平成21年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(向井嘉久藏議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 6番向井嘉久藏君。
  〔向井嘉久藏君、登壇〕(拍手)
○向井嘉久藏君 一般質問に入る前に、私、9月のこの議場で紀州うめどりの話をさしていただきました。ホテルでの期間が過ぎましたので、私、たまたま和歌山市内へ行きますと、そこの焼き鳥屋がちょうど紀州うめどりを扱っている店でありました。そこの店主と話しましたら、「これは全部紀州うめどりです」、「なるほどうまいな」ということで食べましたんですが、そこに紀州うめどりの表示がどこにもないんです。前にも申し上げましたが、ひとつ担当部は紀州うめどりを表示するものを早急につくってもらいたい。また、この紀州うめどりを主宰しております細川氏から電話が来まして、「知事さん今来てくれとんのよ」と。知事が出かけたようでございます。ありがとうございました。
 それでは、質問に入らしていただきます。
 本日は、まず1点としまして、交通網の整備でございます。
 交通網の整備、4項目ございますが、1項目は南海高野線なんば─橋本間の運転時間の短縮についてであります。2点目は、371号バイパスの建設についてでございます。3点目は、これに関連する新紀見トンネルの開通であります。4点目に、橋本市で開かれました決起大会の知事の感想についてお伺いしたいと思います。
 それでは、入らせていただきます。
 道路は文化を運ぶと言われておりますが、文化と繁栄を運ぶのであります。今、日本列島を眺めてみましても、取り残されているところは衰退しかありません。私が今回質問するのは、まさしく橋本、伊都の生命を制する大阪との府県間道路であり、また公共交通網の整備であります。
 371号バイパスでありますが、また南海高野線の高速化であります。この道路には古い歴史がございまして、京、大阪から紀州入りするルートでもありました。山の山頂に立って初めて見る紀州の里の風景に、「あっ、これが紀州か」と言う京都の人、そういうふうに言ったと思いますが、あの風景は橋本であります。初めて紀州の見える地は、紀伊の見える地、すなわち紀見峠となったと言われております。
 橋本市が市政をしき発足したのが昭和30年でありました。このときは、まだ紀見峠トンネルなどございませんで、未舗装の道路を車は峠越えで大阪向いて20分。この峠を越えるだけで20分かかったのであります。
 当時の橋本市長に、紀見峠にトンネルを抜こうと言った人物がございました。当時としては無理であったかなと思うんですが、市長はその場で一笑に付したということであります。この提案が実現するのには、後に十数年を要するわけであります。
 時は流れまして、京奈和自動車道の橋本道路の開通もありました。また、ごく一部の短い距離の開通ではございましたが、車の流れは一変いたしました。371号の車の通行量は、以前は1日1万6000台程度でございましたが、現在は1万8000台を超える車が行き来しております。まさしく橋本、伊都、五條からの大阪への大動脈となっているのでございます。ということは、頻繁に交通渋滞も起こるいうことでございます。特に世界遺産に高野山が登録され、行楽シーズンには帰りの車が時には高野山から河内長野まで連なり、河内長野まで到着するのに6時間を要したとも仄聞いたしております。これでは、もう一度高野山へいうリピーターがふえるとも考えられません。
 うれしいニュースがございます。高野山が、フランスのミシュラン社の格づけで3つ星を与えられました。3つ星ってどんなんかいなあと思てインターネットでちょっと調べますと、あえて訪れる価値のある場所だそうです。2つ星いうのはどうか。日本へ来たら絶対見らんなん場所だそうです。3つ星は、日本へ行ったらほかのとこへは行かないで絶対行く場所であるという3つ星だそうでございます。世界的に注目を浴びることにもなるわけでございまして、このニュースで観光客の増は考えられますし、これがひいては371号線の渋滞に拍車がかかるのではと懸念されるところでもございます。道路幅の狭隘な現371号にかわるバイパスの建設を急がなければならないのは当然の流れであります。
 去る2月1日、橋本市は、関係者多数を集めて、第2回371号バイパスの早期開通と新紀見トンネル着工に向けて決起大会を開催いたしました。参加者が1300人超えと、いかに待ち望んでいる人が多いのかの証明でもあります。このときも知事には出席をいただきまして、ありがとうございました。
