平成21年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(藤本眞利子議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 35番藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)
○藤本眞利子君 まず冒頭に、朝ごあいさつをいただいた下川議員の御健闘と御健勝をお祈り申し上げたいというふうに思います。
 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 本日4人目ということで、最後になりました。お疲れのことと存じますが、しばらくの間、御清聴よろしくお願い申し上げます。
 さて、第45回衆議院選は、政権交代という歴史的な結果をもたらしました。民主党は480議席のうち308議席を獲得し、和歌山からも、県会から出馬をした玉置さんを初め、岸本、阪口、すべての選挙区から民主党国会議員を誕生させることができました。これも、県民の皆さんお1人お1人の日本の政治を変えてほしいという大きな意思のあらわれであると思います。県議会の場をおかりして、支援をいただいた県民の皆さんに心からお礼を申し上げます。ありがとうございました。
 さて、小泉構造改革から8年、郵政選挙から4年が経過し、その間、働く人たちの3分の1が非正規雇用となり、200万以下で働く人がふえ、格差社会が広がりました。所得の格差が地域の格差や教育の格差にまで広がったこの日本の社会を何とか変えてほしい、政治を変えてほしいという県民や国民の思いが、民主党に任せてみようといった結果につながったと認識しています。
 また、おととしの参議院選挙で民主党を含む野党が第1党となった結果、官僚の天下り問題や無駄遣いの問題がはっきりとわかってきました。消えた年金、消された年金の問題も判明し、政府・与党への大きな不信感が政権を交代させようという流れになったものと考えます。
 政権が変わりました。10日には民主、社民、国民新党の3党連立政権合意も発表され、あすにはいよいよ新しい内閣が発足します。しかし、無駄の削減、社会保障、税金の見直し、農政、温暖化対策、郵政民営化問題など、さらには地方分権など、数えるだけでも多くの課題が山積しています。どれ1つとっても重要なものばかりであります。ここは手綱を緩めることなく、しっかりと取り組んでいかなければならないと考えます。
 来年度の概算要求は白紙に戻ります。また、麻生内閣が成立させた9年度補正予算約14兆円のうち、4兆円程度の執行を中止し、予算の内容を組み替える第2次補正予算案を秋の臨時国会に提出する方針であるというふうにもお聞きをしています。
 吉井議員、中議員の答弁と重なる部分もあると思いますが、改めて知事にお伺いします。
 民主党が政権与党となりました。中央の政治が大きく変わります。知事としてどのような感想をお持ちなのか、お伺いします。
 また、今後県政を運営するに当たっての国政への対応についてお伺いします。
 次に、女性の雇用についてお伺いします。
 現在、男女がお互いに人権を尊重しつつ、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる男女平等社会の実現が求められています。意欲や能力のある女性が活躍できる職場環境は、企業の活性化や生産性の向上、多様化する市場での競争力を発揮するためにも重要です。
 さきの2月議会でも、男女共同参画社会の実現に向けて、女性の雇用問題についてお伺いしました。国の2008年度女性の参画加速プログラムも発表され、意識改革、ワークライフバランスの実現、女性の能力開発、能力発揮に対する支援に取り組む方針も確認いたしました。
 2月議会では、県としては、女性が働き続け能力を生かせるよう、その普及に努めている、女性の労働に関する意識改革のためには男女間の固定的な役割分担意識の見直しをさらに進め、1人1人の能力が十分発揮できる職場風土づくりが重要であると考えているという答弁がございました。
 一昔前には、行政においても女性差別が当たり前のような時代がありました。和歌山市役所では、共働きをしている場合、一方が管理職になった場合に──主に男性ですが──一方はやめなければならないという慣習が残されており、女性がやめていったという過去の事実がありました。明文化されてはいなかったようですが、そういったことが平然と行われていました。
 男女雇用機会均等法が昭和61年に施行されてから20数年が経過、平成19年には、これまで事業主の努力義務となっていた募集、採用、配置、昇進について、女性に対する差別が禁止され、現在では一昔前のような性別による差別的な取り扱いは、表面的には見えにくくなっていると思っていました。
