平成21年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(新島 雄議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 21番新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕(拍手)
○新島 雄君 議長のお許しをいただきました。早速、質問に入ってまいりたいと思います。
 まず最初の質問です。5月の下旬に報道されました関西独立リーグに所属するプロ野球チーム「紀州レンジャーズ」に関してであります。
 一時は首位を走っておったわけなんですが、ここ、きのう、さよなら負けをして3連敗と苦しい試合が続いているようでありますが、先日、紀州レンジャーズの藤田平監督とお会いする機会がありました。「御迷惑をおかけしております」と言われておりましたし、「頑張ります」とも言われておりました。
 今、真の県民球団となれるかどうか正念場を迎えている、そのように感じます。うれしいことに、県内の企業や個人から支援の輪が、少しずつですが、広がっているようであります。知事も始球式に出席している関係もあり、心を痛め、心配していると聞いております。藤田監督も「何とか試合を見に来てほしい。私たちのプレーを見てもらいたい」、そのように訴えておりました。一度私も紀三井寺球場へ足を運んで応援をしたいな、そのように思っております。(「まだ行っていないの」と呼ぶ者あり)まだ行ってません。サポーターにはなったんですが、これからであります。
 ここで、1つ紀州レンジャーズのイベントを紹介したいと思います。7月の5日の日曜日、午後1時から紀三井寺球場で大阪ゴールドビリケーンズと対戦をします。この日は「つれもていこら5000人大応援プロジェクト」として、65歳以上──たくさんいらっしゃいますか──と小学生、これは入場無料だそうです。私はちょっと年齢が足りませんので。時間が合えば球場へ行きたいな、有料でも行きたいなと思っております。ちなみに、きょうは、6月19日金曜日、6時から大阪の舞洲スタジアムで大阪と対戦しますし、26日の金曜日は午後の6時から紀三井寺球場で神戸9クルーズ──ナックル姫という女性のプロ野球選手がいる球団ですが──そこと対戦をしますんで、ぜひ応援に行ってやっていただけたら。私は行くかどうかわかりません。
 実は、ごたごた問題が出たときに、5月の下旬でした、球団の社長と代表が私どもの自由民主党県議団へあいさつにお越しいただきました。苦境に立たされておるが頑張るんだという決意を述べて、我々拍手で激励をいたしました。その後、私は代表と社長に、「金銭面で御苦労をしておる状況であるんだが、まずは何とかして球場を満員にすることを考えてくださいよ」と持ちかけております。「入場無料でも来てもらう、見てもらうことが今の紀州レンジャーズにとっては一番大切なことではないか」、そのような話をさせていただきました。社長も、ぜひとも球場を満員にしたいんだということをおっしゃってました。何とか皆さんのお力をかりてでも紀三井寺球場を満員にしたい、そう思いますし、せっかくできた県民球団です。何とか盛り上げていきたいと思います。
 一度知事も観戦をしてやってください。一緒になって応援をして満員の観客の前で「頑張れ」と大きな声で元気づけてやりたいと思います。議場にいる方も傍聴席にいる方もよろしくお願いを──あんまりいてないか──お願いをいたします。この件について知事の思いをお伺いいたします。
 次です。「より質の高い公共建築を目指して」、公共建築に関する質問をいたします。その中でも設計に関連しての質問になります。
 私は、以前にも設計の報酬に関する質問をしたことがありますが、今回は、設計並びに設計者の選定方法を入札で決めるということはよいのかどうかということも含めて、和歌山県の公共建築がより質の高いものを目指すために今の方法より新しい選定方法を検討する時期であると感じるからであります。
 まず、設計ですが、現在では設計入札が圧倒的に多く、最も安い設計料を提示したものを選ぶ仕組みになっています。公費を使う公共工事ですから、公平性や透明性が求められるからだと思います。しかし、安いことはよい結果をもたらすのでしょうか。そこには、創造性や地域性──私は「らしさ」と言うんですが──文化や歴史、アイデアやデザイン、そして技術力が求められるはずです。
 問題点を考えてみたいと思います。設計を知的生産と考えた場合に、入札が適切な方法であるか。そうは思えない。設計を入札で行うことは県民の利益になるか。疑問に感じる。すばらしい都市環境をつくるには、入札することはどうかと思う。入札方法で本当に良質の公共建築を生み出すことができるのか等、考えられると思います。
 では、現状はどうなっているかを考えてみたいと思います。
 設計入札に頼る先進国は、日本以外ではほとんど見当たりません。ヨーロッパではコンペ方式、アメリカでは設計者の実績評価と面接を併用したQBSという方法により選定をしております。中国、台湾においてもコンペ方式が主流です。現在の仕組みでは、発注者、設計者の志の高さや能力の低下を招くおそれがあると考えます。
 それともう1つ、国土交通省では、公共建築の設計は、入札ではなくプロポーザル方式を進めています。また、設計入札を採用していない自治体もあります。残念ながら、まだ設計入札の採用が主流なんです。
 ここで1つ、最近の入札結果を考えてみたいと思います。
