平成21年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

平成21年2月
和歌山県議会定例会会議録
第3号
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議事日程 第3号
 平成21年3月5日(木曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第17号から議案第31号まで、議案第45号、議案第48号、議案第53号、議案第54号、議案第58号、議案第62号、議案第63号及び議案第80号(委員長報告・同質疑・討論・表決)
 第2 議案第1号から議案第16号まで、議案第32号から議案第44号まで、議案第46号、議案第47号、議案第49号から議案第52号まで、議案第55号から議案第57号まで、議案第59号から議案第61号まで、議案第64号から議案第79号まで及び議案第81号から議案第99号まで(質疑)
 第3 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第17号から議案第31号まで、議案第45号、議案第48号、議案第53号、議案第54号、議案第58号、議案第62号、議案第63号及び議案第80号(委員長報告・同質疑・討論・表決)
 第2 議案第1号から議案第16号まで、議案第32号から議案第44号まで、議案第46号、議案第47号、議案第49号から議案第52号まで、議案第55号から議案第57号まで、議案第59号から議案第61号まで、議案第64号から議案第79号まで及び議案第81号から議案第99号まで(質疑)
 第3 一般質問
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出席議員(46人)
 1番 泉 正徳
 2番 山本茂博
 3番 前芝雅嗣
 4番 浅井修一郎
 5番 吉井和視
 6番 向井嘉久藏
 7番 門 三佐博
 8番 町田 亘
 9番 服部 一
 10番 平木哲朗
 11番 花田健吉
 12番 須川倍行
 13番 大沢広太郎
 14番 谷 洋一
 15番 平越孝哉
 16番 下川俊樹
 17番 岸本 健
 18番 川口文章
 19番 尾崎太郎
 20番 藤山将材
 21番 新島 雄
 22番 山下直也
 23番 井出益弘
 24番 宇治田栄蔵
 25番 多田純一
 26番 中 拓哉
 27番 角田秀樹
 28番 江上柳助
 29番 山田正彦
 30番 坂本 登
 31番 尾崎要二
 32番 中村裕一
 33番 片桐章浩
 34番 原 日出夫
 35番 藤本眞利子
 36番 長坂隆司
 37番 玉置公良
 38番 小川 武
 39番 冨安民浩
 40番 奥村規子
 41番 山下大輔
 42番 松坂英樹
 43番 藤井健太郎
 44番 雑賀光夫
 45番 野見山 海
 46番 松本貞次
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        原 邦彰
 知事室長       曽根義廣
 危機管理監      森 崇
 総務部長       小濱孝夫
 企画部長       前硲健作
 環境生活部長     井口悦治
 福祉保健部長     井畑文男
 商工観光労働部長   永井慶一
 農林水産部長     下林茂文
 県土整備部長     茅野牧夫
 会計管理者      雑賀忠士
 教育委員会委員長   湯川 力
 教育長        山口裕市
 公安委員会委員長   大岡淳人
 警察本部長      永松健次
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     楠本 隆
 選挙管理委員会委員長 山本恒男
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       蓬臺孝紀
 次長         東岡誠吾
 議事課長       薮上育男
 議事課副課長     土井敏弘
 議事班長       田中健司
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      石垣悦二
 議事課主査      瀧川泰治
 総務課長       笠松 学
 調査課長       佐本 明
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  午前10時0分開議
○議長(大沢広太郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第35号から議案第44号まで、議案第71号、議案第72号及び議案第75号は、いずれも職員に関する条例案でありますので、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を聴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前10時1分休憩
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  午前10時59分再開
○議長(大沢広太郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 日程第1、補正予算等議案、議案第17号から議案第31号まで、議案第45号、議案第48号、議案第53号、議案第54号、議案第58号、議案第62号、議案第63号及び議案第80号を一括して議題とし、順次、常任委員会委員長の報告を求めます。
 福祉環境委員会委員長尾崎太郎君。
  〔尾崎太郎君、登壇〕(拍手)
○福祉環境委員会委員長(尾崎太郎君) 福祉環境委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案7件であります。
 委員会は、2月26日、第2委員会室において開催し、環境生活部、福祉保健部の順に当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第17号、議案第20号、議案第30号、議案第48号、議案第53号、議案第54号、議案第58号は、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、付託案件に係る各委員の主な質疑項目を申し上げますと、環境生活部関係では消費者行政について、福祉保健部関係では、子育て支援対策臨時特例基金等について、紀州三人っこ施策について、老人後期高齢者医療費支給について、肝炎対策について、こころの医療センターについて、妊婦健診についてただされました。
 以上をもちまして、福祉環境委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) 経済警察委員会委員長浅井修一郎君。
  〔浅井修一郎君、登壇〕(拍手)
○経済警察委員会委員長(浅井修一郎君) 経済警察委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案6件であります。
 委員会は、2月26日、第3委員会室において開催し、商工観光労働部・労働委員会、公安委員会の順に当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第17号、議案第19号、議案第23号、議案第31号、議案第62号及び議案第63号は、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、所管に係る各委員の主な質疑項目を申し上げますと、商工観光労働部・労働委員会関係で、ふるさと雇用再生特別基金事業について、緊急雇用創出事業臨時特例基金事業について、労働委員会の委員報酬についてただされました。
 以上をもちまして、経済警察委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) 農林水産委員会委員長泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕(拍手)
○農林水産委員会委員長(泉 正徳君) 農林水産委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託された案件は、議案付託表に記載のとおり、議案3件であります。
 委員会は、2月26日、第4委員会室において開催し、農林水産部から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第80号は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決し、議案第17号及び議案第18号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、付託案件に係る委員の質疑項目を申し上げますと、ふるさと定住センターの運営について、県営工事における市町村負担金についてただされました。
 以上をもちまして、農林水産委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願いいたします。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) 建設委員会委員長山本茂博君。
  〔山本茂博君、登壇〕(拍手)
○建設委員会委員長(山本茂博君) 建設委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案5件であります。
 委員会は、2月26日、第5委員会室において開催し、県土整備部から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました。
