平成21年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(吉井和視議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 5番吉井和視君。
  〔吉井和視君、登壇〕(拍手)
○吉井和視君 最終日の最後ということで、皆さんに感謝を申し上げます。5日間の熱戦、皆さん大変お疲れのことと思いますが、あとしばらくよろしくお願いいたします。
 まず、地方分権について質問をさせていただきます。
 きのうも地方分権、山本茂博議員、それから藤本眞利子先生、いい質問をされておったわけなんですけども、それで私のほうからは、このお二人と質問は1点目、同じような質問なんですけども、少し切り口を変えて質問をしてみたいなと、そんなに思います。
 それで、この地方分権、ちょうど私が県議会に当選さしていただいたのは平成3年で、このころからようやくその地方分権という言葉が盛んになってきたわけであります。初め聞いたときには、何と新鮮なすばらしい言葉だなと。ちょうど薩長連合がにしきの御旗を得たような、そういう感覚でこれから地方の闘いがひょっとしたら勝てるんではないかと、そういう響きがあったように思うわけであります。
 そこで、平成7年に地方分権推進法ができて、地方にできることは地方にということで、きのうの知事の答弁でも、まず国が地方で──国がまず国ができることをはっきりしなさいという意味のことがあったわけなんですけども、地方分権というのはまさに私はそのとおりだと思うんです。国が国でできること、国でしかできないことをはっきりしなきゃいけないなと、そういうふうに思います。
 例えば、国は外交、防衛、そしてまた国家国民を守る、領土を守る、主権を守る、そういった観点で一生懸命取り組まなきゃいけないという思いであります。地方にできることは地方でやってもらう、これは地方分権の私は一番最初の理念であり、それが今後とも一番大切な事柄だと思うわけであります。
 そういうことで、地方分権を振り返ってみますと、第1期の地方分権、これは平成7年に地方分権推進法ができて、我々も一生懸命地方から声を立てて、国の機関委任事務ですね、これがなくなったと。本来地方の仕事、県の仕事は、その8割方が国の機関委任事務ということで、まあいわば国の下請ですね。だから余り国に対して物を申すことができない。それはやっぱりお金をもらうからできないわけですね。そういうことで、今までの行政がやってこられたということであります。
 そういう中で、どんどんどんどんこれは民の声、民の声ということで、地方分権というのは正義だということで、一応、国は機関委任事務もやめて、これからそういうふうに地方の声を聞いていこうという、そういう声になったわけであります。そういうことで総論賛成ということでスタートしたわけなんですけども、ちょうど私も議長をやってたころ、小泉内閣が盛んに三位一体の改革、これは税源の移譲、補助金、国庫負担金の見直しですね。それから地方交付税。そういう中で議論が盛んに行われたわけであります。
 地方にとっては余りいい結果が出てこないんで、知事会、地方6団体なんか、地方6団体といっても、これは知事、知事会ばっかりですね。余り議員の話聞いてくれないわけなんですけども、地方蔑視とか地方軽視、地方無視、そういう声で盛んに地方の声が出たわけなんですけども。その中で、まあまあ地方の意見を聞いてあげようかという声が出てきたわけですね、少しは。それが続いてくれればいいんですけども、そういうことを一応の評価として三位一体改革が終わったわけなんですけども。
 その中で、地方が求めたことを余り聞いてくれなかったと。どんな補助金なくすかというと、生活保護の補助金を地方へ渡そうか、税源移譲しようかとか、それから義務教育の補助金を移譲しようかと、こんなんもうてもあんまりありがたないわけですね。そんなん右から左へっていう言葉聞きますけども、要るもんは要るわけなんですから、そんなん余りもうても仕方がない。
 そういうことで小泉改革も一応終わったわけなんですけども、結果は霞が関との闘い、知事も官僚してて、官僚との闘いといえば悪いわけなんですけども、一応官僚との闘いに負けて終わったわけであります。
 それで、これから第2期の分権改革というのが始まるわけです、第2期の分権改革。それは知事がおっしゃったように、国ができることは国、地方ができることは地方ということ、そういう理念の中で行われるわけでありますけれども、そういうことで分権改革推進委員会から先般、第2期の勧告が出ました。
 勧告の理念、これ私、理念というのは一番大事だと思うんです。中身、その国の出先機関を排除するとか、それからいわゆる法令の義務づけとか枠づけとか、そんなものは私は後の問題で、それはいろいろ国との闘いがあると思うんですけれども、それよりも一番理念が私は大事だと思うんです。それで地方分権委員会の基本姿勢、いわゆる待ったなしの国と地方の役割分担、徹底的な見直し、これについて私は物すごく評価するところなんです。
