平成21年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(中村裕一議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前10時0分開議
○議長(大沢広太郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第108号から議案第127号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 32番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 おはようございます。通告に従いまして、順次、一般質問を行ってまいりたいと思います。
 最初に、市町村合併について伺います。
 政府の地方制度調査会が、去る6月16日、平成11年から推進してきた平成の大合併について、自治体数の半減や規模拡大により行財政基盤が強化され、時代に合ったサービスが可能になったことを評価し、現行の市町村合併特例法を期限の来年3月末で打ち切る答申を提出いたしました。
 また、答申は、同時に広域連携や都道府県による事務代行、新支援法の必要性など、今後の展開にも配慮を求めています。今回の平成合併では、和歌山県は市町村数が50から30に減少し、現在も新宮市と那智勝浦町が合併協議中であります。
 しかし、合併効果が直ちにあらわれないことや、合併しないデメリットもよくわからないことから、合併についての評価はさまざまです。この際、合併を推進してきた県として、これまでの経過を検証し、今後に臨む姿勢を明確にすべきであると思いますが、知事の御見解を伺います。
 2番目は、国際交流について2点伺います。
 まず、山東省について。
 山東省との友好提携は、昭和59年4月18日、山東省梁歩庭省長が来和され、仮谷知事との間に友好提携を締結し、ことしで25年を迎えます。これまでの交流で、和歌山県から88回、延べ1187人が、山東省からは111回、延べ920人が訪問しました。また、数年前から県中小企業団体中央会も山東省各地で商談会を開催し、新たな取引が始まるなど、成果を上げています。
 かつて本県が中国の提携先を求めた際、最初の省には断られ、結局、当時は未発展の山東省と結ぶことになったそうです。しかし、今日では人口、経済などどの指標でも上位の有力省に成長し、先進国一国に匹敵する規模があります。まさに県の選択は間違いありませんでした。
 現在、中国は世界同時不況からいち早く抜け出しつつあるとの報道があります。私たちは、山東省とおつき合いすることにより、巨大な国家中国とは何かを学び、中国全体へと対象を広げることで本県の発展につなげるべきであると考えます。
 一昨年、知事は山東省を訪問され、環境をテーマに新たな1ページを開きました。今後、中国からはビザなし旅行が解禁されるとの予測もあります。
 本年、友好提携25周年を迎えての知事の感想と今後の展開についてお考えをお示しいただきたいと思います。
 次は、南カリフォルニア州和歌山県人会について。
 昭和32年発行の「和歌山県移民史」によりますと、南加県人会は、明治42年に旧帝国海軍の練習船がロサンゼルスに入港した際に谷井徳之助大尉ほか数名の県人を在留県人有志で歓待したことがきっかけで、2年後の明治44年に会長に湯浅銀之助さんが、副会長に池内清光さんが就任され、約200人の会員を集め、結成されました。
 以来、時が流れ、2年後には創立100周年を迎えます。南加県人会は単なる親睦団体ではなく、その活動の歴史はアメリカ移民史そのものであります。戦前、戦中は差別や強制疎開などの困難を団結して乗り越え、戦後は老人ホーム運営など同胞の相互扶助に努めてきました。特に終戦直後の昭和24年に行われた全米水泳選手権では、反日感情に配慮して日本選手団を和田勇さん宅に民泊させ、会員が食事や送迎などのお世話をしました。その結果、日本選手団は、「フジヤマのトビウオ」と言われた古橋廣之進選手らの活躍で自由形6種目中5種目に優勝、9つの世界新記録を樹立し、団体戦でも圧倒的な勝利を飾りました。その活躍ぶりは、本国はもとより、祖国の敗戦で肩身が狭い日系人にとっても大きな励みになったと言われております。
 さらに、東京オリンピック招致の昭和33年ごろ、ライバルの欧米都市にどう票読みしても負けていた背水の陣に、政府にさえ巻き返しの予算がない中、田端政治日本水泳協会会長たちは、水泳大会でお世話になった経験から、ここは一番和田勇さんに頼むしかないとの判断で、JOCが一個人の日系2世フレッド・イサム・ワダ氏にオリンピック招致の協力要請をしたのであります。
