平成21年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


県議会の活動

平成21年2月
和歌山県議会定例会会議録
第5号
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議事日程 第5号
 平成21年3月9日(月曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第32号から議案第44号まで、議案第46号、議案第47号、議案第49号から議案第52号まで、議案第55号から議案第57号まで、議案第59号から議案第61号まで、議案第64号から議案第79号まで及び議案第81号から議案第99号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第32号から議案第44号まで、議案第46号、議案第47号、議案第49号から議案第52号まで、議案第55号から議案第57号まで、議案第59号から議案第61号まで、議案第64号から議案第79号まで及び議案第81号から議案第99号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(46人)
 1番 泉 正徳
 2番 山本茂博
 3番 前芝雅嗣
 4番 浅井修一郎
 5番 吉井和視
 6番 向井嘉久藏
 7番 門 三佐博
 8番 町田 亘
 9番 服部 一
 10番 平木哲朗
 11番 花田健吉
 12番 須川倍行
 13番 大沢広太郎
 14番 谷 洋一
 15番 平越孝哉
 16番 下川俊樹
 17番 岸本 健
 18番 川口文章
 19番 尾崎太郎
 20番 藤山将材
 21番 新島 雄
 22番 山下直也
 23番 井出益弘
 24番 宇治田栄蔵
 25番 多田純一
 26番 中 拓哉
 27番 角田秀樹
 28番 江上柳助
 29番 山田正彦
 30番 坂本 登
 31番 尾崎要二
 32番 中村裕一
 33番 片桐章浩
 34番 原 日出夫
 35番 藤本眞利子
 36番 長坂隆司
 37番 玉置公良
 38番 小川 武
 39番 冨安民浩
 40番 奥村規子
 41番 山下大輔
 42番 松坂英樹
 43番 藤井健太郎
 44番 雑賀光夫
 45番 野見山 海
 46番 松本貞次
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        原 邦彰
 知事室長       曽根義廣
 危機管理監      森 崇
 総務部長       小濱孝夫
 企画部長       前硲健作
 環境生活部長     井口悦治
 福祉保健部長     井畑文男
 商工観光労働部長   永井慶一
 農林水産部長     下林茂文
 県土整備部長     茅野牧夫
 会計管理者      雑賀忠士
 教育委員会委員長   湯川 力
 教育長        山口裕市
 公安委員会委員長   大岡淳人
 警察本部長      永松健次
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     楠本 隆
 選挙管理委員会委員長 山本恒男
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       蓬臺孝紀
 次長         東岡誠吾
 議事課長       薮上育男
 議事課副課長     土井敏弘
 議事班長       田中健司
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      石垣悦二
 議事課主査      瀧川泰治
 総務課長       笠松 学
 調査課長       佐本 明
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  午前10時0分開議
○議長(大沢広太郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第16号まで、議案第32号から議案第44号まで、議案第46号、議案第47号、議案第49号から議案第52号まで、議案第55号から議案第57号まで、議案第59号から議案第61号まで、議案第64号から議案第79号まで及び議案第81号から議案第99号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 40番奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 おはようございます。1番目で質問をさせていただきます。
 議長のお許しを得ましたので、私は4点にわたって質問をさせていただきます。
 1点目は、雇用対策への対応について知事にお尋ねいたします。
 御存じのように、日本の経済は、かつて経験したことのないスピードで悪化していると言われています。そのような中で、経済不況によって雇用問題が一挙に表面化してきました。派遣社員や期間社員などの非正規雇用労働者を対象にした大量整理解雇が起こっているということです。
 私の身近なところでも派遣切りがあらわれています。知り合いのおいごさんや元同僚の息子さん、そしてその友達など、皆20代の若者です。彼らは、和歌山市内のある大手企業の派遣労働者として働いていました。ところが、昨年の11月に、突然、派遣契約の解除を言い渡されました。そのときは自分の身に何が起こったのかわからず、頭の中が真っ白になり、しばらくしてやっと、何でまじめに3年近くも一生懸命働いてきたのにと自分に問いかけてみても全く答えが見つからなかったと言われていました。今も失望と屈辱の気持ちを持ったままです。幸いに、会社の寮ではなく実家から通勤していたために、テレビで報道されているような住むところがないということで路頭に迷うことはありませんでしたが、不況だから仕方がないという言葉では決して片づけられるものではないと思います。
 もし私自身が、そして家族が突然会社から「来なくていい」と言われれば、どれだけ理不尽さを感じ、悔しい思いをすることでしょうか。働く場がない、働くことができないということは、暮らしが成り立たないだけでなく、生きることができないということではないでしょうか。
 そもそも派遣という働き方に大きな問題があると私は考えます。政府は、戦後の労働法制を、戦前戦中の反省を踏まえ、直接雇用を原則としました。この原則に風穴をあけたのは1985年制定の労働者派遣法です。1996年には対象業務が16から26に拡大され、1999年の対象業務原則自由化、2004年には製造業にも拡大するなど、労働法制の規制緩和により低賃金で使い捨てができる非正規雇用、働く貧困層を一挙に拡大させました。派遣労働者や期間工の雇いどめや解雇をどう抑えて働く権利を守るのかが政治に問われていることではないでしょうか。安定した仕事こそ、県民生活の基盤です。
 本来自治体の役割は、県民の命や暮らしを守ることです。その立場で、景気対策とともに雇用対策にかつてないほどの力を注がなければならないと考えますが、知事に雇用対策についての基本的な考えをお尋ねいたします。
 2点目は、介護保険制度の改善について福祉保健部長にお伺いいたします。
 1つ目は、介護報酬の改定と介護職員の労働条件の改善、人材不足解消の問題です。
 昨年の9月議会でも関連質問をさせていただいていますが、2009年4月は介護保険制度開始10年目の年で、3度目の見直しがされます。依然として介護現場では、劣悪な労働条件により人材不足が続いています。
 「朝日新聞」の記事に「受け持つ24人が認知症 夜勤明け体重1.5キロ減」という見出しがありました。施設に働くある介護福祉士さんの夜勤の様子です。夕食時、足腰の弱ったお年寄りを1人ずつ食卓に導きながら徘回している方への対応、何十回も同じことを大きな声で尋ねる利用者さん、テーブルで言い争う声に仲裁に入りながらトイレ介助のランプの点滅に気づき走っていく。夜勤は週1回以上。学生時代の仲間が半数介護職を離れ、職場でも次々とやめていく状況だと言います。
 県からも国に向けて要望を上げられましたが、今回の報酬改定で介護報酬が3%引き上げられることになりました。また、介護報酬の引き上げは介護保険発足以来初めてのことですが、これで労働条件が改善され、人材不足が解消されるでしょうか。人に役立つ仕事をしたいと目を輝かせて話してくれた専門学校に学ぶ学生さんに希望を与えることができるでしょうか。老人保健施設で働く職員さんのゆっくり丁寧に介助したいという願いにこたえられるでしょうか。
 介護労働者の離職率は、全産業平均より約5ポイントも高い21.6%。介護福祉士の国家資格を持つ全国で約47万人のうち、実際に福祉、介護に従事する人は約27万人にとどまっていると言われています。厚生労働省の統計調査では、施設で働く介護職員の給与水準は全労働者平均の6割です。利用者がけがをすれば対応を問われ、重責を負う仕事でありながら、給与は看護師の半分という状況です。
 あるデイサービスの事業所では、月たった5万円の増収で、スタッフ1人当たり2000円にも届かないということです。また、ある老人保健施設では1.3%の増収にしかつながらないと言っています。自分のところはまだいいほうで、全く増収につながらなく、ゼロのところもあるというふうに言われています。大規模施設でも月300万円で8から9%の増収になりますが、それでもボーダーラインと言っています。経営状況から賃上げは厳しいが、政府が処遇改善を大宣伝してきた中で、賃上げがなければ離職に拍車がかかりかねない、努力しなければと頭を痛められています。
 訪問介護事業所では、介護福祉士が職員の30%を超えるなどの要件を満たすと、報酬が10から20%ふえる特定事業所加算があります。特定事業所加算をとれば月に23万円の増収、職員で割れば月6000円にも届きません。特定加算をとらなければ、報酬改定による増収は月に5万円ほどだということです。一方、加算をとると利用料が上がり、限度額ぎりぎりまで使う困難な人が利用できなくなる事態も懸念されます。
 いずれにしても、介護職の処遇改善に結びつく報酬改定なのか、疑問を持つところです。福祉保健部長はどのようにお考えでしょうか、お聞かせください。
 2つ目は、介護保険料の改定の問題です。
 65歳以上の高齢者の介護保険料は、現在の第3期は県平均で月額基準額4513円ということですが、県民の負担感も深刻な経済状況の中で一層大きくなっています。
 厚生労働省調査では、各市町村には高齢者から取り過ぎた保険料が推定3800億円も積み立てられているということです。基金の県内市町村の状況はどうでしょうか。また、今回の保険料改定でこの基金を取り崩して保険料軽減に充てられるのか、お聞きいたします。また、保険料・利用料の減額、免除制度の実施・拡充をし、安心して必要な介護を受けられるようにすべきと考えますが、いかがでしょうか。市町村が導入できるような軽減制度を県としてつくる考えはありませんか。福祉保健部長、お答えください。
 3つ目は、要介護認定制度の見直しについて要望をしておきたいと思います。
 介護保険を利用するために必要な要介護度の調査と認定の仕組みが来月4月、新年度から変更になります。要介護認定は介護保険サービスを利用するためには、要介護度の認定──非該当、要支援1、2、要介護は1から5の8段階を受ける必要があります。コンピューターによる1次判定、3人以上の専門家で構成する認定審査会による2次判定が行われます。軽度に認定されるほど保険で受けられるサービスの限度が低くなるというものです。これまでも要介護認定の仕組みは、認知症の人などを中心に実態がきちんと反映されないという声があります。また、状態には変化がなくても軽度に変更されることがふえ、問題となっています。
 今回の見直しは調査項目が減り、調査員が気づいた点を伝える特記事項の欄も減っています。実態が反映されるのか、一層軽度に判定されるのではないかと批判の声も多いです。
 政府が行ったモデル事業の結果では、現介護認定から軽度に認定される人が20%、重く認定される人は16.7%であったと聞いています。要介護から要支援に軽度に変更された場合、施設に入所できなくなり訪問介護の利用も制限されることや、要介護2以上から要介護1以下に変わると、電動ベッドなど福祉用具が原則として利用できなくなります。非該当になれば、介護保険のサービスを利用できません。現状態が変わらないのに軽度に判定され、生活上の困難が生じていないかなど、実態をきっちりと把握し、特に軽度に認定された場合のケースについては、県民に不安を与えることのないように十分な検討と、県独自での支援のあり方も含め、丁寧な対応に努めていただきたいと思います。
 以上は要望といたします。
 3点目は、ひとり親家庭への支援策について福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 国民生活基礎調査によると、母子世帯が年々増加しており、父子世帯を合わせると全世帯の1.9%を占めています。父子世帯の場合、児童扶養手当の対象とならないので、最近の経済状況の中で要望も強くなっています。しかし、父子世帯に比べ圧倒的に多い母子世帯の平均所得は、2005年、212万円です。就業率80%以上であっても、全世帯や他の子育て世帯との経済格差は年々拡大し、母子世帯の相対的な貧困はかつてより高まっていると言えます。2004年に実施した県の調査では、66%は年収が200万円未満で、児童扶養手当や児童手当が含まれています。就業の半数以上がパートや臨時雇用です。
