平成21年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(山下大輔議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前10時0分開議
○議長(大沢広太郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第16号まで、議案第32号から議案第44号まで、議案第46号、議案第47号、議案第49号から議案第52号まで、議案第55号から議案第57号まで、議案第59号から議案第61号まで、議案第64号から議案第79号まで及び議案第81号から議案第99号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 41番山下大輔君。
  〔山下大輔君、登壇〕(拍手)
○山下大輔君 おはようございます。「久しぶり」というお声をかけていただきまして、久しぶりの一般質問で──1回飛ばしましたけれども、本日、議会一般質問最終日になります。張り切って、朝からですが頑張りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。張り切って頑張ります。
 さて、厳しい情勢が続く和歌山の実態ではありますけれども、ことしの仕事始め式で知事は、儒教の易経の教えを引用して次のように話されていたようです。「100万県民を守るため、恐れず海図なき航海にこぎ出す」、また、古い言葉で「治にいて乱を忘れず」というのがあるが、今は実際に乱の時代なので「『乱にいても治を忘れず』が大事だと思う」といったものです。
 私も、大切な考え方だと思います。現下の厳しい経済情勢だからこそ、目先のことを当然やっていかなきゃいかん大事なことです。ただ、それだけに振り回されず、しっかりとやるべきことをやっていく、これは和歌山県が誇る「経営の神様」と称される松下幸之助さんの残した言葉、「好況よし。不況またよし」「ピンチこそチャンス」といった経営哲学にも通底するものと感じます。
 先ごろ行われた第47回の関西財界セミナーでも、そういった幸之助さんの遺志を受け継ぎ、ダイキン工業井上礼之会長も、「今の厳しい時代だからこそ経営者の血が騒ぐ。苦境を逆手にとり、平時にできない大胆な策を講じれば、回復期にいち早く成長できる」と解説されていたようです。これは企業経営にだけ当てはまる話ではなく、地域経営を託される地方政府、和歌山県にとっても同じことが言えるのだと思います。
 厳しい時代だからこそ、今こそ思い切った策、改革ができるのであって、ある意味ではチャンスの時でもある。厳しい時代だからこそ、新たな地域の方向性も思い切って打ち出せる、そのためにも今改めて、これまでの取り組みを聖域なく見直し、しっかりと反省すべきところは反省するという、まさにゼロベースでの改善策を断行する勇気が求められているのだと思います。
 県民生活も、仕事の状況などを見ても本当に追い詰められています。地域を歩いて強く感じることは、口先だけでお茶を濁すのではなく、希望の持てる和歌山県を何とかつくってほしい、新しい和歌山に生まれ変わらせてもらいたいといった県民の期待です。今こそ過去の和歌山県が行ってきた取り組みをもう一度総点検し、そこからピンチをチャンスに変える方策を何とか導き出す。そのためには知事並びに県当局、そして県議会が一体となって真剣な議論をしなければいけないのだと思います。何としても私たちの和歌山県をこのままじり貧の地域とさせないという強い思いを持って、今議会も提案、質問させていただきたいと思いますので、当局におかれましては、それぞれ誠意ある御答弁をよろしくお願いいたします。
 それでは、議長よりお許しをいただきましたので、早速質問に移らせていただきます。
 今回の私の質問としては、「ピンチこそチャンス」といったテーマを持って、提案並びに質問をさせてもらいたいと思います。そこでは、これまでの和歌山県の取り組みなども、過去にも目を向けながら、将来への見通しを立てていければと考えております。
 それでは、まず和歌山県の厳しい経済情勢について。
 今議会で私自身、質問の内容を検討してくる中で、当初はまず和歌山県経済が置かれる状況について、その現状認識と今後の見通しといったことを知事にお聞きしようと思っていたのですけれども、それらについてはさきに先輩・同僚議員から質問がありましたので、重複する部分は省かせてもらうとして、1点だけ関連する質問をさせていただきたいと思います。
 それは、和歌山県経済が低迷する状況について、その本質をどのようにとらえられているかという点についてです。
 これは、以前私も触れました産業構造の問題や、そもそも経済循環、また現在はサブプライム問題に端を発した金融危機など、さまざまに要因も挙げられますが、和歌山で経済の厳しい状況をどのように説明するか、その根本問題、本質といったことについて、知事はどのように考えておられるのか、御所見を賜りたいと思います。その本質を理解することで解決策も見えてくるものと思います。
 先日、私の友人でもある政策投資銀行地域振興部参事の藻谷浩介さんに和歌山へお越しいただきました。前に議会でも彼の話をしたことがありましたが、再度、和歌山の現状について彼なりの意見を聞きたいと、昨年末、私が所属していた和歌山青年会議所の講師としてお招きをし講演をしてもらい、また、その講演後にも食事をとりながらじっくりと話をしました。