 それにこたえて、和田さん夫妻は中南米各地を回り、ライバルを支持していたIOC役員を次々と切り崩していったと言います。おかげさまで第18回大会は東京に決定し、昭和39年10月10日、世界94カ国から約7500人の選手、役員が参加し、盛大に開催されたのであります。
 当時、ようやく戦後の混乱から抜け出した我が国は、オリンピックを契機に新幹線や高速道路のインフラが整備され、カラーテレビが普及するなど国じゅうがオリンピック景気に沸き、先進国クラブと言われるOECDに加盟が認められ、発展への階段を上り始めました。以降、昭和45年の大阪万博を経て高度経済成長を続けたのであります。
 もしも東京オリンピックが昭和39年に開催できていなかったら、日本の発展は少なからずおくれたのではないでしょうか。その意味で、和田さん夫妻は日本発展の恩人であると思います。
 和田さんは、この功績が認められて、平成元年、勲3等瑞宝章を受賞されました。和田さんのお父さんの出身地であり、幼少時代を過ごした御坊市では、市制施行50周年に際し、御坊ロータリークラブの発案により、故和田勇氏を名誉市民第1号に認定し、顕彰したのであります。
 和田さんは、戦前、戦中、戦後を通じてみずからの才能と努力で経済的に成功し、その資産を在米邦人の相互扶助に提供し、さらに祖国繁栄に尽力されたわけでありますが、残念ながら平成13年、満93歳で亡くなられました。歴代和歌山県知事が訪米すると、必ずロサンゼルスに滞在し、和田さんたち県人会から歓待を受けたと聞きます。
 さて、2年後にその県人会が100周年を迎えます。ぜひ仁坂知事も訪米をしていただきたいと思いますが、県人会100周年に当たり、知事の感想と県としての対応をお答えいただきたいと思います。
 また、和田勇さん初め、在外県人には活躍された人も多く、その顕彰をすべきであると思いますが、いかがでしょうか。
 3番目は、過疎に関連して2点伺います。
 県では、現行過疎法が平成22年3月末をもって失効することから昨年7月に過疎対策研究会を設置し、約1年かけて過疎地域の課題を洗い出し、解決法を研究してきましたが、先般、その報告がありました。
 報告書によると、昭和45年に過疎法が制定されて以降、約40年間も過疎債発行や補助率かさ上げなどの特別措置をやってきて、社会基盤の整備など地域格差是正に一定の効果はあったが結局過疎はとめられなかったとし、これからは、交通、福祉、医療、防災などの住民生活を守る対策、産業振興、移住交流、教育などの集落活性化対策、過疎地域応援団の創設や規制緩和、過疎債の充実など、さらなる支援が必要であると提言しております。
 まず、提言を受けて新法成立に向けての取り組みを伺います。
 次は、過疎地周辺の産業振興について伺います。
 以前、私は県議会で当時の国土庁担当者から過疎対策の講演を拝聴しましたが、そのときの説明では、過疎対策は過疎をとめるためにやるのではなく都会との格差是正のためにやっていると聞いて、私は、大変驚くと同時に、これではだめだと思いました。人という社会的動物は、富の生まれるところ、文化の生まれるところへ集まるのです。過疎地に生まれた子供たちも、仕事があればふるさとに残り、また都会から帰ってくるでしょう。その意味で、過疎がとまらない最大の原因は産業振興ができなかったことにあります。これまで過疎問題を過疎地だけで解決しようとしてきましたが、過疎地の産業振興というのは容易でありません。むしろ過疎地の周辺にある非過疎地の都市にこそ過疎を食いとめる力があるのではないでしょうか。
 例えば本県でいえば、過疎地の下流にある海岸線の都市であれば企業誘致も可能で、ビジネスチャンスもあり、そこに雇用が生まれれば、過疎地からも十分通勤できます。逆に、現在はこの都市に力がないため、周辺が過疎になるので何とかここを発展させないと過疎は永久にとまりません。
 昨年、国から定住自立圏構想も打ち出されましたが、残念ながら、人口が増加するほどの産業政策は含まれておりません。新法制定に際し、周辺地域を対象に加えることは困難ですが、私は新しい概念として法律や制度にできないものかと思っています。
 また、バブル崩壊後、いわゆる工場等制限法が廃止され、再び大都市に人や物、情報が集中しています。幾ら過疎を食いとめようとしても、同時に過密を抑制しなければ、歴史が証明するように都会の磁力には勝てません。もう一度過密抑制策が必要な時期に来ていると思います。