 知人の彼女も、7歳と5歳の子供を抱え、頑張っています。夫の暴力から逃れるため県外から移り住み、パートで働きながら子育てをしていました。正社員になれたときは大変喜んでいましたが、子供が病気になったときは休まなければならないので大変つらいと言います。採用面接では、子供が病気など何かあるときは見てもらう人があるかと確かめられることが多いと言います。将来の教育費のことも心配で、生活費を必死になって節約しているということです。普通に一生懸命働いても楽にならない現状で、根本的には就業条件を向上させる実効的な施策と子育て環境をよくすることが急務ではないでしょうか。
 このような中で、県単独医療費助成制度の一部自己負担の導入はさらに不安を大きくするものでした。しかし、県民の大きな継続を求める声で今年度の実施は見送られました。ある子供専門の診療所では、毎月約1割の患者さんがひとり親世帯の子供だということです。子供の場合は特に感染疾患が多いため、1度の受診では済まず、2度3度と受診することが多い中で、内科だけではなく、さらに眼科や耳鼻科など他科を受診しなければならないケースもあり、自己負担の一部有料化は家計を圧迫します。気軽に受診できることは重症化を防ぎ、何よりも子供の健康、命を守ることができます。これは、経済不況が深刻化する中で、ひとり親世帯のみならず重度心身障害者、そしてお年寄りの方にも通じることです。医療を気軽に受けることができるということはとても大切です。ぜひ今後もこの制度を継続していただきたいと思います。福祉保健部長、いかがお考えですか。お聞かせください。
 最後に、障害者のスポーツ振興についてお聞きいたします。
 だれもが健康で文化的な生活を営み、スポーツに親しむことができる環境が必要です。今、そのためには、何よりも雇用の安定、労働時間の短縮、賃金の引き上げ、そして安定した休暇や自由時間がとれることです。また、だれもが身近でスポーツが楽しめる施設の拡充をスポーツ振興の根本に据えることが必要だと考えます。障害者や高齢者にも配慮した使いやすい施設の増設が必要です。基準に見合った安全な施設の補修、改築、使用料の減額や免除の措置や、また、指導、管理職員の増員でサービスの向上を図っていくことが求められています。スポーツを通じて自分を発見し、より人間らしい生活を築き、地域社会の構成単位としても大切な役割を果たします。1人1人が主人公となるスポーツ活動や自主的なスポーツ活動を支援していくことは、スポーツが本当に文化として発展していく上で大切なことではないでしょうか。
 先日、女性団体の方々と大阪市長居障害者スポーツセンターを見学してきました。私が一番見学したかったのは、プールなどの更衣室です。障害のある男の子を育てられているお母さんから、スポーツ施設を利用の際、更衣室で困っている話をよく聞くからです。
 このことはほんの一例だと思いますが、2015年には第70回国民体育大会、全国障害者スポーツ大会が開催されるということもあり、より一層障害のある人だれもが親しめるスポーツ発展のため、基本的な考え方を福祉保健部長にお聞きしておきたいと思います。
 以上で、1回目の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの奥村規子君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 雇用対策への対応についてお答え申し上げます。
 世界同時不況の深化により、最近では正規労働者の削減や新規採用者の減少なども報じられております。今後ますます雇用情勢が厳しくなるものと認識しております。このような状況のもと、先日から多々同様の御質問にお答えしておりますが、県といたしましては、雇用の確保、雇用のミスマッチの解消のため、「和歌山で働きませんか!」等の3つのプロジェクトを立ち上げるとともに、ふるさと雇用再生特別交付金等の基金を活用した雇用就業機会の創出に鋭意取り組んでおります。
 同時に、将来の成長する産業を支援することにより新たな雇用が増大していくということが大事でありまして、長期的な観点から雇用の拡大に努めてまいりたいと考えております。
○議長(大沢広太郎君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 介護保険制度の改善についてお答え申し上げます。
 まず、介護報酬の改定と介護職員の労働条件の改善、人材不足解消についてでございますが、議員御指摘のとおり、介護保険事業所等における人材不足が深刻な状況にあることから、平成21年4月の介護報酬改定につきましては、介護従事者の人材確保、処遇改善を基本的な視点の1つとして、3%プラスの改定が国において決定されたところでございます。
 県といたしましては、人材確保のためには、介護職員の給与を含めた労働条件や処遇の改善が必要不可欠であると認識してございます。国におきましては、来年度介護報酬改定の影響を検証する事業として、改定前と改定後の介護職員の賃金を初めとした処遇状況等について実態調査を行うこととされており、こういった検証事業等を通じ、真に介護職員の労働条件の改善や人材の定着につなげていくことが重要であると考えてございます。
 また、県の介護職員確保施策につきましては、「和歌山で介護の仕事をしませんか!」プロジェクトを立ち上げ、就職相談会の開催や国の助成金を活用した介護人材確保支援などにより、介護職員の確保に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、介護保険料・利用料の減免、免除制度の実施・拡充についてでございますが、平成21年度から23年度までの第4次介護保険事業計画では、県内22保険者において保有する介護給付費準備基金──約28億円ございますが──28億円のうち、その約88%を保険料軽減のために繰り入れる予定と聞いてございます。
 また、介護保険制度における第1号被保険者の保険料──65歳以上の方の保険料でございますが──につきましては、被保険者の負担能力に応じた負担を求めるという観点から、現在、所得段階別に6段階から8段階の保険料率が設定されており、低所得の方の負担が軽減される制度になってございます。
 さらに、第4次計画では、県内21保険者において、低所得者の方への配慮といたしまして、基準負担段階ではございます第4段階で公的年金収入金額及び合計所得金額の合計額が80万円以下の被保険者に対して、その基準額に乗じる保険料率を軽減する予定となってございます。
 次に、利用料につきましては、各種の軽減措置に加えて、平成20年4月から高額医療・高額介護合算制度が実施されているところであり、また21年4月からは、社会福祉法人等による利用者負担軽減措置の軽減幅の拡大も予定されてございます。
 今後、こうした被保険者の負担能力に応じた利用料の軽減制度等について、より一層の普及啓発に努めるとともに、保険者に対して必要な助言を行ってまいりたいと、そのように考えてございます。
 次に、県単独医療費助成制度の継続についてでございます。
 ひとり親家庭医療費助成制度を初めとする県単独医療費助成制度につきましては、対象となる方々の健康の保持と福祉の増進を図るため実施しているものでございまして、基本的には、今後も持続可能な制度とすることが何よりも重要であると考えてございます。このため、今後とも本県の財政状況の動向や皆様からいただきました御意見を踏まえ、引き続き検討してまいりたいと考えてございます。
 最後に、障害者・児のスポーツ振興についてでございます。
 平成27年に国民体育大会が和歌山県で開催される予定となっておりますが、本大会開催後には全国障害者スポーツ大会が開催される予定です。
 今後、障害者スポーツの指導者やボランティアの育成など、障害のある方々のスポーツに参加できる環境づくりを進め、この大会を成功させるとともに、この大会を機に、より多くの障害のある人たちがさまざまなスポーツに親しむことができるよう障害者スポーツの振興を図ってまいりたいと、そのように考えてございます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
 40番奥村規子君。
○奥村規子君 答弁をいただきました。
 再質問というよりも要望をさせていただきたいんですが。
 先ほどの知事の答弁をいただいた中でも、景気をよくしていくということも大事ですが、景気をよくしていくために、今大変な──先ほど私るる申し上げました、やはり働くところがないという、そういう失業されている方、また先ほどのひとり親家庭の方、そういったさまざまな、所得がなかなか200万、300万の方というのが県内にどれだけいらっしゃるかというのは、もう当然わかることですし、そういった中での施策をまず十分やっていくということが大事じゃないかなあと思っているんです。
 そういう中で、やはりそういった社会保障──先ほども介護の現場が大変だという中では介護人材を求めているという状況もありますし、別に医療の現場や看護師のことだけ言うんじゃないんですが、例えば今県が出してる第6次看護の需給見通しというのがある中で、毎年600人、700人が不足してると、そういった数字がちゃんと出てるわけですね。
 だから、今こういったことで状況は大変な中で、今の金融危機や世界の状況はこうだから、大変だからということで和歌山はなかなかあらわれ方がちょっと遅いんじゃないかというようなことのお話もこの間ありましたが、そういう中で和歌山にもしあらわれてきたときは、体力がなかなか十分ある県ではないのでということも知事は時々言われますし、そういう中で、あらわれたときには非常に大変な状況になると思うんです。特にどこであらわれてくるかと言うたら、先ほど言いました若い人たちや、またそういった収入がなかなか少ない方やひとり親家庭の方、そういった状況の中で、そこに対する施策を十分とっていただきたいなと思うんです。という施策というのは、先ほどもマッチング、「働きませんか!」というところを取り組むということもありましたが、「働きませんか!」ということでもしあったとしても、この労働条件や環境整備が十分でない中では本当にまた定着するかどうかという問題が出てくると思うんです。
 そういう中で、私は、ある労働組合の方たちが統計をとられたのがあるんですけども、ここで例えば看護師さんなんかが──これ、民間の病院だと思うんですが──病院なんかで働く人たちの統計が出てるんですけど、公休がなかなかとれない。また、年休の処理というか、年次有給休暇の取得状況を見ても、6日以下が6割で、昨年度1年間の年次有給休暇の取得はゼロやったというような、こういう報告なんかもあるわけで。だから、そういったところをきちっと整備することと、整備するためには人材確保してそこへ人を入れないといけないという、そういうことがあるので、やはり社会保障、福祉や医療の分野へしっかりと人を確保して入れていく、そういう施策をぜひ思い切って──テレビなんかで聞いても、100年に一度の金融危機やという言い方をする、政府も閣僚の中の人で言われる人もありますが、だったらやっぱり雇用対策もそれぐらい力を入れてしないといけない状況じゃないかというふうに私は思ってるんです。
 そういった点で、ぜひとも、そういう既に不足やてわかってるところにしっかり働ける条件づくりや環境づくりをぜひ取り組んでいただきたいなあというふうに思いますので、要望をさせていただきます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で奥村規子君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 1番泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕(拍手)
○泉 正徳君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問をさせていただきます。
 まず、和歌山県の過疎地域の現状と今後の取り組みについてお伺いいたします。
 昭和30年代の初めには、「もはや戦後ではない」、「所得倍増計画」などの言葉が飛び交い、我が国の戦後の復興は目覚ましいものがありました。また、東京オリンピックの開催、「夢の超特急」東海道新幹線の開通や名神高速道路の竣工など、その後も大阪では万国博覧会の開催など、都会にスポットライトが当たり、右肩上がりに日本経済が成長し、太平洋ベルト地帯と呼ばれた都市への急激な人口移動により、都市では過密という大きな問題がクローズアップされてきました。
 反面、人口が著しく減少し、地域社会の活力が低下した地域を「過密」の反対語として「過疎」と呼ばれるようになりました。私が育った町でも、林業の衰退と生活環境の変化に伴い、都会に雇用の場を求めて一家での離村や若者などの人口移動が始まりました。過疎化が進んだのが、このころでした。
