平成21年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(原 日出夫議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 34番原 日出夫君。
  〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 議長のお許しを得ましたので、質問に入りたいと思います。
 私は、前段、坂本議員からの質問も関連して、来年度予算と、和歌山県のこの厳しい経済情勢の中で県としてどういうふうな施策をとっていくのかということを具体的にやりたかったんですが、もう坂本議員が質問されましたので、その中でもちょっと具体的なことで御質問したいと思います。
 国の21年度──国自身の来年度予算や、それにかかわる追加経済対策というのが近くまた出てくると思うんですが、それに関係して、私は、とりわけ紀南には企業城下町がなく、金融危機に伴う直接的影響が実はないかに見えましたが、日増しにその影響がじわじわと出てきています。自動車、電気メーカーの部品工場での、私たちの周辺ですけども、20数名の首切り、また中小企業での製品等の売り上げの落ち込みによる資金繰りができず従業員を解雇するなど、また、どうしても会社を継続していきたいけれども、雇ってる従業員の厚生年金を国民年金に、そして国民健康保険にと、個人の負担した雇用契約に切りかえてきているのが実態であります。第1次産業の梅と梅加工品にしても、売り上げが落ちるとともに低価格商品しか流通しない。流通・物流の落ち込みで運送業の経営に見通しが立たないなど、地方にひしひしと影響を受け、ことしから来年には個人消費はさらに冷え込み、地方に大きな影響が出てくると考えます。
 そこで県は、緊急経済対策本部を中心に中小企業への資金繰り対策、公共事業の大幅投資、雇用面での積極的な対応をしていることを評価したいと思います。
 そこで、国の来年度予算を初め追加経済対策に対し、とりわけ紀南地方に対し、県として何を重点に取り組まれるのでしょうか。
 とりわけ私は、12月議会で提起した社会保障、つまり福祉介護・医療・教育は雇用を支え、地方を再生・地域経済活性化の1つの柱になることを訴えました。いみじくも来年度予算とさらなる財政出動ということで、与謝野財務大臣は、一般論としながらも、社会保障の分野は波及効果が高いと述べ、国内景気の下支えは、医療・介護などの分野で雇用の創出、内需拡大につながることを指摘しています。このことを含め、県としての今後の経済雇用対策の方針はいかがでしょうか。お尋ねします。
 次に、部分的ですが、雇用面に対して、ふるさと雇用再生特別基金活用事業の中身を私見せてもらいながら、これを地域でどう活用しようかなと思って、幾つかの企業や地域の皆さんと御相談をしていますと、名前がすごくよかったので、ふるさとを再生するために、ふるさとの事業をやってるところ、しかも拡大するところ、そういうところに支援をして、その事業が活性化することによって雇用を創出していくというふうに私は理解してたんですが、逆でありまして、中身を見ますと、和歌山県にとって本当にもっと弾力的に使えるような制度であるべきではないかなと。要は、事業を拡大する、新たな事業を拡大していかないと、その事業が適用されないという、この中身はまるっきし逆じゃないかと。地域を再生していくところの事業や地域の事業者にそれを支援していくと。それでなかったら、おのずから雇用が創出されるという意味では、事業へ支援すべきではないかというふうに考えたんですが、中身はそうなっていないわけでありますから、その点についても国に対してやはり我々地方として弾力的に使えるような制度に改善を求めるべきではないかなというふうに考えますので、知事の見解をお聞きしたいと思います。
 次に、国の直轄事業への知事の姿勢であります。
 考え方についてお聞きしたいわけですが、現在の国の直轄事業負担金制度では、非常に全国から問題になってます。例えば我が和歌山県では、一例ですけど大滝ダムの経過に見られるように、県が関与できないところで当初計画額230億円が1けた違いの3640億円と大幅に上がっております。これによる我が和歌山県の国の直轄事業に対する負担金もそれなりに対応していかなければならないというそういう問題は抱えているわけでありますが、県が負担金を出さざるを得なくなるといった問題を、こういった問題に対して、知事は現時点で踏まえて、今後の県としての国の直轄事業負担金に対する考え方や対応についてお伺いしたいと思います。