 大会に先立ち、地元の五條市、河内長野市、橋本市の3市長が橋下大阪府知事と面談し、強くトンネルの着工について要望したようでありますが、趣旨は理解しながらも当面は協力することができないということであったようであります。トンネルは、今後、国直轄工事を視野に入れていかなければならない、このようにも思う次第でございます。反面、和歌山県側の工事は着々と進んでおりまして、形となって見えてきております。うれしい限りであります。当局の努力に心から感謝を申し上げたいと思います。
 また、他方、道路と同様、公共交通機関──橋本市においては371号バイパスの開通と南海高野線橋本─なんば駅間の運転時間の短縮も橋本市、伊都郡の発展には欠かせないものでございます。
 私は、過去に南海高野線について触れたことはございません。一企業の事業に議場で発言するのはいかがかと思っていたからであります。かつて橋本─なんば間が1時間20分もかかっていたことを思えば、今50分は夢のようであります。特急を利用すれば45分。朝の通勤時にはビジネス急行も運行しております。また、沿線住民、南海人の悲願でもあった河内長野─橋本間の複線も完成いたしました等々、企業努力で頑張られた。このことを認めながらも、時代の要請は橋本─なんば間の時間短縮であります。
 JR新幹線が時速250キロで運行されたときは、さすがにそのスピードに驚きましたが、今では300キロをと思うのはだれしも同じであろうし、スピードになれれば45キロを50分で走る電車に「遅いなあ」と思うのは至極当然であります。よくよく考えれば、橋本─なんば間は南海高野線、南海本線ではなんば─尾崎間であります。それを50分かかっとるわけです。特急で45分が40分になれば、橋本市の主要駅である林間田園都市駅までは35分。対外的にもインパクトのある時間で、これが実現することで車通勤の減少にもなり、造成済み宅地が4000区画以上残っている現状を打破することにもなります。何よりも橋本市の人口増につながるのではないかと期待されるところでございます。南海電鉄が元気になることは、一橋本市が元気になるだけではなく、沿線自治体にも影響を及ぼすことになるのではと思います。
 南海電鉄に私は1つの提言をこの場からさしていただきます。
 橋本駅から高野下駅間に夏季にはトロッコ電車を、また年間を通して展望列車を走らせ、本来バスで高野山に登る観光客を一度橋本駅で観光バスからトロッコ電車、展望電車に乗りかえてもらう。また、橋本駅周辺を整備することで経済効果をも期待できるのではないかと思うのであります。さらには、高野山内のCO2削減にもつながるのではないかと思うのであります。少し着眼点を変えるだけで相乗効果が生まれる。ひょっとしたら、このあたりにまちの活性化のキーが隠れているのではないか、こういうふうに思うのであります。
 この項を起こすに当たっては、南海電鉄本社を訪問いたし、応対いただきました山部営業本部長初め役員の方に鉄道マンの熱い思いを聞かせていただきました。この場をおかりいたしまして厚く御礼申し上げますとともに、沿線住民の思いを実現していただきますようにお願いいたしたいと思うのであります。
 そこで知事にお伺いいたしますが、南海高野線橋本─なんば間の運転時間の短縮であります。2つ目といたしまして、国道371号バイパスの建設促進についてであります。3つ目といたしまして、新紀見トンネルの開通についてであります。4番目に、橋本市で開催されました決起大会の感想についてお伺いいたします。また県土整備部長には、5番目といたしまして国道371号バイパスの促進状況、大阪側も含んで御説明いただきたいと思うのであります。
 続いて、教育問題についてお伺いします。県立中学校についてであります。教育長にお願いします。
 和歌山県で初めて県立中学校として向陽中学校が誕生して、6年目を迎えます。彼らも高校3年生として高校生活最後の年を過ごすことになるわけでございます。本県の県立中学校設立過程は慌ただしゅうございまして、他の都道府県ではおしなべて3年から5年くらいの準備期間を設けております。その間に種々の問題を検討していると聞いております。ところが、向陽中学校の場合は、設立の決定されたのが前年の夏休み中でありました。しかも、高校の空き教室を利用してのスタートであります。噴出する問題については走りながら解決していく方法であったのでありますが、よくここまでやってこられたとの実感であります。
 設立6年目を迎えた今、幾つかの問題が出ております。ここで検証さしていただきたいと思うのであります。