 これは、落札した業者を問題にするとか、なぜあの業者を選ばなかったのかとか、そんなことを指摘するために申し上げるんではありません。今後の選出方法の中で訂正をするなり、よくなるために考えていく問題としてお話をさせていただきます。
 入札方法は一般競争入札で、指名入札ではありません。内容は、国体に関連した工事の基本設計並びに実施設計が2件であります。ことしに入り公告されています。入札日が同じで、1件目の入札が終わって、2つとも終わった時点で、結果は2件とも同じ業者が落札をしました。ここまでは何の問題もありませんし、当局にも問題はありません。ただ、言えることは、大切な入札を同じ日に2件出すことがよいのかどうかの論点はあると思います。当局の人も、多分、結果を見て驚かれたと思います。1件目が予定価格の30%程度、2件目が20%強の落札額であります。ここには不正が行われた事実もありませんし、正当な入札が執行されています。しかし、この結果は、公共建築のことを考えると、よいものができるのかと疑問に思ってしまうことも事実であります。ましてや国体関連の施設ですし、全国のアスリートを迎える施設です。和歌山県外の業者であり、今まで和歌山県の仕事をしたこともありません。仕事をしたことがないからといっても資格があるのですから、入札には参加ができます。何の問題もない入札でも、これでよいのかと考えてしまうのは私だけでしょうか。設計の入札は本当に安さだけを追求するものなのでしょうか。大変疑問に感じますし、これを検討する時期にあるように感じます。
 3000万円以上でもこんな場合は下限をつける必要があるように思いますし、ましてやこの2件の落札額は、3000万円を大幅に下回っています。法令遵守の名のもとに、安ければよい、公平で透明ならオーケーという考えだけでは何も残らないと思います。よいものをつくらないと後世に伝えていくものが何もない状況になり、大変心配をしています。
 今回実施する秋葉山のプールについては、プロポーザル方式を採用すると聞いています。知り合いの何名かの設計士の人たちにこの件について聞いてみました。すると、今回の件は内容も大変すばらしいという評価をしております。物づくりの精神が消え、和歌山からたくみが消えることはあってはならないことです。生産者側と消費者側の考えにずれが出てくると、大きなお金をかけてつくったものが使えない、不便であると問題が出たり改修工事に大金を投入する羽目になりかねません。こんな話を続けていると、今、時代は何を求めているのかと考えます。
 そこで、公共建築のクライアントはだれなのかと考えてみたいと思います。
 皆さん方も、当然行政だと考えるでしょうし、市民、県民の皆さんも、また業者の人たちも何ら疑問を感じないのではないでしょうか。本当にそうでしょうか。でき上がった建築物を利用する側、すなわち市民、県民がクライアントであると私は考えます。そう考えると、私の言っている意味も少しは理解していただける、そう思います。発注されるすべての業務をコンペやプロポーザルにするには物理的に無理があるのは当然であります。しかし、いろいろな方法がある中でそのときそのときで組み合わせ、公平で透明性があり、より高いレベルでの競争性も保たれる方法を考えていく時期であると思います。今のような金額だけの競争は時代から取り残されてしまうおそれがあります。私たちには、次の世代に責任を持ってよいものを残していく使命があると思っています。
 そこで、次のことを質問します。
 和歌山県における公共建築の基本理念はあるのか。公共建築設計の入札方法をどう考えているか。今後の入札方法についてを県土整備部長より答弁いただきたいと思います。
 最後です。
 ある会合で地元の経営者の方とお話をする機会がありました。そのとき、その社長さんは、「和歌山県にも科学技術の振興などに関する条例があればいいんだけどなあ。研究開発やそんな科学技術だけではなしに、いろんな分野に携わる人たちに、今まで以上にもっと元気が出て仕事に励みが出るんやけどなあ」、そうおっしゃいました。
 たしか北海道にそのような条例があるということで調べてみました。しかし、もうひとつ形式上の条例でありまして、十分でないような気がいたしました。担当の部局の方にお願いをして調査研究を進めてまいりましたが、現在の進捗状況や目的、基本理念など、またいつごろ制定できるかなどもあわせてお聞かせいただきたいと思います。
 以上で、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの新島雄君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、紀州レンジャーズについてでございます。
 私も、関西独立リーグにおける立ち上げ当初の試練にもかかわらず、紀州レンジャーズが真の県民球団となれるかは今が正念場であるというふうに考えております。和歌山県民を元気にするためにも和歌山県でみんなが応援する和歌山県のスポーツ団が何かあるといいとずっと思っておりましたが、ついにこの紀州レンジャーズができてくれたわけであります。ぜひとも紀州レンジャーズには頑張ってほしいと思っております。そのためには、議員御指摘のように、たくさんの人が見に行かないと、それから心の底から応援しないといかんと思います。
 私も県民の1人でありますので、公務の都合で行けない日を除いて全部行くぞと言って、実は秘書課にそのように指令を発しております。5月22日にたまたまその日がありました。全部行くぞと言うのは、和歌山市以外のところへ行くのはちょっとつらいことがあるので、紀三井寺球場のゲームであります。5月22日に行くぞというふうに予定をしておりましたら、インフルエンザのために中止ということになりましたので、そのときはちょっとチャンスを逸しました。