 次に、農林水産業を基軸にした活力ある農・林・漁村地域づくりについてであります。
 世界的同時不況は、日本の輸出依存中心の経済の危なかしさが露呈されました。それは、WTO、FTA交渉に見られるように、日本の国は、輸出産業中心の考え方が日本の農業や林業、水産業を犠牲にしました。日本の農山漁村を、人も、土地も、村も空洞化して限界集落に追いやり、自国の食料自給率を39%という、独立国日本どころか食料植民地国になっているのではないかということを私自身が危惧してます。
 私たちは、金融恐慌からさらに近い将来、世界的食糧恐慌を展望したとき、日本の進むべき道ははっきりしているし、それを明確にすべき岐路に来ていると思います。農山漁村は人の気配が薄くなり、農山地が荒れ、コミュニティーの崩壊が進み、さらに残る人々の誇りが喪失しつつあります。しかし、今この社会経済状況だからこそ、もう一度、農業、林業、漁業の資源を生かす本来の日本を見詰める絶好のチャンスであり、プラス面の考え方に立ち、国も、地方自治体も、住民も、その政策を築き上げていく時代を迎えたと思います。
 農山漁村の厳しい状況の中においても、これに立ち向かい、地域再生への取り組みが県内でも数多く生まれてきています。農山漁村の地域再生への取り組みは、1次、2次から6次産業へ構築されつつあります。県行政においても、今までにも地域再生の努力をされましたし、21年度予算は農山漁村への政策的予算が強化されています。国においても18年度から地域再生のための地域振興策を内閣府がコーディネートして、各省トータル290施策が提起されています。
 とりわけ、国の施策の特徴的なことは、事業によっては3年から5年間の支援、ハード面だけでなく人材派遣、養成のソフト面での支援という、今までにない地域主体を尊重されてきております。これらの国の施策を生かし、県、市町村の支援を得て地域づくりが県内でも積極的に進められています。
 例えば、かつらぎ町とかつらぎ観光協会と大阪府守口市土居駅前商店街との振興策の交流が活発であります。那智勝浦町の色川地区の田舎暮らしと定住促進活動が一定の成果を上げていますし、上秋津地区の直売所を初め廃校を利用した農業法人・秋津野ガルテンを立ち上げ、農村レストラン、宿泊所、農家民宿を初め経産省の支援を受けての秋津野地域づくり学校を開校し、地域づくりの全国の人たちの交流、農業体験を積極的に進めています。これは主な事例ですが、ほかにも、小さくてもその地域再生のため、国や県の施策を活用した活動が今進められています。
 そこで、知事に、提言も含めてお尋ねいたします。
 1つは、県当局は地域再生の国の制度を十分活用する地域支援の体制はできているのでしょうか。また、行政の縦割りが地域づくりを輪切りにしてしまうおそれはないのでしょうか。
 私の体験から、県行政へ次の点について提言しながら、県当局の見解をお聞きしたいと思います。
 1つは、地域再生のための地域振興施策は、国は内閣府がコーディネーターになって、その地域づくりは、各省のどの施策と施策を組み合わせて活用するかを必ずコーディネートしていただきます。そういう形をとっております。県行政としても、地域再生、地域づくりをコーディネートするのは企画部で、その地域づくりが農林水産部、商工観光労働部など関連するところをまとめて地域振興策を立ち上げる役割を果たすべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 2つ目は、これに関連して、地域振興策は地域再生させるための総合的な観点に立ち、国の施策と県の施策と市町村との連携、そうしたシステムをつくって、より効果的な予算の活用、そして人的配置も効果的にその地域再生の地域へ派遣していくという、そういう合理的に進めていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 例えば、21年度、来年度予算の企画部予算──これに限定するわけではないですが、例です──地域政策推進事業、それから地域づくり活動支援事業、わがまち元気プロジェクト事業というふうに3つあります。私は、こういった3つの事業は、例えば私の考えですが、これを地域振興推進交付金に一本化してはどうでしょうか。そのほうが、地域にとって、市町村にとっても非常に使い勝手がいいと。この事業をどうするためには、この個々の政策をどうするという意味じゃなく、総合的に地域振興交付金という形でまとめ上げるほうが県の予算としては効果的に発揮できるんではないかというふうに私は考えるわけです。そういったことを柱に、農林水産部、商工観光労働部等の予算と連携して、効率的、合理的な地域振興への政策と予算づけが求められていると思いますが、どうでしょうか。
