平成21年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


県議会の活動

平成21年6月
和歌山県議会定例会会議録
第5号
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議事日程 第5号
 平成21年6月24日(水曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第108号から議案第127号まで(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案の付託
 第4 請願の付託
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会議に付した事件
 第1 議案第108号から議案第127号まで(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案の付託
 第4 請願の付託
 第5 休会決定の件
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出席議員(45人)
 1番 泉 正徳
 2番 山本茂博
 3番 前芝雅嗣
 4番 浅井修一郎
 5番 吉井和視
 6番 向井嘉久藏
 7番 門 三佐博
 8番 町田 亘
 9番 服部 一
 10番 平木哲朗
 11番 花田健吉
 12番 須川倍行
 13番 大沢広太郎
 14番 谷 洋一
 15番 平越孝哉
 16番 下川俊樹
 17番 岸本 健
 18番 川口文章
 19番 尾崎太郎
 20番 藤山将材
 21番 新島 雄
 22番 山下直也
 23番 井出益弘
 24番 宇治田栄蔵
 25番 多田純一
 26番 中 拓哉
 27番 角田秀樹
 28番 江上柳助
 29番 山田正彦
 30番 坂本 登
 31番 尾崎要二
 32番 中村裕一
 33番 片桐章浩
 34番 原 日出夫
 35番 藤本眞利子
 36番 長坂隆司
 38番 小川 武
 39番 冨安民浩
 40番 奥村規子
 41番 山下大輔
 42番 松坂英樹
 43番 藤井健太郎
 44番 雑賀光夫
 45番 野見山 海
 46番 松本貞次
欠席議員(なし)
〔備考〕
37番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       曽根義廣
 危機管理監      森 崇
 総務部長       宮地俊明
 企画部長       前硲健作
 環境生活部長     井口悦治
 福祉保健部長     北田佳秀
 商工観光労働部長   永井慶一
 農林水産部長     下林茂文
 県土整備部長     茅野牧夫
 会計管理者      雑賀忠士
 教育委員会委員長   湯川 力
 教育長        山口裕市
 公安委員会委員長   大岡淳人
 警察本部長      永松健次
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     楠本 隆
 選挙管理委員会委員長 諸木良介
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       藁科善崇
 次長         東岡誠吾
 議事課長       上坊 晃
 議事課副課長     土井敏弘
 議事課課長補佐兼議事班長
            田中健司
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      瀧川泰治
 議事課主査      中村安隆
 総務課長       佐本 明
 調査課長       中井祥之
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  午前10時1分開議
○議長(大沢広太郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第108号から議案第127号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 4番浅井修一郎君。
  〔浅井修一郎君、登壇〕(拍手)
○浅井修一郎君 改めて、おはようございます。
 本日は一般質問の最終日ということで、連日の御精励、大変御苦労さまでございます。きょう朝一番ということで、きょうもミカンレンジャーとともに頑張ってまいりたいと思います。
 先日、この服を着てましたら、地元の奥さん、知り合いの奥さんですけれども、「あれ、かわいいよ」と指さしながら近寄ってきますんで、私のことかなと思ったら、ミカンレンジャーのこれを指さして「これ何?」と言われました。「これは紀州レンジャーといって、ミカンレンジャーなんですよ」と言うと、「ああ、この前、大変だったですね」。何のことかなと思ったら、新島議員の質問にありました関西独立リーグの紀州レンジャーズのことでありました。私も、新島先生と同じように、「ぜひとも一生懸命応援してあげてください」と言っておきましたので、添えておきます。
 それでは、通告に従い、一般質問をさせていただきます。
 まず初めに、国道42号有田海南道路とその関連接続道路、キララときめきロードについてお尋ねします。
 この質問は、私が初当選をさしていただいた平成15年の9月議会、4年後の平成19年9月議会、そして今回と3度目であります。改めて申し上げるまでもございませんが、この道路は本県の経済や産業にとって極めて重要であり、特に高速道路の通っていない我が有田市にとって、この国道42号は唯一の産業道路であり、生活道路でもあります。
 交通渋滞につきましては、交差点改良や海南湯浅道路の通行料金割引制度の導入等により幾分かは解消されたものの、やはり朝夕の渋滞は依然として続いています。
 また、何よりも心配しているのは、このエリアの国道42号の道路形態から見て、近い将来発生するであろうと言われております東南海・南海地震の発生により、土砂崩れや道路のひび割れ、陥没等で道路が崩壊、寸断され、孤立してしまうことであります。
 そうした問題の抜本的解消を図るべく、平成4年から有田市と旧下津町で協議し、災害時の緊急物資の輸送等の代替道路として、いわゆる命の道としてもこの有田─海南間のバイパスルートが必要であるとのことから、平成9年に有田市、有田郡町村会、旧下津町、海南市でこのルートの整備促進協議会を設置し、今日まで17年間の長きにわたり、国土交通省を初め近畿地方整備局や和歌山工事事務所等、関係機関や地方選出の国会議員の各先生方に活発な陳情活動を行ってきたものであります。
 そうした協議会一丸となった熱心な取り組みと仁坂知事初め県当局の御協力のおかげで、ルート素案ができ、タカ、ワシなど猛禽類の生息調査を終え、都市計画決定が下され、平成20年度事業着手となったところであります。これまで脈々と引き継がれ、活動いただいてまいりました各市町の首長さん初め、先輩議員並びに関係者の皆様方に深く敬意をあらわし、感謝申し上げたいと思います。
 有田海南道路は、国道42号有田市野を起点に、有田川に新大橋をかけ、北岸国道480号と平面交差し、有田市新堂から海南市冷水まで4区間9.4キロの区間であります。1本の大橋と5本のトンネルで結び、総事業費約360億円とお聞きしています。平成20年度は調査設計費として1億円が計上され、本年度は同額の1億円が当初事業費として計上されていましたが、二階大臣初め各国会議員の先生方の御尽力により、調査設計を推進し早期供用を目指すとのことで3億円の補正が認められ、計4億円が計上されました。大変ありがたく喜ばしいことであります。
 しかし、今後8年を目途に全面供用を図るとすれば、単純計算でありますけれども、360億円を8年で割りますと毎年平均45億円の予算を確保していただかなければなりません。そういった観点から見ますと、私も含め協議会も改めてスタートラインに立ったところであり、これから本当の正念場であるとの認識を持って、より活発な要望活動を行っていくことが必要であると思います。
 また、私自身、自民党の一政党支部長として、来る衆議院総選挙では「道路はもう要らない」という政党には負けるわけにはいかないと決意を新たにしているところであります。どうか、国民、県民の皆様方の深い御理解と御支援をいただけることを切に願うものであります。
 そこで、今回の質問でありますが、今後、測量、調査設計、用地買収といった順序で進捗していくと思いますが、私たちとしては、まず地域住民の理解、協力と利便性を考慮するとともに、そしてもう1点、河川整備の観点からも、まず有田川新大橋の建設工事から着手していただきたいと願うものであります。用地買収の必要もなく、いずれかけなければならない橋でもあり、バイパスの起点でもあります。その橋の工事が始まれば、地元有田市民の長年の悲願であっただけに、早期供用開始を目指し、測量や用地買収等、道路建設工事に対する協力意識の向上につながるものと思います。
 また、この新大橋は、国道42号と国道480号を平面交差するとの予定であり、竣工とともに供用開始することで利便性が高まり、地域の活性化を図る上でも大きな役割を果たしてくれるものと思います。
 もう1点の河川整備とのかかわりについては、次の河川整備の質問時に述べたいと思います。
 いずれにしましても、この事業は国の事業であり、県が主導して行うものではないと思いますが、有田川新大橋の早期着工と一日も早い早期供用開始に向けて、国への働きかけの意気込みについて県土整備部長にお尋ねいたします。
 また、関連接続道路、つまり県道有田湯浅道路、いわゆるキララときめきロードについてであります。
 前回は有田海南道路との直接の接続について質問をさせていただきましたが、財政面や民家が密集していることなどから非常に困難であるとのことでした。したがって、現道を使って、まず国道42号保田橋交差点を左折して数百メートル先で右折し、有田川新大橋を渡るといった、つまりクランク型の接続になりますが、まあ現時点では仕方がないのかな、渋々納得したところであります。今回の質問は、そのキララときめきロードの有田市域、千田、高田地区の整備についてであります。
 前回の答弁で部長は、県道有田湯浅線は、有田市、湯浅町の海岸部を通る幹線道路、キララときめきロードとして整備を進めている路線であり、今後の整備進捗に合わせて、有田海南道路から湯浅方面へスムーズに連絡できるように検討してまいりますと答えられています。
 隣町湯浅町田地区では、ブランド「田村みかん」やシラス、ちりめんなどの農水産物が有名であり、多くとれることから、出荷輸送に大型トラックが使われています。特にミカンの出荷時期には大型トレーラーも多く、県道高田地区入り口付近では単車線のため双方向からの車両が行き詰まってしまい、バックもできず、渋滞どころか停滞してしまうことが常時発生しています。また、夏場は夏場で海水浴や釣り等に多くの人々が訪れ、この道路を利用していますが、同様の状況であります。そのたびに高田地区の皆さん方は、車で買い物など出かけることもできなくなってしまうのであります。
 このキララときめきロードは、東洋のナポリとも言われております湯浅広湾の風光明媚な海岸線を通っており、沿線には多くの海水浴場があり、海水浴やシュノーケリング、魚釣りを楽しむ大勢の観光客が訪れております。一度この渋滞に巻き込まれた方々は印象を悪くし、有田市を回避してしまうかもしれません。そうしたことが口コミで広がりますと、有田市の観光産業にも大打撃を与えてしまいかねません。
 そこで、県土整備部長にお尋ねします。
 前回の答弁での「今後の整備進捗に合わせて」と悠長なことではなく、早急にこの区間の抜本的な解消を図るべく積極的な取り組みをお願いしたいと思いますが、お聞かせください。
 次に、有田川河川整備についてお尋ねします。
 まず、質問には関係ありませんが、1つ御紹介をさせていただきます。資料配付をさせていただいておりますので、資料をごらんください。