 国では、昭和37年に辺地に係る公共的施設の総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律、いわゆる辺地法が制定されました。辺地法の定義を読みますと、「「辺地」とは、交通条件及び自然的、経済的、文化的諸条件に恵まれず、他の地域に比較して住民の生活文化水準が著しく低い山間地、離島その他のへんぴな地域」と書かれています。私には交通条件や経済的という条文は理解できますが、自然的、文化的諸条件に恵まれずという条文には異論があります。小さな集落にも豊かな自然や長い間はぐくまれてきた文化が存在すると思っているからです。
 また、昭和45年には、人口の急激な減少により地域社会の基盤が変動し、生活水準及び生産機能の維持が困難となっている地域について、緊急に生活環境、産業基盤等の整備に関する総合的かつ計画的な対策を実施するために必要な特別措置を講ずるための法律、いわゆる過疎地域対策緊急措置法が10年の時限立法として制定され、その後も過疎地域振興特別措置法、過疎地域活性化特別措置法と続き、そして平成12年より過疎地域自立促進特別措置法として現在に至っています。
 日本全国の過疎地域は、人口では約8%を占めるにすぎませんが、面積では54%を占め、高齢化率も全国平均に比べてはるかに高い値を示しています。また、依然として残る生活環境基盤整備の格差の中でも、全国的には市町村道路や水道施設は格差が縮小しているものの、水洗化については、全国平均に対して過疎地域は約7割と、大幅に整備がおくれています。また、ブロードバンドなどの高速情報ネットワークサービスへの対応、福祉・介護、医療面では医師の確保や特別養護老人ホームなど高齢者福祉施設への取り組みなど、まだまだ改善しなければならない多くの行政課題が残っています。
 また、全国の過疎地域には6200余りの集落がありますが、高齢者が50%以上の集落、好きな言葉ではありませんが、いわゆる「限界集落」が約13%を占め、今後10年以内に423の集落が消滅するおそれがあり、2220の集落がいずれ消滅するおそれがあると予測されています。
 先日、新聞で情報を得ましたので、早速全国町村会発行の「町村週報」に掲載されている「限界集落」という、民族学者・結城登美雄氏の論説を読みました。それによると、こう書かれています。「この国の過疎地に対する一般的な認識と対応は遠くからの目線ばかりが多く、実際にその土地を生きてきた人々の声に耳を傾けたものは少なかった。どんな辺鄙な小さな村であれ、そこは人が暮らす具体の現場であり人生がある」。また、限界集落を取り上げるメディアも多くなってきているが、高齢化が急速に進む農山村は、過疎などという生易しい段階ではなく、このままでは集落が消滅していくぞと危機感をあおるばかりで、ならばどうするのか方向性一つ提示できないままに短絡的に行政責任を問うことに終始していると、表層的なジャーナリズムを指摘しています。そして、ちなみに限界集落が点在する中山間地を食料生産の視点でとらえ直すと、農家数、耕地面積、農業生産額は日本全体の4割に当たるとあり、「中山間地から農家や集落が消えてしまったら、私たちはたちまち食料パニックにおちいってしまうのである」と書かれています。
 このほかにも、集落の消滅は、農地や森林の保全、水源の涵養、土砂災害防止、二酸化炭素の吸収、生態系の維持など、国土の形成、環境保全の面からも、大変大きな損失であると私は考えます。
 しかし、これら過疎地域を抱える多くの自治体は自主財源に乏しく、脆弱な財政構造ゆえに肥大化する住民サービスや地域の行政課題にこたえるだけの財政状況ではありません。本県に目を向けますと、30市町村のうち13の自治体が過疎市町村であり、過疎地域の人口は22%、面積では67%を占め、高齢化率も全国の過疎地とほぼ等しい状態にあります。
 和歌山県は過疎県と言います。社会基盤である市町村道の整備状況では、全国過疎地の平均改良率と比較しても66%と大きく改良がおくれており、ほかにも、人口減少による公共交通機関の廃止、耕作放棄地対策、水道や情報通信整備、福祉・医療施設の整備など、今後も計画的に進めていかなければならない多くの行政課題を抱えており、過疎自治体は財政的に非常に厳しい状況になっています。
 私が住む田辺市を例にとりますと、高齢化率は26.4%、平成12年から平成17年の国勢調査までの5年間の間に300人余りの人口が減少し、市内の147の町字のうち約4分の1が高齢化率50%を超えた、いわゆる限界集落という集落機能の存続までもが危ぶまれる難問を抱えて自治体運営に取り組んでいます。例に漏れず、公共交通が運行していない地域は言うに及ばず、食料品を購入するにも移動販売車すら来ていない地域があり、交通手段の確保は生活に欠かせない切実な問題ですし、山間部では猿、シカ、イノシシといった獣害に悩まされ、周りを防護さくや網に囲まれて、おりの中で人間が生活しているような光景が多く見られます。また、お祭りや盆踊りなど長年続いてきた地域の行事が存続できなくなる地域が年々ふえているのが現状です。
 そこで、知事にお伺いします。
 人間が年をとるように、過疎地域もまた年月により状況が変化をしていますが、和歌山県の過疎の現状をどのようにとらえていますか。
 さきにも述べましたように、過疎地域が抱える問題は一自治体や一府県で解決できることではないということは言うまでもありません。ちなみに、辺地法は充当率100%、後年度の交付税参入率80%あり、21年度末で法の期限を迎える過疎法は充当率100%、後年度の交付税参入率70%と、地方にとっては事業推進にはなくてはならない法律であります。まだまだ過疎地域に残された課題は多く残り、誇りある地域づくりを進めるためにも過疎法の延長に向けて今後どのように取り組まれるのか、知事の所見を聞かせてください。
 次に、企画部長にお伺いします。
 昭和45年に過疎法が制定されて以来、現在までに法改正されながら延長し40年が経過しようとしていますが、これまでの成果をどのようにとらえていますか。また、和歌山県は南北に長く、地形や気候、地域の文化など県内でも過疎地域共通の課題と地域に応じた個別の課題があろうかと思いますが、どのような地域施策をお考えなのか、お答えください。
 過疎法により、地域の事業の推進が、どちらかといえば地域の実態に合わせるというより、財政的優位性から国の施策に過疎地が合わせてきたという指摘もあります。ここでも、さきの論説をかりますと、国土審議会専門委員の一人──慶応大学の准教授なんですが──の発言を取り上げています。「『過疎や高齢化で疲弊する地方はどう再生すればいいのか。国内の総人口が減る中では、今の集落すべてを守ることは無理だ。生き残るためには、町から遠く離れた地に住むのをやめ、町の周辺にまとまって居住すべきだ。住み慣れた集落に住み続けたい気持ちは分かるが、勤め人なら転勤もある。農村だけが悲惨なわけではない』。現場を知らぬ都市中心の浅薄な発言をあえて引用したのは、地方自治体職員の中にも同様の考えが散見されるからである」と手厳しい。
 私もこの委員の発言を目にしたことがあります。この委員は、経済財政諮問会議のもとで地方交付税改革を検討するワーキンググループのメンバーの1人でもあり、ここでも、「個人の所得格差ではなく地域間格差に目くじらを立てるのは、経済学的に見て意味のないことです。もし地域全体として見ると、平均所得が低いところに住んでいれば、より高い所得が得られる地域に移住すればよいのです。経済が沈滞した地域に住み続けたいという住民がいるなら、それは所得以外の要素、例えば郷土愛で所得を埋め合わせるだけの満足を得ていると理解すべきです。経済が沈滞して低所得に直面しつつも移住しない住民に対して、長期的に見れば、経済的に特別な措置を講ずる必要はないのです。目下、経済が沈滞したと言われる地域に住み続ける国民から、『東京ひとり勝ちはけしからん』とか、『この地方の経済の疲弊を何とかしてほしい』という声があるのは事実ですが、それは、低所得を埋め合わせるに足りる郷土愛などの満足がありながら、その上に経済措置も上乗せしてくれといういわばぜいたくな要求だと聞き流すべきでしょう」と発言しています。この委員の発言は、いつも地方の現実を認識していないと私も以前から思っていたので、結城氏の限界集落という論説で取り上げていることに共感いたしました。このような人が国の委員を務めていることに憤りを感じます。
 さて、これからは住民がみずから行う地域自治を目指し、地域コミュニティーを存続するためのソフト事業や公共施設や道路、橋梁の維持補修など、集落が維持できるメニューが必要です。そして、過疎問題を考えるときには、もちろん住民の生活基盤である道路などのハード整備が必要ですが、U・J・Iターンなどの施策を考えるときには、ぜひ女性の視点を重視してください。男性が故郷に帰るときに一番の課題は妻の理解ですし、生活を営む上で多くの問題は、身近な便所やふろといった住環境整備にあると思います。また、高齢者や子育て環境など過疎の生活を実感している女性の登用が懇談会や検討会のメンバーには必要と考えますが、部長のお考えをお聞かせください。また、県下の過疎自治体とも十分な連携をとって計画を進めてください。
 次に、関西国際空港の現状と今後の対応についてお伺いします。
 今回の質問に当たり、関空が開港された平成6年の9月議会以降、今議会までの関空関連の議事録を拝見しましたが、利用促進に関する質問が19件あり、そのうち14件は公明党会派から質問されています。特に熱心だった議員は12回登壇して、関空に関する質問をあらゆる角度からされています。温故知新と申しますので、それらの議会でのやりとりを議事録から勉強させてもらいました。大きく分けて議会での質問事項は、就航便数に関すること、関空へのアクセスの向上、関空の利用促進、本県への影響、関空会社の経営について、特に多かったのが国に対する要望活動の強化でありました。
 関空開港時の和歌山県民の期待は大きなものがあり、関西国際空港関連地域整備計画の1つである紀の川テクノバレー計画においては那賀郡を中心とする工業団地を造成し、また頭脳立地構想に基づいて海南インテリジェントパークを形成するなど観光展や観光キャンペーンの強化、県農協連合会と和歌山市内の卸売会社が一体となって機内食会社への食材の供給が始まったことや、空港内での国内外に向けた県産品のPR、かつらぎ町の柿が北海道へ出荷するなど明るいニュースが流れ、また当時の仮谷知事は、大阪湾ベイエリアを拠点として国際都市を目指したコスモパーク加太構想などを描いていた様子がうかがわれます。
 平成6年12月議会では、「日本経済新聞」の利用者アンケートを例にとり、関西空港と大阪空港や成田空港との比較で、大阪空港よりすぐれていると答えた人が80.7%、成田空港よりすぐれていると答えた人が73.2%と言われ、ほとんどの人から非常に便利で快適であるという回答が得られたと言っています。開港1年後には、当時の企画部長が、路線数、便数についてもほぼ満足する結果となっていると答えています。実際、旅客数も便数も平成8年度までは順調に伸びていました。
 しかし、その後2期工事に着手したあたりから有力航空会社の関空からの撤退が続き、大阪空港のリニューアルオープンなど大阪空港の発着回数の拡大が図られ、また神戸空港の開港などで国内線での地域間の競争が厳しくなったことに加えて、国際線でも新しく開港されたアジア各国の空港との競争に対応するためには、世界一高いと言われる着陸料や空港使用料の値下げの必要性などの問題が取り出されました。
 国内線の就航便数も、平成8年をピークに旅客数、便数とも減少となり、平成15年になりますと、国内線の利用者の約半数が関空の利用に不便を感じるという結果だったと述べられています。国内線の就航便数も、平成16年までは減少傾向にありましたが、その後、平成17年度からは便数の拡大も図られてきました。しかし、昨年秋のダイヤの改正では大きく減便となり、関西国際空港の利用促進に向けての戦略としっかりとした政策が不可欠です。
 和歌山からの関空の利用を調べるためには、和歌山発着のリムジンバスの乗降客数が最もわかりやすいと思いますが、バスの利用客も、平成12年度をピークに減少しているのが現状です。和歌山県民の大きな期待を背負って開港された関空の現状を見たとき、知事は関空の重要性をどのようにとらえ、今後どのような対応を考えていますか。
 2点目は、関空の利用と観光振興について伺います。
 「関空の利用促進を図る」──難しいテーマですし、オール関西で取り組まなければならない課題であるということは承知しています。それでは、和歌山ができる利用促進とは何でしょうか。ビジネスマンの利用促進、農産物の貨物輸送の拡大などがありますが、その中でも、和歌山の振興を図り、雇用の場の確保を考えても観光という切り口からアプローチするのが一番の策ではないでしょうか。
 現在、議会では和歌山県の観光振興に寄与するための仮称「観光振興条例」なるものの条例制定に向けて議会を挙げて取り組んでいるところであります。世界遺産、温泉、海、山など豊かな資源を国内外に発信し、多くの来訪者を迎えるためには、和歌山の玄関口として関西空港の意義は大きなものがあると考えます。