 議案第80号は賛成多数をもって、そして議案第17号、議案第24号、議案第25号及び議案第28号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、付託案件に係る各委員の質疑項目を申し上げますと、補正予算による経済対策の内容と効果及び県内業者への発注割合について、地域活性化生活対策臨時交付金事業について、繰越明許費の内訳について、地域住宅モデル普及推進事業についてただされました。
 以上をもちまして、建設委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願いいたします。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) 文教委員会委員長多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕(拍手)
○文教委員会委員長(多田純一君) 文教委員会における審査の経過並びに結果について、御報告を申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案2件であります。
 委員会は、2月26日、第6委員会室において開催し、当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第17号及び議案第21号は、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上をもちまして、文教委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) 総務委員会委員長前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕(拍手)
○総務委員会委員長(前芝雅嗣君) 総務委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案7件であります。
 委員会は、2月26日、第1委員会室において開催し、出納局、人事委員会事務局、監査委員事務局、選挙管理委員会、県議会事務局、知事室、企画部、総務部の順に当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第17号、議案第22号、議案第26号から議案第29号まで及び議案第45号は、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、付託案件に係る各委員の質疑項目を申し上げますと、出納局関係では、不適正経理に係る国庫補助事業事務費の返還について、総務部関係では、アルバイト職員の削減と県の雇用対策について、不適正経理に係る職員の処分についてただされました。
 以上をもちまして、総務委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) 以上で、常任委員会委員長の報告が終わりました。
 これより委員長の報告に対する質疑に入ります。
 質疑はありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 質疑なしと認めます。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております案件については、討論の通告がありませんので、これより直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 これより採決に入ります。
 まず、議案第23号及び議案第80号を一括して採決いたします。
 本案に対する委員長の報告は、いずれも原案可決であります。
 本案をいずれも委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君は、御起立願います。
  〔賛成者起立〕
○議長(大沢広太郎君) 起立多数であります。よって、本案はいずれも原案のとおり可決されました。
 次に、議案第17号から議案第22号まで、議案第24号から議案第31号まで、議案第45号、議案第48号、議案第53号、議案第54号、議案第58号、議案第62号及び議案第63号を一括して採決いたします。
 本案に対する委員長の報告は、いずれも原案可決であります。
 本案をいずれも委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君は、御起立願います。
  〔賛成者起立〕
○議長(大沢広太郎君) 起立全員であります。よって、本案はいずれも原案のとおり可決されました。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時11分休憩
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  午後1時0分再開
○議長(大沢広太郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 日程第2、議案第1号から議案第16号まで、議案第32号から議案第44号まで、議案第46号、議案第47号、議案第49号から議案第52号まで、議案第55号から議案第57号まで、議案第59号から議案第61号まで、議案第64号から議案第79号まで及び議案第81号から議案第99号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第3、一般質問を行います。
 30番坂本 登君。
  〔坂本 登君、登壇〕(拍手)
○坂本 登君 議長のお許しをいただきましたので、自由民主党県議団を代表して平成21年度当初予算の編成に関する考え方並びに今後の行財政運営について知事の考え方を伺い、以下、教育問題、河川整備について当局の考え方をただすものであります。
 まず初めに、平成21年度当初予算の編成に際しての知事の基本的な考え方についてであります。
 御承知のように、我が国の経済は昨年の後半から急速に悪くなってきています。アメリカの住宅ローン焦げつきが直接の原因であり、そのリスクを世界じゅうにばらまいてきた金融システムの破綻がこの影響を世界じゅうに広げてしまいました。当初、余り影響が少ないのかなあと思っていた日本の経済も大変な影響を受け、今や100年に一度の大不況あるいは戦後最大の経済危機とさえ言われています。いろいろな報道や資料を見ていても、不況はこれからもっともっと悪くなってくるのではないかとの心配もますます大きくなってきています。
 日本の経済を支えてきた自動車や家電などの分野は、消費の落ち込みと円高の影響で軒並み赤字決算を余儀なくされ、影響は広がるばかりです。政府にあっては、第2次補正予算や21年度予算の成立をてこに、何とかこの不況を抜け出すのだとの意気込みが感じられますが、今の政治状況では国民の不安やいらいらが募るばかりであります。一日も早い国会の正常化、予算の成立ができますよう、良識ある国会審議を望むばかりであります。
 和歌山県の状況も心配です。基幹産業の鉄鋼は典型的な輸出型産業であり、既に他の鉄鋼メーカーでは規模の縮小も始めていると聞いております。企業活動の停滞、雇用不安や税収の落ち込みといったさまざまな厳しい状況が今後さらに深刻になってくるものと思いますが、何といっても県民生活にとって大事なことは、この影響が雇用の不安に結びついてくることです。
 ありがたいことに仁坂知事は、この面では最も得意とする経済産業省の御出身であります。これまでの知識、経験あるいは豊富な人脈等を十分に発揮されて、この難局を乗り切ってほしいものであります。たしか、知事の公約は「元気な和歌山を創る」ということだったと思います。県民は、今こそ元気な和歌山を求めております。こうした地域経済や雇用情勢を踏まえ、知事は21年度の予算編成に際し、どういう考え方で取り組まれたのか。何を、どの分野を重点に置いて予算編成をされたのか。県民の方々は大きな期待を持って、知事の言葉を待っています。わかりやすく丁寧に説明をしていただきたい。
 以上、21年度予算に関する質問でございましたが、一方で、余りむちゃな超積極予算の執行で本県の財政が破綻しては元も子もありません。当面は積極的な予算を組みながらも、長期的には健全な財政運営を求められるところであります。
 知事は、昨年3月、行財政改革推進プランを策定し、財政の健全化にも取り組まれていますが、昨年3月と現時点での県の行政、財政を取り巻く環境は激変しています。100年に一度と言われるこの大ピンチを乗り切るためには、大阪府とまではいかないまでも、大胆な行政改革や財政運営の見直しも必要であろうと思いますが、本県はどう取り組まれようとしているのか、考え方を伺うものであります。
 次に、人材育成という観点からの質問をしてみたいと思います。
 2月13日のテレビのある番組は、マネーゲームを演出してきたアメリカがこの大不況を乗り切り、再び世界の経済をリードしていくためには、もはやこれまでのような産業・技術等では難しいと言っていました。これからは、産業、技術、いわゆる物づくりで生きてきた我が国の役割は非常に大きくなることはだれしも認めるところであります。資源のない我が国は、すべて輸出入で生きなければならない国であります。そのためには、新しい製品の発明や技術を持ち、どの国よりも優秀な人材を育成することが何よりも大事であります。
 昨年、ノーベル賞を4人の日本人がもらい、日本人の優秀なことは全世界に実証されました。しかし、この人たちも戦前・戦中に生まれ、ハングリー精神を持ち、教育を受けてきた人ばかりであります。
