平成21年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(吉井和視議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前10時10分再開
○議長(冨安民浩君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 この際、報告いたします。
 今期定例会に提出されております議案第132号について、字句の誤りがありました。正誤表をお手元に配付しておりますので、御了承願います。
 日程第2、議案第132号から議案第151号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第3、一般質問を行います。
 5番吉井和視君。
  〔吉井和視君、登壇〕(拍手)
○吉井和視君 皆さん、おはようございます。
 質問に入る前に、ただいま議員を辞職されました下川県議におかれましては、我々は大変お世話になり、そしてまた、下川県議のたぐいまれなる業績に対して敬意とそして感謝を申し上げたいと思います。下川議員、ありがとうございました。
 それでは、質問に移らせていただきます。
 まず、今回の総選挙についての我々の反省についてでありますけれども、それよりまず、和歌山民主党県連代表、おめでとうございます。大変な勝利で、今後知事も藤本議員といろいろ相談されて国へ要望活動を行っていただきたいなと、そんなに思います。
 それで、私は、今回の選挙については、自民党、大変な大敗を喫したわけであるわけですけれども、それは単に今回の選挙のいわゆるスーパーのチラシのようなサービス合戦に負けたわけでありまして、それで本当に負けた原因はほかにもあるわけであります。
 それは、私は常に思っておったわけでありますけれども、自民党ができて既に半世紀ぐらいたつわけなんですけれども、それで立党の精神は何かと、これを自民党が忘れておったというふうに我々反省をするわけであります。
 その立党の精神というのは、あの戦後の体制の中から日本国の自立自尊、具体的に言えば、自主憲法制定であったり、自主防衛体制を確立しなけりゃいけないというその責務があったわけでありますけれども、それを何十年もなおざりにしてきた、それが私は大きな敗因の一因であるんではないかと、そのように思うわけであります。
 そういう反省に立って、今後自民党は、私は自民党再生というのはそういうことを基本に生まれ変わらなけりゃいけない、そのように思うわけであります。そのことをまず冒頭に私は申し上げたいと、そのように思います。
 それで、まず質問の第1点目であるわけでありますけれども、今回、民主党がいろんなマニフェストを掲げて大勝利をおさめた。その数々の政策について、私は、和歌山県の知事として仁坂知事がどのように評価をされ、そしてその政策の1つ1つに対して今後どのように和歌山県政とのつながりを持っていくかということについてお尋ねしたいと、そのように思います。
 そしてまた、民主党が掲げた政策の中には、そのまま和歌山県の発展に打撃を与えるものが、私は含まれておるように思うわけであります。その点につきまして、知事のお考えをお伺いしたいと思います。
 次に、その政策の中で、ガソリン税暫定税率の廃止、これも大きな問題であろうかと思います。その暫定税率の廃止による道路整備の影響についてお尋ねをしたいと思います。
 近畿自動車道紀勢線が田辺まで開通するなど、本県の幹線道路整備は着実に進んでおりますが、まだまだ道半ばであります。県議会としても、本県に必要な道路整備と財源の確保に取り組んできたところであります。
 民主党のマニフェストの中にガソリン税の暫定税率の廃止が掲げられておりますが、暫定税率の問題では、一昨年の混乱が思い出されます。当時、ねじれ国会の影響を受けて、昨年3月の末に暫定税率が失効しました。全国の道路整備や国民生活に大きな混乱を招く事態となったわけであります。
 本県の立ちおくれた道路整備を進めるためには、道路関係諸税の暫定税率の維持は不可欠であることから、我々県議会は、地方自治法99条に基づく意見書の議決や決起大会の開催、国への要望活動、紀伊半島一周道路行進など、県、市町村、県民一体となってさまざまな取り組みを行ってまいりました。その結果、ようやく暫定税率が維持されたわけであります。
 暫定税率が廃止された場合、国、地方合わせて2兆5000億もの減収になるとされております。国と地方の財政の悪化に拍車をかけるとともに、高速道路などの道路整備にしわ寄せが来るのではないかと懸念されるところであります。
 道路整備のおくれた本県にとって、紀伊半島一周高速道路や京奈和自動車道を初めとした幹線道路は、東南海・南海地震などの大規模災害に備える命の道であり、地域産業を支える自立の道であります。
