平成20年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(花田健吉議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前10時0分開議
○議長(大沢広太郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第120号から議案第147号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 11番花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕(拍手)
○花田健吉君 おはようございます。ただいま議長のお許しをいただきましたので、早速一般質問に入らせていただきます。
 ことしの日本は大不況のうちに閉じようとしています。また、殺伐とした時代を反映するような犯罪、特に自動車で3キロ、5キロも人を引きずって逃げようとするおよそ人間性の欠如としか考えられない事件や、元厚生労働省の幹部がねらわれた我々には考えられない動機による殺人事件が多発するなど、痛ましい事件が相次いで起こっています。被害に遭われた方々に、心からお見舞いを申し上げます。
 しかし、心うれしいニュースもありました。我が国の物理・化学の分野で南部陽一郎シカゴ大学名誉教授、小林誠名誉教授、益川敏英京都産業大学教授、下村脩ボストン大学名誉教授がノーベル賞を受賞いたしました。技術立国日本の面目躍如たる大ニュースで、国民に大きな夢と希望を与えてくれました。特に最近理系が弱くなったと言われている将来の日本を背負う小中学生にとって大きなともしびであり、誇りになったことでしょう。
 一方、我が和歌山県に目を転じますと、仁坂県政がようやく県民にも周知され、積極的な企業誘致に対しては高く評価できますし、長期総合計画の策定により将来の和歌山県のあり方が示され、県民一丸となって躍進していこうという大変重要な時期にあると考えます。財政の健全化は緊急の課題でありますが、現在国政が行っている大胆な景気対策に素早く対応し、中小零細企業に対する金融支援を、和歌山県信用保証協会を通じて当局としても万全の体制で臨んでいただきたいと強く要望するものであります。
 特に建設業を取り巻く環境は厳しいと考えますが、当局におかれましては、建設関連事業者に対象の融資制度の説明会をそれぞれ振興局の建設部で国の融資制度や中小企業融資制度について11月10日から行っていただいたとお聞きし、心強く思っております。また、当局は、ことし6月以降、これまでの指名競争入札から一般競争入札を導入され、あわせて電子入札も取り入れられました。この新制度は、一昨年の官製談合事件を踏まえ、導入されたものであります。県民の利益を考えると当然の措置であります。さらに、このたび当局は新公共調達制度の一部改定を行いました。
 そこで、今回新しく改定した新公共調達制度も含めて、制度施行から半年たちますし、10月末で既に建設工事1038件、委託業務454件の入札公告を行い、建設業で870件開札し、うち759件落札、57件審査中、委託業務で379件開札、325件落札、46件審査中と聞いております。12月に入りましたので、さらに入札業務は進んでいると思いますので、この半年の入札実績等を踏まえて、その状況を検証し、幾つかの点について質問させていただきたいと思います。
 まず、入札時の設計単価についてであります。
 御承知のとおり、我が国はバブル崩壊後、急速なデフレ経済に陥り、建設業界も大きな影響を受けました。しかし、建設業界の資材のデフレは一般社会のデフレと少し様相が異なります。農林水産物や食料品のような一般商品のデフレは、中国を代表とする国外からの輸入により、国内産の商品より安い商品が日本じゅうに出回ったためであります。しかし、当時の日本経済の状況から申しますと、大不況下の日本の消費者を救ったのも、この安価な商品であったことは否めません。もちろん、建設資材も海外から広く輸入されているものもたくさんあります。地球環境の観点から見ると甚だ遺憾なことではありますが、途上国の森林を伐採してつくられるコンパネ等の合板は、ほとんどが海外から安く輸入されています。
 しかし、ここで私が述べたい建設業界のデフレ現象は、設計段階で資材等の単価がデフレスパイラルに陥っていることであります。当局の御説明では、設計単価の算出方法は、今年度は財団法人経済調査会に委託し、製造単価ではなく実際の流通している資材単価を調査して、その単価を次の設計単価に反映させるという仕組みだとお聞きいたしました。
 この仕組みで単価を決めていくとどういうことになりますか。例えば、ある工事を調査基準価格以下で落札いたします。建設業者は、この工事を完成させるため、当然赤字にならないように懸命の努力を重ねるでしょう。結果、資材仕入れの業者や下請業者に協力を求め、できるだけ安い単価で資材を納入するように求めます。そして、この工事を完成させるわけですが、このとき購入した資材単価が次の入札の単価として調査され、設計単価に採用されていきます。
 この仕組みが一定期間続くと設計単価は限りなく安くなっていき、建設業者も資材業者も、ともにデフレスパイラルに陥り、破綻していくことになります。そして、さらに倒産の恐怖から逃れるために、さらなる過当競争が生まれ、建設業界全体が大きなデフレの渦に巻き込まれていったのがここ十数年の業界を取り巻く状況であったと考えます。
 さらに、そんな状況下で、全国的に国や地方自治体の官製談合が発覚いたしました。そして、一連の事件を教訓に、指名競争入札から一般競争及び電子入札が取り入れられました。我が県も、官製談合事件から県民の信頼を回復しようと仁坂知事が新制度を導入したことは、当然のことであります。
 しかし、一般競争入札が導入されてから約5カ月、発注工事を何度公募しても応札のなかった工事が建設業で26件あるとお聞きし、驚いています。この応札すらされない工事の中で、県民の生命や財産にかかわる工事もたくさんあります。橋脚補強工事や河川の堤防修繕工事や急傾斜地崩壊対策工事、津波・高潮危機管理対策緊急工事等であります。
 では、その入札がおくれ、工事の完成がおくれることにより災害等が起こった場合、だれが責任をとるのでしょうか。