 もう1つは、地域づくりはその地域の人材が基盤ですが、地域には行政の人的支援も求められます。地域づくりは、県の人材、市町村の人材、時には大学機関の支援が、これらの人材のコーディネートを県としても支援する必要があると考えますが、どうでしょうか。
 4点目は、県下の地域別の特徴を生かした地域再生の事業は、今どんどん進んでいます。各地域は、農林水産業を基軸にした事業が展開され、地域づくりが行政の協力で進められています。その実績の中で、私はツーリズム大学の設置を提案したいと思います。
 これは、全国でも地域づくりの成果を上げたその地域を拠点にして、ツーリズム大学が生まれています。田辺市の秋津野ガルテンは、経産省の支援で秋津野地域づくり学校が開校されています。これを拠点に、紀南での地域づくりの拠点、例えば本宮でやってる、那智勝浦でやってる、色川でやってる、北山村でやってる、龍神でやってるというふうな、それをキャンパスにして、センターは秋津野ガルテンに置いてツーリズム大学を設置してはどうか。それは、和歌山大学の観光学部が中心になり、その地域の代表や経済関係者など多数の関係各分野から構成して、ツーリズム大学設立に積極的に県として支援していってはどうかと思いますが、いかがでしょうか。
 この点の最後ですが、農山漁村での深刻な事態と、それを乗り越え地域再生へ取り組む地域の中で、来年度、国において過疎法が期限切れになります。和歌山県は、30市町村のうち18市町村が過疎法または山村振興法の対象です。県は、ポスト過疎法に向けた取り組みをどう考えているんでしょうか。県内の地域の実態とニーズをつかみ、過疎地域の自立促進政策と、今まで以上に必要とする格差是正のための政策をポスト過疎法に反映をどうしていくのか。県としての政策をまとめ、国に提言していく必要がありますが、どうでしょうか。お尋ねいたします。
 次に、新農林水産業戦略プロジェクト推進総合対策の取り組みについてお尋ねします。
 この事業の考え方と総合対策について、まず基本的にはお尋ねしたい。
 私は、この総合対策を進めるに当たって、1点目に提言した地域振興対策、つまり活力ある町・村づくりをどうするのか。地域と市町村と県行政が議論して、総合的な地域づくりを進めるマスタープラン的なものを創造していく、地域の人たちの集まりと力を基礎にして総合対策を考える必要があります。農山漁村の基盤整備は当然ですが、農林水産業を基軸にしたその資源、環境、地域をどう活性化していくのか。
 そのことは、第1は、総合政策は地域の活力あるもの、地域のコミュニティーが強まり、交流人口がふえ、やる気のある地域づくりであります。
 2つ目は、そこに生活する人たちの所得が増加するかどうかの施策であります。
 3つ目は、それらの事業で雇用を生み出すのかどうかというのも大きな総合対策の問題であります。
 例えば、先ほども述べました秋津野ガルテンでは、地域をどうするかのマスタープランをまず作成して、地域みんなの議論でその方向性を見出した。農産物をふやし、とりわけ梅依存ではなく、周年収穫できるミカンの多品目化にも取り組み、成功していること。生産・加工・販売、直売所、ネット販売、そして農村、レストラン、民宿等によって、この2年間で40名に近い雇用を創出してきています。これは、行政の力強い支援とその共同で生まれたところです。
 これらの視点に立って、農林水産部長にお尋ねします。
 新農林水産業戦略プロジェクト推進総合対策のその目的と総合事業についての考え方、今私が提起した地域振興・再生という総合的な視点を踏まえた点についてお伺いしたいと思います。
 次に、その中でも、県の農林水産プロジェクトの中で、品目的プロジェクトとありますが、私は、1品目を基盤に多品目生産の中での農業所得をふやしていくために、また、国民の安全・安心と地域の自然の食材が評価されるにはどうするかという課題があります。
 農山村での多品目づくりでありますが、その環境はたくさんあります。今から言うのは、あくまでも限定した事例ですので、それにこだわるわけではありませんが、山菜は自然のものと、それが栽培できるものということで、今、イタドリ、ウド、サンショウ、畑ワサビ、ショウガ、ワラビ、フキ、コゴミといった、そういう地域に今まで自然に派生していた植物に着目されつつあります。その中で、今、私たち地域では、コゴミというものを、いわゆる遊休農地を活用して、それを産物化しようということで取り組んでいます。これら山菜が、生産・加工して、都市との食材交流の一つの力にもなると思います。