 ことしの正月に、NHKテレビで、有識者の「世界はどこへ そして日本は」の討論会を見ました。この中に、本県出身の慶応義塾大学の竹中平蔵氏も入っていましたが、私が気にかかったのは、この討論会の中で映し出された若者たちの姿であります。現代の若者たちは、旅行をして、温泉につかる者が非常に多くなってきている姿であります。若者たちにエネルギッシュな姿はどこにもなく、老人のごとく温泉を楽しむ姿であります。
 確かに、今我が国は、外貨保有高では世界トップクラスかもしれません。しかし、このような若者がどんどんふえてきたとき、これからの日本はどうなるのか。世界の若者が何を考え、世界はどんな方向に進もうとしているのかといったことに無関心な若者がふえてきています。この現実をどう見ていくのか。こんな状況の中で、果たして日本はこれからも世界の先進国として生きていけるのかと心配する声もあります。この声には私も同感でした。確かに、若いときはよく遊びました。しかし、仕事に関しては、私たちなりに目標を持ち、努力をしてきたと思います。
 資源のない我が国は、これからどうしていくのか。その資源のない我が国の中で、さらに平野に乏しい、交通の便の悪い、しかも過疎化する我が和歌山県は、これからの不況をどう乗り越え、活力ある和歌山県にしていくのかが最大の課題であります。道路網を整備し、企業を誘致し、そこに働く優秀な人材を育成すること、さらに自然に優しい環境づくりをした観光立県、災害に強いふるさとづくりをすることが何よりも大事であり、急務であると確信する次第であります。
 去る1月4日の「産経新聞」の一面に、「大阪府教委 全小中校に授業評価制 学力向上5カ年計画全容」の見出しで、全国学力テストの2年連続下位になったことを踏まえ、21年度の学力向上の充実施策の実施を発表していました。あの大阪でさえ、子供の学力の低下を重く受けとめ、知事初め教育委員会が真剣に受けとめ、5カ年計画を立て、取り組みを始めました。
 和歌山県の学力テスト、例えば中学校国語では、大阪の1つ上の44位です。人口減少の激しい、しかも企業の少ない本県。この和歌山県の子供の学力低下を克服するための施策は考えられないのか。加えて、体力テストでも全国で中学校では男子で46位、駅伝で46位。まさに文武の両道にわたり全国最下位という嘆かわしい現状にあります。
 一方、本県と同じような秋田県など東北地方の学校の学力は、全国上位5番以内にあり、全国体力テストも比例し、上位に位置しています。この現実を見て、和歌山県の今までの教育行政に何かが欠けてきたのではないかと思われるが、どうでしょうか。この秋田県などに何かを学ぼうとしないのか。これで6年後の国体を迎えられるのか。文教委員をしている私にも焦りが出てきています。
 子供の学力は、単にペーパーテストだけではないことも知っています。しかし、これからの先進国家日本で生きていく子供たちに学力が必要なことは言うまでもありません。同じくらい、体力やスポーツの競技力をつけることも大事です。6年後の国体開催をにらんだとき、スポーツ競技力をあと5年ぐらいでつけられるのか、甚だ疑問であります。
 県教委が進めている県立中学校は、それなりの実績を出しているのでしょうか。聞くところによると、この中学生は、勉強はもちろん、スポーツのよくできる生徒もいるが、それなりのクラブ活動でとまり、スポーツ大会のよい成績につながっていないのではないかとの話をよく耳にします。県立中学校をつくったことによって市町村立中学校はどんなに荒れているのか。また、スポーツにおいても十分な活動ができない状況にあると言っていますが、この県立中学校の生徒の成績の向上やスポーツ活動の実態を把握しているのですか。
 私は、小中一貫校をつくるべきだと考えていますが、このような取り組みをしている横浜市や品川区などでは、小学校の高学年から中学生とともにクラブ活動などをし、効果を上げていることがテレビなどでも紹介されました。このことについて、県教委はどのように考えておられますか。
 次に、指導者、すなわち先生の指導力を向上させるためにどのような方策を立てているのかについてです。
 先生は、国語や算数を教えるだけでよいのか。体育、とりわけクラブ活動や生徒指導などに熱心な先生は各学校にどれだけ、どのように配置されているのか心配になります。
 過日、知事は、職員採用に当たって一芸に秀でた人も採りたいと、その考え方を公表しましたが、教育の場にあっても、スポーツや芸術等を通して、強く、たくましく、情操豊かな子供を育てるためには、一芸に秀でた教員が大事と思いますが、そのような考えはないのですか。一次試験のペーパーテストだけではこのような人材の確保は難しいと思いますが、教育長はどのように考えていますか。
 そこで、次の5点について、本県の子供の学力低下の克服と体力の向上の方策、県立中学校設置後の学力やスポーツの競技力についての実態の把握と今後の施策、小中一貫校の設置についての考え方、国体に向けての競技力の向上策について、一芸に秀でた教員確保について、教育長に伺います。
 次に、環境の視点と河床しゅんせつ工事など、河川整備について伺います。
 古くから「水を制する者はその国を制する」とまで言われ、特に急峻な河川の多い我が国は、治水・利水に大きな重心を置いてきたことは承知のとおりであり、主たる目的は食糧確保、交通の利便性、災害の防止等をねらったものでもあります。21世紀の社会においても、世界各国はそれぞれの国の長所を生かし、それらを輸出し、また輸入することによって、お互いに繁栄の道をたどってきたわけであります。もちろん、国土の狭い我が国は、工業立国、技術立国としてその製品を輸出し、農産物等を輸入に頼ってきていることは御承知のとおりであります。しかし、昨年から始まった未曾有の経済不況により、輸出産業は大打撃を受け、大企業は一部生産をストップし、中小企業は不況のどん底にあえいでいます。
 一方、我が国の食料自給率は40%程度にとどまり、60%は依然として輸入に頼らざるを得なくなっております。それは単に耕地面積が少ないというだけではなく、我が国の減反制度の実施などにもよるものであります。
 今の農水大臣は、この制度を見直すとも言っています。我が国は、農業生産においても豊富な水を利用し、まだまだ食糧等の確保のための農業生産は可能であります。
 また、工業製品の輸出だけでなく、環境とエネルギー面においても、森林や水の確保によってこの不況を乗り切る方途もあると考えられます。世界的な大不況の中で再生への兆しがあるとすれば、それは環境とエネルギーにあると言ってもいます。とりわけ我が国、我が県は、これなどの資源を活用し、これから生きていく方策を考えていかなければならないと考えるものであります。
 私たちが日々営みの中で、川と接することのない日が一日でもあるでしょうか。そして、この川の恵みをどんなに受けていることか。水の流れの絶えることのないこの母なる川は、それは私たちの生命線でもあります。しかし、この母なる川も、日ごろ私たちは手入れをし補修をしていないと時には怖い川と変わることは、だれしも知っているところであります。
 また、母なる川は、今、アシが茂り、汚い水が流れる溝だ、そんな悲しい姿に変わっています。ある大学の先生は、災害の観点から、和歌山県は海岸整備は進んだが、河川は危機的状態にあると、はっきり言っています。確かに、テレビで紹介されている大きな河川は整備され、水もきれいです。しかし、地方の中小河川などを見るとき、これで台風が来たり、地球温暖化現象からだろうか異常気象の中で集中豪雨が来たとき、どんなに大きな災害になることかと心配するのは私だけでしょうか。乾季には、生活排水や産業排水など自然浄化をなされないままの影響で、極端に汚水がたまり、悪臭がし、ますます不衛生な様相を呈しています。
 また、森林伐採や大雨による土砂の流入で河川底が大きく堆積しています。これで夏になり台風・豪雨等が来たとき、道路の高さまで伸びた草やアシなどは堰となり、水の流域面積を狭くし、はんらんさせ、大きな水害をもたらすことは十分予想されます。幸いにして、最近数年間、和歌山県では大きな台風等は来ていませんが、私たちは、あの昭和28年の大水害など決して忘れてはなりません。1級河川、2級河川の整備は進んではいますが、水害は必ずしもこれらの河川から起こるものではありません。私たちの住む南部川においても、その整備が忘れられ、もはや川底が道路より高くなり、天井川になり、さらに草木が生え茂り、それが堤防を越している状態であります。このような状態で放置しておくと、暴風雨等が来たら、もう遅いのです。
 20年4月1日施行の和歌山県景観条例の前文に、「和歌山県の景観は、緑なす紀伊山地の山々、変化に富んだ海岸地形、河川の流域ごとの文化圏」と書き、さらに「朝陽や夕陽に映える海岸部、そして河川の流域ごとの地域文化を反映した集落や市街地などその美しい景観が保たれている」と書かれています。さらに県の長期総合計画の河川に関する内容を見たとき、「本県は、美しい海岸や自然豊かな河川など恵まれた水辺環境を有しており」と述べられていますが、この県の景観条例等に書かれている河川の流域ごとの地域反映は、集落や市街地、すなわち河口付近に位置する市街地や集落は、今一番危険な状態にあるのではないのですか。
 私は洪水だけを言いましたが、近い将来起こるであろう東南海・南海地震による津波が押し寄せてきたとき、1級河川や2級河川は津波ののみ込み口はまだ大きいが、中小河川に押し寄せる津波の高さは大きな河川の数倍の高さになることは、テレビ等でも言われています。この中小河川の河口付近は、何の補修も整備もなされていないのが現状であります。町々に毛細血管のように隅々まで流れている中小河川の現状をもっと認識し、真剣に考えるべきであります。