 そこでの話は非常に興味深いものだったのですが、結論だけ言うと、藻谷氏が指摘する和歌山県経済が低迷する本質としては3点で、それは人口減少と高齢化、それに伴う現役世代の減少、そして個人所得の低迷です。その解決策としては、従来からの産業政策はもうなかなか効かない、それによっての根本的な改善はなかなか望めないんじゃないだろうか。まず大切なことは、地域としてのあり方そのものを見詰め直し、オンリーワンの地域としての魅力を持つことが何よりも大事といったものでした。
 私も大いに賛同し話が合ったのですが、今からの時代は、地域としてどういった役割を担えるのか、存在意義をどのように見出していけるのかといったことが重要で、例えばこの関西圏で私たちの和歌山はどういった役割を担う地域となるのか、その明確なビジョンなしには希望ある未来は訪れないのだと思います。このことについては、この後に続ける質問でもしっかりと考えていきたいと思います。
 それでは、続きまして、平成21年度の予算編成に当たって、知事の基本的なお考えを改めてお聞かせいただきたいと思います。
 さて、今、和歌山県では高齢化が進み、人口が減り続けるといった厳しい苦境にあり、さらに世界全体が100年に一度と言われる経済危機に見舞われる中、和歌山丸も沈没寸前の状況に置かれています。そこでは、今こそこれまでやってきた取り組みについて丁寧に見直し、ある部分では思い切って方向転換することも求められているのだと思います。
 昨年、和歌山県では今後の県政を方向づける長期総合計画が策定されました。私自身、その特別委員会のメンバーとして議論に加わらせていただいたのですが、そこでは自分なりに和歌山県のあり方を改めて見詰め直してくる中で、いろいろと考えさせられるところがございました。特に、過去の長計をひもとく中では、やはりこのままこれまでの延長線上ではだめなんじゃないだろうか、もう一度それぞれの取り組みを疑ってみて、何をどう変えるのかを真剣に考えることが必要だと強く感じました。
 ここに、過去の長計がございます。(資料を示す)これはもう県議会では皆さん、一度は目を通されたことがあるかと思います。これはたまたま持ってきたのが仮谷県政、西口県政時の長期総合計画です。実はこの中のすべての項目、目を通した中で感じたことは、これはすべていいことをやっぱり書いてると。それぞれにええこと書いてると。今ちょっとはやりの言葉でもありますけれども、合成の誤謬、ミクロで見て正しいことが集まっても、全体、マクロで見たときに思うような結果が得られんと。それは何でやろかと。実は長計なんかでも、僕はそういうことが言えるんじゃないか。それは例えばウエートの問題であったりとか、集中をどうやってさしていくんか、実はこれこそが政治において一番大事なことやと私自身感じました。何をやるか、どうするか、結果和歌山がどうなるかということだと思います。
 今こそ、これからの未来、これからの子供たちのためにも、過去やってきたことをしっかりと見直す勇気が求められているのだと思います。これまで多くの先輩方が、県政の発展を真剣に願ってさまざまな政策、施策を実行してこられました。しかし、結果として今の衰退する和歌山があります。これが現実です。それは、やはりどこかに問題があり、何かが間違っていたのです。そこでは、これまで正しいと思われてきた取り組みでももう一度見詰め直し、見直していく勇気が必要とされているのだと思います。過去の反省に立ち、これまでとは違った新たな展開を模索しなくてはなりません。
 高度経済成長期の日本では、高速道路の建設、新幹線の導入、新駅設置、空の玄関となる地方空港の整備など、そういった整備、大型公共事業が地域の発展を実現するのに不可欠な取り組みだとして推進してこられました。それは、時代が変わり、日本自体が置かれている状況も変化してくる中でも、しかしそれは戦後の日本経済の立て直しにおいて余りにもインパクトのある有効な事業であったために、特にその成功体験を横目で見ていた整備のおくれた地方では、その他の選択肢に目が向きにくくなり、ややもすると公共工事そのもの自体が目的化してしまい、本来の目的であったはずの地域の活性化にどのようにつながるかといった全体のビジョンが描けないまま思考停止に陥ってしまっているおそれがあります。そういった中では、和歌山県としても日本の各都道府県、地域においてどこにでもある条件を、おくればせながら少しずつ整えていくといったことではなく、みずからが切り開く新たな分野がなくてはいけないのだと思います。
 そのためには、これまでの取り組みに安住することなく、知恵を絞り、地域のあり方についてもっともっと議論することが必要とされています。これからの時代は、地域も厳しく選別される時代となります。選ばれる時代となります。そういった時代には、大都市がよいという企業、大都市で働きたい若者、それはそれで仕方がないのだと思います。しかし、逆に、和歌山がよいという企業、和歌山で働きたい若者、和歌山に住みたい人、和歌山に立地したい企業をどのようにつくれるかが重要であり、そこでは和歌山に来たいという動機づけを与えられる独自の魅力、オンリーワンの魅力づくりが不可欠となります。今後は、和歌山らしさを際立たせる公共投資、公共整備のあり方、他の地域との違いを際立たせる和歌山の自然条件などを最大限に生かした価値創造、和歌山独自の新たな発展モデルを何とかつくり上げていかなくてはなりません。
 4年前に私は、ドイツへ環境政策の勉強に行かせていただきました。ドイツの中南部の地域を回ったのですが、ノルトライン・ウェストファーレン州、ラインラント・ファルツ州、そしてヘッセン州の3州にまたがる地域、フランクフルトからデュッセルドルフ、クレフェルト、ケルン、オプホーベン、ミュンスター、マインツ、そして最後はビースバーデンまで足を伸ばしましたが、それぞれに多くのことを学べる機会となり、私の現在の、特に環境政策を考える礎となっていますが、その中で特に印象的だったのが、ドイツ国内で環境都市コンテストで1位を獲得したことのあるミュンスター市でした。そのまちの都市政策を勉強させてもらったときには、改めて理念、哲学のある地域づくりの重要性を指摘され、感銘を受けました。ミュンスターのまちを歩き、その環境に触れる中、私もこんなまちに住んでみたいとあこがれを持ったことが思い出されます。ミュンスター市に研究所を置きたいと考える企業が多数存在するのも至極当然のことだと思います。