 しかし、先日、知人から、職場結婚をした場合どちらかがやめなければならないといった慣習が残っている職場がいまだにあるとお話を聞き、驚愕しました。さすが職務規律などには明記していないとのことですが、過去から慣習として、職場結婚をした場合、どちらかがやめなければならないことになっているというのです。今までもそういったことが行われてきたということでした。直接の上司から暗にやめることを求められ、応じなければさらに圧力をかけられ、職場でいたたまれなくなってやめるという状況に追い込まれていく。最初は働き続けたいと意思を伝えたにもかかわらず、あの手この手で圧力をかけられた末、幾つかの条件を提示され、女性のほうがやめるという結論を出したということでした。
 法律はあっても、現実問題として職場の人間関係等が複雑に絡み、女性が働き続けることの障害になっているということを実感しました。
 そこで、働きたくても働き続けられない女性がいるということについてどう考えているのか、また性別を問わず働き続けられる職場環境を整備するためにどのような取り組みを行っていくのか、商工観光労働部長にお伺いします。
 次に、熊野牛の振興についてお伺いします。
 和歌山県では、熊野牛やうめどりのブランド化を進めながら、その販路開拓にも多大なる努力をされています。また、先ごろは、プレミア和歌山ということで、大都市圏に向けて積極的な売り込みをされていることについて、大いに評価をしているところです。
 しかし、和歌山で生み出されるブランド商品の熊野牛、その生産者は家族経営の小規模畜産農家が主体であります。
 5月の終わりに、熊野牛子牛市場を視察してきました。家畜市場は、昭和43年、県農協連が田辺市元町に子豚市場として開設したのが発端で、平成6年からは子牛市場も併設され運営されてきたということであります。平成12年、県農協連が家畜市場からの撤退を表明し、田辺家畜市場の廃止を申し出たのですが、すぐには子牛市場を開催できる場所が見当たらないため、平成17年まで同じ場所で開催してきたとお聞きをしています。
 その間、県農協連は、紀南畜産事業所を閉鎖、農協連が開設した子牛市場は、完全に熊野牛産地化推進協議会に運営を移行されたとお聞きしました。
 平成17年からは、紀南農協から堆肥製造施設を借用して子牛市場を開催しているといった状況であります。
 当日は、90頭余りの子牛の競りが行われていましたが、場所が手狭なためぎゅうぎゅうで、少し危険な場面もあり、これはこれはと感じました。最近は、入場頭数も増加をしてきているとのことでしたので、周辺も、子牛を運搬してきたトラックや、農家や購買者の車で混雑していました。もともとが堆肥施設なので、競り場も狭隘で、隣の業者さんとの距離が近過ぎて、値段をつけるには適切な環境とは言いがたいといった状況でありました。
 1キロ1000円ぐらいつかないと採算が合わないということでしたが、キロ1000円もつかない子牛もあり、畜産農家にとっては厳しい状況だなあと実感しました。
 それでも、若手の経営者が育っており、畜産業界、熊野牛の業界にとっても頼もしいと同時に、畜産の将来をどのように描いていくかが大きな課題となっています。
 そこで、農林水産部長にお伺いします。
 畜産振興を進めるために、生産、肥育、販売まで一貫した市場にしなければなりません。そのためには、県として積極的な取り組みが求められています。畜産振興を進める上で、場当たり的な対応ではなく、将来を考えた対策が求められています。
 まず、子牛市場ですが、堆肥製造施設を利用して今後開催するには無理があると思います。狭隘ですし、危険だと思います。
 ここに、熊野牛産地化推進協議会の生産者、購買者の皆さんより、移転についての請願署名が上がっています。ただ、移転については、場所の確保が難しいといった状況も承知しておりますので、県としてこの子牛市場の移転についてどのように考えているのか、御見解をお伺いします。
 また、今後、熊野牛の振興を図るためには、先ほど入り口から出口までと言わせていただきましたが、生産者並びに関係者が一丸となって推進していく必要があると思います。
 そこで、和歌山県の熊野牛振興の将来をどのように考え、どのように具体的に対応するのかお聞きをします。
 4番目にですが、最後ですが、がん対策についてお伺いします。
 2006年6月、与野党一致で成立した国のがん対策基本法、それに基づき、がん対策基本計画が策定されました。その当時、民主党の山本孝史参議院議員──故人でありますが──胸腺がんに侵されながらも、みずからのがんを告白し、早期成立を訴えていた姿をテレビ等で見た方も多いと思います。