 指名競争入札当時でも、設計単価が著しく安い工事は全員予定価格の100%以上で入札し失格となったり、赤字になるので辞退したというケースもあったとお聞きいたしました。このたびの新制度では一般競争入札ですから、業者は設計価格の100%で落札しても赤字になる仕事には応札しません。これは至極当然のことでありますが、その結果、応札者なしということになり、大切な工事が施工されない事態が起こっています。
 それでは、なぜそんな設計価格になったのか。設計したコンサルタント会社に問題があるのでしょうか。それとも、先ほど申し上げた設計単価の設定がおかしいのでしょうか。
 確かに、過去、設計単価が民間工事から比べますとはるかに高かった時期もあったわけですから、この制度も一定の評価はできると思いますが、昨今の状況は常軌を逸しているのではないかと思うほど、俗に資材の単価をたたく状況が続き、関係業者に聞きますと、定価なんて何のためにあるのかわからないと嘆いておられます。大量購入できる大きな販売店や製造元なら何とか対応できますが、我が県のような中小零細企業では、とても単価を合わせることができません。必然的に県外の業者が入ってくることになり、結果、県内業者が淘汰されていくということになってしまいます。
 しかし、どんな状況下であっても、建設業者は入札制度そのものについてあれこれ文句を言う立場にはありません。現行制度に沿って粛々と入札に参加し、工事を受注していただき、利益を上げ、従業員を雇用し、また納税していただき、新たな公共事業の原資となっていく、この循環が望ましい姿だと考えます。
 しかし、いろいろな疑問点も、先ほど来申し上げましたとおり、入札制度のもとでできていることも事実であります。このたびの新入札制度の一部改定が行われましたが、それらも踏まえて、県土整備部長に幾つかの疑問点と矛盾点を申し上げたいと思います。
 まず、積算単価の算定方法についてお尋ねいたします。
 資材等の製造単価と実勢単価の価格差についてどう思われるか、お答えをください。
 いまだに応札されない工事について、今後どうされるのですか。それについてもお答えください。
 さらに、県の制度では1者だと1回目は無効になると聞きましたが、2回目も1者しか応札がなかった場合は落札すると伺いました。そこで、例えば1回目の入札は一般競争、電子入札なので、最低制限価格、推計されるんですが、83%前後で応札いたします。1者なので無効となります。当然その業者は2回目も応札するわけですが、だれも応札しない可能性が高いと判断し、2度目は予定価格に近い価格で入札し、落札されるケースも可能性としてはあるとお聞きしました。これでは随意契約と変わりません。
 国や35都道府県では、1者でも1回目から入札が成立すると聞いておりますが、和歌山県は今後1者入札の是非について検討する予定はありますか。お答えください。
 一般競争入札は、公募した時点で既に競争が始まっていると当局から御説明がありましたが、逆に1者だけの入札が多くなり、予定価格に近い価格での落札が続くという事態になりますと、システムをよく理解していない県民から見れば、随意契約をしてるのではないかと思われかねませんが、どう思いますか。お答えください。
 また、1者でも落札可能だとすれば、入札に参加しないという新たな業界での調整や談合の危険性は発生いたしませんか。お答えください。
 もう既にそのような動きもあるようにお聞きいたしますが、そのような話し合いが事前に業界内で行われたとしても、入札に参加しないことが談合と認定することができると思いますか。お答えください。
 次に、予定価格を入札の事前に公表することについてお尋ねをいたします。
 このたびの改定により、予定価格が1億円以上の工事については入札の事後公表とすることになっています。その主な理由として、予定価格の事前公表が適正な見積もりを阻害し、過度の低入札の要因になっているとの見解です。では、なぜ1億円未満の工事では事前公表が適切なのか。1億円未満の工事については適正に見積もりがなされており、低入札の要因にならないとお考えなのですか。お答えください。
 続いて、最低制限価格についてお尋ねいたします。
 当局からいただいた資料によりますと、建設工事の新制度運用前は、5000万円未満の工事では最低制限額を公表していたにもかかわらず、失格になった7件──多分これは誤記入だということですが──以外の2300件は順次落札されました。しかし、新制度になって9月までの間、573件中284件で、何と49.6%が失格になっています。平均落札率も87.3%から84.7%になり、より競争が激しくなったことをあらわしています。
 そこで、このたびダンピングを防止するため、最低制限価格を予定価格の1億円未満の工事にも適用されたと理解しています。地元業者としては、低入札調査基準価格の対象から外れるので、落札率は少し上がることになり、よいと思いますが、依然厳しい競争が予想されます。委託業務についてはさらに厳しい状況であります。
 そもそも最低制限価格は、直接工事費95%に共通仮設費90%、現場管理費に60%、一般管理費に30%、それから0.99から1.01のランダム係数を掛けることにより算出されます。最低制限価格は名目上事後公表となっていますが、予定価格にこの計算式を当てはめれば容易に推計でき、これでは公表しているのと余り変わりはありません。最低制限価格が推計できれば、当然、業者はその価格近くで入札します。しかし、その価格で工事が完成できるかどうかは別問題であります。受注してから、それぞれの金額に合わせて資材調達や下請価格を決定していくと言っても過言ではありません。
 私は、あくまでも当局が工事の種類やそれぞれの単価を調査し、公共建築物の品質を間違いなく確保できる金額を算定し、その金額を最低制限価格とし、事後公表とするのがよいと考えますが、いかがですか。お答えください。
 最低制限価格とは、県民に提供する公共建築物の安全性を担保することと、建設業界の行き過ぎた競争を防ぎ、健全な業界の育成に寄与することが最大の目的であると考えますが、いかがですか。お答えください。
 次に、総合評価方式についてお尋ねいたします。
 県は総合評価方式を3000万以上の発注工事に適用していますが、なぜ3000万なのか。まず、その根拠をお答えください。
 また、総合評価の審査するときに、会社名を伏せて、有識者でつくる判定委員会で審査すると聞いておりますが、この審査について不信感を持たれることはありませんか。お答えください。
