いますんで、お示しをさしていただきます。
 まず、実質のGDP、これは3.2%押し下げられます。失業率はプラス1.3%。プラスの数字というのは、これ、悪化を意味しておりまして、1.3%を人数に換算すると、失業者は77万人。民間企業での設備投資、これ、マイナス0.4%。それから可処分所得、1世帯当たり22万円の引き下げ。対して光熱費の負担、これ、1世帯当たりプラス14万円の負担増となります。合計しますと、1世帯当たりの負担額は年間36万円の増加、こういった負担というのが示されております。また、1990年比15%削減目標の場合の1世帯当たり──これ、麻生内閣の場合の15%ですが──この場合の家計への負担額が16万円ですから、倍以上の負担を私たちに求められる、こういうことになっております。
 加えて、温暖化、温室効果ガス、いわゆる二酸化炭素の限界削減費用、こういうものがあるわけなんですが、CO21トン当たりを処理するのには8万2000円──ガソリン1リットルに換算すると170円──こういう金額があります。この限界削減費用、非常にわかりにくいんですが、簡単なことから始めます。例えば、太陽光に置きかえる、エコカーに乗りかえる、こういう費用の対策をどんどんどんどん積み重ねていって、もう限界だよ、これ以上いかないよと。それでもさらにする。例えばCO2を地中処分する、海中処分する、そういう費用というのは1トン当たり8万2000円と、そういうふうな数字になっております。
 この数字では、環境コスト負担によって産業界を締めつけてしまい、国際競争力を弱めてしまう。現実的には、環境問題は経済との両立を図るべきものだというふうに考えています。
 既存技術の延長線上で効率改善と現行の補助金施策などで改善が図れる範囲というのは、1990年比でプラス4%、2005年比でマイナス4%のケースまで。これが既存の技術の延長線上で改善が図れる数字であります。1990年比25%の削減となりますと、新規あるいは既存の機器のほぼすべてを最高効率機器に取りかえることが必要です。あるいは、製造業におきましては現在の規模の生産量を低下させなければならない、こういう事態が予測されるわけです。
 つまり、政策としては新規あるいは既存の機器ほぼすべてを最高効率の機器に取りかえてくださいよ、こういう義務づけすることが必要になる。つまり住宅におきましては、太陽光発電設備の設置、自動車は電気自動車、高効率給湯などにすべて変更することを義務づけることになります。具体的に言いますと、太陽光発電は現状の55倍、新車の90%はエコカー、すべての住宅の断熱化が必要、こういう対策を講じて初めてこの数字に向かうことができる、こういうことになっております。
 また、政策としては、炭素への価格づけ、いわゆる炭素税、排出量取引、こういった問題は不回避となります。これは20世紀型の文化の転換であり、私たちの生活にも非常な影響を及ぼすような、とても厳しい選択を私たちはこれからしていかなければならないということであります。もしこの差、25%の削減を私たちの生活の改善、経済政策の転換によって削減ができなければ外国から排出権を購入する、こういうことになります。想定している金額は約2000億円。ただお金を出して排出権取引だけで数字合わせをしているようでは結局何をしているかわからない、こういうことになるわけです。
 ただ、人類生存のためには環境問題は必要な措置ですから、必要な措置として国の方針が転換しているのですから、すべては否定するわけにいかないのも事実であります。
 そこで、知事への質問です。
 国が現在進めようとしている温室効果ガス排出量25%削減に対応する県の取り組みについて、どのように考えているのでしょうか。経済活動あるいは地域振興のための製造業などの企業誘致にも影響があると思いますが、経済活動との両立に関しての方針についても触れていただきたいと思います。
 お配りさしてもらっている資料があります。この資料は、大阪湾パネルベイに次世代型環境関連技術が集積している、あるいはさらにこれから集積していこう、こういう状況をプロットしたものであります。残念ながら、和歌山県のところを見ていただきますと、既設の工場が2カ所あるだけです。リチウムイオン電池、ヒートポンプの既設の2カ所であります。計画しているところは、一部あるんでしょうが、余り聞いておりません。環境問題への対応と経済活動の両立を図る観点から、最も力を入れたいところはこういったところなんでしょうが、いかがなものでしょうか。例えば新エネルギーを備えた上で工場誘致、こういうことも和歌山県ならできるはずです。
 加えて、普及が期待されている電気自動車に関して、内燃機関の自動車産業とは違う関連産業、電池モーター、電子部品、こういったものの誘致と産業振興についてあわせてお答えをいただきたいというふうに思います。
 続きまして、地球温暖化対策推進法に基づく地方公共団体実行計画に関して質問をさしていただきます。
 平成23年度から──2年先になりますが──数値目標を掲げる必要性があるため、再生可能エネルギーの普及促進、事業者と県民である私たちに取り組みをお願いすると、こういう対策の2つがあろうかと思います。再生可能エネルギーの普及施策としてエネルギーの地産地消というものが不可欠となりますし、次世代エネルギーのインフラ整備、これも必要となってきます。
 例えば、公共施設、電力のグリーン化、住宅建築物への再生可能エネルギーの設置支援、これの補助施策と税制優遇、バイオマスエネルギーの供給体制の支援、こういったことが考えられます。事業者と県民の皆さんに取り組みをお願いするものとしては、ゼロエネルギー住宅の普及支援、工場への高効率機器の導入支援、次世代型自動車の普及支援、こういったものが考えられます。再生可能エネルギーの普及手段としては、制度化、税制優遇、低利融資、証券化、カーボンオフセット、こういったものが考えられるわけなんですが、例えば県が住宅の太陽光グリーン電力証書を買い取り大規模事業所に売却する、こういったことも県として考えられるのではないかというふうに思います。
 いずれにしましても、県民の皆さんと事業者の負担がふえるものですから、数値を示して理解を得ていく、こういう必要があります。これら地方公共団体実行計画に関しまして、環境生活部長に答弁をお願いしたいと思います。
 続きまして、電気自動車の導入に関する質問であります。
 運輸部門のエネルギー消費の石油依存度、これは98%、新国家エネルギー戦略では2030年までに80%に下げる、これが目標になっております。このように、電気自動車はこの部門において温室効果ガス削減対策として期待されているところであります。
 先ほど図で示さしていただきましたように、関西地域としては、関西に集積されつつある電池産業などをさらに活性化し、電気自動車と蓄電池に関連する材料などの産業を活性化させよう、こういう期待感があります。このように電気自動車は、エネルギー問題、地球環境問題への貢献と関西地域の産業振興、経済活性化、こういったものにつながるものとして期待がされているところであります。本格的な普及に向けて電気自動車元年の本年度がとても大切だというふうに考えております。
 ただ、車両の普及とインフラ整備、これは同時に進めていかなければならない問題ですから、ユーザーに任せるだけではだめで、県の関与というのは絶対的に必要になってきます。
 参考までに、ここで言うインフラ整備というのは、駐車場、スーパー、レンタカー事業者、観光施設、こういった施設に充電器を設置する、そういう意味でのインフラ整備であります。
 関西地域においては、既に平成20年10月に京都府次世代自動車普及推進協議会が設立されまして、本年2月には電気自動車普及推進条例を制定、税制優遇措置を設けています。同年、ことし3月、経済産業省のEV・pHVタウン、こちらにも選定されております。
 大阪府では、平成20年6月、「大阪を電気自動車普及率日本一のまちに」を目指し、平成21年度中に急速充電器20機の設置、平成23年度までに電気自動車1000台を導入する、こういう計画があります。さらに、ソーラー移設充電設備を設置し、登録自動車に限りますが、無料で充電が可能な仕組みを整えております。将来的には、関西圏では安心して電気自動車で走行できるように、関西圏の主要都市をつなぐ幹線道路に急速充電器を設置し、関西EVルートを整備する計画、こういうものも策定されております。もちろん、和歌山県もこの中には入っております。
 また、充電インフラに関しましては意外と進んでおりまして、日本ユニシスが電気自動車用充電器を開発、2011年度までに1000台を設置する計画、ここで設備管理、課金サービス、こういったものを提供する予定です。
 時間貸し駐車場では、ことし2月、阪急伊丹駅前のコインパーキングで充電用コンセント、これはもう既に10カ所設置されております。充電料金は無料です。神奈川県では、ガソリンスタンドに急速充電器を設置する予定ですし、スーパーイオンではイオンモール越谷レイクタウン、ここでは既に駐車場に急速充電器を設置している。このように、状況はかなり進んでいるところであります。
 ことし6月、アバローム紀の国におきまして仁坂知事は橋下知事との対談の中で、「電気自動車をやりましょうよ」と、こういう呼びかけに対応して「やりましょう」と答えたんではないかなというふうに記憶しております。その後、大阪府では6月に既にEVアクション協議会が設立されてるというふうに先行しているわけです。その目的の本質なんですが、電気自動車の普及による先進地としてのイメージを植えつけ、低炭素社会実現を目指すための新エネルギー関連産業の集積を図ることにある。単に電気自動車を普及してエコカーの地方自治体にするんではなくて、この新エネルギー関連産業の集積を大阪にしようじゃないか、こういう戦略が後ろにはあるわけです。
 自然環境にも恵まれている和歌山県は、新エネルギーにおいては先進県になれる要素、これは十分あると思いますが、早くも大阪府や京都府におくれをとっております。これでは和歌山県に電気自動車関連産業もなかなか進出してくれませんし、新エネルギーの先進県にはなかなかなれません。各地で電気自動車の普及とインフラ整備が行われているのですが、残念ながら和歌山県の普及の様子を伺うと、余り何も進展していないのかなあと感じるのが残念なところであります。和歌山県として電気自動車普及計画とインフラ整備について、知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 それから、この項目の最後であります。
 今議会には、グリーンニューディール基金、この設置が提案されております。この基金につきましては、本年度数カ所の公的施設への改修があると、このように聞いております。この基金は、公共施設の省エネルギーグリーン化推進、こういったものに関しましては10分の10の補助でありますから、和歌山県が温室効果ガス排出量25%の削減と環境先進県を本気で目指すのであれば、積極的な活用を図るべきだと思います。現時点での基金を適用する項目の考え方、それから市町村への指導、これに関しましてお示しをいただきたい、このように思います。この項目につきましては、環境生活部長の答弁をお願いしたいというふうに思います。
 今回各地で皆さんの意見をお伺いしたり、報告会の中で意見が出された県の課題として大切じゃないのかなというふうな項目を中心に一般質問をさしていただきました。
 以上で、一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの片桐章浩君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 3点、地上波デジタル、それから不妊治療、それから温室効果ガスの話につきまして御答弁申し上げたいと思います。
 御答弁というか、私が申し上げたいことを質問の中で全部言われてしまったという感じがありますので、補足的なことも含めて申し上げたいと思います。
 まず、地デジでございますけども、片桐議員がおっしゃるように、本県は、基本的には国の政策転換によって電波を余らそうと、それから有効活用しようと、これ自体としてはいい話でございます。それによって地上デジタルに変えよう、そうすると、アナログとデジタルと両方テレビ局が発出しておるとなかなか採算が大変なので、ある時点でもうアナログはやめてよろしいと、こういうふうになったわけでございます。
 和歌山県の特に山間部、それから和歌山市の中においても電波が届きにくいところがありまして、このテレビを見るために長い間、和歌山県の住民の方、市町村の方、県も若干でございますが、大変な苦労をして共聴施設をつくったりして、それでようやくテレビを見られるようにしてまいりました。そしたら国の政策転換によって見えなくなっちゃうということでございますので、これは、本質論を言えば、明らかに国の責任によって見られるようにし続けてあげるというのが正しいという点については、片桐議員がおっしゃるところでございます。
