平成21年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(小川 武議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前10時0分開議
○議長(大沢広太郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第108号から議案第127号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 38番小川 武君。
  〔小川 武君、登壇〕(拍手)
○小川 武君 まず初めに、6月議会一般質問の初日、冒頭に登壇さしていただきました。議長を初め皆さん方に、心から感謝を申し上げてお礼を申し上げたいと思います。
 では、通告に従いまして一般質問に入ります。
 初めに、今議会に上程されております過去最大と言われる補正予算についてお伺いいたします。
 昨年秋、アメリカにおいて始まった金融不安は瞬く間に世界じゅうに波及し、世界同時株安など、非常に大きな金融不安、経済悪化を招きました。我が国経済においても、これまで景気牽引役を担ってきた輸出関連が大幅減となり、こうした輸出市場の急激な収縮と在庫調整が重なったことにより、実体経済の悪化が金融環境の一層の不安定化を招き、さらなる経済の悪化を招くといった悪循環の結果、経済の底割れリスクが急速に高まり、現在は、きのうは9700円前後で推移している株価についても昨年秋には一時的ながら7000円台を割り込み、また円も90円前半で取引されるなど、戦後最悪の経済危機に直面したところであります。
 先週イタリアで開かれた主要8カ国(G8)による財務相会合では、世界経済について安定化の兆しとの声明が出されました。また、平成21年5月の月例経済報告では、景気が厳しい状況にあるものの、このところ悪化のテンポが緩やかになっているという発表があり、その先行きについて、当面雇用情勢が悪化する中で厳しい状況が続くと見られているものの、対外経済環境における改善の動きや在庫調整圧力の低下、経済対策の効果が景気を下支えすることが期待されると、底打ち感が示されたところであります。
 一方で、生産活動が極めて低い水準にあることなどから雇用情勢の一層の悪化が懸念され、加えて世界的な金融危機の影響や世界景気の下振れ懸念など、景気をさらに下押しするリスクが存在することに留意する必要があるとされるなど、我が国経済は依然厳しい状況であることに変わりはありません。この100年に一度とも評される経済危機の中で、多くの企業が赤字となり、さらには生産設備や雇用人員が急速に過剰になったことで、各企業における強力なリストラの敢行により、設備投資や個人消費という国内需要に深刻な影響を及ぼしているところであります。
 一方、本県の経済に目を転じますと──これは本年4月に発表された景気動向調査からの引用であります──鉱工業生産指数が6カ月連続、新車登録台数が5カ月連続で前年同月を下回っている状況にあります。また、大型小売店販売額に至っては11カ月連続で前年同月を下回るなど、不況の影響をもろに受けている状況であります。
 こうした局面を打開するため、政府におきまして、昨年、安心実現のための緊急総合対策、生活対策及び生活防衛のための緊急対策といった、いわゆる景気対策3段ロケットと言われる事業規模75兆円に上る景気対策を取りまとめ、中小企業に対する資金調達の支援や定額給付金の給付及び高速道路料金の大幅な引き下げなど、各種の対策が実施されたところであります。
 さらに、本年4月に、景気の底割れを防止しつつ安心と活力を実現するとともに未来への成長力強化へつなげるため、事業費ベースで56兆円を超える緊急経済対策がまとめられ、過日、その補正予算が成立したところであります。加えて、最近では定額給付金の給付が始まるなど消費が持ち直す動きが出てきつつありますが、やはり景気は依然本格回復に至っていない状況にあり、特に県民の方々の思いは以前にも増して停滞感を感じているのではないかと思うところであります。
 昨年の議会でも質問をさせていただきましたが、事業所数で言うと、10年前に比べ2~3割は減っているかと思います。繊維や金属加工といった下請は言うに及ばず、家族で経営する日用品製造、印刷といった業種も非常に厳しい状況にあるというのが私の実感であります。