 経営審査で、それぞれの業者を点数によってランク分けする作業は大変な時間と労力を必要とすると推察いたしますが、そのランク表の各項目の持ち点のうち工事実績等が採用されれば、点数の高い業者が入札する前から持ち点が高くなり、公平性に欠けませんか。お答えください。
 また、実績をつけようと思っても、持ち点の高い業者が限度近くで常に入札すれば最低制限価格以下で入札することになり、失格にならざるを得ません。これでは、半永久的に実績がつかない可能性もあると指摘しておきます。その結果、特定の点数の高い受注実績のある業者に落札が偏るおそれがあるのではないかと考えますが、いかがですか。お答えください。
 また、総合評価や低入札調査基準価格は判定作業に大変な時間がかかり、工事着工がおくれて困るという声もあることを申し添えておきます。
 私は思うのですが、入札制度は発注者側と受注側のモラルの構築の上に成立するもので、どんなすばらしいシステムをつくっても、その制度を悪用しようと思えば抜け道がつくられることは歴史が証明しています。「シンプル・イズ・ザ・ベスト」という言葉があります。まさしく入札制度についてはこの言葉が当てはまるのではないでしょうか。有識者であれ、県職員であれ、第三者が手を加えるシステムは、受注できなかった業者の心の中で必ず不信感と猜疑心が生まれることは容易に推察できます。要は、だれも関与しない、関与できない、関与させないシステムであればいいと考えます。
 一般競争及び電子入札は評価できると思います。そこで、設計価格や最低制限価格は事後公表にして、さらに開札後ランダム係数を掛けるのですから、事前に漏えいしなければ業者は見積もりをきちんとし、自社の工事受注計画や工事実績や、その他さまざまな諸条件を勘案し、それぞれの業者は自社の見積価格で入札に参加するのではないでしょうか。さきに述べた応札者のない工事もなくなります。もし仮に、これらの情報に対して事前に問い合わせがあり、漏えいの可能性が察知できれば、関係職員はすぐさま知事が肝いりでつくられた監察査察監にその旨を報告し、警察と一体となって対応すればいいのではないでしょうか。きっと、過去の不幸な事件を経験している我が県において、二度とそのようなことは起こらないと思います。
 再度、入札制度はシンプル・イズ・ザ・ベストであり、入札に関与する関係者の倫理観に尽きるということを申し上げておきます。
 次に、仁坂知事にお伺いをいたします。
 県民の、特に今回は建設業界で暮らしているそれぞれの家庭の生活の安全・安心が確保されているのか、建設業界で生計を立てている家庭の生活の状況についてどのような御認識をお持ちなのか、御所見をお伺いいたします。
 政府は、このたび緊急雇用対策として2兆円の予算を計上し、対応を強化いたしました。しかし、大手企業では契約社員を何千人単位で解雇し、また、ことし新卒で採用されるはずの学生たちが企業の業績悪化を理由に採用取り消しが相次ぎ、混乱しています。
 そんな中、去る11月28日、和歌山城砂の丸広場に、県内各地から建設業に携わる方々やその家庭を預かる主婦の皆さんや関係者が1000人以上も参加し、大集会を開いたと報道されました。かつてない建設業界の行動に、業界を取り巻く不況の現状の厳しさを反映した集会だと感じました。
 今、そのあらしはそれぞれの家庭を直撃しています。小中高生の子供たちを抱える御家庭もあるでしょう。また、年末ともなれば、それぞれの子供たちの進学について心を痛める時期でもあります。大学進学ともなりますと大変な出費となるでしょう。テレビでは、父親がリストラされたので学費が払えない大学生の休学、退学がふえていると報道されていました。
 さて、大変な経済状況が続く中、我が県の建設業に目を転じますと、建設業に従事している方は約4万1000人と平成20年の「和歌山県統計年鑑」の調査で拝見をいたしました。平均4人家族といたしますと、16万人以上の県民が建設業界で生計を立てていることになります。建設業者の出入り関係業者を入れると30万人以上になるという統計もあります。
 そこで、不況産業と言われている建設業界のそれぞれの家庭の暮らしは今一体どうなっているのでしょうか。西日本建設業保証株式会社によりますと、平成19年度は38件、平成20年度は半年で既に26件倒産・廃業しております。もちろん、倒産の原因がすべてこのたびの新制度にあるとは申し上げておりません。バブル後の景気対策で一時期膨らんだ公共事業の予算そのものが減少し、その結果、さきに述べたような建設業界を取り巻く過当な競争が、それぞれの企業の経営体質にも原因があったんではないかと思います。
 しかし、ことし4月以降、建設業許可業者の倒産による失業者は144人だとお伺いをいたしました。一家の大黒柱である御主人が職を失った御家庭の主婦は、どのように生活をやりくりしてるのでしょうか。当然、子供たちにとっても大変厳しい生活環境が強いられることでもあります。失業保険があるとしても、その家庭の生活に対する不安感はどれほどのものでしょう。また、失業保険受給期間中に新しい職場に再就職できているのかも大変心配です。このような不安定な家庭の状況をその家庭の子供たちはどのような不安な気持ちを持って見てるのだろうかと思うとき、我が事のように心が痛みます。自由競争の社会だからいたし方ないと言えばそれまでですが、余りにも過酷な競争原理は建設業者を大きく減少させていくことになり、競争相手の激減は健全な競争を阻害することにもなりかねません。
 また、最近多発する集中豪雨などにより、県民の生命や財産、生活が脅かされたとき、すぐさま命の危険を顧みず復旧工事に出ていただいているのも建設業界の皆様であります。しかし、雨降る中、土砂崩れの2次災害の危険性のある道路等の復旧に従事した業者でも、本格的な復旧工事には入札参加資格が合わないという理由で、入札に参加することさえもできないという矛盾もお聞きいたしております。こんなことで、いつか必ず到来する東南海・南海地震や最近多発する集中豪雨や台風等による災害等に対し、建設業組合と災害協定を結んでいるとはいえ、当局との信頼関係は大丈夫なのかと、本当に機能するのかと不安になってまいります。
 また、建設業界も、当然利益に応じて法人事業税を自治体に納付していただいている大切な地場産業です。比較的法人事業税の割合の少ない本県にとっては、建設会社は有力な納税者でもあります。健全な建設業界の発展とその業界で暮らす人々の生活の安定・安心を確保することは、政治を預かる私たちと行政を預かる当局の大きな責務であります。
 そこで、建設業界のそれぞれの家庭で暮らす人々の生活を守るという立場から、現在の建設業界の暮らしの現状について仁坂知事の御所見をお伺いいたします。
