平成21年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(山下大輔議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 41番山下大輔君。
  〔山下大輔君、登壇〕(拍手)
○山下大輔君 おはようございます。今議会も張り切ってやらせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、早速、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 さて、皆さん、リチャード・ブランソンという人物を御存じでしょうか。こういう方です、リチャード・ブランソン。(写真を示す)今、彼は、押しも押されもせぬ世界で最も成功した社長の1人に数えられるヴァージングループの総帥、私自身、尊敬する経営者の1人です。彼の生き方とその姿勢は、今の混沌としたこの日本の政治状況、それを打破するモデルとなるものかもしれません。
 先日、ブランソン社長が航空事業の交渉のために来日され、「ワールドビジネスサテライト」のインタビューに答えていました。そこでは、5年以内に海藻、藻を原料としたバイオ燃料を開発し、日本の航空会社に提供したい、また、宇宙旅行を企画して、まずは2年後に家族を連れていく、また、成田─ニューヨークを1時間で就航できる路線を開拓して日本の皆さんに提供するといった話をされていました。ちょっと聞くと常識離れしたとんでもないような話に聞こえますが、まじめな顔で語っておられました。しかし、彼のこういった一見突拍子もない話には、今の日本を変えていく重要なヒントがあるように思います。
 リチャード・ブランソンは、イギリス生まれの58歳。彼は、小さなころから難読症という特殊な障害に苦しんでいました。難読症とは、日常生活は問題ないのですが、文章を読んで書かれていることを理解することが困難という特殊な障害です。彼は、大人になってもこの障害を抱え、それがかえって彼の「まずは行動」という生き方を支えているとも言われます。
 小さいころは学校でいじめを受け、それを得意のスポーツでカバーしていたところ、ある日のサッカーの試合で大けがをして、それからは図書館を安住の場所としていたそうです。彼はいつしかハンディを克服し、ジャーナリストになる目標を立て、17歳のときには学校教育は必要ないと高校を中退。友人たちと学生向けの情報誌「スチューデント」を創刊し、企業家としてのスタートを切りました。その後、1970年にレコードの販売会社を立ち上げ、さまざまなアイデアから事業を拡大し、これが今や世界じゅうに店舗を展開する巨大レコードチェーン、ヴァージンレコードの誕生となっています。
 このヴァージンレコードで大きな成功をおさめますが、しかし、ブランソンは決して満足せず、稼ぎ出したお金を再投資し、また利益を上げても、それは自分のためには使わず、私のない「無私の人」と言われ、そういった彼の周りにはたくさんの人がその人格に引かれて、多くのアーチスト、また若い彼を支えるブレーンが集まり、さらに事業は拡大していきました。
 ブランソンが事業を行う特徴は、だれもが無理だと最初からあきらめている分野への参入だと言われています。ヴァージングループが今まで挑戦してきた分野は、時代の流行や新規参入がしやすい分野ではなくて、古い体制に守られた参入が困難とされる分野にあえて挑戦してきています。銀行業、鉄道、コカ・コーラを相手にヴァージンコーラで挑戦している炭酸飲料、保険業など、そんな中、彼が一番エネルギーを傾けたのが、最も参入が困難と思われていた航空業界への挑戦です。
 イギリスでは、ブリティッシュエアウェイズが、創業以来、イギリスの航空業界を独占してきました。ヴァージングループの挑戦も当初は苦難の連続で、さまざまな妨害を受け、最後にはヴァージンレコードを売却するまで追い詰められます。しかし、その危機を業界の常識、固定概念を覆すさまざまなアイデアで乗り切り、現在の航空業界における確固とした地位を固めました。そして、21世紀に入ってからは宇宙旅行への挑戦を始めています。
 挑戦し続ける男、ブランソン。固定概念に縛られず、旧体制を打破し、自分の欲にとらわれずイノベーションを起こし続けるリチャード・ブランソンは、今の日本でも非常によい手本になるものと感じます。
 そんな中、こういった人物が本当の意味で世の中を変えるんやなと、その行動を思い浮かべている中で、ふと頭に浮かんだのが大阪の橋下知事でした。きのう、和歌山に来られ、アバロームで講演会があり、先輩・同僚議員の多くもお聞きになられたと思います。知事も大変熱弁を振るっていただいておりました。私も拝聴に行きましたが、リチャード・ブランソンと橋下知事、全く別世界に生きる2人ですが、しかし、共通の行動原理があります。それは、固定概念に縛られない自由な心。ブランソンは言います。「慢心、なれといったものが最大の敵である。専門家ではないから、その道の常識から矛盾が見えてくる。これが成功の最大の秘訣だ」。専門家ではないからこそできることがある。それは政治に新風を吹き込んでいる今の橋下知事にも同じことが言えるのだと思います。
 多くの人は欲に流され、周りの人に流され、その道の常識といった思い込みに支配される中で、旧制度を打破、打ち破れずにいます。そういった意味においては、大阪府の橋下知事は、ブランソン氏と同じく時代を変えていく力を持っているのだと思います。固定概念を持たない強さ、正しいものは正しい、おかしいものはおかしいと感じる感性、そしてそれを勇気を持って行動に移す実行力、これこそが現在の真にイノベーションを必要とする私たちの日本にも求められるものだと思います。
 今、明治維新などと並んで大変革の時代と言われる私たちの日本でも、行政、政治の世界において、特に固定概念を打破することの大切さは何よりも重要なものであり、そこを打ち破れなくっては前には進めません。ぜひ仁坂知事にも、旧来からの慣習を打ち破り、固定概念を打破して、新しい和歌山を何としても築いていってもらいたいと心から願うものですが、そこで、この固定概念の打破といった視点で、国直轄事業負担金の問題について幾つかの質問並びに提案をさせていただきます。
 今回の国直轄事業負担金についても、いわゆる固定概念に縛られていたことがその根本要因となっています。「これまでもそうやったから」ということで、明細のない請求書をうのみにして支払い続けてきた。それは、これまでの「国は正しい」といった固定概念に縛られている行政執行であり、鳥取県の片山前知事など、過去の何人かの良識ある自治体の長はその問題点を強く指摘してきたところですが、和歌山県を初め多くの自治体では積極的に取り組めてこなかったのが現実です。
 そんな中、先日、県当局から2010年度の政府予算編成を前にした国への要望書の説明を受け、そこには国直轄事業負担金制度の改革が盛り込まれていました。