 新政策についてはよく研究して、改めて議論したいと思いますが、今すぐできる過疎対策として過疎地域を支える周辺都市部の産業振興を図る必要があると思いますが、知事の御見解を伺います。
 4番目は、高速道路に関して3点伺います。
 まず、料金割引の拡充について。
 今春、政府の景気対策により高速道路料金が値下げされました。3月20日の東京湾、本四橋を皮切りに、28日からは都市圏などの別料金区間を通過した場合を除き、全国の地方の高速道路で休日の普通車は上限1000円で乗り放題となりました。また、大都市圏や首都高、阪神高速の休日普通車3割引きも始まり、さらに地方では30日から平日も全車種3割引きとなり、大都市圏や北海道の道東道など一部途切れる区間をまたいだ場合でも、ゴールデンウイークから合算して上限1000円となりました。
 その結果、休日に全国各地の行楽地はどこもにぎわい、早速経済効果のあったことが報道されました。料金値下げのおかげで、田辺湾のクジラを気軽に見に来て、かまぼこを求めて御坊に立ち寄ったという話も聞きました。景気指数に一条の光が差したとはいえ、まだ不況感が強い中、今後のさらなる効果に期待したいと思います。
 しかし、阪神高速などは通過時には合算されないので、本県のような阪神高速周辺は大変不利であります。公平性の観点からも国へ合算を要望すべきでありますが、どのようにお考えでしょうか。
 次は、渋滞対策について。
 海南湯浅道路は、割引後さらに渋滞が激しくなり、朝は南行き、夕方は北行きの長蛇の列ができています。並んでいる人は県外の人が多いせいか、苦情は聞きませんが、入り込み客の減少に直結する大変な事態です。抜本対策の4車線化も、まだ2年後のことであります。最近施行したNEXCOの渋滞対策や事故対策には感謝するものでありますが、やはり渋滞を見るにつけ、何とかならないものかと思います。
 そんなとき、JAFの広報紙今月号に東京大学の西成教授の渋滞解消走行なるものが紹介されていました。私は一読し、まさにこれだと思いました。西成教授は、テレビなどのメディアでも活躍されている渋滞学の権威です。教授によると、渋滞が発生するメカニズムは、坂道やトンネルなどの減速箇所では遅い車に速い車が追いつくとブレーキを踏むことになり、それが連続して発生すると渋滞になるそうです。そのため、渋滞予想箇所で渋滞時間に一定速度、車間距離をあける運転法を行うことにより、高速道路の渋滞が緩和できると提唱されています。
 渋滞対策がもうほかにない中で、西成教授の運転法は余り予算のかからないすばらしい解決策だと思います。その評価と導入の可能性について御見解を伺います。
 次は、湯浅御坊道路の4車線化について。
 湯浅御坊道路の4車線化は、平成23年供用予定と聞いております。一方、御坊─田辺間は、さきの国幹会議におきまして4車線化が認められ、早速平成21年度補正予算において745億円が計上され、今年度中にも事業化されます。この際、知事初め県当局、県選出国会議員の見事な連携に感謝を申し上げます。これを二階経産大臣や県は早期に経済効果が上がるよう3年後の完成を要請しておりますが、早期完成とあわせて地元受注の機会もぜひお願いをしておきます。
 さて、ここで問題になってくるのが残る湯浅御坊道路の4車線化であります。これまでも、海南湯浅道路に続いて着工できるよう、地元から知事並びに国、NEXCOへ強力にお願いをいたしております。私も議長時代に町田亘高速議連会長、冨安、坂本両県議、地元の首長の皆さんとともに、当時の二階自民党総務会長、国土交通省に対して陳情いたしました。
 知事は、平成27年の2巡目国体までに県内主要道路の整備を要望されていますが、湯浅御坊道路の進捗状況と今後の見通しはどうなっているのでしょうか。また、4車線化まではしばらくボトルネック区間となることは避けられませんが、車線が減少するインター付近での渋滞対策はいかがでしょうか。あわせて県土整備部長からお答え願います。
 最後に、メディアリテラシーについて伺います。
 現代社会は、情報化社会を通り越し、今や情報過多社会に突入しました。余りにも情報が多過ぎて、何が正しくて間違っているのか、何がよくて何が悪いのか、何が必要で何が無用か、よく見きわめないとわかりません。しかも、情報を伝えるメディアもたくさんあり、事情を複雑にしています。
 私は、このことから平成9年12月定例会でメディアリテラシーの必要性を訴え、教育委員会から、みずから考え判断できる力を身につけ、疑似体験に埋没することなく、自然や友達、地域の人々との触れ合いを通じ、豊かな感性をはぐくむ教育を推進するとの答弁をいただきました。その後、情報教育やネット情報から身を守るための教育が展開されているとの報告をいただいております。