 過日、向陽、桐蔭、古佐田丘──これは橋本高校でありますが──古佐田丘の中学校を訪問し、現状また要望等を伺ってまいりました。また、私の地元であります橋本市教育委員会にも伺い、市立中学校を預かる立場から話を伺うことができました。橋本市教育委員会から提供を受けました資料からは、少子化の影響をもろに受け、苦悩する公立中学校の姿が見えます。どこが中学校の教育を分担するのが望ましいかを問われているようにも思うのであります。
 今回、県立中学校3校を訪問し、調査した結果、何点かの不安材料と、すばらしい取り組みがなされていたので、研究をし、普及してもらいたいと思うのでございます。
 そのすばらしい取り組みとは何かと申し上げますと、1つには、先輩が、県立中学校を卒業した先輩が高校に入ってから自分の後輩たち中学生に教える授業であります。これを温かく担任の教師が見守っているということを伺いました。また、中だるみの防止。これは、本当に必死になって勉強しなければならない高校受験時に県立中学校の生徒はそれがないのであります。一番伸び盛りにそれがないというのは今後の成績にどのようにかかわってくるのか、私が心配する1つでありますが、中学校でもその辺は気づかれて、中だるみの防止のために一生懸命補習授業を行っているというふうにも聞きました。
 また、高校入試問題を、その年の同い年の中学生にも高校入試の問題を提供して自分たちの学力をテストして、自分たちでテストしていうやり方もお伺いしました。
 また、優秀な子供たちが選抜されて県立中学校へ進んどるわけです。しかし、1学年80名という枠の中で、すばらしい子供たちばかりが進んできたけれども、80番というのが出てくるわけです。79番もあるでしょう。そういうことで、子供たちはやっぱり自信喪失ということにつながるという話だそうでございます。小学校のときにはクラスの中で上位を占めていた子供が今度学年の中で下位になったときに、13歳、14歳の子供はどういう心境になるかいうのは、もうおわかりのはずでございます。その学力の底上げにも一生懸命頑張っているいうことでございます。
 それともう1つ、私は大事なことは、県立中学校から高校に進学してきた、それと公立、市町村立中学校から進学してきた──向陽高校では、今度高校3年生になるわけでございますが、成績の取りまとめた結果を知らされます。今、確かに県立中学校から上がってきた子供は優秀であるけれども、もう高校2年の段階では肩を並べてるとこまで来てるらしいです、成績は。どっちが頑張ったいうことをこの場では申し上げませんが、子供たちの努力は、この成長盛りには大変なエネルギーが働いてすばらしい能力が引き出されるんではないか、このように思うわけでございます。
 そこでお伺いしたいのでありますが、1つは、県立中学校の設置意義と現状と将来についてであります。また2つ目には、施設、スタッフの充実であります。
 本県の県立中学校設立の理念はともかくといたしまして、施設につきましては、空き教室を利用することが前提として設置したために、当初は倉庫を改造して実習教室をつくったり保健室もない状態で、その後おいおい改善されておりますものの、同規模の公立中学校、市町村立中学校と比較すればその差は明白であります。運動場もない、体育館もない、プールもない。高校の施設を利用することになっておりますが、高校が優先的に使用するために、中学生の使用は無理とのことでありました。
 県立中学校といえども義務教育の機関であります。勉強も大切でありますし、部活も重要でございます。しかし、前に述べましたとおり、施設を利用する部活はできないのが実情であります。それでは、これらの施設を二重につくったらいいのか。それは経費の問題でなかなか難しいと思います。また、スタッフにつきましても、3学年240人の生徒がそろった時点でも10名であります。同規模の市立中学校では16名であります。この差は一体なんなのでしょうか。県立中学校への父兄の期待は非常に高いものがあります。
 受験者は橋本市内──私は、現在、橋本市教育委員会から提供された資料を持っておるんですが、その資料で少し見えてくるものというのをちょっと御紹介さしていただきたいと思います。
 橋本のことしの中学校へ進む子供たちは649名であります。うち、古佐田丘中学校──県立中学校でございますが──ここに受験の出願をしたのは161名であります。実に24.8、25%近い子供、4人に1人は受験をしたいということでございます。結局、合格者数は63名でありますが、いずれにしましても、大変な数の子供たちが受験をするわけでございます。それだけに施設、スタッフを充実させ、大きな期待にこたえていかなければならない。今後の取り組みに期待したいのでございますが、いかがでございましょうか。
 3つ目といたしまして、公立、これは市町村立中学校とのあつれきについて少し触れてみたいと思います。
