平成21年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

平成21年2月
和歌山県議会定例会会議録
第4号
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議事日程 第4号
 平成21年3月6日(金曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第32号から議案第44号まで、議案第46号、議案第47号、議案第49号から議案第52号まで、議案第55号から議案第57号まで、議案第59号から議案第61号まで、議案第64号から議案第79号まで及び議案第81号から議案第99号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第32号から議案第44号まで、議案第46号、議案第47号、議案第49号から議案第52号まで、議案第55号から議案第57号まで、議案第59号から議案第61号まで、議案第64号から議案第79号まで及び議案第81号から議案第99号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(46人)
 1番 泉 正徳
 2番 山本茂博
 3番 前芝雅嗣
 4番 浅井修一郎
 5番 吉井和視
 6番 向井嘉久藏
 7番 門 三佐博
 8番 町田 亘
 9番 服部 一
 10番 平木哲朗
 11番 花田健吉
 12番 須川倍行
 13番 大沢広太郎
 14番 谷 洋一
 15番 平越孝哉
 16番 下川俊樹
 17番 岸本 健
 18番 川口文章
 19番 尾崎太郎
 20番 藤山将材
 21番 新島 雄
 22番 山下直也
 23番 井出益弘
 24番 宇治田栄蔵
 25番 多田純一
 26番 中 拓哉
 27番 角田秀樹
 28番 江上柳助
 29番 山田正彦
 30番 坂本 登
 31番 尾崎要二
 32番 中村裕一
 33番 片桐章浩
 34番 原 日出夫
 35番 藤本眞利子
 36番 長坂隆司
 37番 玉置公良
 38番 小川 武
 39番 冨安民浩
 40番 奥村規子
 41番 山下大輔
 42番 松坂英樹
 43番 藤井健太郎
 44番 雑賀光夫
 45番 野見山 海
 46番 松本貞次
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        原 邦彰
 知事室長       曽根義廣
 危機管理監      森 崇
 総務部長       小濱孝夫
 企画部長       前硲健作
 環境生活部長     井口悦治
 福祉保健部長     井畑文男
 商工観光労働部長   永井慶一
 農林水産部長     下林茂文
 県土整備部長     茅野牧夫
 会計管理者      雑賀忠士
 教育委員会委員長   湯川 力
 教育長        山口裕市
 公安委員会委員    片山博臣
 警察本部長      永松健次
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     楠本 隆
 選挙管理委員会委員長 山本恒男
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       蓬臺孝紀
 次長         東岡誠吾
 議事課長       薮上育男
 議事課副課長     土井敏弘
 議事班長       田中健司
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      石垣悦二
 議事課主査      瀧川泰治
 総務課長       笠松 学
 調査課長       佐本 明
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  午前10時0分開議
○議長(大沢広太郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第16号まで、議案第32号から議案第44号まで、議案第46号、議案第47号、議案第49号から議案第52号まで、議案第55号から議案第57号まで、議案第59号から議案第61号まで、議案第64号から議案第79号まで及び議案第81号から議案第99号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 32番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして、順次一般質問を行ってまいります。
 まずは、景気対策についてでございます。
 米国発の金融危機により、世界じゅうの金融市場が暴落し、実体経済にも暗雲が立ち込め、かつて世界を席巻した巨大企業が倒産しています。まちには失業者があふれ、マスコミは100年に一度の不況と喧伝し、そのことでさらに市場が縮小し、世界経済は長い冬の時代へ突入しました。
 この事態に、日米欧はG7を開催し、各国が減税や公共投資などの財政出動を一斉に実行し、世界同時不況脱却に向け協調することを確認しました。米国では、個人、企業の大幅減税を行うほか、350万人の雇用を創出する公共事業や失業対策、州財政支援など、総額7890億ドル(約71兆円)の景気対策が行われます。EUでも、公共事業、中小企業向け低利融資、自動車産業支援、失業対策などの景気対策を行います。
 我が国でも、2次にわたる補正予算と平成21年度予算、税制改正で総額75兆円の景気対策が準備され、早期の実施が期待されております。
 しかしながら、野党やマスコミは定額給付金や揚げ足取りばかり言って、あれほどテント村のことで騒いでおきながら、雇用、妊婦健診、高齢者医療、住宅減税などの国民生活を守る政策、中小企業支援、地方の自治体支援や防災対策が盛り込まれた平成21年度予算等にけちをつけ、政局にしようとしております。
 幸い、我が県では、仁坂知事が昨秋に景気対策本部を立ち上げ、金融支援を強化し、今議会提出の平成20年度補正予算に約144億円の、平成21年度一般会計予算では総額1600億円を超える景気対策が用意されました。しかしながら、国では既に次の景気対策の声も聞こえてきます。
 そこで、知事に伺います。
 現在の景気について、どのように認識されていますか。また、今後についてはいかがでしょうか。
 次に、景気が悪化する場合、厳しい財政状況の中で、さらにどのような対策を講じるのでしょうか。
 次は、企業誘致について伺います。
 企業の設備投資が減少する中、企業誘致は、困難ながらも、依然、地域活性化の有効策であります。知事もさきの提案説明で企業誘致の強化を表明されていますが、どのように取り組まれるのか。
 私は、今こそ工業団地の値下げを検討すべきであると考えます。その際は、鑑定価格によるのではなく、鑑定価格はあくまでも参考にし、知事がその時々の情勢を総合的に判断する政策価格でこそ取り組むべきであります。そもそも鑑定価格には、昨秋以来の急激な景気変動などは反映されるのでしょうか。いかがでしょうか。
 次に、定額給付金について伺います。
 かつては1億総中流という時代もありましたが、平成19年の国民生活基礎調査によりますと、非課税世帯が何と27%もあります。そのため、所得税減税をしても生活支援にはならず、定額給付金こそ国民みんなに行き渡る生活支援であり、同時に有効な景気対策であります。
 つい先日も、生活保護の申請が急増しているとの報道がありました。私も、定額給付金はぜひ受け取り、地元で使いたいと思いますが、知事は定額給付金を受け取るのですか。定額給付金の評価も含めてお答え願います。
 また、青森県では、市町村、経済団体と連携し、定額給付金を契機とした商品券の発行等に支援して消費の押し上げ効果を目指していると聞きます。本県も何かお考えはありませんか。これも知事からお答え願います。
 次に、自衛隊の和歌山駐屯地の水際訓練について伺います。
 大先輩の藁科義清先生から自衛隊誘致の御苦労話を伺ったことがあります。安保闘争冷めやらぬころ、ふるさと日高の地方事務所長に赴任し、何とか反対派を抑え、一夜のうちに松原を切り開いたそうであります。その陸上自衛隊和歌山駐屯地も、ことしで開設47年を迎え、長い間、道路の敷設や橋梁整備など、土木技術を通して防衛に貢献する施設隊として全国各地に赴き、学校や集会所に宿泊しながら防火帯の整備や市町村から要望のあった道路整備などを行ってきました。
 しかし、その活躍にもかかわらず、平成14~15年ごろには部隊削減計画の対象となり、地元の私たちも存続の心配をいたしましたが、幸い平成16年には第304水際障害中隊として生まれ変わることができました。その任務は、敵が本土に上陸できないように、海岸のちょうど水際に機雷のような地雷を敷設することであり、煙樹ケ浜に駐屯する部隊には最適の任務となりました。
 ところが、部隊の訓練は、開設後5年経過した今も、なお実施できておりません。せっかく目の前に海岸がありながら、わざわざ北海道天塩海岸に出かけております。私も模擬訓練を視察いたしましたが、水陸両用車に搭載した水際地雷を海岸近くの水際に連続投下し、またそれを回収するという単純なもので、音もしないため、広い海岸では大音量のマイクで解説してくれなければ、何をやっているのかさえわかりませんでした。当日は快晴の日曜日で、釣り客がたくさん並んでいましたが、だれ一人帰ることもなく、エキストラを配置しているのかと勘違いしたほどであります。
 さて、自衛隊は、国家の主権と国民の生命・財産を守るための重要機関で、国際貢献や災害救助にも大きな役割を果たしております。本県では、迫りくる東南海・南海地震でお世話になる力強い味方であります。その自衛隊が任務の訓練ができないというのは、まさに組織存亡の危機で、そのときに知らないふりをしておいて、みずからの危機のときには助けてくれとは言えません。訓練を実施するためには海岸法により関係漁業者の同意が必要となり、現在交渉中と聞きますが、一刻も早い解決を期待いたします。
 そこで、知事に伺います。
 自衛隊の駐屯についてどう評価していますか。また、これまでの交渉で美浜町長に御苦労いただいておりますが、自衛隊は何も美浜町だけのためにあるのではありません。県も支援する考えはないのか、あわせて伺います。
 3番目に観光立県を目指して、質問を申し上げたいと思います。
 知事は、就任後、「商工観光労働部」に名称を変更し、県政の羅針盤である県長期計画では観光振興に多くを割き、それを実現するアクションプログラムを毎年策定されています。平成21年度予算案においても、観光力推進事業、内外からの各種の誘客対策、上海万博出展等の事業が用意されました。
 和歌山は、気候風土、自然、歴史、文化、産業、どれをとっても観光に適した地域であります。しかし、これまでも、観光立県とは言いながら、かけ声倒れで終わってきた印象があります。それは、観光業者だけの観光立県だったからではないでしょうか。
 ことし1月、御坊市内の河川愛護会の総会に出席をいたしました。席上、会長から、寺内町観光で来られたお客さんから川に流れるごみが汚いという指摘を受け、観光協会から掃除の要望があったので、もっと掃除の回数をふやしたいとの提案がありました。正直、観光客が言うんだったら観光業者にやってもうたらええんやという意見が多く出されました。逆に、きれいな川にするんは我がらのためやという意見もあり、かんかんがくがくの議論の後、いつだれが来てもきれいな川にしようとの結論に至りました。
 これからの観光立県は、この愛護会のように県民総参加で行うべきであると思いました。観光業者もそうでない人も、すべての仕事を持つ人が、いや仕事をしていない人も、高齢者や子供も、観光地の人もそうでない人も総参加で、これこそ知事を先頭に県民総参加で取り組もうではありませんか。県民総参加でお迎えできる和歌山をつくろうではありませんか。
 以下、この視点で4点について伺います。
 まず、観光振興条例についてであります。
 県議会では、昨年12月議会から検討会を設置し、小川武議員を座長に、泉正徳議員を副座長に、各会派から10名が参加し、既に3回にわたり議論を深めました。去る2月26日には、和大観光学部長や全旅支部長、観光連盟副会長など、観光の最前線におられる6人の皆さんから御提言をいただき、意見交換を行いました。また、検討会を代表して、座長、副座長が出向いて市町村長と意見交換をし、アンケート等も実施いたしております。
 さて、知事は、議員提案6本目となる観光振興条例について、どのような期待をされますか。
 次に、高速道路の渋滞対策について伺います。
 週末、長期休暇などの長峰トンネルにおける渋滞は海南湯浅道路供用直後から発生しており、観光客に不親切な和歌山の象徴でしたが、最近は、早朝から藤白トンネルで南進が渋滞しております。
 これまで、私たちは、この渋滞を例示して道路財源や予算獲得の運動をしてきました。しかし、高速道路のさらなる南進により交通量はふえるばかりで、うれしい悲鳴というより、逆効果になっているのではと心配いたします。いつも私は、あの渋滞の列を見ると、せっかく和歌山に来てくれたのに朝夕不愉快な思いをさせて申しわけない気持ちでいっぱいになります。抜本的解決策は4車線化ですが、海南湯浅道路の供用は平成24年とまだ先で、湯浅御坊道路に至っては、まだ準備中であります。県民総参加の心でこの渋滞対策も取り組んでいただきたいと思いますが、何とお考えでしょうか。
 次は、JRきのくに線の遅延についてであります。
 2月14日、私は和歌山市内で用事を済まし、午後10時10分発のくろしお33号、田辺行きに乗車するべく9時50分ごろ、和歌山駅の切符売り場で駅員から禁煙指定席を買いました。ところが、ホームへ行ってしばらくすると、何かの事情で電車が10分ほどおくれるとの放送がありました。同じホームから出る各駅電車御坊行きもありましたが、せっかく特急券を買ったのと、10分なら特急のほうが早く到着するので、特急を待つことにしました。しかし、各駅電車が出発した後、もう一度放送があり、今度は15分おくれるというのです。しかし、結局、電車が着いたのは19分おくれの10時29分でした。ふだんは穏やかな私も、これにはキレました。文句を言うにも駅員はだれもいないので、電車に乗って車掌を呼びとめ、なぜおくれたのか、そしておくれたことを切符を買うときになぜ言わなかったのかを問いただし、苦情を上司に報告するように言いました。
 私は、今回、このことを取り上げたのは、腹立ち紛れに言っているのではありません。実は、昨年暮れから3回しか特急電車へ乗らないのに、3回とも同じことが起きたのです。しかも、電車通勤する友人に聞くと、いつも特急電車がおくれるので通勤電車が待たされ、車掌に苦情を言ったら、そんなことは意見箱へ投書しろと、そうしなければ本社へ伝わらないと言われたそうです。信じられますか、皆さん。これでは、昔の国鉄以下ではありませんか。
 かつては時間どおり正確なことを、「汽車のように」、「電車のように」と表現しましたが、今やJRきのくに線は遅延が常態化しているおそれがあります。競合する私鉄がない、JRしか走っていない和歌山県では、このお粗末は、JRの恥というよりも、和歌山の恥になっているのではと心配します。
 高速道路は渋滞し、電車はおくれるでは、だてまるという和歌山の歌手の人がいますけども、彼女の歌に観光立県名ばっかりという歌があるんですが、本当にそんなになってるんじゃないかという心配をいたします。JRにも県民総参加を求めたいと思いますが、果たして特急電車の運行状況はどうなっているのでしょうか。また、遅延が常態化している場合の対策について、あわせてお答え願います。
 観光でもう1問。どんなことでも進歩していくためには、強いところを伸ばし、弱点を克服することが必要です。その意味で、我が県の観光振興のためには、弱点である冬を何とか克服しなければなりません。もともと温泉があり、先人が開発したサファリパークやゴルフ場など、通年の集客施設もありますが、どうしても和歌山イコール夏のイメージが強いので、冬こそ和歌山と言える冬対策が必要ですが、どのようにお考えでしょうか。
 4番目について、ロボット大会についてお伺いをいたします。
 和歌山高専が高専ロボコンで2年連続準優勝をしたことをきっかけに、二階経産大臣の発案により、知事が大会長、吉田御坊商工会議所会頭が実行委員長に就任し、一昨年に続き、昨年末もロボット大会を開催していただきました。今回も予選を勝ち抜いた県内小中高生のロボコンの決勝戦が行われたほか、近畿各地から小中学生が参加し、交流試合が行われました。高専ロボコン優秀校の実演も行われ、全国大会さながらのゲームが展開されました。
 そのほか、トヨタのパートナーロボットや三菱重工のwakamaru、お好み焼きロボット、韓国の二足歩行ロボットが実演されました。会場の御坊市立体育館にあふれる観客に紛れて私も参加さしていただきましたが、子供たちのアイデアに感心するとともに、目を輝かせて一生懸命取り組む姿は大変印象的で、この子供たちが物づくり日本を担ってくれるのだと確信をいたしました。また、本田技研のリズム歩行アシストを試着さしていただきましたが、サイボーグになった気分で、技術の進歩に大変驚きました。
 ロボット大会は単なるイベントではなく、田舎町の御坊市にロボットという夢のあるテーマを与えてくれ、理科嫌いと言われる子供たちに、ロボットを通して科学や物づくりの楽しさを知ってもらう絶好のチャンスになりました。ぜひとも継続をお願いしたいところですが、大会長として知事はどのように評価されていますか。また、今後の展開について、何かお考えがあればお答えいただきたいと思います。
 5番目に、市町村との関係で、補助金と負担金について伺います。
 まず、補助金についてであります。
 去る2月26日に開催された福祉環境委員会では、知事の新政策である紀州3人っこ施策が平成20年度において和歌山市、橋本市、有田市、日高川町で残念ながら受け入れられず、当初予算の1億のうち5800万円が減額されたことが、さらに平成21年度でも和歌山市、有田市の当初予算に計上されていないことが報告されました。このことで、県民生活に役立つ政策でも、市町村が受け入れてくれなければ幾ら県で決めても実現できないことが明らかになりました。加えて、半数の県民しか受益できない政策がいいのかという議論もあります。
 3人っこ施策については、発表時期が市町村の予算編成後の昨年1月だったため混乱した経緯があり、改善策として新政策は前年の秋に市町村とすり合わせることになったと聞きます。それは大きな前進でありますが、今後、市町村財政が逼迫する中、今回のように政策には理解できても実施できないことが起こるのではないでしょうか。今回がまさにそのケースで、県で決めても市町村でやってもらわなければできないような同様の事業は、今年度予算にもたくさんあります。県長期計画には、市町村が実施する事業は、後で質問する生活排水を初め35事業もあり、私は、市町村が実施しない、できない場合でも直接県民に支給するなど何か工夫すべきであると考えますが、いかがでしょうか。