 知事は、「県民の友」で「目と耳を大きくして実情をつかみ、それに応じた対策を考えて、スピーディーに実行することです」と書いています。県行政は、陳情や議会での質問があれば動くというのではなく、今後、十分予想される集中豪雨や東南海・南海地震等の被害を考えたとき、あらゆる側面から災害の危険性を予想し、チェックし、総点検をして、必要な箇所にそれなりの施策を事前に積極的に打っていくことが大事であり、その姿勢が県に求められると考えますが、いかがでしょうか。
 そこで、県土整備部長に伺います。
 河川整備計画は、環境行政の視点において時代の先取りであり、また近い将来起こるであろう東南海・南海地震にも備えた災害に強い和歌山県づくりにも必要不可欠な施策であり、あわせて観光行政の立場からも必要と考えます。また、これらの施策をスムーズに行うため、市町村や河川愛護団体、すなわち地域住民の奉仕活動団体との連携を深めるなど、環境保全アドバイザー制度の活用を図っていただきたい。さらに、地域や生活者に優しい河川づくりを目指した河川管理及び整備計画の作成が必要と考えますが、それについての考え方を県土整備部長にお伺いいたします。
 次に、河床のしゅんせつ工事等の維持管理予算について、具体的にお伺いします。
 県下の中小河川流域に生活する人々は、各地において年2回程度、河川愛護会が中心となって、夏、冬に川を守るための奉仕活動を行っています。私の地元でも、過日、草刈り奉仕作業が実施されました。
 参加者からは、「作業は大変だ。県は一向に河川のしゅんせつに取り組んでくれない」といった声や、「県は、少額の奨励金のままで運営できると思っているんだろうか」、「町内会の会計から持ち出しだ。これでは税金の二重取りだ」、「草刈り機の油代も自己負担、ジュース代や傷害保険だけでもマイナスだから、保険に入らないでおこう」といった会話がなされています。
 ちなみに、旧上南部川流域だけでも1日で1000人程度の人々の動員がなされています。この人たちへのジュース代や油代、さらには泥上げのための機械の借り賃などで、どれだけの費用がかかると思われますか。この愛護会への奨励算出基準では、作業面積1平方メートル当たり3円の実績割であります。地域住民が高齢化する中で、けがなどをしたとき、どのようになりますか。川を守り維持していくための予算が本当に少ないし、昭和63年の切目川のはんらんと同じような災害が起こったとしたら、その被害総額は、家屋への浸水、田畑の冠水、当時の金額で30億円です。日ごろの維持管理費を削ることで、何十億というツケが回ってくることになります。私は、常日ごろからこうした費用を十分に措置することにより災害に強い地域づくりを目指したほうが、より予算の効率的な使い方になると思っています。
 そこで、県土整備部長に、中小河川の維持管理に必要な予算措置についてどう取り組まれているのか、また河川愛護会活動支援について今後どのように取り組まれるのか、お伺いします。
 以上で、質問を終わります。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの坂本登君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、平成21年度当初予算の基本的な考え方についてでございます。
 和歌山県では、昨年策定いたしました新長期総合計画に基づきまして、元気な和歌山の実現のために毎年毎年新政策を考えて、これを実行していくという運びになってございます。と同時に、議員御指摘のとおり、世界的な金融・経済危機が深刻さを増す中、県内企業の業績悪化や雇用情勢の低迷など、本県の経済情勢も一層厳しくなるものと認識しております。こうした社会経済情勢を踏まえ、平成21年度当初予算では、次の3つの柱に重点を置いて予算編成を行わしていただきました。
 まずは、現下の経済状況に即応した緊急対策でございます。
 中小企業への制度融資を充実させるとともに、必要とされる公共投資の総量を十分確保し、投資的経費を大幅に増額し、前倒し執行による切れ目のない政策の実行によって県内経済の下支えに努めたところであります。
 また、雇用対策として、雇用のミスマッチ解消に資する「和歌山で働きませんか!」等の3つのプロジェクトを一層推進するとともに、ふるさと雇用再生特別交付金等による基金を活用し、幅広い分野での就業機会の創出に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、不況期にあっても将来へつながる底力を蓄える施策をしないといかんと思います。世界同時不況というあらしの中にあっても、次の時代に備えてまくべき種はまいておかなければいけないということで、わがまち元気プロジェクトの推進や新リーディング産業の創出、成長を支える人づくりなど、次の飛躍へ向けた施策を重点的に実施したいと考えております。
 3つ目は、県民生活に対する不安感を払拭するための安全・安心施策であります。
 高齢者が安心して暮らせるための取り組みや、災害時に孤立する可能性のある集落の通信手段の確保といった防災対策などにも積極的に取り組みます。
 現在の経済・雇用情勢を考えますと、当面の景気対策を第一とすることはもちろんでありますけれども、将来への布石となる新政策を積極果敢に展開することにより、長期総合計画が目指す将来像の実現に向けて一歩一歩着実に前進してまいりたいと考えております。
 次に、行財政改革の推進と今後の財政運営についてでございます。
 県財政は、昨年3月に策定いたしました新行財政改革推進プランでもお示ししたように、毎年、財源対策のための基金を取り崩して収支不足を補てんしなければならない、そういう厳しい状況にあります。加えて、景気悪化による県税収入の大幅な減少が見込まれまして、県財政が破綻しないよう県政のかじ取りを行うことが私の使命であると考えております。
 しかしながら、このような行政改革と一言で申しますけれども、現在、県が実施している事業の中で、明らかにこれは無駄だとか、そういうものは、私の見解でありますが、ほとんどなくて、本当に大事なものから優先順位をつけて、これを守りながら全体を見直さざるを得ないというのが現状であると考えております。
 平成21年度当初予算編成では、県議会の御意向を最大限尊重することはもちろん、各方面からの意見も踏まえ、片や県庁一丸となって最大限の知恵を絞り、施設、団体、補助金の見直しや人件費の抑制などによって収支不足額をプランの想定の範囲内におさめるということができました。この結果、景気対策や将来像実現に向けての新政策と財政健全化という2つの目標を両立さした予算に仕上がったものと考えております。
 今後は、国で措置された基金や交付金を有効に活用し、一般財源の節減に最大限努めるとともに、県民の皆様、とりわけその代表である県議会の皆様からの御意見に耳を傾けながら、プランにお示ししたように収支不足額を段階的に解消し、24年度には収支均衡を達成できるようにさらに行革努力を重ねていきたいと考えておりますので、御理解のほど、よろしくお願い申し上げたいと考えております。
○議長(大沢広太郎君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 河川整備計画についてでございますが、策定に当たりましては、地域の方々、学識経験者、それから農業利水者や漁業関係者など、河川とかかわりのある多分野の方々に広く御意見をいただいた上で進めていく必要があると考えております。今後とも、議員御指摘のとおり、河川整備計画の策定の際には、各河川ごとに適宜河川環境保全アドバイザーなどの方々に助言をいただいてまいりたいと思います。
 次に、河床のしゅんせつ工事等の維持管理予算につきましては、近年、財政状況が厳しい中、しゅんせつや護岸の修繕等の維持管理予算についても減額せざるを得ない状況でございます。
 平成21年度の維持修繕の当初予算案は、約6億4000万円で対前年度比で0.97となってございますが、今回の2月補正予算では、景気対策として、地域活性化・生活対策臨時交付金のうち、しゅんせつ、樹木の伐採等の費用として約2億円を追加計上いたしました。平成21年度の維持修繕の当初予算と今回のこの補正予算を合わせますと、平成20年度当初予算の約1.3倍の予算となります。
 なお、今回、補正予算約2億円で、南部川など40の河川でしゅんせつ、樹木の伐採、草刈り等を実施する予定としてございます。今後とも、上下流の流下能力のバランスや河川環境などに配慮しながら、洪水が安全に流下できるようにしゅんせつ等維持管理の推進に努めてまいります。
 次に、河川愛護会の活動についてですが、愛護会の皆様方には、平素より河川の清掃、美化活動に御協力を賜り、大変感謝しております。このボランティアとして実施していただいております河川愛護の愛護会の活動につきましては、従来より些少ながら奨励金を交付しているところでございますが、その増額につきましては、財政的にも厳しい状況であり、御理解をいただきたく存じます。
 しかしながら、議員御指摘のように、傷害保険への加入は、安心して愛護会活動をしていただくためには重要なことであり、保険への加入率が100%となりますよう改善を図ってまいりたいと思います。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 教育関係、まず子供の学力低下克服と体力向上の方策についてお答えいたします。
 全国学力・学習状況調査等から明らかになりました実態を踏まえまして、各学校において、課題の克服に向け、授業改善等の取り組みを進めてございます。
 県といたしましても、本年度、庁内に設置いたしました学力向上戦略会議におきまして、教員の実践的指導力の向上や学習・生活習慣の確立等の幅広い観点に立った検討を進めており、今後、具体的なアクションプランをまとめ、市町村教育委員会との連携のもと、各学校に対する指導を充実してまいります。
