平成21年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(坂本 登議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後1時0分再開
○議長(大沢広太郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 日程第2、議案第1号から議案第16号まで、議案第32号から議案第44号まで、議案第46号、議案第47号、議案第49号から議案第52号まで、議案第55号から議案第57号まで、議案第59号から議案第61号まで、議案第64号から議案第79号まで及び議案第81号から議案第99号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第3、一般質問を行います。
 30番坂本 登君。
  〔坂本 登君、登壇〕(拍手)
○坂本 登君 議長のお許しをいただきましたので、自由民主党県議団を代表して平成21年度当初予算の編成に関する考え方並びに今後の行財政運営について知事の考え方を伺い、以下、教育問題、河川整備について当局の考え方をただすものであります。
 まず初めに、平成21年度当初予算の編成に際しての知事の基本的な考え方についてであります。
 御承知のように、我が国の経済は昨年の後半から急速に悪くなってきています。アメリカの住宅ローン焦げつきが直接の原因であり、そのリスクを世界じゅうにばらまいてきた金融システムの破綻がこの影響を世界じゅうに広げてしまいました。当初、余り影響が少ないのかなあと思っていた日本の経済も大変な影響を受け、今や100年に一度の大不況あるいは戦後最大の経済危機とさえ言われています。いろいろな報道や資料を見ていても、不況はこれからもっともっと悪くなってくるのではないかとの心配もますます大きくなってきています。
 日本の経済を支えてきた自動車や家電などの分野は、消費の落ち込みと円高の影響で軒並み赤字決算を余儀なくされ、影響は広がるばかりです。政府にあっては、第2次補正予算や21年度予算の成立をてこに、何とかこの不況を抜け出すのだとの意気込みが感じられますが、今の政治状況では国民の不安やいらいらが募るばかりであります。一日も早い国会の正常化、予算の成立ができますよう、良識ある国会審議を望むばかりであります。
 和歌山県の状況も心配です。基幹産業の鉄鋼は典型的な輸出型産業であり、既に他の鉄鋼メーカーでは規模の縮小も始めていると聞いております。企業活動の停滞、雇用不安や税収の落ち込みといったさまざまな厳しい状況が今後さらに深刻になってくるものと思いますが、何といっても県民生活にとって大事なことは、この影響が雇用の不安に結びついてくることです。
 ありがたいことに仁坂知事は、この面では最も得意とする経済産業省の御出身であります。これまでの知識、経験あるいは豊富な人脈等を十分に発揮されて、この難局を乗り切ってほしいものであります。たしか、知事の公約は「元気な和歌山を創る」ということだったと思います。県民は、今こそ元気な和歌山を求めております。こうした地域経済や雇用情勢を踏まえ、知事は21年度の予算編成に際し、どういう考え方で取り組まれたのか。何を、どの分野を重点に置いて予算編成をされたのか。県民の方々は大きな期待を持って、知事の言葉を待っています。わかりやすく丁寧に説明をしていただきたい。
 以上、21年度予算に関する質問でございましたが、一方で、余りむちゃな超積極予算の執行で本県の財政が破綻しては元も子もありません。当面は積極的な予算を組みながらも、長期的には健全な財政運営を求められるところであります。
 知事は、昨年3月、行財政改革推進プランを策定し、財政の健全化にも取り組まれていますが、昨年3月と現時点での県の行政、財政を取り巻く環境は激変しています。100年に一度と言われるこの大ピンチを乗り切るためには、大阪府とまではいかないまでも、大胆な行政改革や財政運営の見直しも必要であろうと思いますが、本県はどう取り組まれようとしているのか、考え方を伺うものであります。
 次に、人材育成という観点からの質問をしてみたいと思います。
 2月13日のテレビのある番組は、マネーゲームを演出してきたアメリカがこの大不況を乗り切り、再び世界の経済をリードしていくためには、もはやこれまでのような産業・技術等では難しいと言っていました。これからは、産業、技術、いわゆる物づくりで生きてきた我が国の役割は非常に大きくなることはだれしも認めるところであります。資源のない我が国は、すべて輸出入で生きなければならない国であります。そのためには、新しい製品の発明や技術を持ち、どの国よりも優秀な人材を育成することが何よりも大事であります。