 また、建設業界の今後の健全育成についてのお考えも、あわせてお答えいただきたいと思います。
 次に、裁判員制度についてお伺いいたします。
 殺人など重大事件の審理に国民が参加する裁判員制度が、いよいよ来年5月から始まります。最高裁は、11月28日、来年分の裁判員候補者名簿に登録された29万5027人が候補者となったことを通知いたしました。候補者になる確率は350人に1人ということで、単純計算すると県内では2800人が裁判員の候補者に選ばれることになります。
 そこで、この制度について県民はどのように考えているのでしょうか。もし自分が裁判員に選ばれたとしたら、どうしたらいいのかわからないという声をよく聞きます。県内でも説明会や、裁判官、書記官の方々が出張講義を行ってくれているとお聞きいたしましたが、私の身近な人でその講義を受けた人はおりません。
 そこで、少し裁判員制度について、皆さんは御承知のことと存じますが、整理させていただきたいと思います。
 裁判員制度とは、刑事裁判に、国民の皆さんから選ばれた裁判員が参加する制度であります。裁判員は、刑事裁判に出席して証拠を見聞きして裁判官と対等に議論し、被告人が有罪か無罪かを判断し、量刑を決定いたします。衆議院の選挙人名簿から、向こう1年間、無作為に選出され、まず裁判員候補者名簿が作成されます。そして、事件の審理が始まる前に、その名簿からさらに無作為に抽出した裁判員が選定されます。裁判員候補者は裁判所から呼び出し状を受け取り、指定された日時に出頭します。呼び出し状にはあらかじめ質問票が同封されており、回答を記入して事前に返送します。事件ごとに、欠格事由、就職禁止事由、不適格事由がないか裁判官が判断し、裁判員として決定されます。また、正当な理由がない限り辞退は認められません。
 では、どうして今、裁判員制度を導入しなければならないのでしょうか。法曹界では、私たちが刑事裁判に参加することにより市民の自由や権利が不当に奪われることを防止するための重要な制度で、一般市民の経験や知識を裁判の上で生かすことも大きな理由だと述べられています。現行制度は裁判官3名合議制で裁判が行われていますが、6名の裁判員が加わることで裁判の質をより高めることが目的だということです。
 裁判員制度の対象となる代表的な事件は、殺人、強盗致死傷、傷害致死傷、危険運転致死傷、現住建造物等放火、身代金目的誘拐、保護責任者遺棄致死だそうです。何といっても殺人事件に関する審理に加わるのですから、この裁判員制度について、それ相応の知識と認識が必要なことは言うまでもありません。司法試験という我が国で一番難しい国家試験を合格し、かなりの経験を積んだプロ中のプロである裁判官や弁護士でさえも、殺人事件等の重要な裁判において意見が分かれたり、冤罪事件も過去に発生しています。果たして、私たち一般の国民が本当に適切な判断ができるのかどうか不安ではあります。
 また、裁判官は大変厳しい守秘義務も課せられていますが、当然選ばれた裁判員にも厳しい守秘義務が課せられることになるでしょう。さらに、凶悪犯罪や広域暴力団の幹部が絡んだ殺人事件や、オウム事件の坂本弁護士一家のように特定の団体がねらった殺人事件などでは、本当に裁判員の安全は確保されるのか等の問題も心配されます。裁判員に選ばれた人の住所、氏名等プライバシーは守られるということですが、本当にプライバシーを保護することが可能なのでしょうか。長期間連続して職場を休職することを余儀なくされるのですから、当然、職場内では裁判員になったのはわかってくるでしょう。同じ職場の人たちにも守秘義務を課すのでしょうか。
 さらに、このたびの日本の裁判員制度においては、アメリカや先進国で採用されている陪審員制度と決定的に異なる点があります。他の国では、陪審員は有罪か無罪かを判断するだけで、量刑については裁判官が決めるという点であります。しかし、日本の裁判員制度は、その犯罪の量刑までも決定するということであります。
 本当に民間人が、凶悪犯人だからといって死刑の判決を下すことができるのでしょうか。今はだれも自分に直接関係していないから大きな議論になっていませんが、少なくとも死刑判決を決定する過程に参画するということは、人1人の命を絶つ決定をするということにほかなりません。そんな覚悟が果たして私たちにできているのか甚だ疑問に思います。
 かつて、我が国にも陪審員制度がありました。1889年、大日本帝国憲法が制定されましたが、このときから既に議論されていたそうです。陪審員制度が本格的に動き出したのは1900年代に入ってからで、政党政治が次第に力をつけてきたころ、いわゆる大正デモクラシーの時期に大きく前進いたします。大正陪審法の成立に中心的な役割を担ったのは、立憲政友会の原敬でした。原敬立憲政友会総裁は、2つの事件をきっかけに陪審員制度の導入を進めようとしたと言われています。
 1つは、1909年、当時の大日本製糖株式会社が、原料である砂糖の輸入税を企業に一部還元することを規定した法律の有効期限の延長を実現するため、政友会その他の政党の議員に贈賄を企てた日糖事件と言われる疑獄事件です。当時、検察権力は非常に強い力を持ち、政治的疑獄に積極的に介入する姿勢を持っていました。この日糖事件で多くの議員が拘束され、検察の人権を無視した過酷な取り調べを受けたことによるものでした。
 2つ目は、1910年、無政府主義者の明治天皇暗殺計画という理由で幸徳秋水ら社会主義者26名が起訴され、秘密裁判において幸徳秋水ら12名が死刑となった事件であります。
 1910年、原敬はみずから中心となり「陪審員制度設立ニ関スル建議案」を作成し、議会に提出、全会一致で衆議院を通過いたしました。1918年、原敬内閣が成立すると、翌年、陪審員制度の立法化について閣議決定され、具体的な検討が始まりました。そして1923年、陪審法が成立いたしました。この陪審法は、5年間の施行準備期間を経て昭和3年から施行されました。対象事件は被告人が否認している重大な事件に限定し、陪審員は有罪・無罪の結論を出し、裁判官に答申をするが、裁判官は、法律上、この答申に拘束されませんでした。また、導入されるまで準備期間中に3339回の講演を行い、124万人の聴衆を集めたほか、パンフレットや映画11巻を作成して周知したそうです。当時としては大規模なPRだったのでしょう。