 県立中学校の定員は、1学年2クラス80名でございます。和歌山市のような学童の多い市はともかくといたしまして、橋本市のような小さなところでは、少子化の時代にあっては市立中学校の存在そのものが危うくなってきております。将来ますますこれが顕著になることは容易に推測されるところであります。
 ここで提供された資料から申し上げたいと思うんですが、例えば、橋本市内に西部中学校というのがございます。──現在、学童数は56名であります。このうち、古佐田丘中学校へ進学する子供が10名であります。したがって、46名が残るわけでございますが、私立中学校へも進む。橋本は意外と私立の学校が多うございますんで、私立中学校へ、大阪方面、また奈良、橋本市内、これらの私立中学校へ進む子供もおるわけでございます。
 現場の先生、校長先生とも話しさしていただきました。これ、実は橋本小学校にも──ちょっと御紹介したいんですが、現在、橋本中学校へ進むことしの子供の数は69名でございます。私の孫が橋本小学校へことし進学するんですが、同級生となる子供は50名であります。19名減っております。わずか6年でこれだけ減るわけですね。橋本中学校というのは、かつてはマンモス中学校でありまして、1200名を超える子供たちが学んでおりました。ところが、今御紹介申し上げました6年後には1学年50名。その中から県立中学校へ逃げる、また私立中学校へ逃げる子供いうことになってくると、1クラス40名ぐらいになってしまうん違うか。ただ、県は36名以上おると2クラスは認めますよということになっとんですが、早晩1クラスになってしまうと。1クラスということは、3学年で3クラスしかない小さな中学校に橋本市内全体がなってしまう、統廃合も今視野に入れて橋本市は検討を開始している、こういうことでございますので、これをあつれきと言わないで何と言うんでしょうか。
 そこで、いろいろ問題を提起申し上げましたが、4番目として、私は、県立中学校設置時に想定外であった事例が発生してまいりました。これは、ほかの学校では、私ちょっとわからないんですが、県立中学校の古佐田丘中学校で高校進学時に欠員が生じたと。他の高校へ転校したい──転校というよりもかわりたいという子供が生じたわけですね。これはどういうことを意味するかといったら、高校へ進学するときに既に欠員が生じとる。そのまま高校へ進学するわけです。
 橋本高校は定員120名であります。公立中学校から来る子供の定員は120名、県立中学校から来る子供は80名、合わして200名でありますが、120名の定員で今希望してる、橋本高校を受験したいというのが168名でありますから、48名が残念な目を見るわけでございます。ところが、県立中学校から進学してくる子供の中でもう既に欠員が出てる。中高一貫教育ということを考えれば、これもいたし方ないんかなと。中学生がそのまま高校生になるいうのが中高一貫教育でありますから、いたし方ないんかなと思う反面、121番目になった子は希望する学校に入れないという事実もございます。これからの研究問題として、これから教育委員会はこれのことを考えていただきたいなというふうに思うわけでございます。
 また、もう1つは転校希望の受け皿。中学生のまま転校したいということは、学校の勉強についていけなくなる子供が、補習授業で一生懸命現場の先生方がやっていただいていますが、それでもなおついていけない子供は本来の中学校へ戻れるか。それは物理的に無理です。そういうこともこれから想定していかなければならないという現場の先生の声であります。これも研究課題として今後討議していただきたいと思います。
 それともう1つは、合格者の男女格差であります。橋本高校の古佐田丘中学校が特異なのかもしれませんが、80名中26名が男で、あと残り全部女生徒であります。ということは、公立中学校には男ばっかり残って、女の子がおらないという現象にもつながっていく。これはちょっと変ですね。そういうことから、合格者の男女格差も考えていかなければならないんじゃないか、こういうふうに思います。
 もう1つ、教育問題で、高校の中途退学者問題について触れたいと思います。
 私は、県教委から提供された資料を見て、大きなショックを受けました。数字から読み取れるものは何かなといろいろ考えました。中途退学者のその数字は、県立高校、普通規模の高校1校に匹敵する611名であります。毎年611名の生徒が中途退学をしてる。600名以上の子供たちが──19年が611名であります。