 ちょっと写真を見てもらわないと、なかなかイメージがわかないと思うんですけれども(写真を示す)、これはミュンスターのまちの中で──これちょうどミュンスターのカーフリー団地というところの写真なんですけれども──まち全体がまず特徴的なのが緑がたくさんある。しかも、それを人為的にしっかりとつくりながらまちづくりを進めている。しかも、このカーフリー団地の特徴的なのは、車を持たない人のみしか住めないと。ドイツで工業大国で車をあんだけつくってる国でありながら、実はある意味ではもう車なんか使わず、徒歩、自転車、公共交通機関を使った生活というのをもっと進めていこうというようなことで、これは国、地方における政策で進められてます。
 こういう子供なんかが遊んでる状況があって、これは路面電車の状況なんですけれども。これはミュンスターの一番大きな駅の地下にある自転車の格納庫。もう自転車がたくさんあるというのも、これも特徴でした。
 これはミュンスター大学に行かしていただいて、太陽光パネルを張っている状況。これは和歌山を初め日本でも今そういう取り組みが進められてますけれども、当時からドイツはもう積極的にそういうことを進められていたと。
 これはミュンスターの中の民間企業なんですけれども、リサイクルを推進している企業のちょっと説明を受けてるとこです。ドイツでも、これも驚いたのが、ドイツに滞在中に昼間に企業──これは民間もそうですし、公的な機関へ行っても昼間に電気をつけて仕事をしているところというのは一切なかった。これは晴れてる日は太陽光が窓から取り込めるという状況を、建物自体がそういう構造になってて、基本的にはもう昼間は電気使わんというようなことが習慣づけられてて、そういう構造にもなってるというようなことにも大変驚きました。
 これはドイツのキリスト教民主同盟の政策の勉強会にも一緒に加わらしてもらったんですけれども、まちづくりについて市民も巻き込んで──当然議員も入ってるんですけれども──徹底的にいろんなことを議論するというようなことを目の当たりにして、いろいろと本当に感じさせられる部分がございました。
 ちなみに、ミュンスターの取り組みは、国際的な舞台でも評価を受けて、昨年、国連環境計画が主催した暮らしやすさを審査する世界コンテストで、425都市の中から最高の評価を受け、金賞を受賞しています。
 人の集まる都市、企業の集まる地域といったものには必ず理由があります。それは単に大都会にあり便利だということだけでなく、また助成制度や人脈などによる一時的な取り組みもそうは長続きしません。地域としての特徴がうまく引き出された、明確な魅力があって初めて他地域との競争でも比較優位を保てるのだと思います。はっきりした魅力のない地域には、今後は特に厳しい現実が待っているのだと思います。
 これまでの和歌山に足りなかったもの、それは他地域にはない、大都市にはない、和歌山独自の魅力ある明確なビジョンだと思います。中途半端ではなく選択と集中で、和歌山といえば何かといったことがすぐに連想されるような地域づくりが今後は必要とされるのだと思います。
 例えば、私はこれまでの議会質問で観光医療政策の推進から、いやしの地、リゾート和歌山といったことを何度となく提案してきました。豊かな自然と恵まれた環境がある和歌山ですから、それを中途半端ではなくて、徹底して地域づくりに生かす取り組みを進めていく。
 また、そこでは、和歌山県の特徴である海の魅力を最大限に生かすことも重要で、観光医療産業の素材としても、ヨット、クルージングの有効性といったことを以前に提案してきましたが、そういった海上交通を徹底して整備、活性化させていくことも大変有効な取り組みと考えます。海上交通といったことでは、まだまだこの日本でも本格的に整備された地域はありません。海洋県和歌山として、これまでの日本にはなかった新たな地域づくりのモデルも提示できるのではないかと期待するものです。
 今、国土交通省が推進している取り組みで、道の駅の海版で海の駅といった取り組みがありますが、和歌山の沿岸部、ウオーターフロントに、大きな港湾整備だけでなく、小舟を寄せられる中小規模のベースキャンプをたくさんつくり、そこには商業施設、飲食施設などを隣接させ、和歌山独自の地域サービスが提供できるような公共整備を進めていく。レストランへ食事に行くのに、海からでも船で乗りつけられる。大都市からもクルージングを楽しみにやってくる。これまでの都会では味わえない自然を使った楽しみを、この和歌山では海を舞台にいろいろと提供していくことも可能です。
 ちなみに、これはマリーナシティの写真で(写真を示す)、これはもう皆さんも御存じだと思うんですけれども、今和歌山で海の駅として認証されている地域が、この和歌山市のマリーナシティ海の駅ということで認定を受け、その他、なちかつうら海の駅、たなべ内之浦海の駅、たなべシータイガー海の駅といったものがございます。そういったものをどんどんふやしていくと。和歌山独自の地域資源を活用した公共投資、公共整備から、和歌山といったらこれやといった方向性を打ち出す。その1つとして海の活用を徹底して図っていく先には、未来への大きな可能性があるものと思います。