 私は、一昨年、本県の問題についてかなり強烈に問題提起をいたしまして、それで時の総務省に、あるいは議員さんも含めてですが、かなりきつ目の問題提起をいたしました。そういたしましたところ、時の増田大臣は「そのとおりである」と、「これは国の責任に全く相違ありません。したがって、最後は国がちゃんと責任をとるように頑張ります」という、そういうお話をいただきまして、それから総務省の本県に対する予算とか助成の優遇とか、格段に変わりました。ただ、その中で、「和歌山県の知事は100%国の責任だと言っておったから、100%以外の政策は無効だ」という議論も何かあったように聞いておりますが、私は、「国もゼロに近いところから出発してどんどんふやしてくれてるんだから、そこは評価をするので、和歌山県もできるところは協力をして、地元も協力してもらって、それで問題をどんどん少なくして、最後の最後はやっぱり国の責任でやってください」、こういうふうに申し上げたところでございます。
 その次の鳩山大臣のときも同じような方向で、この政策がどんどんと拡大されております。今後、新政権になっても、この基本的な哲学は同じだと思いますので、ぜひそれが実現されるよう、特に和歌山県の山間部の方々なんかが、あるいは市内の一部の人たちだけが割を食って自分でその設備をしなきゃいけないなんという物すごいことにならないように、私としては最大限力を用いてまいりたいと考えております。
 次に、不妊治療についてでございます。
 これについても全く御質問の趣旨には賛成でございまして、私自身も、友人でこういうのを受けておられる人もいます。大変な費用もかかり、大変な肉体的苦痛を伴うということでございます。肉体的苦痛は物理的に今の技術水準ではしようがないんですが、その方はたまたまちょっと財力があってできるからいいんだけども、できない人はやっぱり大変な精神的なことも含めて苦痛を感じておられると思っております。
 したがって、これは、医療保険の適用についてぜひするべきだと私は思っておりまして、これまでも国に対して、高額な治療費を要するこれらの特定不妊治療について──そういう名前で呼びますが──医療保険を適用するよう要望を行ってまいりましたが、残念ながら今のところ、これは実現しておりません。
 これらの特定不妊治療につきましては、保険適用が難しいという意見がある一方、前向きに検討すべきだという意見もふえてまいりました。私といたしましては、子供を切望する御夫婦が経済的理由によって治療を断念してあきらめるということがないように、安心して治療を受けていただくためにも、効果が明らかな治療に対しては国において医療保険適用の検討を積極的に進めていただきたいと考えている次第であります。
 不妊治療は、少子化対策を推進するという意味から極めて重要でありますし、子供を産み育てることを切望する御夫婦の要望に沿うことでもありますので、和歌山県としても引き続き特定不妊治療に対する医療保険の適用について国に働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、温室効果ガスの問題であります。
 これにつきましては、片桐議員御指摘のとおり、地球温暖化は、人類の生存基盤にかかわる重要課題であり、すべての人がその責任と能力に応じて取り組む必要がありますが、このたび民主党から提案されました中期目標は、従来の政府目標に比べて非常に大きなものであります。そういう意味で、覚悟を鮮明にしたということについては評価できるところもあるんですけれども、議員御指摘のように、国民生活や経済活動に大きな影響を与えないかなあという懸念もあります。
 さらにつけ加えて申し上げますと、実は日本の温室効果ガス、つまりCO2の排出割合は世界の中で5%を既に切っております。4%台であります。その中で、どんどんと比重は落ちておりますけれども、産業界、特に工場等々から出てくるCO2、これについては約半分ぐらいまだあります。議員御指摘のように、いろんなところで機器を全部リプレースするとしても、ひょっとしたら25%が間に合わない可能性もあります。
 そのときに、日本だけが責任だということで、例えば生産量を落とすということになるとどうなるかということなんですが、国民生活への影響とかそういうことは一切捨象いたしまして、実は日本のこういう産業界の原単位というのは、もうかなりぞうきんを絞って、あと水滴ちょっとぐらいになっておりますので、圧倒的に世界じゅうで原単位、すなわちCO2が排出される割合が少ないわけです。
 そうすると、日本が生産をやめると、ほかのところで何ら約束がなければ原単位の悪い、すなわちCO2をぼんぼん出す国の生産がそれを代替いたしまして多分世界のCO2排出量はふえてしまうという物すごいことになると思います。そういうことを念頭に置いて、やっぱり観念的な話ではなくて、正しい知識に基づいた政策を打っていかないといけないというふうに思います。
 一方で、そのCO2排出の抑制は、我々万人に課された義務だと思います。戦略的にもそういう産業がどんどんと発達し、集積するということはいいことだと思います。したがって、おっしゃられたように、成長が見込まれる例えば充電式電池、太陽光などの新エネルギー関連産業、そういうところをターゲットとした企業誘致とか、あるいは本県の特色を生かした環境分野に係る研究開発を積極的に支援して新たな産業を創出してまいるとか、そういう努力を大いにやっていかないといけないと思います。
 県といたしましては、今後新たに策定される国の長期目標や温暖化対策の枠組みを踏まえ、本県の自然的・社会的条件に応じた地球温暖化対策を積極的に推進するとともに、大きく変わることが予想される経済環境の変化に即応した経済発展を目指し、環境と経済が両立した持続可能な社会の構築を求めていきたいと思っております。
 次に、電気自動車についてでございます。
 これについては、その意義は片桐議員が御質問の中でお触れになりましたので省かしていただきますが、現時点ではちと高いということで普及が爆発的ではありませんが、将来性十分、環境問題からも期待の星の1つだと考えております。
 私としましても、ぜひこれについても和歌山県ができるだけ早い状態で積極的に対応してまいりたいというふうに思っておりますので、近畿府県との広域連携方策とか民間事業者の動向とか、そういうものを勘案あるいはそれを刺激して、それで車の普及と、それからそれのためのインフラの整備、すなわち主として充電設備ですが、そういうものについて頑張っていきたいと思います。特に充電設備については、地域グリーンニューディール基金事業を活用した充電設備の整備を含め、充電環境の整備に努めてまいりますし、また次の予算でもひとつ県としても電気自動車を買いたいなあと、そんなふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○議長(冨安民浩君) 福祉保健部長北田佳秀君。
  〔北田佳秀君、登壇〕
○福祉保健部長(北田佳秀君) 自殺対策について及び不妊治療への支援についてお答え申し上げます。
 まず、最初に自殺対策の2点のうち、和歌山県自殺対策情報センターの取り組みについてでございますが、本県においては年間250人から300人の方がみずから命を絶たれておりますが、自殺は家族や周りの人々に大きな悲しみと生活上の困難をもたらし、社会全体にとっても大きな損失であり、自殺を考えている人を1人でも多く救うことが求められております。
 そのため、当センターにおきましては、市町村、医療機関などの関係機関と連携し、相談体制の充実を図るとともに、自殺についての正しい認識を深めるための情報提供、相談業務に携わる者の相談技術向上研修の実施など、自殺対策の総合的な支援体制の整備を推進してまいります。
 次に、和歌山県における自殺対策の推進基本方針を踏まえた地域自殺対策緊急強化基金の活用につきましては、本年度から基本方針に基づき自殺に関する実態把握、分析等を行うとともに、自殺対策に先駆的に取り組む団体への助成、自死遺族の支援、さらには重点対策地域である和歌山市及び白浜町のモデル的な取り組みを支援することなどにより基金を活用してまいりたいと考えております。
 次に、不妊治療に対する助成制度についてでございますが、体外受精と顕微授精を対象とした特定不妊治療費助成につきましては、議員御指摘のとおり、本年度から治療1回当たりの助成額を10万円から15万円へ拡充しております。さらなる助成金の増額や所得制限の撤廃につきましては、他の都道府県とも連携して引き続き国に働きかけてまいりたいと考えております。
 また、本県では、不妊検査や人工授精などを対象とする一般不妊治療費の助成制度を県単独で実施しているほか、不妊に悩む御夫婦を精神面でサポートするための不妊相談専門窓口の運営なども行っており、今後とも引き続き不妊で悩む御夫婦を経済面、精神面の両面から総合的に支援してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 企画部長前硲健作君。
  〔前硲健作君、登壇〕
○企画部長(前硲健作君) テレビの地上波デジタル放送への移行に関しまして、県有施設の対応についてでございますけれども、これにつきましては、ことしの3月に和歌山県県有施設デジタル化改修計画を策定いたしまして、来年の年末までには100%完了させるという計画で進めております。議員御質問の中にございました県営住宅につきましても、この計画の中でデジタル改修を進めているわけでございますけれども、この年度末、21年度末での進捗は75.3%となる見通しでございます。
 次に、地形的理由によって共同受信を行っている地域における共同受信施設の改修費用負担についてでございますけども、県としても都市部との地域間格差が発生しないように、事あるごとに国に対して要望し続けてきたわけであります。その結果でございますけども、この平成21年度からは共聴施設の新設に対する補助率が2分の1から3分の2にアップしました。また、それに加えましてNHKによる支援策も新設されましたので、これによって住民負担がかなり大幅に軽減されたところでございます。
 県といたしましては、市町村と連携いたしまして、これらの施策を有効に活用して関係住民の負担軽減を図りながら難視解消に努めてまいりたいと考えております。
○議長(冨安民浩君) 環境生活部長井口悦治君。
  〔井口悦治君、登壇〕
○環境生活部長(井口悦治君) 温室効果ガス削減に関する御質問のうち、2点目の地球温暖化対策推進法に基づく地方公共団体実行計画についてでございますが、京都議定書を前提とした現行計画は平成18年度から平成22年度までであり、来年度策定予定の新実行計画につきましては、国の新たな削減目標や温暖化対策の枠組みを前提とするため、より高い水準での目標づくりや行動計画が必要と考えられ、策定に当たっては、本県の自然的・社会的条件を十分に踏まえ、県内各層の声を十分に反映させる必要があると考えてございます。
 県といたしましても、議員御指摘のとおり、今以上に再生可能エネルギー導入や事業者、住民による省エネ活動の促進などさまざまな施策を総動員し、県民や事業者の皆さんがともに行動していただけるものにしなければならないと考えてございます。
 また、現在実行計画を策定していない市町村に対しましても、今後とも策定を働きかけ、県全体での地球温暖化対策を推進してまいりたいと考えてございます。
 次に、4点目の日本版グリーンニューディール基金の活用についてでございますが、この基金につきましては、地球温暖化問題等の喫緊の環境問題を解決するため、国の補正予算により創設された基金でございます。事業内容につきましては、地球温暖化対策の推進や微量PCB廃棄物の処理の推進等で、本県配分額は8億3500万円でございます。
 この事業計画作成に当たりましては、温室効果ガス削減効果の高い事業を優先的に採択しており、県有施設や市町村施設の省エネ改修、太陽光パネルの設置、電気自動車用充電設備の整備などを実施することとしております。今後、事業の執行につきましては、市町村とも連携を図りながら適切に執行してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 児童生徒の自殺予防対策につきましてお答えいたします。
 これにつきましては、各学校で命を大切にする教育を進めていくことが大切であると考えます。これまでも各学校では、道徳の時間を中心として生命尊重の心情を高めるために教材や授業の進め方などの工夫を行うとともに、動物や花を育てたり、世代を超えた交流などの体験活動を通して命のとうとさや生きる喜びを味わう取り組みを実践しております。また、1人1人の違いを認め合い理解し合える人間関係づくり、互いに協力し励まし合える授業づくり、学級づくりなど、子供を孤立させず、ともに生き生きと学校生活を送れるための取り組みを推進してございます。
 県教育委員会では、各市町村教育委員会の指導主事、各学校の管理職や生徒指導担当者等の会議や研修会におきまして命を大切にする取り組みをさらに充実するよう指導するとともに、県警察本部や相談機関等と連携しながら講師を派遣し、児童生徒に命の大切さについて啓発してございます。また、県内すべての学校に文部科学省が平成21年3月にまとめました子供の自殺予防マニュアルを配布し、校内研修等での活用を図っております。
 現在、各学校におきましては、さまざまなテーマで外部の方を講師に招いた授業が活発に展開されておりますので、議員御提案の命を大切に教育を進めるために、地域自殺対策緊急強化基金につきましても、いのちの電話相談員の招聘や絵本の読み聞かせ等に活用できるよう関係部局と連携して進めてまいります。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) この際、申し上げます。