 先日の観光条例の検討会でも、観光に携わる皆様の意見をお聞きしましたが、今後の和歌山県の観光振興を図るためには、インバウンドへの取り組みは不可欠であるという意見が多く聞かれました。検討会の小川武座長とともに幾つかの自治体を訪問しました。各市町村長の意見の中にも、教育や観光面でも国際化への対応を考えていかなければならないという意見がありました。国では、昨年の環境庁の設置に伴い、外国人観光客招致には今後も今まで以上に力を注いでいくものと考えます。
 知事が先頭となってスペインやヨーロッパ、アジアの国々にも観光や物産販売などのキャンペーンを展開していますし、ことしは世界遺産登録5周年の記念の年でもあります。商工観光労働部長に観光振興に関空をどう生かしていくべきかを伺います。
 これで、壇上よりの御質問を終わります。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの泉正徳君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、過疎対策につきまして御答弁申し上げます。
 過疎地域は、議員のお話のように、国土保全や地球温暖化防止など国家的、公益的な機能を有し、また農林水産業及び観光産業の面で可能性が広がる重要な地域であると思います。
 先ほど、自然的、文化的諸条件に恵まれずということについては異論があるというお話がありましたが、私も同感でございまして、むしろ文化的に伝統的なよさを残しているもの、あるいは自然がふんだんに残っているもの、こういうところはいわばピンチはチャンスになるということで、この地域のよさを売って、それによってその富も得られるということのもとになるんじゃないかというふうにも考えております。
 過疎地域の振興は、県勢の維持発展や地域の住民生活を守っていくために重要かつ不可欠であるということから、従来より過疎法等を活用しながらさまざまな施策を実施してきたところであります。しかし、議員御指摘のとおり、必ずしも十分ではなかったというところもまだまだあると考えております。今なお、人口減少や高齢化が進展し、住民の生活の場である集落の維持が困難になるなど、深刻な状況に直面しているわけでございます。
 私も、時間の許す限り県内各地を訪問し、住民の方々とお話をさしていただいたことが多数ありますが、危機的な状況にある集落もあるということを肌身に感じたときが多うございました。そのためにも新たな過疎法が制定され、引き続き過疎対策を実施していくことが大変重要であると認識しております。
 県といたしましては、地域の実情や住民の方々の意向を十分踏まえ、過疎地域が自立、持続できるための施策や集落維持対策などが新たな過疎法にちゃんと盛り込まれるということをぜひ確保していきたいと考えております。
 国においても検討が始まっておりますけれども、和歌山県といたしましては、国から与えられたということではなくて、自分たちがまずアイデアを出して、国にその政策を実現させるということをやっていかないといけないと考えております。そのためには、有識者から成る委員会もつくりまして、議論をしていただいて、それでそれを国のほうにどんどん提言していくということをしたいと考えております。
 また、その上で、市町村との連携はもとより、全国知事会あるいは全国過疎地域自立促進連盟等と力を合わせまして国に強く働きかけてまいりたいと考えています。県議会におかれましても、御支援、御協力をお願い申し上げます。
 次に、関西国際空港の件でございます。
 関空は、成田、中部とともに我が国の国際拠点空港の1つでありまして、空のゲートウエーとして重要な役割を担っております。この関空から至近距離に位置する本県にとりまして、関空は世界や国内各地との人、物の交流における貴重なインフラでありまして、本県の発展に大きく寄与するものであります。また、私も他県に出張するときはほとんど関空を利用しておりますけれども、本当に便利でありまして、また、和歌山を訪問してくださる方も、関空は何と便利であるかなというようなことを言っておられます。
 和歌山県という立場を離れても、国際空港は関西に1つしかございません。関西のゲートウエーがなくて、どうして関西が発展できるかということであろうと思います。あっちのほうが近くて便利だとか、そういう議論も、それは関西全体に住んでおられる人はいろいろあると思いますけれども、関西全体でこれは盛り立てなければ関西全体が発展する機会を失うということではないかというふうに今後訴えていきたいと考えております。
 この関空には、御指摘のように、建設当初から巨額の有利子負債などの課題がありまして、また、昨年から景気後退により、あるいはガソリンの高騰、石油の高騰によりまして発着便が減便されているため、2月17日には、賛同する府県知事等とともに関西国際空港の機能強化に向けた緊急共同アピールを行いまして、関空会社の財務構造の抜本的な改善策の実施とか、あるいは航空ネットワークの充実──これは、減便しないで増便してくれということでありますが──アクセスの改善──これは、関空にどうやって早く関西のいろんなところから短い時間で行けるかというようなことを頑張るということなんですが──これを国に強く求めたところであります。
 今後とも関係団体とも連携し、これら項目の具体化を強く働きかけ、関空の機能強化に取り組みたいと考えます。特に関空会社の1兆円を超える有利子負債は会社経営を圧迫し、関空の利用コスト高の原因となっております。この解決が急務だと考えておりますので、これも含めてぜひ関空を盛り立てるということをもっと熱心に国としてもやってもらいたいということを訴えてまいりたいと考えております。
○議長(大沢広太郎君) 企画部長前硲健作君。
  〔前硲健作君、登壇〕
○企画部長(前硲健作君) 過疎法のこれまでの成果と今後の取り組みについてでありますけれども、昭和45年以降、4次にわたる特別措置法によりまして、農林水産業の基盤整備、あるいは道路、情報通信基盤等の整備に重点的に取り組んできた結果、特にハード面を中心として一定の成果を上げてまいったと認識しております。
 しかしながら、知事答弁にもございましたように、過疎化は依然進行し、集落機能の維持が困難になるなど、深刻な課題も生じてきております。そのため、県では、昨年7月に設置した過疎対策研究会におきまして、これは議員御指摘ございました、女性の視点をも重視いたしまして、地域在住の方など女性の方々にも委員として参加をいただき、生活に立脚した意見も取り入れた過疎地域の活力維持のための方策について検討をいただいているところでございます。
 この研究会では、地域の視点に立ったソフト施策、住民の自主的な地域活動への取り組み、住民が安心して暮らすために必要な施策などについて議論が重ねられておりまして、また、地域個別課題を解決するためには集落支援員を活用した地域の実態把握が必要であるなどの意見が出されております。また、過疎市町村長さんからは、現状と課題、今後必要な対策について直接意見をいただくなど、連携を図っているところでございます。県では、これらの意見を踏まえ、地域の実情に合った効果的な施策を実施することにより過疎地域の振興に取り組んでまいる所存でございます。
○議長(大沢広太郎君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 関西国際空港を生かした観光振興につきましてお答えをさせていただきます。
 関西国際空港は、南紀白浜空港とともに、本県にとりまして重要な空の玄関口であり、本県への旅行商品等におきましても、関空を利用したものが数多く造成されているところでございます。先月も札幌市におきまして観光プロモーションを行ったところでございますが、その際、知事から、関空を利用すれば和歌山は近いということを大いに喧伝をしたところでございます。
 また、関空は、東アジアを中心とした多くの外国人観光客の交通の要衝であり、本県の外国人観光客誘致には不可欠な存在となってございます。
 いずれにしましても、関空が本県に近接し、国内外から和歌山を訪れる際には至便であることを広く観光PRすることが利用促進にもつながっていくものと考えてございまして、来年度予定の高野・熊野の世界遺産登録5周年記念の各種イベント等の場において、関空の利便性を大いに訴えていきたいと考えてございます。
 また、海外に向けましても、ミシュランの旅行ガイドで3つ星を獲得した高野山や、世界に2例しかない道の世界遺産、熊野古道の魅力を存分に活用し、新たな誘客に努めてまいりたいと考えてございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 以上で、泉正徳君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時15分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(山田正彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 33番片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
○片桐章浩君 こんにちは。議長からお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問を始めさせていただきたいと思います。
 今回は、通告内容、低炭素社会実現に向けての取り組みが1点、それから雇用問題、これが2点目でございます。よろしくお願いしたいと思います。
 まず最初に、低炭素社会実現に向けての取り組みについてでございます。
 太陽光発電への関心と注目が集まっております。ことし2月24日、経済産業省は電力会社に太陽光発電の余剰電力を一定価格で買い取るように義務づける制度を検討する方針を表明いたしました。これは、自己資金を投資できる人には数百万円の初期投資をしてもらって地球温暖化防止に貢献してもらうとともに経済振興の一役を担ってもらい、太陽光発電に投資はなかなか難しいなあという人に関しては電気料金という形で薄く広く負担し合ってもらおう、こういう趣旨のもので、コスト負担の役割分担によって低炭素社会を実現させる方向に動き始めております。
 ところで、電気事業連合会では低炭素社会の実現に向けた電気事業の考え方を発表しております。その中で再生可能エネルギーの拡大の項目がありまして、ここで、電力会社みずからメガソーラー発電所の建設計画を打ち出すなど、再生可能エネルギーの拡大の取り組みを打ち出しているところであります。電力会社、これ全国ですが、現時点で約7万キロワット規模のメガソーラー建設が具体的に計画を公表しております。参考までに、2007年度末での太陽光発電の導入量は0.4キロワットでありますから、相当量の導入を行う、こういう計画になっております。
 具体的な地点を示さしていただきますと、東から順に、神奈川県川崎市、浮島・扇島太陽光発電所、山梨県甲府市の米倉山太陽光発電所、愛知県たけとよ発電所、お隣大阪府堺市の堺第7-3区太陽光発電所、堺コンビナート太陽光発電所、四国に移りまして愛媛県松山市の松山太陽光発電所、福岡県大牟田市、港太陽光発電所、この7カ所があります。それぞれの着工は本年度から来年度にかけて行われる予定でありまして、ただ、現在のところ、これらのメガソーラー発電所は検証段階でありまして、商業化に踏み出すまでにはクリアしなければならない課題というのは山積しているところでありますが、国と歩調を合わせて第一歩を踏み出している、これは事実だと思います。
 このうち、浮島・扇島太陽光発電所用地、これにつきましては、川崎市が事業者に賃貸、川崎市ではカーボン・チャレンジ川崎エコ戦略と題して地球温暖化対策を進めております。
 米倉山太陽光発電所は、山梨県が持っている土地を事業者に無償で賃貸することになっております。この造成地は、ハイテク企業誘致を目的に山梨県土地開発公社が米倉山ニュータウン──これは1990年に開発に着工したものですが、よく似た状況です。企業誘致が難航して計画は頓挫。今回はその用地をこのメガソーラーに活用する、そういうものであります。
 また、堺第7-3区太陽光発電所用地は、大阪市が事業者に賃貸。堺市は低炭素型都市クールシティ・堺の実現に向けた重点項目に位置づけておりまして、事業に係る固定資産税を減免しています。
 このように、メガソーラーに関しては、地方自治体の強い要請と事業者の協力があって初めて実現するものだというふうに思います。
 各首長からの発言から、環境施策に熱心な地域がなぜこれを受け入れられたか、実現したか、そういうことがうかがい知ることがありますので、少しコメントを引用さしていただきます。
 愛媛県加戸知事、「将来の経済成長をけん引する有望な分野の先駆けとなるメガソーラー発電所の増設は大変喜ばしい。新エネルギーの一層の普及と関連産業の振興を図りたい」。また、山梨県横内知事、「リニア中央新幹線が開業すれば米倉山の地域も有効活用できる可能性も高まってくる。それまでの活用策になるのでは」。堺市長、木原市長は、「地球温暖化は人類の生存基盤を揺るがす最重要課題だ。世界的な視点に立って全力で対策しなければならない」。また、川崎市の阿部市長、「羽田空港からも近くて発着陸の際など国内外へのPRになる。地球温暖化対策に取り組む市のシンボルとして期待している」。それぞれコメントをしているところであります。
 さて、電力会社の動きを続けます。