 しかし、今改めて問題になっているのはテレビの影響であります。例えば、以前は政治経済や社会問題はニュース、特別番組でしかやらなかったのに、最近はワイドショーやバラエティーでもやっています。それ自体は悪いことではありませんが、タレントや芸人がギャグと一緒にいいかげんな発言をしています。ちょっと待てよ、それは違うやろということがしょっちゅうあります。さすがにうそや、ないことは言いませんが、果たしていつも公正中立に伝えていると言えるでしょうか。私も不満に思いながら、抗議したことはありませんが、相変わらずテレビの受け売りを言う人も多く、国民がテレビの言うことを信じ込んでいる状況を大変心配いたします。何とかタックルとか朝までとかという番組は、討論番組を装った、ひたすら政府批判や特定の出演者をいじめるばかりで、単なる娯楽なのか、世の中を混乱させたいのか、いずれにしても結論が出たことは聞いたことがありません。
 我が国では、テレビ視聴率はインターネットの普及により低下傾向にあると言われています。それでも平成17年度のNHKの調査によれば、視聴時間は4時間、日曜日は5時間以上もあり、ネット世代と言われる10代、20代の男性でも約2時間50分も見ております。
 テレビは、ラジオのように何かしながら情報を得ることができないので、一度興味を引きつければテレビの前にくぎづけになりやすい性質があり、興味がある範囲での情報は、多少の誇張があっても、根幹に捏造があっても、善悪や倫理を超えて個人の言動に影響を及ぼすと言われています。
 そこで、これまでのメディアリテラシーに加えて、テレビから子供たちを守る視点をぜひ取り入れていただきたいと思います。強く要望し、御見解を伺うものであります。
 なお、今回の質問に当たり、浅井議員から、夏休みに和歌山市で小学生のためのメディアリテラシー講座が開催されることを教えていただきました。ちょうど私の質問にぴったりの内容で、主催の県男女共生社会推進センターの先進的な取り組みに敬意を表したいと思います。願わくは、7月23日は夏休み中で子供たちも参加しやすいので、定員20人などと言わず、大盛会をお祈り申し上げる次第であります。
 以上で、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、市町村合併の検証でありますけれども、県内の合併市町では、専門部署の新設や増強による行政体制の強化、各種財政支援を活用したまちづくり、あるいは行政の効率化などの効果があらわれてきており、中長期的にはさらにその効果があらわれてくるものと考えております。
 合併の効果を考えますと、一番有利になると思われるのは、やっぱり規模が大きくなって専門化しやすいということだろうと思いますので、そういう点は期待ができるのではないかと思います。
 しかしながら、一方、市町の規模が大きくなったことによる周辺地域の活性化や一体性の確保などの課題について、合併市町においてその解決に向けて取り組んでいくことが重要と考えております。大きな市町で合併をしたもんだから、その合併によるところの市町と地域の住民との間の距離が遠くなるというのを補うためにいろいろそれぞれの首長さんが苦労しておられるということも、またいろんな話の中でお伺いしております。
 次に、今後に臨む姿勢でありますけれども、地方制度調査会の答申では、平成22年4月以降はみずからの判断により合併を進めようとする市町村を対象に障害を除去するための措置などを講じることが適当としております。県としては、新しい制度の行方などを見きわめながら合併を行おうとする市町村に対する支援を考えてまいりたいと思います。
 従来のような制度がそのまま維持できないかもしれませんけれども、あくまでもこの場でも申し上げておりますように、やっぱり住民がどういう方向を選ぶかということを選択しようとなさるときに、それをお助けするというのが県の仕事だと考えております。
 次に、山東省との友好提携25周年ということでありますが、中国はこの25年の間に目覚ましい経済発展を遂げました。その中でも特に山東省は、中国のGDPにおける省内の総生産額が全省、特別市中、国内第2位を占めるという大変な発展であります。この躍進を大きなビジネスチャンスととらえ、これまで経済団体等による合同商談会への支援などのほか、スポーツや文化面での交流、職員の相互派遣など、実りのある交流を行ってまいりました。
 また私も、御指摘のように、当時の中村議長を初め多くの県議の皆様や経済界の方々と一緒に2年前に山東省を訪問し、省長と、環境、経済、青少年など幅広い分野での交流プロジェクトを展開するということで合意を行ったというところでございます。