 本県に不可欠なこれら道路整備の一日も早い実現のため、これまで以上に道路財源の確保が必要な状況の中で、暫定税率の廃止は本県における道路整備に対して悪影響を及ぼすのではないかというそういう懸念がされるわけであります。その点について、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、高速道路の無料化であります。
 この高速道路の無料化による道路整備の影響について、私はお尋ねいたします。
 民主党は、物流コストと物価を引き下げ、地域と経済を活性化するとして、高速道路の無料化を掲げておりました。
 しかし、一方で債務返済に対する財源の問題や受益者負担に反するといった意見、渋滞の増加、フェリーなど他の交通機関への影響など、さまざまな問題も浮かび上がってきております。
 また、報道機関が行った世論アンケートで、高速道路の無料化に反対するというそういう声が3分の2を超えていると報道されております。
 こうした問題もさることながら、料金収入がなくなることにより、今後の高速道路建設への影響が本県にとって最も重要な問題ではないでしょうか。
 料金収入がなくなることで、建設中区間の事業費についても財源の担保がなくなり、本県における海南─有田間の4車線化など、必要な高速道路建設が続けられなくなるのではないかと懸念されております。
 このようなことから、暫定税率の廃止と同様に、高速道路の無料化についても、本県に必要な道路整備に悪影響を及ぼすのではないかと懸念されておりますが、知事の御所見をお願いいたします。
 次に、地方分権の分権改革について質問をさせていただきます。
 地方分権については、私は民主党に大変な期待を寄せております。官僚と真剣に戦って、我々地方が求めてきた地方分権を実行してもらいたい、そのように思うわけであります。
 知事も、本会議の冒頭で、これからの日本にはなくてはならぬものであり、新政権のもとで進めていくべきものであると考えておると、そのように言われております。
 しかし、国からの分権を待っているだけでは、本当の地方分権は進みません。地方みずからが考え、地方みずから行動することが必要ではないかと考えます。
 こういった観点から、現在、関西の府県が、地方から地方分権の突破口を開くそのために、全国に先駆けて関西広域連合の設置を検討していることは、私は大変意義深いことだと評価いたしております。
 関西広域連合の設立に関しては、さきの6月県議会の小川議員からの質問に対し、仁坂知事は、最速のケースでは9月議会に関連議案を提案すると──この議会ですね──そういう答弁をされておりましたが、今議会の冒頭では、当初目指しておった平成21年度中の設立にはこだわらず、議会と十分協議して、早期の規約案の上程に向けた準備を進めることになったと説明をされております。
 私も、かつて県議会でこの関西広域連合については、県民と情報を共有して、そして県民と十分意見交換をして、和歌山県としての立場あるいは方針を決定すべきだということを質問させていただいたわけでありますけれども、その現時点の議会の状況、県議会、県民への周知度から勘案すれば、今議会に上程されなかったのはやむを得ないと、そのように思うわけであります。
 今後のスケジュール、それから今後の方針、そういったものについて、知事のお考えをお伺いしたいと思います。
 続いて、市町村負担金の見直しについてお尋ねいたします。
 知事は、これまで、地方分権を進めるためには、国と地方の役割分担を明確にした上で、国が責任を負うべき事業は国の財源で、地方が責任を負うべき事業は地方の財源で賄うようにすることができるようにするのが必要であると発言されております。
 同じことは、県と市町村の間においても言えるのではないでしょうか。
 県がやるべき事業は県の財源で行うべきであります。私ども議会も県当局も、国が行うべき事業に地方の負担を求めております国直轄事業負担金制度の廃止を訴えているわけですけれども、本県も、道路や港湾の整備といった県事業を実施するに当たり、市町村から負担金を徴しております。地方みずからができる分権施策として、この際、市町村負担金の廃止について検討、実行すべきであると考えますが、知事のお考えをお聞かせください。
 次に、今議会に上程された補正予算について質問をさせていただきます。
 我が国の経済情勢は、生産や輸出が持ち直しているものの、失業率が過去最高となるなど、依然厳しい状況が継続しているところであります。
 政府で5月以降の景気判断を3カ月連続上方修正し、6月には事実上の景気底打ち宣言を行っているところでありますが、底打ち感が現実のものとして実感できるほどの景気が回復していると思えない状況であります。