 また、人間のあらゆる活動の源になる体力を子供の時期からしっかりと身につけさせることは、子供の将来にとって大変重要であると考えます。来年度新たに実施いたします子供の体力向上支援事業におきまして、全国体力調査の結果を踏まえて子供の体力向上支援プログラムを策定し、体育の授業の改善・充実を初め総合的に体力向上に努めてまいります。
 次に、県立中学校設置後の学力やスポーツの競技力に関してお答えいたします。
 県立中学校の生徒の学力につきましては、全国学力・学習状況調査の結果等から、いずれの教科につきましても良好な状況にあると判断しております。
 また、部活動につきましては、施設等の制約もあり生徒の希望に十分こたえられない点もございますが、高校生と一緒に練習できるという利点も生かし、顧問の熱心な指導のもとに、県の総合体育大会において好成績を上げているクラブもございます。今後とも、県立中学校の長所を生かし、学力、体力の両面で生徒の力を十分に伸ばせるよう、教育活動の充実に努めてまいりたいと存じます。
 小中一貫教育につきましては、平成17年度からモデル校事業を実施いたしまして研究を進めてまいりました。この研究を通して、9年間を見通したカリキュラムの作成や指導方法の工夫改善等に取り組んだことで、きめ細かな指導や教科の専門性を生かした指導が可能となり、学力や体力の向上に効果を上げてきてございます。
 県といたしましては、小中一貫教育を独自に実施する市町村もあることから、これらの成果を普及し、適切な支援をしてまいりたいと考えます。
 次に、国体に向けた競技力の向上策についてでありますが、平成20年3月に和歌山県競技力向上対策本部を設置し、競技団体の組織基盤の拡充・強化、専門性の高い指導者の養成・確保、競技者の発掘・育成・強化、並びに競技者及び指導者へのスポーツ医・科学・情報面からの支援など、総合的な対策事業を実施することとしております。
 また、ジュニア競技者の発掘・育成につきましては、ゴールデンキッズ発掘プロジェクトを推進するとともに、中学校期のスポーツ環境を向上させるきのくにジュニアスポーツ推進事業ですとか、きのくにエクセレントコーチ制度などを活用し、競技力の向上に取り組んでいるところでございます。
 さらに、県内各企業などの御協力を得ながら、企業のクラブチームの設立や地域に密着したトップレベルスポーツクラブの活性化を促進し、今後、県内外からの優秀な指導者及びトップレベル競技者の確保に努めることとしております。
 今後とも、育成・強化の主体となる各競技団体を初め、県や県体育協会、市町村、県内企業等が一丸となって和歌山国体における男女総合優勝を目指し、計画的な競技力向上施策を展開してまいります。
 最後に、一芸に秀でた教員の確保についてでございますが、議員御指摘のとおり、教員の採用につきましては、人物重視の観点から、従来、スポーツや音楽、英語でのすぐれた実績や資格等を持つ者に対しまして、筆答検査の一部を免除する制度や、教員免許状を有しない者を対象とした特別選考制度を設けるなど、選考検査の工夫改善に努めてまいりました。
 今後、これらの制度の趣旨を生かしながら、特技や専門性をより重視した選考について検討してまいります。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 以上で、坂本登君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 34番原 日出夫君。
  〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 議長のお許しを得ましたので、質問に入りたいと思います。
 私は、前段、坂本議員からの質問も関連して、来年度予算と、和歌山県のこの厳しい経済情勢の中で県としてどういうふうな施策をとっていくのかということを具体的にやりたかったんですが、もう坂本議員が質問されましたので、その中でもちょっと具体的なことで御質問したいと思います。
 国の21年度──国自身の来年度予算や、それにかかわる追加経済対策というのが近くまた出てくると思うんですが、それに関係して、私は、とりわけ紀南には企業城下町がなく、金融危機に伴う直接的影響が実はないかに見えましたが、日増しにその影響がじわじわと出てきています。自動車、電気メーカーの部品工場での、私たちの周辺ですけども、20数名の首切り、また中小企業での製品等の売り上げの落ち込みによる資金繰りができず従業員を解雇するなど、また、どうしても会社を継続していきたいけれども、雇ってる従業員の厚生年金を国民年金に、そして国民健康保険にと、個人の負担した雇用契約に切りかえてきているのが実態であります。第1次産業の梅と梅加工品にしても、売り上げが落ちるとともに低価格商品しか流通しない。流通・物流の落ち込みで運送業の経営に見通しが立たないなど、地方にひしひしと影響を受け、ことしから来年には個人消費はさらに冷え込み、地方に大きな影響が出てくると考えます。
 そこで県は、緊急経済対策本部を中心に中小企業への資金繰り対策、公共事業の大幅投資、雇用面での積極的な対応をしていることを評価したいと思います。
 そこで、国の来年度予算を初め追加経済対策に対し、とりわけ紀南地方に対し、県として何を重点に取り組まれるのでしょうか。
 とりわけ私は、12月議会で提起した社会保障、つまり福祉介護・医療・教育は雇用を支え、地方を再生・地域経済活性化の1つの柱になることを訴えました。いみじくも来年度予算とさらなる財政出動ということで、与謝野財務大臣は、一般論としながらも、社会保障の分野は波及効果が高いと述べ、国内景気の下支えは、医療・介護などの分野で雇用の創出、内需拡大につながることを指摘しています。このことを含め、県としての今後の経済雇用対策の方針はいかがでしょうか。お尋ねします。
 次に、部分的ですが、雇用面に対して、ふるさと雇用再生特別基金活用事業の中身を私見せてもらいながら、これを地域でどう活用しようかなと思って、幾つかの企業や地域の皆さんと御相談をしていますと、名前がすごくよかったので、ふるさとを再生するために、ふるさとの事業をやってるところ、しかも拡大するところ、そういうところに支援をして、その事業が活性化することによって雇用を創出していくというふうに私は理解してたんですが、逆でありまして、中身を見ますと、和歌山県にとって本当にもっと弾力的に使えるような制度であるべきではないかなと。要は、事業を拡大する、新たな事業を拡大していかないと、その事業が適用されないという、この中身はまるっきし逆じゃないかと。地域を再生していくところの事業や地域の事業者にそれを支援していくと。それでなかったら、おのずから雇用が創出されるという意味では、事業へ支援すべきではないかというふうに考えたんですが、中身はそうなっていないわけでありますから、その点についても国に対してやはり我々地方として弾力的に使えるような制度に改善を求めるべきではないかなというふうに考えますので、知事の見解をお聞きしたいと思います。
 次に、国の直轄事業への知事の姿勢であります。
 考え方についてお聞きしたいわけですが、現在の国の直轄事業負担金制度では、非常に全国から問題になってます。例えば我が和歌山県では、一例ですけど大滝ダムの経過に見られるように、県が関与できないところで当初計画額230億円が1けた違いの3640億円と大幅に上がっております。これによる我が和歌山県の国の直轄事業に対する負担金もそれなりに対応していかなければならないというそういう問題は抱えているわけでありますが、県が負担金を出さざるを得なくなるといった問題を、こういった問題に対して、知事は現時点で踏まえて、今後の県としての国の直轄事業負担金に対する考え方や対応についてお伺いしたいと思います。
 次に、農林水産業を基軸にした活力ある農・林・漁村地域づくりについてであります。
 世界的同時不況は、日本の輸出依存中心の経済の危なかしさが露呈されました。それは、WTO、FTA交渉に見られるように、日本の国は、輸出産業中心の考え方が日本の農業や林業、水産業を犠牲にしました。日本の農山漁村を、人も、土地も、村も空洞化して限界集落に追いやり、自国の食料自給率を39%という、独立国日本どころか食料植民地国になっているのではないかということを私自身が危惧してます。
 私たちは、金融恐慌からさらに近い将来、世界的食糧恐慌を展望したとき、日本の進むべき道ははっきりしているし、それを明確にすべき岐路に来ていると思います。農山漁村は人の気配が薄くなり、農山地が荒れ、コミュニティーの崩壊が進み、さらに残る人々の誇りが喪失しつつあります。しかし、今この社会経済状況だからこそ、もう一度、農業、林業、漁業の資源を生かす本来の日本を見詰める絶好のチャンスであり、プラス面の考え方に立ち、国も、地方自治体も、住民も、その政策を築き上げていく時代を迎えたと思います。
 農山漁村の厳しい状況の中においても、これに立ち向かい、地域再生への取り組みが県内でも数多く生まれてきています。農山漁村の地域再生への取り組みは、1次、2次から6次産業へ構築されつつあります。県行政においても、今までにも地域再生の努力をされましたし、21年度予算は農山漁村への政策的予算が強化されています。国においても18年度から地域再生のための地域振興策を内閣府がコーディネートして、各省トータル290施策が提起されています。
 とりわけ、国の施策の特徴的なことは、事業によっては3年から5年間の支援、ハード面だけでなく人材派遣、養成のソフト面での支援という、今までにない地域主体を尊重されてきております。これらの国の施策を生かし、県、市町村の支援を得て地域づくりが県内でも積極的に進められています。