 毎年、新聞等で報道されていることではございましたが、改めて事の重大さを思うのであります。いかにすれば退学者を1人でも多く減らすことができるのか。現場で苦悩する教員の姿、中退をするか学校に残るかで悩む生徒の姿、中退を告げられおろおろする母親の姿、これら関係する人々の苦悩する姿が目に浮かぶのでございます。この問題は、それぞれ退学する要因は違っても、難しさはございますが、県を挙げて取り組む必要があると思います。この問題について教育長からの御答弁をお願いいたします。
 最後に、農林水産部長にお伺いします。農業政策についてであります。
 私もじいさんの代から農地をバトンタッチされまして、20年近く、ブドウ、柿、また米づくりやってまいりました。そんな中で学んだこと等を考えながら質問さしていただきます。
 国は、今の自給率──今、40%になったようでございますが、45%に──これはカロリーベースでございますが──引き上げることを決めました。かつて昭和30年代には、自給率は79%と高いものでございました。国の農業政策の転換、国民のニーズの変化等により、ついに40%を切る羽目にもなったわけでございます。60%が外国からの輸入に頼っている。輸出国から見ると、余った農産物を輸出しているのにすぎません。早晩、日本国は将来に向けて自給率向上に準備を怠ってはならないのであります。農産物はお金で買えるという時代はきっとなくなると思います。
 ちなみに、世界の主要国の自給率は、アメリカで128、フランス122、ドイツ84、イギリス70というふうになってございます。
 米の減反政策と後継者不足による耕作放棄地が、国内で40万ヘクタールとも言われてございます。放棄地は3年もすれば荒野になり、荒れ地になります。私も一部荒れ地にしてるところがございまして、山と畑とが見分けがつかなくなってしまっております。自給率を図るには耕作放棄地の復元を図らなければなりません。そのためには、膨大な予算、お金と長期間の年月を要するわけでございます。遅きに失した感はありますが、速やかに取り組んでいく必要があると思っております。
 また、米の生産減を目指して減反政策が実施され、減反に応じた農家には補償金も支払われております。今、世界の農業の潮流は、いかに増産を図るかでありまして、遺伝子の組み換えまでもして増産に励むというところでございます。そのような世界の中でひとり日本だけが農業生産を抑える政策をとっている。日本とは摩訶不思議な国であります。片や、8億の民が飢餓に苦しんでいるというのにであります。
 国の農業政策にも矛盾がありました。片方で自給率アップを唱え、片方で減反を強いるやり方は、車にたとえるならばアクセルとブレーキを同時に踏むようなことでもあります。また、民主党が公約している農家への生活保障とも言える支給金についても、私は問題があると思っております。減反政策は、やる気のあった農家の気力をそいでしまったのであります。この政策が今では定着してしまい、これがひいては後継者不足にもつながったのではなかろうかと思うのであります。
 農家には思いのまま米をつくってもらう。国は適正価格で買い上げ、ODA──外務省が実施しております支援の中から、このお米を買って、飢餓に苦しんでいる国々へお渡しさせていただく。これがひいてはいい循環を生むのではないか。私は、このように思っております。いかに飢餓に瀕している民を援助するか。このようなことが行われなければ、日本の原風景の保全にもつながらない。また、田が持っている本来の機能である洪水時の調整池の役目を果たせない。このように思っております。
 そこでお伺いしますが、休耕田、耕作放棄地での利活用に向けての調査はどうなっておりますか。和歌山県もひっくるめてお教えいただきたい。また、減反政策につきましても、私は、国が減反をせよということでもノーと言える和歌山県であってほしい。こういう思いで減反政策についてお伺いしたいと思います。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山田正彦君) ただいまの向井嘉久藏君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、南海高野線の運転時間の短縮についてでございます。
 本件につきましては、議員も御指摘がありましたとおり、南海電鉄はこれまでも、曲線改良を含めた複線化工事を実施するなど、企業努力をしてこられました。議員御質問のさらなる時間短縮につきましては、南海側からすれば、一層の曲線改良や停車駅を減らすなどの課題があると聞いてございますけれども、向井議員の御指摘はごもっともでありまして、県といたしましては、これができれば沿線人口の増加や企業誘致の促進などにつながるものと考えられますので、今後、地元自治体と連携しながら南海電鉄に働きかけを行ってまいりたいと考えております。