 雇用情勢につきましては、7月の完全失業率が5.7%と過去最悪の水準となるとともに、その先行きにつきましても、生産活動が極めて低い数字にあることから、今後一層の悪化が懸念される状況となっております。
 県内経済に目を移しますと、和歌山財務事務所が公表しております県内経済情勢報告やハローワークなどの統計を見てみますと、個人消費は低調であり、雇用情勢についても、直近の有効求人倍率は近畿でトップとなっているものの、依然、非常に厳しいものと言わざるを得ない状況となってきております。
 また、企業活動については、設備投資が前年を下回る水準であり、企業収益は大幅な減益見込みとされているところであります。しかしながら、企業における生産の減少幅が幾分穏やかになっており、下げどまりの兆候が見られる状況となってきているところであります。
 そこで、県においては、昨年末から逐次の景気対策が行われてきているところでありますが、下げどまりつつあるこのタイミングで、景気底上げのためさらなる追加対策を実施すべきであると考えます。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 現下の県内の景気動向や雇用状況を踏まえ、今議会に上程をされている補正予算を編成するに当たって、特別知事が考えたことや、それからそういった県内の状況、予算の特色についてどのように考えておるかお伺いいたします。
 また、国の補正予算で措置されました地域活性化・経済対策臨時交付金は、地域の実情に応じて地域経済の活性に資する事業に活用が可能とのことでありますが、今回の補正予算でどのように活用を行ったか、お尋ねいたします。
 次に、過疎対策についてお伺いいたします。
 現行の過疎地域自立促進特別措置法、いわゆる過疎法が来年3月をもって失効いたします。
 昭和45年に初めて過疎法が制定以来、昭和55年、平成2年、さらには平成12年の現行法に至るまで4回の法制定を通じて、約40年間過疎対策が講じられてまいりました。
 この間、法に基づき過疎債の活用や国庫補助金のかさ上げなどの支援措置によって、道路や上下水道、公民館、保育所などの公共施設の整備に一定の成果を出してきたところであります。
 しかしながら、こうして生活環境の整備や住民福祉の向上が図られたとはいえ、依然として課題が残されております。
 加えて、人口減少率の拡大傾向、自治体財政の脆弱な構造など、基本的な問題の解決には至っておらないのが実情であります。
 限界集落という言葉が出てきたように、著しい人口減や高齢化によって維持困難な集落が増加し、医療など基礎的な生活条件の悪化、身近な生活交通の不足、生活扶助機能の低下など、安心・安全にかかわる問題がむしろ深刻の度を増しているというのが実態であります。
 例えば医療。身近に医師がいないために、受診を我慢せざるを得ない。病院通いは1日仕事。医療費に加えて交通費の負担が重くのしかかってきます。高齢者の運転免許証返上が勧奨されておりますが、過疎地において運転免許証がなくては、生活必需品の調達もままならない状態であります。高齢者のひとり住まいが多くなって孤独死も多く耳にいたします。老体にむち打って精魂込めて育てた農産物が鳥獣被害に遭うといったぐあいでは、涙も出ないような状態であると言わざるを得ません。みんな我慢し、必死にこらえながら生きているのであります。担い手の不足で、祭りなどの伝統行事が姿を消しつつあります。森林の荒廃や耕作放棄地の増加など、もはや看過し得ざる状況になってきております。
 このまま手をこまねいていては、まさに集落が消滅し、懐かしい日本の原風景が、麗しき日本の伝統と文化が消え、国土は荒廃してきております。私たちのこの国の形がゆがんでしまうわけであります。過疎対策は、これからも待ったなしの国民的課題なのであります。都会に住む者には、共通の課題でもあるわけであります。
 必ずや過疎法を制定し、過疎対策に一定の一歩を踏み出さなければなりません。民主党政権になっても、このことに私は異論があろうはずがないと確信いたします。
 新法において、地域指定の問題など幾つもの論点がありますが、基本的な方向として、次のような点に留意すべきであると私は思っております。
 第1に、何よりも上からの押しつけではなく、地域住民の主体性を最大限尊重し、それを支援していく仕組みづくりが必要であります。個々の地域の特性、実情に応じたきめ細かな対応が必要であります。
 都会と同じ条件にない過疎地には、住民の生活を守っていくための過疎特区と言うべき大胆な規制緩和も必要でありましょう。例えば、この7月に開催されました紀伊半島3県の議会交流会議で話題となりました軽度の疾患は看護師が診療できる、いわゆるナース・プラクティショナーの導入などは、医師不足対策の一助として有効なアイデアの1つであろうと思います。