 所定の時間まで残り5分であります。
 再質問を許します。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 以上で、片桐章浩君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時29分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(坂本 登君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 25番多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕(拍手)
○多田純一君 皆さん、どうもこんにちは。きょうは、民主党、社民党、国民新党の連立政権が発足します。まずはお祝いを申し上げたいと思います。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、一般質問、通告に従ってさしていただきたいと思います。
 今回の選挙は、地方主権をどのように進めるか、それが大きな争点になったことは意味があったのではないでしょうか。地方主権の意義は、自分たちが暮らす地域はそこに住む自分たちで決めることができるようにすることが地方主権です。住民本位の行政が実現できることで、より地域の実情に合った、例えば地場産業の発展や和歌山の特色である農林水産業の育成、観光資源の活用、そして地域に見合った県民福祉の向上なども大いに期待できるものと思われます。反面、人、物を最大限に生かし、自立した県を目指していく必要があります。県民の理解と知恵の結集、そして強いリーダーシップがますます期待されるところであります。地方主権を進める上で、県民との対話は重要です。
 このたび知事が始められた行政報告会、既に紀の川市と海南市で2回行われました。私も海南市に参加させていただきました。地元の自治会や各種団体の方々の御協力もあり、夜の会合にもかかわらず盛会でした。特に選挙の後ということもあり、知事の政策には熱心に耳を傾けられた印象を受けました。2年前の選挙の後、私も直接県民に語ることへの重要性を感じていましたので、県民との対話を質問として知事に申し上げました。議会初登壇、初質問で唐突な質問でちょっと失礼だったかなと思いいたしましたが、実現していただいて大変うれしく思います。
 知事の説明の中で、公共調達制度の見直しは力が入っていました。しかし、全体的な印象では総花的な説明が多かった感があります。「半年後にまた会いましょう」とおっしゃっていました。2回目のときにはどういうふうになさるのか、それも楽しみにしたいと思います。知事のお考えを直接伝えることは、時代の風潮やマスコミで受け身になりやすい現在、大きなインパクトを与えるものと思います。
 「県民の友」の9月号、「県民の皆さんへ」の欄や県のホームページで思考停止社会の話をされています。世論に流されずに自分の頭で批判的に考えて、異論を唱える勇気を持つことの必要性を説いています。「いくら時流でも、間違った事は、いつかはその間違いが顕在化します。しかし、それは、行き過ぎとゆれ戻しの混乱とともにやって来ます。その時では遅いのです」、そして、「自らの考えが時流とは異なったものであったとしても、是々非々で、勇気を持って発言し、行動しなければならないと考えます」と述べておられます。これは郷原信郎名城大学教授の著書をもとに知事が県民に訴えたことでしょうが、私も大いに賛同と拍手を送りたい気持ちです。県政をつかさどる知事として、改めて知事のお考えを御説明いただきたいと思います。
 昨日も政権与党の民主党マニフェストに対する質問がありました。今回の衆議院議員選挙ほど、全国知事会や指定市長会が各党のマニフェスト、特に地方分権改革に関する評価、そして採点をするなど、積極的な発言やかかわりが注目されたことはなかったと言えます。それほど地域再生や地域間の格差是正が強く求められています。
 民主党は、マニフェストの中で地域主権の確立をまず掲げています。そして、ひもつき補助金の廃止と一括交付金化や、国の出先機関、直轄事業に対する地方の負担金は廃止などとなっています。つまり、霞が関を解体・再編し、地域主権を確立するとのことです。大変聞こえはすばらしいものとなっていますが、いまだにその道筋ははっきり示されておりません。そんな指摘の声が聞こえてまいります。民主党マニフェストの地方主権に関する知事の御所見をお示しください。
 今後予想される県、市町村の連携と新たな役割分担についてお尋ねします。
 昨日も、市町村負担金を来年度から原則廃止すると答弁されました。今後の市町村の役割分担にも影響すると思いますし、子育て支援や障害者支援策、そして環境対策や観光振興など、単独では効果が上げにくいものについての新たな連携や消費者庁のスタートに伴う消費者行政の県、市町村の役割分担についてはどのように進めていくおつもりなのか。
 京都府知事と京都市長は既に懇談会を開催し、地球温暖化対策や防災、子育て支援、障害者雇用、観光振興などについて協議し、行政協働パネルを設置するなど実行されております。これは、年間を通して実務者レベルで共通する課題を提起し合い、協働できることや二重行政の回避策などについて協議するものです。知事の御見解をお聞かせください。
 今議会に上程されています市町村への権限移譲についてお聞きしたいと思います。
 平成20年4月現在では14の法律──全国43位──だけだったものが、来年4月には和歌山市には21の法律、一般市には49の法律、町村には34の法律の権限移譲を目指し、権限移譲率では一気に全国8位になる見込みのようです。しかし、大分県など、平成6年のころから徐々にやれるところからやっていたところと比べると、なぜこんなにおくれてきたのか疑問です。分権一括法により仕方なくというか、その気になれば、そしてやればできる、そういう見本のようなことなのでしょうか。少しずつやっていればマニュアルの作成や研修や引き継ぎ期間など緩やかにできたのにと申し上げます。権限移譲はいいことばかりではありません。身近な基礎自治体に権限を移譲することで、県でやっていた以上に住民からのサービスが求められることが予測されます。
 そこで、幾つかお尋ねをします。
 一般市で言うと49の法律が一挙に事務が移行されて、過重な負担にならないのか。例えば、専門性を要求されるようなものや技術的なサポートを必要とするもの、常時監視が伴うものなど、身近だからこそ今後新たな負担になっていくようなこと、権限移譲後に起こるトラブルについてはどうするのか。市町村のほうも不安を抱えているところも多いというふうに聞いております。
 県で一元的に行っていたことを考えると、それを30市町村に分担させるわけですから、県レベルよりかえって大きな費用負担になるのは必然的です。それでも行おうとする意味はあるのか、総務部長にお尋ねをします。
 大きな2点目に、若年者の雇用対策についてお聞きします。
 ことしの高校生の卒業者の就職状況は、就職希望数2165人に対し1966人が就職、就職率は89.9%、全国平均が93.2%となっており、全国ではワースト5位となっています。先日発表された来春卒業予定の高校生の有効求人倍率では全国平均で0.71倍、和歌山は近畿では最低の0.49倍となっており、求人の減少幅は過去最悪となっています。団塊の世代の大量退職などで若年雇用は改善が進んでいると思われていました。このままでは若年者が雇用を求めて県外流出が多くなるとか、ニート等の問題も心配をされます。高校生だけでなく、先日発表された7月の全体の有効求人倍率は0.52倍で、前月から横ばい、全国の平均に比べてまだましとはいえ、依然厳しい状況が続いています。
 和歌山県若年者就職支援センターの総利用者数がここ数年伸びている割に就職者数は、平成18年は372人、19年は286人、20年では229人と、対前年20%の減少が続いています。
 仁坂知事は、雇用が前年に比べてふえ続けている県としては、和歌山県は全国の中で9県に入ると話をされております。若者に関して言うと、雇用状況はますます厳しい状況となっていることがうかがえます。国は4度の予算編成で雇用対策を講じています。若年者雇用対策の現状と今後の強化策についてお聞きしたいと思います。
 また、ひきこもりやニートなど、働くことに不安を持つ人を支援することを目的として立ち上げていただいた若者サポートステーションわかやまが開設して1年が経過し、昨年8月には田辺市でも追加開設されております。ことしは全国で17カ所増設され、全国92カ所になっております。若者サポートステーションの実績、そして今後の取り組み等、商工観光労働部長にお尋ねをいたします。
 大きな3点目に、教育問題を取り上げました。
 新しい政権運営の中で、教育の方向性を大きく変えようとしています。輿石民主党参議院議員会長は、教育の政治的中立などあり得ないと再三公然と発言をしておられます。これは、教育や教員の政治的中立性を定めた教育基本法や教育公務員特例法の趣旨を著しく逸脱するばかりか、公然と偏向教育を先導するものであります。教育行政への介入を当たり前だとも言っておられます。マニフェストには、教育委員会を解組し、教育監査委員会を創設し、教育行政の責任を教育長ではなく行政の首長に移管しようとしています。確かに、教育委員会制度は機能していないではないかという意見や不要論など、現実に起こっているのも事実です。何をしているのかわからない、地域住民にとってどんな役割を持つのか、またどんな活動を行っているのか、開かれていない面や住民と遠い存在になっている面など、否めない点もあると言えます。
 平成19年、教育委員会制度について定められた地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正が行われ、昨年、平成20年4月から施行されております。このときの議論の中で、教育委員会の廃止や選択制の導入など、さまざまな意見が出され、すべての地方公共団体に教育委員会を置くという現行制度を維持した上で、必要な見直し、例えば教育委員への保護者の選任状況や委員の研修の実施状況、指導主事の配置状況、教育委員会の活動の点検・評価の状況など、調査項目に加えています。
 まさに今、教育委員会が変わろうとしているこのときに教育委員会不要論が起きていることに対し、教育長としてはどう受けとめておられるのか、お答えをお願いしたいと思います。
 教育の質の向上ということで、教員免許制度の更新制もことしからスタートしてます。これも抜本的に見直しをし、教員養成課程を6年制、教員を拡充としています。仁坂知事も、この教員養成課程の問題につきましては、期間を延ばせば優秀な教員を育成できるわけでないと、いち早く指摘されております。教員免許制度の更新制が見直されるとどういう事態が予測されるのか、教育長の御答弁を求めます。
 続いて、教育の地方分権について教育長にお尋ねをします。午前中の山下議員の御質問にもありましたので、簡潔にしたいと思います。
 昨年、ことしと国の施策及び予算に関する提案・要望の中に、教職員人事権のあり方に関し、地方の実情を無視して教職員の人事権を中核市に移譲しないことという要望が行われております。一方、中核市である和歌山市からは、教職員の人事権の移譲を求められております。和歌山市選出の我々のところにも「権限移譲についての理解を」とその要望が届いております。政令指定都市では既に人事権が移譲されている中で、地方分権改革推進委員会の勧告に対し、どのように今後対応していかれるのか。
 ことし2月、県の定例議会での山本議員の質問に対し教育長は、「和歌山市の担当者と現状や課題について共通理解を図っているところです。さまざまな観点から慎重に研究してまいります」と答弁をされております。和歌山市から届いた要望は7月ですから、教育長からあったような共通理解はこの時点では結局図られていないではないかと心配もいたします。
 その後の経過と分権化が進められていく中でどう考えておられるのか、お答えをお願いします。
 次に、学力向上についてお伺いします。
 全国学力・学習状況調査は、ことしで3年実施されました。来年も予定は発表されていますが、今後どうなるのか不透明になってまいりました。この3年間でわかってきた課題は何なのか。過去2年間、国語力、つまり文章を読み取り理解し、自分の考えを話したり作文にしたりする課題について解消されてきているのか。家庭での学習課題はどうなっているのか。この状況を踏まえ、教育委員会としてどう対応していくのか。教育長は、和歌山県小学校校長会や中学校校長会でのあいさつの中で、盛んに秋田県の教育から学ぶと丁寧な説明をされておられます。どのような点を秋田流に学び、実践しようとしているのか、お答えをいただきたいと思います。
 続いて、4点目の自転車の交通安全対策についてお尋ねをします。