 そこで、このような県内の厳しい景気状況や雇用状況を踏まえ、今議会に上程されている補正予算の編成に際し、特に配慮した点、特色について、その考え方を仁坂知事にお伺いいたしたいと思います。
 次に、本県経済活性化のための施策として、観光振興の面からお伺いしたいと思います。
 観光振興に関し、県当局におかれましては、和歌山県長期総合計画を策定され、この中で「癒しと感動を与える誇れる郷土和歌山」の構築に向け、観光の振興に重点を置いた取り組みをなされる旨、示されたところであります。また、具体的な行動計画として観光振興アクションプログラムを策定され、8つの魅力で和歌山を売り出すなど、アクションを起こされていることと思います。
 言うまでもなく、本県には、いにしえの時代より受け継がれてきた歴史、文化遺産、海、山、川など変化に富んだ美しい自然、日本有数の温泉地、おいしい食べ物等、全国に、いや、世界に誇れる観光素材が豊富にそろっております。特に紀伊山地の霊場と参詣道は、私が県議会議長を務めさしていただきました平成16年7月にユネスコ世界遺産に登録された思い出深い観光資源となりました。現在も、県、国内外から多くの観光客がこの地を訪れておるところであります。
 また、常々仁坂知事も、本県にはたくさんの観光素材が存在し、集客という面では大変な潜在能力を有しており、今後ますます期待が持てるものとおっしゃっております。本県の観光振興のための素材、環境の整備については、今も申し上げましたとおり、熊野地域が世界遺産に登録されるとともに、串本沿岸地域がラムサール条約に登録されました。また、和歌山大学におきましては、平成20年4月に観光学部が設置されました。そして、今さら申し上げるまでもなく、国際便の発着する関西国際空港が至近の場所にあります。
 このように、あとはこれらの素材、環境をいかに連携させ活用し、そしていかにPRしていくかが重要になってくると考えております。
 観光の振興に関し、国においても昨年10月1日に観光庁を発足され、観光立国実現に関するマスタープラン「観光立国推進基本計画」を策定、国民による旅行の拡大や観光関連産業の持続的な発展を目指すことなどがその方針として示されました。
 平成20年和歌山県観光客動態調査報告書によりますと、本県への観光入り込み客数は3100万人余りであり、外国人観光客については16万8000人の方々が本県にお見えになったと報告されております。
 私は、本県の発展のかぎは観光振興にあると言っても決して過言ではないと考えております。観光振興とは、そこに存在する観光資源を地域内外に紹介し、たくさんのお客様に来ていただくことだけではなく、私たちみずからが地域の資源、ひいては歴史や文化を積極的に保全、活用することにもあり、このことは地域の将来にとっても非常に重要なことであると思います。このため、観光の振興は、観光という一分野に限られた問題としてではなく、さまざまな分野と一体化し、その振興を考えていかなければいけないと思っております。
 私は、みずからのライフワークとして、中心市街地活性化の問題に取り組んでまいりました。この問題は、後でまた関連の質問をいたします。中心市街地地域の魅力の発信や行政の支援が必要となることは、これまでも議論されてまいりましたが、根本的に大切なことは、他の地域からたくさんお客さんが来てくれることであり、この意味で観光の振興が最も期待できる施策の1つであると考えた要因であります。
 我々県議会におきましても、本県の観光振興を支援すべく、昨年12月に観光振興に係る条例案検討会を設置し、他府県には類を見ない議員発議による観光振興に係る条例の作成を進めているところであります。
 この検討会におきましては、県内の主な市町村長との意見交換や観光関係者から本県の観光の課題とその対処法などについてさまざまな現状や御意見をお伺いし、さらに今後はパブリックコメントを実施、直接県民の皆様方から観光に対する貴重な御意見を賜ることとし、本県の観光振興に県民総参加で盛り上げることができるよう、当条例の本年12月議会での成立を目指して鋭意努力を続けているところであります。
 そこで、仁坂知事にお伺いいたします。