 また、そういった海の駅などの整備は、震災など有事となれば、災害救援の拠点ともなります。海路、海上交通を徹底して整備することは、これは災害時などにも対応できるいわゆる命の道ともなります。
 1995年に発生した阪神大震災では、私も有志の1人として救援物資を運んだ経験がありますが、神戸のような国土軸に直結し、大きな道路が何本も並行して整備された地域ですら自然の脅威には勝てず、特に震災後しばらくの間は外部からのアクセスとして道路は役に立ちませんでした。
 当時、陸路が遮断されたとき、海路で神戸にアクセスした人が数多くいて、神戸大学海事科学部の調べによると、震災発生直後の3日間で、小舟も入れ少なくとも34団体、延べ約600隻が負傷者や物資の輸送など救援活動のため神戸港に入ったということです。
 海路の充実は、和歌山の魅力を引き出す取り組みとともに、震災への対応として命の道を補完する意味でも大きな役割を果たすものとなります。
 とにかく、これまでの和歌山は残念ながら中途半端で明確な取り柄も主張できない一地方となっていました。今後はこれまでの固定概念、パターン化された行政施策に縛られず新たな地域発展の方策を検討し、そして地域資源の選択と集中によって明確な魅力を発信できる地域に生まれ変わることが求められます。
 そこで質問ですが、まず、これまでどおりの地方、地域の発展モデルでは、もはや和歌山の未来は希望は持てないのだと思います。これまでの地域づくりのどこに問題があったかということを一度立ちどまって真剣に見詰め直し、そして新しい取り組みにチャレンジすることが求められるのだと思います。これまでの一般的なステレオタイプの地方発展の処方せんといったものを、一度疑ってみることが必要ではないかと改めて感じるものですが、知事の御認識をお聞かせください。
 また、県としてこれまでも県勢発展を真剣に考え、一生懸命取り組んできたわけですけれども、しかし、結果的には期待する効果、成果を上げられなかった。それは、結局はこれまでの延長線上ではいけないということであり、その厳しい現実から目を背けずに、何がどう間違っていたのかを明確にすることが必要なのだと思います。過去のどういった点に問題があり今の和歌山になっているのか、その反省を踏まえ、これから新たな和歌山県としてどのように取り組んでいかれようとするのか、知事の御所見を賜りたいと思います。
 また、そういった点を踏まえて、この平成21年度編成されました予算案、その方針においてどのように生かされているのか、お考えをお聞かせください。
 また、今後は選択と集中といったことが特に大切であり、それは知事自身の発言からも強みを生かすといったことにもつながるものと思いますが、それは具体的にどういったもので、その強みを生かすことで和歌山県の何が変わると思われますか。県民にも、和歌山県がこれから変わっていこうとする姿、ビジョンをしっかりと示すことが大切だと考えますが、知事にはこれまでの和歌山とどう変わるのかをはっきりと説明し、アピールしてもらいたいと思います。
 次に、和歌山県のピンチを救うために欠くことのできない視点となる対東アジア政策として、中国との姉妹交流とあわせて関空問題についてお尋ねいたします。
 まずは、山東省との交流について。
 和歌山県の今後を考えたとき、その重要な取り組みの1つは、中国を核として東アジア地域の活力をどのように地域経済に取り込んでいくかということが重要となるのだと思います。圧倒的な人口の集積と市場規模を持ったアジア、中でも中国についてはその存在感をますます大きくする中で、今後は私たち和歌山にとっても中国との関係はさらに重要なものとなってきます。
 財務省が公表した貿易統計報告によると、昨年7月には、初めて日本の輸出額が、アメリカを抑えて中国が世界最大の相手国となりました。2008年7月の日本の中国大陸部への輸出額は1兆2864億円と対前年同期比で16.8%ふえ、逆に、同月の対米輸出は1兆2763億円と対前年同期比で11.5%減、中国はアメリカを抜き、初めて日本最大の輸出市場になりました。
 米国経済がさらに減速、需要も低迷し、日本の対米輸出が減少を続ける中では、中国にはこれまで以上に大きな期待が持たれるものとなっています。あくまで短期的に見ると中国との経済関係も決して見通しのよい状況ではありませんが、しかし、中長期の視点を考えれば、重要な隣国としての関係は変わることなく、相互依存化する日中経済の関係性は深まっていくものと考えられます。
 さて、そういった中で、ことしは山東省と姉妹提携25周年という節目の年を迎えます。そこではこれまで以上に積極的な姿勢で交流事業を計画し、そして成功させることが期待されます。
 そこで質問ですが、ことしは25周年という節目の年に当たり、記念事業も考えているようですが、具体的にどういった取り組みを計画されているのか。これは担当が企画部になるようですので、企画部長から御答弁をお願いしたいと思います。
 あわせて、せっかく25周年という記念事業を行うわけですから、儀礼的なものだけで終わらせるのではなく、例えば現状では観光をテーマにした記念事業が考えられているようですので、和歌山の観光展を山東省にある主要百貨店において持ち回りで行うなど、あくまで実益をどれだけ出せるのかといったことをしっかりと考えた事業を検討してもらいたいと思います。
 また、私自身、特に力を入れてもらいたい経済交流に関して、山東省との経済交流事業もことしで5年目となります。姉妹提携の記念事業とともに、これまで以上の取り組みを期待するものですが、去年までの取り組みも踏まえてさらに実り多い事業とするために、ことしはどういった取り組みを具体的に考えておられるか、商工観光労働部長から御答弁をお願いしたいと思います。
 続いて、関西国際空港の問題について。