 本県でも、基本法に基づき、平成20年度より平成24年度までの5年間を対象として、がん対策の総合的かつ計画的な推進を図るということで対策が行われています。
 しかし、日本人の2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで死亡しています。私の父も、ことし3月、がんで亡くなりました。約2年余りの闘病生活では、医大の先生方を初め、多くの皆さんにお世話になりました。また、葬儀の際には、先輩、同僚議員初め、当局の皆様にも弔問や御弔電をいただきました。議場からではありますが、この場をおかりしてお礼を申し上げます。
 近年、がんで亡くなる方が多く、特に若くお亡くなりになったとお聞きすると、早期に発見できなかったのか、何かよい治療法はなかったのかと思わずにはいられません。
 和歌山県におけるがん患者の死亡率は、全国的に見てもかなり高い位置にあります。国立がんセンターがん対策情報センターの資料の、働き盛りの75歳未満のがん年齢調整死亡率によると、がんで死ぬ人の割合が最も高い県は103.7の青森ですが、和歌山県も97.4ポイントと、がんで亡くなる方が3番目に多いという結果になっています。最も低い長野県72.7ポイントとでは24.7ポイントの差となっています。死亡率にどうして地域によっての差が出るのか。何が原因なのでしょうか。
 がんの死亡率は、生活習慣だけでなく、早期発見、適切な医療など、さまざまな要因が影響していると考えられます。大きく分けて、がん予防力、がん検診力、医療がうまく機能しているのかを見るがん医療資源機能力と、3つに分けて各県の水準を偏差値であらわしたランキングを、東京医科歯科大学大学院医療経済学分野、井上裕智氏が発表しています。きょうは資料で皆さんにお配りをしていると思いますが、がんで死亡率が一番低い長野県と和歌山県とを比べ、その違いからヒントを得たいと考えました。
 まず、がん予防力という点で、予防力ランキングでは、長野が2番の69.7%、和歌山が47.1%で31番であります。22.6ポイントの差が出ています。がん検診力ランキングでは、長野県は67.26%で2番、和歌山県は36.15%で43番であります。このように予防力や検診力になぜこれほど差が出てしまうのか、その取り組みを長野県に行って調べてきました。
 予防への取り組みとしては、保健指導員の活動が挙げられます。長野県の保健指導員等の活動は、昭和10年代の後半からの結核、赤痢等の伝染病や、乳幼児の死亡の多い戦争中の劣悪な環境の中で、昭和20年に生まれています。当時の保健婦が孤軍奮闘している姿を見ていた地域の主婦たちが、少しお手伝いをしようと自主的に呼びかけ運動を始めたことがきっかけです。
 その活動の中で、自分たちの健康を守るためには自分たちがまず学習することが大切だと気づき、学習する機会をつくろうと、自主的学習の場として保健活動を開始したのが始まりだそうです。
 昭和46年には、地域住民の健康増進に寄与するため、長野県国保地域医療推進協議会が設置され、当時、長野県が日本一の脳卒中多発県であり、何とかしなければいけないと、保健婦、保健指導員等によって、冬季室温基礎調査や食事の塩分濃度の調査を行いました。
 この取り組みは、県下の市町村を巻き込み、保健指導員等の組織化が推進されました。順次、全県的な広がりを見せ、現在はほぼ全市町村に組織されています。
 現在、保健指導員の数はおよそ1万3000人余り、幅広い年齢層の方、さまざまな職業の方が参加しています。保健指導員になると、成人保健活動への取り組みや研修会、講習会への参加、健診やがん検診の受診のお勧めなど、日常活動をされています。保健指導員等の経験者が1973年以降に限定しても、県全体で20万人以上になる計算になります。この膨大な数の経験者が長野の健康を支えています。
 長野県は、医療機関にかかる人が少なく、入院期間が短い、医療費も全国最低水準ということにもあらわれていると思います。
 また、長野県の長野市では、各種検診の費用について、和歌山市と比較をしてみますと、個人負担が少なくなっています。まず、40歳以上は1000円で特定健康診査を受けられます。基本健康診査と大腸がん検診、肝炎ウイルス検診が含まれています。胃がん検診は900円、和歌山市では3000円です。肺がん検診の胸部エックス線直接撮影は無料であります。和歌山市では1000円の負担となっています。
 このように検診料負担の軽減も検診率を引き上げる大きな要因になっていると思います。早期発見がふえれば、医療費も減り、本人の負担も軽くなります。
 また、啓発の部分では、検診に対するお知らせがわかりやすくて、すべての世帯にきちんと届けられているというのも効果が大きいと考えます。