 知事にお渡しする本当の写真のあれを忘れました。(資料を示す)この写真は、清流の宝石とも言われておりますカワセミが魚をとらえた瞬間の写真です。これは、私がふだんから大変お世話になっている地元有田市の写真愛好家であります上野山典男さんという方が、この6月初めに有田川下湯川の川で花の撮影中、偶然この場面に遭遇し、撮影したものです。花の撮影ということで連写モードにしていなく、この1こましか撮れなかったと非常に悔しがっておられました。大変珍しい貴重な写真でありますので、いただいてまいりました。まさに清流有田川の自然の営みであり、改めて私たち、多くの恵みを与えてくれる母なる川、有田川を大切にし、守り続けていかなければと決意を新たにしているところであります。
 そこで、質問に入らせていただきます。
 有田川の河川整備については、一般質問の機会があるごと、毎回させていただいております。と申しますのも、有田川沿川地域で県政報告会や懇談会を持ちますと、開口一番に河川整備についての要望が出てまいります。あの未曾有の大被害をもたらした昭和28年の7.18水害からはや56年がたった今でも、当時の様子をまるできのうのように真剣なまなざしで語られるのであります。それだけ河川に対する関心度と堤防強化に関する要望が高いということであります。
 そのような中、昨年、宮原地区堤防強化委員会と同地区連合自治会の皆さん方が力を合わせて、宮原橋付近で野菜や果物をつくっている不法耕作者1人1人に対し、退去していただくよう熱心な説得活動を行っていただき、耕作することをやめさせてくださいました。この問題は、県当局も長年にわたり不法に耕作しないよう立て看板等で注意を呼びかけてきましたが、やめさせるまでには至りませんでした。そうした皆さん方のおかげで、宮原橋付近の河床整正ができることになり、昨年度末には、一部分ではありますが着手していただいたところであります。
 本来なら堤防強化を望むところでありますが、近年の財政状況から大規模な改修は望めません。しかしながら、堆積土砂の影響により低水流路が蛇行し、右岸、左岸と繰り返し低水護岸に直接当たっている状況であり、近年の異常気象によるゲリラ豪雨等で増水したときは本当に大丈夫かと不安になるのは、当然のことだと思います。
 そこで、河積を確保しスムーズな流下を図るべく、樹木の伐採や河床整正を行っていただいておりますが、この際、それと同時に、掘削した土砂を低水護岸や堤防の補強材として転用するなど、効率のよい治水対策を積極的に進めていただきたいと思うのであります。堤防は上流から、河床は下流から整備するのが原則だと思います。現在、保田橋上下流は樹木や堆積土砂が多く、支流である西谷川の流れをよくするためにも、この区域についても早急に河床整正をしていただかなければなりません。
 先ほどの有田海南道路の質問で、有田川新大橋早期着工をお願いした理由の1つとして、橋脚など建設工事の際、各漁協や地元関係者との協議が必要であり、特にアユやノリの関係で漁協とは工法や時期の調整を図らなければなりません。その際、保田橋付近上下流の河床整正や堤防改修を、国、県のエリアを明確にしながら同時進行することで効果的かつ効率的な治水対策が進められると思いますが、県土整備部長にお尋ねいたします。
 もう1点、安諦橋付近左岸側の環境整備についてであります。
 これにつきましては、川の増水時のスムーズな流下確保、また洪水や地震発生時の津波等による災害の拡大を防ぐため、さらに環境上の観点からも、安諦橋付近左岸の不法係留船や沈船、廃船を除去し、河川環境の整備をしていただきたいとのことであります。
 このことにつきましては、10数年前からの市民の切なる願いとして、市議会でも毎回のように一般質問で取り上げられました。本日も市議会の先生方、お見えでございます。そうした市を挙げての取り組みの結果、やっと事業化が認められたのであります。私が初当選させていただいた6年前、国の補助事業として全国初の整備事業と脚光を浴びました。以来、毎年3000万円ほどの予算がつきながら、いまだに何の姿も見えません。当初は確かに5年から6年の事業計画であったと思います。ということは、スムーズに進んでいればもう既に完了しているはずであります。
 事業が今なお進まない原因の発端は、整備予定地の一部に珍しい貴重な干潟底生動物が生息しており、環境省の重要湿地に指定されていると、ある大学の教授の指摘を受けたことから始まったのであります。それからは、干潟底生動物の生息調査、係留施設の予定地変更のための調査、内定場所の波高調査、予定地探しで右岸、左岸とそれこそ右往左往しながら、調査ばかりで6年間が過ぎてしまったのであります。私の質問項目も、環境整備のためのマリーナ計画から、いつの間にか不法係留船対策に変わってしまい、所期の目的である環境整備が薄れてしまったような気がしてなりません。
 もう一度原点に戻り、今回改めてお尋ねします。
 当初予定地である安諦橋付近左岸の環境整備については、自然環境に配慮した子供たちの自然観察の学習の場として、また、周辺住民や隣接する市民病院の利用者等がリハビリや気分転換の場として車いす等でも安全に散策ができ、川に親しみ憩えるような、加えて災害や事故などの緊急時の防災ヘリやドクターヘリのヘリポートも兼ね備えた環境整備の一日も早い完成を目指し頑張っていただきたいと思いますが、県土整備部長にお尋ねいたします。
 3点目の本県におけるスポーツの振興とトップアスリート育成のための県立高等学校の指導体制について、お尋ねいたします。
 本県では、生徒数の減少に伴い、平成17年5月に県立高等学校再編整備計画が策定され、平成18年度から同20年度にかけて第1期実施プログラムに沿って進めてきました。このとき私は、財政的な学校運営だけを考え、中高一貫教育を目玉とした単なる数合わせかなというふうに思っていましたが、昨年の平成20年12月議会での平木議員の一般質問で、教育長は、「県立高等学校教育の質的充実と適正な学校規模の確保、地域の実情やニーズを勘案しながら第2期実施プログラムを進めてまいります」と答えられています。その答弁をお聞きし、これは単なる数合わせではないなというふうに思いまして、私の見方が間違っていたと反省をしているところであります。申しわけございません。
 その答弁を踏まえ、今回はスポーツの振興、競技力の向上、体力の維持増進といった観点から、特色ある県立高等学校の編成についてお尋ねいたします。
 来る2015年には、第70回国民体育大会、いわゆる本県での2巡目国体が開催されることが決定されており、本年度より国体準備課を設置し、着々と開催に向け取り組んでいるところであります。昭和46年の黒潮国体から実に44年ぶりの開催となります。このときは男女総合優勝という輝かしい成績をおさめていますが、ここ数年の結果は改めて紹介するに忍びない順位であります。
 そこで、仁坂知事も、開催する以上、男女総合優勝を目指すと言っておられます。私たち県議会も、尾崎要二議員を会長にスポーツ振興議員連盟を設立し、しっかりとサポートすべく頑張っております。
 そのような中、教育委員会も競技力の向上を図るべく、トップアスリートの育成事業として、ゴールデンキッズ発掘プロジェクト、ジュニアハイスクール指定、ハイスクール強化校指定など、いろいろな事業に取り組んでいます。いずれもスポーツ課の所管になっていますが、競技力の向上を図る上で重要なのは底辺の拡大であります。まさに小・中・高の学校教育分野であり、学校教育局としてもしっかりひとつ頑張っていただきたいと思うのであります。
 その小・中・高の中でも特に高校は、ジュニアの受け皿となって専門的かつより高度な技術を指導し、トップアスリートを育成する重要な役割を担っていると言っても決して過言ではないと思います。また、高校生段階での活躍のみならず、大学でもふるさと選手として活躍できる選手を育てることが、国体における成年種別の強化にもつながると考えています。
 もちろん、2巡目国体のためだけではありません。スポーツの振興を図ることは、体力の向上はもちろんのこと、子供たちの健やかな育成、中途退学や非行の防止等、生徒指導の面からも非常に大切であります。
 そこで、知事にお尋ねします。
 スポーツの振興並びにトップアスリートの育成について、御所見をお聞かせください。
 次に、教育長にお尋ねいたします。
 現在、県立高校で体育科が設置されているのは和歌山北高校1校のみであり、平成19年度から箕島高校普通科にスポーツコースが1クラス設置されています。和歌山北高校は、陸上、自転車、フェンシング、ボート、ソフトテニス等々活躍されておりますけれども、箕島高校の活躍も目覚ましいものがあります。
 中でも硬式野球は、昨年春の第81回選抜高等学校野球大会に18年ぶりの出場を果たし、ベスト8まで勝ち上がりました。まさに27年ぶりのベスト8進出で、大健闘であります。ちなみに、このときの出場選手の野球部員、2年生9名、1年生14名はスポーツコースの生徒であり、ことしも新1年生12名が入部しています。さきの選抜大会におきましては、この不況下の中でも5370万円の募金が集まり、一部は箕島高校の施設拡充への支援金として寄贈してくださるなど、スポーツに対する地域の皆さん方の深い御理解と関心の高さがうかがえるのではないでしょうか。
 そのような土壌が、箕島高校100年の歴史の中で多くのプロ選手や有名人を育ててまいりました。野球では、いまだ破られていない県立高校での春夏連覇の偉業をなし遂げ、全国的にも有名になりました尾藤公元監督は、東尾修選手(元西武ライオンズ監督)を初め多くのプロ野球選手を輩出されました。相撲では、元関脇の栃乃和歌関──綛田清隆氏でありますけれども──が名門春日野部屋の親方となり活躍されています。
 こうしたプロの世界だけではなく、この不況下の中、今企業が求めている人材は、スポーツを通じて鍛えた精神的にも肉体的にもたくましいスポーツマンシップ、つまり礼節をわきまえた人材であります。
 そのような観点からも、箕島高校を中紀地区のスポーツ振興の拠点校として位置づけ充実させるためにも、全県1区の特性を生かし、専門種目にすぐれ、その競技において力を十分発揮できる、より多くの選手の発掘と育成を推し進めることが必要であると思います。現在、箕島高校では、相撲、柔道、空手道、剣道といった武道系や、男子ソフトボール、男子ホッケー、硬式野球がインターハイや近畿・全国大会へ出場し、活躍しています。今年度も、スポーツコース設置3年目で全学年そろったことやハイスクール強化指定も5から6種目にふえたことにより、さらにレベルアップし、活躍してくれるものと期待をしています。
 そこで、中紀地区のスポーツコースといった視点で、さらに選手層を厚くするとともに競技種目の拡充を目指し、現在の普通科スポーツコース1学級をぜひとも1学級増の2学級にしていただきたいと思いますが、教育長の熱意あふれる御答弁を求め、第1回の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの浅井修一郎君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県におけるスポーツの振興についてお答え申し上げます。
 議員御指摘のとおり、現在、平成27年の和歌山国体での男女総合優勝に向けて、すぐれた資質を有するジュニア競技者の発掘、育成を行うとともに、特に優秀な成績を上げている高校の運動部を指定して地域における強化拠点として位置づけ、指導者の適正配置や外部指導者の積極的な登用など、一貫した指導体制を確立することとしております。
 現に、私自身も経験したことでありますけれども、もと御自身が名選手であった指導者が学校におられる、そういうときに大変立派な指導をされて、それで後継者がまた全日本クラスの立派な選手になっている、そういう例を幾つか和歌山でも拝見することができます。そういう意味で、指導者の問題、大変大事なことだと思っております。
 また、今度は成年になりましたときに、その成年種別を強化するということも大事であります。私自身先頭に立ちまして、企業等の協力をお願いをしているところであります。これは、ふるさとで成長された名選手が和歌山に帰ってきて、それで競技を楽しみ、熱心にやりながら生活もしていくというような場があると大変皆さんの励みになるということで、昔はそういうのはたくさんあったんですけれども、それを何とかもう少し復活させることはできないかということを運動しているところであります。一定の成果もありますけれども、なかなか、企業の経営ということもありますので、そう簡単ではありません。