 これまで県において進めてこられた観光振興施策について、その成果と、本県活性化のための起爆剤として今後の具体的な施策を含めた展望についてお聞かせいただきたいと思います。
 また、観光振興に力を入れていることを強くアピールするための組織強化策についてどのようにお考えでしょうか、お伺いいたしたいと思います。
 経済対策に関連し、また観光の振興にも関係がありますフェリー事業者に対する支援についてお尋ねいたします。
 去る3月28日から、麻生内閣による追加経済対策として、定額給付金の支給とともに実施を表明した高速道路1000円で乗り放題という事業がスタートいたしました。これは、地方圏において自動料金収受システム、いわゆるETC利用者が土日祝日の高速道路利用、上限1000円で乗り放題となる特別事業であります。導入当初は一部混乱も見られましたほか、全国の高速道路で大渋滞を引き起こしたようであります。片やETC車載器そのものが爆発的に売れ行きを伸ばし、また地方を訪れる観光客もふえるなど、その経済的な効果は大きく、本県においても白浜地域を初めとする観光地の土日のお客様がふえるなど、一定の成果が出ております。今後、高速道路割引事業は夏休み期間中の実施など、拡充の方向で検討がなされておるようであります。
 しかしながら、一方で、これまで四国や九州地方との行き来を担ってまいりましたフェリー事業者が大きな打撃を受けていることもまた事実であります。特に本州と四国を結ぶフェリー航路は、一部廃止や減便が相次ぎ、四国地方への寄港を取りやめた会社もあるようであります。もちろん、このたびの高速道路割引制度だけがこうしたフェリー事業者の経営を圧迫している原因ではないです。この制度が本四連絡橋の開通や最近の原油高などの難局に追い打ちをかけていると論じる識者もいるくらいであります。
 本県と四国徳島を結ぶ南海フェリーも例外ではなく、さまざまな企業努力にもかかわらず、廃業の危機に立たされていると聞いております。平成10年の年間の客数は58万7000人、車については20万6000台の利用があったものが、平成19年には客数30万6000人、車の利用が18万1000台。高速艇廃止の影響があるものの、客数は約半分に減り、車については約12%減っております。
 通常、和歌山市から徳島市まで高速道路を利用すると1万2000円程度の料金が必要となりますが、3月から始まった高速道路の特別割引を活用すると、3000円程度で行くことができます。一方、フェリーの料金は運転手1名、車体長5メートル未満で9300円となっております。これだけ料金に差が出てしまうと、なかなかフェリーを利用して四国に行こうというわけにはいかなくなってしまうのではないでしょうか。
 こうした事態を受け、県が徳島県とともに南海フェリーの支援に乗り出すという全国初とされる試みが先週発表されました。本来、全国を運航しているフェリー事業者の支援について当然国が行うべきであることは仁坂知事もお話しのとおりであり、その国に先んじて県が支援を行うということは、地域の交通手段を守るという観点から大切なことだと思います。現在出ている記事等を拝見いたしますと、両県いずれかにおける宿泊を条件として乗用車の運賃を1台1000円とするといった具体的な話も上がっているようであります。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 今回フェリー運航事業者に対し支援を行う意義について、またこれまでの経過や今後の取り組みについて、お答えをいただきたいと思います。
 次に、観光の振興についての質問中にも少し触れました中心市街地の活性化についてお伺いいたします。
 世界的規模での不況を受け、以前よりも停滞感が増している本県の経済において、その停滞の一因として中心市街地の衰退と人口の減少、少子高齢化が挙げられると考えております。特に県都和歌山市の旧丸正百貨店を中心とする地域は、郊外型大型店舗の進出や地域の魅力の希薄化などによる衰退が叫ばれ、平成13年の丸正撤退を境に一気に空洞化してしまいました。
 先日の日曜日、用事がありまして、私はぶらくり丁の近くを車で通りました。人影もまばらであります。また、そもそも閉店している店舗も多く、大規模駐車場を完備した商業施設の郊外立地の増加や県民の嗜好の変化など、さまざまな影響により中心市街地の衰退は目を覆うばかりであります。