 次は、負担金についてであります。
 おくれている本県の道路整備では、公共性の高い経済効果の上がる箇所を国の補助事業で行っております。平成21年度においても32カ所、72億円の予算が計上されています。
 一方、同様に、公共性が高く、より交通量が多い都市計画区域内の道路については、市町村から6分の1の負担金をとって実施しております。負担金が重いためか、また用地買収が困難なためか、新規採択は少なく、事業の進捗が余りないので、平成21年度予算では10カ所、38億円しかありません。
 負担金を取る理由は、都市計画事業は本来市町村が実施するのが原則であるため、県営で行うときは負担金を取るということです。ここだけ見れば、確かにそのとおりかもしれません。しかし、その結果はというと、市街地の道路渋滞箇所は整備がおくれ、人口の少ないところに、やりやすいところにどんどんと予算がついていくという逆転現象になっています。
 何も人口の少ないところの予算を切れと言っているのではありません。圧倒的に人口、交通量の多い市街地の道路整備は、都市計画区域であるないにかかわらず、本来改修の必要性が高いところです。ですから、もう少しバランスをとる必要があると言いたいのです。この際、負担金制度も見直すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 6番目に、市町村設置型浄化槽の促進について伺います。
 行革プランの対象となった合併浄化槽の補助金は、多数の要望もあり、景気対策として存続することになりました。この際、知事の御判断に感謝を申し上げます。
 さて、今回の議論の最中に、国は浄化槽のうち市町村設置型について、補助率を3分の1から2分の1に引き上げてきました。この市町村設置型浄化槽というのは、読んで字のごとく、市町村が個人の住宅に設置管理する浄化槽ですが、補助率が上がったことにより、個人設置型に比べて県や市町村の負担は余りふえることなく、受益者の負担が5分の1程度に軽減され、大変取り組みやすくなりました。しかも、市町村が設置するため、これまで課題だった浄化槽が適正に機能するための7条検査や11条検査が漏れなく行われることになります。全くいいことばかりであります。
 ちょうど県では全県域汚水適正処理構想の見直し作業中ですが、現行の下水道等の集合処理から浄化槽に見直される区域が増加すると聞いております。まさに市町村設置型浄化槽は、汚水処理人口普及率、長計目標の70%を達成するための救世主になる可能性があります。知事はどのようにお考えでしょうか。
 7番目に、農林業の振興について伺います。
 先般、日高・御坊の4県議で農業士の代表と懇談いたしました。厳しい農業情勢の中で地域で活躍するリーダーだけに、さすがに「なるほど」とうなずく意見が多く、大いに勉強になりました。今回は、そのうち2点について、私見も交え、質問をいたします。
 まず、農業普及員制度の復活であります。とはいっても、かつての普及員制度そのものを復活させてほしいと言っているのではありません。
 知事は、就任後、産業別、企業別に担当を決め、話を聞く制度を設けたと聞きますが、今度は、農家、農業分野においても同じ制度を設けてほしいと思うのです。
 かつての普及制度は、おくれている農家に県が持っている先端農業技術や情報を職員を通じて教えてあげる、まさに普及する制度でした。しかし、今日では、生産技術そのものは農家のほうが詳しいとさえ言われ、県の持っている技術、情報は余り必要ではありません。しかしながら、農家も困っていないわけではありません。大いに悩み、苦しんでいるのであります。まず、その悩みや課題を聞いてあげてほしい。そして、情報を集め、問題解決のアドバイス等の支援を希望しております。
 ところが、普及制度が廃止されると、職員を農家周辺では見かけなくなりました。職員数が減って、農家には集団指導する制度に変更されたそうです。もともと農家は作業で汚れるので出かけにくい事情もあり、用事があったら役所に来いというのではなく、こちらから出向いてあげて聞いてあげる姿勢が必要ではないでしょうか。それが私の言う普及制度で、大いに農家、農村への相談活動を充実していただきたいと思います。
 しかも、この県民の話を聞く、調べる、アドバイスするという仕事は、やる気さえあれば予算がなくても直ちにできる、安上がりで、その割には満足してもらえる大切な仕事です。ぜひ御検討いただきたいと思います。
 次は、パイプハウスへの補助であります。
 補助金とは、幼稚産業の保護・育成、外部経済効果の大きい産業の育成、あるいは重要産業育成などに支出され、これまでは、施設園芸関係ではガラス温室や低コスト耐候ハウスの団地化に補助してきました。しかし、資材の高騰で低コスト耐候ハウスも低コストとは言えなくなり、ガラス温室は高価で、さらに手が出ない状況にあります。
 最近の報道では、期待の輸出農産物も、円高のために苦労しているそうです。国内でも、安全、高品質かつ安価でなくては買ってくれません。そのためには、安全、高品質、低コストの農業が必要ではないでしょうか。その代表としてパイプハウスがあります。ぜひ国へも要望していただきたいと思います。
 施設園芸の先進県である高知県に行けば、いまだに木造ハウスがあります。山東省へ行けば、れんがづくりのハウスですばらしい農産物をつくっております。ぜひとも、低コストの農業、そして手間をかけない農業を研究、推奨していこうではありませんか。御見解を伺います。
 最後に、紀の国森づくり税について伺います。
 県議会の圧倒的大多数の皆さんで、力を入れ、この条例をつくりました。最初はあらしの中の出発でありましたが、結果的に多くの市町村、団体からお申し込みをいただき、里山や森林を守る運動が今よく報道されておりまして、推進した1人として大変感慨深く思います。
 しかし、肝心の奥山については、低コスト林業の普及などもありますが、いまだに大きな前進に至っておりません。
 そこで、ぜひ知事には、この紀の国森づくり税条例について御評価いただくとともに、この基金を活用してどのような森林整備に取り組まれるのか、お聞きをいたしたいと思います。
 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、景気対策、あるいは景気の現状認識と今後の予想とか、さらなる対策とか、そういう点でございます。
 世界同時不況の影響によりまして我が国が未曾有の経済危機にある中で、県内企業も急激な不況の波を受け、輸出関連メーカー等を中心に減産が相次ぎ、業況は悪化してきております。また、非正規労働者の雇いどめ等の増加や有効求人倍率の低下、雇用維持に資する雇用調整助成金等の活用企業の急増など、雇用情勢も大変悪化してきておりまして、本県経済も厳しさが増してきていると認識しております。
 本県経済については、当初の打撃は他県よりも、こういう言葉を使うといけないかもしれませんが、ましであったかと思います。ただ、当県は、経済的には長い停滞期がありましたから、特に中小企業を中心にして、体力的には弱い企業が多いんじゃないかというふうに思います。そういう意味で、今後、世界的な不況が長期化してまいりますと、県内事業所の大半を占める中小企業は経営体力を消耗いたしまして、県経済の回復に大幅なおくれが懸念されるというところだと思います。
 このため、昨年12月に緊急経済対策本部を立ち上げ、資金繰りや雇用対策を中心に鋭意取り組んでいるところでございますけれども、平成21年度当初予算ではまだまだ資金繰り対策が必要であると考えておりまして、900億円の融資枠を確保するとともに、さらに必要な公共投資の総量も確保し、社会資本整備関連事業を、どうせやるということがわかってるものについては早くやるということで、前倒し発注を積極的に推進したいと考えております。
 また、雇用対策として、雇用のミスマッチ解消に資する「和歌山で働きませんか!」等の3つのプロジェクトを既に発進さしておりますが、これを一層推進するとともに、ふるさと雇用再生特別交付金等による基金を活用し、雇用・就業機会の創出に取り組んでまいりたいと考えております。
 このような不況期にありましても、将来の成長の芽を育てる底力を蓄える施策の実施が非常に重要であります。このため、我がまち元気プロジェクト、あるいは産学官連携による研究開発や農商工連携による新商品開発を支援するなど、新たなリーディング産業の創出に取り組む、そういうようなさまざまな政策を積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、県内の業況把握、これはきめ細かく、あるいは非常に適時適切に、あるいは常時努めるとともに、国の新たな経済対策等の検討状況も注視しながら、必要な対策を機動的に講じてまいるように努力してまいりたいと考えております。
 次に、工業団地の値下げの問題でございます。
 工業用地の販売促進につきましては、企業が立地し、雇用の確保が図れるなど、県内経済の活性化において極めて重要な施策であると認識しておりまして、積極的に取り組んでいるところでございます。特に販売におきまして重要な要素であります土地価格の決定、これにつきましては、従来、前でございますが、これは造成費用を基準としたいわゆる公表価格から、最近は取引実態に即するように、平成18年度から不動産鑑定士による鑑定価格方式に改めたところでございます。従来は、これだけかかったんだから、それだけちゃんと払ってくれと、こういうことでしたが、そんなことじゃ売れませんので、時価で売るということで鑑定士型にしております。
 しかしながら、議員御指摘のとおり、時価は、また上がったり下がったり、特に最近の経済危機の中にありましては時価がかなり下がるということも予想されます。そういうときは、機敏にその鑑定価格を修正してというか、鑑定をやり直していただいて、売却が円滑に進むようにしたいと思います。また、買いたいという方と密接にいろんな連絡をとって、できるだけ柔軟にいろいろな措置も講じて、買っていただけるようにしてまいりたいと考えております。
 それから、定額給付金でございます。
 これは受け取るかと言われましたんで、もちろん受け取って、県下で使いたいというふうに思います。という心は、定額給付金は住民への生活支援と地域の経済対策を目的に給付されることということでございますけども、この急激な景気後退の中で個人消費を押し上げていくことが非常に重要な政策目標です。したがって、給付金が来て、これが県内でできれば使われて県内の消費拡大を通じて有効な景気刺激策になればいいなと、できれば県内で使っていただきたいと、私も思っております。
 この流れに呼応するように、県内において、プレミアムつき商品券発行など、さまざまな工夫、動きがございます。県内の需要拡大という観点から、このような取り組みについては県としても支援をしてまいりたいと、こんなふうに考えております。
 次に、自衛隊でございます。
 美浜町の陸上自衛隊和歌山駐屯地は、議員御指摘のとおり、地元の誘致により昭和37年に設置され、その後、従前の施設隊が水際障害中隊に組織改編されました。近い将来、東南海・南海地震が発生する可能性が極めて高い本県にとりましては、本中隊の災害時の迅速な救助・救援、復旧活動に対して大きな期待を寄せているところであります。さらに、この自衛隊の存在そのものが、人口減少に苦しむ和歌山県にとっては大変ありがたい人口維持要因であるというふうにも思います。そういう観点から、いろんな意味で存在意義が大きいと私は考えております。
 訓練を実施しないと、何のためにそこにいるかわからんということになると思いますので、これについては、いろんな話し合いが現在持たれております。現在、防衛省におきまして、中心になって、地元関係者の方々との同意を得るための協議が鋭意なされていると聞いておりますが、なお同意には至っていないというふうに聞いております。
 和歌山駐屯地の存続は、地元美浜町はもちろん、県全体にとっても非常に重要な関心事であります。関係者の皆様におかれましては、大同について同意にまで持っていっていただきたいなというふうに考えております。県といたしましても、美浜町と緊密な連携、協議を図ってまいりたいと考えております。
 観光振興条例でございますが、中村議員御指摘の県民総参加という観点は大変重要で、見事に事の本質を指摘されたものと考えております。
 現在、議会において、議員の皆様の発意により観光振興条例の制定に向けた取り組みが精力的に行われているということにつきましては、私といたしましても、元気な和歌山づくりに向けての最重要課題の1つとしての観光の振興に積極的に取り組んでいる立場から、大いに賛意を表するところであります。
 この条例の制定により、観光関係者のみならず、まさに県民総参加で、県民のすべてが本県にとって観光の振興が県勢浮揚に不可欠であるという認識を持ち合い、そして県民1人1人が観光の振興に積極的にかかわっていくという機運が醸成できるものと期待しておる次第でございます。
 次に、JRきのくに線の観点でございます。
 最近の遅延等々については、JRのほうからは我が県に対しては、遅延で申しわけないが、JRの福知山線の脱線事故後、安全性について重視をしている、そこで、例えば人身事故があったときなど、実況見分など安全確認が大変入念に行われているのでおくれておりますと言って、そういう説明をしております。その説明は、もちろん、それがけしからんということではないと思いますが、それにしても、それであるとしても、中村県議がおっしゃるように、何でおくれたかとか、どうなってんだとか、そういうことについてきちんとした対応を1人1人の社員が──これは、和歌山で仕事をしておられる人、あるいは和歌山に住んでおられる人が多いと思いますけど──そういう方々が1人1人気をつけてお客様を大事にしていただかないと、これは全員参加型の観光にもなりません。御不快はごもっともでございます。県庁職員がそういうことをしでかしておるならば、直ちに私としては注意し、是正をするということであろうかと思います。
 JRも、観光振興に協力してくれたり、いいところもあるんですけれども、これは大いに申し入れをして、きちんとしてもらわないといかんということを考えておりますので、そのようにしたいと思います。
 それから、ロボット大会でございますが、一昨年、昨年と、おかげさまで開催をしていただきました、きのくにロボットフェスティバルは、ロボットを通じて科学技術への関心を高め、将来の日本の物づくりを支える人材のすそ野を広げていく上で、大変意義深いものであると考えております。また、回を重ねるごとに、例えば出場者や企業ロボット数がふえるなど改善がありまして、催しの趣旨が理解され、より魅力的なフェスティバルになってきてると考えております。
 私もずうっと参加しておりましたけれども、一昨年になくて昨年にあったのは、学校ぐるみで応援団が来ておって、みんな「頑張れ」と言って応援をすると、そういう姿がちらほら出てまいりました。これがもっと出てまいりますと、子供たちが「ああ、自分もやってみよう」というふうになって、いろんな科学技術に関する関心が高まってくるというふうに思います。
 今後の展開といたしましては、こうやってロボットを通じた交流あるいは人材育成の催しであるこのフェスティバルが、地域に新風を吹き込むとともに、特に御坊市、日高地域が全国にロボットをテーマとしたまちとして有名になって、ひいては地域の先進企業がロボット関連産業への展開、あるいは優秀な物づくり人材の育成、これを支援し、新しい地域振興のモデルとなることを期待しているわけでございます。
 今後とも、地元が中心となる手づくり感を生かした運営、創意工夫を大切にし、国等とも連携しながらこの催しを継続するとともに、私自身も精いっぱい頑張って応援してまいりたいと考えております。
 次に、補助金と負担金の関係でございます。
 何でも県と市町村が一緒でなければいかんと、私は思っておりません。それから、気持ちとしては、中村議員御指摘のような点について共感を持つところもございます。ただ、補助金というものを考えるときに、そもそもこの事業をだれがやるべきかというのがいつもつきまとうと考えております。
 御質問の紀州3人っこ施策については、実は議論のときから、これは市町村の事業じゃないかというような議論がずっとありました。確かに、周りのいろんな政策を考えておりますと──社会福祉等々ですね──市町村が責任主体になっているところが多うございます。そういうことで、県としてはぜひやってほしいという意思表示を示すという意味で、市町村を説得して一緒にやろうということで誘っていったということでございます。その誘うのが少しおくれたので、1年目はちょっと混乱もあった。それから2年目以下は、財政がとってもつらいところがあるので、必ずしも全員に賛成して一緒にやっていただいてないわけでございます。
 そういうことで、物事の本質から考えると、これは市町村で取り組まなければいけないというのが筋だと思いますので、全部県がやってしまうというのはちょっと問題かなというふうに考えているところで、これは何とかまたつらいところにもお願いして、やってくださいよということを頼んでいきたいと、今は思っております。
 また、負担金の問題、特に街路についての負担金の問題でございますが、御質問の街路事業については、これまた都市計画法上、本来の実施主体は市町村になっております。市町村の負担で実施していくべきものでありますけれども、工事の中身を見たときに、あるいは実態を見たときに、県の工事とタイアップできるような場合、これをより円滑に事業を推進するために県が実施主体を肩がわりして、その際には市町村負担が6分の1に軽減するということになっているわけでございます。したがって、これも本来の趣旨から言うと、6分の1のほうをなくしちゃうというのは、これについてはちょっと難しいかなあというふうに思います。
 ただ、一般に、今、国と県もそうですが、県と市町村も、だれがどうやって責任を持ってきちんとやっていくかというそのあり方、これが地方分権の非常に大事なところでございます。知事会でもそういう議論もなされておりますし、県と市町村の間につきましても、これは国全体の制度なんですけども、地方分権のあり方の1つとして制度全体が議論されているところでございますので、その見地からも適切に考えてまいりたいというふうに考えております。
 それから、市町村設置型浄化槽の促進でございますけれども、これにつきましては、和歌山県長期総合計画に掲げている平成29年度末、汚水処理人口普及率70%を達成するために、従来は下水道による整備を進めてまいりましたが、浄化槽を活用して汚水処理人口普及率を上げるということを今少し両刀にして推進しているところでございますので、御指摘の市町村設置型浄化槽、これについては非常に補助率等有利でございますので、これをぜひ私どもも、議員御指摘のように普及促進していきたいと、そういうふうに考えております。