 そもそも国直轄事業負担金とは、国道整備や河川改修工事など、国が実施する公共事業費の一定割合を都道府県など地方自治体が負担する制度であり、地方財政法でその負担金の支払いが義務づけられています。しかし、今、景気後退で財政悪化が著しい状況において、この負担金はこれまで以上に地方財政の重荷となっています。特に地方としては、せっかく県民の皆さん、職員の皆さんに無理をお願いして、さまざまなリストラを断行し、何とか予算を節約してきているのに、内訳もよくわからない負担金を国から求められるがまま支出していく、これは到底理解の得られるものではありません。今、国直轄事業のあり方そのものが見直されるべきであり、それは今後のこの国のあり方をも視野に入れた重要な問題となっています。
 そんな中、今回、和歌山県が作成した政府要望、そこでの指摘はよくわかります。その方向性は全く正しいと思うのですが、しかし、国の直轄事業負担金は今になって急に出てきた制度じゃないんです。これは、これまでもあったものです。しかしながら、これまで和歌山県として特に積極的に異論を唱えてきたこともなく、ただの一度も政府要望にも取り上げられたことがない中で、今回、全国の知事会、大阪の橋下知事などが問題点を指摘し、それをマスコミでも取り上げられる中で、突然和歌山県としても急ぎ政府要望に組み入れる、こういった一連の流れには、私個人として少なからず問題があるように感じます。
 今回の国直轄事業負担金に似たようなものは、ほかにもあります。その根っこの部分の反省もなく、和歌山で深く議論された形跡もない中で、この問題だけを表面上取り繕っても、それは和歌山が本当に変わっていくきっかけとはならないように思うのです。今回の問題の本質、それは過去の行政の取り組み自体を、固定概念を持たず、もう一度一から見直し、総点検しなくてはいけない。そういった根っこにある反省すべき点をしっかりと認識し、そしてその先に大きな目標、理念を掲げて取り組まなくてはいけない問題だと思います。
 大阪の橋下知事は、一連の直轄事業の見直し作業の中で、その基本的考えを次のように示されています。「国直轄事業負担金についての私の思いは、負担をしなくてもよいということではありません。そもそも地方が国に陳情などしなくてもよい、新しい国の形を実現したいということです」。和歌山県としても、国直轄事業負担金の廃止を訴える中では、いま一度議論を深め、その行動の基本に新たな国づくりといった視点を持った確固とした理念を固めつつ、そこでは、今回の問題だけでなく、これまでのものも総点検するといった強い意思のもと、取り組みを進めてもらいたいと思います。
 そこで、今後和歌山県として、直轄事業負担金制度への対処について、それは発言するだけでなく、どう具体的に行動していくのかといったことが大切になってきますが、その中で幾つかの質問をさせていただきます。
 まず、基本的な考え方として、この関西圏でも府県の意見はさまざまで、特に奈良県などでは、国直轄事業負担金制度の廃止には、その先の見通しが立たないと逆に反対していますが、和歌山県としては基本的に廃止の方向で考えていると理解してよいでしょうか。知事の御認識を改めてお聞かせ願いたいと思います。
 また、さきに行われた全国知事会では、仁坂知事も議論に加わる中で、都道府県、政令市が負担金を支出する際、対象範囲や使途として適正かどうか判断するための基準を7月には明示するとしていますが、それはどういった議論になっているでしょうか。具体的な中身について、知事の御所見を賜りたいと思います。
 また、今、知事会での議論では、国の対応によっては2009年度分の支払いを一部ストップさせることも辞さないという意見も出ているようです。現に大阪府では、橋下知事の強い意思により国直轄事業負担金問題プロジェクトチームを立ち上げ、問題点の洗い出しを行い、その上で国土交通省近畿地方整備局と直談判し、2008年度の負担金を2億5000万減額させました。また、2009年度予算でも約424億6000万円の国直轄事業負担金の要求に対し、約38億、8.9%をカットする方針を明らかにしています。こういった状況を見てみると、和歌山県としても国への要望を行うだけでなく、具体的、積極的なアクションが必要だと考えます。
 そこで、和歌山県として2009年度、今年度の支払い分についてはどのような基本的な考えをお持ちなのか。例えば、もう一度2009年度分の請求内容を見直して、その一部についても承服できない部分があれば支払いストップ、請求額の減額を要請するなどの考えはあるのか、知事の御所見を賜りたいと思います。
 また、今後、直轄事業の地方負担分がなくなると、国が事業を行う際の優先順位のつけ方が問題となってきます。それはどうなるのでしょうか。今回の問題では、和歌山県として問題の本質を掘り下げ、その中で、直轄事業負担金の現行制度を改廃した先の新たなルールづくりも視野に入れた和歌山県なりの提案が必要だと考えます。直轄事業のあり方を見直す上で、基本的に地元負担をすることでモラルハザードを抑制するといったことも指摘されますが、地元負担を考慮せずに国が事業を行う際には、これまで整備のおくれた和歌山などの地方において、しっかりと資源配分される仕組み、新たなルールづくりが必要になると考えますが、今後の取り組みについて、これは県土整備部長からお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 次に、新型インフルエンザへの対応を教訓として、新たな危機管理体制の構築について幾つかの質問並びに提案をさせていただきます。
 今回の新型インフルエンザに係る質問では、初日に奥村議員からも御発言がありましたので、重複する部分は省き、私なりの視点で質問させていただきます。
 さて、今回の新型インフルエンザでは、現状、国内感染の拡大はいまだ続いており、まだまだ予断を許さない状況にあります。しかし、本当に怖いのは、秋以降に来る可能性が高い第2波だと多くの専門家が指摘しています。そういった中、私たちの関西圏では、この春先からの新型インフルエンザの感染拡大で、特に兵庫、大阪に大きな影響を与えていますが、これを和歌山県としても対岸の火事として見ているのではなく、感染者が一気に広がりその対応から大きな教訓を得ている大阪、兵庫の経験をしっかりと受けとめ、今後の対策に生かしていかなくてはいけないのだと思います。
 そういった中で、まずは現場に立つことが大切ということで、先日、私自身、大阪府と兵庫県へ伺ってお話を聞いてまいりました。そこでは、本当に貴重な体験談をお聞きすることができました。
 今回の大阪、兵庫での現地調査には、全国青年都道府県議会議員の会という、私も発起人の1人となっている政策研究会のメンバーに大変お世話になりました。大阪では土井達也府議会議員、そして兵庫県では吉本誠県議、どちらも府議会、県議会での初当選が同期になり、以来、これまでさまざまな政策の勉強を一緒に行ってきています。この2人にアレンジしていただいて、今回、新型インフルエンザの対策で直接対応に当たられた担当者の方に時間をとってもらい、お話を伺ってきました。そこでは、マスコミ等では伝えられない問題点、舞台裏の御苦労、また今回の一連の対応において改めて感じた改善のポイントなど、それぞれ貴重な情報を御提供いただきました。