 また、第2点目には、これまで以上にソフトを重視した政策が必要だということであります。
 3点目として、市町村の財政基盤の強化と主体的な取り組みを最大限支援する仕組みづくりが必要であると思うわけであります。
 いずれにしても、住民主体、市町村主体の小回りのきいたきめ細かな対策が求められていると思うのでありますが、いかがでありましょうか。
 そこで、新過疎法に向けて、まず知事は、本県の過疎の現状をどのように認識しておられるのか、お伺いしたいと思います。
 その上に立って、新たな過疎対策はいかにあるべきかとお考えか、基本的な考え方をお聞かせください。
 さらに、新法制定に向けてどのように国に働きかけていくのか、そういった考え方をお尋ねしたいと思います。
 さらに、これまで申し上げてきた過疎の現状に加えて、もっと深いところ、深層の問題を私は指摘したいと思います。それは、地域住民の心の過疎化、心の空洞化の問題であります。
 地域の人々が、そこに住む意味や誇りを消失し、前向きの意欲を持てなくなりつつあるのではないかという危惧を私は抱くのであります。絶望感の中で希望を見失いつつあるとすれば、それこそが極めて深刻な問題であります。もはや地域再生の道は閉ざされたというべき危機的な状態と言うべきでしょう。
 そうはならないために、我々和歌山県においては、行政は過疎対策に全力を傾注する、そこに住む住民の皆さんに知事は常々申し上げておるように、決して県は見捨てない、行政は見捨てない、ともに地域の再生に向けて頑張ろうではないかという熱いメッセージを県民に発信してもらいたい。ぜひとも全国の先駆けとし、具体的な政策をこれまで以上に知事は積極的に打ち出していただきたい、そのように思うわけであります。新たな過疎対策のスタートの年に向けて、県民に見える形で過疎対策への取り組み姿勢をお示し願いたいと思うのでありますが、知事のお考えをお尋ねいたします。
 最後に、過疎対策に関連して、元気なまちづくりプロジェクトについてお尋ねいたします。
 私は、地方分権をライフワークとして議員活動を続けてまいりましたが、真の地方分権を確立していくためには、その前提として何よりも地域の経済的自立が不可欠であると考えております。
 自主自立の行財政を支えるものは、強固な地域の経済基盤であるからであります。その意味で、知事が長期総合計画にうたった1市町村1産業の推進に注目いたしております。大きな期待を抱いているところであります。
 特に、人口減少が進み、過疎化が進展している県内各地においては、1次産業を中心とする経済活動の衰退が目を覆うばかりであります。これが、過疎化に拍車をかける悪循環となっております。
 過疎対策を考えるときに、産業振興抜きには考えられないと私は思うわけであります。いま一度、行政の強力なサポートのもとに地域住民の知恵を結集して、それぞれの地域の持てる資源を掘り起こし、最大限活用することによって、地域の特性を生かした新たな産業を育て、地域の活力をよみがえらせる必要があるということは言うまでもありません。
 そこで、この1市町村1産業を具現化する施策として、本年度予算に計上されております元気なまちづくりプロジェクトについて、その進捗状況と今後の意気込みについて知事にお伺いいたします。
 以上で、私の一般質問を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの吉井和視君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、民主党政権への所感についてということでございますが、まずもって多くの国民の支持を得て政権の交代がなされたわけでありますから、新しく誕生する政権を国民としてはまず信頼し、国民のために日本をよりよい国にしていただくことを期待すべきであると思います。
 民主党が政権公約で掲げられた政策の評価ということでございますけれども、そのすべてについては、私、和歌山県の知事の任を越えるところもあります。和歌山県民に利益をもたらす、あるいは幸福につながる、そういう観点で期待感を持って注視してまいりたいと考えております。
 ただ、そういう観点、すなわち和歌山県民に利益をもたらすのか、幸福につながるのかという観点で申しますと、特に熱心に進めてもらわないといけないということもたくさんあります。
 一方、プラスに働くと、評価できる政策であっても、副作用に対する手当てが必要となるものもあります。
 また、和歌山のようなおくれた地域だけが切り捨てられないかという心配のものもあります。これは、やりようによってはそういう懸念が顕在化するおそれがあるということであります。