 これに加えて大学でも、議員御指摘のようにふるさと登録選手として活躍する競技者を育成するということは、当然、強化育成戦略に組み込まなければならないと考えております。
 今後とも、県内の競技団体や学校関係団体との緊密な連携のもとで、県内の運動部活動を充実するとともに、競技力向上対策に向けた取り組みを積極的に行ってまいりたい、そんなふうに考えております。
○議長(大沢広太郎君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) まず、国道42号有田海南道路とキララときめきロードについてでございます。
 有田海南道路は、一般国道42号の渋滞緩和及び交通安全の確保などのために、地元市、県にとりましてぜひとも必要な道路であり、浅井議員初めとして議員各位、地元市長らで構成いたします国道42号有田海南間整備促進協議会と一体となって国に対して早期事業化を働きかけてきました結果、昨年度、新規事業化され、現在、国によりまして調査測量が進められているところであります。県としましては、引き続き地元市や促進協議会と協力し地元調整に取り組むとともに、早期着工、早期整備を国に働きかけてまいりたいと思います。
 そうした中で、有田川にかかる橋からの先行着手ということにつきましては、御提言の趣旨を踏まえまして、全体の早期整備はもとより、部分供用による整備効果の早期発現の観点から検討していただくよう、国に働きかけてまいります。
 次に、有田市から湯浅町の海岸部を通る県道有田湯浅線、通称キララときめきロードにつきましては、国道42号を補完するとともに海岸沿いの広域観光を担う重要な路線であり、現在、湯浅町田から栖原間で改築事業を実施しておるところでございます。
 議員御指摘の有田市の千田から高田間につきましては、幅員が狭小で線形が悪いため、キララときめきロードのネックになっておる区間であると認識しております。このため、当該区間につきまして、今後、早期整備できるように、有田市とも相談しながら地元調整を進めてまいりたいと思います。
 それから、河川改修でございます。有田川の河川整備についてでございますが、まず河川改修からお答えいたします。
 有田川におきましては、流下阻害対策として河床整正や樹木の伐採等を実施しており、堤防強化対策として、宮原、糸我地区や古江見地区におきまして漏水対策を実施しているところでございます。河床整正や堤防強化につきましては、本年度補正予算におきまして、さらに進捗させることといたしております。
 そうした中で、国道42号有田海南道路の有田川の橋梁と保田橋付近の河床整正等につきましては、議員御指摘のとおり、国と県が一体的に整備を進めることが効果的かつ効率的でありますことから、今後、有田海南道路の整備スケジュールが具体的になった段階で、国と調整を図ってまいります。
 次に、安諦橋付近の左岸側環境整備についてでございますが、今年度から不法耕作地、不法投棄及び沈廃船の対策に着手する考えでございます。不法係留船対策につきましては、有田川プレジャーボート対策等協議会で引き続き係留施設整備等につきまして検討を進めたいと考えております。
 また、これらの対策と並行して、当地区の河川敷の整備につきましても進めてまいる所存でございます。今年度ですが、干潟の保全、子供の自然観察、地域住民や市立病院に来られる方々の利用のほか、災害や緊急時の利用等を考慮した具体的な河川敷の整備計画、これの策定を関係機関と協議しながら進めますとともに、測量、設計に着手してまいりたいと考えております。
 なお、今後の調整等の状況によりますけれども、計画策定に先立ちまして、今年度、昇降路の整備に着手してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) お言葉、大変恐縮でございます。トップアスリート育成のための県立高等学校の指導体制についてお答えいたします。
 中紀におけるスポーツの中心校であります箕島高等学校は、普通科スポーツコースを設置してから3年目を迎え、その生徒を中心として、体育クラブの各種競技大会における成績も向上してきております。来る和歌山国体においても選手として活躍してくれるものと期待しているところでございます。
 箕島高等学校スポーツコースの募集定員につきましては、議員の御意見も踏まえ、志願者の動向、コースの特性、卒業生の進路等を考慮しつつ、学校と協議し、十分検討してまいります。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
 4番浅井修一郎君。
○浅井修一郎君 知事初め部長、教育長から御答弁をいただきましたけれども、3点目のスポーツ振興云々のための県立高校の指導体制についてでありますけれども、答弁は求めませんが、知事、また教育長もしっかりと聞いていただき、受けとめていただきたいと思います。
 私は、箕島高校のOBでも何でもありません。耐久高校のOBでありまして、空手を始め、一応今5段という段位を持っております。今は御冗談でしょうぐらいでございますけども。そういったことから、地元で子供たちを指導する空手道場を開設しまして、今では空手道のスポーツ少年団を結成しまして、現在、宇治田栄蔵先生が会長をされている全空連の和歌山県連のほうへ加盟もさしていただいております。箕高へは、そういった関係から道場生も大勢高校に、小・中・高と上がっていきまして、箕島高校で大変指導をいただいております。ありがたいなと。
 そういうことから、私も箕島高校へはしょっちゅう出入りさしていただいてまして、当時の、3代前の校長中公之校長のときにちょうど私が県議会議員に初当選をさせていただいた年なんです。そのときに、校長とスポーツ談義をしながら、中紀にスポーツ科をつくりたいなということで意気投合しまして、何とか皆さん方に応援してもらおうということで、校長と2人であちこちでお話をしたりしました。ところが、それがちょうど途中で中断した関係もあったと思うんですけれども、それから後、その次の小串校長の最終年度、3年目に、いわゆる3年前にやっとこのスポーツコースができたという、きのう、きょう、私が言い始めたことではなく、6年前から既にこういったことに取り組んできて、今のスポーツコース1コースがあるわけであります。
 これも、私だけじゃなく、教育長会でも、また中学校校長会でも、またPTAでもこういった形で了解をいただいて、また有田地方選出の吉井県議、松本県議、松坂県議も同じ気持ちであります。そういうことを勘案しながら、ぜひともこのスポーツコースをさらに充実させてほしい。あと1クラスふやしてほしいということを強く要望いたしまして、一般質問を終わりたいと思います。
○議長(大沢広太郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で浅井修一郎君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 43番藤井健太郎君。
  〔藤井健太郎君、登壇〕(拍手)
○藤井健太郎君 議長のお許しをいただきまして、一般質問を行わせていただきます。
 まず、経済対策についてであります。
 今議会に提案されています補正予算は、国の経済危機対策を受けて、予算規模471億円、バブル経済崩壊後の補正額よりも規模の大きい過去最大のものと、このように言われております。経済対策分として460億円が組まれ、その中身では公共事業にかかわるものが240億円、公共事業以外では220億円となっています。過去幾度か経済対策として公共事業を中心とする財政出動を国、地方と行ってまいりましたが、本県にとっては、雇用拡大や所得向上など地域経済活性化に貢献をした、そういうプラス面よりも、公共事業への投資額が税収など自主財源強化へと結びつかず、逆に地方債の増発が財政危機を深めるというマイナス面の影響も大きかったように思います。
 今回の経済対策が、苦境に立たされている県内事業者、県民の手に届くものとなるのか、地域経済と地方財政にどのような影響を与えることとなるのか、一時的なものにとどまることなく持続的な内需の拡大へと結びついていくものとなるのか、果たして目指すところの雇用の創出、拡大や県民所得の向上に結びつくものとなるのか、注目をされるところでもあります。
 同時に、見過ごせない問題として、国債に頼った大規模な経済対策が国の財政を一層厳しいものとし、財政の健全化を目指す方向として、将来の消費税増税やさらなる社会保障費の抑制に求める動きがあることです。近い将来に増税や社会保障負担の増大が予定されているようでは、将来への不安も解消されず、経済対策による一時的な消費の拡大が見られても、経済の失速をまたぞろ招く結果になりはしないか懸念がされます。今回の経済対策が、県民の雇用の安定化と所得の底上げ、所得間格差の是正ともなり、地域経済の持続的な成長につながる端緒となるものであることを願うものであります。
 そういう立場から、知事並びに関係部長にお尋ねをいたします。
 県経済の現状把握と今後の見通しについて。
 ことしの1月から3月、第1・四半期の国内総生産は戦後最悪の落ち込みを記録したと報道がありましたが、和歌山経済は全国から少しおくれてあらわれてくるとも言われています。私の周りでも、消費税の納税ができずに、わざわざ利息のつく融資を申し込む、そういう中小事業者、個人商店の方など、売り上げの激減と資金繰りの逼迫で経営状況は依然として厳しいものが見受けられます。
 雇用をめぐっては、和歌山労働局のことしの4月調査において、県内の有効求人倍率は0.58倍、5年ぶりに0.6倍を切ったとの報道がされ、雇用情勢は悪化傾向を示しています。厚生労働省の国民生活基礎調査では、全世帯の1世帯当たり平均所得が、平成10年には年間655万円であったものが平成19年には556万円と、この10年で100万円減少、全世帯の6割が平均所得以下となっています。昨年はさらに所得が減少していることが推測されます。一方、ことし3月の生活保護世帯は全国で過去最高を更新。この10年間、最多記録を更新し続けているとのことです。雇用の悪化と所得の減少が続いていると思われます。
 知事は、今議会の冒頭に、全庁挙げて県内の業況把握に努めるとともに、緊急対策等必要な施策を講じてきたと言われておりますが、県経済の実態の推移についてどのように認識し、今後の見通しをどのように考えておられるのか、お尋ねをいたします。
 経済対策の雇用や地元経済への効果について。
 経済対策の補正としては、昨年12月議会に30億円、2月議会に144億円、今回の460億円と合わせると634億円となります。知事は、今回の補正における経済対策の効果について、県内ではどのような効果が期待できると考えておられるのでしょうか。特に、対策を必要とする雇用や中小事業者の仕事の確保、県民所得向上への貢献はどの程度のものが期待をできるのか、具体的に示せるものがあれば示していただきたいと思います。
 経済対策の中心とも言える公共事業がもたらす経済効果について、県土整備部長にお尋ねをいたします。
 社会資本整備としての公共事業の果たす役割は多方面にわたりますが、経済対策として論じるとき、投資額が与える直接効果と供用開始後の産業や日常生活に及ぼす経済効果が考えられます。今回は、直接投資額が及ぼす効果に焦点を当ててお尋ねをいたします。
 経済対策としての補正額460億円のうち240億円は公共事業に充てるとし、総事業費で981億円になるということです。ことしの1月に、県内事業者で施工可能な工事については原則として県内事業者に発注するよう依頼文書が出されています。今回、補正で見込まれる公共事業で県内事業者への直接発注となる事業量はどのぐらい見積もれるのでしょうか。
 981億円の総事業費のうち、およそ9割近くの862億円は、近畿自動車道紀勢線の4車線化、京奈和自動車道の延伸、紀の川、熊野川の改修、和歌山下津港海南地区の防波堤築造、日高港しゅんせつなどの国直轄事業となっています。発注者は国や民営化された高速道路会社になろうかと思いますが、地元事業者の受注機会の拡大についてはどのように考えているのでしょうか。資材などを含めて地元経済への還元の手だてなど考えられているのでしょうか。