 ただ、この県議会でそれらすべてを説明する時間もありませんので、とりあえずポイントの部分だけお話しさせていただきます。
 まず、大阪府から。大阪では、現場で陣頭指揮に当たった健康医療部保健医療室地域保健感染症課の河井茂美課長補佐から御説明をいただきました。なお、今回お話を伺ったのは6月3日で、その時点での状況としてお聞きいただきたいと思います。
 まず、大阪での感染者は、1人目が確認されてからあっという間にふえ、6月3日時点で157名、内訳は大阪府所管で116名、大阪市が23名、堺市で1名、高槻市で17名ということでした。感染者の経過状況としては、私の伺った時点では、既にすべての患者が観察期間を過ぎ、日常生活に戻れているということでした。これは、弱毒性ということが幸いし、感染確認された患者がどんどん積み増しされて病院にあふれるといった状況ではなく、本当に弱毒性のウイルスでよかった。もしこれが強毒性のウイルスだったら大変な事態に陥っていたと思うと話されていました。
 相談窓口の対応としては、海外で新型インフルエンザの一報が入った4月の26日の時点から府庁にて24時間体制の発熱相談センターが設置され、初動としては十分な対応がとれていたということでした。また、感染拡大には当然外国人も対象となりますので、トリオホンといったシステムを使い、9カ国語に対応できる体制を整備されたそうです。
 しかし、初動は順調だったが、その後の対応では大いに反省すべき点があるということでした。それは、大阪での感染者が確認されたというマスコミ報道をきっかけに一気に問い合わせが寄せられるようになり、一時的に発熱相談の窓口が対処不能になったということです。相談窓口には、病状の相談だけではなく苦情なども含めてさまざまな問い合わせが入るようになり、結果的に発熱相談の窓口では対応し切れなくなり、それを担当課である感染症課につないだところ、マスコミ対応、各自治体からの問い合わせなども含め、ひっきりなしに電話が入って、結局はパンク状態になってしまった。お話を伺った感染症課の河井さんによると、この情報管理の問題が今後の大きな課題であり、基本的に今回の場合は日常業務がストップする状況に陥ってしまい、情報管理の重要性を改めて痛感したと指摘されていました。
 次に、発熱外来を設置してもらう医療機関の確保について。これには、当初、地域の中核医療機関に設置し、対応する措置だったそうですが、これもすぐにオーバーフローし、対応に限界が出てきたため、医師会を通じて身近なところで診察を受けられるよう急遽整備したということです。一連の対応に係る経費としては、府議会とも相談して、急ぎ5月補正を組み、11億7007万円の予算を確保。基幹病院の43医療機関に300万円、一般医療機関は一律15万円として、最終的に府内に560カ所の発熱外来を設置。また、緊急の事態でもあり、協力いただけるところについては、かたいことは言わずに取っ払いという形で支援を行ったそうです。あわせて、慢性病患者、妊婦等への対策強化も急ぎ、府内の病院で協力してもらえるところについては、陰圧室の補助などで7億6392万円を支出し、そのほか、検査体制の充実、資機材の備蓄を早急に行ったということです。しかし、今振り返ると、この予算の確保と執行についても、もう少し事前の準備が必要だったと改善の必要性を指摘されていました。
 以上、大阪府の概要です。
 次に、兵庫県のケースです。兵庫県では、企画県民部防災企画局防災計画室の石田勝則主幹から説明を受けました。
 石田さんは、以前に尼崎のJR脱線事故の担当としても陣頭指揮をとられた方で、危機管理のエキスパートとして仕事をされています。今回の新型インフルエンザでは、JR事故の経験を教訓として、特に担当課と危機管理に対応する防災を同じフロアで仕事させるといった体制づくりの面で、大いに以前の経験が役立ったと話されていました。
 兵庫県の発生状況としては、県全体で感染者198名、内訳として、神戸市が半数以上の114人、尼崎市が20人、宝塚市が9人、西宮市が8人となっていて、地域的な偏在が見られるということでした。これは、発生者をできるだけ早く捕捉すると、その後に社会活動の制限措置をとることで地域的な感染の広がりを抑制できるのではないかということでした。兵庫県でも、大阪と同じく弱毒性のウイルスであったため、5月16日に最初の感染者を確認してから3日でピークを迎え、以降、急速に鎮静化に向かったということです。
 相談窓口の対応としては、兵庫県の場合は、これまでに、震災なども含め、鳥インフルエンザ、JR事故など、危機対応の経験値が高く、そのことが大いに役立ち、大きな混乱はなかったということでした。特に、感染者が確認された段階で、その担当となる防災と健康のそれぞれの担当課が別の同じフロアに集約され、一緒に仕事をするようにしたのは非常にうまくいったということで、これなどは和歌山でも大いに参考になる話だと思います。
 兵庫県で特に問題となったのが、神戸市との行政連携だったようです。感染者が確認され、一気に情報収集の必要性が出てきたときに、一時は厚生労働省経由でしか情報伝達ができない状況となり、同一地域での行政対応として、その難しさ、非常に混乱する場面が見られたということでした。これは福岡県などでも指摘されていることですが、行政の連携といった部分では、隣接地並びに市町村との連携について、もう一度そのあり方を見直しておくことが必要なようです。
 以上、大阪と兵庫県の対応状況のポイントだけお話しさせていただきましたが、これらは今後の和歌山県の取り組みにも非常に重要な示唆を与えてくれるものと思います。
 そこで、大阪、兵庫の調査をもとに、私なりの幾つかの質問並びに提案をさせていただきます。
 まず初めに、基本的な部分で、今回のインフルエンザの一連の対応として、県としてどのように取り組んでこられているか。また、県庁内の関係課室の連携状況について混乱なくうまく連携がとれていたか。あわせて危機管理監から御答弁をいただきたいと思います。
 また、今回の新型インフルエンザが引き起こしたさまざまな現象では、大阪、兵庫それぞれが、事前の準備が特に大切だ、組織的な対応を事前に十分準備をしておかないといざ事が起こってからでは対応が後手後手に回り混乱を拡大させ、地域全体がパニックに陥る可能性があると口をそろえて強く指摘されていました。
 そこで、私の提案として、和歌山県庁においてBCPを急ぎ策定する提案をさせていただきます。