 積極的に市町村設置型浄化槽事業を導入するように、これは市町村、これまたその気になっていただかないとなかなか難しいものですから、お勧めを申し上げて、それでできるだけ早くこの目標達成をしていきたいと、こんなふうに考えております。
 それから、農家との直接的なコミュニケーションが以前と比べて十分でないという御指摘でございますが、私は、県民の皆さんから広く多くの声を聞くことが大切であると考えておりますので、その意味で、中村議員の御指摘は大変重く受けとめなきゃいけないというふうに考えております。
 実は、昨年設けた産業・企業別担当者制度においても担当企業と常にコンタクトをとり、その発展について積極的に考えようということなんですが、産業は何も商工業だけではありません。農林水産業におきましても、実はそれぞれの担当者が農協や農業法人、あるいは加工業者とか、そういうところに行っていろいろ話を聞いてこいというようなことになっているわけでございます。ただ、これをもっともっと、これ始まったばっかりですから活用しなきゃいけないんですが、その際も、ただ役についてる上層部の人だけと話をするんじゃなくて、実際の農家の立場に立って、あるいはその農家の方々ともできるだけ接触するようにして、お互いが苦しいときも、いいときも、いつも情報交換、話し合いをしていく、そういうことになるとよろしいかと思いますので、現場の声を聞くことがすべての第一歩という考え方を県庁全体の職員に徹底して、こちらからできるだけ出向いていくようにしてまいりたいと考えております。
 それから、紀の国森づくり基金の効果と今後の展開でございますが、これにつきましては、県民が知る、理解する、参画するという県条例の基本理念を踏まえまして、公募事業を中心にして活用してまいりました。この2年間で約130件の事業を採択し、都市部における森林整備、荒廃森林の間伐や植樹活動、間伐材の利用、それからさまざまなPR、あるいは知的貢献事業などの取り組みに約2万5000人と、多くの県民の方々の御参加もいただいて実施してまいりました。そのほかに、森林の大切さのPR、ウバメガシやアラカシなど郷土を代表する樹種の育成、花粉症に関する調査など、幅広く事業を行ってまいったわけでございます。
 一方では、本県には早急に整備すべき荒廃森林が依然としてたくさん残っております。したがいまして、今後とも議会や県民の皆様から御意見をいただきながら、奥地水源林や古道周辺等の景観保全のための森林整備に計画的に取り組むとともに、保全すべき貴重な森林の公有林化を進めるなど、県民から一層評価されるような基金の活用に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 高速道路の渋滞でございます。
 これまでも県は西日本高速道路株式会社に対しましてさまざまな要望を行ってきておりまして、その結果、速度アップを喚起する看板の設置や有田南インター付近における円滑な合流のための譲りレーンの短縮などの取り組みが行われてきております。さらに、県としましては、車両の集中を分散するため、渋滞を避けた時間帯での運転を呼びかけたり、高速道路を補完する内陸部の骨格道路を整備するなど、より効果的な渋滞緩和策を進めてまいりたいと考えております。
 また、抜本的な渋滞解消策であります海南─有田間の4車線化工事につきましては、先日も知事が西日本高速道路株式会社に赴きまして、石田会長に強く要請したところでございます。現在、本線部の工事も進んできておりまして、来年には新たに本線の2車線部分が完成し、その後、現道を供用しながら既存のインターチェンジやトンネル施設の改良を行うことになると聞いております。県としましては、なお一層、4車線化工事を早期完成するよう働きかけてまいりたいと思います。
 また、有田─御坊間につきましても、都市計画の手続を進めているところでございまして、海南─有田間に引き続いて事業化されるよう取り組んでまいる所存です。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 冬季における観光振興につきましてお答えをさしていただきます。
 議員御指摘のとおり、冬季は年末年始を除いて閑散期となることは観光客動態調査でも明らかでございますが、本県観光振興を図っていく上で重要な課題であると認識しているところでございます。
 このため、冬季におきましても魅力ある観光地として和歌山を選択していただく工夫が必要であると考えてございまして、本年度の取り組みといたしましては、西日本高速道路とタイアップした「ぽかぽか和歌山キャンペーン」を初め、JR西日本との紀州クエを活用した誘客キャンペーンの推進、県内各地への集客を促すための「ぐるっと!わかやまスタンプラリー」等のさまざまな企画を実施してございますが、今後とも、関係者と協力しながら冬季の誘客促進を図ってまいりたいと考えてございます。
○議長(大沢広太郎君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) パイプハウスへの補助についてでございますが、本県では、収益性の高い農業づくりのため、施設園芸を推進する中で、安価で、しかも台風などの気象災害に強い低コスト耐候性ハウスの導入を図ってきたところでございまして、現在、ミニトマトを初めスプレー菊など、全国有数の産地も育成されてございます。
 議員お話しのパイプハウスへの補助につきましては、これまでの経過からいたしまして、国庫補助対象には難しいものがございますが、本県の主要野菜でございますエンドウのように、加温しなくても栽培できる品目につきまして、より農家負担の軽いパイプハウスの需要が多いことも承知をしてございますので、今後とも国に対し本県施設園芸の実情を伝えてまいりますとともに、低コスト・省力化農業の推進にも取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 25番多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕(拍手)
○多田純一君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行いたいと思います。
 今も、中村議員のほうから景気対策のお話がございました。私も、最初に雇用、以下県内の景気対策とその予算についてお伺いをしたいと思います。
 本県の主要な経済指標を見ますと、公共工事請負金額や新設住宅着工戸数は、前年同月を少し上回っているものの、生産面では鉱工業生産指数が4カ月連続で、需要面では新車登録台数は3カ月連続、大型小売店販売額は9カ月連続、前年同月を下回っております。
 商工リサーチがまとめました1月の県下企業倒産は、負債額1000万円以上では17件、負債総額は61億4900万円に上っております。この倒産件数は前月より6件増加し、負債総額は48億3000万円増。これは、昨年の1月と比べると2件の増加となっております。負債総額では55億2500万円の増加となっております。体力の乏しい小規模業者中心に倒産増加傾向にあるようです。
 先週発表されました1月の有効求人倍率は、全国が前の月より0.06ポイント下がり0.67倍、和歌山は前月より0.04ポイント下がり0.72倍となりました。和歌山県の有効求人倍率は、最近では、一昨年の平成19年8月、9月の0.94倍をピークに、1年4カ月後退をしております。全国が1倍を超えたときでも和歌山の状態はなかなかよくならず、ここ10年以上も有効求人倍率が1倍を超えたことがありません。求職者数と求人数の関係からすると、十分な雇用関係に至らないまま今日の状態になってしまっていると言えます。もっと言うと、経済状態は全国より数カ月おくれて影響してくることを考えると、景気局面がますます悪化している中で、このまま何もしないと、和歌山はこれからももっと厳しい状況が続くことになりそうです。
 県内で生活苦などの生活問題での自殺者もふえているとの報道もされております。景気の急速な悪化に伴い、今後さらにふえるおそれがあるという見方も出ており、早急な対応が必要となってまいります。
 麻生内閣では、昨年の第1次補正予算、またこのたびの第2次補正予算、そして平成21年度予算と景気対策3段ロケットとして、総額75兆円規模を編成しました。その柱として、生活支援対策、雇用対策、中小企業対策、そして地域活性化対策としています。まさに待ったなしの景気対策、経済対策が望まれており、実体経済の中に早く手を打つことが強く求められております。
 国の緊急雇用対策事業として、ふるさと雇用再生特別基金。基金の造成44億円、平成23年度まで実施し、安定的な雇用が見込まれる事業、雇用期間原則1年以上となっています。また、緊急雇用創出事業臨時特例基金として、基金の造成16億円。離職を余儀なくされた非正規労働者の失業に対し、短期の雇用、就業機会の創出・提供する等の事業を実施、生活の安定を図るものとなっております。それぞれ目的を分けてということですが、緊急雇用創出事業臨時特例基金は8年前にも実施した経験もあり、比較的使いやすいのでしょうが、それぞれどんな事業となるのか、また、これで雇用計画をどのように算定しているのか、お示しいただきたいと思います。
 深刻さを増している雇用問題を抱えている中で、県民の生活を守る視点と県内の活性化を図る視点が必要です。その上で、介護、子育て分野などの労働移動を進める一方で、農林、水産など新たな雇用創出を戦略的に図ることも大事なとき、和歌山労働局との連携を図り、県民の就職促進の強化を今こそ国と一体になって行うべきと考えます。
 そこで、県内の雇用状況に対する認識とその対策を知事にお聞きしたいと思います。
 そして2番目に、和歌山労働局との連携については商工観光労働部長にお聞きしたいと思います。
 定額給付金の話は、先ほど出ておりました。定額給付金の申請手続と県内の経済効果についてお尋ねをしたいと思います。
 日本経済は、昨年10─12月の国内総生産(GDP)前期比率マイナス12.7%を発表しています。消費が冷え込み、デフレ基調となってきています。内閣府による景気判断でも個人消費の緩やかな減少が続いているとの報告もあり、消費を喚起する側面と生活支援としての側面、その両方の面から、定額給付金への期待が大きいと思います。この定額給付金を含めた第2次補正は、通常国会で1月17日に必要な予算が成立。その後、給付金関連法案として衆議院を1月27日通過したものの、参議院では審議が遅滞したままで、関連法案が無事成立に至ったのは一昨日の3月4日です。やっと成立しました。いよいよ地方自治体の出番がやってまいりました。定額給付金は特需という報道が目立ってまいりました。
 2月24日には、早々と福島県南会津町で定額給付金の申請書が全国で初めて発送されるという報道がされ、申請書の送付も始まっていますし、本日、北山村も給付されるという報道もされております。
 2月17日の「朝日新聞」の記事によりますと、県内30市町村のうち回答を得られた29市町村のうち、27の市町村長がこの定額給付金について「効果がある」とお答えになったそうであります。効果があるとした理由では、「購買意欲を高める即効薬的な意味があり、地域を底上げする一助になる」、「給付金に上乗せして消費を期待」、「冷え込んでいる消費マインドを刺激する」など、消費拡大につながるとの見方が多かったと思います。もちろん、効果がないという意見も2人の町長からあったわけですが、県内約160億円もの給付金が支給されると、県内GDPを押し上げる効果は当然考えられるものと思います。
 それに、全国でも、商工会議所や商店街などでプレミアつき商品券の取り組みも紹介されております。ことし1月末現在では、全国36都道府県129市区町村で実施。県内の取り組みとしては、田辺市地元商店街など8カ所で検討されているそうであります。
 県では、全国に先駆けて12月からその準備に当たってこられ、御苦労さまでございますが、いよいよ県民が期待している給付金支給までの速やかな対応をお願いしたいと思います。県内消費を前提に、その消費が県経済に及ぼす効果について、また申請書送付の時期と県民に交付される時期の見通しについてお答えをいただきたいと思います。
 2点目に児童福祉について、児童養護施設の整備について、まずお聞きをしたいと思います。
 先日、公明党県議団で、建てかえ移転されました児童養護施設虎伏学園の視察に行ってまいりました。この児童養護施設は、和歌山市津秦に昭和37年に虚弱児施設として当初認可されスタートしましたが、平成10年の児童福祉法の改正により児童養護施設として、さまざまな家庭の事情により養護を要する児童、虐待されている児童、心身虚弱の児童、その他環境上養護を要する児童を保護する施設に変わっていったわけであります。
 今から4年前、平成17年、公明党県議団の新田県会議員とともに、当時、和歌山市議会議員として初めて視察をさしていただきました。開園して40年以上たち、建物は老朽化しており、継ぎはぎだらけという印象でございました。宮小学校、日進中学校の分校である校舎も、2階にプレハブで設置されており、児童の居室では1部屋に7人から8人が共同生活している現状でございました。訪問した日はちょうど雨天の日で、教室から教室に移動するのに傘を差して行ったのを覚えております。いろんろな事情が重なったんでしょうが、学園の中に分校があり、社会と交流も乏しく、卒園した後を心配していたのは私1人じゃなかったかと存じます。
 このたび、たくさんの方の御尽力で複合型児童福祉施設虎伏学園として整備され、3月には竣工される運びとなりました。延べ床面積としては倍となり、児童養護施設と情緒障害児短期治療施設、そして県内初めてとなる児童家庭支援センターの複合児童福祉施設になります。児童養護施設の45人は地元の小学校、中学校に通うことになりますし、大部屋からそれぞれ小部屋になり、より家庭に近い形態で子供が生活できる状態に変わりました。
 私の地元にありましたし、地域からの強い要望もありました。少子化社会と言われる中で、児童の健全育成は社会に課せられた大きな課題としてとらまえたとき、老朽化という問題だけでなく、閉ざされた社会の中で虐待が発生していたこともあり、新しくスタートできることを心から喜びたいと思います。
 さて、これで、県内7施設のうち建てかえが行われたのは和歌山市のこばと学園と虎伏学園となりました。耐震上の問題も考えると、その整備は早急に必要じゃないかと思われますが、施設に対し県の指導はどのように行われているのでしょうか。お聞きしたいと思います。
 この4月、児童福祉法の一部が改正され、施行されます。これは、乳幼児の全戸訪問や地域子育て支援の拠点事業など、法律上位置づけられ、困難な状況にある子供や家庭に対する支援の強化となっています。里親制度の改正や施設内虐待の防止などを柱としています。里親制度の実情と、この改正による今後の見通しはどうなのか。児童虐待死亡事例検証委員会以後、児童虐待対策は強化されてきているのか。施設内での虐待防止の規定はどのように考えておられるのか。また、県内初の児童家庭支援センターの役割と児童相談所とのかかわりについてはどう考えればよいのか。以上、福祉保健部長にお尋ねをしたいと思います。
 3点目に、教育問題について質問さしていただきます。
 現在策定中の和歌山県教育振興基本計画について。
 平成18年12月に、60年ぶりに教育基本法が改正されました。その基本法の第17条第1項に基づき、その理念を踏まえ、国の教育振興基本計画は、教育の振興や教育再生への道筋を明確にするために、政府が定める基本的な計画という位置づけとなっております。政府が策定する初めての教育振興計画が、平成20年7月、閣議決定され、今後10年間を通じて目指すべき教育の姿を示し、平成20年度から24年度までの5年間で取り組むべき施策などが盛り込まれております。
 教育基本法第17条第2項は、地方公共団体が教育振興のための施策に関する基本的な計画を策定するよう努めなければならないと規定しています。したがって、基本計画を策定するかどうかは努力義務となっております。
 長期総合計画でも教育分野を対象にしており、改めて教育振興計画を策定した目的は何か。また、この計画で、国の計画を参酌したところ、本県の特色を生かしたところ、市町村との連携を図る上で意見交換等は実施されたのか。パブリックコメントなども含め、教育長にお尋ねしたいと思います。
 県立高等学校再編整備計画第2期実施プログラムの考え方についてお聞きしたいと思います。
 第4期きのくに教育協議会の報告に基づき、県立高校のあるべき姿を展望し、魅力のある学校づくりを進めるためとしております。背景には、少子化の進行により生徒数が急激に減少する一方、高度情報化、国際化という社会の変化に対応できる人材の育成が急務という状況にもあり、高等学校を取り巻く状況の変化や高等学校教育に対する県民のニーズに適切に対応し、将来を見据えた展望のもと、全県的、総合的な視野に立った高等学校づくりを目指すとなっております。
 そして、再編整備第1期実施プログラムを平成18年度から20年度にかけて実施されてきました。具体的には、高等学校の統合・再編、そして中高一貫教育校の設置となりました。保護者やPTA関係者の理解が進んでいないうちに方針だけが打ち出され、関係者にとって大変大きな問題となりました。
 今後の再編整備については第2期実施プログラムの中で検討していくとのことでありますが、第1期実施プログラムの総括と第2期実施プログラムについて、その基本的な考え方と進め方について、教育長、お示しください。
 次に、国体に向けて何点かお聞きしたいと思います。
 国体に向けた取り組みは、本格的には内々定を受けた2006年度、国体準備班を発足させてからになります。その年は46位、翌年は45位、そして昨年の大分国体では41位と、順位を少しずつ上げてきています。
 和歌山県の2巡目国体開催予定は、2015年、第70回国体。あと6年となりました。41位は総合優勝を目標に置いている本県としては厳しい道のりという感じがしますが、最初の昭和46年国体のときも、開催の8年前は45位に甘んじていました。そのときの経験からすると、今、再びの夢実現ということになります。
 決して不可能なことではないことは、県として経験しているところでもあります。和歌山の本領発揮、その見せどころと言えます。特に昨今、高等学校の全国大会では、ソフトテニス男子の優勝を初め10競技36種目において入賞を果たし、中学校の全国大会では、剣道の優勝を初め5競技7種目で入賞を果たしています。平成18年度から始めたゴールデンキッズ、金の卵の行く末も楽しみの1つになっています。
 いよいよ国体開催に向けて施設の準備も進み出し、予算化され、教育委員会だけでなく、県庁及び県民一体の取り組みが必要との感を強める時期であります。県庁内の組織再編強化策について、知事のお考えをお聞きしたいと存じます。