 また、公共事業の前倒しに当たっては、経済対策として、それなりの事業効果の期待できる事業を選択していく必要があろうかと思います。投資額に対する効果、事業の緊急性の精査など、どのように行われてきたのでしょうか。今回の事業選択において、その事業効果について個々の事業ごとの検討がされてきたのか、当該事業を選択した基準はどのようなものがあるのか、お尋ねいたします。
 知事にお尋ねをいたします。
 公共事業には、建物・橋梁の耐震化、堤防の修復補強など地震・津波対策、介護施設や保育施設の整備、公営住宅、生活道路の改修や改良、農林漁業での生産基盤の整備など、暮らしに密着した公共事業が数多くあります。今回の補正でも一定額の予算化がされてはいますが、そういった事業に一層の重点を置くべきだと考えます。それは、住民の日々の暮らしの中での生活環境の改善となり、地元事業者の直接の仕事の確保にもつながってくるからです。地元経済に効果をもたらす公共事業のあり方について、どのように考えておられるのか。
 経済対策と財政再建についてです。
 過去の経験から、起債に頼る単独事業が税収増につながらず、財政危機を招き、より強力な行財政改革の実行を迫られ、ひいては県民サービスの後退、県民負担の増大につながってきました。昨年3月には新行財政改革推進プランが策定され、財政調整基金などからの繰り入れに頼らなくても収支の均衡が図れる財政の姿を目指しているところです。
 今回の大型補正の財源は、またもや地方債に頼ることになるのではと気をもんでいましたが、追加する公共事業に伴う地方債180億円に対して、国の公共投資臨時交付金160億円の交付が見込まれるとのことです。国の地方財政へのしわ寄せを極力少なくする措置だと見受けられますが、今回の補正に限ったものに終わるのでしょうか。前倒しをしている事業は、単年度で完了する事業ばかりではないと思われますが、こういった国の措置、地方への財源補てんは来年度も続けられるのでしょうか、総務部長にお尋ねをいたします。
 国では、大規模な景気対策により国の財政状況はさらに悪化し、これまでに掲げた財政再建目標の達成は不可能と判断、新たな財政再建計画づくりを進めることになったと報道されています。6月の9日、政府が経済財政諮問会議に、新たな財政再建目標を盛り込んだ経済財政改革の基本方針2009の原案を提示、あわせて中期的な財政健全化の道筋を示した試算結果を公表しています。それには、目標を達成するために、消費税率を現在の5%から、2011年度から2017年度にかけて段階的に12%まで引き上げる必要があるとしています。
 さらに原案では、社会保障費についても、自然増分について毎年2200億円の削減を継続していくということです。昨日、来年度は自然増分の削減は見送ることが閣議決定されたようですが、骨太の方針06で定めた2011年度までに累積して社会保障費の伸びを1.1兆円抑制することには変わりはないということです。売り上げや所得がふえ続けていけばともかく、そうでなければ増税と社会保障負担がのしかかることになり、逆に地域経済と県民の暮らしを悪化させることにはなりはしないか、知事の所見はいかがなものか、お尋ねをしておきたいと思います。
 期限を定めた事業の継続について。
 経済対策として国からの交付金を基金に積み立てて行う事業や、国の補助事業において事業の年限が2年から3年と限られているものが多々見受けられます。雇用や福祉分野の事業、市町村の負担を伴う事業など事業の継続がどのようになるのでしょうか。緊急雇用創出事業は3年間としています。失業者が新たな職を得るまでの半年間のつなぎ雇用の制度と説明されています。
 かつて平成11年度から13年度までの3年間、同様の緊急地域雇用創出特別交付金制度がありました。県は、期間の延長を要望する立場をとって、さらに3年間延長されたという経緯があります。今回の緊急雇用創出事業については、私は、せめて有効求人倍率が1を超えるところまで、求職者数に見合う求人ができるところまで県に頑張ってほしいと思っています。商工観光労働部長いかがでしょうか。
 また、母子家庭の母親に対する技能や資格取得に至る間の生活保障としての給付金が拡充されています。女性特有のがん検診の受診費用も一部無料化されています。妊婦健診の無料化もされました。母子家庭の自立支援、母体と子供の安全・安心、少子化対策にとっていずれも有効な施策であるし、県民の要望も多くあります。事業を継続していけるような手だてをどのように考えているのか。一時的に改善されても、継続されなければ結局事業効果を上げることはできないのではないでしょうか。福祉保健部長はどのように考えておられるのか、お尋ねをいたします。
 地域活性化・経済危機対策臨時交付金の使途について。
 国の経済危機対策として、全国で1兆円、都道府県4000億円、市町村分6000億円が国で予算化されました。地球温暖化対策、少子高齢化社会への対応、安全・安心の実現、その他将来に向けた地域の実情に応じるきめ細かな事業を積極的に実施できるようにと言われています。本県の限度額は84億8000万円と言われています。6月議会では10億9600万円が事業化されているということです。1年間の事業とされていますが、残りは9月以降の補正で事業化していくことになると思われます。今回の補正で事業化したものは具体的にどういう事業があるのか、また今後事業化していくものについての考え方はどうなのか、総務部長にお尋ねをいたします。
 住民の暮らしにより役立つ事業になることを期待するものですし、そういう点では、県民への公募など考えてもいいんじゃないかと思います。私個人的には、住宅太陽光発電の枠の拡大、高齢者仕様住宅へのリフォーム、バリアフリー化への補助、個人住宅の耐震改修助成の充実、公共施設、教育施設などへの県産材の活用など、これまで予算枠の範囲内とし、希望者多数の場合は抽せんをしていたり、せっかく有益な事業であっても補助額が少ないため進まない事業など、集中して取り組めるように活用してもらいたいと思います。このことについては、今回は要望として申し上げておきたいと思います。
 国直轄事業負担金についてです。
 今回の直轄事業費、総額862億円、県負担額は総額126億円、事業費に対して全体で約15%の負担となっています。今回の補正後の21年度国直轄事業負担金は290億円となって、県単独事業費284億円を上回ることとなっています。地方分権の流れが加速化する中で、これまでの国が言うがままの事業費と法で定めた負担率に基づき算定される自治体の負担額について、その内容の精査もできなかった自治体の側から意見が出てくるのは当然のことだと思います。
 私もこの議場で、直轄負担金のあり方の問題について、これまでに幾度となく取り上げさせていただきました。これからは、国、地方の役割分担の議論の中で見直し作業が本格化することに期待をするものです。既にこの議場でも多くの議論が交わされてまいりましたし、知事から目指す方向についても示されました。
 私は1点、今回、直轄事業負担金が単独事業費を上回るほどの金額になっていることにかんがみ、今回補正予算に計上されている負担金の使われ方、直轄事業の内容や事業費の内訳などについて、県民にきちんと詳細に説明すべきと考えています。要するに説明責任を果たすべきだということだと思うんですが、この議会で説明できるように準備はできているのでしょうか。この点について、知事にお尋ねをいたします。
 次に、消費者行政について。
 消費者庁設置法案及び関連2法、消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案、消費者安全法案が与野党全会派による共同修正を経て今国会で成立し、今秋にも消費者庁が発足する運びとなっています。長年消費者問題に取り組んできた消費者団体、弁護士団体から、消費者の観点から諸問題の一元化が図られることとなり縦割り行政のすき間が埋められると、期待の声が寄せられています。国民生活の安全・安心を図る上でも一歩前進であって、今後、消費者庁が国民の声にこたえて積極的な役割を果たしていくことが求められています。
 近年の経済状況と経済的、社会的規制が緩和される流れの中で、食品偽装事件、悪質な住宅リフォーム、欠陥ガス器具、中国製冷凍ギョーザ中毒、汚染米の流通、架空請求などなど、消費者問題が多発をしております。いち早く対応して被害の拡大を防ぐことが重要です。国の役割には大きいものがありますが、住民により身近な地方自治体の役割には決定的なものがあって、消費者行政は地方自治体の自治事務ともなっています。
 その中心を担っているのが、相談の窓口でもある消費生活センターと、直接住民と対応する相談員です。年間6000件を超える相談に対応しており、さまざまな法令に通じた専門的な知識と、何より消費者の立場に立っての熱意と権利擁護の意識の高さも求められています。その職責に応じた適切な処遇も必要となってきます。県のセンターの設置は、和歌山市内、田辺市内の2カ所、市町村では和歌山市が開設をしております。今回、都道府県へのセンター設置が義務化、市町村には努力義務が課せられることとなりました。2月議会で、国からの補助金1億5200万円が措置され、23年度までの事業として、県は消費者行政活性化基金を設置しました。
 そこで、環境生活部長にお尋ねをいたします。
 消費者庁発足をどのように受けとめておられるのか、県の消費者行政はどのように変わるのか、県はどのような方針を持とうとしているのか、消費者の権利擁護、被害の未然防止、拡大防止施策の充実となっていくのか、基本的な考えについてお尋ねをいたします。
 消費生活センターの充実に向けて。
 基金事業は23年度までと年限が決められていますが、使途はどのようになるのか、消費生活センターの充実、相談員の処遇の改善となるのか、市町村での消費生活センターの設置と相談員の配置をどのように進めるのか、また継続的な財政的支援をどのように進めていくのか、あわせてお尋ねをいたします。
 次に、医療費適正化計画の特定健康診査についてお尋ねをいたします。
 県は昨年3月、高齢者の医療の確保に関する法律に基づく医療費適正化計画を策定しました。県民の健康の保持・増進と医療の効率的な提供を推進し、医療費の過大な伸びの抑制を図り、国民皆保険制度を維持するとして、平成20年度から24年度までの5年間を第1期期間としています。内容は2つで、1つは特定健康診査、特定保健指導の実施、もう1つは療養病床を削減し、介護施設への転換と平均在院日数の短縮を図るということです。
 今回は、1つ目の柱となっている特定健康診査、特定保健指導について、とりわけ特定健康診査についての取り組み状況と今後の方針についてお尋ねをいたします。
 県の達成すべき政策目標として、平成24年度において40歳から74歳までの70%以上の県民が特定健康診査を受診することを掲げています。健康診断を受けることは、みずからの健康状態を把握し、健康管理意識を高めることへの動機づけや疾病の早期発見となって重症化を防ぐとともに、医療費の自己負担の軽減にもつながり、奨励されることであると思います。そのためにも、気軽に受診できる機会の提供が幅広くされることが必要です。
 これまでの住民を対象として自治体が実施していた健康診査から、昨年度、20年度からは医療保険者が加入者を対象として実施するようになりました。実施主体も対象者も変わってまいりました。22年度には中間評価を行い、25年度の実績評価で健康診査の受診率によっては保険者からの後期高齢者医療制度への支援金が加算されるなど、ペナルティーが課せられることにもなっています。経済状況が厳しいもとで健康管理どころではないという話も聞こえてきますが、ストレスや過労の蓄積で健康を害し仕事が手につかなくなったり、重症化すれば、本人や家族の苦しみ、経済的負担もふえ、取り返しのつかないことになっても困ります。幅広い受診の機会と経済負担の余りかからない健康診査の提供が望まれています。
 そこで、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 基本的な考え方、取り組み状況と評価についてですが、基本的な考え方はどういう考え方を持っているのか、またどのように取り組んできたのか。各保険者の到達点、取り組みの状況をどのように把握し、評価をしているのか。全住民対象の健診に、各医療保険の保険者がその加入者を対象に実施することになりましたが、医療保険に加入していない人や被用者保険の扶養家族、遠隔地保険となっている人、生活保護世帯などを含め、全住民が健康診査を気軽に受診できる体制となっているでしょうか。