 近年になって、この旧丸正跡地には、和島興産によりますフォルテワジマが誕生いたしました。ここは、新鮮な地元の魚や野菜、肉など品質にこだわった食材の提供に加え、地下には1500メートルからくみ上げた温泉を利用した天然温泉施設が併設されております。
 中心市街地の活性化につきましては、経済産業省におきましても、戦略的中心市街地商業等活性化支援事業などを初めとしたさまざまな取り組みを行っているようであります。
 また、平成18年2月の予算委員会において私の質問にお答えいただきましたとおり、当時の商工労働部長から、中心市街地活性化法を初めとするいわゆるまちづくり3法改正を機に中心市街地や商店街の活性化に取り組むとの回答を得て以来、3年が経過しております。
 そこで、商工観光労働部長にお伺いいたします。
 経済センターの取り壊しに伴う入居団体や県の施設の中心市街地への移転の話も聞こえてきております。現在の中心市街地、特に和歌山市の旧丸正やぶらくり丁近辺の地域はどのような状況になっておりますか。また、今後県はどのように支援していくおつもりなのか、お伺いいたしたいと思います。
 なお、県の施設のうち、現在JR和歌山駅のVIVOにありますパスポートセンターについて、その集客力を勘案し、フォルテワジマを含む市内中心地へ移転されてはいかがでしょうか。これは知事にお伺いいたします。
 次に、関西広域連合についてお尋ねいたします。
 広域連合に関しましては、既に御存じのとおり、平成19年7月、既存の広域連合組織を統合し、関西広域機構が発足し、同機構内に設置された関西10府県知事などで構成する関西広域機構分権改革推進本部において検討が始まりました。この推進本部において、平成19年10月から都合4回の本部会議が開かれております。一方では、現在政府において第2期の地方分権改革の検討が進められ、地方分権改革推進委員会から平成20年5月に第1次勧告、同年12月に第2次勧告が出されております。
 勧告の内容については、土地利用や道路、河川などの地域づくり分野における県への権限移譲、教育や医療、福祉など生活と密接した分野における市町村への権限移譲、また国の義務づけ、枠づけの見直しや二重行政の解消に向けた国の出先機関の統廃合といったものとなっております。
 しかしながら、例えば道路や河川など複数の府県にまたがる案件については、国が調整を行う必要があるといった考え方から、各省庁等の抵抗がありました。勧告実現に向けた政府の取り組みは進んでいない状況にあり、さらに、当初この春に出される予定になっておった地方の税財源を主な内容とする第3次勧告は秋にずれ込むこととなっております。来年3月までの分権改革推進法の期限までに一連の分権改革が完了するのかどうか、私も心配しているところであります。
 こうした国主導の地方分権改革が遅々として進まない状況にある中、国の検討による改革をただ待つのではなく、地方発による分権改革に取り組む必要があり、各県単位で意見発信、全国都道府県議会議長会や全国知事会を通じた政府への提言活動も必要であると思います。地方が具体的、主体的に動き出すことが重要であると思います。
 そういった意味で、国の事務・事業に関する権限について直接移譲を受けることができる関西広域連合を設立しようとする取り組みは、地方分権改革の突破口を開くものとして、その理念は是とするものであります。
 昨日の「産経新聞」朝刊には、関西経済連合会の下妻会長のインタビュー記事が掲載されておりました。この中で会長は、関西広域連合の早期現実化に取り組まれることを明言されております。さらに、関西広域連合が県域を超えて取り組む必要のある課題について広域調整機能を発揮することにより、ともすればばらばらとやゆされることの多かった関西を1つにする役割を担うことに大いに期待するところであります。
 先ほど申し上げました観光振興という面からも、特に外国人観光客をターゲットにして、例えば関西広域連合が和歌山、京都、奈良の世界遺産をつなぐ広域観光ルートを設定し、海外への観光プロモーションを行うことで本県への誘客の促進につなげることができると思います。
 このように、私は、関西広域連合設立の意義は認めるところであります。しかし、広域連合を設立するということ、すなわち、これは新たな自治体をつくるということであります。広域連合で処理する事務の内容、その効果、必要となる経費などについて十分な検討が必要であると考えております。