 昨年、ノーベル賞を4人の日本人がもらい、日本人の優秀なことは全世界に実証されました。しかし、この人たちも戦前・戦中に生まれ、ハングリー精神を持ち、教育を受けてきた人ばかりであります。
 ことしの正月に、NHKテレビで、有識者の「世界はどこへ そして日本は」の討論会を見ました。この中に、本県出身の慶応義塾大学の竹中平蔵氏も入っていましたが、私が気にかかったのは、この討論会の中で映し出された若者たちの姿であります。現代の若者たちは、旅行をして、温泉につかる者が非常に多くなってきている姿であります。若者たちにエネルギッシュな姿はどこにもなく、老人のごとく温泉を楽しむ姿であります。
 確かに、今我が国は、外貨保有高では世界トップクラスかもしれません。しかし、このような若者がどんどんふえてきたとき、これからの日本はどうなるのか。世界の若者が何を考え、世界はどんな方向に進もうとしているのかといったことに無関心な若者がふえてきています。この現実をどう見ていくのか。こんな状況の中で、果たして日本はこれからも世界の先進国として生きていけるのかと心配する声もあります。この声には私も同感でした。確かに、若いときはよく遊びました。しかし、仕事に関しては、私たちなりに目標を持ち、努力をしてきたと思います。
 資源のない我が国は、これからどうしていくのか。その資源のない我が国の中で、さらに平野に乏しい、交通の便の悪い、しかも過疎化する我が和歌山県は、これからの不況をどう乗り越え、活力ある和歌山県にしていくのかが最大の課題であります。道路網を整備し、企業を誘致し、そこに働く優秀な人材を育成すること、さらに自然に優しい環境づくりをした観光立県、災害に強いふるさとづくりをすることが何よりも大事であり、急務であると確信する次第であります。
 去る1月4日の「産経新聞」の一面に、「大阪府教委 全小中校に授業評価制 学力向上5カ年計画全容」の見出しで、全国学力テストの2年連続下位になったことを踏まえ、21年度の学力向上の充実施策の実施を発表していました。あの大阪でさえ、子供の学力の低下を重く受けとめ、知事初め教育委員会が真剣に受けとめ、5カ年計画を立て、取り組みを始めました。
 和歌山県の学力テスト、例えば中学校国語では、大阪の1つ上の44位です。人口減少の激しい、しかも企業の少ない本県。この和歌山県の子供の学力低下を克服するための施策は考えられないのか。加えて、体力テストでも全国で中学校では男子で46位、駅伝で46位。まさに文武の両道にわたり全国最下位という嘆かわしい現状にあります。
 一方、本県と同じような秋田県など東北地方の学校の学力は、全国上位5番以内にあり、全国体力テストも比例し、上位に位置しています。この現実を見て、和歌山県の今までの教育行政に何かが欠けてきたのではないかと思われるが、どうでしょうか。この秋田県などに何かを学ぼうとしないのか。これで6年後の国体を迎えられるのか。文教委員をしている私にも焦りが出てきています。
 子供の学力は、単にペーパーテストだけではないことも知っています。しかし、これからの先進国家日本で生きていく子供たちに学力が必要なことは言うまでもありません。同じくらい、体力やスポーツの競技力をつけることも大事です。6年後の国体開催をにらんだとき、スポーツ競技力をあと5年ぐらいでつけられるのか、甚だ疑問であります。
 県教委が進めている県立中学校は、それなりの実績を出しているのでしょうか。聞くところによると、この中学生は、勉強はもちろん、スポーツのよくできる生徒もいるが、それなりのクラブ活動でとまり、スポーツ大会のよい成績につながっていないのではないかとの話をよく耳にします。県立中学校をつくったことによって市町村立中学校はどんなに荒れているのか。また、スポーツにおいても十分な活動ができない状況にあると言っていますが、この県立中学校の生徒の成績の向上やスポーツ活動の実態を把握しているのですか。
 私は、小中一貫校をつくるべきだと考えていますが、このような取り組みをしている横浜市や品川区などでは、小学校の高学年から中学生とともにクラブ活動などをし、効果を上げていることがテレビなどでも紹介されました。このことについて、県教委はどのように考えておられますか。
 次に、指導者、すなわち先生の指導力を向上させるためにどのような方策を立てているのかについてです。
 先生は、国語や算数を教えるだけでよいのか。体育、とりわけクラブ活動や生徒指導などに熱心な先生は各学校にどれだけ、どのように配置されているのか心配になります。