 「BCP」、聞きなれない言葉だと思いますけれども、ビジネス・コンティニュイティー・プランというものです。事業継続計画といったものですが、災害、事故など非常事態の発生時に、企業や自治体が重要業務をできるだけ中断せずに継続させるための計画です。このBCPが世界的に特に注目されるきっかけとなったのは、2001年9月のアメリカ同時多発テロの際に、被害に遭った金融機関が翌日には代替オフィスで業務を再開できたことがメディアで大きく取り上げられてからと言われています。
 BCP策定が迅速な業務再開に役立ち、世界じゅうからその取り組みの有効性が評価される状況となりました。日本でも大企業を中心に導入事例がふえており、日本経済新聞社と神戸市の人と防災未来センターとの共同調査では、新型インフルエンザの大流行に備えてBCPの策定に動いている大企業は62%あり、このうち策定済みとの回答は15%、策定予定は47%となっています。
 今、国内で新型インフルエンザの感染者が拡大している状況を受けて、BCP策定を急ぐ企業がふえています。これは、企業のみならず行政対応としても非常に重要なものであり、急ぎ整備する必要があると考えますが──これは民間でいろんなレポートはもう出てるんですけれども、これはたまたま大和総研のレポートです。(資料を示す)行政のBCPの導入の必要性ということをしっかりとレポートされておりますけれども、こういったものも含めて大切だと言われる中、しかし、実際のところ、その取り組みは立ちおくれていると指摘されています。
 行政の中では消防関係の取り組みが進んでおり、昨年12月には消防庁が指針を出し、各消防本部に策定を求め、感染拡大で患者の救急搬送が急増、消防隊員にも感染者が出るなどして消火活動や人命救助などの業務に支障が出るのを防ぐよう、対応を急いでいます。今回の新型インフルエンザで大きな影響を受けた大阪、兵庫とも、BCPの導入に着手したということです。
 そこで、危機管理監に、和歌山県としても、県民生活の基本を守り、どういった事態にも安定的に県政運営を進められるようBCPの策定を提案しますが、今後の対応についてお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 あわせまして、教育委員会でも同じことが言えるのだと思います。子供たちを預かる学校現場とその統括を行う教育委員会が滞りなく連携できるよう、どういった対策、措置を講じているか。これは教育長から御答弁をいただきたいと思います。
 また、自治体間の連携の問題について、兵庫県で特に強く指摘されていたことですが、いざ有事のときには当該地域の行政機関同士のスムーズな連携が危機管理上、最も重要なこととなりますが、そこでは、例えば危機の発生した当該地域の市町村が設置する対策本部に必ず県からもメンバーとして加わるなど、一歩踏み込んだ対応が必要だと考えます。行政連携のあり方については、今回混乱した地域、例えば兵庫県と神戸市、福岡県などの状況を丁寧に検証する中で、和歌山ではどういった仕組みとするのか、その対応策を検討しておくべきと考えますが、これも危機管理監に、現状において、県内の市町村、各自治体との連携状況について、その現状と今後どういった体制を築かれようと考えておられるのか、御所見を賜りたいと思います。
 この新型インフルエンザの質問の最後に、今回、私自身、大阪、兵庫に行ってみて、多くの貴重なお話を伺うことができました。ぜひ和歌山県としても他府県の対応状況、そこで確認されている危機対応の改善ポイント、現場での教訓などを貴重な財産として今後に生かしてもらいたいと思います。特に今回は、私たちの関西圏で大きな被害を受けた兵庫、大阪があるのですから、しっかりと現地調査、具体的なケースワークをしてもらいたいと思いますが、これも危機管理監から御答弁をお願いいたします。
 最後の質問項目として、公教育のさらなる充実について。
 今、日本は、本当に厳しい環境に置かれているのだと思います。国として人口減少、高齢化の大波を受け、また世界を見ても、中国を初めとするBRICsの台頭など、世界のパワーバランスも大きく変わろうとする中で、日本の行く末については決して楽観的な観測を描きづらいのが現実であります。そういった中で、これからの日本を救う道としては、やはりまずはその基本に人づくりがあり、公教育の充実が強く求められているのだと思います。また、今、日本社会における教育問題は、社会政策面からもその重要性が指摘されるものとなっています。
 そもそも、現在の日本社会において格差問題が大きくクローズアップされる中、その根本には教育格差があり、格差の固定化が現実のものとなりつつあります。お手元のグラフを御確認ください。このグラフです。(資料を示す)左から、これが教育費の高い順になるんですけれども、これは各国のGDP比で教育費がどれだけ投資されているかといったグラフになります。この下の2つというのは、下が私費負担、公的支出、そして一番上の青い線のところがその合計となって、順番が左から1番から28番までになっております。
 これはOECD(経済協力開発機構)加盟の先進各国の教育投資についての対GDP比で比較したグラフです。これには、各家庭ごとに支出される塾、家庭教師などの費用は除いています。学校で基本的にかかる公費と教材、副教材を購入するなど基本的な教育の投資額になっております。このグラフで一目瞭然ですが、純粋に教育投資の真水の額としては、アイスランド、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、ノルウェーといった北欧諸国が肩を並べ、高水準で教育投資を積極的に行っていることがわかります。さらに、韓国、アメリカなどは私的負担も大きいですが、トータルで教育費の支出ウエートは高いものとなっています。
 そんな中──ここが問題です──私たちの日本ですが、この表でおわかりのように、公的支出と私費負担を合わせて第22位、公的負担だけで見ると何と3.4%と、OECD加盟国中最下位となっています。べったです。国政において、教育については多くの政治家が熱心に自説を述べる人も多いですが、しかし、結局のところ、日本における政策の優先順位として、教育については決して高いものとなっていないのが現実です。こういった調査を客観的に見て、日本の教育環境としては、公に負担される部分が経済規模見合いで先進各国の中でも最下位であり、残念ながらとても教育立国などと胸を張って言える状況にはないのが実態です。
 こういった現状をしっかりと見詰める中で、今後は、日本全体としての教育への取り組みとあわせて、それぞれの地域がどのようにしてより充実した教育環境を整えていけるのか。全国学力テストの状況などを見ても、これは地域間の競争ともなる課題だと考えます。これからの日本を背負い、地域の未来を切り開いていってもらう子供たちに、より充実した教育環境を提供できるよう、その努力が今求められています。