 枝物では、コウヤマキ、サカキ、コノハナ、ヒサカキ、センリョウ、ナンテン、そして古木等が今見直され、努力次第では販路が拡大されようとしています。例えば古木利用は、地元のNPOが販売へと一歩踏み出しました。今まで趣味程度であったのが、それを商品化し、加工して商品化して、販売へ一歩踏み出しています。
 田辺市のNPOによる地域資源サカキの活用販売が開始され、イオンなど大手流通との連携、ネット販売など、新しいチャンネルで順調に推移しています。さらに、梅の剪定枝が捨てられ焼いていたものを、剪定枝とネコヤナギとの同じ時期に生まれるその2つの組み合わせで花木としての評価を受け、自然花木への販売に取り組もうとしています。
 こういった例を挙げたのは、単一の農林水産物でなく、その地域の農産物と自然環境をうまく組み合わせた複数の組み合わせでの生産・加工販売をつくり出すなら、そこに人との交流、農家の所得をふやす、雇用の創出で地域が活力あるものをつくり出せていくのではないかと考えます。この視点を踏まえた総合施策であってほしいと思いますが、農林水産部長の見解をお聞きします。
 最後になりますが、紀の国障害者プラン2004の改定についてであります。
 紀の国障害者プラン2004の概要に対する意見というか、県としてもパブリックコメントを求めています。私もその一人のパブリックコメントとして当局に提案し、お聞きしたいと思います。
 今回のプランは、これまでと違い、各市町村の積み上げのもとに数値目標が示されていることを高く評価した上で、次の点について質問したいと思います。
 1つは、国の施策の写しでなく、県の実態に即した独自の具体化施策の必要性が求められています。町村合併や広域化に伴い利便性が低下した地域への対応であります。
 例えば、田辺市の本宮、それからすさみ、古座などの資源のない地域への対応。東牟婁は新宮市に資源が集中している。これについては、例えば古座、串本から新宮市のデイサービスを利用する重症身体障害者の場合、移動は、串本から下里へ行き、新宮のデイサービスの送迎バスを下里で待って新宮へ行かなければならないという、こういう状態であります。プランで示す、どこに住んでいても必要なサービスを利用できる体制整備を進めると言われている中で、公平に受けられる体制をどう考えていくのでしょうか。
 2つ目は、グループホーム、ケアホーム等の機能低下についてであります。
 グループホーム、ケアホームの実情は、当初の4対1から10対1への配置へと変わってきています。職員配置とその援助の量と質の低下傾向が見られますが、これに対してどう対応するのでしょうか。
 精神障害者の地域での受け入れ態勢については、精神科医院からの退院先の主なところは家族であります。それから入所施設からの地域移行先は、グループホームまたはケアホームです。いずれも地域とのつながり、地域の考え方が弱い中での課題が非常に多いです。これにどう対応されていくのでしょうか。
 次に4点目は、発達障害者、触法障害者への支援が困難な事例に対する専門的な支援をどうするのかであります。そして、地域でどう支えるのか、支える体制をどうしていくのかということです。
 発達障害への専門的支援体制、このノウハウはまだまだ不十分ですが、これに対して本当に地域で県としてどう対応させていくのか、お聞きします。
 触法障害者、つまり障害を有する受刑者の比率は増加の傾向にあり、また、この人たちの再犯率は70%と言われています。国は施策として21年度から触法障害者の地域生活定着支援センターを設置して取り組むとしていますが、県としてどう対応していくのでしょうか、お尋ねします。
 5番目に、障害児(者)の余暇活動の支援のための施策についてですが、プランでは、障害児(者)の活動や参加を制限している社会環境の改善とうたわれているが、現実はどうでしょうか。県はパンフ等広報で県民への意識啓発をしていますが、それでは前向いて進まない状況ではないか。例えば、障害児(者)の余暇活動の実態を調査し、余暇活動、生活支援の機会をどうつくるのか、一般県民の余暇活動の機会に障害児(者)がどう参加していくのか、参加していける条件をどうつくり出していくのかについて、県当局のお考えを聞きたいと思います。