 受診率と自己負担額の格差について。
 市町村国保が実施する健康診査において、市町村間の受診率や自己負担額に格差があるように聞いております。受診率の一番低い自治体では8%、最も高い自治体で43%、自己負担額については、無料のところから最高で2000円を負担するとなっているようであります。県は、このような状況についてどのように考えているのか。受診率を引き上げるためにも、自己負担はないほうが望ましいのではないでしょうか。現に国は、乳がん、子宮がんなどの検診受診率目標50%を達成するため、無料クーポン券を配布するとしています。特定健診の受診率引き上げに向けての今後の県の対応はどうされていくのでしょうか。
 最後に、特定健診への財政支援について。
 特定健診に係る財源は、国、県、市町村国保が国の示す標準額の3分の1ずつを負担することとなっています。しかし、国の示す標準額は、実勢価格、実際の価格よりも低いために、市町村国保の超過負担となって、受診率を上げれば上げるほど負担がふえる、保険料の引き上げ、もしくは一般会計からの繰り出しにつながってくることとなります。国の補助基準額を実勢価格に合わすことや、県の特定健診への財政支援が必要ではないでしょうか。どのように考えておられるのかお尋ねをいたしまして、私の第1問といたします。
○議長(大沢広太郎君) ただいまの藤井健太郎君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいまの藤井健太郎議員の御質問のうち私にお答え申し上げるようにというお話のところを御答弁申し上げます。
 まず、県経済の現状と今後の見通しについてでございますが、本県経済において、いろんな指標を見ますと、景気の落ち込みは全国に比べ緩やかに推移しているものの、厳しい状況にあるということは変わりはないということだと認識しております。県といたしましては、昨年、緊急経済対策本部をいち早く設置いたしまして、資金繰り対策といたしまして制度融資を迅速に見直して、その結果、昨年度は過去最高の融資実績となり、最近の資金需要はちょっと落ちついてきているというような感じだという状況にあります。
 また、雇用対策としては、これはどちらかというと政府に先駆けてでありますが、「和歌山で働きませんか!」プロジェクトなど機動的に実施しておりますけれども、非正規労働者の雇いどめ等が全国に比べ少ないことでもわかるように、県内企業が雇用の維持、確保に必死で頑張ってるというところもありまして、有効求人倍率という指標で見ますと、もちろんだんだん低くなってきておりますけれども、他の都道府県の落ち込みに比べると緩やかで、近畿ではトップ、全国で5位という状況を保っております。
 ただ、長い間停滞をしてまいりました和歌山県のいろんな経済主体は、その分だけ蓄積が少ないというところもあると思います。それから、本県の産業構造は素材や産業部材の製造、下請といった企業が多いということで、他地域より本県の不況の影響がおくれて出てくる懸念もある、可能性もあると考えております。県といたしましては、今後とも産業別担当者制度等を活用して、県内の景気動向を的確に把握しながら、必要な対策を適時適切に講じてまいりたいと考えております。
 また、このような不況期にあっても、将来の成長分野の育成は重要であります。産官学連携による研究開発や農商工連携による新商品、新サービスの開発を支援するなど、さまざまな施策をこの補正予算にも盛り込ましていただいて、頑張ろうとしているとこであります。また、この際、将来の産業活動の基礎となる基礎的な基幹インフラの整備、こういうものについても頑張ってまいりたいということで、将来の底力の拡大につなげていきたいと、こういうふうに考えております。
 次に、経済対策の雇用、地元経済への効果についてでございます。
 1つ1つの政策についての雇用効果が、これは何人ぐらい雇える予定だとかというようなことについては1つ1つ発表しておりますけれども、昨年末以来の補正予算あるいは対策がそうでありましたように、今回の補正予算におきましても、現下の県内の景気を早急に回復し、雇用機会を創出するとともに、県民所得の向上を図ることを最優先に位置づけているところでございます。
 なお、事業の選定に当たりましては、長期総合計画に掲げる「和歌山県がめざす将来像の実現」を一気に加速させるために、今後実施しなければならない事業を早期に着手し、将来に備えるということを念頭に編成したところであります。今回措置した事業の一例を申し上げますと、議員御指摘の県有施設や橋梁の耐震化、あるいは介護施設の整備、保育所の耐震化や公営住宅の改修、こういうものはやらなきゃいけないということの宿題になっているような話でございましたので、こういうものについても所要の予算措置を行ったところであります。
 次に、経済対策と財政再建であります。
 社会保障の機能強化を図り、安心社会を実現するということは、人々が安心して生活していく上で極めて重要な課題であり、必要不可欠なことと考えております。一方、少子高齢化の進展に伴い社会保障費の大幅な増加が見込まれる中、社会保障の給付について重点化等の効率化を図るとともに、制度の安定と維持のための負担のあり方と財源について、どのようなバランスにしていくかということが社会全体の大きな課題であると認識しております。また、これに関連した消費税の税率につきましても、税制抜本改革の議論の中で今後国において検討が進められていくことと認識しております。
 社会保障の給付と負担の水準がどうあるべきか、また消費税の税率がどのような水準になるかという問題につきましては、今後、国民的議論を経て決定されていくべきものだと考えておりますが、当県といたしましては、和歌山県の県民生活や地域経済に影響を与える事柄でございますので、これを注視しながら、和歌山県に有利になるように、県民の生活がよりよくなるように、いろんな働きかけをしていきたいと考えております。
 次に、国直轄事業負担金であります。
 今回の直轄事業の箇所につきましては、かねてから早期整備を強く求めている箇所で、真に必要性が検証され、進められている継続事業を前倒しで行うものであります。これがどういうものに使われたか、大きなものについては既にこの議場でも御説明申し上げたと思いますが、大いに今後説明をしていきたいということでございます。当県に関する限り、箇所づけ、配分、そういうものについては、我々が物すごく熱心に要請してきたことがむしろ実ったというような意味で、私たちとしても成果だと考えております。だから、勝手につけられて請求書を回されたというようなものはありません。
 また、今回の補正につきましては、地域活性化・公共投資臨時交付金により地方自治体の負担が軽減される措置がなされております。本県の直轄事業におきましても、事業費約862億円に対し、県の負担額は約126億円となっておりますが、実は今回の制度では、この9割相当額が交付金として交付される予定であります。県といたしましては、これは好機であるととらえて、可能な限り、もともとやらなきゃいけない、絶対やりたい、こういうようなものについては事業の進捗を図りたいと考えておりまして、それはかなり実現したと考えております。
 なお、そうはいっても、不当な何か支出がないかとか単価はどうかとか、そういうことについても、ちゃんと県民の皆様への説明責任が果たせるように国土交通省と十分協議してまいりたいと考えております。
○議長(大沢広太郎君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) まず、経済対策の雇用・地元経済への効果についてでございます。
 現下の経済・雇用情勢に対応して、県内事業者の健全な育成、発展を図るために、公共工事等の発注に当たっては、県内事業者で施工、履行が可能と見込まれるものにつきましては、原則県内発注ということにしております。今回の補正予算では、高速道路暫定2車線区間の4車線化に関する約745億円、その他国直轄事業約117億円、県事業約110億円など、総事業費約981億円となっております。
 このうちの県事業約110億円につきましては、今申し上げましたように、従来からの県の方針として、特殊なものを除き大部分は県内事業者への発注を予定しております。また、国直轄事業等の発注につきましても県内事業者への発注に努めると聞いておりますので、今後とも、あらゆる機会を通じて国等に働きかけてまいります。
 次に、補正予算の事業箇所の選定についてお答えいたします。
 経済危機対策の重点分野に応じまして、国土ミッシングリンクの結合の観点、地域活性化の観点及び安全・安心確保の観点などから事業を選択しております。具体的には、例えば国土ミッシングリンクの結合による地域間の連携強化や地域の競争力の強化を図る、こういった項目で近畿自動車道紀勢線や京奈和自動車道の整備を行うなど、重点分野に沿った箇所を選定しております。また、これらの箇所は、いずれも地域から要望が強く、既に事業を進めている箇所のうち早急に整備が必要で前倒し可能な箇所でございます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 総務部長宮地俊明君。
  〔宮地俊明君、登壇〕
○総務部長(宮地俊明君) まず、経済対策と財政再建についてお答え申し上げます。
 地域活性化・公共投資臨時交付金につきましては、国の経済危機対策における追加公共事業等の地方負担額への配慮という位置づけでありまして、現時点においては恒久的な措置ではないと認識しております。なお、今回前倒しで実施する公共事業等は単年度で終了する事業に限られておりませんが、来年度以降の公共事業等への対応につきましては、その年度における公共事業等に対する財源措置を十分踏まえながら、新行財政改革推進プランの枠組みの中で適切に対処してまいりたいと考えております。
 次に、地域活性化・経済危機対策臨時交付金の使途についてでございます。
 地域活性化・経済危機対策臨時交付金につきましては、今後実施しなければならない県単独事業を将来に備え早期に着手するための財源として、あるいは国の補正予算に伴う一部の補助事業の財源として活用を予定しているところでございます。なお、今回の補正予算では、新型インフルエンザ対策や地震対策の強化など、県民生活への影響等を考え早期に実施する必要があると認められる事業に対し、11億円程度を予算化したところでございます。
○議長(大沢広太郎君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 期限を定めた事業の継続につきましての御質問のうち、緊急雇用創出事業につきましてお答えをさせていただきます。
 世界経済全体が落ち込み、雇用情勢はかつてないほど厳しい状況となっており、厚生労働省の調査によれば、昨年10月から6月までに雇いどめや雇いどめ見込みの非正規労働者の方は、全国で21万6000人、本県でも760人となってございます。今回の緊急雇用創出事業につきましては、これらの離職者の方が次の雇用までの一時的な就労機会を得ていくための緊急かつ暫定的な事業であり、また経済対策の重要な施策の1つであると認識してございます。
 議員お話しの基金事業終了後の継続につきましては、経済情勢や雇用環境を十二分に見据え、的確な状況把握をしながら、その必要性も含め適切に対応してまいりたいと考えてございます。
○議長(大沢広太郎君) 福祉保健部長北田佳秀君。
  〔北田佳秀君、登壇〕
○福祉保健部長(北田佳秀君) 経済対策並びに医療費適正化計画の特定健康診査についてお答え申し上げます。
 まず、経済対策のうち厚生労働省所管の期限を定めた事業の継続についてでございますが、母子家庭就業自立支援事業の給付金の拡充は平成26年度までとなっておりますが、女性特有のがん検診推進事業につきましては平成21年度のみ、妊婦健康診査費助成事業については平成22年度までとされております。国では、それぞれの事業の実施状況や施策の成果を踏まえつつ、事業の継続あるいは財源を、踏まえつつ、今後検討していく予定としております。県といたしましては、これらの事業がいずれも県民の生活に深くかかわる施策であることから、安定的かつ恒久的な財政的措置を講じるよう、国に対して強く要望してまいります。