 そういう意味で、すべてはこれからの政策展開によっているわけでありますので、和歌山県といたしましては、一般的に言うと、新しい政権には、少子高齢化、過疎化が進行し経済が停滞するなど、多くの解決すべき課題を抱えた本県のような地方を大切にする政策をどうか選択されるように期待しておるところであります。
 次に、ガソリン税の暫定税率等への廃止についての評価ということであります。
 高速道路の空白地域、これ、全国から見るともうちょっとしかないんですが、こういう道路整備のおくれた本県については、紀伊半島一周高速道路とか、あるいは京奈和自動車道路、そういう幹線道路ネットワークの形成は、県民の将来のチャンスを保障するものとして私は不可欠であると考えておりますので、知事就任以来、そのような道路整備の促進と、そのための道路財源の確保を重点に取り組んでまいりました。
 ガソリン税等の暫定税率が廃止されますと、試算では、国、地方合わせて約2.5兆円の減収となります。そういたしますと、厳しい国と地方の財政をさらに圧迫するということになります。
 そういう理由で、すなわち財政が圧迫されるという理由で、地方の道路費用が大幅に削減されると、地方にとっても大変です。
 また、国の道路費用がなくなっても、これまで大都市部にばっかり先を譲って、本県にやっと順番が回ってきたという紀伊半島一周高速道路とか京奈和高速道路とか、あるいは第二阪和道路とか、そういう残された本県の道路整備をしてくれなくなるおそれもあるということを懸念しております。
 このため、こういうことが現実にならないように地方の実情を説明する、あるいはいろんな理屈を説明する、そういうことで情報提供を行いまして、和歌山県が全国の他地域と切り離されるということがないように、政策をうまく組み合わせて、必要な政策、方策を講じていただくように、国に対して働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、高速道路の無料化による道路整備への影響についてでありますが、議員御指摘のように、高速道路の無料化による交通渋滞や、あるいはフェリーを初めとする公共交通の維持存続といった問題はもちろんのこと、料金収入がなくなるということによって、今後の高速道路建設への影響が一般的に懸念されるところであります。
 高速道路建設では、高速道路建設というよりも現在の高速道路の料金によって、この料金収入の2.5兆円で債務返済とそれから道路、つくられた道路たくさんありますが、これの維持管理を行っております。無料化で料金収入がなくなっても、国が債務返済の肩がわりをするということとされておりますが、建設中区間の事業費についても、今後の財源の担保がなくなりますので、このままでは今後の高速道路建設が困難になる。これも懸念があります。
 このため、引き続き債務保証とそれから高速道路建設のために、一般財源の投入が必要になると思われますけれども、暫定税率の廃止と同様に、このために必要な財源が確保されるかどうか、これは懸念されるところであります。
 和歌山にとっては、紀伊半島一周高速道路のように、国土のミッシングリンク──失われた輪ですね──これを解消し、地方が発展するチャンスを保障するため、また海南以南の全国でも有名な渋滞区間、これの4車線化のように、渋滞解消とか、あるいは交通事故の減少とか、そういうものを図るためには、全国的に取り残されたわずかな地方の高速道路建設は、私は不可欠であると考えております。
 したがいまして、今後も紀伊半島一周高速道路、あるいは京奈和高速道路、第2阪和道路初め本県の道路整備が取り残されることのないように、適切な政策をとっていただくことを引き続き強く訴えてまいりたいと考えておりますので、議員各位の御理解と御協力をお願い申し上げたいと思います。
 次に、地方分権、特に関西広域連合についてでございます。
 関西広域連合の設立時期に関しましては、去る8月4日に、私を含め、関係府県知事等で協議を行いました。各府県での6月議会における審議状況を踏まえ、広域連合で処理する事務について、議会の皆様や県民の皆様の御理解を得るためには、もうちょっと具体的な内容を詰めていく必要があるということから、本年中の設立は見合わせ、早期の規約案上程に向けた具体的な準備を精力的に進めるということを申し合わせました。
 今後は、この申し合わせに基づき、事業内容の具体化、費用対効果、あるいは組織人員体制、予算、分賦金の配分の検討など具体的な制度設計を進めまして、議会の皆様と十分に協議してまいりたいと考えております。
 その上で、議会及び県民の皆様の御理解を得られましたら、関西広域連合設立に必要な議案を上程してまいりたいと、そんなふうに考えているところであります。
 次に、市町村負担金の見直しについてであります。