 それで、3つの勧告が出されたわけであります。1つは、これはもう画期的──画期的というより当然行われなきゃいけないわけなんですけども、自治行政権、自治立法権、自治財政権を有する完全な地方政府の確立、これが出たわけなんです。それで2つ目は、地方の条例制定権の拡大。ほんで3番目には、これは当然なことなんですけども、法制的な観点から地方自治体の自主性、自由度を拡大する。そういうことを拡大していって、みずからの責任と、いわゆる自治体が一生懸命取り組むという姿勢を強調するということであります。
 そういうことで、今回のメーンテーマ、第1番目に出てきた地方政府の確立、これも私はすばらしい響きのある、一番我々がこれから地方分権で取り組まなきゃいけない重要な課題ということであると思うんです。それで、本格的な地方分権が去年の5月から始まったような気がするわけなんです。
 そこで、知事にまずお伺いいたします。
 知事は中央官僚ということで、長い間国家を支えてこられて知事になったわけなんですけれども、私はその地方分権というのを考えた場合に、みんなが地方から進めなきゃいけないわけなんですけども、官僚から知事になったそういう仁坂知事のような方が、そういう人の動向、言動、すべてを私は見てると思うんです。中央のことを知り尽くした知事がどういうような格好で地方分権に真剣に県民の代表として取り組むかどうかというのを、私は見てると思うんです。そういう観点から、第2期の分権改革の評価も含めて、本当の真の地方分権というのはどういうものかということを知事にまずお伺いをしたいと思います。
 そして次に、昨年の9月議会について知事がおっしゃったことの中に、関西広域連合の参加について、早ければこの2月議会──今ですね──に議員の皆さん方から御意見をいただきたいと、そういう発言がありました。近畿2府8県と政令指定都市、そして経済団体で構成する関西広域機構において、その広域連合について今論議がされておるわけであります。
 その中で、関西広域機構(KU)が3点の申し合わせを先般されました。第1点目は、これから骨格案を決めて、これまでの検討段階から実施に移していこうじゃないかと、そういうことが第1点。それから第2点は、具体的に組織とか財政あるいは制度、それを進めていこうじゃないかということであります。これはもちろん、議会や市町村あるいは住民の意見を十分聞いて進めていこうじゃないかということであります。第3点目については、早い時期に、2009年以降のできるだけ早い時期に、この自治法に決められた関西広域連合の設立について、議会の承認を得て、協議を経て、その参加について結論を出してほしいと、こういうことであります。
 こういうことの3点の中で、これから本格的な論議が始まるわけでありますけれども、地方政府、私は地方政府というのは道州制のようなものを想定するわけなんですけども、これを実現するにはまだまだ時間がかかりますね。そういうことで、非常に時間がかかる中で、実現可能なこの関西広域連合、それを突破口にして本当の地方分権を確立するということであれば、私はその関西広域連合に参加をして、和歌山県の、いや、地方からの真の地方分権の突破口にしてみたいと、そういうふうに思いますので、ひとつ知事のほうから、この地方分権、関西広域連合について、どういうふうに考えておられるのかをひとつ御答弁を願いたいと思います。
 それで、次にこの関西広域連合というような地方分権について、実は県民がどういうふうに考えておられるのかと。それを我々議会とも双方が、これ県民の意見集約、そしてまた県民が本当にこれを望んでるのかどうか、有益性があるのかどうか、必要性があるのかどうかというものを、我々は意見を集約する責任があると思うわけであります。
 そういうことで、知事はどう考えておられるのかということを、今後議会と情報を共有して、早急にその意見を確かめる必要があると思いますので、その点をどう考えているのか、お伺いをしたいと思います。これで地方分権について終わらせていただきます。
 次に、観光振興についてお尋ねいたします。
 昨年制定された観光圏整備法は、広域的な観光地の連携を促進し、地域の幅広い産業の活性化や交流人口の拡大を図っていくとしております。このような中で、観光振興というのは、私は県単独では限界があると思うわけであります。関西というふうな広域的な中で観光振興を図ることは非常に重要な視点の1つであろうと思うわけでありますが、その点について知事はどういうふうに考えているのか、お聞かせ願いたいと思います。
 次に、和歌山県は観光振興、観光立県というものを宣言しておりますが、なぜ観光立県を目指しているのか、これも県民に周知する必要があると思うわけであります。その上で、県民がこの観光振興に参画して、県行政においても全庁体制で、行政全分野について観光振興に取り組む必要があると思うわけであります。