 去る2月議会において、仁坂知事は吉井議員の関西広域連合に関する一般質問に対し、元気な関西圏をつくるという観点から基本的には参加したいとした上で、早急に関西広域連合で処理する事務、組織、財政などの具体的な制度設計の案を取りまとめ、県民、議会に示して議論を深めたいとの答弁がございました。その後、関西広域機構において関西広域連合概要案が取りまとめられ、去る5月8日開催された近畿2府4県の議長会において兵庫県の井戸知事が関西広域連合の設置の必要性などについて説明された後で意見交換を行い、各府県ごとに議会と当局と十分な議論を行っていくことを申し合わせたと聞いております。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 まず、今回取りまとめられた関西広域連合の具体的な制度設計の内容と、その内容を踏まえた上で本県が広域連合に参加する意義及び必要となる経費について聞かしていただきたいと思います。
 関西広域機構に参加している10府県で関西広域連合を設立した場合、これら10府県の全体の人口が約2400万人に対して、本県が占める割合は約4%にしかすぎません。県民の中には、本県が関西広域連合に参加した場合、本県の発言権が十分に確保されるのかどうか、どうしても人口の多い府県の意見が優先され、今以上に地域内の一極集中が進むのではないかという心配をする方もおります。この点について知事のお考えを聞かせていただきたいと思います。
 また、政府や政党において道州制が議論されておりますが、関西広域連合は道州制をも視野に入れて設置されるものなのかどうかについてもお伺いしたいと思います。
 さらに、本年中の設立を目指して、早ければ9月議会に関西広域連合規約案など関連議案が議会に提案される予定と聞いております。しかしながら、我々議会とも十分な議論や県民に対する説明、啓発、さらに理解を得るための措置を講じるには、いささか時間が足りないのではないかと思います。このスケジュールに関する知事のお考えをお聞きいたしたいと思います。
 関西広域連合の設立は、県民に新たな財政負担を求めることになるわけであります。県民の皆さんが設立の効果を実感できるようにする必要があると思います。例えば、広域連合が広域的な調整を行うことで都市と地方間の医師の偏在を是正することや、府県の区域を超えた救急搬送や救急医療体制の構築を図ることなどにより「関西広域連合ができてよかった」と県民の方々が実感できるようにしていただきたいと思うのであります。そして、そのような広域連合となるように、今後とも我々議会とも十分に議論していただき、一緒に検討を進めていただきたいと強く要望いたします。
 最後の質問として、海外県人会の交流についてお伺いいたします。
 私は、当時県議会議長でありました平成16年10月に、門議員、尾崎太郎議員、そして当時に在籍されておりました木下議員、東議員、浦口議員、そして当時の知事とブラジル及びカナダを訪問いたしました。在伯和歌山県人会連合会の創立50周年記念式典並びにブリティッシュ・コロンビア州県人会の桜の木の植樹祭に出席いたしました。以下、省略いたします。
 熱烈な歓迎を受けました。ただ、3世、4世になってきております。「日本語も話せない。日本へも行ったことない」と県人会の幹部の方に聞かされました。我々は、この県人会できて50年、頑張ってきた。そのためには若い人材、若い人の日本への交流、これが非常に大事だ、何とか今後とも力入れてほしいということをお聞きいたしました。今後、ブラジル並びに外国の県人会に対する支援をいかように考えておられるか御答弁をいただいて、時間切れでございます。どうぞよろしく。
 ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの小川武君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいまの御質問に順次お答えさしていただきます。
 まず、補正予算でございます。