 これは、この月曜日に泉議員が先によい質問をしていただいておりますので、重複する内容は省いて提案並びに質問をさせていただきたいと思います。
 関空の問題は、これまでの県議会で私自身も何度も取り上げさせていただいているように、これは和歌山県にとって世界の成長センターとなるアジアを含めて世界に開かれた玄関口であり、その架け橋になるものであり、私たち和歌山の未来にも大きな影響を与えます。しかし、今、この関西国際空港が、関空会社の村山社長の言葉で「存亡の危機」と言わしめる状況となってしまっています。関空の村山社長のインタビューが1月29日付の「日経新聞」に掲載されていましたが、それには大変な危機感がにじみ出ています。
 関空では、昨年11月から国内路線を中心に減便・廃止が本格化し、また景気悪化の影響もあり乗客数は昨年12月まで7カ月連続で前年割れとなり、特に12月は112万人で前年同月比で16%減となっている。また、ことし4月から──もうこの4月ですね──減便・廃止となる国内路線は、日航が北海道を中心に6路線、全日空が松山や高知など4路線、現在関西の国内路線は15都市を結んで1日に54便運航していますが、4月からは11路線、45便往復に減ってしまう。路線数はこの4月時点で開港以来の最低を更新することになり、1996年10月のピーク、34路線、84便に比べ、路線は何と3分の1、便数は半分となるということです。
 また、国際線も日航が3月にロンドン線を廃止、全日空も3月からは大連線を期間限定で休止。日航のロンドン線がなくなると日本勢の欧州路線は関空からすべてなくなってしまい、アメリカノースウエスト航空のデトロイト線の廃止で北米路線も週10便に減ることで、関空の欧米路線は一段と貧弱になる。こういった状況を踏まえて村山社長は、「国内線との乗り継ぎが不便になり、もはや拠点空港とは呼べなくなり、まさに存亡の危機だ」と現在の窮状を訴えておられます。
 そういった中で、先日、大阪府の橋下知事は、この関空のピンチを何とか救おうと、府独自で関空の空港戦略についての提言をまとめて発表されています。そこでは、関空を西日本の出入国拠点と位置づけて、相次ぐ廃止・減便で損なわれた国際線と国内線の相互乗り入れ機能を回復させる。そのために、地元自治体、経済界の出資による就航奨励一時金制度の拡充など長距離国際線の誘致に取り組むほか、外国系航空会社が国内線を運航できるよう特区などの制度も利用しながら、そういうことを国にも要請していくなどとしています。また、関空が抱える巨額の有利子負債の軽減でも国の責任を強調し、その負担を要請するものとなっています。
 この大阪府の空港ビジョン発表を受けて、関西国際空港会社では、ビジョンの方向性に賛成で実現を期待する、関空が出入国拠点としての機能を果たすための方策を具体的に提言してくれていると高く評価し、今後は提案されたビジョンを踏まえて当事者として議論に参加したいといった意向を示されています。
 こういった各方面での動きも活発になる中で、和歌山県としても2月には関西国際空港の機能強化に向けた緊急共同アピールの採択に積極的に参画し、仁坂知事もマスコミに対して関空を守るといった姿勢を明確にされた趣旨の発言を繰り返されています。
 今、関空の将来を見通す中で、大きな分岐点に来ているように思われます。そこでは、今後この関西でどういった空港戦略を描くべきなのかといったことを、各府県の個別の利害を乗り越えて具体的にまとめ上げることが求められているのだと思います。
 そこで何点か質問させていただきますが、まず1点目として、この平成21年度予算において──結果的には予算措置をすることとなりましたが──関西国際空港連絡橋の国有化に伴う負担金の支払い拒否といった今回の大阪府の姿勢について、これは知事から見てどういった評価をされているのか、御所見を賜りたいと思います。
 また、大阪府の橋下知事が先ごろ発表した空港の戦略提言案について、和歌山県としてどう分析し評価しているか、これは企画部長に御答弁いただきたいと思います。
 また、これまでの議会で、私自身、和歌山なりの空港戦略をまとめるべきと提案してまいりました。それは何らかの形でまとめられているのでしょうか。今後、和歌山県として関空への応援をしていくとしても、関西の3空港のあり方について和歌山なりのビジョンがなければいけないのだと思います。例えば、このまま関空がじり貧となり、関空、伊丹、神戸の3空港がそれぞれ中途半端な形のまま落ち込んでいく、そのことでどれだけ関西全体にとって不利益なものとなるのか、また逆に、はっきりと関空への集中を実現させていく中でどういった将来展望があり、関西そして和歌山県としてもメリットがあるのか、そういったシミュレーションも出してみるべきだと考えます。そうすることで、県内においても県民の理解を得、将来何らかの形でこれまで以上に関空への協力が必要な場合でも、より主体的に和歌山県として行動できるものになると考えます。和歌山なりの空港戦略といったものについて、これも企画部長から御答弁をお願いします。
 最後に、NPOへの取り組みについて質問させていただきます。
 これからの行政運営につきましては、さらに経済情勢が厳しくなるといった見通しの中で、これまで以上の効率化も求められるものと考えます。しかし、そこでは、行政をスリム化する中で単に同じように提供する行政サービスの質もどんどん落とすのではなく、逆にどうすれば住民満足度を高めることができるのか、それぞれの地方政府による知恵比べが起こってくるのだと思います。
 そこでは、地域で提供する公共サービスについて、行政だけがそれを切り盛りする状況を転換させる新たな社会ビジョンが問われるものとなります。そういった中では、ことし特定非営利活動促進法が制定され11年目を迎えるNPO活動などの活躍に大きな期待が寄せられるものとなっています。