 過去5年間の国体実績から見て、本県の競技力向上に向けての取り組みでやはり大事なのは、指導者の存在だと言えます。6年後を見据えたなら、待ったなしの状況にあると言わざるを得ません。競技力向上に向けた取り組み、小中、中高の一貫教育、連携教育、例えば就学区も地域によっては弾力化されてはいます。その子供の特徴を生かすことを考えると、学区を超えた小中連携を模索できるんじゃないか。一貫した指導者のもとで才能を生かせることを考えた就学に関する制度運用についてお考えをお聞きしたいと思います。
 昨日、坂本議員からもお話がありました特別選考の件ですが、教員免許を持たない特例の特別採用枠を適用した試験を平成19年から実施していますが、実際に採用はされていない状況です。このことを考えると、見直しも行う必要があろうかと思います。その考えについても、教育長にお聞きしたいと思います。
 指導力の向上の観点から、かつて昭和46年当時、国体のために県外からも大勢の方々に和歌山県に来ていただきました。その方々が退職される団塊の世代となっております。長い間、指導者として競技力向上に尽力をしていただいております。その中でも、管理職としてマネジメントにも力を発揮された方も多いと思われます。指導者の育成の観点から、どう活用されるのか。これも教育長にお聞かせ願いたいと思います。
 続いて、市町村対抗ジュニア駅伝競走大会についてお聞きしたいと思います。
 平成14年から始まった市町村対抗ジュニア駅伝競走大会も、ことし8回目を迎え、チーム数もオープン参加の10チームを入れて40チームと過去最高の参加チーム数となり、沿道の応援を見ても定着してきた印象を受けました。この目的は、青少年の健全育成と市町村対抗での地域の活性化を目指してやってきたものと思われます。県庁前をスタートしてマリーナシティをゴールとする10区間25キロ、今は30市町村の対抗となっています。
 大会実施要綱による区間ごとの小学生男女、中学生男女の配置が、市町村によって少子化ということもあり、要綱どおり選手がそろわないことも予想されます。その場合、今後どうされるのか。
 県内では、和歌山市が行う和歌浦ベイマラソンwithジャズ、桃源郷マラソン、岩出市マラソン大会、口熊野マラソン、橋本マラソン、紀文みかんマラソン、日置川リバーサイドマラソン、熊野古道近野山間マラソン、新宮大浜マラソン等、県内で多く定着してきているように思います。
 ことしの全国都道府県対抗駅伝大会を見ていまして、競技力向上への取り組みを改めて考えさせられました。走ることはすべての基本になります。全国的な体力測定でも、和歌山はこの持久力が弱いことが指摘されております。大会の強化は和歌山の弱点を補うことにもなり、ぜひ県内挙げての注目されるイベントとして取り組み強化されてはどうでしょうか。教育長にお尋ねをしたいと思います。
 最後に、県民の安全・安心についてお聞きします。
 「平成21年和歌山県警察運営指針及び重点目標」を掲げ、「警察組織一丸となって諸対策を推進し、安全で安心な和歌山の確立を図ってまいります」、その重点目標に「交通事故総量抑止総合対策の推進」とあります。
 先日、交差点改良を行うと発表された和歌山市内中之島交差点も交通事故多発箇所として、和歌山東署管内の重点対策路線として対象になっていた場所でした。同じく最近の事例では、一昨年、国道24号線と26号線が交差する西汀丁の交差点も、交差点改良されたのは記憶に新しいところです。
 昨年の本県の人身事故件数は7270件。平成14年以降減少していますし、負傷者数は8843人、平成14年以降、減少傾向にあります。死者数も、昨年は若干ふえておりますが、63人とおおむね平成13年より、これも減少傾向となっています。
 しかしながら、交通事故は毎日どこかで発生し、依然として多くの県民が交通事故に遭っている状況をかんがみても、今後とも効果的な交通事故防止対策を推進していかなければならないと考えます。
 交通事故は、交差点で多発しているケースが目立つわけです。とりわけ、県内で平成20年にワーストランキングされている場所として、和歌山市内の国道、県道の交差点が目立っております。交差点改良した西汀丁交差点でも、改良した直後は減っておりましたが、昨年からまたふえてきているのも懸念されております。新たな工夫が必要となっています。
 また、本県の道路は77.4%が市町村道路であり、人身事故総数の35.5%は、その市町村道路で起こっています。要するに、信号機もない狭い道路、生活道路、「細い街路」と書いて細街路での交通事故も多いのも指摘されております。事故の中でも特に高齢者事故で被害者、加害者がふえている現状が気になるところです。75歳以上では平成15年に比べると21%増、死亡事故の被害者でも、平成20年は全体で63名のうち65歳以上が28名、半数以上が75歳以上となっており、これは人口10万人当たりの死者数に置きかえると、全年齢層で全国平均を上回っている状況です。さらに言うと、高齢者が交通事故で亡くなる確率は、高齢者以外の2.4倍となっているとのことです。高齢者施策として、被害者にも加害者にもさせない交通施策が喫緊の課題となっていると言ってもおかしくありません。
 以上を踏まえ、交通政策として、1つ、高齢者を被害者にも加害者にもさせない施策について、交通事故多発交差点や細街路などの対策について、警察本部長にお聞きをしたいと思います。
 続いて、少年犯罪の現状とその対策についてお伺いします。
 平成21年度重点施策、きのくにスクールサポート事業についてお伺いします。
 この事業は、県教育委員会が行っていました問題行動対策サポート事業を警察行政として継承する事業ということになっています。私の認識では、平成19年から始まった事業で、サポーターとしては警察官のOBや警察女性職員OGの方もおられましたが、教員OBや青少年指導員の方も多かったように受けとめています。しかも、19年に比べて今年度20年度の取り組みは削減され、そのときの説明では、暴力行為などの問題行動が減少し、相当の効果が認められたのでサポーターの配置を半減させたとのことでございました。実際、平成19年度予算では1113万円だったものが、20年度予算では470万4000円、今年度21年度予算では前年比3倍強の1638万2000円と、大幅な増額となっています。
 少年犯罪の現状と問題行動対策サポーター配置事業からきのくにスクールサポート事業へ継承に至った経緯を、教育長と警察本部長、それぞれにお聞きします。
 最後に、振り込め詐欺対策についてお伺いします。
 高齢者に被害が多いのが、また振り込め詐欺があります。先月2月は、振り込め詐欺撲滅月間ということになっていました。「振り込め詐欺」と総称して言われていますが、内容は、おれおれ詐欺、架空請求詐欺、融資保証金詐欺、還付金詐欺などとなっております。被害者の心理を巧みに利用したり、肉親の良心につけ入るなど、その手口は許せるものではありません。
 以前は「おれおれ詐欺」と言われていたのがたしか始まりだと思いますが、2004年に警察庁により統一が図られ、「振り込め詐欺」と呼ばれております。繰り返し繰り返しテレビやマスコミ等でも報道され、啓発活動も行われているように思われますが、被害者や被害額が減らないのが現実のようです。ATMなどを使った振り込みの手口から、指定の住所に送らせるエクスパックやバイク便などを利用したりと巧妙になってきていますし、有料サイトを使った青少年の被害も多くなってきているとのことです。
 県内の発生件数と検挙件数、振り込め詐欺、また新たな給付金詐欺や啓発活動や被害防止強化策等お示しいただき、警察本部長として撲滅に向けた決意を最後にお聞かせいただき、1問目を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの多田純一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) お答え申し上げます。
 まず、県内雇用状況とその対策でございますが、県内の雇用状況につきましては、世界同時不況を受けながらも、県内産業に自動車とか家電関係の割合がたまたま少なかったことから全国に比べて緩やかな下降傾向でありますが、先ほども申し上げましたように、今後は生産や消費が低迷し、さらに厳しい状況になってきますと、ずっと停滞の中で蓄積が少なかった県内企業、特に中小企業にとってはなかなか厳しいものになりそうな感じがあります。したがいまして、これはしっかりと対策をとっていかないといけないというふうに考えております。
 新年度の緊急雇用対策の県の取り組みについてでございますけれども、まず、ふるさと雇用再生特別基金活用事業につきましては、就農支援や産業振興等、さまざまな分野で安定的な雇用への活用を検討しております。また、一時的な就労の創出を目的とする緊急雇用創出事業臨時特例基金活用事業につきましては、将来の施策展開の基礎となる各種調査データの作成・分析などの事業についても検討しているところであります。
 雇用対策は社会を守るセーフティーネットとして重要でありまして、早期に事業を実施する必要があるため、第1弾として、年度内を目途に事業を取りまとめ、公表してまいりたいと考えております。
 なお、ふるさと雇用再生特別基金活用事業は、より十分な予算が確保されておりまして、より地域のニーズに応じた効果的な事業を発掘するために使います。したがいまして、県民の皆様の御意見を伺いながら、さらに事業の構築を図ってまいりたいと考えております。
 雇用計画につきましては、それぞれの事業について、それぞれ何人雇えそうかというようなものをそれぞれ算出して積み上げていかなければなりませんけれども、私といたしましては、できるだけ雇用数がまずふえるということと、もう1つは、将来性も考えて、その雇用が安定したものとして定着していくということを願ってぜひ事業を推進してまいりたいと考えております。
 その次に、定額給付金の経済効果についてでございます。
 定額給付金は、住民の生活支援と地域経済の浮揚を目的に給付されたもので、国における景気対策の重要な柱の1つであると認識しております。現下の急速な景気後退で個人消費も冷え込む中、定額給付金により需要を喚起することは非常に重要であると考えます。
 国においては、定額給付金が実質GDP成長率を0.2%程度押し上げるとの試算がなされており、年度がわりの季節的な購買の高まる時期に当たって、本県への約160億円もの定額給付金の支給によって県内の景気刺激策としての効果が大いに期待できると考えております。
 議員お話しのとおり、県内でも、定額給付金の支給を契機にプレミアムつき商品券の発行などが検討されております。先ほど中村議員にもお答えいたしましたように、県といたしましても、このような県内需要の拡大というのは、できればそうしてもらいたいというふうに思っておりますので、このような取り組みには支援をしてまいりたいと考えております。
 次に、国体でございます。
 本国体のための開催準備組織といたしましては、これは一昨年9月、各界代表者を構成員とする第70回国体和歌山県準備委員会を立ち上げました。また、昨年4月には、庁内組織として、教育庁スポーツ課に国体準備班から国体準備室を設置したところでございます。
 今後、市町村、各競技団体や県体育協会、ボランティア団体等、関係機関が一体となって開催準備を加速化する必要がありますが、このために全庁を挙げて取り組む体制を整えてまいりたい、こういうふうに考えております。
○議長(大沢広太郎君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 雇用対策に係る和歌山労働局との連携につきましてお答えをさせていただきます。
 雇用問題が深刻化する中で、県としましては、ジョブカフェ・わかやまの機能強化を初め、県内の中小企業や農業、福祉・医療などの求人情報を県のホームページにおいて求職者の方々に情報提供を実施するなど、幅広い対策を迅速に実施しているところでございます。
 御質問のございました和歌山労働局との連携につきましては、さきの3月2日に和歌山労働局と県との連携により共同就職支援センターを和歌山北部に開設したところであり、今後、このセンターなどを含め、就職面接会や各種セミナーの開催、企業情報の提供など、さまざまな事業をきめ細かく実施し、安定的な雇用の確保に努めてまいりたいと考えてございます。
○議長(大沢広太郎君) 総務部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○総務部長(小濱孝夫君) 定額給付金の県内実施見通しについてお答えをいたします。
 定額給付金の給付事務を行います各市町村では、可能な限り早期の給付開始を目指し、補正予算の編成や給付リストの作成、申請書の準備など、事務作業を急ピッチで進めております。
 進捗状況につきましては、市町村の規模等により異なりますけれども、県内30市町村のうち28団体が年度内の申請書発送を予定しております。
 また、そのうち2団体が年度内の給付開始を予定しておりまして、本日、その2団体のうち北山村が全国で3番目、西日本では最初となりますが、給付を開始することになっております。
 その他の団体におきましても4月の給付開始を見込んでおりますけれども、可能な限りの前倒しに努め、一部の団体では年度内給付をも視野に入れて検討をしております。
 県といたしましては、県内市町村の給付事務が円滑に行われるように引き続き協力してまいります。
○議長(大沢広太郎君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 児童養護についての4点の御質問にお答え申し上げます。
 まず、児童養護施設の整備についてでございますが、児童養護施設において子供たちが安心・安全に生活できるよう環境整備に努めているところであり、老朽化した施設につきまして、設置主体の資金負担の課題もございますが、各施設と協議を行う中で、計画的な整備に取り組んでいくこととしてございます。とりわけ、喫緊の課題でございます耐震診断につきまして、助成制度の活用を助言し、引き続き実施を強く求めてまいります。
 次に、里親制度についてでございますが、国の平成21年度末の里親委託率の目標は15%であるのに対し、平成19年度末の全国平均が9.9%、本県の現状は6.4%となってございます。
 里親制度は、家庭的な養育環境のもとで子供の養育を行うことができる重要な制度であり、里親会等と連携し、里親制度の普及啓発に取り組むことで里親委託率の向上を図ってまいりたいと考えてございます。また、里親制度と同様の趣旨で、新たに制度化されました養育者の住居で5人程度の要保護児童を養育するファミリーホームにつきましても、新年度から運営を支援することとしてございます。
 次に、児童虐待についてでございます。
 昨年3月の和歌山県児童虐待死亡事例検証委員会からの報告を踏まえました児童虐待防止対策の強化につきましては、子供を虐待から守る条例を制定し、これに基づき、虐待対応専門員の配置や虐待通告に対する48時間以内の安全確認の実施など、児童相談所の機能の強化を図ったところであり、引き続き虐待防止施策の推進に取り組んでまいります。
 また、施設内虐待の防止につきましては、施設職員への研修等、これまでも積極的に取り組んでまいりましたが、児童福祉法の改正を踏まえ、研修や指導監査を通じて改めて趣旨徹底することで一層施設内虐待の防止に取り組んでまいります。
 最後に、児童家庭支援センターの役割と児童相談所についてでございますが、児童家庭支援センターは、民間の施設として独自に、地域の児童、家庭、住民等からの相談に応じ、必要な助言や指導を行うこととなってございます。あわせて、児童相談所からは、施設入所までは要しないものの継続的な支援が望まれる児童や家庭に対しての指導等を依頼し、連携して対応することとしてございます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 教育問題についてお答えいたします。
 和歌山県教育振興基本計画は、長期総合計画に掲げる教育分野での将来像「未来を拓くひたむきな人間力を育む和歌山」を実現するため、本県が目指す教育の姿や目標、施策の基本的方向などをより一層明確に示すとともに、今後5年間で取り組む具体的な施策や取り組みを体系的に整理したもので、本県における教育に関する初めての総合的な計画となります。
 本計画は、長期総合計画の基本的方向を踏まえ、政府としての教育振興基本計画に示された具体的な施策を参考にするとともに、市町村教育委員会や学校長会等にも御意見を求めつつ、パブリックコメントや有識者会議の指摘等を踏まえ、知事部局関係課とも連携しながら策定してまいりました。
 今後、本計画をもとに、きのくに共育コミュニティの形成を核としながら、市民性を高める教育や地域の文化性を高める取り組みなど、本県の特色ある教育を着実に推進してまいります。
 そのため、アクションプランの作成や各施策の進捗状況の点検・評価等を通じ、適時適切に新しい課題にも対応しながら、より効率的、効果的な計画の推進に努めるとともに、学校、家庭、地域、行政機関等がそれぞれの役割と責任を果たしながら、相互に連携、協力して取り組んでまいります。
 高等学校の再編整備につきましては、平成18年度から平成20年度にかけ、第1期実施プログラムとして進めてまいりました。この第1期実施プログラムはおおむね達成できたと考えておりますが、特に中高一貫教育につきましては、設置以来、何分にもまだ日が浅く、その成果等について現在検証を進めているところでございます。今後、その結果等を踏まえまして、第2期実施プログラムの中で適切な対応に努めてまいります。
 議員御指摘のとおり、本県でも生徒数の減少が進行する中、多様化する生徒の学習ニーズを勘案して、教育課程等の検討を進めながら、さらに魅力ある学校づくりを早急に進めていかなければならないと考えてございます。
 第2期実施プログラムでは、現在の状況及び今後の動向の分析を踏まえまして、県内全域における定時制・通信制教育の充実、特別支援学校の過大規模化解消を考慮した和歌山市地域の再編整備、生徒減の著しい地域の再編整備等について検討することといたしました。また、第2期実施プログラムの策定に当たりましては、地域や学校の関係者から、学校を取り巻く現状や課題を踏まえまして、さまざまな観点から御意見を伺いながら、本県高等学校教育の質的向上と適正な学校規模を確保するよう、総合的に検討してまいります。
 和歌山国体に向けた指導者体制につきましては、本年度から新たにきのくにジュニアスポーツ推進事業を創設いたしまして、専門の指導者がいない中学校に対し、高度な専門的な技能を持つ指導者をテクニカルコーチとして派遣してございます。また、退職した優秀な指導者などにつきましては、きのくにエクセレントコーチ制度を活用し、地域のスポーツクラブや複数の学校に広域的に配置し、競技水準の向上を図っているところであります。さらに、平成21年度には、ジュニアコーチスキルアップ事業といたしまして、ジュニア指導者のさらなる資質向上に努めることとしてございます。