 これにつきましては、世界的な景気後退の影響を受け、県内の経済、雇用情勢が急激に悪化する中、昨年末以降、本県といたしましても、所要の緊急対策を順次迅速かつ機動的に実施してまいりました。また、平成21年度当初予算においても景気・雇用対策を最優先課題と位置づけ、さきの2月議会で議決をいただいたところであります。
 今回の補正予算の基本的な考え方は、現下の県内景気を早急に回復し、雇用機会を創出するための対策を最優先すること、それとともに、事業の選定に当たりましては、長期総合計画に掲げる「和歌山県がめざす将来像」の実現を一気に加速させるため、今後実施しなければいけない事業を早期に着手し、将来に備えるということを念頭に編成したところであります。
 具体的には、近畿自動車道紀勢線の御坊─田辺間の4車線化を初め、公共インフラの整備に240億円の予算を追加し、事業費で981億円程度を確保いたしました。これにより有効需要の創出を喚起するとともに、本県経済の活性化に必要不可欠な高速道路ネットワークの形成など自立した地域づくりの実現を早期に図りたいと考えております。
 このほか、太陽光パネルの設置促進や福祉介護分野における各種の支援、県立学校のICT化など現下の情勢への対応と将来への備えを適切に行うとともに、新型インフルエンザ対策などの喫緊の課題につきましても適切に対処したところであります。この結果、補正予算の総額は471億円となりまして、過去最大規模の補正予算を編成することとなりました。
 なお、今回の追加対策に伴う財源につきましては、国の経済対策補正予算等を有効活用することによりまして、実質的な一般財源の負担が生じないことを基本に各種の施策を実施することとしたものであり、平成24年度までの財政調整基金と県債管理基金の残高を見込んだ新行財政改革推進プランに影響を与えないよう配慮しているものとなっております。
 次に、観光の振興でございます。
 お答え申し上げます前に、観光振興に係る条例の制定につきましては、議会でさまざまな御議論、それから御努力をいただいております。大いに賛意を表してまいりたいと考えております。ありがとうございます。
 さて、観光振興への取り組みにつきましては、知事就任以来、和歌山のすばらしい観光資源を体系的に情報発信し、関係機関との緊密な連携を図るため、今年度で3回目となる観光振興アクションプログラムを取りまとめ、国内では首都圏、東海圏、近畿圏で重点的に観光プロモーションを実施するとともに、海外ではエージェントへの積極的な働きかけや集客力のある博覧会への出展により、本県への観光客は5年連続で3000万人を突破し、外国人宿泊客も16万8000人と過去最高を記録したところであります。
 ことしは、特に世界遺産登録5周年であります。それから、紀勢本線全通50周年であります。記念事業の実施によりまして和歌山を全世界に発信するとともに、さらなる誘客に向け、本県の魅力でありますクエあるいは勝浦の生マグロなど、和歌山ならではの食の魅力を活用した取り組みや全国に誇れる体験型観光であるほんまもん体験を活用した修学旅行の誘致など、和歌山らしさを前面に出した観光の振興を関係の皆様とともに進めてまいりたいと考えております。
 なお、観光振興を図るための組織強化の質問につきましては、知事である私自身が先頭に立つとともに、観光局──これは特に頑張っておりますが、観光局はもとより全庁を挙げて観光の振興に取り組むことが要諦であると考えております。
 次に、フェリー事業者に対する支援でございます。
 まず、きっかけとなりました高速道路の料金値下げは、乗用車で県内にお越しになる観光客や県産品の輸送にとって費用が安くなるという点で、それ自体は喜ばしいことと考えております。しかし、この高速道路値下げの影響で、和歌山と徳島を結ぶフェリーの利用が減少し、航路の維持が危機に瀕しようといたしております。
 高速道路の大幅値下げはフェリーに大きな打撃となると予想されましたので、早々に近畿ブロック知事会の会長として、また、先ごろの政府要望のときにも国に対して、これは高速道路値下げの反作用だから国の責任でフェリー航路が維持できるよう需要喚起策などを検討するよう、強く要請してきたところであります。