 昨年は、実は省長もしくは共産党の書記が和歌山に行きたいとその当時言っておられたんですけれども、残念ながらいろんな事情でお越しになれなかったんですけれども、25周年に当たる本年は8月下旬に省長がお越しになるという予定であるというふうに今のところ聞いております。その際は、記念イベントを開催いたしまして、大いに友好ムードを盛り上げていきたい。また、秋には訪問団を山東省へ派遣する計画でありまして、今後もこれまで築き上げてきた信頼を基礎として、より一層互恵関係を深めてまいりたいと考えております。
 次に、南カリフォルニア県人会の話でございますが、長い歴史を持ち、海外の県人会の中でも最大規模のものであり、現在も活発に活動しておられます。平成23年に予定されている創立100周年については、おめでたいことであり、積極的に対応してまいります。戦争を挟んで収容所生活を経験されたり、いろいろ大変なことをなさりながら、その先祖もしくは御出身の国あるいは地域、こういうものに対して熱い思いを抱いておられる海外同胞の方々に対して深く敬意を持ち続けるべきではないかというふうに考えております。
 とりわけ、議員のお話にありました故和田勇さんにつきましては、東京オリンピック招致に貢献されたほか、南カリフォルニア県人会の会長を8年間の長きにわたって務められ、日系人のための老人ホームの建設に尽力されるなど、県人会のみならず、日系社会の発展にも大きな足跡を残されたところであります。
 この功績をたたえ、和歌山県は昭和59年に国際文化功労賞をお贈りし、この功績をたたえておりますが、最近やっております紀の国先人展におきまして顕彰を行っているところであります。
 今回の創立100周年を迎えるに当たって、南カリフォルニア県人会と協力をしながら、改めてその偉功を県民に広く知らせていきたいと考えております。さらに、他の在外県人についても、その功績に照らし、顕彰に努めてまいりたいと考えております。例えば、現在、郷土教育を行おうということで郷土の偉人の話などを入れた教材をつくっておるところでございますが、先ほどの紀の国先人展の対象になるような方々については、その中に入れて若い人たちも勉強できるようにというふうにしていきたいと考えております。
 それから、新過疎法制定に向けての取り組みでありますが、過疎地域の振興は県勢の維持発展にとって大変重要な課題であります。従来より市町村と協働してさまざまな施策を実施してきたところでありますが、この根っこにある過疎法が今年度で期限切れということで、新しい法律をぜひつくってもらいたいというふうに考えているところであります。
 過疎の集落、過疎法の対象になっている集落の多くが大変な危機にあるということについては、この法律が切れかけている現在も全くその状況に変わりはありません。むしろその危機は強まっているということではないかと思います。したがいまして、今後さらに効果的な過疎対策を実施していく必要が国全体としてもあると考えております。
 このような認識のもと、先般、新過疎法の制定、過疎集落維持、再生のための総合対策事業の創設、過疎集落の実態に即した大胆な規制緩和、こういうものを取りまとめまして国に対して強く提案をしたところであります。今後は、新過疎法の制定に向けて、県内市町村との連携はもとより、全国知事会、全国過疎地域自立促進連盟等と力を合わせまして、関係省庁や国会議員等に強く訴えかけてまいりたいと思います。
 また、機運を醸成し、本県提案の内容が実現できるように県民の関心も高め、またその意見も聞くように県内において新過疎法制定に向けての決起大会を開催するということも検討しておりますので、県議会の力強い御支援、御協力をお願い申し上げたいと考えております。
 次に、そのうちの1つの論点であります産業振興であります。
 過疎を食いとめるためにも地域の産業振興、これは大変大事であります。その周辺の都市部の産業振興もこれまた大変大事であります。私も重要な視点と考えております。このため、和歌山県長期総合計画においては、県内各地域の産業振興を図るに当たって、地域の強みとなる産業特性を踏まえた施策が重要であるという観点から、県下を4つの地域に分けまして、それぞれの地域ごとにその特性に応じた産業育成を図ることといたしております。
 従来から、とりわけ企業誘致、それからそこにある産業の振興、最近は不況でございますので、進出している企業の撤退防止なども働きかけをせないかんということで私も走り回っておりますが、今年度からは、さらにこの地域の特性に応じた産業を育てていこうということで、2つの政策を提案させていただいております。