 今後も、和歌山国体に向けての県内の競技団体との緊密な連携のもと、小・中・高校の一貫した指導体制を構築するとともに、指導者の養成、確保と適正配置に努めてまいります。
 なお、進学する中学校の変更につきましては、例えばいじめ等への対応や部活動等、学校独自の活動などを事由として弾力的な運用が可能な旨、文部科学省から既に通知されてきたところでございます。本県におきましては、このことについて、昨年、市町村教育長会議を開催し、地域や子供の実情に応じた就学事務が進むよう周知を図ったところでございますが、引き続き市町村への働きかけを続けてまいります。
 教員選考検査における教員免許を有しない者を対象とした特別選考につきましては、一昨年度から設けておりますが、受検者が少ない上、合格基準に及ばず採用してございません。今後、幅広く人材を確保するため、特技や専門性をより重視した選考を検討してまいりたいと存じます。
 県市町村対抗ジュニア駅伝につきましては、平成13年度から開催し、今回で8回目を数えております。参加チームにつきましては、市町村合併により一時減少したものの、各市町村の代表チームに加え、2チームまでのオープンチームの参加を認めることとしております。
 本年につきましては、各市町村代表とオープンチーム10チームを加え、計40チームとなり、昨年より4チームが増加して、より多くの子供たちが参加できるようにしているところでございます。
 開催を重ねるごとに子供たちのレベルは向上してきており、今後、新たな取り組みとして、各市町村の監督、コーチのレベルアップのための研修会を開催するなど、大会の活性化を検討してまいります。
 和歌山国体を控え、各市町村におきましては、出場する子供たちはもとより、大会への出場を目指して各地域で実施する記録会や練習会がより一層活発に行われることを期待しております。
 なお、今後、少子化によりチーム編成が困難な市町村への対応につきましては、大会実施要綱の見直しを含め検討するとともに、より一層充実した大会が継続できるよう工夫することとしております。
 問題行動対策サポーター配置事業の経緯についてお答えいたします。
 本事業は、問題行動が多発する中学校に対して落ちついた学習環境を保持することを目的といたしまして、平成19、20年度に実施し、児童生徒の暴力行為の発生件数が全国のワースト5位からワースト12位に改善されるなど、これまで一定の成果を上げることができました。
 本年度、県警察本部におきましても同様の趣旨の新政策を検討しておられたことを受けまして、学校のニーズにこたえられる適切な人材の確保や教育効果の観点から検討した結果、来年度は県警察本部のきのくにスクールサポート事業として実施することで県警本部との一致を見たところでございます。
 教育委員会といたしましては、本事業が教育的な効果を十分に発揮できるよう、計画から運用に至るまで積極的に対応することといたしております。また、配置されるサポーターが派遣先の学校長の指揮監督のもとで適切な活動が行えるよう、市町村教育委員会とも連携して配置校を指導してまいります。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 警察本部長永松健次君。
  〔永松健次君、登壇〕
○警察本部長(永松健次君) 県民の安全・安心についてお答えをいたします。
 まず最初に、高齢者の交通事故防止対策についてお答えをいたします。
 議員御指摘のとおり、昨年、交通事故で亡くなられた方は63人で、そのうち65歳以上の方が28人、率にいたしまして44%の高率でありまして、本県の死亡事故の特徴の1つとなっているところでございます。
 このような現状に加えまして、県民の高齢化率が高い本県の実情にもかんがみまして、高齢者が交通事故に遭わないための対策を重点的に講じているところでございます。具体的には、警察官による街頭指導の強化、交通安全教育の実施、夜間事故を防止する反射材の普及、高齢者世帯訪問による啓発などを行っているところであります。
 また、高齢ドライバーに対する対策といたしましては、交通安全教育体制の充実による安全教育の強化、一般ドライバーに対する高齢運転者標識を表示した車両に対する保護義務の周知、本年6月から実施の高齢ドライバーに対する認知機能検査の適正な運用を図るほか、免許証の自主返納制度につきましても、今後一層その周知を図っていきたいと考えております。
 次に、交通事故多発交差点や細街路などの交通事故防止対策についてお答えをいたします。
 昨年の交通事故を道路形状別に見ますと、交差点とその周辺での発生が事故全体の約60%を占めておりまして、道路別に見ますと、いわゆる細街路を多く含みます市町村道での発生が全事故の約35%となっております。
 事故多発交差点及び細街路の対策としましては、事故実態を分析した上、各種の対策を講じております。具体的には、警察官による街頭指導やパトカー、白バイによる警戒、信号機の設置、一時停止等の交通規制の実施、横断歩道を明るくいたします照明灯つき道路標識の設置、歩行者と車両を分離する歩車分離信号機の整備、道路管理者に対する道路改良や交差点マーク、道路照明灯等の安全施設の整備要請などを行っているところであります。
 次に、少年犯罪の現状とその対策についてお答えをいたします。
 少年犯罪の現状につきましては、犯罪少年の検挙者数が平成17年以降4年連続で前年を下回り、昨年は過去10年間で最も少ない809人にまで減少いたしましたが、刑法犯全検挙者数に占める少年の割合が約32%と、全国平均の約27%を大きく上回る水準にあります。とりわけ、少年検挙人員に占める中学・高校生の割合が約75%と高く、罪種別では乗り物盗などの窃盗が大半を占めております。また、教育現場である学校におきましても、改善傾向にはありますものの、依然として暴力行為等の問題行動が数多く発生している現状にございます。
 こうしたことから、県警察としましては、小中学校において、いじめや万引きを題材にしました非行防止教室の開催や社会参加活動など、児童生徒の規範意識を高める活動を推進し、少年犯罪の検挙に加えまして、その抑止に努めているところでございます。
 一方、教育委員会におかれましても、学校内の暴力行為等を減らす対策といたしまして、問題行動対策サポーター配置事業を実施しておりまして、警察も側面から協力するなど、これまでも相互協力を強めてまいりました。
 その中で、他県におきまして、退職警察職員等のサポーターを中学校に配置しました結果、学校内の問題行動が沈静化する効果事例がありましたことから、これまでの警察事業であります学校に職員を派遣して行う非行防止教室と、教育委員会が実施しているさきのサポーター配置事業を一本化することによりまして児童生徒の規範意識を高め、非行防止と暴力行為防止の双方に一層の効果を発揮できるのではないかという観点に立ちまして、教育委員会との連携のもとに警察の事業として実施することで一致したところであります。
 平成21年度の重点施策でありますきのくにスクールサポート事業におきましては、これまでの事業とは異なり、学校への配置日数が多くなることから、従来の問題行動対策に加えまして、学校内における生徒等の安全確保や通学路等における犯罪被害防止などの指導、学校区内の巡回や地域安全情報の把握などもあわせて実施ができることになります。実施に当たりましては、配置先の学校等と緊密な連携を図りながら、非行防止と保護対策の両面で少年の健全育成に努めてまいります。
 最後に、振り込め詐欺対策についてお答えいたします。
 大きな社会問題となっております振り込め詐欺につきましては、昨年、県内では179件を認知しておりますが、その特徴としましては、高齢者を対象としたおれおれ詐欺と還付金詐欺が増加し、特に還付金詐欺につきましては67件と、一昨年に比較して46件の増加を見たところであります。
 このため、昨年7月に警察本部内に振り込め詐欺対策室を設置いたしまして体制を強化するとともに、昨年10月と本年2月に振り込め詐欺撲滅強化推進期間を設定いたしまして、マスコミ等との連携による被害防止キャンペーンに取り組んだほか、関係機関等と連携し、官民一体となった広報啓発及び取り締まり活動を推進しました。
 その結果、昨年10月以降、被害は減少傾向にありまして、特に本年に入りましてからは、2月末現在で認知件数は8件、前年に比べましてマイナス32件でございます。被害額につきましては約763万円、前年比でマイナス2050万円ということで大幅に減少をさせておるところであります。
 手口別に見てみますと、高齢者の被害が多いおれおれ詐欺と還付金等詐欺につきましては、本年に入ってからは発生を見ておりません。しかしながら、若年層を対象としました有料サイト利用料金の未納名目で現金を請求するといった架空請求詐欺でありますとか、融資保証金詐欺が依然として発生するなど、いまだ楽観を許さない情勢にあります。
 検挙件数でございますが、昨年は、おれおれ詐欺実行犯や口座開設詐欺等の助長犯を32件20人、本年は2月末現在、同様の罪種で11件4人を検挙しております。
 全国的に振り込め詐欺の手口がより一層巧妙化、多様化する中で、間もなく支給が開始されます定額給付金をねらった新たな手口の詐欺被害も懸念されますことから、関係機関等と緊密な連携のもとに抑止対策を継続しているところでありますが、3月2日から運用を開始いたしました迅速かつ大量の情報発信が可能なきしゅう君の防犯メール、こうしたものも効果的に活用いたしまして、被害防止の広報啓発を強化してまいりたいと考えております。
 県警察といたしましては、今後とも治安の改善傾向を持続性のあるものとするため、振り込め詐欺抑止総合対策を県警察の重点目標に掲げまして、官民一体となった犯罪抑止対策を強力に推進してまいる所存であります。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
 25番多田純一君。
○多田純一君 それぞれ御答弁いただきました。もうあんまり時間もございませんので、最初の景気対策につきましては、定額給付金も本当にいろんな意味で全国の中でも早い取り組みをしていただき、県内でも相当な勢いで準備等、それから、これからいろんな給付金につながるよう進めていかれると思いますけども、経済対策並びに景気対策待ったなしでございますんで、重ねてそこの対応を速やかにお願いをしたいと思います。
 それから、1点再質問ですけども、教育長にお尋ねしたいと思うんですが、先日「産経新聞」に、今御説明ありましたスクールサポーター事業について記事が載っておりました。ちょっとだけ紹介しますと、「校内暴力に歯止めを」ということと「退職警察官を派遣 県警初、4月からまず4人」と、こういうような見出しで書かれていました。「米国の一部で導入されているスクールポリスにならったもので、暴力行為に対処するため、“こわもて”の元刑事らを中心に選び、荒れた学校を立て直して少年犯罪の減少につなげる考えだ。サポーターは校内外を巡回するほか、登下校時は校門に立って指導。勤務は1日6時間で、複数のシフトで対応する」、特に「和歌山市内の中学校を対象に暴力行為件数などを考慮して検討している」、──こういう記事がございましたので、改めて、アメリカや韓国にはスクールポリスという存在はございますけども、和歌山県ではそういう意味では初めてということになります。
 学校を運営していく中で、最近ではスクールカウンセラーとか、またクラブ活動なんかでも外部の方に学校運営の中でサポートしていただくということはあるんですけども、そういう意味では、いよいよ警察本部が予算を持ってということになりますんで、今度の事業は、県教委がやっていたものを警察本部に予算を移すことで人材確保がしやすくなったという面と、運営主体が変わっていくような心配もあるんですね。少年犯罪を減少させることは、大いにこれは賛成ですけども、大きな一歩を踏み出してるというのであれば説明責任があるんじゃないかなと、こういうように思います。
 派遣先の教育委員会の説明をどうするのか。また、そしてこのスクールポリスに対しての教育長のお考えを再度お聞きしたいと思います。
○議長(大沢広太郎君) 以上の再質問に対する答弁を求めます。
 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 「産経新聞」に掲載された記事、私どもも拝見したことがございますけれども、その後、県警本部のほうと教育委員会との間で相当回数を重ねて協議をしておりまして、私どもの間では、スクールポリスのようなイメージは抱いておりません。
 御懸念の点につきましては、十分な教育的配慮のもとに、この制度が効果的に運用できますように、今後とも県警本部と十分連携をとりながら、また市町村教育委員会なり学校長を指導して対応、運用してまいりたいというふうに考えます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再々質問を許します。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 以上で、多田純一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時54分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(山田正彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 45番野見山 海君。
  〔野見山 海君、登壇〕(拍手)
○野見山 海君 議長のお許しをいただきましたので、3点について一般質問をさせていただきます。
 最初に、資料を2枚配付さしていただいておりますが、資料1は、昨年6月14日、岩手・宮城内陸地震による崩落した橋であります。資料2は田辺市の中辺路近野小学校の屋外の運動場の事業化ができた資料でございますので、ごらんください。
 それでは、防災拠点の計画について質問いたします。
 地球は今地震の活動期に入ったと言われておりますが、昨年、巨大地震が相次いで起きた年でもありました。御存じのように、5月12日は中国四川省においてマグニチュード8の四川大地震が発生し、7万近い死者を出しました。続いて6月14日には、岩手県南部でマグニチュード7.2の岩手・宮城内陸地震が起き、多くの被害者を出しました。昨年11月12日に、山本委員長を初め建設委員会で岩手・宮城内陸地震を視察させてもらい、地震という大自然災害の脅威をまざまざと見せつけられる思いがいたしました。
 岩手・宮城内陸地震では、大規模な地すべりに伴って各地の道路、河川が寸断され、孤立した集落からの救援活動はヘリコプターによるほかなく、困難をきわめたと聞いております。その後の救援、復旧にも交通網の確保から始めなきゃならず、地震の救援復旧事業の難しさを学ぶことができました。同時に、迫り来る南海道大地震についても、私は、その防災復旧対策を十分に立てておくべきであると思いを一層深めたところであります。
 承知のように、予想される東南海・南海地震はプレート型の巨大地震と言われています。その被害は、西日本一帯に及ぶと想定されております。そのため、他府県や国からの早急な援護は期待できないと思います。そして、各地で発生する道路網の寸断を考えると、地震発生からしばらくは県内各地で自分たちの手で救援、復旧を図らなければなりません。そのための防災拠点の建設は不可欠であると思います。
 私は、平成18年9月の県議会で防災拠点の建設問題を取り上げ、ぜひ被害想定が最も大きい田辺市を初め、紀南にも防災拠点をつくるべきだと主張し、あわせて南紀スポーツセンター、田辺グリーン球場が適地であると提案をしてまいりました。県当局も、防災拠点の建設に非常に積極的な姿勢を示していただきました。あれから、ことしは3年目を迎えようとしておりますが、まず防災拠点の建設がどのようにされているのか、お伺いいたします。
 お隣の三重県では、既に平成8年度に三重県広域防災拠点施設基本構想を策定し、三重県内5カ所に防災拠点をつくる計画を立てています。私は、昨年12月に三重県の防災拠点施設を視察さしていただきました。既に、平成20年度から3カ所目の伊勢志摩防災拠点の工事に着手し、着々と整備が進んでおります。これを考えると和歌山県のおくれは否めませんが、後から始めるということは、先進県から学べるということでもあります。
 防災拠点の機能には、防災時における物資集配機能や情報通信機能、仮設住宅用地機能に限らず、平時には教育・訓練機能があります。特に突発的な地震対策には、平時からの教育・訓練が大切だと私は思います。地震は夜間にも起こる場合があります。そのためには、夜間での災害や、そのための防災訓練に対応できる施設でなければならないと思います。また、その広い敷地を考え平時にはスポーツ施設として利用を可能にすれば、防災施設の有効な活用になると思います。防災拠点は単に広場を確保するとよいものではありません。その中身が問われていると思いますが、活用方法についてお伺いいたします。
 次に、次期国体開催に向けてのハード面、ソフト面の対策についてお伺いいたします。
 平成27年の和歌山国体開催まで、あと6年となりました。私は、国体で和歌山県が好成績を残すというのは、それなりに大切なことだと考えますが、それ以上に、国体開催という一大事業が社会経済面で地域振興と深くかかわり、多くの県民にとってスポーツ振興や体力向上の契機にならなければならないと思います。
 そこで、ハード面の施設、設備面の対応とソフト面の児童生徒の体力向上について質問させていただきます。
 まず、施設整備についてのハード面の整備についてでありますが、さきの国体から38年が経過をいたしました。国体関連諸施設の中には、既に老朽化や時代に合わなくなったものが多々見られ、大幅な改善を求められている施設が多いと思います。まず、県下の全体の改修整備計画はどうなっているのか、お聞きいたします。
 次に、次期国体のボクシングと少年男子のサッカー場に予定されている田辺市南紀スポーツセンター改修に伴う基本構想についてお伺いいたします。
 周知のとおり、南紀スポーツセンターは、昭和44年4月に開設された施設であります。昭和46年当時の国体では弓道関係者の宿泊施設として利用されただけですが、多くの若者が長年にわたり陸上競技場やサッカー場として利用し、地域のスポーツ振興に大きな貢献をしてまいりました。平成18年度の南紀スポーツセンターの利用者は693団体、5万1144名であり、平成19年度には、670団体、6万37名が利用されています。しかし、施設は開設当時のままで、土のグラウンドは全県的な高校生の陸上競技大会も開けない現状であります。観客席も老朽化し、危険防止のロープが張られたままになっています。スポーツ施設として機能を果たしていないと言っても過言ではございません。