 これで、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの原日出夫君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、現下の経済情勢を踏まえた施策につきましてお答え申し上げます。
 議員御指摘のように、紀南地域においても働く場所の確保が大きな課題となっております。業績が悪化する中で、中小企業の資金繰りが厳しくなるなど、深刻化する経済情勢は十分認識しているところであります。今後さらに雇用情勢が悪化すれば、個人消費も冷え込んで地域の地場産品の売り上げ等にも影響を及ぼすものと懸念しております。
 このため、本県経済と県民生活を守ることが何よりも重要であるという認識のもと、現下の社会経済情勢に対する緊急対策として、県内企業の資金繰り対策の継続・拡充、県民生活に密接な社会資本整備による景気対策などに取り組んでまいります。
 また、産業、農業、福祉・医療の分野で、県内外の優秀な人材を積極的に呼び込むため、例えば「和歌山で福祉・医療の仕事をしませんか!」というプロジェクトなどを実施しておりまして、特に議員から御提案のあった福祉介護の分野でも、国の制度を活用した就職相談会の開催など、就職機会の提供と人材の確保のための取り組みを進めているところであります。
 こうした緊急的な対策に加えまして、次の飛躍に向けた底力を蓄える施策として、わがまち元気プロジェクトや新農林水産業総合戦略の推進、安全・安心で高品質な農林水産物の販売促進、世界遺産を生かした観光振興など、地域のすぐれた資源の国内外への売り出しに積極的に取り組むことで、紀南地域の産業活性化や、あるいは所得の拡大を図ってまいりたいと考えております。
 次に、ふるさと雇用再生特別基金活用事業についてでございます。
 この事業につきましては、もとより継続的な雇用機会を創出することが目的とされております。議員御指摘のように、当該事業の利便性を高め、地域に応じたより実効性のある使い道に使えるというために、全国知事会を通じて人件費割合要件の撤廃等について要望し、それが一部緩和されたところであります。今後とも必要に応じて、本当に必要なものは何かという観点から弾力的に使えるように国に要望してまいりたいと考えております。
 次に、国の直轄事業への県の負担金についてでございます。
 私は、そもそも国が責任を持つべき分野は、100%国の財源で地方の負担金に頼ることなく行い、地方が責任を持つべき分野は、国を頼ったりあるいは国の関与を受けることなく地方の財源で賄えるようにすべきであるというふうに思っております。それが地方分権であると考えます。とはいえ、国の財政を一方的に崩壊させるというか、地方だけ払わないというふうになると、これはまた一大事であります。地方分権の本旨に基づいた根本的な検討を始めるべきだというふうに私は思います。この根本的な制度改正が行われるまでは、直轄事業を一方ではやってくれと言いながら自分のお金は払わないというわけにはちょっといかんというふうにも思います。
 また、本県につきましては、実はその直轄事業をまさに今たくさんやってくれと。例えば高速道路とか、そういうものをやってもらわなきゃいかんという時期に、実はあるわけであります。そういう意味で要望している箇所がたくさんありまして、その要望している箇所にお金をつけてくれるということであれば、負担金は、現状の制度を前提とする限り払わざるを得ない。むしろ、ほかのところで国の直轄事業など要らんと言っているところがあるならば、ぜひ和歌山でやってくれというふうに私は思ってる次第であります。そのように要望をしております。
 なお、全国知事会においても、改めて直轄事業負担金をめぐる問題点、課題を整理し、国と必要な協議、調整を進めながら、社会資本整備に係る国と地方のあり方等を構築するための検討が行われる予定でありますので、私も初めに申し上げました観点から積極的に議論に参加してまいりたいと考えております。
 次に、活力ある地域づくり、地域の再生に向けて多くの御提言をいただきました。
 地域再生のための取り組みについて、これらをまとめて御答弁申し上げたいと思います。
 元気な地域づくりについては、私も熱い思いを抱いておりまして、県民の皆さんとともにまさに県庁の総力を挙げて取り組むこととしておりまして、来年度予算においても各般の施策を提案さしていただいているところであります。
 御質問の全庁的支援体制につきましては、地域の皆さんが地域再生に向けて何かやっていきたいと考えたとき、その活動段階や目的に応じて、国、県、関係機関を問わず最適な支援施策を活用していただけるように、いわば組織横断的な情報の収集と提供を行いまして、支援誘導できるような仕組みを整えていきたいと考えております。