 過日、知事は、職員採用に当たって一芸に秀でた人も採りたいと、その考え方を公表しましたが、教育の場にあっても、スポーツや芸術等を通して、強く、たくましく、情操豊かな子供を育てるためには、一芸に秀でた教員が大事と思いますが、そのような考えはないのですか。一次試験のペーパーテストだけではこのような人材の確保は難しいと思いますが、教育長はどのように考えていますか。
 そこで、次の5点について、本県の子供の学力低下の克服と体力の向上の方策、県立中学校設置後の学力やスポーツの競技力についての実態の把握と今後の施策、小中一貫校の設置についての考え方、国体に向けての競技力の向上策について、一芸に秀でた教員確保について、教育長に伺います。
 次に、環境の視点と河床しゅんせつ工事など、河川整備について伺います。
 古くから「水を制する者はその国を制する」とまで言われ、特に急峻な河川の多い我が国は、治水・利水に大きな重心を置いてきたことは承知のとおりであり、主たる目的は食糧確保、交通の利便性、災害の防止等をねらったものでもあります。21世紀の社会においても、世界各国はそれぞれの国の長所を生かし、それらを輸出し、また輸入することによって、お互いに繁栄の道をたどってきたわけであります。もちろん、国土の狭い我が国は、工業立国、技術立国としてその製品を輸出し、農産物等を輸入に頼ってきていることは御承知のとおりであります。しかし、昨年から始まった未曾有の経済不況により、輸出産業は大打撃を受け、大企業は一部生産をストップし、中小企業は不況のどん底にあえいでいます。
 一方、我が国の食料自給率は40%程度にとどまり、60%は依然として輸入に頼らざるを得なくなっております。それは単に耕地面積が少ないというだけではなく、我が国の減反制度の実施などにもよるものであります。
 今の農水大臣は、この制度を見直すとも言っています。我が国は、農業生産においても豊富な水を利用し、まだまだ食糧等の確保のための農業生産は可能であります。
 また、工業製品の輸出だけでなく、環境とエネルギー面においても、森林や水の確保によってこの不況を乗り切る方途もあると考えられます。世界的な大不況の中で再生への兆しがあるとすれば、それは環境とエネルギーにあると言ってもいます。とりわけ我が国、我が県は、これなどの資源を活用し、これから生きていく方策を考えていかなければならないと考えるものであります。
 私たちが日々営みの中で、川と接することのない日が一日でもあるでしょうか。そして、この川の恵みをどんなに受けていることか。水の流れの絶えることのないこの母なる川は、それは私たちの生命線でもあります。しかし、この母なる川も、日ごろ私たちは手入れをし補修をしていないと時には怖い川と変わることは、だれしも知っているところであります。
 また、母なる川は、今、アシが茂り、汚い水が流れる溝だ、そんな悲しい姿に変わっています。ある大学の先生は、災害の観点から、和歌山県は海岸整備は進んだが、河川は危機的状態にあると、はっきり言っています。確かに、テレビで紹介されている大きな河川は整備され、水もきれいです。しかし、地方の中小河川などを見るとき、これで台風が来たり、地球温暖化現象からだろうか異常気象の中で集中豪雨が来たとき、どんなに大きな災害になることかと心配するのは私だけでしょうか。乾季には、生活排水や産業排水など自然浄化をなされないままの影響で、極端に汚水がたまり、悪臭がし、ますます不衛生な様相を呈しています。
 また、森林伐採や大雨による土砂の流入で河川底が大きく堆積しています。これで夏になり台風・豪雨等が来たとき、道路の高さまで伸びた草やアシなどは堰となり、水の流域面積を狭くし、はんらんさせ、大きな水害をもたらすことは十分予想されます。幸いにして、最近数年間、和歌山県では大きな台風等は来ていませんが、私たちは、あの昭和28年の大水害など決して忘れてはなりません。1級河川、2級河川の整備は進んではいますが、水害は必ずしもこれらの河川から起こるものではありません。私たちの住む南部川においても、その整備が忘れられ、もはや川底が道路より高くなり、天井川になり、さらに草木が生え茂り、それが堤防を越している状態であります。このような状態で放置しておくと、暴風雨等が来たら、もう遅いのです。
 20年4月1日施行の和歌山県景観条例の前文に、「和歌山県の景観は、緑なす紀伊山地の山々、変化に富んだ海岸地形、河川の流域ごとの文化圏」と書き、さらに「朝陽や夕陽に映える海岸部、そして河川の流域ごとの地域文化を反映した集落や市街地などその美しい景観が保たれている」と書かれています。さらに県の長期総合計画の河川に関する内容を見たとき、「本県は、美しい海岸や自然豊かな河川など恵まれた水辺環境を有しており」と述べられていますが、この県の景観条例等に書かれている河川の流域ごとの地域反映は、集落や市街地、すなわち河口付近に位置する市街地や集落は、今一番危険な状態にあるのではないのですか。