 私も、長年、南紀スポーツセンターの改修を訴えてまいりましたが、なかなか実現いたしませんでした。しかし、次期国体に向けて改修が進めば、地元の青少年のスポーツ振興を初め、広く高校生、大学生、実業団たちのスポーツ合宿場としても使え、地域振興に役立つと、大きな期待をしている1人であります。
 そこで、この施設が国体に利用された後、末永くサッカー場や陸上競技場として利用され、地域振興に役立つ施設にするためにも、設計段階以前に、地元田辺市、スポーツ協会等の関係団体と十分話し合う場を持たれるよう願うものであります。
 他府県に比べ、和歌山県の公認陸上競技場は大変少ないと思います。陸上関係者の話では、南紀スポーツセンターがせめて第3種公認陸上競技場以上の施設にしてほしいと願っております。「以上」という意味は、第3種公認規定の最低限ぎりぎりの条件の施設では全県下的な高校生の公認陸上競技大会が開けないということであります。
 このほかにも、高校生の県大会では、施設内の電気計時判定システムの配置は不可欠であります。しかし、第1種及び第2種競技場では電気器具等の配管が義務づけられていますが、第3種競技場にはその規定はございません。
 どうしても高校生の公認大会が実施できる第3種陸上競技場以上の附帯施設が必要になってまいります。設計に当たっては、ぜひ現場の生の声に耳を傾け、多くの人々が幅広く末永く利用できる施設を目指していただきたい。そのためにも、ぜひ関係諸団体との十分な話し合いが必要と考えますが、いかがでしょうか。
 新聞報道によりますと、文部科学省が1月21日に全国の小学校5年生と中学校2年生を対象に「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」の結果を公表いたしたと伝えております。それによりますと、ほとんどの種目で1985年の抽出調査結果を下回ったと言われております。本県では、毎年県内の学校を対象に体力・運動能力テストを行っていると思います。本県の児童生徒の体力、運動能力は全国的に見てどの程度のレベルでしょうか、お伺いしたいと思います。
 私は、次世代を担う児童生徒の体力には多くの課題があり、すぐにでもその対策に取り組む必要があると考えます。県教委としては、児童生徒の体力に関する課題、その原因をどのようにとらえているのか、お伺いいたします。
 子供の体力に影響を与える要因にはさまざまなものがあり、学校教育だけがその責任を負っていると思いません。しかし、子供の体力に教育が大きくかかわっていることは否定できない事実だと私は思います。体力の低迷が保健体育の授業の実態を反映しているのではないかという見方もする人もいますが、その点について県教委はどのように考えているのか、お伺いいたします。
 1971年の黒潮国体に際し、本県では多くのスポーツ選手を教員や県職員として採用し、その活躍で天皇杯優勝という成果をもたらしました。しかし、近年は国体の成績も大変低く、児童生徒の体力も憂慮される状況であります。あれからもうすぐ40年です。「明るく・豊かに・たくましく」のスローガンでの国体への取り組みが本県スポーツの競技力の向上、児童生徒の体力の向上に本当につながったのだろうか。真摯にこの40年間を振り返ってみるべきだと思います。
 本県では、次期国体の開催に向けて既に準備が始まっています。しかし、この40年間には、サッカーを初め、さまざまなプロスポーツが登場し、多様なスポーツがテレビ放映されるようになりました。このような社会の変化の中で、国民の国体に対する見方や関心は黒潮国体に比べ変わっているのではないでしょうか。
 国体は、多額の税金を投入する大きな事業であります。また、そこでの人員の採用は、その後何十年と本県の教員や県職員の採用や構成に影響を与えます。一時的な国体での得点、成績ではなく、長期的に見た競技力の向上、児童生徒の体力・運動能力の向上、健康状態の改善は、県勢を向上させる意味からも重要と私は考えます。子供たちの生涯にわたる健康と大きなかかわりのある保健体育の授業の充実のために、今後どのような方針で、どのように取り組んでいくのか、県教委のお考えをお伺いします。
 子供たちの体力向上のためには、学校での授業のほかにも、部活動の活性化、退職職員による部活動支援、家庭での食事・睡眠・生活改善など、学校、家庭、地域の総合的な対策が求められていると考えますが、県教育委員会として子供の体力向上の総合的な対策をお伺いいたします。
 最後に、屋内運動場芝生化事業についてお伺いいたします。
 和歌山県教育委員会は、平成20年度の事業として、県内8校の小学校で屋外運動場芝生化事業を推進されました。田辺市におきましても、お手元に配付しているとおり、近野小学校が事業の指定を受けまして運動場の芝生化を図り、大きな成果をおさめております。近野小学校のグラウンドの芝生は地方紙にも大きく取り上げられ、芝生の上で元気いっぱい遊ぶ子供の写真が大きく報道され、地域でも大きな関心を集めているところであります。近野小学校の運動場は、訪ねてくる多くの参詣者の目を楽しませ、観光にも一役買っているのであります。
 私は、このすばらしい事業がわずか1校につき160万円の予算でできたということに驚いております。
 ことしの春、私は千葉県の習志野市と浦安市の幼稚園と小学校の園庭や校庭の芝生化事業を視察してまいりました。例えば、浦安市の見明川幼稚園では平成18年度の芝生化整備事業を行いましたが、わずか283平米で、庭園に芝生を張るのは約417万円もの費用がかかっているそうであります。同じく浦安市の東小学校では、約200平米の校庭の芝生化に約358万円の整備事業費を計上されております。
 このことから見ても、近野小学校では約8650平米の広大な校庭をわずか160万円でやったということですから、本県の事業がいかに安く上がってきたかわかります。少ない予算でなし得たということは、すばらしい行政手腕もありますが、それ以上に地元の人々や教職員やボランティアの皆さんが一丸となって取り組んだ結果だと私は思い、その努力に感謝するところであります。
 私は、子供の心と体を健康に育てるという教育的観点からも、この芝生化事業は大きな意味があると思います。芝生化ということは、冬でもグラウンドの砂ぼこりが立たず、外で体を動かす機会がふえることにつながり、近年子供たちの体力が落ちていると言われる中で、子供たちの体力強化につながると思います。さらに、狭い部屋でテレビやテレビゲームと向き合う機会の多い子供たちにとって、外で仲間と遊ぶことは何よりもストレス解消になり、豊かな心をはぐくむ条件を子供たちに提供することになると思います。実際に小学校の校長先生に伺いますと、子供たちの外で遊ぶ機会がふえ、休み時間や放課後、素足で駆け回る子供たちがふえたと言われております。
 こうした教育効果に加え、芝生化によって夏は涼しく、冬は暖かいという環境をつくることになり、冷暖房費の削減にもつながるのではないかと期待しておりますが、県教育委員会におかれましては、県内8つの小学校で実施したこの事業をどう評価し、どう総括されているのかお伺いします。
 さらに、今後この事業を広げていく意思があるのか。今後事業を進めていくということであれば、私は幼稚園なども芝生化を進めるべきではないかと考えております。情操教育は幼児のころから進めるべきだと考えますが、幼稚園での芝生化は情操教育を図るという意味でも意義があると思いますが、教育委員会のお考えをお聞かせください。
 次に、せっかく完成された8校の芝生の維持管理についてであります。
 広さにもよりますが、維持管理費として、年間、肥料代、芝刈り機のガソリン代、水道代、冬芝の種代等々で50万以上の経費が必要になります。加えて、現在設置されている散水スプリンクラーも、1カ所で1時間ほど散水した後、場所を移し、1日5カ所ほど場所を移動しなければならず、先生の負担も大きいものがあります。浦安市では、校庭内に何カ所かに自動散水スプリンクラーを設置しており、ボタン1つで散水できるようにしております。先生方の負担を減らしております。末永く維持管理していくためにも、今後、自動散水システムの導入も検討していただきたいと思います。
 芝生をつくったのはいいが、あとは各小学校によきに計らえでは無責任ではないかと思います。国からの補助金もあるように聞いておりますが、県で支援していく方針があるのか、お伺いいたします。
 芝生を通じて子供たちにどういう教育を進めるかということをお伺いいたします。浦安市などは、児童や小学校の子供たちに牛乳パックを切った鉢に芝生の種をまき、育て、園庭の芝生の薄いところやはげたところに植える作業を通じ、子供たちに植物を育てる気持ちをはぐくみ、またみんなで自分たちの学校をつくっていこうという自主的な、建設的な精神を育てようとしております。芝生化の事業は、単なる緑化事業を超えて教育的にも大いに活用できる機会だと思いますので、芝生を生かしたすばらしい教育実践を期待して、1回目の質問を終わらしていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山田正彦君) ただいまの野見山海君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、防災拠点の計画でございます。
 県では、東南海・南海地震等の大規模災害発生時に災害応急活動を迅速、的確に実施するため、本県における広域防災拠点のあり方を整理し、県内を4ゾーンに区分いたしまして、応急対策のため具体的な施設の指定を進めております。
 田辺・西牟婁地区におきましては、大きな被害が想定されていることから、西牟婁・日高・東牟婁地域の支援、県外からの航空輸送における後方支援の進出拠点として、広域防災拠点の配置を検討しております。
 かねてから議員初め地元選出の県議会議員の皆様御提案の施設については、広域防災拠点として有力な候補の1つであります。御指摘を踏まえ、広域防災拠点を近く決めてまいりたいと考えております。
 あわせて、その機能として大型ヘリコプターの離発着や救援物資の集積などが必要なため、近隣の施設とネットワーク化をして活用すべく調整を進めてまいっておるところでございます。
 その次に、国体に関連いたしまして、県下全体の体育施設の改修計画についてでございます。
 県全体のスポーツ施設の改修につきましては、さきに定めました第70回国体競技施設整備基本方針では、競技施設は可能な限り県内の既存施設や近畿各府県の施設の有効活用に努め、施設整備を行う場合は喫緊に必要な施設に限定するとともに、大会後においても地域住民に広く活用されるよう配慮するということになっております。
 議員御指摘のとおり、紀三井寺公園陸上競技場や南紀スポーツセンターを初めとする県有の国体関連の競技施設につきましては、昭和46年の黒潮国体以前に整備された施設でありまして、老朽化が進んでいることに加え、国体競技施設基準に合致しない施設が多々あるというふうに認識しております。
 このため、国体後の本県のスポーツ振興も十分考慮し、県有施設であります県立紀三井寺公園と南紀スポーツセンターの大規模なリニューアル並びに県立室内プール──これは仮称ですけども──と県立総合体育館──これも仮称ですが──の新設について施設整備計画を策定いたしましたところです。
 なお、整備計画を策定した施設につきましては、可能な限り早期に整備し、地元での競技者育成につなげるとともに、当該施設を核とした地域の活性化にも役立つものと大いに期待しております。
 また、これを早くつくることによって、一面景気対策にもなると考えておりますので、決めたものについては早くやりたいということで、できるだけ前倒しとしてつくっていきたいと考えております。
○副議長(山田正彦君) 危機管理監森 崇君。
  〔森 崇君、登壇〕
○危機管理監(森 崇君) 防災拠点の活用についてでございます。
 現在、広域防災拠点の具体的な施設につきまして検討を進めておりまして、関係市町と調整を図った上で、基本計画として今年度中に公表したいと考えております。
 今後は、有効な応急活動ができるよう、東南海・南海地震発生時の国の応援計画である東南海・南海地震応急対策活動要領に係る国との調整を図るとともに、応援をいただく自衛隊、警察、消防などの関係機関及び田辺市など地元市町と連携しつつ、運用方法を確立してまいります。
 また、広域防災拠点の平常時の活用につきましては、施設本来の目的に活用するほか、防災機能を活用するための訓練などについて今後の課題と考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(山田正彦君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) まず、南紀スポーツセンターの改修計画についてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、南紀スポーツセンターは、紀南地方のスポーツ振興の拠点施設として重要であると認識をしておりまして、多くの県民の方々に利用していただいております。しかしながら、施設は老朽化が進み、特に国体競技施設として予定しておりますサッカーとボクシングにつきましては、陸上競技場と体育館がともに競技施設基準に合致しないことから改修が必要というふうに考えてございます。
 このため、南紀スポーツセンターが和歌山国体開催を契機として、紀南地方のスポーツ振興の拠点はもとより紀南地方全体の活性化にも寄与できるよう、議員御指摘の点も十分に踏まえ、地元の田辺市とも連携を図りながら計画を進めることとしております。
 本県の児童生徒の体力の現状についてでございますが、全国体力調査では、小学校5年生の男子が全国で30位、女子が28位、中学校2年生の男子が46位、女子が44位でございまして、大変厳しい状況にあると把握しております。
 体力低下の原因といたしましては、生活の利便化による日常生活での体を動かす機会の減少などが挙げられます。具体的には、少子化や学校外の学習活動などによる仲間の減少、子供たちの手軽な遊び場が少なくなったことによる外遊びやスポーツ活動時間の減少なども考えられます。
 議員御指摘のとおり、体力向上には体育や保健体育授業の充実が不可欠でありまして、県ではすべての小・中・高等学校の体育主任を対象に授業改善に向けた研修会を開催したり、新規採用教員の義務研修に体育実技講習を加えるなど、教員の資質向上に努めているところであります。また、新たに子供の体力向上支援事業を立ち上げ、大学教員、現職教員、学識経験者等による検討委員会におきまして子供の体力向上支援プログラムを策定し、継続的に体力向上に向けた方策を提案、実施してまいります。
 また、従来から行っておりました体力調査を平成18年度から県内すべての学校で実施をいたしまして、児童生徒の1人1人の実態把握に努めるとともに、平成19年度からきのくにチャレンジランキング事業を立ち上げ、運動機会の充実を図っております。その結果、本年度の県体力調査では小学校で低下に歯どめがかかり、平成17年度水準まで回復してきております。
 このような取り組みを継続的に行うことによりまして児童生徒の体力向上に努めることが、長期的には競技力の向上にもつながるものと考えております。
 次に、屋外運動場芝生化促進事業につきましては、すばらしい写真を提供いただきましてありがとうございます。この事業は、学校関係者と地域住民が協力し、管理運営を行い、子供たちの体力向上や地域コミュニティーの活性化に寄与することを目的としまして、8校の小学校の芝生化を進めたところであります。
 芝生化した後、ある小学校では、子供たちの50メーター走のタイムが1秒ないし1秒半と大幅に短縮したり、外遊びの増加、保健室を使う子供たちの減少など、具体的な報告を受けております。
 議員御指摘のように、子供たちの心身両面にわたって効果が期待できることから、今後より詳細に分析してまいりたいと考えます。
 平成21年度におきましても、新たに小学校8校を予定しており、計16校での芝生化の取り組みを進めることとしております。
 なお、幼稚園などへの拡充につきましては、本モデル事業を通して芝生化の効用やノウハウについて理解いただき、各市町村が主体的に取り組んでいただきたいというふうに考えてございます。
 芝生の維持管理につきましては、学校、地域が連携した地域のコミュニティーづくりなどの効果が期待できることから、国の補助金の活用なども視野に入れまして、学校、地域、保護者等が互いに協力して継続的な管理運営を行っていただきたいと考えてございます。
 今後、運動場の芝生化を通して、心身ともに健康な子供を育てるとともに、緑豊かな環境づくりや学校を中心としたコミュニティーづくりなど、緑の教育、緑の文化を育ててまいりたいというふうに考えます。
 以上でございます。
○副議長(山田正彦君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山田正彦君) 再質問を許します。
 45番野見山 海君。
○野見山 海君 御答弁、ありがとうございました。
 防災拠点については、いつ起こるかわからない東南海・南海地震の強い揺れとか、海岸での津波による県内の被害は大きいものがあろうかと思います。それだけに、防災拠点の整備は不可欠であります。県内を4ゾーンに区分し、応急対策のため具体的な施設整備を進められていますが、一日も早い決定と完成を心から要望したいと思います。
 次に、南紀スポーツセンターの大規模リニューアル、施設整備計画についてでありますが、知事、副知事、教育長が南紀スポーツセンターに足を運んで現状を把握していただき、前向きに取り組んでいただいておることに、厚く御礼を申し上げます。特に副知事は、現役のアスリートということもあり、南紀スポーツセンターを訪問された際には施設の現状を興味深くごらんになられ、その後のリニューアル計画に側面より助言をしてもらっていることにありがたく思っております。
 そこで、副知事が南紀スポーツセンターを視察したときの感想とリニューアルの完成をどのように思われているのか、お聞かせください。お願いします。
○副議長(山田正彦君) 以上の質問に対する答弁を求めます。
 副知事原 邦彰君。
  〔原 邦彰君、登壇〕
○副知事(原 邦彰君) 南紀スポーツセンターのお尋ねがありました。
 御指摘ありましたとおり、昨年、私も現場を見せていただきました。感想を申し上げますと、非常に緑に囲まれた地域で、スポーツをするには非常にいい環境だなと。と同時に、やはり施設がかなり老朽化しておりまして、ましてや国体をやるということになりますと基準にも合わない等々の問題も聞かせていただきました。
 その中で、ただお金もかかりそうだなということも思ったわけでありまして、その後、予算編成過程で、財源の問題も整理した上で、先ほど知事が答弁しましたとおり、大規模なリニューアルをしようということを決定したわけであります。
 このスポーツセンターについては、市もいろいろとお考えをお持ちのようでありますので、市ともよく相談しながら、これも先ほど知事が答弁いたしましたが、決めた以上は早くいいリニューアルになりますようしっかりと努めていきたいなというふうに思っております。