 和歌山県でも検診率の高い太地町にお話をお伺いすると、長野県と類似の取り組みがありました。保健指導員と同じような役割の健康づくり推進員さんが各区町単位で活動されており、がん検診の申し込みの配布と取りまとめをしているとのことで、また費用が一律に500円ということで安価に設定されていることもわかりました。和歌山県に住みながら、市町村によってがん対策に取り組む内容も個人の費用も違っています。
 そこで、福祉保健部長にお伺いします。
 がん患者さんにとって、入院費や手術代、その後の治療代なども含めると個人負担は大変大きいものです。これは、がん患者さんだけの問題ではなく、医療費の抑制といった観点からも、がん対策については本腰を入れた取り組みが求められています。
 がん予防や検診率の引き上げは、直接的には市町村の取り組みにお願いする部分も大きいと思います。しかし、県として県民の健康を守るといった観点からも果たすべき役割も大きいと思います。
 がん予防について、長野県や太地町の取り組みを紹介しましたが、県として、今後どのような対策を行うのか、また早期発見のためにも全県的に検診率の引き上げをどのように講じるのか、お伺いします。
 また、がん対策の大きな課題として、より適切な対応をするためにも、地域ごとにがんの種類や年齢などの状況を調べる必要があると考えますが、県として、地域ごとの調査は進んでいるのかどうかお伺いします。
 最後に、がん医療にかかわって、医療資源と言われる診療所や病院、がん専門医、がん専門認定看護師などの治療や再発予防に当たる場所や人材はあるのかといったことが問われます。
 私の友人で、乳がんの手術をしなければならないと診断されたのですが、ベッドも満床、手術も2カ月待ちという状況でした。診断されてもすぐ対応できないケースも多いとお聞きしています。
 そこで、がん対策として、診療所や病院は十分にあるのか、診断から手術ということでは連携した治療は行われているのか、お伺いします。
 また、がんに対応できるがん専門医や術後の緩和ケアの看護師等がもっと必要と考えますが、人材の育成は行われているのか、がん医療にかかわる取り組みの状況についてお伺いします。
 以上で、第1問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの藤本眞利子君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 政権交代の感想についてでございますが、多くの有権者が、たび重なる政府側の不祥事に加え、100年に一度と言われる経済危機への不安感とか、あるいは地域経済の疲弊による閉塞感などさまざまな閉塞感を、政権をかえることで打破できるのではないかと考えた結果であろうと考えております。
 マスコミなどは、政権にいるほうにいつも厳しいものでありまして、発足もしていない政権に、もういろいろと言っておるようであります。
 しかし、国民の多数の支持により発足した政権には、まずもって信頼と期待を持って対処しなければ国民としてはいかんというふうに私は思います。
 新しい政権には、このような期待にこたえて、官僚任せではなくて、政策的意図を持って日本を再活性化してほしいと思いますが、特に少子高齢化、過疎化が進行し、経済が停滞するなど多くの解決すべき課題を抱えた本県のような地方を大事にする政策をぜひ熱心に選択し、やってもらいたいというふうに期待しているところであります。
 次に、今後の国政への対応についてでございますけれども、和歌山県民の幸福に責任を持っていると考えております和歌山県の知事は、政府の下請でも一員でもありません。これまでも医科大学の医師定数の増員とか、あるいは地デジの難視聴対策とか、高速道路の1000円化等に伴うフェリーの支援など、国の政策によって和歌山県民が不利益を受けている場合には、政府の責任だと言って政府に対して意見を申し上げてまいりました。
 その中で、閣議決定を覆してもらってうまくいったケースもありますし、それから耳ざわりなことを何度も議論さしてもらったりもしてまいりました。
 新政権に対しても、よく事情を申し上げ、和歌山県のために理解してもらうような努力を同様にしてまいりたいと考えております。
 議員にもぜひ応援していただきたいと考えております。
○副議長(坂本 登君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 女性の雇用についての御質問にお答えさせていただきます。
 議員からお話のございました、結婚を機に退職せざるを得ないといった慣習につきましては、男女雇用機会均等法などに大いに反する行為であり、働く意思や能力のある人から雇用の場をなくさせるようなことは決してあってはならないことだと強く思ってございます。