 最近、皆さん、自転車のマナーの悪さが目につきませんか。私は、よく夕方、宮街道を車で走っているときに、大体少し渋滞ぎみですので、自転車と同じぐらいのスピードで走らざるを得ない状況になっております。歩道を走っていた自転車が急に車道を走り始めます。並走する私にとっては、近寄ってくるようなそんな感じで、危うくハンドルを右のほうに切りそうになったこともあります。かと思うと、交差点でとまっていると、左側の歩道を走っていた自転車は、前の信号が赤と見ると、向きを変えて横断歩道を横切っていきました。こんなのは、しょっちゅう見かける光景です。
 自転車は、法律施行時から車両の1つとして定義され、車道を通行することが前提となっていましたが、交通事故の増大が起因となり、自動車等から分離の考え方も加わり、歩道を自転車、歩行者両者が混在している状態となっています。
 地球環境に優しい、エコに対する関心の高まりやメタボの予防、解消などの健康志向、ガソリン価格の上昇などによって、近年、自転車の利用者がふえています。今や、国民の3人に2台が普及しているとも言われています。車以上の数となり、通勤・通学の交通手段として定着しています。
 最近では、電動アシストつき自転車も好調で、生産台数は昨年で28万台、前年比10.7%増。右肩上がりの状況が続いているようです。ギアチェンジができるスポーツ自転車の販売台数も急増しているということでございます。道交法上、自転車とこの電動アシストつき自転車は同じ扱いになっています。車両の一種です。歩道と車道の区別があるところでは、車道を通行するのが原則です。
 その上で、昨年6月1日施行の道交法改正により、歩道通行可を示す標識がある場合のほか、普通自転車の運転手が児童・幼児、また70歳以上の者、また身体障害者であるとき、車道または交通の状況に照らし、自転車の通行の安全を確保するため歩道を通行することはやむを得ないと認められているときには歩道を通行することができるようになりました。
 通行面での緩和の反面、自転車が関連する交通事故は、全国的には事故の2割を占めてきています。自転車は、いわば無秩序に歩道を通行するなど、ルールを守らない利用実態も目立っております。従前の傘差し運転や無灯火等罰金規定から、ことしの4月からは携帯電話を利用しての自転車の運転やヘッドホンで両耳をふさぐ等で音が十分聞こえない状態の禁止等にも5万円以下の罰金が科せられ、自転車交通ルールが改正されました。
 全国紙の報道によると、自転車同士の接触で京都市の62歳の男性が転倒死亡、また名古屋でも自転車2台の正面衝突、75歳の方が重体、大阪では73歳の女性が自転車のひき逃げで死亡するという痛ましい事件も発生しております。また、自転車事故で1300万の過失責任を問われ、保険にも入っておらなかったため、大変な状況も報道されておりました。
 資料を用意させていただきました。資料1を見ていただきますとわかりますように、全国では自転車乗車中の死者数は昨年で717名、傷者数は16万人を超えています。全死傷者数に占める割合では、死者数で13.9%、傷者数で約17.2%となっています。
 和歌山県は、2ページでわかるように、自転車乗車中、毎年10人近い人が亡くなっておられます。傷者数は1106人となっており、全国が減少している中で、ここ数年ふえる傾向にあります。
 3ページの表は、小・中・高校生、そして高齢者でも同じ傾向にあることがわかると思います。特に、見ていただきますと、高校生は昨年大きくこれが伸びてきております。
 資料2の写真は、いずれも朝の通学通勤の時間帯の写真です。写真①、②は、高校生、ヘルメットをかぶっている中学生。①は、この高校と中学で通学路が重なっております。③などは、大変危険な状況がわかると思います。特にこの①につきましては、もう危うく軽自動車と前方に走る自転車──特にこれはヘルメットをかぶってますので中学生と思われますけども──との接触が非常に危ない、こういう状況下の写真となっております。③は、4メートルほどの広い歩道の場所です。④は、50センチぐらいの狭い歩道になっております。自転車1台分しかありません。したがって、右側は車道を走っています。歩道が狭いため、2台分ぐらいの車道にはみ出す通行する姿は頻繁に見受けられました。下の自転車レーンは、和歌山市内に昨年できた2カ所です。左側は歩道の上、右側は車道を区切って自転車レーンにしたものとなっております。
 資料にはありませんが、昨年1年間で自転車同士の事故は4322件、うち死亡が3件。5年前には3186件ありましたから、5年間で1136件ふえたということでございます。
 そこで、お聞きします。
 和歌山県での自転車事故の状況はどうなっておりますか。また、自転車の交通違反で警察に検挙される事例が全国的には急増しているそうで、昨年、2008年には全国で1211件、前年比49%ふえたことになっています。警察当局も厳しくしている現状がうかがえます。歩行者を守り、安全で安心して自転車に乗ることができるようにするためには、自転車利用者が自転車の通行ルールを理解していることが不可欠ですし、目に余る悪質な違反者にはルール遵守を徹底するために指導、取り締まりも推進していく必要もあります。
 以上2点について、和歌山県の現状も含めてお示しください。警察本部長にお尋ねをしたいと思います。
 小中高の自転車通学の現状については、教育長にお尋ねをしたいと思います。
 自転車通学許可者への自転車保険の加入や学校側でも教育啓発活動を実施し、利用者意識の向上を図り、ルールやマナーを周知する努力が必要でしょう。どのような対応になっておりますか。2点を教育長にお聞きしたいと思います。
 国土交通省では、自転車の事故対策として、昨年1月、全国に98カ所のモデル地区を指定し、事故防止へ歩行者と自転車を分離する取り組みに支援を始めております。県内では、和歌山市内の吹上砂山地区、和歌山市駅地区となっております。今後の取り組みについてはどうしていかれるのか、お尋ねを県土整備部長にさしていただきます。
 少子高齢化が進んでいる中で、環境面や健康福祉増進の意味から、アシスト自転車や普通の自転車など、利用者がふえることが予測されます。自転車の道路の整備率は上がっているのでしょうか、また、道路空間の秩序と安全性確保を図る自転車道の整備をどのようにお考えか、県土整備部長にお尋ねいたします。
 これで、1回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの多田純一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、「県民の友」9月号に掲載いたしました「思考停止社会」と題した一文に関連しての御質問でございますけれども、その中で書かせていただきました「仮に自らの考えが時流とは異なったものであったとしても、是々非々で、勇気を持って発言し、行動しなければならない」ということは、私の行動規範であります。これまでもそのように行動してまいりましたし、今後もそうしたいと思います。
 時流に乗っておりますと大変楽でありますし、時流が変わればみずからも変身するというのが、これまた楽であります。特に私のように選挙で選ばれている人は特にそうでありまして、時流に乗っているほうが人気が高まる可能性があります。しかし、それで大事な和歌山に損をさしてはいかんと思っております。
 同時に、私だけではなくて、県民の皆様1人1人が、これは当てはまることじゃないかなというふうに思っております。時流に乗った考えであっても、ほんまに全面的にそうかなあとか、全部そうかなあとか、そうすると、これはどういうふうになるかなあとか、大丈夫かなあとか、そういうように考えてみるということが大事ではないかと思います。
 こういうことについてもよく議論をすればよろしいわけでございますし、私ども県当局としても県民の皆様によく説明をして、それで理解を得られれば、これをもって県民全体として和歌山のためにみんなで力を合わせるということができるのではないかと、そんなふうに考えているところでございます。
 次に、県政の課題のうちの地方主権の今後の行方ということであります。
 本議会の冒頭に申し上げましたように、私は、我々地方のことは地方が責任を持つという地方分権はこれからの日本の発展になくてはならん、そういうものであるというものであって、新しい政権のもとでも推進されるべきものであるというふうに考えております。
 民主党は、政権公約の中で地域主権の確立を掲げ、地方の自主財源を大幅にふやすことを掲げておりますので、分権改革が進展することを期待しているところであります。
 ただ、私も、知事会の申し合わせによりまして各党のマニフェストを採点いたしましたが、地方分権に関する限りは、実は各党ともそんなに差はなくて、これまでの政府と、それからマニフェストに書かれておる新政権になってくるのかなというふうに思う政策は、あんまりそれ自体としては変わらないと思います。したがって、まずは新政権を信頼し、今後に期待すべきものだというふうに考えております。
 ただ、地方分権といっても、何でも地方に移すということが正しいとも限りません。地方分権の名のもとに、国の責任放棄といいますか、地方への押しつけというようなことがあってはいかんというふうにも思います。例えば、地方の自主財源確保策として掲げられておりますひもつき補助金の廃止と一括交付金化については、一般的には地方が自由にできる財源をふやす方策として、私は非常によいことだと思いまして、これについては大変評価をしております。ただし、本来は国で行うべきものを国が責任を放棄して何もかも地方に任してしまうというようになる手段として、これを差し上げますからもうあとは国はやめますというようなことを、やめていいものとやめて悪いものがありますので、やめて悪いものを引かれてしまったら困るなあというような考え方もあります。そういう意味で、よく注視してまいりたいと考えております。
 今後、新しい政権において地域主権確立に向けての具体的な取り組みが行われていく際に、和歌山にとってプラスに働くかマイナスに働くか、国と地方の役割分担、責任の明確化が担保されているのかといった点を基本にしてよく考えて、皆様とも議論し、また全国知事会とも連携しながら意見を言ってまいりたいなというふうに考えております。
 次に、県と市町村の連携ということでございます。あるいは新たな役割分担ということでございますが、現在本県で実施されている事業やサービスは、住民に身近な市町村が第一義的な対応を行い、県は広域的、専門的な部分を受け持つという役割分担のもと、県と市町村が連携し、進めているところでございます。これは新たなではありませんけれども、私が常々心がけておりますのは、市町村との連絡を密にするということであります。新長期総合計画はもちろんのこと、大事な行政に関することについては市長会や町村長会で大いに議論をしていただいておるということは、従来のことはそんなに詳細に知りませんが、聞くところによると、かなり少し変わったところというふうに言われております。
 それで、また地域担当も決めておりまして、ぜひ市町村とよくコミュニケーションをとってもらいたいということを県庁の職員にも申し上げているところであります。
 議員からお話のあった個別施策についても、そうでございます。ただ、一部のものについては、法令等に基づいて役割分担がきちっと決まってるものもあります。御指摘の消費者庁が発足して新しく始まった消費者行政につきましても、消費生活相談等における県と市町村の役割がきちんと位置づけられているところでございますので、これに沿って対処してまいりたいと思います。
 また、議員から京都府の取り組みを御紹介いただきましたが、本県においてもこれまで以上に、先ほど御紹介しましたが、市町村との間で協議、調整を充実さして一層の連携を図りながら住民サービスの向上に努めてまいりたい、そういうふうに考えております。
○副議長(坂本 登君) 総務部長宮地俊明君。
  〔宮地俊明君、登壇〕
○総務部長(宮地俊明君) 市町村への権限移譲につきましてお答え申し上げます。
 市町村への権限移譲に当たりましては、市町村への事務支援といたしまして、移譲事務に関するマニュアルの作成や研修会を実施することとしており、また財政措置として、権限移譲に係る準備交付金を今議会に提出している補正予算に計上しているところであります。
 移譲後におきましても、事務処理経費を交付するほか、市町村に対しまして人的、技術的な支援を行うなど、市町村において円滑に移譲事務が執行できるよう進めてまいる所存であります。
 今回提案させていただいている県から市町村への権限移譲につきましては、住民の意向の的確な反映、住民の利便性向上等の観点から、住民に身近な行政はできる限り基礎自治体である市町村が担うことが望ましいとの考えに基づくものであります。
 県、市町村を通ずる行政コストにつきましては、議員御指摘のとおり増加することも考えられますが、市町村におきまして人員配置を工夫するなど効率的な行政運営に努めていただくことにより最小限に抑えることができるものと考えております。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 若年者の雇用対策につきましての2点についてお答えをいたします。
 本県の雇用情勢につきましては、昨年来の世界大不況の影響を受け、若者を含め大変厳しい状況であり、若年者の雇用対策は最重点に取り組むべき事項であると認識してございます。