 さて、そういった中で、今回新型インフルエンザの取り組み状況の調査に大阪府へ行かせていただきましたが、大阪でのもう1つの調査目的は、公立学校のパワーアップについてでした。大阪府では、橋下知事のもと、何とか大阪の教育を立て直したいと、「子供が笑う大阪」を政策目標として教育改革にも積極的に取り組んでいます。今回は、その内容について、大阪府教育委員会市町村教育室小中学校課の松元利男主任指導主事と、同じく安田信彦主事、また大阪府教育委員会教育総務企画課教育政策グループの大山直子さんに時間をとってもらい、お話を伺ってきました。
 大阪府では、橋下知事の教育非常事態宣言のもと、外部から百ます計算で知られる立命館小学校副校長の陰山英男氏、小河式プリントの小河勝氏を教育委員として招聘、また府特別顧問として、夜スペ、土曜寺子屋などユニークな取り組みで実績を上げ、マスコミなどでも注目を集める藤原和博氏を登用し、この外部から迎え入れた3人のエキスパートが橋下知事の教育改革のブレーンとして活躍され、大阪独自の教育改革が推進されようとしています。こういった環境のもと、現在、大阪府で取り組まれているさまざまな試みは、和歌山県としても大いに参考になるものと思います。
 そこで、今回は、大阪府で進められている教育改革を参考にしつつ、本県の公教育をさらに充実させるための取り組みについて、幾つかの質問と提案をさせていただきたいと思います。
 ちなみに、今回の質問の幾つかを知事に対しても行わせていただくのですが、それは、全国的に見ても教育問題を教育委員会だけの問題とせずに、首長みずからが発言する自治体がふえていて、それは私も非常に大切なことだと考えています。当然のこととして、政治が教育内容には踏み込まないといった原則は守りつつ、しかし、大枠として教育を真に充実・改善させていくには、予算の執行権を持った、地域住民の直接選挙で選ばれた首長がやはりしっかりとリーダーシップを発揮することが不可欠と考える中で知事への質問としていますので、御答弁のほどよろしくお願いいたします。
 それでは、まず最初に、現在の日本の公教育について、先進各国との比較の中では、特に日本の教育分野への公の支出が相対的に少ない状況が見てとれ、教育投資の優先順位が高いとは言えない現状があります。これは、結果的には塾などへの支出で個別家庭にしわ寄せが及んで、特に経済的に厳しい環境に置かれる御家庭などにとっては大きな負担となって、ひいては教育格差の拡大、機会の平等が損なわれるということにつながるのじゃないかと心配されます。こういった現在の日本の教育が置かれている現状について、教育長にまずは御所見を賜りたいと思います。
 次に、今後、公教育の充実から学力向上を実現させていくためには、まずは自分たちの地域のことを全国との比較の中で冷静に分析しておくことが重要となります。そんな中、ことしもこの4月21日に全国学力・学習状況調査が行われています。
 そこで、まず、この調査の意義について、改めて教育長に御所見を賜りたいと思います。
 また、このテスト結果について、それぞれの地域、学校単位の公表について和歌山県では行われてきていませんが、私は基本的にその結果公表を積極的に行うべきだと考えています。全国的にもさまざまな対応が見られますが、例えば政令指定都市のさいたま、新潟、広島、福岡などでは、情報を共有し、教育の重要性を認識するためとして、学校ごとの結果を公表しています。
 この学校別結果については、保護者の67.3%が公表すべきと考えていることが先月に行われた政府の規制改革会議で報告されています。逆に、市区の教育委員会では86.7%が公表すべきではないと回答していて、保護者と行政側との意識のギャップは大きなものとなっています。保護者が学校別成績の公表を求める理由としては、「学力向上は学校の責務だから」が56.8%と最も高く、ほかに「学校選択のための基本情報、説明責任を果たすためには公表は当然」などとなっていて、また昨年12月に規制改革会議から出された第3次答申でも、多大な公費に見合う情報が国民に公開されていないと指摘されています。
 こういった中で、知事並びに教育長にそれぞれ御答弁を願いたいのですが、地域ごと、また学校単位での結果の公表についてどのように考えておられるか、御認識をお聞かせいただきたいと思います。
 また、これまで和歌山県教育委員会として、この全国テストの結果を受けて、それを生かすためにどういった取り組みがされてきているか、あわせて、今後特に積極的に取り組んでいかれようとすることがあればお聞かせいただきたいと思います。
 また、大阪府教育委員会では、2010年度に全国学力テストで全国平均を目指すと具体的な数値目標を設定して取り組んでいます。この目標の明確化は重要であり、和歌山県としても抽象的な話とせずに、明確な達成目標を設定して取り組むべきと考えますが、教育長はどのようにお考えになられますか。お聞かせいただきたいと思います。
 また、大阪府では、学力アップに向けた具体的な事業として、サタスタ、まなび舎といった放課後課外学習を強化する取り組みが進められています。放課後学習は非常に重要で、自学自習へのステップ、最終的には家でみずから学べる子供を育てたいと話をされていました。和歌山でも課外授業、放課後学習のあり方を今こそ真剣に考えるべきだと思います。和歌山県では、個別それぞれの学校、先生個々の取り組みとして放課後課外学習が行われてる状況があるようですが、和歌山県全体として制度化し、取り組んでいる状況にはありません。公教育のさらなる充実、学力向上といった観点からも、県全体で取り組める環境整備が必要だと考えますが、教育長の御認識をお示しいただきたいと思います。
 また、大阪府では、私塾との連携も始めています。塾との連携です。例えば大阪の門真市では、昨年の全国学力テストで府平均を下回ったことから、土曜学習、サタデースタディーを、略して「サタスタ」といったものを始めているということでした。そこでは、つまずきやすい小学校4年、5年生、中学校2年生などを対象にして、毎週土曜日の2時間、無料で学習指導を行っていて、現在その指導に当たる大学生は、家庭教師を派遣するトライグループに登録している阪大生だということです。昨年度は和泉、豊中など5市の13小中学校で塾講師らの派遣授業が行われ、本格実施となる今年度は、講師1人1回1500円という報酬設定をして積極的に推進していくとしています。
 そこで、教育長にお聞きしますが、私塾、塾との連携について、学校現場への参画をどのように考えておられるかお聞かせいただきたいと思います。
 最後に、私が大阪での教育改革の取り組みを検証してくる中で、特に心に残る指摘がございました。それは、現在、大阪府の教育委員を務める陰山英男さんのお話です。陰山さんが学力向上が大切だと訴える中で、「体験学習が大切なのは当然。道徳教育だって必要だ。しかし、テストの点数が悪い学校がそんなことばかり言うと保護者の信頼を損なう。あくまで教育論を振りかざす前に教師がやるべきことがある。今、教育委員会と学校の意識で特に問題と感じるのは、平等性や人権教育と学力対策とを対立的にとらえる風潮がある。しかし、社会的弱者の自立には学力向上が重要なのは自明の理であり、教育学が支配する閉鎖社会で外に目が向いていない。その呪縛が解ければ新たな教育の道が開ける」と話され、学力向上に取り組む強い意欲を示されています。