 「観光」という語源についてでありますけれども、きょうは易経の話もされておりましたけれども、これは中国の四書五経の中に出てくる易経の中で「観国之光」、こういうのが語源であるそうであります。というのは、そもそもその意味は、国の文化とか歴史、そしてまた風俗に光を当てて、さまざまなことを観察して、そしてそのみずからの地域のことを自信と誇りを持って、自分たちの地域の伝統文化や生活文化、そういったものをあらゆるところに発信するのが観光の本来の意義であるということであります。
 そういうことで、いわゆる行政全分野の中で本当に光を当てなけりゃいけない課題は何かということを観察するということが、まず1つの基本であろうかと思います。観光立県に対応するため、私は土木あるいはまた農林、福祉、教育、県行政のすべての分野で、観光振興のために今何が一番課題であるかということを、優先課題が何かということを見きわめて、そしてそれに観光振興のために行政各分野が優先的に取り組まなければ、簡単に観光立県ということを口にすることが私はできないと、そういうことは思うわけであります。そういう意味で、全庁的にどういうふうに取り組んでいっていいかということを知事のお考えをお聞かせ願いたいなと、そんなに思います。
 次に、各部長全員にお聞きしたいわけでありますけれども、そんなわけにいかないと、そういうことで、きょうはまず県土整備部長、観光と土木行政、これは密接な関係があると思うわけであります。その観光ルートの道であるとか、それから例えば和歌山県の道を走ってみたら、私も感じることなんですけども、山ののり面なんかモルタルで塗って、よそから来たらこれ何と殺伐としてるなというところがたくさんあると思うわけであります。そういうことを観光立県ということを考えれば、こういうことをちょっとコストが高くなっても改めていかなきゃいけないなと、私はそんなに思うわけであります。
 そういう観点から、県土整備部長に対して、この観光資源と道づくりとか、そういうことについてお聞かせ願いたいなと、そんなに思います。
 次に、農林水産部長に、これは我々の、下林農林水産部長、この方は私は常々思うわけなんですけども、自分の頭で和歌山県の農政を考えられる、今までにない唯一の農林部長だと思うんです。私はそう思ってるんです。そういう部長について、観光行政と農林行政のかかわりについて、ひとつ御教授願いたいなと、そんなに思います。
 それから、実は私は今から、一番きょうは聞きたかったことについてお聞かせ願いたいなと。こういうことで観光振興について質問させていただいたわけなんですけれども、実は平成27年に第70回の国体が和歌山県で開催されます。いろいろ資料をいただくところによると、いろんな競技が県内各地で開催されます。その県内の観光情報が県外に、全国に発信できる絶好のチャンスであります。
 ところが、射撃、ライフル射撃ですね。それからクレー射撃とか、それから──ちょっと忘れましたけど、ピストルのがあるわけなんですけども、それが、そういうのと含めて何種目か県外で開催されるということを聞いております。検討されてるということであります。こんなばかなことがあるのかと。まだ6年も先のことをいち早く県外開催というようなことはけしからんなと、そう思うわけであります。
 それで私は、これはきょうは教育長にたまたま、教育長に通告して答弁をいただくわけなんですけども、これは本来、政治家である知事に聞かなきゃいけないなと、そんなに思ってるんです。これは知事に後日またお尋ねするわけなんですけれども、知事が政治的な決断をされて、それに取り組むということについて、皆さんが非常に望んでおられる。きょうも傍聴席にたくさんの方が来られてるわけなんですけれども、猟友会の方とかライフル協会の方が来ておられます。猟友会の方は、12月議会で井出議員が、いわゆる有害鳥獣対策に法律が変わって、射撃を練習しなければ鉄砲の許可をもらえないと、そういう観点で質問をされておりました。まさにそういう有害対策というのは、和歌山県が抱えた本当に難しい問題であるわけなんですけども、すぐに解決できない問題であるわけであるけれども、猟友会とかそういう方々に御協力を願っているわけであります。
 そういう人たちの射撃練習という場を和歌山県が提供するということを井出議員が質問したわけでありますけども、そういう観点等も含めて、これは一教育委員会が考えるということじゃなくして、和歌山県行政全体の中で知事が最終決断を出さなきゃいけないなと私は思ってるわけでありますけれども、きょうはそういうことで、教育委員会の国体の県内開催についての御答弁を願いたいなと、そんなに思います。それにあわせて、前半の観光立県と教育委員会とのかかわりについて、さまざまな観点があろうかと思いますので、お尋ねいたします。
 次に、福祉施設についてお尋ねいたします。