 しかし、この陪審員制度は定着をいたしませんでした。1943年に停止されることになりましたが、その理由に、年々利用されなくなり制度は定着しなかった、太平洋戦争が激化したことも理由に挙げられています。陪審法は今でも廃止ではなく停止になっているので、法律としては生きています。戦後64年がたちますが、必要な制度であれば、なぜ今まで復活しなかったのでしょうか。
 それはともかく、このたびの裁判員制度を国民の皆さんがどれほど正しく深く理解してるのでしょうか。現在では、テレビ、新聞、インターネット等情報化社会が進んでおりますので、周知することはある程度できると考えますし、裁判所の調べでは、9割以上の人が裁判員制度の導入については知っていると答えたということです。しかし、知っていることと理解している、覚悟しているということでは随分違うと思います。
 そこで、仁坂知事にお伺いをいたします。
 裁判員制度の県民の理解と覚悟は十分にできているとお考えですか、お答えください。
 最高裁が導入した制度ですが、県民に動揺や不安があれば、それを取り除くため対応していかなければならないと私は考えます。それとも、裁判所のすることなので、県当局としては傍観するしかないとお考えなのでしょうか。県民の中には、仕事の関係で辞退を申し出ているが認められない方や、死刑判決もあり得るわけですから、思想的に参加したくない人、人を裁くことが嫌な人、特に理由はないがとにかく参加することが嫌だという人もいるかもしれません。それらの問題について裁判所で適切に対応してくれることを期待していますが、辞退したくても聞き入れられなかった場合、県民はどこに相談したらいいのでしょうか。今回、裁判員に選ばれた方に、その旨を郵送した翌日から5日間で1万5000件、裁判所のコールセンターに問い合わせがあり、6割以上が自分は辞退できるのかの問いであり、精神的ケアを求めたと報告されています。
 そこで、環境生活部長にお伺いいたします。
 裁判員に任命された方のさまざまな悩みが県民生活課等に対して寄せられたときの当局の対応をお答えください。もし、県民から相談があれば、適切な対応をお願いいたします。
 また、これまでの周知期間中、当局として県民の裁判員制度の理解を深めるため、周知、啓発をどのように行ってきたかについてお答えください。
 また、来年5月までの間、裁判員制度について県民の理解をより深めていただかなくてはならないと考えますが、対応策をお聞かせください。
 警察本部長にお伺いをいたします。
 重要犯罪、特に組織による殺人等の裁判ですと、裁判員の身が危険にさらされることも予想されます。プライバシーは保護されると聞いておりますが、当人や御家族にしてみれば不安はあると思います。そのような危険性に対して当人から相談があった場合、裁判員の身辺警護についてどのようにお考えですか、お答えください。
 次に、教育長にお尋ねをいたします。
 私は、日高郡美山村に生まれました。昭和30年代の美山村は交通の便も悪く、一般の人は御坊市に出るのさえ2~3時間も要するほどでした。しかし、近年は道路が整備され、御坊市までわずか40分で往来できるようになりました。特に、奥日高と言われる地域は道路整備が比較的早くから進み、大変便利になり、車も家庭に1~2台はあります。活動エリアが飛躍的に伸びる中、あらゆる面で過疎地域という感覚が薄らいできました。
 今回、へき地手当について取り上げさせていただきますが、あらかじめ申し上げておきます。決してこの手当が必要でないと申し上げてるわけではありません。まず、そのことを御理解いただいて質問に入らせていただきます。
 皆さんも御承知のとおり、教職員の手当の中に、へき地手当というのがあります。「和歌山県人事行政の運営等の状況の公表について」という資料によりますと、へき地手当は、平成19年度、年間総額1億83万9000円支給されており、負担は国3分の1、県3分の2で、県費は6700万余りの支出となっています。
 そこで、このへき地手当の支給根拠について調べてみました。国は、昭和29年、へき地教育振興法が制定され、その法律に基づき、都道府県条例により、へき地手当を教職員や職員に支給することと定めています。この法律は、第1条で「教育の機会均等の趣旨に基き、かつ、へき地における教育の特殊事情にかんがみ、国及び地方公共団体がへき地における教育を振興するために実施しなければならない諸施策を明らかにし、もつてへき地における教育の水準の向上を図ることを目的とする。」とあります。また第2条で、へき地の学校とは、交通条件及び自然的、経済的、文化的諸条件に恵まれない山間地や離島の公立小中学校や給食施設と定義しています。へき地手当は、この法律の規定に基づいて3級地から1級地、それに準ずる学校を指定し、和歌山県では、3級地であれば教職員の給与及び扶養手当の月額合計8%、2級地は6%、1級地は4%、準ずる学校は2%支給されています。
 私が通った小中学校は、今でもへき地1級地の学校に指定されています。確かに当時は、龍神村や美山村に勤務する教職員の皆さんは大変な御苦労も多かったと思います。また、現在でも私の想像を超えるへき地地域の学校があるのかもしれません。しかし、この制度も、制定された昭和29年当時は必要かつ重要な制度であったと考えられますが、現在はどうでしょうか。
 当時のへき地校に赴任した場合、通勤不可能な地域なので教職員住宅に住み、単身赴任の場合は2重世帯になりました。教育を取り巻く環境も、進学率を比較しても教育格差があったのかもしれません。ガソリンや文具、教材等もへき地の物価のほうがかなり高かったからです。しかし、飛躍的に交通網が発達した現在において、へき地校に赴任している教職員590人中40数人しか教職員住宅を利用しておりません。利用率は格段に低くなっていますし、へき地の物価もほとんど変わりません。
 このように、法律の制定当時に想定していなかった矛盾点や不公平感が逆に生じているような気がします。例えば、へき地の学校へ通う人にはへき地手当がつきますが、へき地から都市部に通う人には手当はつきません。また、へき地の学校に歩いて通える人でもへき地手当はつきます。確かに、ガソリンなど特殊なものは、へき地に行くと今でも都市部より値段が高いことはよくありますが、都市部からへき地のほうに勤務する人は安いガソリンを給油していますし、当然、通勤距離に応じて別途通勤手当も支給されています。むしろ、へき地から町の学校に通勤する手当のない人のほうが高いガソリンを入れて通勤しているのかもしれません。