 そのため、従前より和歌山県若年者就職支援センターいわゆるジョブカフェわかやまにおきまして、カウンセリングから職業紹介、職場定着までワンストップできめ細かなサービスを提供してございまして、例えば就職セミナーへの参加者数は昨年の3倍近くまで増加してございます。
 さらに今年度は、経済産業省の委託を受け、県内4地域におきまして企業の採用戦略セミナーや就職面談会の開催、県内企業のガイドブックの作成など、ソフト面での機能強化に取り組んでいるところでございます。
 また一方で、ふるさと雇用再生特別基金等の活用により約1100名の雇用創出、求職者と企業との出会いの場として年間12回の就職フェアの開催、さらに職業訓練につきましても、離職者の増加に伴い、前年度比約8倍規模に定員を拡充するなど、さまざまな施策を講じているところでございます。
 次に、若年無業者、いわゆるニートについてでございますが、昨年6月、和歌山市に、昨年8月に田辺市に開設いたしました地域若者サポートステーションにおきまして、就職、進学等、自立に向けたさまざまな支援を行っているところでございます。
 開設後の実績といたしましては、2カ所合わせ285人の方が登録され、延べ約2253件の相談を行った結果、71人の方が進路を決定するなど、2年目を迎え、着実に成果が上がっているものと考えてございます。
 このような若者に対しましては、今後とも各地域における支援対象者の積極的な把握に努めるとともに、相談者の利便性に配慮した自宅への訪問など、きめ細かな支援の充実に努めてまいりたいと考えてございます。
○副議長(坂本 登君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 自転車道の交通安全対策に関しまして、モデル地区とその今後の取り組みについての御質問でございます。
 議員御指摘のとおり、環境負荷の少ない交通手段として、それからまた健康志向の高まりなどにより自転車利用が増加しており、自転車と歩行者の接触事故がこの10年間で約4.5倍に増加しておりますことから、自転車の走行空間の確保につきまして重要な課題であると認識しております。
 そうした中で、国土交通省が平成20年1月に全国で98カ所の自転車通行環境モデル地区を指定いたしました。このモデル地区では、現在の自転車利用の課題を把握し、自転車通行環境の改善を行い、その整備後の効果を評価するということとなっております。
 本県におきましても、和歌山市内で2カ所の自転車通行環境モデル地区が指定されておりまして、今後、安全な自転車通行環境の創出のため、国、県、市の道路管理者と警察が連携し、地域の方々や利用者の御意見を踏まえながらモデル地区内の安全対策に関する方針の検討を行う予定としております。
 それから、同じく自転車の交通安全対策に関します道路空間の秩序と安全性の確保の道路施策についてでございます。
 県では、これまで、歩行者や自転車の安全性確保のため、歩道及び自転車歩行車道の整備に取り組んできておりまして、10年間で163キロメートル、率にいたしまして46%の伸びとなっております。
 今後、自転車道の整備に当たりましては、道路の新設及び改築により歩道や自転車歩行車道の整備を図ってまいります。特に市街地などでは、自転車利用の実態に応じて、モデル地区における整備の効果等も踏まえ、自転車歩行車道における通行区分の分離など、自転車通行の安全の確保を図ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 教育問題についてお答えいたします。
 教育委員会制度は、政治的中立性の確保、継続性・安定性の確保、地域住民の意向の反映の観点から、教育行政の方針決定が教育の専門家の独断に流れることのないよう、社会の良識を広く教育行政に反映させる仕組みといたしまして、レイマンコントロール制が採用されてございます。
 現在、教育関連3法の改正などさまざまな教育改革が進んでおります中、学力・健康体力の向上、豊かな心をはぐくむ生きる力の涵養、また、いじめや不登校の克服、規範意識やモラル、マナーの向上などの課題を解決することが県民の皆様の負託にこたえることであり、その教育委員会の使命に向けて全力で取り組んでいるところでございます。
 また、教育委員会では、今年度から教育委員が各地方に訪問させていただき、学校、保護者、地域の方々などの参加を得ながら県民参加型の和歌山県教育委員会“井戸端トーク”を開催するなど、より開かれた教育委員会となるよう努めてございます。
 新しい政権政党のマニフェストにおきましては、現在の委員会制度を抜本的に見直し、自治体の長が責任を持って教育行政を行う新しい制度が検討されておられるようでありますので、今後、国会等での論議の動向に注目してまいりたいと考えてございます。
 次に、教員免許更新制につきましては、平成19年6月の教員免許法改正に基づき、本年4月から導入された制度でございます。導入に先立っては、県内の大学と連携を図るとともに、県下5カ所で説明会を開くなど、実施に向けて体制を整備してきたところでございます。この制度は、教員として求められる資質能力の保持や最新の知識・技能の習得等を目的としたものであり、教員が自信を持って教壇に立ち、社会の信頼を得るために有効な制度として導入されたものと考えております。
 また、更新講習は本年度から2カ年の間に受講することになっておりますので、今年度の対象者のうち更新されなかった人数等は来年度末にまとまることとなります。
 なお、教員免許更新制の見直しがどういう形で行われるかは、現段階での予測は困難でございますが、本県の現状を見ますと、ことし受講対象となっております約1000人の教員がございます。この中で、2年間かけて更新を予定している方たちに対して、来年度どのように対応していくか等の課題が想定をされ、今後、国の動向を見守ってまいりたいと考えております。
 大学での教員養成期間の延長につきましては、県教育委員会が直接決定することではございませんが、延長により高度な知識を身につけることが可能になることや、教育実習期間の長期化により、より豊かな実務経験を習得できる等のメリットとともに、経済負担の増加や教員志望者の減少による人材不足等が危惧されるなど、デメリットも検証する必要があると思ってございます。
 次に、中核市への人事権移譲につきましては、既に人事権が移譲された政令指定都市におきまして、教職員の任免権は指定都市にあるものの、給与負担者は都道府県であるというねじれが生じてございまして、学級編制や教職員定数などを主体的に決められない等の課題が指摘されてございます。
 このようなことから、中核市への人事権の移譲に当たりましては、採用検査等の事務はもちろん、給与負担や広域での人事交流に関する調整のあり方等もあわせ、一体的に検討していく必要がございます。また、中核市以外の市町村への影響等、格差が生じないよう慎重に進める必要があるのではないかと考えております。今後このような課題を踏まえつつ、中核市である和歌山市との共通理解を深めてまいりたいと考えます。
 最後に、学力向上の課題とその対応についてお答えいたします。
 本県のこれまでの全国学力・学習状況調査では、算数・数学はほぼ全国平均で推移しておりますが、国語は小中学校ともに活用する力に依然として課題が見られます。このため、本県では、子供たちの読解力・表現力の向上など、言葉の力を育成する取り組みを進めているところであります。
 本県の子供たちの学習状況を見ますと、復習することや苦手な教科を勉強することなどの家庭学習の定着度が全国より低い状況にございます。
 県教育委員会といたしましては、こうした結果を受け、10月から県内すべての市町村教育委員会や各学校長に対する個別のヒアリングを実施し、各学校の取り組み状況を具体的に把握するとともに、その状況に応じた指導方法や補充学習のあり方など、学力向上に係る指導や支援を行うこととしております。
 学力全国1位と言われております岩手県は、落ちついた学校生活、保護者や地域との強いつながり、教員の活発な研究活動などの特徴がございます。そうしたことから、本県におきましても、地域ごとの研究・研修活動の定着や大学等とも連携した研究会活動の活性化を図るとともに、地域共育コミュニティの形成などによりまして、学校、家庭、地域が一体となった取り組みを推進し、学力・体力の向上、豊かな市民性の育成など、子供たちを元気にする教育を推進してまいる所存でございます。──失礼いたしました。「秋田県」を「岩手県」と間違えたようでございまして、秋田県の間違いでございます。訂正させていただきます。
 初めに、小中高校生の自転車通学の現状についてお答えいたします。
 小中学校では、自宅から学校までの通学距離や地域の状況等を考慮した上で許可制としておりまして、自転車通学許可生徒の割合はほぼ横ばいであります。また、県立高等学校におきましては、自転車通学生徒の割合は、ここ数年60%弱を推移しております。また、小中高校生が関係する自転車事故では、昨年よりやや増加している状況でございます。事故原因といたしましては、安全不確認が最も多くなっています。
 次に、自転車安全運転意識の徹底についてでございますが、教育委員会といたしましては、毎年、自転車安全利用の正しいルールやマナーについて、市町村教育委員会や県立学校に通知し周知徹底を図っているところでございまして、全国交通安全運動等の実施に伴っては、啓発チラシやポスターを配布するなど、安全教育の徹底を呼びかけてございます。
 各学校におきましても、全校集会や学級活動等を通して、交通ルールの遵守や自転車乗車マナー等について指導をしております。また、PTAや関係機関の協力を得ながら、校内で交通安全マナー教室や自転車整備点検作業等を行うとともに、適宜街頭指導や自転車運転技能向上のための活動に取り組んでございます。
 さらに、命を大切にする態度を身につけさせる中で、登下校時には、小中学生に対し、ヘルメットの着用を推進しております。また、教員等に対しては、生徒指導会議等、あらゆる機会をとらえまして事故の現状や法改正等について指導を行っており、児童生徒に対しましても、学校の要請に応じて、直接、安全指導を行っております。
 なお、自転車保険につきましては、保護者が任意で加入することとなっておりまして、各学校によって加入状況が異なってございます。
 今後も県及び警察本部等関係機関と連携、協力いたしまして、自転車の交通安全対策に積極的に取り組んでまいります。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 警察本部長永松健次君。
  〔永松健次君、登壇〕
○警察本部長(永松健次君) まず、和歌山県における自転車事故の状況についてお答えをいたします。
 昨年は、一昨年に比較して、発生件数、死者数、傷者数、いずれも増加をしております。
 平成20年中の自転車事故の特徴を見てみますと、全自転車事故の約48%が交差点などにおける出会い頭事故であり、発生場所について見ますと、市町村道などいわゆる生活道路での事故が約53%を占める状況にございます。
 また、議員御指摘のとおり、昨年中9人の方が自転車乗車中に亡くなられておりますが、そのうち3人が飲酒運転でございました。このほか、自転車が道路横断中の歩行者と衝突し、歩行者が亡くなるという事故も発生をしております。
 次に、自転車の交通違反に対する指導取り締まり状況についてお答えいたします。
 自転車利用者の交通違反を認めた場合には、看過することなく、その都度口頭指導し、悪質なものなどに対しましては、指導警告カードを交付の上、厳しく警告しておるところでございます。
 指導警告カードの交付数につきましては、平成19年中3153件、平成20年中3202件、平成21年8月末現在で1783件でございます。また、指導警告に従わない者、悪質・危険な行為を反復・継続する者などに対しましては検挙措置を講ずることとしております。
 警察といたしましては、引き続き街頭活動を強化するとともに、県、教育委員会など関係機関、団体と協力しながら交通安全教育を推進するなど、自転車の交通事故防止に努めてまいりたいと考えております。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再質問を許します。
 25番多田純一君。
○多田純一君 それぞれ御答弁をいただきました。時間の都合もございますんで、特に教育に関しましては、また文教委員会等でこの先の詰めをお願いしたいと思います。
 1点だけ。自転車の交通安全対策ということで、いろいろ私なりに調べました。先ほど冒頭でもお話しさしていただきましたように、特にこの和歌山県における自転車事故の数はふえております。ところが、これは報告された件だけでございまして──1106件──要するにもっとたくさんのいろんな事案というんでしょうか、事故そのものがあるんじゃないかと、こういう気がするんです。亡くなった人もいらっしゃいますし、それで傷ついた人もいると。
 自転車ぐらいと、こういう感じを受けるわけでございますけども、やはり自転車といっても相当なスピードが出るわけなんですね。その点をやっぱり留意をして、全国的にいろんな事故がふえてるというこの現実を見ていただいて、それぞれの行政の中で進めていただきたいと、こういうふうに思う次第でございます。