 次に、特定健康診査の4点についてお答え申し上げます。
 まず最初に、県の特定健康診査の基本的な考え方についてでございますが、県民が現在の健康状態を知り、みずからの生活習慣を改善して生活習慣病の予防または重症化を防ぐことは、健康で長寿な社会の実現に資するものと考えております。県においては、保険者が実施する特定健康診査の体制整備や特定保健指導者研修会の開催等により、市町村及び関係機関を支援してきたところです。
 市町村国民健康保険における特定健康診査の実施状況につきましては、本年4月の暫定的な受診率は県全体の平均が16.6%と、平成20年度目標率31%を大きく下回っております。なお、すべての保険者の平成20年度における実施結果が確定するのは、本年11月以降になる見込みでございます。
 この受診率についてでございますが、この制度に関する周知不足やデータ管理システムの構築のおくれ等から、目標率を下回った市町村が多くなったものと考えております。
 次に、全住民対象の特定健康診査についてでございますが、特定健康診査は、高齢者の医療の確保に関する法律により、市町村国保や健康保険組合等、各保険者に実施が義務づけられており、40歳以上75歳未満のすべての被保険者が受診できる体制となっております。被用者保険の扶養家族や遠隔地保険の方につきましては各保険者が、また生活保護を受けてる方や医療保険に加入していない方については、健康増進法に基づき市町村が健康診査を実施しております。
 なお、75歳以上の方は、高齢者の医療の確保に関する法律により和歌山県後期高齢者医療広域連合が健康診査を実施していることから、すべての県民が健康診査を受診することが可能な体制が確保されております。
 次に、受診率と自己負担額の格差についてでございます。
 市町村国保における特定健康診査の自己負担額を軽減することは、受診率の向上を図るための1つの手段と考えられますが、自己負担額は、受益者負担の原則や国民健康保険特別会計における保険料財源の影響等を勘案し、各保険者が決定していると承知しております。県といたしましては、積極的に制度の周知と広報に努めるとともに、効果的な集団健診や受診勧奨の取り組み等を市町村に指導することにより、受診率の向上に努めてまいります。
 最後に、特定健康診査への財政支援でございますが、県では、市町村国保の保険料収納率や特定健康診査受診率の向上など、保険者の取り組みを評価し、県国民健康保険特別調整交付金を交付しているところです。平成20年度においては、特定健康診査の受診率が25%を上回る市町村国保に対しましてこの交付金による財政支援を行っており、引き続き受診率向上に向け支援してまいります。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 環境生活部長井口悦治君。
  〔井口悦治君、登壇〕
○環境生活部長(井口悦治君) 消費者行政についての御質問にお答えをいたします。
 まず、1点目の消費者庁発足と県の対応についてでございますが、県といたしましても、食品偽装や架空請求などの問題が多発する中、消費者の安全・安心を確保する行政は大変重要と考えており、今回の消費者庁設置関連法の成立を受け、市町村や関係機関、消費者団体等と連携しながら、消費生活相談窓口の充実、消費者被害の発生・拡大の防止、消費者教育・啓発の推進に一層取り組み、消費者が安全で安心して暮らせる和歌山県づくりを進めてまいりたいと考えてございます。
 また、2点目の消費生活センターの充実につきましては、住民がより身近なところで相談ができ、トラブルを解決できる体制を整えていくため、市町村に対し、和歌山県消費者行政活性化基金を活用して消費生活センターの新設、あるいは地域の状況に応じた消費生活相談窓口の充実を要請しているところでございます。あわせて、消費生活相談の充実には、現在の県消費生活センターの相談員の方々のように、さまざまな法令に通じた専門的な知識を有し、かつ熱意を持った相談員が重要な役割を果たすことから、県では基金を活用し、こうした相談員の養成と適正配置に取り組んでまいります。
 しかしながら、当該基金の活用期間が平成23年度までとされているため、市町村が相談窓口を維持・運営していくためにはその後の財政措置が必要であり、このため国に対し消費者行政推進のための恒久的な財政措置を講じるよう要望を行ったところであり、今後とも機会あるごとに働きかけてまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 43番藤井健太郎君。
○藤井健太郎君 再質問ということですが、もう要望、意見に今回はとどめておきたいと思いますが。
 知事のほうの答弁で、和歌山県の経済の状況の分析が語られまして、有効求人倍率、今近畿でトップだということで、何か自慢げに話をされてたような感じなんですが、今まで和歌山県は最低でしたよね、たしかね。ほかの県が高かって、それが今回の経済危機でどんと落ち込んで、和歌山県がたまたまトップに来てるという状況だと思うんです。
 以前から、これは雇用対策、一生懸命言うてきて、県のほうでもやられてきたことはよく知っておりますが、なかなか効果が発現をしないと。それは、県内に中小事業者が圧倒的であって、大規模な雇用が見込めるようなそういう事業所がなく、企業誘致にも一生懸命取り組んでるということだと思うんですが、今回の経済対策が最大規模というふうなことで県民には説明をされておりまして、だから、じゃあ効果はどうなのというところはやっぱり気になるわけであります。
 そういう点で、雇用の面であるとか、緊急雇用なんかで第1次分では幾らと、何人というふうに発表されておりますが、総じて和歌山県経済にどういう効果をもたらすのか、どういう効果が期待できるのかという点については、ぜひ経済対策本部などでまとめていただいて、県民にも示していただきたいと思います。これはぜひやっていただきたいということを申し上げておきたいと思うんです。
 知事は、安全・安心に暮らせる社会づくりとして「だれも見捨てないぞ」と今議会でもおっしゃってましたけども、県内の中小事業者は見捨てられてるんじゃないかなという思いが、あっちこっちで話を聞いてするわけです。せっかく保証協会のほうで──国のほうでも信用保証制度を拡充して随分と融資が受けやすくなってきたということはありますが、肝心のその保証協会の保証が受けられない。取引先が倒産をして、手形が、莫大な金額が不渡りになって、そのことが経営を圧迫して、なかなか再建が難しいということで、保証協会の保証すら受けられないということで、どうしようもないんだというような話も実際には聞くわけです。
 だから、県内の中小業者もぜひ見捨てないぞということで、経済対策にも、経済、全体多くありますけども、融資面だけではなくて、本当に中小事業者の仕事づくりということで留意をしていただきたい。その結果、先ほど申しました経済対策の効果というのがどうであったのかということも期待する、見込めるということだけではなくて、きちんと検証していくと、検証する仕組みづくりも、これもぜひつくっていただきたい。また後日、どうだったのかということを質問さしていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 地域活性化・経済危機対策臨時交付金、これがざっと85億見込めるということで、これは有効に活用できるんじゃないかと思うんです。先ほど私、幾つか事業の事例など、こういう点はどうかということを申し上げましたが、これはぜひ和歌山県の地元中小業者、また家計を応援するという施策に有効に使っていただきたい。住民の声にも耳を傾けるようにしてもらいたいと思います。
 消費者行政ですが、経済状況が厳しい中で、さまざまな消費者問題、トラブルが起こってくることがこれからも予想されるわけですが、消費者センター、市町村で努力義務となっております。なかなか市町村では難しい状況もたくさんあると思うんですが、相談員の配置というのはかなめだと思うんです。
 今、県は相談員については委託ということで、県職員が直接やるんではなくて外部委託をいたしております。その外部委託を受けている団体、またそこでの相談員の人員の確保であるとか、研修の機会の確保であるとか、資質、技術、レベルアップ、そういった点についても、処遇の問題も含めてこれはぜひ考えていかないと、器だけつくっても中身がないということになってしまいますので、その点もぜひ留意して進めていただきたい。
 最後に、特定健診でありますが、今まで老人保健法の基本健診ということで、住民を対象にして、医療保険の加入者ではなくて幅広く住民を対象にしてやっておって、19年度の平均受診率が34%という結果です。20年度で医療保険者が加入者を対象にしてやった結果、16%ということですから、これは老人保健法の自治体がやっていた基本健診が引き継がれていないと。自治体は非常な努力をして、集団健診とかいろんな取り組みをしてここまで引き上げてきたわけです。県の目標は70%ですから、これから考えるともう、どうするのかということになってくるわけです。
 今の状況の中で、働く人々の健康被害というのも心配されるわけですし、きっちりと早く健診を受けて、病気の早期受診に努める、働き続けられる、そういう社会づくりということでも非常に大事な問題だと私は思ってます。県も積極的に広報して、受診率を上げるために努力をしていただきたいと思うんです。
 県の財政支援──国がそもそもきちっと財政支援しなくてはいけないわけですが、県が財政調整交付金ですか、国が持っていたやつを県が肩がわりをしたその中から支援してると。25%以上の受診率の団体について支援をしてるということですが、25%以上の受診率になってる市町村国保というのは県内で7団体なんです。分母は28団体あるんですね。28団体中7団体が25%以上の受診率になっていて、県の平均受診率は16%というお話がありまして、これで財政支援というふうに言えるんでしょうかと。
 一定の受診率にすればお金を上げるよと、早く受診率を上げなさいということに、そういう立場だと思うんですが、しかし、先ほどお話ししましたように、市町村国保というのは財政が非常に厳しい。きのうの松坂質問でもありましたね。保険料引き上げ、一般会計からの繰り入れが困難だという中で、この基本健診、取り組まなあかんわけです。そういうことも十分考えていただいて、財政支援のあり方も改善するということで、ぜひ取り組んでいただきたいと。これもちょっと宿題にしておきたいと思います。
 以上で、私の質問を終わります。
○議長(大沢広太郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で藤井健太郎君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時37分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○議長(大沢広太郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 16番下川俊樹君。
  〔下川俊樹君、登壇〕(拍手)
○下川俊樹君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行いたいと思います。
 今回は、次の3点について当局をただしたいと思います。
 まず第1点は、紀南の、和歌山県の端に住む私たちが夢にまで見ていた高速道路の紀南延伸であります。昨日、先輩議員の町田議員が大変詳細に調査をして、的確な答弁を引き出していただきました。私は、すさみ以南の高速の構想についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 2点目は少子化の問題であり、3点目は観光振興の問題であります。
 県内で2番目に市制施行都市としてスタートした歴史と文化のまち、新宮市。大変残念ながら国土幹線軸から非常に遠いということで、どうしたらこの地域が活性化するか、その基本は道路であります。命の道、生活の道、その実現のために、本当に大変な努力を重ねてきたところであります。現在では着実に改良を重ねて「日本のチベット」と言われる地域から脱却をいたしてございます。