 福祉施設、実は私は県職員の時代に社会福祉法人の和歌山県の担当をしたことがあるわけであります。それで、向井さんの施設も監査に行かしてもらったことがあります。マツタケの時期ばっかりなぜ来るんなということを言われたわけなんですけど、そうじゃないんです。食欲の秋に入所者にどんな食事を出してるかということを行かしてもらったわけであります。
 そういうことはとにかくとして、最近思うことは、昭和50年代に、特に老人ホームなんかは急激にできたわけなんです。それで、今も入所者に間に合わないという状況であるわけなんですけども、私はその経験しておった措置費の時代には、監査なんかに行って一番最初に聞いたのは、社会福祉施設の中で従事者──職員ですね──職員の給料はどうなってますかと、低くありませんかと、経験を十分考慮されてますかと、給料表はどこの給料表を使ってますかと、そういうことを聞いて、職員の処遇改善について随分配慮した、配慮というよりも監査をしました。
 それで、そういう結果、福祉の職場、従事者、社会福祉従事者というのは、ますます魅力ある職場になってきたように思っておりました。
 ところが、最近、私は、これ最近というより介護保険ができて8年になるんですけども、最近老人ホームとかそこへ行ったら、非常に職員の給与が低い。時間、パートのアルバイト料が低い。それで、従事者に対して十分な配慮ができていないように思うわけであります。
 そこで、当然今も県は社会福祉法人の経営しておる福祉施設に監査とかに行っておられると思うんですけども、そういった点を余り念頭に置いて監査をしておらないんではないかと、そういう危惧を持っております。また、職員、社会福祉施設に行って聞いてみても、そういうところについて余り指導されておらないという意見も聞いております。その点について、福祉保健部長に県が責任があるんかどうか、監査体制は十分なされてるかということについて見解をお聞かせ願いたいと思います。
 そしてまた、これは社会福祉法人というのは、私はちょっと違うと思うんですね。昔、老人ホームつくるときに、実はパチンコ屋にしようか、社会福祉法人つくろうか迷われた方があるということを聞いたわけなんですけど、それぐらいの認識であったわけなんですけれども、しかし社会福祉法人というのは公益性があると思うんです。ただ単にお金もうけするために施設を運営しておるということであれば困るわけであります。そういうことで、社会福祉法人の施設の経営者に対して県はどういうふうに指導しておるかということ、その点について福祉保健部長にお尋ねしたいと思います。
 次に、新行財政改革推進プランの中で、9つの福祉施設が平成23年に民間譲渡にするということを書いておりました。これ、平成18年から指定管理者において運営されておるわけでありますが、私はその、時代の流れで公営施設を指定管理するというのはいたし方がないなと思うわけでありますが、1つ心配することがあるのでお尋ねいたしたいと思います。
 これらの施設、社会福祉事業団が今指定管理ということでやっておるわけでありますけれども、長い間、県立施設ということで、和歌山県が公営施設を運営してきたわけであります。そういう中で民間施設に譲渡するということになれば、本来の目的である、県の使命である、いわゆる施設の先進性、そしてまた指導的役割が損なわれる、そういう危惧があるわけであります。何もコストだけ問題であるわけではないわけであります。そういう点について、これからも、今まで県の施設として担ってきた先進性、あるいはまたこの指導的役割が損なわれないような、いわゆる民間譲渡になるんかどうかという点について、お聞かせ願いたいと思います。
 最後に、知事にお尋ねしたいと思います。
 天皇陛下御即位20周年の奉祝行事への参加についてお尋ねいたします。
 ことし平成21年は、今上陛下が御即位されてからちょうど20年に当たります。この間、天皇陛下は全国47都道府県をくまなく御訪問になり、またさきの大戦で災禍をこうむった方々にも深い慈しみの御心を寄せてこられました。原爆の惨禍をこうむった長崎、唯一地上戦が行われた沖縄、また陛下の強い御希望で硫黄島、サイパン島へも行幸が実現いたしました。天皇皇后両陛下の鎮魂と平和への祈りは、国民に大きな感動を与えました。
 今、全国各地で御即位20周年の記念奉祝行事が行われております。私たち和歌山県民もこの御即位20周年を記念して、県民の多くが参加できる奉祝の行事を行いたいと思うものでありますが、県知事としてこのような行事が開催されれば県民の代表として参加されるかどうか、お聞かせください。
 以上で、私の質問を終了させていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの吉井和視君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、地方分権でございますけども、私は、地域に住んでいる人がその意欲と知恵と能力、そして地域にある資源を生かして、みずからの決定と責任のもとに地域づくりを行えるようになることが地方分権の理想的な姿だと考えております。