 2020年までに全国で30カ所、14万キロワットを導入する計画を示しています。この規模は現在の約35倍、メガソーラーによる年間発電電力量は1億5000万キロワットアワー、一般家庭では約4万軒の電気使用量に相当し、CO2の削減量として約7万トン、これだけの効果を期待しているところであります。課題は、電力系統の安定に関しても、太陽光発電は集中設置などの場合を除いて1000万キロワットまでは既存施設で受け入れ可能、このように発表しているところであります。また、2020年までに非化石エネルギーの比率を50%にすることを目標に掲げているように、再生可能エネルギーの拡大を明確にしているところであります。
 また、内閣官房からは、昨年の7月、平成20年の7月に低炭素社会づくり行動計画なるものが示されているところであります。これによりますと、既存の先端技術の普及策として太陽光発電の導入量の大幅拡大が掲げられ、現在ドイツに奪われている太陽光発電世界一の座を再び獲得することを目指していると、ここで明言しております。そのために、これは福田ビジョンでもう御存じのように、太陽光の発電導入量、2020年には現在の10倍、2030年には40倍、この実現を目指しているところであります。そのため、政府は、電気事業者によるメガソーラー建設計画の思い切った支援、それから地方自治体との連携、この2点を挙げているところであります。
 さらに、エネルギーの地産地消の推進を図り、地方自治体による太陽光、水力、バイオマス、こういった地域性を考慮した地産地消型の新エネルギーの利用を評価し、すぐれたものを新エネ百選として2年から3年にかけて選定するということになっておりますから、せめて和歌山県としてもこれに選定されるぐらいの意欲を示してほしいというふうに思います。
 このように将来性のある再生可能エネルギーなんですが、これは、実は地理的な制約が存在しています。特に太陽光発電は不向きな地域が多く、どこでも設置可能というわけではありません。その点、全国的に見ても日照時間が長く、比較的広大な用地の提供が可能な和歌山県は太陽光発電の適地となる可能性を秘めているというふうに思います。
 低炭素社会の実現は洞爺湖サミットでの我が国の国際公約であり、環境先進県を目指している和歌山県としては、このようなメガソーラー発電所建設を誘致すべきだと考えています。できる、できないというのは別として、知事が低炭素社会実現とエネルギー自立県を目指す一環として太陽光発電の可能性をどう考えているのか、今回確認をさしていただきたいと思います。トップにその考えがないと大きなプロジェクトというのは実現するものではありませんし、本気度があればその可能性は出現してくるのだろうなあというふうに思っております。
 あわせて、和歌山県の課題の1つに企業誘致活動があります。
 経済が失速している中、企業誘致は困難を伴っているものでありますが、それでも和歌山県が着実に成果を上げているのは、県が企業誘致にかける強い姿勢がある、これがあることに基づいていることであります。現在、投資意欲旺盛な企業は限られてますが、その中に太陽光発電関連企業があります。県の企業立地課としてもこれらの企業へのアプローチは強くしているというふうに聞いてはおりますが、それらの企業に対して、和歌山県に行ってもいいよと思わせるためには、和歌山県がこの低炭素社会実現の役割を本気で思っているその姿勢を持つことが絶対条件であります。その中核として、県として環境先進県としてのあるべき姿、目指すべき姿を持っているかどうか、新長期総合計画から具体的にどうこれから展開させるのか、その点に尽きようかと思います。いつ、どこで、どのタイミングで何の取り組みを行うのか、これは具体化してほしいというふうに思います。
 平成21年度の予算、この予算案を見る限りにおきましては、住宅への太陽光発電設備に関しての補助金、公共施設への太陽光発電設備も、もちろん設置も大切なことなんですが、県民の皆さん向けで短期的な低炭素社会に貢献する施策ではありますが、和歌山県としての大きな考え方というとこまでは踏み込んでいないような気がします。これらの裏づけにつきましては、新長期総合計画の中で、または平成21年度予算案の中でどこに示されているのかよくわからないというのが現状だと思います。もちろん、予算がなくても取り組み方針があれば何の問題もないと思いますが、もし和歌山県が国策である低炭素社会の実現に向けて誇るべき考えがあれば示してほしいなあというふうには思っております。
 現在、私たちが使用しているエネルギーというのは、メード・イン・サウジアラビア、メード・イン・カタール、そういったたぐいのものです。ひょっとしたら将来メード・イン・堺あるいはメード・イン・川崎、そういったエネルギーをここ和歌山県でも使用しているかもかわりません。そのときになって、どうして和歌山県は自立できる地域エネルギーの取り組みをしてこなかったのだろうと県民の皆さんに思わせるようでは、地域の誇りも自信もあったものではありません。主力エネルギーになり得るかどうかは別としても、地域が地産地消の再生エネルギーを持っていることが当たり前の時代になる、そういう時代が到来する可能性もあろうかというふうに思います。
 多くの分野において全国と比較すると40番台という項目が多い和歌山県が、恵まれた自然環境があるにもかかわらず、再生エネルギーの分野でもおくれをとってほしくはないと思います。また、国益、国策としてのエネルギー安全確保の観点からも、メガソーラーが1県1施設持とう、そういう考えもあろうかというふうに思っております。
 ところで、我が国においては、麻生総理大臣が日本版グリーン・ニューディール構想、この策定を環境省に指示しております。ところが、策定に当たりまして斎藤環境大臣がこの案を報告に行ったときの麻生総理の反応は、「何だこれは」と、そういう反応であったと、これ専門誌に、ここに書かれております。少し紹介さしていただきますね。何で「何だこれは」と言ったかと言いますと、アメリカのグリーン・ニューディール政策、これでは400万人の雇用確保、再生エネルギーでは50万人の雇用創出を目指している。このことに対して、環境大臣が提案した環境施策は、都道府県への環境基金拡充、庁舎への太陽光発電の導入、エコポイント型マッチングギフト、環境関連の無利子融資制度、こういったものだったからです。その説明を聞いた麻生総理大臣は、さすがにアメリカとのレベルの違いに唖然としたらしく、「太陽光発電だとか電気自動車だとか、もっと何とかならんのか」と麻生首相は環境大臣にこう言いまして、改めて検討を指示し直したと。こういうふうにここに書かれております。さすがは麻生総理大臣だというふうに思います。
 麻生首相が求めていますように、環境政策は地球規模の環境問題解決に向けたものと雇用確保、これにつながるものである必要があるからです。和歌山県が麻生総理大臣が苦言を呈したような施策を並べているだけでは、地球温暖化対策と循環型社会の構築──これは県が示している表題でありますが──これには決してつながらないというふうに思います。
 そこで、質問であります。
 地球環境問題やエネルギーの確保、大災害への備えの観点からも、和歌山県が地域として新エネルギーを持っていることは生命の安全を約束するものです。和歌山県としてメガソーラー発電所の誘致に取り組むべきだと思います。そこで、どこにどの供給規模あるいはどういった施設を念頭に置き、官民で抱える課題が何で、どういうマイルストーンのもとにだれがどういう行動をいつまでに行っていくことが適切なのか。例えば、コスモパーク加太用地を提供するだとか、旧白浜空港跡地利用を活用するだとか、そういった考え方もあろうかと思います。知事の強い要望と姿勢がこの取り組みの最大のかぎを握っていますから、このことにつきましては知事の見解をお聞かせいただきたいと思います。
 2点目、新長期総合計画に基づく新エネルギー導入計画について具体的に示してほしいと思っております。
 新長期総合計画の中では、105ページの3、1行目、ここでこういうふうに書かれております。「太陽光発電や(中略)利用を促進するとともに」と、この文面があるだけです。利用促進だけで積極姿勢が見られない内容になっていますから、これだけではとても環境先進県を目指すということは名乗れないと思います。低炭素社会実現に向けて推し進めるべき取り組みについて、この点、企画部長の答弁をお願いしたいと思います。
 2点目であります。雇用問題につきまして質問をさしていただきたいと思います。
 雇用問題につきましては、一般質問の初日から議論が交わされているところでありますが、いま一つ踏み込んだところがないような気がして少し残念な気がしておりますが、ぜひ同じこの項目につきまして先輩・同僚議員とダブらない観点から質問をさしていただきたい、このように思っております。
 経済にとって大事なこと、これは、生産性、所得配分、失業対策、この3つであります。多くの人の生活水準を左右するものは、この3つの要素。この3つの要素が大事だというふうに思っております。雇用がなぜ大切なのか。それは、失業がなぜ悪いのかということを考えるとよくわかります。失業率が高ければ生産能力を持った労働者が活用されないため、経済の算出能力も使われない。その結果、社会全体としてはもったいないこと、これが1つ。それから、慢性的な貧困の温床になる危険性がある、これが2点であります。つまり、和歌山県の将来の経済成長率、成長性、こういったものが見込めなくなる、こういうおそれを秘めているということであります。
 それよりももっと大事なことがあります。それは、学生ですね、子供たちが学校を卒業したときに働ける環境があると思える地域であることの大切さであります。社会人になって多少の波乱はあったとしても、有意義な仕事につけていると思える地域は、例えば雇用されることが特権になってしまって就職できない地域、就職をここではできないよと思える地域とは全くその意味が違います。和歌山県に仕事がないと思われることは、地域の実力がないと思われることなのです。福祉や教育、こういったものが同じだとすれば、仕事のある地域がいい地域であることには、よほどの価値観の違いがない限り間違いのないことだと思います。
 ところが、残念なことに通常の経済政策の範囲内では、この大事な生産性、所得配分、失業者対策、これはもうどうにもならない、こういうことなのです。生産性を上げること、所得の不平等を是正すること、完全雇用に近づけようとすること、これはこれらの経済対策というのは世界的に見てもめったにお目にかかれない、これは私が言っていることじゃなくて、昨年ノーベル経済学賞を受賞しましたポール・クルーグマン教授が言っていることなんですが、非常に難しい。ですから、今回、県があるいは国が示しているそのめったにお目にかかれない失業者対策、雇用対策を行おうとしていることにどうしても関心が行ってしまいます。
 政府の雇用対策というのは、これ、結構具体化しています。3年間で2兆円規模の対策実施、140万人の雇用維持と創出、これを目指していることです。中でもふるさと雇用再生特別交付金として2500億円、これが都道府県に支出され、雇用創出効果は3年間で最大10万人、これも数字を具体化、これを見込んでいることに注目したいと思います。
 そして、これは地域の実情や創意工夫に基づいて地域内の求職者の雇用機会を創出する取り組みを支援するもので、その受け皿として都道府県に基金を造成し、県内の企業やNPO法人に今後の地域の発展に資すると見込まれる事業を委託することによって雇用機会を創造しよう、そういう性質のものです。安定的、継続的な雇用機会の創出を図るため、労働者と原則1年間の雇用契約を締結し、必要に応じて更新が可能、このようにされております。また、この本事業を実施するために雇い入れた労働者を正職員として雇用する企業に対しては一時金も支給するよと、このようになっております。
 雇用の安定、生活支援、これを最優先で取り組むという厚生労働省の掲げる方針に対して、収益モデルを具体化させられる事業をどれだけ市町村が取り上げられるか。ここにこの基金の成否がかかっていると思います。仮に市町村が収益が余り上がりそうにもないものを、事業化案、そういったものを、提案してきたものについて出すんであれば、単に委託費を払う、こういう性質のものになり、全く雇用という意味では意味をなすものではありません。長期的な雇用創出を図ることが特別交付金の真の目的のはずです。
 和歌山県として長期的な雇用創出に重点を置くべきで、そのために正規雇用を図る企業などに対して活用すべき性質のものですから、雇用を創出する前提に立った事業立案をぜひともしてほしいところであります。そのためには、公労使による雇用創出懇談会を持って企業誘致、和歌山県の地域事情に応じた産業を創出し、同時に雇用もつくり出す、この方向性を求めてほしいというふうに思います。
 ところが、この政策が非常に困難に思えるのは、我が国においては既に生産性が供給過剰になっていること、つまり民間企業の中の手持ちの供給能力を使えるだけの有効需要、力強い需要がないことが問題になっているからです。そして、仮に有効需要をふやせたとしても、じゃ需要がふえたら何が起こるかということになりますと、これ、仕事がふえる、こういうこともあろうかと思いますが、実は仕事がふえるんではなくて、賃金が上がるわけなんです。賃金が上がることで生み出された所得というのが、これは吸収されてしまうよということになりますから、雇用問題というのは本当に難しい問題だというのがわかります。