 私は洪水だけを言いましたが、近い将来起こるであろう東南海・南海地震による津波が押し寄せてきたとき、1級河川や2級河川は津波ののみ込み口はまだ大きいが、中小河川に押し寄せる津波の高さは大きな河川の数倍の高さになることは、テレビ等でも言われています。この中小河川の河口付近は、何の補修も整備もなされていないのが現状であります。町々に毛細血管のように隅々まで流れている中小河川の現状をもっと認識し、真剣に考えるべきであります。
 知事は、「県民の友」で「目と耳を大きくして実情をつかみ、それに応じた対策を考えて、スピーディーに実行することです」と書いています。県行政は、陳情や議会での質問があれば動くというのではなく、今後、十分予想される集中豪雨や東南海・南海地震等の被害を考えたとき、あらゆる側面から災害の危険性を予想し、チェックし、総点検をして、必要な箇所にそれなりの施策を事前に積極的に打っていくことが大事であり、その姿勢が県に求められると考えますが、いかがでしょうか。
 そこで、県土整備部長に伺います。
 河川整備計画は、環境行政の視点において時代の先取りであり、また近い将来起こるであろう東南海・南海地震にも備えた災害に強い和歌山県づくりにも必要不可欠な施策であり、あわせて観光行政の立場からも必要と考えます。また、これらの施策をスムーズに行うため、市町村や河川愛護団体、すなわち地域住民の奉仕活動団体との連携を深めるなど、環境保全アドバイザー制度の活用を図っていただきたい。さらに、地域や生活者に優しい河川づくりを目指した河川管理及び整備計画の作成が必要と考えますが、それについての考え方を県土整備部長にお伺いいたします。
 次に、河床のしゅんせつ工事等の維持管理予算について、具体的にお伺いします。
 県下の中小河川流域に生活する人々は、各地において年2回程度、河川愛護会が中心となって、夏、冬に川を守るための奉仕活動を行っています。私の地元でも、過日、草刈り奉仕作業が実施されました。
 参加者からは、「作業は大変だ。県は一向に河川のしゅんせつに取り組んでくれない」といった声や、「県は、少額の奨励金のままで運営できると思っているんだろうか」、「町内会の会計から持ち出しだ。これでは税金の二重取りだ」、「草刈り機の油代も自己負担、ジュース代や傷害保険だけでもマイナスだから、保険に入らないでおこう」といった会話がなされています。
 ちなみに、旧上南部川流域だけでも1日で1000人程度の人々の動員がなされています。この人たちへのジュース代や油代、さらには泥上げのための機械の借り賃などで、どれだけの費用がかかると思われますか。この愛護会への奨励算出基準では、作業面積1平方メートル当たり3円の実績割であります。地域住民が高齢化する中で、けがなどをしたとき、どのようになりますか。川を守り維持していくための予算が本当に少ないし、昭和63年の切目川のはんらんと同じような災害が起こったとしたら、その被害総額は、家屋への浸水、田畑の冠水、当時の金額で30億円です。日ごろの維持管理費を削ることで、何十億というツケが回ってくることになります。私は、常日ごろからこうした費用を十分に措置することにより災害に強い地域づくりを目指したほうが、より予算の効率的な使い方になると思っています。
 そこで、県土整備部長に、中小河川の維持管理に必要な予算措置についてどう取り組まれているのか、また河川愛護会活動支援について今後どのように取り組まれるのか、お伺いします。
 以上で、質問を終わります。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの坂本登君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、平成21年度当初予算の基本的な考え方についてでございます。
 和歌山県では、昨年策定いたしました新長期総合計画に基づきまして、元気な和歌山の実現のために毎年毎年新政策を考えて、これを実行していくという運びになってございます。と同時に、議員御指摘のとおり、世界的な金融・経済危機が深刻さを増す中、県内企業の業績悪化や雇用情勢の低迷など、本県の経済情勢も一層厳しくなるものと認識しております。こうした社会経済情勢を踏まえ、平成21年度当初予算では、次の3つの柱に重点を置いて予算編成を行わしていただきました。
 まずは、現下の経済状況に即応した緊急対策でございます。
 中小企業への制度融資を充実させるとともに、必要とされる公共投資の総量を十分確保し、投資的経費を大幅に増額し、前倒し執行による切れ目のない政策の実行によって県内経済の下支えに努めたところであります。