 そのためには、まず国が責任を持つべき分野をみずから明らかにして、それ以外の分野についてはすべて地方が国からの関与を受けることなく主体的に責任を持って判断できるような仕組みをつくることが必要だと思います。
 この逆は、例えば補助金をあげるからと言って鼻面を引き回すとか、こういうことについては指導しているようなしないような、責任のないようなサジェストで地方を、右に向け右というようなことをするというようなことはいかんということではないかというふうに思います。
 ただ、この場合に、財力のない、和歌山県もそうでありますけれども、地方が切り捨てられないようにしないといけません。どの地域に暮らしていても、日本国民としてのナショナルミニマムがちゃんと守られるように、地方の権限と責任に見合った、ちゃんとした財源をきちんと保障することが不可欠であると考えております。
 こういった観点から、地方分権改革推進委員会の、吉井議員御指摘の基本姿勢は是とするものでございます。分権委員会には、次の第3次勧告に向けて、この基本的な姿勢に沿って、どの地域に暮らしていても勇気と希望が持てるような、そういう豊かな自治が実現できるように、この国のあり方について根本的な議論を行っていただきたいと考えております。
 次に、関西広域連合についての御答弁でございます。
 関西広域連合設立の目的の1つは、議員御指摘のとおり、国からの事務権限の移譲の受け皿としての役割を担うこともございます。さらにもう1つ重要な目的は、東南海・南海地震に備えた広域防災対策、広域的な緊急医療連携、あるいは交通物流基盤の戦略的整備のように、県境を越えて、県域を越えて取り組む必要のある課題に関西が一丸となって取り組む体制をつくることであると考えております。
 私は、関西の各地域が豊かな個性を持ち、それを連携させながらスケールを広げ、首都圏と異なる多様な価値が集積する日本のもう1つの中心核として関西圏が発展していくことが大事であり、それが本県が発展していくためにも不可欠であるというふうに考えております。したがって、積極的に議論に参画してまいりました。
 その中身をちょっと御紹介いたしますと、私は議論のための議論、あるいは議論が躍るいつまでもというのはあんまり好ましくないと思います。したがって、抽象的なことを言っているよりも、できるものから、部分的でもいいからできるものから具体的にどんどん進めていこうではないかと、実はそういう主張を全体の検討会議の中ではいたしておりました。
 ただ、例えば1つ1つの問題については、なかなかすぐに踏み切れないというような意見が各県ともあるようであります。そこで現在では、兵庫県知事が中心になって、その検討のスキームをきちんとつくるということからまず出発しようというような意見が主流になりまして、私もいつまでも自説ばっかり言っておりますと、かえって全体を進ませないことになるというおそれもありますので、したがって小異を捨てて大同について協力をしているところでございます。
 実は、その考え方のもとに、昨年の9月議会では、一番早いケースでは本2月議会で、この議会で本県の広域連合の参加について御判断いただくように皆さんに御提案申し上げる可能性があると申し上げたんでございますが、残念ながら、そのような方法論というか検討のスキームみたいなことで発足するということについてもまだ反対もありまして、それでなかなかまとまっておりません。現時点では、広域連合の参加の是非を御判断いただくための材料が残念ながらございません。
 したがいまして、情報提供はこれからも議会の皆さんにはどんどん申し上げていこうと、その都度の状況を御報告申し上げようと思っておりますけれども、議題としては今回は提出できませんでした。元気な関西圏をつくるという観点から、基本的には関西広域連合に参加したいと私は思っておりますので、早急に関西広域連合で処理する事務、組織、財政などの具体的な制度設計の案を取りまとめまして、広域連合設立の効果を、また県民の皆様、議会の皆様にお示しいたしまして御意見をいただき、さらに議論を深めてまいりたいと、そういうふうに考えております。
 次に、観光でございます。とりわけ関西広域圏での観光振興についてでございます。議員御指摘のとおりでありまして、私もその重要性は強く認識しているところでございます。
 この関西には、古くからの歴史文化、すばらしい自然景観や温泉、多彩な食文化、発達した都市機能など、我が国が世界に誇るすべての観光資源が集約されておりまして、これらをうまく上手に組み合わせることによって、魅力がさらに増し、一層の誘客が図れるんじゃないかというふうに考えております。