 県事業の市町村負担金につきましては、議員御指摘のとおり、国直轄事業負担金の廃止を私なんかも訴えながら、一方で、県事業に対して市町村から負担金をいただくことは矛盾いたしますので、去る7月14日に開催されました全国知事会議において、国直轄事業負担金制度改革の趣旨を踏まえ、同様に見直すことを我々としても申し合わせております。
 しかし、市町村負担金については、国直轄事業負担金と異なり、各県ごとに内容が違いますので、一律に見直すのではなくて、各県がそれぞれの事情に応じて見直すということに知事会ではなっております。
 こういったことから、私は、県事業に関する市町村の負担金を、来年度からできれば原則として廃止したいというふうに考えております。
 ただし、その中身を見ておりますと、市町村負担金の中には使用料的な性格のものがあります。それから、受益者負担を軽減するために、実は市町村が肩がわり負担をしているものもあります。それから、県と市町村の適切な役割分担ということから、本来財源をとっておられる市町村にお返しすべき事業もあるということも考えております。
 そういうような現時点での考えをどうやって最終的にまとめていくかということについては、何といっても市町村からの御意見も伺った上で詳細を決定する必要があると思います。
 したがいまして、今後、市町村の御意見を踏まえて、市町村から負担金をいただいている事業ごとに、その内容、性格を分析いたしまして、廃止するもの、例外として存続させるものを整理するとともに、負担金を廃止した場合の県事業の対応等についてもあわせて検討してまいりたいと考えております。
 次に、9月補正の考え方であります。
 配慮した点や考え方、あるいは地域活性化・経済対策臨時交付金の活用についてということであります。
 これについては、さきの6月補正予算では、公共事業等を中心とした過去最大規模の補正予算を編成し、県内の経済及び雇用情勢の急激な悪化に対応したところであります。
 実は、県内の仕事のやり方といたしまして、最近、新政策という名前で来年度の政策を1年かけてきっちり検討しようということにしております。したがって、一般論でいえば、補正で対応できるからといって、どんどん検討しないで先送りするということは基本的にやめようということを、実は県内の一般的な考え方にしておるわけです。
 しかしながら、状況が変化するときにその考え方に固執していては人々の暮らしが惑うばかりでございますので、適宜適切に必要な手は打っていかないといかんということでありまして、6月補正も9月補正の今回の補正予算もそのような考え方で果敢に予算を計上さしていただいているところでございます。
 今回の補正予算では、議員御指摘の地域活性化・経済対策臨時交付金を有効活用した県単独事業を中心といたしまして、県内事業者に対する受注機会を確保するために最大限の配慮をすることにより、6月補正予算に引き続き、切れ目のない経済対策を実施することとしたところであります。
 なお、投資的経費につきましては、国庫補助事業の積極的な追加等により、平成20年度12月補正から今回補正予算までの累計額で1574億円を確保した結果、平成20年度当初とこれを比較いたしますと、対策を始めてから496億円の増、率にして46%の増となりまして、県内の有効需要を相当創出ないしは下支えしているということができると考えております。
 また、地域活性化・経済対策臨時交付金の有効活用といたしましては、防災ヘリにテレビを積んで、その防災の問題の箇所を映すとか、そういうヘリテレシステム、そういうものの充実や、県有施設の耐震化などの安全・安心対策、あるいはがん検診を充実するための検診車の更新などの健康長寿・子育て支援、あるいは地球温暖化等に対応した各種環境対策、経済の底力を蓄えるための産業振興施策、あるいは第70回和歌山国体に向けた設備整備等のスポーツ振興策など、今後県として実施していかなければならない事業を前倒しで実施することによりまして将来へ備えておくということとしたものでございます。
 この結果、補正予算の総額は193億円となりまして、さきの6月補正予算に引き続き大規模な補正予算を編成するということにした次第でございます。
 どうぞ、御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
 次に、過疎対策であります。
 過疎地域は、急速な人口減少と著しい高齢化により大変厳しい状況にあるとの認識を持っておりまして、今後もこれまで以上に、特に和歌山県ではこの過疎対策が必要であると考えております。
 そのためにも、過疎債の拡充を初めとした市町村への財政支援の充実を含む新過疎法の制定が必須であると考えております。現在の過疎法は今年度で期限が切れますので、ぜひこれは立派な過疎法を改めてつくってもらいたい、こういうふうに考えております。