 また、大阪では、橋下知事自身が先頭に立って、「どんな理由があろうとも、大阪の学力は全国からするとかなり低いのは言いわけのできない現実。そのことから逃げてはいけない。私には子供たちの学力を上げる責任がある」と訴えられています。
 学力向上は、当然それだけがすべてではないと理解しつつ、しかし私自身、その取り組みは非常に重要で、もっと積極的に取り組むべきと考えています。和歌山県でも、全国学力テストの結果では平均から大いにおくれをとっている現実を見る中で、これには知事も率先してその問題を認識し、行動してもらえることを多くの県民も望んでいると思いますが、知事として教育問題に取り組む姿勢、学力向上に対する基本的な考え方について御認識をお聞かせいただきたいと思います。
 以上で、私の1問目をこれにて終了さしていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの山下大輔君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいまの山下議員の御質問のうち、私に答えろというようなお話のありました点について申し上げたいと思います。
 まず第1に、山下議員はたくさんいろんなところで情報を仕入れてこられて、それをもって和歌山県についていろんな提言をしていただいたということについて、深く敬意を表するものでありますが、ただ、「舶来上等」という言葉がございますが、和歌山県の中にも、同じような意味で考えたときに立派なものがたくさんあるということも、またよく勉強しておっしゃっていただくと、県民の方が喜ぶのではないかというふうに思います。例えば、固定概念にとらわれない改革を企業経営においてやった、ブランソンはそういう意味ですばらしいと思いますが、一方では、例えば名前は特に挙げませんが、全く新しいものをつくって和歌山で企業経営を発展さしてる企業家がたくさんおられるということも、また和歌山の誇りとしておっしゃったらいいんじゃないかな。
 それから、インフルエンザ対策でございますけども、他県の勉強を我々もしております。ただ、初めから「こういうふうになるぞ」といって明示しながら必死になって混乱を乗り切ってきたというのは、多分、近畿の中では和歌山はまあまあ一番いい危機対応をしたんではないかな。それは、観光業者とか保育園の方とか、あるいは働いている方々を持っているお母さんとか、そういう方々がきっと思ってくださっている話ではないかなというふうに思う次第であります。ただ、橋下知事と比べて、身近の知事を評価しろなどということを1つも申し上げてるわけではございません。
 国の直轄事業負担金制度についてでございますけれども、本来の地方分権ということからいたしますと、これは大事な概念だと思いますが、本来、国と地方がそれぞれ何を責任を持って行うべきかということをきちんと決めて、それで国が行うべき、直轄というんですけれども、それについては国が100%責任を持って行うべきで、地方がやるべきだと思ったら地方が行うべきだというふうに考えるのが真っ当ではないかと考えております。
 しかしながら、現状は国、地方がお互いにいわばだんごというか入れ子というか、そういうことで責任を分担するという形になっておりまして、これはお互いに責任の関係が不明確になるなというような問題だと考えております。こうした構造を見直して、国、地方それぞれが責任を果たせるようにするためには、地方分権の立場から国と地方の役割分担を見直し、双方の財源を確保した上で国直轄事業負担金を将来的には廃止すべきだと私は思っております。
 そのときに、今それぞれの財源と言いましたけれども、例えば国の直轄負担金をただ単に廃止するということをいたしますと、国の直轄の部分の事業費が総体として減るという解も1つ可能であります。そうすると、まさにこれからその直轄で和歌山県の事業をやってもらわなきゃいけない順番になっている和歌山とか宮崎みたいなところは、割を食うという可能性もあります。そうすれば、我々がいただいている例えば補助金もあります。こういう問題との中で、全体として役割分担をきちんと決めるというのが真っ当な議論なのではないかというのを私は10年前から政府の白書に書いて提言をしているんですけれども、なかなかできていません。まさに今、千載一遇のチャンスだというふうに思っております。
 ただ、その中で、白状いたしますと、私は、工事に直接関係のない庁舎管理費や人件費が──まあ人件費はともかくとして──間接的な経費、こういうものを負担金として我々も負担していたということについて余り理解をしていませんでした。これは、正直に申し上げまして理解が足りなかったというふうに思っております。これは、たとえ議論がどうであろうとも、工事と関係なく我々が払わされるというのは、これは理屈が合わないんじゃないかというふうに思っておりますので、これこそ一番初めに改革すべき議論だと思います。第1の全体の話は、いろんな議論があると思いますので、きっちり議論をしていけばいいと思います。
 それから、その直轄負担金事業が制度として改正されるまでの現実の運用として、例えば箇所づけについては、県も地方も何も望んでいないようなものを国が勝手にやって請求書を送ってくるというのはおかしいと思うので、箇所づけについてちゃんと合意をしてからやろう、それから中身について、県でやると随分安くできるのにという方法を国があえてやってるとすると、それを直してもらわないかんということもありますので、それも直してもらおうと、それも同意をしてからやろうということを私は申し上げてるところであります。
 この考え方、一貫して申し上げてるんですが、今どうなっておるか、御質問でありますが、少しこの流れから乖離している感じもあって、非常に残念だと思っております。つまり、負担金の対象範囲について、対称性を議論しようというような感じが強いわけです。そうすると、補助金でもらってないところについては払わんとこうじゃないかということばっかりが今議論されてるな。それから、補修というのは、地方分権の観点から地方に任せろというような議論もあったんですが、その補修だけ何とかしてくれればいいかというような、それも対称性の議論から出てくる議論なんですが、そういう議論にやや矮小化されているかなということで、私もいろいろ努力はしてるんですが、なかなか思うようにいかないというのが現状であります。
 これは、近畿の知事会でも議論して、橋下さんなども若干枝葉末節になってるなということを感想としては漏らしてますが、私としては、「あなたの発言が枝葉末節のところだけ取り上げられるというところもあるのだから、大いに根幹のところをあなたも議論するようにしないといけませんよ」と言ったら、「まあそうだなあ」とは言ってるんですが、なかなかマスコミの言論を通じて出てくる情報が違ったことになるという可能性もあると思っております。