 また、雇用対策として、雇用のミスマッチ解消に資する「和歌山で働きませんか!」等の3つのプロジェクトを一層推進するとともに、ふるさと雇用再生特別交付金等による基金を活用し、幅広い分野での就業機会の創出に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、不況期にあっても将来へつながる底力を蓄える施策をしないといかんと思います。世界同時不況というあらしの中にあっても、次の時代に備えてまくべき種はまいておかなければいけないということで、わがまち元気プロジェクトの推進や新リーディング産業の創出、成長を支える人づくりなど、次の飛躍へ向けた施策を重点的に実施したいと考えております。
 3つ目は、県民生活に対する不安感を払拭するための安全・安心施策であります。
 高齢者が安心して暮らせるための取り組みや、災害時に孤立する可能性のある集落の通信手段の確保といった防災対策などにも積極的に取り組みます。
 現在の経済・雇用情勢を考えますと、当面の景気対策を第一とすることはもちろんでありますけれども、将来への布石となる新政策を積極果敢に展開することにより、長期総合計画が目指す将来像の実現に向けて一歩一歩着実に前進してまいりたいと考えております。
 次に、行財政改革の推進と今後の財政運営についてでございます。
 県財政は、昨年3月に策定いたしました新行財政改革推進プランでもお示ししたように、毎年、財源対策のための基金を取り崩して収支不足を補てんしなければならない、そういう厳しい状況にあります。加えて、景気悪化による県税収入の大幅な減少が見込まれまして、県財政が破綻しないよう県政のかじ取りを行うことが私の使命であると考えております。
 しかしながら、このような行政改革と一言で申しますけれども、現在、県が実施している事業の中で、明らかにこれは無駄だとか、そういうものは、私の見解でありますが、ほとんどなくて、本当に大事なものから優先順位をつけて、これを守りながら全体を見直さざるを得ないというのが現状であると考えております。
 平成21年度当初予算編成では、県議会の御意向を最大限尊重することはもちろん、各方面からの意見も踏まえ、片や県庁一丸となって最大限の知恵を絞り、施設、団体、補助金の見直しや人件費の抑制などによって収支不足額をプランの想定の範囲内におさめるということができました。この結果、景気対策や将来像実現に向けての新政策と財政健全化という2つの目標を両立さした予算に仕上がったものと考えております。
 今後は、国で措置された基金や交付金を有効に活用し、一般財源の節減に最大限努めるとともに、県民の皆様、とりわけその代表である県議会の皆様からの御意見に耳を傾けながら、プランにお示ししたように収支不足額を段階的に解消し、24年度には収支均衡を達成できるようにさらに行革努力を重ねていきたいと考えておりますので、御理解のほど、よろしくお願い申し上げたいと考えております。
○議長(大沢広太郎君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 河川整備計画についてでございますが、策定に当たりましては、地域の方々、学識経験者、それから農業利水者や漁業関係者など、河川とかかわりのある多分野の方々に広く御意見をいただいた上で進めていく必要があると考えております。今後とも、議員御指摘のとおり、河川整備計画の策定の際には、各河川ごとに適宜河川環境保全アドバイザーなどの方々に助言をいただいてまいりたいと思います。
 次に、河床のしゅんせつ工事等の維持管理予算につきましては、近年、財政状況が厳しい中、しゅんせつや護岸の修繕等の維持管理予算についても減額せざるを得ない状況でございます。
 平成21年度の維持修繕の当初予算案は、約6億4000万円で対前年度比で0.97となってございますが、今回の2月補正予算では、景気対策として、地域活性化・生活対策臨時交付金のうち、しゅんせつ、樹木の伐採等の費用として約2億円を追加計上いたしました。平成21年度の維持修繕の当初予算と今回のこの補正予算を合わせますと、平成20年度当初予算の約1.3倍の予算となります。
 なお、今回、補正予算約2億円で、南部川など40の河川でしゅんせつ、樹木の伐採、草刈り等を実施する予定としてございます。今後とも、上下流の流下能力のバランスや河川環境などに配慮しながら、洪水が安全に流下できるようにしゅんせつ等維持管理の推進に努めてまいります。