 県といたしましても、固定的な性別による役割分担意識や古い慣習などの改善を図るべきだと考えており、この10月から県内各地で開催する企業における人権研修会での重要なテーマとして取り上げてまいりたいと考えてございます。
 また、気軽に相談できる窓口を労働センターに設置してございまして、そうした状況を把握した場合には、指導権限等を有する和歌山労働局に情報を提供し、緊密な連携のもと、その是正に努めてまいりたいと考えてございます。
 いずれにしましても、性別を問わず働き続けることができる職場環境を整備するためには、男女雇用機会均等法の遵守、育児、介護休業等の普及促進が極めて重要であり、セミナーや中小企業労働施策アドバイザーを通じて、さらなる徹底を図ってまいりたいと考えてございます。
○副議長(坂本 登君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 熊野牛の振興に関する2点についてお答えをさしていただきます。
 まず、今後の子牛市場の運営についてでございますが、熊野牛の振興にとりまして、競り販売を行う子牛の市場は重要でございまして、平成6年の開設以来、県としても開催の準備から運営にわたりまして積極的にかかわってきてございます。
 また、平成17年に移設をいたしました現在の市場におきましても、施設の整備や電動競り機の設置などに対し、助成を行ってきたところでございます。
 現在、出荷頭数や購入者の増加によりまして市場自体が手狭な状況になってきており、生産者からの移転要望があることも十分承知をいたしてございますが、移転となりますと、まとまった用地の確保、また周辺住民の理解等も必要でございますので、難しいものがあるというふうに考えてございます。
 こうした中ではございますが、熊野牛産地化推進協議会及び関係市町村との間で現有施設の整備充実、また開催回数をふやすなどの対応について協議を重ねているところでございます。
 今後、より一層熊野牛産地化推進協議会と連携を密にしながら、効率的、安定的な市場運営ができるよう、県としての役割を果たしてまいりたいというふうに考えてございます。
 次に、熊野牛の生産振興についてでございますが、県といたしましては、熊野牛を本県の中山間地域におきます地区産業の柱と位置づけてございまして、生産農家に対し、これまで病気予防のための巡回、あるいは濃密な経営指導、また優良精液の活用による肉質の向上、さらには子牛市場への輸送経費に対する助成、販売価格の低下に伴う経営補てんといったことなど、総合的な取り組みを行ってございます。
 今後、さらにこうした取り組みを一層進めるとともに、新たな農商工連携による加工品づくりなども視野に入れながら、本県特産和牛である熊野牛の積極的な振興を図ってまいりたいと考えてございます。
○副議長(坂本 登君) 福祉保健部長北田佳秀君。
  〔北田佳秀君、登壇〕
○福祉保健部長(北田佳秀君) 和歌山県におけるがん対策の推進についての3点にお答え申し上げます。
 まず、がんの予防と検診状況についてでございます。
 がんの予防につきましては、禁煙、適正飲酒、運動習慣の確立、食生活の改善などが肝要と認識しており、県内各地域の特性を踏まえ、がんを含めた生活習慣病予防に資する健康づくり活動を推進してきたところです。
 特に、生活習慣の改善には、県民の主体的な取り組みが重要であることから、各地域の地域食育連携協議会において、健康づくり活動の中心的役割を担う地域・職域リーダーの育成を進めているところです。
 引き続き、このような地域ぐるみの県民参加型健康づくり活動を進めてまいります。
 次に、検診の状況につきましては、県内市町村の各がんの平均検診受診率は、例えば平成19年度の肺がん検診で29.5%であるなど、総じて全国平均を上回っているものの、さらなる受診率の向上に向けては、未受診者の掘り起こしなどを図る必要があります。
 そのため、がん検診の実施主体である市町村においては、住民の代表である健康づくり推進員などによる受診勧奨に取り組んでおり、県におきましても、一定期間がん検診を受診していない県民を対象に、休日における検診実施などの促進事業を実施しております。
 今後とも受診率向上に向け、これらの事業とあわせ、広報、啓発活動にも積極的に取り組んでまいります。
 次に、がんの調査についてでございます。
 がんの種類や発症年齢、治療状況などの情報を把握することは、適切な対策や医療の確保を図る上で重要であると認識しております。
 県におきましては、平成19年から県内のがん診療連携拠点病院6病院において、がんの発生状況や治療情報などを集積、解析する院内がん登録を進めているところであり、本年度から、これらの拠点病院以外の病院においても、がん登録を実施することとしております。