 それから、2009年度分の負担金支払いの減額についてということでございますが、私は、少なくともこの国の直轄負担金についての本質論というのはわかってるつもりですから、常に箇所づけについて、どこで何をやってもらうかということについては、やってもほしくないようなところをやってもらうというようなことは一切許してきた覚えはありません。したがいまして、どちらかというと、もっとやってくれというのが和歌山県の状況でありましたので、したがって、先ほど申し上げました箇所づけについて、橋下さんの言葉で、やらずぼったくりみたいな話は一切ありません。
 ただ、その中身の議論として、県と同じような方式でやってるかどうかということについては、改めて精査をさしていただいていて、それで大体同じような方式であるというならば、それはもともとやってほしいというとこでありますから、払うべきだと思っています。そうでなくて高いというんなら文句を言うべきだと思います。ただ、知事会では足並みをそろえてくれというような議論もありますので、その動向も注意しながら今後やっていきたいと考えております。
 それから、教育についてでありますが、教育問題に取り組む姿勢については、これは私は非常に大事だとずっと思っております。例えば、県全体で和歌山県の未来を語る、これは長期総合計画でございますが、それのこれからやらなきゃいけない対策のトップに、和歌山県の未来を開くひたむきな人間力をはぐくんでいこうというような、そういう目標を掲げて、政策についてもそれを真っ先に書いておる次第であります。中でも、学校教育におきましては、その1、確かな学力と健やかな体づくり、2番目は、市民性を高め、勤労観・職業観を育む教育の充実、3番目、郷土への愛着を育む教育の充実というのを3つの柱としておりまして、これを推進しようと考えているところでございます。
 学力テストについては、これについては、私も、学力が低いということについては、もちろん好ましくありませんので、高くなってほしいと思っております。そのために、どこが弱いかということについても、我が教育委員会は非常に的確な状況把握をしています。国語における考える力が弱い、それについては、じゃ、どういうふうにするかということについても、教育委員会挙げて、また学校教育界挙げて取り組んでくれてると考えています。
 テストの点も上がったらいいんですけれども、例えばテストの点を上げるにはどうしたらいいか、私はその答えを知っております。よくない上げ方でありますが、模擬試験をしたらいいんであります。上げろということだけを例えば県知事が声高に言うということが学校教育界にどういう影響を与えるかということについては、慎重でなければいけないと私は思っておりますので、そのようにしたいと考えております。
 実は、橋下さんともそういう議論をしまして、橋下さんがなぜ競争とか公開とかそういうことを言うかというと、私のようなポジションに彼は今ない。なぜならば、文部科学省の言いなりになっている教育委員会と、組合の言いなりになっている教育委員会で、ちっともまじめにやってくれない。それならば公開をして、外部の力を入れて、一番大事なのは読み書き計算みたいなものを全く無視しているような教育ではないかというのが彼の考え方なんで、わざと言ってるんだというようなことを言うておられました。
 和歌山県においては、信頼できる教育委員会のもとに先生方が頑張ってくださると思いますので、ひそかに声援をして、必要な対策を怠りなく打ってまいりたい、そんなふうに考えております。
○議長(大沢広太郎君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 仮に直轄負担金が廃止された場合のお尋ねでございます。
 仮に廃止されたといたしましても、地方は真に必要な道路を要望することですし、国は地方の意見を聞いて事業を実施するものと考えております。
 その上に立ってですけれども、議員御提言の資源配分についてのルールづくりについてですが、これまで公共事業の必要性、優先順位、そういったものに係る客観的指標について、国でさまざま議論が進められております。例えば、道路事業を行う前提となる費用対効果の指標については、これまでも、時間短縮効果、経費減少効果、交通事故減少効果、こういった3つの便益で評価してきたところでございます。
 しかしながら、本県のように道路整備がおくれている地域においては、県民が強く求めています災害の対策の効果、救急医療へのアクセスの効果、観光振興などに係る便益、こういったものも加えるべきであると提案してきてございます。さらに地方では、道路整備によるチャンスが生まれ、新たな交通需要が発生することから、地域の持つポテンシャルを評価すべきである、こういった訴えをするなど、国のルールづくりにもかかわっているところであります。
 今後とも、地方における社会資本整備の必要性が適切に評価され、しっかりと資源配分していただけますよう、こうした取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 危機管理監森 崇君。
  〔森 崇君、登壇〕
○危機管理監(森 崇君) まず、新型インフルエンザの今回の一連の対応についてでございますが、メキシコ等での豚インフルエンザ感染拡大を受けまして、4月27日に本庁及び保健所内に相談窓口を設置いたしました。翌28日、WHOが警戒フェーズを4に引き上げ、新型インフルエンザの発生を宣言いたしましたが、このことを受け、知事を本部長とする県新型インフルエンザ対策本部を、また振興局にも支部を設置し、第1回本部会議を開催。各保健所への発熱相談センターの設置や今後の対処方針について確認し、県民への正確な情報提供に努めたところです。また、2次感染予防の観点から、5月1日、医療機関の協力を得て発熱外来を設置いたしました。
 5月16日、国内初の感染者の発生を受けて第2回本部会議を開催。相談窓口の24時間対応や県内発生に備えた体制について確認いたしました。5月27日、和歌山市における県内初の発生を受けまして、第3回の本部会議を開催。感染者等の経過や住民への情報提供、社会対応などを確認いたしました。迅速かつ適切な対応により、感染拡大を防止できたものと考えております。
 関係課室の連携でございます。
 関連情報の共有や、また危機管理局、健康局、教育委員会等、主要関係課による協議や各保健所間の情報交換などを通じ、連携を図ったところです。
 次に、御提案のBCP、業務継続計画についてでございます。
 その必要性は感じておりまして、本県では4月に行動計画を改定いたしましたが、これは強毒性のインフルエンザに対応する計画であり、今回のような弱毒性に対応した計画についても早急に検討を行いたいと考えております。また、感染拡大時に行政運営が支障を来さぬよう、BCPの策定についても検討を進めたいと考えています。