 次は、7月3日でございます。大阪ゴールドビリケーンズ戦でございますので、私も応援に駆けつける予定でございます。議員もぜひ御一緒にいかがでございましょう。こういう話をしておりましたら、県庁有志も我も我もというふうな気分になってくださっておりまして、多数参加する予定でございます。
 また、元気な若者が多く集うような、そういうグループなどが組織的に応援をすると、ちょっといろいろな意味ではまってくるという感じもありますので、私も機会を見つけては支援の要請を行っているところであります。多くの県民の皆様方の、紀三井寺球場あるいは御坊とか田辺とかそういうのはいろいろありますが、そういう和歌山県の球場での声援をぜひ期待したいと考えております。今後とも県民の先頭に立って紀州レンジャーズを応援したいと考えております。
 次に、科学技術の振興に関する条例でございますが、これにつきましては、従来から私は、県内産業の競争力の底上げを加速するような、そういう目的を達成するために議員御提言のような条例を制定して、県内の事業者の方々がこれまで以上に熱意を持って研究開発に取り組んでいただけるような事業環境を整えていくことが大事だというふうに認識しておったところでございます。そのため、現在、知事部局におきまして、条例の制定に向けた素案を作成しているところでございますが、内容といたしましては、新技術を活用した新たな産業の振興と既存産業の高付加価値化を通じた本県経済の活性化を目的といたしまして、県が主導的な立場に立って、産学官及び県民の皆様との適切な役割分担に基づき、県全体で新技術の創出に積極的に取り組んでいく機運の醸成を図っていくものとしているつもりでございます。
 あわせて、今後、新技術の創出に係る基本計画を策定し、施策の総合的かつ効果的な推進を図ることなどにつきましても条例に盛り込んでいきたいと考えております。
 次に、この進捗状況でございますが、現在素案の作成作業を進めているところでございますが、今後、県議会を初め関係機関等との調整を図るとともに、7月には広くパブリックコメントを実施し、各界各層の皆様方からの御意見をちょうだいいたしまして、その後、皆様から寄せられた幅広い御意見を尊重しながら最終的に調整をいたしまして、来る9月県議会には条例制定に係る議案を提案させていただきたいと私としては思っておりまして、その際にはよろしく御審議いただきますようにお願い申し上げます。
○議長(大沢広太郎君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) より質の高い公共建築を目指してについての御質問でございますが、3つ合わせてお答えさせていただきたいと思います。
 公共建築は、社会基盤を支える県民共有の財産であり、防災、福祉、環境、景観などへの配慮はもちろんのこと、潤いや文化の創造、良好な地球環境の形成に寄与するとともに、経済性も考慮した施設であることが必要だと、かように考えてございます。この理念のもと、公共建築設計の入札方法につきましては、競争性、公平性、透明性を確保するため、原則として条件つき一般競争入札を実施しているところでございますが、高い知識や構想力、応用力が必要な業務につきましてはプロポーザル方式を採用しており、議員御紹介いただきましたように、秋葉山公園県民水泳場の整備につきまして、この方式により設計者選定を進めているところでございます。
 今後とも、議員の御指摘も踏まえまして、業務の特性に応じた適切な入札方法を採用し、公共建築の品質の確保に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
 21番新島 雄君。
○新島 雄君 答弁をいただきましたが、公共建築に関しての要望を申し上げたいと思います。
 公共建築に関する質問で、私は県土整備部に対して基本理念の質問をいたしました。これは、枝葉の問題ではなく、和歌山県における公共工事のすべてにかかわる基本的な考え方であり、指針であると考えます。それがなければ今後の仕事の方向性が出てきませんし、会社には社是・社訓などがあって、社員は常にその言葉を念頭に置き行動していきます。全国的に調べてみても、そういうのはありませんが、入札方法を手直しするとかよりも、この基本理念を策定することのほうが優先されるべきで、大切なことだと私は考えます。早急に制定されることを強く望みます。
 また、部長の答弁の中で、高い知識や構想力、応用が必要な業務に対しては、プロポーザル方式を採用してと答弁をいただきました。私から言えば、すべての事業に高い知識も構想力も応用力も必要なんです。しかし、すべての事業で対応するのには無理があるということです。今の入札方法、すなわち金額の高い安いだけで決めることがよいのかどうか、これを続けていると何も残らないと思うからであります。これが和歌山の公共建築だというものを残していくためにも御検討いただくことを強く熱望して、質問を終わります。
○議長(大沢広太郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で新島雄君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は、6月22日定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時13分散会

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