 国道42号が完全に舗装されたのが昭和44年であります。舗装されたといっても狭隘な狭い道路、そして日本で一番曲がりくねったカーブの多い道として、私は311号が改良されるまでその道を通ってきたわけであります。大体5時間から6時間をかけて、何百回と言わず、その道を走ったのを今記憶しているところでございます。それだけに、道路に対する紀南の住民の要望、希望は大変なものであるということを皆さんに知っていただきたいと思うわけであります。
 それまでの交通機関が、前──今はJRですけども──日本国有鉄道、これ1本であったわけであります。昭和34年7月の全線開通時には、和歌山─新宮間は4時間32分でありました。その後、昭和53年1月には和歌山─紀伊田辺間の複線化、同10月には和歌山─新宮間の電化完成や自然振り子型の電車の導入により、和歌山─新宮間は30分短縮されたところであります。さらに、平成7年度、8年度にかけて紀勢本線高速化事業が実施され、和歌山─新宮間でさらに20分の時間短縮となりました。要した費用は100億円であります。これはJR西日本が事業主体となり、県や関係38市町村から成る紀勢本線活性化促進協議会の負担金及び地元民間企業等からの寄附により実現をしたものです。
 なお、平成元年には、今は亡き仮谷志良知事が大変御努力をいただいて、特急くろしおの新大阪駅、京都駅への乗り入れが開始をされました。新大阪の駅頭に立って「紀勢線、新宮行き、14番線から」という放送を聞いたときには、大変感激をしたものであります。
 このようにJR紀勢本線は、明治以来、先人たちが懸命に整備推進に取り組んできた結果、完成したものであり、今も和歌山県社会基盤の1つとして私たちの生活に大いに役立っているところであります。
 一方で、20世紀の基本的社会資本としての高速道路は全国的に整備が進められておりますが、紀伊半島においては整備が大変おくれたところであります。車社会と言われ、人生や生活のさまざまな面で車に依存することの多い今日、紀伊半島一周の高速道路の早期実現は和歌山県の将来を左右する大きな問題であり、JR紀勢本線の例のように一生懸命に整備推進に取り組んでいく必要があるわけであります。
 そのため、地元市町村が中心になって、昭和54年には高速自動車道紀南延長促進協議会、さらに平成3年には国道42号(田辺─新宮間)改良促進協議会、平成4年には一般国道42号那智勝浦・新宮道路建設促進協議会、平成16年には熊野川河口に橋を架ける会等々、田辺市以南の地域だけでも道路に関する促進協議会を8つも立ち上げて、厳しい財政事情の中でも負担金を拠出しながら、それぞれの思いを込めて紀伊半島一周高速道路の整備推進活動を実施してきたところであります。
 長年にわたり、東京の国交省、財務局、そして大阪の地方整備局、そして田辺の河川国道事務所と何回も要望活動を行うなど、莫大な費用と時間を使って頑張ってきたところであります。
 県や県議会におきましても、こうした促進団体と連携をとりながらさまざまな行動を続けてきたところであり、その成果として、現在、近畿自動車道紀勢線は田辺まで延伸され、さらにその先の田辺─すさみ間は事業化をされており、那智勝浦道路も約9キロが供用されてございます。
 5月29日に、政府・与党が提案した史上最大規模の補正予算が成立をいたしました。国の経済危機対策に関連して今回の補正予算に計上された国交省関係の公共事業費は、和歌山県で約980億円であり、これは全国シェアから申しますと約5%に及ぶ予算であります。このことは、本県人口の全国シェアが約1%でありますから、そういうことを考えれば、本県において今後集中的に相当な事業量の公共投資がなされるわけであります。我々県会議員はもとより、二階俊博経済産業大臣初め本県選出の国会議員の皆さん、そして仁坂知事を先頭に頑張った県行政関係者の御努力のたまものであったと私は思います。せっかくの緊急経済対策でありますので、国や西日本高速道路株式会社に対し、早期に着工するように働きかけていただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、平素からの活動と時宜を得た要望活動が実を結んだと非常に喜んでいるところであり、今後も和歌山県の将来を見据え、紀伊半島一周の高速道路の早期実現に向けて、県議会と県、そして各促進団体がさらに一体になって、さまざまな活動を実施していかなければならないとの思いを強くしたところであります。
 そこで、お尋ねをいたします。
 昨年11月には、新宮市において熊野川河口大橋の実現に向けて1000人が参加して決起大会が開催されるなど、高速道路に対する地域の思いは非常に熱いものがあります。近畿自動車道紀勢線すさみ以南の状況と今後の見通しについて、県土整備部長にお聞きをいたします。
 また、紀伊半島一周高速道路も夢ではなくなってまいりましたが、その早期実現に向けた知事の決意と考えをお聞かせいただきたいと思います。
 過日、那智勝浦新宮道路が供用開始をいたしました。国会議員の皆さんが視察をしていただいたんですけども、地方の道路としては大変ぜいたくだと、そして、もっともっとやり方があるんじゃないかと御批判をいただいたところであります。私は、それを聞いて唖然といたしました。
 現在、おかげで串本を含めた地域の皆さんが、救急医療のときにも短時間で新宮の医療センターに搬送されています。そして、道路がよくなったんで、患者さんに対する負担が非常に軽くなりました。そしてその結果、多くの救急を要する患者さんに対して納得のいく手当てができる状況をこの道路が生んだということも皆さんに御理解をいただきたいと、そのように思います。
 次に、少子化対策についてお伺いをいたします。
 先日公表された本県の推計人口は、ことし4月現在、100万7797人であります。5年連続で前年に比べ7000から8000人の大幅な減少となりました。このまま推移すると、来年には本県の人口が100万人を割る公算が極めて高くなってまいりました。一方、本県の合計特殊出生率はといいますと1.41、全国平均の1.37をわずかながら上回っているものの、人口維持に必要とされる2.08%には遠く及んでいないのが現状であります。また、政府の推計でも、50年後には日本の人口が3割減少、加えて5人に2人が高齢者になり、労働人口も4割減少するなど、少子化、高齢化による大変厳しい状況が予想されてございます。
 この少子化問題につきましては、県議会において平成3年に初めて取り上げられてから、今議会までの間、実に二十数回にわたって質問がなされており、そのことがこの問題の重要性、将来に対しての深刻さを物語っていると言えると思います。
 結婚観や価値観の変化、核家族化に伴う育児不安や育児の孤立、経済的な負担感や仕事と子育ての両立の困難性、さまざまな要因が少子化の背景にあることは、皆さん御存じのとおりであります。このため、政府及び全国の自治体においてさまざまな少子化対策に取り組まれていますが、残念ながら歯どめをかけるどころか少子化の流れは着実に進行し、高齢化の進展と相まって、将来の年金給付額の減少や国民年金未払い者の増加、医療制度の介護の問題など、現実の社会問題になってまいったところであります。「静かなる有事」と言われてきた少子化問題が、日本の社会システムを揺るがしかねない事態へと発展しつつあると思います。
 内閣府の国民経済白書によれば、子供1人をゼロ歳から21歳まで育てるために約1300万円の経済負担が必要であると推計をされており、同時に、県が実施した少子化対策に関する意識調査においても子育てや教育に係る財政的な負担の軽減を求める声がトップであることから、やはり若者の経済的な不安が結婚や子供の出生に最も大きな影響を与えているものと私は考えます。
 しかしながら、現在の社会保障給付費は、高齢者関係が全体の約70%を占めるのに対し、児童手当や出産関係費などの児童・家族関係はわずか4%にとどまっております。少子化対策が余りにも薄いと言わざるを得ません。差し迫った年金、医療、介護等の課題への取り組みは当然のことでありますが、抜本的な少子化対策を講じることなく、こうした制度の手直しを繰り返していても、いずれ行き詰まってしまうのは明らかではないでしょうか。少子化問題こそ現代社会が抱える年金問題、医療問題、介護問題、そして地方が抱える担い手の減少、地域経済の低迷、自治体財政の悪化などの大きな根源であると考えるわけであります。
 本県では、少子化の進行や若年者を中心とした人口の減少という現状を踏まえながら、子供を持ちたい人が安心して子供を産み育てることができる環境づくり、また次代を担う子供たち1人1人が健やかに生まれ育つための環境づくりに取り組むために、平成17年に「紀州っ子元気プラン」という次世代育成支援行動計画を策定し、21年までの5カ年の計画で取り組んでおられます。その成果について福祉保健部長にお伺いをいたします。
 少子化の問題は日本の社会システムの根幹にかかわる問題であり、社会保障制度全般のマスタープランにおいても少子化対策を将来への重要な投資として位置づけ、国と地方が明確な役割分担のもと、その対策を講じていく必要があると思います。本県は、全国的に見ても特に少子化、高齢化が進展をしており、本県が率先をして国に対して強く働きかけることも必要であると考えますが、この少子化対策についての基本的な認識について、知事の御所見をお伺いいたします。
 最後に、観光振興についてお伺いをいたします。
 観光は、旅行業、運輸業、宿泊業、そして飲食業など直接に関連する産業だけでなく、商工業や農林水産業など、多くの産業の発展と雇用機会の増大をもたらす総合産業であります。人口減少、そして購買力の低下、商店街の衰退など、地域経済を取り巻く環境がますます厳しさを増しております。企業誘致が特に困難な紀南地方にとって、観光こそ地域活性化のただ1つの原動力であると言っても過言ではないと思います。
 国において、昨年1月に観光立国推進基本法が施行され、さらに同年10月には、観光立国を総合的に推進する体制を強化するため観光庁が新設をされるなど、観光が我が国の発展に大変重要な産業として位置づけられたところであります。
 こうした中、本県では今年、「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産に登録されてから5周年を迎えるわけで、多彩な記念イベントが開催されるとお聞きをしております。同時に、JR紀勢本線全通50周年記念事業の開催や、南海高野線の観光列車「天空」、高野─熊野間のアクセスバスの運行が開始をされると聞いてございます。世界遺産登録5周年を契機として官民が一体となり県内外に高野・熊野の魅力をアピールする取り組みであり、大いに期待するところであります。そして、世界遺産に登録された地域は、いやしの地、よみがえり、再生の地として、もっともっと全国にアピールをしていくべきだと思います。
 そこで、まず世界遺産登録5周年関連事業の取り組みについて、商工観光労働部長にお伺いをいたします。
 また、本県には、この世界遺産のみならず、国内のパンダ9頭、そのうち7頭が我が県白浜にあるわけであります。こんな大きな魅力が我が和歌山県にはたくさん眠っているわけであります。もっともっと県行政が我が県の全国に誇る観光資源をアピールして、和歌山県に全国の目を向ける最大の努力をすべきだと私は思ってございます。世界遺産登録5周年を契機として、こうした魅力を今後の観光振興に生かしていくことが大変重要な課題であると考えます。知事の所見をお伺いして質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの下川俊樹君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 紀伊半島一周高速道路の早期実現に向けた決意についてでございますけれども、紀伊半島を一周する近畿自動車道紀勢線は、企業誘致や観光振興、農林水産振興等、県民の将来のチャンスを保障するものとして、また東南海・南海地震への備え、あるいは緊急医療活動の観点からも不可欠でありまして、その早期実現は県民の悲願とも言うべきものだと私は思っております。
 つながっていない、あるいは高速道路がつながっていないために地域に封じ込められている、そういうのが特に紀南地方の現状ではなかったかなという、これまではなかったかなと思います。その中で、こういうハンディを負いながら頑張ってこられた住民、あるいは先人の境遇、状況に私は涙が出る思いがいたします。