 地域再生、地域づくりを企画部でコーディネートすべきではないかとの御提言につきましては、私も全くそのとおりだと考えております。企画部の予算というだけじゃなくて、すべての県庁の仕事、あるいは国、市町村の仕事についても、企画部で、よくいわばにらみをきかして指導していくというようなことをやってもらいたいというふうにかねがね言っておるところであります。
 また、企画部においても、いわば直轄事業として来年度予算でお願いしておりますわがまち元気プロジェクト支援事業は、そういうように企画部が関係部局の施策も活用して地域固有の資源を生かした新たな地域づくりに取り組む市町村を支援するために、企画部に今配分しているというところでございます。
 地域づくりに関連した諸事業を交付金に一本化できないかと、こういうようなことがありましたが、私はもう少し県がアイデアを出してリードしていきたいというふうにも考えております。21年度予算に計上しております諸施策は、このような考え方から、企画部のみならず各部局もみんな動員して、それで各地域における地域づくりの取り組み段階や目的に応じて事業立てをして、専門家の知識も導入しながら進めてまいりたいと考えてるところでございます。相互の有機的連携のもと、効率的、効果的に事業実施を行ってまいる所存でございます。
 また、地域づくり人材をコーディネートする役割が今後ますます重要になってくると私も思っております。現在でも、市町村からの要請に基づき、農商工連携あるいはブランドづくり、観光などさまざまな分野のアドバイザーの派遣制度を設けておりますが、適材を適時適所に派遣するため、日ごろからアンテナを高くして人的なネットワーク形成に努めているところであります。
 それから、議員御指摘のツーリズム大学については、各地域でNPO等が主体となり、地域づくりのノウハウの伝承や人材育成、人材交流のための講座を開いていると理解しております。現在、例えば和歌山においても和歌山大学観光学部や、議員お話しにあった秋津野ガルテンを初めとする地域づくり団体の活動などがありますので、県としてもこうした取り組みと連携を図りながら地域活性化のための人材育成の視点で積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 今後とも、市町村や関係機関との連携や情報収集に努め、地域の皆さんの主体的な取り組みを支援してまいりたいと思います。
 過疎対策についてでございますけれども、昨年、鶴保参議院議員ら自由民主党の委員会の過疎対策特別委員会のメンバーがすさみ町にお越しになって、いろいろ勉強していってくださいました。それをもとにして中央レベルでも、各党そうでございましょうが、新たな過疎法制定に向けていろんな検討が進んでいると思います。ただ、和歌山県につきましても、中央に任しておくというわけではなくて、県下の過疎市町村と意見交換を行うとともに、地域住民とのワークショップの開催などを通じて実態とニーズの把握に努めてきているところでございます。
 昨年7月には、学識経験者、地域代表者等で構成する和歌山県過疎対策研究会を設置いたしまして、議論を重ねていただいております。内容がまとまり次第、県に提言をいただくことになってございます。
 また、庁内においては横断的な連携体制を構築し、過疎対策に全庁的に取り組んでいるところでございます。
 新たな過疎法につきましては、地域の実情や地域住民の意向を十分踏まえ、過疎地域が自立・持続するためのソフト施策や集落対策などの対策が同法にちゃんと盛り込まれますように、市町村と連携を密にし、国及び関係機関に提言してまいりたいと考えております。県議会におかれましても、御支援、御協力をお願い申し上げます。
○議長(大沢広太郎君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 新規施策としての新農林水産業戦略プロジェクト推進総合対策の取り組みについてお答えをいたしたいと思います。
 農林水産業につきましては、御承知のとおり本県の地域経済を支える重要な産業でございまして、活力ある地域づくりのためには、農林水産業の収益性を高め、魅力ある産業として確立していくことが重要であると認識をいたしてございます。そのために、マーケット情報を踏まえた産地づくりを初めといたしまして、食品産業と連携し、地域資源を活用した新商品の開発、さらには国内外への販売促進に加えまして、担い手の育成や優良農地づくりといった対策を総合的に推進していくこととしてございます。