 ただでさえ供給が過剰なのに、今存在している仕事以上の、市場にない新しい仕事をふやして需要をつくり出す、そして雇用につなげることに挑戦しようとするこの政策は大いに歓迎すべきことなのですが、これは、よほど大胆な新事業、新産業を育成する取り組み、これが必要で、その覚悟で仕事をつくり出さないと、単に委託費を出す、これだけでは経済対策にならないというふうに思います。
 確かにすごいもうかるような、収益を上げるような新産業が出てくれば、委託をやめた後も投資家はその産業に投資してますから経済は好転し始めます。問題は、事業家や投資家が今でさえ探しかねている新産業を県や市町村がどうやって見つけるかです。資本主義社会ですから、そんなものがあればだれかが既に着手しているはずです。
 今回この政策を成功させようとすると、新産業を発見すること、どうやって育成するのか、この2点をセットにしなければ余り意味のないものになってしまいます。今回のふるさと雇用再生特別基金活用事業の要件には、新たに企画した事業で既存事業の振りかえは不可、この項目があるだけで、今のところこれに関しての議論は交わされておりません。地方自治体がやる事業だからとか、有望分野に補助金を拠出する、こういったことだけで、これは有効施策になるよと思う人は今では少数派ではないでしょうか。無論、将来の市場が見込めないため企業が新しいものに取り組みをしないという状況の中において都道府県が新規事業によって景気回復をリードする、これはもう大歓迎なのですが、そこで質問を知事にさしていただきたいと思います。
 1点目、ふるさと雇用再生特別基金の活用事業、これは検討段階にあるというところですが、この事業の本質的目的は、委託を受けた企業活動における新事業のための正規雇用確保に関しての人件費を3年間出そうと、行うという本格的な雇用対策をすることにあろうかと思います。ですから、そのため、3年間で成果を出して、その後は新規事業として自立したものに仕上げてもらう必要があります。3年後、今回実施した事業が失敗したため、正規雇用を確保したがために非正規雇用の人の雇用調整を図られるようではこの政策の意味はありません。
 そこで、ふるさと雇用再生特別基金活用事業で何の成果を期待しているのか、お示しいただきたいと思います。
 最悪なのは、今回採択した事業が支援措置をなくした1年後あるいは3年後にその事業をやめてしまうことです。それでは一過性の対策にすぎず、本格的な事業の意味合いが失われてしまいます。計画を上げてくる市町村と委託を受ける企業、NPOに求める雇用の成果は何なのか、これを明らかにしていただきたいと思います。
 2点目、公労使による雇用創出懇談会、これを設置することによって将来にわたって本格的に正規雇用を促すための対応策を講じてほしいところですが、いかがでしょうか。この2点は知事の答弁をお願いしたいと思います。
 それから3点目、近年、和歌山県には多くの企業が進出してくださっているところなんですが、進出してくれた企業の正規雇用の状況はどうなっていますか。企業誘致が正規雇用に効果が上がっているかどうかの検証結果をお示しいただきたいと思います。それと比較して、従来からの和歌山県の地元企業の雇用状況はどうなっていますか。来年度以降の雇用に関しての県の支援体制は果たして整えているのでしょうか。この点に関しては、商工観光労働部長から答弁をお願いしたいと思います。
 それから、最後であります。来年就職活動を迎える地元大学生と先日懇談する機会を持ちました。そうしたところ、就職に関して非常に不安を持っている、このことがよくわかります。ことしの就職活動は買い手市場であり、求人数も絞られているため苦戦しているのですが、これは、上場企業であっても決算によっては採用を絞っているため学生の希望がかなわない、こういう状況が既に出現し始めております。平成20年度の決算には、平成20年度上期の比較的業績のよい期間が含まれていながらの通年の赤字決算、こういった企業が幾つかあります。
 来年の21年度決算は、通年にわたって厳しい経済環境の中での決算を余儀なくされますから、業績が本年度よりも悪化することは十分予想できます。ですから、現在の大学2年生にとっては来春の就職活動はことしよりもさらに厳しくなる可能性があるわけです。ことし就職活動を迎えている現在の3年生のことを他人事とは思えない状況にあります。
 特に、和歌山県内で就職を希望する学生にとっては選択の余地が非常に少なく、厳しい環境にある。どうしても県外企業に向けての就職活動が中心になりますから、せっかく地元大学で学んだのに、あるいは地元の高校で学んだのに就職で県外に出ていかなければならない、こういう悩みがあるわけです。そして、一度就職して県外に出てしまうと、よほどのことがない限り、再び和歌山県に戻ってきてくれることはありません。つまり、和歌山県人から他府県の住人となってしまい、就職時期ごとに県の人口が減少する、こういうことになるわけです。こんな状態がこれからも続くようなことになりますと、人口あるいは経済力、これのさらなる先細りは確実と思います。
 ですから、経済対策とは、雇用機会を拡大することが最大の防御策となります。新卒の学生に和歌山県で働いてもらうことの大切さを学生との懇談の中で痛感した次第であります。
 ホームページで、和歌山県では、「和歌山県で働きませんか!」プロジェクトを確かに呼びかけておりますが、これだけではなくて、地元の高校や大学を卒業した人を受け入れられるだけの雇用を確保するように県としてはそういった対策を、支援策を充実さしてほしい、このように思います。
 そこで最後、商工観光労働部長に質問をさしていただきたいと思います。
 ことしの就職活動以上に厳しさを増すと思われる来年度の新卒就職予定者に対する就労対策は今から考えておく必要があろうと思います。県内にとどまってもらう、あるいは県内に戻ってきてもらうための県としての雇用対策についてお聞かせをいただきたいと思います。
 以上をもちまして、第1問を終わらしていただきます。御清聴ありがとうございます。(拍手)
○副議長(山田正彦君) ただいまの片桐章浩君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、メガソーラー発電所建設の考えについてお答え申し上げたいと思います。
 和歌山県につきましては、議員御指摘のとおり、太陽光にも恵まれているところでございますし、それから、何といってもこれからの雇用とか世界的なエネルギーとかそういうことを考えますと、供給側、需要側ともにこの太陽光を使ったエネルギー産業をぜひ和歌山に持ってきたいと、実はこういうふうに思ってるわけであります。
 1つは、電力会社を通じた、議員の言葉で言うとメガソーラー発電所ということであります。もう1つは、県営施設などでそれをつくっていくと。太陽光発電パネルを使ったそういう施設をつくってクリーンエネルギーを導入することを考えると。それからその次に、住宅にそれを導入することによって、同じようにエネルギーをクリーンなものに変えていくと。最後に、供給側の関連産業をぜひ和歌山に誘致したい。こういう体系になるわけでありまして、みんなそれぞれ実は努力をしております。
 繰り返しになりますけれども、太陽光発電につきましては、日照時間が長い本県の特徴を生かせるものでありまして、温室効果ガスを発生させない自然エネルギーの利用として、その導入に積極的に取り組んでいるところでございます。また、太陽光発電の普及促進には、新たな雇用や産業の創出といった経済効果も期待されるところであります。
 それぞれ4つ申し上げましたことについて申し上げますと、県営施設、それから住宅につきましては、それぞれ、ことし国の補助金なども活用しまして21年度予算でかなり奮発をいたしました。住宅についてはそれでうまくいきそうなんですが、問題は県営施設等々でありまして、今かなり手厚い助成金をつくっていただいてるんですけれども、それでもかなりつらい県の持ち出しになります。そういう点について、今また政策提言をして、もう少し助けていただくと、かなり県としても、これは実物ベース、商売ベース──経済ベースでもっと積極的な導入ができるというようなことを今申し上げているところであります。
 それから、関連産業につきましては、実は和歌山には結晶型のシリコンの太陽光発電のもとになるパネルをつくる一番上工程の企業があります。もっと実は大きくしたかったんですけれども、もう既によそに大きくつくってしまうということを私が来たときに決めてしまっておりまして、そこを何とかと言って少し拡張してもらうという方向へ今動いています。それに加えて、残りの、例えばパネルを使って発電所をつくるようなそういうものについても何とかならんかと言って八方手を尽くして、今、誘致に全力を挙げているところであります。ライバルも物すごくあります。
 それから、電力会社についても既に手は打って話し合いもしておりますけれども、なかなか電力会社といっても、採算が合わないと出血覚悟で昔みたいにいろんなことをやってくれなくなってきています。そういう意味で、よそでやってるような、例えば某々施設を全部ただで県の負担のもとに提供するということが今の和歌山県ができるかというと、実はできません。残念ながら手足が縛られて、何とか採算を合わしてやってくれませんかというようなことを、もちろん県も持ち出しをいたしますけども、そういう話し合いをしているところでありまして、ただで提供できるような財力のある県はええなあというふうに思っている次第であります。
 ただ、こういう話というのは、採算等々はその時代の技術体系とか時代背景あるいは政府の助成等々によって条件が次々と変わってきます。したがいまして、いろいろクリアすべき問題はあるけれども、ぜひ、できれば和歌山にそういうものができるということはすべての点でいい話でございますので、こういう状況をずうっとフォローしながらチャンスを見て何とか実現できたらいいなということで引き続き努力をしていきたいと、こんなふうに思っております。
 それから、ふるさと雇用再生特別基金活用事業につきまして御質問がありました。
 これは、御指摘のように安定的な雇用機会の創出を目的とした事業でありまして、これをうまく活用して和歌山の地域産業の発展、活性化につながることを期待しているわけでございます。この場でもお答え申し上げましたように、この使い方については、1つは雇用がふえるということが大事だと。もう1つは、これが長期的にその雇用が持続するというようなものにつながっていくような、そういう使い方ができればいいと思うということで努力していきたいとお答え申し上げてるところでございますが、片桐議員のそこの質問の中での御指摘もそういう趣旨であったかというふうに考えております。
 先週、日経連と連合が従来になかった連携によりまして厚生労働省に提言を行い、この危機に対する共同宣言をまとめる方針が発表されたところでありますが、県といたしましても、御指摘のように公労使が参加し、協議することは意義あることと考えておりまして、今月既に発足いたしましたふるさと雇用再生特別基金事業地域協議会を初め、さまざまな機会をとらえて、さっき申し上げましたような、使い道でもみんなが知恵を出してもらえないかということをこれから熱心に取り組んでいきたいと思います。
 ただ、御質問はこういうことでございましたが、雇用はこれだけではございませんで、片桐議員御指摘のとおり、ちゃんとした需要のあるところをアピールして、それでミスマッチを解消したいということが1つあって、これは予算はもう既にいただいておりますので、「和歌山で働きませんか!」プロジェクトを3つ立ち上げて、本当に需要のある和歌山ですから、ぜひいらしてくださいということを熱心にお勧めしておりますし、それから、雇用のもとになる産業づくりをしていかないといけないということで、これは底力をつける政策というふうに整理しておりますが、例えば新リーディング産業育成とか、あるいはふるさと元気プロジェクトとか、新農林水産業総合戦略プロジェクトとか、そういう産業づくり、地域づくり、こういうものについても、短期的な雇用だけじゃなくて、取り組むことによって長期的な雇用を達成するということを頑張ってやっていきたいと考えております。
○副議長(山田正彦君) 企画部長前硲健作君。
  〔前硲健作君、登壇〕
○企画部長(前硲健作君) 新長期総合計画に基づく新エネルギー導入への取り組みについてでございますが、まず太陽光発電につきましては、本年度から県独自の施策として家庭用太陽光発電設備設置への補助制度を創設しておりまして、予算額を上回る申請があり、公開抽せんを行ったところでございます。今後は、資源エネルギー庁の太陽光発電導入支援対策費補助金との併用も図りながら、さらに住宅への太陽光発電の導入を促進してまいります。
 また、21年度から、公共施設への太陽光発電の率先導入として、県庁舎や教育施設等への太陽光発電設備の導入や和歌山駅前など代表的スポットへの太陽光発電LED街路灯の導入に取り組むこととしております。さらに、バイオマスエネルギーの利用につきましては、21年度予算で木質パウダー燃料を利用する地産地消型の木質バイオマスエネルギー利用システムの構築支援に取り組むこととしております。