 ちなみに、45歳の教職員の方の平均給与を例にとりますと、へき地の学校に赴任いたしますと年額32万7264円のへき地手当が支給されます。一般のサラリーマンの御家庭であれば1回分のボーナス以上の金額です。
 私は最初に申し上げましたが、へき地手当をなくせと申し上げてるわけではありません。山間、奥地の学校に通う方の不便を考えると、当然あってしかるべき制度であるとは思いますが、県内の道路等の整備が飛躍的に進んだ現在、教育委員会のへき地の学校という基準が一般県民のへき地地域との感覚と少しずれていませんか。例を挙げますと、私の地元、日高川町に山野という地域があります。へき地の特別というランクに指定されてる山野小学校があります。この学校から御坊市内の大型店舗や日高病院まで約20分弱で行けますし、高速道路の御坊インターチェンジまで7~8分、道路は全線2車線であります。
 そこで、教育長にお尋ねをいたします。
 へき地学校の定義により、県下で73校の公立小学校を指定していますが、教育長の言うへき地の認識についてのお考えと、あわせて、へき地の学校の定義をわかりやすく明確にお答えください。
 また、へき地の学校に通う教職員や職員と一般の教職員や職員の負担の違いを具体的に示し、へき地手当の根拠をお答えください。
 最後に、一番気になることですが、へき地手当の根拠になっているのは、へき地教育振興法の「教育の機会均等の趣旨に基き、かつ、へき地における教育の特殊事情にかんがみ、国及び地方公共団体がへき地における教育を振興するために実施しなければならない諸施策」──この諸施策の中にへき地手当の根拠があるのだと考えますが──「を明らかにし、もつてへき地における教育の水準の向上を図ることを目的とする。」によるものと考えます。しかし、本当に現在のへき地の小中学校は、特別に指定しないといけないほど教育の機会均等が保障されていない、教育水準が低い地域の学校なのでしょうか。私は、断じて違うと思います。へき地教育振興法そのものは国の法律ですので、県教委ではどうにもなりませんが、へき地という認識を県民の認識と共有できる感覚に見直せば、へき地校の指定が現在と少し変更されるのではないかと考えます。今後の見直しについて、お考えがあればお答えをください。
 以上で、第1回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの花田健吉君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいま御質問のあった件につきまして、私に答えろというところにつきまして、2点、お答えさしていただきます。
 まず第1番目に、建設業界についてのお話でございます。
 議員御指摘のとおり、建設業は和歌山県にとって大変大事な産業であります。また、ここ10年間、これは和歌山県だけではありませんで、全国的な状況でありますけれども、建設投資が大きく減少した、特に公共による建設投資が大きく減少したということで、建設業界全体が非常に厳しい経営環境にあるということも十分認識しております。
 こうした中で、建設業に従事している皆様方の御家族の生活、これも非常に厳しいものであるということは、私も身にしみて感じております。これは、現在不況がだんだん深化しておりますので、ほかの産業についても同様なことがかなり言えるのではないかと思いますけれども、特にこの建設業界については、比較的日本全体が好況であったかなと思う時代でも、先ほどのような全体的な公共施設の減少というのが続いておりましたので、そういう意味では大変であったし、ましてや、この不況の中でもっと大変な状況にあるというふうに考えておりまして、議員同様、大変心を痛めているところでございます。
 私は、知事就任前から、和歌山県の建設業の振興を図るということは、和歌山県にとって大変大事なことだというふうに考えておりました。皆さん、覚えておられるかもしれませんが、選挙に臨むときに、演説で「皆さん、建設業界に石をぶつけてはいけませんよ」というふうにずっと言い続けてきました。それはなぜかというと、当時、知事の犯罪が行われた、その舞台が建設業界をめぐるものであった。その結果、悪いのは業界であって批判すればいいと、非難すればいいという、あるいは談合を防げばいいと、そういうようなのが一般的な風潮であったというのは、皆さんよく御記憶のとおりだと思います。
 しかしながら、ただ、そんなことをしていたら和歌山県もおかしくなるし、それから業界の発展もなかなかうまくいかない。そもそも犯罪を犯したのは、舞台は建設業の公共発注であったかもしれないけども、それは知事の犯罪であって、業界のほとんどの人は何の関係もないというのは明らかだからであります。したがって、新しい公共調達制度を導入するということに当たっても、もちろん談合というのは当然悪、あるいは刑事罰の対象ということになっておりましたから、これもできないようにして、効率性を追求して県民の無駄遣いを省くと。県民の大事な財産の無駄遣いを省くということも大事だけれども、一方では公共工事の質と、それから建設業界の健全な発展を図るように、3つ大事な目的があるんだというようなことをずっと申し上げ、その考え方のもとに実は今の制度をつくらしていただいたところであります。
 ずっと前のあり方、ずっと前の制度、あるいはその運用には、さっき言いましたような問題で、もう戻れない。私たちがそれを戻さそうとしても、公取も司法も世論もだれも許してくれない。そういう事態の中で、実はかなり厳しくなっていた。そういう前政権末期の制度に比べ、実はさっき言いました3つの問題にバランスよく配慮した制度をつくろうというふうに思った次第であります。私は、そういう意味で、今回の制度の根幹はバランスのとれたものになってると思っております。
 ただ、御指摘のように、昨今の建設業界の状況をかんがみると、どうも不当廉売というのが横行しているなと。しかも、それはやりたくてやってるわけじゃなくて、やらざるを得なくてやってるような人も結構いて、それがまた1つ出たら、全体の、せっかくこれから成長しようというような業界の状況もうまくいかんということになってしまうので、これは、不当廉売って本来ならば業界の問題でありますけれども、我々当局としても、制度の運用上、その不当廉売を防ぐような、そういう方向へ後押しをしようというふうに考えました。