 ただ、問題は、このハンディということなんでありますけれども、恐ろしいのは、かなりの人がそのハンディについて気づいていないまま、こういう境遇に巻き込まれているというところもあるんじゃないかと思います。自分たちは衰退をしている、しかし、なぜその衰退をしているのか、自分たちだけがなぜ衰退しているのか、なかなかわかりにくいという議論もあります。例えば、高速道路ではなくて家の前の道の舗装などということになりますと、これは全然できてないということについては皆さんがすぐにわかってしまうということでありますけれども、今のような大きな視点に立たないと、なかなか衰退の原因がわからないという問題がこれはあると思います。
 私は、向こうから見る、つまり自分たちが今住んでるところではなくて、例えば向こうというのは、高速道路がつながるであろう名古屋とか大阪とか京都とか福岡とか、そういうところから見たときに問題が見えてくるのではないかと思います。つながっていないところには、その向こうにある人たちは、どうしてもそういう地域、つながっていない地域を劣後に置く。例えば観光でもそうであるし、企業立地でも商売でもみんなそういうふうになると思います。それが我々のハンディになってるということをよく理解して頑張っていかないといけないと考えております。
 紀伊半島一周高速道路の早期実現につきましては、長年にわたり議員諸先輩に御尽力をいただいてきたところでありまして、私としても、知事就任以来、あらゆる機会を通じて訴えてきたところであります。ついにその成果が少しずつあらわれつつあると考えております。一昨年11月には、みなべ─田辺間が開通いたしました。昨年3月には那智勝浦新宮道路が供用されました。また、先般開催された第4回の国幹会議において御坊─田辺間の4車線化が決定されたところであります。さらに、田辺─すさみ間については近々工事が本格的に着手される予定であるというところまで来ております。これまでの取り組みの成果が次々とあらわれつつあると実感しております。
 しかし、一方で、道路特定財源が一般財源化されたり、あるいは田舎にぜいたくな道は要らないというキャンペーンがまだ続いていると私は思いますが、そういうことなど、高速道路の未事業化区間が多く残されている本県につきましては、油断できない状況であるということは変わりはございません。今後とも引き続き、下川議員初め議員各位のより一層の御理解、御協力をいただき、また県選出国会議員の皆様の御支援もいただきながら、県民の悲願である紀伊半島一周高速道路が一日も早く実現するように努めてまいりたいと考えております。
 次に、少子化対策についての基本的な認識であります。
 本県では、少子化対策の大きな柱として、御指摘の「紀州元気っ子プラン」、あるいは紀州3人っこ施策を初めとする子育て家庭の経済的負担の軽減、保育サービスの整備充実等による子育てと仕事の両立支援などに取り組んでまいりました。そういった中、平成20年の和歌山県内の出生率は、御指摘のように、前年に比べまして177人絶対数でふえ、全国の出生数は1332人ふえたんですけれども、実に13.3%を本県が占めるに至りました。当然合計特殊出生率も1.34から1.41となりまして、この伸び率だけとりますと全国一であります。
 これについて、なぜかというようなことが、我々としてはいろいろ興味があるところなんですけれども、専門家の分析を聞くと、所得が全国よりも少し上向き傾向であったとか、あるいは3人っこ施策の効果が少しは出たかとか、あるいは団塊ジュニアの年齢がちょうど出産を考える年齢層と重なったことなどとか、いろいろな要因が考えられるとのことでありました。こういうことからすると、これまで取り組んできた経済対策、雇用をふやすという経済対策や少子化対策、そういうものの成果が少しはあらわれたのかなというふうに一応考えております。
 ただし、まだ1年限りのデータではありますし、それからふえたといっても、御指摘のように、人口を維持できる2.08にははるかに遠いわけでございます。したがって、これからも油断なくやっていかないといけないと考えております。基本は、社会増と自然増の双方を達成することであるわけであります。したがって、今後とも人口の社会増につながるために、雇用対策あるいは経済対策、産業興し、企業誘致、そういうものをどんどん実施いたしまして働く場所を拡大するとともに、人口の自然増につなげるために、妊娠、出産、子育てといったライフステージに合わせた支援策を講じるなど、人口対策、少子化対策を大いに進めてまいりたいと考えております。
 なお、議員御提言の国と地方とが明確な役割分担のもとに対策を講じていく必要があるということについては、同感でございます。私としては、県としては、郷土の将来を担う子供たちのために引き続き思い切った施策を講じてまいりたいと思いますけれども、国に対しては、また社会保障制度全般のマスタープランにおいて少子化対策にぜひ取り組んでいただくように、そういうふうにも働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、観光振興でございます。
 とりわけ、ことしは世界遺産登録5周年でございますので、これをぜひ契機に積極的な、より積極的な観光振興に努めていきたいと考えております。
 ちょうど5年前、県議会の皆様方を初め、県民の皆さんの御理解と御協力のもとに総力を挙げて取り組んだ結果、平成16年7月、「紀伊山地の霊場と参詣道」が日本で12番目のユネスコの世界遺産として登録されました。5周年を迎えまして、改めてその意義深さを感じますとともに、当時、大変御苦労された関係の方々に対し、心より敬意を表する次第でございます。
 この登録により、いやしの地、よみがえりの地として和歌山県の魅力が格段に高く感じられるようになり、その結果、国の内外から多くの人々に本県を訪れていただけるようになったと考えております。また、世界遺産地域に暮らす住民には大きな誇りと勇気がもたらされ、さまざまな自発的な活動が生まれ、地域の活性化につながっております。
 ことしは世界遺産登録5周年でありますし、同時にJR紀勢本線全通50周年という絶好の機会であります。脈々と受け継がれてきた世界遺産を初め、観光列車「天空」や御指摘の白浜の7頭のパンダ、各地にわき出る良質の温泉、豊かな自然がもたらす抜群の食材、グルメ等々、本県が有する多彩で奥深い魅力を大いにアピールし、観光関係者を初め県民の皆さんとともに、観光振興を通じた元気な和歌山の実現に向け、積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 パンダにつきましては、これほど立派なものは世界に実は中国を除くと和歌山しかないわけであります。ただ、残念なことに、私たちの力がまだまだ至りませんで、例えば東京の都民がこれを認識してないという人もまだまだいるというのが現状であります。我々の努力をさらに一層進めまして、県民一体となって和歌山県の魅力を全国あるいは全世界に発信してまいりたいと考えております。
○議長(大沢広太郎君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 近畿自動車道紀勢線すさみ以南の各区間の具体的な状況、進行状況と今後の見通しでございますが、まず、すさみ─串本─那智勝浦間につきましては、早期事業化に向けて整備計画策定に必要な環境影響評価の早期着手を国に働きかけているところであります。
 次に、那智勝浦道路につきましては、昨年3月、那智勝浦新宮道路として一部供用され、残る那智勝浦町の川関から市屋間につきまして調査設計を推進し、早期に用地取得に着手するよう国に働きかけているところでございます。そして、熊野川河口大橋を含む新宮から県境間でございますが、今般、ルートの概要等を取りまとめたところでありまして、早期事業化に向け、直轄調査の推進を三重県とともに国に働きかけてまいります。
 今後とも、紀勢線各区間について急ピッチで整備が進みますよう取り組んでまいりますので、引き続き議員各位の御協力をお願い申し上げます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 福祉保健部長北田佳秀君。
  〔北田佳秀君、登壇〕
○福祉保健部長(北田佳秀君) 少子化対策についてのうち、和歌山県次世代育成支援行動計画「紀州っ子元気プラン」の成果でございますが、本年3月末に71項目の数値目標の達成状況について公表しているところです。具体的には、放課後児童クラブ、延長保育、幼保一体的運営施設の設置などは順調に取り組みが進められておりますが、一時保育、休日保育、ファミリーサポートセンターの設置などはさらなる取り組みが必要であり、次期計画では重点的に取り組んでまいります。
 なお、今回の緊急経済対策では、安心こども基金において保育所の整備事業を初め少子化対策関連事業が多く含まれていることから、これらを大いに活用し、緊急かつ効果が期待できる事業につきまして積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 世界遺産登録5周年関連事業の取り組みにつきましてお答えをさせていただきます。
 県では、高野・熊野の世界遺産登録効果を積極的に活用し、将来に向かって維持し続けることが最も重要であると考え、登録5周年という節目をとらえ、活用と保全をテーマにさまざまな取り組みを展開しているところでございます。世界遺産の魅力に触れ、その価値を未来へ伝承していくため、東京を初め県内外において世界遺産シンポジウムを開催するとともに、世界遺産を共有する三重、奈良との三県連携ウォークや、悠久の歴史をつなぐ参詣道の環境保全活動、地域と協働して取り組む熊野三山散策特別体験キャンペーンなど、多様な事業の実施を考えてございます。
 また、首都圏の主要書店におきまして5周年の記念ブックカバーを配布するとともに、在京のテレビキー局とタイアップした観光物産イベントの開催、世界遺産である高野・熊野に焦点を当てたテレビ番組の誘致や新聞、雑誌への記事掲載など、さまざまなメディアを活用した戦略的な情報発信を行ってまいりたいと考えてございます。さらに、JR紀勢本線全線開通50周年キャンペーンの実施や南海高野線の新しい観光列車「天空」の運行、また新路線である熊野・高野アクセスバスなど、交通事業者との連携強化を図りながら広域観光の推進に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 いずれにいたしましても、世界遺産登録5周年を絶好の機会ととらまえ、関係市町村などとの連携を一層強化しながら、本県の世界遺産を大いにアピールし、観光客の増大を図ってまいりたいと考えてございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 以上で、下川俊樹君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問は、これをもって終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
 次に日程第3、議案の付託について申し上げます。
 議案第108号から議案第127号までは、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
 次に日程第4、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。
 なお、常任委員会の会場はお手元に配付しておりますので、御了承願います。
 お諮りいたします。6月25日及び26日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 御異議なしと認めます。よって、6月25日及び26日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、6月29日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後1時43分散会

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