 これらの取り組みはCO2排出削減に資するのみならず、産業振興、地域活性化につながるものでございますので、引き続き国の施策の動向を注視しつつ、本県の地域特性、地域資源を生かした新エネルギーの導入促進に取り組んでまいりたいと考えております。
○副議長(山田正彦君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 雇用問題についての2項目につきましてお答えをさせていただきます。
 まず、誘致企業における雇用の状況につきましては、例年4月に調査を実施しているところでございますが、経済情勢の悪化に伴う影響調査を把握するため、本年1月に臨時に調査を実施したところでございます。この調査によれば、これまでに誘致した84カ所の事業所におきまして3390人の正規雇用がなされてございます。また、景況悪化による影響でございますが、昨年4月と比べますと58人の雇用増であり、企業誘致による働く機会の確保が一定規模で維持されたというふうに認識しているところでございます。
 一方、地元企業の雇用状況につきましては、総務省が平成19年度に実施いたしました就業構造基本調査によりますと、23万5200人が正規の職員、従業員として雇用されてございまして、会社などの役員を除いた雇用者に占める割合は64.5%となっており、全国水準をやや上回っております。しかし、正規雇用者は5年前の調査と比べますと1万800人の減少ということで、正規雇用の割合も5.2ポイント低下し、厳しさがより一層増しているというふうに認識してございます。
 雇用情勢が急速に悪化している中で、来年度の雇用対策につきましては、ジョブカフェわかやまに企業を巡回し新たに求人情報を開拓するスタッフを配置するとともに、和歌山労働局との連携により新たに設置した地域共同就職支援センターを含め、企業面談会の開催や就職セミナーの実施などのさまざまな事業を展開し、安定的な雇用の場の確保に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、平成21年度の新規学卒者の就職につきましては、議員お話しのとおり、私どもも大変懸念しているところでございまして、県としましても、従来より大学生等を対象としたUターンフェアの開催や高等学校卒業予定者を対象とした企業説明会などを開催し、県内就職を支援しているところでございますが、雇用環境の急速な悪化を踏まえ、新年度は和歌山大学や和歌山工業高等専門学校におきまして、県内の有力企業が実践的な講座を設置し、経営理念やすぐれた技術などを紹介するとともに、企業情報誌を新たに作成し、県内外の大学や県内の高校に配布するなどして新規学卒者が県内企業への就職がさらに進むように頑張ってまいりたいというふうに考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(山田正彦君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山田正彦君) 再質問を許します。
 33番片桐章浩君。
○片桐章浩君 御答弁ありがとうございます。
 それでは、第2問は要望ということで2点さしていただきたいと思いますが。
 まず、低炭素社会への取り組みについてでありますが、これは、知事が示していただきましたように、和歌山県の経済対策、環境対策、これを同時にやり遂げるという強い意思を持って環境先進県を打ち出す、このことによって環境関連企業あるいは事業者、こういったところが、和歌山県は本気でやってるなあと、こういう下地が整えられようかと思いますので、ぜひ進めていただきたいと思います。
 エコタウンのイメージを持っているというのは、今では北九州市あるいはパネルベイのイメージが定着し始めた堺市などのように、かつては工業地帯というか、悪く言えば公害都市みたいなイメージのあったところが今では環境都市への転換を図ろうとしている結果、環境先進都市のイメージ、これを形成している、こういう都市の取り組み方が非常に参考になろうかと思います。
 和歌山県は、もちろん環境立県のイメージはあるのですが、これは自然条件とか地形的なものから来ているものであり、積極的な環境先進県というところまではまだまだ認知度はないのかなというふうに思っております。そこで、恵まれたこのような自然環境に加えて、環境関連企業の誘致による積極的な環境先進県への転換を図り、持続させることで地域経済活性化、雇用確保、こういったところにも同時に図れるように達成するようにお願いしたいと思います。
 また、先月2月20日、大阪府知事が経済産業大臣に関西の新エネルギー関連プロジェクトの集中投資をお願いしております。これができたというのも、環境モデル都市計画という裏づけがあってからだというふうに思っています。和歌山県としてぜひ環境先進県を目指す計画、これをつくって環境投資で雇用拡大も図ろうとしているこの機運を逃さない施策を打ち出していただきたい。そのためには、現在のところまだ形にはなっていないんですが、経済発展と調和性を含んだ低炭素社会のイメージ、CO2の削減または新エネルギー関係の企業誘致、まちづくり、県内企業でのCDM形態と排出権取引の拡大、こういったところの見通しもぜひ協議してほしいというふうに思います。
 国が言うところの環境立国、これをリードしているのが和歌山県だと言えるような見通しを組んだ計画をぜひ立ててほしいなというふうに思います。
 それから、雇用問題に関してであります。
 知事から雇用の拡大と長期的な雇用の安定という答弁をいただきまして、まさにそのとおりだと思います。懸念するのは、せっかくのこの基金を活用した事業があるのに委託した事業が支援措置をなくした時点でもうとまってしまう、これがもう一番悪いことなんですよね。ですから、市町村が果たしてそのような長期的な雇用確保につながるような案を上げているのか。これは、県が内容をウオッチしていただきまして指導性をぜひ発揮していただきたい、このように思います。
 この国のふるさと雇用再生特別基金では、国が具体的に──繰り返しますが──雇用創出効果は3年間で10万人と具体的な数字を、これ、見込んでいるわけであります。ですから、そのうち和歌山県としてどの程度の雇用を創出するか目標をきちんと示してあげないと、あるいは相当の部分割合を担う覚悟を持たないと市町村に具体的な指示というのはできないと思います。どこどこさん幾らの雇用創出してよと、なかなか言えないと思います。そうであったら、市町村がどれだけの雇用を自分のまちでつくったらええのかわからないままであれば、雇用に見合った新しい仕事というのは、こんなん決してつくれることはないと思います。ただでさえ困難な雇用をつくる政策、それをやろうとしているんですから、その覚悟を持って真剣な県としての支援策を講じてほしいということを心から期待いたしまして、要望とさしていただきたいと思います。ありがとうございます。
○副議長(山田正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で片桐章浩君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 12番須川倍行君。
  〔須川倍行君、登壇〕(拍手)
○須川倍行君 アラブ首長国連邦に行ったことがあるという方はそんなにいらっしゃらないと思いますが、ドバイってどんなとこよって関心を持ってる方はたくさんいらっしゃると思います。そこで、きょうはこの1点に絞って少し詳しくお話しさせていただきたいと思いますんで、どうかよろしくお願いいたします。
 私は、県産果実の海外への販路開拓のため、県議会農林水産振興議員連盟も参画する和歌山県農水産物・加工食品輸出促進協議会が実施したアラブ首長国連邦スピニーズにおける和歌山県産品フェアの視察及び輸出環境調査のため、新島議員とともに、去る12月19日からアラブ首長国連邦を訪問してまいりましたので、その報告と若干の質問をさせていただきます。
 12月19日夜11時15分、関西空港を出発。エミレーツ航空にておよそ12時間の飛行時間を経て、翌20日朝7時過ぎにドバイ国際空港に到着しました。とにかく広い空港でして、飛行機を降りまして荷物をとって、ただひたすら出口まで黙々と歩くわけですけど、出口になかなかたどり着かないわけです。ターミナルの大きさは関西空港の約3.5倍ということですんで、大体皆さんも御想像がつくと思います。
 ここで、少しアラブ首長国連邦について御紹介したいと思いますが、アラブ首長国連邦は総面積約8万3000平方キロメートル余りです。大体、北海道とほぼ同じ面積ということです。アラビア半島に位置し、砂漠と海岸線を有する国であります。人口については、約450万人が暮らして、その8割が外国人で、自国民、いわゆるローカルの割合は2割であります。この国の政治経済状況は、7つの首長国で構成された連邦制で、各首長国は絶対君主制、連邦の首都はアブダビで、そのアブダビ首長国と今回フェアが開催されたドバイ市のドバイ首長国はそれぞれ人口約150万人を抱え、他の5つの首長国を人口と面積で上回る連邦の主要な首長国であります。
 アラブ首長国連邦は世界第5位の石油埋蔵量を誇り、中でもアブダビの世界輸出の6割が日本向け、日本の石油輸入の約4分の1がアブダビからであり、日本が最大の石油パートナーであるとのことであります。
 中東イコール石油というイメージがありますが、ドバイの特徴は、石油に依存しない貿易、サービス業中心の多角的経済発展を志向しており、政治はアブダビに任せて、経済活動に専念しているところであります。フリーゾーンの港湾設置とエミレーツ航空と国際空港の拡充により、世界最大の中継貿易、物流拠点を目指しているところにあります。
 目下の国際金融危機により、日本国内でのテレビや新聞等の報道でもドバイの変調についての記事がありましたが、現地に伺って見聞し、関係者からお話を聞いた範囲では、ユニークな人工島プランなどの不動産分野を中心に影響を受けているようではありましたが、アブダビがある限りドバイはお金が返せると現地では考えられており、健全な経済発展に向けて調整段階に入ったと感じたところでございます。
 さて、県産果実の海外販路開拓のうち、販売促進活動として食品流通課職員とも合流し、12月20日の土曜日、ドバイ市郊外にある富裕層が多く居住する地区にあります現地高級スーパー、スピニーズのメドース店で開催された県産品フェアの状況を視察してまいりました。
 写真1をごらんください。これでは少しちょっとわかりにくいんですが、ごくありふれたスーパーマーケットでありますけども、ここの駐車場には、見たこともないようなクラシックカーとか、超スーパーカーというんですか、そういうのが何台もとまってまして、いわゆる現地のアラブの大富豪と一見見かけられるような人がさっそうとそのスーパーカーに乗って、乗りつけてまいるわけであります。
 写真では撮れないんです。現地の方というのは写真を大変嫌いまして、勝手に写真を撮ったりするとむちゃくちゃ怒られるということで、写真のようなものは1枚もございませんので、お許しください。
 会場は正面入り口奥の店舗中心に位置し、ここでロシア人とフィリピン人の2名の販売促進員による試食PRやアンケート調査が実施されていました。写真の2、4、5です。非常にいい場所で、きれいな女性の方が販売促進員として試食というかアンケートをとったりしてました。
 また、店舗の果実売り場において県産の温州ミカン、ハッサク、ハウスデコポン、冷蔵富有柿、あんぽ柿の5種類が販売されていました。航空便で輸送したということもありまして、2Lサイズの温州ミカンは1キログラム当たり65ディルハム──1ディルハムは約30円ですから日本円に換算して約2000円、1個当たり約300円の販売価格でありました。同様に、ハッサクが1個800円、ハウスデコポンが1個1500円で販売。冷蔵富有柿が1キログラム当たり2300円、1個当たり約750円で売られました。写真3に当たります。こういうふうに陳列されているわけですけど、無事完売したとの報告を受けております。
 日本産ということで来客の注目度も高く、会場での試食等による評価は味がいいとのコメントをいただき、品質に対する高評価を得た一方、価格が大変高いと言われました。現地の方に果実を購入するポイントを尋ねたところ、価格、鮮度、味、そして特に安全性を意識していることがわかりました。
 ドバイでは、生活必需品というんですか、水のようなもの、あと飲み物ですね、それからガソリン、それからタクシー代、これがもうむちゃくちゃ安いです。ただし、外国人向けのホテルの宿泊代とか、あと車の料金は非常に高いということであります。そのほかの物価というのは、若干日本よりも高目かなという感覚であります。
 今回の県産果実販売を担当している輸入元業者に聞きますと、この店の客層は欧州人5割、アラブ人富裕層が2~3割、残りがインド人、自国民とのことであります。店舗の入り口には、調査時期の関係もありますが、かんきつ類が陳列、ばら売りされており、その産地は、中国、アメリカ、南アフリカ、スペイン、パキスタン産など多彩な顔ぶれの種類が並んでいました。写真の6、7、8になります。
 食事に関しても、やっぱり世界じゅうの食材と世界じゅうの料理があるということで、何を食べても現地料理でも非常においしいなと感じたのが率直な感想ですね。