 次に、国道371号バイパスの建設促進について、及び新紀見トンネルの開通についてでございますけれども、国道371号を初めとする府県間道路は、大阪を中心とする放射状の道路を形成し、関西大環状を形成する京奈和自動車道と一体となって関西都市圏を拡大することにより関西の経済を活性化させ、低迷もしておりました関西経済の元気を取り戻す重要な道路であると認識しております。
 府県間道路につきましては、両府県の取り組みが不可欠でありまして、これまでも大阪府の橋下知事に、国道371号を初めとする府県間道路の必要性について再三にわたり理解を求めてきたところであります。
 今後、この道路の早期整備を図るために取り組むべきことが3つあると考えております。まず1つ目は、和歌山県側の事業の進捗を図ることであります。それには住民の皆様の理解を得ながら進めなければなりません。2つ目は、大阪府に対する働きかけを続け、理解を得て大阪側の事業を促進する必要があります。そして3つ目は、府県間部分については議員御指摘の直轄権限代行事業が有効な手段でありますので、その準備を進めることが重要であると考えます。
 地元の協力につきましては、現在、橋本市も大変熱心に取り組んでいただいております。住民の方々もそれに相和して、住民の方々からも、ちょっとこう渋っておられる方々に対して、例えば土地の取得等々にぜひ御協力いただけるようにお願いをするなども含めまして、みんな一丸となって進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
 2番目の大阪につきましては、実は例の371号の大会があった直後の次の週末、大阪へ参りまして、橋下知事といろいろ話をいたしました。ほかの話もいたしましたが、特にこの問題については、克明にその決起大会の模様なども説明をして、大阪にとってもこれはぜひ必要な道路であるから、和歌山も頑張っておるけれども、大阪も頑張ろうという話をしてまいりました。一般的には、現在、大阪府は大変な財政難でいろんな事業をどんどん切っている状況にあるわけですけれども、これは橋下さん御自身ではなくて大阪府の事務方の情報によると、府県間道路については橋下知事の中の優先度は結構高くしていると。そうは言っても、ふんだんにまだたくさんの事業費をつぎ込んでくれるところまでいっておりませんので、今後とも頑張って説得してまいりたいと思います。
 3番目の権限代行については、これは現在和歌山県は2つ、これはかなり異例なんですけれども、北山と480号線と2つやっていただいてる状況であります。流れとしては、これをできるだけ早くやっていただいて、その間に準備をしておかないといけませんので、この371号側もぜひ調査を開始してほしいということを今お願いをしておりまして、引き続き今のような3つの目標に向けて全力を挙げて取り組んでいく所存でございます。
 それから、決起大会の感想でございますけれども、2月の1日、繰り返しになりますが、橋本市長が会長を務める促進協議会の主催で、国道371号バイパス建設促進決起大会が地元で開催されました。私もお招きいただきましたので出席し、ごあいさつをさしていただきました。パネルディスカッションというのがありまして、それにも参加さしていただきました。
 当日、会場は大勢の参加者の熱気にあふれまして、地元の皆さんの国道371号の早期整備に対する思いがひしひしと感じられたところであります。また、出席されておられました来賓の方々や向井議員御自身も、このトンネルに対する昔からの経緯も含めた、何か涙が出るような熱意をお聞かせいただきました。さらに、国土交通省近畿地方整備局長からも直轄調査に向けた前向きな発言があるなど、今後の早期整備に向けて意を強くしたところであります。
 今後も、早期整備を望む地元の皆さんの期待にこたえられるように精いっぱい頑張ってまいりたいと考えております。
○副議長(山田正彦君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 国道371号バイパスの促進状況についてでございます。
 和歌山県側の事業進捗状況につきましては、国道24号の市脇交差点から京奈和自動車道の橋本インターチェンジの間1.3キロ、この間につきまして、平成18年の4月に供用しております。橋本インターチェンジから三石台の間3キロ、それから慶賀野から柱本の間1.2キロ、この両方について用地取得、改良工事を進めております。
 今後の用地取得につきましては、橋本市の協力もいただきながら進めていくとともに、難航する案件につきましては、土地収用法の手続を進めて用地の早期取得に努めてまいる所存でございます。
 続いて、大阪側の進捗状況ですが、河内長野市の石仏から府県境まで6.1キロで事業が実施されております。石仏からの1.7キロは、もう既に供用されております。