 今後とも、県立医科大学を初めとするがん診療連携拠点病院、県医師会、病院協会などの協力をいただきながら適切ながん登録のあり方について検討を進めるとともに、国における地域がん登録に係る法整備と予算の動向を注視しながら、がん登録を推進してまいります。
 最後に、がん医療に係る取り組みの状況についてでございます。
 まず、がんに関連した医療機関の状況や連携体制につきましては、県内のがん診療連携拠点病院6病院を地域医療ネットワークの中核と位置づけ、患者に対する相談支援機能の充実を図りつつ、質の高いがん医療を提供することにより、がん患者の紹介、相談、診断から専門的治療、緩和ケアに至る一連の医療体制が確保されているところです。
 次に、がんに対応できる人材の育成につきましては、手術、放射線療法及び化学療法を効果的に組み合わせた集学的治療や緩和ケアを提供する医師、看護師、薬剤師などの専門的な人材については、県立医科大学を中心とする研修等を通じ、人材育成を図っているところです。
 特に、全国的に取り組みのおくれた緩和ケアにつきましては、国の基準による専門研修を修了した医師は本年6月末で126人となり、人口10万人当たりの修了者数は、全国で3番目となっております。
 また、看護師、薬剤師などの医療従事者に対する緩和ケアの研修は、各拠点病院が中心となり、計画的に実施しているところです。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再質問を許します。
 35番藤本眞利子君。
○藤本眞利子君 御答弁をいただきました。
 何点かについて要望申し上げます。
 まず、女性の雇用に関して、男女雇用機会均等法等の法整備は確かに進んできました。しかし、さきの2月議会でも今議会でも現実問題として、女性の雇用、待遇など労働条件の改善がなかなか進まない状況を訴えました。
 県として、セミナーとか中小企業労働施策アドバイザーを通じてさらなる徹底を図っていきたいとの答弁でありますが、法律に違反した場合の罰則規定等が明確に示されていないため、事業者には通り一遍の話として聞き流されているのではないかというふうに思って、歯がゆい思いをしています。
 今回、知人からお話を伺い、このようなことが二度と起こることのないようにしていかなければならないというふうに考えます。県としても、さらなる取り組みをお願いします。
 次に、熊野牛の振興についてであります。
 県として、熊野牛の生産振興について、子牛市場は重要な役割を果たしていると認識されていると思います。
 本日は、熊野牛産地化推進協議会の皆さんも傍聴にお越しをいただいています。
 子牛市場の移転問題については、明快な答弁いただけませんでしたけれども、県としても、熊野牛産地化推進協議会との連携を密にしながら役割を果たしていきたいとのことですので、今後、熊野牛をどのように振興させていくかといった観点で、子牛市場の問題に取り組んでいただきますようにお願いいたします。
 最後に、がん対策についてです。
 先週の11日、がん征圧全国大会、知事もごあいさつをされましたけれども、県民文化会館で行われました。
 私も行ってまいりまして、対がん協会の会長さんの垣添さんからは検診率50%を目指すというお話があった後に、日本対がん協会のほほえみ大使のアグネス・チャンさんの講演がありまして、みずから乳がんを罹患した体験をもとに講演をされました。同じがんに侵されても、早期に発見していれば、手術した後、治療を継続しながら、皆さんにこういうふうにお話をさせていただくこともできるけれども、同じがんに侵されても、発見が遅かったために亡くなられた方もいらっしゃるということを訴えられていました。
 つらかったであろうその御自身の体験を隠すことなくお話をされるアグネスさんの姿勢に、私も勇気と感動をいただきましたけれども、聞いていた皆さんも涙をする、そういった姿を見ることができました。
 県民の皆さんも、検診することはもうとっても大事だというふうに思っていると思うんですけれども、検診に行きやすい環境を整えるということがやっぱり肝心だなというふうに思います。
 市町村がというふうなところもあるんですけれども、県当局としては、そういった牽引役を果たしていただきたいというふうに切にお願いをいたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(坂本 登君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で藤本眞利子君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時46分散会

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