 そこで、御指摘のように、最近、制度変更いたしまして、大規模工事の予定価格の事後公表、あるいは最低制限価格の適用範囲の拡大など、現段階でできるだけそれを後押しできるようにしようと。一般的な、例えば県民の財産を無駄遣いしてないかという、そういう観点から、許される限りにおいて最大のことをしようというふうに考えて制度の見直しをいたしました。この見直しも含めて、新しい公共調達制度というのは少し実施が遅くなり過ぎたかなという感じもするんですけれども、懸命に頑張っている業者の方々が段階的に成長できるような仕組みというふうになってると考えています。その制度の中で頑張っていただいて、少しずつ有力な人が成長していくというようなことを考えていただきたいと考えております。
 道路整備を初めとするような和歌山に必要な社会資本整備というのは、実は和歌山県の発展につながることになると思います。それは、建設業界のことだけを考えて設計をするわけではありませんけれども、実は和歌山県の公共工事の削減率といいますか、それは、これだけニーズがある和歌山県にとって、他県のように何十%も一遍に減らしていいというもんではないということで、今、行革を厳しくやっておりますけれども、その中でもモデレートな形の設計にさしていただいたところなのであります。
 それから、また現下の不況、これについては、一般的な不況対策の対象でもちろんあるとともに、実は建設業界だけの固有の金融制度というのもまたつくっていただいてますので、これについても利用できるように全体的なPRに努めて、建設業界の振興と、それから県全体の発展というのが何とか調和できるように今後とも頑張っていきたいと思います。
 制度はバランスのとれたと申し上げましても、全体の根幹のところ以外のところで、例えばさまざまな問題点が今後とも発生すると思います。あるいは、さまざまな問題点は意見として出てくると思います。したがって、そういうところはちゃんと取り入れて、できることなら、いろんな修正が必要だったらやるというようなほうに我々は考えようと思ってまして、実は技監を中心とするような制度設計の検討を常時オープンにしておくというような状況で今いる次第でございます。
 次に、裁判員制度でございますけれども、裁判員制度は、司法制度改革の中で、裁判の進め方やその内容に、国民の視点、感覚が反映されることにより、裁判全体に対する国民の理解が深まり、より身近なものとしても信頼が一層高まることを期待して創設されました。こんなことは、御質問のところで花田議員がきちんと言われましたので、まさにそのとおりだと思います。
 ただ、これについての理解でございますけれども、最高裁がことしの初めに実施いたしました裁判員制度に関する意識調査の結果によれば、9割以上の方が裁判員制度について知っとると、6割以上の方が裁判員として裁判に参加するというふうに言っておられるそうであります。ただし、実際に候補者に通知が届いた先月末には、かなり多くの方が辞退をすると、したいというふうにおっしゃったということも聞いております。そういう意味では、覚悟ができてないという人もいるんじゃないかなと思います。
 テレビを拝見しておりますと、何か一般論として言うときは、自分の問題じゃないというような感じでおった家族が、通知が来てみてびっくりして、それで、よく考えたらやっぱりやろうと、そういうふうに考えたというような方がおられると思います。そういう意味で、こういう制度は国民の信頼と支持があって初めて可能なわけでございますので、引き続きいろんな形で実施までに周知をする努力と、あるいは理解を求める努力というのが必要になってくるかと考えております。私どもも協力してまいりたいと考えております。
○議長(大沢広太郎君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 議員の御質問に順次お答えしたいと思います。
 まず、積算単価の算出方法についてでございますが、議員御質問のとおり、製造単価と実勢単価につきましては、市場原理により、一般的には価格差は生じると認識しております。資材等の設計単価につきましては、経済調査会によると、実際の市場での流通価格を調査し、原則として最も頻度の高い取引価格を実勢単価として採用しております。この実勢単価を調査して設計単価に反映するためには一定の期間を要するため、実勢単価と設計単価には価格差が生じることを認識しております。昨年末からの原油高騰に伴いまして、急激な価格変動のある建設関係の資材につきましては、その設計単価を毎月改定することといたしました。
 今後とも、資材等の設計単価につきまして、さらに調査内容を充実させ、できるだけ迅速に実勢単価が反映できるように努めてまいりたいと考えます。
 それから、応札されない公共工事についてでございますが、再発注に当たりましては、応札がなかった状況を踏まえまして、設計内容、入札参加資格要件等を精査して、必要に応じて要件等の見直しを行い、発注することとしております。
 なお、このような応札者のない入札を可能な限りなくして、競争性を高めるために、今後ともより一層、現場条件等を踏まえた積算や適切な工事規模での発注に努めてまいります。
 それから、1者入札の是非についてでございます。
 このことに関しましては、さまざまな御意見、考え方がございますが、一般的に条件つき一般競争入札におきましては、入札参加要件を満たす不特定多数の者が参加できますことから、応札者が1者であっても競争性は確保されていると考えられ、国や多くの都道府県では1者入札を有効としております。また、このように競争性が確保されていることから、結果的に1者でありましても、議員御質問のように特定の者の中から契約相手方を決定する随意契約とは、透明性、競争性の面で大きく異なるものと考えております。
 なお、本県では、過去に1者入札で非常に高い落札率の事例があったことから、1回目の入札で1者入札の場合は入札を取りやめ、入札をやり直すこととしております。今後の1者入札の取り扱いにつきましては、入札実施状況を検証、評価した上で検討してまいりたいと思います。
 次に、1者入札の談合の可能性についてでございますが、条件つき一般競争入札は、さきに説明させていただいたとおり競争性が確保されており、結果的に1者入札であった場合においても、談合の事実を証明する明確な証拠がない限り、談合と認定することは困難と考えます。
 なお、独占禁止法の制裁強化等により談合に対する抑止力は十分高まっており、1者入札を有効と取り扱うとしても、特に談合の危険性が高まるものではないと考えております。