 例えば、かつらぎ町とかつらぎ観光協会と大阪府守口市土居駅前商店街との振興策の交流が活発であります。那智勝浦町の色川地区の田舎暮らしと定住促進活動が一定の成果を上げていますし、上秋津地区の直売所を初め廃校を利用した農業法人・秋津野ガルテンを立ち上げ、農村レストラン、宿泊所、農家民宿を初め経産省の支援を受けての秋津野地域づくり学校を開校し、地域づくりの全国の人たちの交流、農業体験を積極的に進めています。これは主な事例ですが、ほかにも、小さくてもその地域再生のため、国や県の施策を活用した活動が今進められています。
 そこで、知事に、提言も含めてお尋ねいたします。
 1つは、県当局は地域再生の国の制度を十分活用する地域支援の体制はできているのでしょうか。また、行政の縦割りが地域づくりを輪切りにしてしまうおそれはないのでしょうか。
 私の体験から、県行政へ次の点について提言しながら、県当局の見解をお聞きしたいと思います。
 1つは、地域再生のための地域振興施策は、国は内閣府がコーディネーターになって、その地域づくりは、各省のどの施策と施策を組み合わせて活用するかを必ずコーディネートしていただきます。そういう形をとっております。県行政としても、地域再生、地域づくりをコーディネートするのは企画部で、その地域づくりが農林水産部、商工観光労働部など関連するところをまとめて地域振興策を立ち上げる役割を果たすべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 2つ目は、これに関連して、地域振興策は地域再生させるための総合的な観点に立ち、国の施策と県の施策と市町村との連携、そうしたシステムをつくって、より効果的な予算の活用、そして人的配置も効果的にその地域再生の地域へ派遣していくという、そういう合理的に進めていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 例えば、21年度、来年度予算の企画部予算──これに限定するわけではないですが、例です──地域政策推進事業、それから地域づくり活動支援事業、わがまち元気プロジェクト事業というふうに3つあります。私は、こういった3つの事業は、例えば私の考えですが、これを地域振興推進交付金に一本化してはどうでしょうか。そのほうが、地域にとって、市町村にとっても非常に使い勝手がいいと。この事業をどうするためには、この個々の政策をどうするという意味じゃなく、総合的に地域振興交付金という形でまとめ上げるほうが県の予算としては効果的に発揮できるんではないかというふうに私は考えるわけです。そういったことを柱に、農林水産部、商工観光労働部等の予算と連携して、効率的、合理的な地域振興への政策と予算づけが求められていると思いますが、どうでしょうか。
 もう1つは、地域づくりはその地域の人材が基盤ですが、地域には行政の人的支援も求められます。地域づくりは、県の人材、市町村の人材、時には大学機関の支援が、これらの人材のコーディネートを県としても支援する必要があると考えますが、どうでしょうか。
 4点目は、県下の地域別の特徴を生かした地域再生の事業は、今どんどん進んでいます。各地域は、農林水産業を基軸にした事業が展開され、地域づくりが行政の協力で進められています。その実績の中で、私はツーリズム大学の設置を提案したいと思います。
 これは、全国でも地域づくりの成果を上げたその地域を拠点にして、ツーリズム大学が生まれています。田辺市の秋津野ガルテンは、経産省の支援で秋津野地域づくり学校が開校されています。これを拠点に、紀南での地域づくりの拠点、例えば本宮でやってる、那智勝浦でやってる、色川でやってる、北山村でやってる、龍神でやってるというふうな、それをキャンパスにして、センターは秋津野ガルテンに置いてツーリズム大学を設置してはどうか。それは、和歌山大学の観光学部が中心になり、その地域の代表や経済関係者など多数の関係各分野から構成して、ツーリズム大学設立に積極的に県として支援していってはどうかと思いますが、いかがでしょうか。
 この点の最後ですが、農山漁村での深刻な事態と、それを乗り越え地域再生へ取り組む地域の中で、来年度、国において過疎法が期限切れになります。和歌山県は、30市町村のうち18市町村が過疎法または山村振興法の対象です。県は、ポスト過疎法に向けた取り組みをどう考えているんでしょうか。県内の地域の実態とニーズをつかみ、過疎地域の自立促進政策と、今まで以上に必要とする格差是正のための政策をポスト過疎法に反映をどうしていくのか。県としての政策をまとめ、国に提言していく必要がありますが、どうでしょうか。お尋ねいたします。
 次に、新農林水産業戦略プロジェクト推進総合対策の取り組みについてお尋ねします。
 この事業の考え方と総合対策について、まず基本的にはお尋ねしたい。
 私は、この総合対策を進めるに当たって、1点目に提言した地域振興対策、つまり活力ある町・村づくりをどうするのか。地域と市町村と県行政が議論して、総合的な地域づくりを進めるマスタープラン的なものを創造していく、地域の人たちの集まりと力を基礎にして総合対策を考える必要があります。農山漁村の基盤整備は当然ですが、農林水産業を基軸にしたその資源、環境、地域をどう活性化していくのか。
 そのことは、第1は、総合政策は地域の活力あるもの、地域のコミュニティーが強まり、交流人口がふえ、やる気のある地域づくりであります。
 2つ目は、そこに生活する人たちの所得が増加するかどうかの施策であります。
 3つ目は、それらの事業で雇用を生み出すのかどうかというのも大きな総合対策の問題であります。
 例えば、先ほども述べました秋津野ガルテンでは、地域をどうするかのマスタープランをまず作成して、地域みんなの議論でその方向性を見出した。農産物をふやし、とりわけ梅依存ではなく、周年収穫できるミカンの多品目化にも取り組み、成功していること。生産・加工・販売、直売所、ネット販売、そして農村、レストラン、民宿等によって、この2年間で40名に近い雇用を創出してきています。これは、行政の力強い支援とその共同で生まれたところです。
 これらの視点に立って、農林水産部長にお尋ねします。
 新農林水産業戦略プロジェクト推進総合対策のその目的と総合事業についての考え方、今私が提起した地域振興・再生という総合的な視点を踏まえた点についてお伺いしたいと思います。
 次に、その中でも、県の農林水産プロジェクトの中で、品目的プロジェクトとありますが、私は、1品目を基盤に多品目生産の中での農業所得をふやしていくために、また、国民の安全・安心と地域の自然の食材が評価されるにはどうするかという課題があります。
 農山村での多品目づくりでありますが、その環境はたくさんあります。今から言うのは、あくまでも限定した事例ですので、それにこだわるわけではありませんが、山菜は自然のものと、それが栽培できるものということで、今、イタドリ、ウド、サンショウ、畑ワサビ、ショウガ、ワラビ、フキ、コゴミといった、そういう地域に今まで自然に派生していた植物に着目されつつあります。その中で、今、私たち地域では、コゴミというものを、いわゆる遊休農地を活用して、それを産物化しようということで取り組んでいます。これら山菜が、生産・加工して、都市との食材交流の一つの力にもなると思います。
 枝物では、コウヤマキ、サカキ、コノハナ、ヒサカキ、センリョウ、ナンテン、そして古木等が今見直され、努力次第では販路が拡大されようとしています。例えば古木利用は、地元のNPOが販売へと一歩踏み出しました。今まで趣味程度であったのが、それを商品化し、加工して商品化して、販売へ一歩踏み出しています。
 田辺市のNPOによる地域資源サカキの活用販売が開始され、イオンなど大手流通との連携、ネット販売など、新しいチャンネルで順調に推移しています。さらに、梅の剪定枝が捨てられ焼いていたものを、剪定枝とネコヤナギとの同じ時期に生まれるその2つの組み合わせで花木としての評価を受け、自然花木への販売に取り組もうとしています。
 こういった例を挙げたのは、単一の農林水産物でなく、その地域の農産物と自然環境をうまく組み合わせた複数の組み合わせでの生産・加工販売をつくり出すなら、そこに人との交流、農家の所得をふやす、雇用の創出で地域が活力あるものをつくり出せていくのではないかと考えます。この視点を踏まえた総合施策であってほしいと思いますが、農林水産部長の見解をお聞きします。
 最後になりますが、紀の国障害者プラン2004の改定についてであります。
 紀の国障害者プラン2004の概要に対する意見というか、県としてもパブリックコメントを求めています。私もその一人のパブリックコメントとして当局に提案し、お聞きしたいと思います。
 今回のプランは、これまでと違い、各市町村の積み上げのもとに数値目標が示されていることを高く評価した上で、次の点について質問したいと思います。
 1つは、国の施策の写しでなく、県の実態に即した独自の具体化施策の必要性が求められています。町村合併や広域化に伴い利便性が低下した地域への対応であります。
 例えば、田辺市の本宮、それからすさみ、古座などの資源のない地域への対応。東牟婁は新宮市に資源が集中している。これについては、例えば古座、串本から新宮市のデイサービスを利用する重症身体障害者の場合、移動は、串本から下里へ行き、新宮のデイサービスの送迎バスを下里で待って新宮へ行かなければならないという、こういう状態であります。プランで示す、どこに住んでいても必要なサービスを利用できる体制整備を進めると言われている中で、公平に受けられる体制をどう考えていくのでしょうか。
 2つ目は、グループホーム、ケアホーム等の機能低下についてであります。
 グループホーム、ケアホームの実情は、当初の4対1から10対1への配置へと変わってきています。職員配置とその援助の量と質の低下傾向が見られますが、これに対してどう対応するのでしょうか。
 精神障害者の地域での受け入れ態勢については、精神科医院からの退院先の主なところは家族であります。それから入所施設からの地域移行先は、グループホームまたはケアホームです。いずれも地域とのつながり、地域の考え方が弱い中での課題が非常に多いです。これにどう対応されていくのでしょうか。