 こうした考え方に基づきまして、生産者グループ等が取り組むそれぞれの地域課題に対する戦略プロジェクトにつきまして、県もコーディネーター役として参画をし、JA等の関係団体や市町村と連携をしながら、生産・加工・流通・販売対策を総合的に推進をいたします事業を新規にお願いをしているところでございます。
 さらに、この新規事業を核といたしまして、担い手対策や生産基盤などの関連施策で構成をいたします新たな総合対策として、全総力を挙げて取り組むことといたしてございます。地域の持つ多くの資源を有効に活用した生産から流通確保に至るいわゆるアグリビジネスの展開を通じまして、総合所得の向上を初め雇用機会の拡大にも努めながら、地域の自立、活性化を図ってまいりたいと考えてございます。
○議長(大沢広太郎君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 紀の国障害者プラン2004改定についての5点の御質問にお答え申し上げます。
 まず、町村合併による広域化、山間地域への障害福祉サービスへの対応についてでございます。
 県では、平成18年に施行されました障害者自立支援法に基づく新しいサービス体系への移行を鋭意促進しているところですが、議員御指摘のように、サービス事業所の偏在により一部地域の利用に不便を来している現状があり、それを解消することが重要な課題であると認識してございます。このため、紀の国障害者プラン2004の改定に当たりましては、障害のある人が地域や施設で安心して暮らせるよう、どこに住んでいても必要なサービスを利用できる体制整備を進めることを基本姿勢とし、計画素案の作成に際しましては、サービス量を見込むための単位となる各障害保健福祉圏域ごとに市町村と連携して、サービス提供体制の整備について具体的に検討したところでございます。計画の実施に当たりましても、市町村と協働して課題解決に向け取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、グループホーム、ケアホームにつきましては、報酬設定が厳しく人材確保が困難で、支援についても不安が生じてきているとの現場の声を踏まえ、国に対して報酬の見直しについて強く要望を行ってきました。その結果、本年4月には障害福祉サービス全体の報酬の見直しが行われ、グループホーム、ケアホームの報酬についても、より実態に即した改善が図られることとなりました。今後とも現場の状況を十分把握しつつ、必要に応じ国に対して働きかけてまいりたいと考えてございます。
 次に、精神障害のある人の地域での受け入れ態勢についてでございますが、精神障害のある人と暮らす御家族に本人への対処方法等を学習していただく家族教室を各保健所において開催するとともに、精神疾患に対する県民の正しい理解を深めるため、わかやまこころのフェスティバルの開催や、ボランティアの育成等に努めているところです。また、グループホーム、ケアホームを整備する際には、地域住民の方々の理解を深めるための啓発活動をも支援しています。
 今後とも、精神障害のある人が地域生活へ移行する際に、地域住民に対して理解と協力をいただけるよう働きかけ、地域における関係機関の連携による受け入れ態勢づくりに努めてまいります。
 次に、発達障害者、触法障害者への専門的な支援策と地域で支える体制についてでございますが、県内における発達障害のある人への専門的な支援体制を強化するため、各障害保健福祉圏域ごとに設置された保健、医療、福祉、教育、就労の関係団体による支援ネットワークでございます地域自立支援協議会に和歌山県発達障害者支援センターが参画いたしまして、地域における発達障害のある人への支援の専門的なバックアップを行う体制整備を進めているところです。
 今後は、さらに現場の支援者に対する専門的な研修やコンサルテーションを通じて、その専門性を高め、地域の支援体制の強化を図ってまいりたいと考えております。
 次に、触法障害者への支援についてでございますが、刑務所を出所後、障害者手帳の交付や社会福祉施設への入所などの福祉サービスへとつなぐための仕組みがなかったことから再犯に至る事例が多く、対策が必要であると言われてきました。このため、国は平成21年度新規施策といたしまして、各都道府県に1カ所の高齢者や障害者等の自立が困難な仮釈放者や満期釈放者を対象といたしました地域生活定着支援センターの設置を国直営で考えていたところでございますが、政府予算編成過程で都道府県が実施主体と変更になったことから、今後、県におきまして地域生活定着支援センターを検討してまいりたいと、そのように考えてございます。