 近年、関西を1つのエリアと考えまして、モデル周遊ルートを策定したり、あるいは共同誘客プロモーションの実施などの取り組みを始めておりますけれども、関西の新たな観光資源を発掘し、その魅力を余すところなく発信しているとはまだまだ言いがたい状況にあると、正直言って思います。今後、関西の各府県や企業関係団体と共同での取り組みを一層進めてまいりたいと考えております。
 次に、観光立県に向けた基本的な考え方でございますが、観光は単に宿泊業や飲食業あるいは運輸業などの直接に関係する分野だけではなくて、農林水産業や商工業などの幅広い産業、さらには自然保護や文化の継承など、さまざまな分野と複合的に関連する、言ってみますと総合産業であるというふうに思います。そういう意味で、県経済を持続的かつスパイラル的に発展させる、あるいは地域の活性化をもたらす、そういう大きな原動力となると考えております。
 こうしたことから、観光の振興については元気な和歌山を実現するための最重要課題の1つと思いまして、農林水産業、商工業の発展、あるいは誘客の基盤となる交通体系の整備など、全体的に全庁挙げての取り組みを総合的に進めてまいりたいと考えております。
 次に、議員御質問の和歌山での天皇陛下御即位20年の奉祝行事への参加でございますが、天皇陛下におかれましては、御即位20年を迎えられましたことを心からお喜び申し上げたいと考えます。平成の御代は、平和の中にも激動の20年というふうになりましたけれども、国民の生活を案じられました天皇皇后両陛下のお姿とお言葉に和歌山県民が励まされ、勇気をいただきましたことを深く感謝しております。
 天皇陛下御即位20年のお祝いと今後の御健勝への祈りを込めまして、知事としてそういう催しには参加をさしていただきまして、県民の皆様とともにお喜び申し上げたいと考えております。
○議長(大沢広太郎君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 観光立県と土木行政のかかわりでございます。
 観光立県を目指す本県にとりまして、観光地への安全性、快適性を確保したアクセス道路の整備は必要不可欠でありまして、幹線道路網の整備について重点的に取り組んでいるところでございます。
 また、和歌山県らしい良好な景観の形成を図るために、昨年の4月に和歌山県景観条例を制定するとともに、本年1月には景観計画を施行し、その中で特に重要な地域として中辺路周辺を特定景観形成地域として指定したところでございます。
 今後、高野町が実施する景観計画とあわせまして、隣接するかつらぎ町、九度山町の町石道周辺についても指定に向け検討を行っていく予定としております。
 道路整備に当たりましては、議員御指摘の道路から見えるのり面など、良好な景観を損なうことのないよう、周辺地域のイメージや景観の一貫性に配慮しながら整備を進め、さらに、撮影スポットのコンテストなどの実施、和歌山県のすばらしい景観をPRし、立ち寄っていただく取り組みも行っているところです。
 県土整備部としては、今後とも世界遺産を初めとする豊富な観光資源を生かした観光立県を推進するため、にぎわいと交流を支える交通網の整備、景観に配慮した質の高い社会資本の整備に取り組んでまいる所存です。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 観光立県とのかかわりと今後の方針についてでございますが、観光立県を目指す中で、地域にある農林水産物や自然景観などを観光資源として活用し、農山漁村の活性化を図っていくことが重要であるというふうに考えてございます。
 農林水産部といたしましては、これまで都市と農村地域の交流を促進する観点から、新鮮あるいは安全・安心を売り物にいたしまして、めっけもん広場とかどんどん広場に代表されるような農産物の直売所や観光農園の整備を初めとして、田舎暮らしを体験する農林漁家民泊、また果物を使った加工品づくり、さらに漁船クルージングを組み合わせた体験型観光など、各地域で特色ある取り組みを推進してございます。
 本県には、海、山、川など豊かな自然、また多彩な食材、さらに歴史に培われた農林水産業がございまして、こうした地域資源を最大限に活用しながら、観光立県の受け皿づくりに積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 福祉施設についての御質問のうち、介護職員の処遇について県の管理指導及び社会福祉法人の施設経営のあり方における県の指導につきまして、一括してお答え申し上げます。
 介護職員の労働環境を含めた処遇の問題が、介護現場における喫緊の課題になっているものと認識してございます。このことはとりもなおさず、議員御指摘のように入所者へのサービスの質に深くかかわる問題であり、施設等での安全、快適な生活の前提となるものと考えてございます。
 こうしたことから、県におきましては、施設及び社会福祉法人それぞれに対して指導を行っておりますが、今年度の施設に対する重点指導項目として職員の処遇改善を掲げ、実地指導に取り組んできたところでございます。