 その1つは、わがまち元気プロジェクト──前の長計の言葉で言うと一市町村一産業政策なんですが──それと、それから新農林水産業戦略プロジェクトということで、地域の資源を活用して地域の特色に応じた新たな産業づくりに取り組む市町村等も支援しながら、地元と一体となって全県的に地域特性に応じた産業振興を図ってまいりたいと考えております。これらは今頑張っておりますので、ぼつぼつ第1号が生まれそうな機運になっておりまして、これをどんどんふやしていくということで、産業振興、それから地域の雇用、それがまた翻って過疎地域の方々の働く場をつくり、通えるということで過疎地域も維持したい。維持したいというよりも発展させたい。こういうふうに考えておる次第でございます。
○議長(大沢広太郎君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 現在、国の施策として、土・日、祝日に限りまして、地方部から大都市近郊区間へ乗り継ぎ、それから他の地方部へ連続走行する場合の地方部の料金は、議員御指摘のように、上限料金1000円となる割引制度が実施されているところでございます。
 一方で、阪神高速道路を通過するときに乗り継ぎが適用されないのは、都市部の渋滞解消を目的に、環状となる国幹道ネットワークへの迂回を誘導するという施策意図があるというふうに聞いております。
 議員御提案の割引制度につきましては、一方で阪神高速を利用する機会が多い本県にとっては乗り継ぎの適用を期待するところではありますが、都市部の交通増につながることも懸念されることから、各方面の御意見を聞きながら国への要望について検討いたしたいというふうに思います。
 それから、県の渋滞対策ですけれども、交通容量の増大による4車線化など道路構造令に基づきます抜本的な対策、標識による速度低下の防止、交通誘導による交通集中の分散化、さらには警察によります交通規制といった交通工学の手法で実施しているところでございます。
 議員お話しの西成教授の理論につきましては、現時点では私ども十分内容を研究いたしていない状況でございますので、今後、渋滞対策の手法としての可能性について、関係機関と検討してまいりたいというふうに考えております。
 いずれにしましても、抜本的な渋滞対策である海南─有田間の早期の4車線化の働きかけを行うとともに、交通集中を分散するための渋滞情報の提供や渋滞を避けた時間帯での運転の呼びかけなどをいたしてまいりたいというふうに思います。
 3つ目の湯浅御坊道路の早期4車線化についてでございますが、現在、県が都市計画決定に向けて環境影響評価を行っているところであります。今後、国から都市計画の原案及び環境影響評価の準備書案の提示を受けまして、地元の説明、縦覧など必要な手続を進めてまいります。
 県といたしましては、国、地元市町と連携してできるだけ早期に都市計画決定できるように努めますとともに、国に対して早期事業化を働きかけてまいります。
 なお、当面、湯浅御坊道路が4車化されるまでの間の渋滞対策として、高速道路を補完する内陸部のX軸の整備を推進するとともに、4車線区間から湯浅御坊道路への結節点におきまして円滑な交通が確保できますよう、合流形態や誘導対策の検討について今後西日本高速道路株式会社に対して働きかけてまいります。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) メディアリテラシーの必要性についてお答えいたします。
 各中学校・高等学校では、情報教育におきまして、情報活用の実践力、情報の科学的な理解、情報社会に参画する態度の育成を目指して取り組んでいるところでございます。
 また、今回改訂される学習指導要領では、小学校におきましても、広く教育活動全般で情報の内容について、みずから考え、一方的な受容ではなく、主体的に判断できる態度の育成を図ることとしております。
 このほか、本や新聞に親しむ習慣あるいは家族で会話する習慣などを大事にするため、テレビを消す時間をつくりましょうといった呼びかけを検討しておりまして、今後も、小学校、中学校、高等学校を通じてメディアの特性や問題を認識し、客観的な判断能力を育成、メディアリテラシーを高めてまいりたいと考えます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。

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