 最後に、障害児(者)の余暇活動の支援のための施策についてでございます。
 障害のある人が地域で充実した生活を送るためには、就労等とあわせて休日の活動の充実を図ることが重要な課題であります。そのため、市町村と連携して障害者スポーツの振興や文化活動の振興に取り組んでいるところであり、また障害者施設等においても積極的な取り組みが行われております。
 今後の方向性といたしましては、議員御指摘のとおり、障害のある人とない人が一緒に休日を過ごすことができるような条件整備が重要であると認識しております。実態について現場の状況をお聞きし、市町村とも連携しつつ、障害のある人がさまざまな休日の過ごし方ができるよう充実を図ってまいりたいと、そのように考えてございます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
 34番原 日出夫君。
○原 日出夫君 質問というより要望です。要望というか、改めて私の願いというんか、そういうことで。
 地域振興で、私、昨年からも質問して、知事先頭に──本当に和歌山県が今こういう経済情勢の中でとるべき道は幾つかある。1つ──全部とは私言いませんけど、地味ではあっても、自分たちの地域を活力あるまちにするために、小さなことからでも積み上げながら、その地域にいろんな意味でそこで住める、住みたい、住んでいて生活ができる、そういう地域づくりを、私たち和歌山県の場合は特に重要視していく必要があると思います。
 今までの時代のように、何か大きなことして金もうけをするとか、投資をするとか、それでまた金をもうけるとかいうんじゃなくて、みずからその地域の地場産業や環境を生かして、それで、地味ではあるけども生活できるという、このことに我々はなれているわけですから、そのなれた今までの生い立ちの中でそういう産業を生かしていくと。そういうことが今後はこれがすばらしい地域だというふうに、僕は社会的に評価される時代は必ず来ると思ってますので、地域再生に対してほんまに積極的に取り組んでいただけたらと思います。
 原点は、やっぱりその地域の人たちがやる気があるかないかの問題ですから、それが行政がやるかやらんかという問題以前の問題ですけど、それをやっぱりお互いに共同・協力しながらやっていければ成功するんではないかと思います。
 とりわけ、今度の新農林水産業戦略プロジェクトが総合的に使われたということについては、高く評価しています。しかし、どうしても一面的になりがちなので、私は再度言いますけど、その地域が、その総合施策の中で地域のコミュニティーが深まっていく、そしてそこへ訪れてくる交流人口がふえる、こういう物の考え方のマスタープランをつくっていかなきゃならない。そのために何をするのかということである。そしてそのことによって、先ほど言いました、地味ではあるけれども所得が増加する。そういう形の中で、地味ではあってもそこで生活できる、十分生活できるんだという確信を持てる施策が必要ではないかと。
 3つ目は、やっぱりそこで雇用を生み出していくという、地味ではありますけど、先ほど言いました、たった2年で40名が上秋津、あの事業で雇用が拡大したわけですね。それは、1つは地域に地域活力を生み出して事業を興せば必ずそれに附帯して雇用が生み出していけるんだという、そういう3つの要素を踏まえた総合プロジェクトであってほしいということで、一例ですけど、そういう自然の山菜や、それから枝木や、そしてそういったそこで生み出したものを加工すれば必ず。サカキを例にとりますと、1家族、夫婦、親子で3人で30万から40万稼げるように今なってますよ、もう。だから、簡単に言えば、ただ今までの梅やミカンや果樹、和歌山県一と言いながらでも、それに付随して地場に存在するいろんな自然のものを使って加工して、そして生産して販売すれば、それなりの新たな付加価値としての収入が与えられてくるということも考えながら、ぜひ取り組んでいただけたらと思います。
 以上で終わります。
○議長(大沢広太郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で原日出夫君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時29分散会

このページの先頭へ