 続く大阪府県境までの4.4キロ、ここでは用地取得率が99%です。そのうち、天見駅付近までの4割の区間で現在工事が進められております。トンネルを含みます天見駅付近から府県境の残る6割ですが、この区間は工事着手に至っておりません。大阪府側の天見バイパスの進捗を引き続き大阪府へ働きかけてまいりたいと思います。
 さらに、仮称の新紀見トンネル延長約2.1キロを含む府県間部分についてですが、コストの削減とか事業手法などを検討するために、ことしの1月に国、両府県で研究会を設置したところでございます。県としましては、この研究会の中でも直轄調査の実施に向けて国で検討を進めていただくように働きかけてまいりたいと思います。
 以上でございます。
○副議長(山田正彦君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 農業政策につきまして、2点お答えをさしていただきたいと思います。
 まず第1点目の休耕田、耕作放棄地の利活用に関する調査についてでございますが、昨年の4月に国のほうから耕作放棄地解消ガイドラインが示されまして、これに基づき各市町村において実態調査のための一筆調査を行い、現在、耕作放棄地解消計画策定の作業が進められてございます。その結果、現在のところ、県下で約1900ヘクタールの耕作放棄地を把握しているところでございます。
 県といたしましては、これまでも県独自の取り組みとして復元可能な遊休農地の解消に努めてきたところでございますが、国では21年度より、荒廃農地での雑木の除去、また土壌改良などを内容とする緊急対策が実施されることになってございまして、その実効性を確保するために、現在、県内の市町村におきまして、JA、農業委員会等を構成とする協議会の設置など、体制整備の推進に努めてございます。
 御承知のとおり、農地につきましては、農業生産の基盤、基本でございますので、その確保は食料自給力の向上の観点からも重要であると考えてございまして、関係機関との連携を図りながら、耕作放棄地の解消に向けてより積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 2点目の米の減反政策についてでございますが、県ではこれまでJAなどと連携をいたしまして、転作にかかわる産地づくり交付金を活用しながら、地理的、気象的条件を生かした果樹を中心とする収益性の高い産地づくりに取り組んできてございます。その結果、昭和46年以降、水田の約半分が柿、桃等の園芸作物に転換をされてございまして、結果、全国有数の果樹産地となるなど成果も上がったものと考えてございます。
 しかしながら、米の消費減退に伴いまして生産調整が強化される中で、本県では零細で自給的農家が多いということから、農家におきましては、これ以上の生産調整の実施は非常に厳しいという意見があることも十分承知をいたしてございます。
 現在、国におきましては、世界の食料需給の逼迫や、また担い手の高齢化、遊休農地の増加などを背景といたしまして、食料自給力の強化を図るということで、減反選択制も視野に入れた米政策の抜本的な見直しが検討をされてございます。
 県といたしましては、こうした国の動き、情報収集に努めるとともに、米の消費県であり自給的農家が多いという実情を踏まえまして、県内の生産者や農業者の意向を酌みながら本県農業の特性が発揮できる仕組みづくりとなるよう国に対し要望するとともに、米を主食とした日本型食生活の普及になお一層取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(山田正彦君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 県立中学校についてお答えいたします。
 県立中学校は、6年間を見通した系統性のある教育課程のもと、豊かな人間性と確かな学力をあわせ持った、これからの社会に力強く羽ばたく人材の育成を目指して設置してまいりました。各校では、併設している高等学校の特色を生かしながら、よき伝統を継承するとともに、異年齢間の活動を取り入れるなど、魅力ある教育活動を展開しているところでございます。
 各県立中学校の設置に際しましては、教育の場としてふさわしい環境を確保するとともに、安全面、保健衛生面に留意し、整備・充実に努めてきたところでございます。
 しかしながら、議員御指摘のとおり、中高生が同一敷地内で学校生活を送っておりますので、場合によりましてはクラブ活動での体育館等のやりくりが大変であるといったことも聞いてございます。