 以上でございます。
○副議長(山田正彦君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山田正彦君) 他は要望でありましたので―まだありますか。再々質問を許します。
 45番野見山 海君。
○野見山 海君 副知事、ありがとうございました。
 この平成24年度の完成に向けて今取り組んでおられますけども、完成後には、原副知事、ぜひ南紀スポーツセンターに訪れていただきますようお願いを申し上げまして、要望といたします。
○副議長(山田正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で野見山海君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 6番向井嘉久藏君。
  〔向井嘉久藏君、登壇〕(拍手)
○向井嘉久藏君 一般質問に入る前に、私、9月のこの議場で紀州うめどりの話をさしていただきました。ホテルでの期間が過ぎましたので、私、たまたま和歌山市内へ行きますと、そこの焼き鳥屋がちょうど紀州うめどりを扱っている店でありました。そこの店主と話しましたら、「これは全部紀州うめどりです」、「なるほどうまいな」ということで食べましたんですが、そこに紀州うめどりの表示がどこにもないんです。前にも申し上げましたが、ひとつ担当部は紀州うめどりを表示するものを早急につくってもらいたい。また、この紀州うめどりを主宰しております細川氏から電話が来まして、「知事さん今来てくれとんのよ」と。知事が出かけたようでございます。ありがとうございました。
 それでは、質問に入らしていただきます。
 本日は、まず1点としまして、交通網の整備でございます。
 交通網の整備、4項目ございますが、1項目は南海高野線なんば─橋本間の運転時間の短縮についてであります。2点目は、371号バイパスの建設についてでございます。3点目は、これに関連する新紀見トンネルの開通であります。4点目に、橋本市で開かれました決起大会の知事の感想についてお伺いしたいと思います。
 それでは、入らせていただきます。
 道路は文化を運ぶと言われておりますが、文化と繁栄を運ぶのであります。今、日本列島を眺めてみましても、取り残されているところは衰退しかありません。私が今回質問するのは、まさしく橋本、伊都の生命を制する大阪との府県間道路であり、また公共交通網の整備であります。
 371号バイパスでありますが、また南海高野線の高速化であります。この道路には古い歴史がございまして、京、大阪から紀州入りするルートでもありました。山の山頂に立って初めて見る紀州の里の風景に、「あっ、これが紀州か」と言う京都の人、そういうふうに言ったと思いますが、あの風景は橋本であります。初めて紀州の見える地は、紀伊の見える地、すなわち紀見峠となったと言われております。
 橋本市が市政をしき発足したのが昭和30年でありました。このときは、まだ紀見峠トンネルなどございませんで、未舗装の道路を車は峠越えで大阪向いて20分。この峠を越えるだけで20分かかったのであります。
 当時の橋本市長に、紀見峠にトンネルを抜こうと言った人物がございました。当時としては無理であったかなと思うんですが、市長はその場で一笑に付したということであります。この提案が実現するのには、後に十数年を要するわけであります。
 時は流れまして、京奈和自動車道の橋本道路の開通もありました。また、ごく一部の短い距離の開通ではございましたが、車の流れは一変いたしました。371号の車の通行量は、以前は1日1万6000台程度でございましたが、現在は1万8000台を超える車が行き来しております。まさしく橋本、伊都、五條からの大阪への大動脈となっているのでございます。ということは、頻繁に交通渋滞も起こるいうことでございます。特に世界遺産に高野山が登録され、行楽シーズンには帰りの車が時には高野山から河内長野まで連なり、河内長野まで到着するのに6時間を要したとも仄聞いたしております。これでは、もう一度高野山へいうリピーターがふえるとも考えられません。
 うれしいニュースがございます。高野山が、フランスのミシュラン社の格づけで3つ星を与えられました。3つ星ってどんなんかいなあと思てインターネットでちょっと調べますと、あえて訪れる価値のある場所だそうです。2つ星いうのはどうか。日本へ来たら絶対見らんなん場所だそうです。3つ星は、日本へ行ったらほかのとこへは行かないで絶対行く場所であるという3つ星だそうでございます。世界的に注目を浴びることにもなるわけでございまして、このニュースで観光客の増は考えられますし、これがひいては371号線の渋滞に拍車がかかるのではと懸念されるところでもございます。道路幅の狭隘な現371号にかわるバイパスの建設を急がなければならないのは当然の流れであります。
 去る2月1日、橋本市は、関係者多数を集めて、第2回371号バイパスの早期開通と新紀見トンネル着工に向けて決起大会を開催いたしました。参加者が1300人超えと、いかに待ち望んでいる人が多いのかの証明でもあります。このときも知事には出席をいただきまして、ありがとうございました。
 大会に先立ち、地元の五條市、河内長野市、橋本市の3市長が橋下大阪府知事と面談し、強くトンネルの着工について要望したようでありますが、趣旨は理解しながらも当面は協力することができないということであったようであります。トンネルは、今後、国直轄工事を視野に入れていかなければならない、このようにも思う次第でございます。反面、和歌山県側の工事は着々と進んでおりまして、形となって見えてきております。うれしい限りであります。当局の努力に心から感謝を申し上げたいと思います。
 また、他方、道路と同様、公共交通機関──橋本市においては371号バイパスの開通と南海高野線橋本─なんば駅間の運転時間の短縮も橋本市、伊都郡の発展には欠かせないものでございます。
 私は、過去に南海高野線について触れたことはございません。一企業の事業に議場で発言するのはいかがかと思っていたからであります。かつて橋本─なんば間が1時間20分もかかっていたことを思えば、今50分は夢のようであります。特急を利用すれば45分。朝の通勤時にはビジネス急行も運行しております。また、沿線住民、南海人の悲願でもあった河内長野─橋本間の複線も完成いたしました等々、企業努力で頑張られた。このことを認めながらも、時代の要請は橋本─なんば間の時間短縮であります。
 JR新幹線が時速250キロで運行されたときは、さすがにそのスピードに驚きましたが、今では300キロをと思うのはだれしも同じであろうし、スピードになれれば45キロを50分で走る電車に「遅いなあ」と思うのは至極当然であります。よくよく考えれば、橋本─なんば間は南海高野線、南海本線ではなんば─尾崎間であります。それを50分かかっとるわけです。特急で45分が40分になれば、橋本市の主要駅である林間田園都市駅までは35分。対外的にもインパクトのある時間で、これが実現することで車通勤の減少にもなり、造成済み宅地が4000区画以上残っている現状を打破することにもなります。何よりも橋本市の人口増につながるのではないかと期待されるところでございます。南海電鉄が元気になることは、一橋本市が元気になるだけではなく、沿線自治体にも影響を及ぼすことになるのではと思います。
 南海電鉄に私は1つの提言をこの場からさしていただきます。
 橋本駅から高野下駅間に夏季にはトロッコ電車を、また年間を通して展望列車を走らせ、本来バスで高野山に登る観光客を一度橋本駅で観光バスからトロッコ電車、展望電車に乗りかえてもらう。また、橋本駅周辺を整備することで経済効果をも期待できるのではないかと思うのであります。さらには、高野山内のCO2削減にもつながるのではないかと思うのであります。少し着眼点を変えるだけで相乗効果が生まれる。ひょっとしたら、このあたりにまちの活性化のキーが隠れているのではないか、こういうふうに思うのであります。
 この項を起こすに当たっては、南海電鉄本社を訪問いたし、応対いただきました山部営業本部長初め役員の方に鉄道マンの熱い思いを聞かせていただきました。この場をおかりいたしまして厚く御礼申し上げますとともに、沿線住民の思いを実現していただきますようにお願いいたしたいと思うのであります。
 そこで知事にお伺いいたしますが、南海高野線橋本─なんば間の運転時間の短縮であります。2つ目といたしまして、国道371号バイパスの建設促進についてであります。3つ目といたしまして、新紀見トンネルの開通についてであります。4番目に、橋本市で開催されました決起大会の感想についてお伺いいたします。また県土整備部長には、5番目といたしまして国道371号バイパスの促進状況、大阪側も含んで御説明いただきたいと思うのであります。
 続いて、教育問題についてお伺いします。県立中学校についてであります。教育長にお願いします。
 和歌山県で初めて県立中学校として向陽中学校が誕生して、6年目を迎えます。彼らも高校3年生として高校生活最後の年を過ごすことになるわけでございます。本県の県立中学校設立過程は慌ただしゅうございまして、他の都道府県ではおしなべて3年から5年くらいの準備期間を設けております。その間に種々の問題を検討していると聞いております。ところが、向陽中学校の場合は、設立の決定されたのが前年の夏休み中でありました。しかも、高校の空き教室を利用してのスタートであります。噴出する問題については走りながら解決していく方法であったのでありますが、よくここまでやってこられたとの実感であります。
 設立6年目を迎えた今、幾つかの問題が出ております。ここで検証さしていただきたいと思うのであります。
 過日、向陽、桐蔭、古佐田丘──これは橋本高校でありますが──古佐田丘の中学校を訪問し、現状また要望等を伺ってまいりました。また、私の地元であります橋本市教育委員会にも伺い、市立中学校を預かる立場から話を伺うことができました。橋本市教育委員会から提供を受けました資料からは、少子化の影響をもろに受け、苦悩する公立中学校の姿が見えます。どこが中学校の教育を分担するのが望ましいかを問われているようにも思うのであります。
 今回、県立中学校3校を訪問し、調査した結果、何点かの不安材料と、すばらしい取り組みがなされていたので、研究をし、普及してもらいたいと思うのでございます。
 そのすばらしい取り組みとは何かと申し上げますと、1つには、先輩が、県立中学校を卒業した先輩が高校に入ってから自分の後輩たち中学生に教える授業であります。これを温かく担任の教師が見守っているということを伺いました。また、中だるみの防止。これは、本当に必死になって勉強しなければならない高校受験時に県立中学校の生徒はそれがないのであります。一番伸び盛りにそれがないというのは今後の成績にどのようにかかわってくるのか、私が心配する1つでありますが、中学校でもその辺は気づかれて、中だるみの防止のために一生懸命補習授業を行っているというふうにも聞きました。
 また、高校入試問題を、その年の同い年の中学生にも高校入試の問題を提供して自分たちの学力をテストして、自分たちでテストしていうやり方もお伺いしました。
 また、優秀な子供たちが選抜されて県立中学校へ進んどるわけです。しかし、1学年80名という枠の中で、すばらしい子供たちばかりが進んできたけれども、80番というのが出てくるわけです。79番もあるでしょう。そういうことで、子供たちはやっぱり自信喪失ということにつながるという話だそうでございます。小学校のときにはクラスの中で上位を占めていた子供が今度学年の中で下位になったときに、13歳、14歳の子供はどういう心境になるかいうのは、もうおわかりのはずでございます。その学力の底上げにも一生懸命頑張っているいうことでございます。
 それともう1つ、私は大事なことは、県立中学校から高校に進学してきた、それと公立、市町村立中学校から進学してきた──向陽高校では、今度高校3年生になるわけでございますが、成績の取りまとめた結果を知らされます。今、確かに県立中学校から上がってきた子供は優秀であるけれども、もう高校2年の段階では肩を並べてるとこまで来てるらしいです、成績は。どっちが頑張ったいうことをこの場では申し上げませんが、子供たちの努力は、この成長盛りには大変なエネルギーが働いてすばらしい能力が引き出されるんではないか、このように思うわけでございます。
 そこでお伺いしたいのでありますが、1つは、県立中学校の設置意義と現状と将来についてであります。また2つ目には、施設、スタッフの充実であります。
 本県の県立中学校設立の理念はともかくといたしまして、施設につきましては、空き教室を利用することが前提として設置したために、当初は倉庫を改造して実習教室をつくったり保健室もない状態で、その後おいおい改善されておりますものの、同規模の公立中学校、市町村立中学校と比較すればその差は明白であります。運動場もない、体育館もない、プールもない。高校の施設を利用することになっておりますが、高校が優先的に使用するために、中学生の使用は無理とのことでありました。
 県立中学校といえども義務教育の機関であります。勉強も大切でありますし、部活も重要でございます。しかし、前に述べましたとおり、施設を利用する部活はできないのが実情であります。それでは、これらの施設を二重につくったらいいのか。それは経費の問題でなかなか難しいと思います。また、スタッフにつきましても、3学年240人の生徒がそろった時点でも10名であります。同規模の市立中学校では16名であります。この差は一体なんなのでしょうか。県立中学校への父兄の期待は非常に高いものがあります。
 受験者は橋本市内──私は、現在、橋本市教育委員会から提供された資料を持っておるんですが、その資料で少し見えてくるものというのをちょっと御紹介さしていただきたいと思います。
 橋本のことしの中学校へ進む子供たちは649名であります。うち、古佐田丘中学校──県立中学校でございますが──ここに受験の出願をしたのは161名であります。実に24.8、25%近い子供、4人に1人は受験をしたいということでございます。結局、合格者数は63名でありますが、いずれにしましても、大変な数の子供たちが受験をするわけでございます。それだけに施設、スタッフを充実させ、大きな期待にこたえていかなければならない。今後の取り組みに期待したいのでございますが、いかがでございましょうか。
 3つ目といたしまして、公立、これは市町村立中学校とのあつれきについて少し触れてみたいと思います。
 県立中学校の定員は、1学年2クラス80名でございます。和歌山市のような学童の多い市はともかくといたしまして、橋本市のような小さなところでは、少子化の時代にあっては市立中学校の存在そのものが危うくなってきております。将来ますますこれが顕著になることは容易に推測されるところであります。
 ここで提供された資料から申し上げたいと思うんですが、例えば、橋本市内に西部中学校というのがございます。──現在、学童数は56名であります。このうち、古佐田丘中学校へ進学する子供が10名であります。したがって、46名が残るわけでございますが、私立中学校へも進む。橋本は意外と私立の学校が多うございますんで、私立中学校へ、大阪方面、また奈良、橋本市内、これらの私立中学校へ進む子供もおるわけでございます。
 現場の先生、校長先生とも話しさしていただきました。これ、実は橋本小学校にも──ちょっと御紹介したいんですが、現在、橋本中学校へ進むことしの子供の数は69名でございます。私の孫が橋本小学校へことし進学するんですが、同級生となる子供は50名であります。19名減っております。わずか6年でこれだけ減るわけですね。橋本中学校というのは、かつてはマンモス中学校でありまして、1200名を超える子供たちが学んでおりました。ところが、今御紹介申し上げました6年後には1学年50名。その中から県立中学校へ逃げる、また私立中学校へ逃げる子供いうことになってくると、1クラス40名ぐらいになってしまうん違うか。ただ、県は36名以上おると2クラスは認めますよということになっとんですが、早晩1クラスになってしまうと。1クラスということは、3学年で3クラスしかない小さな中学校に橋本市内全体がなってしまう、統廃合も今視野に入れて橋本市は検討を開始している、こういうことでございますので、これをあつれきと言わないで何と言うんでしょうか。
 そこで、いろいろ問題を提起申し上げましたが、4番目として、私は、県立中学校設置時に想定外であった事例が発生してまいりました。これは、ほかの学校では、私ちょっとわからないんですが、県立中学校の古佐田丘中学校で高校進学時に欠員が生じたと。他の高校へ転校したい──転校というよりもかわりたいという子供が生じたわけですね。これはどういうことを意味するかといったら、高校へ進学するときに既に欠員が生じとる。そのまま高校へ進学するわけです。
 橋本高校は定員120名であります。公立中学校から来る子供の定員は120名、県立中学校から来る子供は80名、合わして200名でありますが、120名の定員で今希望してる、橋本高校を受験したいというのが168名でありますから、48名が残念な目を見るわけでございます。ところが、県立中学校から進学してくる子供の中でもう既に欠員が出てる。中高一貫教育ということを考えれば、これもいたし方ないんかなと。中学生がそのまま高校生になるいうのが中高一貫教育でありますから、いたし方ないんかなと思う反面、121番目になった子は希望する学校に入れないという事実もございます。これからの研究問題として、これから教育委員会はこれのことを考えていただきたいなというふうに思うわけでございます。
 また、もう1つは転校希望の受け皿。中学生のまま転校したいということは、学校の勉強についていけなくなる子供が、補習授業で一生懸命現場の先生方がやっていただいていますが、それでもなおついていけない子供は本来の中学校へ戻れるか。それは物理的に無理です。そういうこともこれから想定していかなければならないという現場の先生の声であります。これも研究課題として今後討議していただきたいと思います。
 それともう1つは、合格者の男女格差であります。橋本高校の古佐田丘中学校が特異なのかもしれませんが、80名中26名が男で、あと残り全部女生徒であります。ということは、公立中学校には男ばっかり残って、女の子がおらないという現象にもつながっていく。これはちょっと変ですね。そういうことから、合格者の男女格差も考えていかなければならないんじゃないか、こういうふうに思います。
 もう1つ、教育問題で、高校の中途退学者問題について触れたいと思います。
 私は、県教委から提供された資料を見て、大きなショックを受けました。数字から読み取れるものは何かなといろいろ考えました。中途退学者のその数字は、県立高校、普通規模の高校1校に匹敵する611名であります。毎年611名の生徒が中途退学をしてる。600名以上の子供たちが──19年が611名であります。