 そんな中、私もこれまでの県議会において何度もNPO活動を活性化するための提言をしてきましたが、県当局もそれらの提案について前向きに受けとめ、積極的に取り組んできてくれていました。
 しかし、残念なことに、昨年の行革に係る審議の中で、突然和歌山のNPO活動の屋台骨となる活躍が評価されてきたNPOサポートセンターを廃止するといった話が出てまいりました。これには私自身、非常に残念に感じるとともに、少なからず驚きました。これからの時代にこそ必要とされる地域での非営利活動について、なぜ今、県がその取り組みを弱めようとするのか、釈然としない思いが今も残ります。和歌山のNPOに係る取り組みは、NPOサポートセンターの努力によって、全国的にも評価される状況にあり、NPO法人の認証数も平成15年には61団体だったものが現在は290団体となり、人口10万人当たりの全国順位も平成16年には31位だったものが、昨年には10位にまで順位を上げるものとなっています。
 こういった地域におけるNPO活動の活性化は、NPOサポートセンターがあったからこそ実現してこれたものと評価されています。そのNPOサポートセンターを、必要ない、廃止せよと判断するということは、和歌山県として地域におけるNPO活動自体を重要なものとして考えていないということにもなりかねません。
 そもそもNPOは、公益活動を担う非政府、非営利の民間組織であり、これからの時代にはなくてはならない社会的機能として世界的にも定義されています。NPO活動実態を見ればその地域の未来が見える、NPOは地域の活力をはかるバロメーターだと言われるように、今後は地域社会におけるNPO活動の重要性はますます高まるものと思われます。
 今、私たちの社会では、国民、地域住民のライフスタイルが大きく変化しており、それに伴いニーズも多様化する状況にあります。そういった中では、国や自治体だけでは住民や地域のニーズに十分にこたえられない、公共サービスを提供することは難しい時代となっています。そういった時代の要請にこたえるために、民間活力の活用といった観点から、アウトソーシング、PFIの導入、民間の資金や手法、ノウハウなどを公共分野に生かそうとする動きが急速に広まりつつあり、このような動きは日本版のPPP、すなわちパブリック・プライベート・パートナーシップと位置づけられ、官と民の協働による公共サービスの提供がこれまで以上に推進されるものとなっています。
 このパブリック・プライベート・パートナーシップとは、そもそも民間経営の手法を取り入れた新公共経営理論の考え方をさらに進化させたものであって、21世紀における行政の新たな地域づくりの手法として、またそこから生まれてくる新しいビジネス展開の可能性を広げる重要な枠組みとしてとらえられていて、イギリス、フランス、ドイツなどでは大きな成果を上げるものとなっています。こういった新しい公共サービスの姿を今後構築していく中では、特にその中核を担うノンプロフィットの活動団体、地域におけるNPO活動がますます重要となり、それを地域でどう活性化させられるかが今後の行政施策の中でも特に重要な取り組みとなってきます。
 今後、行政がさらなるスリム化を強いられる中では、公共サービスのトータルコストといったことも考える中でも、NPOにはますます大きな期待がかかるものとなります。今まさにこれまでの行政が中心となって担ってきた公共といった概念が変化して、新しい時代の公共、公の姿というものを示していかなくてはいけない時代となっている中で、今回の行革の取り組みにおいて、他の行政事業の廃止、縮小と同様にNPO事業がとらえられていることに少なからず驚くとともに、和歌山県としての認識について疑問を感じるものでありました。
 最終的には、平成21年度予算においては廃止の方向が撤回され、業務の効率化を図るといったことで委託費を4300万から3500万へと減額して存続する案が示されていますが、しかし、そもそも私としては、行革の対象として挙げられること自体が似つかわしくないものだと考えており、そういった中では今後の県政におけるNPO活動自体の評価を含めて改めて確認しておく必要があると考え、今回質問をさせていただくことといたしました。
 そこで、知事にお伺いしますが、知事はこの2009年度の県政の方針において、県民生活の根底を支える取り組みに重点投資する、そこでは地域での新たな支え合いを支援するといったことを掲げられています。それはまさにNPOなどの活動の重要性を認識されてるお話ではないかと思うのですが、まずは基本的な部分で、NPO活動といったものについてどういった認識をお持ちでしょうか。地域におけるNPOの存在、役割といったことを含めて、改めて知事の御所見を賜りたいと思います。
 また、今後は財政的にも非常に難しい、厳しい地域運営が強いられる中、これまで以上にNPO活動は地域にとって重要となります。そこでは、そのNPO活動を根底で支えてきたNPOサポートセンターの役割がますます大きくなるものと考えますが、知事の御認識をお伺いします。
 最後に、NPOの今後につきまして行政からの視点でどういった期待を持たれているか、あわせてお聞かせいただきたいと思います。
 以上で、私の1問目の質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの山下大輔君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) お答え申し上げます。