 特に、秋の交通安全運動がこの今月21日から30日まで行われるということになっています。運動の重点として、夕暮れ時と夜間の歩行中、自転車乗用中の交通事故防止ということになっているそうでございます。ぜひこういう機会をとらまえて啓発につなげていただきたいと。これはお願いでございます。
 それから、できることを速やかにということで、先ほど県土整備部長から、「自転車レーンの設置や自転車歩行車道における通行区分の分離など、自転車通行の安全確保を図ってまいりたい」と、こういう前向きな御答弁をいただきました。ぜひ早急な対応をお願いしたいと思うんですけども、自転車通行のマナーや自転車利用者の規範意識を高める努力は、警察本部だけじゃなくて、地域の交通安全推進委員や交通安全母の会、その他関係団体の御努力によりいろいろ推進されてはいると思います。ところが、なかなか事故が減らないというのも現実でございます。道路空間の秩序を図る上での既存の道路、歩道でやれること、たくさんあると思います。
 先ほど写真で紹介さしていただきましたけども、③番の通行中のこの歩道なんかは4メートルぐらい。結構広い道路なんですね。下の自転車レーンという、これだけでも非常にすみ分けが、この歩道においても車道においてもできてるということでいうと、こういうものも早く望まれるんじゃないかと思うんです。昨年つくっていただいて、この2カ所でわずか200メートルぐらいの距離の分しかないんですね。そういう点を考えますと、この自転車レーンというのは大体75センチぐらいあればできるということでございますんで、特に学校の周辺と児童生徒の安全確保を優先してやってほしいと、こういうふうに思う次第でございます。
 この観点から、早急にそのことに留意していただいて道路政策を進めていただきたいと、こういうふうに思いますんで、この点について再度御答弁をお願いしたいと存じます。
○副議長(坂本 登君) 再質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 学校周辺の自転車通行の安全確保、これについては非常に重要な問題であると認識しております。しかしながら、既存道路に自転車レーンを設置する場合には、歩道、車道、植樹帯、そういったものとの調整もこれまた必要となってくるものでございます。そういったこともございますので、さきにお答えしましたモデル地区における効果とか、あるいは国の施策の動向等も踏まえまして、地域の方とか、あるいは関係道路管理者、警察、学校、そういった方とその安全対策の検討を行う中で考えさしていただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) この際、申し上げます。
 所定の時間まで残り3分であります。
 再々質問を許します。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 以上で、多田純一君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 44番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、早速質問に入らせていただきます。
 9月4日に海南市で仁坂知事が参加される県行政報告会が開かれ、私も出席させていただきました。知事とは意見が違うこともありますが、こうした報告会を開いて県民と直接対話する場を持つことは大変よいことでございます。いいお話もたくさんございました。レジュメの中で「暫定税率廃止騒ぎ」というような表現があって少し気にはなったんですが、まあ目くじらを立ててどうこう言うこともないでしょう。
 質疑の時間が少なかったのですが、大雨の降った場合の浸水の心配だとか、県道秋月海南線の拡幅だとか、身近な要求が出席者から出されたのが特徴でした。特に秋月海南線について、知事は「しっかりとお聞きしました」とお答えになりました。多分そのときは、どこのことかよくわからなかったと思いますが、それはそれでいいんです。担当者に聞かれて今は頭に入れてもらったらいいわけで。地域の懸案、大変強い要望でございます。こういう声をしっかりとお聞きになることに重点を置いて、行政報告会を開かれたらもっとよかったのかもしれません。
 以上、感想でございます。もし知っていたら失礼いたしました。
 さて、本論でございます。質問の第1は、政権交代選挙の結果をどう受けとめるかという問題でございます。
 長い自民党を中心にした政権が倒れ、本日、民主党を中心とした内閣が組閣されます。歴史を画する選挙であったと言っても言い過ぎではないでしょう。事は国政の問題ではありますが、私たち県政に携わる者としても、この政治の激変をいろいろな面から考える必要があると思います。
 まず第1に、このたびの政権選択選挙に示された民意をどう受けとめるかという問題です。多くの論者が一致しているのは、この選挙で吹いた風は現政権の政治は終わりにしたいという政権交代の風であって、民主党政策が必ずしもすべて国民から支持されているわけではないということでございます。
 私は、これまで、雇用や社会保障など国民生活を犠牲にして財界の大もうけの応援、その横暴を許してきた政治、アメリカとの軍事同盟絶対の政治が国民から見放されたと思います。私たちはその根本を改め、大企業から応分の税金を払っていただく、アメリカへの思いやり予算を聖域とせずメスを入れることができる共産党の役割を訴え、政権交代のあらしの中でも現有9議席を維持することができました。そして、政権交代したことは一歩前進、新しい政治過程がこれから始まると評価しています。
 これまでの政治への反省から、生活保護費の母子加算復活、後期高齢者医療制度廃止、労働者派遣法抜本見直し、障害者自立支援法の応益負担の見直し、高校授業料無料化など、国民の切実な願いが民主党のマニフェストにも取り込まれたことは大変いいことで、その実現に私たちも全力を挙げたいと思っています。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 知事は、このたびの総選挙で政権交代の風がなぜこんなに大きくなったとお考えでしょうか。閉塞感ということも言われていますが、国民がなぜ閉塞感を感じたのでしょうか。そして、国民の皆さんの声をどう受けとめ、県政にどう生かしていかれるのでしょうか。
 第2にお伺いしたいのは、この選挙の過程で生まれた政策の競い合いの功罪です。
 自民党も国民の声に大変敏感になって、薬害肝炎の問題や原爆被爆者認定の解決へと動きました。また、国民の願いが民主党のマニフェストにも取り込まれるなど、政治が民意に敏感になったことは大変結構なことだと思います。しかし、心配するのは、国民の目先の利益だけで人気を得ようとする政策が生み出しているゆがみの問題です。定額給付金もその1つですが、いま1つ、自民党も民主党も競った高速道路料金引き下げの問題について考えてみたいと思います。
 高速道路の一部を1000円に引き下げるという政策を実施したのは自公政権でした。新しい民主党政権はそれをさらに推し進めて、高速道路無料化をマニフェストに掲げています。
 高速道路料金引き下げは、利用者には喜ばれるでしょう。しかし、その結果何が起こったのか。高速道路の渋滞が起こりました。南海フェリーの経営がやっていけなくなって、県として補正予算を利用して期限を切った支援でしのいでいるという状態です。高速道路が渋滞すればCO2排出がひどくなる。渋滞を解消してさらに高速道路を拡張し続けるのでしょうか。
 私は、道路整備がおくれている和歌山県が国に対して道路整備を求めることを否定はしません。しかし、交通政策で私が重視したいのは、できる限りエネルギー効率のいい電車、乗り合いバス、船舶など、公共交通にシフトすることだとこれまでも申し上げてきました。ところが、自民党と民主党の高速料金引き下げ競争は、それとは全く逆のことをやっている。自家用車利用者の目先の利益におもねて、交通体系や環境問題についての政策を欠いていると思います。
 知事にお伺いいたします。
 高速料金引き下げの結果、南海フェリーは採算がとれなくなってしまった。県は現在行っている補助金の支出をいつまで続けていくことができるのでしょうか。知事は国の補助を求めていますが、その見通しはどうでしょうか。私は、根本は交通政策なしの場当たり的高速料金引き下げに問題があったと考えますが、知事のお考えはいかがでしょうか。
 質問の第2、道路整備にかかわる交通安全対策についてお伺いします。
 海南市東部から紀美野町へのバイパス道路が野上厚生病院まで供用されるようになりました。海南市から紀美野町に入ったばかりのところに交差点ができました。近所の皆さんは、「この道路が開通したらこの交差点で事故が起きる」と言っておられる。早速、県海南工事事務所に電話を入れ、一たん停止を強調するような標示をとお願いしました。開通した後も、何度も安全対策を要望しました。そして、7月15日の朝、40歳ぐらいの女性が単車で乗用車と衝突して亡くなったのです。すぐに警察本部と連絡をとりました。
 その日の午後、たまたま国道370号推進協議会がありましたので、私は、その事故のことで安全対策が後手に回っていることを指摘しました。藤山県議、尾崎県議も同席しておられましたから、私の発言を私よりもっと強い言葉でフォローしていただきました。
 その後、私はお花を持って事故現場に向かいました。そこへ私の携帯の電話が鳴ります。県警からです。「公安委員会では手続が済んで、一たん停止の標示を業者に発注しています」、こんな電話です。私は、「ああ、もう数日早かったら」とため息をついたことでした。
 地域の皆さんは、よくおっしゃいます。「大きな事故でも起こらないと、警察も行政も動かんよ」。私は、「そんなことはないですよ。手続を急いでもらってるんです」、こう説明をしてきたんですが、今度も言われそうです。「それ見たことか。人が死んだら3日後に一たん停止を書いてきたやないか」、こういうふうに言われそうでございます。
 そこで、警察本部長にお伺いいたします。
 第1に、新しい道路が供用される場合、その前に安全について検討し、供用と同時に一たん停止が必要なら、その指定標示を行うことができないのか。今後、このたびの事故を教訓に徹底されてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。
 第2に、一たん停止の標示を、定例の公安委員会の会議を待って認可しなくてはならないものなのか。一たん停止などについては現地警察に権限を移譲し、速やかな対応をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 第3の質問は、医療トラブルにかかわってお伺いいたします。
 NHKテレビで医療過誤の裁判のことが放映されました。串本の方の事例でもあり、途中からでしたが、視聴いたしました。私自身が医療過誤の問題で相談を受けており、どうしたものかと思いあぐねているという事情もありました。
 その終わりのほうで女性の弁護士の方が「こういう裁判ではなく、医療機関が説明責任を果たしていったらいいんですが」とおっしゃっていたのが大変心に残ったわけでございます。
 私が相談に乗って解決しあぐねている問題というのは、ある整形外科の問題です。無理なマッサージをされたと言われます。訴えられた方が元院長先生に手紙を出しました。「昨年9月20日、救急車でお世話になり、あれから1年近くなりますが、毎日痛く、うずきに耐えるのに頭がおかしくなってきました。つえにすがって歩いても10分とはもたず、夜はぽんぽんにはれ、ひざから下が足先までパイプが入っている状態がずっと続きます。もう限界です。先生、助けてください」。私は、この手紙を添えて円満解決が得られるように事務長さんに何度もお電話し、納得のいくような説明をしてあげてくださいとお願いしました。
 その後、訴えの方からの手紙です。「昨年先生にお願いした病院の件ですが、2カ月たっても病院の事務長さんから連絡がありません。先生からもう一度交渉してください」。
 そこで、私は、県庁医務課にも相談に乗っていただいたのですが、ことしの3月に次のような手紙です。「事務長さんから呼び出しがあって、2月に訪問しましたが、1カ月たっても何の音さたもなく、県医務課に相談すると電話で尋ねてみたらとのことでしたので電話しましたら、『書面にて返事します』とのことで、こんな書類が届きました。こんなだったらもっと早くできるのにとつらい気持ちになりました。書面のコピーを同封します」。
 事務長名の文書が添付されています。「当初の入院の目的である骨折自体は治癒いたしました。現症は骨粗しょう症・骨萎縮・下肢筋肉低下等によるものと思われます。これらは容易に治療の効果を上げることのできるものではありません。決して治療過誤によるものではありません」云々。
 この間の対応は事務長さんなどが対応されたようで、院長なり医師が対応して患者さんの体をもう1回診たり、カルテやレントゲン写真を取り出して医療的説明をすることはしていないようでございます。
 この問題が医療過誤であったのかどうか、それは断定できません。しかし、もう少し血の通った対応があってもいいのではないかと思わないではいられません。専門家を含んだ行政機関が話し合いの調停に入って、できるだけ円満に解決、こういうことはできないんだろうか。