 市町村との連携につきましては、県本部から市町村に対し小まめに情報提供を行い、意思疎通を図りました。特に和歌山市との関係でいいましたら、新型インフルエンザが発生した場合に備え、事前に調整会議を行い、相互の情報伝達等についての確認を行っておりまして、実際の発生に際しては、事前の調整内容に基づき、適切に対応できたものと考えております。
 最後に、ケースワークについてでございます。
 御指摘のとおり、大阪府や兵庫県等への現地調査により、その対応も参考にし、多数の患者が発生した場合におきましても的確な連携がとれるよう、対策本部の事務局体制のさらなる強化や市町村等の関係機関との連携強化など、秋以降に懸念される第2波に備えた感染拡大の防止に努めてまいります。
○議長(大沢広太郎君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 教育委員会における新型インフルエンザの対応についてお答えいたします。
 県新型インフルエンザ対策本部の決定を受けまして、学校を休業する必要がある場合の対応につきましては、県立学校や市町村教育委員会に即時連絡がとれる体制をあらかじめ整備しており、学校から各家庭への連絡につきましても、担任からの電話連絡や連絡網の活用など、各学校の実情に合わせ連絡体制を整備するよう指導してきたところでございます。この連絡方法を活用しまして、今後とも学校や家庭との連携を図り、休業期間中の児童生徒の健康管理や学習の指導などについて、十分な対応がとれるよう取り組んでまいりたいと存じます。
 次に、教育関係についてお答えいたします。
 日本の教育が置かれている状況につきましては、議員御指摘のとおり、日本の教育予算額のGDP比がOECD加盟国の中で際立って低いということは、かねてから指摘をされてまいりました。そうした状況の中では、限られた予算をできるだけ効果的、効率的に活用し、教育にとって最大の財産であります人、すなわち教職員や児童生徒のやる気や情熱、力量を高めること、そのための環境づくりに努めることが要求されていると認識をしてございます。
 次に、全国学力・学習状況調査の意味につきましては、子供たち1人1人の学力の実態、各学校における指導上の課題を明らかにし、指導や授業の改善に生かすこと、またその分析結果を本県や市町村の教育政策に反映させることにあると考えております。
 調査結果の公表につきましては、各学校、各市町村が調査の意義を十分に踏まえ、それぞれの権限と責任において行っていただき、保護者や住民の方々の理解、協力を得て学力の向上に生かすべきものと考えます。
 また、調査結果を生かす取り組みといたしましては、1つは、テスト結果をきめ細かく分析するためのツール、コンピューターソフトを教育センター学びの丘で独自に開発をして、各学校に配付をし、その分析結果をもとに全職員で改善策を話し合い、実践する取り組みを進めてございます。
 2つ目に、確かな学力の基礎となる言語力を高めるため、読書の推進、国語科のみならず全教科で言語力を高める指導法の開発・実践、きのくにジュニア文芸賞の創設による創作活動の促進、編集者やアナウンサーなど言葉にかかわる専門家を学校に派遣をしまして、言葉の大切さ、すばらしさなどについて直接指導を行っていただくといった言葉の力を育成するプログラムなどを展開してまいります。
 さらに3つ目に、研究授業の実施や課外での学力補充の取り組み、授業規律の確立、読書や宿題等による家庭学習習慣の定着など、学力向上につながる具体的な取り組みについて、御指摘いただきましたように県全体で100%の実施を目標にいたしまして、その実施状況を明らかにしてまいります。
 次に、課外での学習指導における私塾との連携についてでありますが、本県では、ほとんどの小中学校におきまして、休憩時間や放課後等を利用した補充学習が行われております。また、長期休業中などを活用した学習等も約60%の学校において実施されており、学校を支援する地域共育コミュニティの取り組みにおきまして、大学生など外部人材の協力を得ている学校もございます。また、高等学校や小学校の外国語活動などに関しましては、私塾との連携が行われております。
 本県では、学校、地域が一体となって子供たちの育ちと学びを支える体制づくりを進めているところでございますので、それぞれの地域の特色や実情に即して、私塾も含めた幅広い外部人材の協力、参画が広がることは大変意義深いことと考えます。
 これまで校長会や市町村教育委員会などにおきまして、学力や健康、体力を高めること、豊かな人間性を養うことは教育の基本的な使命であると申し上げてまいりました。本県の教育は、この使命感に基づき、教職員や子供たちにとってやりがいと喜びの持てる取り組みを基本に、明確な目標を持って教育振興基本計画の実現に向け努力してまいりたいと考えます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) この際、申し上げます。発言時間は残り1分26秒であります。再質問をされますか。
  〔「はい」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許しますが、簡潔にお願いします。
 41番山下大輔君。
○山下大輔君 御答弁いただきましてありがとうございました。それぞれ誠意ある御答弁で、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 1点だけ、もう要望です。
 知事に御指摘いただきましたように、本当に和歌山にはすばらしいものもたくさんあると。私も今まで誇るべき地域の資源、地域の取り組みということを口を酸っぱくして言ってまいりました。ただ、1つやっぱり心配なのが、和歌山で「いいよ。いいよ」と幾ら言ってても、相対的な比較で全国で認められることによって、やはりその価値というのがしっかりと外部にも発信されるんじゃないか。そういう部分では、外との比較ということなしに井の中のカワズでは、やはり和歌山の本当のよさというのは生きてこないと。そういう部分では、知事御自身も日本国内だけにとどまらず世界的にもいろんな活躍をされてきているわけですから、そういった分で和歌山をどう売り出すかということも含めて、和歌山の価値を高めるための努力というのをしっかりとしていっていただきたいと思います。
 私自身も外部のことだけじゃなくて、もっともっと地域にある資源、地域の取り組みということにスポットを当てながら、これまで以上にまた議会で提言もさしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
○議長(大沢広太郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で山下大輔君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時59分休憩
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