 まず、和歌山県の低迷する経済状況の本質についてでございますが、本県経済は、鉄鋼、石油、化学の基礎素材型の3業種で製造品出荷額の約7割ぐらい占めておりまして、最近の日本経済を牽引してきました知識集約型産業とか、あるいは加工組み立て型産業の集積が低い産業構造となっております。実はこれは30年前もほとんど同じで、そういう意味では産業構造の変化におくれたとか、新しい成長産業を取り込むとか育成するとかいうことがうまくできなかったかなという感じはあると思います。
 一方、県内中小企業は、海外の低価格品との競合とか、あるいは消費構造の変化などへの対応がなかなかつらくて、大変厳しい経営環境にあります。
 本県事業所の大半を占めるこういう中小企業の経営体力を強くして、競争力を強化して、あるいは持続・成長可能な産業構造への変革を呼ぶような、そういう産業おこしとか企業誘致とか、そういうこともやっていかないかんということだと思っております。
 そのために、地域資源の活用やあるいは農商工連携、そのほか本県の強みを生かした新産業の創出、県内中小企業の成長力強化、新たな企業誘致など、やることはたくさんございまして、そういうところに積極的に取り組んでいたきいと考えております。
 次に、これからどうしていくかという議論でございますが、議員御指摘のように、オンリーワン、魅力を生かすようなことをやっていかないかんということは、そのとおりであると思います。そういう意味で、ないものねだりは意味がないとか、猿まねはあんまり意味がないとか、そういうようなことを議員の御友人の方はおっしゃったんだろうと思うんですが、では、どうやってオンリーワンを生かしていくか、これが言うは易しく行うはかたしということであります。
 具体的に何をするかということなんですが、これまでのステレオタイプの考え方とは反した和歌山ならではの長期的な戦略をつくらないかんということのために、まさに県としては長計を議論した。議会におかれましても、議決条例までつくっていただいて、それで皆さんで御議論いただいたということで、その中には、我々のオンリーワンを生かすような、たくさんの知恵が入っていると思います。
 例えば、一例を挙げられました海の生かし方、マリンスポーツ、その他まだまだ不十分ではございますけれども、目標としてございます。
 さて、平成21年度予算の編成に関してでございますけれども、これまでの和歌山県について振り返ってみますと、県も努力をしてまいりました。その時代時代において、高野・熊野の世界遺産登録の実現のように、地域資源を生かした取り組みとしての成果を上げているものもございます。企業の森とかほんまもん体験観光もそうでございます。
 こうした観点から、平成21年度予算では和歌山県の強みである特色ある歴史、文化、自然や、多種多様な農林水産物などの地域資源を生かした観光振興や地域おこしなどを通じて、産業の創出に取り組むとともに、そのための条件整備として高速道路や、あるいは情報通信基盤といったインフラの整備も加速しなきゃいかんということで、今後頑張っていきたいと考えております。
 次に、関空の件であります。
 御指摘のように、2月の17日に関西の首長さん、これを語らいまして、関西国際空港の機能強化に向けた緊急共同アピールをいたしました。橋下知事が、これを持っていってもらいました。国土交通省と議論をしてくれました。国が関空の将来をどのように考えてるのか、ビジョンを示すように橋下さんは求めて、それのいわば手段として、国から関空会社の財務構造の改善など抜本的な施策を引き出そうとして、それで、その手段として連絡橋負担金の不払いを宣言したものであると理解しています。
 大臣の回答を受けて橋下知事はそれを撤回しましたが、関空の機能を十分に発揮させるためには、関空の将来の位置づけを明確にし、財務構造の改善など抜本的な施策を実施することが必要であるということについては、私ももちろんそう思っております。大阪を初め、仲間とまたまた語らって、引き続き努力をしていきたいと考えております。
 NPOについての質問でございますけれども、まずNPOサポートセンターについてでございますが、これについては県民の皆様方から多くの御意見をいただきまして、さまざまな観点から議論を進めた結果、私としては、行政の関与は見直すけれども、自主的な社会貢献活動を支援するという設置目的は大事だから、スペースをむしろ広げて、引き続き運営していくということにしたところでございます。
 次に、NPO活動への認識と期待についてでございますが、実は2月11日に開かれたわかやま“元気”1万人フェスタというのがありました。ここに参加をさしていただきましたが、大変多くの県民の方々がNPO活動にかかわり、地域の問題解決に熱心に取り組んでおられることに改めて大変心強い思いをしたところでございます。9月にも申し上げましたが、このようなNPOを初めとするさまざまなボランティア団体など、多様な主体が地域課題の解決や社会貢献に取り組むことが、地域を活性化し、元気な和歌山につながっていくものと考えております。
 したがって、今後ともそれぞれの分野で、さらに多くのNPOが人的、財政的にも自立を進め、行政のよきパートナーになっていただくようにお願いしたいところでございます。
○議長(大沢広太郎君) 企画部長前硲健作君。
  〔前硲健作君、登壇〕
○企画部長(前硲健作君) まず、中国山東省との姉妹提携25周年記念事業の取り組みについてであります。
 中国山東省との交流につきましては、御承知のとおり、一昨年11月に仁坂知事と姜大明山東省長との間で、和歌山県・山東省友好交流関係の発展に関する覚書を締結いたしまして、環境、経済貿易等さまざまな分野における実質的な交流を進めることについて合意をいたしました。