 続いて、ドバイ市内市場調査としてショッピングモール等の商業施設視察やカルフール、ウエイトローズといったスーパーにおいて果実販売状況等を調査してまいりました。
 まず訪れましたのは海岸部で、ヤシの木の形をした人工島パームジュメイラ──これは何度もテレビで報道されているんで見たことのある方もいらっしゃると思うんですけど、本当に変わった、ヤシの形をした人工の島です。その中にアトランティスホテルという、中に水族館も併設してるというホテルがあるんですけど、ここがすごい観光客が一番よく泊まると。そして、その人工島にも観光客が大変たくさん訪れるんですが、その写真のスポットにもなっているホテルがあります。普通の部屋で1泊10万円ぐらいするらしいんですが、現在は6万円ぐらいまで下がってきているとのことであります。
 それから、ホテルとしては世界一の高さを誇るバージュ・アル・アラブ、これは写真の11番ですが、ここで宿泊は、一番安い部屋で1泊25万円だそうです。
 次に、新市街東西を貫く幹線道路沿いに移り、ショッピングモールとしては世界第3位の規模と言われ、建物内にはスキー場もあるモール・オブ・ジ・エミレーツ。これは写真の12番です。これはもうカルチャーショックを受けました。本当にでかいスーパーなんですけど、中にスキー場ができてるんですよね。それもかなり大きなスキー場です。外国人の子供たちがたくさん──かなりの数の観光客でしょうね──遊んでいました。これは、非常にカルチャーショックを受けました。
 それから、続いて現在建設中で約800メートルの高さに達している世界一の超高層ビル、ブルジュ・ドバイの真下付近に位置して一部がオープンし、まだ建設中ではありますが、完成すると世界最大級となるドバイ・モールなどを視察してまいりました。これが写真の14、15に当たります。
 このドバイ・モールというショッピングセンター、どれぐらいのものよと言いますと、大体、甲子園球場にして29個分です。中の様子と言いましても、店舗の数は、現在は600、完成するとその倍の1200になるということで、まだ現在もどんどんどんどん建設中なわけですけども、お客さんはすごいたくさんいらっしゃいまして──日本人の方も最近は新婚旅行でもよくこのドバイを選んでる方が多いということで、買い物客の中には日本人も見かけました。
 また、そのアラブ人の唯一の趣味というのも買い物らしいです。特に真珠、金、ダイヤモンドにはもう目がないと。もう幾らでもお金を使うと。そういったことだそうです。
 そのドバイ・モール内にある英国系スーパー、ウエイトローズを視察しました。ここでも、今回のフェア販売に関連して、県産温州ミカン、富有柿がスピニーズと同じ価格で販売されていました。写真の16、17になります。
 市内を循環して感じたことは、建設中の高層ビル群はもちろんのこと、新市街全体が建設中であり、クレーンの数がやはり尋常でない量が見られました。また、道路を人が歩くようにはできてないため、歩行者は余り見かけることがなく、砂漠の中に出現した人工的な都市のイメージがしました。写真10、13なんですが、この写真ではよくわかりにくいんですけども、本当に見渡す限り高層ビルの建設用のクレーンが見えるわけです。一説によると、世界じゅうの高層ビルの建設用のクレーンの約30%がこの町にあると言われてるということで、これはまんざらうそでもないなというぐらいの、これもカルチャーショックでしたね。
 21日はドバイ国際空港に隣接するドバイ・フラワー・センターを訪問し、施設見学と説明を受けました。この施設は政府が所有し、フリーゾーンが設けられており、アラブ首長国連邦国内販売及び他国への再輸出の拠点として出資会社を設置し、ビジネス展開する際に役立つことがわかりました。写真の18番になります。
 このドバイというところは花が大変貴重なものらしくて、少々高くてもよく売れる。ましてや生活にも欠かせないということで、例えば、どっかの家にお招きを受けて訪問する際にも必ず花を持っていく。で、もうとにかく人と会うのにも何するにしても、花であいさつを交わすというような習慣があるそうです。
 それで、不思議に感じたのは、緑も多いんですよね、この町は。水が一見不足してそうな感覚があったんですけども、ちょっと郊外に出ますと、海水を真水にする工場というんですか、これがでかいのがありまして、パイプでずうっと市内全部通してるわけです。そこでどんどんどんどん、水は幾らでも豊富にあると。海水は無限にあるというんでしょうか、だから水は幾らでもあるというのも1つびっくりしました。
 次いで、ジェトロ・ドバイ事務所において所長から経済事情等お話をお聞きし、県産品の中でも競争力のある品目を選別することが大事との助言を受けました。また、在ドバイ日本国総領事館の斉藤首席領事とお話しする機会も得、現地最新事情や消費嗜好等をお聞きしました。
 午後には、ドバイから2時間かけてアブダビ首長国へ車両にて移動しました。これで大体130キロメートルです、ドバイ─アブダビ間。ただ、砂漠の中をもうただただ真っすぐな高速道路を走ってるわけですけど、この高速道路は無料です。それで、その砂漠の中をどんどんどんどん走って高速道路あるわけですけど、左を見れば砂漠で幾らでも土地は無限にあるわけなのに、まだどんどんどんどん海を埋め立ててるんですよね。海をどんどんどんどん──全く無駄なことをしてるなと思うんですけど、どんどんどんどん海を埋め立てて、マンション、アパートをもう幾らでもどんどん建設してると。一体こんなに住む人いるのというふうに何度も不思議に思って、現地の人にもお話を聞いたんですけども、これはやはり幾らでもあると。将来的にはドバイに住みたいんだと、世界じゅうの人がこのドバイにずっと住んでみたいんだという志向の方がこれからふえてくるということで、もう幾ら建設してもすぐ埋まるという自信満々の回答が帰ってきたんで、私も少し驚いたのであります。
 このアブダビ首長国連邦首都が置かれているアブダビ市内にあります果実野菜市場を見学してまいりました。ここでは、トルコ産かんきつ類、マーコットやネーブル、レバノン産マンダリンや柿などが一般にも販売されており、試食させてもらったところ、いずれも新鮮でおいしかったのが大変印象に残ってます。写真の19から20、21のあたりなんですけど、安いです。日本の物価で言いますと大体3分の2ぐらいですかね。
 22日、アブダビ市内に在アラブ首長国連邦日本国大使館を訪ね、本県として当地域へは取り組み始めとなるため、表敬あいさつと本県の取り組み説明を行い、須永公使から、最初から大きくは難しく、この地域へは早く参入したほうがビジネスとして成功すると助言をいただいた次第であります。写真22番ですが、この大使館、さすがに警備が厳重でありまして、もう入り口から中へ入るのも何重にも何重にも扉、ロックしてまた閉めて入って閉めて入ってという感じで、大変厳重な警備だなと感じたところであります。
 続いて、今後の本地域での輸出促進の円滑化のため輸出入ライセンス等許認可を行うアブダビ商工会議所を訪ね、表敬あいさつと現地事情等情報収集を行いました。ここでは事務局長に面会予定ではありましたが、あいにく急病のため、面談した事務局長秘書のムナさんによると、この国では、がんや糖尿病の患者が多くて、国民は安全性の高い食品、特にオーガニック製品に興味があるとの見解をお聞きしました。写真23番です。
 午後からアブダビ市内市場調査としてスーパーを回り、アベラスーパーにおいて、ここでも今回フェアに関連して県産温州ミカンが6個パックで販売されていました。デコポン、ハッサクは売り切れたとのことであります。調査時間中、ミカンの横で販売されていた青森県のリンゴですが、世界一の大玉、キログラム当たり3300円の値段でしたけども、いとも無造作にぱっぱっぱっと何のちゅうちょもなく欧州系のお客さんが買っていったのを見ました。この店には王族の食品購買担当も買いに来られるとのことでありました。ちょうど写真24、25番です。
 夕方、アブダビを車両にて出発し、ドバイ国際空港に戻りました。年間空港利用者数3400万人余りのこの空港は、まことに巨大であり、24時間完全営業で夜中というものの、大勢の人でにぎわっていました。ちなみに、現在4500メートル滑走路を6本備えた新空港を建設中で、2つの空港を合わせて世界最大級の規模を目指しているとのことであります。
 この空港なんですけど、ちょうど空港入りしたのが夜の8時ごろです。ただ、空港は、夜の8時はがらがらなんですね。それから、空港の前に、モスクというんですか、拝礼するところがあるということで、現地の方はその時間帯になると皆拝礼に回るということで、空港の中はがらがらなんですけど、ちょうど飛行機に乗る時間の夜中の2時半が私たちの出発時刻だったんですけど、この時間帯は5分置きに飛行機が飛んでるわけです。搭乗ゲートも大体200何十何ゲートまであるぐらいですから、もうそれこそ深夜のこれ2時半かと思うぐらい、一睡の余地もないぐらいの、世界じゅうの人種がこの空港の中にひしめいてると、大変な活気だなあという印象を受けました。空港の中でも金とかいっぱい売ってるお店があるんですけど、そこも大変なにぎわいでした。
 私たちは、深夜2時50分、エミレーツ航空にてドバイ国際空港を出発し、23日、日本時間午後4時40分、無事、関西空港に帰着しました。
 以上がアラブ首長国連邦での調査の状況でございます。
 フェアの視察と市場調査、関係機関訪問を通じ、得られた情報を整理しますと、果実は、ドバイやアブダビでは市中スーパーには近隣諸国や欧州、アフリカ産を中心に外国産が売り場を席巻し、鮮度や味といった品質と価格のバランスがよい新鮮果実が大量に販売されており、非常に強敵であると感じた次第であります。この地域への日本からの果実輸出は、現地の方に県産果実を選んでもらうための周到な販売促進戦略を立てて取り組む必要があると思われます。
 私は、国内の市場が縮小する中で、東アジアを中心とした経済成長地域や中東、また欧米等経済水準の高い先進国への販路開拓は大変重要であると考えます。
 そこで、知事に農水産物の海外販路開拓の将来展望についてどのようにお考えか、お伺いいたします。
 最後になりましたけども、今回のこの議員派遣に際しまして、平越議員を初め、大変多くの方に多大なる御尽力と御協力を賜りましたことに対しまして、この場をおかりして深く感謝を申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山田正彦君) ただいまの須川倍行君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) お答え申し上げます。
 その前に、今回のミッションについては、県としても事務当局も参加さしていただきまして、特に中東については、今回はちょっと偵察というような意味で状況を把握しながら、できればたくさん売ってこようと、こういうことであったわけですけれども、部下から聞いている以上に実態についてきょう議場で須川議員のお話をお伺いすることができまして、大変よくわかったという感じでございました。引き続き頑張らせていただきたいと思います。
 現在、世界の景気は大変急速に悪化いたしておりまして、我が国の輸出についても当面減少傾向が続くと見込まれておりますけれども、農産物の海外販路開拓、これについては、期待の星であるとともに、なかなか厳しい状況は当然あるんだろうというふうに思います。
 本県の将来の農業振興を考えますと、海外市場は依然として大きな魅力のある市場であると思います。そのため、昨年3月に策定いたしました長期総合計画でも、輸出を攻めの農業の1つの柱と位置づけまして、東アジア諸国を中心に海外食品見本市への出展や海外の高級百貨店での和歌山フェアの開催──今回がそれでございましたが──あるいは海外バイヤーを招聘しての商談会の開催など、農水産物の輸出促進に努めているところでございます。
 こうした中で、他県に比べると和歌山県の農産物輸出というのは多少出おくれた感もありましたが、だんだん皆さんの熱意も浸透してまいりまして、ここ3年ぐらいで、平成18年度桃、柿、ミカンの輸出実績が5300万円から19年度6600万円、20年度9000万円と右肩上がりに伸びてきてございます。ただ、まだまだこんなもんじゃいけないので、もっともっと伸ばしていきたいと考えております。
 21年度におきましても、これまでの取り組みにより得られた情報をもとにいたしまして、海外における消費者の嗜好やあるいは慣習等を踏まえた販売促進戦略、アクションプログラム2009をこれから策定いたしまして、東アジア諸国や欧米はもとより、中東などの新興市場に対して「おいしい和歌山」の販売促進に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○副議長(山田正彦君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山田正彦君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山田正彦君) 以上で、須川倍行君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時14分散会

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