 次に、河川愛護会の活動についてですが、愛護会の皆様方には、平素より河川の清掃、美化活動に御協力を賜り、大変感謝しております。このボランティアとして実施していただいております河川愛護の愛護会の活動につきましては、従来より些少ながら奨励金を交付しているところでございますが、その増額につきましては、財政的にも厳しい状況であり、御理解をいただきたく存じます。
 しかしながら、議員御指摘のように、傷害保険への加入は、安心して愛護会活動をしていただくためには重要なことであり、保険への加入率が100%となりますよう改善を図ってまいりたいと思います。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 教育関係、まず子供の学力低下克服と体力向上の方策についてお答えいたします。
 全国学力・学習状況調査等から明らかになりました実態を踏まえまして、各学校において、課題の克服に向け、授業改善等の取り組みを進めてございます。
 県といたしましても、本年度、庁内に設置いたしました学力向上戦略会議におきまして、教員の実践的指導力の向上や学習・生活習慣の確立等の幅広い観点に立った検討を進めており、今後、具体的なアクションプランをまとめ、市町村教育委員会との連携のもと、各学校に対する指導を充実してまいります。
 また、人間のあらゆる活動の源になる体力を子供の時期からしっかりと身につけさせることは、子供の将来にとって大変重要であると考えます。来年度新たに実施いたします子供の体力向上支援事業におきまして、全国体力調査の結果を踏まえて子供の体力向上支援プログラムを策定し、体育の授業の改善・充実を初め総合的に体力向上に努めてまいります。
 次に、県立中学校設置後の学力やスポーツの競技力に関してお答えいたします。
 県立中学校の生徒の学力につきましては、全国学力・学習状況調査の結果等から、いずれの教科につきましても良好な状況にあると判断しております。
 また、部活動につきましては、施設等の制約もあり生徒の希望に十分こたえられない点もございますが、高校生と一緒に練習できるという利点も生かし、顧問の熱心な指導のもとに、県の総合体育大会において好成績を上げているクラブもございます。今後とも、県立中学校の長所を生かし、学力、体力の両面で生徒の力を十分に伸ばせるよう、教育活動の充実に努めてまいりたいと存じます。
 小中一貫教育につきましては、平成17年度からモデル校事業を実施いたしまして研究を進めてまいりました。この研究を通して、9年間を見通したカリキュラムの作成や指導方法の工夫改善等に取り組んだことで、きめ細かな指導や教科の専門性を生かした指導が可能となり、学力や体力の向上に効果を上げてきてございます。
 県といたしましては、小中一貫教育を独自に実施する市町村もあることから、これらの成果を普及し、適切な支援をしてまいりたいと考えます。
 次に、国体に向けた競技力の向上策についてでありますが、平成20年3月に和歌山県競技力向上対策本部を設置し、競技団体の組織基盤の拡充・強化、専門性の高い指導者の養成・確保、競技者の発掘・育成・強化、並びに競技者及び指導者へのスポーツ医・科学・情報面からの支援など、総合的な対策事業を実施することとしております。
 また、ジュニア競技者の発掘・育成につきましては、ゴールデンキッズ発掘プロジェクトを推進するとともに、中学校期のスポーツ環境を向上させるきのくにジュニアスポーツ推進事業ですとか、きのくにエクセレントコーチ制度などを活用し、競技力の向上に取り組んでいるところでございます。
 さらに、県内各企業などの御協力を得ながら、企業のクラブチームの設立や地域に密着したトップレベルスポーツクラブの活性化を促進し、今後、県内外からの優秀な指導者及びトップレベル競技者の確保に努めることとしております。
 今後とも、育成・強化の主体となる各競技団体を初め、県や県体育協会、市町村、県内企業等が一丸となって和歌山国体における男女総合優勝を目指し、計画的な競技力向上施策を展開してまいります。
 最後に、一芸に秀でた教員の確保についてでございますが、議員御指摘のとおり、教員の採用につきましては、人物重視の観点から、従来、スポーツや音楽、英語でのすぐれた実績や資格等を持つ者に対しまして、筆答検査の一部を免除する制度や、教員免許状を有しない者を対象とした特別選考制度を設けるなど、選考検査の工夫改善に努めてまいりました。
 今後、これらの制度の趣旨を生かしながら、特技や専門性をより重視した選考について検討してまいります。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 以上で、坂本登君の質問が終了いたしました。

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