 私は、本来ならば国策により行われた高速道路大幅値下げによるフェリーへの影響緩和は国で行うべきことであると考えておりますが、遺憾ながら、お勧めを申し上げましたけれども、平成21年度の政府の補正予算でもフェリー航路が維持・存続できるような施策が打ち出されるに至らず、南海フェリー独自の対策も限界という中、このままではこの重要な航路が失われかねませんので、県民生活や産業に非常に大きな影響が出ると考えましたので、今回、緊急避難的に和歌山県と徳島県が連携して対策を行うこととしたものでございます。
 早急にこれから方策、具体的なやり方を考えてまいりますが、ポイントは、どうしたら道路とイコールフッティングになるか、もう1つは、両県で行うことでございますので、県内への誘客になるか、この2つを軸に考えてまいりたいと思っております。そういうイコールフッティング等々の料金設定や事務手続などの検討を行いまして、環境にも優しいフェリーの利用促進を図ってまいりたい、こう考えております。
 なお、今後の取り組みでございますが、先ほども申し上げましたとおり、今回の高速道路料金値下げに対する対策は、あくまでも本来国の責任で行うべきものと考えてございますので、国に対して次年度以降の航路維持に向けた施策の実施を引き続き強く訴えてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、パスポートセンターの移転につきましてでございます。
 パスポートセンターにつきましては、現在、和歌山駅のビルにありまして、電車でも、それから市内の交通でも大変便利であるというふうに考えておりますが、御指摘のように、駅ビルの耐震強化のために一時移転しなければ、少なくともいけないということになっております。移転先につきましては、現在、利用者の利便性の確保などさまざまな条件を勘案して、適地を検討しているところでございます。先生御指摘の中心市街地の活性化の観点はよく理解できるところでありますので、十分これも考慮し、またいろいろな視点も加味して今後検討してまいりたいと考えております。
 次に、関西広域連合でございます。
 関西広域機構──紛らわしいんですが──現在ございます関西広域機構において取りまとめられました関西広域連合(仮称)概要案では、議員御指摘のとおり、国からの事務権限の移譲の受け皿としての役割を担うこと、それから関西全体の広域行政の責任主体をつくることを設立のねらいとして掲げてございます。本県は、両方大事でございますけれども、これらの目的に着目して積極的に議論に参画してきたところであります。
 概要案によりますと、本格的な広域行政の実現に向けた第一歩として、東南海・南海地震発生に備えた広域防災体制の整備、広域的な緊急医療連携の充実、関西の観光資源の連携による観光客誘致、関西全体をにらんだ戦略的な産業振興策の実施などの早期に実現可能な事務から取り組みを始め、実績を積み重ねた上で実施する事務を順次拡大する、成長する広域連合を目指すこととしております。
 このように、まず体制づくりを優先しておりますので、即座に広域連合設立の効果が実感できないという嫌いもあります。私といたしましては、府県の区域を超えた行政課題に取り組む関西広域連合に本県が参加するということで、本県が発展していくために不可欠な元気な関西づくり──全体の関西づくりですね──それに貢献していけるんじゃないかと考えております。
 なお、広域連合の運営に関する費用についてでございますが、現時点の事務局案では、仮に本年中に設立した場合、平成22年度の予算額は全体で約6億円ということになっております。これは、各府県から派遣される人件費とか、あるいは実は北近畿でのドクターヘリの運航費なども入っております。したがって、これをどういうふうに各県に分担するかというようなことなんかについてはまだまだ議論をしていかないといけませんし、この費用がこれでいいのかということについても議論していかないといけないと思いますが、今後そういうことについても議論に参加して、本県としてこれが望ましいな、適当だなと思うようなものが得られましたら、その費用についてもお示し申し上げたいと考えております。
 関西広域連合の設立によりさらに地域内の一極集中が進むのではないかという御質問でございます。
 一般に、道州制とか、あるいはこういう広域連合とか、ともすれば、できますとそれだけですべての問題が解決されるというような議論をする方が世の中にはおられます。しかし、まさに御指摘のとおり、私どもとしては、この和歌山がそれによって発展していかないといけないということについて、さまざま考慮すべき問題があると考えております。その地域内の一極集中を是正するということについての問題が大事だということについては、私どもから3月の関西広域機構の会合の際にも発言してまいりました。