 施設・設備につきましては、併設型中学校の特色を生かして充実した教育を実施するため、一般の中学校にはない専門性の高い高等学校の施設や設備等を有効に利用するとともに、毎年行っております各学校とのヒアリングで状況をお聞きしながら連携を密にし、条件的な困難もございますが、施設・設備の充実に努力してまいりたいと存じます。
 また、県立中学校では、保健体育や数学、英語などいろいろな教科で高等学校の教員による専門性の高い授業を実施するなど、中高一貫教育の利点を生かした指導体制の充実に努めているところでございます。
 今後ともこうした工夫をより積極的に進めるとともに、各校の実態を考慮し、教員スタッフの充実について検討してまいります。
 市町村立中学校とのあつれきということにつきましては、議員御指摘のようなさまざまな状況が生じているということは承知しているところでございます。県といたしましては、市町村教育委員会と連携を一層密にしてしながら地元中学校と県立中学校がそれぞれのよさを生かし、ともに伸びていくことができるよう、教材開発や授業研究の実践交流などを通してさらなる協力関係を築いてまいりたいと考えてございます。
 次に、設置時には想定外の事例としてお尋ねのあった件についてでございますが、これまでにも転居や進路変更により高等学校進学時に欠員が生じた学校もございますが、6年一貫教育という特性から、新たな募集は実施しないことという方針で進めてまいりました。各学校では、生徒や保護者に対し、中高一貫教育のよさやその魅力を十分理解していただくとともに、学習意欲の低下や中だるみ等を招くことがないよう教育課程を工夫し、全教職員が多様な生徒1人1人の実態に合わせた指導方法の工夫・改善に努めているところでございます。
 また、学年によっては男女の生徒数に差が生じている学校もございますが、男女に関係なく1人1人の意欲や適性により入学予定者を決定してまいりたいと考えておりますので、御理解を賜りたいと存じます。
 次に、高校中途退学者についてお答えいたします。
 平成19年度の県立高等学校における中途退学者数は、お話しのとおり611名となっておりまして、5年前の750名前後からは人数としては減少しておりますが、依然として胸の痛む重要な課題ととらえてございます。
 中退の主な理由は学校生活や学業への不適応、進路変更によるものでありまして、各学校では、学校説明会等を充実させるとともに、基礎学力の向上や目的意識を持たせるための進路指導の充実など、丁寧で温かな指導を行っているところであります。また、県立高校41校にスクールカウンセラー等を配置しまして、生徒や保護者の相談に応じる体制をとっております。
 こうした中で、少人数指導等によるきめ細かな指導により基礎学力の向上に努めるほか、学んだ成果を生かして地域と交流する中で得たやる気や自信を目的意識の向上につなげ、30名以上あった中途退学者が10名前後にまで減少した高校も数校ございます。
 今後とも、議員御提言の趣旨を踏まえ、こうした取り組みを多くの学校に広め、県を挙げて中退問題に取り組んでまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(山田正彦君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山田正彦君) 再質問を許します。
 6番向井嘉久藏君。
○向井嘉久藏君 ごく短く要望しておきたいと思います。
 総務部長にちょっとお願いしときます。
 保護者の期待というのは大変なものでございまして、今、私の手元にございますのは、本年の中学校への受験の倍率です。──これ、お金の関係ですんで。──倍率が一番多いのが向陽中学校、5.46倍。募集人員80名に対して5.46倍の子供たちが受験する。また、続いて桐蔭が4.59、それから古佐田丘が2.54、それから日高が1.56、田辺が1.65と、こういうふうになってございます。いかに保護者の県立中学校に対する期待が大きいかということでございますので、スタッフ、また施設の充実に向けて深い、何と申しましょうか、御理解をお願い申し上げたいと思います。
 ありがとうございます。
○副議長(山田正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で向井嘉久藏君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は3月9日定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時36分散会

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