 次に4点目は、発達障害者、触法障害者への支援が困難な事例に対する専門的な支援をどうするのかであります。そして、地域でどう支えるのか、支える体制をどうしていくのかということです。
 発達障害への専門的支援体制、このノウハウはまだまだ不十分ですが、これに対して本当に地域で県としてどう対応させていくのか、お聞きします。
 触法障害者、つまり障害を有する受刑者の比率は増加の傾向にあり、また、この人たちの再犯率は70%と言われています。国は施策として21年度から触法障害者の地域生活定着支援センターを設置して取り組むとしていますが、県としてどう対応していくのでしょうか、お尋ねします。
 5番目に、障害児(者)の余暇活動の支援のための施策についてですが、プランでは、障害児(者)の活動や参加を制限している社会環境の改善とうたわれているが、現実はどうでしょうか。県はパンフ等広報で県民への意識啓発をしていますが、それでは前向いて進まない状況ではないか。例えば、障害児(者)の余暇活動の実態を調査し、余暇活動、生活支援の機会をどうつくるのか、一般県民の余暇活動の機会に障害児(者)がどう参加していくのか、参加していける条件をどうつくり出していくのかについて、県当局のお考えを聞きたいと思います。
 これで、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの原日出夫君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、現下の経済情勢を踏まえた施策につきましてお答え申し上げます。
 議員御指摘のように、紀南地域においても働く場所の確保が大きな課題となっております。業績が悪化する中で、中小企業の資金繰りが厳しくなるなど、深刻化する経済情勢は十分認識しているところであります。今後さらに雇用情勢が悪化すれば、個人消費も冷え込んで地域の地場産品の売り上げ等にも影響を及ぼすものと懸念しております。
 このため、本県経済と県民生活を守ることが何よりも重要であるという認識のもと、現下の社会経済情勢に対する緊急対策として、県内企業の資金繰り対策の継続・拡充、県民生活に密接な社会資本整備による景気対策などに取り組んでまいります。
 また、産業、農業、福祉・医療の分野で、県内外の優秀な人材を積極的に呼び込むため、例えば「和歌山で福祉・医療の仕事をしませんか!」というプロジェクトなどを実施しておりまして、特に議員から御提案のあった福祉介護の分野でも、国の制度を活用した就職相談会の開催など、就職機会の提供と人材の確保のための取り組みを進めているところであります。
 こうした緊急的な対策に加えまして、次の飛躍に向けた底力を蓄える施策として、わがまち元気プロジェクトや新農林水産業総合戦略の推進、安全・安心で高品質な農林水産物の販売促進、世界遺産を生かした観光振興など、地域のすぐれた資源の国内外への売り出しに積極的に取り組むことで、紀南地域の産業活性化や、あるいは所得の拡大を図ってまいりたいと考えております。
 次に、ふるさと雇用再生特別基金活用事業についてでございます。
 この事業につきましては、もとより継続的な雇用機会を創出することが目的とされております。議員御指摘のように、当該事業の利便性を高め、地域に応じたより実効性のある使い道に使えるというために、全国知事会を通じて人件費割合要件の撤廃等について要望し、それが一部緩和されたところであります。今後とも必要に応じて、本当に必要なものは何かという観点から弾力的に使えるように国に要望してまいりたいと考えております。
 次に、国の直轄事業への県の負担金についてでございます。
 私は、そもそも国が責任を持つべき分野は、100%国の財源で地方の負担金に頼ることなく行い、地方が責任を持つべき分野は、国を頼ったりあるいは国の関与を受けることなく地方の財源で賄えるようにすべきであるというふうに思っております。それが地方分権であると考えます。とはいえ、国の財政を一方的に崩壊させるというか、地方だけ払わないというふうになると、これはまた一大事であります。地方分権の本旨に基づいた根本的な検討を始めるべきだというふうに私は思います。この根本的な制度改正が行われるまでは、直轄事業を一方ではやってくれと言いながら自分のお金は払わないというわけにはちょっといかんというふうにも思います。
 また、本県につきましては、実はその直轄事業をまさに今たくさんやってくれと。例えば高速道路とか、そういうものをやってもらわなきゃいかんという時期に、実はあるわけであります。そういう意味で要望している箇所がたくさんありまして、その要望している箇所にお金をつけてくれるということであれば、負担金は、現状の制度を前提とする限り払わざるを得ない。むしろ、ほかのところで国の直轄事業など要らんと言っているところがあるならば、ぜひ和歌山でやってくれというふうに私は思ってる次第であります。そのように要望をしております。
 なお、全国知事会においても、改めて直轄事業負担金をめぐる問題点、課題を整理し、国と必要な協議、調整を進めながら、社会資本整備に係る国と地方のあり方等を構築するための検討が行われる予定でありますので、私も初めに申し上げました観点から積極的に議論に参加してまいりたいと考えております。
 次に、活力ある地域づくり、地域の再生に向けて多くの御提言をいただきました。
 地域再生のための取り組みについて、これらをまとめて御答弁申し上げたいと思います。
 元気な地域づくりについては、私も熱い思いを抱いておりまして、県民の皆さんとともにまさに県庁の総力を挙げて取り組むこととしておりまして、来年度予算においても各般の施策を提案さしていただいているところであります。
 御質問の全庁的支援体制につきましては、地域の皆さんが地域再生に向けて何かやっていきたいと考えたとき、その活動段階や目的に応じて、国、県、関係機関を問わず最適な支援施策を活用していただけるように、いわば組織横断的な情報の収集と提供を行いまして、支援誘導できるような仕組みを整えていきたいと考えております。
 地域再生、地域づくりを企画部でコーディネートすべきではないかとの御提言につきましては、私も全くそのとおりだと考えております。企画部の予算というだけじゃなくて、すべての県庁の仕事、あるいは国、市町村の仕事についても、企画部で、よくいわばにらみをきかして指導していくというようなことをやってもらいたいというふうにかねがね言っておるところであります。
 また、企画部においても、いわば直轄事業として来年度予算でお願いしておりますわがまち元気プロジェクト支援事業は、そういうように企画部が関係部局の施策も活用して地域固有の資源を生かした新たな地域づくりに取り組む市町村を支援するために、企画部に今配分しているというところでございます。
 地域づくりに関連した諸事業を交付金に一本化できないかと、こういうようなことがありましたが、私はもう少し県がアイデアを出してリードしていきたいというふうにも考えております。21年度予算に計上しております諸施策は、このような考え方から、企画部のみならず各部局もみんな動員して、それで各地域における地域づくりの取り組み段階や目的に応じて事業立てをして、専門家の知識も導入しながら進めてまいりたいと考えてるところでございます。相互の有機的連携のもと、効率的、効果的に事業実施を行ってまいる所存でございます。
 また、地域づくり人材をコーディネートする役割が今後ますます重要になってくると私も思っております。現在でも、市町村からの要請に基づき、農商工連携あるいはブランドづくり、観光などさまざまな分野のアドバイザーの派遣制度を設けておりますが、適材を適時適所に派遣するため、日ごろからアンテナを高くして人的なネットワーク形成に努めているところであります。
 それから、議員御指摘のツーリズム大学については、各地域でNPO等が主体となり、地域づくりのノウハウの伝承や人材育成、人材交流のための講座を開いていると理解しております。現在、例えば和歌山においても和歌山大学観光学部や、議員お話しにあった秋津野ガルテンを初めとする地域づくり団体の活動などがありますので、県としてもこうした取り組みと連携を図りながら地域活性化のための人材育成の視点で積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 今後とも、市町村や関係機関との連携や情報収集に努め、地域の皆さんの主体的な取り組みを支援してまいりたいと思います。
 過疎対策についてでございますけれども、昨年、鶴保参議院議員ら自由民主党の委員会の過疎対策特別委員会のメンバーがすさみ町にお越しになって、いろいろ勉強していってくださいました。それをもとにして中央レベルでも、各党そうでございましょうが、新たな過疎法制定に向けていろんな検討が進んでいると思います。ただ、和歌山県につきましても、中央に任しておくというわけではなくて、県下の過疎市町村と意見交換を行うとともに、地域住民とのワークショップの開催などを通じて実態とニーズの把握に努めてきているところでございます。
 昨年7月には、学識経験者、地域代表者等で構成する和歌山県過疎対策研究会を設置いたしまして、議論を重ねていただいております。内容がまとまり次第、県に提言をいただくことになってございます。
 また、庁内においては横断的な連携体制を構築し、過疎対策に全庁的に取り組んでいるところでございます。
 新たな過疎法につきましては、地域の実情や地域住民の意向を十分踏まえ、過疎地域が自立・持続するためのソフト施策や集落対策などの対策が同法にちゃんと盛り込まれますように、市町村と連携を密にし、国及び関係機関に提言してまいりたいと考えております。県議会におかれましても、御支援、御協力をお願い申し上げます。