 具体的には、介護職員の勤務条件への配慮や研修の充実、健康管理などについて指導改善を求めてきたところでございます。今後とも、これら施設で働く職員の処遇につきましては、介護現場における重要な課題として指導監督に努めてまいりたいと考えてございます。
 また、社会福祉法人につきましては、極めて公益性の高い法人として、良質かつ適切なサービスの安定的な提供はその責務と考えてございます。そのためにも、社会福祉施設の経営者に対して、法人監査に加え研修会などの場において、適法な事務処理とあわせて職員の賃金等を含め処遇面の向上を求めてまいりたいと、そのように考えてございます。
 次に、県立障害児・者の施設の民間譲渡に向けた方策等の検討についてでございますが、県立障害児・者施設では、入所者の地域生活への意向に積極的に取り組むとともに、処遇が困難な強度行動障害者や犯罪を犯すおそれのある障害者を受け入れるなど、障害福祉サービスにおける先導的な役割を果たしてきていると、そのように考えてございます。
 このため、県では、有識者及び障害団体関係者等による委員会を設置いたしまして、新行財政改革プランの実施方針に基づき、これらの県立施設の役割を引き続き果たせる民間譲渡を検討してまいりたいと、そのように考えてございます。
○議長(大沢広太郎君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 第70回国民体育大会の競技開催地に関する見解と今後の方針並びに観光立県と教育委員会とのかかわりについて、お答え申し上げます。
 昨年9月の国体準備委員会第2回総会におきまして、競技会場地市町村の第1次選定の承認をいただき、33競技が県内22市町村で開催することとなりましたが、一部競技が県外での開催となっております。第1次選定に当たりましては、すべての正式競技の県内での開催を目指したところでございますが、市町村の希望、大会運営への協力体制及び競技団体の意向調査を踏まえまして、可能な限り既存施設の有効活用に努めたところでございます。射撃競技を初め、開催地市町村や競技施設が未選定の競技につきましては、引き続き競技団体並びに市町村との協議を重ねてまいりたいというふうに考えてございます。
 議員御指摘の全国への観光情報の発信につきましては、国体準備委員会広報・県民運動専門委員会で検討を行うとともに、関係部局と連携を図り、国体関連のスポーツ情報の広報活動とあわせて、地域の特色を生かした歴史文化事業の推進など、紀の国わかやまの魅力を全国に発信していきたいと考えてございます。
 また、観光立県と教育委員会とのかかわりにつきましては、特に貴重な文化財の保存と活用を進めながら、世界遺産登録5周年を迎える紀伊山地の霊場と参詣道等の本県の持つ自然や文化のすばらしさを改めて発信していくことが、観光立県につながるものと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 以上で、吉井和視君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問は、これをもって終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
 次に日程第3、議案の付託について申し上げます。
 お諮りいたします。議案第1号から議案第16号までは、予算特別委員会に付託いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 次に、議案第32号から議案第44号まで、議案第46号、議案第47号、議案第49号から議案第52号まで、議案第55号から議案第57号まで、議案第59号から議案第61号まで、議案第64号から議案第79号まで及び議案第81号から議案第99号までは、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
 なお、委員会の会場はお手元に配付しておりますので、御了承願います。
 この際、報告いたします。
 今期定例会の請願について取下願の提出があり、議長において承認いたしました。
 本日の日程から日程第4を削除いたします。
 お諮りいたします。3月12日、13日、16日及び17日は委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 御異議なしと認めます。よって、3月12日、13日、16日及び17日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、3月18日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時47分散会

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