 そこで、福祉保健部長にお伺いいたします。
 第1、医療トラブルについて、県としてどういう相談窓口を開いておられるのでしょうか。相談の件数、相談への対応はどうなのか。医療機関との話し合いを取り持つことまでできるのかどうか、お伺いしたいと思います。
 第2に、医療トラブルについて、医療機関と訴える側の間に入れる専門家を含んだ第三者機関があればいいと思うんですが、いかがでしょうか。
 質問の第5番目は、障害児教育、最近は特別支援教育と呼ばれているものについて幾つかお伺いいたします。
 先日、ある小学校の特別支援学級の様子をお伺いいたしました。その学級は児童数が8人、それが1年生から6年生まで広がっています。普通の学級だったら2学級に分かれるのに、特別支援学級では学年というものが認められないので1学級なんだそうです。大変です。
 また、学校現場で大変だとよく言われるのは、障害の多様化と言われる問題です。学習障害(LD)ということが言われ始めたのは15年ぐらい前だったでしょうか。そのころは当時の文部省もこうした問題への認識が薄く、こうした子供を持つお母さん方が運動を始められたように思います。その後、文部科学省レベルでは、平成13年に「21世紀の特殊教育の在り方について」という報告がまとめられ、障害の重度・重複化の問題とともに、学習障害、注意欠陥・多動性障害などの問題に言及しました。また、翌年の平成14年の全国調査で、いわゆる気になる子が全児童の約6.3%に上ることが明らかにされました。そして、平成16年には発達障害者支援法が国会で全会派一致で可決されました。
 このように、15年ほど前に比べて文部科学省の認識も進み、発達障害が認知されるという点では大きな前進があったと思います。
 そこで、教育長にお伺いいたします。
 発達障害への学校現場での取り組みはどう進んできているんでしょうか。教育委員会の学校現場への取り組みの支援はどうなっているんでしょうか。
 ところで、それにふさわしい学校現場への定数などの人的配置は進んでいないように思われます。さきに申し上げた小学校1年生から6年生まで広がる8人の多学年の支援学級、その定数について今後の考え方、またさまざまな発達障害児への対応のための人的措置について教育長のお考えをお伺いしたいと思います。
 もう1つは、支援学校の児童生徒数が膨れ上がり、マンモス化している問題です。
 紀伊コスモス支援学校で言えば、約10年間に児童生徒数が128人から228人に急増しているとお聞きしました。こうした状況を生み出している1つの要因は、支援学校関係者の努力もあって、保護者の皆さんの支援学校への信頼と期待が高まっていることがあると思います。さらに、障害の多様化もあって、マンモス化ということが大きな問題になっているんだろうと思います。
 私も、先日、紀伊コスモス支援学校にお邪魔してお話を聞かせていただきました。教室が足りないので大変苦労していらっしゃる。支援学校関係者の皆さんは、新しい支援学校建設を求めて署名を集めていらっしゃいます。教育委員会としてこの現状をどう認識しておられるのか、どう解決されるのか、教育長にお伺いいたします。
 最後に、質問の第6として、罪のない人が犯罪者にされる冤罪問題を取り上げます。
 自白を強いられて有罪判決で17年間獄中におられた足利事件の菅家さんの問題は、大変ショックでした。何もしていない人間が、ある日、犯罪者に仕立てられ、自白を強要され、17年間獄中につながれた。DNA鑑定の新しい技術で無罪が証明されなかったらと思うと、寒気がします。
 しかし、冤罪事件は遠くの話ではありません。ことしの1月15日の「朝日新聞」で無罪判決が報道された松本和也さんの事件です。多分きょう傍聴席にいらっしゃるのではないかと思うんですが。松本さんは海南市の航空関係の会社を経営していて、海南民主商工会の会員でした。事業関係の争いがあり、会社を荒らされて警察に届け出たが、捜査してくれないと、3年前に民商に相談に来られました。私も一緒に捜査要請に行きました。ところが、その松本さんが相手から詐欺罪で告訴されたのです。郷里の三重県松阪市の警察で逮捕され、400日間拘束されました。体を壊し、吐血するぐらい何回も自白を強要されたと言います。それでも松本さんは虚偽の自白を拒否して頑張ったのだそうです。
 検察側証人だった人が良心の痛みに耐えかねて、「うその証言でした」と証言を覆して無罪をかち取り、検察は控訴できなかったのです。そうでなかったらどうなっていたでしょう。冤罪事件の怖さを痛感いたしました。
 足利事件で菅家さんの問題は全国に大きく報道されただけに、国民的規模でその検証が始まっていると言えます。今月24日には、県弁護士会が主催して、菅家利和さんをお招きした集会も開かれるようです。
 しかし、私が申し上げている松本和也さんの事件は、無罪判決があったという新聞報道がありましたが、ほとんど知られていません。私自身、松本さんがどんな目に遭ったのかについて、国民救援会海南支部総会とあわせて松本さんの報告を聞き、初めて知ったのです。
 松本さんは書いています。「松阪警察署にて128日間、接見禁止で留置され、厳しい取り調べと自白強要され、苦しめられました」。「おまえは初犯やで。やったと言えば帰れるぞ」、「おまえは孤立無援や。だれも助けてくれないぞ」、「家族や子供に会いたいやろ。早く認めて楽になれ」。まだまだあります。紹介し切れません。
 ここは国会ではありませんから、三重県の警察や検察の責任を追及することはできません。しかし、さきに申し上げましたように、松本さんは告訴された相手側を、会社を荒らされたと海南警察署に先に訴えているのです。訴えを受けとめて三重県警と共同捜査していたら、三重県警も、うその証言で松本さんを逮捕し400日も取り調べることにならなかったのではないかと、捜査の中身を知らない素人の考えですが、思ってしまうわけでございます。
 そこで、警察本部長にお伺いいたします。
 第1点、松本さんが証言している取り調べの実態は、足利事件の菅家さんの問題も公になっている中では十分あり得る話と考えなくてはならないと思いますが、警察の取り調べに今どういうことが問われているとお考えでしょうか。
 第2点、松本さんの事件で和歌山、三重両県警での連携した捜査が行われたのでしょうか。また、松本さんの無罪、松本さんの告訴の偽証が明らかになった現在の段階で、松本さんの被害届についてどう扱われるのでしょうか。
 以上で、私の第1回目の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、行政報告会に御出席いただきまして、ありがとうございました。
 1つだけ、その場で出ました県道秋月海南線につきましては、私は多分、ひょっとしたら20回ぐらい走っておると思いますので、よく存じております。狭い道で、しかも、あそこに頼るところが非常に大きいので、これを何とかせないかんというのは宿題になっているということはよく存じ上げております。
 ところで、御質問でございますけれども、政権交代選挙に示された民意をどう受けとめ、県政にどう生かすかということでございます。
 私は、昨日も御答弁申し上げましたように、たび重なる政府側の不祥事に加えまして、それまでの政権が取り組んできた政策が100年に1度と言われる経済危機に伴う失業者の増加とか、所得格差の拡大とか、あるいは地域産業の疲弊などに起因する経済面、生活面での不安感、閉塞感を払拭するには至らず、多くの有権者がこういった現状を、政権をかえることで打破したい、そういうふうに考えた結果であろうと考えております。
 県政においても、県民の皆様が望んでいることは、私は基本的に同じであると考えております。和歌山県は、近年、栄えてきた東京や、あるいは発展の著しい地方ならばともかく、経済的にも、あるいはいろいろ社会的にも閉塞感に悩んできた、そういうような苦しんできた地域だと思います。また、前知事の逮捕等々いろんな不祥事がありましたので、行政の不信感もあったと思います。
 したがって、和歌山を変えること、これが私に課せられた任務だと考えておりました。したがって、そのために不祥事をなくして信頼できる県政を確立するために努力をしてまいりました。また、少子高齢化とか過疎化とか、そういうものの進行、経済の停滞など、特に和歌山は取り残されて停滞してきたつらい現状がございますので、それを少しずつでも変えて県民の皆様が将来への展望を持っていただくことができるような県政づくりを努めてまいった次第であります。
 このような現状打破は、今、始まったばかりであります。やめてしまうことはできませんし、頑張って持続をしていかないといかんと思います。しかし、肝心の県民に理解してもらえないと力が発揮できません。それにそのやり方も独善的ではいけません。不断に改善すべきところは直していかないといかんわけであります。
 そういったことから、行政報告会などを通じ、県の取り組みをできるだけわかりやすくお伝えするとともに、それをもとにして県民の皆様から御意見をいただいて、またそれを県の施策に生かしていくということを粘り強く続けてまいりたいと考えております。
 次に、政策の競い合いというお話でございましたが、高速料金引き下げとフェリーの問題、こういうことでございます。
 私は、高速道路料金の値下げ、あるいはこれを究極的に突き詰めると、ひょっとしたら無料化ということになるかもしれませんが、国民あるいは県民の移動や物の輸送、観光などのコストが下がり、その限りにおいてはプラスに評価すべきことだというふうに思います。しかし、高速道路料金の値下げのためには、その財源としての税金が投入されているわけで、国が本来そうした政策をとるときには、国の責任でやった政策ですから、他に与える影響を考慮して必要な施策を講じる必要があるわけであります。
 現に、高速料金の引き下げによって、和歌山県が非常に大事にしております南海フェリー、これはあんまり実現しておりません第2国土軸の唯一の手がかりというような形なんですが、徳島と和歌山を結ぶ大事な公共交通路であります。これが経営としては危殆に瀕するということになっております。
 政府の首脳によって決定されたものについては、政府の資金によって行われたわけですから、それならば競争条件を同一にするということもまた政府の責任ではないかと、そういうことを国土交通省を中心にして訴えてまいりました。
 その中では、例えば事務次官や担当局長に──当時のでありますが──自分の業界を守るということは国土交通省やそういう中央官庁の本来の仕事ではないか、それが政府の施策によって行われたものならば、その施策を少し直して改善をして、自分の業界を守るために必要なことをするのがあなた方の務めではないかというふうなことも申し上げました。しかしながら、なかなかそういうふうには実施されなくて現在に至ってる次第であります。
 これを放置しておきますと、和歌山県や徳島県は特に打撃を受けます。したがいまして、和歌山県民、徳島県民が許してくれる範囲内において競争条件を同一化するように近づける──これは完全ではありませんけれども、近づけるように支援を行っているところであります。
 今回のこの高速料金の無料化の問題も、また次に議論になるようであります。鳩山さんは、官僚任せにはしないというふうにおっしゃっていらっしゃいますので、こういう1つの政策をやったら何がどういうふうにして悪影響が出てくるかということも全部考えて、それで立派な政策をしていただいて、2度と南海フェリーだけが泣くというようなことがないようにしてもらいたい、そんなふうに考える次第であります。
○副議長(坂本 登君) 福祉保健部長北田佳秀君。
  〔北田佳秀君、登壇〕
○福祉保健部長(北田佳秀君) 「医療トラブルの解決のために」の2点にお答え申し上げます。
 まず、医療トラブルの相談体制と相談の実態についてでございますが、県では医務課及び各県立の保健所に医療安全相談窓口を設置し、患者やその家族からの医療に関する相談に対応しているところでございます。直接医療機関との話し合いの場を取り持つことは行っておりませんが、患者と医療機関とのコミュニケーション不足によると思われるような場合は、医療機関に対し、相談者に十分な説明を行うよう助言しております。
 また、医療過誤等の疑いがある場合の法的な相談につきましては、月2回、無料の弁護士相談を行っているところです。
 平成20年度の医療安全相談窓口への相談件数は519件あり、そのうち医療内容の疑義等に関する相談は107件、また弁護士相談の件数は46件となっております。
 次に、裁判によらない第三者的な調停機関につきましては、高等裁判所が所在する地域の弁護士会が医療の分野においても裁判を行わずに問題を解決する裁判外紛争処理を進めていると伺っております。今後、その処理状況を見ながら、和歌山弁護士会等に働きかけてまいりたいと考えております。
 県といたしましては、患者と医療機関が信頼関係を構築できるよう、医療安全相談、医療情報の提供の充実に努めてまいります。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 障害の多様化と特別支援教育についてお答えいたします。