 毎年、新聞等で報道されていることではございましたが、改めて事の重大さを思うのであります。いかにすれば退学者を1人でも多く減らすことができるのか。現場で苦悩する教員の姿、中退をするか学校に残るかで悩む生徒の姿、中退を告げられおろおろする母親の姿、これら関係する人々の苦悩する姿が目に浮かぶのでございます。この問題は、それぞれ退学する要因は違っても、難しさはございますが、県を挙げて取り組む必要があると思います。この問題について教育長からの御答弁をお願いいたします。
 最後に、農林水産部長にお伺いします。農業政策についてであります。
 私もじいさんの代から農地をバトンタッチされまして、20年近く、ブドウ、柿、また米づくりやってまいりました。そんな中で学んだこと等を考えながら質問さしていただきます。
 国は、今の自給率──今、40%になったようでございますが、45%に──これはカロリーベースでございますが──引き上げることを決めました。かつて昭和30年代には、自給率は79%と高いものでございました。国の農業政策の転換、国民のニーズの変化等により、ついに40%を切る羽目にもなったわけでございます。60%が外国からの輸入に頼っている。輸出国から見ると、余った農産物を輸出しているのにすぎません。早晩、日本国は将来に向けて自給率向上に準備を怠ってはならないのであります。農産物はお金で買えるという時代はきっとなくなると思います。
 ちなみに、世界の主要国の自給率は、アメリカで128、フランス122、ドイツ84、イギリス70というふうになってございます。
 米の減反政策と後継者不足による耕作放棄地が、国内で40万ヘクタールとも言われてございます。放棄地は3年もすれば荒野になり、荒れ地になります。私も一部荒れ地にしてるところがございまして、山と畑とが見分けがつかなくなってしまっております。自給率を図るには耕作放棄地の復元を図らなければなりません。そのためには、膨大な予算、お金と長期間の年月を要するわけでございます。遅きに失した感はありますが、速やかに取り組んでいく必要があると思っております。
 また、米の生産減を目指して減反政策が実施され、減反に応じた農家には補償金も支払われております。今、世界の農業の潮流は、いかに増産を図るかでありまして、遺伝子の組み換えまでもして増産に励むというところでございます。そのような世界の中でひとり日本だけが農業生産を抑える政策をとっている。日本とは摩訶不思議な国であります。片や、8億の民が飢餓に苦しんでいるというのにであります。
 国の農業政策にも矛盾がありました。片方で自給率アップを唱え、片方で減反を強いるやり方は、車にたとえるならばアクセルとブレーキを同時に踏むようなことでもあります。また、民主党が公約している農家への生活保障とも言える支給金についても、私は問題があると思っております。減反政策は、やる気のあった農家の気力をそいでしまったのであります。この政策が今では定着してしまい、これがひいては後継者不足にもつながったのではなかろうかと思うのであります。
 農家には思いのまま米をつくってもらう。国は適正価格で買い上げ、ODA──外務省が実施しております支援の中から、このお米を買って、飢餓に苦しんでいる国々へお渡しさせていただく。これがひいてはいい循環を生むのではないか。私は、このように思っております。いかに飢餓に瀕している民を援助するか。このようなことが行われなければ、日本の原風景の保全にもつながらない。また、田が持っている本来の機能である洪水時の調整池の役目を果たせない。このように思っております。
 そこでお伺いしますが、休耕田、耕作放棄地での利活用に向けての調査はどうなっておりますか。和歌山県もひっくるめてお教えいただきたい。また、減反政策につきましても、私は、国が減反をせよということでもノーと言える和歌山県であってほしい。こういう思いで減反政策についてお伺いしたいと思います。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山田正彦君) ただいまの向井嘉久藏君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、南海高野線の運転時間の短縮についてでございます。
 本件につきましては、議員も御指摘がありましたとおり、南海電鉄はこれまでも、曲線改良を含めた複線化工事を実施するなど、企業努力をしてこられました。議員御質問のさらなる時間短縮につきましては、南海側からすれば、一層の曲線改良や停車駅を減らすなどの課題があると聞いてございますけれども、向井議員の御指摘はごもっともでありまして、県といたしましては、これができれば沿線人口の増加や企業誘致の促進などにつながるものと考えられますので、今後、地元自治体と連携しながら南海電鉄に働きかけを行ってまいりたいと考えております。
 次に、国道371号バイパスの建設促進について、及び新紀見トンネルの開通についてでございますけれども、国道371号を初めとする府県間道路は、大阪を中心とする放射状の道路を形成し、関西大環状を形成する京奈和自動車道と一体となって関西都市圏を拡大することにより関西の経済を活性化させ、低迷もしておりました関西経済の元気を取り戻す重要な道路であると認識しております。
 府県間道路につきましては、両府県の取り組みが不可欠でありまして、これまでも大阪府の橋下知事に、国道371号を初めとする府県間道路の必要性について再三にわたり理解を求めてきたところであります。
 今後、この道路の早期整備を図るために取り組むべきことが3つあると考えております。まず1つ目は、和歌山県側の事業の進捗を図ることであります。それには住民の皆様の理解を得ながら進めなければなりません。2つ目は、大阪府に対する働きかけを続け、理解を得て大阪側の事業を促進する必要があります。そして3つ目は、府県間部分については議員御指摘の直轄権限代行事業が有効な手段でありますので、その準備を進めることが重要であると考えます。
 地元の協力につきましては、現在、橋本市も大変熱心に取り組んでいただいております。住民の方々もそれに相和して、住民の方々からも、ちょっとこう渋っておられる方々に対して、例えば土地の取得等々にぜひ御協力いただけるようにお願いをするなども含めまして、みんな一丸となって進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
 2番目の大阪につきましては、実は例の371号の大会があった直後の次の週末、大阪へ参りまして、橋下知事といろいろ話をいたしました。ほかの話もいたしましたが、特にこの問題については、克明にその決起大会の模様なども説明をして、大阪にとってもこれはぜひ必要な道路であるから、和歌山も頑張っておるけれども、大阪も頑張ろうという話をしてまいりました。一般的には、現在、大阪府は大変な財政難でいろんな事業をどんどん切っている状況にあるわけですけれども、これは橋下さん御自身ではなくて大阪府の事務方の情報によると、府県間道路については橋下知事の中の優先度は結構高くしていると。そうは言っても、ふんだんにまだたくさんの事業費をつぎ込んでくれるところまでいっておりませんので、今後とも頑張って説得してまいりたいと思います。
 3番目の権限代行については、これは現在和歌山県は2つ、これはかなり異例なんですけれども、北山と480号線と2つやっていただいてる状況であります。流れとしては、これをできるだけ早くやっていただいて、その間に準備をしておかないといけませんので、この371号側もぜひ調査を開始してほしいということを今お願いをしておりまして、引き続き今のような3つの目標に向けて全力を挙げて取り組んでいく所存でございます。
 それから、決起大会の感想でございますけれども、2月の1日、繰り返しになりますが、橋本市長が会長を務める促進協議会の主催で、国道371号バイパス建設促進決起大会が地元で開催されました。私もお招きいただきましたので出席し、ごあいさつをさしていただきました。パネルディスカッションというのがありまして、それにも参加さしていただきました。
 当日、会場は大勢の参加者の熱気にあふれまして、地元の皆さんの国道371号の早期整備に対する思いがひしひしと感じられたところであります。また、出席されておられました来賓の方々や向井議員御自身も、このトンネルに対する昔からの経緯も含めた、何か涙が出るような熱意をお聞かせいただきました。さらに、国土交通省近畿地方整備局長からも直轄調査に向けた前向きな発言があるなど、今後の早期整備に向けて意を強くしたところであります。
 今後も、早期整備を望む地元の皆さんの期待にこたえられるように精いっぱい頑張ってまいりたいと考えております。
○副議長(山田正彦君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 国道371号バイパスの促進状況についてでございます。
 和歌山県側の事業進捗状況につきましては、国道24号の市脇交差点から京奈和自動車道の橋本インターチェンジの間1.3キロ、この間につきまして、平成18年の4月に供用しております。橋本インターチェンジから三石台の間3キロ、それから慶賀野から柱本の間1.2キロ、この両方について用地取得、改良工事を進めております。
 今後の用地取得につきましては、橋本市の協力もいただきながら進めていくとともに、難航する案件につきましては、土地収用法の手続を進めて用地の早期取得に努めてまいる所存でございます。
 続いて、大阪側の進捗状況ですが、河内長野市の石仏から府県境まで6.1キロで事業が実施されております。石仏からの1.7キロは、もう既に供用されております。
 続く大阪府県境までの4.4キロ、ここでは用地取得率が99%です。そのうち、天見駅付近までの4割の区間で現在工事が進められております。トンネルを含みます天見駅付近から府県境の残る6割ですが、この区間は工事着手に至っておりません。大阪府側の天見バイパスの進捗を引き続き大阪府へ働きかけてまいりたいと思います。
 さらに、仮称の新紀見トンネル延長約2.1キロを含む府県間部分についてですが、コストの削減とか事業手法などを検討するために、ことしの1月に国、両府県で研究会を設置したところでございます。県としましては、この研究会の中でも直轄調査の実施に向けて国で検討を進めていただくように働きかけてまいりたいと思います。
 以上でございます。
○副議長(山田正彦君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 農業政策につきまして、2点お答えをさしていただきたいと思います。
 まず第1点目の休耕田、耕作放棄地の利活用に関する調査についてでございますが、昨年の4月に国のほうから耕作放棄地解消ガイドラインが示されまして、これに基づき各市町村において実態調査のための一筆調査を行い、現在、耕作放棄地解消計画策定の作業が進められてございます。その結果、現在のところ、県下で約1900ヘクタールの耕作放棄地を把握しているところでございます。
 県といたしましては、これまでも県独自の取り組みとして復元可能な遊休農地の解消に努めてきたところでございますが、国では21年度より、荒廃農地での雑木の除去、また土壌改良などを内容とする緊急対策が実施されることになってございまして、その実効性を確保するために、現在、県内の市町村におきまして、JA、農業委員会等を構成とする協議会の設置など、体制整備の推進に努めてございます。
 御承知のとおり、農地につきましては、農業生産の基盤、基本でございますので、その確保は食料自給力の向上の観点からも重要であると考えてございまして、関係機関との連携を図りながら、耕作放棄地の解消に向けてより積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 2点目の米の減反政策についてでございますが、県ではこれまでJAなどと連携をいたしまして、転作にかかわる産地づくり交付金を活用しながら、地理的、気象的条件を生かした果樹を中心とする収益性の高い産地づくりに取り組んできてございます。その結果、昭和46年以降、水田の約半分が柿、桃等の園芸作物に転換をされてございまして、結果、全国有数の果樹産地となるなど成果も上がったものと考えてございます。
 しかしながら、米の消費減退に伴いまして生産調整が強化される中で、本県では零細で自給的農家が多いということから、農家におきましては、これ以上の生産調整の実施は非常に厳しいという意見があることも十分承知をいたしてございます。
 現在、国におきましては、世界の食料需給の逼迫や、また担い手の高齢化、遊休農地の増加などを背景といたしまして、食料自給力の強化を図るということで、減反選択制も視野に入れた米政策の抜本的な見直しが検討をされてございます。
 県といたしましては、こうした国の動き、情報収集に努めるとともに、米の消費県であり自給的農家が多いという実情を踏まえまして、県内の生産者や農業者の意向を酌みながら本県農業の特性が発揮できる仕組みづくりとなるよう国に対し要望するとともに、米を主食とした日本型食生活の普及になお一層取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(山田正彦君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 県立中学校についてお答えいたします。
 県立中学校は、6年間を見通した系統性のある教育課程のもと、豊かな人間性と確かな学力をあわせ持った、これからの社会に力強く羽ばたく人材の育成を目指して設置してまいりました。各校では、併設している高等学校の特色を生かしながら、よき伝統を継承するとともに、異年齢間の活動を取り入れるなど、魅力ある教育活動を展開しているところでございます。
 各県立中学校の設置に際しましては、教育の場としてふさわしい環境を確保するとともに、安全面、保健衛生面に留意し、整備・充実に努めてきたところでございます。
 しかしながら、議員御指摘のとおり、中高生が同一敷地内で学校生活を送っておりますので、場合によりましてはクラブ活動での体育館等のやりくりが大変であるといったことも聞いてございます。
 施設・設備につきましては、併設型中学校の特色を生かして充実した教育を実施するため、一般の中学校にはない専門性の高い高等学校の施設や設備等を有効に利用するとともに、毎年行っております各学校とのヒアリングで状況をお聞きしながら連携を密にし、条件的な困難もございますが、施設・設備の充実に努力してまいりたいと存じます。
 また、県立中学校では、保健体育や数学、英語などいろいろな教科で高等学校の教員による専門性の高い授業を実施するなど、中高一貫教育の利点を生かした指導体制の充実に努めているところでございます。
 今後ともこうした工夫をより積極的に進めるとともに、各校の実態を考慮し、教員スタッフの充実について検討してまいります。
 市町村立中学校とのあつれきということにつきましては、議員御指摘のようなさまざまな状況が生じているということは承知しているところでございます。県といたしましては、市町村教育委員会と連携を一層密にしてしながら地元中学校と県立中学校がそれぞれのよさを生かし、ともに伸びていくことができるよう、教材開発や授業研究の実践交流などを通してさらなる協力関係を築いてまいりたいと考えてございます。
 次に、設置時には想定外の事例としてお尋ねのあった件についてでございますが、これまでにも転居や進路変更により高等学校進学時に欠員が生じた学校もございますが、6年一貫教育という特性から、新たな募集は実施しないことという方針で進めてまいりました。各学校では、生徒や保護者に対し、中高一貫教育のよさやその魅力を十分理解していただくとともに、学習意欲の低下や中だるみ等を招くことがないよう教育課程を工夫し、全教職員が多様な生徒1人1人の実態に合わせた指導方法の工夫・改善に努めているところでございます。
 また、学年によっては男女の生徒数に差が生じている学校もございますが、男女に関係なく1人1人の意欲や適性により入学予定者を決定してまいりたいと考えておりますので、御理解を賜りたいと存じます。
 次に、高校中途退学者についてお答えいたします。
 平成19年度の県立高等学校における中途退学者数は、お話しのとおり611名となっておりまして、5年前の750名前後からは人数としては減少しておりますが、依然として胸の痛む重要な課題ととらえてございます。
 中退の主な理由は学校生活や学業への不適応、進路変更によるものでありまして、各学校では、学校説明会等を充実させるとともに、基礎学力の向上や目的意識を持たせるための進路指導の充実など、丁寧で温かな指導を行っているところであります。また、県立高校41校にスクールカウンセラー等を配置しまして、生徒や保護者の相談に応じる体制をとっております。
 こうした中で、少人数指導等によるきめ細かな指導により基礎学力の向上に努めるほか、学んだ成果を生かして地域と交流する中で得たやる気や自信を目的意識の向上につなげ、30名以上あった中途退学者が10名前後にまで減少した高校も数校ございます。
 今後とも、議員御提言の趣旨を踏まえ、こうした取り組みを多くの学校に広め、県を挙げて中退問題に取り組んでまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(山田正彦君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山田正彦君) 再質問を許します。
 6番向井嘉久藏君。
○向井嘉久藏君 ごく短く要望しておきたいと思います。
 総務部長にちょっとお願いしときます。
 保護者の期待というのは大変なものでございまして、今、私の手元にございますのは、本年の中学校への受験の倍率です。──これ、お金の関係ですんで。──倍率が一番多いのが向陽中学校、5.46倍。募集人員80名に対して5.46倍の子供たちが受験する。また、続いて桐蔭が4.59、それから古佐田丘が2.54、それから日高が1.56、田辺が1.65と、こういうふうになってございます。いかに保護者の県立中学校に対する期待が大きいかということでございますので、スタッフ、また施設の充実に向けて深い、何と申しましょうか、御理解をお願い申し上げたいと思います。
 ありがとうございます。
○副議長(山田正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で向井嘉久藏君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は3月9日定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時36分散会

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