 予定価格の事前公表についてでございますが、業界団体等の御意見もお聞きし、当面、予定価格1億円以上の工事につきましては、予定価格を事後公表とすることといたしました。また、予定価格を自社見積もりの妥当性の参考としているという中小規模の業界の御意見も多いことから、予定価格の1億円未満の工事につきましては、これまでどおり事前公表とすることといたしました。予定価格の事後公表の範囲につきましては、今後の入札実施状況を踏まえまして検討したいというふうに考えております。
 最低制限価格についてでございますが、最低制限価格及び低入札調査基準価格につきましては、工事の品質確保や建設業の健全な発展に支障を来さないように設定しております。設定につきましては、国土交通省が本年4月から導入して公表しております新しい方式を採用いたしました。この方式は、工事費目ごとに工事実績を反映した最低限必要と考えられる額を算定し積み上げているものでございまして、特に人件費とか資材等の直接的に必要な経費については、積算価格の95%を計上しております。本県では、現在のところ、この算定方式が合理的であると考えております。
 総合評価方式についてでございますが、総合評価方式は、公共工事の品質確保の促進に関する法律により位置づけられておりまして、価格と品質で総合的にすぐれた調達を実施するためのものでございます。品質確保の観点からは、すべての工事に総合評価方式を導入することが望ましいのですが、発注者、それから受注者双方の負担等を考慮いたしまして、工事発注件数の十数%に当たります予定価格3000万以上の工事に導入したものでございます。審査につきましては、技術力などを見る客観的な基準により審査することとし、審査の際には業者名がわからないようにするなど、恣意性を排除して公平・公正な審査が行われるようにいたしております。
 次に、公平性についてでありますが、総合評価方式には、標準型、簡易型、特別簡易型の型式がございます。特に、小規模の工事では特別簡易型を採用しております。特別簡易型では、発注者、受注者双方の負担を軽くいたしますために、業者の技術力につきまして技術提案を求めることをせず、過去の実績、それから技術者の能力などで簡便的に評価することとしております。このために、技術力のある業者が受注しやすい側面もございますが、価格と品質で総合的に評価する制度でございまして、公平なものであると考えております。現在、本年6月の制度導入以降の入札実施状況の分析を行っているところでございまして、その分析結果を踏まえました上で、業者の皆様の受注機会を広げる工夫も必要であると認識しております。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 環境生活部長井口悦治君。
  〔井口悦治君、登壇〕
○環境生活部長(井口悦治君) 御質問のうち、裁判員制度についてでございますが、まず悩み相談の対応についてでございます。
 各地の裁判所や法テラスなどにおいて相談窓口が設置されており、また最高裁においても、170人のオペレーターを配置した裁判員候補者専用のコールセンターが開設されているところでありますが、県に対し相談があった場合には、県民相談室において適切な助言を行うなど、相談者の不安を取り除くよう懇切丁寧に対応してまいりたいと考えてございます。
 次に、これまでの裁判員制度の周知啓発について及び今後の理解を深めるための施策について、一括してお答えをさしていただきます。
 裁判員制度を円滑にスタートさせるには、国民の理解と協力を得ることがぜひとも必要なことから、裁判所、検察庁、弁護士会の法曹3者において、周知、啓発のため、ホームページ、新聞、テレビなど各種メディアを使った広報やポスターの掲示、パンフレットの配布、また各種の講演会の開催などが行われております。これにあわせ、県といたしましても、「県民の友」への記事の掲載、県庁舎など関係機関へのポスターの掲示やパンフレットの配備、市町村に対する周知、広報の協力依頼など県民の理解を深め、不安を解消するため啓発、広報などを行ってまいりました。
 今後とも、裁判所などから周知、啓発などの協力依頼がありましたら、引き続き関係機関と連携しながら適切に対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) へき地手当についての御質問にお答えいたします。
 昭和29年に制定されましたへき地教育振興法は、交通条件、経済的・文化的諸条件に恵まれない山間地等の小中学校等がへき地学校として規定されておりまして、そこに勤務する教職員を確保する観点から、へき地手当を支給することとなってございます。
 へき地学校の指定につきましては、学校所在地から市町村教育委員会や病院、郵便局等までの距離を測定いたしまして、それを点数化した合計点数で2級地、1級地等の級地が決定され、おおむね6年ごとに級地の見直しが行われているところであります。
 議員御指摘のとおり、法の創設から半世紀以上が経過をし、山間地等の交通網が整備される中、へき地学校の特殊性、困難性が以前に比べて緩和されてきていることもあり、教育委員会では諸手当の見直しの一環といたしまして、平成17年度から全国に先駆けてへき地手当の支給割合の改定を行い、2級地12%のところを現在の6%に、1級地8%を4%、準へき地4%を2%に半減をして実施しております。また、その見直しにより生じた財源で、学力など学習指導上の今日的な課題等への対応のため、非常勤講師等配置事業を展開しているところでございます。
 今後とも、国の指定基準の改定や他府県の動向を注視しながら対応していきたいと思っております。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 警察本部長永松健次君。
  〔永松健次君、登壇〕
○警察本部長(永松健次君) 裁判員のセキュリティーについてお答えを申し上げます。
 県警察といたしましては、身体等に危険が予想される具体的、またおそれがある内容を認知した場合は、裁判員当人、裁判所等との連携を密にしつつ、対象者の警戒、保護に当たることはもとより、犯罪に該当し、または該当するおそれのある内容につきましては検挙する等の措置を講じて危険を除去することが責務と考えてございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。──所定の時間が参りましたので、以上で花田健吉君の質問が終了いたしました。

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