 県内の小中学校では、特別支援教育を推進するための校内委員会の設置や、障害のある児童生徒1人1人について指導の目標や内容、配慮事項等を示した個別の指導計画を活用するなど、1人1人の実態や教育的ニーズの的確な把握に基づく継続的な指導・支援を行うため、校内体制の整備を進めております。また、県教育委員会では、こうした子供たちへの指導・支援のより一層の充実を目指しまして、平成20年度に具体的な指導の手だてやポイントをまとめました発達障害児指導事例集を作成し、県内すべての学校でその活用を図っているところでございます。
 次に、小中学校における特別支援学級の人的支援についてでございますが、特別支援学級は、知的障害、自閉症・情緒障害など、障害の種類に応じて設置をし、国の基準で1学級の児童生徒数が8人と定められておりますので、同一障害種別の場合は学年を超えて1学級編制となってございます。ただし、本県では、6人以上の学級に対しましては、非常勤講師を配置しております。また、平成18年度からLD(学習障害)等の通級指導教室を開設し、現在各地方に1教室ずつ、合計8教室を設置しております。
 なお、学校における日常生活動作の介助や、発達障害を含む障害のある児童生徒に対して学習活動上のサポートを行う特別支援教育支援員の配置につきましては、市町村教育委員会において措置されるよう引き続き指導・助言を行ってまいります。
 最後に、特別支援学校の過大規模化についてでございますが、紀伊コスモス支援学校、紀北支援学校におきましては、本年度も200名以上の児童生徒が在籍しており、過大規模化の傾向にあると認識しております。現在、紀北支援学校については、校舎の増改築に取りかかっているところでございますし、特に紀北地域の過大規模化を解消する方策につきましては検討を行っているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 警察本部長永松健次君。
  〔永松健次君、登壇〕
○警察本部長(永松健次君) まず、一時停止等の交通規制の実施についてお答えをいたします。
 交通規制を実施する場合は、道路の状況、交通流量などの実態調査を行い、規制場所や種別に応じて道路管理者との協議や地域住民等の意見を聞くなど事前調整を行って、その必要性を十分検討した上で実施するように努めております。今後も交通規制を必要とする箇所につきましては、関係者と協議し、できるだけ早く対応するように努めてまいりたいと考えます。
 また、道路交通法によりまして警察署長が行うことのできる交通規制は、例えば道路工事、祭礼、がけ崩れによる通行どめなど、一時的なものに限られておりまして、通常の交通規制につきましては公安委員会が行うこととされております。
 なお、公安委員会の行う交通規制のうち、一時停止等の定型的なものにつきましては、規制実施までの期間短縮を図るため交通部長の専決となっておりますので、今後とも迅速な実施に努めてまいりたいと考えております。
 続きまして、冤罪問題についてお答えをいたします。
 議員御質問の1点目、いわゆる足利事件を受けて警察の捜査にどういうことが問われているかということにつきましてお答えをいたします。
 足利事件の捜査上の問題点につきましては、現在警察庁において検証中であり、再審裁判も予定されておりますので答弁は差し控えさせていただきますが、いずれにいたしましても、和歌山県警察といたしましては、法と証拠に基づき、引き続き適正な捜査を推進してまいりたいと考えております。
 次に、2点目の御質問の三重県警察と連携した捜査の有無及び現段階での被害届の取り扱いについてお答えをいたします。
 三重県の事件につきましては、三重県警察が告訴に基づいて捜査をしたものと承知しておりますが、海南警察署に申し出られました事案とは全く別事件であり、三重県警察から和歌山県警察に捜査の連携についての要請はございませんでした。
 また、本県警察において受理いたしました告訴につきましては、慎重かつ適正に捜査を遂げた上で既に検察庁に送付しております。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再質問を許します。
 44番雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 御答弁、ありがとうございました。
 知事の行政報告会で知事の顔を見ながらお話を聞いていて、多分どこの道のことを聞かれたんかわからんままに言うてるやろうなというふうに思ったんですが、大変よく知っていたとは失礼いたしました。知事は、知っていたらそのことに一席ぶちたくなるほうなんですが、時間の関係もあってそういうことをされずに簡潔にされたのは大変立派だったと思います。失礼いたしました。
 交通安全対策の問題でございます。
 ただいまの答弁によりますと、私がこうしなければならんのではないかということは、建前として、それは全部できてるよということが答弁の中身でございます。ところが、実際には、あそこで住民の皆さんがいらいらしてるのに、それへの対策がおくれたのはなぜかということです。
 必要性を十分検討した上で実施すると言うけども、いつも、道路がもう供用されるというふうになったときには、道はちゃんとできてるのに、まだ入ってはいけません、入ったら危ないですというふうに道に入らさないようにしたままで大概半月ぐらい置いてるわけですね。その前から協議をしていろいろやってれば、供用開始したときには本当に一たん停止が必要だったらもう線は引けるわけです。ところが、実際には、そういうことを事前に協議することになっていますと言うけども、実際に起こっている状況というのは、供用開始してから協議が始まってるというようなことがあるわけです。
 こんな問題、ささいな問題でして、そんなことを本会議の場でわざわざやらんなんのかというふうに言われるような問題でもあるんですけども、しかし、地域の住民の皆さんは、それをいらいらしてる。言うてもなかなかせんやないかと、うんざりしてる。ですから、あえてきょうは本会議という場で言わしてもうたわけです。
 再質問はいたしませんが、これは道路管理者の側からも、もうじき供用開始するよといったら早い目に警察へ連絡をして協議をしなければならないという、警察だけの問題でもないと思いますが、よろしくお願いしたいと思っています。
 それから、特別支援教育の問題です。
 発達障害の問題、事例集をつくってやっていますという答弁があって、私もこの質問の準備をしながらいろいろお話を聞かしていただいて、こういう事例集というものを今初めて見させていただきました。
 私は、15年ほど前にお母さんたちから、「先生たちももっと勉強してください」というふうに言われた。あの15年前に、この「LD」という言葉が使われ始めたころに、私たちがやっていた教職員組合のほうでこの問題の学習会をやったときに、参加されたお母さん方から、文部科学省でもこういうものはまだありませんから、「先生、こんなものを使って勉強してください」というふうに訴えられて、私も初めてそんなパンフレットを買ったことを今思い出してるんですが、そういうお母さんたちの一生懸命の運動が文部科学省を動かし、そして教育委員会でもこういうものをつくるところまで来たんだなというふうに思いながら見させていただいています。
 そんな中で、いろいろな形で定数の配置もやられている話もあるんですが、1年生から6年生まで広がった、そして8人もいる学級、大変です。文部科学省の基準、定数法の上で言うと8人までは1つの学級ということで、これは動かせないんですが、そして、教育委員会のほうでいろんな形の、講師だとか介助員とかいろいろなものをつけていただいてるんですけども、やはり文部科学省に対しても、普通で言うと、普通の子供だったら1年から6年まで広がった学級というのはないわけですから、それで、この障害を持った子供だって1年生と6年生とすごく発達段階が違うわけですから、8人もいたら2つの学級に分けられるように、これは国に対しても働きかけをしていっていただきたいと思っています。
 そして、再質問についてお聞きしたいんですが、教育長の答弁の中で、市町村教育委員会で配置されている特別支援教育の支援員というものが市町村のほうで置かれていると聞いたんですが、これは、どのくらい置くことができて、またどのくらい置かれているのか、その辺のことを少し教えていただきたいと思います。
 それから、難しい問題なんですが、冤罪の問題です。
 足利事件については、「答弁は差し控えたい」。それもやむを得ないかと思いますが、警察というものは大きな権力を持っている。市民の安全を守るために、犯罪から私たちを守るために警察には大きな権力を持っていただいてるわけですが、それが間違って行使されたときには大変な人権侵害を起こすことになる。それは警察だけの話ではありません。これは、権力、権限を持たされている人間は常に自戒しなければならない問題だと思います。
 そして、松本さんが最初に被害届を出したことについては──松本さんの被害届について新たに検察庁にもう送付した。そして、慎重かつ適正に捜査を遂げて検察庁に送られた。こういうことですので、それはもう信頼をしたいと思います。
 そして、三重県との共同捜査はなかったようで、これが殺人事件でもあったら共同捜査本部でも置かれたんでしょうけども、三重の県警からいうと、たくさんある事件の1つにすぎなかったのかもしれません。そして、警察の側から言えば、起訴されても、それは裁判によって無罪になることもあるよというのは、そう珍しいことでもないかもしれません。しかし、訴えられた者はたまったものではありません。400日間拘束されて、自白を強要されたと訴えておられるわけです。自白の強要をわきに置いても、無罪をかち取ったといっても、周りからは務所帰りという目で見られる場合もあるでしょう。生活はどうしていったらいいのか。
 刑事訴訟法という法律を見てみたんですが、1日の保障というのは1万2500円以下となっていますから、400日入れられても500万円ではたまったものではありません。和歌山県の警察本部の責任ではありませんが、松本さんは半ばそういう権力からの被害者でございます。こういう方が、私の訴えをもうちょっと三重県警と一緒になって捜査してくれていたら、三重県警ももう少し早くその偽証に気がついて──私がこんな400日もこんな目に遭わされんでも済んだんやないかという気持ちを持たれることもよくわかると思います。松本さんがまたいろいろなことで和歌山県警のほうに行かれた場合は、私もできるだけついていこうと思っていますけども、やはり前の問題がどうして立件できなかったのか、和歌山県警察でここまで調べたんだという、できる限りのことはやっぱり説明してあげてほしいというふうに思います。
 以上で、私の第2回目の質問を終わります。
○副議長(坂本 登君) 再質問に対する答弁を求めます。
 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 特別支援教育支援員の県内での配置状況でございますが、これは小中学校に1校1名を100%といたしまして、全県的には配置率45%というふうになっております。本年5月1日現在では、小中学校で190名が配置されておりまして、前年度比プラス10.1%ということで各市町村にも御努力いただいておりまして、これの拡充をお願いしているところでございます。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再々質問を許します。
 44番雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 ありがとうございます。
 この支援員というのは、結局、交付税措置されていて、それで、それを置くかどうかは市町村が判断するわけですね。だから、この交付税措置という問題はいろんなところで出てくるんですが、これは、教育の場合に、本来教育に使うべきだというので交付税措置されたものが教育に使われない場合があるということで、私どもは以前そういうことを調査しまして、市町村の教育費の交付税措置がどれだけやられているか、市町村の教育差がどうかということを分析して、昔、十数年前に100億円足りないということを言うてビラにしたことがあるわけです。
 今度の場合も、本当にその学校で必要がない場合は要らないわけで、必要な場合は置いたらいいわけですから。だから、45%やから一概に少ないとか多いとか簡単には言えませんけども、やはりそういうことが置けるだけの措置があるということがきょうはわかりましたんで、私も市町村の議員とも一緒に実情も聞かしてもうて、それで本当にそういうものが必要やったら置いてもらえるように市町村へもお願いしていきたいと思っていますので、県の教育委員会でもそういうものが十分使えるように市町村の教育委員会とも連携をしていただきたいと思います。
 以上で、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○副議長(坂本 登君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で雑賀光夫君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時54分散会

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