 さらに、基幹集落を中心とする過疎地域において必要な機能が充足されるように、例えば過疎地域を支援する総合対策事業などが必要だと考えております。
 また、このような総合対策事業を効果的なものとして実施していくためにも、議員御指摘のように、地域の実情に応じた、一律の押しつけでない、住民の主体性を尊重して、それを支援するといった視点に立って大胆な規制緩和を実施するということが必要であると、地域の実情に応じた制度が可能になるようにするということを実施することが必要であると考えております。
 以上3点を今後の新たな過疎対策の3本柱といたしまして、その実現に向け、本年6月以来、国に対して強く提案したところでございます。
 なお、今後は、新過疎法の制定に向けまして、県内市町村と連携して決起大会などのさまざまな機会をとらえた活動を行い、3本柱から成る本県の提案実現に向け、強くアピールしてまいりたいと考えております。
 過疎法は、これまで議員立法でできておりました。そういう意味では、政府、役人だけではなくて、議員の方々、与野党双方ともに議員の方々の御理解も得なきゃいけないと考えておりますので、県政の議員の方々におかれましても、ぜひ御協力くださいますように、国政議員に対して働きかけをお願いしてくださいますようにお願い申し上げます。
 その際には、国に対して強く訴えてまいりますので、県議会の御支援、御協力をお願いしたいと思います。
 もちろん、県におきましても、公共交通の空白地をなくす事業とか、あるいは僻地医療体制を堅持する事業とか、さらには災害時に集落が孤立した場合でも通信が確保できるような防災無線の配備などの事業などの施策を実施しているところでありますが、御指摘を踏まえ、現在、来年度に向けてさらなる過疎対策への取り組みについて、新政策の議論をしているところでございますので、これに遺漏なきを期してまいりたいと考えております。
 次に、元気なまちづくりプロジェクトについてでございます。
 特に農林水産物を中心にして、和歌山県には地域固有の資源、これがたくさんございます。ただ、それを十分生かし切れていないというような部分があって、これまですぐに手をつけた話といたしましては、販売において若干引っ込み思案ではいけないので販売促進に力を入れたりしてまいりました。
 しかし、それだけでは不足でございますので、これからは販売のみならず生産にも、それから流通にも、一貫した地域おこしのために地域固有の資源を活用した地域の活性化に取り組むということが必要だろうと考えております。
 そのため、本年度から、わがまち元気プロジェクトと、それから新農林水産業戦略プロジェクトという2本の事業を立ち上げ、関係部局が連携をとり、県の総力を挙げて取り組んでいるところであります。
 現在、わがまち元気プロジェクトはだんだんと実ってきておりますが、発足しておりますが、九度山町、すさみ町、御坊市、由良町の4市町村で、また新農林水産業戦略プロジェクトは11プロジェクトがスタートしておりまして、県においてはまだまだ多くのものを育てていこうというふうに考えております。
 プロジェクトが動き始めた市や町では、行政だけでなくて、地域住民や事業者、関係団体が参画する地域協議会が立ち上がりまして、所得額や生産額、観光客数など、地域が目指すべき目標数値をみずから設定し取り組んでおります。このことは、従来の取り組みにはなかったことと、画期的なことと認識しております。
 こうした地域主導型の協議会での取り組みは、プロジェクトの枠組みを超え、より大きな動きとなり、地域の魅力の再発見、さらには地域への愛着や誇りを高める、自力を蓄える、そういうことにつながっていくことと大いに期待しております。
 地域資源を生かして新たな産業を興し、地域を元気にする取り組みは、行政だけでなし得るものではございません。地域の人々が主体的に取り組んでこそ、長期総合計画で考える1市町村1産業の実現として結実すると考えております。
 この取り組みが他の市町村や事業者にも広がるように、県は総力を挙げて支援してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再質問を許します。
 5番吉井和視君。
○吉井和視君 知事の市町村負担金の見直し、それから補正予算については、我々自民党県議団も大変評価いたします。後々これからも評価できるように頑張っていただきたいと、そのように思います。
 これで、私の質問を終わらせていただきます。
 以上。
○議長(冨安民浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で吉井和視君の質問が終了いたしました。

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