○議長(大沢広太郎君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 新規施策としての新農林水産業戦略プロジェクト推進総合対策の取り組みについてお答えをいたしたいと思います。
 農林水産業につきましては、御承知のとおり本県の地域経済を支える重要な産業でございまして、活力ある地域づくりのためには、農林水産業の収益性を高め、魅力ある産業として確立していくことが重要であると認識をいたしてございます。そのために、マーケット情報を踏まえた産地づくりを初めといたしまして、食品産業と連携し、地域資源を活用した新商品の開発、さらには国内外への販売促進に加えまして、担い手の育成や優良農地づくりといった対策を総合的に推進していくこととしてございます。
 こうした考え方に基づきまして、生産者グループ等が取り組むそれぞれの地域課題に対する戦略プロジェクトにつきまして、県もコーディネーター役として参画をし、JA等の関係団体や市町村と連携をしながら、生産・加工・流通・販売対策を総合的に推進をいたします事業を新規にお願いをしているところでございます。
 さらに、この新規事業を核といたしまして、担い手対策や生産基盤などの関連施策で構成をいたします新たな総合対策として、全総力を挙げて取り組むことといたしてございます。地域の持つ多くの資源を有効に活用した生産から流通確保に至るいわゆるアグリビジネスの展開を通じまして、総合所得の向上を初め雇用機会の拡大にも努めながら、地域の自立、活性化を図ってまいりたいと考えてございます。
○議長(大沢広太郎君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 紀の国障害者プラン2004改定についての5点の御質問にお答え申し上げます。
 まず、町村合併による広域化、山間地域への障害福祉サービスへの対応についてでございます。
 県では、平成18年に施行されました障害者自立支援法に基づく新しいサービス体系への移行を鋭意促進しているところですが、議員御指摘のように、サービス事業所の偏在により一部地域の利用に不便を来している現状があり、それを解消することが重要な課題であると認識してございます。このため、紀の国障害者プラン2004の改定に当たりましては、障害のある人が地域や施設で安心して暮らせるよう、どこに住んでいても必要なサービスを利用できる体制整備を進めることを基本姿勢とし、計画素案の作成に際しましては、サービス量を見込むための単位となる各障害保健福祉圏域ごとに市町村と連携して、サービス提供体制の整備について具体的に検討したところでございます。計画の実施に当たりましても、市町村と協働して課題解決に向け取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、グループホーム、ケアホームにつきましては、報酬設定が厳しく人材確保が困難で、支援についても不安が生じてきているとの現場の声を踏まえ、国に対して報酬の見直しについて強く要望を行ってきました。その結果、本年4月には障害福祉サービス全体の報酬の見直しが行われ、グループホーム、ケアホームの報酬についても、より実態に即した改善が図られることとなりました。今後とも現場の状況を十分把握しつつ、必要に応じ国に対して働きかけてまいりたいと考えてございます。
 次に、精神障害のある人の地域での受け入れ態勢についてでございますが、精神障害のある人と暮らす御家族に本人への対処方法等を学習していただく家族教室を各保健所において開催するとともに、精神疾患に対する県民の正しい理解を深めるため、わかやまこころのフェスティバルの開催や、ボランティアの育成等に努めているところです。また、グループホーム、ケアホームを整備する際には、地域住民の方々の理解を深めるための啓発活動をも支援しています。
 今後とも、精神障害のある人が地域生活へ移行する際に、地域住民に対して理解と協力をいただけるよう働きかけ、地域における関係機関の連携による受け入れ態勢づくりに努めてまいります。
 次に、発達障害者、触法障害者への専門的な支援策と地域で支える体制についてでございますが、県内における発達障害のある人への専門的な支援体制を強化するため、各障害保健福祉圏域ごとに設置された保健、医療、福祉、教育、就労の関係団体による支援ネットワークでございます地域自立支援協議会に和歌山県発達障害者支援センターが参画いたしまして、地域における発達障害のある人への支援の専門的なバックアップを行う体制整備を進めているところです。
 今後は、さらに現場の支援者に対する専門的な研修やコンサルテーションを通じて、その専門性を高め、地域の支援体制の強化を図ってまいりたいと考えております。
 次に、触法障害者への支援についてでございますが、刑務所を出所後、障害者手帳の交付や社会福祉施設への入所などの福祉サービスへとつなぐための仕組みがなかったことから再犯に至る事例が多く、対策が必要であると言われてきました。このため、国は平成21年度新規施策といたしまして、各都道府県に1カ所の高齢者や障害者等の自立が困難な仮釈放者や満期釈放者を対象といたしました地域生活定着支援センターの設置を国直営で考えていたところでございますが、政府予算編成過程で都道府県が実施主体と変更になったことから、今後、県におきまして地域生活定着支援センターを検討してまいりたいと、そのように考えてございます。
 最後に、障害児(者)の余暇活動の支援のための施策についてでございます。
 障害のある人が地域で充実した生活を送るためには、就労等とあわせて休日の活動の充実を図ることが重要な課題であります。そのため、市町村と連携して障害者スポーツの振興や文化活動の振興に取り組んでいるところであり、また障害者施設等においても積極的な取り組みが行われております。
 今後の方向性といたしましては、議員御指摘のとおり、障害のある人とない人が一緒に休日を過ごすことができるような条件整備が重要であると認識しております。実態について現場の状況をお聞きし、市町村とも連携しつつ、障害のある人がさまざまな休日の過ごし方ができるよう充実を図ってまいりたいと、そのように考えてございます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
 34番原 日出夫君。
○原 日出夫君 質問というより要望です。要望というか、改めて私の願いというんか、そういうことで。
 地域振興で、私、昨年からも質問して、知事先頭に──本当に和歌山県が今こういう経済情勢の中でとるべき道は幾つかある。1つ──全部とは私言いませんけど、地味ではあっても、自分たちの地域を活力あるまちにするために、小さなことからでも積み上げながら、その地域にいろんな意味でそこで住める、住みたい、住んでいて生活ができる、そういう地域づくりを、私たち和歌山県の場合は特に重要視していく必要があると思います。
 今までの時代のように、何か大きなことして金もうけをするとか、投資をするとか、それでまた金をもうけるとかいうんじゃなくて、みずからその地域の地場産業や環境を生かして、それで、地味ではあるけども生活できるという、このことに我々はなれているわけですから、そのなれた今までの生い立ちの中でそういう産業を生かしていくと。そういうことが今後はこれがすばらしい地域だというふうに、僕は社会的に評価される時代は必ず来ると思ってますので、地域再生に対してほんまに積極的に取り組んでいただけたらと思います。
 原点は、やっぱりその地域の人たちがやる気があるかないかの問題ですから、それが行政がやるかやらんかという問題以前の問題ですけど、それをやっぱりお互いに共同・協力しながらやっていければ成功するんではないかと思います。
 とりわけ、今度の新農林水産業戦略プロジェクトが総合的に使われたということについては、高く評価しています。しかし、どうしても一面的になりがちなので、私は再度言いますけど、その地域が、その総合施策の中で地域のコミュニティーが深まっていく、そしてそこへ訪れてくる交流人口がふえる、こういう物の考え方のマスタープランをつくっていかなきゃならない。そのために何をするのかということである。そしてそのことによって、先ほど言いました、地味ではあるけれども所得が増加する。そういう形の中で、地味ではあってもそこで生活できる、十分生活できるんだという確信を持てる施策が必要ではないかと。
 3つ目は、やっぱりそこで雇用を生み出していくという、地味ではありますけど、先ほど言いました、たった2年で40名が上秋津、あの事業で雇用が拡大したわけですね。それは、1つは地域に地域活力を生み出して事業を興せば必ずそれに附帯して雇用が生み出していけるんだという、そういう3つの要素を踏まえた総合プロジェクトであってほしいということで、一例ですけど、そういう自然の山菜や、それから枝木や、そしてそういったそこで生み出したものを加工すれば必ず。サカキを例にとりますと、1家族、夫婦、親子で3人で30万から40万稼げるように今なってますよ、もう。だから、簡単に言えば、ただ今までの梅やミカンや果樹、和歌山県一と言いながらでも、それに付随して地場に存在するいろんな自然のものを使って加工して、そして生産して販売すれば、それなりの新たな付加価値としての収入が与えられてくるということも考えながら、ぜひ取り組んでいただけたらと思います。
 以上で終わります。
○議長(大沢広太郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で原日出夫君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時29分散会

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