 概要案では、広域連合の意思決定に当たり、構成団体の多様な意見を的確に反映するために構成団体の長による合議制をとることが提案されております。私は、これに加えて、広域連合が事業を実施する際に人口が多い中心部に偏ることのないように配慮するなど、さまざまな資源を一極集中にならないように適正に配分することを求めてまいりました。また、広域連合議会のあり方には、今後の検討課題ではありますが、こういった観点から構成団体ごとの定数配分を単純に人口割としないということが私は必要だと考えております。
 次に、関西広域連合と道州制との関係でございますが、関西広域連合の取り組みが将来の道州制導入のステップになるのか、あるいは道州制にかわるものとなるのか、今後関西みずからが評価し、将来の関西のあり方を検討していくこととしております。実は、知事の間でも、関西広域連合に賛成の知事も道州制については全く評価を異にするというような──だれとは申し上げませんが──ところもあります。したがって、これは道州制を前提にするものではございません。
 関西広域連合設立に向けてのスケジュールについてでございますが、本年3月26日の各府県知事等の申し合わせでは、広域連合の設立について目標を持って進めていくという趣旨から、本年中の設立を目指すということとしたところであります。この場合、最速のケースでは9月議会に関連議案を提案することになりますが、これも今後の展開次第であります。一番大事なことは議論を尽くすということでございますので、私としてはこのスケジュールにこだわっているわけではございません。
 広域連合という新たな自治体を設立するためには、その必要性について議会の皆様や県民の皆様に十分御納得いただくことが必要でありますので、今後とも引き続き広域連合設立の効果などに関する情報を皆様にお示しし、御理解を得るように努め、議論の進みぐあい等を見計らいながら進めてまいりたいと、こういうふうに考えております。
 なお、在伯和歌山県人会につきましては──在伯というか在外県人会につきましては、大変大事なものと認識しております。特にブラジルについては、ことし、ブラジル和歌山県人会連合会創立55周年ということでございまして、県としてもこれを元気づけるというような意味でさまざまな支援活動を行ってまいりたいと考えております。
○議長(大沢広太郎君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 和歌山市の中心市街地活性化につきましては、平成19年8月に国の認定を受けました和歌山市中心市街地活性化基本計画に基づき、旧丸正百貨店ビルの再生や十番丁共同住宅・事務所複合ビルの建設、さらには有料老人ホームの整備や地場産品のアンテナショップの開設など、さまざまな事業が実施・展開されているところでございます。
 この結果、フォルテワジマ前の交差点の歩行量等通行量がやや増加しているなど、一定のにぎわい創出につながっておりますが、議員御指摘のように、商店街の空き店舗対策の課題が残るなど、今なお厳しい状況にあると認識してございます。
 県としましては、今後とも和歌山市との連携をさらに強化するとともに、中核的な拠点施設の整備に取り組んでいらっしゃる民間事業者などとも協力しながら、来年度撤去予定である経済センターに入居している経済関係団体の中心部への移転促進や県立医科大学の関連施設の新設など、都市機能の充実促進に努めることにより県都和歌山市の中心市街地がより一層活性化するように努めてまいりたいと考えてございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) この際、申し上げます。発言時間は残り49秒であります。再質問をされますか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 以上で、小川武君の質問が終了いたしました。

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