 これに基づき、20年度におきましては、環境保全に係る人材育成のための国際協力プロジェクトを実施したところでございます。
 本年は山東省との友好提携25周年に当たることもございまして、双方の発展につながる、より実質的な交流プログラムの実施を協議しているところでございます。
 具体的に申し上げますと、山東省政府からは観光フォーラム開催の提案をいただいており、本県からは環境ビジネス投資セミナーの和歌山県での開催等提案して、今後とも実益のある具体的な取り組みを検討してまいります。
 次に、関西国際空港への取り組みについて、まず大阪府が出した空港戦略の提言案についてでございます。
 大阪府の関西3空港に関する提言では、関空について出入国拠点機能の回復を目標として、長距離国際線の誘致、際内乗り継ぎ機能の回復、物流拠点機能の向上、関空の有利子負債の軽減などについて提言しておりまして、関西における関空の役割の強化につながる提言であると理解しております。本県といたしましても関空の機能強化が最重要と考えておりますので、こうした関空に対する姿勢については、本県の立場と基本的に共通するものと評価をしております。
 次に、和歌山県としての空港戦略についてという御質問でございますけれども、申すまでもなく、関空は関西発展のための中核インフラであり、海外と日本の主要都市を結ぶ国際ハブ空港として、貨物におきましてもまさに国際物流拠点として、その機能を十全に発揮させることが、すなわち至近に位置する和歌山県の本県の県益にかなうものであると考えております。
 そして、関空の国際拠点空港としての機能をより発揮させる、そのためには関空の国際競争力の強化を図っていくことを基軸として取り組んでいくことが肝要であると考えております。
 具体的には、高コスト体質の根本的原因となっております1兆1200億円に上る有利子負債の軽減による財務構造の改善、国際線・国内線ネットワークの充実、それから2期工事の推進、加えてアクセスの改善が不可欠であると考えております。
 本県といたしましては、これらのことの実現を基本目標として取り組んでいくこととし、大阪府を初めとする自治体や関空会社、経済団体等との連携強化を図ってまいります。
○議長(大沢広太郎君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 山東省政府との経済交流事業につきましてお答えをさせていただきます。
 東アジアとの交流、とりわけ中国山東省との交流に関しましては、友好交流関係の発展に関する覚書や、経済協力枠組み覚書の締結によりまして、今後の交流推進につきまして相互に確認を行っているところでございますが、経済交流につきましては、和歌山県中小企業団体中央会等と連携をし、平成17年度から山東省におきまして商談会を開催してまいりました。
 今年度も昨年11月12日に青島市におきまして商談会を開催し、和歌山県企業13社の出展のもと、山東省企業89社135名が来場し、活発な商談が行われました。新たにサービス業関連企業にも御参加いただいたこともあり、これまでにない成果があらわれてございました。
 来年度は、山東省との友好提携25周年の節目に当たることもあり、さらなる経済交流を深めるために、より積極的に企業の参加を促し、過去4年間の経験をもとに山東省での展示商談会を開催し、新たなビジネスの創出が図れることにより、和歌山県経済の回復のきっかけとなるよう精いっぱい頑張ってまいりたいというふうに考えてございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
 41番山下大輔君。
○山下大輔君 御答弁ありがとうございました。
 知事がお答えになられましたように、言うは易くて行うはかたしという部分は当然あると思います。
 ただ、知事もおっしゃられたように、和歌山の強みを伸ばすということを必ずやっていけば、和歌山自体がどういう地域としての存在意義を見出せるかということは、私自身も実現させていけるんだと思います。でも、それは一朝一夕にいかんと。だからこそ逆に、本当の和歌山がどうあるべきかというようなことをこれは考え続けていかないかんと思います。これまでは地域がよく競争の時代やというて言われてきましたけれども、これからは競争の概念だけじゃなくて補完するという概念も大事やと。関西の中で和歌山が、ほかの地域にない役割というのをどう補完していくか。これが結局は、和歌山自身がみずからの魅力、みずからの役割というのを見出せる考え方になるんやろう。
 紀伊半島の中にあって、今まで国土軸から外れてきた、そういう中では確かに工業化の時代にはおくれをとった。逆に、これからの自然環境というものが大切にされるという時代には、和歌山自身が持ってる素材というのは、僕はこれからますます伸ばしていけるんだろうなというふうな期待も持っております。
 そういった中で知事には、知事というのは政治家ですから、本当にこの和歌山の歴史をこれからつくっていく、これまでの歴史を変えていける人やと私は思います。歴史に名を残すような知事となれるように、県議会からの提言もみんなそれぞれに一生懸命やる中で、和歌山自体が本当に生まれ変われるような取り組みというのをぜひ一生懸命取り組んでいただきたいと要望して、私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○議長(大沢広太郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で山下大輔君の質問が終了いたしました。

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